説明

半導体装置、並びに、センサ素子及び半導体装置の製造方法

【課題】化学センサを具備する半導体装置の製造コストを低減し、あるいは、複数の測定原理によって精度の高い検出をする。
【解決手段】半導体装置は、第1のセンサ素子及び第2のセンサ素子を具備し、第1のセンサ素子は、第1の導電層と、第1の導電層上に形成された第1の感応膜とを有し、第2のセンサ素子は、第1の導電層とは異なる第2の導電層と、第2の導電層上に形成された第2の感応膜とを有する。センサ素子の製造方法は、センサ素子のうち導電層を半導体基板に又は半導体基板上に形成する工程(a)と、感応膜を構成する成分を含む液体を導電層上にインクジェット装置によって吐出して、感応膜を形成する工程(b)と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、並びに、センサ素子及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感応膜と導電層とを含み、被検出物質によって引き起こされる感応膜の物理的性質の変化に基づいて電気信号を出力し、被検出物質を検出する化学センサが提案されている。
【0003】
化学センサによって複数の種類の被検出物質を検出しようとしたり、複数の測定原理によって精度の高い検出をしようとしたりする場合には、異なる感応膜を用いたり、異なる構造の導電層を用いたりした複数の化学センサが必要となる。従って、複数の種類の被検出物質を検出しようとしたり、複数の測定原理によって精度の高い検出をしようとしたりする場合には、個別のセンサを数多く集める必要がある。センサの数が多い場合には、センサ群の設置スペースが大きくなってしまうため、同じ場所の複数のパラメーターを同時にセンシングすることが困難となる。
【0004】
下記の特許文献1においては、同一構造を有する複数の電極の各々に、別々の感応膜を形成する提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−129654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の感応膜形成法(例えばスピンコート法やディップ法)によって複数種類の感応膜を形成する場合には、必要とする感応膜の種類ごとに、スピンコート又はディップ工程と、パターニング工程とを繰り返す必要があり、製造コストが高くなるという問題がある。また、形成後の感応膜が、その後に形成するスピンコートあるいはデイップ感応膜に接するため、該形成後の感応膜が化学的損傷を受け、センシング精度が劣化するという問題がある。更に、複数の電極が同一構造を有しているため、同一物理パラメーターのみのセンシングであることから、精度の高い検出が困難な場合がある。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の幾つかの態様は、高精度の化学センサを具備する半導体装置の製造コストを低減し、あるいは、複数の測定原理によって精度の高い検出をすることに関連している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の幾つかの態様において、半導体装置は、第1のセンサ素子及び第2のセンサ素子を具備し、第1のセンサ素子は、第1の導電層(半導体層)と、第1の導電層上に形成された第1の感応膜とを有し、第2のセンサ素子は、第1の導電層とは異なる第2の導電層(半導体層)と、第2の導電層上に形成された第2の感応膜とを有する。
この態様によれば、異なる導電層上に第1及び第2の感応膜を形成するので、インクジェット装置によって容易に感応膜を形成でき、製造コストを低減することができる。
【0009】
上述の態様において、第1の導電層上に絶縁層が形成され、絶縁層上に第2の導電層が形成されていることが望ましい。
これによれば、第1の導電層と、第1の導電層上に絶縁層を介して形成された第2の導電層とに感応膜を形成するので、インクジェット装置によって容易に感応膜を形成でき、製造コストを低減することができる。
【0010】
また、本発明の幾つかの態様において、半導体装置は、第1のセンサ素子及び第2のセンサ素子を具備し、第1のセンサ素子は、第1の導電層と、第1の導電層上に形成された第1の感応膜とを有し、第2のセンサ素子は、第1の導電層とは異なる構造を有する第2の導電層と、第2の導電層上に形成された第2の感応膜とを有する。
この態様によれば、異なる構造を有する第1及び第2の導電層を含むので、複数の測定原理によって、例えば、質量と電荷、抵抗と容量など、複数の物理パラメーターを同時に評価でき、確度と精度の高い物質同定や感性検出ができる。
【0011】
上述の態様において、第1の導電層は、(i)第1導電型のチャネル領域と、チャネル領域の両側に形成された第2導電型のソース及びドレイン領域とを含む構造、(ii)互いに離間して形成された第1及び第2の電極を含む構造、(iii)下部電極に対して振動可能な可動上部電極を含む構造、の3つの構造のうち、何れか1つの構造を有し、第2の導電層は、残りの2つの構造のうち、何れか1つの構造を有することが望ましい。
これによれば、第1及び第2の導電層が(i)〜(iii)のうちの別々の構造を有するので、複数の測定原理によって、異なる物理パラメーター(電荷・抵抗・質量)を評価でき、精度の高い物質検出・同定ができる。
【0012】
また、本発明の幾つかの態様において、導電層及び感応膜を有するセンサ素子の製造方法は、センサ素子のうち導電層を半導体基板に又は半導体基板上に形成する工程(a)と、感応膜を構成する成分を含む液体を導電層上にインクジェット装置によって吐出して、感応膜を形成する工程(b)と、を具備する。
この態様によれば、各々の感応膜を構成する成分を含む液体をインクジェット装置によってそれぞれ吐出することにより、各々の感応膜形成時に、他の感応膜に化学的損傷を与えず、それぞれの感応膜を形成するので、精度が高い化学センサ群が出来、かつ、製造コストを低減することができる。
【0013】
また、本発明の幾つかの態様において、第1のチップ領域と第2のチップ領域とを含む半導体ウエハを用いて、第1の導電層及び第1の感応膜を有するセンサ素子と、第2の導電層及び第2の感応膜を有するセンサ素子とを製造する方法は、第1のチップ領域に第1の導電層を形成するとともに、第2のチップ領域に第1の導電層と同一パターンの第2の導電層を同時に形成する工程(a)と、第1の導電層上と、第2の導電層上とに、異なる感応膜を構成する成分を含む液体をそれぞれインクジェット装置によって吐出して、第1及び第2の感応膜を形成する工程(b)と、を具備する。
