半導体発光装置
【課題】従来の半導体発光装置は、狭い指向特性を有する反射枠体の形成が困難で、十分な反射特性が得られず、また狭い指向特性を得るためには半導体発光装置として小型薄型化の妨げとなっていた。
【解決手段】 回路基板に半導体発光素子を実装して樹脂封止してなる半導体発光装置において、カップ形状の反射面と前記半導体発光素子とのボンディング部とを有する金属性の反射枠体を、前記回路基板に配置するとともに、前記反射枠体の底面を配線電極に固定し、前記半導体発光素子の電極と、前記反射枠体のボンディング部とをワイヤーボンディングすることにより、前記半導体発光素子の電極をワイヤーと反射枠体を介して回路基板上の、配線電極に接続する。
【解決手段】 回路基板に半導体発光素子を実装して樹脂封止してなる半導体発光装置において、カップ形状の反射面と前記半導体発光素子とのボンディング部とを有する金属性の反射枠体を、前記回路基板に配置するとともに、前記反射枠体の底面を配線電極に固定し、前記半導体発光素子の電極と、前記反射枠体のボンディング部とをワイヤーボンディングすることにより、前記半導体発光素子の電極をワイヤーと反射枠体を介して回路基板上の、配線電極に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED発光素子等の半導体発光素子を備えた半導体発光装置に関するものであり、詳しくは集光特性に優れ、小型、薄型化が可能な半導体発光装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED等を用いた半導体発光素子(以下LEDと略記する場合あり)は半導体素子であるため、長寿命で優れた駆動特性を有し、さらに小型で発光効率が良く、鮮やかな発光色を有することから、カラー表示装置のバックライトや照明等に広く利用されるようになってきた。本発明においても半導体発光装置としてLED発光装置を実施形態として説明する。
【0003】
特に近年、LED発光装置としては、シャープな指向特性が要求されており、すなわち指向特性が狭く、出来るだけ薄型化された構成のLED発光装置を実現する提案がなされている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0004】
以下従来の指向特性を持つLED発光装置に付いて説明する。
図9,図10は特許文献1における従来のLED発光装置の構成を示し、図9は断面図、図10は上面図である。図9においてLED発光装置100は、回路基板102の上面側に配線電極102aダイボンディング電極102bが、また回路基板102の下面側には出力電極102cが設けられ、上面側の配線電極102aとダイボンディング電極102bとは、下面側の出力電極102cに対して側面電極102dによって接続されている。そして上面側に設けられたダイボンディング電極102bにはLED103が実装され、ワイヤー104によって配線電極102aに接続されている。
【0005】
また、回路基板102の上部には樹脂成型による反射カップ体110が組み込まれている。この反射カップ体110は図10に上面形状を示す如く、LED103が実装された部分の周囲に反射カップ部110a、ワイヤー104の配線領域にワイヤー溝110bが設けられた形状に樹脂成型によって構成されており、反射カップ部110aの内面には反射性の金属による金属メッキ層120が形成され、LED103の発光を狭い指向特性で放射するようになっている。なお、図9に示す如く反射カップ部110aとワイヤー溝110bの内部には保護用、または波長変換用の透明性樹脂130がモールドされている。
【0006】
図11は特許文献2における従来のLED発光装置の構成を示す断面図である。図11に示すLED発光装置200は回路基板202にザグリ部212を形成し、このザグリ部212の内面に反射性の金属メッキ層220を形成することで、反射カップ部210aを形成している。また金属メッキ層220と同時に回路基板202の上面側には配線電極202aとダイボンディング電極202bとが、また回路基板202の下面側には出力電極202cが設けられ、上面側のダイボンディング電極20b及び配線電極202aは、下面側の出力電極202cに対し側面電極202dによって接続されている。そして上面側に設けられたダイボンディング電極202bにはLED103が実装され、ワイヤー104によって配線電極202aに接続されている。さらにLED103が実装された回路基板202の上面側にはレンズ形状の透明性樹脂230がモールドされている。
【0007】
すなわち図11に示すLED発光装置200は、回路基板202に設けたザグリ部212に金属メッキ層220を形成して反射カップ部210aにしているが、薄い回路基板202に設けたザグリ部212に金属メッキ層220を形成した反射カップ部210aでは、反射カップ部210aが理想形状である非球面(曲面)に加工できないため、狭い指向特性を得るためにはレンズを併用する必要があり、このために形状の大きい樹脂レンズを透明性樹脂230のモールドによって設けている。
【0008】
さらに図12は他の従来例のMIDタイプ(成形樹脂)のLED発光装置の構成を示す断面図である。図12に示すLED発光装置300は樹脂により一体成型されたカップ形状の樹脂基体310の表面に2個の電気的に分離された金属メッキ層302と303を形成している。そして金属メッキ層302には配線電極302aと裏面側に形成された出力電極302cとが、側面電極302dによって接続されている。
【0009】
また金属メッキ層303にはダイボンディング電極303aと裏面側に形成された出力電極303cとが、側面電極303dによって接続されている。さらに金属メッキ層302と303との斜面部には反射カップ部320が反射面として形成されている。
【0010】
そしてダイボンディング電極303aにはLED103が実装され、ワイヤー104によって配線電極302aに接続されている。さらにLED103が実装されたカップ形状の樹脂基体310の上面側には保護用、または波長変換用の透明性樹脂330がモールドされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−32118号公報
