説明

半導体レーザ素子の製造方法

【課題】所望の反射特性を有する端面コーティング膜を効率良く形成することができる半導体レーザ素子の製造方法を提供する。
【解決手段】この半導体レーザ素子の製造方法では、発振波長が異なる複数のサンプル1に同一の反射防止膜11を成膜することにより、製品となる半導体レーザ素子に形成した反射防止膜の反射率を直接測定する従来の場合とは異なり、数十nmにわたる広い波長範囲において反射防止膜11の波長依存性を求めることが可能となる。したがって、波長依存性から決定される反射防止膜11の膜構造と設計時の膜構造とを比較し、製品となる分布帰還型半導体レーザ素子への反射防止膜11の成膜条件を補正することにより、所望の反射特性を有する反射防止膜11を効率良く形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端面コーティング膜を有する半導体レーザ素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザ素子におけるレーザ光の出射端面には、例えば反射防止膜のような端面コーティング膜が形成される。長距離伝送で用いられるEA変調器集積DFBレーザ等では、発振波長に対する反射率が0.05%以下となるような反射防止膜が必要とされている。
【0003】
所望の反射特性を有する端面コーティング膜を形成するための技術として、半導体レーザ素子のファブリ・ペロー共振モードのリップル深さを利用したものがある。ファブリ・ペロー共振モードのリップル深さは、半導体レーザ素子の利得と素子端面の反射率とによって関係付けられる(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
この関係を利用し、例えば特許文献1に記載のコーティング反射率の調整方法では、半導体増幅器におけるリップル深さをモニタリングしながら、レーザアブレーションによって端面コーティング膜を局所的にエッチングしている。そして、リップル深さが極小となるようにエッチング量を調整することで、発振波長における端面コーティング膜の反射率を設計値に近づけている。
【特許文献1】特開2005−45128号公報
【非特許文献1】J.Appl.Phys.,vol.46,p.1299 (1975)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の方法では、端面コーティング膜をエッチングするレーザアブレーション装置を別途設ける必要があった。また、個々の素子の反射率の調整は可能であるが、複数の素子の端面コーティング膜の反射率を調整するのが困難であり、生産性の点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、所望の反射特性を有する端面コーティング膜を効率良く形成することができる半導体レーザ素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決のため、本願発明者は、鋭意研究を重ねる過程で、端面コーティング膜の反射率の波長依存性に着目した。そして、反射率の波長依存性と端面コーティング膜の膜構造とは1対1に対応付けられるものであり、反射率の波長依存性を把握すれば、端面コーティング膜の膜構造を特定できることに着目した。
【0008】
ところで、端面コーティング膜の反射率は、広い波長範囲にわたって緩やかに変化する。そのため、発振波長近傍における反射率の波長依存性を把握するには、少なくとも数十nm程度の波長範囲で反射率の測定を行う必要があると考えられる。
【0009】
しかしながら、リップル深さに基づく反射率測定では、個々の半導体レーザ素子の端面コーティング膜の反射率を十分な精度で測定できる波長範囲が数nm程度の狭い範囲に制限されるという問題があった。この制限は、測定を閾値電流以下で行う必要があり、半導体レーザ素子の発振波長付近の狭い波長範囲でしか十分な強度の光を検出できない点、及び半導体レーザ素子の利得を一定と仮定できる波長範囲が狭い点に起因するものである。
【0010】
