説明

半導体チップ・パッケージ

半導体チップ・パッケージは集積回路チップと基板を含む。チップ・コンタクト・パッドがチップの第1面上に形成される。スタッドがワイヤ・ボンド機を使用してワイヤからチップ・コンタクト・パッド上に形成される。スタッドはチップ・コンタクト・パッドに接着された部分的に押しつぶされたボール部分を有する。スタッドはまた部分的に押しつぶされたボール部分から延びる延長部分を有する。絶縁材の第1層が基板の第1面上にある。底部付きのウェルが第1層に形成され基板の第1面に開口する。第1導電材は少なくとも部分的にウェルを充填する。第1導電材は基板の少なくとも1つのトレース線路に電気的に接続される。スタッドは第1導電材に部分的に埋め込まれてチップと基板との間の電気的接続を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体チップのパッケージに一般的に関係する。ある面では、これはフリップチップ構成で基板に電気的に接続された集積回路チップに特に関係する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子はパッケージに組立てられた半導体ダイまたはチップを通常含む。パッケージは通常チップが電気的に接続される基板部分を有する。通常基板はチップより大きく、チップより大きな端子、リード、または電気的接点部分を有してパッケージされたチップを回路ボードに容易に電気的に接続可能とする(例えば、システムの回路ボードに組立てる時)。このようなパッケージ構成の1つにフリップチップ・パッケージがある。
【0003】
従来のフリップチップ・パッケージ20の例を図1に示す。本例では、チップ22はハンダ・バンプ(bump)26のアレイにより基板24に電気的に接続されている。本例の基板24はハンダ・ボール28のアレイ(例えば、ボール・グリッド・アレイ、またはBGA)を有し、これを使用してパッケージされたチップ20を、例えば回路ボード(図示せず)に取り付ける。通常、チップ22をハンダ・バンプ26を介して基板24に電気的に接続した後に、アンダーフィル(underfill material:アンダーフィル材)30をチップ22と基板24との間の隙間または間隙に注入する。図1では、アンダーフィル30の一部を切り取って中のハンダ・バンプ26のいくつかを図示している。チップ22を基板24に電気的に接続し、アンダーフィル30を配置し硬化させた後のある時点で、通常カバー32がチップ上に配置される。カバー32は図1では図解の都合上破線で示されている。パッケージ20のチップ22を保護することに加えて、このカバー32を例えばアルミニウムから製造してヒートシンクとして作用させ、チップ22の良好な冷却を提供してもよい。
【0004】
アンダーフィル30の目的の1つは、チップ22と基板24との間の応力をより均一に分布させ、ハンダ・バンプ26、ハンダ・バンプ接点、及び/またはハンダ接点上下の回路層が受ける応力(stress)を減少させることである。これらの応力は、少なくとも部分的には、チップ22、ハンダ・バンプ26、及び基板24との間の異なる熱膨張係数(すなわち、熱膨張係数不整合)により発生する。チップ22は通常シリコン・ウェファから製造され、基板24は銅線と貫通する孔を有する有機材から通常製造され、ハンダ・バンプ26は例えば低融点の金属複合材から通常製造される。従って、チップ22と基板24との間の異なる膨張/縮小率のため温度変化(例えば、チップ22の使用中)によりチップ22を基板24に接続するハンダ・バンプ26に応力が発生する。アンダーフィル30はまた、ハンダ・バンプ26のみがチップを適所に保持するのではないように、チップ22を基板24に保持する助けとなる接着剤としても作用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような、ハンダ・バンプを使用するフリップチップ・パッケージの製造と組立はチップを基板に取り付けるほかの方法(例えば、ワイヤ・ボンディング(wire bonding))より高価となる。また、ワイヤ・ボンディングを使用した接続はハンダ・バンプを使用した接続よりしばしば強固である。さらに、多数の製造施設は既にワイヤ・ボンド機を所有している。しかしながら、ワイヤ・ボンドは通常フリップチップ構成に適合せず、またフリップチップ構成はある種の製造業者に好まれている。