説明

半導体回路

【課題】安定した入出力特性を得られる半導体回路を提供する。特に、スイッチング素子のリーク電流に起因する不具合が抑制された半導体回路を提供する。
【解決手段】スイッチトキャパシタ回路に用いられるスイッチング素子に、酸化物半導体などのワイドギャップ半導体をチャネルが形成される半導体層に用いた電界効果型のトランジスタを適用する。このようなトランジスタは、オフ状態におけるリーク電流が小さい特徴を有し、当該トランジスタをスイッチング素子に適用することによりリーク電流に起因する不具合が抑制され、安定した入出力特性が得られる半導体回路を構成することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を用いた半導体回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体回路の技術の一つとして、スイッチング素子(以下、スイッチともいう)と容量素子を組み合わせ、当該容量素子への充放電をスイッチング素子によって制御するスイッチトキャパシタ回路の技術が知られている。このようなスイッチトキャパシタ回路は電気特性の温度依存性が極めて小さいため、半導体回路内の抵抗素子と置き換えて用いることにより、温度依存性の小さな半導体回路を実現することができる。
【0003】
また、スイッチトキャパシタ回路を演算増幅回路と組み合わせて用いる技術が知られている。このようにスイッチトキャパシタ回路と演算増幅回路とを組み合わせて構成された半導体回路は、クロック信号を用いて動作させることにより、当該半導体回路に入力される連続時間信号をサンプリングし、離散時間信号に変換して出力する。またスイッチトキャパシタ回路と演算増幅回路の接続方法や動作方法によって、フィルタ回路をはじめ、増幅回路、積分回路、微分回路などといった回路を構成することが出来る。
【0004】
例えばこれらを組み合わせて構成された増幅器(アンプ)はスイッチトキャパシタアンプ回路と呼ばれる(非特許文献1参照)。
【0005】
図11に上記「非特許文献1」に記載されているスイッチトキャパシタアンプ回路の構成の一例を示す。スイッチトキャパシタアンプ回路は3つのスイッチ(スイッチSW1、スイッチSW2及びスイッチSW3)と2つの容量素子(容量素子C1及び容量素子C2)及び一つの演算増幅回路から構成されている。スイッチトキャパシタアンプ回路の入力端子には入力信号INが入力される。また出力端子には出力信号OUTが出力される。ここで、入力信号INの電圧を入力電圧Vin、また出力信号OUTの電圧を出力電圧Voutとする。また、スイッチSW1及びSW2には同一のクロック信号S1が入力され、スイッチSW3には、クロック信号S1とは逆位相のクロック信号S2が入力される。ここで、接地電圧をVrefとする。また、スイッチSW1と容量素子C1との間のノードをnode(A)、演算増幅回路のマイナス端子に接続されるノードをnode(B)と呼ぶこととする。
【0006】
スイッチトキャパシタアンプ回路の動作は、入力電圧Vinをサンプリングするサンプリング期間と、サンプリングした入力電圧Vinを増幅し、出力電圧Voutとして出力するホールド期間との2つの期間を有する。以下、図11に示したスイッチトキャパシタアンプ回路を例に、各々の期間における動作について説明する。
【0007】
まず、サンプリング期間において、スイッチSW1及びスイッチSW2がオン状態、またスイッチSW3がオフ状態となるようにクロック信号S1及びクロック信号S2が入力される。このとき、容量素子C1の容量値をC1、容量素子C2の容量値をC2とし、容量素子C1のnode(B)側の電極に蓄積される電荷をQ1、容量素子C2のnode(B)側の電極に蓄積される電荷をQ2とすると、Q1及びQ2は数式1のようになる。
【0008】
【数1】

【0009】
続いて、ホールド期間において、スイッチSW1及びスイッチSW2がオフ状態、またスイッチSW3がオン状態となるように、クロック信号S1及びクロック信号S2が入力される。このとき、node(B)は演算増幅回路により仮想的に接地されているため電位は変わらない。したがってこのときの容量素子C1のnode(B)側の電極に蓄積される電荷をQ1’、容量素子C2のnode(B)側の電極に蓄積される電荷をQ2’とすると、Q1’及びQ2’は数式2のようになる。
【0010】
【数2】

【0011】
ここで、サンプリング期間とホールド期間とで各容量素子に蓄積される電荷の総量が等しいとして、出力電圧Voutを計算すると、数式3のようになる。
【0012】
【数3】

【0013】
このように、スイッチトキャパシタアンプ回路は、サンプリング期間で取得した入力電圧Vinを、ホールド期間にて容量素子C1及び容量素子C2の容量比に応じて増幅し、出力することができる回路である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Behzad Razavi,黒田忠広 監訳,「アナログCMOS集積回路の設計 応用編」,丸善出版,2003年3月,p.495−498
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ここで、上記のような半導体回路内のスイッチトキャパシタ回路を構成するスイッチは、従来のCMOS技術を用いたアナログスイッチが適用されることが多い。しかしながら、このようなアナログスイッチはオフ状態においてもリーク電流が生じるため、このリーク電流に起因して半導体回路の入出力特性を悪化させる不具合が生じる場合がある。例えば、上述した従来のスイッチトキャパシタアンプ回路では、当該リーク電流に起因して以下のような出力特性に対する不具合が生じる。
【0016】
まず、スイッチSW1に着目する。入力信号INが入力される入力端子には常に入力電圧Vinが入力されるため、オフ状態でのスイッチSW1にリーク電流が生じると、ホールド期間中のnode(B)の電位が安定しない。その結果、入力電圧Vinに起因したノイズが出力電圧Voutに加わってしまう。
【0017】
また、スイッチSW2に着目すると、ホールド期間中に容量素子C2に蓄積された電荷は、スイッチSW2がリーク経路となって減少してしまう。その結果、出力電圧Voutの変化として電荷の減少が観測されてしまい、安定した出力電圧Voutが得られない。
【0018】
このようなスイッチトキャパシタアンプ回路を構成するスイッチのリーク電流の影響を低減するための対策としては、容量素子C1及び容量素子C2の容量値を大きくすることが挙げられる。しかしながら、このような対策を行うと回路のレイアウトサイズが増大してしまう、また、容量素子への充放電に要する時間が長くなるため回路動作を高速化できないなどの問題がある。
【0019】
このようなスイッチング素子のリーク電流に起因した不具合は、上記で例示したスイッチトキャパシタアンプ回路に限られるものでなく、例えば増幅回路、積分回路、フィルタ回路などの、スイッチトキャパシタ回路と演算増幅回路とを組み合わせた半導体回路に共通して生じる。
【0020】
すなわち、上記半導体回路の入力信号として連続時間信号が入力される端子に接続されるスイッチング素子のリーク電流に起因して、出力信号である離散時間信号にノイズが加わってしまう不具合が生じる。また、容量素子に接続されるスイッチング素子のリーク電流に起因して、出力信号として安定な出力電圧が得られない不具合が生じる。
【0021】
本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものである。したがって本発明の一態様は、安定した入出力特性を得られる半導体回路を提供することを課題の一とする。特に、スイッチング素子のリーク電流に起因する不具合が抑制された半導体回路を提供することを課題の一とする。
【0022】
本発明は、上記課題の少なくとも一を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の一態様は、オフ状態におけるリーク電流が極めて小さいスイッチング素子を半導体回路に適用することにより、上記課題を解決するものである。具体的には、上記スイッチング素子に、酸化物半導体などのワイドギャップ半導体をチャネルが形成される半導体層に用いた電界効果型のトランジスタを適用する。このようなトランジスタは、オフ状態におけるリーク電流が小さい特徴を有し、当該トランジスタをスイッチング素子に適用することによりリーク電流に起因する不具合が抑制され、安定した入出力特性が得られる半導体回路を構成することが出来る。
【0024】
また、上記トランジスタを構成する半導体は、真性キャリア密度が極めて低い酸化物半導体を用いることが好ましい。チャネルが形成される半導体層の真性キャリア密度が極めて低いため、トランジスタのオフ状態におけるリーク電流は極めて小さいものとなる。このような特徴は、他の半導体(例えばシリコン)にはない酸化物半導体に特有の特徴である。
【0025】
すなわち、本発明の一態様は、スイッチング素子と容量素子が並列又は直列に接続された、少なくとも一つのスイッチトキャパシタ回路と、演算増幅回路と、を有し、入力信号をサンプリングし、離散時間信号を出力する半導体回路である。さらに、上記スイッチング素子は、オフ状態におけるリーク電流がチャネル幅1μmあたり1×10−17A以下である電界効果トランジスタから構成されることを特徴とする、半導体回路である。
【0026】
上記構成の半導体回路は、当該半導体回路を構成するスイッチトキャパシタ回路のスイッチング素子として、オフ電流が極めて低減された、酸化物半導体を含むトランジスタを用いる。したがって、オフ状態のスイッチング素子を介して当該スイッチング素子に接続された容量素子に蓄積される電荷の減少が抑制される。したがってこのようなスイッチトキャパシタ回路を有する半導体回路は、安定した入出力特性を得ることが出来る。このようなオフ状態におけるリーク電流が極めて低いトランジスタを適用することにより実現される、極めて安定した入出力特性は、従来のシリコンを用いたトランジスタでは実現できないものである。
【0027】
また、本発明の一態様は、演算増幅回路と、演算増幅回路の一方の入力端子と第1の容量素子を介して接続された第1のスイッチング素子と、演算増幅回路の一方の入力端子と出力端子との間に接続された第2の容量素子と、演算増幅回路の一方の入力端子と出力端子との間に接続された第2のスイッチング素子と、一方の電極が第1のスイッチング素子と第1の容量素子との間に接続され、他方の電極に基準電圧が入力される第3のスイッチング素子と、を有する半導体回路であり、演算増幅回路の他方の入力端子には基準電圧が入力される。さらに、上記第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子は、オフ状態におけるリーク電流がチャネル幅1μmあたり1×10−17A以下である電界効果トランジスタから構成されることを特徴とする半導体回路である。
【0028】
このような構成とすることにより、ホールド期間中に出力される出力信号への入力信号に起因するノイズの入力が極めて低減され、安定した入出力特性が得られるスイッチトキャパシタアンプ回路とすることができる。さらに、ホールド期間中に第2の容量素子に蓄積された電荷の減少が抑制されるため、出力特性が時間的に変動することが抑制される。
【0029】
また、本発明の一態様は、演算増幅回路と、当該演算増幅回路の一方の入力端子と第1の容量素子を介して接続された第1のスイッチング素子と、演算増幅回路の上記一方の入力端子と出力端子との間に接続された第2の容量素子と、演算増幅回路の上記一方の入力端子と出力端子との間に接続された第2のスイッチング素子と、演算増幅回路の他方の入力端子と第3の容量素子を介して接続された第3のスイッチング素子と、演算増幅回路の他方の入力端子と出力端子との間に接続された第4の容量素子と、演算増幅回路の他方の入力端子と出力端子との間に接続された第4のスイッチング素子と、を有する半導体回路である。さらに、第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、第3のスイッチング素子、及び第4のスイッチング素子は、オフ状態におけるリーク電流がチャネル幅1μmあたり1×10−17A以下である電界効果トランジスタから構成されることを特徴とする、半導体回路である。
【0030】
このような構成とすることにより、安定した入出力特性を有し、さらに基準電圧を必要としない差動型のスイッチトキャパシタアンプ回路を構成することができる。基準電圧を必要としないため、基準電圧を生成するための回路を別途設ける必要がないため、スイッチトキャパシタアンプ回路が適用される半導体回路の構成を簡略化できる。
【0031】