これに対し、本願発明者は、更なる研究を重ねる過程で、発振波長が異なる複数のサンプルを利用し、端面コーティング膜における反射率の測定波長範囲を拡張する手法に想到した。そして、得られた波長依存性から求まる端面コーティング膜の膜構造と設計値とを比較し、製品となる半導体レーザ素子に端面コーティング膜を成膜する際の成膜条件を補正することで、所望の反射特性を有する端面コーティング膜を効率良く形成することができるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法は、レーザ素体の端面に端面コーティング膜を有する半導体レーザ素子の製造方法であって、ファブリ・ペロー共振器を有する半導体レーザ素子のサンプルを複数作製するサンプル作製工程と、発振波長が異なる複数のサンプルの端面に、同一の膜設計による端面コーティング膜を所定の成膜条件で形成する第1成膜工程と、端面コーティング膜が形成された各サンプルに所定の電流を注入し、ファブリ・ペローモードのリップル深さに基づいて、発振波長ごとの端面コーティング膜の反射率を測定する反射率測定工程と、端面コーティング膜の反射率の波長依存性に基づいて、端面コーティング膜の膜構造を算出する膜構造算出工程と、膜構造算出工程で算出された膜構造と設計時の膜構造との比較に基づいて補正された成膜条件で、レーザ素体の端面に端面コーティング膜を形成する第2成膜工程と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
この半導体レーザ素子の製造方法では、発振波長が異なる複数のサンプルに同一の端面コーティング膜を成膜することにより、製品となる半導体レーザ素子に形成した端面コーティング膜の反射率を直接測定する場合とは異なり、十分に広い波長範囲において端面コーティング膜の反射率の波長依存性を求めることが可能となる。したがって、反射率の波長依存性から決定される端面コーティング膜の膜構造と設計時の膜構造とを比較し、製品となる半導体レーザ素子への端面コーティング膜の成膜条件を補正することにより、所望の反射特性を有する端面コーティング膜を効率良く形成することができる。
【0013】
また、各サンプルの端面がへき開面の状態で、予め各サンプルの閾値電流を測定する閾値電流測定工程を更に備え、反射率測定工程において、閾値電流を各サンプルに注入することが好ましい。この場合、リップル深さから反射率を測定する際のパラメータ数を低減できるので、反射率測定がより簡便なものとなる。
【0014】
また、サンプルの実効屈折率が略同一となる波長範囲の中からサンプルの発振波長を選択することが好ましい。発振波長が異なる複数のサンプルの実効屈折率を略同一と近似できることにより、反射率測定の精度を向上できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、所望の反射特性を有する端面コーティング膜を効率良く形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法の一実施形態を示す工程図である。本実施形態では、発振波長が1305nmの位相シフト型分布帰還型半導体レーザ素子の端面に、発振波長における反射率が0.02%以下の反射防止膜を形成する場合を例示する。
【0018】
図1に示すように、この半導体レーザ素子の製造方法では、まず、半導体レーザ素子のサンプルを作製する(ステップS01:サンプル作製工程)。ここで作製するサンプルは、製品である分布帰還型半導体レーザ素子と同様の構成を有するものであってもよいが、ファブリ・ペロー共振器を有するものであれば、より簡素な構成の素子であってもよい。
【0019】
サンプルの例を図2に示す。図2(a)に示すように、サンプル1は、基板2と、多重量子井戸(MQW)構造を有する活性層4と、活性層4を挟むように形成されたクラッド層3,5と、クラッド層5の表面に形成されたコンタクト層6と、一対の電極7,8とからなるレーザ素体10を備えている。活性層4とクラッド層3,5とは、光導波路構造を形成している。
【0020】
レーザ素体10における活性層4の長手方向の両端面10a,10bは、サンプル1のチップ化の際に、半導体ウェハをへき開して得られるへき開面となっている。サンプル1のファブリ・ペロー共振器は、この両端面10a,10bによって構成され、活性層4で発生した光は、両端面10a,10bを繰り返し反射することによって増幅する。
【0021】
