説明

半導体ナノクリスタルヘテロ構造体

【課題】 なし
【解決手段】
半導体ナノクリスタルヘテロ構造は、第二半導体物質のオーバーコーティングにより囲
まれた、第一半導体物質のコアを有する。励起によって、一のキャリアを、該コアに実質
的に閉じ込めることができ、かつ他のキャリアを、該オーバーコーティング層に実質的に
閉じ込めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、半導体ナノクリスタルヘテロ構造体に関するものである。
(連邦政府委託研究、または開発)
米国政府は、海軍研究事務所により授与された契約N00014-01-1-0787号に従う本発明に
おいて、特定の権利を有することができる。
【背景技術】
【0002】
(背景)
半導体ナノクリスタルは、非常に興味のある対象となっており、ディスプレイデバイス
、情報記憶、生物学的タグ材料、光電池、センサー、及び触媒を含む、有望で、広範囲の
応用が見込まれている。小さい直径を有するナノクリスタルは、分子と物質のバルク形態
との間の中間的な属性を有し得る。例えば、小さい直径を有する半導体物質を基礎とする
ナノクリスタルは、3次元すべてにおいて、該電子及び正孔、双方の量子閉じ込めを示す
ことができ、微結晶サイズの減少とともに、該物質の有効バンドギャップを増加させる。
その結果、該微結晶のサイズ減少に伴い、ナノクリスタルの光吸収、及び発光の双方は、
青(すなわち、高エネルギー)にシフトする。
【0003】
第一半導体物質のコアを有するナノクリスタルからの発光量子効率は、第二半導体物質
の伝導帯が、該第一半導体物質の伝導帯よりも高エネルギーであり、かつ該第二半導体物
質の価電子帯が、該第一半導体物質の価電子帯よりも低エネルギーとなるような、第二半
導体物質のオーバーコーティングを適用することにより、高めることができる。その結果
、両キャリア(すなわち、電子と正孔)は、該ナノクリスタルのコア内に閉じ込められる

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(要約)
一般に、半導体ナノクリスタルヘテロ構造体は、第二半導体物質のオーバーコーティン
グにより囲まれた第一半導体物質のコアを有する。該第一半導体物質、及び該第二半導体
物質は、励起時に、一のキャリアが該コアに実質的に閉じ込められ、かつ他のキャリアが
該オーバーコーティング層に実質的に閉じ込められるように選択される。一例において、
該第一半導体物質の伝導帯は、該第二半導体物質の伝導帯よりも高エネルギーであり、か
つ該第一半導体物質の価電子帯は、該第二半導体物質の価電子帯よりも高エネルギーであ
る。他の例において、該第一半導体物質の伝導帯は、該第二半導体物質の伝導帯よりも低
エネルギーであり、かつ該第一半導体物質の価電子帯は、該第二半導体物質の価電子帯よ
りも低エネルギーである。これらのバンド配置は、励起時に、エネルギー的に好ましい、
キャリア(すなわち、該正孔と該電子)の空間的分離を創る。これらの構造は、II型へテ
ロ構造である。対照的に、該第二半導体物質の伝導帯が、該第一半導体物質の伝導帯より
も高エネルギーであり、かつ該第二半導体物質の価電子帯が、該第一半導体物質の価電子
帯よりも低エネルギーである構造は、I型ヘテロ構造である。I型へテロ構造のナノクリス
タルは、該コア内に正孔と電子、双方の閉じ込めに有利である。I型、及びII型の用語は
、量子井戸の文献から借用したもので、このような構造は、広く研究されている。
【0005】
II型ヘテロ構造を有するナノクリスタルは、キャリアの空間的分離を生じる、有利な特
性を有する。II型ヘテロ構造を有する幾つかのナノクリスタルにおいて、発光エネルギー
と最低吸収特性エネルギーとの差により測定される、有効なバンドギャップを、該構造を
形成している2つの半導体の一方のバンドギャップよりも小さくすることができる。特定
の第一半導体物質と第二半導体物質、及びコア直径とオーバーコーティング厚さとを選択
することにより、II型へテロ構造を有するナノクリスタルは、先の構造体内の該ナノクリ
スタルコアの半導体では、これまで利用できなかった赤外波長のような発光波長を有する
ことができる。さらに、光起電、又は光伝導デバイスにおいて、II型へテロ構造を有する
ナノクリスタルの最低励起状態の電荷分離は、これらの材料をさらに効率的にする。ここ
で、該ナノクリスタルは発色団であり、かつキャリアの一つは、再結合前に該励起部位か
ら離れて運ばれる必要がある。
【0006】
有利なことに、II型へテロ構造を有する、広範囲の様々なナノクリスタルを、コロイド
合成法を用いて調製することができる。コロイド合成法は、ナノクリスタルを、配位子の
ような配位物質から付与される制御可能な分散性を有するように調製し、かつ分子線エピ
キタシーにより調製される、II型へテロ構造を有するナノクリスタルにおいて、一般に使
用される濡れ層の非存在下で調製することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、被覆されたナノクリスタルの製造方法は、第一半導体物質を含むコア
ナノクリスタルを、オーバーコーティング反応混合物内に導入すること、及び該コアナノ
クリスタル上に第二半導体物質をオーバーコートすることを含み、該第一半導体物質、及
び該第二半導体物質は、励起時に、一のキャリアが、該コアに実質的に閉じ込められ、か
つ他のキャリアが、該オーバーコーティング層に実質的に閉じ込められるように選択され
る。他の態様において、被覆されたナノクリスタルは、第一半導体物質を含むコアナノク
リスタル、該コアナノクリスタル上に第二半導体物質含有オーバーコーティング層、及び
該被覆されたナノクリスタルの表面上に有機層を含み、該第一半導体物質、及び該第二半
導体物質は、励起時に、一のキャリアが、該コアに実質的に閉じ込められ、かつ他のキャ
リアが、該オーバーコーティング層に実質的に閉じ込められるように選択される。他の態
様において、被覆されたナノクリスタルの集団は、複数の被覆されたナノクリスタル、コ
アナノクリスタルと各コアナノクリスタル上のオーバーコーティング層とを含む、各被覆
されたナノクリスタルを含み、各コアが、第一半導体物質を含み、各オーバーコーティン
グ層が、第二半導体物質を含み、該複数のコアナノクリスタルが、ナノクリスタルの集団
を形成し、該第一半導体物質、及び該第二半導体物質は、励起時に、一のキャリアが、該
コアに実質的に閉じ込められ、かつ他のキャリアが該オーバーコーティング層に実質的に
閉じ込められるように選択され、かつ該複数のナノクリスタルは単分散性である。他の態
様において、被覆されたナノクリスタルは、第一半導体物質含有コアナノクリスタル、該
コアナノクリスタル上の第二半導体物質含有第一オーバーコーティング層、該第一オーバ
ーコーティング層上の第三半導体物質含有第二オーバーコーティング層を含む。
【0008】
該第一半導体物質の伝導帯が、該第二半導体物質の伝導帯よりも高エネルギーであって
もよく、かつ該第一半導体物質の価電子帯が、該第二半導体物質の価電子帯よりも高エネ
ルギーであってもよい。該第一半導体物質の伝導帯が、該第二半導体物質の伝導帯よりも
低エネルギーであってもよく、かつ該第一半導体物質の価電子帯が、該第二半導体物質の
価電子帯よりも低エネルギーであってもよい。該ナノクリスタルは、該被覆されたナノク
リスタルの表面上に有機層を含むことができる。
【0009】
該方法は、該ナノクリスタルを、該被覆されたナノクリスタルの表面に対して親和性を