また、本発明の一態様は、演算増幅回路と、当該演算増幅回路の一方の入力端子と接続される第1のスイッチング素子と、第1のスイッチング素子と第1の容量素子を介して接続される第2のスイッチング素子と、演算増幅回路の一方の入力端子と出力端子との間に接続される第2の容量素子と、一方の電極が第1の容量素子と第2のスイッチング素子との間に接続し、他方の電極に基準電圧が入力される第3のスイッチング素子と、一方の電極が第1の容量素子と第1のスイッチング素子との間に接続し、他方の電極に基準電圧が入力される第4のスイッチング素子と、を有し、演算増幅回路の他方の入力端子には基準電圧が入力される半導体回路である。さらに、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子は、オフ状態におけるリーク電流がチャネル幅1μmあたり1×10−17A以下である電界効果トランジスタから構成されることを特徴とする、半導体回路である。
【0032】
このような構成とすることにより、ホールド期間中に出力される出力信号への入力信号に起因するノイズの入力が極めて低減され、安定した入出力特性が得られるスイッチトキャパシタ積分回路とすることができる。
【0033】
また、上記電界効果トランジスタは、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を含んで構成されていることが好ましい。
【0034】
なお、本明細書等において、スイッチトキャパシタ回路とは少なくとも一つのスイッチング素子と少なくとも一つの容量素子を有し、当該スイッチング素子と当該容量素子とが直列、又は並列に接続される回路であり、スイッチング素子のスイッチング動作によって容量素子への充放電が制御される回路のことをいう。
【発明の効果】
【0035】
本発明の一態様によれば、安定した入出力特性を得られる半導体回路を提供できる。特に、スイッチング素子のリーク電流に起因する不具合が抑制された半導体回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一態様の、半導体回路を説明する図。
【図2】本発明の一態様の、半導体回路の動作を説明する図。
【図3】本発明の一態様の、半導体回路を説明する図。
【図4】本発明の一態様の、半導体回路を説明する図。
【図5】本発明の一態様の、トランジスタの構成を説明する図。
【図6】本発明の一態様の、トランジスタの作製方法を説明する図。
【図7】本発明の一態様の、半導体回路の構成を説明する図。
【図8】酸化物材料の結晶構造を説明する図。
【図9】酸化物材料の結晶構造を説明する図。
【図10】酸化物材料の結晶構造を説明する図。
【図11】従来のスイッチトキャパシタアンプ回路を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0038】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0039】
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通または非導通を制御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは、IGFET(Insulated Gate Field Effect Transistor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を含む。
【0040】
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0041】
また、本明細書等において、トランジスタのソース、又はドレインのどちらか一方のことを「第1電極」と呼び、ソース、又はドレインの他方を「第2電極」とも呼ぶことがある。なお、この際、ゲートについては「ゲート」又は「ゲート電極」とも呼ぶ。
【0042】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、コイル、容量素子、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
【0043】
なお、本明細書等においてノードとは、回路を構成する素子の電気的な接続を可能とする素子(例えば、配線など)のことをいう。したがって、”Aが接続されたノード”とは、Aと電気的に接続され、且つAと同電位と見なせる配線のことをいう。なお、配線の途中に電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオードなど)が1個以上配置されていても、Aと同電位と見なせれば同じノードであるとする。
【0044】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体回路の一構成例と、その回路動作について、図1乃至図4を用いて説明する。
【0045】
<構成例>
図1に、本実施の形態で例示するスイッチトキャパシタアンプ回路100の回路図を示す。本構成のスイッチトキャパシタアンプ回路100は、入力信号INとして入力される連続時間信号の電圧振幅を増幅し、出力信号OUTとして離散時間信号を出力する増幅回路である。
【0046】
スイッチトキャパシタアンプ回路100は、3つのスイッチング素子(トランジスタ101、トランジスタ102、及びスイッチ103)と、2つの容量素子(容量素子C1及び容量素子C2)及び演算増幅回路111を有する。
【0047】
トランジスタ101は、第1電極が、入力信号INが入力される入力端子に接続され、第2電極が容量素子C1の第1端子、及びスイッチ103の第1電極に接続される。容量素子C1は第2端子が演算増幅回路111のマイナス端子、容量素子C2の第1端子、及びトランジスタ102の第1電極に接続される。トランジスタ102は第2電極が容量素子C2の第2端子、及び演算増幅回路111の出力端子、及び出力信号OUTが出力されるスイッチトキャパシタアンプ回路100の出力端子に接続される。またスイッチ103の第2電極と、演算増幅回路111のプラス端子は接地されている。
【0048】
演算増幅回路111は二つの入力端子間の電位差によって動作する差動増幅回路の一つであり、例えば各種オペアンプを用いることができる。また、演算増幅回路111はnチャネル型のトランジスタとpチャネル型のトランジスタを含んで構成されていても良い。
【0049】
ここで、トランジスタ101と容量素子C1との間のノードをnode(A)、また演算増幅回路111のマイナス端子に接続されるノードをnode(B)とする。
【0050】
また、トランジスタ101とトランジスタ102のそれぞれのゲートには同一のクロック信号S1が入力され、スイッチ103には、クロック信号S1と逆位相のクロック信号S2が入力される。ここで、それぞれのトランジスタのゲートに入力されるクロック信号のハイレベル電位は、そのトランジスタを十分にオン状態にさせる値、言い換えると入力電圧によらずトランジスタが線形領域で動作するような値が入力されることが好ましい。このような電圧で動作させることにより、トランジスタを介して入力される電圧が、当該トランジスタのしきい値電圧の影響で電圧降下してしまうことを抑制できる。以下では、トランジスタのしきい値電圧に起因する電圧降下は無視できるものとして説明を行う。
【0051】
また、トランジスタ101、102はnチャネル型のトランジスタである。
【0052】
ここで、トランジスタ101及びトランジスタ102には、例えばチャネルが形成される半導体層にシリコンよりもバンドギャップの高い半導体を用いたトランジスタを適用することが出来る。例えば2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3.0eV以上のバンドギャップを有する半導体を用いることができる。このような半導体として酸化物半導体を用いることが好ましい。
【0053】
さらに、上記酸化物半導体を含むトランジスタは、オフ状態におけるリーク電流(以下オフ電流とも呼ぶ)が低く、チャネル幅1μmあたり10aA(1×10−17A)以下、好ましくはチャネル幅1μmあたり1aA(1×10−18A)以下、より好ましくはチャネル幅1μmあたり10zA(1×10−20A)以下、さらに好ましくはチャネル幅1μmあたり1zA(1×10−21A)以下、さらに好ましくはチャネル幅1μmあたり100yA(1×10−22A)以下である。
【0054】
スイッチ103は、シリコンなどの公知の半導体材料を用いたトランジスタを適用できる。なお、トランジスタ101及び102と同様の半導体材料を用いて構成されていてもよい。スイッチ103を、トランジスタ101及び102と同様の半導体材料を用いて構成すると、作製工程が簡略化できる。また、実施の形態3で例示するように、スイッチ103をシリコンなどの半導体材料を用いて形成し、スイッチ103上にトランジスタ101及び102を形成する構成とすることにより、回路の占有面積を縮小化できる。
【0055】
<回路動作例>
以下では、スイッチトキャパシタアンプ回路100の回路動作例について図1及び図2を参照して説明する。なお、背景技術として説明した内容と重複する部分については説明を省略する場合がある。
【0056】
ここで、スイッチトキャパシタアンプ回路100の動作は、サンプリング期間とホールド期間の2つの期間を有する。スイッチトキャパシタアンプ回路100は、サンプリング期間において入力信号INの入力電圧Vinをサンプリングする。またホールド期間において、容量素子C1及び容量素子C2の容量比で決定される増幅比に応じて増幅された、出力電圧Voutを有する出力信号OUTを出力することができる。
【0057】
図2はスイッチトキャパシタアンプ回路100の回路動作におけるタイミングチャートの一例である。図2にはそれぞれ図1に示した入力信号IN、クロック信号S1、クロック信号S2、node(A)、node(B)及び出力信号OUTにおける電圧の時間推移を示している。
【0058】
ここで、本明細書等に記載するスイッチは、入力されるクロック信号としてハイレベル電位が入力されるとオン状態となり、ローレベル電位が入力されるとオフ状態となるように動作するものとする。
【0059】
まず、サンプリング期間においてクロック信号S1としてハイレベル電位が入力され、クロック信号S2としてローレベル電位が入力される。つまり、サンプリング期間において、トランジスタ101及び102はオン状態、スイッチ103はオフ状態となる。
【0060】
したがってサンプリング期間において、node(A)にはトランジスタ101を介して入力電圧Vinが入力される。一方、node(B)と出力信号OUTの電位は両者とも接地電位となる。
【0061】
続いて、ホールド期間においてはクロック信号S1としてローレベル電位が入力され、クロック信号S2としてハイレベル電位が入力される。つまり、ホールド期間においては、トランジスタ101及び102はオフ状態、スイッチ103はオン状態となる。
【0062】
したがってホールド期間では、node(A)にはスイッチ103を介して接地電位が入力される。また、node(B)は仮想的に接地されるため、接地電位が保持される。また、出力信号OUTとして、ホールド期間へ移行する直前の入力電圧Vinを容量素子C1と容量素子C2の容量の比に応じて増幅した出力電圧Voutが出力される。
【0063】
ここで、ホールド期間中のトランジスタ101に着目すると、トランジスタ101の第1電極に接続される入力信号INが入力される端子からは常に入力電圧Vinが入力されるが、トランジスタ101のオフ電流が極めて低いために、node(A)と当該入力端子とはほぼ完全に絶縁化される。したがって、入力電圧Vinの振幅がノイズとしてnode(A)へ入力されてしまうことは極めて抑制され、node(A)は安定した電位が保たれる。そのためnode(A)と容量素子C1を介して容量結合されたnode(B)の電位も安定した電位が保たれ、結果として安定した出力電圧Voutを有する出力信号OUTが得られる。
【0064】
また、ホールド期間中のトランジスタ102に着目すると、トランジスタ102の第1電極と第2電極との間には、容量素子C2と同様に出力電圧Voutの電圧が印加された状態が保持される。ここで、トランジスタ102のオフ電流は極めて低いため、出力信号OUTが出力されるスイッチトキャパシタアンプ回路100の出力端子とnode(B)とはほぼ完全に絶縁化され、出力電圧Voutは極めて安定した電位が保持される。
【0065】
したがって、このような構成とすることにより、スイッチング素子のリーク電流に起因した不具合が抑制され、安定した入出力特性が得られるスイッチトキャパシタアンプ回路100とすることができる。
【0066】
