説明

半導体素子搭載用パッケージ基板及びその製造方法

【課題】キャビティ内に複数の半導体素子を重ねて搭載するときに必要となる微細配線を備えた半導体素子搭載用パッケージ基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】導体回路50を備えるベース層6と、ベース層6に積層されるキャビティ層5と、キャビティ層5に設けられた開口25によって形成されるキャビティ部9とを有し、キャビティ部9の開口25からベース層6の導体回路50が露出する半導体素子搭載用パッケージ基板において、ベース層6が、キャビティ部9側の表面に粗面形状を有するベース材21と、ベース材21に設けられた層間接続孔51と、を有し、ベース層6の導体回路50が、下地めっきとして、ベース材21の粗面形状を有する表面及び層間接続孔51の内壁の両者に、直接かつ一体的に設けられた薄付け無電解銅めっきを有する半導体素子搭載用パッケージ基板1とその製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度化が可能な半導体素子搭載用パッケージ基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の小型化や高密度化に伴い、システム化された半導体素子搭載用パッケージ基板(以下、「パッケージ基板」という。」が求められている。SiP(System in Package)に代表されるPoP(Package on Package)では、一つのパッケージ基板に一つの半導体素子を実装する方法が一般的であったが、近年、一つのパッケージ基板に半導体素子を複数積み重ねたパッケージが主流となってきている。
【0003】
PoP用のパッケージ基板としては、図6に示すように、ボトムパッケージ用の基板(以下、「ボトム基板」という。」に、半導体素子2を2段に積み重ねて搭載し、ボトム基板33とボンディングワイヤ4で接続したもの(引用文献1、2)が知られている。このように半導体素子2を複数搭載するためには、ボトム基板33上に、半導体素子2と電気的に接続するための接続端子(ここでは、ワイヤボンド端子12)を多数、密集して設ける必要があり、そのための微細回路が必要とされる。
【0004】
このような微細な導体回路を形成する方法として、厚さが2μmの薄い銅箔を備えた絶縁基材に層間接続孔を設け、薄い銅箔上及び層間接続孔内に厚さ0.1μmの薄付け無電解銅めっきを行い、その上にめっきレジストを形成して導体回路となる部分をパターン電気めっきで厚付けした後、めっきレジストを除去し、全面をエッチングすることによって、パターン電気めっきしていない部分のみ(即ち、導体の薄い部分のみ)を除去して導体回路を形成する方法がある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−221118号公報
【特許文献2】特開2008−016819号公報
【特許文献3】特開2004−140176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、半導体素子2とこれを搭載するボトム基板33との間で、さらに高密度な接続を行うものとして、例えば、図1のように、ボトム基板33のキャビティ部9内に2段に積み重ねた半導体素子2を収容する場合に、上側の半導体素子2をボンディングワイヤ4で接続し、下側の半導体素子2をはんだバンプ38を用いたフリップチップ接続で行う接続構造が考えられている。この場合、フリップチップ端子44は、半導体素子2を搭載する領域内のボトム基板33上に、フルマトリックス状に配置することが可能であるため、引用文献1、2のように、ボンディングワイヤ4だけによって接続する場合に比べて、接続端子の数を大幅に増加させることができ、より高集積化された半導体素子2を搭載することが可能となる。しかしながら、接続端子の間隙に配置される引出し配線53も高密度化し、フリップチップ端子44の間隙に配置される引出し配線53は、ライン/スペースが、15μm/15μm以下の微細化が要求されるようになっている。
【0007】
引用文献3の導体回路形成方法では、図7に示すように、パターン電気銅めっき47の給電層として、絶縁基材49上に設けられた薄い銅箔40と薄付け無電解銅めっき41とを用いるため、パターン電気銅めっき47後に全面をエッチングする際には、給電層(銅箔40と薄付け無電解銅めっき41とを合わせた層)の厚さ分のエッチングが必要になる。このときのエッチングにより、給電層を除去する際に、アンダーカット48が生じる傾向がある。このため、形成される引出し配線53とベース材21との実質的な密着幅が減少し、ライン/スペースが、15μm/15μm以下のように微細な引出し配線53の形成は難しい問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、キャビティ内に複数の半導体素子を重ね、ワイヤーボンディング接続とフリップチップ接続とを併用して搭載するときに必要となる微細配線を備えた半導体素子搭載用パッケージ基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下のものに関する。
(1) 導体回路を備えるベース層と、このベース層に積層されるキャビティ層と、このキャビティ層に設けられた開口によって形成されるキャビティ部とを有し、このキャビティ部の開口から前記ベース層の導体回路が露出する半導体素子搭載用パッケージ基板において、前記ベース層が、前記キャビティ部側の表面に粗面形状を有するベース材と、このベース材に設けられた層間接続孔と、を有し、前記ベース層の導体回路が、その下地めっきとして、前記ベース材の粗面形状を有する表面及び層間接続孔の内壁の両者に、直接かつ一体的に設けられた薄付け無電解銅めっきを有する半導体素子搭載用パッケージ基板。