従って、ワイヤ・ボンド機を使用し、フリップチップ構成を使用してチップを基板に取り付ける方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した問題と必要性は本発明の実施例により解決される。本発明の1つの側面によると、集積回路チップ、チップ・コンタクト・パッド、スタッド、及び基板を含む半導体チップ・パッケージが提供される。チップ・コンタクト・パッドはチップの第1面に形成される。スタッドはチップ・コンタクト・パッド上に形成される。スタッドはワイヤ・ボンド機を使用してワイヤから形成される。スタッドはチップ・コンタクト・パッドに接着された部分的に押しつぶされたボール部分を有する。スタッドはまた部分的に押しつぶされたボール部分から延びる延長部分も有する。基板は、絶縁材の第1層と、ウェルと、第1導電材と、第2層とを含む。絶縁材の第1層は基板の第1面にある。ウェルは第1層内に形成され、基板の第1面に開口する。ウェルは底部を有する。第1導電材は少なくとも部分的にウェルを充填する。第2層はその中に形成した導電トレース線路を有する。第1導電材はトレース線路の少なくとも1つに電気的に接続する。スタッドは第1導電材に部分的に埋め込まれてチップと基板との間の電気的接続を形成する。チップの第1面は基板の第1面に対向する。
【0007】
本発明の他の側面によると、半導体チップ・パッケージを形成する方法が提供される。本方法は、本段落で記載する以下の段階を含み、その順序は変更してもよい。集積回路チップを与える。チップはチップの第1面に形成したチップ・コンタクト・パッドを含む。ワイヤ・ボンド機のワイヤを与える。ワイヤの先端はボール形状部分を有する。ワイヤのボール形状部分はワイヤ・ボンド機によりチップ・コンタクト・パッドにワイヤ・ボンドされる。ワイヤのボール形状部分はワイヤ・ボンド時に部分的に押しつぶされる。ワイヤの延長部分が部分的に押しつぶされたボール形状部分から伸びてスタッドを形成するようにワイヤが切断される。絶縁材の第1層と、ウェルと、第1導電材と、第2層とを含む基板が与えられる。絶縁材の第1層は基板の第1面上にある。ウェルが第1層内に形成され、基板の第1面に開口する。ウェルは底部を有する。第1導電材は少なくとも部分的にウェルを充填する。第2層はその中に形成した導電トレース線路(conductive trace lines)を有する。第1導電材は少なくとも1つのトレース線路と電気的に接続される。スタッドの延長部分の少なくとも一部は第1導電材に浸されて(immersed)チップと基板との間の電気的接続を形成する。チップの第1面は基板の第1面に対向する。
【0008】
本発明のさらに他の側面によると、集積回路チップと、チップ・コンタクト・パッドと、スタッドと、基板と、支持部材とを含む半導体チップ・パッケージが提供される。チップ・コンタクト・パッドはチップの第1面上に形成される。スタッドはチップ・コンタクト・パッド上に形成される。スタッドはワイヤ・ボンド機を使用してワイヤから形成される。スタッドはチップ・コンタクト・パッドに接着された部分的に押しつぶされたボール部分を有する。スタッドは部分的に押しつぶされたボール部分から延びる延長部分を有する。基板は絶縁材の第1層と、ウェルと、導電ライナ(conductive liner:導電性内張り)と、第1導電材と、第2層とを含む。絶縁材の第1層は基板の第1面上にある。ウェルは第1層内に形成され、基板の第1面に開口している。ウェルは底部を有する。導電ライナはウェルを少なくとも部分的に覆う。第1導電材は少なくとも部分的にウェルを充填する。第2層はその中に形成した導電トレース線路を有する。第1導電材は導電ライナを介して少なくとも1つのトレース線路に電気的に接続される。支持部材はチップと基板との間で基板の第1層から延びる。スタッドは第1導電材内に部分的に浸されて(immersed)チップと基板との間の電気的接続を形成する。チップの第1面は基板の第1面と対向する。チップは支持部材により少なくとも部分的に支持される。
【0009】
以下に続く本発明の詳細な説明をより良く理解するために本発明の特徴を以上に広く概観した。本発明の別な特徴と利点は本発明の請求項の主題を形成する以後に記載してある。当業者には、開示した概念と特定の実施例は本発明と同じ目的を実施するための他の構造または過程を変更するまたは設計するための基礎として容易に利用可能であることが認められるべきである。当業者にはまた、このような等価な構造は添付の請求項に記載した本発明の要旨と範囲から逸脱するものではないことも理解されるべきである。
