説明

半導体ナノクリスタルを含む発光デバイス

発光デバイスが、層内に半導体ナノクリスタルを含む。該層は、半導体ナノクリスタルの単層にすることができる。該単層は、基板上にパターンを形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2004年10月22日出願の米国仮特許出願第60/620,967号、及び2004年11月22日出願の米国仮特許出願第60/629,579号に対する優先権を主張するものである。各仮特許出願の全体を引用により取り込む。
【0002】
(技術分野)
本発明は、半導体ナノクリスタルを含む発光デバイスに関するものである。
(連邦政府による資金提供を受けた開発研究)
米国政府は、全米科学財団(National Science Foundation)からのGrant No. DMR-9808941に従って、本発明において特定の権利を有することがある。
【背景技術】
【0003】
(背景)
発光デバイスは、例えば、ディスプレイ(例えば、フラットパネルディスプレイ)、スクリーン(例えば、コンピュータスクリーン)、及び照明を必要とする他の物品で使用され得る。したがって、発光デバイスの輝度は、デバイスの一つの重要な特徴である。また、低い動作電圧及び高い効率は、発光デバイスの望ましい特徴となり得る。
【0004】
発光デバイスは、デバイスの活性成分の励起に応答して光子を放出することができる。デバイスの活性成分(例えば、エレクトロルミネッセンス成分)に電圧を印加することによって、発光を刺激誘導することができる。エレクトロルミネッセンス成分は、共役有機高分子や、エレクトロルミネッセンス成分又は有機分子層を含むポリマーなどのポリマーであってもよい。通常、デバイスの層間の励起された電荷の放射再結合によって、発光を引き起こすことができる。放射光は、輝度(カンデラ/平方メートル(cd/m)又は電力束(W/m))で測定される最大発光波長及び発光強度を含む発光プロファイルを有する。デバイスの発光プロファイル及び他の物理的な特性は、物質の電子構造(例えば、エネルギーギャップ)によって影響を及ぼされることがある。発光デバイスの輝度、発色の範囲、効率、動作電圧、及び動作半減期は、デバイスの構造に基づいて変えることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、半導体ナノクリスタルを含む発光デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
一般に、発光デバイスは、複数の半導体ナノクリスタルを含むことができる。半導体ナノクリスタルは、典型的には有機配位子の層で修飾された、ナノメートルスケール無機半導体粒子である。これらのゼロ次元半導体構造は、強い量子閉じ込め効果を示し、この効果は、ナノクリスタルのサイズ及び組成で調整可能な電子的及び光学的特性を有する複合へテロ構造を作り出すボトムアップ化学的手法を設計する際に利用され得る。
【0007】
半導体ナノクリスタルは、発光デバイス内の発光団として使用することができる。半導体ナノクリスタルは、狭い発光線幅を有し、フォトルミネッセンス効率が良く、発光波長の調節が可能であるので、望ましい発光団となることがある。半導体ナノクリスタルは、溶液中に分散させることができ、したがってスピンキャスティング、ドロップキャスティング、及び浸漬コーティングなどの薄膜堆積技法に適合する。しかし、これらの堆積技法から生じるニート半導体ナノクリスタル固体は、固相発光デバイスにおいて低い電気的輸送性質を有する。ニート固体ではなく、半導体ナノクリスタルの単層を発光デバイスで使用することもできる。単層は、電気的性能に対する影響を最小限にしながら半導体ナノクリスタルの有益な発光性質を提供する。
【0008】
半導体ナノクリスタル単層は、典型的には、スピンキャスティング、ラングミュア−ブロジェット技法、又はドロップキャスティングなどにより、溶液から自己集合される。半導体ナノクリスタル単層を堆積するためのいくつかの技法は、使用される基板に対する制約を課すことがあり、層の電気的又は光学的性質に影響する化学物質の添加を必要とすることがあり、厳しい条件に基板をさらすことがあり、又は何らかの方法で成長させることができるデバイスのタイプを制限することがある。さらに、これらの技法では、単層に横方向でパターニングすることができない。これら二つの特徴は、単一基板上での複数の色LEDの組立てに関して、又はデバイス工学に関して、利用可能な技法を理想的でないものにする。
【0009】
半導体ナノクリスタルは、マイクロコンタクト印刷を使用して基板上に堆積され得る。有利には、マイクロコンタクト印刷は、表面上へのフィーチャのミクロンスケール(例えば1mm未満、500μm未満、200μm未満、又は100μm未満)パターニングを可能にする。パターンフィーチャは、1mm以上、1cm以上、1m以上、又は10m以上など、より大きなスケールで塗布することができる。特に、半導体ナノクリスタルの単層を、マイクロコンタクト印刷によって堆積することができる。この手法は、基板へのパターン半導体ナノクリスタル被膜の乾燥(即ち無溶媒)塗布を可能にし、したがって、基板は、可溶性及び表面化学要件を受けない。
【0010】
半導体ナノクリスタル単層のマイクロコンタクト印刷を使用して、半導体ナノクリスタルを含む飽和色赤色、緑色、及び青色LEDを作成し、単一基板上に異なる色の複数の前記LEDを配置し、ミクロンスケール(<100μm)でLEDパターンを形成することができる。堆積プロセスは、拡張可能であり、大きな表面積にわたってLEDの安価な製造を可能にすることができる。
【0011】
一態様では、デバイスを形成する方法は、アプリケータの表面上にナノ物質を付置するステップと、該アプリケータの表面を、第一電極を含む基板に接触させ、それにより該ナノ物質の少なくとも一部を該基板に転写するステップと、該第一電極に向かい合わせて第二電極を配置するステップとを含む。
【0012】
アプリケータの表面は、隆起部又は窪み部を含むパターンを含むことができる。ナノ物質は、複数の半導体ナノクリスタルを含むことができる。複数の半導体ナノクリスタルが、基板上に層を形成することができる。層は、半導体ナノクリスタルの多層、単層、又は部分単層とすることができる。ナノ物質が、基板上に層を形成することができる。層は、半導体ナノクリスタルの多層、単層、又は部分単層とすることができる。ナノ物質は、基板上にパターンを形成することができる。
【0013】
該方法が、アプリケータの表面上にナノ物質を付置する前に、アプリケータの表面を改質するステップを含むことができる。アプリケータの表面を改質するステップが、アプリケータの表面を、基板との接触時にアプリケータからナノ物質の少なくとも一部を解放するように選択される組成物と接触させるステップを含むことができる。組成物は、芳香族有機ポリマーを含むことができる。
【0014】
該方法が、第二アプリケータの表面上に第二ナノ物質を付置するステップと、該第二アプリケータの表面を該基板に接触させ、それにより該第二ナノ物質の少なくとも一部を該基板に転写するステップとを含むことができる。第一ナノ物質と第二ナノ物質とが、それぞれ独立して、複数の半導体ナノクリスタルを含むことができる。第一の複数の半導体ナノクリスタルが、第二の複数の半導体ナノクリスタルから区別可能な発光波長を有することができる。
【0015】
該方法は、第三アプリケータの表面上に第三の複数の半導体ナノクリスタルを付置するステップと、該第三アプリケータの表面を該基板に接触させ、それにより第三の複数の半導体ナノクリスタルの少なくとも一部を該基板に転写するステップとを含むことができる。第三の複数の半導体ナノクリスタルが、第一の複数の半導体ナノクリスタルから区別可能であり、且つ第二の複数の半導体ナノクリスタルから区別可能である発光波長を有することができる。第一、第二、及び第三の複数の半導体ナノクリスタルは、基板の重なり合わない事前定義領域内に塗布することができる。第一、第二、及び第三の複数の半導体ナノクリスタルの発光波長は、紫外、青色、緑色、黄色、赤色、又は赤外発光波長、或いはそれらの組合せから選択することができる。
【0016】
パターンのフィーチャは、10ミリメートル未満、1ミリメートル未満、100マイクロメートル未満、又は1マイクロメートル未満の寸法を有することができる。パターンのフィーチャは、少なくとも1センチメートル、少なくとも10センチメートル、少なくとも100センチメートルの寸法を有することができる。
基板は、電極の上に正孔輸送物質を含む層を含むことができる。該方法は、ナノ物質の上に電子輸送物質を含む層を形成するステップを含むことができる。第二電極は、電子輸送物質を含む層の上に塗布され得る。
【0017】
アプリケータの表面上にナノ物質を付置するステップが、スピンコーティング、ブレードコーティング、スロットコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、ロッドコーティング、リバースロールコーティング(reverse roll coating)、正転ロールコーティング(forward roll coating)、エアナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、グラビア印刷、マイクログラビア印刷、押出しコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、又はそれらの組合せを含むことができる。アプリケータの表面は、隆起部と窪み部とを実質的に有しなくてもよい。アプリケータは、回転可能なドラムに取り付けることができる。