(2) 上記(1)において、ベース材表面の粗面形状の表面粗さが、十点平均粗さ1.1μm〜5μmである半導体素子搭載用パッケージ基板。
(3) 上記(1)又は(2)において、ベース材表面の粗面形状が、プロファイルフリー銅箔またはロープロファイル銅箔のマット面の表面形状を転写することにより形成される半導体素子搭載用パッケージ基板。
(4) 上記(1)から(3)の何れかにおいて、粗面形状を有する表面及び層間接続孔の内壁に一括して設けられる薄付け無電解銅めっきが、銅とニッケルの合金めっきである半導体素子搭載用パッケージ基板。
(5) 上記(4)において、薄付け無電解銅めっきの厚さが、0.1μm〜1μmである半導体素子搭載用パッケージ基板。
(6) ベース材の上に銅箔を重ねて加熱・加圧する工程と、前記銅箔に窓孔を形成する工程と、前記窓孔に対応する位置のベース材に層間接続孔を形成する工程と、前記銅箔をベース材上から除去して前記ベース材表面に粗面形状を形成する工程と、前記ベース材の粗面形状を有する表面及び層間接続孔の内壁に薄付け無電解銅めっきを直接かつ一体的に形成する工程と、前記薄付け無電解銅めっき上の導体回路となる部分をパターン電気銅めっきで厚付けする工程と、前記電気銅めっきで厚付けしなかった部分の薄付け無電解銅めっきを除去する工程と、を有する半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キャビティ内に複数の半導体素子を重ね、ワイヤーボンディング接続とフリップチップ接続とを併用して搭載するときに必要となる微細配線を備えた半導体素子搭載用パッケージ基板及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例の半導体素子搭載用パッケージ基板の断面図である。
【図2】本発明の実施例の半導体素子搭載用パッケージ基板の一部を拡大し、製造工程を表すフロー図である。
【図3】本発明の実施例の半導体搭載用パッケージ基板に用いるキャビティ層の製造工程を表すフロー図である。
【図4】本発明の実施例の半導体搭載用パッケージ基板に用いるベース層の製造工程を表すフロー図である。
【図5】本発明の実施例の半導体搭載用パッケージ基板の製造工程を表すフロー図である。
【図6】従来の半導体素子搭載用パッケージ基板の断面図である。
【図7】従来の製造方法を用いて製造した半導体素子搭載用パッケージ基板の配線パターンの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の半導体素子搭載用パッケージ基板1としては、図1に示すように、導体回路を備えるベース層6と、このベース層6に積層されるキャビティ層5と、このキャビティ層5に設けられた開口25によって形成されるキャビティ部9とを有し、このキャビティ部9の開口25から前記ベース層6の導体回路50が露出する半導体素子搭載用パッケージ基板1において、前記ベース層6が、前記キャビティ部9側の表面に粗面形状を有するベース材21と、このベース材21に設けられた層間接続孔51と、を有し、前記ベース層6の導体回路50が、その下地めっきとして、前記ベース材21の粗面形状を有する表面(図示しない。)及び層間接続孔51の内壁の両者に、直接かつ一体的に設けられた薄付け無電解銅めっき(図示しない。)を有する半導体素子搭載用パッケージ基板1が挙げられる。
【0013】
本発明の半導体素子搭載用パッケージ基板1は、キャビティ部9を有しており、このキャビティ部9内に半導体素子2を搭載するものであり、キャビティ部9内に封止材3を充填して封止することにより、半導体パッケージ36としたときに、その表面が、ほぼフラットとなる。このため、PoPのボトム基板として用いられる場合には、トップ基板との接続を微小なはんだボール(図示しない。)で行なうことが可能となるため、接続端子も微小化することができ、高密度な接続を行なうことができる。
【0014】
本発明において、導体回路50とは、ベース材21の粗面形状を有する表面に形成される配線パターンをいい、例えば、実施例を示す図1においては、ワイヤボンド端子12、フリップチップ端子44、層間接続ランド52及びこれらの間隙に配置されてこれらを電気的に接続する引出し配線53等を含む。
【0015】
本発明において、ベース層6とは、図1に示すように、キャビティ層5と積層されてキャビティ部9を形成するとともに、半導体素子2を搭載するための基板をいう。ベース層6の一例としては、絶縁層であるベース材21と、このベース材21の両面に設けられた導体回路50と、ベース材21の内層に設けられた内層回路19と、これらの導体回路50と内層回路19とを接続するために層間接続孔51を設けて形成された層間接続42とを有するものが挙げられる。ベース層6のキャビティ層5側の面には、導体回路50として、半導体素子2と電気的に接続されるワイヤボンド端子12、フリップチップ端子44、層間接続ランド52、及びこれらの間隙に配置されてこれらを電気的に接続する引出し配線53を有する。ベース層6のキャビティ層5と反対側の面には、導体回路として、他の基板等と接続するための接続端子B15を有する。これらの導体回路は、サブトラクト法等により形成することができる。また、ベース材21は、半導体素子搭載用パッケージ基板1の製造に用いられる一般的な銅張り積層板やビルドアップ材を用いて作製できる。例えば、本発明の実施例である図4に示すように、銅張り積層板をベース材a28とし、ビルドアップ材をベース材b29及びベース材c30とし、これらを積層して多層化したベース材21を使用してもよい。層間接続42は、ドリル加工やレーザ加工を用いて貫通孔や非貫通孔を形成し、これらの孔内にめっきを形成すること等により作製できる。