サンプル作製工程では、多重量子井戸を構成する半導体層の組成を調整することにより、発振波長が異なる複数のサンプル1を作製する。ここで、活性層4を含む光導波路構造の実効屈折率は、多重量子井戸を構成する半導体層の組成を調整することで変化し、サンプル1に形成する端面コーティング膜の反射率に影響を与える。
そこで、多重量子井戸を構成する半導体層の組成を調整することで互いに異なるように設定されるサンプル1の発振波長は、各サンプル1の実効屈折率が略同一とみなせる波長範囲内で選択される。各サンプル1の発振波長は、5nm以上離れていることが好ましい。
本実施形態では、発振波長が1275nm、1290nm、1297nm、1305nm、及び1320nmの5種類のサンプル1を作製する。この波長範囲内であれば、5種類のサンプル1における多重量子井戸の半導体組成は、互いにわずかに異なっているものの、発振波長に対する各サンプル1の実効屈折率は、略同一とみなすことができる。
【0022】
次に、作製した5種類のサンプル1のぞれぞれについて、閾値電流を測定する(ステップS02:閾値電流測定工程)。閾値電流は、サンプル1がレーザ発振するために必要な電流の最小値である。閾値電流の測定は、図2(a)に示したように、サンプル1におけるレーザ素体10の両端面10a,10bがいずれもへき開面の状態で行う。
【0023】
閾値電流を測定した後、図2(b)に示すように、サンプル1の一方の端面10aに対して反射防止膜(端面コーティング膜)11の成膜を行う(ステップS03:第1成膜工程)。反射防止膜11は、ステップS01で作製した全てのサンプル1について、同一の膜設計によるものが成膜される。
【0024】
本実施形態では、反射防止膜11は3層の誘電体多層膜からなり、設計値では、端面10a側から見て、1層目が厚さ129nmのAl、2層目が厚さ10.6nmのa−Si、3層目が厚さ10nmのAlである。なお、この膜設計では、波長1305nmにおける誘電体膜の屈折率n及び減衰係数kとして、Al(n,k)=(1.58,0)、a−Si(n,k)=(3.75,0.05)を用いた。図3は、上記の膜構造を有する反射防止膜11の反射率の波長依存性を示す図である。同図に示すように、反射防止膜11の反射率は、目標である波長1305nmにおいて極小となり、計算上は0%となっている。
【0025】
反射防止膜11の成膜には、例えばECRスパッタ装置が用いられる。成膜に先立って、まず、ECRスパッタ装置における成膜レートを測定する。成膜レートの測定では、例えばSi基板上にAl及びa−Siの単層膜をそれぞれ一定時間成膜し、その膜厚・屈折率・減衰係数を波長633nmのエリプソメータで測定する。
【0026】
次に、エリプソメータで測定した膜厚を成膜時間で除算して成膜レートを算出する。算出された成膜レートは、例えばAlが10nm/分、a−Siが8.5nm/分であった。反射防止膜11における上記の各誘電体膜の成膜時間は、この成膜レートに基づいて決定される。なお、波長633nmにおける誘電体膜の屈折率n及び減衰係数kは、例えばAl(n,k)=(1.61,0)、a−Si(n,k)=(4.56,0.5)であった。
【0027】
成膜時間を決定した後、各サンプル1を治具にセットしてECR装置に導入する。これにより、発振波長が異なる5種類のサンプル1の端面10aに、同一の膜構造を有する反射防止膜11を同時に成膜する。
【0028】
続いて、成膜した反射防止膜11の反射率測定をサンプル1ごとに行う(ステップS04:反射率測定工程)。図4は、反射率測定の測定系の一例を示す図である。図4に示すように、この測定系Sは、一対のレンズ21,22と、光ファイバ23と、光スペクトルアナライザ24とによって構成されている。
【0029】
サンプル1に閾値電流を付与すると、サンプル1からの出射光は、レンズ21,22によって平行光束化された後、光ファイバ23に結合する。光スペクトルアナライザ24は、サンプル1の発振波長を中心として、例えば±2nmの範囲の光スペクトルを波長0.01nm間隔で検出する。
【0030】
図5は、光スペクトルアナライザ24で検出される光スペクトル波形の一例を示す図である。図5(a)は、発振波長が1305nmのサンプル1の光スペクトル波形を波長1290nm〜1330nmの範囲で示したものである。光スペクトルの強度は、発振波長においてピークとなり、発振波長の両側では緩やかに減少する。また、光スペクトル波形には、ファブリ・ペローモードのリップルが出現する。
【0031】
