説明

医薬組成物

過活動膀胱の治療等に有用な、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩と抗コリン剤とを含有する医薬組成物等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミド[3,3,3−trifluoro−2−hydoxy−2−methyl−N−(5,5,10−trioxo−4,10−dihydrothieno−[3,2−c][1]benzothiepin−9−yl)propanamide](以下、必要に応じて化合物(I)ともいう)またはその薬理学的に許容される塩と抗コリン剤とを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
過活動膀胱は、尿意切迫感、頻尿等の症状を呈している患者に認められる病的状態である。過活動膀胱の患者では、切迫性尿失禁を併発している場合と切迫性尿失禁を併発していない場合がある。ここで尿意切迫感とは急激かつ強力な尿意を指し、切迫性尿失禁は尿意切迫感に関連する不随意な尿漏れを指す。
過活動膀胱に起因する症状である尿意切迫感および切迫性尿失禁を有する患者では、多くの場合、膀胱内圧測定において排尿筋の不随意(無抑制)収縮が認められ、この状態は排尿筋過活動と呼ばれる。この排尿筋過活動が、尿意切迫感ひいては切迫性尿失禁の要因と考えられ、尿意切迫感は頻尿の要因ともなる。
排尿は、末梢および中枢神経系を含む複雑な反射経路の生理的制御を受けている[ユーロロジー(Urology)、50巻、サプルメント6A号、36−52頁(1997年)]。膀胱を支配する副交感神経系である骨盤神経終末よりアセチルコリンが遊離され、これが排尿筋層に存在する受容体に結合し、膀胱が収縮して排尿が誘起される。神経伝達物質アセチルコリンの受容体はムスカリン受容体と呼ばれ、ムスカリン受容体はM、M、M受容体の3つに細分される。膀胱にはMあるいはM受容体が多いとされ、これらの受容体の非選択的遮断剤またはM遮断剤が、過活動膀胱の症状である頻尿および尿失禁の治療に用いられており、これらは、一般的に抗コリン剤と呼ばれている。
抗コリン剤は口渇、残尿増加、尿閉、下痢、便秘等の副作用を有しており、過活動膀胱患者にとっての満足度は必ずしも高くない。また、これらの副作用のため、過活動膀胱治療に充分量の抗コリン剤投与が行えない場合もある。
一方、膀胱知覚神経や膀胱排尿筋には種々のカリウム・チャネルが存在しており、これらは、神経興奮や排尿筋収縮を制御している[ザ・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(The Journal of Physiology)、494巻、1号、1−16頁(1996年)、カレント・ドラッグ・ターゲッツ(Current Drug Targets)、2巻、1号、1−20頁(2001年)、アクタ・フィジオロジカ・スカンジナビカ(Acta Physiologica Scandinavica)、173巻3号、323−333頁(2001年)]。過活動膀胱には知覚神経の興奮や排尿筋の興奮および収縮が関与しており、これらは尿意切迫感や排尿筋過活動にも関与している[ユーロロジー(Urology)、30巻、5号、サプルメント1、22−26頁(2002年)]。
従来、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩が尿失禁治療作用を有することが知られており(WO98/46587)、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩はA型カリウム・チャネル開口作用を有し過活動膀胱の治療作用を有することが知られている(WO02/078523およびWO02/078710)。
【発明の開示】
本発明の目的は、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩と抗コリン剤とを含有する医薬組成物等を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(21)に関する。
(1)(a)式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩と(b)抗コリン剤とを含有する医薬組成物、
(2)3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである第(1)項記載の医薬組成物、
(3)抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である第(1)項または第(2)項記載の医薬組成物、
(4)(a)式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩と(b)抗コリン剤を有効成分とする、同時にまたは時間を置いて別々に投与するための過活動膀胱治療剤、
(5)3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである第(4)項記載の過活動膀胱治療剤、
(6)抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコボラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である第(4)項または第(5)項記載の過活動膀胱治療剤、
(7)(a)式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩を含有する第1成分と(b)抗コリン剤を含有する第2成分を有することを特徴とするキット、
(8)3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである第(7)項記載のキット、
(9)抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である第(7)項または第(8)項記載のキット、
(10)(a)式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩を含有する第1成分と(b)抗コリン剤を含有する第2成分を有することを特徴とする過活動膀胱の治療用キット、
(11)3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである第(10)項記載の過活動膀胱の治療用キット、
