説明

半導体発光装置を搭載するための回路基板、発光モジュール、照明器具、及び照明システム

【課題】半導体発光装置において発生した熱の放熱性能の向上に関する技術を提供する。
【解決手段】少なくとも半導体発光素子及び蛍光体を備える半導体発光装置と、回路基板とを含む発光モジュールにおいて、回路基板には少なくとも、供給される駆動電流の経路が異なる複数の半導体発光素子を有する半導体発光装置が搭載されるか、若しくは半導体発光素子に供給する駆動電流の経路が異なる複数の半導体発光装置が搭載される。回路基板は、熱伝導材料を用いて形成された基材部と、半導体発光素子の駆動電流を半導体発光装置に供給する電力供給導体層と、を備える。電力供給導体層は、熱伝導材料を用いて且つ基材部平面を覆うように面状に形成され、且つ、その平面領域が駆動電流の経路毎に絶縁体によって平面的に区画される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子からの発光により外部に対して発光する半導体発光装置を搭載するための回路基板、発光モジュール、照明器具、及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今においては、省エネルギー性やその他の様々な目的のために、従来の照明装置に代えて半導体発光素子である発光ダイオード(Light-emitting Diode、LED)を用いた照明装置が広く提案されてきている。また、従来の光源では実現困難であった色調可変照明の光源としてもLEDは期待されている。その一例として、赤色LED、緑色LED、青色LEDを一つのパッケージにすることで白色光を出力する照明装置が開示されている(例えば、特許文献1等を参照。)。この技術においては、上記三種類のLEDに供給される駆動電流を各LEDの順方向電圧に応じて調整することで、各LEDの発光効率を一定にし、白色光の輝度の安定化を図るために、また様々な色調の光を出射するように工夫されている。
【0003】
また、LEDを利用した照明技術として、青色LEDと赤色および緑色発色のための蛍光体を用いて赤色、青色、緑色の光を発光する半導体発光装置を組み合わせて、LEDの出力を制御することで、黒体輻射軌跡をトレースし、自然光に近い白色光を出射する技術が開示されている(例えば、特許文献1〜3等を参照。)。
【0004】
また、半導体発光素子が実装されているパッケージからの発光により外部に対して発光する半導体発光装置において、パッケージからの光の出力面を複数に分割し、それぞれに半導体発光素子と蛍光部とを対応させて配置させることによって、該出力面から出力される光のスペクトルが互いに異なるようにした、調色可能な(色調可変とする)半導体発光装置や、発光モジュール等が提案されている(例えば特許文献4等を参照。)。この種の半導体発光装置等においては、例えば複数に分割されたパッケージの出力面ごとに、対応する半導体発光素子へと供給する電力を制御することで半導体発光装置から出力される光の色温度を調整することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−100799号公報
【特許文献2】特開2007−265818号公報
【特許文献3】特開2007−299590号公報
【特許文献4】特開2009−231525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体発光装置は、その温度上昇に伴い発光量が減少し(暗くなり)、寿命が短くなるという特性がある。そのため、特に照明用途に採用される半導体発光装置においては、半導体発光装置において発生した熱を外部に放出する(逃がす)放熱性能をできるだけ高める必要がある。また、調色可能な半導体発光装置では、パッケージ内において分割された出力面ごとに、対応する半導体発光素子への電力供給を独立して制御することになるため、半導体発光装置の局所的な熱集中が起こりやすくなる。それ故、調色可能な半導体発光装置や発光モジュールにおいては、半導体発光装置の局所的な熱集中に伴う発光効率の低下や半導体発光素子の熱劣化等の不具合が顕在化し易いという実情があった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑み、半導体発光装置において発生した熱の放熱性能の向上に関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上述した課題を解決するため、以下の手段を採用した。
すなわち、本発明は、少なくとも半導体発光素子及び蛍光体を備える半導体発光装置と、該半導体発光装置を搭載する回路基板と、を含む発光モジュールであって、前記回路基板には、少なくとも、供給される駆動電流の経路が異なる複数の半導体発光素子を有する半導体発光装置が搭載されるか、若しくは半導体発光素子に供給する駆動電流の経路が異なる複数の半導体発光装置が搭載され、前記回路基板は、熱伝導材料を用いて形成された基材部と、前記半導体発光素子の駆動電流を前記半導体発光装置に供給する電力供給導体層と、を備え、前記電力供給導体層は、熱伝導材料を用いて且つ前記基材部平面を覆うように面状に形成され、且つ、その平面領域が前記駆動電流の経路毎に絶縁体によって平面的に区画されている、発光モジュールを提供する。また、前記絶縁体によって前記駆動電流の経路毎に区画された前記電力供給導体層の各領域は、制御系統の異なる駆動電流が流れるように構成されてもよい。
【0009】
電力供給導体層及び基材部は、共に熱伝導材料を用いて構成されている。従って、半導体発光装置において発生した熱は、電力供給導体層を経由して基材部へと伝導する。本構成に係る電力供給導体層は、基材部を覆うように面状に形成されているため、半導体発光装置において局所的に集中した熱を、基材部における平面方向に好適に分散させることができる。従って、半導体発光装置からより効率的に熱を奪うことができ、以って半導体発光装置における放熱性能を好適に高めることが可能となる。従って、調色可能とする半導体発光装置において顕在化し易い局所的な温度上昇に伴う発光効率の低下や、熱劣化などの発生を好適に抑止することができる。
【0010】
ここで、前記駆動電流の経路が異なる前記電力供給導体層の領域同士は、互いに上下に重ならないように形成されているとよい。これにより、絶縁層の数を増やすことなく、制御系統が異なる電力供給導体層同士が短絡(ショート)することを回避できる。
【0011】
前記基材部には、前記半導体発光装置が搭載されていない方の非搭載面と熱的に接するように放熱用ハウジング部材が取り付けられ、前記半導体発光装置側から前記電力供給導体層を介して前記基材部に伝導した熱を該放熱用ハウジング部材から大気中に放散させるとよい。これにより、回路基板における電力供給導体層及び基材部によって半導体発光装置から順次、伝導されてくる熱が、放熱用ハウジング部材から大気中に放出されるため、半導体発光装置をより一層効率的に冷却することが可能となる。
【0012】
発光モジュールに係る第一の態様として、前記半導体発光装置は、前記半導体発光素子及び前記蛍光体を収容するパッケージを有し、前記パッケージには、該半導体発光装置の出射方向に開口する開口部と、パッケージ内部を2以上に分割して画定され且つ該開口部の一部である分割開口部において開口する少なくとも2以上の分割領域部が設けられ、前記分割領域部の各々は、前記蛍光体と各分割領域部を封止する透光性材料とを含む蛍光部を有するとともに少なくとも一の分割領域部と他の分割領域部において前記蛍光部から出力される光のスペクトルが互いに異なり、且つ、出力光のスペクトルが異なる分割領域部には前記電力供給導体層の異なる経路を通じて駆動電流(例えば、制御系統が異なる駆動電流)が供給されてもよい。なお、パッケージ内部は、遮光性および反射性を有する間仕切りによって分割するとよい。
【0013】
前記パッケージは、ベース部材から立設する間仕切りによってその内部が二つの分割領
域部に分割され、前記ベース部材には、前記分割領域部の各々に収容される半導体発光素子を実装する二つの配線部が設けられ、各配線部は、一対の電極が前記ベース部材の平面領域内において前記間仕切りを挟んで互いに逆側の領域に設けられることで前記間仕切りと交差してもよい。この場合、出力光のスペクトルが異なる一の分割領域部に設けられる前記半導体発光素子と、他の分割領域部に設けられる前記半導体発光素子とは互いに逆極で並列に接続されるように、構成されてもよい。
【0014】
また、前記絶縁体は、前記回路基板の平面内で環状に形成された第一絶縁体を含み、前記駆動電流の経路が異なる前記電力供給導体層の領域同士が前記環状絶縁体によって互いに絶縁されていてもよい。この場合、例えば、互いに異なる経路には、制御系統の異なる駆動電流が流れるように構成されてもよい。
【0015】
また、前記第一絶縁体によって区画された前記電力供給導体層の領域を平面的に区画する第二絶縁体を更に備えてもよい。この場合、前記半導体発光装置は、一の前記第二絶縁体の上部を跨ぐように前記回路基板に搭載され、且つ、当該一の第二絶縁体が区画する一方の領域と他方の領域(例えば、制御系統が同一の電力供給導体層の領域同士)が該半導体発光装置の内部配線によって電気的に接続されてもよい。
【0016】
また、発光モジュールに係る第二の態様として、前記半導体発光装置は、前記半導体発光素子及び前記蛍光体を収容するパッケージを有し、前記パッケージには、該半導体発光装置の出射方向に開口する開口部、及び前記蛍光体と該開口部を封止する透光性材料とを含む蛍光部が設けられ、前記回路基板には複数の前記半導体発光装置が搭載されるとともに、少なくとも一の半導体発光装置と他の半導体発光装置において前記蛍光部から出力される光のスペクトルが互いに異なり、且つ、出力光のスペクトルが異なる蛍光部には前記電力供給導体層の異なる経路を通じて駆動電流が供給されてもよい。この場合、例えば、互いに異なる経路には、制御系統の異なる駆動電流が流れるように構成されてもよい。
【0017】
この第二の態様においては、前記回路基板における電力供給導体層の平面領域を仮想直線によって第一領域と第二領域とに二分した場合に、前記駆動電流の各経路における前記第一領域に属する部分の面積と、前記第二領域に属する部分の面積とが略同一であることが好ましい。これにより、半導体発光装置から回路基板の電力供給導体層へと伝えられる熱の分布が、回路基板の平面方向に過度に偏ってしまうことを回避できる。これにより、半導体発光装置の放熱性能をより一層高めることが可能となる。
【0018】
更に、前記回路基板には、前記複数の半導体発光装置が環状に且つ各半導体発光装置の間隔が等角に配置されており、前記電力供給導体層の異なる経路を通じて互いに制御系統が異なる駆動電流が供給される一の半導体発光装置と他の半導体発光装置とが交互に並んで環状配置されるとよい。
【0019】
前記回路基板には複数の前記半導体発光装置が搭載され、前記前記電力供給導体層は、各半導体発光装置に設けられる前記半導体発光素子を実装する配線のうち駆動電流の制御系統が同一のもの同士を互いに直列接続してもよい。
【0020】
また、半導体発光装置の放熱性能を好適に確保する観点からは、前記基材部の全表面積に対する前記電流供給導体層が形成される部分の面積比率が70%以上となるように該電流供給導体層が形成されることが好ましく、より好ましくは上記面積比率を80%以上とすると良い。
【0021】
また、発光モジュールにおいて、回路基板における基材部に搭載された複数の半導体発光装置の各々は、環状に且つ各半導体発光装置の間隔が等角に配置され、一の半導体発光
装置を基準としたときに、パッケージ内の一の分割領域部と他の分割領域部との相対位置関係が、隣接する半導体発光装置に対して、開口部の開口面内での回転方向において、360°を基材部に搭載される半導体発光装置の数で除して定義される所定角度ずつ、ずれた状態で配置されていてもよい。
【0022】
ここで、本発明は半導体発光装置を搭載するための回路基板として捉えることもできる。本発明は、少なくとも半導体発光素子及び蛍光体を備える半導体発光装置を搭載するための回路基板であって、前記回路基板には、少なくとも、供給される駆動電流の経路が異なる複数の半導体発光素子を有する半導体発光装置が搭載されるか、若しくは半導体発光素子に供給する駆動電流の経路が異なる複数の半導体発光装置が搭載され、熱伝導材料を用いて形成された基材部と、前記半導体発光素子の駆動電流を前記半導体発光装置に供給する電力供給導体層と、を備え、前記電力供給導体層は、熱伝導材料を用いて且つ前記基材部平面を覆うように面状に形成され、且つ、その平面領域が前記駆動電流の経路毎に絶縁体によって平面的に区画されている、半導体発光装置を搭載するための回路基板を提供する。また、本発明に係る回路基板において、前記基材部には、前記半導体発光装置が搭載されていない方の非搭載面と熱的に接するように放熱用ハウジング部材が取り付けられ、前記半導体発光装置側から前記電力供給導体層を介して前記基材部に伝導した熱を該放熱用ハウジング部材から大気中に放散させるとよい。
【0023】
また、本発明は、上述までの何れかの発光モジュールを備える照明器具として捉えてもよい。また、本発明は、上述までの何れかの発光モジュールと、前記電力供給導体層へ供給する電力を、前記駆動電流の経路毎に独立して制御することにより、前記半導体発光装置から発光される発光色を調色する制御装置と、を備える、照明システムとして捉えることができる。
【0024】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、半導体発光装置において発生した熱の放熱性能の向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】実施例1に係る発光モジュールを構成するLED装置内の、パッケージの概略構成の斜視図である。
【図1B】図1Aに示すLED素子に電力を供給する配線の実装状態を示す図である。
【図1C】図1A及び図1Bに示すLED装置を、電気的記号を用いて模式化した図である。
【図2A】図1に示すLED装置の断面図である。
【図2B】LED装置の他の断面構成例を示す図である。
【図3】図1に示すLED装置でのLED素子と基部との接続関係を示す図である。
【図4】図1に示すLED装置において、各分割領域部からの出力光に設定される白色光の色度点と黒体輻射軌跡との関係を示す図である。
【図5】図4に示す白色光の色度点と黒体輻射軌跡との関係についての要部拡大図である。
【図6】図1に示すLED装置において採用が可能な、各種LED素子と蛍光体との組み合わせについて、出力光の色温度と発光効率との相関関係を示す図である。
【図7A】実施例1に係る発光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図7B】発光モジュールにおけるLED装置の配置について簡略に示す図である。
【図8】発光モジュールの各LED装置間における電気的な接続状態を模式化して示す図である。
【図9】図7及び図8に示す発光モジュールへの供給電流の一態様を示す図である。
【図10】実施例1に係る回路基板にLED装置が搭載された状態を示す図である。
【図11】図10のA−A切断線を含む断面を模式的に示す図である。
【図12】実施例1に係る回路基板の電流供給導体層を示す図である。
【図13】発光モジュールと放熱用ハウジング部材とレンズとを含んだ照明器具DLを示した図である。
【図14】実施例1の第1の変形例に係る回路基板にLED装置が搭載された状態を示す図である。
【図15】実施例1の第2の変形例に係る回路基板にLED装置が搭載された状態を示す図である。
【図16】実施例1の第3の変形例に係る回路基板にLED装置が搭載された状態を示す図である。
【図17】実施例1の第3の変形例に係る回路基板の基材部を説明するための説明図である。
【図18】実施例2に係る回路基板の電流供給導体層を示す図である。
【図19】実施例2に係る回路基板にLED装置が搭載された状態を示す図である。
【図20】実施例2の第1の変形例に係る回路基板にLED装置が搭載された状態を示す図である。
【図21】実施例2の第2の変形例に係る回路基板にLED装置が搭載された状態を示す図である。
【図22】実施例2の第3の変形例に係る回路基板にLED装置が搭載された状態を示す図である。
【図23A】実施例3に係るLED装置の概略構成図である。
【図23B】図23AにおけるY−Y断面図である。
【図24A】実施例3に係るLED装置におけるベースの上面図である。
【図24B】実施例3に係るLED装置におけるベースの下面図である。
【図25】実施例3に係る回路基板にLED装置が搭載された状態を示す図である。
【図26】実施例4に係る照明器具の斜視図である。
【図27】実施例4に係る照明器具の分解斜視図である。
【図28】実施例4に係る発光モジュールの上面を示す図である。
【図29】実施例4に係るLED装置の概略構成図である。
【図30】実施例4に係る回路基板の電流供給導体層を示す図である。
【図31】実施形態に係る照明システムの回路構成の概略を示す図である。
【図32】図31に示した制御回路の構成例を示す図である。
【図33】輝度調整を行う際に発光モジュールに供給される駆動電流の波形説明図である。
【図34】色度調整を行う際に発光モジュールに供給される駆動電流の波形説明図である。
【図35】実施形態に係る第二の照明システムの内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。尚、本実施の形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0028】
<実施例1>
ここで、図1Aは、本実施例に係る発光モジュール30を構成する半導体発光装置(以
下、単に「LED装置」と言う。)8内の、パッケージ1の概略構成の斜視図である。図1Bは、パッケージ1に設けられた半導体発光素子3A、3Bに電力を供給する配線20A、20Bの実装状態を示す図である。また、図1Cは、図1A及び図1Bに示すLED装置8を電気的記号を用いて模式化した図である。更に、図2は、図1Aに示すLED装置8において、上記配線20A、20Bを含む面で切断した場合の断面図である。なお、本実施例における発光モジュール30は、LED装置8及びこれを搭載するための回路基板を含んで構成されている。