【実施例1】
【0010】
ここで、本明細書で同じ参照番号を使用して各種図を通して同じ要素を指示している、図面を参照すると、本発明の例示実施例が図示され記載されている。図面は必ずしもスケールを合わせて描かれておらず、ある種の例では図面は図解用に適所で誇張され及び/または簡略化されている。当業者は本発明の以下の例示実施例を基に本発明の多数の可能な応用例と変形を認めるであろう。
【0011】
図2と図3は本発明の第1実施例による半導体チップ・パッケージ20を図示する。図2はパッケージ20の側面図である。図1のように、アンダーフィル30の一部は図2のスタッド40を図示するために切り取ってある。また、カバー32には図解用に図2で破線で図示してある。図2では、集積回路チップ22はフリップチップ構成で基板24に電気的に接続されている。
【0012】
図3はパッケージ20の断面を示す図2の拡大部分である。最初にパッケージ20のチップ部分を説明する。チップ・コンタクト・パッド42はチップ22の第1面44上に形成される。チップ22の第1面44は基板24と対向する。少なくともいくつかのチップ・コンタクト・パッド42にはスタッド40が接着される。スタッド40はワイヤ・ボンド機(図示せず)を使用してワイヤから形成される。接着される前に、例えば標準的なワイヤ・ボンド処理のように、スタッド40はワイヤ・ボンド機(図示せず)から送られるボール形状先端部(図示せず)を有するワイヤとして開始する。ワイヤのボール形状先端部はワイヤ・ボンド機によりその各々のチップ・コンタクト・パッド42に接着される。ボール形状先端部はワイヤ・ボンド機により(例えば、キャピラリー(capillary:毛管)により)、少なくとも部分的に押しつぶされる。ワイヤの先端部をチップ・コンタクト・パッド42に接着した後、所定長のワイヤが引抜かれてスタッド40の延長部分46を与える。次いで、例えば図3に示すように、ワイヤ・ボンド機はワイヤを切断してスタッド40を形成する。このように、スタッド40は部分的に押しつぶされたボール部分47と延長部分46とを有する。延長部分46は部分的に押しつぶされたボール部分47から延びる。チップ22の第1面44上に全てのスタッド40が形成されるまでこの過程が繰返される。ワイヤ・ボンド機に依存するが、スタッド40のいくつかまたは全てが同時に(すなわち、並列に)形成されてもよい。
【0013】
チップ・コンタクト・パッド42は、例えば(以下には限定されないが)、金、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、タングステン、銅、またはその組合せを含む各種の適切な材料のどれかから製造される。スタッド40は、例えば(以下には限定されないが)、金、銀、銅、アルミニウム、鉛、錫、ハンダ、及びその組合せを含む、各種の適切な材料のどれかから製造される。チップ・コンタクト・パッド42とスタッド40に使用する材料に少なくとも部分的に依存して、ワイヤ・ボンド機は超音波エネルギを使用してもしなくともよい。スタッド40に金を、チップ・コンタクト・パッド42の最外部の露出材料に金を(従って、金対金接着)使用することが望ましい。スタッド40とチップ・コンタクト・パッド42に金を使用する利点の1つは、低い毛管力(capillary force)での接着を可能とし、従って接着時のチップ22に及ぼす応力を低下することである。チップ上の応力を減少することは、例えば脆弱な、低k誘電材料(low−k dielectric material)をチップ構造に実装する場合に主要な関心点となる。また、金対金接着はスタッド40とチップ・コンタクト・パッド42との間の接着を形成するために超音波エネルギ及び/または高熱を使用する必要性を減少または除去し、これもまた利点となる。例えば、金対金接着を使用することによりチップ22に及ぼす力を減少できる場合、チップ・コンタクト・パッド42をまたチップの中央部分に移動してもよく、従ってチップ・コンタクト・パッド42の配置を第1チップ面44上の殆ど任意の位置にすることが可能となる。これは、チップ面積当りより多くのチップ・コンタクト・パッド42を及び/またはチップ・コンタクト・パッド42間により大きな間隔を可能とする。
【0014】