有する有機化合物に曝露することを含むことができる。該被覆されたナノクリスタルは、
液体中において、分散性であり得る。該第一半導体物質を、II-VI族の化合物、II-V族の
化合物、III-VI族の化合物、III-V族の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、
II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族の化合物とすることができる。該第一半導体物質を
、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、
GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、Pb
Te、又はこれらの混合物とすることができる。該第二半導体物質を、II-VI族の化合物、I
I-V族の化合物、III-VI族の化合物、III-V族の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の
化合物、II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族の化合物とすることができる。該第二半導
体物質を、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgO、MgS、MgSe、MgTe、HgO
、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、I
nSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物とすることができる
。該第一半導体物質をCdTeとすることができ、かつ該第二半導体物質をCdSeとすることが
できる。該第一半導体物質をCdSeとすることができ、かつ該第二半導体物質をZnTeとする
ことができる。該方法は、該第二半導体物質上に第三半導体物質をオーバーコートするこ
とを含むことができる。
【0010】
該第三半導体物質は、該第二半導体物質と比較して、不整合なバンドオフセットを有す
ることができる。該第三半導体物質を、II-VI族の化合物、II-V族の化合物、III-VI族の
化合物、III-V族の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、II-IV-VI族の化合物
、又はII-IV-V族の化合物とすることができる。該第三半導体物質を、ZnO、ZnS、ZnSe、Z
nTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgO、MgS、MgSe、MgTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP
、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、
PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物とすることができる。
該ナノクリスタルは、励起時に、光を発することができ、最大発光強度の波長は、700
nmよりも長波長であり、又は700 nmから1500 nmの間である。該ナノクリスタルは、10%
よりも大きい量子効率を有することができる。
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、本説明と図面から、及び請求項から明らかにな
るであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(詳細な説明)
ナノクリスタルのコロイド合成法を、コアとオーバーコーティングと(コア-シェル)
の構造を有し、かつII型へテロ構造を有するナノクリスタルの製造に使用することができ
る。コロイド合成法は、例えばMurray, C. B.らの論文(J. Am. Chem. Soc. 1993、115、
8706)、Peng, X.らの論文(J Am. Chem. Soc. 1997、119、7019)、Dabbousi, B. O.ら
の論文(J. Phys. Chem. B 1997、101、9463)、及びCao, Y. W.とBanin, U.の論文(Ang
ew. Chem. Int. Edit. 1999、38、3692)に記述されており、各論文は、その全体を引用
により取り込まれている。該コロイド合成手段は、II-VI族、及びIII-V族の半導体物質す
べてに適用することができる。
II型へテロ構造を有する半導体ナノクリスタルの例を、図1に示す。II型へテロ構造を
有するナノクリスタルの励起時に、該キャリアは、一の半導体物質内に閉じ込められない
。II型へテロ構造を有するナノクリスタルは、第二半導体のシェルにより囲まれた、一の
半導体のコアナノクリスタルを含む。一のキャリアは、該コアに閉じ込めることができ、
一方、他のキャリアは、ほとんど該シェルに閉じ込めることができる。図1に図示するよ
うに、該キャリアの相対的位置は、該コア、及び該シェルの物質に依存し得る。該二つの
半導体物質のバンドオフセットは、エネルギー的に有利な、該正孔、及び該電子の空間的
分離を作ることができる。II型へテロ構造を有するナノクリスタルは、I型へテロ構造を
有するナノクリスタルでは生じない、キャリアの空間的分離のため、新たな特性を有する
ことができる。他には、II型構造を有するナノクリスタルは、該ナノクリスタルを形成す
る半導体では、利用できないであろう発光波長(すなわち、最大発光強度の波長)を利用
することができる。
【0012】
分子線エピキタシー(MBE)により成長した、II型ナノクリスタルのGaSb/GaAs、及びG
e/Siが研究されている。例えば、Suzuki, K.らの論文(J. Appl. Phys. 1999、85、8349
)、及びSchittenhelm, P.らの論文(Appl. Phys. Lett. 1995、67、1292)を参照(各論
文は、その全体を引用により取り込まれている。)。しかし、そのようなII型ナノクリス
タルの研究は、おそらく合成困難のため、あまり多くない。コロイド合成法は、容易であ
り、かつ柔軟性のあるナノクリスタルのサイズ-調整が可能であり、かつ有利なことに、I
I型構造:CdTe/CdSe(コア/シェル)、及びCdSe/ZnTe(コア/シェル)II型ナノクリ
スタルのための単純な手段を提供する。コロイド合成法の一つの利点は、一般に、MBE-成
長II型ナノクリスタルにおいて観測される、濡れ層からの干渉がないことである。
【0013】
図2は、最低エネルギー電子(点線)、及び正孔(実線)波動関数に対して、理論的に
モデル化した動径波動関数を用いた、CdTe/CdSe(コア/シェル)(左側)、及びCdSe/
ZnTe(コア/シェル)(右側)ナノクリスタルのポテンシャルエネルギーダイアグラムを
示す。該ポテンシャルは、真空レベルを基準としており、かつ一定の比率に応じない。該
理論的モデル化に対して、バルク材料のパラメーターを、波動関数と可能性電流連続、双
方を満たす、該電子、及び該正孔の波動関数とともに使用した。例えば、Haus, J. W.ら
の論文(Phys. Rev. B 1993、47、1359)、Schooss, D.らの論文(Phys. Rev. B 1994、4
9、49)、及びYakimov, A. I.らの論文(Phys. Rev. B 2001、63、045312)を参照(各論
文は、その全体を引用により取り込まれている。)。コア半径20Å、及びシェル厚さ4Å
