半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
【課題】コンピュータシミュレーションによって得られる酸素析出物(BMD)の挙動を、赤外線トモグラフ法で得られる画像イメージで表示することによって、BMDの挙動を直感的、視覚的に理解することを可能にする方法を提供する。
【解決手段】あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、半導体単結晶中の酸素析出物の密度の情報をコンピュータに入力する入力処理と、この密度に対して、表示装置の表示領域に相当する体積を乗ずることにより、表示領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、乱数を用いて、個数分の前記表示領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、位置座標に応じて、表示装置に表示領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とするコンピュータを用いた半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法。
【解決手段】あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、半導体単結晶中の酸素析出物の密度の情報をコンピュータに入力する入力処理と、この密度に対して、表示装置の表示領域に相当する体積を乗ずることにより、表示領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、乱数を用いて、個数分の前記表示領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、位置座標に応じて、表示装置に表示領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とするコンピュータを用いた半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェーハは、電子デバイスの基板材料として幅広く用いられている。シリコンウェーハの多くは、CZ法(チョクラルスキー法)によって成長させたシリコン単結晶を用いている。この単結晶中には、過飽和の格子間酸素が含まれている。
【0003】
そして、この格子間酸素を含んだシリコンウェーハに、デバイス製造工程における熱処理が施されると、格子間酸素はシリコン酸化物として析出し、シリコンウェーハ内部に多数の微小欠陥が発生する。このシリコン酸化物からなる酸素析出物は、BMD(Bulk Micro Defect)と呼ばれている。
【0004】
BMDは、ウェーハの内部領域(バルク領域)に存在する場合には、いわゆるイントリシックゲッタリング(Intrinsic Gettering:IG)によって重金属不純物等を捕獲するゲッターサイトとして機能する。しかし、ウェーハ表面近傍の半導体デバイス作成領域に存在すると、半導体デバイスの動作を阻害して、デバイス特性の劣化が生じ、デバイス歩留まりに直接悪影響を与えることが知られている。
【0005】
このようなウェーハ表面近傍のBMDによる弊害を対策したウェーハとしてアニールウェーハがある。アニールウェーハは、シリコンウェーハに対してデバイス工程投入前に高温熱処理を行う。この熱処理により、ウェーハ内部にはBMDを維持した状態で、表面にはBMDのない領域であるDZ(Denuded Zone)を形成したウェーハである。
【0006】
シリコンウェーハにおけるBMDの挙動を割り出し、その知見に基づいてシリコンウェーハの製造工程を決定することは、所望の特性を有する半導体デバイスを、高い歩留まりで製造するためには極めて重要である。
【0007】
従来は、BMDの最適化のために、実際に条件を変更した多量のウェーハに、対象となるデバイス工程の熱処理あるいはこれを模擬した熱処理を実際に施し、酸素析出量やBMD密度を測定し、適正なウェーハ製造条件を決定していた。
【0008】
しかし、近年、コンピュータシュミレーションを行うことによって、BMDの挙動をある程度予測できるようになってきている(特許文献1)。このコンピュータシミュレーションは、数値計算によって行われる。
【特許文献1】特許第3446572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
もっとも、BMDの挙動をコンピュータで数値計算によりシミュレーションした結果は、数値データやグラフによって出力される。しかし、数値データやグラフによる出力では、BMDの挙動を直感的、視覚的に理解することは困難であった。
【0010】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、コンピュータシミュレーションによって得られる酸素析出物(BMD)の挙動を、赤外線トモグラフ法で得られる画像イメージで表示することによって、BMDの挙動を直感的、視覚的に理解することを可能にする半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、この方法をコンピュータに実行させるプログラムおよびこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、コンピュータによって半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、半導体単結晶中の酸素析出物の密度の情報を前記コンピュータに入力する入力処理と、前記密度に対して、表示装置の表示領域に相当する体積を乗ずることにより、前記表示領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、乱数を用いて、前記個数分の前記表示領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、前記位置座標に応じて、前記表示装置に前記表示領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第2の態様の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、コンピュータによって半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、表示装置の表示領域の横方向の幅をx、深さ方向の幅をyとし、前記表示領域を深さ方向(y方向)に所定の深さ方向の幅dyで分割して複数の分割表示領域を設け、あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、前記分割表示領域毎に算出される酸素析出物の密度の情報を前記コンピュータに入力する入力処理と、前記分割表示領域を包含する、深さ方向の幅がdyであり、横方向の幅がxy/dy以上の仮想領域を設定する仮想領域設定処理と、前記分割表示領域毎に算出される酸素析出物の密度に対して、前記仮想領域に相当する体積を乗ずることにより、前記仮想領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、乱数を用いて、前記個数分の前記仮想領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、前記位置座標が、前記分割表示領域中にある場合についてのみ、前記位置座標に応じて、前記表示装置に前記仮想領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とする。
【0013】
ここで、第1および第2の態様の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法において、前記入力処理において、酸素析出物の半径分布の情報を入力し、前記半径分布の情報に基づき、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の個々の強度分布を算出する強度分布算出処理を有し、前記出力処理において、前記表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示することが望ましい。
【0014】
ここで、第1および第2の態様の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法の、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示する方法において、熱処理の時系列に沿って、あらかじめ準備された酸素析出物の密度の情報および半径分布の情報の複数の情報セットについて繰り返し実行し、それぞれの実行の結果得られる位置座標と前記位置座標に対応する強度分布を、前記熱処理の時系列に沿って半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示する方法中の位置座標生成処理において、前記乱数を発生する乱数系列を常に同一にして、酸素析出物の半径が大きいものから順に位置座標を生成することが望ましい。
【0015】
ここで、第1および第2の態様の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法の、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示する方法において、前記熱処理の時系列に沿って半導体単結晶中の酸素析出物を動画として表示することが望ましい。
【0016】
本発明の一態様のコンピュータに実行させるためのプログラムは、前記第1の態様、前記第2の態様および、これらの態様で、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示する態様の方法を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記第1の態様、前記第2の態様および、これらの態様で、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示する態様の方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コンピュータシミュレーションによって得られる酸素析出物(BMD)の挙動を、赤外線トモグラフ法で得られる画像イメージで表示することによって、BMDの挙動を直感的、視覚的に理解することを可能にする半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、この方法をコンピュータに実行させるプログラムおよびこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、この方法をコンピュータに実行させるプログラムおよびこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体についての実施の形態につき、添付図面に基づき説明する。なお、ここでは半導体単結晶として、シリコン単結晶を対象とする場合を例として記載する。