【特許文献2】実開平4−111767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1の提案では、狭い指向特性を得るためには反射カップ部の形状を深くする必要がり、成型品の肉厚との関係で反射カップ体の形状を大きくし、かつ厚みも大きくする必要があるため、製品形状が大型化する問題がある。さらに反射カップ部が樹脂成型品の場合、樹脂面へ金属メッキ層を形成した場合には反射面に若干の凹凸は生じるため、反射特性を妨げる原因となる。
【0013】
また、特許文献2の提案では、基板のザグリ部に金属メッキ層を形成して反射カップ部としているため、カップ形状が理想形状である非球面(曲面)に加工できないので、狭い指向特性を確保するためには大きな球面のレンズを併用する必要があり、図11に示す如く全体として厚みが増加する結果となる。
【0014】
さらに図12に示すMIDタイプのLED発光装置では、特許文献1の提案と同様に、狭い指向特性を得るためには反射カップ部の形状を深くする必要がる上、図12にHで示すLED実装部の肉厚を0,3mm以上必要とするため、製品全体の形状が厚くなってしまうという問題があり、されに樹脂表面の形成された金属メッキ層には若干の凹凸形状が存在し、反射カップ部での反射効率の低下は避けられない。
【0015】
本発明の目的は上記問題点を解決しようとするものであり、金属性の反射枠体を用いて十分に狭い指向特性を得ると共に、薄型化、小型化を可能にしたLED発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため本発明においては、配線電極を有する回路基板に半導体発光素子を実装し、前記配線電極と半導体発光素子とを電気的接続し、樹脂封止してなる半導体発光装置において、カップ形状の反射面と前記半導体発光素子とのワイヤーボンディングを行なうボンディング部とを有する金属性の反射枠体を、前記回路基板における前記半導体発光素子の実装部周囲に配置するとともに、前記反射枠体の底面を前記配線電極に固定し、前記半導体発光素子の電極と、前記反射枠体のボンディング部とをワイヤーボンディングすることにより、前記半導体発光素子の電極をワイヤーと反射枠体を介して回路基板上の、配線電極に接続することを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、反射性の良い金属性の反射枠体を用いて、指向特性が狭く、反射特性に優れた発光特性を得ることができると共に、
反射枠体にボンディング部を設け、前記半導体発光素子の電極をワイヤーと反射枠体を介して回路基板上の、配線電極に接続することにより、半導体発光装置の薄型化、小型化を可能にする。
【0018】
前記反射枠体のボンディング部は反射枠体に形成された切欠凹部であると良い。
【0019】
上記構成によれば、反射枠体に形成された切欠凹部にワイヤーのボンディングを行なうことによって、ワイヤーループの高さを反射枠体の高さ以内に収めることができ、半導体発光装置の薄型化に効果がある。
【0020】
前記金属性の反射枠体は、金属板の絞り加工または金属の鋳造加工によって形成されていると良い。
【0021】
前記金属性の反射枠体のカップ形状の反射面は鏡面仕上げ加工が施されていると良い。
【0022】
前記金属性の反射枠体のカップ形状の反射面には反射性の金属皮膜層が形成されていると良い。
【0023】
前記金属性の反射枠体の反射面の金属皮膜層は、ニッケル下地メッキに金メッキ層を形成していると良い。
【0024】
上記各構成によれば、反射枠体のカップ形状の反射面の反射効率が良くなることで、半導体発光装置としての発光効率が改善される。
【0025】
前記金属性の反射枠体に形成された切欠凹部には反射性の樹脂が埋設されていると良い。
【0026】
前記反射性の樹脂は導電性を有すると良い。
【0027】
上記構成によれば、反射枠体に形成された切欠凹部による反射効率の低下を軽減できるとともに、切欠き凹部にボンディングされたワイヤーの補強が可能となる。
【0028】
回路基板の大きさが、前記反射枠体の底面の大きさと略同じであり、且つモールド樹脂が反射枠体のカップ内部にのみ充填されていると良い。
【0029】
上記構成によれば、半導体発光装置の発光効率を良くした状態で、十分な薄型、小型化を達成することができる。
【発明の効果】
【0030】
上記の如く本発明によれば、反射性の良い金属性の反射枠体を用いて、指向特性が狭く、反射特性に優れた発光特性を得ることができると共に、反射枠体にボンディング部を設け、前記半導体発光素子の電極をワイヤーと反射枠体を介して回路基板上の、配線電極に接続することにより、半導体発光装置の薄型化、小型化を可能にする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態におけるLED発光装置の断面図である。
【図2】図1に示すLED発光装置の平面図である。
【図3】図2に示す回路基板の平面図である。
【図4】図1に示す反射枠体の斜視図である。
【図5】図1に示すLED発光装置の製造方法を示す工程図である。
【図6】本発明の第2実施形態におけるLED発光装置の断面図である。
【図7】図6に示す反射枠体の斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態におけるLED発光装置の断面図である。
【図9】従来のLED発光装置の断面図である。
【図10】図9に示すLED発光装置の上面側の平面図である。
【図11】従来のLED発光装置の断面図である。
【図12】従来のMIDタイプのLED発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態)
以下図面により、本発明の実施形態を説明する。図1〜図5は本発明の第1実施形態におけるLED発光装置及びその構成要素を示すものであり、図1はLED発光装置10の断面図、図2は図1に示すLED発光装置10の平面図、図3は図2に示す回路基板2の平面図、図4は図1に示すLED発光装置10における反射枠体5の斜視図、図5はLED発光装置10の製造方法を示す工程図である。