【0016】
本発明において、キャビティ層5とは、図1に示すように、ベース層6と積層されて半導体素子2を収納するキャビティ部9を形成する基板であるとともに、半導体素子2が搭載されるベース層6の接続パッド11と、他の半導体素子搭載用パッケージ用基板(本発明の半導体素子搭載用パッケージ基板がボトム基板として用いられる場合は、トップ基板を示す。)と接続される接続端子A14との電気的接続を行う基板である。キャビティ層5の一例としては、絶縁層であるキャビティ材7と、その表面に形成される接続端子A14と、キャビティ材7のベース層6側に設けられる接着剤8と、キャビティ部9形成のための開口25と、層間接続31のための貫通孔A(図示しない。)とを有するものが挙げられる。また、キャビティ材7は、半導体素子搭載用パッケージ基板1の製造に用いられる一般的な銅張り積層板やビルドアップ材、フィルム材を用いることができる。キャビティ材7の厚みは、キャビティ部9に収納する半導体素子2を積み重ねる高さに応じて選択される。接続端子A14を形成するパターンは、サブトラクト法等により作製することができる。開口25や貫通孔A24は、ルータ加工やパンチ加工等で形成することができる。
【0017】
キャビティ層5の層間接続31は、例えば、図1に示すように、ベース層6のキャビティ層5側の面に設けられた接続パッド11と、この接続パッド11を底面としてキャビティ層5に形成された有底ビア13と、この有底ビア13内に充填された導電樹脂17と、この導電樹脂17上に設けられた接続端子A14とにより形成することができる。導電樹脂17の代わりに、非導電性の樹脂や、いわゆるフィルドビアめっきを用いてもよい。導電樹脂17や非導電性樹脂、フィルドビアめっきにより、有底ビア13内を充填することにより、有底ビア13の直上に接続端子A14を設けることが可能になり、高密度化を図ることができる。このキャビティ層5上の接続端子A14は、他の半導体素子搭載用パッケージ基板や半導体パッケージ、配線板(何れも図示しない。)との接続に用いる、いわゆる外部接続端子として用いることができる。また、ベース層6のキャビティ層5側の面に設けられた接続パッド11は、半導体素子2との接続を行うワイヤボンド端子12やフリップチップ端子44等の、いわゆる内部接続端子や、ベース層6のキャビティ層5側とは反対側の面に設けられた接続端子B15に電気的に接続される。接続端子B15は、接続端子A14と同様に、他の半導体素子搭載用パッケージ基板や半導体パッケージ、配線板(何れも図示しない。)との接続に用いる、いわゆる外部接続端子として用いることができる。
【0018】
本発明において、キャビティ部9は、図1に示すように、半導体素子搭載用パッケージ基板1に設けられた所定の深さの窪みであり、半導体素子2を搭載するためのスペースとして使用される。キャビティ部9は、開口25を有するキャビティ層5とベース層6とを積層することにより形成することができる。
【0019】
キャビティ部9の開口25から、ベース層6の導体回路50であるワイヤボンド端子12やフリップチップ端子44が露出する。このように、キャビティ部9内に、ベース層6のワイヤボンド端子12やフリップチップ端子44が露出することにより、半導体素子2のワイヤボンド接続端子(図示しない。)やはんだバンプ38と、ベース層6のワイヤボンド端子12やフリップチップ端子44とを、それぞれ接続することができ、複数の半導体素子2を搭載することが可能になる。
【0020】
キャビティ層5とベース層6の積層に用いる接着剤8は、半導体素子搭載用パッケージ基板1の製造に用いられるエポキシやポリイミド系の多層化接着用の接着剤8を用いることができる。このような接着剤8として、例えば、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸し、加熱・乾燥して、半硬化状にしたプリプレグや、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に熱硬化性樹脂を塗布し、加熱・乾燥してドライフィルム状にした接着シートを使用することができる。熱硬化樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂等が使用でき、強化繊維としては、ガラス布、ガラス紙、アミド布、アミド紙が使用できる。
【0021】
ベース層6は、キャビティ部9側の表面に粗面形状を有するベース材21と、このベース材21に設けられた層間接続孔51とを有する。
【0022】
ベース材21表面の粗面形状は、例えば、図2(a)、(b)に示すように、ベース材a28上にベース材b29及びベース材c30を形成するためのプリプレグを重ね、このプリプレグ上に銅箔40のマット面を重ねて加熱積層してベース材21を形成した後、銅箔40をエッチング等で除去することにより、形成することができる。この方法によれば、使用した銅箔40のマット面の形状が、ベース材21の表面に転写するので、微細な粗面形状を形成することができる。使用する銅箔40としては、半導体素子搭載用パッケージ基板1の製造に使用される一般銅箔のほか、ロープロファイル銅箔やプロファイルフリー銅箔等を使用できる。一般銅箔としては、GTS(古河電気工業株式会社製、商品名、マット面Rz:8μm、)、ロープロファイル銅箔としては、3EC−VLP−12(三井金属鉱業株式会社製、商品名、マット面Rz:1.6μm〜5μm)やF3−WS(古河電気工業株式会社製、商品名、マット面Rz:2.7μm〜3.3μm)、プロファイルフリー銅箔としては、PF−E−3(日立化成工業株式会社製、商品名、マット面Rz:1.1μm〜1.5μm)やMultiFoil−G シリーズ(三井金属鉱業株式会社製、商品名、マット面Rz:1.1μm〜1.5μm)等が挙げられる。