説明

医薬製剤および使用方法

本発明は、ガバペンチンとプレガバリンの新規医薬製剤および新規医療用途に関する。この製剤には、即時放出性成分、持続放出性成分および遅延放出性成分を入れて、成分を三つまで含むことができる。製剤中の各成分の比率を調整すれば、被験者への経口投与後に望ましいAUCおよび治療効果を達成できる。本発明は、pH非依存性可溶性ポリマー賦形剤で被覆した活性成分、pH非依存性不溶性ポリマー賦形剤で被覆した活性成分、およびpH依存性可溶性ポリマー賦形剤で被覆した活性成分を含む組成物を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
2005年1月21に出願された米国仮特許出願第60/645,857号に対する優先権が主張される。米国仮特許出願第60/645,857号は、参考として、本明細書中に全体が援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ガバペンチンおよびプレガバリンの新しい医薬製剤と新しい医療用途に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ガバペンチン(特許文献1および特許文献2)は、癲癇、神経因性疼痛や他の多くの症状の治療に臨床的に用いられてきた公知のGABA(γアミノ酪酸)類似体である。ガバペンチンは、筋肉痛、骨格痛等の他の慢性疼痛状態、パニック、不安症、抑うつ症、アルコール中毒および躁病行動等の精神障害、多発性硬化症、動作振顫、遅発性ジスキネジア等の運動障害、片頭痛、双極性疾患、筋痙攣にも有用な治療効果を有する可能性があり、また、鎮痛剤としても有用な治療効果を有する可能性がある。最近では、特許文献3で、ガバペンチンをホットフラッシュの治療に使用できることが示された。
【0004】
ガバペンチンは、現在の臨床用途においては活性薬剤を100mg、300mg、400mg、600mgまたは800mg含む即時放出性のユニットドーズの錠剤またはカプセル製剤として処方される。これらのユニットドーズは、通常1日3回(TID)投与され、投与量は通常最高3,600mg、またはより通常は2,700mgである。TID投与は不便であり、患者がTID投与量を守らないことが多い。治療される症状によっては、服用し忘れたり服用の時間を誤ることが深刻な結果につながることもある。
【0005】
特許文献4には、胃の中に留まってガバペンチンを放出するようにできている錠剤製剤が開示されている。この製剤は、胃および上部小腸だけにガバペンチンを持続的に送達する。この製剤は、胃および上部胃腸(GI)管内での徐放時間が長く、下部GI管よりも胃および上部GI管内で多く吸収される。かかる製剤は、治療的血中濃度を維持するために連続的に服用しなければならない。間欠投与では治療的血中濃度に達する時間に遅れが生じるため、この製剤は適時服用のみの投薬には不適当である。この製剤中のガバペンチンは全て胃および/または上部小腸、特に十二指腸で吸収されることとなる。
【0006】
特許文献5はガバペンチンの特定のプロドラッグを開示し、特許文献6はガバペンチンの特定の改良型即時放出性製剤を開示する。前者は、プロモエティをガバペンチン(および他のGABA類似体類)のγアミノおよび/またはカルボキシル基に付着することによりガバペンチンの持続放出を提供し、バイオアベイラビリティおよび脳への輸送を改善する試みを記載する。この特許は、ガバペンチンおよび関連化合物の既知の能動輸送機構を迂回して、腸管のより下方まで吸収を遅延させる新規化学物質を記載する。特許文献6に記載された錠剤製剤は、圧縮性が改善されているが、ガバペンチンの持続放出は提供していない。
【0007】
特許文献7は、フェニトインの浸透性製剤を重点的に、多数の抗癲癇薬剤の様々な継続投与製剤を開示する。この明細書はガバペンチンにも言及するが、胃腸管のどの具体的部分で薬剤が放出されるのかを開示しておらず、特にガバペンチンが下部小腸で急速に放出されることを開示していない。この製剤は、即時放出性成分を含まず、治療的血中濃度を維持するために連続的に服用しなければならない。間欠投与では治療的血中濃度に達する時間に遅延が生じるため、この製剤は適時服用のみの投薬には不適当である。
【0008】
薬剤プレガバリンは、ガバペンチンに類似の性質を有する。プレガバリンは、即時放出型のみが製造されており、徐放性製剤は今のところない。したがってこの薬剤は、治療的血中濃度を維持するためにTID投与される。ガバペンチンと同様、TID投与は不便であり、患者がTID投与量を守らないことが多い。治療される症状によっては、服用し忘れたり服用の時間を誤ることが深刻な結果につながることもある。
【0009】
したがって、確立した臨床用途に限らず、ホットフラッシュの治療等他の治療でも、より便利で改良された薬剤投与計画が必要とされる。放出パターンがより適切であり、および/またはガバペンチンのバイオアベイラビリティが改善され、および/または体の吸収機序の飽和につながらず、したがってより少ない投与量で所与の効果を得られ、その結果副作用の可能性も減少するガバペンチンの製剤も必要とされている。
【0010】
本明細書の以下の部分全体を通じて(前後関係からそうではないことが明らかでない限り)、ガバペンチンに言及がなされる際には、当然のことながら、プレガバリンがガバペンチンの代わりに用いられてもよい。
【0011】
本発明者は、これらのニーズのいくつかまたは全てを満たす手段を発見した。
【特許文献1】米国特許第4,024,175号明細書
【特許文献2】米国特許第4,087,544号明細書
【特許文献3】米国特許第6,310,098号明細書
【特許文献4】米国特許第6,723,340号明細書
【特許文献5】米国特許第6,818,787号明細書
【特許文献6】米国特許第6,465,012号明細書
【特許文献7】米国特許第5,906,832号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、pH非依存性可溶性ポリマー賦形剤で被覆した活性成分、pH非依存性不溶性ポリマー賦形剤で被覆した活性成分、およびpH依存性可溶性ポリマー賦形剤で被覆した活性成分を含む組成物を目的とする。活性成分は、ガバペンチンのものと、プレガバリンのものとする。pH非依存性可溶性ポリマー賦形剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。pH非依存性の不溶性ポリマー賦形剤は、オイドラギットRL30D、オイドラギットRS30Dまたはそれらの組み合わせでよい。pH依存性可溶性ポリマーは、オイドラギットL30D―55、オイドラギットFS30Dまたはそれらの組み合わせでよい。
【0013】
本発明は、pH非依存性不溶性ポリマーの厚みが25ミクロンから150ミクロンである組成物も目的とする。pH依存性可溶性ポリマーの厚みは、25ミクロンから150ミクロンである。本発明は、pH非依存性不溶性ポリマー、pH非依存性可溶性ポリマーまたはpH依存性可溶性ポリマーのいずれかで被覆したミニ錠剤の形にした活性成分も目的とする。本発明はまた、崩壊剤、香味成分、着色剤、甘味料、結合剤、潤滑剤、可塑剤またはそれらの組み合わせをさらに含む組成物も目的とする。
【0014】
本発明は、胃および上部小腸でガバペンチンの一部が急速に放出され、一部は持続放出され(これにより胃および上部小腸に薬剤が供給される)、さらに一部が下部小腸または中部から下部の小腸で放出される、ガバペンチンの経口持続放出性製剤も目的とする。この製剤は、ガバペンチンまたは他の活性成分を三段階で放出するようにできている。第一段階では、ガバペンチンまたは他の活性成分が、胃の中に急速に放出される。第二段階では、ガバペンチンまたは他の活性成分が、主に胃の下部、小腸の十二指腸および空腸部分に持続的に放出される。第三段階では、ガバペンチンまたは他の活性成分の放出は、小腸の空腸及び回腸部分に至るまで遅延され、そこで急速に放出される。
【0015】
本発明はさらに、ガバペンチンまたは他の活性成分の20%から60%、または25%から50%、または35%から45%が、第一段階で、例えば投薬後最長2時間または3時間以内に放出される組成物も目的とする。これらの分量のガバペンチンまたは他の活性成分の大部分は胃の中に放出される。本発明は、ガバペンチンまたは他の活性成分の20%から60%、または25%から50%、または35%から45%が、第二段階で、例えば投薬後最長12時間または6時間以内または1時間から5時間以内で放出される組成物も目的とする。これらの分量の活性成分の大部分は、胃の下部および十二指腸および空腸を含む上部/中部小腸に放出される。本発明はまた、ガバペンチンまたは他の活性成分の15%から50%、または30%から45%、または30%から40%が、投薬に3時間から10時間、または4時間から8時間遅れて急速に放出される組成物も目的とする。これらの分量の活性成分の大部分は、空腸及び回腸を含む中部から下部小腸に放出される。第三段階の薬剤放出の1つの目標は、第一段階および第二段階で放出された薬剤の血中濃度が減少しそうな時に直ちに薬剤を提供することである。