【0018】
別の態様では、発光デバイスが、第一電極と、第一電極に向かい合わされた第二電極と、第一電極と第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域とを含むことができる。
事前定義領域は、パターンを形成することができる。デバイスは、半導体ナノクリスタルの第二単層を含む第二事前定義領域を含むことができる。半導体ナノクリスタルの第一単層が、第二単層の発光波長とは異なる発光波長を有することができる。
【0019】
デバイスは、第一電極に近接し、かつ第一電極と第二電極との間に配置された正孔輸送物質を含む層を含むことができる。デバイスはまた、第二電極に近接し、かつ第一電極と第二電極との間に配置された電子輸送物質を含む層を含むことができる。半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域を、正孔輸送物質を含む層と電子輸送物質を含む層との間に配置することができる。
【0020】
別の態様では、光を発生する方法が、第一電極と、第一電極に向かい合わされた第二電極と、第一電極と第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域とを含むデバイスを提供するステップと、第一電極と第二電極とにわたって電圧を印加するステップとを含む。電圧を印加するステップは、第一電極と第二電極との間に電流を流すステップを含むことができる。
【0021】
別の態様では、ディスプレイが、複数の発光デバイスを含み、少なくとも一つの発光デバイスが、第一電極と、第一電極に向かい合わされた第二電極と、第一電極と第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域とを含む。ディスプレイは、第一電極と、第一電極に向かい合わされた第二電極と、第一電極と第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域とを含む第二発光デバイスを含むことができる。
【0022】
第一発光デバイスは、第二発光デバイスの発光波長から区別可能な発光波長を有することができる。ディスプレイは、第一電極と、第一電極に向かい合わされた第二電極と、第一電極と第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域とを含む第三発光デバイスを含むことができる。第三発光デバイスは、第二発光デバイスの発光波長から、且つ第一発光デバイスの発光波長から区別可能である発光波長を有する。
【0023】
ディスプレイは、第一電極と、第一電極に向かい合わされた第二電極と、第一電極と第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域とを含む第四発光デバイスを含むことができる。第四発光デバイスは、第三発光デバイスの発光波長から、第二発光デバイスの発光波長から、且つ第一発光デバイスの発光波長から区別可能な発光波長を有する。
発光デバイスは、10ミリメートル未満、1ミリメートル未満、又は100マイクロメートル未満の寸法を有することができる。ディスプレイは、バックプレーンを含むことができ、バックプレーンは、アクティブマトリックス又はパッシブマトリックス電子回路を含むことができる。
【0024】
別の態様では、ディスプレイは、第一電極と、第一電極に向かい合わされた第二電極と、第一電極と第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域とを含む複数の発光デバイスを含む。各発光デバイスの半導体ナノクリスタルが、紫外、青色、緑色、黄色、赤色、又は赤外発光波長、或いはそれらの組合せから選択される発光波長を有することができる。
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面から、且つ特許請求の範囲から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(詳細な説明)
発光デバイスは、デバイスの二つの電極を分離する二つの(又はそれよりも多い)層を含むことができる。一方の層の物質は、物質が正孔を輸送できる能力に基づいて選択することができ、即ち正孔輸送層(HTL)にすることができる。他方の層の物質は、物質が電子を輸送できる能力に基づいて選択することができ、即ち電子輸送層(ETL)にすることができる。通常、電子輸送層は、エレクトロルミネッセンス層を含む。電圧が印加されるとき、一方の電極は、正孔(正電荷キャリア)を正孔輸送層に注入し、他方の電極は、電子を電子輸送層に注入する。注入された正孔及び電子はそれぞれ、逆に荷電された電極に向かって移動する。電子及び正孔が同一分子に局在するとき、励起子が形成され、励起子は、再結合して光を放射することができる。
【0026】
発光デバイスは、図1に示されるような構造を有することができ、第一電極2と、電極2に接触する第一層3と、層3に接触する第二層4と、第二層4に接触する第二電極5とを有する。第一層3は、正孔輸送層とすることができ、第二層4は、電子輸送層とすることができる。少なくとも一つの層を、非重合性にすることができる。別法として、別個の発光層(図1には示していない)を、正孔輸送層と電子輸送層との間に含むことができる。この構造の電極の一つは、基板1に接触している。該構造にわたって電圧を提供するために、各電極を電源に接触させることができる。適切な極性の電圧がヘテロ構造にわたって印加されるとき、ヘテロ構造の発光層によってエレクトロルミネッセンスを生じさせることができる。第一層3は、複数の半導体ナノクリスタル、例えばナノクリスタルの実質的な単分散集団を含むことができる。別法として、別個の発光層が、複数のナノクリスタルを含むことができる。ナノクリスタルを含む層は、ナノクリスタルの単層とすることができる。
【0027】
半導体ナノクリスタルを含む発光デバイスは、HTL有機半導体分子及び半導体ナノクリスタルを含む溶液をスピンキャストすることによって作成することができ、HTLは、相分離によって半導体ナノクリスタル単層の下に形成された(例えば、どちらも2003年3月28日出願の米国特許第10/400,907号及び10/400,908号参照。各特許文献の全体を引用により取り込む)。この相分離技法は、有機半導体HTLとETLとの間に半導体ナノクリスタルの単層を再現可能に配置し、それにより半導体ナノクリスタルの好ましい発光性質を効果的に活用し、それと共に、電気的性能へのそれらの影響を最小限にした。この技法によって作成されたデバイスは、溶媒中の不純物によって、且つ半導体ナノクリスタルと同一の溶媒に可溶な有機半導体分子を使用する必要性によって制限された。相分離技法は、HTLとHILとの両方の上に半導体ナノクリスタルの単層を堆積するのには不適であった(溶媒が、下にある有機薄膜を破壊するため)。また、相分離方法は、同一基板上で、異なる色を発光する半導体ナノクリスタルの位置の制御を可能にしなかった。同様に、相分離方法は、同一基板上への、異なる色を発光するナノクリスタルのパターニングを可能にしなかった。
【0028】
基板を、不透明又は透明にすることができる。基板を、剛性又は可撓性にすることができる。基板を、プラスチック、金属、又はガラスとすることができる。第一電極は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)層など、高い仕事関数の正孔注入導体とすることができる。他の第一電極物質には、ガリウムインジウムスズオキシド(gallium indium tin oxide)、亜鉛インジウムスズオキシド(zinc indium tin oxide)、窒化チタン、又はポリアニリンを含むことができる。第二電極は、例えば、Al、Ba、Yb、Ca、リチウムアルミニウム合金(Li:Al)、又はマグネシウム銀合金(Mg:Ag)など、低い仕事関数(例えば4.0eV未満)の電子注入金属とすることができる。Mg:Agなどの第二電極は、不透明保護金属層、例えば大気の酸化から陰極層を保護するためのAgの層で、又は実質的に透明なITOの比較的薄い層で被覆することができる。第一電極は、約500オングストロームから4000オングストロームの厚さを有することができる。第一層は、約50オングストロームから約1000オングストロームの厚さを有することができる。第二層は、約50オングストロームから約1000オングストロームの厚さを有することができる。第二電極は、約50オングストロームから約1000オングストロームよりも大きい厚さを有することができる。
【0029】