ここで、Rzは、JIS B 0601(1994)で規定される十点平均粗さである。この後に行なう無電解銅めっきの密着を考慮すると、ある程度の大きさの凹凸を有する必要があり、また、回路形成時のエッチング残りである残銅を考慮すると、凹凸はなるべく小さくする必要がある。このため、ロープロファイル銅箔またはプロファイルフリー銅箔を使用するのが望ましい。なお、密着をより強くするためには、ロープロファイル銅箔を使用するのが望ましく、残銅をより抑制してより微細な配線の形成性を向上するためには、プロファイルフリー銅箔を使用するのが望ましい。
【0023】
ベース材21に設けられる層間接続孔51は、ドリル加工やレーザ加工を用いて貫通孔や非貫通孔を形成することで形成できる。非貫通孔または貫通孔の何れでもよいが、キャビティ層5側の面に開口を有するように設けられる。
【0024】
図2(c)〜(f)に示すように、ベース層6の導体回路50は、その下地めっきとして、ベース材21の粗面形状を有する表面58及び層間接続孔51の内壁の両者に、直接かつ一体的に設けられた薄付け無電解銅めっき41を有する。つまり、ベース層6の導体回路50は、下地めっきとして、薄付け無電解銅めっき41を有しており、この薄付け無電解銅めっき41が給電層となって、その上にパターン電気銅めっき47が形成されている。給電層となる薄付け無電解銅めっき41は、必要な触媒処理を行った後、ベース材21の粗面形状を有する表面58及び層間接続孔51の内壁に、直接かつ一体的に形成される。ここで、直接かつ一体的に形成とは、薄付け無電解銅めっき41が、ベース材21の表面に、銅箔や接着剤(ここでは、いわゆるゴム成分を有する無電解めっき用の接着剤をいう。)を介さずに、触媒のみを介して直接析出しており、しかも、粗面形状を有する表面と層間接続孔51の内壁とが一括してめっきされることにより、連続して繋がっていることをいう。その後、パターン電気銅めっき47で厚付けされた部分以外の薄付け無電解銅めっき41は除去され、ベース材21が露出することにより、導体回路50が形成される。このように、給電層となる下地めっきは、薄付け無電解銅めっき41のみで構成され、銅箔を有しないため、非常に薄く(例えば、0.1μm〜1μm)形成することが可能である。その結果、下地めっきを除去するためのエッチング量を小さくできるので、アンダーカット量を低減することができる。したがって、ライン/スペースが15μm/15μmレベルの微細回路の形成が容易になる。
【0025】
ベース材21表面の粗面形状の表面粗さが、十点平均粗さ(Rz)1.1μm〜5μmであるのが望ましい。Rzは、JIS B 0601(1994)で規定される十点平均粗さであり、触針式表面粗さ計などを用いて測定することが可能である。ベース材21表面に、十点平均粗さ(Rz)1.6μm〜5μmの平均粗さを有する粗面形状を形成する方法としては、ロープロファイル銅箔のマット面をプリプレグに重ねて加熱積層してベース材21を形成した後、ロープロファイル銅箔をエッチング等で除去する方法が挙げられる。ロープロファイル銅箔としては、3EC−VLP−12(三井金属鉱業株式会社製、商品名、マット面Rz:1.6μm〜5μm)やF3−WS(古河電気工業株式会社製、商品名、マット面Rz:2.7μm〜3.3μm)等が挙げられる。また、ベース材21表面に、十点平均粗さ(Rz)1.1μm〜1.5μmの平均粗さを有する粗面形状を形成する方法としては、プロファイルフリー銅箔のマット面をプリプレグに重ねて加熱積層してベース材21を形成した後、プロファイルフリー銅箔をエッチング等で除去する方法が挙げられる。プロファイルフリー銅箔としては、PF−E−3(日立化成工業株式会社製、商品名、マット面Rz:1.1μm〜1.5μm)やMultiFoil−G シリーズ(三井金属鉱業株式会社製、商品名、マット面Rz:1.1μm〜1.5μm)等が挙げられる。十点平均粗さ(Rz)が1.1μm以上であることにより、粗面形状を有するベース材21表面への無電解銅めっきの密着が得られ、十点平均粗さ(Rz)が5μm以下であることにより、微細回路形成時のエッチング残りを抑制することができる。なお、十点平均粗さ(Rz)が1.6μm以上であれば、より高い密着を得られる点で望ましく、十点平均粗さ(Rz)が1.5μm以下であれば、残銅をより抑制でき、より微細配線の形成性に優れる点で望ましい。
【0026】
上記のように、ベース材表面の粗面形状が、プロファイルフリー銅箔またはロープロファイル銅箔のマット面の表面形状を転写することにより形成されるのが望ましい。これにより、無電解銅めっきとの密着に適した粗面形状を、ベース材21表面に形成することができる。一般銅箔では、凹凸が大きいため、微細回路形成時に残銅が生じる可能性があるが、ロープロファイル銅箔やプロファイルフリー銅箔では、凹凸が小さいため残銅は抑制され、一方で、微細な凹凸によって、無電解銅めっきの密着を得ることが可能となる。
【0027】
粗面形状を有する表面58及び層間接続孔51の内壁に一括して設けられる薄付け無電解銅めっき41が、銅とニッケルの合金めっきであるのが望ましい。この場合、一般的な薄付け無電解銅めっきに比べて、めっき粒子が微細化するので、ベース材21表面に形成された粗面形状の凹凸に対する薄付け無電解銅めっきの追従性が向上し、ベース材21と薄付け無電解銅めっき41との密着をより強固にすることができる。また、銅とニッケルとの合金めっきであるため、その上に形成するパターン電気銅めっきと近い組成であることから、回路形成時のエッチング速度も大きく変わらないので、アンダーカットが抑制され、微細回路形成性に優れる。