さらに図3を参照して、パッケージ20の基板部分を次に説明する。絶縁材の第1層48が図3に示すように基板24の第1面50に設けられる。この第1層48は単一層、複合層(composite layer)、及び/または複数層(multiple layers)でもよい。図3では、第1層48は図解上単一層として図示されている。基板24の第1面50はチップ22と対向する。ウェル54は第1基板層48内に形成され、第1基板面50に開口する。ウェル54は底部56を有する。望ましい実施例では、導電ライナ58が少なくともいくつかのウェル54で少なくとも部分的に覆う。図3では、導電ライナ58は例えば各ウェル54の壁部と底部56を覆うのが図示されている。第1導電材60は各ウェル54を少なくとも部分的に充填する。
【0015】
第1基板層48は、(以下には限定されないが)、例えば、有機材(例えば、低コストの基板に一般的に使用されるようなもの)、セラミック、ファイバグラス、樹脂、プラスチック、ポリマー、及びその組合せを含む、各種の適切な材料のどれかから製造してもよい。導電ライナ58は、(以下には限定されないが)、例えば、金属、銅、銀、金、アルミニウム、チタン、タンタル、及びその組合せを含む、各種の適切な材料のどれかから製造してもよい。望ましい実施例では、ウェル54は有機材で形成した銅ライナ58を有する。
【0016】
第1導電材60は、(以下には限定されないが)、例えば、ハンダ、導電接着剤、導電ポリマー材、金属複合物(metal compounds)、及びその組合せを含む、各種の適切な材料のどれかでよい。第1導電材60にハンダを使用した場合、これは例えば90μmより小さいピッチを可能とする超微細ピッチハンダであることが望ましい。このような超微細ピッチハンダは例えばウェル54にスクリーン印刷してもよい。他の望ましいハンダは例えばハリマ・ケミカルズ(Harima Chemicals)によるSuper Solder(登録商標)で、これはSn、RCOO−Cu、RCOO−Ag、及びフラックスの組合せを有する。しかしながら、多数のその他の適切なハンダが利用可能であり、本発明の実施例で同様に使用してもよい。図3では、鉛フリーハンダを例えば導電材60に使用する。ウェル54の第1導電材60にハンダを使用した時、これはウェル54に堆積され、次いでスタッド40をハンダに挿入するときに、例えば基板24を加熱することによりリフローされる(すなわち、加熱してスタッド40によりハンダを貫通可能とする)。
【0017】
ウェル54の第1導電材60に導電接着剤(例えば、導電ポリマー材)を使用した時、これはウェル54に堆積され、次いで例えばこれが硬化する前にスタッド40を第1導電材60に挿入する。望ましい実施例では、導電接着剤は処理するまで未硬化のままで、スタッド40を挿入する適切な時間を提供してもよい。前記処理は、例えば接着剤を加熱する、接着剤に他の化学物質を追加する、接着剤をある種の気体または環境に露出する、またはその組合せにより提供されてもよい。しかしながら、他の実施例では、導電接着剤は単に特定の時間で硬化してもよい。望ましい実施例では、導電接着剤は硬化後もある程度の柔軟性を保持して例えば熱応力を解放するため中のスタッド40のわずかな移動を可能とする。第1導電材60としてハンダによるものを含む、このまたはその他の実施例では、チップ22と基板24との間に延びるワイヤ・スタッド46によって柔軟性が提供されてもよい。柔軟性は、例えば異なる材料の異なるCTEにより生じる応力からの解放を提供する。
【0018】
チップ22が、例えば図3に示すように、基板24に電気的に接続されると、スタッド40はウェル54の第1導電材60に少なくとも部分的に埋め込まれてチップ22と基板24との間の電気的接続を形成する。望ましくは、スタッド40は、スタッド40がウェル54に挿入される前にチップ22に形成される。また、ウェル54は、スタッド40をウェル54に挿入する前に第1導電材60により充填される(または部分的に充填される)ことが望ましい。
【0019】
スタッド40がウェル54の第1導電材60に挿入されてチップ22を基板24に相互接続した後、例えば図2及び図3に示すようにチップ22と基板24との間にアンダーフィル30を与えてもよい。アンダーフィル30は、例えば従来のアンダーフィルでよい。
【0020】