電子輸送層(ETL)は、分子マトリックスとすることができる。分子マトリックスは、非重合性にすることができる。分子マトリックスは、小さな分子、例えば金属錯体を含むことができる。例えば、金属錯体は、8−ヒドロキシキノリンの金属錯体とすることができる。8−ヒドロキシキノリンの金属錯体は、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛、又はマグネシウム錯体、例えばアルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン)(Alq3)とすることができる。ETLにおける他の種類の物質には、金属チオキシノイド化合物、オキサジアゾール金属キレート、トリアゾール、セキシチオフェン誘導体、ピラジン、及びスチリルアントラセン誘導体を含むことができる。正孔輸送層は、有機発色団を含むことができる。有機発色団は、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)など、フェニルアミンとすることができる。HTLは、ポリアニリン、ポリピロール、ポリ(フェニレンビニレン)、銅フタロシアニン、芳香族第三級アミン若しくは多核芳香族第三級アミン、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニル化合物、又はN,N,N’,N’−テトラアリールベンジジンを含むことができる。
【0030】
層は、スピンコーティング、浸漬コーティング、蒸着、又は他の薄膜堆積方法によって、一つの電極の表面上に堆積させることができる。例えば、M. C. Schlampらの論文J. Appl. Phys., 82, 5837-5842, (1997);V. Santhanamらの論文Langmuir, 19, 7881-7887, (2003);及びX. Linらの論文J.Phys. Chem. B, 105, 3353-3357, (2001)を参照のこと(各文献の全体を引用により取り込む)。第二電極は、間に挟む、スパッターさせる、又は固体層の曝露表面上に蒸着させることができる。電極の一方又は両方をパターニングすることができる。デバイスの電極は、導電路によって電圧源に接続することができる。電圧を印加すると、光がデバイスから発生する。
【0031】
マイクロコンタクト印刷が、基板上の事前定義された領域に物質を塗布する方法を提供する。例えば、A. Kumar及びG. Whitesidesの論文Applied Physics Letters, 63, 2002-2004, (1993);及びV. Santhanam及びR. P. Andresの論文Nano Letters, 4, 41-44, (2004)を参照のこと(各文献の全体を引用により取り込む)。事前定義領域は、物質が選択的に塗布される基板上の領域である。物質及び基板は、物質が事前定義域内部に実質的に完全に残るように選択され得る。パターンを成す事前定義領域を選択することによって、物質がパターンを成すように、物質を基板に塗布することができる。パターンは、規則パターン(アレイや一連のラインなど)、又は不規則パターンにすることができる。物質のパターンが基板上に形成されると、基板は、物質を含む領域(事前定義領域)と、物質を実質的に含まない領域とを有することができる。いくつかの状況では、物質は、基板上に単層を形成する。事前定義領域は、不連続領域とすることができる。即ち、物質が基板の事前定義領域に塗布されるとき、物質を含む位置を、物質を実質的に含まない他の位置によって分離することができる。
【0032】
一般に、マイクロコンタクト印刷は、パターンモールドを形成することから始まる。モールドは、隆起部と窪み部のパターンを有する表面を有する。例えば、パターンモールド表面に接触しながら硬化される液体ポリマー前駆体で、モールドのパターン表面を被覆することによって、隆起部と窪み部の相補パターンを有するスタンプが形成される。次いで、スタンプにインク付けすることができる。即ち、スタンプが、基板上に堆積されるべき物質に接触される。物質は、スタンプに可逆に接着される。次いで、インク付きスタンプが、基板に接触される。スタンプの隆起領域は、基板に接触することができ、スタンプの窪み領域は、基板から離すことができる。インク付きスタンプが基板に接触するとき、インク物質(又は少なくともその一部)が、スタンプから基板に転写される。このようにして、隆起部と窪み部のパターンが、基板上で物質を含む領域と物質を含まない領域として、スタンプから基板に転写される。マイクロコンタクト印刷及び関連の技法は、例えば米国特許第5,512,131号、第6,180,239号、第6,518,168号に記載されており、各特許文献の全体を引用により取り込む。
【0033】
図2に、マイクロコンタクト印刷プロセスにおける基本ステップを概説する流れ図を示す。まず、シリコン表面上にパターン、例えば隆起部と窪み部のパターンを画定する標準的な半導体処理技法を使用して、シリコンマスタが作成される(別法として、無パターン堆積の場合には、ブランクSiマスタを使用することができる)。次いで、ポリジメチルシロキサン(PDMS、例えばSylgard 184)前駆体が混合され、脱気され、マスタ上に注ぎ込まれ、再び脱気され、かつ室温(又は、より速い硬化時間のために、室温よりも高い温度)で硬化される(ステップ1)。次いで、シリコンマスタのパターンを含む表面を有するPDMSスタンプが、マスタから外され、所望の形状及びサイズに切断される。次いで、このスタンプを、表面化学層を用いて任意に改質することができ、これは、必要に応じてインクを容易に接着及び解除できるように選択される(ステップ2)。表面化学層は、インク溶媒によるスタンプ膨化に対する障壁、及びインク用の接着/解除層とすることができる。化学蒸着によって堆積される芳香族有機ポリマーを、表面化学層として使用することができる。例えば、S. Coe-Sullivanらの論文Advanced Functional Materials, 15, 1117-1124 (2005)を参照されたい(その全体を引用により取り込む)。化学蒸着による表面化学層の塗布は、成型されたスタンプのコンフォーマルコーティング(conformal coating)を得ることができる。表面化学層は、クロロホルム溶媒和インクの拡散に適合するように選択することができる。次いで、インクがスタンプに塗布される(ステップ3)。次いで、インク付きスタンプを基板に接触させることができ、穏やかな圧力を30秒間印加して、新たな基板にインクを転写する(ステップ4)。
【0034】
インクはナノ物質を含むことができる。ナノ物質は、100nmよりも小さな寸法を有する任意の物質であってよい。ナノ物質は、例えば、ナノ粒子(例えば、シリカナノ粒子、チタニアナノ粒子、又は金属ナノ粒子)、半導体ナノクリスタル、ナノチューブ(単層又は多層カーボンナノチューブ)、ナノワイヤ、ナノロッド、又はポリマーとすることができる。
【0035】
例えば、表面化学層は、化学蒸着されたパリレンC層とすることができる。パリレンC層は、例えば、複写されるべきパターンに応じて、0.1〜2μmの厚さにすることができる(ステップ2)。次いで、このスタンプは、半導体ナノクリスタルの溶液のスピンキャスティングによってインク付けされる(ステップ3)。溶液は、例えば、クロロホルム中に分散された濃度1〜10mg/mLの半導体ナノクリスタルを有することができる。濃度は、所望の結果に応じて変えることができる。次いで、インク付きスタンプを基板に接触させることができ、穏やかな圧力を30秒間印加して、新たな基板にインク(即ち、半導体ナノクリスタル単層)を完全に転写する(ステップ4)。図2A及び2Bに、ITO被覆ガラス基板の準備を示す。有機半導体を含む正孔輸送及び/又は正孔注入層(それぞれHTL及びHIL)が、ITO基板上に熱蒸着される。パターン半導体ナノクリスタル単層は、このHTL層に転写され、次いで、デバイスの残りの部分(例えば、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、及び金属コンタクト)を追加することができる(ステップ5)。
【0036】
図3に、基板上に物質のパターンを形成するためのシステムを示す。液体アプリケータ100が、インク滴110を提供し、インク滴110が、スタンプ135の印刷表面130上にインクスポット120を形成する。インク滴110は、連続的又は断続的に塗布することができる。連続塗布は、基板上に連続インクフィーチャを成すことができ、一方、断続塗布は、基板上へのインクパターンの形成を行うことができる。パターンの性質は、アプリケータ100によって塗布されるタイミング及びインク滴サイズを制御することによって制御することができる。スタンプ135は、例えば、回転ドラム140の円周に取り付けられた円筒形スタンプとすることができる。スタンプ135(テクスチャ又はフィーチャレススタンプとすることができる)は、基板150の表面155に接点160で接触する。回転ドラム140が回転するとき(曲線の矢印によって示される)、インクスポット120が接点160に到達し、そこでインクスポット120は、(直線の矢印によって示される方向に移動する)基板150の表面155に転写される。ドラム140及びスタンプ135は、インクスポット120の転写を容易にするために、接点160で基板150に圧力を印加するように構成することができる。システムは、連続的に動作させることができる。
【0037】