【0028】
銅とニッケルの合金めっきは、公知の水溶性銅化合物、水溶性ニッケル化合物、錯化剤、及び還元剤を含有する水溶液からなる無電解銅/ニッケル合金めっき液を用いて形成することができる。例えば、水溶性銅化合物としては、硫酸銅、塩化銅等、水溶性ニッケル化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル等、還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム、ホルムアルデヒド等、錯化剤としては、酢酸、蟻酸、エチレンジアミンテトラ酢酸等を用い、pH8〜12程度としたものが挙げられる。無電解銅/ニッケルめっき液の液温は、30〜80℃程度とするのが通常である。ニッケル塩の含有量を変えることによって、形成されるめっき皮膜中のニッケル含有率を調整することができる。このような無電解銅/ニッケルめっき液としては、CUST−1610(日立化成工業株式会社製、商品名)、トップニコロンCu−50A,B(奥野製薬株式会社、製品名)等が挙げられる。
【0029】
薄付け無電解銅めっき41の厚さが、0.1μm〜1μmであるのが望ましい。この厚さの範囲であることにより、ベース材21表面と薄付け無電解銅めっき41との十分な密着を得ることができる。0.1μmより薄いと、ベース材21表面との密着を得るための薄付け無電解銅めっき41が完全に形成されないため、十分な密着が得られず、また、パターン電気めっきのための給電層として十分でない。1μmより厚いと、パターン電気銅めっき47後の回路形成でエッチングする際に、エッチングする量が大きくなるため、微細回路形成に不利になるため、望ましくない。
【0030】
本発明の半導体実装用パッケージ基板の製造方法の一例について、以下に説明する。
【0031】
まず、図2(a)に示すように、ベース材a28上にベース材b29及びベース材c30を形成するためのプリプレグを重ね、このプリプレグ上に銅箔40のマット面を重ねて加熱積層してベース材21を形成する。ここで用いる銅箔40は、ベース材21表面に粗面形状を形成するとともに、窓孔を形成して層間接続孔51を形成するためのものでもある。次に、銅箔40に窓孔(図示しない。)を形成した後、窓孔に対応する位置のベース材21に層間接続孔51を形成する。
【0032】
次に、図2(b)に示すように、銅箔40をベース材上から除去する。この段階で、ベース材21の表面には、銅箔40のマット面の形状が転写されて、粗面形状を有する表面58が形成される。
【0033】
次に、図2(c)に示すように、ベース材21の粗面形状を有する表面58及び層間接続孔51の内壁に薄付け無電解銅めっき41を直接かつ一体的に形成する。この段階で、ベース材21表面に、十分な密着力を有する薄付け無電解銅めっき41が形成される。
【0034】
次に、図2(d)に示すように、薄付け無電解銅めっき41上にめっきレジスト43を形成する。
【0035】
次に、図2(e)に示すように、薄付け無電解銅めっき41上の導体回路となる部分をパターン電気銅めっき47で厚付けする。薄付け無電解銅めっき41が給電層となり、導体回路となるパターン電気銅めっき47が形成されるので、ベース材21との密着力を有するパターン電気銅めっき47が得られる。
【0036】
次に、図2(f)に示すように、パターン電気銅めっき47で厚付けしなかった部分の薄付け無電解銅めっき41をエッチング除去する。これは、めっきレジスト43を除去した後、露出するパターン電気銅めっき47及び薄付け無電解銅めっき41の両者の全面に対してエッチングを行うことにより、厚みの薄い薄付け無電解銅めっき41が先にエッチング除去されることを利用して行なう。これにより、ワイヤボンド端子12、フリップチップ端子44、引出し配線53等の導体回路50が形成される。
【0037】
さらに、図2(f)に示すように、必要に応じて、ソルダーレジスト10を形成し、保護めっき(図示しない。)を形成する。保護めっきの形成は、ニッケルめっきと金めっき、またはニッケルめっきとパラジウムめっきと金めっきを、それぞれこの順番で、導体回路50上にめっきすることで行なうことができる。これにより、ベース層6を作製する。
【0038】
上記で作製したベース層6とキャビティ層5を積層して一体化した後、必要な回路形成、保護めっき、ソルダーレジスト23等を形成し、半導体実装用パッケージ基板1を作製する。
【実施例】
【0039】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明は本実施例に限定されない。
【0040】
(実施例1)
[キャビティ層の作製]
図3(a)に示すように、キャビティ材7として、両面に厚さ12μmの銅箔を張合わせた厚さ0.2mmのエポキシ樹脂ガラス布銅張積層板を準備し、NCドリルマシンによって、有底ビアを形成するための貫通孔A24を孔明けした。
【0041】
次に、図3(b)に示すように、キャビティ材7の銅箔をエッチングして、ベース層側となる一方の面にのみ内層回路19を形成し、他方の面、即ち接続端子Aを形成する面については、ほぼ全面に銅箔を残した。
【0042】
次に、図3(c)に示すように、接着剤8として、厚さ25μmのエポキシ系ドライフィルム状の接着シートAS2600(日立化成工業株式会社製、商品名)を、ラミネータによりキャビティ材7のベース層側となる面に仮付けした。
【0043】