【0016】
本発明の別の態様は、pH非依存性可溶性ポリマー賦形剤で包まれた活性成分、pH非依存性不溶性ポリマー賦形剤で包まれた活性成分、およびpH依存性可溶性ポリマー賦形剤で包まれた活性成分を含み、活性成分の20%から60%が投薬から最長3時間以内にpH非依存性可溶性ポリマー賦形剤により放出され、活性成分の20%から60%が投薬から最長12時間以内にpH非依存性不溶性ポリマー賦形剤により放出され、活性成分の15%から50%が投薬から3時間から10時間遅れてpH依存性可溶性ポリマー賦形剤により放出される組成物を目的とする。本発明は、pH非依存性可溶性ポリマーで包まれた活性成分の25%から50%が最長2時間または3時間以内で放出される組成物も目的とする。本発明はさらに、pH非依存性可溶性ポリマーで包まれた活性成分の35%から45%が最長2時間または3時間以内で放出される組成物も目的とする。pH非依存性可溶性ポリマーによるこうした比率での活性成分の放出は胃の中で生じる。
【0017】
本発明の別の態様は、pH非依存性不溶性ポリマーで包まれた活性成分の25%から50%が、最長12時間または最長6時間、またはそれ以上または1時間から5時間の間持続的に放出される組成物を目的とする。本発明は、活性成分の25%から35%が最長12時間または最長6時間、または1時間から5時間の間持続的に放出される組成物も目的とする。pH非依存性不溶性ポリマーによりこれらの比率で放出される活性成分は、胃、および十二指腸と空腸を含む上部および中部小腸に放出される。
【0018】
本発明は、活性成分の30%から45%が、3時間から10時間、または4時間から8時間遅れてpH依存性可溶性ポリマーから放出される組成物も目的とする。本発明はさらに、活性成分の30%から40%が、3時間から12時間、または4時間から8時間遅れてpH依存性可溶性ポリマーから放出される組成物も目的とする。pH依存性可溶性ポリマーによりこれらの比率で放出される活性成分は、小腸の空腸および回腸を含む中部から下部小腸に放出される。可溶性、不溶性pH非依存性ポリマーおよびpH依存性ポリマーからの三段階にわたる活性成分放出の合計は100%に近い。
【0019】
本発明は、ガバペンチンのAUC薬剤血漿中濃度が、Neurontin(登録商標)の商標で販売されるガバペンチン等の従来の即時放出性ガバペンチンを同量投与して得られる血漿中濃度の100%から200%を超える組成物も目的とする。本発明においては、健常ボランティアおよび/またはターゲット集団に対し、Neurontin(登録商標)または本発明による製剤(Xenolev−CRTM)の形でガバペンチンを単回投与した後のガバペンチンの血漿中濃度(レベル)のデータポイントをゼロ時間から無限時間まで統合するか、または長期的な毎日の投与量が排泄量と等しい薬物動態学的定常状態における、一回の投与間隔の等価のデータポイントを統合して、AUCを測定する。
【0020】
本発明の製剤動力学のTmaxは、従来の即時放出性製剤を同量投与した場合のTmaxと同じかまたは最大で3.0倍である。Cmaxまでの時間は、投薬から2時間から6時間である。ガバペンチンの最高血漿中濃度(Cmax)は、従来の即時放出性製剤を同量投与した場合より低く、例えば従来のCmaxの0.5程度である。投薬から8時間から24時間後のガバペンチンの血漿中濃度は従来の放出製剤の場合の最大3倍、または1.5倍から2.5倍である。CmaxからCmaxの50%に至るまでの時間が2時間から24時間、3時間から12時間、または4時間から8時間である製剤である。CmaxからCmaxの50%に至るまでの時間が、即時放出性ガバペンチンの場合より1.1倍から3倍、または1.5倍から2.5倍長い製剤である。基本的に100%即時放出性であるガバペンチン製剤または他の活性成分製剤(すなわち、本発明によらないもの)の吸収は、非線形性を示し、投与量を2倍にしてもAUCは2倍にならない。本発明は、活性成分またはガバペンチンが、その投与強度(dosage strength)に比例して25―100%、30―100%、35―100%、40―100%、45%―100%、50%―100%、55―100%、60―100%、65%―100%、70%―100%、75%―100%、80%―100%、85―100%、90―100%、95%―100%のCmaxおよびAUC(活性成分の絶対的バイオアベイラビリティ)において放出される組成物も目的とする。したがって、ガバペンチン即時放出性製剤のバイオアベイラビリティは、低用量では70%超から、高用量では30%未満まで変動する。したがって、本発明において3つ全ての成分を適切な割合で使用し、投与量を2倍または3倍にすると、AUCはそれに対応して0.5×、0.6×、0.7×、0.8×、0.9×、1×(倍)、l.l×、1.2×、1.3×、1.4×、1.5×、1.6×、1.7×、1.8×、1.9×または2.0×になりうる。したがって、本発明によるガバペンチンのバイオアベイラビリティは、低用量では即時放出性ガバペンチンの約1.0のから約1.5、高用量では即時放出性ガバペンチンの約1.0から約3.0である。
【0021】
本発明のさらに別の態様は、ガバペンチンまたは他の活性成分を、ガバペンチンの合計が900mgまたは800mgまたは700mgまたは600mgまたは500mgまたは400mgまたは375mgまたは350mgまたは325mgまたは300mgまたは275mgまたは250mgである1ドーズの製剤にし、第一段階では180mgから540mg、160mgから480mg、140mgから420mg、120mgから360mg、100mgから300mg、80mgから240mg、75mgから225mg、70mgから210mg、65mgから195mg、60mgから180mg、55mgから165mg、および50mgから150mgのガバペンチンまたは他の活性成分がpH非依存性可溶性ポリマーから放出される組成物を目的とする。本発明は、180mgから540mg、160mgから480mg、140mgから420mg、120mgから360mg、100mgから300mg、80mgから240mg、75mgから225mg、70mgから210mg、65mgから195mg、60mgから180mg、55mgから165mg、および50mgから150mgが第二段階の間pH非依存性不溶性ポリマーから持続的に放出されるガバペンチンまたは他の活性成分も目的とする。本発明は、270mgから405mg、240mgから360mg、210mgから315mg、180mgから270mg、150mgから225mg、120mgから180mg、110mgから170mg、105mgから160mg、100mgから150mg、80mgから125mg、および75mgから115mgが第三段階の間pH依存性可溶性ポリマーから放出されるガバペンチンまたは他の活性成分も目的とする。同様に、薬剤の総投与量を減らすとmgの範囲も少なくなり、それは上記のデータから簡単に算出できる。
【0022】
本発明は、ガバペンチンまたは活性成分500mgを、単一ユニットドーズまたは各250mg×2ユニットドーズとして1日2回投与する、またはガバペンチンまたは活性成分900mgを、各300mg×3ユニットドーズまたは各450mg×2ユニットドーズとして1日2回投与する、またはガバペンチンまたは活性成分750mgを、単一ユニットドーズまたは各375mg×2ユニットドーズとして1日2回投与する投薬計画による組成物の使用も目的とする。
【0023】
本発明の更に別の態様は、活性成分を個別にpH非依存性可溶性ポリマー、pH非依存性不溶性ポリマー、およびpH依存性可溶性ポリマーと混合する工程と、その結果得られた混合物からミニ錠剤を形成する工程と、この混合物のミニ錠剤を経口投与に適したカプセルに満たす工程とを含むプロセスによって作られる組成物を目的とする。本発明はまた、活性成分を充填材と混合する工程と、混合物を粒状化する工程と、粒状化した混合物を潤滑剤とブレンドする工程と、ブレンドした混合物をミニ錠剤に圧縮する工程と、ミニ錠剤をpH非依存性可溶性ポリマー、pH非依存性不溶性ポリマーおよびpH依存性可溶性ポリマーの賦形剤で被覆する工程と、被覆したミニ錠剤を乾燥させる工程と、被覆した混合物のミニ錠剤を、経口投与に適した単一単位投薬形態に調製する工程とを含むプロセスにより作られる組成物を目的とする。
【0024】
