半導体装置、半導体装置の製造方法および配線基板の製造方法
配線基板の半田接続用の端子である銅のランド部(4b)上に、無電解Ni−Pめっき層(13a)を形成し、その上に無電解Pdめっき層(13b)を形成し、その上に無電解Auめっき層を形成する。無電解Ni−Pめっき層(13a)上に無電解Pdめっき層(13b)を形成する工程では、下地の無電解Ni−Pめっき層(13a)から無電解Pdめっき液中へのニッケルの溶出量が5×10−6kg/m2以下となるようにする。無電解Ni−Pめっき層(13a)と無電解Pdめっき層(13b)の界面には、10nm以上のボイドは形成されない。その後、配線基板に半導体チップを搭載し、ワイヤボンディングを行い、樹脂封止し、配線基板のランド部(4b)に半田ボールを接続して、半導体装置を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、半導体装置の製造技術および配線基板の製造技術に関し、特に、半田接続用の端子を有する配線基板やそれを用いた半導体装置の半田接続の強度を向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板上に半導体チップを搭載してボンディングワイヤで接続し、半導体チップおよびボンディングワイヤを覆うように封止樹脂を形成し、配線基板の下面のランド部に半田ボールを接続することで、BGAパッケージ形態の半導体装置が製造される。配線基板の半田ボール接続用のランド部は、例えば表面にめっき処理が施された銅膜(Cuパッド)からなる。
【0003】
日本特開平10−163404号公報(特許文献1)には、BGA用入出力端子のCuパッド表面に無電解めっき法によりP含有のNiめっき層を形成後、更に無電解めっき法によりAuめっき層を形成し、このCuパッド上に半田ボールを装着する技術が記載されている。また、Cuパッド表面に無電解めっき法によりP含有のNiめっき層を形成後、更に無電解めっき法によりAuめっき層を形成し、この無電解めっき処理したCuパッドに半田ボールを接続したとき、Auめっき層のAuは半田ボール中に拡散するとともに、P含有Niも半田ボール中のSnとNi−Sn化合物を生成し、Niの移動に伴ってNiめっき層に含まれるPの表面濃度が異常に高くなり、このPの濃度が高く濃化したP濃縮層が半田ボールとCuパッドの接合強度を低下させることが記載されている。
【特許文献1】日本特開平10−163404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者の検討によれば、次のことが新たに分かった。
【0005】
表面に無電解めっき層を形成したランド部(Cuパッド)に半田ボールを接続したときの半田ボールの接続強度を検討したところ、ランド部(Cuパッド)上に形成したP含有Niめっき層と、半田ボールを接続したときに半田ボールのSnとP含有Niめっき層のNiが反応して形成されるSn−Ni合金(化合物)層との界面に発生する微小なボイドが原因で、半田ボールの接続強度が低下することが分かった。このような微小なボイドが形成されていると、ランド部の半田接続の強度が低下し、例えばBGAパッケージのような半田ボールを接続した半導体装置における半田ボールの接続強度が低下し、半導体装置の信頼性を低下させる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、半田接続の強度を向上できる技術を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、半導体装置の信頼性を向上できる技術を提供することにある。
【0008】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】
本発明は、配線基板の半田接続用の複数の端子上にリン(P)を含有する無電解ニッケル(Ni)めっき層を形成し、その上に他の無電解めっき層を形成する際の、下地のリン(P)を含有する無電解ニッケル(Ni)めっき層からめっき液中へのニッケル(Ni)の溶出量を5×10−6kg/m2以下にするものである。
【0011】
また、本発明は、半導体装置の配線基板の複数の端子に複数の半田ボールが接続され、その複数の端子は、配線基板の主面に形成された銅を主成分とする導体層と、導体層上に形成されたリン(P)を含有する無電解ニッケル(Ni)めっき層とを有し、リン(P)を含有する無電解ニッケル(Ni)めっき層と半田ボールとの間にはスズ(Sn)とニッケル(Ni)を含む合金層が形成されており、その合金層とリン(P)を含有する無電解ニッケル(Ni)めっき層との界面に10nm以上のボイドが形成されていないものである。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0013】