(12)抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である第(10)項または第(11)項記載の過活動膀胱の治療用キット、
(13)抗コリン剤と同時にまたは時間を置いて別々に併用するための式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩、
(14)3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである第(13)項記載の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩、
(15)抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である第(13)項または第(14)項記載の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩、
(16)抗コリン剤と同時にまたは時間を置いて別々に併用するための式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物、
(17)3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである第(16)項記載の医薬組成物、
(18)抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である第(16)項または第(17)項記載の医薬組成物。
(19)(a)式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩および(b)抗コリン剤を同時にまたは時間を置いて別々に投与することを特徴とする過活動膀胱の治療方法、
(20)3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである第(19)項記載の過活動膀胱の治療方法、
(21)抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である第(19)項または第(20)項記載の過活動膀胱の治療方法。
化合物(I)の薬理学的に許容される塩は、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等を包含する。
化合物(I)の薬理学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、メシル酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジン等の付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の付加塩があげられる。
次に、化合物(I)の製造方法について説明する。
化合物(I)は、WO98/46587に記載の方法またはそれに準じて製造することができる。
化合物(I)には、立体異性体(例えば、互変異性体、鏡像異性体等)が存在し得るが、本発明の医薬組成物、過活動膀胱治療剤、キット、過活動膀胱の治療用キットおよび過活動膀胱の治療方法には、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を使用することができる。本発明の化合物(I)には、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物が包含される。
化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて単離、精製すればよい。
また、化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も本発明の医薬組成物、過活動膀胱治療剤、キット、過活動膀胱の治療用キットおよび過活動膀胱の治療方法に使用することができ、本発明の化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩に包含される。
抗コリン剤としては、ムスカリン受容体において競合的に拮抗し、コリン作動性神経活動を抑制するものであればいずれのものであってもよいが、例えばオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシン、KRP−197[ONO−8025、バイオオーガニック・メディシナル・ケミストリー(Bioorg.Med.Chem.)、7巻、6号、1151−61頁(1999年)、バイオオーガニック・メディシナル・ケミストリー・レター(Bioorg.Med.Chem.Lett.)、8巻、14号、1807−12頁(1998年)]等、これらの立体異性体(例えば鏡像異性体等)、およびこれらの薬理学的に許容される塩、ならびにこれらの水和物等があげられ、これらは単独でまたは組み合わせて用いてもよい。これらの薬理学的に許容される塩としては、例えば、前記化合物(I)の薬理学的に許容される塩として例示した塩等があげられる。
本発明の医薬組成物または過活動膀胱の治療剤で使用される化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩と抗コリン剤は、これらそれぞれの有効成分を含有するように製剤化したものであれば、単剤(合剤)としてでも複数の製剤の組み合わせとしてでも使用または投与することができるが、中でも2つ以上の製剤の組み合わせが好ましい。複数の製剤の組み合わせとして使用または投与する際には、同時にまたは時間を置いて別々に使用または投与することができる。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩と抗コリン剤との用量比(重量/重量)は、使用する抗コリン剤との組み合わせ、抗コリン剤の効力等に応じて適宜調整すればよいが、具体的には例えば1/50(化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩/抗コリン剤)〜50000/1、好ましくは1/30〜10000/1、より好ましくは1/20〜5000/1、さらに好ましくは1/10〜1000/1の間の比である。
複数の製剤の組み合わせとして投与する際には、例えば(a)化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を含有する第1成分と、(b)抗コリン剤を含有する第2成分とを、それぞれ上記のように別途製剤化し、キットとして作成しておき、このキットを用いてそれぞれの成分を同時にまたは時間を置いて、同一対象に対しで同一経路または異なった経路で投与することもできる。
