説明

半導体発光素子

【課題】内部量子効率が高く、光取り出し効率が高い半導体発光素子を提供する。
【解決手段】窒化物半導体を含むn型半導体層10と、窒化物半導体を含むp型半導体層20と、n型半導体層とp型半導体層との間に設けられ、交互に積層された、複数の障壁層31と、複数の井戸層32と、を有する発光部30と、を備えた半導体発光素子が提供される。wn及びwpは、bn及びbpよりも大きい。p型半導体層に最も近い井戸層及び障壁層におけるp側端平均In組成比は、n型半導体層に最も近い井戸層及び障壁層におけるn側端平均In組成比よりも大きく、n側端平均In組成比の5倍以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)などの窒化物系III−V族化合物半導体を応用して、高輝度の紫外〜青色・緑色発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や青紫色〜青色・緑色レーザダイオード(LD:Laser Diode)などの半導体発光素子が開発されている。
【0003】
LEDの高効率化のためには、GaN系半導体の結晶性を高め、結晶の内部量子効率を高めることが重要である。
また、GaN系半導体、及び、基板として用いられるサファイアなどは、屈折率が非常に高いため、半導体発光素子のチップ内部で多重反射し、光取り出し効率が低くなりやすい。
【0004】
特許文献1には、内部量子効率と輝度を改善し動作電圧を低減するために、n型窒化物半導体層に隣接した量子井戸層のエネルギーバンドギャップをp型窒化物半導体層に隣接した量子井戸層よりも大きくする構成が提案されている。
しかしながら、この技術においても効率の向上には改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−123878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、内部量子効率が高く、光取り出し効率が高い半導体発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、窒化物半導体を含むn型半導体層と、窒化物半導体を含むp型半導体層と、前記n型半導体層と前記p型半導体層との間に設けられ、交互に積層された、複数の障壁層と、複数の井戸層と、を有する発光部と、を備え、前記複数の井戸層のうちで前記n型半導体層に最も近いn側端井戸層は、InwnGa1−wnNを含み、層厚twn(ナノメートル)を有し、前記複数の障壁層のうちで前記n型半導体層に最も近いn側端障壁層は、InbnGa1−bnNを含み、層厚tbn(ナノメートル)を有し、前記複数の井戸層のうちで前記p型半導体層に最も近いp側端井戸層は、InwpGa1−wpNを含み、層厚twp(ナノメートル)を有し、前記p側端井戸層よりも前記n型半導体層の側において、前記複数の障壁層のうちで前記p型半導体層に最も近いp側端障壁層は、InbpGa1−bpNを含み、層厚tbp(ナノメートル)を有し、前記wn及び前記wpは、前記bn及び前記bpよりも大きく、n側端平均In組成比を(wn×twn+bn×tbn)/(twn+tbn)とし、p側端平均In組成比を(wp×twp+bp×tbp)/(twp+tbp)としたとき、前記p側端平均In組成比は、前記n側端平均In組成比よりも大きく、前記n側端平均In組成比の5倍以下であること特徴とする半導体発光素子が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内部量子効率が高く、光取り出し効率が高い半導体発光素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図2】半導体発光素子の一部を示す模式的断面図である。
【図3】半導体発光素子に関する実験結果を示すグラフ図である。
【図4】実施形態及び比較例の半導体発光素子の特性を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図2は、本発明の実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
図1に表したように、本発明の実施形態に係る半導体発光素子110は、窒化物半導体を含むn型半導体層10と、窒化物半導体を含むp型半導体層20と、n型半導体層10とp型半導体層20との間に設けられた発光部30と、を備える。
【0012】
発光部30は、交互に積層された、複数の障壁層31と、複数の井戸層32と、を有する。例えば、発光部30は、複数の障壁層31と、複数の障壁層31それぞれの間に設けられた井戸層32と、を有する。
【0013】
図1に例示したように、n型半導体層10、発光部30及びp型半導体層20は、Z軸方向に沿って積層される。
【0014】
図1に例示したように、n型半導体層10は、例えば、n型GaN層11と、n型GaN層11と発光部30との間に設けられたn型ガイド層12と、を有することができる。n型ガイド層12には、例えば、Siなどのn型不純物がドープされたGaNやInGaNが用いられる。