を、CdTe/CdSe(コア/シェル)、及びCdSe/ZnTe(コア/シェル)ナノクリスタル、双
方のモデルに使用した。CdTe/CdSe(コア/シェル)ナノクリスタルにおいて、該シェル
の伝導帯は、エネルギーにおいて、該コアの価電子帯と伝導帯との間の中間にある。CdTe
/CdSe(コア/シェル)ナノクリスタルは、該コア内の正孔に対し、及び該シェル内の電
子に対し、低いポテンシャルを有する。その結果、該正孔は、ほとんど該CdTeコアに閉じ
込めることができ、一方、該電子は、ほとんど該CdSeシェルに閉じ込めることができる。
CdTe/CdSe(コア/シェル)ナノクリスタルのモデル波動関数(図2)は、該正孔波動関
数は、ほとんど該コア内に存在し、一方、該電子波動関数は、ほとんど該シェル内に存在
することを示す。対照的に、CdSe/ZnTe(コア/シェル)ナノクリスタルは、該シェルの
価電子帯が、エネルギーにおいて、該コアの価電子帯と伝導帯との中間にあり、反対のバ
ンドオフセット配置を有する。その結果、該電子は、ほとんどCdSeコア内に存在し、一方
、該正孔は、ほとんどZnTeシェル内に存在する。図2を参照。
【0014】
CdTe、及びCdSeコアを、熱配位物質中、有機金属前駆体の熱分解により調製することが
できる。Murray, C. B.らの論文(J am. Chem. Soc. 1993、115、8706)、及びMikulec,
F.の博士論文(MIT、Cambridge、1999)を参照(各論文は、その全体を引用により取り込
まれている。)。裸のCdTe、及びCdSeコア上のCdSe、及びZnTeシェル層の成長を、従来の
オーバーコーティング法の単純な改質により、行うことができる。例えば、Peng, X.らの
論文(J. Am. Chem. Soc. 1997、119、7019)、Dabbousi, B. O.らの論文(J. Phys. Che
m. B 1997、101、9463)、及びCao, Y. W.とBanin U.との論文(Angew. Chem. Int. Edit
. 1999、38、3692)を参照(各論文は、その全体を引用により取り込まれている。)。例
えば、ジメチルカドミウム、及びビス(トリメチルシリル)セレニドを、CdSeシェルの成
長に使用することができる。CdTe/CdSe(コア/シェル)ナノクリスタルのためのCdSeシ
ェル成長の通常のプロトコルは、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)中に、沈殿し
たCdTeナノクリスタルを分散し、減圧下、160℃で乾燥し、トリオクチルホスフィン(TOP
)中に、化学量論で1:1のジメチルカドミウムとビス(トリメチルシリル)セレニドとを
混合することにより、オーバーコーティング原液を調製し、かつオーバーコーティング原
液を、80℃から180℃の間の温度(使用するCdTeナノクリスタルのサイズに依存する)で
、該CdTeナノクリスタル-TOPO混合物に加えることを含み得る。該混合物中に該オーバー
コーティングの小さいナノクリスタル(光学分光学によりモニターされるような)が形成
するまで、例えば3時間、該混合物を、この温度に維持することができる。該混合物を、
例えば200℃のような高温にし、かつ該オーバーコーティングが形成されるまで、数時間
から数日にわたって、そこに維持することができる。大きなサイズのナノクリスタルにと
って、より高い温度が必要となり得る。ZnTeシェルの成長を、ジエチル亜鉛とトリオクチ
ルホスフィンテルリド前駆体とを用いた、類似の方法により得ることができる。所望の平
均直径を有する該コアを、初期コア配合液から得ることができ、かつ該シェル層の厚さを
、引き続く成長段階で使用する前駆体の量により、制御することができる。
【0015】
II型ナノクリスタルにおける、該キャリアの空間的分離は、該電子と正孔との波動関数
の乏しい重なりを示し、II型ナノクリスタルが、高蛍光量子効率になることを妨げる。Cd
Te/CdSe(コア/シェル)ナノクリスタルの場合、4%までの量子効率を得る。CdSe/ZnT
e(コア/シェル)ナノクリスタルは、1%未満の量子効率を有する。CdSe/ZnTe(コア/
シェル)の低い量子効率は、該電子と正孔との波動関数の重なりが、CdTe/CdSe(コア/
シェル)のその重なりよりも小さいことに起因し得る。CdSe/ZnTe(コア/シェル)ナノ
クリスタルの場合のように、該シェル内に閉じ込められた正孔は、電子よりも大きい有効
な質量を有し、かつ従って、該コア内に少し拡散する傾向がある。図2参照。さらに、Cd
Se/ZnTe(コア/シェル)ナノクリスタルのような、該シェル内に閉じ込められた正孔を
有するシステムは、トラップサイトの影響を受け易い。
【0016】
CdTe/CdSe(コア/シェル)、及びCdSe/ZnTe(コア/シェル)ナノクリスタルのよう
な、II型へテロ構造のナノクリスタルからの光ルミネッセンス発光は、対応するコアから
の発光よりも長波長で生じる。II型構造を有するナノクリスタルからの発光は、該コア-
シェル界面を渡って、該キャリアの放射性再結合から生じる。従って、該発光のエネルギ
ーは、該バンドオフセットに依存し、該コア半導体物質とサイズ、及び該オーバーコーテ
ィング半導体物質と厚さにより制御される。II型ナノクリスタルは、該II型ナノクリスタ
ル内のコア、又はシェル物質、どちらかから成るナノクリスタルよりも、小さい有効なバ
ンドギャップを有し、かつ従ってより長波長で発光する。II型構造を有するナノクリスタ
ルを、準間接的な、又は仮想的なバンドギャップを有するように考えることができ、該バ
ンドギャップエネルギーは、該バンドオフセットにより決定される。半導体物質の多くの
可能な組合せを、該仮想的なバンドギャップに適合するように使用することができるので
、そのような構造において、該有効なバンドギャップを、設計することができる。
【0017】
II型構造を有するナノクリスタルの量子効率の限界を克服するため、半導体物質の付加
的な層を、該粒子に加えることができる。例えば、ZnTeの第二コーティング層を、CdTe/
CdSe(コア/シェル)ナノクリスタルに加えることができ、かつ該量子効率を20%の高さ
に増加させる。該オーバーコーティング法を、CdSe/ZnTe(コア/シェル)ナノクリスタ
ルのシェル調製法と同様に行うことができる。該量子効率の向上は、該不整合なバンドギ
ャップにより生じた、キャリア波動関数の重なりの増加により起こると考えられる。量子
効率の増加のためには、該第一コーティング層、及び不整合なバンドオフセットを有する
第二コーティング層が重要となり得る。例えば、ZnSの第二コーティング層を、CdTe/CdS
e(コア/シェル)ナノクリスタル上に、付着させた場合、該発光は、赤色移動したが、
該量子効率は低下した。ZnS層は、該CdSeシェル層表面の不動態化に役立ち得るが、該効
果は、該ZnS層内の電子波動関数の漏れのため、波動関数の重なりの減少に圧倒された。
【0018】
該ナノクリスタルは、一の狭いサイズ分布を有するナノクリスタルの集団のメンバーと
なり得る。該ナノクリスタルは、球形、棒状、円盤状、又は他の形状であってもよい。該
ナノクリスタルは、半導体物質のコアを含むことができる。Mが、カドミウム、亜鉛、マ
グネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、又はこれらの混合
物であり、かつXが、酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、又