該キットとしては、例えば保存する際に外部の温度や光による内容物である成分の変性、容器からの化学成分の溶出等がみられない容器であれば材質、形状等は特に限定されない2つ以上の容器(例えばバイアル、バッグ等)と内容物からなり、内容物である上記第1成分と第2成分が別々の経路(例えばチューブ等)または同一の経路を介して投与可能な形態を有するものが用いられる。具体的には、錠剤、注射剤等のキットがあげられる。
また、本発明の過活動膀胱の治療方法は、上記で記載した医薬組成物または過活動膀胱治療剤で使用される化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩と抗コリン剤の使用または投与方法と同様にして実施できる。つまり、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩と抗コリン剤を、それぞれの有効成分を含有するように製剤化し、例えば単剤としてまたは複数の製剤の組み合わせとして、好ましくは2つ以上の製剤を組み合わせて投与することにより実施できる。複数の製剤を組み合わせて投与する際には、これら製剤は、同時にまたは時間を置いて別々に投与することができ、上記で記載したようなキットを用いて投与することもできる。
次に、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩および抗コリン剤を同時投与することによる過活動膀胱の治療効果について試験例により具体的に説明する。なお、下記の試験例では、化合物(I)として、(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミド
[(S)−(+)−N−3,3,3−trifluoro−2−hydoxy−2−methyl−(5,5,10−trioxo−4,10−dihydro−thieno[3,2−c][1]benzothiepin−9−yl)propanamide](以下、必要に応じて化合物(Ia)という)を使用した。
試験例:排尿筋過活動抑制作用
実験は、チェン(Cheng)らの方法[ブレイン・リサーチ(Brain Res.)、678巻、40−48頁(1995年)]に準じて行った。
実験には、雌性SD系ラット8−9週令(日本チャールス・リバー供給)を使用した。ラットは室温19〜25℃、湿度30〜70%、一日12時間照明(午前7時〜午後7時)の飼育室にて、金属ケージに5−7匹ずつ収容し、市販の固形飼料と水を自由に摂取させて飼育した。
ラットに脊髄損傷手術を行った。ラットをジエチルエーテルで麻酔し、背側胸髄部分の皮膚を切開した。第7−8胸椎部分の椎弓を切除した。直視下に第7−8胸髄付近を5mm程度切除し、止血のため切除部分の創腔に酸化セルロースを充填した。切開部分を手術用絹糸で縫合した。脊髄損傷手術の後、完全に自律排尿が認められるまで、1日2回(8−10時および17−19時の間)、手圧排尿を約3週間行った。また、抗生物質アンピシリン(ampicillin、シグマ社製;150mg/kg)の筋肉内投与を1日1回、約1週間行った。
脊髄手術後4〜5週間経過したラットに膀胱カテーテル手術を施した。ジエチルエーテル麻酔下に、腹部正中を切開して膀胱を露出した。組織を傷つけないよう、先端を鈍化させたポリエチレンチューブ(PE−50;ベクトン・ディッキンソン)に生理食塩液(大塚製薬工場)を満たし、膀胱頂部より挿入した。この膀胱カテーテルを手術用絹糸で固定、留置した。また、他端は皮下を通して背頸部より導出して栓を取り付け、皮膚に手術用糸で固定した。
膀胱カテーテル手術4〜8日後にシストメトリー試験を行った。ラットをボールマンケージ(夏目製作所)に入れ、膀胱カテーテルに三方活栓を連結し、一方は圧トランスデューサー(日本光電)に連結し、他方は生理食塩液注入用にインフュージョンポンプ(KDサイエンティフィック)にセットした50mL注射筒(テルモ)に連結した。圧トランスデューサーからの膀胱内圧信号を、接続したひずみ圧力アンプ(AP−621G;日本光電)にて増幅し、これを収納したポリグラフシステム(RMP−6008;日本光電)を介してサーマルアレイレコーダー(RTA−1200;日本光電)上に記録した。測定準備終了60〜90分後、室温の生理食塩液を10mL/時間の流速で膀胱内に30分間持続注入し、排尿収縮が発現するのを確認した。30分後に再び30分間の生理食塩液注入を行い、膀胱内圧を測定し薬物投与前値とした。化合物(Ia)は0.5w/v(重量/容量)%メチルセルロース水溶液で1mg/mLとなるように懸濁させた。この懸濁液を0.5w/v%メチルセルロース水溶液でさらに希釈し、0.01mg/mLの投与用溶液[化合物(Ia)投与用溶液]を調製し、1mL/kgの容量で経口投与した。抗コリン剤(トルテロジン)は0.5w/v%メチルセルロース水溶液で3mg/mLとなるように溶解し(抗コリン剤投与用溶液)、1mL/kgの容量で経口投与した。また、併用効果の検討のために、化合物(Ia)投与用溶液と抗コリン剤投与用溶液をそれぞれ1mL/kgの容量で同時に経口投与した。投与後1、3、5時間を溶媒または薬物投与後の測定時点とし、各時点の前後15分間(薬物投与後45〜75分、165〜195分、285〜315分)に生理食塩液の膀胱内注入を行った。
排尿筋過活動の指標として排尿前収縮を測定した。各30分間の測定期間に観察される各排尿収縮間に発現する最大排尿前収縮の収縮高の平均を、各時点の排尿前収縮の大きさとした。また、排尿直前2分間の排尿前収縮の数を計測し、排尿前収縮頻度とした。なお、排尿前収縮値および排尿前収縮頻度については、チャート紙に記録された膀胱内圧波形からコンピューター(PC−9801NS/R;NEC社製)で制御したデジタイザー(KW4620;グラフテック社)で読み取り、DAT形式ファイルまたはWJ2形式ファイルとして保存した。データ・ファイルは、Excel 2000(マイクロソフト社製)に取り込んだ。排尿前収縮の大きさおよび排尿前収縮頻度を、薬物投与前の値を100としたときの相対値に換算し、群毎に平均±標準誤差を求めた。
結果については、第1表に溶媒(コントロール)または薬物(化合物(Ia)、抗コリン剤、化合物(Ia)+抗コリン剤)投与後における排尿前収縮の大きさの値(%)を、第2表に排尿前収縮頻度の値(%)を示す。


