説明

半導体発光モジュールおよびその製造方法

【課題】高輝度発光を可能とするとともに軽量コンパクトとすることができる半導体発光モジュールおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体発光モジュール(101)では、金属薄板(102)に半導体発光素子(104)を囲むように反射部材となる凸部(202)を形成し、半導体発光素子(104)とプリント基板(103)とは、例えばワイヤ(201)等で接続される。凸部(202)は、例えば金属薄板(102)を裏面から押し曲げて素子の周囲を囲うように、かつ半導体発光素子(104)よりも高くなるように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光モジュールおよびその製造方法に関し、より詳細には、高輝度発光を可能とする半導体発光モジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光におけるエネルギー効率の高い発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子が様々な分野で使用されるようになり、半導体発光素子を利用した種々の装置が開発されてきている。特に、大電流を用いたり、反射板等により効率よく照射を行ったりすることにより、従来の蛍光灯や白熱灯に代わる照明用としての利用が注目されており、発光に伴って生じる発熱の問題を解消しようとする技術が提案されている。
【0003】
例えば、アルミニウムよりなる金属板に前方へ突出する突出部を設け、突出部の前面に収納凹所を形成し、収納凹所の底面に半導体発光素子を搭載し、LED素子が金属板に熱的に結合され、金属板の前面にはガラスエポキシ基板よりなるプリント回路基板が接合されており、従来に比べて放熱性を向上でき且つ半導体発光素子からの光を効率良く外部へ取り出すことができる発光装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、LEDを実装するためのLED実装用プリント基板において、LEDと電気的に接続される配線パターンが絶縁層の一方の側に設けられ、LEDから発生する熱を逃がすための放熱用金属層が絶縁層の他方の側に設けられており、配線パターンの側から絶縁層を貫通して放熱用金属層の内部にまで達するLED実装用凹部を形成することにより、発光度を高めても熱劣化が起こりにくく熱放散性に優れた照明光源を製造することができるLED実装用プリント基板が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、上面に発光素子が載置される載置部を有する基体と、基体の上面の外周部に載置部を囲繞するように接合された、内周面が発光素子から発光される光を反射する反射面とされている枠状の反射部材と、載置部に載置された発光素子と、発光素子が発光する光を波長変換する密度が3.8g/cm3乃至7.3g/cm3の蛍光体を含有した、硬化前の粘度が0.4Pa・s乃至50Pa・sの樹脂から成る透光性部材とを備えることにより、光取り出し効率、色温度、演色性が優れていると共に、発光する光の放射光強度の良好な発光装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明による発光ダイオードモジュールでは、表面は前面にプリント基板が貼ってあるため、素子から発生した熱は金属板に伝わり、さらに熱伝導率が低いプリント基板を経由して前面に放熱させることとなり、前面からの放熱が効果的に行えないという欠点がある。
【0006】
また、特許文献2または3の発明のような発光ダイオードチップから発した光を有効に使用するために凹部を形成してそのなかに発光ダイオードチップをボンディングするという発明も提案されているが、これらの方法では、その構造上あるいは製法上、基礎となる金属板等は、半導体発光モジュールとして凹部の窪みの高さ以上の厚みをもつ必要があり、軽量な半導体発光モジュールとならない。
【0007】
本発明は、より高い反射率を維持し、均一な白色光を得ることができ、および光の取り出し効率を向上させて、高輝度発光を可能とするとともに軽量薄型化することができる半導体発光モジュールおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−152225号公報
【特許文献2】特開2005−243744号公報
【特許文献3】特開2005−277331号公報
【発明の概要】
【0009】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、半導体発光装置であって、半導体発光素子と、半導体発光素子の各々を表面に接して配置したプレートと、プレートの表面の、各半導体発光素子およびその近傍を除く任意の部分を覆い、各半導体発光素子に電気的に接続され電力を供給する基板であって、プレートを覆う部分がプレートのうち各半導体発光素子およびその近傍を除く部分よりも小さな面積となるよう構成し、プレートの一部が露出するようにした基板とを含む半導体発光モジュールと、プレートの表面の露出している部分と、プレートの裏面とを、プレートの裏面が接触するように狭持して半導体発光モジュールを保持する狭持部を含む放熱板とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半導体発光装置において、プレートは、表面に増反射膜を形成することにより半導体発光素子からの光を反射させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の半導体発光装置において、プレートの材料は、鉄、銀、銅若しくはアルミニュウムなどの金属、金属のいずれかによる合金、および熱伝導率を高めるために炭素系材料と、金属または合金との複合化による複合材料のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