【0015】
p型半導体層20は、例えば、p型GaNコンタクト層22と、p型GaNコンタクト層22と発光部30との間に設けられた第1p型ガイド層21aと、p型GaNコンタクト層22と第1p型ガイド層21aとの間に設けられた第2p型ガイド層21bと、第1p型ガイド層21aと第2p型ガイド層21bとの間に設けられた第3p型ガイド層21cと、を有することができる。第3p型ガイド層21cは、例えば、電子オーバーフロー層として機能する。p型半導体層20には、例えばMgなどのp型不純物がドープされる。
【0016】
図1に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110は、例えばサファイアからなる基板5と、その上に設けられたバッファ層6と、バッファ層6の上に設けられたn型GaN層11と、n型GaN層11の上に設けられたn型ガイド層12と、を含むことができる。
【0017】
そして、n型ガイド層12の上に発光部30(障壁層31及び井戸層32)が設けられる。
【0018】
発光部30の上に第1p型ガイド層21aが設けられ、第1p型ガイド層21aの上に第3p型ガイド層21cが設けられ、第3p型ガイド層21cの上に第2p型ガイド層21bが設けられ、第2p型ガイド層21bの上にp型GaNコンタクト層22が設けられる。
【0019】
上記のような構成を有する積層構造体のp型半導体層20の側の第1主面において、n型半導体層10の一部と、発光部30と、p型半導体層20と、の一部が除去され、第1主面の側においてn型半導体層10が露出している。露出したn型半導体層10に接してn側電極71が設けられ、p型半導体層20に接してp側電極81が設けられる。さらに、p側電極81に接してp側パッド電極82を設けることができる。
【0020】
図2に表したように、半導体発光素子110の発光部30においては、複数の障壁層31と複数の井戸層32とが、互いに交互に積層される。
【0021】
複数の井戸層32のうちでn型半導体層10に最も近いn側端井戸層32n1は、InwnGa1−wnNを含む。すなわち、n側端井戸層32n1のIn組成比は、wnである。そして、n側端井戸層32n1のZ軸方向に沿った厚さを、層厚twn(n側端井戸層厚twn、ナノメートル)とする。
【0022】
また、複数の障壁層31のうちでn型半導体層10に最も近いn側端障壁層31n1は、InbnGa1−bnNを含む。すなわち、n側端障壁層31n1のIn組成比は、bnである。そして、n側端障壁層31n1のZ軸方向に沿った厚さを、層厚tbn(n側端障壁層厚tbn、ナノメートル)とする。
【0023】
また、複数の井戸層32のうちでp型半導体層20に最も近いp側端井戸層32p1は、InwpGa1−wpNを含む。すなわち、p側端井戸層32p1のIn組成比は、wpである。そして、p側端井戸層32p1のZ軸方向に沿った厚さを、層厚twp(p側端井戸層厚twp、ナノメートル)とする。
【0024】
また、p側端井戸層32p1よりもn型半導体層10の側において、複数の障壁層31のうちでp型半導体層20に最も近いp側端障壁層31p1は、InbpGa1−bpNを含む。すなわち、p側端障壁層31p1のIn組成比は、wpである。p側端障壁層31p1のZ軸方向に沿った厚さを層厚tbp(p側端障壁層厚tbp、ナノメートル)とする。
【0025】
なお、本具体例では、p側端井戸層32p1とp型半導体層20との間に、もう1つの障壁層32として、p側端対向障壁層31p0が設けられている。このため、p側端障壁層31p1は、複数の障壁層31のうちで2番目にp型半導体層20に近いことになる。なお、p側端対向障壁層31p0は必要に応じて設けられ、場合によっては、省略可能である。
【0026】
そして、n側端平均In組成比Anを(wn×twn+bn×tbn)/(twn+tbn)とする。
そして、p側端平均In組成比Apを(wp×twp+bp×tbp)/(twp+tbp)とする。
本実施形態に係る半導体発光素子110においては、p側端平均In組成比Apは、n側端平均In組成比Anよりも大きく、n側端平均In組成比Anの5倍以下に設定される。
【0027】
このように、In平均組成比pn比Ap/Anを1よりも大きく5以下にすることで、内部量子効率を向上し、光取り出し効率を向上できる。
【0028】
すなわち、p側端平均In組成比Apをn側端平均In組成比Anよりも大きくすることで、p側端井戸層32p1に適切な歪みが印加される。そして、n側端平均In組成比Anを低くすることで、n側端井戸層32n1における光吸収を抑制することができる。また、p側端井戸層32p1から、2番目にp型半導体層20に近い井戸層32p2への正孔の注入効率が向上する。これにより、内部量子効率を向上し、光取り出し効率を向上できる。
【0029】
このような半導体発光素子110は、例えば以下のようにして製造される。
まず、サファイアからなる基板5の上に、バッファ層6を形成した後、n型不純物がドープされたn型GaN層11を結晶成長させる。n型GaN層11の厚さは、例えば4μm(マイクロメートル)程度である。