電子及び正孔がナノクリスタル上に局在するとき、発光波長で発光を起こすことができる。発光は、量子閉じ込め半導体物質のバンドギャップに対応する周波数を有する。バンドギャップは、ナノクリスタルのサイズに依存する。小さな直径を有するナノクリスタルは、分子とバルク形態の物質との中間の性質を有することができる。例えば、小さな直径を有する半導体物質に基づくナノクリスタルは、3次元すべてにおいて電子と正孔との両方の量子閉じ込めを示すことができ、結晶サイズの減少に伴い、物質の有効なバンドギャップを増加させる。それゆえ、結晶のサイズが小さくなるにつれて、ナノクリスタルの吸光と発光との両方が、青色へ、又はより高いエネルギーへシフトする。
【0038】
ナノクリスタルからの発光は、狭いガウス発光バンド(Gaussian emission band)とすることができ、ナノクリスタルのサイズ、ナノクリスタルの組成、又はその両方を変化させることによって、紫外領域、可視領域、又は赤外領域のスペクトルの全波長範囲にわたって調整することができる。例えば、CdSeは、可視領域において調整することができ、InAsは、赤外領域において調整することができる。ナノクリスタルの集団の狭いサイズ分布は、狭いスペクトル範囲での発光を生じさせることができる。集団は、単分散にすることができ、ナノクリスタルの直径について15%rms未満の偏差、好ましくは10%未満の偏差、より好ましくは5%未満の偏差を示すことができる。半値全幅(FWHM)が約75nm以下、好ましくは60nm、より好ましくは40nm、最も好ましくは30nmの狭い範囲でのスペクトル発光を観察することができる。発光の幅は、ナノクリスタル直径の分散性が減少するにつれて縮小する。半導体ナノクリスタルは、例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%よりも大きい、高い発光量子効率を有することができる。
【0039】
ナノクリスタルを形成する半導体には、II−VI族の化合物、II−V族の化合物、III−VI族の化合物、III−V族の化合物、IV−VI族の化合物、I−III−VI族の化合物、II−IV−VI族の化合物、又はII−IV−V族の化合物、例えばZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はそれらの混合物を含めることができる。
【0040】
単分散半導体ナノクリスタルの調製方法は、高温の配位溶媒に注入されるジメチルカドミウムなど有機金属試薬の熱分解を含む。これは、離散的な核形成を可能にし、巨視量のナノクリスタルの制御された成長をもたらす。ナノクリスタルの調製及び操作は、例えば米国特許第6,322,901号及び第6,576,291号、並びに米国特許出願第60/550,314号に記載されており、各特許文献の全体を引用により取り込む。ナノクリスタルの製造方法は、コロイド成長プロセスである。コロイド成長は、Mドナー及びXドナーを高温配位溶媒に急速に注入することによって生じる。この注入は、核を生成し、核は、ナノクリスタルを形成するために、制御された様式で成長させることができる。反応混合物は、ナノクリスタルを成長させ、且つアニールするために、穏やかに加熱することができる。サンプル中のナノクリスタルの平均サイズとサイズ分布との両方が、成長温度に依存する。安定した成長を維持するために必要な成長温度は、平均結晶サイズの増加に伴って増加する。ナノクリスタルは、ナノクリスタルの集団のメンバーである。離散的な核形成及び制御された成長の結果、得られるナノクリスタルの集団は、狭い単分散の直径分布を有する。単分散の直径分布は、サイズと呼ぶこともできる。核形成に続く、配位溶媒中でのナノクリスタルの制御された成長及びアニーリングのプロセスは、一様な表面誘導体化及び規則的なコア構造を生じさせることもできる。サイズ分布が鋭くなるにつれて、安定した成長を維持するために、温度を上昇させることができる。より多くのMドナー又はXドナーを添加することによって、成長期間を短縮することができる。
【0041】
Mドナーは、無機化合物、有機金属化合物、又は元素金属とすることができる。Mは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、又はタリウムである。Xドナーは、Mドナーと反応して一般式MXを有する物質を生成することができる化合物である。通常、Xドナーは、カルコゲニドドナー又はプニクタイドドナー、例えば、ホスフィンカルコゲニド、ビス(シリル)カルコゲニド、二酸素、アンモニウム塩、又はトリス(シリル)プニクタイドである。適切なXドナーは、二酸素、ビス(トリメチルシリル)セレニド((TMS)2Se)、トリアルキルホスフィンセレニド(例えば(トリ−n−オクチルホスフィン)セレニド(TOPSe)又は(トリ−n−ブチルホスフィン)セレニド(TBPSe)など)、トリアルキルホスフィンテルリド(例えば(トリ−n−オクチルホスフィン)テルリド(TOPTe)又はヘキサプロピルホスホラストリアミドテルリド(HPPTTe)など)、ビス(トリメチルシリル)テルリド((TMS)2Te)、ビス(トリメチルシリル)スルフィド((TMS)2S))、トリアルキルホスフィンスルフィド(例えば(トリ−n−オクチルホスフィン)スルフィド(TOPS)など)、アンモニウム塩(例えばハロゲン化アンモニウム(例えばNH4Cl)など)、トリス(トリメチルシリル)ホスフィド((TMS)3P)、トリス(トリメチルシリル)アルセニド((TMS)3As)、又はトリス(トリメチルシリル)アンチモニド((TMS)3Sb)を含む。特定の実施態様では、Mドナー及びXドナーは、同一分子内の成分とすることができる。
【0042】
配位溶媒は、ナノクリスタルの成長の制御に役立たせることができる。配位溶媒は、ドナー孤立電子対を有する化合物であり、例えば、成長するナノクリスタルの表面に配位するのに利用できる孤立電子対を有する。溶媒配位は、成長するナノクリスタルを安定化させることができる。代表的な配位溶媒としては、アルキルホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、アルキルホスホン酸、又はアルキルホスフィン酸があるが、ピリジン、フラン、及びアミンなどの他の配位溶媒も、ナノクリスタルの生成に適していることがある。適切な配位溶媒の例としては、ピリジン、トリ−n−オクチルホスフィン(TOP)、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)、及びトリス−ヒドロキシルプロピルホスフィン(tHPP)がある。工業用のTOPOを使用することができる。
【0043】
反応の成長段階中のサイズ分布は、粒子の吸収線幅をモニタリングすることによって評価することができる。粒子の吸収スペクトルの変化に応じた反応温度の修正により、成長中、鋭い粒子サイズ分布の維持が可能になる。より大きな結晶を成長させるために、結晶成長中に、核形成溶液に反応物を添加することができる。特定のナノクリスタル平均直径で成長を停止させ、半導体物質の適切な組成を選択することによって、ナノクリスタルの発光スペクトルは、300nm〜5ミクロンの波長範囲にわたって、又はCdSe及びCdTeについては400nm〜800nmにわたって連続的に調整することができる。ナノクリスタルは、150Å未満の直径を有する。ナノクリスタルの集団は、15Å〜125Åの範囲の平均直径を有する。
【0044】
ナノクリスタルは、狭いサイズ分布を有するナノクリスタルの集団のメンバーであってよい。ナノクリスタルは、球形、棒状、円盤状、又は他の形状であってよい。ナノクリスタルは、半導体物質のコアを含むことができる。ナノクリスタルは、式MXを有するコアを含むことができ、ここでMは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、又はそれらの混合物であり、Xは、酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、又はそれらの混合物である。
【0045】
コアは、該コアの表面上にオーバーコーティングを有することができる。オーバーコーティングは、コアの組成物とは異なる組成物を有する半導体物質であってもよい。ナノクリスタルの表面上の半導体物質のオーバーコートは、II−VI族の化合物、II−V族の化合物、III−VI族の化合物、III−V族の化合物、IV−VI族の化合物、I−III−VI族の化合物、II−IV−VI族の化合物、又はII−IV−V族の化合物、例えばZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はそれらの混合物を含むことができる。例えば、ZnS、ZnSe、又はCdSオーバーコーティングを、CdSe又はCdTeナノクリスタル上に成長させることができる。オーバーコーティングプロセスは、例えば米国特許第6,322,901号に記載されている。オーバーコーティング中に反応混合物の温度を調節し、コアの吸収スペクトルをモニタリングすることによって、高い発光量子効率と狭いサイズ分布とを有するオーバーコート物質を得ることができる。オーバーコーティングは、1〜10層の単層の厚さとすることができる。
【0046】