【0029】
図1Aに示すように、LED装置8はパッケージ1を含んで構成され、該パッケージ1は、ベース2上に配置された環状且つ円錐台形状に形成されたリフレクタである。パッケージ1は、遮光性および反射性を有する材料から構成されている。このパッケージ1は後述する各分割領域部12からの出力光の一部を、LED装置8の出射方向に導く機能を有する。尚、パッケージ1の円錐台形状の上面側は、LED装置8による光の出射方向となり、開口部13を形成している。一方で、パッケージ1の円錐台形状の下面側はベース2が配置され、詳細は後述するが各半導体発光素子への電力供給のための配線が敷設等されている(当該配線は図1Aには図示せず)。
【0030】
そして、この環状のパッケージ1の内部空間を図1A、図2Aに示すように均等に二つの領域に分割する間仕切り11が、ベース2(ベース部材)に対して垂直に設けられている。間仕切り11は、遮光性および反射性を有する材料から構成されている。この間仕切り11によって、パッケージ1内に2つの分割領域部12A、12Bが画定されるとともに、分割領域部12Aの開口部は、パッケージ1の開口部13の右半分を占め、分割領域部12Bの開口部は、パッケージ1の開口部13の左半分を占めることになる。本明細書においては、分割領域部12Aの開口部を、分割開口部13Aと称し、分割領域部12Bの開口部を、分割開口部13Bと称する。即ち、開口部13は、間仕切り11によって分割開口部13Aと13Bに分割されたことになる。
【0031】
この分割領域部12A、12Bには、それぞれ半導体発光素子であり近紫外光を出力光とする近紫外半導体発光素子(以下、単に「LED素子」という。)3A、3Bがそれぞれ4個ずつ設けられている。このLED素子3A、3B(これらのLED素子を包括的に参照する場合はLED素子3と称する。)は、対となる配線20A、20B(包括的に配線20と称する場合もある。)にそれぞれ接続され、電力供給を受けることで発光する。尚、各分割領域部での配線20へのLED素子3の接続は、図1Bに示すように、配線20Aの上に4個のLED素子3Aが実装され、配線20Bの上に4個のLED素子3Bが実装される。そして、各分割領域における4個のLED素子3は、対応する配線に対して順方向に並列接続されている。なお、図1Bにおける符号21A,21Bは、電極(端子)を表す。この電極21A,21Bは、ベース2の下面(パッケージ1が配置されていない側の面)に形成されており、スルーホールを介して配線20A,20Bにそれぞれ接続されている。また、ここでの例では、分割領域部12A、12Bには、LED素子3A、3Bがそれぞれ4個ずつ設けられているが、双方に設けられる半導体発光素子の数を相違させても良い。また、分割領域部12A、12Bの各々には少なくとも1つのLED素子が設けられていれば良い。
【0032】
LED素子3A、3Bの実装状態を模式化して示すと図1Cのようになる。即ち、分割領域部12Aに配置される4つのLED素子3Aに対しては、電極21Aを介して配線20Aより電力供給が行われる。また、分割領域部12Bに配置される4つのLED素子3Bに対しては、電極21Bを介して配線20Bより電力供給が行われる。このとき、各LED素子3に印加される電圧は3.3V〜3.9Vの範囲で、供給電流は40mA〜200mAの範囲となる。この電力供給については、発光モジュール30全体の発光強度を考慮して行われてもよく、その点については後述する。
【0033】
ここで、LED素子3のベース2への実装について、図3に基づいて説明する。ベース2は、LED素子3を含むLED装置8を保持するための基部である。ベース2は、メタルベース部材2A、メタルベース部材2A上に形成された絶縁層2D、および絶縁層2D上に形成された対配線20C、20Dを有している。LED素子3は、相対する底面および上面に一対の電極であるp電極及びn電極を有しており、対配線20Cの上面に、AuSnの共晶半田5を介してLED素子3の底面側の電極が接合されている。LED素子3の上面側の電極は、金属製のワイヤ6によって、もう一方の対配線20Dに接続されている。これらの対配線20C、20Dの対で、図1Bに示される一つ対の配線20Aあるいは20Bをなし、各分割領域部の4個のLED素子3への電力供給が行われる。
【0034】
尚、LED素子3とベース2の一対の対配線20C、20Dとの電気的接続は、図3に示す形態に限られず、LED素子3における電極の組の配置に応じて適宜方法で行うことができる。例えば、LED素子3の片面のみに電極の組が設けられている場合は、電極が設けられている面を上に向けてLED素子3を設置し、各組の電極と各対配線20C、20Dとを例えば金製のワイヤ6でそれぞれ接続することによって、対配線20C、20DとLED素子3とを電気的に接続することができる。また、LED素子3がフリップチップ(フェースダウン)の場合は、LED素子3の電極と対配線20C、20Dとを金バンプや半田で接合することによって電気的に接続することができる。
【0035】
ここで、LED素子3は、電力が供給されることにより近紫外領域(発光波長360nm〜430nmの領域)の光を発光し、後述する蛍光部14A、14B(包括的に蛍光部14と称する場合もある。)を励起するものである。中でも、GaN系化合物半導体を使用したGaN系半導体発光素子が好ましい。なぜなら、GaN系半導体発光素子は、この領域の光を発するのに、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、後述の蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。GaN系半導体発光素子においては、AlxGayN発光層、GaN発光層、またはInxGayN発光層を有しているものが好ましい。GaN系半導体発光素子においては、それらの中でInxGayN発光層を有するものが、発光強度が非常に強いので、より好ましい。その中でも、InxGayN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが、発光強度が非常に強いので、特に好ましい。
【0036】
なお、上記組成式においてx+yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系半導体発光素子において、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。
【0037】
GaN系半導体発光素子は、これら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものである。GaN系半導体発光素子は、発光層をn型とp型のAlxGayN層、GaN層、またはInxGayN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高いことから、好ましい。GaN系半導体発光素子は、特に、ヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率がより一層高いことから、より好ましい。
【0038】
また、GaN系半導体発光素子を形成するためのGaN系結晶層の成長方法としては、HVPE法、MOVPE法、MBE法などが挙げられる。厚膜を形成する場合はHVPE法が好ましいが、薄膜を形成する場合はMOVPE法やMBE法が好ましい。
【0039】
そして、図3に示すように、ベース2上には、このLED素子3から発せられる光の一部を吸収して異なる波長の光を発する複数あるいは単独の蛍光体、及び前記蛍光体を封止する透光性材料を含有する蛍光部14が、LED素子3を覆って設けられている。尚、図3ではパッケージ1の記載は省略されているが、このような形態もパッケージ1から構成
される半導体発光装置の一形態となり得る。LED素子3から発せられた光の一部は、蛍光部14内の発光物質(蛍光体)に励起光として一部又は全部が吸収される。より具体的にLED装置8における蛍光部について図2に基づいて説明すると、分割領域部12Aにおいては、蛍光部14AがLED素子3Aを覆い、且つその蛍光部14Aは分割開口部13Aにて露出される。また、分割領域部12Bにおいては、蛍光部14BがLED素子3Bを覆い、且つその蛍光部14Bは分割開口部13Bにて露出される。従って、各蛍光部14からの出力光は、各分割開口部13から外部に出射される。
【0040】
蛍光部14は、図2A及び図3に示すように蛍光体を含有する透光性樹脂をパッケージ1にポッティングするタイプの他、例えば図2Bに示すリモートフォスファーのタイプを採用することができる。リモートフォスファーとは、パッケージ1に係る蛍光部14においてLED素子3と蛍光体とを離して設置する技術である。図2Bに示すリモートフォスファーの構成例では、蛍光体が塗布され、または練り込まれているシート状または板状に成形された透光性材料である蛍光シート15A,15Bが、LED素子3A,3Bから離れた位置に配置されている。図示の構成では、蛍光シート15A,15Bが、パッケージ1における分割開口部13A,13Bに設置されているが、当該位置に限定されない。なお、蛍光シート15A,15Bに形成される蛍光体層は、例えば、複数種の蛍光体がストライプ状、三角形状、四角形状、円形状などのパターンとして配置されてもよい。上記のように蛍光部14をリモートフォスファーによって形成することで、蛍光体の耐熱性および耐候性を向上させることが可能である。
【0041】
次に、蛍光部14について詳細に説明する。本実施例に係るLED装置8は、例えば白色光を出力することを目的とし、特に、LED装置8の発光色が、UCS(u、v)表色系(CIE1960)のuv色度図において、黒体輻射軌跡からの偏差duvが、−0.02≦duv≦0.02を満たすように、赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体の3数種の蛍光体を採用する。具体的には以下に挙げられるものを使用することができる。尚、黒体輻射軌跡からの偏差duvは、JIS Z8725(光源の分布温度及び色温度・相関
色温度の測定方法)の5.4項の備考の定義に従う。
【0042】
本実施形態において好適な赤色蛍光体が発する蛍光の具体的な波長の範囲を例示すると、主発光ピーク波長が通常570nm以上、好ましくは580nm以上、特に好ましくは610nm以上であり、また、通常700nm以下、好ましくは680nm以下、特に好ましくは660nm以下である。また、主発光ピークの半値幅は、通常1nm以上、好ましくは10nm以上、特に好ましくは30nm以上であり、また通常120nm以下、好ましくは110nm以下、特に好ましくは100nm以下である。
【0043】
赤色蛍光体としては、例えば、赤色破断面を有する破断粒子から構成され、赤色領域の発光を行う(Mg,Ca,Sr,Ba)2Si58:Euで表されるユウロピウム付活アル
カリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Y,La,Gd,Lu)22S:Euで表されるユウロピウム付活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。
【0044】
さらに、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、W、及びMoよりなる群から選ばれる少なくも1種の元素を含有する酸窒化物および/または酸硫化物を含有する蛍光体であって、Al元素の一部または全てがGa元素で置換されたアルファサイアロン構造をもつ酸窒化物を含有する蛍光体も用いることができる。なお、これらは酸窒化物および/または酸硫化物を含有する蛍光体である。
【0045】
また、そのほか、赤色蛍光体としては、(La,Y)22S:Eu等のEu付活酸硫化物蛍光体、Y(V,P)O4:Eu、Y23:Eu等のEu付活酸化物蛍光体、(Ba,Sr,
Ca,Mg)2SiO4:Eu,Mn、(Ba,Mg)2SiO4:Eu,Mn等のEu,Mn
付活珪酸塩蛍光体、(Ca,Sr)S:Eu等のEu付活硫化物蛍光体、YAlO3:Eu
等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、LiY9(SiO4)62:Eu、Ca28(SiO4)62:Eu、(Sr,Ba,Ca)3SiO5:Eu、Sr2BaSiO5:Eu等のEu付活珪
酸塩蛍光体、(Y,Gd)3Al512:Ce、(Tb,Gd)3Al512:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、(Ca,Sr,Ba)2Si58:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)
SiN2:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN3:Eu等のEu付活窒化物蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN3:Ce等のCe付活窒化物蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、Ba3MgSi28:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)3(Zn,Mg)Si28:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn等のMn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)23:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸化物蛍光体、(Gd,Y
,Lu,La)22S:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸硫化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)VO4:Eu,Bi等のEu,Bi付活バナジン酸塩蛍光体、SrY24:Eu,Ce等のEu,Ce付活硫化物蛍光体、CaLa24:Ce等のCe付活硫化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgP27:Eu,Mn、(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn)227
:Eu,Mn等のEu,Mn付活リン酸塩蛍光体、(Y,Lu)2WO6:Eu,Mo等のEu,Mo付活タングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)xSiyz:Eu,Ce(但
し、x、y、zは、1以上の整数)等のEu,Ce付活窒化物蛍光体、(Ca,Sr,B
a,Mg)10(PO4)6(F,Cl,Br,OH)2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、((Y,Lu,Gd,Tb)1-xScxCey)2(Ca,Mg)1-r(Mg,Zn)2+rSiz-qGeqO12+δ等のCe付活珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
【0046】
また、赤色蛍光体としては、β−ジケトネート、β−ジケトン、芳香族カルボン酸、または、ブレンステッド酸等のアニオンを配位子とする希土類元素イオン錯体からなる赤色有機蛍光体、ペリレン系顔料(例えば、ジベンゾ{[f,f´]−4,4´,7,7´−
テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1´,2´,3´−lm]ペリレン)
、アントラキノン系顔料、レーキ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料を用いることも可能である。
【0047】
本実施形態において好適な緑色蛍光体が発する蛍光の具体的な波長の範囲を例示すると、主発光ピーク波長が通常500nm以上、好ましくは510nm以上、特に好ましくは520nm以上であり、また、通常580nm以下、好ましくは570nm以下、特に好ましくは560nm以下である。また、主発光ピークの半値幅が通常1nm以上、好ましくは10nm以上、特に好ましくは30nm以上であり、また、通常120nm以下、好ましくは90nm以下、特に好ましくは60nm以下である。
【0048】
このような緑色蛍光体として、例えば、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行う(Mg,Ca,Sr,Ba)Si222:Euで表されるユウロピウム付
活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Ba,Ca,Sr,Mg)2SiO4:Euで表されるユウロピウム付活アルカリ土類シリケート系蛍光体等が挙げられる。
【0049】
また、そのほか、緑色蛍光体としては、Sr4Al1425:Eu、(Ba,Sr,Ca)
Al24:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)Al2Si28:Eu、(Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca)2(Mg,Zn)Si27:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Y2SiO5:Ce,Tb
等のCe,Tb付活珪酸塩蛍光体、Sr227−Sr225:Eu等のEu付活硼酸リン酸塩蛍光体、Sr2Si38−2SrCl2:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、Zn2SiO4:Mn等のMn付活珪酸塩蛍光体、CeMgAl1119:Tb、Y3Al512
Tb等のTb付活アルミン酸塩蛍光体、Ca28(SiO4)62:Tb、La3Ga5Si