半田接続用の端子の半田接続の強度を向上することができる。
【0014】
また、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の側面図である。
【図2】図1の半導体装置の断面図である。
【図3】図1の半導体装置の要部断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程を示す製造プロセスフロー図である。
【図5】半導体装置の製造に用いられる配線基板の全体平面図である。
【図6】配線基板のうちの一つの基板領域およびその周辺領域の平面図である。
【図7】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図13】半導体装置を実装基板に実装した状態を示す側面図である。
【図14】図13の要部断面図である。
【図15】めっき用配線が形成された比較例の配線基板を示す全体平面図である。
【図16】めっき用配線が形成された比較例の配線基板のうちの一つの基板領域およびその周辺領域の平面図である。
【図17】めっき用配線を形成した配線基板を用いて製造された比較例の半導体装置の側面図である。
【図18】ランド部へのめっき処理を示すプロセスフロー図である。
【図19】ランド部の表面にめっき処理を施した状態でのランド部の要部断面図である。
【図20】ランド部に半田ボールを接続した後の状態でのランド部の要部断面図である。
【図21】無電解Ni−Pめっき層のリン濃縮層と合金層との界面近傍にボイドが形成された比較例を示す部分拡大断面図である。
【図22】無電解Ni−Pめっき層とその上層の無電解めっき層との界面近傍にボイドが生じた状態を模式的に示す断面図である。
【図23】ボイドの発生メカニズムの説明図である。
【図24】各種の金属の自然電極電位を示す表である。
【図25】無電解Ni−Pめっき層のリン濃縮層と合金層との界面近傍領域を示す部分拡大断面図である。
【図26】せん断強度試験の説明図である。
【図27】せん断強度試験の結果を示すグラフである。
【図28】せん断強度試験を行った各種サンプルにおけるボイドの有無を示す表である。
【図29】引張強度試験の説明図である。
【図30】引張強度試験の結果を示すグラフである。
【図31】衝撃曲げ試験の説明図である。
【図32】衝撃曲げ試験の説明図である。
【図33】衝撃曲げ試験の際に印加した衝撃の大きさの測定例を示すグラフである。
【図34】衝撃曲げ試験の結果を示す表である。
【図35】衝撃曲げ試験を行った結果を示す表である。
【図36】めっき層の分析例を示すグラフである。
【図37】無電解Ni−Pめっき層中のSの含有量と無電解Pdめっき工程での無電解Pdめっき液中へのNiの溶出量とをプロットしたグラフである。
【図38】めっき処理を行ったランド部の半田濡れ性を評価した結果を示すグラフである。
【図39】配線基板のランド部に対するボンディングワイヤの接続強度を調べた結果を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションに分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0018】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0019】
本実施の形態の半導体装置およびその製造方法を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置の側面図であり、図2はその断面図(側面断面図)、図3はその要部断面図(部分拡大断面図)である。
【0021】
本実施の形態の半導体装置1は、面実装形の半導体パッケージであり、例えばBGA(Ball Grid Array package)、MAP(Mold Array Package)、LGA(Land Grid Array Package)またはCSP(Chip Size Package)形態などの半導体装置である。
【0022】
図1〜図3に示される本実施の形態の半導体装置1は、配線基板2と、配線基板2の主面(上面)2a上に搭載された半導体チップ(半導体素子)3と、半導体チップ3の電極(ボンディングパッド)3aと配線基板2の主面2aの導電性のランド部(端子、電極、パッド、配線、導体部)4aとの間を電気的に接続するボンディングワイヤ5と、半導体チップ3およびボンディングワイヤ5を覆うように配線基板2の主面2a上に形成された封止樹脂(封止部、モールド樹脂、樹脂体)6と、配線基板2の主面(下面)2bの導電性のランド部(端子、電極、パッド、配線、導体部)4bに接続された半田ボール(ボール電極)7とを有している。なお、図3には配線基板2と半田ボール7との接続部近傍の部分拡大断面図が示されている。