はこれらの混合物である場合、該ナノクリスタルは、式MXを有するコアを含むことができ
る。
【0019】
該ナノクリスタルのコアを形成する半導体は、II−VI族の化合物、II−V族の化合物、I
II−VI族の化合物、III−V族の化合物、IV−VI族の化合物、I−III−VI族の化合物、II−
IV−VI族の化合物、及びII−IV−V族の化合物、例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、C
dTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP
、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物を含むこ
とができる。
【0020】
該コアは、該コアの表面上にオーバーコーティングを有することができる。該オーバー
コーティングは、該コアの組成と異なる組成を有する半導体物質であってもよく、II型へ
テロ構造を提供するように選択される。該ナノクリスタルの表面上の半導体物質のオーバ
ーコーティングは、II−VI族の化合物、II−V族の化合物、III−VI族の化合物、III―V族
の化合物、IV−VI族の化合物、I−III−VI族の化合物、II−IV−VI族の化合物、及びII−
IV−V族の化合物、例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN
、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、T
lAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物を含むことができる。例えば、ZnS、Z
nSe、またはCdSのオーバーコーティングは、CdSe、又はCdTeナノクリスタル上で成長する
ことができる。
【0021】
該ナノクリスタルからの発光は、狭いガウス発光バンド(Gaussian emission band)で
あることができ、該ナノクリスタルのサイズ、該ナノクリスタルの組成、またはその両方
を変化させることにより、紫外領域、可視領域、又は赤外領域のスペクトルのすべての波
長領域に渡り整調することができる。例えば、CdSeは、可視領域において整調することで
き、かつInAsは、赤外領域において整調することができる。
ナノクリスタルの集団は、狭いサイズ分布を有することができる。該集団を単分散性と
することができ、かつ該ナノクリスタル直径の15%rms未満の偏差、好ましくは、10%未
満、さらに好ましくは5%未満を示すことができる。最大強度の半値における全幅値(半
値全幅)(FWHM)が10から150 nmの狭い範囲のスペクトル発光を観測することができる。
II型構造を有する半導体ナノクリスタルは、2%、5%、10%、20%、40%、60%、70%、
又は80%より大きい発光量子効率を有することができる。
【0022】
II型ヘテロ構造を有するナノクリスタルの吸収スペクトルは、短波長領域に、なだらか
に増加する吸収、及び長波長領域に長いテールという特性を有する。これは、II型構造を
有する該ナノクリスタルが、空間的間接励起励起子を有する、間接バンド特性を有するた
めであり得る。該振動子強度は、キャリア波動関数の重なりにより強く支配されるので、
II型構造を有するナノクリスタルは、比較的弱い振動子強度をし得る。例えば、Laheld,
U. E. H.らの論文(Phys. Rev B 1995、52:2697)、及びRorrison, J. M.の論文(Phys.
Rev. B 1993、48: 4643)を参照(各論文は、その全体を引用により取り込まれている
。)。該シェル成長前後における、該ナノクリスタル振動子強度の総和の変化を比較する
ことができる。その理由は、これらは、該ナノクリスタルの空間的に積分した吸収率に比
例するためである。II型へテロ構造を有するナノクリスタルは、近赤外(near-IR)発光
を有することができ、例えば、CdTe/CdSe(コア/シェル)、及びCdSe/ZnTe(コア/シ
ェル)がある。これらのナノクリスタルは、光退色、及び様々な化学的環境に対し耐性を
有する、IR発色団として使用することができる。II型へテロ構造を有するナノクリスタル
において、該コア、及び該シェル、双方は、キャリアの高い確率密度を有する。その結果
、該シェル厚さ、並びに該コア直径は、該量子閉じ込め効果のため、発光エネルギーを制
御する。異なるコア直径、及びシェル厚さを選択することにより、II型ナノクリスタルか
らの発光を、例えば、300 nmから3ミクロンに、又は700 nmから1000 nm以上に、容易に整
調することができる。II型へテロ構造を有するナノクリスタルは、例えば、非常に長い時
間定数を有する、空間的間接励起子の減衰のため、I型へテロ構造を有するナノクリスタ
ルよりも、長い励起子減衰時間を有することができる。
【0023】
半導体ナノクリスタルの調製方法は、高温の配位物質に注入される、ジメチルカドニウ
ムのような有機金属試薬の熱分解を含む。これにより、不連続な核形成を減少させ、かつ
ナノクリスタルを顕微鏡的な量に制御された成長をもたらす。ナノクリスタルの調製、及
び操作は、例えば、米国特許6,322,901号(その全体を引用により取り込んでいる。)に
記載されている。ナノクリスタルの該製造方法は、コロイド成長プロセスであり、かつ単
分散性粒子集団を作り出すことができる。コロイドの成長は、高温の配位物質中に、Mド
ナー、及びXドナーを迅速に注入することによって生じる。該注入は、ナノクリスタルを
形成するように、制御された様式で成長され得る核を生成する。該反応混合物は、該ナノ
クリスタルを成長、及びアニールさせるように、穏やかに加熱することができる。一のサ
ンプル中において、該ナノクリスタルの平均サイズ、及びサイズ分布の双方は、成長温度
に依存する。安定した成長を維持するために必要な該成長温度は、平均結晶サイズの増加
に伴って、増加する。該ナノクリスタルは、ナノクリスタルの集団のメンバーである。不
連続な核形成、及び制御された成長の結果として、得られたナノクリスタルの該集団は、
直径の狭い単分散分布を有する。該直径の該単分散分布を、また、サイズと呼ぶことがで
きる。また、核形成に続く、該配位物質中での該ナノクリスタルの制御された成長、及び
アニーリングのプロセスは、均一の表面誘導化、及び規則的なコア構造を生じることがで
きる。該サイズ分布が鋭くなるにつれて、該温度を、安定した成長を維持するために引き
上げることができる。より多くのMドナー、又はXドナーを添加することにより、該成長期
間を短縮することができる。
【0024】
オーバーコーティングプロセスは、例えば、米国特許出願第6,322,901号に記載されて
おり、その全体を引用により取り込んでいる。オーバーコーティングを行う間に該反応混
合物の温度を調節し、かつ該コアの吸収スペクトルをモニタリングすることによって、高
い発光量子効率、及び狭いサイズ分布を有するオーバーコーティングされた物質を得るこ
とができる。
【0025】
該Mドナーは、無機化合物、有機金属化合物、又は元素金属であってもよい。該無機化
合物は、塩であってもよい。該塩を、アミンのような配位物質と結合してもよい。例えば
、米国特許第6,576、291号(その全体を引用により取り込んでいる。)を参照されたい。
Mは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、