【0030】
結晶成長には、例えば有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)が用いられる。この他、結晶成長には、分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)などを用いることができる。n型不純物には、例えば、Si、Ge及びSnなど種々の元素を用いることが可能である。本具体例では、Siを用いる。Siのドーピング量として、例えば、2×1018cm−3程度が採用される。基板5には、サファイアの他、GaN、SiC、Si及びGaAsなど様々なものを用いることができる。
【0031】
次に、n型GaN層11の上にn型ガイド層12を結晶成長させる。n型ガイド層12には、例えば、n型不純物が1×1018cm−3程度でドープされたGaNが用いられる。n型ガイド層12の厚さは、例えば、0.1μm程度とされる。
【0032】
n型GaN層11及びn型ガイド層12を成長させる際の成長温度は、いずれも例えば、1000℃〜1100℃である。
【0033】
また、n型ガイド層12として、GaNの他に、In0.01Ga0.99Nを用いることもできる。n型ガイド層12にIn0.01Ga0.99Nを用いる場合の成長温度は、例えば700℃〜800℃である。なお、n型ガイド層12にIn0.01Ga0.99Nを用いる場合においても、n型ガイド層12の厚さとして、例えば0.1μmが採用できる。
【0034】
次に、n型ガイド層12の上に、発光部30を形成する。例えば、障壁層31と井戸層32とを交互に積層して形成する。これにより、多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造が形成される。障壁層31及び井戸層32の構成は上記のように設定される。障壁層31及び井戸層32の成長温度は、例えば700℃〜800℃である。なお、障壁層31には、n型不純物を1×1018cm−3程度でドープしても良く、障壁層31は、アンドープでも良い。
【0035】
発光部30の上に、第1p型ガイド層21aを成長させる。第1p型ガイド層21aにはGaNが用いられる。第1p型ガイド層21aの厚さは、30nm程度以下とされる。第1p型ガイド層21aとなるGaNの成長温度は、例えば1000℃〜1100℃である。p型不純物としては、例えば、MgやZnなど種々の元素を用いることが可能である。ここではMgを用いるものとする。Mgのドーピング量は、4×1018cm−3程度とされる。また、第1p型ガイド層21aとして、例えば、In0.01Ga0.99Nを用いることができる。このときの第1p型ガイド層21aの厚さは、30nm程度とされる。In0.01Ga0.99Nを用いても良い。第1p型ガイド層21aとして、In0.01Ga0.99Nを用いる場合の成長温度は、例えば700℃〜800℃とされる。
【0036】
次に、第1p型ガイド層21aの上に、第3p型ガイド層21cを形成する。第3p型ガイド層21cには、p型不純物がドープされたAl0.2Ga0.8Nを用いることができる。このときもp型不純物として、Mgを用いることができる。Mgのドーピング量は、例えば、4×1018cm−3程度とされる。第3p型ガイド層21cの厚さは、例えば、10nm程度とされる。第3p型ガイド層21cは、電子オーバーフロー防止層として機能することができる。なお、第3p型ガイド層21cに用いられるAl0.2Ga0.8Nの成長温度は1000〜1100℃である。
【0037】
次に、第3p型ガイド層21cの上に、第2p型ガイド層21bを成長させる。第2p型ガイド層21bには、例えば、p型GaN層が用いられる。この場合もp型不純物としてMgを用いることができる。Mgは、例えば1×1019cm−3程度でドープされる。第2p型ガイド層21bの厚さは、例えば、50nm程度とされる。第2p型ガイド層21bに用いられるGaN層の成長温度は、例えば1000℃〜1100℃である。
【0038】
次に、第2p型ガイド層21bの上に、p型GaNコンタクト層22を形成する。p型GaNコンタクト層22には、例えば、Mgが1×1020cm−3程度でドープされたGaN層が用いられる。p型GaNコンタクト層22の厚さは、例えば60nm程度とされる。
【0039】
このような順次結晶成長を行ったウェーハに対して、以下のデバイスプロセスが実施される。
p型GaNコンタクト層22の上に、例えば酸化インジウム錫(ITO)からなるp側電極81が形成される。ITOの厚さは、例えば0.2μmである。ITOの一部の上にはp側パッド電極82として、厚さが例えば1.0μmのAu膜が形成される。
【0040】
p側電極81(及びp側パッド電極82)の形成の後、上記の積層構造体の一部にドライエッチングを施し、n型GaN層11の一部を露出させ、n型GaN層11の露出した部分にn側電極71を形成する。n側電極71としては、例えば、チタン−白金−金(Ti/Pt/Au)の複合膜が用いられる。このTi膜の厚さは例えば0.05μm程度であり、Pt膜の厚さは例えば0.05μm程度であり、Au膜の厚さは例えば1.0μm程度である。