【0023】
配線基板(パッケージ用配線基板、パッケージ基板)2は、図示はしないけれども、例えば、樹脂材料(例えばガラスエポキシ樹脂)、有機高分子材料またはセラミックス材料(例えばアルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3))などからなる複数の絶縁層(基材層)と複数の導体層(配線層、導体パターン層)とが積層されて一体化された多層構造を有しており、いわゆる多層基板(多層配線基板)である。配線基板2の導体層を形成する材料としては、銅などの導電性の良い材料を用いることができる。
【0024】
配線基板2の主面2a(半導体チップ3搭載側の主面2a)には、半導体チップ3の電極3aとボンディングワイヤ5を介して電気的に接続するための導電性のランド部4aが複数形成されている。配線基板2の主面2b(半田ボール7接続側の主面2b、ここでは主面2aとは逆側の主面2b)には、半田ボール7接続用の導電性のランド部4bが複数形成されている。配線基板2の主面2aのランド部4aと主面2bのランド部4bとは、配線基板2(の絶縁層)に形成された図示しないスルーホール(スルーホール内の導体)や配線基板2の絶縁層間に形成された内部配線層(図示せず)などを介して電気的に接続されている。また、配線基板2として、上記のように複数の絶縁層(基材層)と複数の導体(配線)層とが積層された多層基板を用いても、あるいは1つの絶縁層(基材層)の表面および裏面に導体層が形成された基板を用いてもよい。
【0025】
図3にも示されるように、配線基板2の主面2b上には、例えば銅膜(銅箔)などの銅を主成分とする導電体材料からなる導体層(導体膜)11が形成されており、この導体層11を覆うように、配線基板2の主面2b上に、開口部12aを有する半田レジスト層12が形成されている。半田レジスト層12の開口部12aから露出する導体層11の表面には、めっき処理が施されてめっき層13が形成されている。このめっき処理については、後でより詳細に説明する。半田レジスト層12の開口部12aから露出する導体層11およびその表面のめっき層13により、配線基板2の半田ボール7接続用のランド部4bが形成される。ランド部4bを構成する導体層(銅膜)11の膜厚は、例えば10〜40μm程度である。ランド部4bは、配線基板2の半田接続用の端子(半田ボール7を接続するための端子)であり、各ランド部4bには半田ボール7が接続されている。半田ボール7は半導体装置1の外部接続端子として機能することができる。半田ボール7は、例えばPb(鉛)フリー半田からなる。また、配線基板2の主面2a上には、配線やランド部4a形成用の導体層(導体膜、銅膜)14が、導体層11と同様の材料により形成されている。配線基板2の主面2a上の半田レジスト層12から露出する導体層14により、ワイヤボンディング用のランド部4aが形成される。ランド部4aの表面にもめっき処理が施されてめっき層が形成されている。
【0026】
半導体チップ3は、例えば、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)に種々の半導体素子または半導体集積回路などを形成した後、必要に応じて半導体基板の裏面研削を行ってから、ダイシングなどにより半導体基板を各半導体チップ3に分離したものである。半導体チップ3は、配線基板2の主面2a上に、フェースアップ(face-up)ボンディングされている。このため、半導体チップ3は、その表面(半導体素子形成側の面)が上方を向くように配線基板2の主面2a上に搭載され、半導体チップ3の裏面(半導体素子形成側の面とは逆側の面)が配線基板2に接合材(ダイボンディング材、接着材)15を介して接合(接着)されている。
【0027】
半導体チップ3の表面には、複数の電極(ボンディングパッド、パッド電極)3aが形成されている。電極3aは、半導体チップ3に形成された半導体素子または半導体集積回路に電気的に接続されている。半導体チップ3の電極3aは、それぞれボンディングワイヤ5を介して配線基板2の主面2aのランド部4aに電気的に接続されている。ボンディングワイヤ5は、例えば金(Au)線などの金属細線などからなる。
【0028】