又はタリウムである。該Xドナーは、該Mドナーと反応し、一般式MXの物質を形成すること
ができる化合物である。通常、該Xドナーは、カルコゲナニドドナー、又はプニクタイド
ドナー、例えば、ホスフィンカルコゲニド、ビス(シリル)カルコゲニド、二酸素、アン
モニウム塩、またはトリス(シリル)プニクタイドである。適切なXドナーを挙げると、
二酸素、ビス(トリメチルシリル)セレニド((TMS)2Se)、トリアルキルホスフィンセ
レニド(例えば、(トリ-n-オクチルホスフィン)セレニド(TOPSe)、又は(トリ-n-ブ
チルホスフィン)セレニド(TBPSe))、トリアルキルホスフィンテルリド(例えば、(
トリ-n-オクチルホスフィン)テルリド(TOPTe)、又はヘキサプロピルホスホラストリア
ミドテルリド(HPPTTe))、ビス(トリメチルシリル)テルリド((TMS)2Te)、ビス(
トリメチルシリル)スルフィド((TMS)2S)、トリアルキルホスフィンスルフィド(例
えば、(トリ-n-オクチルホスフィン)スルフィド(TOPS))、アンモニウム塩(例えば
、ハロゲン化アンモニウム(例えば、NH4Cl))、トリス(トリメチルシリル)ホスフィ
ド((TMS)3P)、トリス(トリメチルシリル)アルセニド((TMS)3As)、又はトリス
(トリメチルシリル)アンチモニド((TMS)3Sb)がある。特定の実施態様において、該
Mドナー、及び該Xドナーは、同一分子内の成分とすることができる。
【0026】
配位物質は、該ナノクリスタルの成長のコントロールを助けることができる。該配位物
質は、例えば、成長するナノクリスタルの表面に配位することができる孤立電子対を有す
る、ドナー孤立電子対を有する化合物である。該配位物質を、溶媒とすることができる。
配位溶媒は該成長するナノクリスタルを安定化することができる。典型的な配位物質には
、アルキルホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、アルキルホスホン酸、又はアルキ
ルホスフィン酸があるが、またピリジン、フラン、及びアミンのような他の配位物質もナ
ノクリスタル製造に適切であり得る。適切な配位物質の例には、ピリジン、トリ-n-オク
チルホスフィン(TOP)、及びトリ-n-オクチルホスフィンオキシド(TOPO)がある。工業
用等級TOPOを使用することができる。
該反応の成長段階の間のサイズ分布は、該粒子の吸収線幅をモニタリングすることによ
って評価することができる。該粒子の吸収スペクトルの変化に応答する反応温度の改質に
より、成長の間、鋭い粒子サイズ分布の維持が可能になる。反応物を、結晶成長の間、該
核形成溶液に添加し、より大きな結晶に成長させることができる。特定のナノクリスタル
の平均直径で、成長を停止し、平均して150Å未満のナノクリスタル直径を有する集団を
得ることができる。ナノクリスタルの集団は、15Å〜125Åの範囲の平均直径を有するこ
とができる。
【0027】
粒子サイズ分布を、米国特許第6,322、901号(その全体を引用により取り込んでいる。
)に記載されている、メタノール/ブタノールのような、該ナノクリスタルの貧溶媒を用
いるサイズ選択的沈殿法によって、さらに精製することができる。例えば、ナノクリスタ
ルを、10%ブタノールのヘキサン溶液中で分散することができる。メタノールを、乳白光
が持続するまで、攪拌溶液に滴下して加えることができる。遠心分離による上清と凝集物
との分離により、サンプル中の最も大きな結晶に富む沈殿物が生成される。この方法を、
光学吸収スペクトルのさらなる鋭利化が認められなくなるまで、繰り返すことができる。
サイズ選択的沈殿法を、種々の溶媒/非溶媒のペア(ピリジン/ヘキサン、及びクロロホ
ルム/メタノールが挙げられる)中で実施することができる。サイズ選択されたナノクリ
スタル集団を、平均直径から15%rms以下の偏差、好ましくは10%rms以下の偏差、より好
ましくは5%rms以下の偏差を有することができる。
【0028】
該ナノクリスタルの外部表面は、該成長プロセスの間に用いた該配位物質から誘導され
る化合物の層を含むことができる。該表面は、過剰な競合配位基へ繰り返し曝露すること
により、修飾され、被覆層を形成することができる。例えば、該覆われたナノクリスタル
の分散を、配位性有機化合物(例えば、ピリジン)を用いて処理し、ピリジン、メタノー
ル、及び芳香族化合物中で容易に分散するが、脂肪族溶媒中では、もはや分散しない微結
晶を生成することができる。このような表面交換プロセスを、該ナノクリスタルの外部表
面と配位、または結合できるすべての化合物(例えば、ホスフィン、チオール、アミン、
及びホスフェート(リン酸塩、又はエステル)を含む。)を用いて実施することができる
。該ナノクリスタルを、該表面に対して親和性を示し、かつ懸濁液、又は分散媒体に対し
て親和性を有する成分で終る、短鎖ポリマーに曝露させることができる。そのような親和
性は、該懸濁液の安定性を改善し、かつ該ナノクリスタルの凝集を防止する。
【0029】
透過型電子顕微鏡(TEM)により、該ナノクリスタル集団のサイズ、形状、及び分布に
ついての情報を得ることができる。粉末X線回折(XRD)パターンにより、該ナノクリスタ
ルの結晶構造の型、及び質に関する最も完全な情報を得ることができる。粒子径が、ピー
ク幅に対して、X線のコヒーレンス長を介して、反比例するので、サイズの評価も可能で
ある。例えば、該ナノクリスタルの直径を、透過型電子顕微鏡で直接測定することができ
、又は例えばシェラーの式を用いて、X線回折データから評価することができる。また、U
V/Vis吸収スペクトルからも評価することができる。
【実施例】
【0030】
ここに記述した全手順を、他に特定しない限り、不活性雰囲気下で行った。CdTe、及び
CdSeナノクリスタルを、以前に記述された手順を用いて、有機金属前駆体の熱分解を介し
て合成した。例えば、Murrayらの論文(J. Am. Chem. Soc. 1993、115、8706)、及びMik
ulec, F.の博士論文(MIT、1999)を参照。
【0031】
(ナノクリスタルの調製)
ビス-(トリメチルシリル)セレニドを、次のように調製した。スーパーヒドリド(sup
erhydride)の溶液200 mL(Aldrich社製、テトラヒドロフラン中、水素化トリエチルホウ
素リチウムの1.0 M溶液)に、Se塊7.89 g(Strem社製、99.99%)を加え、かつ室温で2時
間攪拌した。クロロトリメチルシラン(25.2 g、Aldrich社製、99%)を、導入し、かつ
さらに、2〜3時間攪拌した。溶媒を、真空中で取り除いた。該生成物を、減圧蒸留により
得た。
CdTe/CdSe(コア/シェル)ナノクリスタルの集団を、次のように調製した。沈殿した
CdTeナノクリスタルを、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO、Alfa社製、95%)中に
分散し、かつ減圧下160℃で乾燥した。トリオクチルホスフィン(TOP、Fluka社製、90%
)中に、化学量論で1:1モル濃度のジメチルカドミウム(Strem社製、97%)とビス(ト
リメチルシリル)セレニドとを所望量混合することにより、オーバーコーティング原液を
調製した。該CdTe-TOPO混合物を、Arフロー下で強く攪拌しながら、調製したオーバーコ
ーティング原液を、ゆっくりと滴下して加えた。温度を、使用するCdTeナノクリスタルサ
イズに依存する、130℃から180℃の効果範囲に設定した。高温は、大きなサイズのCdTeナ