この態様によれば、複数のチップを同一パターンで形成しておき、インクジェット装置によって、チップごとに異なる感応膜を必要に応じて形成することができるので、化学センサ群の製造コストと製造TATを低減し、少量多品種の化学センサ群を提供することができる。
【0014】
上述の態様において、工程(a)は、半導体基板に又は半導体基板上に、センサ素子を構成するFET半導体層と、電子回路を構成するMOSFET半導体層とを形成する工程(a−1)と、FET及びMOSFETを覆う絶縁層を形成する工程(a−3)と、絶縁層の一部をエッチングしてFETの一部を露出させる工程(a−4)と、を含み、工程(b)は、露出したFET上に、感応膜を形成する工程であることが望ましい。
これによれば、センサ素子を構成するFETと、電子回路を構成するMOSFETとを同じプロセスで形成できるので、化学センサの製造コストを低減することができる。
【0015】
上述の態様において、工程(a)は、半導体基板に又は半導体基板上に、電子回路を構成するMOSFETを形成する工程(a−1)と、MOSFETが形成された半導体基板上に、センサ素子を構成する下部電極とMOSFETに接続される第一配線層とを形成する工程と、下部電極及びMOSFETが形成された半導体基板上に、センサ素子を構成する導電層である可動上部電極と、MOSFETに接続される第二配線層とを形成する工程(a−2)と、可動上部電極及び第二配線層を覆う絶縁層を形成する工程(a−3)と、絶縁層をエッチングして可動上部電極を露出させる工程(a−4)と、を含み、工程(b)は、露出した可動上部電極上に、感応膜を形成する工程であることが望ましい。
これによれば、センサ素子を構成する下部電極と、MOSFETに接続される第一配線層とを同じプロセスで形成し、センサ素子を構成する可動上部電極と、MOSFETに接続される第二配線層とを同じプロセスで形成できるので、化学センサの製造コストを低減することができる。
【0016】
上述の態様において、工程(a)は、半導体基板に又は半導体基板上に、電子回路を構成するMOSFETを形成する工程(a−1)と、MOSFETが形成された半導体基板上に、センサ素子を構成する導電層である一対の電極と、MOSFETに接続される配線層とを形成する工程(a−2)と、一対の電極及び配線層を覆う絶縁層を形成する工程(a−3)と、絶縁層の一部をエッチングして一対の電極を露出させる工程(a−4)と、を含み、工程(b)は、露出した一対の電極間及び該電極上に、感応膜を形成する工程であることが望ましい。
これによれば、センサ素子を構成する一対の電極と、MOSFETに接続される配線層とを同じプロセスで形成できるので、化学センサの製造コストを低減することができる。
【0017】
上述の態様において、工程(a−2)において、配線層と同じ材料を含む網目状の層を形成し、工程(b)において、感応膜を構成する成分を含む液体を、インクジェット装置から網目状の層を通過させて導電層上に付与し、感応膜を形成することが望ましい。
これによれば、配線層と同じ材料を含む網目状の導電層を形成し、絶縁層の一部をエッチングすることにより、感応膜を保護する網を形成することができる。感応膜を構成する成分を含む液体を、インクジェット装置から網目状の導電層を通過させて導電層上に付与することにより、感応膜を形成することができる。
【0018】
また、本発明の幾つかの態様において、第1の導電層及び第1の感応膜を有する第1のセンサ素子と、第2の導電層及び第2の感応膜を有する第2のセンサ素子とを有する半導体装置の製造方法は、第1のセンサ素子のうち第1の導電層と、第2のセンサ素子のうち第2の導電層とを半導体基板に又は半導体基板上に形成する工程(a)と、第1の感応膜を構成する成分を含む液体を第1の導電層上に、第2の感応膜を構成する成分を含む液体を第2の導電層上に、それぞれインクジェット装置によって吐出して、第1の感応膜と第2の感応膜とを形成する工程(b)と、を具備する。
この態様によれば、第1及び第2の感応膜を構成する成分を含む液体をインクジェット装置によって吐出することにより、第1及び第2の感応膜を独立に形成するので、高精度な化学センサを具備する半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0019】
上述の態様において、半導体装置は、第3の導電層(半導体層)及び第3の感応膜を有する第3のセンサ素子をさらに有し、工程(a)は、半導体基板に又は半導体基板上に、第1のセンサ素子を構成する第1の導電層であるFETと、電子回路を構成するMOSFETとを形成する工程(a−1)と、FET及びMOSFETが形成された半導体基板上に、第2のセンサ素子を構成する下部電極とMOSFETに接続される第一配線層とを形成する工程と、下部電極及びMOSFETが形成された半導体基板上に、第2のセンサ素子を構成する第2の導電層である可動上部電極と、MOSFETに接続される第二配線層とを形成する工程と、可動上部電極及びMOSFETに接続される第二配線層が形成された半導体基板上に、第3のセンサ素子を構成する第3の導電層である一対の電極と、MOSFETに接続される第三配線層とを形成する工程(a−2)と、FET、可動上部電極、一対の電極及び配線層を覆う絶縁層を形成する工程(a−3)と、絶縁層の一部をエッチングして、FETの一部と、可動上部電極と、一対の電極とを露出させる工程(a−4)と、を含み、工程(b)は、露出したFET上に第1の感応膜を、露出した可動上部電極上に第2の感応膜を、露出した一対の電極間及び該電極上に第3の感応膜を、それぞれ形成する工程であることが望ましい。
これによれば、第1のセンサ素子を構成するFETと、電子回路を構成するMOSFETとを同じプロセスで形成し、第2のセンサ素子を構成する下部電極と、可動上部電極と、第3のセンサ素子を構成する一対の電極と、MOSFETに接続される多層配線層とを同じプロセスで形成できるので、化学センサを具備する半導体装置の製造コストを低減することができる。
ここでは、第1〜3の異なる構造を有するセンサを実例として取り上げているが、第4,5、・・・・n個の構造があっても良い。また、第1〜3の異なる構造を有するセンサが各々1個の場合を取り上げているが、各々の構造のセンサが複数個存在しても良い。各々の構造のセンサが複数個存在する場合には、それぞれに異なる感応膜が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置の平面図及びそのB−B線断面図