【0041】
このようにして、半導体発光素子110が作製される。
そして、発光部30において、p側端平均In組成比Apをn側端平均In組成比Anよりも大きくし、n側端平均In組成比Anの5倍以下とすることで、内部量子効率が高く、光取り出し効率が高い半導体発光素子が提供できる。
【0042】
以下、上記のような実施形態の構成を創出する基となった実験結果について説明する。 発明者は、以下のように、発光部30の構成が異なる2種の半導体発光素子111及び半導体発光素子119を作製し、それらの特性を評価した。
【0043】
半導体発光素子111は、本実施形態の構成を有するので、実施例の1つに対応する。一方、半導体発光素子119は、本実施形態の構成を有していないので比較例(第1比較例)に対応する。
【0044】
半導体発光素子111は、上記の製造方法を適用して作製された。半導体発光素子111の発光部30の構成及びその作製方法は以下である。
発光部30においては、n型ガイド層12の上に、まず、In0.01Ga0.99Nを含むn側端障壁層31n1を形成し、その上に、アンドープのIn0.07Ga0.93Nを含むn側端井戸層32n1を形成した。その上に、さらに、In0.01Ga0.99Nを含む障壁層31と、アンドープのIn0.07Ga0.93Nを含む井戸層32と、交互に4ペア(計8層)形成した。このように、n型半導体層10の側にIn0.07Ga0.93Nを含む井戸層32が5層形成された。上記において井戸層32の厚さは2.5nmであり、障壁層31の厚さは5.0nmである。
【0045】
さらに、その上に、In0.01Ga0.99Nを含む障壁層31と、アンドープのIn0.15Ga0.85Nを含む井戸層32と、を交互に3ペア(計6層)形成した。このように、p型半導体層20の側にIn0.15Ga0.85Nを含む井戸層32が3層形成された。そして、最もp型半導体層20に近い井戸層32の上に、さらに、p側端対向障壁層31p0として、In0.01Ga0.99N層を形成した。
この後、その上に、第1p型ガイド層21aが上記の条件によって形成された。
【0046】
このような半導体発光素子111においては、n側端井戸層32n1のIn組成比wnは0.07であり、n側端井戸層厚twnは2.5nmである。また、n側端障壁層31n1のIn組成比bnは0.01であり、n側端障壁層厚tbnは5.0nmである。そして、p側端井戸層32p1のIn組成比wpは0.15であり、p側端井戸層厚twpは2.5nmである。また、また、p側端障壁層31p1のIn組成比wpは、0.01であり、p側端障壁層厚tbpは5.0nmである。
【0047】
従って、半導体発光素子111における、n側端平均In組成比An=(wn×twn+bn×tbn)/(twn+tbn)は0.030であり、p側端平均In組成比Ap=(wp×twp+bp×tbp)/(twp+tbp)は0.057となる。従って、半導体発光素子111におけるIn平均組成比pn比Ap/Anは、1.9となる。
【0048】
なお、上記の半導体発光素子111において、n型半導体層10の側に配置された井戸層32(n側端井戸層32n1などが含まれる)に用いられている厚さが2.5nmのIn0.07Ga0.93N層から放出される光のピーク波長は、フォトルミネッセンスの評価結果から、400nmである。一方、p型半導体層20の側に配置された井戸層32(p側端井戸層32p1などが含まれる)に用いられている厚さが2.5nmのIn0.15Ga0.8N層から放出される光のピーク波長は、フォトルミネッセンスの評価結果から、450nmである。
【0049】
一方、半導体発光素子119においては、発光部30の全ての障壁層31が互いに同じ構成を有し、全ての井戸層32が互いに同じ構成を有している。
すなわち、井戸層32のIn組成比は0.15であり、井戸層32はIn0.15Ga0.85Nである。そして、井戸層32の厚さは2.5nmである。そして、障壁層31のIn組成比は0.01であり、障壁層31はIn0.01Ga0.09Nである。そして、障壁層31の厚さは5.0nmである。これ以外は、半導体発光素子111と同様である。
【0050】
半導体発光素子119においては、井戸層32のIn組成比wn及びIn組成比wpは、0.15であり、n側端井戸層厚twnは及びp側端井戸層厚twpは、2.5nmである。障壁層31のIn組成比bn及びIn組成比bpは、0.01であり、n側端障壁層厚tbn及びp側端障壁層厚tbpは、5.0nmである。そして、In平均組成比pn比Ap/Anは、1である。
このような構成を有する半導体発光素子111及び119の特性を評価した。
【0051】
図3は、半導体発光素子に関する実験結果を例示するグラフ図である。
すなわち、図3(a)及び図3(b)は、半導体発光素子111及び119の特性の測定結果を例示している。これらの図において、横軸は波長λ(nm)であり、縦軸は、発光強度ELI(mW/nm)である。