ノクリスタルに必要である。
【0032】
他のCdTe/CdSe(コア/シェル)ナノクリスタル集団を、次のように調製した。沈殿し
たCdTeナノクリスタルを、TOPとTOPOとの混合液中に分散した。該混合液を、強く攪拌し
、かつ100℃に加熱し、次いで、上述のように調製したオーバーコーティング原液を、ゆ
っくりと滴下して加えた。該反応混合液を、3時間、100℃で攪拌した。小さいCdSナノク
リスタルの形成(口語的に、”マジックサイズ”ナノクリスタルと呼び、〜410 nmにピー
ク吸光度を有する。)を、光学分光学によりモニターした。該反応温度を200℃に上げ、
かつ該CdSeシェル成長が、完了するまで攪拌した。該小さな”マジックサイズ”CdSeナノ
クリスタルは、該CdTeナノクリスタルコア表面上に融着し、CdSeシェルを形成した。該Cd
Seシェル形成段階は、2〜3日かかった。
通常、CdSe/ZnTe(コア/シェル)ナノクリスタル集団を、CdTe/CdSeナノクリスタル
用に記述された方法により調製した。ジエチル亜鉛(Strem社製、99.99%)とTOPTeとを
、該前駆体として使用した。TOPTeは、室温下、TOP中にTe粉末(Strem社製、99.999%)
を溶解することにより作った。
【0033】
(ナノクリスタルの特性)
図3は、コアCdTe、及びCdSeナノクリスタル、及びII型構造を有する、CdTe/CdSe(コ
ア/シェル)、及びCdSe/ZnTe(コア/シェル)ナノクリスタルの吸収と発光スペクトル
とを示す。該左図は、半径32ÅのCdTeナノクリスタル(点線)、及びCdTe/CdSe(コア半
径32Å/シェル厚さ11Å)ナノクリスタルのスペクトルを示す。該右図は、半径22ÅのCd
Seナノクリスタル(点線)、及びCdSe/ZnTe(コア半径22Å/シェル厚さ18Å)ナノクリ
スタルのスペクトルを示す。該ナノクリスタルを、533 nmで励起することにより、該光ル
ミネッセンススペクトルを得た。該シェル成長前後の該ナノクリスタル振動子強度の総和
の変化を、比較することができる。その理由は、これらは、該ナノクリスタルの空間的に
積分した吸収率に比例するためである。該II型の発光は、該コアナノクリスタルのディー
プトラップ発光と関連していない。図3において、裸CdSeナノクリスタルのディープトラ
ップ発光を、750 nm辺りに見い出すことができ、II型構造を有する、該対応するCdSe/Zn
Te(コア/シェル)ナノクリスタルの発光波長とは一致しない。このことは、該ディープ
トラップ発光が残存する場合、シェル層の付着が、該コアのバンド端の発光を、単に消光
するという可能性を排除している。
【0034】
実際の粒子サイズ変化を、図4Aの透過型電子顕微鏡(TEM)像に見ることができる。
通常、図4Aは、図3のスペクトルを得た時に用いたサンプルを示し、すなわち、半径32
ÅのCdTeナノクリスタルの単分散集団、CdTe/CdSe(コア半径32Å/シェル厚さ11Å)ナ
ノクリスタルの単分散集団、半径22ÅのCdSeナノクリスタルの単分散集団、及びCdSe/Zn
Te(コア半径22Å/シェル厚さ18Å)ナノクリスタルである。JEOL2000を用いて、作業電
圧200 kVで、該像を得た。図4Bと4Cは、該ナノクリスタルのサイズ分布を示す図であ
る。該ナノクリスタルの振動子強度の総和は、事実上、粒子サイズの有意な増加にもかか
わらず、シェル成長の結果として、大きな変化はなかった。該対応するコアナノクリスタ
ルと比較した、II型構造を有するナノクリスタルにおいて、結晶単位格子の数の増加を予
測し、より高水準の全振動子強度を得ることができるが、該効果は、該II型電子構造によ
り生じる、該電子と正孔との波動関数の乏しい重なりにより相殺される。この効果は、II
型構造を有するナノクリスタルの特性であり、通常、合金システムには見られない。
【0035】
該シェル厚さと該コアサイズ、2つの変化で、II型ナノクリスタルの発光を容易に整調
することができる。図5Aに示すように、CdTe/CdSe(コア/シェル)ナノクリスタルの
発光は、単に、該コアサイズと該シェル厚さを変えることにより、700 nmから1000 nm以
上に及び得る。該CdTeコア半径とCdSeシェル厚さは、該図内の左から右に向かって、16Å
/19Å、16Å/32Å、32Å/11Å、32Å/24Å、及び56Å/19Åである。該コアサイズと
シェル厚さとを、TEMを介して測定し、かつ波長分散型分光器(WDS)により元素分析した
。図5Bは、CdTe/CdSe(コア半径32Å/シェル厚さ11Å)ナノクリスタル(実線)、及
び半径32ÅのCdTeナノクリスタル(点線)の室温でのPL減衰を示す。298 Kで、400 nmの
パルスレーザを用いて、該サンプルを励起することにより、該データを得た。CdTe/CdSe
(コア/シェル)ナノクリスタルのPL減衰は、該コアCdTeナノクリスタルよりも、非常に
長かった。これは、II型ヘテロ構造を有するナノクリスタルからの空間的間接励起子の特
徴的な長い減衰を示す。
他の実施態様は、請求項の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
(図面の説明)
【図1】図1は、II型ヘテロ構造を有する半導体ナノクリスタルを示す図である。
【図2】図2は、半導体ナノクリスタルヘテロ構造のポテンシャルダイアグラム、及び理論的にモデル化した電子(点線)、及び正孔(実線)動径波動関数を示す図である。
【図3】図3は、ナノクリスタルの吸収、及び規格化した光ルミネッセンススペクトルを示すグラフである。
【図4A】図4Aは、ナノクリスタルの明視野透過型電子顕微鏡(TEM)像である。
【図4B】図4Bは、該ナノクリスタルのサイズ分布を示すグラフである。
【図4C】図4Cは、該ナノクリスタルのサイズ分布を示すグラフである。
【図5A】図5Aは、異次元CdTe/CdSe(コア/シェル)ナノクリスタルの単分散集団の規格化した光ルミネッセンススペクトルを示すグラフである。
【図5B】図5Bは、CdTe/CdSe(コア/シェル)ナノクリスタルの単分散集団、及びCdTeナノクリスタルの単分散集団の規格化した光ルミネッセンス強度減衰のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆されたナノクリスタルの製造方法であって:
第一半導体物質を含むコアナノクリスタルを、オーバーコーティング反応混合物中に導入
すること;及び
該コアナノクリスタル上に第二半導体物質をオーバーコートすることを含み、ここで、該
第一半導体物質、及び該第二半導体物質は、励起時に、一のキャリアが該コアに実質的に
閉じ込められ、かつ他のキャリアが該オーバーコーティング層に実質的に閉じ込められる
ように選択される、前記方法。
【請求項2】
該第一半導体物質の伝導帯が、該第二半導体物質の伝導帯よりも高エネルギーであり、
かつ該第一半導体物質の価電子帯が、該第二半導体物質の価電子帯よりも高エネルギーで
ある、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該第一半導体物質の伝導帯が、該第二半導体物質の伝導帯よりも低エネルギーであり、
かつ該第一半導体物質の価電子帯が、該第二半導体物質の価電子帯よりも低エネルギーで
ある、請求項1記載の方法。
【請求項4】
さらに、該被覆されたナノクリスタルの表面上に有機層を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