【図2】第1の実施形態の製造方法を示す工程図
【図3】第1の実施形態の製造方法を示す工程図
【図4】第2の実施形態に係る半導体装置の平面図及びそのB−B線断面図
【図5】第2の実施形態の製造方法を示す工程図
【図6】第2の実施形態の製造方法を示す工程図
【図7】第3の実施形態に係る製造方法を示す工程図
【図8】第4の実施形態に係る製造方法を示す工程図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。また同一の構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0022】
<1.第1の実施形態>
<1−1.構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る化学センサを具備する半導体装置の模式図である。図1(A)は半導体装置の平面図、図1(B)は図1(A)のB−B線断面図である。
【0023】
図1(A)に示す半導体装置10は、化学センサ11、12、13と、化学センサに接続されたA/D変換回路14と、A/D変換回路14に接続されたCPU15と、を具備している。
図1(B)に示すように、化学センサ11、12、13は、第1半導体層100及び第1絶縁層101上に形成されている。
【0024】
化学センサ11は、一対の電極111a、111b(導電層)の間及び該電極上に、感応膜119が配置された構成を有している。
化学センサ12は、第2半導体層102の一部によって構成されたFET105のチャネルが形成されるボディ領域105a上に、感応膜120が配置された構成を有している。FET105は、第1導電型のボディ領域105aの両側に、第2導電型のソース領域105b及びドレイン領域105cが形成された構成を有している。
【0025】
化学センサ13は、第2半導体層102の一部によって構成されたFET106と、FET106のチャネルが形成されるボディ領域106a上に形成されたゲート絶縁膜107及びゲート電極108と、ゲート電極108に接続されている電極層118上に配置された感応膜121と、を有している。FET106は、第1導電型のボディ領域106aの両側に、第2導電型のソース領域106b及びドレイン領域106cが形成された構成を有している。ゲート電極108と電極層118との間は、配線層112及び配線層116によって接続されている。
【0026】
化学センサ11、12、13の相互間は、第1絶縁層101、第2絶縁層109、第3絶縁層110、第4絶縁層113、第5絶縁層117によって絶縁されている。
【0027】
化学センサ11、12の感応膜119、120は、第4絶縁層113及び第5絶縁層117(あるいはこれらと第2絶縁層109)をエッチングして得られた窪み内に配置されている。これらの窪みの入り口には、金属メッシュ114、115(網目状の導電層)が形成されている。
【0028】
第1半導体層100、第2半導体層102は、例えば単結晶シリコン(Si)によって構成される。
第1絶縁層101、ゲート絶縁膜107、第2絶縁層109、第4絶縁層113は、例えば酸化シリコン(SiO)によって構成される。このように、第1絶縁層101、ゲート絶縁膜107、第2絶縁層109、第4絶縁層113は、同一材料によって構成され得るため、これらが互いに接する箇所においては簡略化のため境界線の図示を省略している。
第3絶縁層110、第5絶縁層117は、例えば窒化シリコン(Si)によって構成される。
ゲート電極108、一対の電極111a、111b、配線層112、金属メッシュ114、115、配線層116、電極層118は、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)等の金属によって構成される。
【0029】
感応膜119、120、121は、検出しようとする物質(被検出物質)に応じて、例えば次に示すものを用いることができる。
【0030】
検出するイオンを水素イオン(H)とするならば、窒化シリコン(Si)や酸化タンタル(Ta)を用いることができる。検出するイオンをカリウムイオン(K)とするならば、バリノマイシンを用いることができる。検出するイオンをナトリウムイオン(Na)とするならば、ビスクラウンエーテル誘導体を用いることができる。検出するイオンをカルシウムイオン(Ca2+)とするならば、非環状ポリエーテルアミド誘導体を用いることができる。検出するイオンをアンモニウムイオン(NH)とするならば、ノナクチンや塩化テトラセチルアンモニウムを用いることができる。
また、検出するイオンをフッ素イオン(F)とするならば、フッ化ランタン(LaF)を用いることができる。検出するイオンを銀イオン(Ag)や鉛イオン(Pb2+)とするならば、カリックスアレンなどを用いることができる。また、感応膜を液膜型イオンセンサ溶媒とすることもでき、その場合は、ニトロベンゼンやニトロフェニルオチルエーテルなどを用いることができる。
また、種々の蛋白質やDNA(deoxyribonucleic acid)などの生体分子検出では、シリコン酸化膜(SiO)の表面を感応化処理した膜を用いることができる。
これらの感応膜を、FET105又は106上に形成することにより、感応膜の電位の変化によるドレイン電流の変化あるいは閾値電圧の変化によって、被検出物質を検出することができる。
【0031】
また、湿度を検出する感応膜として、イオン性解離基(アンモニウム塩など)を有する有機高分子膜を用いることができる。このような感応膜を一対の電極111a、111b間に形成することにより、湿度変化を電極間の抵抗又はインピーダンスの変化として捉えることができる。
また、湿度を検出する感応膜として、Al、MgCr−TiO系、TiO−V系、ZnCr−LiZnVOなどの各セラミックを用いることができる。このような感応膜を一対の電極111a、111b間に形成することにより、湿度変化を電極間の抵抗又は容量の変化として捉えることができる。
また、ガスや匂いを検出する感応膜として、SnO、ZnOなどの酸化物半導体や、ポリピロールなどの導電性ポリマーを用いることができる。このような感応膜を一対の電極111a、111b間に形成することにより、分子の脱着を電極間の抵抗の変化として捉えることができる。