14:Tb等のTb付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Ga24:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活チオガレート蛍光体、Y3(Al,Ga)512:Ce、(Y,G
a,Tb,La,Sm,Pr,Lu)3(Al,Ga)512:Ce等のCe付活アルミン酸
塩蛍光体、Ca3Sc2Si312:Ce、Ca3(Sc,Mg,Na,Li)2Si312:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaSc24:Ce等のCe付活酸化物蛍光体、SrSi222:Eu、(Sr,Ba,Ca)Si222:Eu、Eu付活βサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、BaMgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、SrAl24:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)22S:Tb等のTb付活酸硫化物蛍光体、LaPO4:Ce,Tb等のCe,Tb付活リン酸
塩蛍光体、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al等の硫化物蛍光体、(Y,G
a,Lu,Sc,La)BO3:Ce,Tb、Na2Gd227:Ce,Tb、(Ba,S
r)2(Ca,Mg,Zn)B26:K,Ce,Tb等のCe,Tb付活硼酸塩蛍光体、Ca8Mg(SiO4)4Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、(Sr,Ca
,Ba)(Al,Ga,In)24:Eu等のEu付活チオアルミネート蛍光体やチオガレ
ート蛍光体、(Ca,Sr)8(Mg,Zn)(SiO4)4Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
【0050】
また、緑色蛍光体としては、ピリジン−フタルイミド縮合誘導体、ベンゾオキサジノン系、キナゾリノン系、クマリン系、キノフタロン系、ナルタル酸イミド系等の蛍光色素、テルビウム錯体等の有機蛍光体を用いることも可能である。
【0051】
本実施形態において好適な青色蛍光体が発する蛍光の具体的な波長の範囲を例示すると、主発光ピーク波長が通常430nm以上、好ましくは440nm以上であり、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下、特に好ましくは460nm以下である。また、主発光ピークの半値幅が通常1nm以上、好ましくは10nm以上、特に好ましくは30nm以上で有り、また通常100nm以下、好ましくは80nm以下、特に好ましくは70nm以下である。
【0052】
このような青色蛍光体としては、規則的な結晶成長形状としてほぼ六角形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行うBaMgAl1017:Euで表されるユウロピウム付活バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行う(Ca,Sr,Ba)5(PO4)3Cl:Euで表されるユウロピウム付活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、規則的な
結晶成長形状としてほぼ立方体形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行う(Ca,Sr,Ba)259Cl:Euで表されるユウロピウム付活アルカリ土類クロ
ロボレート系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、青緑色領域の発光を行う(
Sr,Ca,Ba)Al24:Euまたは(Sr,Ca,Ba)4Al1425:Euで表されるユウロピウム付活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
【0053】
また、そのほか、青色蛍光体としては、Sr227:Sn等のSn付活リン酸塩蛍光
体、Sr4Al1425:Eu、BaMgAl1017:Eu、BaAl813:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、SrGa24:Ce、CaGa24:Ce等のCe付活チオガレート蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活アルミン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu、(Ba,Sr,Ca)5(PO4)3(Cl,F,Br,OH):Eu,
Mn,Sb等のEu,Tb,Sm付活ハロリン酸塩蛍光体、BaAl2Si28:Eu、(Sr,Ba)3MgSi28:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Sr227:Eu等のE
u付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Ag、ZnS:Ag,Al等の硫化物蛍光体、Y2Si
5:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaWO4等のタングステン酸塩蛍光体、(Ba,
Sr,Ca)BPO5:Eu,Mn、(Sr,Ca)10(PO4)6・nB23:Eu、2SrO・0.84P25・0.16B23:Eu等のEu,Mn付活硼酸リン酸塩蛍光体、Sr2Si38・2SrCl2:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
【0054】
また、青色蛍光体としては、例えば、ナフタル酸イミド系、ベンゾオキサゾール系、スチリル系、クマリン系、ピラゾリン系、トリアゾール系化合物の蛍光色素、ツリウム錯体等の有機蛍光体等を用いることも可能である。
【0055】
なお、上述の赤色、緑色、青色蛍光体は、所望の発光スペクトル、色温度、色度座標、演色性、発光効率などに応じて適宜組み合わせて用いてもよい。
【0056】
LED装置8において、LED素子3および蛍光部14は、通常、LED素子3の発光によって蛍光体が励起されて発光を生じ、この発光が、外部に取り出されるように配置される。このような構造を有する場合、上述のLED素子3および蛍光体14は、通常は透光性材料(封止材料)で封止保護される。具体的には、この封止材料は、上記蛍光部14に含まれることで蛍光体を分散させて発光部分を構成したり、LED素子3、蛍光体およびベース2間を接着する目的などで採用される。
【0057】
そして、使用される透光性材料としては、通常、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられるが、LED素子3はその出力光の波長が360nm〜430nmの近紫外領域にあるため、その出力光に対して充分な透明性と耐久性のある樹脂が封止材料として好ましい。そこで、封止材料として、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。また、無機系材料、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液又はこれらの組み合わせを固化した無機系材料、例えばシロキサン結合を有する無機系材料やガラスを用いることもできる。
【0058】
これらのうち、耐熱性、耐紫外線(UV)性等の点から、珪素含有化合物であるシリコーン樹脂や金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液またはこれらの組み合わせを固化した無機系材料、例えばシロキサン結合を有する無機系材料が好ましい。特に、以下の特徴(1)〜(3)のうち1つ以上を、好ましくは全てを有するシリコーン系材料やシリコーン樹脂(以下「本件のシリコーン系材料」と称す場合がある。)が好ましい。
【0059】
(1)固体Si−核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、下記(i)および/または(ii)のピークを少なくとも1つ有する。
(i)ピークトップの位置がケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク。
(ii)ピークトップの位置がケミカルシフト−80ppm以上、−40ppm未満の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上5.0ppm以下であるピーク。
(2)珪素含有率が20重量%以上である。
(3)シラノール含有率が0.01重量%以上、10重量%以下である。
【0060】
ここで、上記封止剤としてのシリコーン系材料については、上記の通り、珪素含有率が20重量%以上であるものが好ましい。従来のシリコーン系材料の基本骨格は炭素−炭素及び炭素−酸素結合を基本骨格としたエポキシ樹脂等の有機樹脂であるが、これに対し本件のシリコーン系材料の基本骨格はガラス(ケイ酸塩ガラス)などと同じ無機質のシロキサン結合である。このシロキサン結合を有するシリコーン系材料は、(I)結合エネルギーが大きく、熱分解・光分解しにくいため、耐光性が良好である、(II)電気的に若干分極している、(III)鎖状構造の自由度は大きく、フレキシブル性に富む構造が可能であり、シロキサン鎖中心に自由回転可能である、(IV)酸化度が大きく、これ以上酸化されない、(V)電気絶縁性に富む等の優れた特徴を有する。
【0061】
これらの特徴から、シロキサン結合が3次元的に、しかも高架橋度で結合した骨格で形成されるシリコーン系材料は、ガラス或いは岩石などの無機質に近く、耐熱性・耐光性に富む保護皮膜となることが理解できる。特にメチル基を置換基とするシリコーン系材料は、紫外領域に吸収を持たないため光分解が起こりにくく、耐光性に優れる。
【0062】
本件のシリコーン系材料の珪素含有率は、上述の様に20重量%以上であるが、中でも25重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。一方、上限としては、SiO2のみからなるガラスの珪素含有率が47重量%であるという理由から、通常47重量
%以下の範囲である。
【0063】
このように構成されるLED装置8は、間仕切り11で分割された二つの分割領域部12A、12Bにそれぞれ、4個のLED素子3を光源とする近紫外光によって励起される蛍光部14が設けられ、且つパッケージ1の内部において二つの分割領域部12A、12Bが、その出力光の出射口、即ち分割開口部13A、13Bを並べて一体的に設けられている。そして、各蛍光部14A、14Bからの出力光である白色光は、それぞれ分割開口部13A、13Bから外部に出射される。ここで、この分割開口部から放出される各白色光は、蛍光体を含む蛍光部14を介して得られるため、LED素子3A、3Bからの出力光が充分に散乱され、配光がランバーシアン的となり出射される。これにより、上記3種類の蛍光体からの一次光を合成して白色にすることができると共に、均一な白色が得られる。そのため、LED装置8が発する合成光においては均一な白色光と照度が得られることになる。
【0064】
ここで、分割領域部12Aから出力される白色光(以下、「白色光A」という。)と分割領域部12Bから出力される白色光(以下、「白色光B」という。)のスペクトルは、互いに異なるように、蛍光部14Aに含まれる蛍光体と蛍光部14Bに含まれる蛍光体とが適宜選択される。また、白色光A、Bに対応するxy色度図(CIE1931)上の色度点をWL、WHで表すものとすると、図4、5に示すように、色度点WLの相関色温度は
2600K、色度点WHの相関色温度は9000Kとする。また、色度点WLは、黒体輻射軌跡BBLからの偏差duvが+0.005であり、色度点WHは、黒体輻射軌跡BBL
からの偏差duvが+0.01であるとする。尚、図5は、図4の要部拡大図であり、図中に示されている黒体輻射からの偏差の範囲−0.02≦duv≦0.02は、UCS表色系(CIE1960)からxy色度図(CIE1931)上へ変換したものである。
【0065】
上記の場合において、分割領域部12Aからの白色光Aと分割領域部12Bからの白色光Bの相関色温度が異なるように設定し、且つ白色光A、Bに対応する色度点それぞれの黒体輻射軌跡BBLからの偏差duvを−0.02≦duv≦0.02に収めることで、LED装置8の出力光が実質的に黒体輻射軌跡BBLに沿っているといってよい。また、各分割領域部に設けられたLED素子3A、3Bの光出射時間、駆動電流値または電力量
といった駆動条件を制御することで、白色光A、Bごとにそのエネルギー比を自由に変化させ、LED装置8の最終的な出力光である合成光の色度点を、上記色度点WLと色度点
Hとを結ぶ直線上の任意の色度点に対応する相関色温度に調整することができる。即ち
、LED装置8においては、配線20A、20Bを介して、対応するそれぞれの分割領域部12A、12Bに設けられたLED素子3への供給電力をそれぞれ制御することで、LED装置8の出力光である合成光の相関色温度を2600Kから9000Kの間の任意値に調整できる。また、その合成光の色度点は実質的に黒体輻射軌跡BBLに沿っているため、人間の視覚に対して極めて自然に近い白色光を提供し、且つ2600Kから9000Kにわたって色温度を自在に可変すること、すなわちLED装置8における出力光の調色が可能となる。
【0066】
また、LED装置8において合成光としての白色光を出力するために、上述までの実施例では、LED素子3と赤色、緑色、青色蛍光体を組み合わせ、それを各分割領域部12に図1等に示すように配置した。勿論、白色光を出力するために、その他の半導体発光素子と蛍光体の組み合わせを採用し、各分割領域部12に配置するようにしてもよい。そこで、上述までのLED素子3と赤色、緑色、青色蛍光体との組み合わせを組み合わせAとすると、それ以外の白色光が得られる組み合わせとして、青色LED素子と赤色、緑色蛍光体との組み合わせ(組み合わせB)、青色LED素子と黄色蛍光体との組み合わせ(組み合わせC)も、図1等に示す分割領域部12に配置可能である。組み合わせBおよびCによって白色光を出力する技術そのものは公知のものであるので、それらの詳細な説明は省略する。
【0067】
ここで、上記組み合わせA、B、Cにおいて、蛍光体の濃度を調整することで得られる白色光の色温度と、その発光効率との相関を図6に示す。図6の横軸は色温度(K)を表し、縦軸は発光効率(lm/W)を表す。そして、図中の線LAは組み合わせAに対応し、線LBは組み合わせBに対応し、線LCは組み合わせCに対応している。図6から分かるように、上記3つの組み合わせの中で、組み合わせAに対応する線LAの傾きが最も小さく、ほぼ水平な直線状態になっており、組み合わせCに対応する線LCの傾きが最も大きくなっている。この各直線の傾きが大きくなるほど、色温度を変化させようとするとき、その発光効率が大きく変動することを意味する。
【0068】
従って、図示した直線の傾きの増大は、色温度を変化させた際にLED素子に供給する電力が一定のままであれば、LED素子の輝度が大きく変動することを意味する。換言すると、上記直線の傾きが比較的大きいときは、輝度を安定化させるためにLED素子への供給電力も確実に制御する必要性が高くなり、その結果LED装置8の駆動制御全体が煩雑になる可能性が高い。従って、安定した輝度のLED装置8を構成するためには、可及的に図6に示す直線の傾きが小さい組み合わせ、即ちLED素子3と対応する三色の蛍光体の組み合わせAを採用することが好ましい。但し、このことは、本発明に係るLED装置8に、組み合わせB、Cやその他のLED素子と蛍光体の組み合わせを適用することを排除するものではない。
【0069】
尚、組み合わせB、Cにおいての白色化は蛍光体励起源である青色LED素子の光そのものを青色光として混色に利用しているがために、低色温度領域を出すために赤や緑あるいは黄色の蛍光体量を増加させ、青色光の占める割合を減ずる必要がある。また、青色光は蛍光体変換光より効率がよいため、青色光の占める割合が減るほど効率が落ちることになる。一方、組み合わせAのごとくLED素子を用いた場合、近紫外光は殆ど白色化には寄与せず大半が蛍光体の励起に使用され、白色化はもっぱら青、緑、赤の蛍光体変換光となる。従って、色温度を変化させるために蛍光体の組成比を変えても発光効率には大きく影響が現れない。
【0070】
このように本実施例に係るLED装置8によれば、色温度が2600Kと9000Kの間の色温度となる白色光を容易に出力することが可能である。また、図2等に示す構造を採用することにより、各分割領域部12からの出力光の合成光が、照射面で分離する虞を十分に抑制することが可能である。
【0071】
ここで、上述に示すように構成され、2つの色温度間の色温度となる白色光を容易に出力できる、すなわち色温度がチューナブルなLED装置8と、このLED装置8を搭載するための回路基板31とを備える発光モジュール30の構成について、図7A及び図7Bに基づいて説明する。図7Aは、発光モジュール30の具体的構成を示す斜視図である。図7Bは、図7Aに示す発光モジュール上における5台のLED装置8の配置状態を模式的に示す図である。なお、図7Aにおいて、各LED装置8への電力供給系統については図示していない。また、図7Bにおいて、分割領域部12A,12Bのそれぞれを区別するために、便宜上、12Aに破線で模様を付している。発光モジュール30は、具体的には、環状の回路基板31上に、同様に環状に配置される。このとき、図7Bに示すように、5台のLED装置8は、回路基板31の中心Oを中心点として同一円周上に等角配置される。従って、隣接するLED装置8間の角度θ(以下、「所定配置角θ」と言う。)は、全て中心Oの一周360°をLED装置8の台数である5で除した角度、即ち72°となる。
【0072】