さらに、該ナノクリスタルを、該被覆されたナノクリスタルの表面に対して親和性を有
する有機化合物にさらすことを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
該被覆されたナノクリスタルが、液体中で分散性である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
該第一半導体物質が、II-VI族の化合物、II-V族の化合物、III-VI族の化合物、III-V族
の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族
の化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
該第一半導体物質が、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN、Al
P、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs
、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
該第二半導体物質が、II-VI族の化合物、II-V族の化合物、III-VI族の化合物、III-V族
の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族
の化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
該第二半導体物質が、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgO、MgS、MgSe
、MgTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、I
nP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物である
、請求項1記載の方法。
【請求項11】
該第一半導体物質がCdTeであり、かつ該第二半導体物質がCdSeである、請求項1記載の
方法。
【請求項12】
該第一半導体物質がCdTeであり、かつ該第二半導体物質がZnTeである、請求項1記載の
方法。
【請求項13】
さらに、該第二半導体物質上に、第三半導体物質をオーバーコーティングすることを含
む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
該第三半導体物質が、該第二半導体物質と比較して、不整合なバンドオフセットを有す
る、請求項13記載の方法。
【請求項15】
該第三半導体物質が、II-VI族の化合物、II-V族の化合物、III-VI族の化合物、III-V族
の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族
の化合物である、請求項13記載の方法。
【請求項16】
該第三半導体物質が、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgO、MgS、MgSe
、MgTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、I
nP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物である
、請求項13記載の方法。
【請求項17】
被覆されたナノクリスタルであって、第一半導体物質を含むコアナノクリスタル;
該コアナノクリスタル上に、第二半導体物質を含むオーバーコーティング層;及び
該被覆されたナノクリスタル表面上の有機層を含み、該第一半導体物質、及び該第二半導
体物質は、励起時に、一のキャリアが該コアに実質的に閉じ込められ;かつ
他のキャリアが該オーバーコーティング層に実質的に閉じ込められるように選択されてい
る、前記ナノクリスタル。
【請求項18】
該第一半導体物質の伝導帯が、該第二半導体物質の伝導帯よりも高エネルギーであり、
かつ該第一半導体物質の価電子帯が、該第二半導体物質の価電子帯よりも高エネルギーで
ある、請求項17記載のナノクリスタル。
【請求項19】
該第一半導体物質の伝導帯が、該第二半導体物質の伝導帯よりも低エネルギーであり、
かつ該第一半導体物質の価電子帯が、該第二半導体物質の価電子帯よりも低エネルギーで
ある、請求項17記載のナノクリスタル。
【請求項20】
該ナノクリスタルを、該被覆されたナノクリスタルの表面に対して親和性を有する有機
化合物に曝露することにより、該有機層を得ている、請求項17記載のナノクリスタル。
【請求項21】
該被覆ナノクリスタルが分散性である、請求項17記載のナノクリスタル。
【請求項22】
該第一半導体物質が、II-VI族の化合物、II-V族の化合物、III-VI族の化合物、III-V族
の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族
の化合物である、請求項17記載のナノクリスタル。
【請求項23】
該第一半導体物質が、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN、Al
P、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs
、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物である、請求項17記載のナノクリスタ
ル。
【請求項24】
該第二半導体物質が、II-VI族の化合物、II-V族の化合物、III-VI族の化合物、III-V族
の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族
の化合物である、請求項17記載のナノクリスタル。
【請求項25】
該第二半導体物質が、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgO、MgS、MgSe
、MgTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、I
nP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物である
、請求項17記載のナノクリスタル。
【請求項26】
該ナノクリスタルが、励起時に、光を発し、最大発光強度の波長が、700 nmよりも長波
長である、請求項17記載のナノクリスタル。
【請求項27】
該ナノクリスタルが、励起時に、光を発し、最大発光強度の波長が、700 nmから1500 n
mの間である、請求項17記載のナノクリスタル。
【請求項28】
被覆されたナノクリスタルの集団であって:
複数の被覆されたナノクリスタル、コアナノクリスタルと、各コアナノクリスタル上のオ
ーバーコーティング層とを含む、各被覆されたナノクリスタルを含み、各コアが、第一半
導体物質を含み、各オーバーコーティング層が、第二半導体物質を含み、該複数のコアナ
ノクリスタルが、ナノクリスタルの集団を形成し、ここで、該第一半導体物質、及び該第
二半導体物質は、励起時に、一のキャリアが該コアに実質的に閉じ込められ、かつ他のキ
ャリアが該オーバーコーティング層に実質的に閉じ込められるように選択され;かつ
該複数のナノクリスタルが単分散性である、前記集団。
【請求項29】
該第一半導体物質の伝導帯が、該第二半導体物質の伝導帯よりも高エネルギーであり、
かつ該第一半導体物質の価電子帯が、該第二半導体物質の価電子帯よりも高エネルギーで
ある、請求項28記載の集団。