なお、感応膜をインクジェット法で形成する場合には、金属やセラミック材料は、数nm〜数十nm粒子径のナノ粒子分散系インクを用いる。一方、高分子材料は、揮発性の溶媒に高分子材料を溶解または分散させた溶媒系インクを用いる。
【0032】
<1−2.製造方法>
図2及び図3は、第1の実施形態に係る化学センサを具備する半導体装置の製造方法を示す工程図である。
まず、図2(A)に示すように、第1半導体層100上に第1絶縁層101及び第2半導体層102がこの順に配置されたSOI基板103を用意する。
【0033】
次に、図2(B)に示すように、第2半導体層102をパターニングすることにより、化学センサ11、12、13が形成される領域に、ぞれぞれ、ダミーSi島104、FET105、FET106を形成する(ダミーSi島104は、形成しなくても構わない)。
その後、FET106のボディ領域106aとなる領域上にゲート絶縁膜107を形成し、さらにその上にゲート電極108を形成した後、FET105及びFET106のボディ領域105a及び106a以外の領域に、不純物をドープすることにより、ソース領域105b、106b、及び、ドレイン領域105c、106cを形成する。
なお、このようなFETの形成工程は、図1(A)に示すA/D変換回路14及びCPU15を構成するMOSFETの形成時(フロントエンドプロセス)において行うことが望ましい。
【0034】
次に、図2(C)に示すように、第1絶縁層101、ダミーSi島104、FET105、FET106及びゲート電極108上に、第2絶縁層109を形成する。第2絶縁層109上には、さらに第3絶縁層110を形成する。また、第3絶縁層110のうち、化学センサ12が形成される領域を除去する。
【0035】
次に、図2(D)に示すように、第3絶縁層110上の領域のうち、化学センサ11が形成される領域に一対の電極111a、111bを形成するとともに、化学センサ13のゲート電極108に対してコンタクトホールを介して接続される配線層112を形成する。
なお、このような電極及び配線層の形成工程は、図1(A)に示すA/D変換回路14及びCPU15を構成するMOSFETに接続される配線層の形成時(バックエンドプロセス)において行うことが望ましい。
次に、図2(E)に示すように、第2絶縁層109、第3絶縁層110、一対の電極111a、111b及び配線層112上に、第4絶縁層113を形成する。
【0036】
次に、図3(A)に示すように、第4絶縁層113のうち、化学センサ11が形成される領域と化学センサ12が形成される領域に、金属メッシュ114、115を形成するとともに、化学センサ13の配線層112に対してコンタクトホールを介して接続される配線層116を形成する。金属メッシュ114、115は、配線層116と同じ材料で形成することが望ましい。
【0037】
次に、図3(B)に示すように、第4絶縁層113、金属メッシュ114及び115上に、第5絶縁層117を形成する。なお、第5絶縁層117上に疎水性の単分子膜をさらに形成しても良い。
さらに、第5絶縁層117をエッチングして化学センサ13の配線層116の一部を露出させ、配線層116に接続される電極層118を形成する。電極層118を最上層に形成することにより、感応面を大きく取り感度を向上することができる。
【0038】
次に、図3(C)に示すように、第5絶縁層117、第4絶縁層113のうちの化学センサ11が形成される領域と、第5絶縁層117、第4絶縁層113、第2絶縁層109のうちの化学センサ12が形成される領域とを、エッチングする。このエッチングにより、窪みを形成するとともに、一対の電極111a、111bの各一部と、FET105のボディ領域105aとを露出させる。このとき、化学センサ11が形成される領域においては、一対の電極111a、111b、第3絶縁層110がエッチングストッパーとなる。化学センサ12が形成される領域においては、第3絶縁層110が図2(C)において除去されているので、FET105がエッチングストッパーとなる。また、このエッチングにより形成された窪みの入り口には、金属メッシュ114、115が残り、後に形成される感応膜を保護する。
【0039】
次に、図3(D)に示すように、感応膜119、120を構成する成分を含む液体をインクジェット装置によって吐出し、それぞれ金属メッシュ114、115の網目を通過させることにより、一対の電極111a、111bの間、及び、ボディ領域105a上に付与する。また、電極層118上にも、感応膜121を構成する成分を含む液体をインクジェット装置によって吐出する。そして、吐出した液体を乾燥させ焼成することにより、感応膜119、120、121を形成する。
以上の工程によって、化学センサ11、12、13を具備する半導体装置10が製造される。
【0040】
農業における水の質と量の管理や下水道や地下水の水質管理においては、毒性を回避し安心な水質と水量を保持するために、水分、PH、窒素(硝酸イオン、亜硝酸イオン)の検知が必要になる。この場合には、例えば、1個の化学センサ11による抵抗・容量計測、1個の化学センサ12によるFET閾値あるいはドレイン電流計測、そして、2個の化学センサ13によるFET閾値あるいはドレイン電流計測の、計4個のセンサ群を集積回路とともに集積した、第1の実施形態による半導体装置が有効である。
化学センサ11においては、イオン性解離基を有する有機高分子、例えばアンモニウム塩を添加した感湿性高分子溶液をインクジェットで吐出し、感湿膜を形成すると、高分子抵抗式の湿度センサになる。化学センサ12においては、例えば、Si膜、あるいはAl膜などを形成すると、水中での水素イオン濃度(PH)センシング膜になる。2つの化学センサ13のFETゲート電極上には、電極層118の形成後、電極層118上に多孔質のTiOあるいは多孔質ポリマー層を形成しておく。そして、2つの化学センサ13のうち、一方においては、室温でのピエゾインクジェット法により、硝化細菌ニトロソモナス(Nitrosomonas)を含有した培養水を注入することにより、アンモニウムイオン(NH)センサができる。2つの化学センサ13のうち、他方においては、同じく室温でのピエゾインクジェット法により、硝化細菌ニトロバクター(Nitrobactor)を含有した培養水を注入することにより、亜硝酸イオン(NO)センサができる。
【0041】
<2.第2の実施形態>
<2−1.構成>