ファブリ・ペローモードのリップル深さから反射率Rを求める式は、以下の通りである。
R=(a/g×RCL …(1)
={1−(1−m0.5}/m …(2)
=(PMAXi−PMINi)/(PMAXi+PMINi) …(3)
MAXi=(P+Pi+1)/2 …(4)
MINi=V …(5)
【0032】
上記の式(1)〜式(5)において、gはサンプルの周回利得(ただし、閾値電流を用いているので、g=1が成り立つ)であり、RCLはへき開面における反射率である。RCLは、例えば0.32である。また、P,Pi+1はリップルにおける隣り合うピークでの光強度であり、VはP,Pi+1の間のボトムでの光強度である(図5(b)参照)。P,Pi+1は、例えば発振波長に最も近い2つのピークを選択する。
【0033】
発振波長が異なる各サンプル1について反射防止膜11の反射率の測定を行った後、反射率を波長に対してプロットし、反射防止膜11の波長依存性を算出する。図6は、サンプルに形成した反射防止膜11の反射率の測定結果をプロットした図である。同図に示す例では、波長が長波長側にシフトするに伴って反射防止膜11の反射率が徐々に低下し、目標とする波長1305nmにおいて、反射率は約0.04%となっている。
【0034】
次に、ステップS04で算出した反射防止膜11の波長依存性に基づいて、反射防止膜11の膜構造を算出する(ステップS05:膜構造算出工程)。膜構造の算出は、公知の膜設計ソフトによるデータフィッティングを用いて実行する。図7は、データフィッティング結果の一例を示した図である。Al及びa−Siによる3層構造の反射防止膜において、波長1305nmおける反射率が0.04%となるものは、例えばグラフA〜Cの3種類が存在する。このうち、図6に示した反射防止膜11の反射率の測定結果に最もフィットするのは、グラフCとなっている。
【0035】
グラフAに係る反射防止膜の膜構造は、1層目が厚さ134nmのAl、2層目が厚さ9.0nmのa−Si、3層目が厚さ13nmのAlである。グラフBに係る反射防止膜の膜構造は、1層目が厚さ130.5nmのAl、2層目が厚さ9.0nmのa−Si、3層目が厚さ13nmのAlである。また、グラフCに係る反射防止膜の膜構造は、1層目が厚さ129nmのAl、2層目が厚さ10.5nmのa−Si、3層目が厚さ12.5nmのAlである。
【0036】
膜構造の算出の後、ECRスパッタ装置における成膜条件の補正を行う(ステップS06)。上述の例では、各サンプル1に形成された反射防止膜11は、3層目の誘電体膜の厚さが設計値に対して2.5nm程度厚くなっている。この結果から、反射防止膜11の膜構造を設計値に近づけるためには、ECRスパッタ装置における反射防止膜11の3層目の成膜時間を、第1成膜工程に比べて約0.8倍に短縮すればよいことがわかる。設計値とのずれが一定以下である場合には、成膜条件の補正は不要である。
【0037】
成膜条件の補正の後、製品となる位相シフト型分布帰還型半導体レーザ素子の端面に反射防止膜11の成膜を行う(ステップS07:第2成膜工程)。反射防止膜11の成膜は、第1成膜工程と同様にECRスパッタ装置を用いる。上記の例によれば、反射防止膜11の3層目の成膜時間を第1成膜工程よりも0.8倍に短縮することにより、設計値と同様の膜構造を有する反射防止膜11が分布帰還型半導体レーザ素子の端面にされる。
【0038】
最後に、反射防止膜11を形成した分布帰還型半導体レーザ素子の製品検査を行う(ステップS08)。この製品検査では、例えば分布帰還型半導体レーザ素子のサイドモード抑圧比(SMSR)を測定する。良品選別を行った後、製造工程が終了する。
【0039】
以上説明したように、この半導体レーザ素子の製造方法では、発振波長が異なる複数のサンプル1に同一の反射防止膜11を成膜することにより、製品となる半導体レーザ素子に形成した反射防止膜の反射率を直接測定する従来の場合とは異なり、数十nmにわたる広い波長範囲において反射防止膜11の波長依存性を求めることが可能となる。したがって、波長依存性から決定される反射防止膜11の膜構造と設計時の膜構造とを比較し、製品となる分布帰還型半導体レーザ素子への反射防止膜11の成膜条件を補正することにより、所望の反射特性を有する反射防止膜11を効率良く形成することができる。
【0040】