ここで、図7Bに示すように、各LED装置8における間仕切り11と、LED装置8が配置される環状の半径とは直交し、且つ分割領域部12Aが該環状の内側に位置し、分割領域部12Bが該環状の外側に位置するように、発光モジュール30においては5台のLED装置8の配置が行われている。その結果、発光モジュール30においては、隣接するLED装置8との間仕切り11の向きのずれは、LED装置8の開口部13の開口面内における一の回転方向に、上記所定配置角度θずつ回転された状態となる。これにより、分割領域部12Aと分割領域部12Bとの相対位置関係を代表する間仕切り11の向きが、LED装置8ごとに異なった状態となる。
【0073】
このように間仕切り11の向きを、所定配置角θずつ、ずらした状態で5台のLED装置8を配置することで、各LED装置8の分割領域部12Aと分割領域部12Bとからの発光がムラを抑えて合成されやすくなる。そのため、発光モジュール30からの発光として照射される光の、照射面における分離を回避することが可能となる。特に、LED装置8の開口部13発上に凸レンズ等のレンズ素子を設けた場合においても、発光の分離を回避することが可能となる。
【0074】
図8は、発光モジュール30の各LED装置8間における電気的な接続状態を模式化して示す図である。発光モジュール30においては、各LED装置8が有する5つの分割領域部12Aの配線20Aは互いに直列に接続される。同様に、5つの分割領域部12Bの配線20Bは互いに直列に接続される。このように各LED装置8のそれぞれの分割領域部12A、12Bを直列に接続することで、発光モジュール30の発光制御が容易なものとなる。
【0075】
本実施例では、各分割領域部12Aに対応する電極21Aの各々が電力供給導体層32A,32B(包括的に電力供給導体層32と称する場合もある。)に接触するように配置されている。電力供給導体層32A,32Bの詳細については後述するが、これらは回路基板31の主要な構成要素である。電力供給導体層32A,32Bは、各分割領域部12A,12Bを別の制御系統として各LED素子3に対して駆動電流(電力)を供給するものであり、本実施例では2系統になっている。すなわち、分割領域部12Aへの駆動電流が電流供給導体層32Aによって供給され、分割領域部12Bへの駆動電流が電流供給導体層32Bによって供給されており、それぞれに対応する各LED素子3への電流供給が
互いに独立して制御される。
【0076】
ここで、異なる制御系統の電流供給導体層32A,32B同士は、互いに絶縁体(図中、ハッチングにて図示)によって平面的に絶縁される。図中の符号34A,34Bは+極の外部端子部であり、符号35A,35Bは−極の外部端子部である。図8において、電流供給導体層32は矩形として表されているが、本図においては便宜的に矩形で表しているに過ぎない。また、各LED装置8のグラウンド線の図示は省略している。
【0077】
図9には、発光モジュール30の発光制御のために各LED装置8に供給される電流の一例が示されており、特に図9(a)は電流供給導体層32Aを介して各LED装置8の分割領域部12A内に配置されるLED素子3Aに供給される電流の推移を示している。また、図9(b)は電流供給導体層32Bを介して各LED装置8の分割領域部12B内に配置されるLED素子3Bに供給される電流の推移を示している。本実施例では、各LED素子3には、矩形状の電流が供給され、且つLED素子3A側に供給される電流量と、LED素子3B側に供給される電流量の総和は一定になるように制御される。尚、図9に示す状態は、LED素子3A側に供給される電流量は該総和の25%であり、LED素子3B側に供給される電流量は該総和の75%である。その結果、各LED装置8の分割領域部12Aからの発光強度と各LED装置8の分割領域部12Bからの発光強度との比は、1:3となる。
【0078】
このようにLED素子3A側に供給される電流量と、LED素子3B側に供給される電流量の総和を一定にしながら、各半導体発光素子3側に供給される電流量の比を調整することで、発光モジュール30としての発光強度は一定としながら、分割領域部12Aと分割領域部12Bからの発光強度の比率を変化させることができる。その結果、図4及び図5に示したように、発光モジュール30の出力光を、発光強度を一定のままで、その相関色温度を2600Kから9000Kの間の任意値に調整できる。また、上述したように、その合成光の色度点は実質的に黒体輻射軌跡BBLに沿っているため、人間の視覚に対して極めて自然に近い白色光を提供し、且つ2600Kから9000Kにわたって色温度を自在に可変することが可能となる。
【0079】
尚、分割領域部12Aと分割領域部12Bからの発光強度の比率の変化については、段階的に変化させてもよく、また連続的に変化させてもよい。前者の場合は、発光モジュールの出力光は、相関色温度が異なる複数の出力光を有し、ユーザがいずれかの相関色温度の出力を選択する等して、該発光モジュール30を利用する。また後者の場合は、ユーザが好みの相関色温度となるように任意の比率を選択する等して、該発光モジュール30を利用する。もっとも、LED素子3A、3Bの駆動制御については、上述以外の駆動制御も採用可能である。例えば、LED素子3A、3Bへの供給電流量の総和を一定にせず、近紫外LED素子ごとに独立に電力供給することにより、各々の入力電流を制御するようにしてもよい。
【0080】
図9で説明した一態様のように、発光モジュール30では、その出力光を、発光強度を一定のまま、分割領域部12Aと分割領域部12Bからの発光強度の比率を変化させることができる。これによって、発光モジュール30として出力する出力光の色温度を自在に且つ容易に可変とすることができる反面、分割領域部12Aと分割領域部12Bとにおける発光強度の比率を相違させることに伴って各LED装置8における局所的な熱集中が起こりやすい。そうすると、LED素子3の温度上昇に伴う発光効率の低下や、LED素子3の熱劣化などの問題が、いわゆる調色を不可とする半導体発光装置に比べて、顕在化し易い。そこで、本実施例における発光モジュール30では、各LED装置8において発生する熱をより効率的に外部に逃がし、放熱性能を向上させるべく、特にLED装置8を搭載するための回路基板31の構成について工夫した。
【0081】
図10は、発光モジュール30の上面を模式化して示した図である。図11は、図10のA−A切断線を含む断面を模式的に示した図である。図12は、回路基板31における電流供給導体層を示す図である。図13は、発光モジュール30と放熱用ハウジング部材50とレンズ60とを含む照明器具DLを示す図である。
【0082】
図10に示すように、発光モジュール30における回路基板31は、LED装置8を搭載(実装)するための基板であり、本実施例では5個のLED装置8を搭載する。本実施例において回路基板31は略円状を呈している。より詳しくは、回路基板31の中心部Oは円形の孔が形成されることで、環状(ドーナツ状)となっている。但し、回路基板31の形状はこれに限られず、他の形状を採用してもよい。回路基板31の上面(最表層)は、絶縁樹脂層37(一例として、ソルダーレジスト)によって覆われており、LED装置8が実装される部位、より具体的にはLED装置8側の電極と接合される部分だけが下層の電流供給導体層32が露出している。尚、図10に示す放射状の破線は、後述する絶縁体33を示すものである。この絶縁体33は、絶縁樹脂層37の下層に位置する。
【0083】
回路基板31の積層方向の構成について図11を参照して説明する。尚、図11において、LED装置8におけるベース2の上部構造については図示を省略している。図11に示すように、回路基板31は、各LED装置8を取り付けるための土台となり且つ熱伝導材料を用いて形成された基材部36を有する。本実施例では、アルミニウムを用いて基材部36を構成しているが、これに限定されるものではない。基材部36の表面には絶縁樹脂層36Aが形成されている。この絶縁層36Aは、例えばPEEK(ポリエーテルエーテル
ケトン)に代表されるレジンやエポキシ樹脂などを用いることができる。
【0084】
絶縁層36Aの上には、電流供給導体層32が積層されており、基材部36のほぼ全面を覆うように形成されている(図12参照)。図12において、破線部分は、図10に示すようにLED装置8の外形および電極位置、外部端子位置を仮想線にて示すものである。本実施例における電流供給導体層32は、例えば電気伝導性の優れた銅箔を用いているが、その他の電気伝導性材料を用いることもできる。図8で説明したように、本実施例において、各分割領域部12に含まれるLED素子3に供給する駆動電流の制御系統は2系統である。以下、電流供給導体層のうち、分割領域部12AにおけるLED素子3Aに対応する制御系統の駆動電流を供給する32Aを「第1電流供給導体層」とし、分割領域部12BにおけるLED素子3Bに対応する制御系統の駆動電流を供給する32Bを「第2電流供給導体層」とする。第1電流供給導体層32Aと、第2電流供給導体層32Bとは、駆動電流の経路が互いに区画されており、各駆動電流の経路毎に異なる制御系統の駆動電流が流れるようになっている。
【0085】
図12に示すように、第1電流供給導体層32A及び第2電流供給導体層32Bは、概略、環状に形成された絶縁体(以下、「環状絶縁体」と称する。)33Aによって、互いに絶縁されている。言い換えると、環状絶縁体33Aによって、駆動電流の流れる経路が互いに異なる第1電流供給導体層32A及び第2電流供給導体層32Bが、基材部36の面内方向において平面的に区画されている。その結果、第1電流供給導体層32A及び第2電流供給導体層32、即ち制御系統が異なる前記電力供給導体層の領域同士が、互いに上下に重ならないように(積層されないように)形成される。この図では、環状絶縁体33Aを境に内側に第1電流供給導体層32A(格子ハッチング)が配置され、外側に第2電流供給導体層32B(横ハッチング)が配置されている。尚、図12においては各外部端子が形成される部分、および、LED装置8の電極21と半田接合させる接合部分などを仮想線によって示している。
【0086】
回路基板31(基材部36)の径方向には、放射状に、6本の絶縁体(以下、「放射状
絶縁体」と称する。)33B〜33Gが設けられている。この放射状絶縁体33B〜33Gにより、第1電流供給導体層32Aが6つの導体領域A1〜A6に分割(区画)され、且つ、第2電流供給導体層32Bが6つの導体領域B1〜B6に分割(区画)される。放射状絶縁体33B〜33G(第二絶縁体)は、電力供給導体層32における平面領域のうち、環状絶縁体33Aによって区画された領域、即ち、駆動電流の制御系統が同一の部分同士を更に平面的に区画する。LED装置8は、一の放射状絶縁体33B〜33Fの上部を跨ぐように回路基板31に搭載される。これにより、放射状絶縁体33B〜33Fによって区画される第1電流供給導体層32A同士(例えば、導体領域A1とA2の組み合わせ)がLED装置8のベース2の下面に形成された一組の電極21A,21A、及び配線20A(内部配線)を介して電気的に接続される。同様に、第2電流供給導体層32B同士(例えば、導体領域B1とB2の組み合わせ)が、LED装置8のベース2の下面に形成された一組の電極21B,21B、及び配線20B(内部配線)を介して電気的に接続される。つまり、各電流供給導体層32A,32Bにおいて、放射状絶縁体33B〜33Fによって区画される一方の領域と他方の領域とが、LED装置8の内部配線によって導通される。これにより、コンパクトで放熱に優れた発光モジュール30を実現することができる。
【0087】
図11に示すように、基材部36上に積層される電流供給導体層32には、更に絶縁樹脂層37が積層されている。図10に示すように、第1電流供給導体層32Aにおいては、+外部端子部34A及び−外部端子部35Aが形成される部分、及び、各LED装置8におけるベース2下面に形成された電極21Aと半田接合させる部分が露出しており、その他は絶縁樹脂層37によって被覆されている。
【0088】
一方、第2電流供給導体層32Bにおいては、+外部端子部34B及び−外部端子部35Bが形成される部分、及び、各LED装置8におけるベース2下面に形成された電極21Bと半田接合させる部分が露出しており、その他は絶縁樹脂層37によって被覆されている。その他、電気の逆流防止用に設けられるツェナーダイオード等の電力制御用電子部品(図示省略)を配置する部分についても、電流供給導体層32を露出させておくとよい。もっとも、このような電力制御用電子部品は、必ずしも回路基板31上に設置する必要はなく、回路基板31の外部に設置しても良い。また、電力制御用電子部品をLED装置8の内部に配置するようにしても良い。
【0089】
前述したように回路基板31に搭載された各LED装置8は、環状に、且つ中心Oを中心点として同一円周上に等角配置されている(図7Bを参照)。そして、隣接するLED装置8間の所定配置角θは72°である。図10において、5台のLED装置8を、+外部端子部34A,34Bに近いものからそれぞれ順に、LED装置8A〜8Eと定義する。
【0090】
以上、図10〜12を参照して説明したように、本実施例における回路基板31(基材部36)では、絶縁体33によって平面領域が区画された電流供給導体層32は、各LED装置8において互いに対応する分割領域部12に係る配線20同士、詳しくは、LED素子3を実装する配線20のうち駆動電流の制御系統が同一のもの同士を互いに直列接続する。
【0091】
具体的には、各LED装置8の分割領域部12A側、即ちLED素子3Aに対応する駆動電流の制御系統(以下、「第1制御系統」という。)では、+外部端子部34Aからの駆動電流は、A1→8Aの分割領域部12A→A2→8Bの分割領域部12A→A3→8Cの分割領域部12A→A4→8Dの分割領域部12A→A5→8Eの分割領域部12A→A6と経由し、−外部端子部35Aに至る。また、各LED装置8の分割領域部12B側、即ちLED素子3Bに対応する駆動電流の制御系統(以下、「第2制御系統」という
。)では、+外部端子部34Bからの駆動電流は、B1→8Aの分割領域部12B→B2→8Bの分割領域部12B→B3→8Cの分割領域部12B→B4→8Dの分割領域部12B→B5→8Eの分割領域部12B→B6と経由し、−外部端子部35Bに至る。これにより、各LED装置8では、その電力制御系統ごとに独立した発光制御が実現される。以上より、各LED装置8の分割領域部12Aと分割領域部12Bの夫々には、電流供給導体層32の互いに異なる経路を通じて、制御系統の異なる駆動電流が独立して供給される。
【0092】
そして、上記発光制御に起因する各LED装置8での発熱は、各LED装置8の電極21A,21B、或いは、ベース2の下面に設けた不図示の排熱用金メッキ部を介して電流供給導体層32に伝えられる。なお、回路基板31側には、LED装置8を実装した状態において、ベース2の下面に形成される熱伝導用の金めっきと半田接合するランド(図示せず)が形成されるように、電流供給導体層32を露出させておくとよい。この場合には、第1電流供給導体層32A及び第2電流供給導体層32Bが短絡しないようにランドを形成するとよい。
【0093】
電流供給導体層32は、熱伝導性材料によって基材部36のほぼ全面にわたって面状に形成されている。従って、電流供給導体層32が各LED装置8から奪った熱を、回路基板31(基材部36)の面内方向への広がりをもたせて逃がすことができる。すなわち、LED装置8において局所的に集中した熱を、基材部36における面内方向に好適に分散させつつ、効率的にLED装置8から熱を奪うことができる。
【0094】
ここで、基材部36の全表面積に対する電流供給導体層32が形成される部分の面積比率(以下、「導体層占有面積比率」という)が高いほど、LED装置8の放熱性能を高めることができる。基材部36の面積が等しければ、導体層占有面積比率が高いほど、LED装置8からより多くの熱を効果的に奪うことができるからである。そのため、本実施例では、LED装置8の放熱効率が規定のレベルを満足するように導体層占有面積比率が設定されており、その値は好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上とすると良い。
【0095】
また、本実施例における発光モジュール30では、各LED装置8を回路基板31上に環状に、且つ中心Oを中心点として同一円周上に等角配置し、且つ、隣接するLED装置8との間仕切り11の向きのずれが開口部13の開口面内における一の回転方向に所定配置角度θずつ回転された状態となっている。本実施例では、このようなLED装置8の配置パターンに対して、図12に示す如く、電流供給導体層32を、LED装置8に供給される駆動電流の制御系統ごとに、中心O(所定の基準点)を中心に同心円状に配置されるように、絶縁体33を用いて平面領域を平面的に区画するようにした。
【0096】
これにより、第1電流供給導体層32A及び第2電流供給導体層32Bが、回路基板31(基材部36)の平面内において散在することなく、まとまって整然と分布するようになる。これによれば、駆動電流の制御系統別に電流供給導体層32を区画するために必要な絶縁体33の使用量をより少なくすることができる。従って、上述した導体層占有面積比率を可及的に高くすることが可能となり、以ってLED装置8の放熱性能の向上に寄与することができる。また、上述の如く絶縁体33の使用量をより少なくすることができるため、製造コスト削減の観点からも有益である。尚、第1電流供給導体層32A及び第2電流供給導体層32Bを、中心点O以外の基準点を中心として同心円状に配置しても良い。
【0097】
また、各図から判るように、回路基板31上における各外部端子部34A、34B、35A、35B(これらの各端子部を包括的に参照する場合は外部端子部34と称する。)
は、それぞれ隣接して配置されているので、外部電源と接続される各配線をまとめることができる。よって、この実施形態は照明器具DLの全体設計に関する自由度を向上させる観点からも好ましい形態の一つである。
【0098】