化合物(Ia)およびトルテロジンは、排尿前収縮(排尿前収縮の大きさおよび排尿前収縮頻度)を抑制した。また、化合物(Ia)とトルテロジンの併用投与によりさらなる排尿前収縮(縮排尿前収縮の大きさおよび排尿前収縮頻度)の抑制作用が認められた。
すなわち、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩と抗コリン剤の併用は、過活動膀胱の治療に有用であると考えられる。
上述したように、本発明に使用される医薬組成物または過活動膀胱治療剤は、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩と抗コリン剤それぞれの有効成分を含有するように製剤化したものであれば、単剤としてでも複数の製剤の組み合わせとしてでも使用、投与または製造することができる。これらの医薬組成物または過活動膀胱治療剤は、錠剤、カプセル剤等の経口的投与に対して適する単位服用形態、または注射剤等の非経口的投与に対して適する単位服用形態にあることが望ましい。また、複数の製剤の組み合わせとして使用または投与する際には、同時にまたは時間を置いて別々に使用または投与することができる。
これら製剤は、それぞれ有効成分の他に製剤学的に許容される希釈剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、水、生理食塩水、植物油可溶化剤、等張化剤、保存剤、抗酸化剤等を適宜用いて常法により作成することができる。
錠剤およびカプセル剤の調製にあたっては、例えば乳糖等の賦形剤、澱粉等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤、脂肪酸エステル等の表面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を常法に従って用いればよい。
注射剤の調製にあたっては、例えば蒸留水、塩溶液、グルコース溶液または塩水とグルコース溶液の混合物からなる担体、可溶化剤、等張化剤、保存剤、抗酸化剤等を常法により用いればよい。
上記の目的で、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩と抗コリン剤を複数の製剤の組み合わせとして使用または投与する場合には、それぞれの用量および投与回数は投与形態、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、通常一日当たり、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩と抗コリン剤を、以下の用量で投与するのが好ましい。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、経口的にまたは注射剤等として非経口的に投与することができ、成人一人当たり、0.01〜900mg/60kg/日、好ましくは0.1〜200mg/60kg/日が適当である。抗コリン剤は、成人一人当たり、0.01〜50mg/60kg/日、好ましくは0.1〜10mg/60kg/日が適当である。
以下に、実施例によって本発明の態様を説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
実施例1:錠剤(化合物(Ia))
常法により、次の組成からなる錠剤を調製した。
化合物(Ia)250g、マンニトール1598.5g、澱粉グリコール酸ナトリウム100g、軽質無水ケイ酸10g、ステアリン酸マグネシウム40gおよび黄色三二酸化鉄1.5gを常法により混合した。この混合物を用い、径8mmの杵を有する打錠機(菊水社製Purepress Correct−12型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分25mgを含有する)を得た。