図3の基板24に焦点を戻すと、中に導電トレース線路64を形成された第2基板層を第1基板層48の下に配置する。少なくとも1つのウェル54の第1導電材60は第2基板層62の少なくとも1つの導電トレース線路64に電気的に接続される。従って、図3に示すように、ウェル・ライナ58がウェル54の底部56を覆うと、第1導電材60はウェル・ライナ58を介して1つ以上のトレースに電気的に接続される。実施例の基板24は導電トレース線路の1つ以上の層(例えば、第2基板層62のように)を有してもよい。図3にはそのような層62が2つ図示されているが、例えば任意数の追加の層62が間にあってもよい。導電トレース線路64は、(以下には限定されないが)、例えば、金属、銅、アルミニウム、金、またはその組合せを含む多数の適切な材料のどれかから製造してもよい。絶縁材(例えば、有機材)を、例えば基板24に従来設けるように、導電トレース線路64を含む層62に使用してもよい。
【0021】
ビア(Vias)68は基板24の第2面70に延びて、図3に示すように第2導電材72(例えば、金属)で充填される。端子74は第2基板面に配置される。導電ビア(condnctive vias)68は端子74と導電トレース線路64との間の電気的接続を与える。端子74は、例えば図2及び図3に示すように、ボール・グリッド・アレイ構造を与えるため形成されたハンダ・ボール28を有してもよい。従って、図3の例では、第2基板面70上に図示したハンダ・ボール28は、例えば、スタッド40、第1導電材60で充填したウェル54、少なくとも1本の導電トレース線路64、導電ビア材72、及び端子74を通してチップ22上のコンタクト・パッド42の1つと電気的に接続される。
【0022】
スタッド40の挿入の深さに応じて、またスタッド長の一貫性に応じてスタッド40の一部または全てをウェル54の底部56に載せてもよいことに注意されたい。チップ22を一時的に基板24の上に保持することにより、スタッド40をウェル54に挿入した後、第1導電材60が固体状に硬化しまたは冷却する間スタッド40の殆どまたは全てがウェルの底部56に到達しないようにしてもよい。
【0023】
図4及び図5は本発明の第2実施例による半導体チップ・パッケージ20を図示する。第1導電材60の選択が変更され、支持部材80が設けられた(図4及び図5参照)点を除いて、第2実施例は第1実施例(図2及び図3参照)と同様である。図4は第2実施例のパッケージ20の側面図である。図1及び図2のように、図4でスタッド40と支持部材80を図示するためにアンダーフィル30の一部を切り欠いている。図5はパッケージ20の断面をより詳細に図示する図4の拡大図である。
【0024】
図5を参照すると、本例では第1基板層48から支持部材80が延びているのが図示されている。支持部材80は第1基板層48の一体部分でもよい。他の実施例では、支持部材80は第1基板層48に形成し及び/または取り付けてもよい。さらに他の実施例では、支持部材80はチップ22の一部、チップから延びる、及び/またはチップに取り付けてもよい。支持部材80に使用する材料は、(以下には限定されないが)、例えばポリマー、有機材、金属、プラスチック、セラミック、ファイバーグラス、樹脂、シリコン、及びその組合せを含む、各種の適切な材料のどれかから選択してもよい。望ましくは、支持部材80は全て同じ高さを有する。しかし他の実施例では、例えば、支持部材80は全て同じ高さでなくともよい(例えば、基板24に対して傾いたチップ22)。
【0025】
望ましい実施例では、チップ22は支持部材80に載り少なくとも部分的に支持される。支持部材80の使用は、スタッド40が一貫した長さを有していない状況に有利である。また、チップ22を支持部材80上に載せることにより、チップ22と基板24との間の距離を、スタッド40の長さ及び/またはウェル54の深さではなく、支持部材80の高さにより制御できる。図5に示した例示構成では、支持部材80はウェル54の深さに対して、かつ平均スタッド長に対してある高さを有し、従ってスタッド40はウェル底部56に接触しない。従って、スタッド40を第1導電材60の中に漬けた後に第1導電材60が固形状に硬化または冷却するまで、チップ22は支持部材80により完全に支持されてもよい。第1導電材60が固体化しアンダーフィル30がチップ22と基板24との間に配置された後、第1導電材60とアンダーフィル30もチップを適所に支持し保持するのに貢献してもよい。図2−5の第1及び第2実施例でアンダーフィル30を図示しているが、必要ない及び/または望まない場合には他の実施例(図示せず)ではアンダーフィルがなくともよい。これは応力を解放する構造にさらなる柔軟性を与える。
【0026】