【0020】
本発明の一つの特徴は、半導体結晶中におけるBMDの挙動を直感的、視覚的に理解することを可能にするために、コンピュータシミュレーションによって得られる酸素析出物(BMD)の挙動を、赤外線トモグラフ法で得られる画像イメージと同様の画像イメージとして表示することにある。
【0021】
以下、簡単に赤外線トモグラフ法について説明する。赤外線トモグラフ法は、半導体単結晶中のBMDを測定するための一つの手法である。また、一般に測定されたBMDの挙動は、画像イメージとして出力される。
【0022】
図15は、従来技術の赤外線トモグラフ法の説明図である。に示すように、シリコンウェーハをへき開面に沿って割断した後、へき開面に対して垂直な方向から、レーザ光源より発せられる赤外線レーザ光を投射する。そして、シリコンウェーハ中のBMDによる散乱光をへき開面側に配置されたカメラ(図示せず)で観察し、画像処理を行ってCRT等の表示装置に表示する。
【0023】
図16は、従来技術の赤外線トモグラフ法における測定領域の説明図である。図16に示すように、へき開面をカメラで観察して、例えば、200μm×200μmの領域を測定する。測定に用いられるレーザ径は、例えば約6μmであり、この場合、へき開面から奥行き約6μmが測定領域となる。この約6μmのレーザ光を水平方向にスキャンすることによって、200μm×200μm×6μmの領域が測定可能となる。
【0024】
図17は、従来技術の赤外線トモグラフ法で得られる画像のビットマップ(Bitmap)の説明図である。図17に示すように、例えば、縦、横に512ピクセル×512ピクセルの画素を有し、白黒強度は0〜255の256階調である。
【0025】
図15に示した測定においては、シリコンウェーハの素子側表面をレーザ光源のある下方に向けている。しかしながら、ウェーハ表面が下になると、直感的な認識が困難になるため、測定によって得られる画像のビットマップは、通常は表面が上にくるよう処理される。
【0026】
赤外線トモグラフ法で得られる画像からシリコンウェーハ中のBMD密度が計算される。バルクでのBMD密度は、画像からのカウントによって得られたBMD個数を、バルク測定領域の体積、ここでは(200μm×200μm×(472/512)×6μm)で割ることで求められる。なお、ここで、472/512とするのは、ウェーハ表面より上部、すなわちシリコンの無い領域を計算から除外していることによる。
【0027】
上述のように、本発明の一つの特徴は、コンピュータシミュレーションによって得られる酸素析出物(BMD)の挙動を、図17に示すような、赤外線トモグラフ法で得られ画像イメージと同様な画像イメージとして表示させることにある。
【0028】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、コンピュータによって半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、半導体単結晶中の酸素析出物の密度の情報をコンピュータに入力する入力処理と、この密度に対して、表示装置における表示領域に相当する体積を乗ずることにより、表示領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、乱数を用いて、個数分の表示領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、生成された位置座標に応じて、表示装置に表示領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とする。
【0029】
図1は、本実施の形態のフローチャートである。以下、このフローチャートの流れに沿って説明する。
【0030】
まず、あらかじめ公知の手法(例えば、特許文献1の手法)により、コンピュータシミュレーションを行い、バルクのシリコンウェーハにおけるBMD密度を計算する。そして、この計算されたBMD密度をコンピュータに入力する。
【0031】
そして、最終的な結果を表示装置に表示する際の表示領域の2次元部分に相当する領域について、ビットマップ(Bitmap)配列として、512×512の配列(画素)を準備しておく。
【0032】
そして、入力されたBMDの密度に対して、表示装置における表示領域に相当する体積を乗ずることにより、表示領域中のBMDの個数を算出する。ここで、表示装置とは、最終的な結果を、画像イメージとして可視化できるよう表示する装置であって、例えば、CRTや液晶等のディスプレイを用いることが可能である。
【0033】
ここで、表示領域については、通常、製造ライン等で用いられている赤外線トモグラフの測定領域と同様にすることが好ましい。これによって、BMDの挙動を直感的、視覚的に理解することが容易になるためである。
【0034】
例えば、赤外線トモグラフの測定領域(カメラの視野)が、200μm×200μm×6μmである場合場、表示領域も同様に、200μm×200μm×6μmとする。この表示領域には、シリコン領域とシリコン表面より上のシリコンのない領域が含まれている。
【0035】
そして、あらかじめ、コンピュータに入力されているシミュレーション結果からバルクのBMD密度を読み込み、バルクのBMD密度にバルクの表示領域の相当する体積(ここでは、バルクの測定領域と同じ)を乗ずることにより、バルクの表示領域中のBMDの個数(N)を算出する。
【0036】
そして、乱数を用いて、N個分のBMDの表示領域中の位置座標を生成する。そして、それぞれのBMDに当てられた位置座標に応じて、表示装置にBMDを画像として表示する。
【0037】
具体的な手順としては、まず1個目のBMDについて、乱数によって位置座標(X1、Y1)を生成する。なお、ここで位置座標X1およびY1は、表示領域の配列からシリコンウェーハ表面より上の背景領域に対応するY=0〜39を除いた、X=0〜511、Y=40〜511の範囲にあるものとする。そして、ビットマップ配列に、1個目のBMDについて生成された位置座標(X1、Y1)を中心とするBMDをプロットする。
【0038】
図2は、本実施の形態によって得られる、画像イメージの出力結果である。上記の処理を、1からN個まで繰り返した後、ビットマップ配列を画像として出力することにより、図2に示す画像イメージが得られる。
【0039】
このように、本実施の形態の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法によれば、コンピュータシミュレーションによって得られる酸素析出物(BMD)の挙動を、赤外線トモグラフ法で得られる画像イメージと同様の画像イメージとして表示することが可能となる。したがって、従来、数値データやグラフによって出力されていたBMD挙動を、より直感的、視覚的に理解することが可能となる。
【0040】
そして、この半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法をコンピュータに実行させるプログラムによって、上記方法をコンピュータに実行させることが可能となる。
【0041】
また、半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、上記方法を、必要時に必要な場所でコンピュータに入力して実行させることが可能となる。なお、記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、不揮発性メモリなどがある。
【0042】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、BMD密度が、シリコンウェーハ表面からの深さ毎に分割された分割表示領域毎にシミュレーションされている場合の方法である点以外は、第1の実施の形態と同様であるので重複する記載は省略する。
【0043】
例えば、シリコンウェーハに対してアニールウェーハのように高温処理を行って、DZが形成されるような場合、格子間酸素のシリコンウェーハ表面からの外方拡散を考慮し、表面からの深さ毎にBMD密度が計算される。このような場合にBMDを画像化して表示する方法が本実施の形態である。
【0044】
すなわち、本発明の第2の実施の形態の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、コンピュータによって半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、表示装置における表示領域の横方向の幅をx、深さ方向の幅をyとし、表示領域を深さ方向(y方向)に所定の幅dyで分割して複数の分割表示領域を設け、あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、分割表示領域毎に算出される酸素析出物の密度の情報を入力する入力処理と、分割表示領域を包含する、深さ方向の幅がdyであり、横方向の幅がxy/dy以上の仮想領域を設定する仮想領域設定処理と、分割表示領域毎に算出される酸素析出物の密度に対して、仮想領域に相当する体積を乗ずることにより、仮想領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、乱数を用いて、個数分の仮想領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、位置座標が、分割表示領域中にある場合についてのみ、位置座標に応じて、表示装置に仮想領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とする。
【0045】
図3は、本実施の形態のフローチャートである。以下、このフローチャートの流れに沿って説明する。
【0046】
本実施の形態においては、表示装置における表示領域の横方向の幅をx、深さ方向の幅をyとし、表示領域を深さ方向(y方向)に所定の幅dyで分割して複数の分割表示領域を設ける。図4は、本実施の形態の表示領域の説明図である。図4で示すように、実線で囲まれる表示領域に、シリコンウェーハ表面からの深さ毎に分割表示領域が設けられている。ただし、図4においては、シリコンウェーハ表面より上となる領域(破線よりも上側の領域)は、分割表示領域から除外されている。