本発明はさらに、癲癇、脳卒中による発作の治療、頭部/脳損傷または術前術後の神経症状、多発性硬化症または非自発的な動作振顫からなる群から選択される神経疾患または損傷の治療に使用される、ガバペンチンまたはプレガバリンまたは他の活性成分を含む組成物を目的とする。本発明は、神経障害、筋肉痛、骨格痛、遅発性ジスキネジアまたは片頭痛、反射交感神経ジストロフィー症候群(RSD)[別名複合性局所疼痛症候群(CRPS)]および線維症または筋疾患に関連する慢性的な疼痛の治療に使用される、ガバペンチンまたはプレガバリンまたは他の活性成分を含む組成物も目的とする。本発明は、双極性疾患、パニック、不安症、抑うつ症、アルコール中毒および躁病行動などをはじめとした精神障害を含む組成物も目的とする。本発明の製剤または組成物は、米国特許第6,310,098号明細書(参照により本願明細書に組み込まれたものとする)に記載される症状、および特に閉経期のホルモン変動や他の関連した症候群であるホットフラッシュ、熱、嘔気および嘔吐の治療に使用してもよい。本発明は、急迫性尿失禁、膣の乾燥およびドライアイ症候群からなる群から選択される、閉経後の女性の症状の治療も目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(詳細な説明)
放出パターンがより適切であり、および/またはガバペンチンのバイオアベイラビリティが改善され、かつ/または体の吸収機序の飽和につながらず、したがってより少ない投与量で所与の効果を得られ、副作用の可能性も減少するガバペンチンの製剤への必要に応えるため、本発明は、pH非依存性可溶性ポリマー賦形剤で包まれた活性成分と、pH非依存性可溶性ポリマー賦形剤で包まれた活性成分と、pH依存性可溶性ポリマー賦形剤で包まれた活性成分を含む組成物を目的とする。本発明は、ガバペンチンおよび薬剤プレガバリンなどの活性成分を含む組成物または製剤を目的とする。本発明の組成物または製剤に使用できる他の成分には下表が含まれるがこれらに限定されない。
【0026】
表1 最もよく処方される活性成分150
【0027】
【表1−1】

【0028】
【表1−2】

ガバペンチンを含む組成物の活性成分は、本発明による製剤の経口使用を含めた任意の都合のよい手段で、神経疾患または損傷の治療、慢性的な疼痛の治療、精神障害または精神病の治療、月経関連症状の治療および閉経後関連の症状の治療に使用されればよい。これらの用途の場合の投与量は、癲癇の治療に使用する場合より概して少なく、通常1日100mgから3,000mgの範囲で、1日に多くて2回または3回に分けて投与してもよい。即時放出性製剤、または本発明による製剤を使用する場合の投与量は、本発明による製剤に関連して下記に示される通りである。
【0029】
薬剤(すなわち特定の医薬製剤の活性成分)は、経口投与されると必然的に消化管を通過する。本発明の製剤または組成物の活性成分はまず、pHが1から3の間である胃の強酸性環境に入る。栄養分/薬物吸収は主に十二指腸、空腸および回腸を含む小腸で生じる。小腸は、強酸性環境(十二指腸ではpH約4から5)から弱酸性環境(空腸および回腸ではpH約6から7)へと続く。胃の強酸性環境を踏まえ、胃内で薬剤または活性成分が溶解しないようにする製剤にしておけば、小腸で薬剤の持続放出および遅延放出を提供できる。
【0030】
本出願明細書において用いられているように、賦形剤は、薬剤の希釈剤または溶媒として使用される不活性物質として定義される。賦形剤は、ガバペンチンなどの活性薬剤成分を被覆する、固形被覆の形でも、液体被覆の形でも、あるいは半固体カプセルの形でもよい。本発明の賦形剤は、pH非依存性可溶性ポリマー、pH非依存性不溶性ポリマーおよびpH依存性可溶性ポリマーの、三つの異なる被覆形態で定義される。pH依存性可溶性ポリマーは、特定のpH環境で溶ける。したがって、可溶性ポリマーは、任意のpHではなく特定のpHで溶ける。
【0031】
pH非依存性可溶性ポリマーは、胃を含めた可溶環境で直ちに溶解する製薬等級の担体または溶媒として定義され、リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム二水和物、微結晶性セルロース、セルロース誘導体類、ブドウ糖、ゼラチン、ラクトース、無水ラクトース、噴霧乾燥ラクトース、ラクトース一水和物、マンニトール、澱粉、ソルビトールおよび蔗糖などを含むがこれに限定されない。更なる例としては、アカシア、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、デキストラン類、デキストリン類、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、キトサン、乳酸およびグリコール酸のコポリマー類、乳酸ポリマー類、酸性基を含むメタクリル酸コポリマー、グリコール酸ポリマー類、ポリオルトエステル類、ポリアンヒドリド類、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールコポリマー、エチレン酢酸ビニル、レクチン類、カルボポール類、シリコンエラストマー類、ポリアクリルポリマー類、マルトデキストリン類、フルクトース、イノシトール、トレハロース、マルトースラフィノース、およびα―、β―、γ―シクロデクストリン類、以上の適切な混合物、およびその他同種のものを含む。これらのポリマー類は、消化管の低いpH環境(pH1―5)、中程度のpH環境(pH5―7.5)、または高いpH環境(pH7.5から10)で溶けやすい。これらのポリマーは易溶性であり、接触するとすぐに液状媒質に溶解し、ガバペンチンまたは他の活性成分を放出する。
【0032】
組成物においては、活性成分を被覆するためにpH非依存性不溶性ポリマーも使用される。pH非依存性不溶性ポリマーは、ガバペンチンなどの活性薬剤成分を被覆する製薬等級の担体または溶媒である。pH非依存性不溶性ポリマーの例には、ヒドロキシプロピルメチル酢酸セルロースコハク酸塩、ポリ酢酸ビニルフタル酸塩、メチルセルロース、エチルセルロースまたはそれらの組み合わせを含むアミノアクリルメタクリル酸塩コポリマーE、およびオイドラギットRL30DおよびオイドラギットRS30Dを含むアミノアルキルメタンアクリル酸塩コポリマーRSおよびRLが含まれるが、これに限定されない。pH非依存性不溶性ポリマーは、オイドラギットRS30Dのように低い透過性と膨張性を有していてもよいし、オイドラギットRL30Dのように高い透過性と膨張性を有してもよい。不溶性pH非依存性メンブランの透過性のこのようなバリエーションは、活性成分またはガバペンチンの放出キネティクスに影響し、活性成分またはガバペンチンを胃および十二指腸を含む上部小腸に、最初の投薬から最長12時間持続放出することが可能になる。
【0033】
pH依存性可溶性ポリマーは、ガバペンチンなどの活性成分を被覆する製薬等級の担体または溶媒である。pH依存性可溶性ポリマーの例には、精製セラックおよび白色セラックのような天然ポリマー類、セルロース誘導体ポリマー類のような合成ポリマー類:ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸こはく酸ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシナート、カルボキシメチルエチルセルロース、トリメリト酸酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、アクリル酸および/またはメタクリル酸から得られるもの等のアクリルポリマー類、アクリル酸および/またはメタクリル酸およびカルボン酸エステルから得られるポリマー類、ポリ酢酸ビニルフタル酸塩等のポリビニルアルコールタイプのポリマー類が含まれるがこれに限られない。さらに、pH依存性可溶性ポリマー類には、アクリル酸および/またはメタクリル酸から得られるカルボキシル基を有するものまたはアクリル酸および/またはメタクリル酸およびカルボン酸エステルから得られるものが含まれる。本願明細書において用いられるカルボン酸エステルの例には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n―プロピル、アクリル酸イソプロピル、n―アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t―ブチル、アクリル酸―2―ヒドロキシエチル、アクリル酸2―ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n―プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸―2―ヒドロキシエチル、メタクリル酸2―ヒドロキシプロピル、メタクリル酸n―ブチル、メタクリル酸イソブチルおよびメタクリル酸t―ブチルなどのアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類が含まれる。
【0034】
メタクリル酸―メタクリル酸メチルのコポリマー類にはたとえば、オイドラギットL100またはS100が含まれる。さらに、pH依存性可溶性ポリマーのオイドラギットL30D―55およびオイドラギットFS30Dを、組成物で使用してもよい。かかるpH依存性可溶性ポリマー類は、含有物の可溶性のためではなく特定のpH環境で溶解する。オイドラギットL30D―55はpH5.5より上で、他方オイドラギットFS30DはpH7.0より上で用いると活性成分が溶け出し、十二指腸、空腸および回腸を含む小腸内に放出を提供できる。具体的には、オイドラギットL30D―55は、小腸の十二指腸内のpHが5.5を超えるある地点でガバペンチン等の活性成分が溶けやすく、オイドラギットFS30Dは、空腸および回腸内のpHが7.0を超える地点で溶解する。pH依存性可溶性ポリマーは、製剤または組成物の活性成分の放出に影響する崩壊剤と組み合わせてもよい。