さらに、従来のスイッチトキャパシタアンプ回路においては、容量素子C2に並列に接続されるスイッチング素子のオフ電流を加味して、出力電圧Voutを安定化させるために容量素子C1と容量素子C2の容量値をあらかじめ大きく設計しておく必要があった。しかし、本構成のスイッチトキャパシタアンプ回路100では、容量素子C2に並列に接続されるトランジスタ102のオフ電流が極めて小さいために、容量素子C1と容量素子C2として、極めて小さい容量値の容量素子を用いることができる。また例えば、配線間の容量成分を利用し、別途容量素子を設けない構成とすることもできる。したがって、上記のようにオフ電流の極めて小さいトランジスタが適用されたスイッチトキャパシタアンプ回路は、その回路のレイアウトサイズを従来よりも縮小することができる。
【0067】
<変形例1>
以下では、上記で例示した構成とは異なる回路構成例について説明する。
【0068】
図3に示すスイッチトキャパシタアンプ回路は、リファレンス電位(接地電圧)を用いない差動型のスイッチトキャパシタアンプ回路である。
【0069】
演算増幅回路111のプラス端子には容量素子C1を介してトランジスタ101aの第2電極が接続されている。また演算増幅回路111のプラス端子とマイナス出力端子には、容量素子C2及びトランジスタ102aがそれぞれ並列に接続されている。さらに、トランジスタ104aの第1電極がトランジスタ101aと容量素子C1との間のノードに接続され、第2電極が演算増幅回路111のマイナス出力端子に接続されている。
【0070】
また、演算増幅回路111のマイナス端子には容量素子C3を介してトランジスタ101bの第2電極が接続されている。また演算増幅回路111のマイナス端子とプラス出力端子には、容量素子C4及びトランジスタ102bがそれぞれ並列に接続されている。さらに、トランジスタ104bの第1電極がトランジスタ101bと容量素子C3との間のノードに接続され、第2電極が演算増幅回路111のプラス出力端子に接続されている。
【0071】
また、容量素子C1と演算増幅回路111との間のノードと、容量素子C3と演算増幅回路111との間のノードには、それぞれトランジスタ105の第1電極及び第2電極が接続されている。
【0072】
トランジスタ101aの第1電極が接続されるノードと、トランジスタ101bの第1電極が接続されるノードとの間には、電位差が入力電圧Vinとなるように入力信号が入力される。また、演算増幅回路111のマイナス出力端子とプラス出力端子との間の電位差が、出力電圧Voutとなる。
【0073】
ここで、トランジスタ101a、トランジスタ101b、トランジスタ102a及びトランジスタ102bのそれぞれのゲートにはクロック信号S1が入力される。またトランジスタ104a及びトランジスタ104bのそれぞれのゲートには、クロック信号S2が入力される。また、トランジスタ105のゲートにはクロック信号S3が入力される。
【0074】
ここで、トランジスタ105は、演算増幅回路111のプラス端子とマイナス端子とを同電位にするためのリセット機能を実現するために設けられ、当該リセットが行われるリセット期間は、クロック信号S3によって制御される。
【0075】
クロック信号S1としてハイレベル電位が入力される期間がサンプリング期間であり、またクロック信号S2としてハイレベル電位が入力される期間がホールド期間となる。またクロック信号S3としてハイレベル電位が入力される期間がリセット期間となる。ここで、リセット期間は、ホールド期間と重ならないように設けられればよく、サンプリング期間の直前に設けても良いし、サンプリング期間と重なるようにして設けられていても良い。
【0076】
このような構成の差動型のスイッチトキャパシタアンプ回路は、各トランジスタの電気的な特性ばらつきに起因するオフセット電圧を低減することができるため、より高精度な入出力特性を得ることが出来る。
【0077】
ここで、本構成において、トランジスタ101a、トランジスタ101b、トランジスタ102a、トランジスタ102b、トランジスタ104a、トランジスタ104b及びトランジスタ105には、上記で例示した、オフ電流が極めて低減されたトランジスタが適用される。したがって、本構成のスイッチトキャパシタアンプ回路は、スイッチング素子のリーク電流に起因した不具合が改善され、安定した入出力特性を得ることが出来る。
【0078】
<変形例2>
上記で例示したオフ電流が極めて低減されたトランジスタと、容量素子と、演算増幅回路を組み合わせた構成は、スイッチトキャパシタアンプ回路のような増幅回路以外にも、フィルタ回路や積分回路などの半導体回路にも適用することが出来る。以下では、上記で例示したオフ電流が極めて低減されたトランジスタを、スイッチトキャパシタ積分回路に適用した例について説明する。
【0079】
図4に例示するスイッチトキャパシタ積分回路の構成を示す。
【0080】
図4に示したスイッチトキャパシタ積分回路は、図1で例示したスイッチトキャパシタアンプ回路において、トランジスタ102を除き、さらにトランジスタ106及びスイッチ107を追加した構成である。
【0081】
トランジスタ106は、容量素子C1と演算増幅回路111との間に直列に接続される。また、スイッチ107は、第1電極が容量素子C1とトランジスタ106との間のノードに接続され、第2電極が接地されている。
【0082】
トランジスタ101とスイッチ107は、クロック信号S1によって制御される。一方、トランジスタ106とスイッチ103は、クロック信号S1とは逆位相のクロック信号S2によって制御される。ここで、クロック信号S1によってトランジスタ101とスイッチ107がオン状態となる期間がサンプリング期間となり、クロック信号S2によってトランジスタ106とスイッチ103がオン状態となる期間がホールド期間となる。
【0083】
サンプリング期間において、容量素子C1には入力電圧Vinに応じた電荷が蓄積される。続いてホールド期間に移行すると、容量素子C1に蓄積されていた電荷がトランジスタ106を介して容量素子C2に移ることにより、当該電荷に応じて容量素子C2の両端に印加される電圧(出力電圧Voutに相当)が変化する。さらに続いて、サンプリング期間に移行しても、トランジスタ106がオフ状態となるため、容量素子C2に蓄積されている電荷は保持され、出力電圧Voutはサンプリング期間直前のホールド期間での値を保持する。このようにして、出力端子には入力端子に入力される入力電圧Vinが積分された出力電圧Voutが出力される。
【0084】
ここで、トランジスタ101及びトランジスタ106には、上記で例示したオフ電流の極めて低減されたトランジスタが適用される。
【0085】
したがって、サンプリング期間において、トランジスタ106を介して演算増幅回路111及び容量素子C2は入力電圧Vinが入力される容量素子C1とはほぼ完全に絶縁化されるため、入力信号INに起因するノイズが出力信号OUTに入力されることが極めて抑制され安定した出力信号が得られる。またホールド期間においても、トランジスタ101を介して入力信号INと容量素子C1とがほぼ完全に絶縁化されるため、当該入力信号に起因するノイズが出力信号OUTに入力されることが極めて抑制され安定した出力信号が得られる。
【0086】
このように、上記で例示したようなオフ電流が極めて低減されたトランジスタと、容量素子とが直列、又は並列に接続されたスイッチトキャパシタ回路を構成し、当該スイッチトキャパシタ回路と演算増幅器とを組み合わせて構成された半導体回路は、スイッチング素子のリーク電流による不具合が抑制され、安定した入出力特性を得ることができる。
【0087】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0088】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態に示す半導体回路に適用可能な酸化物半導体層を含むトランジスタの例について説明する。
【0089】
上記酸化物半導体層を含むトランジスタの構造例について、図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態におけるトランジスタの構造例を示す断面模式図である。
【0090】
図5(A)に示すトランジスタは、導電層601(a)と、絶縁層602(a)と、半導体層603(a)と、導電層605a(a)と、導電層605b(a)と、絶縁層606(a)と、導電層608(a)と、を含む。
【0091】
導電層601(a)は、被素子形成層600(a)の上に設けられる。
【0092】
絶縁層602(a)は、導電層601(a)の上に設けられる。
【0093】
半導体層603(a)は、絶縁層602(a)を介して導電層601(a)に重畳する。
【0094】
導電層605a(a)及び導電層605b(a)のそれぞれは、半導体層603(a)の上に設けられ、半導体層603(a)に電気的に接続される。
【0095】
絶縁層606(a)は、半導体層603(a)、導電層605a(a)、及び導電層605b(a)の上に設けられる。
【0096】
導電層608(a)は、絶縁層606(a)を介して半導体層603(a)に重畳する。
【0097】
なお、必ずしも導電層601(a)及び導電層608(a)の一方を設けなくてもよい。また、導電層608(a)を設けない場合には、絶縁層606(a)を設けなくてもよい。
【0098】
図5(B)に示すトランジスタは、導電層601(b)と、絶縁層602(b)と、半導体層603(b)と、導電層605a(b)と、導電層605b(b)と、絶縁層606(b)と、導電層608(b)と、を含む。
【0099】
導電層601(b)は、被素子形成層600(b)の上に設けられる。
【0100】
絶縁層602(b)は、導電層601(b)の上に設けられる。
【0101】
導電層605a(b)及び導電層605b(b)のそれぞれは、絶縁層602(b)の一部の上に設けられる。
【0102】
半導体層603(b)は、導電層605a(b)及び導電層605b(b)の上に設けられ、導電層605a(b)及び導電層605b(b)に電気的に接続される。また、半導体層603(b)は、絶縁層602(b)を介して導電層601(b)に重畳する。
【0103】
絶縁層606(b)は、半導体層603(b)、導電層605a(b)、及び導電層605b(b)の上に設けられる。
【0104】
導電層608(b)は、絶縁層606(b)を介して半導体層603(b)に重畳する。
【0105】
なお、必ずしも導電層601(b)及び導電層608(b)の一方を設けなくてもよい。導電層608(b)を設けない場合には、絶縁層606(b)を設けなくてもよい。
【0106】
図5(C)に示すトランジスタは、導電層601(c)と、絶縁層602(c)と、半導体層603(c)と、導電層605a(c)と、導電層605b(c)と、を含む。
【0107】
半導体層603(c)は、領域604a(c)及び領域604b(c)を含む。領域604a(c)及び領域604b(c)は、互いに離間し、それぞれドーパントが添加された領域である。なお、領域604a(c)及び領域604b(c)の間の領域がチャネル形成領域になる。半導体層603(c)は、被素子形成層600(c)の上に設けられる。なお、必ずしも領域604a(c)及び領域604b(c)を設けなくてもよい。
【0108】
導電層605a(c)及び導電層605b(c)は、半導体層603(c)の上に設けられ、半導体層603(c)に電気的に接続される。また、導電層605a(c)及び導電層605b(c)の側面は、テーパ状である。
【0109】
また、導電層605a(c)は、領域604a(c)の一部に重畳するが、本発明は必ずしもこれに限定されない。導電層605a(c)を領域604a(c)の一部に重畳させることにより、導電層605a(c)及び領域604a(c)の間の抵抗値を小さくすることができる。また、導電層605a(c)に重畳する半導体層603(c)の領域の全てが領域604a(c)でもよい。
【0110】
また、導電層605b(c)は、領域604b(c)の一部に重畳するが、本発明は必ずしもこれに限定されない。導電層605b(c)を領域604b(c)の一部に重畳させることにより、導電層605b(c)及び領域604b(c)の間の抵抗を小さくすることができる。また、導電層605b(c)に重畳する半導体層603(c)の領域の全てが領域604b(c)でもよい。
【0111】
絶縁層602(c)は、半導体層603(c)、導電層605a(c)、及び導電層605b(c)の上に設けられる。
【0112】
導電層601(c)は、絶縁層602(c)を介して半導体層603(c)に重畳する。絶縁層602(c)を介して導電層601(c)と重畳する半導体層603(c)の領域がチャネル形成領域になる。
【0113】