当業者には明らかなように、支持部材80の高さ、形状、配置、及び数は本発明の実施例に応じて変更してもよい。また、ウェル54の深さと幅(または直径)も本発明の実施例に応じて変更してもよい。ウェル54の断面形状は、(以下には限定されないが)例えば丸、楕円、正方形、長方形、隅丸付き(with rounded corners)を含み、同様に変更してもよい。また、ワイヤ寸法、ボール寸法、及びスタッド長も本発明の実施例に応じて変更してもよい。例示の例として、ウェル54は約200μmの深さと約100μmの直径を有し、スタッド40は約50μmのワイヤ直径と約300μmの長さを有し、支持部材80は約150μmの高さを有してもよい。従って、この場合、例えば第1チップ面44と第1基板面50との間の間隔は約150μmであり、スタッド40の先端はウェル底部56から約50μmであり、スタッド40の約150μmが第1導電材60に浸かっている(この場合スタッド40を挿入した後第1導電材60がウェル54を充填すると仮定する)。他の実施例では、スタッド40は、例えば約50μmと約300μmとの間の長さと約30μmと約50μmとの間の線直径を有してもよい。
【0027】
各ウェル54に配置した第1導電材60の量は、スタッド40を挿入した後ウェル54が満たされる、充填以下である、または第1導電材60が流れ出るように、様々であってもよい。スタッド40の挿入後第1導電材60がウェル60を過充填した場合、第1導電材60の過剰部分は基板面より上のスタッド40の側面に付着してこれを湿らすことになり、これは第1導電材60の過剰部分が第1基板面50上に拡散して望ましくない短絡が発生するのを防止する。このように、第1導電材60によるスタッド40このような濡らしまたは吸着(wicking)は設計の望ましいかつ有利な特徴である。望ましい実施例では、第1導電材60はウェル54を丁度充填する(例えば、図3及び図5を参照)か、またはウェル54をわずかに過充填して(スタッド40に吸着)スタッド40と第1導電材60との間の接触面積を最大化する。しかしながら、他の実施例では、第1導電材60の量はスタッド40を挿入した後にウェル54を過小充填(underfill)してもよい。第1実施例のように、第1導電材60は、例えばハンダでもよい。
【0028】
望ましい実施例では、例えば基板は、ウェル54を中に形成した(例えば、バンプ・ランディング・パッドではなく)厚い第1基板層48を有する低コストの基板24でもよい。また、他の実施例(図示せず)では、基板24は、例えば第2基板面70または基板の他の面から延びるピンまたはリード線を有する基板24のような、BGA以外の構成でもよい。本開示の利点により、当業者は本発明の実施例の底部付きウェル54を組み込みつつ基板設計に多数のその他の変形を実現可能である。また、チップ22上のチップ・コンタクト・パッド42(及び従ってスタッド40)の配置とアレイ構成は、当業者には明らかなように、広範囲に変更してもよい。
【0029】
本発明の他の利点は、ハンダ・バンプ構成(例えば図1を参照)のハンダ接点で通常出会う応力集中が著しく減少する点である。前記応力は、チップ22、ハンダ・バンプ26(例えば図1参照)、及び基板24の間の熱膨張係数(CTE)不整合によりしばしば発生する。本発明の実施例により提供される構造構成により、前記CTE不整合はチップ22の接着接点上に衝撃を与える程度が小さくなり、またより小さい応力を及ぼし、及び/または実施例の構造はより大きな応力に(ハンダ・バンプ構成と比較して)対処可能となる。また、チップ22がより一般的となってきているような、内部金属誘電層の脆弱な誘電材(例えば、低k及び超低k誘電材)を包含する時にはCTE不整合によりチップに発生する応力やその他の応力ソースを減少することは重要である。スタッド40はハンダ・バンプより横方向の柔軟性を可能とし、これは、チップ22に応力をただ伝達するのではなく、CTE不整合により生じる熱応力の解放に貢献する。従って、スタッド40は堅牢な材料ではなく、柔軟な材料(例えば、金)から製造することが望ましい。
【0030】
図2−5の第1及び第2実施例でスタッド40はボール形状先端を最初に有したワイヤから形成するものとして図示し説明してきたが、他の実施例(図示せず)ではワイヤ先端の初期形状を変更してもよい。例えば、初期のワイヤ先端は初期スタッドを形成するために切断した後に特別に形成した形状を有していなくともよい。スタッドは、例えばウエッジ・ボンディング(wedge bond)によりチップ・コンタクト・パッド上に形成してもよい。または、ワイヤ先端の初期形状を、例えばその他の形状(すなわち、ボール形状以外)に形成してもよい。本開示の利点により、当業者はスタッド46のその他の可能な変形を実現できる。