また、図11及び図13に示すように、本実施例に係る回路基板31には、LED装置8から奪った熱を大気中に放熱(放散)させるための放熱用ハウジング部材50が取り付けられる。放熱用ハウジング部材50は、発光モジュール30を保持するための筐体である。更に、この放熱用ハウジング部材50は、基材部36と同様に熱伝導性の優れた材料(例えば、アルミニウム)を用いており、基材部36(LED装置8)側から伝導される熱を大気中に放散させるための放熱促進部材としても機能する。放熱用ハウジング部材50は、主に放熱促進部材としての役割を担う放熱フィン部51と、筐体としての役割を担うハウジング部52とを含んで構成されている。ハウジング部52は、円形状を有する中底部52Aから円筒側壁部52Bが放熱フィン部51と逆側に向かって立ち上がるように形成されている。円筒側壁部52Bの内径は回路基板31(基材部36)の外径と略等しく、回路基板31が放熱用ハウジング部材50に装着される際に、円筒側壁部52Bと回路基板31外周との間に僅かにクリアランスが形成されるようになっている。
【0099】
本実施例では、基材部36において、LED装置8が搭載されない側の面(以下、「非搭載面」という)36Bに放熱用ハウジング部材50が熱的に接触するように取り付けられる。具体的には、基材部36における非搭載面36B及び放熱用ハウジング部材50における中底部52Aの界面には、サーマル・インターフェース・マテリアル(TIM)38を介在させるようにした。通常、放熱用ハウジング部材50と基材部36における熱膨張率が異なる。そこで、TIM38のように変形能(追従能)を有する材料を基材部36及び放熱用ハウジング部材50の界面に介在させることで、熱膨張率の差に起因する双方の部材の損傷を防ぐようにしている。また、このようにTIM38を介在させることにより、放熱用ハウジング部材50及び基材部36の何れかの面精度(平滑度)が仮に低いとしても、基材部36から放熱用ハウジング部材50へと円滑な熱伝達を行うことができる。なお、円筒側壁部52Bと回路基板31(基材部36)外周との間に形成される僅かなクリアランスを埋めるようにTIM38を配置しても良い。これにより、発光モジュール30と放熱用ハウジング部材50との間の伝熱効率を一層高めることができる。
【0100】
このようにして、LED装置8による発熱が、発光モジュール30の回路基板31における電流供給導体層32、基材部36を介して放熱用ハウジング部材50へと伝えられ、その熱が放熱フィン部51から大気中への放出されることで発光モジュール(LED装置8)の放熱が促進される。本実施例における回路基板31、発光モジュール30、及び照明器具DLによれば、調色可能なLED装置8において発生した熱の放熱性能を好適に向上させることができる。よって、LED装置8における局所的な温度上昇に伴う発光効率の低下や、熱劣化を抑制することが可能となる。
【0101】
なお、本実施例における照明器具DLは、特定の種類に限定されるものではないが、ダウンライト(たとえば、LEDシェルフダウンライト等)として好適に適用することができる。例えば、放熱用ハウジング部材50の放熱フィン部51を、棚や天井の内側に埋め込み、隠すことで、美観を損なわずにLED装置8の放熱性能を高めることができる(ハウジング部52も埋め込むようにしても勿論構わない)。なお、発光モジュール30、放熱用ハウジング部材50、レンズ60の各々は、公知の種々の方法を用いて固定することができる。例えば、図13に示すように、放熱用ハウジング部材50における中底部52Aの中央に形成されている接続用孔と、回路基板31の中央に形成されている接続用孔とを、図示しない固定用治具(例えば、ねじ等)を介して固定しても良い。また、レンズ60と放熱用ハウジング部材50とに関しては、レンズ60枠の外周面及び円筒側壁部52Bの内周面にねじ溝を形成し、これらを互いに螺合することでレンズ60を放熱用ハウジ
ング部材50に取り付けても良い。また、レンズ60の機能、仕様などは特に限定されるものではなく、例えば集光レンズ、拡散レンズ等を採用することができる。
【0102】
<変形例>
次に、本実施例における発光モジュール30の第1の変形例について、図14を参照して説明する。図14は、回路基板31AにLED装置8が実装された状態を示す図であるが、LED装置8と電流供給導体層32との関係を判りやすくするために、便宜上、絶縁樹脂層37の図示を省略して絶縁樹脂層37の下層にある電流供給導体層32を図示している。図14では、パッケージ1の内部が3つの分割領域部12A〜12Cに分割されているLED装置8を回路基板31Aに搭載する例を説明する。分割領域部12A〜12Cからの各出力光は、たとえば赤色、緑色、青色となるように、半導体発光素子及び蛍光体の組み合わせが適宜調節されており、LED装置8からは白色の合成光が出力される。
【0103】
図14に示す例では、3台のLED装置8が回路基板31Aに設置される。各LED装置8の回路基板31Aへの搭載方法については、上述までの内容と同様である。すなわち、3台のLED装置8は、回路基板31Aの中心Oを中心点として同一円周上に等角配置されている。そして、隣接するLED装置8間の所定配置角θは、360°をLED装置8の台数である3で除した角度、即ち120°となっている。ここで、各LED装置8において、図中の「R」、「G」、「B」の表記が、分割領域部12A〜12Cの各々に対応する。各LED装置8において、回路基板31Aの中心O側から径方向外側に向かって、分割領域部12A〜12Cが順に配置されている。
【0104】
本変形例においても、各分割領域部12A〜12Cに対応する駆動電流の制御系統ごとに電流供給導体層32が絶縁体33によって平面的に区画されていることで、制御系統毎に駆動電流の供給経路が区分されている。本変形例ではLED素子3へ供給する駆動電流の制御系統数が3であるため、電流供給導体層32を2つの環状絶縁部材33H,33I(第一絶縁体)によって区画する。これにより、第1電流供給導体層32A〜第3電流供給導体層32Cが、回路基板31Aの平面内において中心点Oを基準として同心円状に配置される。
【0105】
回路基板31A(基材部36)の径方向には、放射状に、4本の放射状絶縁部材33J〜33M(第二絶縁体)が配置されている。そして、この放射状絶縁部材33J〜33Mによって、第1系統電流供給導体層32Aが4つの導体領域A1〜A4に区画され、第2電流供給導体層32Bが4つの導体領域B1〜B4に区画され、第3電流供給導体層32Cが4つの導体領域C1〜C4に区画される。尚、図中の導体領域C1に含まれる符号34Cは、各LED装置8の分割領域部12Cに対応するLED素子3に供給する電力を外部から入力するための+外部端子部である。また、導体領域C4に含まれる符号35Cは、各LED装置8の分割領域部12Cに対応する−外部端子部を表す。
【0106】
以上のように、図14では、LED装置8におけるパッケージ1内部の分割数、すなわちLED素子に供給する駆動電流の制御系統の数が異なる変形パターンに関する実施形態を説明した。このような変形パターンにおいても、回路基板31Aの基材部36を覆うように面状に形成された電流供給導体層32を介して、各LED装置8における発熱、特に分割領域部12ごとに局所的に集中して発生した熱を、効率的に基材部36へと逃がすことができる。これにより、LED装置8の放熱性能が向上し、以ってLED装置8における局所的な熱集中に伴う発光効率の低下や、熱劣化を好適に抑止することができる。
【0107】
次に、本実施例における発光モジュール30の第2の変形例について、図15を参照して説明する。図15に示した発光モジュール30は、複数ではなく単一のLED装置8が回路基板31Bに搭載されている。図15においても、図14と同様、回路基板31Bに
LED装置8が実装された状態を示す図であるが、LED装置8と電流供給導体層32との関係を判りやすくするために、便宜上、絶縁樹脂層37の図示を省略して絶縁樹脂層37の下層にある電流供給導体層32を図示している。また、図中の太い破線は、電流供給導体層32を平面的に絶縁して区画する絶縁体である。本変形例において、発光モジュール30から発光される発光量を充分に確保するために、各分割領域部12A,12BにおいてLED素子3A、3Bを設置する数を、増やしてもよい。
【0108】
この図において、回路基板31B(基材部36)は円形状を有する。回路基板31Bの厚さ方向(積層方向)の基本構成は、図11において説明したものと同様である。基材部36上には、そのほぼ全面に亘って電流供給導体層32が基材部36を覆うように面状に形成される。図中の符号33X、33Y、33Zは既述した絶縁体を表す。絶縁体33Zは、基材部36の外縁に沿って配置されている。絶縁体33X,33Yは、基材部36の面内領域を4等分するように直交する十字型に配置されている。
【0109】
基材部36の面内方向(平面方向)に関しては、上記絶縁体33が配置される部分を除く領域に電流供給導体層32が形成される。そして、この電流供給導体層32は、絶縁部材33Xによって第1電流供給導体層32A及び第2電流供給導体層32Bに区画されている。これらの用語の意味については既に説明済みのため、その説明については省略するが、第1電流供給導体層32Aが分割領域部12A側の制御系統に対応し、第2電流供給導体層32Bが分割領域部12B側の制御系統に対応する。
【0110】
また、絶縁体33Yにより、第1電流供給導体層32Aが導体領域A1、A2に2分(区画)され、且つ、第2電流供給導体層32Bが導体領域B1、B2に2分(区画)されている。尚、実施例1と同様、電流供給導体層32の上部は、LED装置8の電極21A,21Bが配置される箇所、外部端子部34A,34B,35A,35Bが形成される箇所を除いて、絶縁樹脂層37が積層されることで被覆される。
【0111】
この構成では、+外部端子部34Aから供給される第1制御系統の駆動電流は、導体領域A1→電極21A→分割領域部12A→電極21A→導体領域A2と経由し、−外部端子部35Aに至る。また、+外部端子部34Bから供給される第2制御系統の駆動電流は、導体領域B1→電極21B→分割領域部12B→電極21B→導体領域B2と経由し、−外部端子部35Bに至る。これにより、LED装置8ではその駆動電流の制御系統ごとに、すなわち分割領域部12A,12Bごとに独立した発光制御が実現される。そして、LED装置8に係る放熱性能に関しては、既述の実施形態と同様、LED装置8からの熱が電流供給導体層32(32A,32B)へと伝えられるところ、この変形例においても電流供給導体層32が基材部36のほぼ全面にわたって形成されているため、LED装置8の熱を効率良く基材部36に輸送することができる。従って、LED装置8における放熱性能が向上し、LED装置8における局所的な熱集中に伴う発光効率の低下、熱劣化等を好適に抑制することが可能となる。
【0112】
これまでに説明した実施の形態では、回路基板(基材部)の形状が円形状である場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、種々の形状を採用しても勿論構わない。ここでは図16及び図17を参照して、発光モジュール30の第3の変形例について説明する。なお、図16に示す発光モジュール30では、3台のLED装置8が回路基板31Cに搭載されている。図14で説明した配置例と同様、3台のLED装置8は回路基板31C(基材部316)の中心Oを中心点として同一円周上に等角配置されており、隣接するLED装置8間の所定配置角θは120°である。なお、各LED装置8は、図12で説明したものと同等であり、詳しい説明は省略する。また、本変形例においても、基材部316の平面内において電流供給導体層32が、絶縁体33によって第1電流供給導体層32A(格子ハッチング)及び第2電流供給導体層32B(横ハッチング)に平面的に
区画されている。
【0113】
図16に示すように、回路基板31C(基材部316)は、円形から弓形(segment)
の切り欠き部(以下、「弓形切り欠き部」という。)を切り欠いた形状(以下、「切り欠き円形状」という。)に形成されている。弓形切り欠き部は、円弧及びこれに対応する弦によって囲まれた領域である。この図の例では、中心Oを挟んで対称位置(中心O周りに180°ずれた位置)に一対の弓形切り欠き部311A,311B(これらの弓形切り欠き部を包括的に参照する場合は弓形切り欠き部311と称する。)が設けられている。
【0114】
このように、回路基板310(基材部316)を切り欠き円形状として構成することにより、以下の点で有効である。すなわち、図示のように、回路基板31上における各端子部34を弓形切り欠き部311の近傍にそれぞれ隣接して配置させることにより、外部電源と端子部34とを接続する配線を挿通させるための空間として弓形切り欠き部311を利用することができる。この配線は、弓形切り欠き部311を通って放熱用ハウジング部材50における中底部52A側に導かれる。中底部52A側には、各端子部34に接続された配線を通すための貫通孔(図示省略)が設けられており、この貫通孔を介して配線が外部電源(例えば、定電流回路等)に接続される。このように、回路基板31C上において各外部端子部34を互いに隣接させて纏めて配置することにより、LED装置8、及び他の電子部品(ツェナーダイオード等)との相互干渉を回避し、限られた搭載スペースを有効に活用することができる。
【0115】
また、照明器具DLの外観(デザイン)に関して、一般にユーザ(使用者)は、鋭角な角部を有する形状に比べて、円形状もしくはそれに近い多角形状を感覚的、心理的に好む傾向がある。たとえば、角張った形の照明器具に比べて丸い形の照明器具の方が眺めたときのストレスが少なく、丸い形の照明器具を好む傾向がある。その点、回路基板31Cを一部切り欠き円形状に形成した場合においても、円筒形状の円筒側壁部52を備えた放熱用ハウジング部材50に好適に装着することができるため、ユーザによる感覚面、心理面からの好みに合致した外観を有する照明器具DLを提供することができる。また、丸い外観を有する照明器具DLがユーザに好まれるという上記理由から、円筒形状を有する筐体が既製品(汎用品)として多く流通している。そして、照明器具DL全体の製造コストのうち、放熱用ハウジング部材50のコストが占める割合は比較的高いという実情がある。このような実情に対して、切り欠き円形状に形成された回路基板31Cによれば、市場に多く流通している汎用品としての筐体に容易に装着することができる。よって、照明器具DLにおける製造コストの軽減効果が期待できる。
【0116】
また、回路基板31C(基材部316)を一部切り欠き円形状として形成することにより、基材部316の原材料(例えば、アルミニウム板)Sから基材部316を切り出す際、無駄となる部分の面積を、例えば基材部316を円形状とする場合に比べて好適に減らすことができる(図17を参照)。これにより、同量の原材料(例えば、同じ大きさのアルミニウム板)Sから、より多数の基材部316を製造することができる。よって、回路基板310一個あたりに要する製造コストを好適に抑制することができる。但し、回路基板31C(基材部316)を一部切り欠き円形状とすることは好適な態様の一つであるが、本発明の適用がこれらに限定される趣旨のものではなく、既に説明した円形状や、多角形状、その他の形状としても良いのは勿論である。また、基材部316を一部切り欠き円形状とする場合、弓形切り欠き部を設ける個数は特に限定されない。すなわち、図16に示した2個に限定されず、3つ以上の弓形切り欠き部を設けても良いし、単一の弓形切り欠き部を設けても良い。
【0117】
<実施例2>
次に、本実施の形態における実施例2について説明する。実施例2における発光モジュ
ール30の回路基板31Dは、実施例1において説明した回路基板31と基本構成を等しくし、既に説明した部材については、同じ符号を付与することでその説明を省略する。本実施例における回路基板31Dは、各LED装置8を搭載する態様が実施例1と相違する。
【0118】
図18は、実施例2に係る回路基板31Dの電流供給導体層32を示す図である。図19は、実施例2に係る回路基板31Dに各LED装置8が搭載された状態を示す図である。実施例2に係る回路基板31Dにおいても、実施例1の回路基板31と同様に、基材部36の表面に絶縁樹脂層36A、電流供給導体層32、絶縁樹脂層が順次積層されており、電流供給導体層32の平面領域が絶縁体330によって平面的に区画されている。また、回路基板31Dは、各LED装置8を環状に且つ中心Oを中心点として同一円周上に等角配置する点で、実施例1における回路基板31と共通する。 尚、図18において、外
部端子が形成される部分、および、LED装置8におけるベース2の下面に形成される電極と半田接合させる接合部分などを仮想線によって示した。
【0119】
図19では、回路基板31Dに対して3個(3台)のLED装置8を搭載している。そして、隣接するLED装置8間の所定配置角θは、中心Oの一周360°をLED装置8の台数である3で除した120°となるように、各LED装置8が中心Oを中心点として同一円周上に等角配置されている。図19では、図14等と同様に、LED装置8と電流供給導体層32との関係を判りやすくするために、便宜上、絶縁樹脂層37を透視して電流供給導体層32のパターンを示している。すなわち、絶縁樹脂層37によって上面が覆われている電流供給導体層32や絶縁体330を便宜上図示することとした。
【0120】
本実施例に係る回路基板31Dにおいても、電流供給導体層32が基材部36のほぼ全面を覆うように形成されており、この電流供給導体層32は更に、分割領域部12Aに対応する第1電流供給導体層32A(図中、格子ハッチング)と分割領域部12Bに対応する第2電流供給導体層32B(図中、斜めハッチング)とに絶縁体330(図中、太実線)によって平面的に区画されている。絶縁体330は、実施例1で説明した絶縁部材33と同様の機能を有する。
【0121】
本実施例における回路基板31Dでは、各LED装置8における分割領域部12Aと分割領域部12Bとを区画する間仕切り11が、回路基板31D(基材部36)の径方向に沿うように配置されている点で、実施例1と相違する。このように、本実施例では、各LED装置8の分割領域部12A、12B同士を区画する間仕切り11が円周方向ではなく、径方向に沿って配置される関係上、第1電流供給導体層32Aおよび第2電流供給導体層32Bを同心円状の配置方法は採用していない。回路基板31Dにおける各LED装置8の配置パターンは、実施例1に係る回路基板31での配置パターンを基準にしてちょうど90°回転させた状態に概ね等価であり、各LED装置8の近傍における絶縁体330の形状は図示のように概ね卍(まんじ)形を呈している。