また、図5(D)に示すトランジスタは、導電層601(d)と、絶縁層602(d)と、半導体層603(d)と、導電層605a(d)と、導電層605b(d)と、を含む。
【0114】
導電層605a(d)及び導電層605b(d)は、被素子形成層600(d)の上に設けられる。また、導電層605a(d)及び導電層605b(d)の側面は、テーパ状である。
【0115】
半導体層603(d)は、領域604a(d)及び領域604b(d)と、を含む。領域604a(d)及び領域604b(d)は、互いに離間し、それぞれドーパントが添加された領域である。また、領域604a(d)及び領域604b(d)の間の領域がチャネル形成領域になる。半導体層603(d)は、例えば導電層605a(d)、導電層605b(d)、及び被素子形成層600(d)の上に設けられ、導電層605a(d)及び導電層605b(d)に電気的に接続される。なお、必ずしも領域604a(d)及び領域604b(d)を設けなくてもよい。
【0116】
領域604a(d)は、導電層605a(d)に電気的に接続される。
【0117】
領域604b(d)は、導電層605b(d)に電気的に接続される。
【0118】
絶縁層602(d)は、半導体層603(d)の上に設けられる。
【0119】
導電層601(d)は、絶縁層602(d)を介して半導体層603(d)に重畳する。絶縁層602(d)を介して導電層601(d)と重畳する半導体層603(d)の領域がチャネル形成領域になる。
【0120】
以下では、図5(A)乃至図5(D)に示す各構成要素について説明する。
【0121】
被素子形成層600(a)乃至被素子形成層600(d)としては、例えば絶縁層、又は絶縁表面を有する基板などを用いることができる。また、予め素子が形成された層を被素子形成層600(a)乃至被素子形成層600(d)として用いることもできる。
【0122】
導電層601(a)乃至導電層601(d)のそれぞれは、トランジスタのゲートとしての機能を有する。なお、トランジスタのゲートとしての機能を有する層をゲート電極又はゲート配線ともいう。
【0123】
導電層601(a)乃至導電層601(d)としては、例えばモリブデン、マグネシウム、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、若しくはスカンジウムなどの金属材料、又はこれらを主成分とする合金材料の層を用いることができる。また、導電層601(a)乃至導電層601(d)の形成に適用可能な材料の層の積層により、導電層601(a)乃至導電層601(d)を構成することもできる。
【0124】
絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)のそれぞれは、トランジスタのゲート絶縁層としての機能を有する。
【0125】
絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)としては、例えば酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、窒化アルミニウム層、酸化窒化アルミニウム層、窒化酸化アルミニウム層、酸化ハフニウム層、又は酸化ランタン層を用いることができる。また、絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)に適用可能な材料の層の積層により絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)を構成することもできる。
【0126】
また、絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)としては、例えば元素周期表における第13族元素及び酸素元素を含む材料の絶縁層を用いることもできる。例えば、半導体層603(a)乃至半導体層603(d)が第13族元素を含む場合に、半導体層603(a)乃至半導体層603(d)に接する絶縁層として第13族元素を含む絶縁層を用いることにより、該絶縁層と酸化物半導体層との界面の状態を良好にすることができる。
【0127】
第13族元素及び酸素元素を含む材料としては、例えば酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムガリウム、酸化ガリウムアルミニウムなどが挙げられる。なお、酸化アルミニウムガリウムとは、ガリウムの含有量(原子%)よりアルミニウムの含有量(原子%)が多い物質のことをいい、酸化ガリウムアルミニウムとは、ガリウムの含有量(原子%)がアルミニウムの含有量(原子%)以上の物質のことをいう。例えば、Al(x=3+α、αは0より大きく1より小さい値)、Ga(x=3+α、αは0より大きく1より小さい値)、又はGaAl2−x3+α(xは0より大きく2より小さい値、αは0より大きく1より小さい値)で表記される材料を用いることもできる。
【0128】
また、絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)に適用可能な材料の層の積層により絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)を構成することもできる。例えば、複数のGaで表記される酸化ガリウムを含む層の積層により絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)を構成してもよい。また、Gaで表記される酸化ガリウムを含む絶縁層及びAlで表記される酸化アルミニウムを含む絶縁層の積層により絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)を構成してもよい。
【0129】
半導体層603(a)乃至半導体層603(d)のそれぞれは、トランジスタのチャネルが形成される層としての機能を有する。半導体層603(a)乃至半導体層603(d)に適用可能な酸化物半導体としては、例えば四元系金属酸化物、三元系金属酸化物、又は二元系金属酸化物などを含む金属酸化物を用いることができる。
【0130】
四元系金属酸化物としては、例えばIn−Sn−Ga−Zn−O系金属酸化物などを用いることができる。
【0131】
三元系金属酸化物としては、例えばIn−Ga−Zn−O系金属酸化物、In−Sn−Zn−O系金属酸化物、In−Al−Zn−O系金属酸化物、Sn−Ga−Zn−O系金属酸化物、Al−Ga−Zn−O系金属酸化物、又はSn−Al−Zn−O系金属酸化物などを用いることができる。
【0132】
二元系金属酸化物としては、例えばIn−Zn−O系金属酸化物、Sn−Zn−O系金属酸化物、Al−Zn−O系金属酸化物、Zn−Mg−O系金属酸化物、Sn−Mg−O系金属酸化物、In−Mg−O系金属酸化物、In−Sn−O系金属酸化物、又はIn−Ga−O系金属酸化物などを用いることができる。
【0133】
また、酸化物半導体としては、例えばIn−O系金属酸化物、Sn−O系金属酸化物、又はZn−O系金属酸化物などを用いることもできる。また、上記酸化物半導体として適用可能な金属酸化物は、酸化シリコンを含んでいてもよい。
【0134】
In−Zn−O系金属酸化物を用いる場合、例えば、In:Zn=50:1乃至In:Zn=1:2(モル数比に換算するとIn:ZnO=25:1乃至In:ZnO=1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1乃至In:Zn=1:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=10:1乃至In:ZnO=1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=15:1乃至In:Zn=1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2乃至In:ZnO=3:4)の組成比である酸化物ターゲットを用いてIn−Zn−O系金属酸化物の半導体層を形成することができる。例えば、In−Zn−O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=S:U:Rのとき、R>1.5S+Uとする。Inの量を多くすることにより、トランジスタの移動度を向上させることができる。
【0135】
また、酸化物半導体としては、InLO(ZnO)(mは0より大きい数)で表記される材料を用いることもできる。InLO(ZnO)のLは、Ga、Al、Mn、及びCoから選ばれた一つ又は複数の金属元素を示す。
【0136】
酸化物半導体は、単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう。)または非晶質などの状態をとる。
【0137】
また、半導体層603(a)乃至半導体層603(d)の少なくともチャネルが形成される領域は、結晶性を有し、非単結晶であって、ab面に垂直な方向から見て、三角形、六角形、正三角形、又は正六角形の原子配列を有し、且つ、c軸方向に金属原子が層状に配列した相、又はc軸方向に金属原子と酸素原子が層状に配列した相を有してもよい。上記相を有する酸化物半導体をCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)ともいう。
【0138】
また、トランジスタのチャネル長30nmとしたとき、半導体層603(a)乃至半導体層603(d)の厚さを例えば5nm程度にしてもよい。このとき、半導体層603(a)乃至半導体層603(d)がCAAC−OSの酸化物半導体層であれば、トランジスタにおける短チャネル効果を抑制することができる。
【0139】
なお、CAAC−OSについては、実施の形態4で詳細に説明する。
【0140】
領域604a(c)、領域604b(c)、領域604a(d)、及び領域604b(d)は、n型又はp型の導電型を付与するドーパントが添加され、トランジスタのソース又はドレインとしての機能を有する。ドーパントとしては、例えば元素周期表における13族の元素(例えば硼素など)、元素周期表における15族の元素(例えば窒素、リン、又は砒素など)の一つ又は複数を用いることができる。なお、トランジスタのソースとしての機能を有する領域をソース領域ともいい、トランジスタのドレインとしての機能を有する領域をドレイン領域ともいう。領域604a(c)、領域604b(c)、領域604a(d)、及び領域604b(d)にドーパントを添加することにより導電層との接続抵抗を小さくすることができるため、トランジスタを微細化することができる。
【0141】
導電層605a(a)乃至導電層605a(d)、及び導電層605b(a)乃至導電層605b(d)のそれぞれは、トランジスタのソース又はドレインとしての機能を有する。なお、トランジスタのソースとしての機能を有する層をソース電極又はソース配線ともいい、トランジスタのドレインとしての機能を有する層をドレイン電極又はドレイン配線ともいう。
【0142】
導電層605a(a)乃至導電層605a(d)、及び導電層605b(a)乃至導電層605b(d)としては、例えばアルミニウム、マグネシウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、若しくはタングステンなどの金属材料、又はこれらの金属材料を主成分とする合金材料の層を用いることができる。例えば、銅、マグネシウム、及びアルミニウムを含む合金材料の層により、導電層605a(a)乃至導電層605a(d)、及び導電層605b(a)乃至導電層605b(d)を構成することができる。また、導電層605a(a)乃至導電層605a(d)、及び導電層605b(a)乃至導電層605b(d)に適用可能な材料の層の積層により、導電層605a(a)乃至導電層605a(d)、及び導電層605b(a)乃至導電層605b(d)を構成することもできる。例えば、銅、マグネシウム、及びアルミニウムを含む合金材料の層と銅を含む層の積層により、導電層605a(a)乃至導電層605a(d)、及び導電層605b(a)乃至導電層605b(d)を構成することができる。
【0143】
また、導電層605a(a)乃至導電層605a(d)、及び導電層605b(a)乃至導電層605b(d)としては、導電性の金属酸化物を含む層を用いることもできる。導電性の金属酸化物としては、例えば酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム酸化スズ、又は酸化インジウム酸化亜鉛を用いることができる。なお、導電層605a(a)乃至導電層605a(d)、及び導電層605b(a)乃至導電層605b(d)に適用可能な導電性の金属酸化物は、酸化シリコンを含んでいてもよい。
【0144】