次に、図3(d)に示すように、接着シートには、キャビティ材7に設けた有底ビア形成用の貫通孔A24に合わせて、開口を打ち抜き金型で形成した。次に、NCルータ機を用いて、キャビティ部となる12mm×12mmの大きさの開口25を形成した。
【0044】
[ベース層の作製]
図4(a)に示すように、ベース材a28として、両面に厚さ12μmの銅箔57を張合わせた厚さ0.06mmのエポキシ樹脂ガラス布銅張積層板にNCドリルマシンによって、貫通孔B39を明けた。
【0045】
次に、図4(b)に示すように、貫通孔B39内を含むベース材a28の全面に0.5μmの下地めっきと、めっき厚20μmの電気銅めっきを形成した後、ベース材a28の導体(銅箔57と下地めっきと電気銅めっきにより形成される。)をエッチングして、ベース材a28の表裏に回路56を形成した。
【0046】
次に、ベース材b29、ベース材c30として、厚さ0.06mmのエポキシ樹脂ガラスクロス布プリプレグであるGEA−679NUJY(日立化成工業株式会社製、商品名)を準備した。また、銅箔40として、厚さ12μmのロープロファイル銅箔である3EC−VLP−12(三井金属鉱業株式会社製、商品名、マット面Rz:1.6μm〜5μm)を準備した。
【0047】
次に、図4(c)に示すように、ベース材b29及びベース材c30を、先に準備したベース材a28の両面の回路56上に重ね合わせ、さらに、厚さ12μmのロープロファイル銅箔40を、マット面をベース材b29及びベース材c30側に向けて、その上に重ね合わせ、真空プレスを用いて、圧力3MPa、温度175℃、保持時間1.5hrの条件で加圧加熱して積層一体化して、ベース材21を作製した。次に、ベース材21の銅箔40をエッチングして、コンフォーマルマスク(図示しない。)を形成した。
【0048】
次に、図4(d)に示すように、ベース材21に、NCレーザ加工機を用いてレーザ孔26を形成し、ついでレーザ孔26のクリーニング処理を過マンガン酸ナトリウム水溶液で行った後、エッチングにより、ロープロファイル銅箔40をベース材21上から完全に除去した。これにより、ベース材21の表面には、ロープロファイル銅箔40のマット面の形状が転写され、粗面形状を有する表面58(Rz:1.6μm〜5μm)が形成される。
【0049】
次に、ベース材21の粗面形状を有する表面58及びレーザ孔26内を含むベース材21の全面に、めっき触媒を付与した後、無電解銅/ニッケル合金めっきであるCUST−1610(日立化成工業株式会社製、商品名)に温度32℃、時間16分の条件で、0.4μmの薄付け無電解銅めっきを行った。これにより、ベース材21表面に、十分な密着力を有する薄付け無電解銅めっきを形成した。
【0050】
次に、薄付け無電解銅めっきの表面のめっき不要の部分(最終的にエッチングで除去される部分)にめっきレジストを形成し、硫酸銅めっきを用いて、めっきレジストを形成した以外の部分に、めっき厚20μmのパターン電気銅めっきを形成した。
【0051】
次に、めっきレジストの剥離除去を行った後、硫酸過水エッチング組成からなるコブラエッチング液(荏原ユージライト株式会社製、商品名)を用いて、パターン電気銅めっきのない部分の薄付け無電解銅めっきを、温度50℃、スプレー圧力0.2MPa、速度1.0m/minの条件でエッチングして除去した。ついで、過マンガン酸ナトリウム水溶液を用い、温度85℃で15分間の条件でめっき触媒の除去を行った。これにより、図4(e)に示すように、ワイヤボンド端子12、フリップチップ端子44、引出し配線53、層間接続ランド52、接続パッド11、接続端子B15等を含む導体回路50を形成した。このときの引出し配線53のライン幅は最小15μm、スペースは最小15μm、ピッチは最小30μmであった。
【0052】
次に、図4(f)に示すように、導体回路50を形成したベース材21の表面に、ソルダーレジスト10を形成し、ベース層6を作製した。なお、このソルダーレジスト10の形成は、ベース材21のキャビティ層と接着する側(引出し配線53、フリップチップ端子44等を形成した側)のみに形成し、他方の面(接続端子B15を形成した面)には形成しなかった。
【0053】
[半導体素子搭載用パッケージ基板の作製]
次に、図5(a)に示すように、キャビティ層5の接着剤8を仮付けした面と、ベース層6のソルダーレジスト10を形成した面が向き合うように重ね合わせて積層一体化し、半導体素子搭載用パッケージ基板1とした。
【0054】
次に、有底ビア13内のクリーニング処理を、過マンガン酸ナトリウム水溶液を用いて行い、有底ビア13内及びキャビティ部9内を含む半導体素子搭載用パッケージ基板1の全面にめっき触媒の付与と0.5μmの下地めっき(図示しない。)を行った。
【0055】
次に、図5(b)に示すように、下地めっき(図示しない。)表面のうち、この後のパネル電気銅めっき18が不要な部分(キャビティ部9内及びベース層6の接続端子B15を有する面)にめっきレジスト43を形成した。なお、キャビティ部9は、パネル電気銅めっき18されないように、めっきレジスト43で完全に被覆した。次に、硫酸銅めっきで、めっき厚20μmのパネル電気銅めっき18を形成し、ついで、めっきレジスト43の剥離除去を行った。
【0056】
次に、硫酸過水エッチング組成からなるコブラエッチング液(荏原ユージライト株式会社製、商品名)を用いて、キャビティ部9内に析出した下地めっき(図示しない。)を、温度50℃、スプレー圧力0.2MPa、速度1.0m/minの条件でエッチングし、ついで、過マンガン酸ナトリウム水溶液、温度85℃で15分間の条件で触媒の除去を行った。
【0057】
次に、図5(c)に示すように、半導体素子搭載用パッケージ基板1の有底ビア13内に、導電樹脂17としてAE1244(タツタ電線株式会社製、商品名)をスクリーン印刷法で充填し、加熱硬化した後、バフ研磨機(株式会社石井表記製)を使用し、導電樹脂17が平滑になるまで研磨した。