、半導体発光装置であって、複数の半導体発光素子と、半導体発光素子の各々を表面に接して配置した複数のプレートと、複数のプレートの各々の表面の、各半導体発光素子およびその近傍を除く任意の部分を覆い、各半導体発光素子に電気的に接続され前記電力を供給する1つの基板であって、複数のプレートの各々を接続し、プレートを覆う部分がプレートのうち各半導体発光素子およびその近傍を除く部分よりも小さな面積となるよう構成し、一部が露出するようにした基板とを含む半導体発光モジュールと、プレートの表面の露出している部分と、プレートの裏面とを、プレートの裏面が接触するように狭持して半導体発光モジュールを保持する狭持部を含む放熱板とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の半導体発光装置において、複数のプレートはアレイ状に配置され、アレイ状に縦に配置された複数プレートの幅は、1つの基板の幅よりも広いことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の半導体発光装置において、プレートは、表面に増反射膜を形成することにより半導体発光素子からの光を反射させるようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項4ないし6のいずれかに記載の半導体発光装置において、プレートの材料は、鉄、銀、銅若しくはアルミニュウムなどの金属、金属のいずれかによる合金、および熱伝導率を高めるために炭素系材料と、金属または合金との複合化による複合材料のうちのいずれかであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかるアレイ状の半導体発光モジュールを示す上面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかる半導体発光モジュールの構造を示す正面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかる半導体発光モジュールの構造を示す横側面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかる半導体発光モジュールの各寸法を示す横側面図である。
【図5A】図5Aは、本実施形態の金属薄板を使用する利点を説明するための図である。
【図5B】図5Bは、本実施形態の金属薄板を使用する利点を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかる平面状の半導体発光モジュールを示す上面図である。
【図7A】図7Aは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す正面図である。
【図7B】図7Bは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す横側面図である。
【図8】図8は、本実施形態の一例の方法を採用した場合の従来技術にない効果について説明する場合の従来の構成を示す図である。
【図9】図9は、本発明の効果を確認するために、3種類の反射プレートの素材を用いて輝度を測定した結果を示す図である。
【図10】図10は、本実施形態の反射プレートの反射率が高いほど、反射を繰り返した後の反射光量の減衰が抑えられることを説明する図である。
【図11】図11は、本実施形態の発光効率のメッキの差の結果を示す図である。
【図12】図12は、本実施形態の発光効率のメッキの差の結果を示す図である。
【図13】図13は、本実施形態の発光効率のメッキの差の結果を示す図である。
【図14A】図14Aは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールの別の一例の構造を示す正面図である。
【図14B】図14Bは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールの別の一例の構造を示す横側面図である。
【図15A】図15Aは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す正面図である。
【図15B】図15Bは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す横側面図である。
【図16A】図16Aは、本実施形態の半導体発光モジュールを切り起こし加工部で固定した放熱板を示す正面図である。
【図16B】図16Bは、本実施形態の半導体発光モジュールを切り起こし加工部で固定した放熱板を示す横側面図である。
【図16C】図16Cは、本実施形態の半導体発光モジュールを切り起こし加工部で固定した放熱板の横側面図の一部を拡大した図である。
【図17】図17は、本実施形態で使用するフォトファイナーPSR−4000 LEW1/CA−40 LEW1の波長ごとの反射率の測定値を示す図である。
【図18A】図18Aは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す正面図である。
【図18B】図18Bは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す横側面図である。
【図19A】図19Aは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す正面図である。
【図19B】図19Bは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す横側面図である。
【図20A】図20Aは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す正面図である。
【図20B】図20Bは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す横側面図である。