【0052】
図3(a)に示したように、半導体発光素子111の発光強度ELIの最大値は、約0.74mW/nmである。一方、半導体発光素子119の発光強度ELIの最大値は、約0.62mW/nmである。このように、半導体発光素子111は、半導体発光素子119に比べて、発光強度ELIが高い。
【0053】
さらに、図3(a)及び図3(b)を比較すると、半導体発光素子111の発光強度ELIの半値全幅FWHMは、半導体発光素子119よりも小さい。
【0054】
このように、半導体発光素子111は半導体発光素子119に比べて良好な特性を示す。これは、半導体発光素子111において、内部量子効率が高く、光取り出し効率が高いことが原因であると考えられる。
【0055】
一方、半導体発光素子111と半導体発光素子119の特性をさらに比較すると、図3(a)に例示した半導体発光素子111においては、波長λが400nm程度に発光強度ELIの小さいピークが存在しているのみである。
【0056】
既に説明したように、In0.15Ga0.85N層のピーク波長は450nmであるので、半導体発光素子119のピーク波長が450nmであることは自然である。一方、ピーク波長が450nmであるIn0.15Ga0.85N層を3層と、ピーク波長が400nmであるIn0.07Ga0.93N層を5層、積層した構成を有する半導体発光素子111において、450nmの発光ピークの高さに比べて、400nmの発光ピークの高さは著しく小さい。
【0057】
半導体発光素子111において、ピーク波長が450nmであるIn0.15Ga0.85N層の数よりも、ピーク波長が400nmであるIn0.07Ga0.93N層の数が多いにもかかわらず、p型半導体層20の側に配置されているIn0.15Ga0.85N層のピーク波長である450nmの発光強度ELIが著しく高い。このように、p型半導体層20に近接する井戸層32の特性が、半導体発光素子の発光特性において支配的である。
【0058】
このことから、p型半導体層20に近接する井戸層32において、電子及び正孔の再結合が支配的に行われているものと推定できる。
【0059】
この現象は、発明者により行われた、上記の半導体発光素子111及び119の特性の実測の結果から初めて見出された現象である。
【0060】
本実施形態に係る半導体発光素子の構成は、この新たに見出された現象に基づいて構築されている。すなわち、p型半導体層20に近接する井戸層32の特性(例えばピーク波長)を、半導体発光素子として要求される特性(例えばピーク波長)に合わせ、p型半導体層20から離れた井戸層32の構成は、発光効率が向上し、また、光の吸収が小さくなるように制御する。これにより、半導体発光素子のピーク波長などの発光特性に悪影響を与えないで、内部量子効率を向上し、光取り出し効率を向上することができる。
【0061】
すなわち、本実施形態に係る半導体発光素子110(半導体発光素子111)においては、p側端平均In組成比Apを、n側端平均In組成比Anよりも大きくし、n側端平均In組成比Anの5倍以下にする。これにより、p側端井戸層32p1に適切な歪みを発生させ電子及び正孔の再結合をより促進させる。そして、n側端平均In組成比Anを低くすることで、n側端井戸層32n1における光吸収を抑制する。また、p側端井戸層32p1から、2番目にp型半導体層20に近い井戸層32p2への正孔の注入効率を向上させる。これにより、内部量子効率を向上し、光取り出し効率を向上できる。
【0062】
例えば、上記の第1比較例の半導体発光素子119においては、井戸層32に用いられたIn0.15Ga0.85N層においては、450nmの波長における吸収係数が5×10cm−1程度であるため、1つの井戸層32当たりに1.2%程度の吸収がおき、光吸収が大きい。これに対し、半導体発光素子111においては、n型半導体層10の側の井戸層32(例えばn側端井戸層32n1など)として、In組成比が小さいIn0.07Ga0.93N層を用いることで、これらの井戸層32におけるエネルギー準位を短波長側へ(高エネルギー側へ)シフトさせている。これにより、450nmの波長における吸収係数が5×10cm−1程度になり、1つの井戸層32当たりに0.12%程度の吸収しか起こらない。これにより、半導体発光素子111においては、光取り出し効率が上昇する。
【0063】
p側端平均In組成比Apがn側端平均In組成比An以下の場合には、p型半導体層20に最も近接するp側端井戸層32p1に大きな歪みが印加され、発光効率が低下し、また、光吸収が大きくなり、光取り出し効率が低下する。また、p側端平均In組成比Apがn側端平均In組成比Anの5倍よりも大きいと、例えば結晶性が悪くなり易く、発光効率が低下する。
【0064】
なお、特許文献1において、n型窒化物半導体層に隣接した量子井戸層のエネルギーバンドギャップをp型窒化物半導体層に隣接した量子井戸層よりも大きくする構成が提案されているが、上記のようなp側端平均In組成比Apと、n側端平均In組成比Anと、の関係については着目していない。このため、特許文献1に記載の技術では、本実施形態に係る半導体発光素子で実現できる高い内部量子効率と高い光取り出し効率を得ることは困難であると考えられる。