【0122】
実施例2では、第1電流供給導体層32Aおよび第2電流供給導体層32Bをより整然と区画するために、間仕切り11に対する分割領域部12Aと分割領域部12Bとの相対位置関係を、各LED装置8で統一している。図19に示す例では、各LED装置8を中心O側から眺めた場合に、間仕切り11を境にして時計回り進行方向側に分割領域部12Bを配置し、逆側に分割領域部12Aを配置している。但し、これら分割領域部12A、12Bの配置に関する位置関係を逆にしても良い。これにより、電流供給導体層32が第1電流供給導体層32Aおよび第2電流供給導体層32Bの夫々に整然と区画することができ、回路基板31Dの搭載スペースの有効活用を果たすことができ、発光モジュール30のコンパクト設計も可能となる。
【0123】
以上のように、実施例2における発光モジュール30の回路基板31Dにおいては、各LED装置8の分割領域部12Aと分割領域部12Bの境界部(すなわち、間仕切り11)が、回路基板31Dの径方向に沿うように各LED装置8を配置することが可能となる。このような配置パターンによれば、各LED装置8の分割領域部12Aと分割領域部12Bとからの射出光が実施例1に比べて一層混合されやすくなり、色むらをより効果的に抑えることができる。したがって、発光モジュール30による発光の混色状態がより一層良好なものとなる。また、本実施例においても、電流供給導体層32が面状に形成されているため、発光モジュール30の放熱を効果的に促進できるという効果は、実施例1と同様に奏することができる。
【0124】
以下、実施例2における回路基板のバリエーションについて説明する。図20乃至図22は、実施例2の第1乃至第3の変形例に係る回路基板に各LED装置8が搭載された状態を示す図である。図20及び図21は、概略、回路基板31Dに対して搭載されるLED装置8の数のみが図19と相違する。図19と同様に、便宜上、絶縁樹脂層37を透視して、本来、絶縁樹脂層37によって被覆されている部分の電流供給導体層32のパターンも図示している。
【0125】
図20では5個(5台)のLED装置8が回路基板31Eに搭載されている。この場合、隣接するLED装置8間の所定配置角θは中心Oの一周360°をLED装置8の台数である5で除した72°となるように、各LED装置8が中心Oを中心点として同一円周上に等角配置されている。その他に関しては、図19に示す構成例と概ね同様であり、図19を参照して説明したものと同等の効果を奏することができる。
【0126】
また、図21に示す構成例では6個(6台)のLED装置8が回路基板31Fに搭載されている。この場合、隣接するLED装置8間の所定配置角θは中心Oの一周360°をLED装置8の台数である6で除した60°となるように、各LED装置8が中心Oを中心点として同一円周上に等角配置されている。その他に関しては、図19や図20に示す構成例と概ね同様であり、これらと同等の効果を奏することができる。
【0127】
図22は示す発光モジュール30は、各LED装置8のリフレクタの内部が3つの分割領域部12A〜12Cに分割されている。そのため、回路基板31Gの電流供給導体層32が、分割領域部12A〜12Cに各々対応する第1電流供給導体層32A(図中、格子ハッチング)、第2電流供給導体層32B(図中、斜めハッチング)、第3電流供給導体層32C(図中、ドットハッチング)の如く3つの領域に絶縁体330によって平面的に区画されている。
【0128】
各分割領域部12A〜12Cを区画する間仕切り11は、図19乃至図21と同様、回路基板31Gの径方向に沿って配置されることで、各分割領域部12A〜12Cが径方向に沿って形成されている。従って、図19乃至図21に示した他の構成例と同様に、LED装置8の各分割領域部からの光が合成されやすくなり、これらを良好に混色することができる。また、各LED装置8を効率的に冷却できるという効果に関しても、上述までの構成例と同様に奏する。
【0129】
<実施例3>
次に、本実施の形態における実施例3に係る発光モジュール30について説明する。実施例3では、LED装置が上述までの構成と相違するので、ここではLED装置の特徴点を中心に説明する。図23は、実施例3に係るLED装置80の概略構成を説明する説明図である。実施例1に係るLED装置8と同一の構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0130】
図23AはLED装置80に係るLED素子3の実装状態を示す図である。図23AはLED装置80の上面を示し、図23Bは、図23AにおけるY−Y断面を示す。パッケージ1の内部は、ベース2(ベース部材)に間仕切り11が垂直に立設されており、この間仕切り11によってパッケージ1の内部が分割領域部12A及び分割領域部12Bに画定されている。ベース2は例えば、アルミナセラミックスであるがこれに限定されるものではない。
【0131】
図24Aは実施例3に係るLED装置80におけるベース2の上面図(表面図)であり、図24Bはベース2の下面図(裏面図)である。両図のハッチング部分には金めっきが施されている。図23A、図24Aに示すように、分割領域部12Aおよび分割領域部12Bのそれぞれには、駆動電流の制御系統が異なるLED素子3A、3Bがそれぞれ設けられている。分割領域部12Aに対応するLED素子3Aは、金属製のワイヤ6を介して配線20A´、20A´´と接続され、分割領域部12Bに対応するLED素子3Bは、同じくワイヤ6を介して配線20B´、20B´´に接続されている。このようにして、分割領域部12Aには6個のLED素子3Aが並列に接続され、分割領域部12Bには6個のLED素子3Bが並列に接続されている。
【0132】
図24Bに示す符号21A´、21A´´、21B´、21B´´は、電流供給導体層32を通じて供給される駆動電流をLED素子3に供給するための電極である。電極21A´はベース2の側面に形成された金めっきを介して配線20A´と接続されている。また、電極21A´´はベース2の側面に形成された金めっきを介して配線20A´´と接続されている。同様に、電極21B´はベース2の側面に形成された金めっきを介して配線20B´と接続されており、電極21B´´はベース2の側面に形成された金めっきを介して配線20B´´と接続されている。
【0133】
ここで、例えば電極21A´(21A´´)に第1電流供給導体層32Aから分割領域部12Aに係る第1制御系統の駆動電流が入ってくるとすれば、その駆動電流は、順次、配線20A´(20A´´)、LED素子3A、配線20A´´(20A´)を流れ、電極21A´´(21A´)から出ていく。同様に、例えば電極21B´(21B´´)に第2電流供給導体層32Bから分割領域部12Bに係る第2制御系統の駆動電流が入ってくるとすれば、その駆動電流は、順次、配線20B´(20B´´)、LED素子3B、配線20B´´(20B´)を流れ、電極21B´´(21B)から出ていく。
【0134】
尚、例えば電極21A´、21A´´は第2電流供給導体層32Aと半田によって接合し、電極21B´、21B´´は第2電流供給導体層32Bと半田によって接合されるが、接合方法はこれに限定されない。また、ベース2の上面にはめっき部22A,22Bが形成され、ベース2の下面にはめっき部22Cが形成されている(全て、格子ハッチングにて表す。)。めっき部22A,22Bは、ベース2の側面に形成された金めっきを介してめっき部22Cに接続されており、これによって、LED素子3が発する熱がめっき部22Cに伝導する。このめっき部22Cは、例えば回路基板31側に形成するランド(図示せず)と半田接合することで、LED装置80を回路基板31に固定するという用途の他、LED装置8の発熱を回路基板31側に逃がす放熱用途としても利用することが可能である。
【0135】
以上のように、実施例3におけるLED装置80では、LED素子3Aに対応する一対の電極21A´及び21A´´がベース2の平面領域内において、間仕切り11を挟んで互いに逆側の領域に配置されることで、LED素子3Aに駆動電流を供給するための配線20A(20A´及び20A´´)が間仕切り11を交差するように設けられている。同様に、LED素子3Bに対応する一対の電極21B´及び21B´´がベース2の平面領域内において、間仕切り11を挟んで互いに逆側の領域に配置されることで、LED素子
3Bに駆動電流を供給するための配線20B(20B´及び20B´´)が間仕切り11を交差するように設けられている。
【0136】
図25は、実施例3に係るLED装置80を回路基板31Hに搭載した状態を示す図である。図示の回路基板31Hは、実施例1の図10〜12に示す回路基板31と共通である。また、図25においても、便宜上、電流供給導体層32の上部に積層されている絶縁樹脂槽37の図示を省略し、その下層の電流供給導体層32の配置パターンが判るように図示している。
【0137】
図から判るように、第1電流供給導体層32A及び第2電流供給導体層32Bは略環状に形成された絶縁体である環状絶縁体33A(第一絶縁体)によって互いに区画され、回路基板31Hの径方向に放射状に形成される放射状絶縁体33B〜33G(第二絶縁体)によって、更に第1電流供給導体層32Aが導体領域A1〜A6に分割され、且つ第2電流供給導体層32Bが導体領域B1〜B6に分割される。
【0138】
ここで、本実施例に係るLED装置80のうち、+外部端子部34Aに近い順に80A〜80Eとして特定する。LED装置80A〜80Eの各々において、各LED装置80のLED素子3Aに供給される第1制御系統の駆動電流は、+外部端子部34AからA1→8Aの分割領域部12A→A2→8Bの分割領域部12A→A3→8Cの分割領域部12A→A4→8Dの分割領域部12A→A5→8Eの分割領域部12A→A6と経由し、−外部端子部35Aに至る。また、各LED装置80のLED素子3Bに供給される第2制御系統の駆動電流は、+外部端子部34BからB6→8Eの分割領域部12B→B5→8Dの分割領域部12B→B4→8Cの分割領域部12B→B3→8Bの分割領域部12B→B2→8Aの分割領域部12B→B1と経由し、−外部端子部35Bに至る。このようにして、各LED装置80の分割領域部12Aと分割領域部12Bの夫々には、電流供給導体層32の互いに異なる経路を通じて、制御系統の異なる駆動電流が独立して供給される。その結果、各LED装置80は、そのLED素子3に供給する駆動電流の制御系統ごとに独立した制御を実現可能である。
【0139】
ここで、本実施例における発光モジュール30では、LED装置80の色むらをより好適に低減するためにパッケージ1の間仕切り11を回路基板31Hの径方向に沿って放射状に配置させている。実施例3に係るLED装置80では、上記のようにLED素子3に駆動電流を供給する配線20が間仕切り11を跨ぐように(交差するように)設けたので、実施例2のように、電流供給導体層32を平面的に区画するための絶縁体の形状を卍形などの複雑な形状にする必要が無い。即ち、実施例3に係る発光モジュール30では、調色可能なチューナブルLED装置の色むら解消という課題を解決すると同時に、電流供給導体層32を回路基板色31Hの平面上で整然と区画できる。よって、電流供給導体層32の区画に用いる絶縁体の使用量を抑えることができ、コストの削減に寄与する。
【0140】
<実施例4>
次に、本実施の形態における実施例4について説明する。図26は実施例4に係る照明器具DLの斜視図、図27は照明器具DLの分解斜視図である。照明器具DLは、発光モジュール30、放熱用ハウジング部材50、レンズユニット60を含んで構成される。レンズユニット60は、レンズ61、レンズホルダ62等を備える。
【0141】
レンズ61は、LED装置8のパッケージ1を収容可能な収容部61Aを有する。レンズホルダ62は、レンズ61を収容するための凹部であるホルダ部62Aを有する。また、放熱用ハウジング部材50は、実施例1において説明したものと同様であり、ここでは簡略して図示されているが発光モジュール30側から伝導する熱の放熱を促進するための放熱フィン部51などを有する。
【0142】
次に、実施例4に係る発光モジュール30を説明する。図28は、実施例4に係る回路基板にLED装置が搭載された状態を示す図である。図示のように、回路基板31Iに複数のLED装置800が搭載されている。図29は、実施例4に係るLED装置800の概略構成図である。LED装置800のベース2上に形成されたパッケージ1Aには間仕切りが設けられていない。パッケージ1には、LED装置800による光の出射方向となる開口部13、及び、蛍光体とこの開口部13を封止する透光性材料とを含む蛍光部14が設けられている。パッケージ1の内部には、6個のLED素子3が収容されており、配線20に並列に接続されている。
【0143】
図28における800Aを「第一LED装置」と称し、800Bを「第二LED装置」と称する。第一LED装置800Aと第二LED装置800Bは、経口部14から出射される出力光のスペクトルが互いに異なるように、例えば使用する蛍光体の種類などが調節されている。本実施例に係る発光モジュール30は、このように出力光のスペクトルが互いに異なる複数種類のLED装置を備え、後述するように出力光のスペクトルが異なるLED装置の蛍光部14には、これらを実装する回路基板における電力供給導体層の異なる経路を通じて、制御系統の異なる駆動電流が供給されることを特徴とする。また、LED装置800は、パッケージ1の部分がレンズ61の内部に形成された収容部61Aに上方から嵌め合わされると共に、レンズ61がレンズホルダ62のホルダ部62Aに装着される。
【0144】
図28に示す例では、第一LED装置800Aと第二LED装置800Bがそれぞれ8台、合わせて16台のLED装置800が回路基板31Iに搭載されている。ここで、回路基板31Iの積層構造は、実施例1で説明した回路基板31と共通する(図11を参照)。図11を参照すると、回路基板31Iは、熱伝導材料としてのアルミニウムを用いて構成される基材部36の上に、絶縁樹脂層36Aが積層され、更にその上に電流供給導体層32が積層されている。この電流供給導体層32は、基材部36のほぼ全面を覆うように面状に形成され、更に、電流供給導体層32の上に最上層として絶縁樹脂層37が積層される。電流供給導体層32は、回路基板31IにLED装置800を搭載する際に、ベース2の下面に形成される電極21や外部端子と半田などで接合する部分のみが外部に露出され、他の部分は絶縁樹脂層37によって覆われている。
【0145】
次に、回路基板31Iにおける電流供給導体層32について説明する。図30は、本実施例における回路基板31Iの電流供給導体層32を示す図である。電流供給導体層32は、その平面領域が絶縁体33によって平面的区画されている。より具体的には、電流供給導体層32は、絶縁体33によって、互いに駆動電流の流れる経路が異なる第1電流供給導体層32A及び第2電流供給導体層32Bに区画されている。第1電流供給導体層32Aは、第一LED装置800AにLED素子3の駆動電流を供給し、第2電流供給導体層32Bは第二LED装置800BにLED素子3の駆動電流を供給する。本実施例では、第1電流供給導体層32A及び第2電流供給導体層32Bが絶縁されているので、第一LED装置800Aと第二LED装置800Bを独立した制御系統で発光制御を行うことができる。
【0146】
円形状を有する回路基板31Iの平面領域、より具体的には電流供給導体層32の平面領域を、回路基板31Iの中心を通る仮想直線Lvによって二分した場合に画定される二つの領域をそれぞれ第一領域R1及び第二領域R2と定義する。図30から明らかなように、第一領域R1と第二領域R2のそれぞれには、第1電流供給導体層32A及び第2電流供給導体層32Bの双方が含まれる。本実施例に係る回路基板31Iでは、第一領域R1に含まれる第1電流供給導体層32Aと、第二領域R2に含まれる第1電流供給導体層32Aの面積が略同一となるように電流供給導体層32が絶縁体33によって平面的に区
画されている。更に、第一領域R1に含まれる第2電流供給導体層32Bと、第二領域R2に含まれる第2電流供給導体層32Bの面積が略同一となるように電流供給導体層32が絶縁体33によって平面的に区画されている。つまり、本実施例では、電流供給導体層32に形成される駆動電流の各経路における、第一領域R1に属する部分の面積と、第二領域R2に属する部分の面積とが略同一となっている。これにより、回路基板31Iの平面領域を仮想直線Lvによって第一領域R1と第二領域R2とに二分した場合に、同一制御系統の駆動電流が流れる電力供給導体層32の面積同士が第一領域R1と第二領域R2において実質的に同一とすることができる。これによれば、各LED装置800から電力供給導体層32A,32Bへと伝えられる熱の分布が、基板平面方向に過度に偏ってしまうことを回避できる。これにより、各LED装置800の放熱性能をより一層高めることが可能となる。
【0147】
また、図28に示すように、回路基板31Iに搭載される各LED装置800は、環状に且つ各LED装置800の間隔が等角となるように並んで配置されている(図中、鎖線でその様子を示す)。具体的には、内側の一点鎖線にて示す環状線上には、第一LED装置800A及び第二LED装置800Bが3個ずつ、これらが交互に並んで配置されている。また、外側の二点鎖線にて示す環状線上には、第一LED装置800A及び第二LED装置800Bが5個ずつ、これらが交互に並んで配置されている。このようなLED装置800を配置することで、互いに制御系統が異なる第一LED装置800A及び第二LED装置800Bが隣接し、同一制御系統のLED装置同士が一か所に偏在しないので、発光モジュール30全体としての合成光の色むらを好適に抑えることが可能である。また、仮想環状線状(本構成例では2本の環状線)に配置される第一LED装置800A及び第二LED装置800Bを等角に配置することで、発光モジュール30に係る合成光の混色をより一層促進することができる。