【0031】
本発明の実施例とその利点を詳細に記載してきたが、添付の請求の範囲に定義するような本発明の要旨と範囲から逸脱することなく各種の変更、置換え、及び修正が可能であることを理解すべきである。さらに、本願の範囲は明細書に記載した特定の実施例の過程、機械、製造法、物質の組成、手段、方法及び段階に限定する意図のものではない。本発明の開示から当業者は容易に認識できるように、本明細書で記載した対応する実施例と実質的に同様な機能を実行する、または実質的に同様な結果を得る、既存のまたは将来開発される、過程、機械、製造法、物質の組成、手段、方法、または段階も本発明に従って利用されてもよい。従って、添付の請求の範囲は、前記の過程、機械、製造法、物質の組成、手段、方法、または段階をその範囲内に含む意図である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
以下は、本発明の例示実施例を図示する、図面の簡単な説明である。
【図1】従来技術のフリップチップ・パッケージの側面図。
【図2】本発明の第1実施例によるフリップチップ・パッケージの側面図。
【図3】図2の一部の拡大断面図。
【図4】本発明の第2実施例によるフリップチップ・パッケージの側面図。
【図5】図4の一部の拡大断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップ・パッケージにおいて、
集積回路チップと、
チップの第1面上に形成されたチップ・コンタクト・パッドと、
チップ・コンタクト・パッド上に形成されたスタッドであって、ワイヤ・ボンド機を使用してワイヤから形成され、チップ・コンタクト・パッドから延びる延長部分を有する前記スタッドと、
基板であって、
基板の第1面上の絶縁材の第1層と、
第1層に形成され、基板の第1面に開口するウェルであって、底部を有するウェルと、
ウェルを少なくとも部分的に充填する第1導電材と、
中に導電トレース線路を形成された第2層であって、第1導電材は少なくともトレース線路の1つと電気的に接続されている前記第2層と、
を含む前記基板と、を含み、
スタッドは第1導電材に部分的に埋め込まれてチップと基板との間の電気的接続を形成し、チップの第1面は基板の第1面と対向している、
半導体チップ・パッケージ
【請求項2】
請求項1記載の半導体チップ・パッケージにおいて、
ウェルを少なくとも部分的に内張りする導電ライナであって、ウェルの第1導電材は導電ライナを介して少なくとも1つのトレース線路に電気的に接続される、前記導電ライナと、をさらに含む、半導体チップ・パッケージ。
【請求項3】
請求項1記載の半導体チップ・パッケージにおいて、導電ライナは銅を含む、半導体チップ・パッケージ。
【請求項4】
請求項1記載の半導体チップ・パッケージにおいて、スタッドは金を含み、コンタクト・パッドの最外面は金を含む、半導体チップ・パッケージ。
【請求項5】
請求項1記載の半導体チップ・パッケージにおいて、第1基板層の絶縁材は有機材を含む、半導体チップ・パッケージ。
【請求項6】
請求項1記載の半導体チップ・パッケージにおいて、第1導電材はハンダを含む、半導体チップ・パッケージ。
【請求項7】
請求項1記載の半導体チップ・パッケージにおいて、第1導電材は導電接着剤を含む、半導体チップ・パッケージ。
【請求項8】
請求項1記載の半導体チップ・パッケージにおいて、基板は、
導電トレース線路を中に形成された2つ以上の層と、
第1面と対向する第2面と、
第2面上の端子と、
第2導電材で充填されたビアであって、端子はビア中の第2導電材に電気的に接続され、第2導電材は少なくとも1つの導電トレース線路に電気的に接続され、端子はスタッド、第1導電材、少なくとも1つの導電トレース線路、そして第2導電材を介してチップ・コンタクト・パッドに電気的に接続される、前記ビアと、
をさらに含む、半導体チップ・パッケージ。
【請求項9】
請求項1記載の半導体チップ・パッケージにおいて、
チップと基板との間で基板の第1層から延びる支持部材であって、チップは少なくとも部分的に支持部材により支持される前記支持部材と、
をさらに含む、半導体チップ・パッケージ。
【請求項10】
請求項9記載の半導体チップ・パッケージにおいて、支持部材はポリマー材を含む、半導体チップ・パッケージ。
【請求項11】