【0065】
図4は、本発明の実施形態及び比較例の半導体発光素子の特性を例示するグラフ図である。
すなわち、同図は、以下に説明する実施形態に係る半導体発光素子110a〜110d、及び、第2比較例の半導体発光素子119aの特性のシミュレーション結果を例示している。
【0066】
半導体発光素子110aにおいては、n側端井戸層32n1のIn組成比wnは0.07であり、n側端井戸層厚twnは2.5nmである。n側端障壁層31n1のIn組成比bnは0.01であり、n側端障壁層厚tbnは5.0nmである。また、p側端井戸層32p1のIn組成比wpは0.15であり、p側端井戸層厚twpは、2.5nmである。また、p側端障壁層31p1のIn組成比wpは、0.01であり、p側端障壁層厚tbpは、5.0nmである。
【0067】
そして、全部の井戸層32の数(n側端井戸層32n1及びp側端井戸層32p1を含む数)は、8である。そして、全部の障壁層31の数(n側端障壁層31n1、p側端障壁層31p1及びp側端対向障壁層31p0を含む数)は、9である。そして、n側端井戸層32n1及びp側端井戸層32p1を除く他の井戸層32の構成は、n側端井戸層32n1と同じとした。そして、p側端対向障壁層31p0の構成は、p側端障壁層31p1と同じとした。そして、n側端障壁層31n1、p側端障壁層31p1及びp側端対向障壁層31p0を除く障壁層31の構成は、n側端障壁層31n1と同じとした。
【0068】
このように、半導体発光素子110aにおいては、p側端井戸層32p1におけるIn組成比wpは、n側端井戸層32n1におけるIn組成比wnよりも高い。
半導体発光素子110aにおける、n側端平均In組成比Anは0.030であり、p側端平均In組成比Apは0.057となる。従って、半導体発光素子110aにおけるIn平均組成比pn比Ap/Anは、1.9となる。
【0069】
半導体発光素子110bにおいては、半導体発光素子110aにおいて、p側端井戸層32p1を、厚さが3.5nmのIn0.13Ga0.87Nとしたものである。
このように、半導体発光素子110bにおいては、p側端井戸層厚twpは、n側端井戸層厚twnをよりも厚い。
半導体発光素子110bにおけるn側端平均In組成比Anは、0.030であり、p側端平均In組成比Apは、0.059となる。従って、半導体発光素子110bにおけるIn平均組成比pn比Ap/Anは、2.0となる。
【0070】
半導体発光素子110cにおいては、半導体発光素子110aにおいて、p側端障壁層31p1のIn組成比bpを0.03としたものである。
このように、半導体発光素子110cにおいては、p側端障壁層31p1おけるIn組成比bpは、n側端障壁層31n1におけるIn組成比bnよりも高い。
半導体発光素子110cにおけるn側端平均In組成比Anは、0.030であり、p側端平均In組成比Apは、0.070となる。従って、半導体発光素子110dにおけるIn平均組成比pn比Ap/Anは、2.3となる。
【0071】
半導体発光素子110dにおいては、半導体発光素子110aにおいて、p側端障壁層31p1の厚さを4.0nmとしたものである。
このように、半導体発光素子110dにおいては、p側端障壁層厚tbpは、n側端障壁層厚tbnよりも薄い。
半導体発光素子110dにおけるn側端平均In組成比Anは、0.030であり、p側端平均In組成比Apは、0.064となる。従って、半導体発光素子110dにおけるIn平均組成比pn比Ap/Anは、2.1となる。
【0072】
一方、第2比較例の半導体発光素子119aにおいては、発光部30の全ての障壁層31が同じ構成を有し、全ての井戸層32が同じ構成を有している。すなわち、井戸層32のIn組成比は0.15であり、井戸層32の厚さは2.5nmである。そして、障壁層31のIn組成比は0.01であり、障壁層31の厚さは5.0nmである。このように、第2比較例の半導体発光素子119aにおいては、In平均組成比pn比Ap/Anは、1である。
【0073】
図4は、このような半導体発光素子110a〜110d及び第2比較例の半導体発光素子119aの特性を例示している。同図において、横軸は、各半導体発光素子に通電される電流Ifであり、縦軸は、発光効率Effである。
【0074】
図3に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110a〜110dのいずれも、第2比較例の半導体発光素子119aに比べて、発光効率Effが高い。
【0075】
第2比較例の半導体発光素子119aにおいては、最も発光に寄与する、p型半導体層20に最も近接するp側端井戸層32p1に大きな歪みが印加され、このために、量子効率が低下すると考えられる。
【0076】