【0047】
本実施の形態においては、まず、あらかじめ公知の手法により、コンピュータシミュレーションを行い、深さ方向の幅dyの分割表示領域毎にBMD密度を計算する。そして、分割表示領域毎に計算されたBMD密度の情報をコンピュータに入力する。
【0048】
そして、最終的な結果を表示装置に表示する際の表示領域の2次元部分に相当する領域について、ビットマップ配列として、512×512の配列(画素)を準備しておく。
【0049】
次に、図4の実線で囲まれる表示領域中の、それぞれの分割表示領域に対して、分割表示領域を包含する、深さ方向の幅がdyであり、横方向の幅がxy/dy以上の仮想領域を設定する。図4では、x=512、y=472のため、仮想領域の横方向の幅は、512×472/dyとして図示している。そして、仮想領域には、それぞれ浅いほうから1から順にウィンドウ番号WNが付けられている。
【0050】
ここで、このような仮想領域を設けるのは次の理由による。表示領域を深さ方向に分割して分割表示領域を設けていくと、例え、表示領域全体で数個のBMDが出現するようなBMD密度であっても、幅の狭い、すなわち体積の小さい分割表示領域内では、算出されるBMD個数が0個以下となってしまう場合がある。この場合、実際には表示領域中にBMDが出現する確率があるにもかかわらず、表示領域内にまったくBMDが存在しないという結果が得られてしまい、現実にそぐわない。
【0051】
これに対して、本実施の形態のように、それぞれの分割表示領域に対して、横方向の幅がxy/dy以上の仮想領域を設定すると、表示領域中に1個のBMDが出るようなBMD密度であっても、仮想領域を含めれば、BMD1個を現出させることができる。これによって、分割表示領域内では、BMD個数が1個未満であったとしても、仮想領域を含めれば1個以上を現出でき、確率的に分割領域にBMDを現出させることが可能となる。
【0052】
次に、仮想領域のウィンドウ番号WNを初期化する。すなわち、WN=1とする。
【0053】
そして、入力された分割表示領域毎に計算されたBMD密度に対して、対応する分割表示領域を包含する仮想領域に相当する体積を乗ずることにより、ウィンドウ番号1の仮想領域中のBMDの個数Nを算出する。
【0054】
そして、乱数を用いて、ウィンドウ番号1の仮想領域中のBMDの個数N個分のBMDのうち、最初の1個目のBMDの仮想領域中での位置座標を生成する。そして、生成された位置座標が、分割表示領域内の座標であれば、ビットマップ配列に、生成した座標を中心としたBMDをプロットする。
【0055】
次に、ウィンドウ番号1の2個目のBMDの仮想領域中での位置座標を生成する。そして、生成された位置座標が、分割表示領域内の座標であれば、ビットマップ配列に、生成した座標を中心としたBMDをプロットする。同様の処理をウィンドウ番号1のN個目のBMDまでに対して実行する。
【0056】
ウィンドウ番号1のN個目のBMDまでのプロットが終了すると、次のウィンドウ番号2からウィンドウ番号WNまで、同様の処理を実行し、最終的なビットマップ配列を画像として出力する。
【0057】
本実施の形態によれば、深さ方向にシリコンウェーハを分割して行ったBMD挙動のコンピュータシミュレーション結果に関しても、従来に比べ、より直感的、視覚的に理解することが可能となる。
【0058】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、BMD個々の強度分布も考慮にいれて画像化する方法であり、また、時系列に沿ったBMDの変化を反映して画像化する方法である点以外は、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同様であるので重複する記載は省略する。
【0059】
すなわち、酸素析出物(BMD)の情報をコンピュータに入力する際に、酸素析出物の半径分布の情報を入力し、その半径分布の情報に基づき、表示領域中または分割表示領域中の酸素析出物の個々の強度分布を算出する強度分布算出処理を有し、出力処理において、強度分布も画像として表示する点で第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なっている。
【0060】
また、熱処理の時系列に沿って、あらかじめ準備されたBMD密度の情報および半径分布の情報の複数の情報セットについて繰り返し実行し、それぞれの実行の結果得られる位置座標とその位置座標に対応する強度分布を、熱処理の時系列に沿って半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、位置座標生成処理において、乱数を発生する乱数系列を常に同一にして、酸素析出物の半径が大きいものから順に位置座標を生成する点でも第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なっている。
【0061】
まず、本実施の形態において、BMDの強度分布を画像化する上で考慮する方法について説明する。
【0062】
図5は、赤外線トモグラフ法で取得されたBMDの画像イメージを示す図である。例えば、図中、丸囲みの数字1で示されるサイズの小さなBMD(以下BMD1と称する)、丸囲みの数字2で示されるサイズの大きなBMD(以下BMD2と称する)で示されるように異なる大きさのBMD、すなわち、赤外線散乱の強度分布の異なるBMDがシリコンウェーハに分布している。
【0063】
図6は、赤外線トモグラフ法で取得されたBMDの強度分布の実測データを示す図である。図6(a)は、図5のBMD1の場合を示す。図6(b)は、図5のBMD2の場合を示す。
【0064】
図6(a)および図6(b)をそれぞれグラフ化した図が、図7(a)および図7(b)である。強度の実測データは、図7に示すように、ガウス分布曲線(正規分布曲線)に近似させることが可能である。図6(b)のBMD2の場合、実測値のピーク強度が255を超えているため、ビットマップ強度の制限0〜255の制約から近似曲線の山が擦り切れている。
【0065】
近似によるガウス分布曲線は、以下の式で表される。
I=Im・Exp(−A・r2)・・・(式1)
ここで、IはBMDの中心から半径r離れたところでの強度で、Imは、強度分布のピーク強度である。また、Aは広がりパラメータであり、BMD中心に対しての強度分布の広がり度合いを示すパラメータである。
【0066】
ピーク強度Imと広がりパラメータAの関係は実測値から経験的に求められる。図8は、ピーク強度Imと広がりパラメータAの相関図の一例である。この相関図より、経験式として、
A=0.019・Exp(−0.0018・Im)・・・(式2)
が得られる。
【0067】
したがって、1個のBMDのピーク強度Imが分かれば、(式1)および(式2)に基づいて、そのBMDの強度分布を画像イメージとして表示することが可能となる。したがって、それぞれのBMDのプロット位置と、ピーク強度が分かれば、赤外線トモグラフ法によって得られる画像イメージと同様の画像イメージを強度分布も含めて、コンピュータシミュレーションの結果から表示することが可能となることがわかる。
【0068】
図9は、ガウス分布に従ったBMD1個を描くサブルーチンのフローチャートである。このフローチャートに基づいて、強度分布の情報を伴ったBMD画像の表示方法について説明する。
【0069】
まず、処理101で、メインルーチンから特定のBMDの中心座標(位置座標)とピーク強度Imを受け取る。次に処理102では、ピーク強度Imから広がりパラメータAを前記式2より求める。そして、処理103では、強度Iが1になる半径の二乗値R2maxを、ピーク強度Imと広がりパラメータAから前記式1を用いて求める。そして、処理104において、強度Iが1になる半径Rmax、すなわち画像表示するBMDび半径を、R2maxの平方根より求める。
【0070】
以後、BMDの中心座標から、X、Y軸をプラスマイナスRmaxの領域でループする。その中で、BMD中心から半径がRmax以内の場所で、画像の表示領域内、すなわちビットマップ描画範囲内であれば、処理105で前記式1より求めた強度Iをビットマップに加算する。もし、求められた強度が255を超えるようであればI=255として加算する。
【0071】
次に、コンピュータシミュレーションによって求められたBMDの密度分布の結果から、BMDピーク強度と、そのBMD個数を計算する方法について説明する。図10は、BMD密度の分布からBMDピーク強度と、そのBMD個数を計算する方法の説明図である。
【0072】
図10(a)は、BMD密度とBMD半径の相関図の一例を示す。横軸は、BMDを球形と仮定した場合のBMD半径で、縦軸はBMD密度を表す。グラフは両対数で示している。この相関図は、表示領域あるいは各分割表示領域について、コンピュータシミュレーションにより求められる。
【0073】
図10(b)は、図10(a)のBMD密度を、BMD半径の大きいほうから積分(累積)した積分BMD密度を縦軸にとった図である。そして、図10(c)は、BMDのピーク強度とBMD半径の相関図の一例である。この相関図は、実測に基づいて経験的に求められる。この相関図では、赤外線トモグラフ法による測定の感度が、半径30nmのBMDのピーク強度Imが20となるものと仮定して描かれている。
【0074】
図11は、図10の相関図を用いて求めた、積分BMD密度とピーク強度の相関図である。図11(b)は、図11(a)のピーク強度Imの刻みを細かくして補間した図である。
【0075】
そして、図12は、BMD個数とピーク強度の相関図である。図12(a)は積分BMD個数とピーク強度、図12(b)は、純粋なBMD個数とピーク強度の相関図である。まず、図12(a)の相関図は、積分BMD密度に仮想領域の体積をかけて、仮想領域内になるある積分BMD個数を求めることによって描かれている。この時、小数点以下は切り捨て、個数は整数で表す。
【0076】
最終的には、図12(a)のBMD半径の大きいほうから、微分(差分を取る)をして図12(b)のようにそれぞれのピーク強度のBMD個数を求める。以上のようにして、BMD密度分布のシミュレーション結果からプロットすべきBMDのピーク強度とその個数を求めることができる。
【0077】