絶縁層606(a)及び絶縁層606(b)としては、絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)に適用可能な材料の層を用いることができる。また、絶縁層606(a)及び絶縁層606(b)に適用可能な材料の積層により、絶縁層606(a)及び絶縁層606(b)を構成してもよい。例えば、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層などにより絶縁層606(a)及び絶縁層606(b)を構成してもよい。例えば、酸化アルミニウム層を用いることにより、半導体層603(a)及び半導体層603(b)への不純物の侵入抑制効果をより高めることができ、また、半導体層603(a)及び半導体層603(b)中の酸素の脱離抑制効果を高めることができる。
【0145】
導電層608(a)及び導電層608(b)のそれぞれは、トランジスタのゲートとしての機能を有する。なお、トランジスタが導電層601(a)及び導電層608(a)の両方、又は導電層601(b)及び導電層608(b)の両方を含む構造である場合、導電層601(a)及び導電層608(a)の一方、又は導電層601(b)及び導電層608(b)の一方を、バックゲート、バックゲート電極、又はバックゲート配線ともいう。ゲートとしての機能を有する導電層を、チャネル形成層を介して複数設けることにより、トランジスタの閾値電圧を制御しやすくすることができる。
【0146】
導電層608(a)及び導電層608(b)としては、例えば導電層601(a)乃至導電層601(d)に適用可能な材料の層を用いることができる。また、導電層608(a)及び導電層608(b)に適用可能な材料の層の積層により導電層608(a)及び導電層608(b)を構成してもよい。
【0147】
なお、本実施の形態のトランジスタを、チャネル形成層としての機能を有する酸化物半導体層の一部の上に絶縁層を含み、該絶縁層を介して酸化物半導体層に重畳するように、ソース又はドレインとしての機能を有する導電層を含む構造としてもよい。上記構造である場合、絶縁層は、トランジスタのチャネル形成層を保護する層(チャネル保護層ともいう)としての機能を有する。チャネル保護層としての機能を有する絶縁層としては、例えば絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)に適用可能な材料の層を用いることができる。また、絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)に適用可能な材料の積層によりチャネル保護層としての機能を有する絶縁層を構成してもよい。
【0148】
また、被素子形成層600(a)乃至被素子形成層600(d)の上に下地層を形成し、該下地層の上にトランジスタを形成してもよい。このとき、下地層としては、例えば絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)に適用可能な材料の層を用いることができる。また、絶縁層602(a)乃至絶縁層602(d)に適用可能な材料の積層により下地層を構成してもよい。例えば、酸化アルミニウム層及び酸化シリコン層の積層により下地層を構成することにより、下地層に含まれる酸素が半導体層603(a)乃至半導体層603(d)を介して脱離するのを抑制することができる。
【0149】
続いて、以下では本実施の形態におけるトランジスタの作製方法例として、図5(A)に示すトランジスタの作製方法例について、図6を用いて説明する。図6は、図5(A)に示すトランジスタの作製方法例を説明するための断面模式図である。
【0150】
まず、図6(A)に示すように、被素子形成層600(a)を準備し、被素子形成層600(a)の上に第1の導電膜を形成し、第1の導電膜の一部をエッチングすることにより導電層601(a)を形成する。
【0151】
例えば、スパッタリング法を用いて導電層601(a)に適用可能な材料の膜を形成することにより第1の導電膜を形成することができる。また、第1の導電膜に適用可能な材料の膜を積層させ、第1の導電膜を形成することもできる。
【0152】
なお、スパッタリングガスとして、例えば水素、水、水酸基、又は水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることにより、形成される膜の上記不純物濃度を低減することができる。
【0153】
なお、スパッタリング法を用いて膜を形成する前に、スパッタリング装置の予備加熱室において予備加熱処理を行ってもよい。上記予備加熱処理を行うことにより、水素、水分などの不純物を脱離することができる。
【0154】
また、スパッタリング法を用いて膜を形成する前に、例えばアルゴン、窒素、ヘリウム、又は酸素雰囲気下で、ターゲット側に電圧を印加せずに、基板側にRF電源を用いて電圧を印加し、プラズマを形成して被形成面を改質する処理(逆スパッタともいう)を行ってもよい。逆スパッタを行うことにより、被形成面に付着している粉状物質(パーティクル、ごみともいう)を除去することができる。
【0155】
また、スパッタリング法を用いて膜を形成する場合、吸着型の真空ポンプなどを用いて、膜を形成する成膜室内の残留水分を除去することができる。吸着型の真空ポンプとしては、例えばクライオポンプ、イオンポンプ、又はチタンサブリメーションポンプなどを用いることができる。また、コールドトラップを設けたターボ分子ポンプを用いて成膜室内の残留水分を除去することもできる。上記真空ポンプを用いることにより、不純物を含む排気の逆流を低減することができる。
【0156】
また、上記導電層601(a)の形成方法のように、本実施の形態におけるトランジスタの作製方法例において、膜の一部をエッチングして層を形成する場合、例えば、フォトリソグラフィ工程により膜の一部の上にレジストマスクを形成し、レジストマスクを用いて膜をエッチングすることにより、層を形成することができる。なお、この場合、層の形成後にレジストマスクを除去する。
【0157】
また、インクジェット法を用いてレジストマスクを形成してもよい。インクジェット法を用いることにより、フォトマスクが不要になるため、製造コストを低減することができる。また、透過率の異なる複数の領域を有する露光マスク(多階調マスクともいう)を用いてレジストマスクを形成してもよい。多階調マスクを用いることにより、異なる厚さの領域を有するレジストマスクを形成することができ、トランジスタの作製に使用するレジストマスクの数を低減することができる。
【0158】
次に、図6(B)に示すように、導電層601(a)の上に第1の絶縁膜を形成することにより絶縁層602(a)を形成する。
【0159】
例えば、スパッタリング法やプラズマCVD法などを用いて絶縁層602(a)に適用可能な材料の膜を形成することにより第1の絶縁膜を形成することができる。また、絶縁層602(a)に適用可能な材料の膜を積層させることにより第1の絶縁膜を形成することもできる。また、高密度プラズマCVD法(例えばμ波(例えば、周波数2.45GHzのμ波)を用いた高密度プラズマCVD法)を用いて絶縁層602(a)に適用可能な材料の膜を形成することにより、絶縁層602(a)を緻密にすることができ、絶縁層602(a)の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0160】
次に、図6(C)に示すように、絶縁層602(a)の上に酸化物半導体膜を形成し、その後酸化物半導体膜の一部をエッチングすることにより半導体層603(a)を形成する。
【0161】
例えば、スパッタリング法を用いて半導体層603(a)に適用可能な酸化物半導体材料の膜を形成することにより酸化物半導体膜を形成することができる。なお、希ガス雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガスと酸素の混合雰囲気下で酸化物半導体膜を形成してもよい。また、半導体層603(a)としてCAAC−OSの酸化物半導体層を形成する場合、スパッタリング法を用い、酸化物半導体膜が形成される被素子形成層の温度を100℃以上500℃以下、好ましくは200℃以上350℃以下にして酸化物半導体膜を形成する。このとき、スパッタリング装置内の水素又は水などの不純物の濃度が極めて低いことが好ましい。例えば、酸化物半導体膜の形成前に熱処理を行うことにより、スパッタリング装置内の水素又は水などの不純物の濃度を低くすることができる。また、このとき、絶縁層602(a)は平坦であることが好ましい。例えば、絶縁層602(a)の平均面粗さは、0.5nm未満、さらには0.1nm以下であることが好ましい。
【0162】
また、スパッタリングターゲットとして、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol数比]の組成比である酸化物ターゲットを用いて酸化物半導体膜を形成することができる。また、例えば、In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比]の組成比である酸化物ターゲットを用いて酸化物半導体膜を形成してもよい。
【0163】
また、In−Sn−Zn−O系の材料膜に用いる酸化物半導体のターゲットの組成比は、In:Sn:Znが原子数比で、1:2:2、2:1:3、1:1:1、或いは20:45:35などを用いることができる。
【0164】
また、スパッタリング法を用いる場合、例えば、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガスと酸素の混合雰囲気下で半導体層603(a)を形成する。このとき、希ガスと酸素の混合雰囲気下で半導体層603(a)を形成する場合には、希ガスの量に対して酸素の量が多い方が好ましい。
【0165】
次に、図6(D)に示すように、絶縁層602(a)及び半導体層603(a)の上に第2の導電膜を形成し、第2の導電膜の一部をエッチングすることにより導電層605a(a)及び導電層605b(a)を形成する。
【0166】
例えば、スパッタリング法などを用いて導電層605a(a)及び導電層605b(a)に適用可能な材料の膜を形成することにより第2の導電膜を形成することができる。また、導電層605a(a)及び導電層605b(a)に適用可能な材料の膜を積層させることにより第2の導電膜を形成することもできる。
【0167】
次に、図6(E)に示すように、半導体層603(a)に接するように絶縁層606(a)を形成する。
【0168】
例えば、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガスと酸素の混合雰囲気下で、スパッタリング法を用いて絶縁層606(a)に適用可能な膜を形成することにより、絶縁層606(a)を形成することができる。スパッタリング法を用いて絶縁層606(a)を形成することにより、トランジスタのバックチャネルとしての機能を有する半導体層603(a)の部分における抵抗の低下を抑制することができる。また、絶縁層606(a)を形成する際の基板温度は、室温以上300℃以下であることが好ましい。
【0169】
また、絶縁層606(a)を形成する前にNO、N、又はArなどのガスを用いたプラズマ処理を行い、露出している半導体層603(a)の表面に付着した吸着水などを除去してもよい。プラズマ処理を行った場合、その後、大気に触れることなく、絶縁層606(a)を形成することが好ましい。
【0170】
さらに、図5(A)に示すトランジスタの作製方法の一例では、例えば600℃以上750℃以下、又は600℃以上基板の歪み点未満の温度で加熱処理を行う。例えば、酸化物半導体膜を形成した後、酸化物半導体膜の一部をエッチングした後、第2の導電膜を形成した後、第2の導電膜の一部をエッチングした後、又は絶縁層606(a)を形成した後に上記加熱処理を行う。
【0171】
なお、上記加熱処理を行う加熱処理装置としては、電気炉、又は抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導又は熱輻射により被処理物を加熱する装置を用いることができ、例えばGRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置又はLRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置などのRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、例えばハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、又は高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。また、GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。高温のガスとしては、例えば希ガス、又は加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体(例えば窒素)を用いることができる。