これに対し、p側端井戸層32p1におけるIn組成比wpがn側端井戸層32n1におけるIn組成比wnよりも高い半導体発光素子110a、及び、p側端井戸層厚twpがn側端井戸層厚twnよりも厚い半導体発光素子110bにおいては、p型半導体層20に最も近接するp側端井戸層32p1に印加される歪みが適正化され、また、n型半導体層10の側の井戸層32(例えばn側端井戸層32n1などを含む)における光吸収が抑制される。
【0077】
また、p側端障壁層31p1おけるIn組成比bpがn側端障壁層31n1におけるIn組成比bnよりも高い半導体発光素子110c、及び、p側端障壁層厚tbpがn側端障壁層厚tbnよりも薄い半導体発光素子110dにおいては、p型半導体層20に最も近接するp側端井戸層32p1に印加される歪みが適正化され、また、p側端井戸層32p1から、2番目にp型半導体層20に近い井戸層32p2(p側端井戸層32p1に対してn型半導体層10の側において隣接する井戸層32)への正孔の注入効率が向上する。
【0078】
なお、p側端井戸層32p1におけるIn組成比wpをn側端井戸層32n1におけるIn組成比wnよりも高く設定し、かつ、p側端井戸層厚twpをn側端井戸層厚twnよりも厚く設定した場合には、p型半導体層20に最も近接するp側端井戸層32p1に印加される歪みが適正化される。
【0079】
このとき、目的とする発光波長との兼ね合いで、例えば青色LED(発光ピーク波長が例えば445nm〜455nm)の場合には、p側端井戸層32p1のIn組成比wpは、0.10以上0.20以下で、p側端井戸層厚twpは、1.0nm以上5.0nm以下とされることが望ましい。このとき、In組成比wpが相対的に高い場合は、p側端井戸層厚twpは相対的に薄く設定される。例えば、p側端井戸層32p1のIn組成比wpは0.15で、p側端井戸層厚twpは2.5nm程度に設定される。
【0080】
また、p側端井戸層32p1におけるIn組成比wpをn側端井戸層32n1におけるIn組成比wnよりも高く設定し、かつ、p側端障壁層31p1おけるIn組成比bpをn側端障壁層31n1におけるIn組成比bnよりも高く設定した場合には、p型半導体層20に最も近接するp側端井戸層32p1に印加される歪みが適正化され、また、p側端井戸層32p1から、2番目にp型半導体層20に近い井戸層32p2への正孔の注入効率が向上する。さらに、n型半導体層10の側の井戸層32における光吸収を抑制することができる。
【0081】
また、p側端井戸層32p1におけるIn組成比wpをn側端井戸層32n1におけるIn組成比wnよりも高く設定し、かつ、p側端障壁層厚tbpをn側端障壁層厚tbnよりも薄く設定した場合にも、p型半導体層20に最も近接するp側端井戸層32p1に印加される歪みが適正化され、また、p側端井戸層32p1から、2番目にp型半導体層20に近い井戸層32p2への正孔の注入効率が向上する。さらに、n型半導体層10の側の井戸層32における光吸収を抑制することができる。
【0082】
発光部30が、N個(Nは2以上の整数)の井戸層32を有し、N個の障壁層31を有するとする。ここで、n型半導体層10からみて、i番目(iは2以上、N以下の整数)の井戸層32を、「井戸層32」と表記することにする。そして、n型半導体層10からみて、i番目の障壁層31を、「障壁層31」と表記することにする。そして、障壁層31は、井戸層32に対してn型半導体層の側において、井戸層32に隣接するものとする。なお、最もp型半導体層20に近い井戸層32(すなわちp側端井戸層32p1)と、p型半導体層20と、の間に、p側端対向障壁層31p0を設けることができ、p側端対向障壁層31pは、障壁層31N+1に相当する。
【0083】
この表記を用いると、井戸層32は、InwnGa1−wnNを含み、n側端井戸層厚twnを有し、障壁層31は、InbnGa1−bnNを含み、n側端障壁層厚tbnを有し、井戸層32は、InwpGa1−wpNを含み、p側端井戸層厚twpを有し、障壁層32は、InbpGa1−bpNを含み、p側端障壁層厚tbpを有する。そして、既に説明したように、これらの値を用いて、Ap/Anは、1よりも大きく、5以下とされる。
【0084】
本実施形態において、iが2以上、(N−1)以下に対応する井戸層32及び障壁層31の構成は任意である。例えば、n型半導体層10からみて、j番目(jは2以上、(N−1)以下の整数)の井戸層32は、InwjGa1−wjNを含み、井戸層厚twjを有し、j番目の障壁層31は、InbjGa1−bjNを含み、障壁層厚twbjを有するとする。このとき、平均In組成比Aを(wj×twj+bj×tbj)/(twj+tbj)とすると、平均In組成比Aは、任意である。平均In組成比Aは、例えば、n側端平均In組成比An以上で、p側端平均In組成比Ap以下の値に設定することが望ましい。
【0085】
特に、上記のjが(N−3)以下の場合においては、平均In組成比Aをn側端平均In組成比An(低いIn組成比)と実質的に同じにすることで、n型半導体層10の側における平均In組成比を低くし、光の吸収を抑制でき、望ましい。