配線基板2上に、半導体チップ3およびボンディングワイヤ5を覆うように封止樹脂6が形成されている。封止樹脂6は、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。例えば、フィラーを含むエポキシ樹脂などを用いて封止樹脂6を形成することができる。封止樹脂6により、半導体チップ3やボンディングワイヤ5が封止され、保護される。
【0029】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程について説明する。図4は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す製造プロセスフロー図である。図5は、本実施の形態の半導体装置の製造に用いられる配線基板21の全体平面図であり、図6は、配線基板21のうちの一つの基板領域21cおよびその周辺領域の平面図である。図7〜図12は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の断面図(要部断面図)である。なお、図5には、半田ボール7を接続する側の主面21b(主面2bに対応)側が示され、図6は、図5とは逆側の主面、すなわち半導体チップ3を搭載する側の主面21a(主面2aに対応)が示されている。また、図7〜図11には一つの基板領域21cに対応する断面が示され、図12には一つの基板領域21cから製造された半導体装置1が示されている。
【0030】
まず、配線基板(パッケージ用配線基板、パッケージ基板、配線基板母体)21を準備する(ステップS1)。
【0031】
配線基板21は、複数の基板領域(配線基板、単位領域、単位配線基板領域)21cが繋がって形成された多連の配線基板(多連パッケージ基板、多数個取り基板)であり、後述する配線基板21の切断工程で切断されて個々の基板領域21cに分離されるものである。分離された各基板領域21cが、上記配線基板2に対応する。各基板領域21cは同様の構成を有しており、各基板領域21cから一つの半導体装置が製造され、配線基板21は複数の基板領域21cが図5の上下左右方向に規則的に並んで配置された構造になっている。
【0032】
このような配線基板21は、上記配線基板2のように、例えば絶縁層(基材層)と導体層(配線層)とを積層して一体化した多層基板(多層配線基板)であり、種々の手法を用いて形成(製造)できる。
【0033】
配線基板21の製造法の一例をビルドアップ法を基に説明する。まず、コア材(樹脂とガラス織布の複合材料を例とするシート両面に銅箔などの導電性金属材料が貼り付けられている)の両面に配置されている導体層をエッチングなどによりパターニングし、必要に応じてスルーホールを形成する。スルーホールは、ドリルまたはレーザーを用いコア材に貫通孔を開けた後、金や銅などの導電性のよい金属材料でめっきされて形成される。更にビルドアップ材(樹脂とガラス織布や無機フィラーなどの複合材料を例とするシート片面に銅箔などの導電性金属材料が貼り付けられている)をコア材の両面に配置し、圧着することにより積層する。圧着後、ビルドアップ材に片面に配置されている導体層を各々エッチング等によりパターニングし、必要に応じてスルーホールを形成する。スルーホールの形成方法は基本的にコア材と同様である。このようにして、内部と両主面に導体層が形成された多層基板(多層配線基板)としての配線基板21を形成することができる。配線基板21は、ビルドアップ法以外にも、印刷法やシート積層法など、種々の手法を用いて製造することができ、上記製造方法には限定されない。
【0034】
更に、配線基板21の一方または両方の主面に半田レジスト層を形成する。例えば、配線基板21の主面21bに形成された導体層(図3の導体層11に対応)を覆い、半田ボール7接続予定領域の導体層(導体層11)が露出するような開口部(図3の開口部12aに対応)を有する半田レジスト層(図3の半田レジスト層12に対応)を配線基板21の主面21bに形成する。
【0035】
このようにして準備された配線基板21の半導体チップ3搭載側の主面21a(主面2aに対応)には、各基板領域21cにおいて、ボンディングワイヤ5接続用の複数のランド部4aが形成され(露出され)、主面21aとは反対側の主面であり配線基板21の半田ボール7接続側の主面21b(主面2bに対応)には、各基板領域21cにおいて、半田ボール7接続用の複数のランド部4bが形成され(露出され)並んで配置されている。配線基板21の各基板領域21cにおいて、ランド部4aとランド部4bとは、配線基板21(の絶縁層)に形成された図示しないスルーホール(スルーホール内の導体)や配線基板21の主面または内部に形成された配線層(図示せず)などを介して電気的に接続されている。
【0036】