【0033】
図1においてLED発光装置10は、回路基板2の上面側に配線電極2a、ダイボンディング電極2b、反射枠体固定電極2cが形成され、裏面側には出力電極2dが形成されており、回路基板2の上面側の配線電極2aとダイボンディング電極2bとはスルーホール電極2eによって接続されている。
【0034】
また、ダイボンディング電極2bにはLED3が固着実装され、配線電極2aと反射枠体固定電極2cには、後に詳述する金属性の反射枠体5が固着されている。そしてLED3の電極はワイヤー4にて反射枠体5の一部に形成されたボンディング部5dにワイヤーボンディングされている。さらにLED3が実装された回路基板2の上面は透明または蛍光粒子を混入したモールド樹脂6でモールドされている。なお、点線は反射枠体5の外形を示している。
【0035】
図2は図1にLED発光装置10を上面側からみた平面図であり、後で詳述する回路基板2には円形の配線電極2aと略導形状の反射枠体固定電極2cが3個対照的に配設あれており、この配線電極2aと3個の反射枠体固定電極2cに、反射枠体5の底面が導電接着剤で固着されている。すなわち3個の反射枠体固定電極2cは反射枠体5の底面が配線電極2aと平行に接着されるためのスペーサの役目を果たしているが、必ずしも必要なものではなく、反射枠体5の若干の傾きが問題なければ設けなくても良い。
【0036】
また回路基板2のダイボンディング電極2bにはLED3が固着実装され、その電極はワイヤー4によって反射枠体5の一部に形成されたボンディング部5bにワイヤーボンディングされている。
【0037】
次にLED3の電気的配線につて説明する。LED3のベース側はダイボンディング電極2bに固着されることによって、ダイボンディング電極2b、スルーホール電極2eを介して回路基板2の裏面側に設けられた一方の出力電極2dに接続されている。またLED3の電極はワイヤー4によって反射枠体5の一部に形成されたボンディング部5dにワイヤーボンディングされることにより、金属製の反射枠体5を介して配線電極2aに接続され、さらにスルーホール電極2eを介して回路基板2の裏面側に設けられた他方の出力電極2dに接続されている。
【0038】
次に、図3、図4によりLED発光装置10の主要な構成要素について説明する。図3は回路基板2の平面図であり、回路基板2の上面側には、中心に設けたダイボンディング電極2bを取り囲んで配線電極2aと3個の反射枠体固定電極2cが設けられている。そして回路基板2の裏面側には点線で示すように、回路基板2の両端には出力電極2dが形成され、2個の出力電極2dにはダイボンディング電極2bと配線電極2aとがスルーホール電極2eを介して接続されている。
【0039】
図4は反射枠体5の斜視図であり、本実施形態では反射枠体5は(黄銅等)の鋳造によって形成されているが、これに限定されず例えば金属板の搾り加工によって形成しても良い。そして反射枠体5には、LED3が実装される中心穴5cの周囲には反射面5aが理想形状である非球面に形成され、その反射面5aの一部に設けられた切欠凹部5bの底面にはワイヤー4をボンディングするためのボンディング部5dが設けられている。
【0040】
また、反射面5aは反射性能を良くするために鏡面仕上げ加工が施されており、さらに反射性の良い金属皮膜層が形成されている。本実施形態では、この金属皮膜層としてはニッケル下地メッキの上に金メッキ層を形成したが、これに限定されるものではなく、例えばニッケルメッキ層やアルミメッキ層等でも良いことは当然である。さらに、金属皮膜層の形成は、切欠凹部5bの底面に設けられたボンディング部5dにも施されており、これによってボンディング性を良くすることができる。
【0041】
次に図5によってLED発光装置10の組み立て手順を説明する。図5は各部材の断面図を示しており、(A)は回路基板2の上面側に配線電極2a、ダイボンディング電極2b、反射枠体固定電極2cが形成され、裏面側には出力電極2dが形成されており、回路基板2の上面側の配線電極2aとダイボンディング電極2bとは、スルーホール電極2eによって回路基板2の裏面側の出力電極2dに接続されている。
【0042】
(B)はダイボンディング電極2bの周囲に隙間を設けた状態で、反射枠体5を配置し、配線電極2aと3個の反射枠体固定電極2cとに、反射枠体5の底面を導電接着剤で固着した状態である。
【0043】
(C)はダイボンディング電極2bにLED3を導電接着材で固着し、LED3の電極をワイヤー4により、反射枠体5の切欠凹部5bの底面に形成されたボンディング部5dにワイヤーボンディングした状態を示す。なお、前述の如くボンディング部5dとしての、反射枠体5の切欠凹部5bの底面には反射枠体5の反射面5aと同時に金メッキ層が形成されているので、ワイヤー4のセカンドボンディングも良好におこなわれる。
【0044】
(D)は回路基板2の上面側に、LED3及び反射枠体5をモールド樹脂6で封止してLED発光装置10を完成させた状態を示す。この状態において、LED3の電極と配線電極2aを接続するワイヤー4は反射枠体5の高さよりも低い位置でループさせることができるので、LED発光装置10としての高さを極めて低くでき、薄型化を可能にしている。
【0045】
次に図1によりLED発光装置10の動作を説明する。回路基板2の裏面側に設けられた2個の出力電極2dに外部より駆動電圧を供給するとLED3が発光する。その放射光は理想形状な非球面に形成され、かつ鏡面状態の金属皮膜層を有する反射面5aによって、狭い範囲の鋭い指向性を有する出射光Pとして効率よく出射される。なおモールド樹脂6が蛍光粒子を混入させた蛍光樹脂の場合は、LED3からの放射光は波長変換された出射光Pとして出射される。
【0046】
(第2実施形態)
次に図6、図7により本発明の第2実施形態におけるLED発光装置の構成を説明する。
図6は第2実施形態におけるLED発光装置20の断面図、図7は反射枠体5の斜視図であり、それぞれ図1に示したLED発光装置10の断面図及び図4に示した反射枠体の5の斜視図に対応しており、同一要素には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0047】