【0086】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BInAlGa1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むものや、導電型などを制御するために添加される各種のドーパントのいずれかをさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0087】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体発光素子に含まれるn型半導体層、p型半導体層、発光部、井戸層、障壁層、電極、基板、バッファ層各要素の具体的な構成の、形状、サイズ、材質、配置関係などに関して当業者が各種の変更を加えたものであっても、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0088】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体発光素子を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体発光素子も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0089】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0090】
5…基板、 6…バッファ層、 10…n型半導体層、 11…n型GaN層、 12…n型ガイド層、 20…p型半導体層、 21a…第1p型ガイド層、 21b…第2p型ガイド層、 21c…第3p型ガイド層、 22…p型GaNコンタクト層、 30…発光部、 31…障壁層、 31n1…n側端障壁層、 31p0…p側端対向障壁層、 31p1…p側端障壁層、 32、32p2…井戸層、 32n1…n側端井戸層、 32p1…p側端井戸層、 71…n側電極、 81…p側電極、 82…p側パッド電極、 110、110a、110b、110c、110d、111、119、119a…半導体発光素子、 If…電流、 ELI…発光強度、 Eff…発光効率、 tbn…層厚(n側端障壁層厚)、 tbp…層厚(p側端障壁層厚)、 twn…層厚(n側端井戸層厚)、 twp…層厚(p側端井戸層厚)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体を含むn型半導体層と、
窒化物半導体を含むp型半導体層と、
前記n型半導体層と前記p型半導体層との間に設けられ、
交互に積層された、複数の障壁層と、複数の井戸層と、
を有する発光部と、
を備え、
前記複数の井戸層のうちで前記n型半導体層に最も近いn側端井戸層は、InwnGa1−wnNを含み、層厚twn(ナノメートル)を有し、
前記複数の障壁層のうちで前記n型半導体層に最も近いn側端障壁層は、InbnGa1−bnNを含み、層厚tbn(ナノメートル)を有し、
前記複数の井戸層のうちで前記p型半導体層に最も近いp側端井戸層は、InwpGa1−wpNを含み、層厚twp(ナノメートル)を有し、
前記p側端井戸層よりも前記n型半導体層の側において、前記複数の障壁層のうちで前記p型半導体層に最も近いp側端障壁層は、InbpGa1−bpNを含み、層厚tbp(ナノメートル)を有し、
前記wn及び前記wpは、前記bn及び前記bpよりも大きく、
n側端平均In組成比を(wn×twn+bn×tbn)/(twn+tbn)とし、
p側端平均In組成比を(wp×twp+bp×tbp)/(twp+tbp)としたとき、
前記p側端平均In組成比は、前記n側端平均In組成比よりも大きく、前記n側端平均In組成比の5倍以下であること特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記p側端井戸層におけるIn組成比wpは、前記n側端井戸層におけるIn組成比wnよりも高いことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記層厚twpは、前記層厚twnをよりも厚いこと特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記p側端障壁におけるIn組成比bpは、前記n側端障壁層におけるIn組成比bnよりも高いこと特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記層厚tbpは、前記層厚tbnよりも薄いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−80139(P2012−80139A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−12637(P2012−12637)
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【分割の表示】特願2010−31456(P2010−31456)の分割
【原出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】