なお、BMDのピーク強度とその個数を求めるにあたって、一旦、BMD密度分布を積分する。これは、積分せずにピーク強度毎にBMD個数を求めた場合、個数を整数にするため切捨てを行わなければならない。すると誤差がたまっていってしまい、全ピーク強度でのBMD密度をBMD個数にした数と、ピーク強度毎のBMD個数を合計したもので整合がとれなくなる。この問題を回避するため、積分を行っている。
【0078】
図13は、本実施の形態の、上記BMDの強度分布を考慮し、かつ、時系列に沿ったBMDの変化を反映させる方法のフローチャートである。すなわち、上述した図9のサブルーチンのメインルーチンに相当する。
【0079】
まず、処理201で、ビットマップ配列に、シリコンウェーハ表面より上部の背景画像を読み込む。これは、より実際に実測定より得られる画像イメージに近づけるためである。この背景画像は、表示領域において、例えばY=0〜39の領域に表示される。次に、処理202で乱数系列を初期化する。これによって、このフローチャートを繰り返して実行する場合、毎回、同じ乱数系列で乱数を発生することになる。そして、処理203で、仮想領域(ウィンドウ)毎に乱数の種を決定する。このことにより、毎回同じ仮想領域の処理では同じ乱数系列を発生させる。
【0080】
そして、処理204で、シミュレーション結果から仮想領域(ウィンドウ)のBMD密度分布を読み込む。処理205では、仮想領域毎に乱数の種で乱数系列を初期化する。
【0081】
そして、上述したBMD密度分布からプロットすべきBMDのピーク強度Imとその個数を求める方法を用いて、処理206で、各ピーク強度Imの仮想領域内のBMD個数N(Im)を求める。次に、処理207では、Imを大きい値からループさせるため、Imのとる最大値をImに代入する。
【0082】
処理208では、変数JにそのImのBMD個数N(Im)を代入する。そして、続いてJ回、仮想領域に対応する分割表示領域にBMDをプロットする。処理209では、乱数でBMDをプロットするBMDの座標位置(X,Y)を生成し、処理210において先に説明したBMDプロットのサブルーチンを読み出し、このサブルーチンにのっとって強度分布を考慮してBMDを分割表示領域にプロットする。
【0083】
上記、分割表示領域へのプロットをすべての分割表示領域について行った後、ピットマップ配列を画像イメージとして出力する。
【0084】
なお、図13のフローチャートを繰り返す場合、ピーク強度の高いほうから順番に、同じ乱数系列でプロットする。したがって、特定の分割表示領域内で、m番目(mは任意の整数)に大きい半径のBMDは常に同じ位置にプロットされることになる。これにより、熱処理の時系列に沿ってシミュレーションされた結果を連続して表示し、時系列に沿ったBMDの挙動を観察することが可能となる。
【0085】
図14は、熱処理の時系列に沿ってシミュレーションされた結果を連続して表示した図である。矢印に沿って時間が進んでいる。最初の画像では、図13のフローチャートの処理201で読み込まれた背景画像のみが表示されている。時間が進むにつれて、BMDが発生し、成長している様子が確認できる。
【0086】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態および第2の実施の形態の作用・効果に加え、BMD個々の強度分布も考慮にいれて画像化することで、一層、BMDの挙動を直感的、視覚的に理解することが可能になる。また、熱処理の時系列に沿ったBMD挙動の画像表示が可能となり、より一層、BMDの挙動を直感的、視覚的に理解することが可能となる。
【0087】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、BMDを動画として表示する方法である以外は、第3の実施の形態と同様であるので重複する記載は省略する。
【0088】
すなわち、第3の実施の形態で、熱処理の時系列に沿って半導体単結晶中の酸素析出物を動画として表示する点で、第3の実施の形態と異なっている。
【0089】
本実施の形態は、第3の実施の形態の時間の刻みを細かくし、連続して表示画面をかえていくことで、動画として表示することが可能となる。
【0090】
本実施の形態によれば、BMD挙動の時間的変化を、さらに直感的、視覚的に理解することが容易となる。
【0091】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。実施の形態の説明においては、半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、この方法をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、この方法をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0092】
例えば、上記記載した実施の形態においては、半導体単結晶としてシリコン単結晶を例として記載したが、本発明の適用は、必ずしもシリコン単結晶に限られず、酸素を含有する半導体単結晶であれば、例えば、GaAs単結晶、InP単結晶等の単結晶についても適用することが可能である。
【0093】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、この方法をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1の実施の形態のフローチャートである。
【図2】第1の実施の形態によって得られる、画像イメージの出力結果である。
【図3】第2の実施の形態のフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態の表示領域の説明図である。
【図5】赤外線トモグラフ法で取得されたBMDの画像イメージを示す図である。
【図6】赤外線トモグラフ法で取得されたBMDの強度分布の実測データを示す図である。
【図7】図6をグラフ化した図である。
【図8】ピーク強度Imと広がりパラメータAの相関図の一例である。
【図9】第3の実施の形態の、ガウス分布に従ったBMD1個を描くサブルーチンのフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態の、BMD密度の分布からBMDピーク強度と、そのBMD個数を計算する方法の説明図である。
【図11】図10の相関図を用いて求めた、積分BMD密度とピーク強度の相関図である。
【図12】第3の実施の形態の、BMD個数とピーク強度の相関図である。
【図13】第3の実施の形態の、上記BMDの強度分布を考慮し、かつ、時系列に沿ったBMDの変化を反映させる方法のフローチャートである。
【図14】第3の実施の形態の、熱処理の時系列に沿ってシミュレーションされた結果を連続して表示した図である。
【図15】従来技術の赤外線トモグラフ法の説明図である。
【図16】従来技術の赤外線トモグラフ法における測定領域の説明図である。
【図17】従来技術の赤外線トモグラフ法で得られる画像のビットマップ(Bitmap)の説明図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェーハは、電子デバイスの基板材料として幅広く用いられている。シリコンウェーハの多くは、CZ法(チョクラルスキー法)によって成長させたシリコン単結晶を用いている。この単結晶中には、過飽和の格子間酸素が含まれている。
【0003】
そして、この格子間酸素を含んだシリコンウェーハに、デバイス製造工程における熱処理が施されると、格子間酸素はシリコン酸化物として析出し、シリコンウェーハ内部に多数の微小欠陥が発生する。このシリコン酸化物からなる酸素析出物は、BMD(Bulk Micro Defect)と呼ばれている。
【0004】
BMDは、ウェーハの内部領域(バルク領域)に存在する場合には、いわゆるイントリシックゲッタリング(Intrinsic Gettering:IG)によって重金属不純物等を捕獲するゲッターサイトとして機能する。しかし、ウェーハ表面近傍の半導体デバイス作成領域に存在すると、半導体デバイスの動作を阻害して、デバイス特性の劣化が生じ、デバイス歩留まりに直接悪影響を与えることが知られている。
【0005】
このようなウェーハ表面近傍のBMDによる弊害を対策したウェーハとしてアニールウェーハがある。アニールウェーハは、シリコンウェーハに対してデバイス工程投入前に高温熱処理を行う。この熱処理により、ウェーハ内部にはBMDを維持した状態で、表面にはBMDのない領域であるDZ(Denuded Zone)を形成したウェーハである。
【0006】
シリコンウェーハにおけるBMDの挙動を割り出し、その知見に基づいてシリコンウェーハの製造工程を決定することは、所望の特性を有する半導体デバイスを、高い歩留まりで製造するためには極めて重要である。
【0007】
従来は、BMDの最適化のために、実際に条件を変更した多量のウェーハに、対象となるデバイス工程の熱処理あるいはこれを模擬した熱処理を実際に施し、酸素析出量やBMD密度を測定し、適正なウェーハ製造条件を決定していた。
【0008】
しかし、近年、コンピュータシュミレーションを行うことによって、BMDの挙動をある程度予測できるようになってきている(特許文献1)。このコンピュータシミュレーションは、数値計算によって行われる。
【特許文献1】特許第3446572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
もっとも、BMDの挙動をコンピュータで数値計算によりシミュレーションした結果は、数値データやグラフによって出力される。しかし、数値データやグラフによる出力では、BMDの挙動を直感的、視覚的に理解することは困難であった。