図6に示す第2実施形態のLED発光装置20が図1に示すが第1実施形態のLED発光装置10と異なるところは、反射枠体5の切欠凹部5bに反射部材8を埋設したことであり、この反射部材8によって反射枠体5の切欠凹部5bからの光の漏洩を防止し、反射枠体5の反射効率を高めている。
【0048】
図7は図4に示す反射枠体5に、LED3をダイボンディングした後に、ワイヤ−4によってワイヤーボンディングをおこない、さらに反射枠体5の切欠凹部5bに反射部材8を埋設した状態を示している。
【0049】
上記反射部材8によって反射枠体5の切欠凹部5bからの光の漏洩を防止し、反射枠体5の反射効率を高めるためには、反射部材8の材質としては反射率の高い部材として、酸化チタンやガラスフィラーを混入した樹脂材を使用すると良い。
【0050】
さらに、この反射枠体5の切欠凹部5bに埋設された反射部材8は、反射枠体5の切欠部5bに形成されたボンディング部5dにボンディングされたワイヤー4の補強の役目も果たしている。従ってこのワイヤー4の電気的接続の補強のためには、反射部材8として反射性と導電性を兼ね備えた金ペーストのような導電性材料を使用するとさらに良い。
【0051】
(第3実施形態)
次に、図8により本発明の第3実施形態におけるLED発光装置の構成を説明する。
図8は第3実施形態におけるLED発光装置30の断面図であり、図2に示したLED発光装置20の断面図に対応しており、同一要素には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0052】
第3実施形態のLED発光装置30が第2実施形態のLED発光装置20と異なるところは、LED発光装置20における回路基板2の大きさに比べて、LED発光装置30の回路基板32の大きさが小さくなったことと、モールド樹脂36が反射枠体5のカップ内部にのみ充填されていることである。
【0053】
すなわち、LED発光装置30の回路基板32の大きさは、反射枠体5の底面の大きさと同じサイズになっており、さらにモールド樹脂36が反射枠体5のカップ内部にのみ充填されることによって、LED発光装置30のサイズは外形が反射枠体5と同じサイズで、厚さが回路基板36と反射枠体5を積層した高さとなっており、第1実施形態及び第実施形態におけるLED発光装置10及びLED発光装置20に比べて、著しく小型、薄型化されていることが分かる。
【0054】
以上の如く、本発明におけるLED発光装置は理想的な反射曲面を有する金属製の反射枠体を採用し、さらにこの反射枠体の一部をボンディング部としてワイヤーボンディングの中継を行わせることで、反射効率の改良と、発光装置としての小型、薄型化を可能としている。なお、本実施形態においては、反射枠体5の切欠凹部5bの底面にボンディング部5d形成した事例を示したが、発光装置としての高さにゆとりがある場合には、反射枠体5に切欠凹部5bを設けることなく、反射枠体5の上面部にボンディング部5d形成することもできる。この場合には反射枠体5の切欠凹部5bに反射部材8を設ける必要がなく、反射枠体5に完全な反射面5aを形成できる効果がある。
【符号の説明】
【0055】
2、32、102、202 回路基板
2a、102a、202a、302a 配線電極
2b、102b、202b、303a ダイボンディング電極
2c 反射枠体固定電極
2d、102c、202c、302c、303c 出力電極
2e スルーホール電極
3、103 LED
4、104 ワイヤー
5 反射枠体
5a、 反射面
5b、 切欠凹部
5c、 中心穴
5d、 ボンディング部
6、36 モールド樹脂
8 反射部材
10、20、30、100、200、300 LED発光装置
102d、202d、302d、303d 側面電極
110 反射カップ体
110a、210a、320 反射カップ部
110b ワイヤー溝
120、220、302,303 金属メッキ層
130、230 透明性樹脂
212 ザグリ部
310 樹脂基体
【技術分野】
【0001】
本発明はLED発光素子等の半導体発光素子を備えた半導体発光装置に関するものであり、詳しくは集光特性に優れ、小型、薄型化が可能な半導体発光装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED等を用いた半導体発光素子(以下LEDと略記する場合あり)は半導体素子であるため、長寿命で優れた駆動特性を有し、さらに小型で発光効率が良く、鮮やかな発光色を有することから、カラー表示装置のバックライトや照明等に広く利用されるようになってきた。本発明においても半導体発光装置としてLED発光装置を実施形態として説明する。
【0003】
特に近年、LED発光装置としては、シャープな指向特性が要求されており、すなわち指向特性が狭く、出来るだけ薄型化された構成のLED発光装置を実現する提案がなされている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0004】
以下従来の指向特性を持つLED発光装置に付いて説明する。
図9,図10は特許文献1における従来のLED発光装置の構成を示し、図9は断面図、図10は上面図である。図9においてLED発光装置100は、回路基板102の上面側に配線電極102aダイボンディング電極102bが、また回路基板102の下面側には出力電極102cが設けられ、上面側の配線電極102aとダイボンディング電極102bとは、下面側の出力電極102cに対して側面電極102dによって接続されている。そして上面側に設けられたダイボンディング電極102bにはLED103が実装され、ワイヤー104によって配線電極102aに接続されている。
【0005】
また、回路基板102の上部には樹脂成型による反射カップ体110が組み込まれている。この反射カップ体110は図10に上面形状を示す如く、LED103が実装された部分の周囲に反射カップ部110a、ワイヤー104の配線領域にワイヤー溝110bが設けられた形状に樹脂成型によって構成されており、反射カップ部110aの内面には反射性の金属による金属メッキ層120が形成され、LED103の発光を狭い指向特性で放射するようになっている。なお、図9に示す如く反射カップ部110aとワイヤー溝110bの内部には保護用、または波長変換用の透明性樹脂130がモールドされている。