【0172】
また、上記加熱処理を行った後、該加熱処理を行った炉と同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度のNOガス、又は超乾燥エア(露点が−40℃以下、好ましくは−60℃以下の雰囲気)を導入してもよい。このとき、酸素ガス又はNOガスは、水、水素などを含まないことが好ましい。また、加熱処理装置に導入する酸素ガス又はNOガスの純度を、6N以上、好ましくは7N以上、すなわち、酸素ガス又はNOガス中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下とすることが好ましい。酸素ガス又はNOガスの作用により、半導体層603(a)に酸素が供給され、半導体層603(a)中の酸素欠乏に起因する欠陥を低減することができる。なお、上記高純度の酸素ガス、高純度のNOガス、又は超乾燥エアの導入は、上記加熱処理時に行ってもよい。
【0173】
また、絶縁層602(a)形成後、酸化物半導体膜形成後、ソース電極又はドレイン電極となる導電層形成後、ソース電極又はドレイン電極となる導電層の上の絶縁層形成後、又は加熱処理後に酸素プラズマによる酸素ドーピング処理を行ってもよい。例えば2.45GHzの高密度プラズマにより酸素ドーピング処理を行ってもよい。また、イオン注入法を用いて酸素ドーピング処理を行ってもよい。酸素ドーピング処理を行うことにより、作製されるトランジスタの電気特性のばらつきを低減することができる。例えば、酸素ドーピング処理を行い、絶縁層602(a)及び絶縁層606(a)の一方又は両方を、化学量論的組成比より酸素が多い状態にする。
【0174】
半導体層603(a)に接する絶縁層中の酸素を過剰にすることにより、半導体層603(a)に酸素は供給されやすくなる。よって、半導体層603(a)中、又は絶縁層602(a)及び絶縁層606(a)の一方又は両方と、半導体層603(a)との界面における酸素欠陥を低減することができるため、半導体層603(a)のキャリア濃度をより低減することができる。また、これに限定されず、製造過程により半導体層603(a)に含まれる酸素を過剰にした場合であっても、半導体層603(a)に接する上記絶縁層により、半導体層603(a)からの酸素の脱離を抑制することができる。
【0175】
例えば、絶縁層602(a)及び絶縁層606(a)の一方又は両方として、酸化ガリウムを含む絶縁層を形成する場合、該絶縁層に酸素を供給し、酸化ガリウムの組成をGaにすることができる。
【0176】
また、絶縁層602(a)及び絶縁層606(a)の一方又は両方として、酸化アルミニウムを含む絶縁層を形成する場合、該絶縁層に酸素を供給し、酸化アルミニウムの組成をAlにすることができる。
【0177】
また、絶縁層602(a)及び絶縁層606(a)の一方又は両方として、酸化ガリウムアルミニウム又は酸化アルミニウムガリウムを含む絶縁層を形成する場合、該絶縁層に酸素を供給し、酸化ガリウムアルミニウム又は酸化アルミニウムガリウムの組成をGaAl2−x3+αとすることができる。
【0178】
以上の工程により、半導体層603(a)から、水素、水、水酸基、又は水素化物(水素化合物ともいう)などの不純物を排除し、且つ半導体層603(a)に酸素を供給することにより、酸化物半導体層を高純度化させることができる。
【0179】
さらに、上記加熱処理とは別に、絶縁層606(a)を形成した後に、不活性ガス雰囲気下、又は酸素ガス雰囲気下で加熱処理(好ましくは200℃以上600℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行ってもよい。
【0180】
さらに、図6(E)に示すように、絶縁層606(a)の上に第3の導電膜を形成し、第3の導電膜の一部をエッチングすることにより導電層608(a)を形成する。
【0181】
例えば、スパッタリング法を用いて導電層608(a)に適用可能な材料の膜を形成することにより第3の導電膜を形成することができる。また、第3の導電膜に適用可能な材料の膜を積層させ、第3の導電膜を形成することもできる。
【0182】
なお、図5(A)に示すトランジスタの作製方法例を示したが、これに限定されず、例えば図5(B)乃至図5(D)に示す各構成要素において、名称が図5(A)に示す各構成要素と同じであり且つ機能の少なくとも一部が図5(A)に示す各構成要素と同じであれば、図5(A)に示すトランジスタの作製方法例の説明を適宜援用することができる。
【0183】
また、図5(C)及び図5(D)に示すように、領域604a(c)及び領域604a(d)、又は領域604b(c)乃至領域604b(d)を形成する場合には、ゲートとしての機能を有する導電層が形成される側から半導体層にドーパントを添加することにより、ゲート絶縁層としての機能を有する絶縁層を介して自己整合で領域604a(c)及び領域604a(d)、及び領域604b(c)及び領域604b(d)を形成する。
【0184】
例えば、イオンドーピング装置又はイオン注入装置を用いてドーパントを添加することができる。
【0185】
図5及び図6を用いて説明したように、本実施の形態におけるトランジスタの一例は、ゲートとしての機能を有する導電層と、ゲート絶縁層としての機能を有する絶縁層と、ゲート絶縁層としての機能を有する絶縁層を介してゲートとしての機能を有する導電層に重畳し、チャネルが形成される酸化物半導体層と、酸化物半導体層に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方としての機能を有する導電層と、酸化物半導体層に電気的に接続され、ソース及びドレインの他方としての機能を有する導電層と、を含む構造である。
【0186】
上記チャネルが形成される酸化物半導体層は、高純度化させることによりI型又は実質的にI型となった酸化物半導体層である。酸化物半導体層を高純度化させることにより、酸化物半導体層のキャリア濃度を1×1014/cm未満、好ましくは1×1012/cm未満、さらに好ましくは1×1011/cm未満にすることができる。また、上記構造にすることにより、チャネル幅1μmあたりのオフ電流を10aA(1×10−17A)以下、さらにはチャネル幅1μmあたりのオフ電流を1aA(1×10−18A)以下、さらにはチャネル幅1μmあたりのオフ電流を10zA(1×10−20A)以下、さらにはチャネル幅1μmあたりのオフ電流を1zA(1×10−21A)以下、さらにはチャネル幅1μmあたりのオフ電流を100yA(1×10−22A)以下にすることができる。トランジスタのオフ電流は、低ければ低いほどよいが、本実施の形態におけるトランジスタのオフ電流の下限値は、約10−30A/μmであると見積もられる。
【0187】
本実施の形態の酸化物半導体層を含むトランジスタを、例えば上記実施の形態における半導体回路内のスイッチに適用することにより、スイッチのリーク電流を極めて低減することができ、安定した入出力特性が得られる半導体回路とすることができる。
【0188】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0189】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態における半導体回路の構造例について説明する。
【0190】
本実施の形態における半導体回路は、チャネルが形成され、元素周期表における第14族の半導体(シリコンなど)を含有する半導体層を含むトランジスタと、チャネルが形成される酸化物半導体層を含むトランジスタを用いて構成される。このとき、チャネルが形成される酸化物半導体層を含むトランジスタは、元素周期表における第14族の半導体(シリコンなど)を含有する半導体層を含むトランジスタの上に積層させることができる。元素周期表における第14族の半導体(シリコンなど)を含有する半導体層を含むトランジスタは、例えば図1におけるスイッチ103や、演算増幅回路111を構成するトランジスタに適用される。
【0191】
元素周期表における第14族の半導体(シリコンなど)を含有する半導体層を含むトランジスタの上にチャネルが形成される酸化物半導体層を含むトランジスタを積層する例について、図7に示す。なお、図7では、実際の寸法と異なる構成要素を含む。
【0192】
図7では、半導体層780と、絶縁層784aと、絶縁層784bと、導電層785aと、導電層785bと、絶縁層786aと、絶縁層786bと、絶縁層786cと、絶縁層786dと、絶縁層788と、半導体層753と、導電層754aと、導電層754bと、絶縁層755と、導電層756と、絶縁層757aと、絶縁層757bと、絶縁層758と、絶縁層759と、導電層760aと、導電層760bと、により元素周期表における第14族の半導体(シリコンなど)を含有する半導体層を含むpチャネル型トランジスタ及びnチャネル型トランジスタ(例えば図1に示す演算増幅回路111を構成するトランジスタに相当)とチャネルが形成される酸化物半導体層を含むトランジスタ(例えば図1に示すトランジスタ102に相当)が構成される。
【0193】
さらに、半導体層780は、領域782a、領域782b、領域782c、及び領域782dを有する。また、半導体層780は、絶縁領域781a乃至絶縁領域781cにより、各トランジスタが電気的に分離されている。
【0194】
半導体層780としては、例えば半導体基板を用いることができる。また、別の基板の上に設けられた半導体層を半導体層780として用いることもできる。
【0195】
領域782a及び領域782bは、互いに離間して設けられ、p型の導電型を付与するドーパントが添加された領域である。領域782a及び領域782bは、上記pチャネル型トランジスタのソース領域又はドレイン領域としての機能を有する。例えば、領域782a及び領域782bのそれぞれは、別途設けられた導電層に電気的に接続されてもよい。
【0196】
領域782c及び領域782dは、互いに離間して設けられ、n型の導電型を付与するドーパントが添加された領域である。領域782c及び領域782dは、上記nチャネル型トランジスタのソース領域又はドレイン領域としての機能を有する。例えば、領域782c及び領域782dのそれぞれは、別途設けられた導電層に電気的に接続されてもよい。
【0197】
なお、領域782a乃至領域782dの一部に低濃度領域を設けてもよい。このとき低濃度領域の深さは、それ以外の領域782a乃至領域782dの領域の深さより小さくてもよいが、これに限定されない。
【0198】
絶縁層784aは、絶縁領域781a及び絶縁領域781bに挟まれた半導体層780の領域の上に設けられる。絶縁層784aは、上記pチャネル型トランジスタのゲート絶縁層としての機能を有する。
【0199】
絶縁層784bは、絶縁領域781b及び絶縁領域781cに挟まれた半導体層780の領域の上に設けられる。絶縁層784bは、上記nチャネル型トランジスタのゲート絶縁層としての機能を有する。
【0200】
絶縁層784a及び絶縁層784bとしては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、有機絶縁材料(例えばポリイミド又はアクリルなど)などの材料の層を用いることができる。また、絶縁層784a及び絶縁層784bに適用可能な材料の積層により絶縁層784a及び絶縁層784bを構成してもよい。
【0201】
導電層785aは、絶縁層784aを介して半導体層780に重畳する。導電層785aに重畳する半導体層780の領域が上記pチャネル型トランジスタのチャネル形成領域になる。導電層785aは、上記pチャネル型トランジスタのゲートとしての機能を有する。
【0202】
導電層785bは、絶縁層784bを介して半導体層780に重畳する。導電層785bに重畳する半導体層780の領域が上記nチャネル型トランジスタのチャネル形成領域になる。導電層785bは、上記nチャネル型トランジスタのゲートとしての機能を有する。
【0203】
導電層785a及び導電層785bとしては、例えばモリブデン、マグネシウム、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、若しくはスカンジウムなどの金属材料、又はこれらを主成分とする合金材料の層を用いることができる。また、導電層785a及び導電層785bに適用可能な材料の積層により、導電層785a及び導電層785bを構成することもできる。
【0204】
絶縁層786aは、絶縁層784aの上に設けられ、導電層785aにおける、互いに対向する一対の側面の一方に接する。