図4は、本発明の第2の実施形態に係る化学センサを具備する半導体装置の模式図である。図4(A)は半導体装置の平面図、図4(B)は図4(A)のB−B線断面図である。
【0042】
図4(A)に示す半導体装置20は、化学センサ21、22、23と、化学センサに接続されたA/D変換回路24と、A/D変換回路24に接続されたCPU25と、を具備している。
図4(B)に示すように、化学センサ21、22、23は、第1半導体層200及び第1絶縁層201上に形成されている。
【0043】
化学センサ21は、ベース膜206上の下部電極207に対して振動可能な可動上部電極209(導電層)上に、感応膜217が配置された構成を有するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサである。下部電極207及び可動上部電極209には、それぞれ配線層212a及び212b、配線層215a及び215bが接続されている。
化学センサ22は、一対の電極213a、213b(導電層)の間及び該電極上に、感応膜218が配置された構成を有している。
化学センサ23は、第2半導体層202の一部によって構成されたFET205のチャネルが形成されるボディ領域205a(導電層)上に、感応膜219が配置された構成を有している。FET205は、第1導電型のボディ領域205aの両側に、第2導電型のソース領域205b及びドレイン領域205cが形成された構成を有している。
【0044】
化学センサ21、22、23の相互間は、第1絶縁層201、第2絶縁層208、第3絶縁層210、第4絶縁層211、第5絶縁層214、第6絶縁層216によって絶縁されている。
【0045】
化学センサ21、22、23の感応膜217、218、219は、第5絶縁層214及び第6絶縁層216(あるいはこれらと第2絶縁層208及び第3絶縁層210)をエッチングして得られた窪み内に配置されている。
【0046】
第1半導体層200、第2半導体層202は、例えば単結晶シリコン(Si)によって構成される。
第1絶縁層201、第2絶縁層208、第3絶縁層210、第5絶縁層214は、例えば酸化シリコン(SiO)によって構成される。このように、第1絶縁層201、第2絶縁層208、第3絶縁層210、第5絶縁層214は、同一材料によって構成され得るため、これらが互いに接する箇所においては簡略化のため境界線の図示を省略している。
ベース膜206、第4絶縁層211、第6絶縁層216は、例えば窒化シリコン(Si)によって構成される。
下部電極207、可動上部電極209、配線層212a、212b、一対の電極213a、213b、配線層215a、215bは、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)等の金属によって構成される。
【0047】
感応膜217、218、219としては、第1の実施形態における感応膜と同様のものを用いることができる。
【0048】
<2−2.製造方法>
図5及び図6は、第2の実施形態に係る化学センサを具備する半導体装置の製造方法を示す工程図である。
まず、図5(A)に示すように、第1半導体層200上に第1絶縁層201及び第2半導体層202がこの順に配置されたSOI基板203を用意する。
【0049】
次に、図5(B)に示すように、第2半導体層202をパターニングすることにより、化学センサ21、23が形成される領域に、ぞれぞれ、ダミーSi島204、FET205を形成する(ダミーSi島204は、形成しなくても構わない)。
その後、FET205のボディ領域205a以外の領域に、不純物をドープすることにより、ソース領域205b及びドレイン領域205cを形成する。なお、このようなFETの形成工程は、図4(A)に示すA/D変換回路24及びCPU25を構成するMOSFETの形成時(フロントエンドプロセス)において行うことが望ましい。
一方、ダミーSi島204上にはベース膜206を形成し、さらにその上に下部電極207を形成する。
【0050】
次に、図5(C)に示すように、第1絶縁層201、FET205、ベース膜206及び下部電極207上に、第2絶縁層208を形成する。第2絶縁層208は、ベース膜206及び下部電極207上の絶縁層208aと、第1絶縁層201上の絶縁層208bと、第1絶縁層201及びFET205上の絶縁層208cとを含んでいる。
【0051】
次に、図5(D)に示すように、ベース膜206及び第2絶縁層208上に、可動上部電極209を形成する。
次に、図5(E)に示すように、第1絶縁層201、第2絶縁層208、可動上部電極209上に、第3絶縁層210を形成する。第3絶縁層210上には、さらに第4絶縁層211を形成する。
【0052】
次に、図6(A)に示すように、第4絶縁層211のうち、化学センサ21が形成される領域と化学センサ23が形成される領域とを除去する。
さらに、化学センサ21の下部電極207及び可動上部電極209に対してそれぞれコンタクトホールを介して接続される配線層212a、212bを形成するとともに、第4絶縁層211上の領域のうち、化学センサ22が形成される領域に一対の電極213a、213bを形成する。
なお、このような電極及び配線層の形成工程は、図4(A)に示すA/D変換回路24及びCPU25を構成するMOSFETに接続される配線層の形成時(バックエンドプロセス)において行うことが望ましい。
【0053】
次に、図6(B)に示すように、第3絶縁層210、第4絶縁層211、配線層212a、212b、一対の電極213a及び213b上に、第5絶縁層214を形成する。
さらに、化学センサ21の配線層212a、212bに対してそれぞれコンタクトホールを介して接続される配線層215a、215bを形成する。
さらに、第5絶縁層214及び配線層215a、215b上に、第6絶縁層216を形成する。なお、第6絶縁層216上に疎水性の単分子膜をさらに形成しても良い。
【0054】