【図21】図21は、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す横側面図である。
【図22】図22は、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す横側面図である。
【図23】図23は、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す横側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
(半導体発光モジュールの構造)
図1は、本発明の一実施形態にかかる半導体発光モジュールの構造を示す上面図である。本実施形態の半導体発光モジュール101は、放熱を行うとともに光反射機能を有する金属薄板102、金属薄板102を覆うとともに金属薄板に配置された半導体発光素子104に電力を供給するプリント基板103を備える。実際に通電されて発光する発光ダイオードなどの半導体発光素子104はプリント基板103に電気的に接続されている。プリント基板103はこの実施形態では図1に示すように縦長の形状をしており、これに金属薄板102がアレイ状に接着されているが、図1を参照すると理解できるようにその構造上金属薄板102は絶縁体であるプリント基板103よりも表面がはみ出した形状となっている。すなわち、このような構成をとった結果、金属薄板102が一定の面積を必要とするのに対し、プリント基板103は金属薄板102を絶縁し複数の金属薄板102の接続ができれば金属薄板102と同じ面積は必要ないこととなる。ただし、配線パターン及び回路構成上必要な素子や部品を搭載する場合はその面積分は必要である。
【0018】
金属薄板102は、放熱媒体となる一定の放熱特性を有し、光反射機能を有していればいずれの材料を用いることもでき、またいずれの形状とすることもできるが、本実施形態では例えば、鉄、銀、銅若しくはアルミニュウムなどの金属、およびこれらの合金、さらに熱伝導率高めるために炭素系材料と複合化したこれら金属や合金との複合材料を種々の方法で加工して作成される。このことにより、本実施形態の半導体発光モジュールでは、発光により生じる熱は主に半導体発光モジュールの下面側から効率よく排熱されるが、これだけではなくプリント基板により覆われていない部分は、金属部分が直接露出することになるため、上面からも放熱され、極めて効率のよい放熱が可能となる。さらに、後述するように、金属薄板は、押し出し型材により加工成型することもでき、または板金折り曲げによって作成することもできるが、これに限られることなく、本願発明の目的を達する限り本技術分野で知られたいずれの方法も用いることができる。
【0019】
ここで、高反射プレートでもある金属薄板102は、高い光反射能力が有り、全反射率95%以上であれば十分な量の光の取出しが可能であるが、全反射率98%以上とすることが望ましい。金属薄板102は、例えばアルミ基材の上に接着層を形成し、純アルミニウムや純銀の層を形成し、さらに、酸化チタンや酸化シリコンを蒸着することにより増反射膜を形成することにより実装することができる。また、この増反射膜により、内層の純アルミニウムや純銀の酸化による劣化を軽減することが可能となり、初期の反射率をより長く維持することができ、製品品質を安定させることができる。
【0020】
金属薄板102は、例えばプレス加工等により求める形状に仕上げた金属に、前述のような接着層および純アルミニウムや純銀の層に酸化チタンや酸化シリコンを蒸着して増反射膜を形成して製造することもでき、または板状またはコイル状の金属にこのような増反射膜を形成した後プレス加工等により求める形状に仕上げることもできる。本実施形態の一例では、アラノッド社製のMIRO2−SILVERおよびMIRO2を使用したが、これらの製品はそれぞれ98%および95%の全反射率を有する。本願発明に使用する金属薄板としては、アラノッド社製のもの以外でも本願発明の目的を達成することができるものであれば本技術分野で知られたいずれのものも使用することができる。なお、金属薄板102に導電性ワイヤ201を接続することにより、金属薄板102そのものを電極の一方とすることもできる。
【0021】
プリント基板103は、少なくとも金属薄板102を電気的に絶縁し、および少なくとも半導体発光素子104が発した光を外部に透過させるための孔を有するような形状であれば、本技術分野で知られたいずれのものも使用することができる。例えば、図1に示すような形状のFR4やポリイミドなどの基板を作成して、金属薄板102に配置するようにしてプリント基板103を形成させるようにしたり、絶縁機能を有する接着剤を用いて配電膜と金属薄板102とを接着するとともに絶縁する絶縁層を形成させてプリント基板103の一部としたりすることもできる。
【0022】
もちろん、一般的なプリント基板を用いることによりプリント基板103を形成することも可能であるが、いずれにしてもプリント基板の形成および金属薄板102および半導体発光素子104との接続は、本技術分野で知られたいずれの方法によっても可能である。
【0023】
以上、図1を参照して、本実施形態の半導体発光モジュール101の基本構造を説明したが、実際には図2に示すように半導体発光モジュール101では、金属薄板102に半導体発光素子104を囲むように反射部材となる凸部202を形成し、半導体発光素子104とプリント基板103とは、例えばワイヤ201等で接続される。このような半導体発光モジュールは、この状態で基本的には機能を満たすが、図3を参照すると後述するように素子およびボンディングワイヤ部を保護するなどのため、外部にさらされた状態の透過孔の部分に樹脂等の本技術分野で知られた材料301を封入することもできる。ここで封入に使用する材料301として、シリコンやエポキシ等を用いることができる。
【0024】
また、図1に示すように本実施形態では、6個の光源を持つ半導体発光モジュールであり、6つの金属薄板102、半導体発光素子104の光が通過する穴が開いた1つのプリント基板103、および6つの半導体発光素子104から構成されるが、これに限られることなく1つを含む任意の数の半導体発光素子を使用することができる。また、図7Aに示すように1つの金属薄板102上に複数、例えば3つの異なる色の半導体発光素子を載置して、1つの金属薄板102を用いフルカラーで発光させることもできる。
【0025】
(半導体発光モジュールの製造方法)
図4に示すように、本実施形態では素子104をボンディングする金属薄板102の部分は平坦部となっており、まず半導体発光素子104の周囲に凸部202を形成する。この凸部202は、金属薄板102を裏面から押し曲げて素子の周囲を囲うように、かつ半導体発光素子104よりも高くなるように形成する。図3や4に示す半導体発光素子104をボンディングする平坦部を参照すると、半導体発光素子104をボンディングする平坦部と、凸部周囲の外側とで金属板の裏面が同一平面上にあるが、これにより半導体発光素子104のボンディング時の超音波接合機において、複雑な治工具を用意することなく形成することができる。このように、本実施形態では金属薄板102の半導体発光素子104を載置する側の裏面から押し曲げることにより、平坦部の表面と凸部202により生成された傾斜面401とで形成される角は鈍角となって、半導体発光素子104から発した光を正面(図4では上方)に効率よく反射する反射板の役割をになうことになるのである。
【0026】
加えて、この半導体発光素子104をダイボンディングする平坦部周囲の凸部の形成法によると、従来技術と比較して、薄板を使用することが可能となり、軽量なモジュールとなる。例えば図5Aに従来のモジュール形状を示すが、反射部材も兼ねる窪み502を形成するためにはモジュールの基体501は一定の厚みのあるブロックとする必要があったが、本実施形態の例である図5Bに示すモジュール形状では金属薄板102を用いることができるので、はるかに軽量、コンパクトに作成できるのである。これは、後述する増反射膜を形成する処理を表面に施した金属薄板102を、半導体発光素子104をダイボンディングするための基材として使用可能とする上でも必要な技術である。あらかじめ増反射膜が形成された金属薄板に曲げ加工を施すと表面の増反射膜がひび割れ、半導体発光モジュールとして十分な明るさを確保できないが、半導体発光素子104をダイボンディングする面が初期の平面と同一の平面あるいは略平面であることから、ひび割れなどの劣化を最小限にとどめることが可能となる他、放熱用ケーシングなどを金属薄板102に接合して、放熱をする際も平面であることから接合性、放熱性を高くすることができる。例えば、図16Aに示すように放熱板1602に切り起こし加工部1601を作成しておき、半導体発光モジュール101を放熱板1602に密着させて、切り起こし加工部1601で挟み込むことにより、容易に固定して良好な放熱特性を得ることができる構造とすることができる。すなわち、横面図16Bの拡大である図16Cに示すように半導体発光モジュール101を切り起こし加工部1601で挟むようにして固定する。この場合、本実施形態の半導体発光モジュール101の裏面が平面を保持していることからこのような放熱に有効に作用するのである。したがって、このような作成法や構造を用いることにより、予め増反射膜が形成された、比較的安価な材料を使用することができる。
【0027】
上述のように、半導体発光素子104から発生した熱が放熱される経路としては、裏面に熱を伝えて放熱する経路と、表面から放熱させる経路があるが、例えばこのモジュールをヒートシンクや放熱面の役割を果たすケーシングに密着させて使用する場合は、裏面からの放熱のためには、半導体発光モジュールと、ヒートシンクや放熱面の役割を果たすケーシングとの接する面積は大きい方が好ましく、凸部で囲まれた部分の幅(b)は搭載するチップの大きさ・数により適正化が必要である。例えば、(a)が0.3mm程度のチップを3個搭載する場合は、3mm程度が適しており、6個搭載する場合は5mm程度が好ましい。また、本実施形態の形成方法では凸部202の高さはある程度限られるから、傾斜面401の光反射機能を考慮しても、半導体発光素子104を載置する平坦部はあまり大きな領域にするのは好ましくない。ただし、凸部の幅(図4の(j)の長さ)は極力小さいほうが好ましい。
【0028】
以上の点を考慮し、本実施形態では図4に示すような寸法のモジュールを用いているが、これに限られることなく傾斜面401により十分な光の反射が得られるように、凸部の高さ(図4の例では(g)の0.3mm)が、半導体発光素子104(図4の例では(e)の0.1mm)よりも高ければ、凸部が形成できる範囲内でいずれの寸法とすることもできる。ただし、本実施形態では後述するように、このような半導体発光素子104を取り囲むように形成された凸部で定められた領域に、蛍光体または拡散剤を含有する樹脂を塗布し半導体発光素子104からの光を直接外部に取り出すのではなく、このよう蛍光体あるいは拡散剤を介してより効率的に光を取り出すことを可能にすることができるが、このような方法によると本実施形態の凸部202でも有効な光が得られる。すなわち、本実施形態の凸部202はその形状や高さなどから、光の直接反射という点では通常のパラボラ型や逆ドーム型の反射部材よりも反射光が少なくなることも考えられる。しかし、上述のような蛍光体や拡散剤により間接的に光を得る場合には、多くの光は蛍光体や拡散剤の存在する位置で発光するから大きな反射部材を備えなくても、金属薄板102自体の反射効率さえ高ければ十分な発光効率を得ることができるのである。
【0029】
また、図2に示すように、本実施形態では凸部202は円形となっているが、これは押し曲げのし易さや、モジュール全体の形状から選択された形状であり、半導体発光素子104を囲むような形状で、発せられた光を反射できるような形状であれば、例えば楕円や四方形など任意の形状とすることができる。
【0030】
さらに、図1に示すように金属薄板102がプリント基板103からはみ出している構造とすることにより、上述のとおり金属薄板が表面に露出し、効果的な放熱を行うことができるとともに、露出した部分をモジュール作製するときの取り付け部としても機能させることができる。これはプリント基板103に負荷をかけないためワイヤボンディング部の断線などのリスクを回避することにつながるとともに、例えば金属の筐体等に取り付けた場合、更なる放熱効果を得ることができる。
【0031】
次に、プリント基板としてポリイミドなどの材料により基板を作成し、金属薄板の上面に積層する。
【0032】
図7AおよびBは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールのさらに別の一例の構造を示す正面図および横側面図である。図7AおよびBに示す例において、金属薄板102に、半導体発光素子104を取り囲むように形成された凸部で定められた領域に、蛍光体または拡散剤を含有する樹脂を塗布し、表面張力を利用して、安定した寸法精度のドーム701を形成する。このような方法によりドーム701を形成することにより、従来に比べ、ロス光が少なくなり、光の取り出し効率が向上して高輝度発光を可能にすることができる。ここで、一般に1つの半導体発光素子104の場合、ドーム701は半球状になることが望ましい。一方、図7AおよびBに示す半導体発光モジュール101は、半導体発光素子104を複数搭載したものであるが、図を参照すると理解できるように蛍光体層のドーム701は半球ではない。これは、複数の発光素子を用いる場合、1個の場合と比較して蛍光体層を完全な半球にしなくても光のロスが出ることが少ないためである。紫外線の発光素子を用いる場合も同様に、発光素子と蛍光体との色バランスを取る必要がないのでドーム701をより低く抑えることができる。このようにドーム701の形状は装置の設計に応じて適切なものとすることにより、最適な発光モジュールとすることができる。
【0033】
従来の一般的な蛍光体または拡散剤の形成構造を示す図8を参照すると、従来技術に比べ、図7AおよびBに示す本例による構造は、蛍光体または拡散剤を均一な構造で形成することができるため光のロスをより防止することができる。この点を詳細に説明すると、図8に示す従来の一般的な蛍光体または拡散剤の形成構造の場合、半導体発光素子から発せられた光の方向により、蛍光体または拡散剤の含有量が異なり、均一な白色や拡散光を得ることが困難となる。その結果、蛍光体または拡散剤の含有量が多い方向に発せられた光は、その分ロスが大きくなって全体として取り出し効率が低下することとなる。これは、図8に破線で示す光の経路を参照すると、従来の構造の場合は方向によって蛍光体または拡散剤を多く通過しなければならないことが理解できる。すなわち、半導体発光素子から真上に発せられた光と、斜め方向に発せられた光とでは蛍光体入り樹脂801を通過する距離が異なることが明らかであるから、ロスが発生することが理解される。
【0034】
このような従来の不均一な蛍光体または拡散剤による問題を解決するため、本実施形態では図7Bに示すように、光の発せられる方向に関係なく均一な量の蛍光体または拡散剤を光が通過するよう、半導体発光素子104を中心とするドーム701を蛍光体または拡散剤の樹脂により形成されるようにした。しかし、一般に蛍光体または拡散剤は、シリコンやエポキシといった樹脂に混ぜ込んで形成されるが、半導体発光素子104を中心に平面上に均一な量で樹脂のドーム701を形成することは極めて困難である。
【0035】
そこで本実施形態では、金属薄板102上に半導体発光素子104を中心とする円状の凸部202により、この上に樹脂の表面張力を利用してドーム701を形成することにより、半導体発光素子104を中心として、光が樹脂内を同じ距離だけ通過するように樹脂の均一な層を形成した。この凸部202のサイズ、位置、形状は樹脂の表面張力を利用できるものであれば、どのようなものでもよく、例えばプレス加工により形成することもできる他、本技術分野で知られたいずれの方法も用いることができる。また、同様の効果は、図3の方式においても実現可能である。この場合、図2に示すシルク印刷部(2重リング部)を形成する際に、インクにシリカ等のバインダーを含有させることで、同様の表面張力を利用したドーム形成を実現することが可能となる。
【0036】
(本発明の半導体発光モジュールの効果)
図9は、本発明の効果を確認するために、反射プレートの素材として全反射率75%のアルミの圧延による鏡面仕上げ品、上述のアラノッド社製のMIRO2およびMIRO2−Silverを用いて輝度を測定した結果を示す図である。ここで、LEDとしては同じ特性を有する半導体発光素子104を使用し、蛍光体を含有したシリコン樹脂を同一条件でドームを形成させ、積分球を用いて全光束を測定した。図9を参照すると、従来のアルミの圧延品に比べ、MIRO2−Silverでは2倍以上の発光効率まで向上させることできるのが理解される。MIRO2-Silverを用いたときのワット当たりのルーメン値は114ルーメン/Wであるが、これは現在の市場平均の約1.5倍の発光効率となる。これは、反射プレートの反射率が発光効率に影響するからである。
【0037】
すなわち、半導体発光素子から発せられた光は樹脂中に含有される蛍光体に照射され、元の光と励起された光とが樹脂中で何度も反射を繰り返すことから、反射面の反射率の相違が極めて大きく影響してくるのである。図10を参照すると、反射プレートの反射率が高いほど、反射を繰り返した後の反射光量の減衰が抑えられることが理解できる。したがって、反射光の減衰が少ないことが発光効率の向上につながることが理解できる。
【0038】
図11〜13は、本実施形態の発光効率テストの結果を示す図である。
【0039】
次に、図11〜13に示す結果は、発光効率が経年変化によりどのように変化するかを示したものである。図11〜13を参照すると、高温高湿試験による経年変化シミュレーションによると、本実施形態のMIRO2−Silverを使用した半導体モジュールが90%を維持しているのに対して、従来の銀メッキ品は80%を割っており、本実施形態の半導体モジュールが初期の発光効率を維持しているのが理解される。
【0040】
本発明は、大電力による高輝度発光を可能とする半導体発光モジュール、装置、およびその製造方法に関し、本発明によれば、発光素子において発生した熱を効率よく放熱させ温度上昇を抑えることにより、大電流を流しても輝度特性が悪化することを防止して高輝度を得ることができる半導体発光モジュール、装置、およびその製造方法を提供することができる。
【0041】
(第2実施形態)
図14AおよびBは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールの一例の構造を示す正面図および横側面図である。本実施形態の半導体モジュールは、上述の第1実施形態と同様に、金属薄板102に半導体発光素子104を囲むように反射部材となる凸部202を形成し、半導体発光素子104とプリント基板103とを例えばワイヤ201等で接続する点は同様であるが、図14Bに示すように金属薄板102を覆うプリント基板103と凸部202との間隙部分に高反射塗料部1401を設ける点で相違する。
【0042】
すなわち、第1実施形態では凸部202をあけた状態のプリント基板103を金属薄板102の上に積層するよう形成するが、図14Bに示す横側面図を参照すると理解できるように、このような構造上、凸部202はプリント基板103よりも若干低く、また凸部202とプリント基板13との間には若干の間隙部が生じる。半導体発光素子104から発した光のうちこの隙間部分に到来した光は、この部分に何の処理もしなければ最悪到来した光は全く利用されないか、わずかな割合でしか活用されない可能性がある。
【0043】
本実施形態では、このような隙間部分に高反射塗料を配置して高反射塗料部1401を形成し、高反射塗料部1401に到来した光を無駄なく反射して反射効率を高めることができる。本実施形態で使用する塗料としては、例えば太陽インキ製造株式会社製のフォトファイナーPSR−4000 LEW1/CA−40 LEW1を用いることができるが、これに限られず本技術分野で知られたいずれの高反射特性を有する塗料を用いることができる。図17にフォトファイナーPSR−4000 LEW1/CA−40 LEW1の波長ごとの反射率の測定値を示す。条件としては、銅版の上に直接、膜厚23μmで塗布した場合の測定値である。図17を参照すると、本実施形態で主に想定している波長域の光に対する反射率は82%以上と、良好な反射特性を有していることが理解できる。なお、上記のように隙間部分には特定の市販の塗料の他、高反射塗料としてハイブリット樹脂に白色酸化チタンを適切な分量で配合したものも用いることができる。
【0044】
このような高反射塗料は、例えば上述の第1実施形態におけるのと同様、凸部202を形成しプリント基板103を積層した後、スタンピング(転写)やディスペンサーによる塗布など、本技術分野で知られた方法を用いることができるが、コストを考慮するとスタンピングが好適である。さらに、インクジェットにより塗布を用いることができ、各々コスト、使用環境に合わせた適切な方法で塗布を行うことができる。このように、高反射塗料をスタンピングあるいは塗布した後半導体発光素子104を配置してワイヤ201を接続する。それ以降の製造工程は第1実施形態と同様である。また、図14Bに示す横側面図を参照すると理解できるように、表面張力等の結果、完成した高反射塗料部は適度なくぼみを形成し、光をさらに上方に反射しやすいような形状となる。実際に、高反射塗料部1401がある場合とない場合で、輝度を測定すると高反射塗料部1401を有さない半導体発光モジュールが、5.3ルーメンであるのに対し、高反射塗料部1401を有する半導体モジュールは7.3ルーメンとなっている。
【0045】
次に、高反射塗料の塗布方法の別の例を説明する。図18AおよびBは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールの別の一例の構造を示す正面図および横側面図である。本実施例でも、隙間部分に高反射塗料を配置する点で同様であるが、図18Bの高反射塗料部1801のように凸状に塗料部を形成することにより、図14Bに示すような凹状の高反射塗料部1401に比べ同等の反射効率を得ることができた。
【0046】
以上説明したように、凸部202とプリント基板103が接する部分に高反射塗料を適用することにより、その部分に到来する光も無駄にすることなく高反射率でより高い照度が可能となる。
【0047】
(第3実施形態)
図15AおよびBは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールの一例の構造を示す正面図および横側面図である。本実施形態の半導体モジュールは、上述の第2実施形態とは、金属薄板102を覆うプリント基板103の開口部の端部に高反射塗料部1501を設ける点で同様であり、金属薄板102に半導体発光素子104を囲むように反射部材となる凸部202がない点で第2実施形態とは異なる。
【0048】
すなわち、第2実施形態では凸部202をあけた状態のプリント基板103を金属薄板102の上に積層するよう形成し、凸部202の傾斜面が反射板の役割をして反射効率を上げる一方、図14Bに示す横側面図を参照すると理解できるように、高反射塗料部1401は、あくまでこのような反射板構造の補助的役割を担っているに過ぎない。本実施形態では、凸部ではなく金属薄板102の平面部分に高反射塗料部1501を形成するので、より反射板に近い形状となる。
【0049】
本実施形態ではこれを利用して凸部がなくても高反射率が得られる半導体モジュールを提供することができるのである。なお、本実施形態で使用する塗料としては、例えば太陽インキ製造株式会社製のフォトファイナーPSR−4000 LEW1/CA−40 LEW1を用いることができるが、これに限られず本技術分野で知られたいずれの高反射特性を有する塗料を用いることができる。上述の第1実施形態で説明したように、本実施形態では最終的に蛍光体などを封入部材として用いることができるため、第1および2実施形態のような凸部202を有さなくても一定の発光効果を得ることができる。なお、上記のように隙間部分には特定の市販の塗料の他、高反射塗料としてハイブリット樹脂に白色酸化チタンを適切な分量で配合したものも用いることができる。
【0050】
このような高反射塗料は、例えば上述の第2実施形態とは異なり、凸部202を形成せずにプリント基板103を積層した後、スタンピング(転写)やディスペンサーによる塗布など、本技術分野で知られた方法を用いることができるが、コストを考慮するとスタンピングが好適である。さらに、インクジェットにより塗布を用いることができ、各々コスト、使用環境に合わせた適切な方法で塗布を行うことができる。このように、高反射塗料をスタンピングあるいは塗布した後半導体発光素子104を配置してワイヤ201を接続する。それ以降の製造工程は第1実施形態と同様である。
【0051】
次に、第2実施形態同様、高反射塗料の塗布方法の別の例を説明する。図19AおよびBは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールの別の一例の構造を示す正面図および横側面図である。本実施例でも、隙間部分に高反射塗料を配置する点で同様であるが、図19Bの高反射塗料部1901のように凸状に塗料部を形成することにより、図15Bに示すような凹状の高反射塗料部1501に比べ同等の反射効率を得ることができる。
【0052】
以上説明したように、プリント基板103の開口部の端部に高反射塗料を適用することにより、凸部を設けることなくその部分に到来する光も無駄にすることなくさらに低コストで高反射率でより高い照度が可能となる。実際に、第2実施形態の半導体モジュールと本実施形態の半導体モジュールとで、輝度を比較するとほとんど差はないことが分かった。
【0053】
(第4実施形態)
図6は、本実施形態の半導体発光モジュールの上面図である。本実施形態の半導体モジュールは、上述の第1実施形態のようなアレイ状の一列ではなく、図6に示すように、複数列で面状の発光ダイオードモジュールを形成したパターンとなっている。すなわち、6つの金属薄板102を1つのプリント基板103で1列に接続したモジュール列を、接続部601で接続して複数並べることにより平面の形状としている。
【0054】
このように半導体モジュールを形成することにより、平面として高輝度のモジュールとすることができるだけでなく、金属薄板102同士を横に繋ぐ接続部601の部分で折り曲げることにより、擬似曲面の光源モジュールも作成することが可能となる。
【0055】
また、このように接続部601で接続した複数の金属板と複数のプリント基板とを格子状に貼り付けることにより、例えば熱硬化性の接着剤で接合する場合の熱膨張率の相違による反り返りを防止することができる。本実施形態のような格子状のモジュールを作成してから、接続部601で切り離して第1実施形態のアレイ状のモジュールとすることもできる。このような製法、構造をとることにより、さらに低コストの半導体発光モジュールを提供することができる。
【0056】
(第5実施形態)
図20AおよびBは、本実施形態にかかる半導体発光モジュールの一例の構造を示す正面図および横側面図である。本実施形態の半導体モジュールは、上述の第2および3実施形態とは、金属薄板102を覆うプリント基板103の開口部の端部に高反射塗料部1501を設ける点等基本的な構造は同様であるが、さらに半導体発光素子を含む発光部全体を取り囲むようなダム2001を設けた点が異なる。
【0057】
すなわち、第2および3実施形態の高反射塗料部1401等により従来隙間から漏れていた光を利用することができるため、高い反射率を得られたが、本実施形態では、これに加えドーム701の周囲に高反射塗料のダム2001を設けることにより、ドーム701の周縁部で漏れていた光をさらに活用することができる。ダム2001は、上述の高反射塗料を用いて、高反射塗料部1401等同様の方法で形成することができ、あるいは本技術分野で知られたいずれの方法も用いることができる。
【0058】
このように、ダム2001を形成した後、上述のいずれかの実施形態と同様樹脂を封入してモジュールを作成することができる。
【0059】
また、図20Bでは、第1実施形態と同様の低いドームしか形成しなかったが、透明樹脂を使用する単色発光製品の場合には、図21に示すようにダム2001を形成しておけば、その後樹脂を封入する際表面張力により、図21に示すドーム2101のようにより高いドームの形成が可能である。このように高くドームを形成することにより光の指向特性の操作が可能となる。ここで、樹脂としては、エポキシ樹脂やシリコン樹脂等を使用するが、樹脂成形品をエポキシ樹脂やシリコン樹脂または透光性の接着剤を用いて固定しても、同様の効果を得ることができる。ただし、蛍光体入りの樹脂のみでドーム形成した場合、拡散光のままであり光の指向特性の操作という効果は少ないが、このような白色発光の場合は、蛍光体入りの樹脂による封止を従来の高さまでとし、その上面にさらに透明樹脂を用いてドーム形成を行うことで、指向特性の操作を可能にすることができる。また、キャスティングケース等を用いて、ドームを形成することも可能である。
【0060】
さらに、高いドーム2101の替わりに図22に示す導光板2201を用いることもできる。すなわち、図22に示すように、高反射塗料(樹脂)により、凸状のダム2001を形成した後に、樹脂封止(蛍光体入り)301を行うことで、従来基板に対して水平方向に発せられた光を、垂直方向に向けることができるようになる。これにより、例えば導光板などに光を入光する場合のロス光を少なくすることができる。
【0061】
また、導光板2201の替わりに図22に示す銀蒸着リフレクター2301を用いることもできる。すなわち、図23に示すように、高反射塗料(樹脂)にて、凸状のダムを形成した後に、樹脂封止(蛍光体入り)を行うことにより、例えば銀蒸着リフレクター2301等と組み合わせ、集光するようにすれば、発光点を小さくすることができるため従来の樹脂ドームに比べてリフレクター2301の内径を小さくすることが可能となり、これにより集光設計がしやすくなる。また、従来の銀蒸着リフレクター2301等の導電性の部品と組み合わせて使用する場合、プリント基板上の回路パターンとの絶縁目的で、絶縁シートを貼り付けたり、従来銀蒸着のリフレクター等とプリント基板の間に十分な隙間を持たせたりしていたため、工数・材料費の増加やロス光の発生などの問題があった。しかし、本実施例のように、凸状のダム2001が絶縁素材であるため、過度な隙間をあける必要性もなくなり、効率のよい光の取り出しが、無駄なコストを掛けずに実現できることとなる。
【0062】
以上により、本実施形態によれば上述の実施形態の反射率よりもさらに高い反射率を期待することができるが、実際に測定した結果、図14Bの形状のモジュールによる輝度が上述のように7.3ルーメンであるのに対し、図20Bの例では8.0ルーメンの輝度が得られた。
【0063】
本発明は、半導体発光素子の各々を表面に接して配置した高反射プレートと、高反射プレートの表面の、各半導体発光素子およびその近傍を除く任意の部分を覆い、各半導体発光素子に電気的に接続され電力を供給する電極となる基板であって、高反射プレートの一部が露出するように高反射プレートよりも小さな面積となるよう構成される基板とを備え、より高い反射率を維持し、および光の取り出し効率を向上させて、高輝度発光を可能とするとともに軽量薄型化することが可能な半導体発光モジュールおよびその製造方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子と、前記半導体発光素子の各々を表面に接して配置したプレートと、前記プレートの表面の、前記各半導体発光素子およびその近傍を除く任意の部分を覆い、前記各半導体発光素子に電気的に接続され前記電力を供給する基板であって、前記プレートを覆う部分が前記プレートのうち前記各半導体発光素子およびその近傍を除く部分よりも小さな面積となるよう構成し、前記プレートの一部が露出するようにした基板とを含む半導体発光モジュールと、
前記プレートの表面の露出している部分と、前記プレートの裏面とを、該プレートの裏面が接触するように狭持して前記半導体発光モジュールを保持する狭持部を含む放熱板と
を備えたことを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記プレートは、表面に増反射膜を形成することにより前記半導体発光素子からの光を反射させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記プレートの材料は、鉄、銀、銅若しくはアルミニュウムなどの金属、該金属のいずれかによる合金、および熱伝導率を高めるために炭素系材料と、前記金属または合金との複合化による複合材料のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
複数の半導体発光素子と、前記半導体発光素子の各々を表面に接して配置した複数のプレートと、前記複数のプレートの各々の表面の、前記各半導体発光素子およびその近傍を除く任意の部分を覆い、前記各半導体発光素子に電気的に接続され前記電力を供給する1つの基板であって、前記複数のプレートの各々を接続し、前記プレートを覆う部分が前記プレートのうち前記各半導体発光素子およびその近傍を除く部分よりも小さな面積となるよう構成し、一部が露出するようにした基板とを含む半導体発光モジュールと、
前記プレートの表面の露出している部分と、前記プレートの裏面とを、該プレートの裏面が接触するように狭持して前記半導体発光モジュールを保持する狭持部を含む放熱板と
を備えたことを特徴とする半導体発光装置。
【請求項5】
前記複数のプレートはアレイ状に配置され、当該アレイ状に縦に配置された複数プレートの幅は、前記1つの基板の幅よりも広いことを特徴とする請求項4に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記プレートは、表面に増反射膜を形成することにより前記半導体発光素子からの光を反射させるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記プレートの材料は、鉄、銀、銅若しくはアルミニュウムなどの金属、該金属のいずれかによる合金、および熱伝導率を高めるために炭素系材料と、前記金属または合金との複合化による複合材料のうちのいずれかであることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の半導体発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−283401(P2010−283401A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214308(P2010−214308)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【分割の表示】特願2010−505605(P2010−505605)の分割
【原出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(591282205)島根県 (122)
【出願人】(599135341)株式会社島根電子今福製作所 (6)
【Fターム(参考)】