【0006】
図11は特許文献2における従来のLED発光装置の構成を示す断面図である。図11に示すLED発光装置200は回路基板202にザグリ部212を形成し、このザグリ部212の内面に反射性の金属メッキ層220を形成することで、反射カップ部210aを形成している。また金属メッキ層220と同時に回路基板202の上面側には配線電極202aとダイボンディング電極202bとが、また回路基板202の下面側には出力電極202cが設けられ、上面側のダイボンディング電極20b及び配線電極202aは、下面側の出力電極202cに対し側面電極202dによって接続されている。そして上面側に設けられたダイボンディング電極202bにはLED103が実装され、ワイヤー104によって配線電極202aに接続されている。さらにLED103が実装された回路基板202の上面側にはレンズ形状の透明性樹脂230がモールドされている。
【0007】
すなわち図11に示すLED発光装置200は、回路基板202に設けたザグリ部212に金属メッキ層220を形成して反射カップ部210aにしているが、薄い回路基板202に設けたザグリ部212に金属メッキ層220を形成した反射カップ部210aでは、反射カップ部210aが理想形状である非球面(曲面)に加工できないため、狭い指向特性を得るためにはレンズを併用する必要があり、このために形状の大きい樹脂レンズを透明性樹脂230のモールドによって設けている。
【0008】
さらに図12は他の従来例のMIDタイプ(成形樹脂)のLED発光装置の構成を示す断面図である。図12に示すLED発光装置300は樹脂により一体成型されたカップ形状の樹脂基体310の表面に2個の電気的に分離された金属メッキ層302と303を形成している。そして金属メッキ層302には配線電極302aと裏面側に形成された出力電極302cとが、側面電極302dによって接続されている。
【0009】
また金属メッキ層303にはダイボンディング電極303aと裏面側に形成された出力電極303cとが、側面電極303dによって接続されている。さらに金属メッキ層302と303との斜面部には反射カップ部320が反射面として形成されている。
【0010】
そしてダイボンディング電極303aにはLED103が実装され、ワイヤー104によって配線電極302aに接続されている。さらにLED103が実装されたカップ形状の樹脂基体310の上面側には保護用、または波長変換用の透明性樹脂330がモールドされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−32118号公報
【特許文献2】実開平4−111767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1の提案では、狭い指向特性を得るためには反射カップ部の形状を深くする必要がり、成型品の肉厚との関係で反射カップ体の形状を大きくし、かつ厚みも大きくする必要があるため、製品形状が大型化する問題がある。さらに反射カップ部が樹脂成型品の場合、樹脂面へ金属メッキ層を形成した場合には反射面に若干の凹凸は生じるため、反射特性を妨げる原因となる。
【0013】
また、特許文献2の提案では、基板のザグリ部に金属メッキ層を形成して反射カップ部としているため、カップ形状が理想形状である非球面(曲面)に加工できないので、狭い指向特性を確保するためには大きな球面のレンズを併用する必要があり、図11に示す如く全体として厚みが増加する結果となる。
【0014】
さらに図12に示すMIDタイプのLED発光装置では、特許文献1の提案と同様に、狭い指向特性を得るためには反射カップ部の形状を深くする必要がる上、図12にHで示すLED実装部の肉厚を0,3mm以上必要とするため、製品全体の形状が厚くなってしまうという問題があり、されに樹脂表面の形成された金属メッキ層には若干の凹凸形状が存在し、反射カップ部での反射効率の低下は避けられない。
【0015】
本発明の目的は上記問題点を解決しようとするものであり、金属性の反射枠体を用いて十分に狭い指向特性を得ると共に、薄型化、小型化を可能にしたLED発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため本発明においては、配線電極を有する回路基板に半導体発光素子を実装し、前記配線電極と半導体発光素子とを電気的接続し、樹脂封止してなる半導体発光装置において、カップ形状の反射面と前記半導体発光素子とのワイヤーボンディングを行なうボンディング部とを有する金属性の反射枠体を、前記回路基板における前記半導体発光素子の実装部周囲に配置するとともに、前記反射枠体の底面を前記配線電極に固定し、前記半導体発光素子の電極と、前記反射枠体のボンディング部とをワイヤーボンディングすることにより、前記半導体発光素子の電極をワイヤーと反射枠体を介して回路基板上の、配線電極に接続することを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、反射性の良い金属性の反射枠体を用いて、指向特性が狭く、反射特性に優れた発光特性を得ることができると共に、
反射枠体にボンディング部を設け、前記半導体発光素子の電極をワイヤーと反射枠体を介して回路基板上の、配線電極に接続することにより、半導体発光装置の薄型化、小型化を可能にする。
【0018】
前記反射枠体のボンディング部は反射枠体に形成された切欠凹部であると良い。
【0019】
上記構成によれば、反射枠体に形成された切欠凹部にワイヤーのボンディングを行なうことによって、ワイヤーループの高さを反射枠体の高さ以内に収めることができ、半導体発光装置の薄型化に効果がある。
【0020】
前記金属性の反射枠体は、金属板の絞り加工または金属の鋳造加工によって形成されていると良い。
【0021】
前記金属性の反射枠体のカップ形状の反射面は鏡面仕上げ加工が施されていると良い。
【0022】
前記金属性の反射枠体のカップ形状の反射面には反射性の金属皮膜層が形成されていると良い。
【0023】