粒子サイズ分布は、米国特許第6,322,901号に記載されている、メタノール/ブタノールなどナノクリスタルに対する貧溶媒を用いるサイズ選択的沈殿法によって、さらに精製することができる。例えば、ナノクリスタルは、10%ブタノールのヘキサン溶液中に分散させることができる。メタノールは、乳光が持続するまで、攪拌溶液に滴下して加えることができる。遠心分離による上清と凝集物との分離により、サンプル中の最大結晶に富んだ沈殿物が生成される。この手順を、吸光スペクトルのさらなる鋭利化が認められなくなるまで繰り返すことができる。サイズ選択的沈殿法は、ピリジン/ヘキサン及びクロロホルム/メタノールを含めた種々の溶媒/非溶媒のペアで実施することができる。サイズ選択されたナノクリスタル集団は、平均直径から15%rms以下の偏差、好ましくは10%rms以下の偏差、より好ましくは5%rms以下の偏差を有することができる。
【0047】
ナノクリスタルの外部表面は、成長プロセス中に使用された配位溶媒から誘導される化合物の層を含むことができる。過剰な競合配位基へ繰り返し曝露することによって表面を改質して、被覆層を形成することができる。例えば、覆われたナノクリスタルの分散は、ピリジンなどの配位性有機化合物を用いて処理することができ、ピリジン、メタノール、及び芳香族中では容易に分散し、しかし脂肪族溶媒中ではもはや分散しない結晶を生成する。そのような表面交換プロセスは、例えばホスフィン、チオール、アミン、及びリン酸塩を含めた、ナノクリスタルの外部表面と配位、又は結合できる任意の化合物を用いて実施することができる。ナノクリスタルは、表面に対して親和性を示し、且つ懸濁液又は分散媒体に対して親和性を有する成分で終わる短鎖ポリマーに曝露させることができる。そのような親和性は、懸濁液の安定性を改善し、ナノクリスタルの凝集を妨げる。ナノクリスタル外層は、米国特許第6,251,303号に記載されており、その全体を引用により取り込む。
【0048】
より具体的には、配位子が、次式を有することができる。
【化1】

式中、kは、2、3、又は5であり、nは、k−nが0未満にならないような1、2、3、4、又は5であり;Xは、O、S、S=O、SO、Se、Se=O、N、N=O、P、P=O、As、又はAs=Oであり;Y及びLはそれぞれ、独立して、アリール、ヘテロアリール、或いは少なくとも一つの二重結合、少なくとも一つの三重結合、又は少なくとも一つの二重結合及び一つの三重結合を任意に含む直鎖状の、又は分岐したC2−12炭化水素鎖である。炭化水素鎖は、一種以上のC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C3−5シクロアルキル、3〜5員環ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、又はホルミルによって任意に置換することができる。また、炭化水素鎖は、−O−、−S−、−N(R)−、−N(R)−C(O)−O−、−O−C(O)−N(R)−、−N(R)−C(O)−N(R)−、−O−C(O)−O−、−P(R)−、又は−P(O)(R)−によって任意に中断することができる。R及びRはそれぞれ、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、又はハロアルキルである。
【0049】
アリール基は、置換又は非置換の環状芳香族基である。例としては、フェニル、ベンジル、ナフチル、トリル、アントラシル、ニトロフェニル、又はハロフェニルがある。ヘテロアリール基は、環の中に一つ以上のヘテロ原子を有するアリール基であり、例えばフリル、ピリジル、ピロリル、フェナントリルである。
適切な配位子を、商業的に購入することができ、又は、例えばAdvanced Organic Chemistry, J. March(その全体を引用により取り込む)に記載されている通常の合成有機技法によって調製することができる。
【0050】
透過型電子顕微鏡(TEM)が、ナノクリスタル集団のサイズ、形状、及び分布に関する情報を提供することができる。粉末X線回折(XRD)パターンが、ナノクリスタルの結晶構造のタイプ及び質に関する最も完全な情報を提供することができる。また、粒子径は、X線コヒーレンス長を介してピーク幅に反比例するので、サイズの評価も可能である。例えば、ナノクリスタルの直径は、透過型電子顕微鏡によって直接測定することができ、又は、例えばシェラーの式を使用してX線回折データから評価することができる。また、UV/Vis吸収スペクトルから評価することもできる。
【0051】
デバイスは、製造プロセス中のルミネッセンス効率の低下を防止する、制御された(酸素を含まず、且つ水分を含まない)環境内で行うことができる。デバイス性能を改善するために、他の多層構造を使用することもできる(例えば、米国特許出願第10/400,908号及び第10/400,908号を参照のこと。それら各特許文献の全体を引用により取り込む)。電子ブロッキング層(EBL)、正孔ブロッキング層(HBL)、又は正孔及び電子ブロッキング層(eBL)などのブロッキング層を構造内に導入することができる。ブロッキング層は、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−ターシャリー−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、3,4,5−トリフェニル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ビス(4−ターシャリー−ブチルフェニル)−4−フェニル−1,2,4−トリアゾール、バトクプロイン(BCP)、4,4’,4”−トリス{N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ}トリフェニルアミン(m-MTDATA)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、1,3−ビス(5−(4−ジフェニルアミノ)フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ベンゼン、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−ターシャリー−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,3−ビス[5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン、1,4−ビス(5−(4−ジフェニルアミノ)フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ベンゼン、又は1,3,5−トリス[5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼンを含むことができる。
【0052】
有機発光デバイスの性能は、それらの効率を高めること、それらの発光スペクトルを狭める、又は広げること、或いはそれらの発光を偏光させることによって改善することができる。例えば、Bulovicらの論文Semiconductors and Semimetals 64, 255 (2000)、Adachiらの論文Appl. Phys. Lett. 78, 1622 (2001)、Yamasakiらの論文Appl. Phys. Lett. 76, 1243 (2000)、Dirrらの論文Jpn. J. Appl. Phys. 37, 1457 (1998)、及びD'Andradeらの論文MRS Fall Meeting, BB6.2 (2001)を参照のこと(各文献の全体を引用により取り込む)。ナノクリスタルは、効率の良いハイブリッド有機/無機発光デバイス内に含めることができる。
【0053】
ナノクリスタルの狭いFWHMは、飽和色の発光を生じることができる。これは、ナノクリスタル発光デバイスにおいて赤外及びUV発光へ光子が損失されないので、可視スペクトルの赤色及び青色部分でさえ効率の良いナノクリスタル発光デバイスをもたらすことができる。単一物質システムの可視スペクトル全体にわたる、広く調整可能な飽和色発光は、どのような種類の有機発色団とも一致しない(例えば、Dabbousiらの論文J. Phys. Chem. 101, 9463 (1997)参照。その全体を引用により取り込む)。ナノクリスタルの単分散集団は、狭い波長範囲にわたる光を放射する。複数のサイズのナノクリスタルを含むデバイスは、複数の狭い波長範囲内の光を放射することができる。観察者によって知覚される発光色は、デバイスにおけるナノクリスタルサイズと物質との適切な組合せを選択することによって制御することができる。さらに、共有結合的に結合した無機ナノクリスタルの耐環境安定度は、ナノクリスタルが発光中心として使用されるときに、ハイブリッド有機/無機発光デバイスのデバイス寿命がすべての有機発光デバイスのデバイス寿命に一致する、又はそれを上回ることを示唆している。ナノクリスタルのバンド端のエネルギー準位の縮退は、直接電荷注入によって生成されるにせよ、エネルギー移動によって生成されるにせよ、すべての生じ得る励起子の捕捉及び放射再結合を容易にする。したがって、理論上最大のナノクリスタル発光デバイス効率は、リン光性の有機発光デバイスの単一効率に匹敵する。ナノクリスタルの励起状態寿命(τ)は、典型的なリン光体(τ>0.5μs)よりもはるかに短く(τ〜10ns)、高電流密度でさえナノクリスタル発光デバイスが効率良く動作できるようにする。