【0205】
絶縁層786bは、絶縁層784aの上に設けられ、導電層785aにおける、互いに対向する上記一対の側面の他方に接する。
【0206】
絶縁層786cは、絶縁層784bの上に設けられ、導電層785bにおける、互いに対向する一対の側面の一方に接する。
【0207】
絶縁層786dは、絶縁層784bの上に設けられ、導電層785bにおける、互いに対向する上記一対の側面の他方に接する。
【0208】
絶縁層788は、導電層785a、導電層785b、絶縁層786a、絶縁層786b、絶縁層786c、及び絶縁層786dを覆って設けられる。
【0209】
絶縁層786a乃至絶縁層786d、及び絶縁層788としては、絶縁層784a及び絶縁層784bに適用可能な材料のうち、絶縁層784a及び絶縁層784bに適用した材料と同じ材料の層又は異なる材料の層を用いることができる。また、絶縁層786a乃至絶縁層786d、及び絶縁層788に適用可能な材料の積層により、絶縁層786a乃至絶縁層786d、及び絶縁層788を構成することもできる。
【0210】
半導体層753は、絶縁層788の上に設けられる。半導体層753は、領域752a及び領域752bを含む。領域752a及び領域752bはドーパントが添加された領域であり、ソース領域又はドレイン領域としての機能を有する。ドーパントとしては、上記実施の形態における酸化物半導体層を含むトランジスタに適用可能なドーパントを適宜用いることができる。なお、領域752a及び領域752bは必ずしも設けなくともよい。
【0211】
半導体層753としては、例えば図5(A)に示す半導体層603(a)に適用可能な材料の層を用いることができる。
【0212】
絶縁層755は、半導体層753の上に設けられる。また絶縁層755は、トランジスタのゲート絶縁層としての機能を有する。
【0213】
絶縁層755としては、例えば図5(A)に示す絶縁層602(a)に適用可能な材料の層を用いることができる。また、絶縁層755に適用可能な材料の積層により絶縁層755を構成してもよい。
【0214】
導電層756は、絶縁層755を介して半導体層753に重畳する。導電層756は、トランジスタのゲートとしての機能を有する。
【0215】
導電層756としては、例えば図5(A)に示す導電層601(a)に適用可能な材料の層を用いることができる。また、導電層756に適用可能な材料の積層により導電層756を構成してもよい。
【0216】
絶縁層757a及び絶縁層757bは、導電層756の側面に接して絶縁層755の上に設けられる。なお、絶縁層757a及び絶縁層757bは必ずしも設けなくてもよい。
【0217】
導電層754aは、半導体層753に接して電気的に接続される。導電層754aは、上記酸化物半導体層を含むトランジスタのソース又はドレインとしての機能を有する。
【0218】
導電層754bは、半導体層753に接して電気的に接続される。また、導電層754bは、導電層785bに電気的に接続される。導電層754bは、上記酸化物半導体層を含むトランジスタのソース又はドレインとしての機能を有する。
【0219】
導電層754a及び導電層754bとしては、例えば図5(A)に示す導電層605a(a)及び導電層605b(a)に適用可能な材料の層を用いることができる。また、導電層754a及び導電層754bに適用可能な材料の積層により導電層754a及び導電層754bを構成してもよい。
【0220】
絶縁層758は、導電層756、絶縁層757a、絶縁層757b、導電層754a、及び導電層754bの上に設けられる。
【0221】
絶縁層758としては、例えば図5(A)に示す絶縁層602(a)に適用可能な材料の層を用いることができる。また、絶縁層758に適用可能な材料の積層により絶縁層759を構成してもよい。絶縁層758は、不純物の侵入を抑制する保護層としての機能を有する。
【0222】
絶縁層759は、絶縁層758の上に設けられる。
【0223】
絶縁層759としては、例えば図5(A)に示す絶縁層602(a)に適用可能な材料の層を用いることができる。また、絶縁層759に適用可能な材料の積層により絶縁層759を構成してもよい。
【0224】
導電層760aは、絶縁層758及び絶縁層759に設けられた開口部を介して導電層754aに電気的に接続される。導電層760aは、酸化物半導体層を含むトランジスタのソース又はドレインとしての機能を有する。
【0225】
導電層760bは、絶縁層758及び絶縁層759に設けられた開口部を介して導電層754bに電気的に接続される。導電層760bは、酸化物半導体層を含むトランジスタのソース又はドレインとしての機能を有する。
【0226】
導電層760a及び導電層760bとしては、例えば図5(A)に示す導電層605a(a)及び導電層605b(a)に適用可能な材料の層を用いることができる。また、導電層760a及び導電層760bに適用可能な材料の積層により導電層760a及び導電層760bを構成してもよい。
【0227】
以上が図7に示す半導体回路の構造例の説明である。
【0228】
図7を用いて説明したように、本実施の形態における半導体回路の構造例では、異なる材料の半導体層を用いたトランジスタを積層させて半導体回路を構成することにより、回路面積を小さくすることができる。
【0229】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0230】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態に適用可能な酸化物材料について、図8乃至図10を用いて説明する。
【0231】
本実施の形態で例示するCAAC−OSを有するトランジスタは、非結晶の酸化物半導体を用いたトランジスタに比べて高い電界効果移動度を実現することが可能であり、例えばより高い周波数帯で動作させることができる。
【0232】
本実施の形態では、c軸配向し、かつab面、表面または界面の方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸においては金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列しており、ab面においてはa軸またはb軸の向きが異なる(c軸を中心に回転した)結晶を含む酸化物半導体(CAAC−OS:C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)について説明する。
【0233】
CAAC−OSとは、広義に、非単結晶であって、そのab面に垂直な方向から見て、三角形、または、六角形、または正三角形、正六角形の原子配列を有し、かつc軸方向に金属原子が層状、または、金属原子と酸素原子が層状に配列した相を含む酸化物半導体をいう。
【0234】
CAAC−OSは単結晶ではないが、非晶質のみから形成されているものでもない。また、CAAC−OSは結晶化した部分(結晶部分)を含むが、1つの結晶部分と他の結晶部分の境界を明確に判別できないこともある。
【0235】
CAAC−OSを構成する酸素の一部は窒素で置換されてもよい。また、CAAC−OSを構成する個々の結晶部分のc軸は一定の方向(例えば、CAAC−OSが形成される基板面、CAAC−OSの表面などに垂直な方向)に揃っていてもよい。または、CAAC−OSを構成する個々の結晶部分のab面の法線は一定の方向(例えば、CAAC−OSが形成される基板面、CAAC−OSの表面などに垂直な方向)を向いていてもよい。
【0236】
CAAC−OSは、その組成等に応じて、導体であったり、半導体であったり、絶縁体であったりする。また、その組成等に応じて、可視光に対して透明であったり不透明であったりする。
【0237】
このようなCAAC−OSの例として、膜状に形成され、膜表面または支持する基板面に垂直な方向から観察すると三角形または六角形の原子配列が認められ、かつその膜断面を観察すると金属原子または金属原子と酸素原子(あるいは窒素原子)の層状配列が認められる酸化物半導体を挙げることもできる。
【0238】
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部および非晶質部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0239】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0240】
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
【0241】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0242】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動を低減することが可能である。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0243】
CAAC−OSについて図8乃至図10を用いて詳細に説明する。なお、特に断りがない限り、図8乃至図10は上方向をc軸方向とし、c軸方向と直交する面をab面とする。なお、単に上半分、下半分という場合、ab面を境にした場合の上半分、下半分をいう。また、図8において、丸で囲まれたOは4配位のOを示し、二重丸は3配位のOを示す。
【0244】
図8(A)に、1個の6配位のInと、Inに近接の6個の4配位の酸素原子(以下4配位のO)と、を有する構造を示す。ここでは、金属原子が1個に対して、近接の酸素原子のみ示した構造を小グループと呼ぶ。図8(A)の構造は、八面体構造をとるが、簡単のため平面構造で示している。なお、図8(A)の上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがある。図8(A)に示す小グループは電荷が0である。
【0245】
図8(B)に、1個の5配位のGaと、Gaに近接する3個の3配位の酸素原子(以下3配位のO)と、Gaに近接する2個の4配位のOと、を有する構造を示す。3配位のOは、いずれもab面に存在する。図8(B)の上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがある。また、Inも5配位をとるため、図8(B)に示す構造をとりうる。図8(B)に示す小グループは電荷が0である。
【0246】
図8(C)に、1個の4配位のZnと、Znに近接する4個の4配位のOと、を有する構造を示す。図8(C)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。または、図8(C)の上半分に3個の4配位のOがあり、下半分に1個の4配位のOが合ってもよい。図8(C)に示す小グループは電荷が0である。
【0247】
図8(D)に、1個の6配位のSnと、Snに近接する6個の4配位のOと、を有する構造を示す。図8(D)の上半分には3個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。図8(D)に示す小グループは電荷が+1となる。
【0248】
図8(E)に、2個のZnを含む小グループを示す。図8(E)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には1個の4配位のOがある。図8(E)に示す小グループは電荷が−1となる。
【0249】
ここでは、複数の小グループの集合体を中グループと呼び、複数の中グループの集合体を大グループ(ユニットセルともいう。)と呼ぶ。
【0250】
ここで、これらの小グループ同士が結合する規則について説明する。図8(A)に示す6配位のInの上半分の3個のOは、下方向にそれぞれ3個の近接Inを有し、下半分の3個のOは、上方向にそれぞれ3個の近接Inを有する。図8(B)に示す5配位のGaの上半分の1個のOは下方向に1個の近接Gaを有し、下半分の1個のOは上方向に1個の近接Gaを有する。図8(C)に示す4配位のZnの上半分の1個のOは、下方向に1個の近接Znを有し、下半分の3個のOは、上方向にそれぞれ3個の近接Znを有する。この様に、金属原子の上方向の4配位のOの数と、そのOの下方向にある近接金属原子の数は等しく、同様に金属原子の下方向の4配位のOの数と、そのOの上方向にある近接金属原子の数は等しい。Oは4配位であるため、下方向にある近接金属原子の数と、上方向にある近接金属原子の数の和は4になる。従って、金属原子の上方向にある4配位のOの数と、別の金属原子の下方向にある4配位のOの数との和が4個のとき、金属原子を有する二種の小グループ同士は結合することができる。例えば、6配位の金属原子(InまたはSn)が下半分の4配位のOを介して結合する場合、4配位のOが3個であるため、5配位の金属原子(GaまたはIn)、4配位の金属原子(Zn)のいずれかと結合することになる。