前記金属性の反射枠体の反射面の金属皮膜層は、ニッケル下地メッキに金メッキ層を形成していると良い。
【0024】
上記各構成によれば、反射枠体のカップ形状の反射面の反射効率が良くなることで、半導体発光装置としての発光効率が改善される。
【0025】
前記金属性の反射枠体に形成された切欠凹部には反射性の樹脂が埋設されていると良い。
【0026】
前記反射性の樹脂は導電性を有すると良い。
【0027】
上記構成によれば、反射枠体に形成された切欠凹部による反射効率の低下を軽減できるとともに、切欠き凹部にボンディングされたワイヤーの補強が可能となる。
【0028】
回路基板の大きさが、前記反射枠体の底面の大きさと略同じであり、且つモールド樹脂が反射枠体のカップ内部にのみ充填されていると良い。
【0029】
上記構成によれば、半導体発光装置の発光効率を良くした状態で、十分な薄型、小型化を達成することができる。
【発明の効果】
【0030】
上記の如く本発明によれば、反射性の良い金属性の反射枠体を用いて、指向特性が狭く、反射特性に優れた発光特性を得ることができると共に、反射枠体にボンディング部を設け、前記半導体発光素子の電極をワイヤーと反射枠体を介して回路基板上の、配線電極に接続することにより、半導体発光装置の薄型化、小型化を可能にする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態におけるLED発光装置の断面図である。
【図2】図1に示すLED発光装置の平面図である。
【図3】図2に示す回路基板の平面図である。
【図4】図1に示す反射枠体の斜視図である。
【図5】図1に示すLED発光装置の製造方法を示す工程図である。
【図6】本発明の第2実施形態におけるLED発光装置の断面図である。
【図7】図6に示す反射枠体の斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態におけるLED発光装置の断面図である。
【図9】従来のLED発光装置の断面図である。
【図10】図9に示すLED発光装置の上面側の平面図である。
【図11】従来のLED発光装置の断面図である。
【図12】従来のMIDタイプのLED発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態)
以下図面により、本発明の実施形態を説明する。図1〜図5は本発明の第1実施形態におけるLED発光装置及びその構成要素を示すものであり、図1はLED発光装置10の断面図、図2は図1に示すLED発光装置10の平面図、図3は図2に示す回路基板2の平面図、図4は図1に示すLED発光装置10における反射枠体5の斜視図、図5はLED発光装置10の製造方法を示す工程図である。
【0033】
図1においてLED発光装置10は、回路基板2の上面側に配線電極2a、ダイボンディング電極2b、反射枠体固定電極2cが形成され、裏面側には出力電極2dが形成されており、回路基板2の上面側の配線電極2aとダイボンディング電極2bとはスルーホール電極2eによって接続されている。
【0034】
また、ダイボンディング電極2bにはLED3が固着実装され、配線電極2aと反射枠体固定電極2cには、後に詳述する金属性の反射枠体5が固着されている。そしてLED3の電極はワイヤー4にて反射枠体5の一部に形成されたボンディング部5dにワイヤーボンディングされている。さらにLED3が実装された回路基板2の上面は透明または蛍光粒子を混入したモールド樹脂6でモールドされている。なお、点線は反射枠体5の外形を示している。
【0035】
図2は図1にLED発光装置10を上面側からみた平面図であり、後で詳述する回路基板2には円形の配線電極2aと略導形状の反射枠体固定電極2cが3個対照的に配設あれており、この配線電極2aと3個の反射枠体固定電極2cに、反射枠体5の底面が導電接着剤で固着されている。すなわち3個の反射枠体固定電極2cは反射枠体5の底面が配線電極2aと平行に接着されるためのスペーサの役目を果たしているが、必ずしも必要なものではなく、反射枠体5の若干の傾きが問題なければ設けなくても良い。
【0036】
また回路基板2のダイボンディング電極2bにはLED3が固着実装され、その電極はワイヤー4によって反射枠体5の一部に形成されたボンディング部5bにワイヤーボンディングされている。
【0037】
次にLED3の電気的配線につて説明する。LED3のベース側はダイボンディング電極2bに固着されることによって、ダイボンディング電極2b、スルーホール電極2eを介して回路基板2の裏面側に設けられた一方の出力電極2dに接続されている。またLED3の電極はワイヤー4によって反射枠体5の一部に形成されたボンディング部5dにワイヤーボンディングされることにより、金属製の反射枠体5を介して配線電極2aに接続され、さらにスルーホール電極2eを介して回路基板2の裏面側に設けられた他方の出力電極2dに接続されている。
【0038】
次に、図3、図4によりLED発光装置10の主要な構成要素について説明する。図3は回路基板2の平面図であり、回路基板2の上面側には、中心に設けたダイボンディング電極2bを取り囲んで配線電極2aと3個の反射枠体固定電極2cが設けられている。そして回路基板2の裏面側には点線で示すように、回路基板2の両端には出力電極2dが形成され、2個の出力電極2dにはダイボンディング電極2bと配線電極2aとがスルーホール電極2eを介して接続されている。
【0039】
図4は反射枠体5の斜視図であり、本実施形態では反射枠体5は(黄銅等)の鋳造によって形成されているが、これに限定されず例えば金属板の搾り加工によって形成しても良い。そして反射枠体5には、LED3が実装される中心穴5cの周囲には反射面5aが理想形状である非球面に形成され、その反射面5aの一部に設けられた切欠凹部5bの底面にはワイヤー4をボンディングするためのボンディング部5dが設けられている。
【0040】
また、反射面5aは反射性能を良くするために鏡面仕上げ加工が施されており、さらに反射性の良い金属皮膜層が形成されている。本実施形態では、この金属皮膜層としてはニッケル下地メッキの上に金メッキ層を形成したが、これに限定されるものではなく、例えばニッケルメッキ層やアルミメッキ層等でも良いことは当然である。さらに、金属皮膜層の形成は、切欠凹部5bの底面に設けられたボンディング部5dにも施されており、これによってボンディング性を良くすることができる。