【0148】
図30において、図中の破線白抜き部分は、LED装置800におけるベース2の電極21と半田接合される部分、つまり、絶縁樹脂層37を積層後における電流供給導体層32の露出部分を仮想的に示したものである。また、図中の格子ハッチング部分は、各外部端子34、35が形成される部分を仮想的に示したものである。
【0149】
本実施例に係る回路基板31Iでは、電流供給導体層32を、熱伝導性材料を用いて構成すると共に基材部36のほぼ全面にわたって面状に形成するようにした。そのため、電流供給導体層32が各LED装置8から奪った熱を、回路基板31I平面方向に広がりをもたせて逃がすことができる。すなわち、LED装置800において局所的に集中した熱を、回路基板31Iの平面方向に好適に分散させつつ、効率的にLED装置800から熱を奪うことができる。そして、電流供給導体層32に伝導したLED装置800からの熱は、同じく熱伝導性材料を用いて構成される基材部36を介して放熱用ハウジング部材50から大気中に放熱されることで、LED装置800の冷却を促進することが可能となる。
【0150】
<LED照明システムLS>
次に、本実施形態に係る照明システムLSについて説明する。図31は、照明システムLSの回路構成の概略を示す図であり、図32は、図31に示した制御回路の構成例を示す図である。
【0151】
照明システムLSでは、調光装置Dmに電源からの二本一対の給電線が接続され、調光装置Dmと発光モジュール30とが二本一対の給電線(駆動電流供給線)で接続される配線構造を有する。照明システムLSは、調光装置Dmの設置位置に電源(商用電源)から一対の引き込み線が引き込まれており、かつ、調光装置Dmの設置位置と発光モジュール30の設置配置との間に、二本一対の給電線が予め敷設されている建築物に好適に適用さ
れる。調光装置Dmは、駆動電流の制御系統毎に発光モジュール30の電力供給導体層32を介して各LED装置8への電力をPWM(Pulse Width Modulation)制御によって供給し、LED装置8の調色を行う制御装置である。つまり、調光装置Dmは、電力供給導体層32へ供給する電力を、各LED装置8に対する駆動電流の経路毎に独立して制御することで、LED装置8の調色を行う。
【0152】
図31には、二点鎖線で表された仮想線403を境界として電気配線設置空間(仮想線403の上側)と、電気配線が接続される調光装置Dm(調光ボックス)及び発光モジュール30が配置される照明システムLSの設置空間(仮想線403の下側)とが図示されている。電気配線設置空間は、通常、壁内や天井裏に設けられ、壁や天井によって照明システムLSの設置空間と隔絶される。図31に示す例では、電気配線設置空間には、商用電源(例えば、交流100V,50Hz)が供給される一対の商用電源母線400と、一対の照明装置用給電線401(401a,401b)と、商用電源母線400から引き出された一対の照明装置点滅用の引き込み線402とが配線されている。
【0153】
引き込み線402には、調光装置Dmが有する入力側の一対の端子T1,T2と接続される。調光装置Dmは、出力側の一対の端子T3,T4を有しており、端子T3,T4は、照明装置用給電線401(401a,401b)と接続される。一方、照明器装置給電線401には、発光モジュール30の各外部端子34A,35B,35A,34Bが接続される。なお、ここでは、実施例1(主として図10〜12)に係る発光モジュール30を適用して照明システムLSを構築する場合を例に説明する。
【0154】
調光装置Dmは、端子T1,T2から供給される商用電源からの交流電圧を受電する。調光装置Dmは、全波整流形の直流電源供給回路(以下、「電源回路」と略称する)412を有する。調光装置Dmは、この電源回路412により、負荷の導通状態に関わらず安定した直流電源を提供することができる。電源回路412は、直流電源供給線414,415を介して制御回路413に接続されている。商用交流電源が実効値100Vである場合には、電源回路412は、給電線414,415を介し、無負荷時に略140Vの直流電圧を供給する直流電源となる。
【0155】
図32に示すように、制御回路413は、操作部416に接続された操作量検出部417と、制御装置420と、駆動装置430とを備えている。駆動装置430は、駆動論理回路(制御回路)431と、H型ブリッジ回路である駆動回路432とを含む。駆動回路432の出力端子は、端子T3,T4に接続され、照明器装置給電線401を介して発光モジュール30に接続されている。発光モジュール30の各LED装置8においては、LED素子3A、3Bが互いに逆方向(逆極性)で並列接続されている。
【0156】
操作部416は、発光モジュール30が発する光の輝度(発光量)の調整(調光)と色度(色相、色温度)の調整(調色)を実施するための操作デバイスである。より具体的には、操作部416は、調光用の操作ダイヤル416Aと、調色用の操作ダイヤル416Bとを含んでいる。ユーザが各ダイヤル416A,416Bを回転させることにより、発光モジュール30の輝度(発光量)及び色度(色相、色温度)を調整することができる。
【0157】
操作量検出部417は、各操作ダイヤル416A,416Bの操作量であるダイヤルの回転量(回転角度)に応じた信号を出力する信号生成器である。本実施形態では、操作量検出部417は、操作ダイヤル416Aの回転量(回転角度)に応じて抵抗値が変動する可変抵抗器417Aと、操作ダイヤル416Bの回転量(回転角度)に応じて抵抗値が変動する可変抵抗器417Bとを含んでいる。操作量検出部417は、配線405を介して電源回路412と接続されている。操作量検出部417には、電源回路412で商用交流電源から生成された所定の直流電圧(例えば、無負荷時で最大5V)が配線405を介し
て印加される。
【0158】
操作量検出部417と制御装置420とを結ぶ配線(信号線)418には、可変抵抗器417Aの抵抗値に応じた電圧(例えば、最大5V)が発生する。一方、操作量検出部417と制御装置420とを結ぶ配線(信号線)419には、可変抵抗器417Bの抵抗値に応じた電圧(例えば、最大5V)が発生する。このように操作量検出部417は、操作ダイヤル416A,416Bの各操作量に応じた信号電圧を発生する。
【0159】
なお、操作ダイヤル416A,416Bに代えて、スライドバーが適用可能である。スライドバーが適用される場合、回転量の代わりの移動量に応じた電圧(信号)が操作量検出部417で生成される。また、操作量検出部417は、可変抵抗値に応じた電圧を制御信号として出力する。これに代えて、操作ダイヤル416A,416Bの回転量(回転角度)を検出するロータリーエンコーダが設けられ、ロータリーエンコーダの回転量を示すパルスが制御装置420に入力されるようにしても良い。この場合、後述するような、電圧をディジタル値に変換するアナログ/ディジタル変換器の設置が省略可能である。
【0160】
制御装置420は、アナログ/ディジタル変換器(A/D変換器)、マイクロコンピュータ(マイコン:MP)、レジスタ、タイマ、カウンタ等を組み合わせた制御回路である。マイコンは、例えば、マスター・クロックが図示しない水晶発振子からの動作周波数(例えば4MHz)で動作するメモリ内蔵型マイクロプロセッサを適用することができる。但し、これに限定されるものではない。また、マイコンは、図示しない内蔵ROM(Read
Only Memory)に記録された動作プログラムを図示しないRAM(Random Access Memory)にロードし、プログラムに従った処理を実行する。
【0161】
制御装置420のA/D変換器は、信号線418に生じた電圧のディジタル値を出力し、そのディジタル値は図示しないレジスタにセットされる。また、A/D変換器は、信号線419に生じた電圧のディジタル値を出力し、そのディジタル値は図示しないレジスタにセットされる。また、制御装置420が備えるタイマ及びカウンタは、所望の自励発振周波数(例えば、1MHz)で発振するセラミック発振子421で駆動されており、制御装置420と駆動論理回路431とを結ぶ配線424,425から相補的パルスを、予め設定されたタイミングで自励出力する。この相補的パルスは、例えば、繰り返し周波数が所定の周波数となるように予め設定されている。
【0162】
制御装置420のマイコンは、各レジスタにセットされたディジタル値(操作ダイヤル416A,416Bの操作量)に応じて制御パルス(制御信号)を生成する制御パルス生成処理を行い、生成したパルスを駆動論理回路431に供給(出力)する。なお、マイコンが生成したパルス(制御信号)は、配線424,425を介して駆動論理回路431に供給される。
【0163】
駆動論理回路431は、配線424,425からのパルス(制御信号)供給を受けて、当該制御信号に応じたトランジスタ(スイッチング素子)TR1〜TR4のオン/オフ動作(スイッチング動作)を制御する。すなわち、制御回路431は、配線424及び425からのパルス入力がない場合には、トランジスタTR1〜TR4をオフにする。一方、制御回路431は、配線424からの正のパルスが入力されている間、トランジスタTR1及びTR4をオンにする一方で、トランジスタTR2及びTR3をオフにする。これによって、電源回路412から配線414を通じて供給される直流電流がトランジスタTR1を通って給電線401aに流れ、LED素子3Aの点灯に消費される。その後、電流は給電線401b、トランジスタTR4を通って配線415へ流れる(接地される)。
【0164】
これに対し、駆動論理回路431は、配線425からの負のパルスが入力されている間
、トランジスタTR2及びTR3をオンにする一方で、トランジスタTR1及びTR4をオフにする。これによって、電源回路412から配線414を通じて供給される直流電流がトランジスタTR2を通って配線401bに流れ、LED素子3Bの点灯に消費される。その後、電流は配線401a,トランジスタTR3を通って配線415に流れる(接地される)。
【0165】
従って、発光モジュール30には、制御装置420から出力されるパルス(制御信号)と相似形の、正の駆動電流と負の駆動電流とが交互に供給される。言い換えれば、LED素子3A,LED素子3Bに対して極性の異なる交流電流が供給される。なお、本実施形態では、正の駆動電流を1制御系統の駆動電流と定義し、負の駆動電流を第2制御系統の駆動電流と定義する。また、ここでは、LED装置8のLED素子3A,3Bの各々を励起した場合に、蛍光部14Bよりも蛍光部14Aの方が、射出される光の色温度が高いものとする。
【0166】
図33は、輝度調整を行う際に発光モジュール30に供給される駆動電流の波形説明図である。駆動装置430は、1サイクル(周期T0)において、正の制御信号を供給する期間T1に正のパルスを出力し、負の制御信号を供給する期間T2に負のパルスを出力する。調光用の操作ダイヤル416Aが操作されると、制御装置420におけるマイコンはパルス幅変調(PWM)制御を行うことで、デューティ比を調整する。
【0167】
ここで、発光モジュール30の各LED装置8におけるLED素子3A,3Bに対して供給される平均電流は、パルスのオン時間に依存する。すなわち、正負のパルスのオン時間が大きい程、1サイクルにおいて各LED素子3A,3Bに供給される駆動電流の平均電流値が上昇する。逆に、デューティ比が小さくなることでパルスのオン時間が小さくなる程、各LED装置8におけるLED素子3A,3Bに供給される平均電流値は小さくなる。
【0168】
図33の上段は、デューティ比が1のときのパルスを示す。この場合には、正負のパルス供給期間T1,T2のそれぞれにおいて一つのパルスが出力される。また、図33の中段は、マイコンのPWM制御により期間T1,T2におけるデューティ比を、図33の上段に示す状態に比べて下げた状態を示す。デューティ比の変更によって、複数の正負のパルスが供給される状態となる。さらに、同図下段は、中段に示す状態より更にデューティ比を下げた場合の状態を示す。この場合、正負の各パルスにおけるパルス幅t1,t2は同図中段に示す状態に比べて更に小さくなる。
【0169】
図33の各段に示す例は、順次、調光用の操作ダイヤル416Aを発光モジュール30の輝度(発光量)を低く(少なく)するように操作した様子を示す。このように、操作ダイヤル416Aが操作される場合には、制御装置420のマイコンがPWM制御によりデューティ比を下げることによって、パルスのオン時間t1,t2が短くなる。その結果、発光モジュール30の各LED装置8に供給される平均電流が低下し、発光モジュール30が出力する出力光の輝度が低くなる(発光量が少なくなる)。但し、ここでは、1サイクル(正の半サイクル期間T1と負の半サイクル期間T2)における、パルスのオン時間t1,t2の比は変わらない。これにより、発光モジュール30の色度(色相、色温度)を変えることなく出力光の輝度(発光量)を増減することができる。
【0170】
図34は、色度調整を行う際に発光モジュール30に供給される駆動電流の波形説明図である。操作ダイヤル416Bが操作された場合における、パルスの状態を図34の各段に示す。操作ダイヤル416Bが操作された場合、制御装置420のマイコンは、そのときのパルス幅を変更することなく、1サイクル(周期T0)における正負のパルス数を変更する。図34の上段において、正負の半サイクルにおけるパルス幅t1,t2は同じで
あり、正負の半サイクルにおけるパルスのオン時間の比は4:3である。
【0171】
これに対し、同図中段では、正負の半サイクルにおけるパルスのオン時間の比が3:4に変更されている。更に、同図下段では、正負の半サイクルにおけるパルスのオン時間の比が2:5に変更されている。このような正負のサイクルにおけるパルスのオン時間の比を変更することによって、1サイクルにおける各LED装置8におけるLED素子3A及びLED素子3Bの点灯時間の比が変動する。これによって、第1制御系統の駆動電流が供給されるLED素子3Aと、第2制御系統の駆動電流が供給されるLED素子3Bがそれぞれ点灯することで発せられる合成光の色度(色相、色温度)が変更される。
【0172】
上述した正負のパルスを出力するための繰り返し周波数T0(自励発振周波数)は、人の目の感度や、スイッチング損失の防止、ノイズ発生の観点から、例えば、30Hz〜50kHzの間で定め得る。好ましくは、50Hz〜400Hzである。さらに好ましくは、50または60Hz〜120Hzである。自励発振周波数は、商用電源周波数から独立して定めうるが、商用電源周波数と同じ周波数を選択することを妨げない。
【0173】
なお、図32に示したように、本実施形態における制御回路413には、積分回路450及び440が設けられている。積分回路450は、LED素子3Aを駆動するための正の電流(第1制御系統の駆動電流)の平均値に比例した電圧を制御装置420にフィードバックする。同様に、積分回路440は、LED素子3Bを駆動するための負の電流(第2制御系統の駆動電流)の平均値に比例した電圧を制御装置420にフィードバックする。制御装置420は、積分回路440,450のフィードバック電圧をA/D変換器を用いて観測し、制御信号(パルス)の生成に利用する。
【0174】
以下、調光装置Dmの動作例について説明する。主電源スイッチ411(図31を参照)が閉じられると、電源回路412による整流及び電圧変換動作が行われ、制御回路413に直流電源が供給される。制御装置420のマイコンは、公知の方法で初期化動作を開始し、図示しない内蔵ROM(Read Only Memory)に記録された動作プログラムを図示しないRAM(Random Access Memory)にロードし、プログラムに従った処理を行う。
【0175】
発光モジュール30の輝度を調整する場合には、例えば以下のような操作及び調光装置410の動作が行われる。例えば、利用者(ユーザ)が操作ダイヤル(操作ツマミ)416Aを例えば右一杯にまわし、照明の輝度(発光量)を最大に設定すると、信号線418には最大5.0ボルトの直流電圧が発生する。制御装置420は、信号線418に生じた
電圧を内蔵のA/D変換器でディジタル信号に変換して読み取り、駆動回路430の駆動論理回路431に対し、信号線424,425を介して制御信号を与える。駆動論理回路431は、制御信号に従って駆動回路(H型ブリッジ)432を駆動させる。その際、駆動回路432は、予め設定された自励発振周波数である50Hzで駆動される。
【0176】
このときの制御信号波形は、図33の上段に示す通りであり、正のパルス(制御信号)のオン時間である時間t1の間、正の電流が第1制御系統の駆動電流として給電線401aを流れ、発光モジュール30に+外部端子部34Aから入力される。この第1制御系統の駆動電流は、第1電流供給導体層32Aを介して各LED装置8におけるLED素子3Aに供給され、蛍光部14Aから光が射出される。なお、図31に示すダイオードD1は、逆流防止用のダイオードであり、各LED装置8のLED素子3Bに正の電流(第1制御系統の駆動電流)が流れることを防止する。
【0177】
一方、負のパルス(制御信号)のオン時間である時間t2の間、負の電流が第2制御系統の駆動電流として給電線401bを流れ、発光モジュール30に+外部端子部34Bから入力される。この第2制御系統の駆動電流は、第2電流供給導体層32Bを介して各L
ED装置8におけるLED素子3Bに供給され、蛍光部14Bから光が射出される。図31に示すダイオードD2は、逆流防止用のダイオードであり、各LED装置8のLED素子3Aに負の電流(第2制御系統の駆動電流)が流れることを防止する。また、給電線401(401a,401b)には、略50Hzの交流電流が通電するため、発光モジュール30の各LED装置8におけるLED素子3A,3Bは交互に点灯する。
【0178】
ここで、時間t1に流れる電流と、時間t2に流れる電流との比が、発光モジュール30における各LED素子3A,3Bにより発せられる合成光の色度を支配する。図33の上段に示す状態では、相対的に色温度の高いLED素子3Aの点灯時間が、色温度の低いLED素子3Bの点灯時間より長いため、発光モジュール30の発光色は、やや青みがかった白色を呈する。
【0179】