【0010】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、コンピュータシミュレーションによって得られる酸素析出物(BMD)の挙動を、赤外線トモグラフ法で得られる画像イメージで表示することによって、BMDの挙動を直感的、視覚的に理解することを可能にする半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、この方法をコンピュータに実行させるプログラムおよびこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、コンピュータによって半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、半導体単結晶中の酸素析出物の密度の情報を前記コンピュータに入力する入力処理と、前記密度に対して、表示装置の表示領域に相当する体積を乗ずることにより、前記表示領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、乱数を用いて、前記個数分の前記表示領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、前記位置座標に応じて、前記表示装置に前記表示領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第2の態様の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、コンピュータによって半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、表示装置の表示領域の横方向の幅をx、深さ方向の幅をyとし、前記表示領域を深さ方向(y方向)に所定の深さ方向の幅dyで分割して複数の分割表示領域を設け、あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、前記分割表示領域毎に算出される酸素析出物の密度の情報を前記コンピュータに入力する入力処理と、前記分割表示領域を包含する、深さ方向の幅がdyであり、横方向の幅がxy/dy以上の仮想領域を設定する仮想領域設定処理と、前記分割表示領域毎に算出される酸素析出物の密度に対して、前記仮想領域に相当する体積を乗ずることにより、前記仮想領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、乱数を用いて、前記個数分の前記仮想領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、前記位置座標が、前記分割表示領域中にある場合についてのみ、前記位置座標に応じて、前記表示装置に前記仮想領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とする。
【0013】
ここで、第1および第2の態様の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法において、前記入力処理において、酸素析出物の半径分布の情報を入力し、前記半径分布の情報に基づき、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の個々の強度分布を算出する強度分布算出処理を有し、前記出力処理において、前記表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示することが望ましい。
【0014】
ここで、第1および第2の態様の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法の、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示する方法において、熱処理の時系列に沿って、あらかじめ準備された酸素析出物の密度の情報および半径分布の情報の複数の情報セットについて繰り返し実行し、それぞれの実行の結果得られる位置座標と前記位置座標に対応する強度分布を、前記熱処理の時系列に沿って半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示する方法中の位置座標生成処理において、前記乱数を発生する乱数系列を常に同一にして、酸素析出物の半径が大きいものから順に位置座標を生成することが望ましい。
【0015】
ここで、第1および第2の態様の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法の、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示する方法において、前記熱処理の時系列に沿って半導体単結晶中の酸素析出物を動画として表示することが望ましい。
【0016】
本発明の一態様のコンピュータに実行させるためのプログラムは、前記第1の態様、前記第2の態様および、これらの態様で、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示する態様の方法を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記第1の態様、前記第2の態様および、これらの態様で、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示する態様の方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コンピュータシミュレーションによって得られる酸素析出物(BMD)の挙動を、赤外線トモグラフ法で得られる画像イメージで表示することによって、BMDの挙動を直感的、視覚的に理解することを可能にする半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、この方法をコンピュータに実行させるプログラムおよびこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、この方法をコンピュータに実行させるプログラムおよびこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体についての実施の形態につき、添付図面に基づき説明する。なお、ここでは半導体単結晶として、シリコン単結晶を対象とする場合を例として記載する。
【0020】
本発明の一つの特徴は、半導体結晶中におけるBMDの挙動を直感的、視覚的に理解することを可能にするために、コンピュータシミュレーションによって得られる酸素析出物(BMD)の挙動を、赤外線トモグラフ法で得られる画像イメージと同様の画像イメージとして表示することにある。
【0021】
以下、簡単に赤外線トモグラフ法について説明する。赤外線トモグラフ法は、半導体単結晶中のBMDを測定するための一つの手法である。また、一般に測定されたBMDの挙動は、画像イメージとして出力される。
【0022】
図15は、従来技術の赤外線トモグラフ法の説明図である。に示すように、シリコンウェーハをへき開面に沿って割断した後、へき開面に対して垂直な方向から、レーザ光源より発せられる赤外線レーザ光を投射する。そして、シリコンウェーハ中のBMDによる散乱光をへき開面側に配置されたカメラ(図示せず)で観察し、画像処理を行ってCRT等の表示装置に表示する。
【0023】
図16は、従来技術の赤外線トモグラフ法における測定領域の説明図である。図16に示すように、へき開面をカメラで観察して、例えば、200μm×200μmの領域を測定する。測定に用いられるレーザ径は、例えば約6μmであり、この場合、へき開面から奥行き約6μmが測定領域となる。この約6μmのレーザ光を水平方向にスキャンすることによって、200μm×200μm×6μmの領域が測定可能となる。
【0024】
図17は、従来技術の赤外線トモグラフ法で得られる画像のビットマップ(Bitmap)の説明図である。図17に示すように、例えば、縦、横に512ピクセル×512ピクセルの画素を有し、白黒強度は0〜255の256階調である。
【0025】
図15に示した測定においては、シリコンウェーハの素子側表面をレーザ光源のある下方に向けている。しかしながら、ウェーハ表面が下になると、直感的な認識が困難になるため、測定によって得られる画像のビットマップは、通常は表面が上にくるよう処理される。
【0026】
赤外線トモグラフ法で得られる画像からシリコンウェーハ中のBMD密度が計算される。バルクでのBMD密度は、画像からのカウントによって得られたBMD個数を、バルク測定領域の体積、ここでは(200μm×200μm×(472/512)×6μm)で割ることで求められる。なお、ここで、472/512とするのは、ウェーハ表面より上部、すなわちシリコンの無い領域を計算から除外していることによる。
【0027】
上述のように、本発明の一つの特徴は、コンピュータシミュレーションによって得られる酸素析出物(BMD)の挙動を、図17に示すような、赤外線トモグラフ法で得られ画像イメージと同様な画像イメージとして表示させることにある。
【0028】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、コンピュータによって半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、半導体単結晶中の酸素析出物の密度の情報をコンピュータに入力する入力処理と、この密度に対して、表示装置における表示領域に相当する体積を乗ずることにより、表示領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、乱数を用いて、個数分の表示領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、生成された位置座標に応じて、表示装置に表示領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とする。
【0029】
図1は、本実施の形態のフローチャートである。以下、このフローチャートの流れに沿って説明する。
【0030】
まず、あらかじめ公知の手法(例えば、特許文献1の手法)により、コンピュータシミュレーションを行い、バルクのシリコンウェーハにおけるBMD密度を計算する。そして、この計算されたBMD密度をコンピュータに入力する。
【0031】
そして、最終的な結果を表示装置に表示する際の表示領域の2次元部分に相当する領域について、ビットマップ(Bitmap)配列として、512×512の配列(画素)を準備しておく。
【0032】
そして、入力されたBMDの密度に対して、表示装置における表示領域に相当する体積を乗ずることにより、表示領域中のBMDの個数を算出する。ここで、表示装置とは、最終的な結果を、画像イメージとして可視化できるよう表示する装置であって、例えば、CRTや液晶等のディスプレイを用いることが可能である。
【0033】
ここで、表示領域については、通常、製造ライン等で用いられている赤外線トモグラフの測定領域と同様にすることが好ましい。これによって、BMDの挙動を直感的、視覚的に理解することが容易になるためである。
【0034】
例えば、赤外線トモグラフの測定領域(カメラの視野)が、200μm×200μm×6μmである場合場、表示領域も同様に、200μm×200μm×6μmとする。この表示領域には、シリコン領域とシリコン表面より上のシリコンのない領域が含まれている。
【0035】