【0054】
可視光又は赤外光を放射するデバイスを準備することができる。半導体ナノクリスタルのサイズ及び物質は、選択された波長の可視光又は赤外光をナノクリスタルが放射するように選択することができる。波長は、300nm〜2500nm以上の間、例えば300nm〜400nmの間、400nm〜700nmの間、700nm〜1100nmの間、1100nm〜2500nmの間、又は2500nmよりも大きくすることができる。
【0055】
ディスプレイを形成するために、個々のデバイスを、単一基板上の複数の位置に形成することができる。ディスプレイは、様々な波長で放射するデバイスを含むことができる。様々な色の発光半導体ナノクリスタルのアレイを基板にパターニングすることにより、様々な色の画素を含むディスプレイを形成することができる。いくつかの適用例では、基板は、バックプレーンを含むことができる。バックプレーンは、個々の画素への電力を制御する、又は切り換えるための能動又は受動電子回路を含む。バックプレーンを含むことは、ディスプレイ、センサ、又は撮像装置などの用途で有用になることがある。特に、バックプレーンは、アクティブマトリックス、パッシブマトリックス、固定フォーマット、ダイレクトドライブ(directly drive)、又はハイブリッドとして構成することができる。ディスプレイは、静止画像用、動画用、又は照明用に構成することができる。照明ディスプレイは、白色光、単色光、又は色調整可能な光を提供することができる。
【実施例】
【0056】
図4に、原子力顕微鏡(AFM)によって測定されるマイクロコンタクト印刷プロセスの各ステップで観察される表面レリーフ(relief)を示す。図4Aは、平坦(無パターン)マスタ上にキャストされたときのPDMSスタンプ自体の平坦性を示す。図4B及び4Cは、それぞれ、半導体ナノクリスタルを用いてインク付けされたスタンプと、有機半導体正孔輸送層上に転写された半導体ナノクリスタルとを示す。半導体ナノクリスタルは、図4Cの表面積の30〜40%を覆うサブ単層(即ち、利用可能な領域を完全には覆わない単層)を形成した。個々の半導体ナノクリスタルは、それらが他の半導体ナノクリスタルから隔離されているときにのみ観察することができたが、図4B及び4Cでは、サブ単層を形成する半導体ナノクリスタルの島を見ることができた。図4B及び4Cで観察される全体のピーク間高さは10nm未満であり、堆積が実際にはただ一層の単層の厚さであったことを示す(この実験で使用された半導体ナノクリスタルは、直径6〜8nmであった)。90%よりも大きな被膜領域被覆率を有する単層は、スタンプにインク付けするために使用された元のクロロホルム溶液中の半導体ナノクリスタルの濃度を高めることによって実現された。
【0057】
対照的に、半導体ナノクリスタルのマイクロコンタクト印刷は、デバイス製造に不純物を導入しない乾燥プロセスであった(即ち、溶媒を必要としない)。デバイス内の有機層すべてが、超高真空条件下で堆積された。有機層は、半導体ナノクリスタル層の堆積のための窒素環境に一度だけ曝露された。有機半導体物質はいずれも、デバイス製造のどのステップにおいても溶媒に曝露されなかった。半導体ナノクリスタル堆積に続いて、正孔ブロッキング層(HBL)である3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−ターシャリー−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)と、ETLであるトリス−(8ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)と、最後に、蒸着Mg:Ag/Ag陰極(重量で50:1のMg:Ag)とが連続して堆積された。
【0058】
図5は、半導体ナノクリスタルマイクロコンタクト印刷技法を使用して製造された赤色、緑色、及び青色発光デバイスに関するデバイス特性を示す。赤色、緑色、及び青色発光半導体ナノクリスタルはすべて、正孔輸送物質4−4’−N,N’−ジカルバゾリル−ビフェニル(CBP)の熱蒸着薄膜上に個別に印刷された。
【0059】
図5A〜5Dに、赤色、緑色、及び青色発光デバイスのデバイス特性を示す。赤色、緑色、及び青色発光デバイスのエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルが、個々の赤色、緑色、及び青色デバイスの撮影されたデジタル写真と共に図5Aに示されている。外部量子効率及び電流電圧曲線が、それぞれ図5B及び5Cに表されている。各プロットのラインの色は、デバイスが放射する光の色に対応する。図5Dは、当該のデバイスによって放射されるそれらの色が、HDTV標準色三角形に対してCIE色度図上でどこにあるかを示す。
【0060】
半導体ナノクリスタルに対する前作業は、HTLとしてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)を採用した。これは、多くの他のHTL候補と比較して、(半導体ナノクリスタルに適合する溶媒である)クロロホルム及びクロロベンゼン中でのTPDの可溶性が良いためである。マイクロコンタクト印刷方法は、HTL/HIL物質が半導体ナノクリスタルに適合する溶媒であることを必要としない。したがって、他のHTL/HIL物質が調査され、広いバンドギャップの有機半導体CBPが採用された。図5A及び5Dで見ることができるように、より大きなバンドギャップのCBP分子は、デバイスにおいて、はるかに良い色飽和を生み出した。色飽和は、色が肉眼に対してどれだけ純粋に見えるかを表し、Commision International d'Eclarirage(CIE)色度座標で定量され、発光波長及び帯域幅(半値全幅)から計算され、次いで、それを図5Dに示されるようにCIE図にプロットすることができる。
より大きな色飽和は、CBPの使用と共にここで利用可能な、より大きなダウンヒルエネルギー移動プロセス(downhill energy transfer process)に起因させることができ、これは、有機発光の強度の減少、及び半導体ナノクリスタル発光の強度の増加をもたらし、半導体ナノクリスタルELと有機ELとの間でのより大きな比率をもたらす。
【0061】
赤色及び緑色半導体ナノクリスタルデバイスの優れた色飽和は、図5Dで見られるように、現行の高精細度テレビジョン(HDTV)標準色三角形に対するCIE図でのそれらの位置によって表された。青色デバイスのCIE色座標は、HDTV標準色三角形のすぐ内側に位置し、これは、青色デバイスのELスペクトルに見られる赤色の尾(tail)の結果であった(図5A)。この赤色の尾は、エキシプレックス発光、即ち本発明のデバイス構造における二つの大きなバンドギャップHTLとHBLとの間の混合状態の結果であることがある。このエキシプレックス発光は、赤色デバイスでは見られなかった。これは、おそらく、エキシプレックスからのそれらのエネルギー状態が、赤色発光半導体ナノクリスタルにForsterエネルギー移動されるからである。緑色デバイスは、このエキシプレックス発光をごく少量のみ示した。これは、おそらく、HTLをHBLから分ける緑色発光半導体ナノクリスタルの単層の被膜被覆率の高い度合い、したがってそれらの相互作用、並びにナノクリスタル自体の高いPL量子効率(40%)に因るものであり、これは、有機エキシプレックスELに比べて大きなナノクリスタルEL強度に寄与する。別の寄与因子は、デバイスが高電流(約100μA)で動作するときに、エキシプレックス発光ピークが約620nmから約520nmにシフトすることであり、これは、緑色ナノクリスタル発光ピークのちょうど上であり、緑色ナノクリスタル発光によって完全に覆われるか、又は緑色発光ナノクリスタルにForsterエネルギー移動される。青色デバイスは、青色発光半導体ナノクリスタルPL量子効率が増加するにつれて(現行では20%)改善される。図5Bは、赤色、緑色、及び青色半導体ナノクリスタルデバイスの外部量子効率(EQE)を示し、デバイスのEQEが、半導体ナノクリスタルのPL量子効率とどのようにスケールするかを示す。現行では、赤色発光デバイスのEQEは、デバイス使用のための加工及び準備の後に、70%のPL量子効率を有する半導体ナノクリスタルを使用して1.2%であった。緑色発光ナノクリスタルデバイスは、40%のPL量子効率を有する半導体ナノクリスタルを使用して0.5%のEQEを有した。青色EQEは、20%のPL量子効率を有する半導体ナノクリスタルを使用して0.25%であった。ナノクリスタルデバイスの3色すべてが、2〜5Vのターンオン電圧、及び8〜12Vの動作電圧で、図5Cに見られるように再現可能であり安定な電流電圧(IV)特性を有した。ディスプレイ輝度(100cd/m)は、ナノクリスタル発光デバイスの3色すべてに関して、約2mA/cm及び約10Vで実現された。
【0062】
半導体ナノクリスタルマイクロコンタクト印刷技法は、あるパターンで同一基板上に異なる色の発光半導体ナノクリスタルを配置することができるようにし、全色ディスプレイ適用例のための画素の形成に通じる。全色ディスプレイに関する画素寸法は、典型的には20〜30μm程度である。パターン半導体ナノクリスタル発光デバイスは、100μm未満のスケールで形成することができる。図6Aは、同一の1インチ基板上で、赤色発光半導体ナノクリスタルの領域の隣に緑色発光半導体ナノクリスタルの領域をスタンプした結果を示す。図6Aでオンに切り換えられた三つのデバイスは、隣接する赤色及び緑色発光デバイスと、半導体ナノクリスタルがスタンプされなかった領域上のデバイス(即ち、構造ITO/CBP/TAZ/Alq3/Mg:Ag/Agを有する有機LED)とであった。