次に、図6(C)に示すように、第6絶縁層216、第5絶縁層214のうちの化学センサ22が形成される領域と、第6絶縁層216、第5絶縁層214、第3絶縁層210、第2絶縁層208のうちの化学センサ21が形成される領域及び化学センサ23が形成される領域とを、エッチングする。このエッチングにより、窪みを形成するとともに、一対の電極213a、213bの各一部と、下部電極207及び可動上部電極209の各一部と、FET205のボディ領域205aとを露出させる。このとき、化学センサ22が形成される領域においては、一対の電極213a、213b、第4絶縁層211がエッチングストッパーとなる。化学センサ21が形成される領域においては、第4絶縁層211が図6(A)において除去されているので、可動上部電極209、下部電極207、ベース膜206がエッチングストッパーとなる。化学センサ23が形成される領域においては、第4絶縁層211が図6(A)において除去されているので、FET205がエッチングストッパーとなる。また、このエッチングにより、可動上部電極209及び下部電極207を残したまま、図5(C)において形成した第2絶縁層208aが除去されるので、可動上部電極209の一端が下部電極207に対して振動可能な梁状となって露出する。
【0055】
次に、図6(D)に示すように、可動上部電極209上、一対の電極213a、213bの間、ボディ領域205a上に、それぞれ、感応膜217、218、219を構成する成分を含む液体をインクジェット装置によって吐出する。そして、吐出した液体を乾燥させ焼成することにより、感応膜217、218、219を形成する。
以上の工程によって、化学センサ21、22、23を具備する半導体装置20が製造される。
【0056】
大気汚染の原因の一つである気体中のNOガスを、高精度に検知する場合には、質量や電荷量、あるいは、電気抵抗など種々の物理パラメーターを測定する第2の実施形態による半導体装置が有効である。
化学センサ21においては、インクジェット法により、可動上部電極209上に金属フタロシアニン水溶液を吐出し、有機半導体感応膜を形成する。感応膜に対するNOの吸着により振動数が変化することで、NOガスやイオンのセンシングができる。また、化学センサ23において、インクジェット法により該金属フタロシアニン水溶液を吐出し、FET上に有機半導体感応膜を形成する。P型のフタロシアニン膜に電子アクセプタ性のNOイオンが吸着すると、プラスのホールが吸着表面に引き寄せられ、あたかも、FETのゲート電極に負の電圧を加えた効果により、FETのドレイン電流が変化することによりマイナスのNOイオンをセンシングできる。化学センサ22の一対の電極間にはインクジェット法により該金属フタロシアニン水溶液を吐出し、一対の電極間に有機半導体感応膜からなる電気的抵抗を形成する。P型のフタロシアニン感応膜に電子アクセプタ性のNOガスが吸着すると、感応膜の電気抵抗が低くなることにより、NOガスをセンシングできる。このように、同一の感応膜を用いて、ガス付着による質量や抵抗の変化、あるいは、イオン付着によるFET閾値変化をモニタリングすることにより、NOガスやイオンの検知において、分子選択性と精度が向上する。
【0057】
<3.第3の実施形態>
図7は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程図である。第3の実施形態においては、同一構造を有する複数のFET上に、別々の感応膜を形成する。
【0058】
まず、図7(A)に示すように、半導体層300にFET301及び302を同一構造で形成する。FET301は、第1導電型のウェル301aの両端に第2導電型のソース領域301b及びドレイン領域301cが形成されたものであり、FET302は、第1導電型のウェル302aの両端に第2導電型のソース領域302b及びドレイン領域302cが形成されたものである。
さらに、半導体層300上に絶縁層303を形成する。そして、絶縁層303上の領域のうち、FET301上の領域とFET302上の領域との間の領域に、参照電極304を形成する。参照電極304は、白金(Pt)等の導電性材料で形成され、図示しない外部電極に接続される。さらに、絶縁層303及び参照電極304の上に、疎水性の単分子膜305を形成する。
【0059】
次に、図7(B)に示すように、単分子膜305上にレジストRを形成する。このレジストRは、FET301上の領域及びFET302上の領域に開口を有する所定パターンに形成される。
次に、図7(C)に示すように、レジストRの開口を介して、単分子膜305及び絶縁層303のFET301上の領域及びFET302上の領域をエッチングする。エッチング後、レジストRを除去する。
【0060】
次に、図7(D)に示すように、図示しないインクジェット装置により、第1の感応膜306を構成する成分を含む液体をFET301上に吐出することにより、第1の感応膜306を形成する。
次に、図7(E)に示すように、図示しないインクジェット装置により、第2の感応膜307を構成する成分を含む液体をFET302上に吐出することにより、第2の感応膜307を形成する。第2の感応膜307は、第1の感応膜306とは別の成分を含んでいる。
以上の工程によって、化学センサ31、32を具備する半導体装置30が製造される。
【0061】
なお、ここでは半導体装置30が2つの化学センサ31、32を具備するものとしたが、3つ以上でも良い。また、半導体装置30は、感応膜を有しない参照用のFETをさらに具備していても良い。
【0062】
第3の実施形態によれば、第1及び第2の感応膜を構成する成分を含む液体をインクジェット装置によって吐出することにより、第1及び第2の感応膜を形成するので、複数の高精度化学センサを具備する半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0063】
<4.第4の実施形態>
図8は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程図である。第4の実施形態においては、半導体ウエハに複数のチップを同一パターンで形成しておき、これらのチップに別々の感応膜を形成する。
【0064】
まず、図8(A)に示すように、半導体ウエハ400に複数の半導体チップ40A、40B等を同一パターンで形成する。
半導体チップ40Aは、FET401A及び402Aが形成された半導体層400Aと、半導体層400A上の絶縁層403Aと、絶縁層403A上の参照電極404Aと、絶縁層403A及び参照電極404A上の単分子膜405Aとを有している。半導体チップ40Aにおいて、単分子膜405A及び絶縁層403AのFET401A上の領域及びFET402A上の領域はエッチングにより除去される(図8(B)参照)。FET401AとFET402Aとは、別々の構成を有していても良い。
半導体チップ40Bの構成は、半導体チップ40Aの構成と同一である(図8(C)参照)。
【0065】