そして、あらかじめ、コンピュータに入力されているシミュレーション結果からバルクのBMD密度を読み込み、バルクのBMD密度にバルクの表示領域の相当する体積(ここでは、バルクの測定領域と同じ)を乗ずることにより、バルクの表示領域中のBMDの個数(N)を算出する。
【0036】
そして、乱数を用いて、N個分のBMDの表示領域中の位置座標を生成する。そして、それぞれのBMDに当てられた位置座標に応じて、表示装置にBMDを画像として表示する。
【0037】
具体的な手順としては、まず1個目のBMDについて、乱数によって位置座標(X1、Y1)を生成する。なお、ここで位置座標X1およびY1は、表示領域の配列からシリコンウェーハ表面より上の背景領域に対応するY=0〜39を除いた、X=0〜511、Y=40〜511の範囲にあるものとする。そして、ビットマップ配列に、1個目のBMDについて生成された位置座標(X1、Y1)を中心とするBMDをプロットする。
【0038】
図2は、本実施の形態によって得られる、画像イメージの出力結果である。上記の処理を、1からN個まで繰り返した後、ビットマップ配列を画像として出力することにより、図2に示す画像イメージが得られる。
【0039】
このように、本実施の形態の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法によれば、コンピュータシミュレーションによって得られる酸素析出物(BMD)の挙動を、赤外線トモグラフ法で得られる画像イメージと同様の画像イメージとして表示することが可能となる。したがって、従来、数値データやグラフによって出力されていたBMD挙動を、より直感的、視覚的に理解することが可能となる。
【0040】
そして、この半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法をコンピュータに実行させるプログラムによって、上記方法をコンピュータに実行させることが可能となる。
【0041】
また、半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、上記方法を、必要時に必要な場所でコンピュータに入力して実行させることが可能となる。なお、記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、不揮発性メモリなどがある。
【0042】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、BMD密度が、シリコンウェーハ表面からの深さ毎に分割された分割表示領域毎にシミュレーションされている場合の方法である点以外は、第1の実施の形態と同様であるので重複する記載は省略する。
【0043】
例えば、シリコンウェーハに対してアニールウェーハのように高温処理を行って、DZが形成されるような場合、格子間酸素のシリコンウェーハ表面からの外方拡散を考慮し、表面からの深さ毎にBMD密度が計算される。このような場合にBMDを画像化して表示する方法が本実施の形態である。
【0044】
すなわち、本発明の第2の実施の形態の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、コンピュータによって半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、表示装置における表示領域の横方向の幅をx、深さ方向の幅をyとし、表示領域を深さ方向(y方向)に所定の幅dyで分割して複数の分割表示領域を設け、あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、分割表示領域毎に算出される酸素析出物の密度の情報を入力する入力処理と、分割表示領域を包含する、深さ方向の幅がdyであり、横方向の幅がxy/dy以上の仮想領域を設定する仮想領域設定処理と、分割表示領域毎に算出される酸素析出物の密度に対して、仮想領域に相当する体積を乗ずることにより、仮想領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、乱数を用いて、個数分の仮想領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、位置座標が、分割表示領域中にある場合についてのみ、位置座標に応じて、表示装置に仮想領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とする。
【0045】
図3は、本実施の形態のフローチャートである。以下、このフローチャートの流れに沿って説明する。
【0046】
本実施の形態においては、表示装置における表示領域の横方向の幅をx、深さ方向の幅をyとし、表示領域を深さ方向(y方向)に所定の幅dyで分割して複数の分割表示領域を設ける。図4は、本実施の形態の表示領域の説明図である。図4で示すように、実線で囲まれる表示領域に、シリコンウェーハ表面からの深さ毎に分割表示領域が設けられている。ただし、図4においては、シリコンウェーハ表面より上となる領域(破線よりも上側の領域)は、分割表示領域から除外されている。
【0047】
本実施の形態においては、まず、あらかじめ公知の手法により、コンピュータシミュレーションを行い、深さ方向の幅dyの分割表示領域毎にBMD密度を計算する。そして、分割表示領域毎に計算されたBMD密度の情報をコンピュータに入力する。
【0048】
そして、最終的な結果を表示装置に表示する際の表示領域の2次元部分に相当する領域について、ビットマップ配列として、512×512の配列(画素)を準備しておく。
【0049】
次に、図4の実線で囲まれる表示領域中の、それぞれの分割表示領域に対して、分割表示領域を包含する、深さ方向の幅がdyであり、横方向の幅がxy/dy以上の仮想領域を設定する。図4では、x=512、y=472のため、仮想領域の横方向の幅は、512×472/dyとして図示している。そして、仮想領域には、それぞれ浅いほうから1から順にウィンドウ番号WNが付けられている。
【0050】
ここで、このような仮想領域を設けるのは次の理由による。表示領域を深さ方向に分割して分割表示領域を設けていくと、例え、表示領域全体で数個のBMDが出現するようなBMD密度であっても、幅の狭い、すなわち体積の小さい分割表示領域内では、算出されるBMD個数が0個以下となってしまう場合がある。この場合、実際には表示領域中にBMDが出現する確率があるにもかかわらず、表示領域内にまったくBMDが存在しないという結果が得られてしまい、現実にそぐわない。
【0051】
これに対して、本実施の形態のように、それぞれの分割表示領域に対して、横方向の幅がxy/dy以上の仮想領域を設定すると、表示領域中に1個のBMDが出るようなBMD密度であっても、仮想領域を含めれば、BMD1個を現出させることができる。これによって、分割表示領域内では、BMD個数が1個未満であったとしても、仮想領域を含めれば1個以上を現出でき、確率的に分割領域にBMDを現出させることが可能となる。
【0052】
次に、仮想領域のウィンドウ番号WNを初期化する。すなわち、WN=1とする。
【0053】
そして、入力された分割表示領域毎に計算されたBMD密度に対して、対応する分割表示領域を包含する仮想領域に相当する体積を乗ずることにより、ウィンドウ番号1の仮想領域中のBMDの個数Nを算出する。
【0054】
そして、乱数を用いて、ウィンドウ番号1の仮想領域中のBMDの個数N個分のBMDのうち、最初の1個目のBMDの仮想領域中での位置座標を生成する。そして、生成された位置座標が、分割表示領域内の座標であれば、ビットマップ配列に、生成した座標を中心としたBMDをプロットする。
【0055】
次に、ウィンドウ番号1の2個目のBMDの仮想領域中での位置座標を生成する。そして、生成された位置座標が、分割表示領域内の座標であれば、ビットマップ配列に、生成した座標を中心としたBMDをプロットする。同様の処理をウィンドウ番号1のN個目のBMDまでに対して実行する。
【0056】
ウィンドウ番号1のN個目のBMDまでのプロットが終了すると、次のウィンドウ番号2からウィンドウ番号WNまで、同様の処理を実行し、最終的なビットマップ配列を画像として出力する。
【0057】
本実施の形態によれば、深さ方向にシリコンウェーハを分割して行ったBMD挙動のコンピュータシミュレーション結果に関しても、従来に比べ、より直感的、視覚的に理解することが可能となる。
【0058】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、BMD個々の強度分布も考慮にいれて画像化する方法であり、また、時系列に沿ったBMDの変化を反映して画像化する方法である点以外は、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同様であるので重複する記載は省略する。
【0059】
すなわち、酸素析出物(BMD)の情報をコンピュータに入力する際に、酸素析出物の半径分布の情報を入力し、その半径分布の情報に基づき、表示領域中または分割表示領域中の酸素析出物の個々の強度分布を算出する強度分布算出処理を有し、出力処理において、強度分布も画像として表示する点で第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なっている。
【0060】
また、熱処理の時系列に沿って、あらかじめ準備されたBMD密度の情報および半径分布の情報の複数の情報セットについて繰り返し実行し、それぞれの実行の結果得られる位置座標とその位置座標に対応する強度分布を、熱処理の時系列に沿って半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、位置座標生成処理において、乱数を発生する乱数系列を常に同一にして、酸素析出物の半径が大きいものから順に位置座標を生成する点でも第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なっている。
【0061】
まず、本実施の形態において、BMDの強度分布を画像化する上で考慮する方法について説明する。
【0062】
図5は、赤外線トモグラフ法で取得されたBMDの画像イメージを示す図である。例えば、図中、丸囲みの数字1で示されるサイズの小さなBMD(以下BMD1と称する)、丸囲みの数字2で示されるサイズの大きなBMD(以下BMD2と称する)で示されるように異なる大きさのBMD、すなわち、赤外線散乱の強度分布の異なるBMDがシリコンウェーハに分布している。
【0063】
図6は、赤外線トモグラフ法で取得されたBMDの強度分布の実測データを示す図である。図6(a)は、図5のBMD1の場合を示す。図6(b)は、図5のBMD2の場合を示す。