【0063】
図6Bは、ナノクリスタル発光ディスプレイに関する画素化に向けた、100μm以下のパターニングを実現するためのこの技法の実際上の可能性を示す。図6Bに示されるデバイスを形成するために、緑色発光半導体ナノクリスタルが、全領域にわたってスタンプされた。その後、次いで赤色発光半導体ナノクリスタルが、ポストでパターニングされたスタンプを使用して、緑色発光ナノクリスタルの上にスタンプされた。ポストは、高さが5μm、直径が90μmであった。オンに切り換えられたデバイスは、直径が0.5mmであり、このデバイス内部で見ることができる赤色の円は、100μm以下でパターニングされた赤色発光半導体ナノクリスタルである。マイクロコンタクト印刷は、サブミクロンフィーチャをパターニングするために使用することができる(例えば、米国特許第5,512,131号;第6,180,239号;第6,518,168号参照。これらの各特許文献を引用により取り込む)。図6Cは、半導体ナノクリスタル単層のパターンラインを示す。そのような技法は、全色アクティブマトリックスナノクリスタル発光デバイスディスプレイの製造で採用することができる。スタンプは、高さ1μm、幅100μmのラインでパターニングされた。このパターンスタンプを使用して緑色発光ナノクリスタルをスタンプし、陰極(Mg:Ag/Ag)のサイズによってデバイスを画定することによって1mmの領域をオンに切り換えた結果、緑色ナノクリスタルの発光が生じ、100μm幅のラインとして見ることができ、スタンプライン間の領域にナノクリスタルが存在しないゆえ、青色有機ELが間に散在している。
【0064】
印刷されたナノクリスタル単層は、いずれも同一の積層薄膜構造:ITO/CBP(厚さ40nmの層)/ナノクリスタル単層/TAZ(15nm)/Alq3(25nm)/Mg:Ag/Ag(図7D挿入図参照)を有する図7Aに図示される赤色、緑色、及び青色デバイスでエレクトロルミネッセンスを発生した。図7Cは、有機正孔輸送層上にスタンプされた後のナノクリスタル単層のAFM画像である。図7Aに図示されるデバイスとの唯一の相違は、ナノクリスタルのサイズ及び組成によって決定されるナノクリスタル単層の発光色である。有機及び金属被膜はすべて、10−6Torrで熱蒸着された。図7F及び7Gは、150nm幅のナノクリスタル単層パターン(図7E)と同様に、LED画素の25μm(1000dpi)パターニングが実現されたことを示す。図7Gでは、赤色及び緑色ナノクリスタル単層の25μm幅の交差ストライプが、CBPをTPD(厚さ40nm)で置き換えたLED構造内で、互いの上にスタンプされた。図7Hは、マイクロコンタクト印刷を用いた多色領域パターニングを示す、動作状態のナノクリスタルLEDの写真である。同一基板上の二つの隣接する領域が、赤色及び緑色発光ナノクリスタルの単層をスタンプされた。三つの異なるデバイス、即ち、赤色発光ナノクリスタルがスタンプされた領域の上に形成されたデバイスと、緑色発光ナノクリスタルがスタンプされた領域の上のデバイスと、ナノクリスタルがスタンプされなかった領域(青色ルミネッセンス)の上のデバイスとがオンに切り換えられた。赤色及び緑色ナノクリスタルと青色TPDとのエレクトロルミネッセンスは、LEDが5Vでバイアスされたときに同時に観察された。
【0065】
ナノクリスタル単層の無溶媒堆積が、正孔輸送層として、熱蒸着有機半導体CBPの使用を可能にした。CBPの広いバンドギャップは、より効率の良い電荷閉じ込めと、LEDの色飽和の改善とに寄与し、それぞれ青色、緑色、及び赤色LEDについてCIE座標(0.18,0.13)、(0.21,0.70)、及び(0.66,0.34)となり、ビデオ輝度で0.2%、0.5%、及び1.0%の対応する外部量子効率を生じた(図7B)。三つの異なる色に関する電流/電圧データが図7Dに表されている。ナノクリスタルLEDによって生成される広い色範囲は、液晶ディスプレイ(LCD)技術と有機LED(OLED)技術との両方の性能を上回り、高精細で正確な色フラットパネルディスプレイでの、且つ一般的な光源でのナノクリスタルベースのLEDの適性を示す。
【0066】
赤色、緑色、及び青色発光半導体ナノクリスタルベースの発光デバイスは、有機LED及び液晶ディスプレイと比較して、効率が良く、高い色飽和となり、ナノクリスタルの単層のマイクロコンタクト印刷によって、全色ディスプレイ用途のための画素化に向けてパターニングすることができる。
他の実施態様は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】発光デバイスを示す概略図である。
【図2】発光デバイスを形成する方法を示す図である。
【図3】物質を基板に塗布する方法を示す図である。
【図4A】表面の原子力顕微鏡画像である。
【図4B】表面の原子力顕微鏡画像である。
【図4C】表面の原子力顕微鏡画像である。
【図5A】発光デバイスの性能を示すグラフである。
【図5B】発光デバイスの性能を示すグラフである。
【図5C】発光デバイスの性能を示すグラフである。
【図5D】発光デバイスの性能を示すグラフである。
【図6A】発光デバイスの写真である。
【図6B】発光デバイスの写真である。
【図6C】発光デバイスの写真である。
【図7A】発光デバイスの性質を示す図である。
【図7B】発光デバイスの性質を示す図である。
【図7C】発光デバイスの性質を示す図である。
【図7D】発光デバイスの性質を示す図である。
【図7E】発光デバイスの性質を示す図である。
【図7F】発光デバイスの性質を示す図である。
【図7G】発光デバイスの性質を示す図である。
【図7H】発光デバイスの性質を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケータの表面上にナノ物質を付置するステップと、
前記アプリケータの前記表面を、第一電極を含む基板に接触させ、それにより前記ナノ物質の少なくとも一部を前記基板に転写するステップと、
前記第一電極に向かい合わせて第二電極を配置するステップと
を含む、デバイス形成方法。
【請求項2】
前記アプリケータの前記表面が、隆起部又は窪み部を含むパターンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ナノ物質が、複数の半導体ナノクリスタルを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記複数の半導体ナノクリスタルが、前記基板上に層を形成する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記層が、半導体ナノクリスタルの多層である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記層が、半導体ナノクリスタルの単層である、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記層が、半導体ナノクリスタルの部分単層である、請求項4記載の方法。
【請求項8】
前記ナノ物質が、前記基板上に層を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記層が、前記ナノ物質の多層である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記層が、前記ナノ物質の単層である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記層が、前記ナノ物質の部分単層である、請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記ナノ物質が、前記基板上にパターンを形成する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
さらに、前記アプリケータの前記表面上に前記ナノ物質を付置する前に、前記アプリケータの前記表面を改質するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記アプリケータの前記表面を改質するステップが、前記アプリケータの前記表面を、基板との接触時に前記アプリケータから前記ナノ物質の少なくとも一部を解放するように選択される組成物と接触させるステップを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、芳香族有機ポリマーを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
さらに、第二アプリケータの表面上に第二ナノ物質を付置するステップと、
前記第二アプリケータの前記表面を前記基板に接触させ、それにより前記ナノ物質の少なくとも一部を前記基板に転写するステップと