【0058】
次に、図5(c)に示すように、この後のニッケル・金めっき16が不要な部分にめっきレジスト43を形成した。なお、キャビティ部9内のワイヤボンド端子12や接続端子B15は、この後に行なうニッケル・金めっき16が処理されるようにするため、めっきレジスト43は被覆しなかった。
【0059】
次に、無電解ニッケルめっき及び無電解金めっきを行い、半導体素子搭載用パッケージ基板1の一方の面に設けられた接続端子A14、他方の面に設けられた接続端子B15及びキャビティ部9内のワイヤボンド端子12、フリップチップ端子44を含む露出した導体回路の表面に、ニッケル・金めっき16(接続端子A14の表面以外は図示しない。)を形成した。
【0060】
次に、図5(d)に示すように、ニッケル・金めっき16(接続端子A14上以外は図示しない。)をエッチングレジストとして、エッチングにより回路形成し、接続端子A14を含む回路を、キャビティ層5の表面に形成した。
【0061】
次に、図5(e)に示すように、半導体素子搭載用パッケージ基板1の両面に、ソルダーレジスト23を形成した。
【0062】
(実施例2)
実施例1と同様にしてキャビティ材7を作製した。図4(c)に示すように、ベース材a28の表裏に回路56を形成した後、エポキシ樹脂ガラスクロス布プリプレグとともに積層する銅箔40として、厚さ12μmのロープロファイル銅箔であるF3−WS(古河電気工業株式会社製、商品名、マット面Rz:2.7〜3.3μm)を準備した。これ以外は、実施例1と同様にしてベース層6を作製した。その後、実施例1と同様にして、半導体素子搭載用パッケージ基板1を作製した。
【0063】
(参考例1)
実施例1と同様にしてキャビティ材7を作製した。図4(c)に示すように、ベース材a28の表裏に回路56を形成した後、エポキシ樹脂ガラスクロス布プリプレグとともに積層する銅箔40として、厚さ18μmの一般銅箔であるGTS(古河電気工業株式会社製、商品名、マット面Rz:8μm、)を準備した。これ以外は、実施例1と同様にしてベース層6を作製した。その後、実施例1と同様にして、半導体素子搭載用パッケージ基板1を作製した。
【0064】
(実施例3)
実施例1と同様にしてキャビティ材7を作製した。図4(c)に示すように、ベース材a28の表裏に回路56を形成した後、エポキシ樹脂ガラスクロス布プリプレグとともに積層する銅箔40として、厚さ12μmのプロファイルフリー銅箔であるPF−E−3(日立化成工業株式会社製、商品名、マット面Rz:1.1μm〜1.5μm)を準備した。これ以外は、実施例1と同様にしてベース層6を作製した。その後、実施例1と同様にして、半導体素子搭載用パッケージ基板1を作製した。
【0065】
(実施例4)
実施例1と同様にしてキャビティ材7を作製した。図4(e)に示すように、ベース材21の粗面形状を有する表面58及びレーザ孔26内を含むベース材21の全面に、めっき触媒を付与した後、無電解銅/ニッケル合金めっきであるCUST−1610(日立化成工業株式会社製、商品名)に温度32℃、時間4分の条件で、0.1μmの薄付け無電解銅めっき41を行った。これ以外は、実施例1と同様にしてベース層6を作製した。その後、実施例1と同様にして、半導体素子搭載用パッケージ基板1を作製した。
【0066】
(実施例5)
実施例1と同様にしてキャビティ材7を作製した。図4(e)に示すように、ベース材21の粗面形状を有する表面58及びレーザ孔26内を含むベース材21の全面に、めっき触媒を付与した後、無電解銅/ニッケル合金めっきであるCUST−1610(日立化成工業株式会社製、商品名)に温度32℃、時間40分の条件で、1μmの薄付け無電解銅めっき41を行った。これ以外は、実施例1と同様にしてベース層6を作製した。その後、実施例1と同様にして、半導体素子搭載用パッケージ基板1を作製した。
【0067】
(実施例6)
実施例1と同様にしてキャビティ材7を作製した。図4(e)に示すように、ベース材21の粗面形状を有する表面58及びレーザ孔26内を含むベース材21の全面に、めっき触媒を付与した後、無電解銅/ニッケル合金めっきであるトップニコロンCu−50A,B(奥野製薬株式会社、製品名)に温度80℃、時間4分の条件で、0.4μmの薄付け無電解銅めっき41を行った。これ以外は、実施例1と同様にしてベース層6を作製した。その後、実施例1と同様にして、半導体素子搭載用パッケージ基板1を作製した。
【0068】
(参考例2)
実施例1と同様にしてキャビティ材7を作製した。図4(e)に示すように、ベース材21の粗面形状を有する表面58及びレーザ孔26内を含むベース材21の全面に、めっき触媒を付与した後、無電解銅めっきであるCUST−201(日立化成工業株式会社製、商品名)に温度24℃、時間24分の条件で、貫通孔B39内を含むベース材a28の全面に0.4μmの薄付け無電解銅めっき41を行った。これ以外は、実施例1と同様にしてベース層6を作製した。その後、実施例1と同様にして、半導体素子搭載用パッケージ基板1を作製した。
【0069】
(比較例1)
実施例1と同様にしてキャビティ材7を作製した。図4(c)に示すように、ベース材a28の表裏に回路56を形成した後、エポキシ樹脂ガラスクロス布プリプレグとともに積層する銅箔40として、極薄銅箔厚3μmにキャリア銅箔厚18μmが貼り合わされたピーラブル銅箔であるMT18SDH−3(三井金属鉱業株式会社製、商品名、マット面Rz:2μm以下)を準備した。キャリア銅箔のみを除去した後、実施例1と同様にしてコンフォーマルマスク(図示しない。)を形成し、レーザ孔26を形成し、クリーニング処理を行った。この後、極薄銅箔をエッング除去することなく、ベース材21の表面に極薄銅箔を残したままとした。この後は、実施例1と同様にしてベース層6を作製した。その後、実施例1と同様にして、半導体素子搭載用パッケージ基板1を作製した。