【0251】
これらの配位数を有する金属原子は、c軸方向において、4配位のOを介して結合する。また、このほかにも、層構造の合計の電荷が0となるように小グループ同士が結合して中グループを構成する。
【0252】
図9(A)に、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。図9(B)に、3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図9(C)は、図9(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示す。
【0253】
図9(A)においては、簡単のため、3配位のOは省略し、4配位のOは個数のみ示し、例えば、Snの上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがあることを丸枠の3として示している。同様に、図9(A)において、Inの上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがあり、丸枠の1として示している。また、同様に、図9(A)において、上半分には3個の4配位のOがあり、下半分には1個の4配位のOがあるZnと、上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがあるZnとを示している。
【0254】
図9(A)において、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnが、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に3個の4配位のOがあるZnと結合し、そのZnの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に1個の4配位のOがあるZn2個からなる小グループと結合し、この小グループの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnと結合している構成である。この中グループを複数結合して大グループを構成する。
【0255】
ここで、3配位のOおよび4配位のOの場合、結合1本当たりの電荷はそれぞれ−0.667、−0.5と考えることができる。例えば、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Sn(5配位または6配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+4である。従って、Snを含む小グループは電荷が+1となる。そのため、Snを含む層構造を形成するためには、電荷+1を打ち消す電荷−1が必要となる。電荷−1をとる構造として、図8(E)に示すような、2個のZnを含む小グループが挙げられる。例えば、Snを含む小グループが1個に対し、2個のZnを含む小グループが1個あれば、電荷が打ち消されるため、層構造の合計の電荷を0とすることができる。
【0256】
具体的には、図9(B)に示した大グループが繰り返されることで、In−Sn−Zn−O系の結晶(InSnZn)を得ることができる。なお、得られるIn−Sn−Zn−O系の層構造は、InSnZn(ZnO)(mは0または自然数。)とする組成式で表すことができる。
【0257】
また、このほかにも、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系酸化物や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物(IGZOとも表記する。)、In−Al−Zn−O系酸化物、Sn−Ga−Zn−O系酸化物、Al−Ga−Zn−O系酸化物、Sn−Al−Zn−O系酸化物や、In−Hf−Zn−O系酸化物、In−La−Zn−O系酸化物、In−Ce−Zn−O系酸化物、In−Pr−Zn−O系酸化物、In−Nd−Zn−O系酸化物、In−Sm−Zn−O系酸化物、In−Eu−Zn−O系酸化物、In−Gd−Zn−O系酸化物、In−Tb−Zn−O系酸化物、In−Dy−Zn−O系酸化物、In−Ho−Zn−O系酸化物、In−Er−Zn−O系酸化物、In−Tm−Zn−O系酸化物、In−Yb−Zn−O系酸化物、In−Lu−Zn−O系酸化物や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn−O系酸化物、Sn−Zn−O系酸化物、Al−Zn−O系酸化物、Zn−Mg−O系酸化物、Sn−Mg−O系酸化物、In−Mg−O系酸化物や、In−Ga−O系酸化物などを用いた場合も同様である。
【0258】
例えば、図10(A)に、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。
【0259】
図10(A)において、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInが、4配位のOが1個上半分にあるZnと結合し、そのZnの下半分の3個の4配位のOを介して、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるGaと結合し、そのGaの下半分の1個の4配位のOを介して、4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
【0260】
図10(B)に3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図10(C)は、図10(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示している。
【0261】
ここで、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Ga(5配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+3であるため、In、ZnおよびGaのいずれかを含む小グループは、電荷が0となる。そのため、これらの小グループの組み合わせであれば中グループの合計の電荷は常に0となる。
【0262】
また、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、図10(A)に示した中グループに限定されず、In、Ga、Znの配列が異なる中グループを組み合わせた大グループも取りうる。
【0263】
具体的には、図10(B)に示した大グループが繰り返されることで、In−Ga−Zn−O系の結晶を得ることができる。なお、得られるIn−Ga−Zn−O系の層構造は、InGaO(ZnO)(nは自然数。)とする組成式で表すことができる。
【0264】
CAAC−OSを有するトランジスタを用いることにより、非結晶の酸化物半導体を用いたトランジスタに比べて高い電界効果移動度を実現することが可能となる。このようなトランジスタは、高い周波数帯で動作することが可能であるため、例えばCPUなどにも用いることができる。
【0265】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0266】
100 スイッチトキャパシタアンプ回路
101 トランジスタ
101a トランジスタ
101b トランジスタ
102 トランジスタ
102a トランジスタ
102b トランジスタ
103 スイッチ
104a トランジスタ
104b トランジスタ
105 トランジスタ
106 トランジスタ
107 スイッチ
111 演算増幅回路
600 被素子形成層
601 導電層
602 絶縁層
603 半導体層
604a 領域
604b 領域
605a 導電層
605b 導電層
606 絶縁層
608 導電層
752a 領域
752b 領域
753 半導体層
754a 導電層
754b 導電層
755 絶縁層
756 導電層
757a 絶縁層
757b 絶縁層
758 絶縁層
759 絶縁層
760a 導電層
760b 導電層
780 半導体層
781a 絶縁領域
781b 絶縁領域
781c 絶縁領域
782a 領域
782b 領域
782c 領域
782d 領域
784a 絶縁層
784b 絶縁層
785a 導電層
785b 導電層
786a 絶縁層
786b 絶縁層
786c 絶縁層
786d 絶縁層
788 絶縁層
SW1 スイッチ
SW2 スイッチ
SW3 スイッチ
C1 容量素子
C2 容量素子
C3 容量素子
C4 容量素子
S1 クロック信号
S2 クロック信号
S3 クロック信号
IN 入力信号
OUT 出力信号
Vin 入力電圧
Vout 出力電圧
Vref 接地電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子と容量素子が並列又は直列に接続された、少なくとも一つのスイッチトキャパシタ回路と、演算増幅回路と、を有し、
入力信号をサンプリングし、離散時間信号を出力する半導体回路であって、
前記スイッチング素子は、オフ状態におけるリーク電流がチャネル幅1μmあたり1×10−17A以下である電界効果トランジスタから構成される、半導体回路。
【請求項2】
演算増幅回路と、
前記演算増幅回路の一方の入力端子と第1の容量素子を介して接続された第1のスイッチング素子と、
前記演算増幅回路の前記一方の入力端子と出力端子との間に接続された第2の容量素子と、
前記演算増幅回路の前記一方の入力端子と前記出力端子との間に接続された第2のスイッチング素子と、
一方の電極が前記第1のスイッチング素子と前記第1の容量素子との間に接続され、他方の電極に基準電圧が入力される第3のスイッチング素子と、を有し、
前記演算増幅回路の他方の入力端子には前記基準電圧が入力され、
前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子は、オフ状態におけるリーク電流がチャネル幅1μmあたり1×10−17A以下である電界効果トランジスタから構成される、半導体回路。
【請求項3】
演算増幅回路と、
前記演算増幅回路の一方の入力端子と第1の容量素子を介して接続された第1のスイッチング素子と、
前記演算増幅回路の前記一方の入力端子と出力端子との間に接続された第2の容量素子と、
前記演算増幅回路の前記一方の入力端子と前記出力端子との間に接続された第2のスイッチング素子と、
前記演算増幅回路の他方の入力端子と第3の容量素子を介して接続された第3のスイッチング素子と、
前記演算増幅回路の前記他方の入力端子と前記出力端子との間に接続された第4の容量素子と、
前記演算増幅回路の前記他方の入力端子と前記出力端子との間に接続された第4のスイッチング素子と、を有し、
前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、及び前記第4のスイッチング素子は、オフ状態におけるリーク電流がチャネル幅1μmあたり1×10−17A以下である電界効果トランジスタから構成される、半導体回路。
【請求項4】
演算増幅回路と、
前記演算増幅回路の一方の入力端子と接続される第1のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子と第1の容量素子を介して接続される第2のスイッチング素子と、
前記演算増幅回路の前記一方の入力端子と出力端子との間に接続される第2の容量素子と、
一方の電極が前記第1の容量素子と前記第2のスイッチング素子との間に接続し、他方の電極に基準電圧が入力される第3のスイッチング素子と、
一方の電極が前記第1の容量素子と前記第1のスイッチング素子との間に接続し、他方の電極に前記基準電圧が入力される第4のスイッチング素子と、を有し、
前記演算増幅回路の他方の入力端子には前記基準電圧が入力され、
前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子は、オフ状態におけるリーク電流がチャネル幅1μmあたり1×10−17A以下である電界効果トランジスタから構成される、半導体回路。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載の半導体回路において、
前記電界効果トランジスタは、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を含む、半導体回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図11】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate