説明

半導体発光素子取付用モジュール、半導体発光素子モジュール、半導体発光素子照明器具、及び、半導体発光素子取付用モジュールの製造方法

【課題】生産性、及び、放熱性に優れる半導体発光素子取付用モジュール、該半導体発光素子取付用モジュールを利用した半導体発光素子照明器具、及び、半導体発光素子取付用モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】第1導通部28及び第2導通部32、並びに、一端が第1導通部及び第2導通部とそれぞれ接触すると共に他端が半導体発光素子の陽極及び陰極とそれぞれ導通可能な第1接触部39及び第2接触部43を備えた複数の半導体発光素子固定部36を並べて形成し、かつ両端部に位置する第1導通部及び第2導通部とそれぞれ導通する第1給電部25と第2給電部26とを有する金属からなる導通板17と、第1接触部及び第2接触部の上記他端、並びに、第1給電部及び第2給電部を露出させた状態で、導通板の表面を覆う樹脂材からなる表面絶縁部48と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体発光素子(LED)を取付可能な半導体発光素子取付用モジュール、半導体発光素子モジュール、及び、該半導体発光素子モジュールを利用した半導体発光素子照明器具、及び、半導体発光素子取付用モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、室内用の照明器具や液晶モニター用のバックライトなど様々な分野でLED(半導体発光素子)を利用した照明器具が利用されている。
LEDを利用した照明器具は一般的に、一つ又は複数のLEDを片面に実装した複数の回路基板(リジッド基板)を連鎖状(直線状又は平面状)に多数並べて、隣り合う回路基板同士を電気コネクタで接続することにより構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−525523号公報
【特許文献2】特表2010−505232号公報
【特許文献3】特開2010−62556号公報
【特許文献4】特開2010−98302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のLED照明器具を組み立てるためには、複数の回路基板どうしを電気コネクタを利用して連鎖状に接続する必要があった。しかし、コネクタによる接続部分は動いてしまうため各々の接続部分をシャシーや台座にねじ止め等で固定する必要があったので、その組立工程数が増加し極めて生産性が悪かった。
なお、各回路基板を長めに成形したり大面積のものとして成形すれば、電気コネクタを省略したり電気コネクタの数を減らすことができるので、組立工程数を低減できる。しかし、一般的に回路基板を長尺状あるいは大面積状にすると、回路基板成形時に基板自体の反りが生じやすく、またLEDの回路基板へのリフローによる表面実装(半田付け)時に反りが生じ易く、反りが生じると各LEDが同一平面上に位置しなくなってしまう。また、長尺状であるためリフロー装置も大型のものが必要となり、設備的な制限も生じてしまう。
【0005】
またLED照明器具では各LEDが多量の熱を発し、この熱がLEDから各回路基板に伝わって回路基板から放熱される。しかし一般的に表面実装に使用される回路基板は、回路間の絶縁性確保とリフロー等による実装時や回路形成時に回路基板の異常な温度上昇を防止するために、その大部分が樹脂材やガラス繊維等により構成されているため、回路基板自体の放熱性は低い。
【0006】
本発明の目的は、生産性、及び、放熱性に優れる半導体発光素子取付用モジュール、半導体発光素子モジュール、半導体発光素子照明器具、及び、半導体発光素子取付用モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体発光素子取付用モジュールは、第1導通部及び第2導通部、並びに、一端が該第1導通部及び第2導通部とそれぞれ接触すると共に他端が半導体発光素子の陽極及び陰極とそれぞれ導通可能な第1接触部及び第2接触部を備えた複数の半導体発光素子固定部を並べて形成し、かつ両端部に位置する上記第1導通部及び第2導通部とそれぞれ導通する第1給電部と第2給電部とを有する金属からなる導通板と、該第1接触部及び第2接触部の上記他端、並びに、上記第1給電部及び第2給電部を露出させた状態で、上記導通板の表面を覆う樹脂材からなる表面絶縁部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
上記半導体発光素子固定部に、上記半導体発光素子を挟持した状態で固定可能な一対の固定片を設け、上記表面絶縁部が該固定片を露出させてもよい。
【0009】
互いに離間させた全ての上記第1導通部を、自身と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部と導通可能とするとともに、上記導通板の長手方向の一方側に位置する他の半導体発光素子固定部の上記第2導通部に接続させてもよい。
または、全ての上記第1導通部を互いに接続させ、全ての上記第2導通部を互いに接続させ、上記第1導通部と第2導通部を互いに離間させ、上記第1導通部を、自身と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部と導通可能にしてもよい。
または、全ての上記第1導通部を互いに接続させ、全ての上記第2導通部を互いに接続させ、上記導通板の一方の端部側に位置する上記半導体発光素子固定部の上記第1導通部と上記第2導通部のみを互いに接続させ、上記第1導通部を、自身と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部と導通可能にしてもよい。
【0010】
上記第1接触部及び第2接触部が、上記半導体発光素子固定部とは別体で共に弾性を有する金属からなり、一端が上記第1導通部及び第2導通部にそれぞれ接触し、他端が各半導体発光素子固定部から離間し上記半導体発光素子の陽極と陰極にそれぞれ導通可能な第1接触片及び第2接触片であってもよい。
【0011】
上記半導体発光素子固定部が、上記導通板の他の部分に比べて広幅であってもよい。
【0012】
上記表面絶縁部に、上記導通板の一部を露出させるための露出部を形成してもよい。
【0013】
上記第1導通部と、該第1導通部と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部とを、物理的に切断可能な切断ブリッジにより接続してもよい。
【0014】
上記表面絶縁部に、上記半導体発光素子が発する光を拡散させる拡散レンズを支持するための支持部を形成してもよい。
【0015】
本発明の半導体発光素子モジュールは、上記半導体発光素子取付用モジュールと、該半導体発光素子取付用モジュールの上記第1接触部と第2接触部に対して、自身の陽極と陰極がそれぞれ導通する半導体発光素子と、を備えることを特徴としている。
【0016】
本発明の半導体発光素子照明器具は、上記導通板の長手方向に対して直交する方向に並べた複数の上記半導体発光素子モジュールと、各半導体発光素子取付用モジュールの同方向の端部に位置する上記各第1給電部どうしを互いに接続する一対の第1接続部材と、各半導体発光素子取付用モジュールの同方向の端部に位置する上記各第2給電部どうしを互いに接続する一対の第2接続部材と、同じ側に位置する上記第1接続部材と第2接続部材をそれぞれ支持する一対のインシュレータと、を備えることを特徴としている。
【0017】
本発明の半導体発光素子照明器具は、別の態様によると、上記導通板の長手方向に対して直交する方向に並べた複数の請求項11記載の半導体発光素子モジュールと、各半導体発光素子取付用モジュールの一方の端部側に位置する上記各第1給電部どうしを互いに接続する一対の第1接続部材と、各半導体発光素子取付用モジュールの一方の端部側に位置する上記各第2給電部どうしを互いに接続する一対の第2接続部材と、上記第1接続部材と第2接続部材をそれぞれ支持するインシュレータと、を備えることを特徴としている。
【0018】
上記第1接続部材と第2接続部材の少なくとも一方が、上記第1給電部又は第2給電部に接続する接続部と導通溝とを有する金属製の接続部材と、上記導通溝によって支持される電線と、を備えていてもよい。
この場合は、上記接続部を、上記陽極側給電部又は陰極側給電部を表裏両面から挟持する一対の弾性接触片としてもよい。
【0019】
回路及び該回路に接続する複数の金属製の導通ピンを有し、かつ、上記各半導体発光素子モジュールを固定可能なシャシーを備え、全ての上記第1導通部及び第2導通部を互いに離間させ、上記表面絶縁部に、全ての上記第1導通部及び第2導通部を部分的に露出させるための露出部を形成し、上記各導通ピンを上記露出部を通して上記第1導通部及び第2導通部にそれぞれ接触させてもよい。
このシャシーは金属製とすることが可能である。
【0020】
本発明の半導体発光素子取付用モジュールの製造方法は、第1導通部及び第2導通部、一端が該第1導通部及び第2導通部とそれぞれ接触すると共に他端が半導体発光素子の陽極及び陰極とそれぞれ導通可能な第1接触部及び第2接触部を備えた複数の半導体発光素子固定部を並べて形成し、かつ両端部に位置する上記第1導通部及び第2導通部とそれぞれ導通する第1給電部と第2給電部、並びに、上記第1導通部と該第1導通部と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部とを接続しかつ物理的に切断可能な切断ブリッジを有し、上記第1導通部が上記導通板の長手方向の一方側に位置する他の半導体発光素子固定部の上記第2導通部に接続した金属からなる導通板をスタンピング成形するステップ、該導通板の表面を、該第1接触部及び第2接触部の上記他端、並びに、上記第1給電部及び第2給電部を露出させた状態で樹脂材からなる表面絶縁部で覆うステップ、及び、全ての上記切断ブリッジを物理的に切断するステップ、を有することを特徴としている。
【0021】
本発明の半導体発光素子取付用モジュールの製造方法は、別の態様によると、第1導通部及び第2導通部、一端が該第1導通部及び第2導通部とそれぞれ接触すると共に他端が半導体発光素子の陽極及び陰極とそれぞれ導通可能な第1接触部及び第2接触部を備えた複数の半導体発光素子固定部を並べて形成し、かつ両端部に位置する上記第1導通部及び第2導通部とそれぞれ導通する第1給電部と第2給電部、並びに、上記第1導通部と該第1導通部と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部とを接続しかつ物理的に切断可能な切断ブリッジを有し、上記第1導通部どうし及び上記第2導通部どうしが互いに接続した金属からなる導通板をスタンピング成形するステップ、該導通板の表面を、該第1接触部及び第2接触部の上記他端、並びに、上記第1給電部及び第2給電部を露出させた状態で樹脂材からなる表面絶縁部で覆うステップ、及び、全ての上記切断ブリッジを物理的に切断するステップ、を有することを特徴としている。
【0022】
本発明の半導体発光素子取付用モジュールの製造方法は、別の態様によると、第1導通部及び第2導通部、一端が該第1導通部及び第2導通部とそれぞれ接触すると共に他端が半導体発光素子の陽極及び陰極とそれぞれ導通可能な第1接触部及び第2接触部を備えた複数の半導体発光素子固定部を並べて形成し、かつ両端部に位置する上記第1導通部及び第2導通部とそれぞれ導通する第1給電部と第2給電部、上記導通板の長手方向の一方の端部に位置する上記第1導通部と上記第2導通部とを接続する端部ブリッジ、並びに、上記第1導通部と該第1導通部と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部とを接続しかつ物理的に切断可能な切断ブリッジを有し、上記第1導通部どうし及び上記第2導通部どうしが互いに接続した金属からなる導通板をスタンピング成形するステップ、該導通板の表面を、該第1接触部及び第2接触部の上記他端、並びに、上記第1給電部及び第2給電部を露出させた状態で樹脂材からなる表面絶縁部で覆うステップ、及び、全ての上記切断ブリッジを物理的に切断するステップ、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
従来のLED照明器具では多数の半導体発光素子を取り付けるには多数の基板どうしを互いに連鎖状(直線状又は平面状)に接続する必要があったが、本発明では一本の半導体発光素子取付用モジュールに多数の半導体発光素子を取り付けることができるので、半導体発光素子モジュール(半導体発光素子取付用モジュール)の組立や製造が容易であり、かつ半導体発光素子モジュールの器具側への組込作業工程を低減できるので、生産性に優れる。
熱伝導性及び剛性に優れる金属製の導通板によって、半導体発光素子取付用モジュールの大部分を構成し、且つ導通板の厚みを大きくした上で導通板全体を樹脂からなる表面絶縁部で覆う構造とすることができる。従って、従来の積層基板を用いたモジュールに比べ本モジュールは熱伝導性と放熱性に優れ、半導体発光素子が発生した熱は導通板及び薄肉の表面絶縁部を通じて効率よく外部に放熱される。
さらに、接続部分が不要なため連鎖状に接続するモジュール構造に比べて剛性に優れ、また導通回路や設計的に意図しない積層基板の金属層に相当する部分が表面に露出しないようにできるので絶縁性や保護性に優れ、不用意な異物付着や短絡を防止できる。
【0024】
請求項2記載の発明によれば、半導体発光素子を導通板に対して嵌め込みによって固定できるので、両者を半田付け及びリフローする必要がなく、生産性が良好である。
またリフローを行う必要がないので半導体発光素子が熱によるダメージを受けるおそれがない。
しかも固定片を通じて半導体発光素子の熱を効率よく導通板に流せるので、熱伝導性と放熱性が向上する。
【0025】
請求項3記載の発明によれば、導通板上に電流値のばらつきが少ない直列回路が形成されるので、各半導体発光素子の輝度のばらつきが少なくなる。
【0026】
請求項4記載の発明によれば、導通板上に並列回路が構成されるので、仮に1つの半導体発光素子が劣化や破損したとしても、本モジュールが有する他の半導体発光素子は発光可能なので、長寿命や信頼性が求められる器具に対して好適となる。
【0027】
請求項5記載の発明によれば、請求項4に比べて配線を少なくした上で、請求項4の発明と同様の効果を発揮できる。
【0028】
請求項6記載の発明によれば、第1接触片及び第2接触片のみをばね性に優れた金属材とし、導通板のその他の部分にはばね性を有さない金属材を利用できるので、ばね性を有する部分を小さくでき、導通板全体の製造コストを低減できる。
【0029】
請求項7記載の発明によれば、主に放熱効果を発揮する半導体発光素子固定部を除く部分を細く(狭幅に)することができるので、導通板及び表面絶縁部を軽量化し、かつ本モジュールの製造コストを低減できる。
【0030】
請求項8記載の発明によれば、半導体発光素子から導通板に伝わった熱が露出部を通じて外部に放熱されるので、放熱性がさらに向上する。また、半導体発光素子取付用モジュールを搭載する機器(例えば液晶テレビ)の熱設計の自由度が高まる。
【0031】
請求項9記載の発明によれば、切断ブリッジによって第1導通部と第2導通部を一体化できるので、表面絶縁部を成形する際に各導通板をずれが無い高い位置精度で成形できる。さらに、表面絶縁部の成形後には切断ブリッジを物理的に切断することによって第1導通部と第2導通部を離間させることができる。
【0032】
請求項10記載の発明によれば、半導体発光素子に対してレンズを適切な位置に位置決めできる。また半導体発光素子の直近に拡散機能を有するレンズを配置できるため、半導体発光素子が発する光を効率よく拡散でき、かつレンズを含めた本モジュール全体を低背化できる。
【0033】
請求項12、13記載の発明によれば、半導体発光素子照明器具を従来に比べて簡単に組み立てることができる。
【0034】
請求項14、15記載の発明によれば、各半導体発光素子取付用モジュール(半導体発光素子モジュール)どうしを簡単に接続できるようになる。
【0035】
請求項16記載の発明によれば、シャシーに設けた導通ピンの数や配置を変えるだけで、回路設計を自由に行えるようになる。
【0036】
請求項17記載の発明によれば、放熱効果をより向上させることが可能になる。
【0037】
請求項18から20記載の発明によれば、生産性、及び放熱性に優れる半導体発光素子取付用モジュールを簡単に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態のLED取付用モジュールの斜視図である。
【図2】図1のII−II矢線に沿う拡大断面図である。
【図3】拡散レンズとLED素子を取り外したLED取付用モジュールの分解斜視図である。
【図4】図3のIV部分の拡大図である。
【図5】拡散レンズを取り外したときのLEDモジュールの正面図である。
【図6】拡散レンズとLED素子を取り外したLED取付用モジュールの正面図である。
【図7】LEDモジュールの背面図である。
【図8】図5のVIII−VIII矢線に沿う拡大断面図である。
【図9】図6のIX−IX矢線に沿う拡大断面図である。
【図10】図6のX−X矢線に沿う拡大断面図である。
【図11】直列回路用に構成した導通板の正面図である。
【図12】直列回路用に構成した導通板の背面図である。
【図13】導通板とその直列回路の模式図である。
【図14】LED固定部の拡大斜視図である。
【図15】分離状態にある複数のLEDモジュールと一対の側部コネクタとを示した斜視図である。
【図16】複数のLEDモジュールと一対の側部コネクタとシャシーを接続し、かつ反射板を分離状態で示すLED照明器具の斜視図である。
【図17】図16のXVII−XVII矢線に沿う拡大断面図である。
【図18】陽極側コンタクト及び陰極側コンタクトが、陽極側給電部、陰極側給電部、及び、ケーブルと接続した状態を示す斜視図である。
【図19】側部コネクタの分解斜視図である。
【図20】側部コネクタの内側面の一部を表す拡大図である。
【図21】図20のXXI−XXI矢線に沿う拡大断面図である。
【図22】並列回路用に構成した導通板の正面図である。
【図23】並列回路用に構成した導通板とその並列回路の模式図である。
【図24】別のタイプの並列回路用に構成した導通板とその並列回路の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明中の上下、左右、及び、前後の各方向は図中に表した矢線方向を基準としている。
本実施形態は本発明をLED照明器具10に適用したものであり、LED照明器具10は液晶パネル(図示略)のバックライトとして利用可能なものである。図16に示すようにLED照明器具10は大きな構成要素としてLEDモジュール(半導体発光素子モジュール)12、一対の側部コネクタ70、シャシー90、及び、反射板92を有している。
【0040】
まずは図1〜図14を利用してLEDモジュール12の詳しい構造について説明する。尚、紙面の都合上、以下の説明中のLEDモジュール12は5個のLED素子60を搭載しているが、実際はLED照明器具10の大きさに対応した数のLED素子60を搭載できる。
LEDモジュール12は、LED取付用モジュール15にLED素子60と拡散レンズ64を取り付けたものである。
LED取付用モジュール15は基材となる導通板17を有しており、導通板17はベース板部20と陽極片39と陰極片43とを具備している。
図11及び図12に示すベース板部20は、例えば黄銅、リン青銅、鉄、アルミニウム等からなる金属製の平板をスタンピング成形した左右方向に延びる長尺状部材である。ベース板部20は上半部をなす陽極半部21と下半部をなす陰極半部22とに大別され、ベース板部20は自身の中心点に関して点対称な形状である。陽極半部21と陰極半部22は計10個の切断ブリッジ23と、計8個の回路設計用ブリッジ24と、によって互いに接続されている。陽極半部21の左右両端部は陽極側給電部(第1給電部)25を構成しており、陰極半部22の左右両端部は陰極側給電部(第2給電部)26を構成している。陽極半部21の左右の陽極側給電部25を除いた部分は互いに離間する計5つの陽極側導通部(第1導通部)28に区切られている。さらに各陽極側導通部28には切り起こしにより第1把持片(固定片)30が前向きに突設してある。陰極半部22の左右の陰極側給電部26を除いた部分は互いに離間する計5つの陰極側導通部(第2導通部)32に区切られている。さらに各陰極側導通部32には切り起こしにより第2把持片(固定片)34が前向きに突設してある。さらにベース板部20は、陽極半部21と陰極半部22に跨りかつ一対の回路設計用ブリッジ24の間に位置する4つの貫通孔35を有している。
図示するようにベース板部20はその長手方向の5カ所に一定間隔でその他の部分に比べて上下幅が広いLED固定部(半導体発光素子固定部)36(陽極半部21側の部分が上半部を構成し、陰極半部22側の部分が下半部を構成している)を備えている。各LED固定部36の陽極半部21側部分と陰極半部22側部分には円形をなす貫通位置決め孔37が穿設してある。
【0041】
図14等に示すように、各LED固定部36の陽極側導通部28には例えばリン青銅製の弾性材料によって構成した陽極片(第1接触部)(第1接触片)39が載せてある。陽極片39はLED固定部36(陽極半部21)に接触し且つかしめや溶接等によりLED固定部36に固定した略矩形の固定部40と、固定部40から左前方に向かって延びLED固定部36(陽極半部21)から前方に離間する片持ち梁状の弾性変形部41と、を有している。図示するように弾性変形部41は同じLED固定部36に形成された第1把持片30の直下に位置しており、弾性変形部41は固定部40との接続部(基端部)を中心にして前後方向に弾性変形可能である。また各LED固定部36の陰極側導通部32には陽極片39と同じ材質かつ同じ形状の陰極片(第2接触部)(第2接触片)43が載せてある。陰極片43はLED固定部36(陰極半部22)に接触し且つかしめや溶接等によりLED固定部36に固定した略矩形の固定部44と、固定部44から右前方に向かって延びLED固定部36(陰極半部22)から前方に離間する弾性変形部45と、を有している。図示するように弾性変形部45は同じLED固定部36に形成された第2把持片34の直上に位置しており、弾性変形部45は固定部44との接続部(基端部)を中心にして前後方向に弾性変形可能である。
【0042】
以上構成の導通板17(ベース板部20、陽極片39、陰極片43)の表面は樹脂(例えばPBT、LCP、ナイロンなど)によって覆ってある。
この樹脂によるコーティング(アウトサート成形)を行う際には、ベース板部20の全ての切断ブリッジ23及び回路設計用ブリッジ24をつなげたままの状態で、図示を省略した金型内に突設した位置決めピンに陽極半部21及び陰極半部22の各貫通位置決め孔37を嵌合し、ベース板部20(陽極半部21、陰極半部22)を位置決め状態で支持する。次いで金型を型締めすることによりベース板部20を固定し、金型のキャビティ内に樹脂を流し込む。そしてキャビティ内で樹脂が冷却して硬化したら、ベース板部20及び一体化して硬化した樹脂材を金型から分離させる。すると図6から図8に示すようにベース板部20のほぼ全体の表面に上記樹脂によって構成された表面絶縁部48が形成される。このとき、各々の陽極側導通部28と陰極側導通部32は切断ブリッジ23及び回路設計用ブリッジ24よりつながれているので、導通板17が金型内でばらけたり位置ずれしたりすることはない。なお長いLED取付用モジュール15を成形する場合は、導通板17の一方の端部側部分に金型を利用して表面絶縁部48を形成し、金型の離型後に金型周辺に設置した搬送装置により導通板17の当該部分に隣接する部分(表面絶縁部48が未成形の部分)を金型内に移動させて、当該部分に表面絶縁部48を形成する。そして、この作業を複数回繰り返すことにより導通板17全体に表面絶縁部48を形成する。
【0043】
図5から図7に示するように表面絶縁部48は陽極側給電部25及び陰極側給電部26の先端部は被覆していない。また表面絶縁部48は各LED固定部36の前面を覆う部分に、第1把持片30、第2把持片34、弾性変形部41、及び弾性変形部45を露出させるための中央孔49を備えている。一方、陽極片39の固定部40と陰極片43の固定部44は、表面絶縁部48によって覆われている。また、表面絶縁部48の前面の各LED固定部36に対応する部分は外形が円形をなすと共に周辺部より肉厚となっており、当該部分の周面は(後述する拡散レンズ64を位置決め及び支持するための)傾斜面(支持部)56となっている。また表面絶縁部48は、成形後に上記位置決めピンを各貫通位置決め孔37から抜き取ることにより形成される貫通位置決め孔37と同数の成形孔50を有している。さらに表面絶縁部48は各LED固定部36の前面を覆う部分に各LED固定部36の前面を露出させる計8つの露出孔(露出部)51を有しており、各LED固定部36の後面を覆う部分に各LED固定部36の後面を露出させる計4つの露出孔51を有している。さらに表面絶縁部48はその前後両面に、各切断ブリッジ23を前後に露出させるための切断用孔52を有しているので、表面絶縁部48の成形後に各切断用孔52を利用して全ての切断ブリッジ23を物理的に切断する(切断ブリッジ23を二つに分断して両者を離間させる)。また表面絶縁部48の背面には第1把持片30と第2把持片34の基端部を露出させるための露出孔(露出部)53が形成してある。さらに各貫通孔35と対応する部分には、貫通孔35より小寸である円形孔54と長孔55が形成してある。円形孔54と長孔55は、LEDモジュール12をアプリケーション(LEDモジュール12を取り付ける機器)のシャシーや放熱板に固定するためのねじ止め用の孔や、ロック用の孔として利用することができる。
以上説明した導通板17(ベース板部20、陽極片39、陰極片43)、及び、表面絶縁部48がLED取付用モジュール15の構成要素である。
【0044】
この導通板17と表面絶縁部48からなるLED取付用モジュール15に計5個のLED素子(半導体発光素子)60と拡散レンズ64を取り付けることによりLEDモジュール12を構成する。
LED素子60は、下面に陽極と陰極(いずれも図示略)を有する方形の基板61と、基板61によって支持された該陽極及び陰極と接続するLED62と、を有している。各LED素子60を対応するLED固定部36の中央孔49に挿入し、基板61を第1把持片30と第2把持片34により固定状態で挟持すると(このとき第1把持片30と第2把持片34は互いに離れる方向に僅かに弾性変形する)、基板61の下面に形成した上記陽極が陽極片39の弾性変形部41と接触し、上記陰極が陰極片43の弾性変形部45と接触し、各LED素子60の一部が対応する中央穴49によって内包される(中央穴49内に位置する。図8参照)。なお、LED素子60には極性があるため、中央穴49に誤挿入キーを形成したり、LED固定部36の前面に認識マークを刻印してもよい。
さらに表面絶縁部48には、後面中央部に背面凹部65を有する拡散レンズ64が接着等で固定してある。図2に示すように背面凹部65の周面に形成した環状傾斜面が表面絶縁部48の支持部56に嵌合(面接触)することにより位置決めされており、拡散レンズ64を固定すると背面凹部65内にLED素子60が位置する(LED素子60が背面凹部65の底面の直後に位置する)。
【0045】
以上の要領で複数(図15、図16では3本のみ図示しているが、実際はそれより多い)のLEDモジュール12を組み立てたら、図15に示すように各LEDモジュール12を一平面上に並べて、各LEDモジュール12の左右の陽極側給電部25及び陰極側給電部26に左右一対の側部コネクタ70を接続する。
側部コネクタ70は、大きな構成要素としてインシュレータ71、陽極側コンタクト(第1接続部材)75、陰極側コンタクト(第2接続部材)76、ケーブル(第1接続部材)83、及び、ケーブル(第2接続部材)84を具備している。
インシュレータ71は絶縁性を有する樹脂材料によって成形した上下方向に延びる部材である。インシュレータ71の外側面にはインシュレータ71の長手方向に延びる前後一対のケーブル保持溝72が凹設してあり、インシュレータ71の内側面にはケーブル保持溝72と連通する複数の挿入孔73が形成してある(図では挿入孔73が3つのみ描かれているが、実際はLEDモジュール12の本数と同じ数だけ設けてある)。また挿入孔73の内部には、挿入孔73の上下両面及び前面との間に隙間を形成する中央突部74が設けてある。
互いに対をなす陽極側コンタクト75と陰極側コンタクト76は共に金属製であり、互いの前後位置がずれた一対の弾性接触片(接続部)77を有している。陽極側コンタクト75は、弾性接触片77より前方に位置し、かつ端面に導通溝79が形成された接続爪78を具備しており、陰極側コンタクト76は、弾性接触片77より後方に位置し、かつ端面に導通溝81が形成された接続爪80を具備している。対をなす陽極側コンタクト75と陰極側コンタクト76は、インシュレータ71の各挿入孔73に固定してある。陽極側コンタクト75の接続爪78は挿入孔73内における中央突部74より上側の隙間に挿入してあり、陰極側コンタクト76の接続爪80は挿入孔73内における中央突部74より下側の隙間に挿入してあり、陽極側コンタクト75と陰極側コンタクト76の弾性接触片77は挿入孔73内に位置している。
ケーブル83とケーブル84は共に、芯材である電線85と、電線85の表面を被覆する絶縁材料からなる被覆チューブ86とを具備している。ケーブル83をインシュレータ71の前側のケーブル保持溝72に挿入し、ケーブル84をインシュレータ71の後側のケーブル保持溝72に挿入すると、図17、図21に示すようにケーブル83とケーブル84が接続爪78の導通溝79と接続爪80の導通溝81にそれぞれ嵌合し、導通溝79と導通溝81がそれぞれの被覆チューブ86を破って電線85に接触する。
【0046】
このようにして組み立てた左右の側部コネクタ70の各挿入孔73内に各LEDモジュール12の左右両端部を挿入すると、該両端部である陽極側給電部25及び陰極側給電部26が陽極側コンタクト75と陰極側コンタクト76の前後の弾性接触片77によって前後から挟持されるので(図18参照)、左右の側部コネクタ70と各LEDモジュール12が一体化する。
続いて一体化したLEDモジュール12と側部コネクタ70を金属製(例えば、プレス成形性に優れる冷延鋼板)シャシー(放熱板)90の前面に固定し、各LED取付用モジュール15(表面絶縁部48)の後面をシャシー90の前面に接触させる。
そして最後に、拡散レンズ64と同数で同じ配列のレンズ露出孔93が形成された、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の表面にアルミニウム等の金属を真空蒸着等して光反射層を形成したフィルム状の反射板92の左右両側部を左右の側部コネクタ70に固定し、各レンズ露出孔93を通して各拡散レンズ64を露出させる。
【0047】
このようにして組み立てたLED照明器具10は、偏向フィルタ(図示略)等と一緒に液晶パネル(図示略)の直後に位置させ、左右の側部コネクタ70のケーブル83、84の一端をそれぞれ電源に接続する。そして図示を省略したスイッチをオンにすると、該電源からケーブル83、84を介して各LEDモジュール12に電流が流れる。
図13に示すように本実施形態の導通板17の前面において、同じLED固定部36に形成された陽極側導通部28と陰極側導通部32が陽極片39、陰極片43、及び、LED素子60によって電気的に導通しており、かつ、陽極側導通部28と当該陽極側導通部28が形成されたLED固定部36に隣接するLED固定部36に形成された陰極側導通部32とが回路設計用ブリッジ24を介して電気的に導通しているので、導通板17の前面には直列回路が形成されている。そのため各LEDモジュール12に電流が流れると、上記直列回路上に位置する各LED62が発光する。LED62が発した照明光は各拡散レンズ64によって拡散されかつ反射板92によって反射されながら偏向フィルタを通って前方に向かうので、上記液晶パネルが表示動作を行う。
【0048】
以上説明した本実施形態によれば、一本の導通板17に多数のLED素子60の一部を内包する形態で取り付けることができるので、LED取付用モジュール15(LEDモジュール12)を薄型化ができるとともに組立や製造が容易であり、かつLEDモジュール12のLED照明器具10への組み込み作業工程を低減できるので、生産性が良好である。
また導通板17の表面を表面絶縁部48で覆っているのでLED取付用モジュール15の絶縁性は良好である。さらにベース板部20は単一の板材からなり、かつその表面を表面絶縁部48で覆っているので、LED取付用モジュール15は大きな剛性を有している。
さらに第1把持片30及び第2把持片34を通じてLED素子60の熱を効率よく導通板17に流すことが可能であり、熱伝導性と放熱性に優れる材料である金属材によって成形したベース板部20の面積及び厚みを大きくすることが可能で、しかも導通板17に伝わった熱を露出孔51、53と薄肉の表面絶縁部48を通じて外部に放熱可能なので、LED取付用モジュール15は放熱性に優れる。そのため各LED素子60が発生した熱を導通板17、薄肉の表面絶縁部48、及び、シャシー(放熱板)90を通じて効率よく外部に放熱できる。
【0049】
さらにLED素子60を導通板17に対してはめ込みによって固定でき、両者を半田付け及びリフローする必要がないので、LED素子60と導通板17の組み付け性は良好である。
またリフローを行う必要がないので各LED素子60が熱によるダメージを受けるおそれもない。
また導通板17上に形成した直列回路上に各LED素子60を配置しているので、各LED素子60の輝度のばらつきを少なくすることが可能である。
【0050】
また導通板17は、LED素子60を支持するための部材である第1把持片30及び第2把持片34のみをばね性に優れたリン青銅により形成しているので、導通板17全体の製造コストを低減できる。
さらにベース板部20は、主に放熱効果を発揮するLED固定部36を除く部分を細く(狭幅に)しているので、導通板17及び表面絶縁部48を軽量化し、かつLED取付用モジュール15の製造コストを低減できる。
さらに表面絶縁部48がLED素子60を固定する支持部56を有しているので、LED取付用モジュール15に対して拡散レンズ64を適切な位置に位置決めできる。またLED素子60の直近に拡散機能を有する拡散レンズ64を配置できるため、LED素子60が発する光を効率よく拡散でき、かつ拡散レンズ64を含めたLED取付用モジュール15全体を低背化できる。
さらに側部コネクタ70を利用して各LED取付用モジュール15を互いに接続しているので、LED照明器具10の組み立てが簡単である。
【0051】
さらに上記スタンピング成形時にベース板部20に形成するブリッジの種類(位置)を変更することにより、導通板17上に様々なタイプの回路を簡単に構成できる。
例えば、図22及び図23は導通板17上に並列回路を形成した例を示している。この変形例の導通板17には、上記スタンピング成形によって隣り合う陽極側導通部28同士を接続する陽極ブリッジ29と、隣り合う陰極側導通部32同士を接続する陰極ブリッジ33と、を形成してあり、その一方で回路設計用ブリッジ24は存在しない。このような導通板17(表面絶縁部48の成形後に各切断ブリッジ23を物理的に切断する)にLED素子60を取り付け、かつ各陽極側給電部25を側部コネクタ70のケーブル83に接続し各陰極側給電部26を側部コネクタ70のケーブル84に接続すると、図23に示すように隣り合う陽極側導通部28同士が陽極ブリッジ29を介して電気的に導通し、隣り合う陰極側導通部32同士が陰極ブリッジ33を介して電気的に導通し、かつ、同じLED固定部36に形成された陽極側導通部28と陰極側導通部32が陽極片39、陰極片43、及び、LED素子60によって電気的に導通するので、導通板17の前面には並列回路が形成される。そのため、仮に1つのLED素子60が破損したとしても他のLED素子60は発光可能な状態を維持するので、発光の寿命や信頼性が求められる機器(照明器具10等)に用いるのに好適である。
【0052】
さらに図24は導通板17上に図22及び図23とは別タイプの並列回路を形成した例を示している。この変形例の導通板17の図22の導通板17と異なる点は、一方の端部(図では右端部)に位置する各切断ブリッジ23のみを切断せずに残し、かつ、該各切断ブリッジ23側の端部に位置する各陽極側給電部25と各陰極側給電部26を側部コネクタ70(ケーブル83、84)に接続しない点にある。導通板17にこの並列回路を形成すれば、図22及び図23の並列回路を形成する場合に比べて配線(右側の側部コネクタ70)を少なくした上で、図22及び図23の並列回路の場合と同様の効果を発揮できる。なお、この並列回路を形成する場合は、スタンピングによってベース板部20の一方の端部側のLED固定部36に形成した陽極側導通部28と陰極側導通部32の間を切断ブリッジ23とは別のブリッジによって接続した上で、全ての切断ブリッジ23を物理的に切断してもよい。
なお、スタンピング成形によってベース板部20にすべてのブリッジ(切断ブリッジ23、回路設計用ブリッジ24、陽極ブリッジ29、陰極ブリッジ33)を形成しておき、その後にいずれかのブリッジを選択的に物理的に切断して、導通板17上に任意の電気回路を形成してもよい。
【0053】
以上本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態とは異なる様々な態様で実施可能である。
例えば、ベース板部20を導電性、熱伝導性、及び放熱性に優れる上記以外の金属材料によって構成したり、陽極片39及び陰極片43を弾性及び導電性に優れるリン青銅以外の金属材料により構成してもよい。また、導通板17全体を導電性、弾性、及び放熱性に優れる金属材料により構成することにより、ベース板部20、陽極片39、及び、陰極片43を一体成形してもよい。
【0054】
また露出孔51の代わりに導通板17を露出させるための切り欠き等を表面絶縁部48に形成してもよい。
さらに一つのベース板部20に形成するLED固定部36の数(一つのLED取付用モジュール15に取付可能なLED素子60と拡散レンズ64の数)や、一つのLED照明器具10が具備するLEDモジュール12の数は上記実施形態のものには限定されない。
またLED照明器具10から反射板92を省略してもよい。
【0055】
さらに、シャシー90を導電性を有する金属材料により構成した上で、該シャシー90上に回路をプリント等により構成し、全てのブリッジ(切断ブリッジ23、回路設計用ブリッジ24、陽極ブリッジ29、及び、陰極ブリッジ33)を切断し、かつ、シャシー90の前面に導電性を有する金属材料からなりかつ該回路上に接続する複数の導通ピンを突設し、露出孔51を通して各導通ピンを各LED取付用モジュール15の陽極側導通部28や陰極側導通部32に接触させてもよい。
この変形例によればシャシー90に設けた導通ピンの数や配置を変えるだけで、回路設計を自由に行えるようになる。
【0056】
さらにLEDモジュール12のベース板部20とシャシー90とを(短絡が発生しないようにした上で)接触させて、放熱性をより向上させてもよい。
この設計変更は、例えば、ベース板部20に表面絶縁部48の上記露出孔から外部に突出する金属製の接触突起を形成してこの接触突起をシャシー90に接触させたり、或いは、シャシー90側に金属製の接触突起を形成して、この接触突起を上記露出孔を通してベース板部20に接触させることにより実現できる。また、ベース板部20に陽極片39や陰極片43に類似する金属製の接触バネを設けて、この接触バネを上記露出孔を通してシャシー90に接触させてもよい。
さらにLEDモジュール12(1本でもよいし、複数本を直線状に並べて各LEDモジュール12を互いに電気的に接続してもよい)を透光性材料により構成した円管部材内に配置することにより室内用照明器具を構成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 LED照明器具(半導体発光素子照明器具)
12 LEDモジュール(半導体発光素子モジュール)
15 LED取付用モジュール(半導体発光素子取付用モジュール)
17 導通板
20 ベース板部
21 陽極半部
22 陰極半部
23 切断ブリッジ
24 回路設計用ブリッジ
25 陽極側給電部(第1給電部)
26 陰極側給電部(第2給電部)
28 陽極側導通部(第1導通部)
29 陽極ブリッジ
30 第1把持片(固定片)
32 陰極側導通部(第2導通部)
33 陰極ブリッジ
34 第2把持片(固定片)
35 貫通孔
36 LED固定部(半導体発光素子固定部)
37 貫通位置決め孔
39 陽極片(第1接触部)(第1接触片)
40 固定部
41 弾性変形部
43 陰極片 (第2接触部)
44 固定部
45 弾性変形部
48 表面絶縁部
49 中央孔
50 成形孔
51 露出孔(露出部)
52 切断用孔
53 露出孔(露出部)
54 円形孔
55 長孔
56 支持部
60 LED素子(半導体発光素子)
61 基板
62 LED
64 拡散レンズ
65 背面凹部
70 側部コネクタ
71 インシュレータ
72 ケーブル保持溝
73 挿入孔
74 中央突部
75 陽極側コンタクト(第1接続部材)
76 陰極側コンタクト(第2接続部材)
77 弾性接触片(接続部)
78 80 接続爪
79 81 導通溝
83 ケーブル(第1接続部材)
84 ケーブル(第2接続部材)
85 電線
86 被覆チューブ
90 シャシー(放熱板)
92 反射板
93 レンズ露出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導通部及び第2導通部、並びに、一端が該第1導通部及び第2導通部とそれぞれ接触すると共に他端が半導体発光素子の陽極及び陰極とそれぞれ導通可能な第1接触部及び第2接触部を備えた複数の半導体発光素子固定部を並べて形成し、かつ両端部に位置する上記第1導通部及び第2導通部とそれぞれ導通する第1給電部と第2給電部とを有する金属からなる導通板と、
該第1接触部及び第2接触部の上記他端、並びに、上記第1給電部及び第2給電部を露出させた状態で、上記導通板の表面を覆う樹脂材からなる表面絶縁部と、
を備えることを特徴とする半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項2】
請求項1記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記半導体発光素子固定部に、上記半導体発光素子を挟持した状態で固定可能な一対の固定片を設け、
上記表面絶縁部が該固定片を露出させている半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項3】
請求項1または2記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
互いに離間させた全ての上記第1導通部を、自身と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部と導通可能とするとともに、上記導通板の長手方向の一方側に位置する他の半導体発光素子固定部の上記第2導通部に接続させた半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項4】
請求項1または2記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
全ての上記第1導通部を互いに接続させ、
全ての上記第2導通部を互いに接続させ、
上記第1導通部と第2導通部を互いに離間させ、
上記第1導通部を、自身と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部と導通可能にした半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項5】
請求項1または2記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
全ての上記第1導通部を互いに接続させ、
全ての上記第2導通部を互いに接続させ、
上記導通板の一方の端部側に位置する上記半導体発光素子固定部の上記第1導通部と上記第2導通部のみを互いに接続させ、
上記第1導通部を、自身と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部と導通可能にした半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記第1接触部及び第2接触部が、
上記半導体発光素子固定部とは別体で共に弾性を有する金属からなり、一端が上記第1導通部及び第2導通部にそれぞれ接触し、他端が各半導体発光素子固定部から離間し上記半導体発光素子の陽極と陰極にそれぞれ導通可能な第1接触片及び第2接触片である半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記半導体発光素子固定部が、上記導通板の他の部分に比べて広幅である半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記表面絶縁部に、上記導通板の一部を露出させるための露出部を形成した半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記第1導通部と、該第1導通部と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部とを、物理的に切断可能な切断ブリッジにより接続した半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールにおいて、
上記表面絶縁部に、上記半導体発光素子が発する光を拡散させる拡散レンズを支持するための支持部を形成した半導体発光素子取付用モジュール。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項記載の半導体発光素子取付用モジュールと、
該半導体発光素子取付用モジュールの上記第1接触部と第2接触部に対して、自身の陽極と陰極がそれぞれ導通する半導体発光素子と、
を備えることを特徴とする半導体発光素子モジュール。
【請求項12】
上記導通板の長手方向に対して直交する方向に並べた複数の請求項11記載の半導体発光素子モジュールと、
各半導体発光素子取付用モジュールの同方向の端部に位置する上記各第1給電部どうしを互いに接続する一対の第1接続部材と、
各半導体発光素子取付用モジュールの同方向の端部に位置する上記各第2給電部どうしを互いに接続する一対の第2接続部材と、
同じ側に位置する上記第1接続部材と第2接続部材をそれぞれ支持する一対のインシュレータと、
を備えることを特徴とする半導体発光素子照明器具。
【請求項13】
上記導通板の長手方向に対して直交する方向に並べた複数の請求項11記載の半導体発光素子モジュールと、
各半導体発光素子取付用モジュールの一方の端部側に位置する上記各第1給電部どうしを互いに接続する一対の第1接続部材と、
各半導体発光素子取付用モジュールの一方の端部側に位置する上記各第2給電部どうしを互いに接続する一対の第2接続部材と、
上記第1接続部材と第2接続部材をそれぞれ支持するインシュレータと、
を備えることを特徴とする半導体発光素子照明器具。
【請求項14】
請求項12または13記載の半導体発光素子照明器具において、
上記第1接続部材と第2接続部材の少なくとも一方が、
上記第1給電部又は第2給電部に接続する接続部と導通溝とを有する金属製の接続部材と、
上記導通溝によって支持される電線と、
を備える半導体発光素子照明器具。
【請求項15】
請求項14記載の半導体発光素子照明器具において、
上記接続部が、上記陽極側給電部又は陰極側給電部を表裏両面から挟持する一対の弾性接触片からなる半導体発光素子照明器具。
【請求項16】
請求項12から15のいずれか1項記載の半導体発光素子照明器具において、
回路及び該回路に接続する複数の金属製の導通ピンを有し、かつ、上記各半導体発光素子モジュールを固定可能なシャシーを備え、
全ての上記第1導通部及び第2導通部を互いに離間させ、
上記表面絶縁部に、全ての上記第1導通部及び第2導通部を部分的に露出させるための露出部を形成し、
上記各導通ピンを上記露出部を通して上記第1導通部及び第2導通部にそれぞれ接触させた半導体発光素子照明器具。
【請求項17】
請求項16記載の半導体発光素子照明器具において、
上記シャシーが金属製である半導体発光素子照明器具。
【請求項18】
第1導通部及び第2導通部、一端が該第1導通部及び第2導通部とそれぞれ接触すると共に他端が半導体発光素子の陽極及び陰極とそれぞれ導通可能な第1接触部及び第2接触部を備えた複数の半導体発光素子固定部を並べて形成し、かつ両端部に位置する上記第1導通部及び第2導通部とそれぞれ導通する第1給電部と第2給電部、並びに、上記第1導通部と該第1導通部と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部とを接続しかつ物理的に切断可能な切断ブリッジを有し、上記第1導通部が上記導通板の長手方向の一方側に位置する他の半導体発光素子固定部の上記第2導通部に接続した金属からなる導通板をスタンピング成形するステップ、
該導通板の表面を、該第1接触部及び第2接触部の上記他端、並びに、上記第1給電部及び第2給電部を露出させた状態で樹脂材からなる表面絶縁部で覆うステップ、及び、
全ての上記切断ブリッジを物理的に切断するステップ、
を有することを特徴とする半導体発光素子取付用モジュールの製造方法。
【請求項19】
第1導通部及び第2導通部、一端が該第1導通部及び第2導通部とそれぞれ接触すると共に他端が半導体発光素子の陽極及び陰極とそれぞれ導通可能な第1接触部及び第2接触部を備えた複数の半導体発光素子固定部を並べて形成し、かつ両端部に位置する上記第1導通部及び第2導通部とそれぞれ導通する第1給電部と第2給電部、並びに、上記第1導通部と該第1導通部と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部とを接続しかつ物理的に切断可能な切断ブリッジを有し、上記第1導通部どうし及び上記第2導通部どうしが互いに接続した金属からなる導通板をスタンピング成形するステップ、
該導通板の表面を、該第1接触部及び第2接触部の上記他端、並びに、上記第1給電部及び第2給電部を露出させた状態で樹脂材からなる表面絶縁部で覆うステップ、及び、
全ての上記切断ブリッジを物理的に切断するステップ、
を有することを特徴とする半導体発光素子取付用モジュールの製造方法。
【請求項20】
第1導通部及び第2導通部、一端が該第1導通部及び第2導通部とそれぞれ接触すると共に他端が半導体発光素子の陽極及び陰極とそれぞれ導通可能な第1接触部及び第2接触部を備えた複数の半導体発光素子固定部を並べて形成し、かつ両端部に位置する上記第1導通部及び第2導通部とそれぞれ導通する第1給電部と第2給電部、上記導通板の長手方向の一方の端部に位置する上記第1導通部と上記第2導通部とを接続する端部ブリッジ、並びに、上記第1導通部と該第1導通部と同じ半導体発光素子固定部の上記第2導通部とを接続しかつ物理的に切断可能な切断ブリッジを有し、上記第1導通部どうし及び上記第2導通部どうしが互いに接続した金属からなる導通板をスタンピング成形するステップ、
該導通板の表面を、該第1接触部及び第2接触部の上記他端、並びに、上記第1給電部及び第2給電部を露出させた状態で樹脂材からなる表面絶縁部で覆うステップ、及び、
全ての上記切断ブリッジを物理的に切断するステップ、
を有することを特徴とする半導体発光素子取付用モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−49367(P2012−49367A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190780(P2010−190780)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000128407)京セラエルコ株式会社 (77)
【Fターム(参考)】