【0070】
各実施例、参考例及び比較例についての、ベース材表面の表面粗さ、ベース層の導体回路のピール強度、アンダーカット量、残銅の有無の評価は、以下のように行った。
【0071】
[ベース材表面の表面粗さ]
表面粗さは、JIS C 6481(1994)において規定される十点平均粗さRzであり、触針式表面粗さ計サーフテストSV−400(株式会社ミツトヨ製、商品名)を用いて測定した。
【0072】
[ベース層の導体回路のピール強度]
ピール強度(kN/m)は、ベース層上に10mm幅の導体回路を形成したサンプルを作製し、テンシロンRTM−100(株式会社オリエンテック製、商品名)を用い、JIS Z 0237の90度引き剥がし法に準じて、室温(25℃)で、ベース材に対して導体回路を90度方向に毎分300mmの速さで引き剥がして測定した。
【0073】
[アンダーカット量]
ベース層の導体回路で、ライン/スペース=15μm/15μmの箇所について、断面を光学顕微鏡で観察し、図7に示すアンダーカット量(片側)を測定した。
【0074】
[残銅の有無]
ベース層の導体回路で、ライン/スペース=15μm/15μmの箇所について、表面を光学顕微鏡で観察して評価した。
【0075】
表1に、結果を示す。実施例1〜6では、導体回路のピール強度が何れも0.5kN/m以上、アンダーカット量が2〜3μmであり、残銅もなかった。参考例1では、ピール強度は向上するものの、残銅が生じた。参考例2では、ピール強度が0.5kN/mを下回った。比較例1では、ピール強度としては高いものの、アンダーカット量が大きく、ライン幅15μm以下の導体回路の形成は難しい。
【0076】
【表1】

【符号の説明】
【0077】
1…半導体素子搭載用パッケージ基板、2…半導体素子、3…封止材、4…ボンディングワイヤ、5…キャビティ層、6…ベース層、7…キャビティ材、8…接着剤、9…キャビティ部、10…ソルダーレジスト、11…接続パッド、12…ワイヤボンド端子、13…有底ビア、14…接続端子A、15…接続端子B、16…ニッケル・金めっき、17…導電樹脂、18…パネル電気銅めっき、19…内層回路、21…ベース材、23…ソルダーレジスト、24…貫通孔A、25…開口、26…レーザ孔、28…ベース材a、29…ベース材b、30…ベース材c、31…層間接続、33…ボトム基板、35…ボトムパッケージ、36…半導体パッケージ、38…はんだバンプ、39…貫通孔B、40…銅箔、41…薄付け無電解銅めっき、42…層間接続、43…めっきレジスト、44…フリップチップ端子、46…はんだボール、47…パターン電気銅めっき、48…アンダーカット、49…絶縁基材、50…導体回路、51…層間接続孔、52…層間接続ランド、53…引出し配線、54…下地めっき、55…電気銅めっき、56…回路、57…銅箔、58…粗面形状を有する表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体回路を備えるベース層と、このベース層に積層されるキャビティ層と、このキャビティ層に設けられた開口によって形成されるキャビティ部とを有し、このキャビティ部の開口から前記ベース層の導体回路が露出する半導体素子搭載用パッケージ基板において、
前記ベース層が、前記キャビティ部側の表面に粗面形状を有するベース材と、このベース材に設けられた層間接続孔と、を有し、
前記ベース層の導体回路が、その下地めっきとして、前記ベース材の粗面形状を有する表面及び層間接続孔の内壁の両者に、直接かつ一体的に設けられた薄付け無電解銅めっきを有する半導体素子搭載用パッケージ基板。
【請求項2】
請求項1において、ベース材表面の粗面形状の表面粗さが、十点平均粗さ(Rz)1.1μm〜5μmである半導体素子搭載用パッケージ基板。
【請求項3】
請求項1又は2において、ベース材表面の粗面形状が、プロファイルフリー銅箔またはロープロファイル銅箔のマット面の表面形状を転写することにより形成される半導体素子搭載用パッケージ基板。
【請求項4】
請求項1から3の何れかにおいて、粗面形状を有する表面及び層間接続孔の内壁に一括して設けられる薄付け無電解銅めっきが、銅とニッケルの合金めっきである半導体素子搭載用パッケージ基板。
【請求項5】
請求項4において、薄付け無電解銅めっきの厚さが、0.1μm〜1μmである半導体素子搭載用パッケージ基板。
【請求項6】
ベース材の上に銅箔を重ねて加熱・加圧する工程と、
前記銅箔に窓孔を形成する工程と、
前記窓孔に対応する位置のベース材に層間接続孔を形成する工程と、
前記銅箔をベース材上から除去して前記ベース材表面に粗面形状を形成する工程と、
前記ベース材の粗面形状を有する表面及び層間接続孔の内壁に薄付け無電解銅めっきを直接かつ一体的に形成する工程と、
前記薄付け無電解銅めっき上の導体回路となる部分をパターン電気銅めっきで厚付けする工程と、
前記電気銅めっきで厚付けしなかった部分の薄付け無電解銅めっきを除去する工程と、
を有する半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−159695(P2011−159695A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18420(P2010−18420)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】