【0035】
本発明の組成物は崩壊剤、香味成分、着色剤、甘味料、結合剤、充填剤、潤滑剤、グリダント、可塑剤またはそれらの組み合わせを更に含んでもよい。核となるガバペンチンまたは他の活性薬剤のミニ錠剤は従来技術を使用して形成でき、例えば、クロスカルメロースナトリウムまたはでん粉グリコール酸ナトリウムを含むがこれに限られない崩壊剤;ポリビニルピロリドンを含むがこれに限られない結合剤;微結晶性セルロースを含むがこれに限られない充填剤および/またはステアリン酸マグネシウムを含むがこれに限られない潤滑剤を含んでもよい。グリダントの例には、タルクおよびコロイダル無水シリカが含まれるがこれに限定されない。粉末形態のガバペンチンは、既知の乾燥または湿式技術(成形)を用いて直接被覆するか粒状化し、その後必要に応じてスクリーニングおよび錠剤成形を行い、望ましい粒子サイズにすればよい。
【0036】
被覆にはさらに必要に応じて、可塑剤または補助剤を含んでもよい。第二、第三段階の被覆での使用に適した可塑剤には、ポリエチレングリコール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジブチルおよびクエン酸エステル類、フタル酸類、リン酸塩類、クエン酸塩類、アジパート類、酒石酸塩類、セバシン酸類、サクシネート類、グリコール酸類、グリセロレート類、安息香酸エステル類、ミリスチン酸類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類およびハロゲン化フェニル、トリアセチン、アセチル化モノグリセライド、ブドウ種子油、オリーブ油、ゴマ油、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、グリセリンソルビトール、シュウ酸塩ジエチル、リンゴ酸ジエチル、フマル酸ジエチル、ジブチルサクシネート、ジエチルマロン酸、ジオクチルフタレート、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセロールトリブチレート、それらの混合物およびその他同種のものが含まれるがこれに限られない。これらの被覆に含むのに適した補助剤には、タルク、二酸化ケイ素、二酸化チタン、着色剤類、大豆レシチンおよびステアリン酸マグネシウムが含まれる。活性成分を様々な被覆のミニ錠剤または上記のような他の形態にするのに適したバリアコートには、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースおよびセラックが含まれるがこれに限定されない。
【0037】
上で使用される様々な被覆に複数の着色剤を含ませて識別を容易にし、製剤全体の外観も際立ったマルチカラーになるようにしてもよく、たとえば様々な成分の混合物を透明カプセルに入れるなどすればよい。
【0038】
本発明はさらに、ガバペンチンの一部が胃に放出され(これによって胃および上部小腸に薬剤を与え)、さらに一部が下部小腸で放出され、そのうちの一部は十二指腸、一部は空腸及び回腸で急速に放出され始めるようになったガバペンチンの経口徐放性製剤を目的とする。製剤は、ガバペンチンまたは他の活性成分を三段階で放出するようになっている。第一段階においては、ガバペンチンまたは他の活性成分は胃の中で急速に放出される。ガバペンチンまたは他の活性成分の放出は、pH非依存性可溶性ポリマーの被覆により制御される。第二段階では、ガバペンチンまたは他の活性成分は、主に胃下部、小腸の十二指腸および空腸の部分に持続的に放出される。ガバペンチンまたは他の活性成分の放出は、pH非依存性不溶性ポリマーの被覆により制御され、前記被覆メンブランの水透過性に依存する。第三段階では、ガバペンチンまたは他の活性成分の放出は、小腸の空腸及び回腸部分まで遅延され、そこでpH4から10の範囲の多様なpHで溶解するpH依存性ポリマーの被覆によって、ガバペンチンまたは他の活性成分が急速に放出される。
【0039】
胃に入ると急速にガバペンチンを放出するようになった即時(第一段階)放出性成分は、pH非依存性可溶性ポリマーを被覆として用いたミニ錠剤を作って形成できる。これらは、崩壊剤を含んでも、含まなくてもよい。これらのミニ錠剤は、便宜のためすぐ上で記載した核となるミニ錠剤とするが、たとえばパンコーティング機または流動層システムで噴霧してバリアコート(ガバペンチンを後の被覆との相互作用から保護する役目をする)を施せばよい。このバリアコートは、有機溶剤、複数の有機溶剤の混合物、または有機溶剤と水の混合物または液剤、分散または水性エマルジョンに溶解または懸濁された、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの適切なポリマーを使用して得られる。
【0040】
被覆から薬剤が必要なだけ放出されるように、ミニ錠剤の被覆の厚みも生産の様々な段階で変化させればよい。被覆の厚みは、25ミクロンから150ミクロンとすればよい。
【0041】
第二段階の成分は、pH非依存性不溶性ポリマーを被覆として使用して、ガバペンチンまたは他の活性成分の徐放を達成することを目的とする。これは、便宜のために、pH非依存性不溶性ポリマーの被覆を有する、即時放出性成分または他の適切なガバペンチンを含むミニ錠剤とすればよい。この被覆は例えば、オイドラギットRL30Dなどの高い透過性と膨張性を有するpH非依存性の水不溶性ポリマー、およびオイドラギットRS30Dなどの低い透過性と膨張性を有するpH非依存性の水不溶性ポリマーの1つまたは混合でよい。この被覆には、必要に応じて可塑剤または補助剤を含みうる。
【0042】
第三段階の成分は、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、またはpH5.5超で溶解するオイドラギットL30D―55やpH7.0超で溶解するオイドラギットFS30Dなどのアニオン性メタクリル酸ポリマーを含むがこれに限られないpH依存性可溶性ポリマーまたは腸溶性の物質で被覆され、崩壊剤を含みうるミニ錠剤から形成できる。具体的には、pH依存性可溶性ポリマーのオイドラギットL30D―55は、pH5.5以上の環境で溶解して活性成分を放出するため、pHが4から7に変化する空腸から十二指腸をターゲットにできる。pH依存性可溶性ポリマーのオイドラギットFS30Dは、pH7.0以上の環境で溶解して活性成分を放出するため、pHが7を超える空腸及び回腸をターゲットにできる。
【0043】
このような下部小腸でのガバペンチンの放出は、溶解度がpH依存性であるメンブランで被覆することにより達成され、特に、pHが5.5を上回ると溶解するメンブランによる被覆なら、胃および上部小腸(十二指腸)では変化せず、下部小腸(すなわち空腸及び回腸)でpHが5.5を上回ると溶解し、薬剤が放出される。したがって、オイドラギットSのメンブラン(pHが7を上回ると溶解する)で製剤を被覆した場合には、pH6までの溶液中では放出がほとんどないか、全くない。しかし、pHが7を超えて上昇すると、薬剤は急速に溶解する。
【0044】
本発明はさらに、所定の治療効果をあげるために投与されるガバペンチンの製剤も目的とする。ガバペンチンの有効量は、患者(腎不全症の患者は、腎機能が正常な患者よりも投与量を減らす必要がありうる)、治療される症状、投与回数、およびガバペンチンを与えるために使用される本発明による具体的な組成物に依存する。一人一人ニーズが異なるため、ガバペンチンの有効量の最適範囲の判断は熟練の範囲内にある。したがって製剤は、1回の服用量を100mgから1500mgとして、主に昼間生じる症状を抑制するために朝に投与しても、または主に夜に生じる症状を抑制するために夜に投与しても、または朝と夜の両方に投与してもよく、したがってガバペンチンの投与量は1日合計100mgから3000mgとなる。また、1回250mgから750mgを朝および/または夜に1日合計250mgから1500mg投与しても、1回350mgから600mgを朝および/または夜に1日合計350mgから1200mg投与してもよい。
【0045】
放出プロフィールおよび上に記載した他のパラメータの達成に適した製剤は多くある。これらの放出プロフィールから明らかなように、製剤は即時放出性の第一成分、持続放出性の第二成分(胃下部および十二指腸に作用)、および空腸及び回腸のような下部小腸にガバペンチン含量を放出するようになっている第三成分の三つの成分を含みうる。これらの三つの成分は、様々な方法で提供できる。そのような方法の一つは、最後の成分の核が持続放出性成分の層を支えるように(例えば囲まれるように)形成し、持続放出性成分の層がさらに即時放出性成分の層を支えるように(例えば囲まれるように)形成することである。あるいは、望ましい放出特性を有する三つの異なる成分を適切に配合した混合物を提供して、望ましい放出パターンを達成することもできる。三つの成分に望ましい性質を提供するために使用される賦形剤は、周知のものから選択すればよい。