一方、利用者が操作ダイヤル(調光ツマミ)416Aを例えば左方向にまわし、照明の輝度が中央値となるように設定することで、信号線418には約2.5ボルトの直流電圧が発生する。この場合、制御装置420のマイコンは、内蔵のA/D変換器で電圧をディジタル信号に変換して読み取り、駆動装置430の駆動を制御して、発光モジュール30への交流電流を供給する。このときのパルス波形は、図33の中段に示す状態となる。すなわち、期間T1における正のパルスのオン時間と期間T2における負のパルスのオン時間との比は変わらないが、デューティ比が低下しているため、最大輝度時における一つのパルスが複数のパルス群となる。ここで、正のパルスのパルス幅と負のパルスのパルス幅は同じである。これによって、最大輝度時よりも平均電流が小さくなるので、発光モジュール30におけるLED素子3A,3Bからの出力光の輝度は低下する。
【0180】
その後、利用者が操作ダイヤル(調光ツマミ)416Aをさらに左方向にまわし、照明の輝度を最小値に設定する。そうすると、信号線418は約0.5ボルトの直流電圧が発生する。この場合、制御装置420のマイコンは、電圧値をA/D変換器で変換して読み取り、電圧値に応じた駆動装置430の制御を行う。すなわち、制御装置420は、図33の下段に示すように、期間T1及びT2における、正負のパルスのデューティ比をさらに下げる。これによって、期間T1における正のパルスのオン時間と期間T2における負のパルスのオン時間との比は変わらず、かつ各パルスのパルス幅が更に小さくなる。これにより、中央輝度時に比べて平均電流が更に小さくなるので、発光モジュール30におけるLED素子3A,3Bからの出力光は、共に最も暗い輝度となる。
【0181】
次に、発光モジュール30の色度(色相、色温度)を調整する場合における利用者(ユーザ)の操作及び調光装置Dmの動作例について説明する。図33の中段に示す電流波形は、LED素子3Aに対する平均電流がLED素子3Bの平均電流が大きいため、やや青みがかった白色を呈することは先に述べた通りである。ここでは、図33の中段に示す電流波形が発光モジュール30に供給されている状態から、利用者がケルビン温度の低いやや赤みがかった白色への変更を意図した場合について説明する。その場合、利用者は操作ダイヤル(調色ツマミ)416Bを左に(半時計方向に)回転させる。そうすると、信号線419に生じている直流電圧(例えば約4ボルト)が、例えば3.0ボルト程度に低下す
る。
【0182】
制御装置420のマイコンは、A/D変換器で変換された信号線419の直流電圧のディジタル値を読み取り、駆動装置430を制御するパルス波形を変更する。例えば、制御装置420のマイコンは、駆動装置430の駆動論理回路431に供給されるパルス波形を、図33の中段に示す状態から図34の上段に示す状態に変化させる。すなわち、マイコンは、図33の中段に示す状態において、5:2であった正の電流(パルス)と負の電流(パルス)におけるオン時間の比を、図34の上段に示すように4:3に変更する。これによって、各LED装置8のLED素子3Aに供給される第1制御系統に係る平均電流
が減少し、LED素子3Bに供給される第2制御系統に係る平均電流が増加する。この結果、発光モジュール30の発光色、すなわち色温度はやや低下して赤みがかった白色を呈する。その際、正負のサイクルにおけるパルスのオン時間の比は変化するが、正負のサイクルの各々におけるパルスの合計値(平均電流の合計値)は変化しないので、発光モジュール30の輝度は変化しない。
【0183】
その後、利用者は、色温度の最も低い赤みがかった白色への変更を意図して、操作ダイヤル(色度ツマミ)416Bを左に(半時計方向に)限界まで回転させる。すると、約3.0ボルトだった信号線419の直流電圧は1.0ボルト程度に低下する。そして、制御装
置420のマイコンは、ディジタル変換された信号線419の直流電圧を検出すると、駆動論理回路220を介してフルブリッジドライバ250を駆動する制御信号(パルス)を変更する。すなわち、マイコンは、給電線401aを流れる電流波形が図34の上段に示す状態から同図中段に示す状態を経て、同図下段に示す状態まで変化するように、駆動装置430に制御信号を与える。これによって、第1制御系統の駆動電流で駆動するLED素子3Aの平均電流がさらに減少する一方で、第2制御系統の駆動電流で駆動するLED素子3Bの平均電流がさらに増加する。その結果、発光モジュール30の色温度は更に低下して強い赤みがかった白色を呈する。なお、このときも発光モジュール30の全体輝度は変化しない。
【0184】
以上説明したように、本実施形態に係る照明システムLSによれば、商用電源のような交流電源からの交流を直流に変換し、その直流から自励発振周波数による所望の周波数の交流(周期T0毎に供給される正負の電流)を生成し、発光モジュール30の各LED装置8におけるLED素子3A,3Bのそれぞれに駆動電流として供給する。これによって、調光装置Dmの設計の自由度を高めることができる。また、この照明システムLSによれば、発光モジュール30から出力される合成光の色度(色相、色温度)を変えることなく輝度(明度)を調整することができ、また、輝度(明度)を変えることなく色度(色相、色温度)を調整することが可能である。
【0185】
次に、図31乃至34を用いて説明したものとは異なる照明システムLSの他のバリエーションについて説明する。図35は、第二の照明システムLS´の内部構成を示すブロック図である。
【0186】
図35に示す符号30は、上述までの何れかの実施例に係る発光モジュール30であり、ここでは実施例1(主として図10〜12)に係る発光モジュール30を適用して第二の照明システムLS´を構築する場合を例に説明する。発光モジュール30は、各LED装置8におけるLED素子3A、3Bが逆並列接続されている(逆極性で並列に接続されている)。
【0187】
更に、第二の照明システムLS´は、発光モジュール30と2次側が直列に接続されるソリッドステートリレー(SSR)502、ソリッドステートリレー502の1次側に対して2次側の導通/非導通を制御するパルス信号を供給するドライバ回路503、発光モジュール30に係る各LED装置8と直列に接続されたAC電源である商用電源504、ドライバ回路503に直流電圧を印加するDC電源505、ソリッドステートリレー502の2次側と接続する抵抗506等を備える。
【0188】
発光モジュール30において、各LED装置8におけるLED素子3A同士は、その順方向が同一方向となるようにして直列に接続され、これらに第1制御系統の駆動電流が供給される。また、各LED装置8におけるLED素子3B同士は、その順方向が同一方向となるようにして直列に接続され、これらに第2制御系統の駆動電流が供給される。そして、夫々が互いに直列に接続された一群のLED素子3Aと、一群のLED素子3Bとが
並列に接続される。
【0189】
発光モジュール30における一方の接続ノード507に商用電源504の一端が接続され、他方の接続ノード508にソリッドステートリレー502の2次側の一方の端子が接続されている。また、抵抗506の一端がソリッドステートリレー502の2次側の他方の端子510に接続され、抵抗506の他端が商用電源504の他端に接続されている。以上より、発光モジュール30(LED装置8)と、ソリッドステートリレー502に係る2次側回路と、抵抗506とが、商用電源504に対して直列に接続される。また、接続ノード507には発光モジュール30の外部端子34A,35Bが接続され、接続ノード508には発光モジュール30の外部端子35A,34Bが接続される。
【0190】
ソリッドステートリレー502の1次側には、ドライバ回路503より出力されるパルス信号が入力されて、その2次側の導通/非導通が制御される。ドライバ回路503は、パルス信号として、商用電源504からの交流電圧が正となる半サイクルの位相制御を行う第1のパルス信号Ps1(第1制御系統)と、商用電源504からの交流電圧が負となる半サイクルの位相制御を行う第2のパルス信号Ps2(第2制御系統)とを出力する。そして、第1のパルス信号Ps1がソリッドステートリレー502に入力されることで、商用電源504からの交流電圧が正となる半サイクルで導通する第1期間が設定される。また、第2のパルス信号Ps2がソリッドステートリレー502に入力されることで、商用電源504からの交流電圧が負となる半サイクルで導通する第2期間が設定される。
【0191】
更に、第二の照明システムLS´は、外部から第1期間および第2期間を入力するための操作部509を備える。ドライバ回路503は、操作部509が出力する信号を受け取ることで、ドライバ回路503から出力される第1のパルス信号Ps1と第2のパルス信号Ps2の出力タイミングが設定される。第二の照明システムLS´は、更に、上述した第1期間と第2期間とを設定入力するためのリモートコントローラ(リモコン)510からの赤外線信号を受信する赤外線信号受信部511を備える。赤外線信号受信部511では、リモコン510から受信した赤外線信号に基づいてドライバ回路503に指令を出力する。これにより、ドライバ回路503から出力される第1のパルス信号Ps1と第2のパルス信号Ps2の出力タイミングが設定される。したがって、この構成例では、操作部509または赤外線信号受信部511からドライバ回路503に付与される信号が、発光モジュール30における各LED装置8の調光制御信号となる。
【0192】
以上のように構成される第二の照明システムLS´では、ドライバ回路503から出力される第1のパルス信号Ps1と第2のパルス信号Ps2の出力タイミングに応じて、各LED装置8におけるLED素子3Aと、LED素子3Bの夫々の発光時間が制御される。その結果、各LED装置8の調色を自在に行うことができる。
【0193】
以上述べた実施の形態は本発明を説明するための一例であって、本発明の本旨を逸脱しない範囲内において上記の実施形態には種々の変更を加え得る。また、本実施形態に発光モジュール30のLED装置8は白色光を出力するものを例示的に採用しているが、他の色を出力する発光装置に本発明を適用しても勿論構わない。また、本発明に係る半導体発光装置(LED装置)を搭載するための回路基板、発光モジュール、照明器具、及び照明システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、可能な限りこれらの組み合わせを含むことができる。
【符号の説明】
【0194】
1・・・・パッケージ
2・・・・ベース
3、3A、3B・・・・半導体発光素子(LED素子)
8・・・・半導体発光装置(LED装置)
11・・・・間仕切り
12、12A、12B・・・・分割領域部
13・・・・開口部
20、20A、20B・・・・配線
21A、21B・・・・電極
30・・・・発光モジュール
31・・・・回路基板
32、32A、32B・・・・電流供給導体層
33・・・・絶縁部材
36・・・・基材部
37・・・・電気絶縁保護塗膜層
50・・・・放熱用ハウジング部材
51・・・・放熱フィン部
52・・・・ハウジング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも半導体発光素子及び蛍光体を備える半導体発光装置と、該半導体発光装置を搭載する回路基板と、を含む発光モジュールであって、
前記回路基板には、少なくとも、供給される駆動電流の経路が異なる複数の半導体発光素子を有する半導体発光装置が搭載されるか、若しくは半導体発光素子に供給する駆動電流の経路が異なる複数の半導体発光装置が搭載され、
前記回路基板は、
熱伝導材料を用いて形成された基材部と、前記半導体発光素子の駆動電流を前記半導体発光装置に供給する電力供給導体層と、を備え、
前記電力供給導体層は、熱伝導材料を用いて且つ前記基材部平面を覆うように面状に形成され、且つ、その平面領域が前記駆動電流の経路毎に絶縁体によって平面的に区画されている、発光モジュール。
【請求項2】
前記駆動電流の経路が異なる前記電力供給導体層の領域同士は、互いに上下に重ならないように形成されている、請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項3】
前記基材部には、前記半導体発光装置が搭載されていない方の非搭載面と熱的に接するように放熱用ハウジング部材が取り付けられ、前記半導体発光装置側から前記電力供給導体層を介して前記基材部に伝導した熱を該放熱用ハウジング部材から大気中に放散させる、
請求項1又は2に記載の発光モジュール。
【請求項4】
前記絶縁体によって前記駆動電流の経路毎に区画された前記電力供給導体層の各領域は、制御系統の異なる駆動電流が流れる、請求項1から3の何れか一項に記載の発光モジュール。
【請求項5】
前記半導体発光装置は、前記半導体発光素子及び前記蛍光体を収容するパッケージを有し、
前記パッケージには、該半導体発光装置の出射方向に開口する開口部と、パッケージ内部を2以上に分割して画定され且つ該開口部の一部である分割開口部において開口する少なくとも2以上の分割領域部が設けられ、
前記分割領域部の各々は、前記蛍光体と各分割領域部を封止する透光性材料とを含む蛍光部を有するとともに少なくとも一の分割領域部と他の分割領域部において前記蛍光部から出力される光のスペクトルが互いに異なり、且つ、出力光のスペクトルが異なる分割領域部には前記電力供給導体層の異なる経路を通じて駆動電流が供給される、
請求項1から4の何れか一項に記載の発光モジュール。
【請求項6】
前記パッケージは、ベース部材から立設する前記間仕切りによってその内部が二つの分割領域部に分割され、
前記ベース部材には、前記分割領域部の各々に収容される半導体発光素子を実装する二つの配線部が設けられ、
各配線部は、一対の電極が前記ベース部材の平面領域内において前記間仕切りを挟んで互いに逆側の領域に設けられることで前記間仕切りと交差している、
請求項5に記載の発光モジュール。
【請求項7】
出力光のスペクトルが異なる一の分割領域部に設けられる前記半導体発光素子と、他の分割領域部に設けられる前記半導体発光素子とは、互いに逆極で並列に接続されている、
請求項5又は6に記載の発光モジュール。
【請求項8】
前記絶縁体は、前記回路基板の平面内で環状に形成された第一絶縁体を含み、
前記駆動電流の経路が異なる前記電力供給導体層の領域同士が前記環状絶縁体によって互いに絶縁されている、
請求項1から7の何れか一項に記載の発光モジュール。
【請求項9】
前記第一絶縁体によって区画された前記電力供給導体層の領域を平面的に区画する第二絶縁体を更に備え、
前記半導体発光装置は、一の前記第二絶縁体の上部を跨ぐように前記回路基板に搭載され、且つ、当該一の第二絶縁体が区画する一方の領域と他方の領域が該半導体発光装置の内部配線によって電気的に接続される、
請求項1から8の何れか一項に記載の発光モジュール。
【請求項10】
前記半導体発光装置は、前記半導体発光素子及び前記蛍光体を収容するパッケージを有し、
前記パッケージには、該半導体発光装置の出射方向に開口する開口部、及び前記蛍光体と該開口部を封止する透光性材料とを含む蛍光部が設けられ、
前記回路基板には複数の前記半導体発光装置が搭載されるとともに、少なくとも一の半導体発光装置と他の半導体発光装置において前記蛍光部から出力される光のスペクトルが互いに異なり、且つ、出力光のスペクトルが異なる蛍光部には前記電力供給導体層の異なる経路を通じて駆動電流が供給される、
請求項1から4の何れか一項に記載の発光モジュール。
【請求項11】
前記電力供給導体層の平面領域を仮想直線によって第一領域と第二領域とに二分した場合に、前記駆動電流の各経路における前記第一領域に属する部分の面積と、前記第二領域に属する部分の面積とが略同一である、
請求項10に記載の発光モジュール。
【請求項12】
前記回路基板には、前記複数の半導体発光装置が環状に且つ各半導体発光装置の間隔が等角に配置されており、
前記電力供給導体層の異なる経路を通じて互いに制御系統が異なる駆動電流が供給される一の半導体発光装置と他の半導体発光装置とが交互に並んで環状配置される、
請求項10又は11に記載の発光モジュール。
【請求項13】
前記回路基板には複数の前記半導体発光装置が搭載され、
前記電力供給導体層は、各半導体発光装置に設けられる前記半導体発光素子を実装する配線のうち駆動電流の制御系統が同一のもの同士を互いに直列接続する、
請求項4に記載の発光モジュール。
【請求項14】
前記基材部の全表面積に対する前記電流供給導体層が形成される部分の面積比率が70%以上となるように該電流供給導体層が形成される、
請求項1から13の何れか一項に記載の発光モジュール。
【請求項15】
少なくとも半導体発光素子及び蛍光体を備える半導体発光装置を搭載するための回路基板であって、
前記回路基板には、少なくとも、供給される駆動電流の経路が異なる複数の半導体発光素子を有する半導体発光装置が搭載されるか、若しくは半導体発光素子に供給する駆動電流の経路が異なる複数の半導体発光装置が搭載され、
熱伝導材料を用いて形成された基材部と、
前記半導体発光素子の駆動電流を前記半導体発光装置に供給する電力供給導体層と、を備え、
前記電力供給導体層は、熱伝導材料を用いて且つ前記基材部平面を覆うように面状に形成され、且つ、その平面領域が前記駆動電流の経路毎に絶縁体によって平面的に区画されている、
半導体発光装置を搭載するための回路基板。
【請求項16】
請求項1から14の何れか一項に記載の発光モジュールを備える照明器具。
【請求項17】
請求項1から14の何れか一項に記載の発光モジュールと、
前記電力供給導体層へ供給する電力を、前記駆動電流の経路毎に独立して制御することにより、前記半導体発光装置から発光される発光色を調色する制御装置と、
を備える、照明システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2013−42099(P2013−42099A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187675(P2011−187675)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】