請求項1記載の半導体チップ・パッケージにおいて、チップと基板との間に配置されたアンダーフィルをさらに含む、半導体チップ・パッケージ。
【請求項12】
請求項1記載の半導体チップ・パッケージにおいて、スタッドはチップ・コンタクト・パッドに接着された部分的に押しつぶされたボール部分を有し、延長部分が部分的に押しつぶされたボール部分から延びている、半導体チップ・パッケージ。
【請求項13】
半導体チップ・パッケージを形成する方法において、
ワイヤ・ボンド機により集積回路チップの第1面上のチップ・コンタクト・パッドにワイヤをワイヤ・ボンディングする段階と、
ワイヤの延長部分がチップ・コンタクト・パッドから延びてスタッドを形成するようにワイヤを切断する段階と、
スタッドの延長部分の少なくとも一部を第1導電材に浸してチップと基板との間の電気的接続を形成する段階であって、第1導電材はウェル中に形成され、ウェルは基板内の第1層に形成され、ウェルは基板の第1面に開口し、ウェルは底部を有し、第1導電材は基板の第2層内に形成されたトレース線路に電気的に接続され、チップの第1面が基板の第1面と対向するよう、第1基板層は第2基板層の上にある、前記電気的接続を形成する段階と、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、ワイヤ・ボンドの前にワイヤはボール形状先端部を有し、ボール形状先端部はワイヤ・ボンディング時にチップ・コンタクト・パッドに対して部分的に押しつぶされたようになる、方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法において、第1導電材は導電接着剤を含み、
第1導電材によりウェルを少なくとも部分的に充填する段階と、
浸した後に第1導電材を硬化する段階と、
をさらに含む、方法。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、第1導電材はハンダを含み、浸す前にハンダを少なくとも部分的に溶解する段階をさらに含む、方法。
【請求項17】
半導体チップ・パッケージにおいて、
集積回路チップと、
チップの第1面上に形成されたチップ・コンタクト・パッドと、
チップ・コンタクト・パッド上に形成されたスタッドであって、チップ・コンタクト・パッドから延びる延長部分を有する前記スタッドと、
基板であって、
基板の第1面上の絶縁材の第1層と、
第1層内に形成され、基板の第1面に開口するウェルであって、底部を有するウェルと、
ウェルを少なくとも部分的に内張りする導電ライナと、
ウェルを少なくとも部分的に充填する第1導電材と、
中に導電トレース線路が形成された第2層であって、第1導電材は導電ライナを介して少なくともトレース線路の1つと電気的に接続されている前記第2層と、
を含む前記基板と、
チップと基板との間で基板の第1層から延びる支持部材であって、スタッドは第1導電材に部分的に埋め込まれてチップと基板との間の電気的接続を形成し、チップの第1面は基板の第1面と対向していて、チップは少なくとも部分的に支持部材により支持される前記支持部材と、
を含む、半導体チップ・パッケージ
【請求項18】
請求項17記載の半導体チップ・パッケージにおいて、スタッドはチップ・コンタクト・パッドに接着された部分的に押しつぶされたボール部分を有し、延長部分が部分的に押しつぶされたボール部分から延びている、半導体チップ・パッケージ。
【請求項19】
請求項17記載の半導体チップ・パッケージにおいて、第1導電材はハンダを含む、半導体チップ・パッケージ。
【請求項20】
請求項17記載の半導体チップ・パッケージにおいて、第1導電材は導電接着剤を含む、半導体チップ・パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−517405(P2007−517405A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547343(P2006−547343)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/043223
【国際公開番号】WO2005/065255
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(501229528)テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド (111)
【Fターム(参考)】