【0046】
本発明ではさらに、活性成分を一つ以上の適切な賦形剤、希釈剤または担体と混合し、その結果得られた混合物から適切な徐放製剤を形成することを含む、本発明による製剤の生産方法を提供する。各ユニットドーズに、50%から95%または60%から80%w/wのガバペンチンが含まれる。
【0047】
本発明の製剤は、ミニ錠剤のような形のマルチドーズの製剤である。マルチドーズの製剤は、複数の小ユニット(錠剤)を含み、ユニットドーズを成す各ユニットが胃腸管の広い範囲に分散し、それによって製剤の濃度が高くなり粘膜が炎症をおこすことを回避または減少する。ガバペンチンのマルチドーズ形状は、結晶の形でも、顆粒の形でも、ペレットの形でも、あるいは非常に小さな錠剤(ミニ錠剤)の形でもよく、それらの一部または全部は下記の要領で被覆される。マルチドーズ形状の小ユニットの大きさ、すなわち単結晶顆粒、ペレットまたはミニ錠剤の大きさは、0.1mmから3.5mmの範囲ならよいが、5mm以下である。これらの小ユニットが小さいほど、胃腸管内のより広い範囲に広がる。加えて、5mmを超えるユニットは胃の中に留まるが、5mmより小さいユニットは、より速く液体のように胃を通過する。
【0048】
以下に続く説明ではミニ錠剤の形状のガバペンチンを使用するが、結晶、ペレットおよび顆粒といった他のマルチドーズの形状にも同じ説明があてはまる。被覆したミニ錠剤は、温風(例えば約30℃)で適切な時間(例えば約30分間)乾燥させればよい。
【0049】
より詳しくは、ガバペンチンのミニ錠剤は、第一工程で、薬剤を適切な充填剤と混合し、バインダ溶液を用いて混合物を粒状化し、顆粒を乾燥させ、必要に応じてスクリーニングし、潤滑剤とブレンドし、必要な場合には崩壊剤とブレンドし、例えば回転式またはパンチ直径約3mmのシングルパンチの錠剤機を用いて混合物を圧縮して形成される。これに続き、第二工程では、適切なポリマー混合物の、アルコールまたは水溶液などの溶液/懸濁液と、選択的に可塑剤および/または補助剤を、例えばパンコーティング機の中で噴霧して第一工程で得られたミニ錠剤の一部を被覆し、乾燥させて錠剤の内側の被覆を形成する。この工程で施される被覆は、後の被覆との相互作用から活性成分を保護するバリアを提供する。乾燥させた後、これらの錠剤の一部に、薬剤の徐放を達成するような被覆をさらに施す第三工程を行えばよい。第二工程で得られたミニ錠剤の一部を用いて、腸溶被覆物質の溶液または懸濁液を噴霧するなどして腸溶被覆を施す第四工程を行えばよい。その後、第二および/または第三および第四工程の生成物を、全体の放出プロフィールが適切になるような比率で混合し、その混合物を、例えばカプセルまたは一包分に詰めたり、または経口投与に適した他の剤型にして単一単位投薬形態に調製して最終的な組成物をつくればよい。
【0050】
これらの各時間にin vivoに放出される薬剤の量は、US Pharmacopoeiaに記載されるin vitro溶解速度測定法、例えば実施例5に提示する試験の適切な組み合わせを用いて予測できる。したがって、実施例5の溶解速度を有し、放出割合が上記のとおりである製剤が提供される。
【0051】
急性または再発性疾患の別、処方、市販(OTC)または違法薬物の使用、および/または薬物動態学的調査への参加に適さない他の一切の理由に関して最初にスクリーニングした健常ボランティアで、in vivoで放出される薬剤の量を評価できる。
【0052】
ボランティアは、絶食して、治療に送られ、血液採取のために静脈内にカテーテルを留置される。時間ゼロで投薬を行い、その後48時間の間、カテーテルを通して所定の間隔で血液サンプルを収集する。遠心分離により血漿を血液から分離し、実証済みの分析法を用いてガバペンチンの含量を検査する。データを表示し、薬物動態ソフトウェアを使用してCmax(最高血漿中濃度)、Tmax(最高血漿中濃度到達時間)、AUC(血漿中濃度時間曲線下面積)および他の薬物動態パラメータを評価する。
【0053】
本発明はまた、ガバペンチンのAUC薬剤血漿中濃度が、Neurontin(登録商標)の商標で販売されているガバペンチンなどの従来の即時放出性ガバペンチンを同量投与した場合の100〜200%を超える組成物を目的とする。AUCは、健常ボランティア、および/またはターゲット集団に対しNeurontin(登録商標)または本発明による製剤(Xenolev―CRTM)の形でガバペンチンを単回投与した後のガバペンチンの血漿中濃度(レベル)のデータポイントをゼロ時間から無限時間まで統合するか、または長期的な毎日の投与量が排泄量と等しい薬物動態学的定常状態における、一回の投与間隔の等価のデータポイントを統合して、測定される。Tmaxは、従来の即時放出性製剤を同量投与した場合のTmaxと同じかまたは最大3.0倍である。Cmaxまでの時間は、投薬から2時間から6時間であることが望ましい。ガバペンチンの最高血漿中濃度(Cmax)は、従来の即時放出性製剤を同量投与した場合のCmaxより低く、たとえばその0.5倍程度である。投薬から8時間から24時間後のガバペンチンの血將中濃度は、従来の放出製剤の場合の1.5倍から2.0倍、3.0倍となる。CmaxからCmaxの50%までの時間は、2時間から24時間、または3時間から12時間、または4時間から8時間と想定される。CmaxからCmaxの50%までの時間が、即時放出性ガバペンチンの場合より1.1倍から3倍、または1.5倍から2.5倍長い製剤も想定される。基本的に100%即時放出性であるガバペンチン(すなわち、本発明によらないもの)の吸収は非線形性を示し、投与を2倍にしてもAUCは2倍にならない。
【0054】
本発明の活性成分またはガバペンチンは、その投与強度に比例して25―100%、30―100%、35―100%、40―100%、45%―100%、50%―100%、55―100%、60―100%、65%―100%、70%―100%、75%―100%、80%―100%、85―100%、90―100%、95%―100%のCmaxおよびAUC(活性成分の絶対的バイオアベイラビリティ)において放出される。したがって、ガバペンチン即時放出性製剤のバイオアベイラビリティは、低用量では70%超から、高用量では30%未満まで変動する。したがって、本発明において3つ全ての成分が適切な割合で使用され、投与量が2倍または3倍になると、AUCはそれに応じて0.5×、0.6×、0.7×、0.8×、0.9×、1×(倍)、l.l×、1.2×、1.3×、1.4×、1.5×、1.6×、1.7×、1.8×、1.9×または2.0×に増加しうる。同様に、投与量が2倍または3倍になると、Cmaxはそれに応じて0.5×、0.6×、0.7×、0.8×、0.9×、1×(倍)l.l×、1.2×、1.3×、1.4×、1.5×、1.6×、1.7×、1.8×、1.9×または2.0×に増加しうる。したがって、本発明のガバペンチンのバイオアベイラビリティは、低用量では即時放出性ガバペンチンの約1.0のから約1.5倍、高用量では即時放出性ガバペンチンの約1.0から約3.0倍である。
【0055】
反対に、Tmaxは投与量を増減しても不変である。他の薬理学的および生理学的状況の等値性も、血將中濃度を用いて評価される。例えば、経口投与後のガバペンチンの血漿中濃度に食物が影響しないことは、論文審査がある医学文献から周知である。
【0056】
したがって、本発明の製剤により900mgのガバペンチン(たとえば450mg×2ユニットドーズまたは300mg×3ユニットドーズで投与できる)を1日2回投与した場合には、定常状態への投薬の後、血漿中濃度の最高値および最低値はそれぞれ約4.4mg/mlおよび2.3mg/mlとなり、最高値到達時間は各投与から約5時間後、最低値到達時間は次の投与の直前となる。対照的に、即時放出性製剤により900mgを1日2回投与した場合には、各投与の3時間から4時間後に最高値になり、最高値は約6.3mg/mlとなり、最低値は約2mg/mlであり、最低値到達時間はこの場合も次の投薬の直前である。600mgの即時放出性製剤を1日3回投与した場合の最高値および最低値はそれぞれ約4.7mg/mlおよび1.95mg/mlである。したがって、900mgを1日2回投与(bd)すると、600mgをTID投与する場合の最高値および最低値に近似させることができる。この段落で示した数値は、平均的な成人のものである。
【0057】
異なる成分から最終的な製剤をつくる際には、各成分を健常ボランティアに別々に投与して、上記のように薬物動態解析を行って成分の望ましい比率を決定できる。簡単な数学的計算を用いて、活性成分の望ましい総合的放出プロフィールを達成する各成分の正確な比率を定められる。
【0058】
本発明による製剤のユニットドーズには、500mg以下のガバペンチンを含みうる。任意の時点で投与する1回分には、これらのユニットドーズを1つまたは複数含んでよい。500mg以上のガバペンチンを含有するユニットドーズは、飲み込むのが困難な患者もいるため、望ましい薬剤投与計画が完全に守られない可能性がある。ユニットドーズは、固形形状である。