次に、図8(B)及び(C)に示すように、半導体チップ40Aと半導体チップ40Bとに、別々の感応膜を構成する成分を含む液体を、それぞれインクジェット装置によって吐出することにより、感応膜406A、407A、406B、407Bを形成する。つまり、感応膜406Bの成分は感応膜406Aの成分と異なり、感応膜407Bの成分は感応膜407Aの成分と異なる。
以上の工程によって、半導体チップ40Aに化学センサ41A、42Aを具備する半導体装置と、半導体チップ40Bに化学センサ41B、42Bを具備する半導体装置とが製造される。
【0066】
第4の実施形態によれば、同一パターンのチップを多数製造してストックしておき、具体的な注文が入った段階で、各注文に応じた成分を含む感応膜をインクジェット装置によって形成して出荷できる。従って、多品種少量の製品を低コストで製造でき、短納期を達成することができる。
【0067】
<5.実施形態のまとめ>
上述の実施形態によれば、同じ場所で、複数の物理パラメーターを同時にセンシングできるため、種々の産業や日常生活において、生産能力の向上や生活の快適化に役立つ。例えば、農業では、屋内外に関係なく、植物や土壌、あるいは、水の温度・湿度・成分・光などを同時にセンシングし、これらのパラメーターを制御できるため、野菜やくだものの生産性を向上する事ができる。また、医療関係では、カテーテルを用いて血液中の種々の成分をセンシングし、あるいは、飲み込みカプセルにより体内の種々の液成分をセンシングすることにより、健康状態を管理できるようになる。
さらに、特定のガス・匂い、あるいは特定のイオン・味などを検出する時、上述の実施形態では、質量・仕事関数・電荷など複数の物理パラメーターを同時に検出できるため、これら特定の(ガス・匂い・イオン・味等の)分子検出精度を飛躍的に向上できる。
さらに、上述の実施形態では、Siチップ上には、半導体複合センサと同時にA/D変換回路やCPUの集積回路、通信アンテナも同時に形成できるため、超小型、低コスト、低パワーのセンサーシステムを提供する。
このため、上述の実施形態による半導体装置により、種々の産業や日常生活において体系的な情報を得ることができ、生産能力の向上や生活の快適化に役立つ。
【0068】
上述の実施形態によれば、フロントエンドプロセスにおいて(半導体集積回路のMOSFETとともに)センサFET部を形成し、あるいは、バックエンドプロセスにおいて(半導体集積回路の配線とともに)抵抗・容量センサあるいはMEMSセンサの電極部を形成するため、製造TAT(Turn Around Time)、あるいは、製造コストは、集積回路とほぼ同等の短TAT,低コストを実現できる。製造方法では、Siウエハの表面保護膜を形成後、最終工程で、センサ領域の保護膜(絶縁層)部分をフォトリソ技術で選択的に除去し、センサ電極を露出後、インクジェット法により必要な窪みに必要なだけそれぞれの感応膜形成用の液体を吐出形成している。異なる構造を持つセンサの領域が複数個あっても、窪みの形成は、一回のフォトリソ・エッチング工程ででき、種々の感応膜形成も、インクジェット法により各々の感応膜の成分を含む液体をそれぞれの窪みに注入して、異なる複数のセンサを1チップ上に形成できる。フォトリソ・エッチング工程が一回で済む為、製造TATを短く、製造コストを低減できる。また、異なる感応膜(あるいは、異なる感応膜の成分を含む液体)が触れ合うことがなく、かつ、各々の感応膜表面がエッチング液にさらされることがないので、各々の感応膜に化学的損傷や物理的損傷が無く、高精度なセンシングができる。
従って、上述の実施形態は、製造時間(TAT)が短く、低コストで高精度な小型半導体複合センサ装置とその製造方法を提供する。
【符号の説明】
【0069】
10…半導体装置、11、12、13…化学センサ、14…A/D変換回路、15…CPU、100…第1半導体層、101…第1絶縁層、102…第2半導体層、103…SOI基板、104…ダミーSi島、105…FET、105a…ボディ領域、105b…ソース領域、105c…ドレイン領域、106…FET、106a…ボディ領域、106b…ソース領域、106c…ドレイン領域、107…ゲート絶縁膜、108…ゲート電極、109…第2絶縁層、110…第3絶縁層、111a、111b…電極、112…配線層、113…第4絶縁層、114…金属メッシュ、116…配線層、117…第5絶縁層、118…電極層、119、120、121…感応膜、20…半導体装置、21、22、23…化学センサ、24…A/D変換回路、25…CPU、200…第1半導体層、201…第1絶縁層、202…第2半導体層、203…SOI基板、204…ダミーSi島、205…FET、205a…ボディ領域、205b…ソース領域、205c…ドレイン領域、206…ベース膜、207…下部電極、208…第2絶縁層、208a、208b、208c…絶縁層、209…可動上部電極、210…第3絶縁層、211…第4絶縁層、212a、212b…配線層、213a、213b…電極、214…第5絶縁層、215a、215b…配線層、216…第6絶縁層、217、218、219…感応膜、30…半導体装置、31、32…化学センサ、300…半導体層、301a、302a…ウェル、301b、302b…ソース領域、301c、302c…ドレイン領域、303…絶縁層、304…参照電極、305…単分子膜、306…第1の感応膜、307…第2の感応膜、40A、40B…半導体チップ、41A、42A、41B、42B…化学センサ、400…半導体ウエハ、400A、400B…半導体層、403A、403B…絶縁層、404A、404B…参照電極、405A、405B…単分子膜、406A、407A、406B、407B…感応膜、R…レジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセンサ素子及び第2のセンサ素子を具備する半導体装置であって、
前記第1のセンサ素子は、第1の導電層と、前記第1の導電層上に形成された第1の感応膜とを有し、
前記第2のセンサ素子は、前記第1の導電層とは異なる第2の導電層と、前記第2の導電層上に形成された第2の感応膜とを有する半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の導電層上に絶縁層が形成され、前記絶縁層上に前記第2の導電層が形成された半導体装置。
【請求項3】
第1のセンサ素子及び第2のセンサ素子を具備する半導体装置であって、
前記第1のセンサ素子は、第1の導電層と、前記第1の導電層上に形成された第1の感応膜とを有し、