それから、配線基板21の主面21a,21bに対してめっき処理を施す。すなわち、配線基板21の主面21a,21bで露出するランド部4a,4bは、例えば、配線基板21の主面21a,21bに設けられた銅膜(銅箔)などの銅を主成分とする導電体材料からなる導体層(導体層11,14)からなり、この銅のランド部4a,4bの表面に、めっき処理を施す(ステップS2)。本実施の形態では、このめっき処理には、無電解めっき法を用いる。この無電解めっき処理により、銅のランド部4a,4b上に、P(リン)を含有する無電解Ni(ニッケル)めっき層と、無電解Pd(パラジウム)めっき層と無電解Au(金)めっき層とが順に形成される。ステップS2のめっき処理については、後でより詳細に説明する。
【0037】
このようにして配線基板21を準備し、ランド部4a,4bの表面にめっき処理(無電解めっき処理)を施すことで、図7に示されるような本実施の形態で用いられる配線基板21が得られる。それから、図8に示されるように、配線基板21の各基板領域21cに接合材15を介して半導体チップ3を搭載する(ステップS3)。この際、半導体チップ3の裏面側が配線基板21の主面21a側となるように、フェースアップボンディングを行う。
【0038】
次に、図9に示されるように、ワイヤボンディング工程を行って、半導体チップ3と配線基板2とを電気的に接続する(ステップS4)。すなわち、半導体チップ3の表面の電極3aと配線基板21の主面21aのランド部4aとをボンディングワイヤ5を介して電気的に接続する。
【0039】
次に、図10に示されるように、モールド工程(例えばトランスファモールド工程)を行って、配線基板21上に半導体チップ3とボンディングワイヤ5とを覆うように封止樹脂6を形成する(ステップS5)。封止樹脂6の形成には、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料を用いることができ、例えば、フィラーなどを含むエポキシ樹脂などを用いて封止樹脂6を形成することができる。
【0040】
次に、図11に示されるように、配線基板21の主面21bに半田ボール7を形成(接続)する(ステップS6)。例えば、配線基板21の主面21bを上方に向けた状態で、配線基板21の主面21bに設けられたランド部4b上に半田ボールを搭載し、リフロー処理(熱処理)を行って配線基板21の主面21bのランド部4bに接続する半田ボール7を形成する。
【0041】
その後、図12に示されるように、配線基板21(または配線基板21および封止樹脂6)をダイサー(図示せず)などを用いて所定の位置(基板領域21c間のダイシングライン)で切断して個片に切り離し、各半導体装置1に分離する(ステップS7)。これにより、個片化された半導体装置1が得られる(製造される)。製造された半導体装置1は、実装基板などに実装(搭載)することができる。
【0042】
図13は、半導体装置1を実装基板(実装用基板、配線基板、外部基板、マザーボード)31に実装した状態を示す側面図であり、図14はその要部断面図(部分拡大断面図)である。図14には、半導体装置1の半田ボール7と実装基板31との接続部近傍の部分拡大断面図が示されている。
【0043】
実装基板31は、半導体パッケージ形態の半導体装置1を実装(半田実装)するための配線基板であり、半導体装置1を実装する側の主面31aに導電性のランド部(端子、電極、配線、導体部)32が、実装基板31の主面31a上の半田レジスト層33から露出するように形成されており、このランド部32に半導体装置1の半田ボール7が接続される。例えば、実装基板31の主面31aに半導体装置1を搭載し、リフロー処理(熱処理)を行うことにより、半導体装置1の半田ボール7を実装基板31のランド部32に接続することができる。
【0044】
実装基板31のランド部32は、例えば銅膜(銅箔)などの銅を主成分とする導体層(導体膜)からなり、この銅のランド部32の表面にはめっき処理が施されてめっき層34が形成されており、めっき処理されたランド部32に半導体装置1の半田ボール7が接続される。本実施の形態では、実装基板31の半田接続用の端子であるランド部32の表面のめっき処理は、配線基板21(配線基板2)の半田接続用(半田ボール7接続用)のランド部4bの表面のめっき処理(すなわちステップS2のめっき処理)と同様のめっき処理を施しておくことが好ましい。
【0045】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程における配線基板21(配線基板2)のランド部4a,4bへのめっき処理、すなわちステップS2のめっき工程についてより詳細に説明する。
【0046】