【請求項30】
該第一半導体物質の伝導帯が、該第二半導体物質の伝導帯よりも低エネルギーであり、
かつ該第一半導体物質の価電子帯が、該第二半導体物質の価電子帯よりも低エネルギーで
ある、請求項28記載の集団。
【請求項31】
さらに、該ナノクリスタルが、各被覆されたナノクリスタルの表面上に有機層を含む、
請求項28記載の集団。
【請求項32】
該集団を、被覆されたナノクリスタルの表面に対して親和性を有する有機化合物に曝露
することにより、該有機層を得ている、請求項31記載の集団。
【請求項33】
該第一半導体物質が、II-VI族の化合物、II-V族の化合物、III-VI族の化合物、III-V族
の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族
の化合物である、請求項28記載の集団。
【請求項34】
該第一半導体物質が、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN、Al
P、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs
、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物である、請求項28記載の集団。
【請求項35】
該第二半導体物質が、II-VI族の化合物、II-V族の化合物、III-VI族の化合物、III-V族
の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族
の化合物である、請求項28記載のナノクリスタル。
【請求項36】
該第二半導体物質が、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgO、MgS、MgSe
、MgTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、I
nP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物である
、請求項28記載の集団。
【請求項37】
該集団が、励起時に、光を発し、最大発光強度の波長が、700 nmよりも長波長であるで
ある、請求項28記載の集団。
【請求項38】
該集団が、励起時に、光を発し、最大発光強度の波長が、700 nmから1500 nmの間であ
る、請求項28記載の集団。
【請求項39】
被覆されたナノクリスタルであって:
第一半導体物質を含むコアナノクリスタル;
該コアナノクリスタル上に、第二半導体物質含有第一オーバーコーティング層;及び
該第一オーバーコーティング層上に第三半導体物質含有第二オーバーコーティング層を含
む、前記ナノクリスタル。
【請求項40】
該第一半導体物質、及び該第二半導体物質は、励起時に、一のキャリアが該コアに実質
的に閉じ込められ、かつ他のキャリアが該第一オーバーコーティング層に実質的に閉じ込
められるように選択される、請求項39記載のナノクリスタル。
【請求項41】
該第一半導体物質の伝導帯が、該第二半導体物質の伝導帯よりも高エネルギーであり、
かつ該第一半導体物質の価電子帯が、該第二半導体物質の価電子帯よりも高エネルギーで
ある、請求項39記載のナノクリスタル。
【請求項42】
該第一半導体物質の伝導帯が、該第二半導体物質の伝導帯よりも低エネルギーであり、
かつ該第一半導体物質の価電子帯が、該第二半導体物質の価電子帯よりも低エネルギーで
ある、請求項39記載のナノクリスタル。
【請求項43】
該第三半導体物質が、該第二半導体物質に対して、不整合なバンドオフセットを有する
、請求項39記載のナノクリスタル。
【請求項44】
さらに、該被覆されたナノクリスタルの表面上に有機層を含む、請求項39記載のナノ
クリスタル。
【請求項45】
該ナノクリスタルを、該被覆されたナノクリスタルの表面に対して親和性を有する有機
化合物に曝露することにより、該有機層を得ている、請求項44記載のナノクリスタル。
【請求項46】
該第一半導体物質が、II-VI族の化合物、II-V族の化合物、III-VI族の化合物、III-V族
の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族
の化合物である、請求項39記載のナノクリスタル。
【請求項47】
該第一半導体物質が、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN、Al
P、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs
、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物である、請求項39記載のナノクリスタ
ル。
【請求項48】
該第二半導体物質が、II-VI族の化合物、II-V族の化合物、III-VI族の化合物、III-V族
の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族
の化合物である、請求項39記載のナノクリスタル。
【請求項49】
該第二半導体物質が、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgO、MgS、MgSe
、MgTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、I
nP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物である
、請求項39記載のナノクリスタル。
【請求項50】
該第三半導体物質が、II-VI族の化合物、II-V族の化合物、III-VI族の化合物、III-V族
の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族
の化合物である、請求項39記載のナノクリスタル。
【請求項51】
該第三半導体物質が、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgO、MgS、MgSe
、MgTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、I
nP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はこれらの混合物である
、請求項39記載のナノクリスタル。
【請求項52】
該ナノクリスタルが、励起時に、光を発し、最大発光強度の波長が、700 nmよりも長波
長である、請求項39記載のナノクリスタル。
【請求項53】
該ナノクリスタルが、励起時に、光を発し、最大発光強度の波長が、700 nmから1500 n
mの間である、請求項39記載のナノクリスタル。
【請求項54】
量子効率が、10%よりも大きい、請求項53記載のナノクリスタル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2012−102011(P2012−102011A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266358(P2011−266358)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【分割の表示】特願2004−559043(P2004−559043)の分割
【原出願日】平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】