また、この半導体レーザ素子の製造方法では、各サンプル1の端面10a,10bがへき開面の状態で予め各サンプル1の閾値電流を測定し、反射率測定工程において、その閾値電流を各サンプル1に注入している。このように、レーザ発振に必要な最小限の電流をサンプル1に注入することで、反射率の計算に用いる式(1)中の周回利得gを1とみなすことができる。このため、リップル深さから反射率を測定する際のパラメータ数が低減され、反射率測定がより簡便なものとなる。
【0041】
また、各サンプル1の発振波長は、各サンプル1の実効屈折率が略同一となる波長範囲の中から選択されている。この波長範囲内では、サンプルである半導体レーザ素子の実効屈折率は略同一となるので、反射率測定において、上記式(1)におけるRCLがサンプルによらず一定となる。したがって、各発振波長に対する反射防止膜11の反射率は、反射防止膜11の屈折率のみをパラメータとして決定することができるので、工程の簡素化が図られる。
一方、サンプル1の実効屈折率が略同一とみなせない範囲まで各サンプル1の発振波長を拡張すると、上記式(1)におけるRCLの差がサンプルごとに無視できなくなり、反射率測定における誤差が増大する。この場合、サンプル1の実効屈折率を別途求める必要が生じ、工程が複雑となる。
【0042】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上述した実施形態では、端面コーティング膜として反射防止膜を例示したが、本発明は、高反射膜といった他の端面コーティング膜についても適用できる。また、製品である半導体レーザ素子は、EA変調器が集積された分布帰還型半導体レーザ素子などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
【図2】ファブリ・ペロー共振器を有する半導体レーザ素子のサンプルの一例を示す図である。
【図3】反射防止膜の波長依存性の設計値を示した図である。
【図4】反射率測定の測定系を示した図である。
【図5】光スペクトルアナライザで検出される光スペクトル波形の一例を示す図である。
【図6】サンプルに形成した反射防止膜11の反射率の測定結果をプロットした図である。
【図7】データフィッティング結果の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0044】
1…サンプル、10a…端面、11…反射防止膜(端面コーティング膜)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ素体の端面に端面コーティング膜を有する半導体レーザ素子の製造方法であって、
ファブリ・ペロー共振器を有する半導体レーザ素子のサンプルを複数作製するサンプル作製工程と、
発振波長が異なる複数の前記サンプルの端面に、同一の膜設計による端面コーティング膜を所定の成膜条件で形成する第1成膜工程と、
前記端面コーティング膜が形成された前記各サンプルに所定の電流を注入し、ファブリ・ペローモードのリップル深さに基づいて、前記発振波長ごとの前記端面コーティング膜の反射率を測定する反射率測定工程と、
前記端面コーティング膜の反射率の波長依存性に基づいて、前記端面コーティング膜の膜構造を算出する膜構造算出工程と、
前記膜構造算出工程で算出された前記膜構造と設計時の膜構造との比較に基づいて補正された成膜条件で、前記レーザ素体の端面に端面コーティング膜を形成する第2成膜工程と、を備えたことを特徴とする半導体レーザ素子の製造方法。
【請求項2】
前記各サンプルの前記端面がへき開面の状態で、予め前記各サンプルの閾値電流を測定する閾値電流測定工程を更に備え、
前記反射率測定工程において、前記閾値電流を前記各サンプルに注入することを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ素子の製造方法。
【請求項3】
前記サンプルの実効屈折率が略同一となる波長範囲の中から前記サンプルの発振波長を選択することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体レーザ素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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