前記第2のセンサ素子は、前記第1の導電層とは異なる構造を有する第2の導電層と、前記第2の導電層上に形成された第2の感応膜とを有する半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1の導電層は、
(i)第1導電型のチャネル領域と、前記チャネル領域の両側に形成された第2導電型のソース及びドレイン領域とを含む構造、
(ii)互いに離間して形成された第1及び第2の電極を含む構造、
(iii)下部電極に対して振動可能な可動上部電極を含む構造
の3つの構造のうち、何れか1つの構造を有し、
前記第2の導電層は、残りの2つの構造のうち、何れか1つの構造を有する半導体装置。
【請求項5】
導電層及び感応膜を有するセンサ素子の製造方法であって、
前記センサ素子のうち前記導電層を半導体基板に又は半導体基板上に形成する工程(a)と、
前記感応膜を構成する成分を含む液体を前記導電層上にインクジェット装置によって吐出して、前記感応膜を形成する工程(b)と、
を具備するセンサ素子の製造方法。
【請求項6】
第1のチップ領域と第2のチップ領域とを含む半導体ウエハを用いて、第1の導電層及び第1の感応膜を有するセンサ素子と、第2の導電層及び第2の感応膜を有するセンサ素子とを製造する方法であって、
前記第1のチップ領域に前記第1の導電層を形成するとともに、前記第2のチップ領域に前記第1の導電層と同一パターンの前記第2の導電層を形成する工程(a)と、
前記第1の導電層上と、前記第2の導電層上とに、異なる感応膜を構成する成分を含む液体をそれぞれインクジェット装置によって吐出して、前記第1及び第2の感応膜を形成する工程(b)と、
を具備するセンサ素子の製造方法。
【請求項7】
請求項5において、
工程(a)は、
前記半導体基板に又は半導体基板上に、前記センサ素子を構成する前記導電層であるFETと、電子回路を構成するMOSFETとを形成する工程(a−1)と、
前記FET及び前記MOSFETを覆う絶縁層を形成する工程(a−3)と、
前記絶縁層の一部をエッチングして前記FETの一部を露出させる工程(a−4)と、
を含み、
工程(b)は、露出した前記FET上に、前記感応膜を形成する工程である
センサ素子の製造方法。
【請求項8】
請求項5において、
工程(a)は、
前記半導体基板に又は半導体基板上に、電子回路を構成するMOSFETを形成する工程(a−1)と、
前記MOSFETが形成された前記半導体基板上に、前記センサ素子を構成する下部電極とMOSFETに接続される第一配線層とを形成する工程と、前記下部電極及びMOSFETが形成された半導体基板上に、前記センサ素子を構成する前記導電層である可動上部電極と、前記MOSFETに接続される第二配線層とを形成する工程(a−2)と、
前記可動上部電極及び前記第二配線層を覆う絶縁層を形成する工程(a−3)と、
前記絶縁層の一部をエッチングして前記可動上部電極を露出させる工程(a−4)と、
を含み、
工程(b)は、露出した前記可動上部電極上に、前記感応膜を形成する工程である
センサ素子の製造方法。
【請求項9】
請求項5において、
工程(a)は、
前記半導体基板に又は半導体基板上に、電子回路を構成するMOSFETを形成する工程(a−1)と、
前記MOSFETが形成された前記半導体基板上に、前記センサ素子を構成する前記導電層である一対の電極と、前記MOSFETに接続される配線層とを形成する工程(a−2)と、
前記一対の電極及び前記配線層を覆う絶縁層を形成する工程(a−3)と、
前記絶縁層の一部をエッチングして前記一対の電極を露出させる工程(a−4)と、
を含み、
工程(b)は、露出した前記一対の電極間及び該電極上に、前記感応膜を形成する工程である
センサ素子の製造方法。
【請求項10】
請求項7〜9の何れか一項において、
工程(a−2)において、前記配線層と同じ材料を含む網目状の層を形成し、
工程(b)において、感応膜を構成する成分を含む液体を、前記インクジェット装置から前記網目状の層を通過させて前記導電層上に付与し、前記感応膜を形成する
センサ素子の製造方法。
【請求項11】
第1の導電層及び第1の感応膜を有する第1のセンサ素子と、第2の導電層及び第2の感応膜を有する第2のセンサ素子とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記第1のセンサ素子のうち前記第1の導電層と、前記第2のセンサ素子のうち前記第2の導電層とを半導体基板に又は半導体基板上に形成する工程(a)と、
前記第1の感応膜を構成する成分を含む液体を前記第1の導電層上に、前記第2の感応膜を構成する成分を含む液体を前記第2の導電層上に、それぞれインクジェット装置によって吐出して、前記第1の感応膜と前記第2の感応膜とを形成する工程(b)と、
を具備する半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記半導体装置は、第3の導電層及び第3の感応膜を有する第3のセンサ素子をさらに有し、
工程(a)は、
前記半導体基板に又は半導体基板上に、前記第1のセンサ素子を構成する前記第1の導電層であるFETと、電子回路を構成するMOSFETとを形成する工程(a−1)と、
前記FET及び前記MOSFETが形成された前記半導体基板上に、前記第2のセンサ素子を構成する下部電極を形成する工程と、前記第2のセンサ素子を構成する前記第2の導電層である可動上部電極と、前記第3のセンサ素子を構成する前記第3の導電層である一対の電極と、前記MOSFETに接続される多層配線層とを形成する工程(a−2)と、
前記FET、前記可動上部電極、前記一対の電極及び前記多層配線層を覆う絶縁層を形成する工程(a−3)と、
前記絶縁層の一部をエッチングして、前記FETの一部と、前記可動上部電極と、前記一対の電極とを露出させる工程(a−4)と、
を含み、
工程(b)は、露出した前記FET上に前記第1の感応膜を、露出した前記可動上部電極上に前記第2の感応膜を、露出した前記一対の電極間及び該電極上に第3の感応膜を、それぞれ形成する工程である
半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−13579(P2012−13579A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151405(P2010−151405)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】