【0064】
図6(a)および図6(b)をそれぞれグラフ化した図が、図7(a)および図7(b)である。強度の実測データは、図7に示すように、ガウス分布曲線(正規分布曲線)に近似させることが可能である。図6(b)のBMD2の場合、実測値のピーク強度が255を超えているため、ビットマップ強度の制限0〜255の制約から近似曲線の山が擦り切れている。
【0065】
近似によるガウス分布曲線は、以下の式で表される。
I=Im・Exp(−A・r2)・・・(式1)
ここで、IはBMDの中心から半径r離れたところでの強度で、Imは、強度分布のピーク強度である。また、Aは広がりパラメータであり、BMD中心に対しての強度分布の広がり度合いを示すパラメータである。
【0066】
ピーク強度Imと広がりパラメータAの関係は実測値から経験的に求められる。図8は、ピーク強度Imと広がりパラメータAの相関図の一例である。この相関図より、経験式として、
A=0.019・Exp(−0.0018・Im)・・・(式2)
が得られる。
【0067】
したがって、1個のBMDのピーク強度Imが分かれば、(式1)および(式2)に基づいて、そのBMDの強度分布を画像イメージとして表示することが可能となる。したがって、それぞれのBMDのプロット位置と、ピーク強度が分かれば、赤外線トモグラフ法によって得られる画像イメージと同様の画像イメージを強度分布も含めて、コンピュータシミュレーションの結果から表示することが可能となることがわかる。
【0068】
図9は、ガウス分布に従ったBMD1個を描くサブルーチンのフローチャートである。このフローチャートに基づいて、強度分布の情報を伴ったBMD画像の表示方法について説明する。
【0069】
まず、処理101で、メインルーチンから特定のBMDの中心座標(位置座標)とピーク強度Imを受け取る。次に処理102では、ピーク強度Imから広がりパラメータAを前記式2より求める。そして、処理103では、強度Iが1になる半径の二乗値R2maxを、ピーク強度Imと広がりパラメータAから前記式1を用いて求める。そして、処理104において、強度Iが1になる半径Rmax、すなわち画像表示するBMDび半径を、R2maxの平方根より求める。
【0070】
以後、BMDの中心座標から、X、Y軸をプラスマイナスRmaxの領域でループする。その中で、BMD中心から半径がRmax以内の場所で、画像の表示領域内、すなわちビットマップ描画範囲内であれば、処理105で前記式1より求めた強度Iをビットマップに加算する。もし、求められた強度が255を超えるようであればI=255として加算する。
【0071】
次に、コンピュータシミュレーションによって求められたBMDの密度分布の結果から、BMDピーク強度と、そのBMD個数を計算する方法について説明する。図10は、BMD密度の分布からBMDピーク強度と、そのBMD個数を計算する方法の説明図である。
【0072】
図10(a)は、BMD密度とBMD半径の相関図の一例を示す。横軸は、BMDを球形と仮定した場合のBMD半径で、縦軸はBMD密度を表す。グラフは両対数で示している。この相関図は、表示領域あるいは各分割表示領域について、コンピュータシミュレーションにより求められる。
【0073】
図10(b)は、図10(a)のBMD密度を、BMD半径の大きいほうから積分(累積)した積分BMD密度を縦軸にとった図である。そして、図10(c)は、BMDのピーク強度とBMD半径の相関図の一例である。この相関図は、実測に基づいて経験的に求められる。この相関図では、赤外線トモグラフ法による測定の感度が、半径30nmのBMDのピーク強度Imが20となるものと仮定して描かれている。
【0074】
図11は、図10の相関図を用いて求めた、積分BMD密度とピーク強度の相関図である。図11(b)は、図11(a)のピーク強度Imの刻みを細かくして補間した図である。
【0075】
そして、図12は、BMD個数とピーク強度の相関図である。図12(a)は積分BMD個数とピーク強度、図12(b)は、純粋なBMD個数とピーク強度の相関図である。まず、図12(a)の相関図は、積分BMD密度に仮想領域の体積をかけて、仮想領域内になるある積分BMD個数を求めることによって描かれている。この時、小数点以下は切り捨て、個数は整数で表す。
【0076】
最終的には、図12(a)のBMD半径の大きいほうから、微分(差分を取る)をして図12(b)のようにそれぞれのピーク強度のBMD個数を求める。以上のようにして、BMD密度分布のシミュレーション結果からプロットすべきBMDのピーク強度とその個数を求めることができる。
【0077】
なお、BMDのピーク強度とその個数を求めるにあたって、一旦、BMD密度分布を積分する。これは、積分せずにピーク強度毎にBMD個数を求めた場合、個数を整数にするため切捨てを行わなければならない。すると誤差がたまっていってしまい、全ピーク強度でのBMD密度をBMD個数にした数と、ピーク強度毎のBMD個数を合計したもので整合がとれなくなる。この問題を回避するため、積分を行っている。
【0078】
図13は、本実施の形態の、上記BMDの強度分布を考慮し、かつ、時系列に沿ったBMDの変化を反映させる方法のフローチャートである。すなわち、上述した図9のサブルーチンのメインルーチンに相当する。
【0079】
まず、処理201で、ビットマップ配列に、シリコンウェーハ表面より上部の背景画像を読み込む。これは、より実際に実測定より得られる画像イメージに近づけるためである。この背景画像は、表示領域において、例えばY=0〜39の領域に表示される。次に、処理202で乱数系列を初期化する。これによって、このフローチャートを繰り返して実行する場合、毎回、同じ乱数系列で乱数を発生することになる。そして、処理203で、仮想領域(ウィンドウ)毎に乱数の種を決定する。このことにより、毎回同じ仮想領域の処理では同じ乱数系列を発生させる。
【0080】
そして、処理204で、シミュレーション結果から仮想領域(ウィンドウ)のBMD密度分布を読み込む。処理205では、仮想領域毎に乱数の種で乱数系列を初期化する。
【0081】
そして、上述したBMD密度分布からプロットすべきBMDのピーク強度Imとその個数を求める方法を用いて、処理206で、各ピーク強度Imの仮想領域内のBMD個数N(Im)を求める。次に、処理207では、Imを大きい値からループさせるため、Imのとる最大値をImに代入する。
【0082】
処理208では、変数JにそのImのBMD個数N(Im)を代入する。そして、続いてJ回、仮想領域に対応する分割表示領域にBMDをプロットする。処理209では、乱数でBMDをプロットするBMDの座標位置(X,Y)を生成し、処理210において先に説明したBMDプロットのサブルーチンを読み出し、このサブルーチンにのっとって強度分布を考慮してBMDを分割表示領域にプロットする。
【0083】
上記、分割表示領域へのプロットをすべての分割表示領域について行った後、ピットマップ配列を画像イメージとして出力する。
【0084】
なお、図13のフローチャートを繰り返す場合、ピーク強度の高いほうから順番に、同じ乱数系列でプロットする。したがって、特定の分割表示領域内で、m番目(mは任意の整数)に大きい半径のBMDは常に同じ位置にプロットされることになる。これにより、熱処理の時系列に沿ってシミュレーションされた結果を連続して表示し、時系列に沿ったBMDの挙動を観察することが可能となる。
【0085】
図14は、熱処理の時系列に沿ってシミュレーションされた結果を連続して表示した図である。矢印に沿って時間が進んでいる。最初の画像では、図13のフローチャートの処理201で読み込まれた背景画像のみが表示されている。時間が進むにつれて、BMDが発生し、成長している様子が確認できる。
【0086】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態および第2の実施の形態の作用・効果に加え、BMD個々の強度分布も考慮にいれて画像化することで、一層、BMDの挙動を直感的、視覚的に理解することが可能になる。また、熱処理の時系列に沿ったBMD挙動の画像表示が可能となり、より一層、BMDの挙動を直感的、視覚的に理解することが可能となる。
【0087】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法は、BMDを動画として表示する方法である以外は、第3の実施の形態と同様であるので重複する記載は省略する。
【0088】
すなわち、第3の実施の形態で、熱処理の時系列に沿って半導体単結晶中の酸素析出物を動画として表示する点で、第3の実施の形態と異なっている。
【0089】
本実施の形態は、第3の実施の形態の時間の刻みを細かくし、連続して表示画面をかえていくことで、動画として表示することが可能となる。
【0090】
本実施の形態によれば、BMD挙動の時間的変化を、さらに直感的、視覚的に理解することが容易となる。
【0091】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。実施の形態の説明においては、半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、この方法をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、この方法をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0092】
例えば、上記記載した実施の形態においては、半導体単結晶としてシリコン単結晶を例として記載したが、本発明の適用は、必ずしもシリコン単結晶に限られず、酸素を含有する半導体単結晶であれば、例えば、GaAs単結晶、InP単結晶等の単結晶についても適用することが可能である。
【0093】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法、この方法をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1の実施の形態のフローチャートである。
【図2】第1の実施の形態によって得られる、画像イメージの出力結果である。
【図3】第2の実施の形態のフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態の表示領域の説明図である。
【図5】赤外線トモグラフ法で取得されたBMDの画像イメージを示す図である。
【図6】赤外線トモグラフ法で取得されたBMDの強度分布の実測データを示す図である。