【0059】
ホットメルト押出は、ポリマーベースの持続放出性医薬製剤を作る方法として知られている。適切なポリマーには、セルロース誘導体、ポリ(メタクリル酸)誘導体類、ポリ(エチレン―co―酢酸ビニル)、ポリ(エチレン)、ポリ(酢酸ビニル―co―メタクリル酸)、エポキシ樹脂類およびカプロラクトン類が含まれる。ホットメルト押出のプロセスでは、粉末状のガバペンチンの有効量を、ポリマー、および選択的にポリエチレングリコール等の可塑剤と混合する。他の成分は、必要に応じて加えればよい。賦形剤に対するガバペンチンの比率は、望ましい放出プロフィールに応じて、通常、約0.01%から約99.99%、または約20%から約80%w/wである。その後混合物は、押出機のホッパーに置かれ、混合物が溶解または軟化する温度で加熱された押出機の領域を通され、ガバペンチンが分散するマトリックスが形成される。溶解または軟化した混合物は、ダイまたは他の同様の部材を通じて押出成形され、それと同時に混合物(ここでは押出し物と呼ばれる)は硬化し始める。ダイから出た押出し物はまだ温かいか熱いため、容易に成型したり、成形したり、切ったり、挽いたり、球状化してビーズにしたり、切って線維にしたり、錠剤成形したり、あるいは他の望ましい物理的形態に処理できる。
【0060】
さらに、望ましい放出プロフィールを得るために使用できる製剤技術には、ホットメルト押出として知られるものがある。かかる製剤には、ガバペンチンを高い割合で取り込めるという利点がある。
【0061】
ホットメルト製剤を作るために使用される装置は、乾燥飼料を扱うもので、固形を運搬するゾーン、一つ以上の加熱ゾーンおよび押出ダイを有する任意の市販のモデルでよい。そのような装置の一つには、C.W.Brabender Instruments Incorporated(NJ)により製造される二段階一軸スクリュー押出機がある。押出機に、複数の独立した温度制御可能な加熱ゾーンが備わっていると特に有益である。
【0062】
押出プロセスで多くの条件を変更して、特に望ましい放出パターンに到達すればよい。かかる条件には例えば、製剤の組成、流量、操作温度、押出スクリューRPM、滞留時間、ダイ形状、加熱ゾーンの長さおよび押出機トルクおよび/または圧力などが含まれる。かかる条件を最適化する方法は、熟練技術者に知られている。
【0063】
ホットメルト押出においては、分子量が非常に高い賦形剤が使用される場合には、分子量が低い賦形剤が使用される場合よりも加工温度、圧力および/またはトルクが高くなりうる。分子量が非常に高い賦形剤を含む製剤に、可塑剤および、選択的に酸化防止剤を含むことにより、加工温度、圧力および/またはトルクを低くできる。ホットメルト製剤は、上記の通りに様々な被覆で選択的に覆ってもよい。
【0064】
ガバペンチンの投与は、治療対象となる症状の処置に有効な他の適切な治療的処置と組み合わせて行える。この処置は、治療的であってもよいが、予防的なものであることの方が多い。
【0065】
例えばヒトを、被治療患者とすればよい。患者は、女性でも男性でもよい。女性患者のホットフラッシュは、閉経期または閉経後のホルモン変動による初発症状でありうる。しかし、ホットフラッシュは、抗卵胞ホルモンの化合物(タモキシフェン、酢酸ロイプロリド等)によって薬剤誘発されることもあるし、またはエストロゲンを生成する組織の除去(腹式子宮全摘出術、両卵管卵巣摘出術等)により、外科的に誘発されることもある。男性患者のホットフラッシュは通常、アンドロゲン依存性の転移性前立腺癌の治療の副作用として生じる。それらは外科的に誘発されることもあるし(両側睾丸摘出等)、薬物により誘発されることもある(性腺刺激ホルモン放出ホルモン作動薬、酢酸ロイプロリドなどによる治療等)。
【0066】
本発明は、ホットフラッシュ等ホルモンの変動による症状の治療を含め本願明細書に記載される治療によって、症状の頻度、症状の程度またはその両方を抑えることを含む。
【0067】
ガバペンチンは、解熱剤として作用し、患者の体温を適切に調節することもできる。したがって本発明は、熱の治療が有効な状態の熱のある患者に対して、本発明による組成物を投与して患者の熱を治療する方法も提供する。本発明は、熱を治療して各投与の後完全に、または一定の時間(例えば投与から最長約24時間)熱を下げるか除去することを含む。
【0068】
ガバペンチンは、嘔気および嘔吐の治療のための制吐剤として作用することもできる。嘔気および嘔吐はしばしば、中枢神経系(CNS)の化学受容器引金帯または嘔吐(または嘔吐)中枢の刺激により誘発される。このような刺激は、求心性刺激(触覚性の咽頭の刺激、迷路障害、運動、頭蓋内圧亢進、疼痛、内臓または心理的要因の拡延など)が原因となることもあるし、または血液中の催吐物質(例えば、妊娠、癌化学療法、尿毒症、放射線療法、電解質平衡異常および内分泌障害または化学的催吐剤が存在する際にみられる)が原因となることもある。嘔気および嘔吐は、麻酔薬の使用からくる一般的な術後副作用でもある。
【0069】
したがって、本発明の更なる態様は、嘔気および/または嘔吐の治療が有効な状態の、嘔気および/または嘔吐の患者に、本発明による組成物を投与して嘔気および嘔吐を治療する方法に関する。本発明は、嘔気および嘔吐を治療して、各投与の後完全に、または一定時間(例えば最長24時間)嘔気および嘔吐の回数を抑えるかなくすことを含む。製剤の投与は、嘔気または嘔吐が現に生じている患者または嘔気または嘔吐が予想される患者に対して行うことができる。
【0070】
米国特許第6,310,098号明細書は、ホルモン変動の治療におけるガバペンチンの使用に言及するが、閉経後または閉経期の女性への使用を非常に強調している。本発明者らは、ガバペンチンを用いて月経困難症を治療し、および/または月経前緊張、気分変動および下腹部等の疼痛などの月経を原因とする不快感を低減または除去できることを発見した。
【0071】
したがって、月経の副作用を防止または軽減するためのガバペンチンの使用を提供することが、本発明の更なる特徴である。この用途のガバペンチンは、月経が始まる前か最初の兆候があった時に用いてもよいし、月経開始後に副作用を治療するために用いてもよい。治療は月経が持続する間続ければよい。
【0072】
本発明の特徴によればさらに、ホジキン病の副作用、褐色細胞腫、睡眠時無呼吸、アレルギー症状、特に食物性アレルギー、糖尿病および甲状腺機能亢進症の治療も提供される。
【0073】
本発明の他の特徴によればさらに、急迫性尿失禁、膣の乾燥、ドライアイ症候群などの失調症に悩む閉経後女性等、女性の治療へのガバペンチンの使用も提供される。
【0074】
以下の実施例は、ガバペンチンまたは他の活性成分の分散に関して、本発明による組成物の配合および特徴を示している。熟練技術者が以下の実施例を考察すれば、多くの進歩および本発明の更なる態様が明らかである。
【実施例】
【0075】
(実施例1―非被覆ガバペンチン―バッチAの調整)
高せん断ミキサー―造粒機で、粉末状のガバペンチンを、微結晶性セルロース(Avicel pH101)とブレンドした。その後、望ましい量のガバペンチンを含有した粉末混合物を、ポリビニルピロリドン(Kollidon K30 BASF)のバインダ溶液を用いて粒状化した。適切な量が粒状化されるまで、造粒機の中でバインダ溶液を一定時間の間(通常5分であるが、バッチサイズによる)分割量で粉末混合物に加えた。その後、湿った顆粒を造粒機から出し、熱風炉(Gallenkamp Hotbox)で乾燥させて乾燥顆粒にした。乾燥顆粒をふるい(1000μm Erweka)でスクリーニングし、でん粉グリコール酸ナトリウムのスーパー崩壊剤(Explotab)とブレンドし、さらに潤滑剤としてのステアリン酸マグネシウム(BP Thew Arnott)とブレンドし、薬剤含量を解析し、その後シングルパンチのホッパー(同軸のカム)または深さ3.0mmの凹穿孔を備えた回転タブレット成形機(F3 Manesty)に送り、厚さ約2.3mmの錠剤(バッチAミニ錠剤)を成形した。これらの錠剤は、以下の組成を有する:
表2.バッチAミニ錠剤の組成
【0076】
【表2】

これらのバッチAミニ錠剤の累積的なin vitro溶解プロフィールは、実施例5に示されている。
【0077】
(実施例2―pH非依存性可溶性ポリマーで被覆したガバペンチン―バッチBの調整)
バッチAと類似の方法によって、ミニ錠剤の別のバッチであるバッチBを調整した。ただしバッチBは、活性成分を後の被覆との相互作用から保護するpH非依存性可溶性ポリマーMethocel E5(ヒドロキシルプロピルメチルセルロース―Colorcon)のバリアコートで被覆(Huttlin Microlab流動層塗工機)した。バッチBは、薬物送達システムの即時放出性(第一段階)成分を形成する。バッチB錠剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが錠剤の全重量の5%を成すことを除いては、バッチA錠剤と同じ組成を有し、厚さは平均2.5mmである。これらのバッチBミニ錠剤の累積的なin vitro溶解プロフィールの結果は、実施例5に示されている。