【0041】
次に図5によってLED発光装置10の組み立て手順を説明する。図5は各部材の断面図を示しており、(A)は回路基板2の上面側に配線電極2a、ダイボンディング電極2b、反射枠体固定電極2cが形成され、裏面側には出力電極2dが形成されており、回路基板2の上面側の配線電極2aとダイボンディング電極2bとは、スルーホール電極2eによって回路基板2の裏面側の出力電極2dに接続されている。
【0042】
(B)はダイボンディング電極2bの周囲に隙間を設けた状態で、反射枠体5を配置し、配線電極2aと3個の反射枠体固定電極2cとに、反射枠体5の底面を導電接着剤で固着した状態である。
【0043】
(C)はダイボンディング電極2bにLED3を導電接着材で固着し、LED3の電極をワイヤー4により、反射枠体5の切欠凹部5bの底面に形成されたボンディング部5dにワイヤーボンディングした状態を示す。なお、前述の如くボンディング部5dとしての、反射枠体5の切欠凹部5bの底面には反射枠体5の反射面5aと同時に金メッキ層が形成されているので、ワイヤー4のセカンドボンディングも良好におこなわれる。
【0044】
(D)は回路基板2の上面側に、LED3及び反射枠体5をモールド樹脂6で封止してLED発光装置10を完成させた状態を示す。この状態において、LED3の電極と配線電極2aを接続するワイヤー4は反射枠体5の高さよりも低い位置でループさせることができるので、LED発光装置10としての高さを極めて低くでき、薄型化を可能にしている。
【0045】
次に図1によりLED発光装置10の動作を説明する。回路基板2の裏面側に設けられた2個の出力電極2dに外部より駆動電圧を供給するとLED3が発光する。その放射光は理想形状な非球面に形成され、かつ鏡面状態の金属皮膜層を有する反射面5aによって、狭い範囲の鋭い指向性を有する出射光Pとして効率よく出射される。なおモールド樹脂6が蛍光粒子を混入させた蛍光樹脂の場合は、LED3からの放射光は波長変換された出射光Pとして出射される。
【0046】
(第2実施形態)
次に図6、図7により本発明の第2実施形態におけるLED発光装置の構成を説明する。
図6は第2実施形態におけるLED発光装置20の断面図、図7は反射枠体5の斜視図であり、それぞれ図1に示したLED発光装置10の断面図及び図4に示した反射枠体の5の斜視図に対応しており、同一要素には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0047】
図6に示す第2実施形態のLED発光装置20が図1に示すが第1実施形態のLED発光装置10と異なるところは、反射枠体5の切欠凹部5bに反射部材8を埋設したことであり、この反射部材8によって反射枠体5の切欠凹部5bからの光の漏洩を防止し、反射枠体5の反射効率を高めている。
【0048】
図7は図4に示す反射枠体5に、LED3をダイボンディングした後に、ワイヤ−4によってワイヤーボンディングをおこない、さらに反射枠体5の切欠凹部5bに反射部材8を埋設した状態を示している。
【0049】
上記反射部材8によって反射枠体5の切欠凹部5bからの光の漏洩を防止し、反射枠体5の反射効率を高めるためには、反射部材8の材質としては反射率の高い部材として、酸化チタンやガラスフィラーを混入した樹脂材を使用すると良い。
【0050】
さらに、この反射枠体5の切欠凹部5bに埋設された反射部材8は、反射枠体5の切欠部5bに形成されたボンディング部5dにボンディングされたワイヤー4の補強の役目も果たしている。従ってこのワイヤー4の電気的接続の補強のためには、反射部材8として反射性と導電性を兼ね備えた金ペーストのような導電性材料を使用するとさらに良い。
【0051】
(第3実施形態)
次に、図8により本発明の第3実施形態におけるLED発光装置の構成を説明する。
図8は第3実施形態におけるLED発光装置30の断面図であり、図2に示したLED発光装置20の断面図に対応しており、同一要素には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0052】
第3実施形態のLED発光装置30が第2実施形態のLED発光装置20と異なるところは、LED発光装置20における回路基板2の大きさに比べて、LED発光装置30の回路基板32の大きさが小さくなったことと、モールド樹脂36が反射枠体5のカップ内部にのみ充填されていることである。
【0053】
すなわち、LED発光装置30の回路基板32の大きさは、反射枠体5の底面の大きさと同じサイズになっており、さらにモールド樹脂36が反射枠体5のカップ内部にのみ充填されることによって、LED発光装置30のサイズは外形が反射枠体5と同じサイズで、厚さが回路基板36と反射枠体5を積層した高さとなっており、第1実施形態及び第実施形態におけるLED発光装置10及びLED発光装置20に比べて、著しく小型、薄型化されていることが分かる。
【0054】
以上の如く、本発明におけるLED発光装置は理想的な反射曲面を有する金属製の反射枠体を採用し、さらにこの反射枠体の一部をボンディング部としてワイヤーボンディングの中継を行わせることで、反射効率の改良と、発光装置としての小型、薄型化を可能としている。なお、本実施形態においては、反射枠体5の切欠凹部5bの底面にボンディング部5d形成した事例を示したが、発光装置としての高さにゆとりがある場合には、反射枠体5に切欠凹部5bを設けることなく、反射枠体5の上面部にボンディング部5d形成することもできる。この場合には反射枠体5の切欠凹部5bに反射部材8を設ける必要がなく、反射枠体5に完全な反射面5aを形成できる効果がある。
【符号の説明】
【0055】
2、32、102、202 回路基板
2a、102a、202a、302a 配線電極
2b、102b、202b、303a ダイボンディング電極
2c 反射枠体固定電極
2d、102c、202c、302c、303c 出力電極
2e スルーホール電極
3、103 LED
4、104 ワイヤー
5 反射枠体
5a、 反射面
5b、 切欠凹部
5c、 中心穴
5d、 ボンディング部
6、36 モールド樹脂
8 反射部材
10、20、30、100、200、300 LED発光装置
102d、202d、302d、303d 側面電極
110 反射カップ体
110a、210a、320 反射カップ部
110b ワイヤー溝
120、220、302,303 金属メッキ層
130、230 透明性樹脂
212 ザグリ部
310 樹脂基体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線電極を有する回路基板に半導体発光素子を実装し、前記配線電極と半導体発光素子とを電気的接続し、樹脂封止してなる半導体発光装置において、カップ形状の反射面と前記半導体発光素子とのワイヤーボンディングを行なうボンディング部とを有する金属性の反射枠体を、前記回路基板における前記半導体発光素子の実装部周囲に配置するとともに、前記反射枠体の底面を前記配線電極に固定し、前記半導体発光素子の電極と、前記反射枠体のボンディング部とをワイヤーボンディングすることにより、前記半導体発光素子の電極をワイヤーと反射枠体を介して回路基板上の、配線電極に接続することを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記反射枠体のボンディング部は反射枠体に形成された切欠き凹部である請求項1記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記金属性の反射枠体は、金属板の絞り加工または金属の鋳造加工によって形成されている請求項1又は2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記金属性の反射枠体のカップ形状の反射面は鏡面仕上げ加工が施されている請求項1から3のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記金属性の反射枠体のカップ形状の反射面には反射性の金属皮膜層が形成されている請求項4記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記金属性の反射枠体の反射面の金属皮膜層は、ニッケル下地メッキに金メッキ層を形成している請求項5記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記金属性の反射枠体に形成された前記切欠凹部には反射性の樹脂が埋設されている請求項1から6のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記反射性の樹脂は導電性を有する請求項7記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記回路基板の大きさが、前記反射枠体の底面の大きさと略同じであり、且つモールド樹脂が反射枠体のカップ内部にのみ充填されている請求項1から8のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項1】
配線電極を有する回路基板に半導体発光素子を実装し、前記配線電極と半導体発光素子とを電気的接続し、樹脂封止してなる半導体発光装置において、カップ形状の反射面と前記半導体発光素子とのワイヤーボンディングを行なうボンディング部とを有する金属性の反射枠体を、前記回路基板における前記半導体発光素子の実装部周囲に配置するとともに、前記反射枠体の底面を前記配線電極に固定し、前記半導体発光素子の電極と、前記反射枠体のボンディング部とをワイヤーボンディングすることにより、前記半導体発光素子の電極をワイヤーと反射枠体を介して回路基板上の、配線電極に接続することを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記反射枠体のボンディング部は反射枠体に形成された切欠き凹部である請求項1記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記金属性の反射枠体は、金属板の絞り加工または金属の鋳造加工によって形成されている請求項1又は2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記金属性の反射枠体のカップ形状の反射面は鏡面仕上げ加工が施されている請求項1から3のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記金属性の反射枠体のカップ形状の反射面には反射性の金属皮膜層が形成されている請求項4記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記金属性の反射枠体の反射面の金属皮膜層は、ニッケル下地メッキに金メッキ層を形成している請求項5記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記金属性の反射枠体に形成された前記切欠凹部には反射性の樹脂が埋設されている請求項1から6のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記反射性の樹脂は導電性を有する請求項7記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記回路基板の大きさが、前記反射枠体の底面の大きさと略同じであり、且つモールド樹脂が反射枠体のカップ内部にのみ充填されている請求項1から8のいずれかに記載の半導体発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−54460(P2012−54460A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196874(P2010−196874)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】
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