実施例2:カプセル剤(化合物(Ia))
常法により、次の組成からなるカプセル剤を調製した。
化合物(Ia)500g、乳糖300g、軽質無水ケイ酸100gおよびラウリル硫酸ナトリウム100gを常法により混合した。この混合物をカプセル充填機(Zanasi社製、LZ−64型)により、ハードカプセル1号(1カプセルあたり100mg容量)に充填し、カプセル剤(1カプセルあたり活性成分50mgを含有する)を得た。

実施例3:注射剤(化合物(Ia))
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。
化合物(Ia)1gおよびD−マンニトール5gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを6に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mlとする。得られた混合液をガラスバイアルに2mlずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。

実施例4:錠剤(酒石酸トルテロジン)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。
酒石酸トルテロジン4g、乳糖300gおよび馬鈴薯澱粉68gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液200gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム8.0gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分2mgを含有する)を得る。

実施例5:錠剤(化合物(Ia)と酒石酸トルテロジンの単剤)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。
化合物(Ia)40g、酒石酸トルテロジン4g、乳糖286gおよび馬鈴薯澱粉56gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。
これにステアリン酸マグネシウム2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり化合物(Ia)20mgおよび酒石酸トルテロジン2mgを含有する)を得る。

実施例6:錠剤(塩酸オキシブチニン)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。
塩酸オキシブチニン4g、乳糖300gおよび馬鈴薯澱粉68gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液200gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム8gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分2mgを含有する)を得る。

実施例7:錠剤(化合物(Ia)と塩酸オキシブチニンの単剤)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。
化合物(Ia)40g、塩酸オキシブチニン4g、乳糖286gおよび馬鈴薯澱粉56gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。
これにステアリン酸マグネシウム2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり化合物(Ia)20.0mgおよび塩酸オキシブチニン2mgを含有する)を得る。

【産業上の利用可能性】
本発明により、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩と抗コリン剤とを含有する医薬組成物等が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩と(b)抗コリン剤とを含有する医薬組成物。
【請求項2】
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである請求の範囲第1項記載の医薬組成物。
【請求項3】
抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である請求の範囲第1項または第2項記載の医薬組成物。
【請求項4】
(a)式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩と(b)抗コリン剤を有効成分とする、同時にまたは時間を置いて別々に投与するための過活動膀胱治療剤。
【請求項5】
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである請求の範囲第4項記載の過活動膀胱治療剤。
【請求項6】
抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である請求の範囲第4項または第5項記載の過活動膀胱治療剤。
【請求項7】
(a)式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩を含有する第1成分と(b)抗コリン剤を含有する第2成分を有することを特徴とするキット。
【請求項8】
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである請求の範囲第7項記載のキット。
【請求項9】
抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である請求の範囲第7項または第8項記載のキット。
【請求項10】
(a)式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩を含有する第1成分と(b)抗コリン剤を含有する第2成分を有することを特徴とする過活動膀胱の治療用キット。
【請求項11】
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである請求の範囲第10項記載の過活動膀胱の治療用キット。
【請求項12】
抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である請求の範囲第10項または第11項記載の過活動膀胱の治療用キット。
【請求項13】
抗コリン剤と同時にまたは時間を置いて別々に併用するための式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩。
【請求項14】
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである請求の範囲第13項記載の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩。
【請求項15】
抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である請求の範囲第13項または第14項記載の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩。
【請求項16】
抗コリン剤と同時にまたは時間を置いて別々に併用するための式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項17】
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである請求の範囲第16項記載の医薬組成物。
【請求項18】
抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である請求の範囲第16項または第17項記載の医薬組成物。
【請求項19】
(a)式(I)

で表される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドまたはその薬理学的に許容される塩および(b)抗コリン剤を同時にまたは時間を置いて別々に投与することを特徴とする過活動膀胱の治療方法。
【請求項20】
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドが式(Ia)

で表される(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミドである請求の範囲第19項記載の過活動膀胱の治療方法。
【請求項21】
抗コリン剤がオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ダリフェナシン、テミベリン、塩化トロスピウム、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、フルトロピウム、アトロピン、スコポラミン、ソリフェナシンおよびKRP−197ならびにこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるいずれか1つ以上である請求の範囲第19項または第20項記載の過活動膀胱の治療方法。

【国際公開番号】WO2005/007191
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【発行日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511919(P2005−511919)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010521
【国際出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】