【0078】
(実施例3―pH非依存性不溶性ポリマーで被覆したガバペンチン―バッチCの調整)
薬剤の徐放を達成するため、実施例2のバッチBミニ錠剤をオイドラギットポリマー(Degussa AG)のメンブランで被覆した。ミニ錠剤を、被覆機(ボトムスプレー Wurster)に入れ、オイドラギットRL30D(pH非依存性不溶性ポリマーである高い透過性と膨張性を有する水不溶性ポリマー、すなわちトリメチルアンモニオエチルメタクリレート官能基を有するメタクリル酸コポリマー)とオイドラギットRS30D(pH非依存性の低い透過性と膨張性を有する水不溶性ポリマー―トリメチルアンモニオエチルメタクリレート官能基を有するメタクリル酸コポリマー)を混合した。水に分散したポリマーにタルク(グリダント)およびトリエチルシトレート(可塑剤)を加えて、被覆用懸濁液を作った。錠剤を被覆機の中で流体化しながら、被覆用懸濁液を錠剤の表面に噴霧した。この結果得られたメンブランを、in situで乾燥し、ミニ錠剤周囲の指定の重量パーセント(10%または15%)の被覆物質(RL30D/RS30Dがそれぞれ10:90または20:80の混合物)とした。
【0079】
表3.Batch3ミニ錠剤の組成
【0080】
【表3−1】

【0081】
【表3−2】

この工程の生成物は、製剤(バッチC)の調整放出または持続放出(第二段階)部分を形成する。これらのバッチCミニ錠剤の累積的なin vitro溶解プロフィールの結果は、実施例5に示される。
【0082】
(実施例4―pH依存性可溶性ポリマーで被覆したガバペンチン―バッチDの調整)
実施例2のバッチBミニ錠剤をさらに、pH5.5超で溶解するL30D―55(メタクリル酸を官能基として有するアニオンポリマー)またはpH7.0超で溶解するFS30D(Degussa AGの、メタクリル酸を官能基として有するアニオンポリマー)で被覆した。
【0083】
これらの錠剤は15%w/wのポリマー添加に基づき、以下の組成を有する:
表4.バッチDミニ錠剤の組成
【0084】
【表4】

これらのバッチD遅延放出(第三段階)ミニ錠剤の累積的なin vitro溶解プロフィールの結果は、実施例5に示される。
【0085】
(実施例5―バッチA、B、CおよびDの溶解特性評価)
USP溶解装置II(パドル)USP 28 2005[711]を75rpmで用いてバッチA、B、C、Dミニ錠剤のin vitro溶解特性を評価した。製剤のバッチB、CおよびD部分の溶解メディアは、pH7.6のリン酸緩衝溶液(BP2004リン酸緩衝液pH7.6)とした。各成分の溶解結果はそれぞれ表3から表5に示されており、t50は50%放出までの時間、t90は90%放出までの時間、比率はw/wである。
【0086】
【表5】

(実施例6―バッチB、C、Dの様々な製剤の溶解)
バッチBミニ錠剤を80%、バッチCミニ錠剤を10%(10%RL/RS(2:8))、およびバッチDミニ錠剤を10%(15%L30D―55)含む製剤(比率はw/w)を、ガバペンチンの全量が375mgとなるように、サイズ00の硬質ゼラチンカプセル(カプスゲル)に充填した。この製剤全体の溶解試験は、まずpH約1.2(0.1M HCl)で2時間、75rpmで実施した;2時間全体にわたってサンプルをとった。120分のサンプリングの後、溶解ポットをろ過し、残りの錠剤を除イオン水ですすいだ。その後残りの錠剤を500mlのpH6.8リン酸緩衝液(BP2004)(37°C)に加え、75rpmでさらに4時間にわたりサンプリングした(図1を参照)。試験を三度繰り返した。
【0087】
(実施例7―バッチB、C、Dの様々な製剤の溶解)
バッチBミニ錠剤を20%、バッチCミニ錠剤を40%(10%RL/RS(2:8))、バッチDミニ錠剤を40%(15%L30D―55)含む製剤(比率はw/w)を、ガバペンチンの全量が375mgになるように、サイズ00のゼラチンカプセルに加えた。実施例6と同じ溶解条件を用いた。試験を三度繰り返した(図2を参照)。
【0088】
(実施例8―バッチB、バッチC、およびバッチDを含む製剤のin vivoにおける薬理学的性質)
実施例6および7のカプセルをヒトに用いた場合の性質は、下表のようになることが予測される。表には、比較のために、即時放出性(IR)ガバペンチン600mgをヒトに単回投与した場合の性質も示してある。実験における遅延溶解を用いて、in vivoにおける遅延溶解を予測できる。これらのシミュレーションの数値は、実施例5および図1、図2の溶解試験で示される物理的性質を反映する。
【0089】
【表6】

*IR成分のCmaxへの寄与。
対照標準のデータは、臨床観察からの実際のデータである。他のデータは予測(シミュレーション)値であり、各ケースでIR、SRおよびDRを所定通りに混合した数値である。シミュレーションの投与量は375mgである。
【0090】
(実施例9―バッチB、バッチCおよびバッチDを含む製剤のカプセルをヒトに投与)
実施例2のバッチBミニ錠剤、実施例3のバッチCミニ錠剤、実施例4のバッチDミニ錠剤のカプセル、および実施例6および7のカプセルにより、ガバペンチン375mgをヒトの健常ボランティアに投与し、適切な時間的間隔で血液サンプルをとる。その後、これらのサンプルを分析し、試験対象のバッチまたはカプセルの薬物動態学的プロフィールを得る。
【0091】
(実施例10―逆相グラジエントを用いたガバペンチンの分析)
ガバペンチン溶解サンプルの分析を、逆相グラジエントHPLCにより、pH7.8リン酸緩衝液およびメタノールを移動相として様々な比率で用いて行う。ガバペンチンをオルトフタルアルデヒド(OPA)で誘導体化してUV吸収を改善し、フェニルアラニンを内部標準に用いる。オートサンプラの中で誘導体化反応がおこる。Zorbax Eclipse AAA4.6×150mm、粒子サイズ5μmのHPLCカラム(Agilent部品番号994400―902)で分離を行い、338nmにおけるUV吸収を検出する。試料中のガバペンチンの定量はピーク面積測定にもとづいて行い、既知のガバペンチン標準濃度を用いて検量する。
【0092】
(実施例11―ガバペンチン製剤を用いたホットフラッシュの治療)
ホットフラッシュを、例えば900mgのガバペンチンで治療するために、以下の製剤を用いる。約360mgのガバペンチンを、適切なpH非依存性可溶性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースで被覆する。次に、270mgのガバペンチンを異なる二つの水不溶性ポリマーにより被覆する。その一方は低い透過性を有し、他方は高い透過性を有するが、両者ともpH非依存性の膨張性を有する。この実験の目的においては、オイドラギットRL30D(高い透過性)およびオイドラギットRS30D(低い透過性)がこれらの要件を満たす。最後に、270mgのガバペンチンを、オイドラギットL30D―55とオイドラギットFS30Dで被覆する。被覆したガバペンチンの上記錠剤を乾燥させ、経口投与用の単一単位投薬形態に詰め込む。経口摂取の結果、(1)ヒドロキシプロピルメチルセルロースで被覆したガバペンチンは胃で即時放出され、(2)水不溶性で被覆したガバペンチンは胃および上部小腸で持続放出され、(3)オイドラギットL30D―55(pH5.5を超えると溶解)およびオイドラギットFS30D(pH7.0を超えると溶解)の溶解特性によって、ガバペンチンが上部、下部小腸へ遅延放出される。
【0093】
(実施例12―プレガバリンおよびプレガバリン製剤のin vitroおよびin vivoにおける溶解速度)
プレガバリンのin vitroおよびin vivoでの溶解速度の検査には、実施例2から4に記載したバッチB、C、Dのガバペンチンを、活性成分プレガバリンに置き換えればよい。プレガバリンのin vitro検査は実施例5と同様に行えばよい。in vivo検査は、900mgのプレガバリン製剤を用いて行えばよい。約360mgのプレガバリンを、適切なpH非依存性可溶性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースで被覆する。次に、270mgのプレガバリンを異なる二つの水不溶性ポリマーで被覆する。その一方は低い透過性を有し、他方は高い透過性を有するが、両者ともpH非依存性の膨張性を有する。この実験の目的においては、オイドラギットRL30D(高い透過性)およびオイドラギットRS30D(低い透過性)がこれらの要件を満たす。最後に、270mgのプレガバリンを、オイドラギットL30D―55およびオイドラギットFS30Dで被覆する。被覆したプレガバリンの上記錠剤を乾燥させ、経口投与用の単一単位投薬形態に詰め込む。経口摂取の結果、(1)ヒドロキシプロピルメチルセルロースで被覆したプレガバリンは胃で即時放出され、(2)水不溶性で被覆したプレガバリンは胃および上部小腸で持続放出され、(3)オイドラギットL30D―55(pH5.5を超えると溶解)およびオイドラギットFS30D(pH7.0を超えると溶解)の溶解特性によって、プレガバリンが上部、下部小腸へ遅延放出される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、バッチBミニ錠剤を80%、バッチCミニ錠剤を10%含み、オイドラギットRL30DとオイドラギットRS30Dの比率が2:8であり、さらにバッチDミニ錠剤10%に15%のオイドラギットL30D―55が含まれる製剤の累積的なin vitro溶解プロフィールを示している。図1は、ガバペンチンカプセルの3つの異なる試験を示し、y軸にはガバペンチンの放出量がミリグラムで示されている。