【図7】図6をグラフ化した図である。
【図8】ピーク強度Imと広がりパラメータAの相関図の一例である。
【図9】第3の実施の形態の、ガウス分布に従ったBMD1個を描くサブルーチンのフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態の、BMD密度の分布からBMDピーク強度と、そのBMD個数を計算する方法の説明図である。
【図11】図10の相関図を用いて求めた、積分BMD密度とピーク強度の相関図である。
【図12】第3の実施の形態の、BMD個数とピーク強度の相関図である。
【図13】第3の実施の形態の、上記BMDの強度分布を考慮し、かつ、時系列に沿ったBMDの変化を反映させる方法のフローチャートである。
【図14】第3の実施の形態の、熱処理の時系列に沿ってシミュレーションされた結果を連続して表示した図である。
【図15】従来技術の赤外線トモグラフ法の説明図である。
【図16】従来技術の赤外線トモグラフ法における測定領域の説明図である。
【図17】従来技術の赤外線トモグラフ法で得られる画像のビットマップ(Bitmap)の説明図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、
あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、半導体単結晶中の酸素析出物の密度の情報を前記コンピュータに入力する入力処理と、
前記密度に対して、表示装置の表示領域に相当する体積を乗ずることにより、前記表示領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、
乱数を用いて、前記個数分の前記表示領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、
前記位置座標に応じて、前記表示装置に前記表示領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とする半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法。
【請求項2】
コンピュータによって半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、
表示装置の表示領域の横方向の幅をx、深さ方向の幅をyとし、前記表示領域を深さ方向(y方向)に所定の深さ方向の幅dyで分割して複数の分割表示領域を設け、
あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、前記分割表示領域毎に算出される酸素析出物の密度の情報を前記コンピュータに入力する入力処理と、
前記分割表示領域を包含する、深さ方向の幅がdyであり、横方向の幅がxy/dy以上の仮想領域を設定する仮想領域設定処理と、
前記分割表示領域毎に算出される酸素析出物の密度に対して、前記仮想領域に相当する体積を乗ずることにより、前記仮想領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、
乱数を用いて、前記個数分の前記仮想領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、
前記位置座標が、前記分割表示領域中にある場合についてのみ、前記位置座標に応じて、前記表示装置に前記仮想領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とする半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法。
【請求項3】
前記入力処理において、酸素析出物の半径分布の情報を入力し、
前記半径分布の情報に基づき、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の個々の強度分布を算出する強度分布算出処理を有し、
前記出力処理において、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示することを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法を、熱処理の時系列に沿って、あらかじめ準備された酸素析出物の密度の情報および半径分布の情報の複数の情報セットについて繰り返し実行し、それぞれの実行の結果得られる位置座標と前記位置座標に対応する強度分布を、前記熱処理の時系列に沿って半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、
請求項3中の位置座標生成処理において、前記乱数を発生する乱数系列を常に同一にして、酸素析出物の半径が大きいものから順に位置座標を生成することを特徴とする半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法。
【請求項5】
請求項4において、前記熱処理の時系列に沿って半導体単結晶中の酸素析出物を動画として表示することを特徴とする請求項4記載の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法。
【請求項6】
前記請求項1ないし請求項5記載の方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
前記請求項6記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
コンピュータによって半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、
あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、半導体単結晶中の酸素析出物の密度の情報を前記コンピュータに入力する入力処理と、
前記密度に対して、表示装置の表示領域に相当する体積を乗ずることにより、前記表示領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、
乱数を用いて、前記個数分の前記表示領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、
前記位置座標に応じて、前記表示装置に前記表示領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とする半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法。
【請求項2】
コンピュータによって半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、
表示装置の表示領域の横方向の幅をx、深さ方向の幅をyとし、前記表示領域を深さ方向(y方向)に所定の深さ方向の幅dyで分割して複数の分割表示領域を設け、
あらかじめコンピュータシミュレーションによって準備される、前記分割表示領域毎に算出される酸素析出物の密度の情報を前記コンピュータに入力する入力処理と、
前記分割表示領域を包含する、深さ方向の幅がdyであり、横方向の幅がxy/dy以上の仮想領域を設定する仮想領域設定処理と、
前記分割表示領域毎に算出される酸素析出物の密度に対して、前記仮想領域に相当する体積を乗ずることにより、前記仮想領域中の酸素析出物の個数を算出する個数算出処理と、
乱数を用いて、前記個数分の前記仮想領域中の酸素析出物の位置座標を生成する座標生成処理と、
前記位置座標が、前記分割表示領域中にある場合についてのみ、前記位置座標に応じて、前記表示装置に前記仮想領域中の酸素析出物を画像として表示する出力処理を有することを特徴とする半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法。
【請求項3】
前記入力処理において、酸素析出物の半径分布の情報を入力し、
前記半径分布の情報に基づき、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の個々の強度分布を算出する強度分布算出処理を有し、
前記出力処理において、前記表示領域中または前記分割表示領域中の酸素析出物の前記強度分布も画像として表示することを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法を、熱処理の時系列に沿って、あらかじめ準備された酸素析出物の密度の情報および半径分布の情報の複数の情報セットについて繰り返し実行し、それぞれの実行の結果得られる位置座標と前記位置座標に対応する強度分布を、前記熱処理の時系列に沿って半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法であって、
請求項3中の位置座標生成処理において、前記乱数を発生する乱数系列を常に同一にして、酸素析出物の半径が大きいものから順に位置座標を生成することを特徴とする半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法。
【請求項5】
請求項4において、前記熱処理の時系列に沿って半導体単結晶中の酸素析出物を動画として表示することを特徴とする請求項4記載の半導体単結晶中の酸素析出物を画像化して表示する方法。
【請求項6】
前記請求項1ないし請求項5記載の方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
前記請求項6記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図5】
【図6】
【図14】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図5】
【図6】
【図14】
【図17】
【公開番号】特開2009−67657(P2009−67657A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240468(P2007−240468)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(507182807)コバレントマテリアル株式会社 (506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(507182807)コバレントマテリアル株式会社 (506)
【Fターム(参考)】
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