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記第一ナノ物質と前記第二ナノ物質とが、それぞれ独立して、複数の半導体ナノクリスタルを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第一の複数の半導体ナノクリスタルが、前記第二の複数の半導体ナノクリスタルから区別可能な発光波長を有する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
さらに、第三アプリケータの表面上に第三の複数の半導体ナノクリスタルを付置するステップと、
前記第三のアプリケータの前記表面を前記基板に接触させ、それにより前記第三の複数の半導体ナノクリスタルの少なくとも一部を前記基板に転写するステップと
を含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記第三の複数の半導体ナノクリスタルが、前記第一の複数の半導体ナノクリスタルから区別可能であり、且つ前記第二の複数の半導体ナノクリスタルから区別可能である発光波長を有する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記第一、第二、及び第三の複数の半導体ナノクリスタルが、前記基板の重なり合わない事前定義領域内に塗布される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記第一、第二、及び第三の複数の半導体ナノクリスタルの発光波長が、紫外、青色、緑色、黄色、赤色、又は赤外発光波長、或いはそれらの組合せから選択される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記パターンのフィーチャが、10ミリメートル未満の寸法を有する、請求項2記載の方法。
【請求項24】
前記パターンのフィーチャが、1ミリメートル未満の寸法を有する、請求項2記載の方法。
【請求項25】
前記パターンのフィーチャが、100マイクロメートル未満の寸法を有する、請求項2記載の方法。
【請求項26】
前記パターンのフィーチャが、1マイクロメートル未満の寸法を有する、請求項2記載の方法。
【請求項27】
前記パターンのフィーチャが、少なくとも1センチメートルの寸法を有する、請求項2記載の方法。
【請求項28】
前記パターンのフィーチャが、少なくとも10センチメートルの寸法を有する、請求項2記載の方法。
【請求項29】
前記パターンのフィーチャが、少なくとも100センチメートルの寸法を有する、請求項2記載の方法。
【請求項30】
前記基板が、前記第一電極の上に正孔輸送物質を含む層を含む、請求項1記載の方法。
【請求項31】
さらに、前記ナノ物質の上に電子輸送物質を含む層を形成するステップを含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記第二電極が、前記電子輸送物質を含む前記層の上に塗布される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記アプリケータの表面上に前記ナノ物質を付置するステップが、スピンコーティング、ブレードコーティング、スロットコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、ロッドコーティング、リバースロールコーティング、正転ロールコーティング、エアナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、グラビア印刷、マイクログラビア印刷、押出しコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、又はそれらの組合せを含む、請求項1記載の方法。
【請求項34】
前記アプリケータの前記表面が、隆起部と窪み部とを実質的に有しない、請求項1記載の方法。
【請求項35】
アプリケータが、回転可能なドラムに取り付けられている、請求項34記載の方法。
【請求項36】
第一電極と、
前記第一電極に向かい合わされた第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域と
を含む、発光デバイス。
【請求項37】
前記事前定義領域がパターンを成す、請求項36記載のデバイス。
【請求項38】
さらに、半導体ナノクリスタルの第二単層を含む第二事前定義領域を含む、請求項36記載のデバイス。
【請求項39】
さらに、前記第一電極に近接し、かつ前記第一電極と前記第二電極との間に配置された正孔輸送物質を含む層を含む、請求項36記載のデバイス。
【請求項40】
さらに、前記第二電極に近接し、かつ前記第一電極と前記第二電極との間に配置された電子輸送物質を含む層を含む、請求項39記載のデバイス。
【請求項41】
半導体ナノクリスタルの前記単層を含む事前定義領域が、正孔輸送物質を含む前記層と電子輸送物質を含む前記層との間に配置された、請求項40記載のデバイス。
【請求項42】
さらに、半導体ナノクリスタルの第二単層を含む第二事前定義領域を含む、請求項41記載のデバイス。
【請求項43】
半導体ナノクリスタルの前記第一単層が、前記第二単層の発光波長とは異なる発光波長を有する、請求項42記載のデバイス。
【請求項44】
第一電極と、前記第一電極に向かい合わされた第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域とを含むデバイスを提供するステップと、
前記第一電極と前記第二電極とにわたって電圧を印加するステップと
を含む、光を発生する方法。
【請求項45】
前記第一電極と前記第二電極とにわたって電圧を印加するステップが、前記第一電極と前記第二電極との間に電流を流すステップを含む、請求項45記載の方法。
【請求項46】
複数の発光デバイスを含むディスプレイであって、少なくとも一つの発光デバイスが、
第一電極と、
前記第一電極に向かい合わされた第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域と
を含む、ディスプレイ。
【請求項47】
さらに、
第一電極と、
前記第一電極に向かい合わされた第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域と
を含む第二発光デバイスを含む、請求項46記載のディスプレイ。
【請求項48】
前記第一発光デバイスが、前記第二発光デバイスの発光波長から区別可能な発光波長を有する、請求項47記載のディスプレイ。
【請求項49】
さらに、
第一電極と、
前記第一電極に向かい合わされた第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域と
を含む第三発光デバイスを含み、前記第三発光デバイスが、前記第二発光デバイスの発光波長から、且つ前記第一発光デバイスの発光波長から区別可能である発光波長を有する、請求項48記載のディスプレイ。
【請求項50】
さらに、
第一電極と、
前記第一電極に向かい合わされた第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域と
を含む第四発光デバイスを含み、前記第四発光デバイスが、前記第三発光デバイスの発光波長から、前記第二発光デバイスの発光波長から、且つ前記第一発光デバイスの発光波長から区別可能な発光波長を有する、請求項49記載のディスプレイ。
【請求項51】
前記発光デバイスが、10ミリメートル未満の寸法を有する、請求項46記載のディスプレイ。
【請求項52】
前記発光デバイスが、1ミリメートル未満の寸法を有する、請求項46記載のディスプレイ。
【請求項53】
前記発光デバイスが、100マイクロメートル未満の寸法を有する、請求項46記載のディスプレイ。
【請求項54】
さらに、バックプレーンを含む、請求項46記載のディスプレイ。
【請求項55】
前記バックプレーンが、アクティブマトリックス電子回路を含む請求項54記載のディスプレイ。
【請求項56】
前記バックプレーンが、パッシブマトリックス電子回路を含む請求項54記載のディスプレイ。
【請求項57】
第一電極と、
前記第一電極に向かい合わされた第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に配置された半導体ナノクリスタルの単層を含む事前定義領域と
を含む発光デバイスを複数含む、ディスプレイ。
【請求項58】
各発光デバイスの半導体ナノクリスタルが、紫外、青色、緑色、黄色、赤色、又は赤外発光波長、或いはそれらの組合せから選択される発光波長を有する、請求項57記載のディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【公表番号】特表2008−518401(P2008−518401A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538032(P2007−538032)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/037744
【国際公開番号】WO2006/135435
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(591091892)マサチューセッツ・インスティテュート・オブ・テクノロジー (16)
【Fターム(参考)】