【図2】図2は、バッチBミニ錠剤を20%、バッチCミニ錠剤を40%含み、オイドラギットRL30DとオイドラギットRS30Dの比率が2:8であり、さらにバッチDミニ錠剤40%に15%のオイドラギットL30D―55が含まれる製剤の累積的なin vitro溶解プロフィールを示している。図2は、ガバペンチンカプセルの3つの異なる試験を示し、y軸にはガバペンチンの放出量がミリグラムで示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)pH非依存性可溶性ポリマー賦形剤で被覆されたガバペンチンおよびプレガバリンからなる群から選択される活性成分と、
(b)pH非依存性不溶性ポリマー賦形剤で被覆されたガバペンチンおよびプレガバリンからなる群から選択される活性成分と、
(c)pH依存性可溶性ポリマー賦形剤で被覆されたガバペンチンおよびプレガバリンからなる群から選択される活性成分と、
を含む、組成物。
【請求項2】
前記pH非依存性可溶性ポリマー賦形剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記pH非依存性不溶性ポリマー賦形剤が、オイドラギットRL30D、オイドラギットRS30Dおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記pH非依存性不溶性ポリマー賦形剤が、25ミクロンから150ミクロンの厚さを有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記pH依存性賦形剤が、オイドラギットL30D―55、オイドラギットFS30Dおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記pH依存性賦形剤が、25ミクロンから150ミクロンの厚さを有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記活性成分の20%から60%が、投薬後最長3時間以内で前記pH非依存性可溶性ポリマー賦形剤により放出される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記活性成分の20%から60%が、投薬後最長12時間以内で前記pH非依存性不溶性ポリマー賦形剤により放出される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記活性成分の15%から50%が、投薬から3時間から10時間遅れてpH依存性可溶性ポリマー賦形剤により放出される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
250mgのガバペンチンが、固形の単位投薬形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
375mgのガバペンチンが、固形の単位投薬形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記活性成分がCmaxおよび該活性成分の投与強度と50%比例するAUC(活性成分の絶対的バイオアベイラビリティ)で放出される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記活性成分の放出が2時間から24時間以内でCmaxから50%Cmaxになる、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記活性成分がミニ錠剤の形で被覆されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
崩壊剤、香味成分、着色剤、甘味料、結合剤、充填剤、潤滑剤、可塑剤またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
(a)ヒドロキシプロピルメチルセルロースで被覆されたガバペンチンと、
(b)オイドラギットRL30D、オイドラギットRS30Dおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるpH非依存性不溶性ポリマー離型剤で被覆されたガバペンチンと、
(c)オイドラギットL30D―55、オイドラギットFS30Dおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるpH依存性可溶性ポリマー離型剤で被覆されたガバペンチンと、
を含む、組成物。
【請求項17】
前記pH非依存性不溶性ポリマー賦形剤が25ミクロンから150ミクロンの厚さを有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記pH依存性賦形剤が25ミクロンから150ミクロンの厚さを有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
(a)個別に活性成分をpH非依存性可溶性ポリマーと混合する工程と、
(b)個別に活性成分をpH非依存性不溶性ポリマーと混合する工程と、
(c)個別に活性成分をpH依存性可溶性ポリマーと混合する工程と、
(d)工程(a)―(c)から得られた混合物を、ミニ錠剤の形にする工程と、
(e)工程(d)から得られた混合物のミニ錠剤を、経口投与に適した単一単位投薬形態に充填する工程と、
を含むプロセスにより作られる、組成物。
【請求項20】
(a)活性成分を充填剤と混合する工程と、
(b)工程(a)の混合物を粒状化する工程と、
(c)工程(b)の粒状化された混合物を潤滑剤とブレンドする工程と、
(d)工程(c)のブレンドされた混合物を圧縮してミニ錠剤にする工程と、
(e)工程(d)のミニ錠剤を、
(i)pH非依存性可溶性ポリマー、
(ii)pH非依存性不溶性ポリマー、および
(iii)pH依存性可溶性ポリマー
からなる群の中の賦形剤で被覆する工程と、
(f)被覆した工程(e)のミニ錠剤を乾燥させる工程と、
(g)混合物の被覆したミニ錠剤を、経口投与に適した単一単位投薬形態に調製する工程と、
を含むプロセスにより作られる、組成物。
【請求項21】
癲癇、卒中による発作、および頭部/脳損傷からなる群から選択される神経疾患または損傷を治療するための、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
神経障害、筋肉痛、骨格痛、遅発性ジスキネジアまたは片頭痛、反射交感神経ジストロフィー症候群(RSD)および線維症からなる群に伴う慢性的な疼痛を治療するための、請求項16に記載の組成物。
【請求項23】
双極性疾患、パニック、不安症、抑うつ症、アルコール中毒、および、躁病的行動からなる群から選択される精神障害を治療するための、請求項16に記載の組成物。
【請求項24】
月経前緊張、気分変動、ホットフラッシュおよび疼痛からなる群から選択される月経関連の症状を治療するための、請求項16に記載の前記組成物。
【請求項25】
急迫性尿失禁、膣の乾燥およびドライアイ症候群からなる群から選択される閉経後関連の症状を治療するための、請求項16に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物は、一日一回または二回投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物は、一日一回または二回投与される、請求項16に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−528494(P2008−528494A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552260(P2007−552260)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/001887
【国際公開番号】WO2006/078811
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(507245799)ファーマノバ インコーポレイテッド (1)
【出願人】(507246372)クエイ ファーマシューティカルズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】