配線基板21(配線基板2)の半田接続用(半田ボール7接続用)の銅のランド部4bの表面にはめっき処理を施し、めっき処理されたランド部4bに半田ボール7が接続されるが、本実施の形態では、配線基板21(配線基板2)のランド部4a,4bへのめっき処理(すなわちステップS2のめっき工程)を無電解めっき法を用いて行う。
【0047】
本実施の形態とは異なり、電解めっき法を用いて配線基板の主面のランド部の表面にめっき処理を施す場合、電流を流すための、めっき用配線を配線基板に形成することが必要である。図15は、電解めっき法を用いてランド部4a,4bの表面にめっき処理を施すためのめっき用配線42を形成した比較例の配線基板41を示す全体平面図であり、図16は、配線基板41のうちの一つの基板領域41c(基板領域21cに対応)およびその周辺領域の平面図である。配線基板41は、めっき用配線42を形成したこと以外は上記配線基板21とほぼ同様の構成を有している。また、図15は上記図5に対応し、図16は上記図6に対応する。また、図15および図16では一部のめっき用配線42については理解を簡単にするために図示を省略している。
【0048】
半導体装置の小型化や多端子化などにより、ランド部4a,4bや半田ボール7の挟ピッチ化が進むと、配線基板41にめっき用配線42を形成するのが困難になってくる。
【0049】
図17は、めっき用配線42を形成した配線基板41を用いて製造された比較例の半導体装置43の側面図である。MAP用の配線基板41を用いて製造したBGAパッケージ形態の半導体装置43では、配線基板41の各単位領域(基板領域41c)に半導体チップ3を搭載し、全体をモールド樹脂(封止樹脂6)で封止し、ダイサーにより切断して個片の半導体装置43に分離するが、切断により個片化した半導体装置43の配線基板44(配線基板41を各基板領域41cに分離したもの)の側面にめっき用配線42の銅が露出することになる。この半導体装置43の配線基板44の側面で露出した銅(めっき用配線42)の間隔が狭いと、マイグレーションなどにより、ショート不良などが発生する可能性がある。更に、めっき用配線42がノイズを拾うことにより、半導体装置43に動作不良などが発生する可能性がある。また、めっき用配線42があると、基板状態での配線基板41の電気的な検査ができず、半導体装置43を製造した後に不良が判明して半導体装置の製造歩留りを低下させる可能性がある。
【0050】
それに対して本実施の形態では、無電解めっき法を用いて、配線基板21(配線基板2)の主面21a,21b(主面2a,2b)のランド部4a,4bの表面にめっき処理を施す。このため、配線基板21(配線基板2)にめっき用配線を形成する必要がない。これにより、ランド部4a,4bや半田ボール7の挟ピッチ化が可能となり、半導体装置の小型化や多端子化に有利となる。また、配線基板21にめっき用配線が不要なので、配線基板21を切断して半導体装置1を製造したときに、切断により個片化された半導体装置1の配線基板2の側面でめっき用配線が露出することはない。このため、配線基板の側面で露出するめっき用配線に起因するショート不良などを防止することができる。また、めっき用配線がノイズを拾うことによる動作不良などを防止することができる。また、めっき用配線がないので、基板状態で配線基板21の電気的な検査を行うことができ、良品として選別された配線基板21を用いて半導体装置1を製造することが可能となる。このため、半導体装置の製造歩留りを向上させることができる。
【0051】
図18は、本実施の形態における配線基板21(配線基板2)のランド部4a,4bへのめっき工程(すなわちステップS2のめっき工程)を示すプロセスフロー図である。図19は、半田接続用のランド部4bの表面にめっき処理を施した状態(ランド部4bに半田ボール7を接続する前の状態)でのランド部4bの要部断面図(部分拡大断面図)であり、図20は、ランド部4bに半田ボール7を接続した後の状態でのランド部4bの要部断面図(部分拡大断面図)である。図19では、ランド部4bを構成する導体層11の表層部分とその導体層11上に形成されためっき層(13a,13b,13c)が模式的に示されている。図20は、図19と同じ領域の断面図に対応し、図19のようなめっき層が表面に形成されたランド部4bに半田ボール7を接続した状態が模式的に示されている。
【0052】
半田接続用のランド部4bに対するめっき処理(ステップS2)は、次のようにして行われる。
【0053】
まず、無電解めっき法を用い、リン(P)を触媒としてニッケル(Ni)めっき処理(リン含有無電解ニッケルめっき処理)を施す(ステップS2a)。これにより、図19に示されるように、ランド部4b(すなわち半田レジスト層12の開口部12aから露出する導体層(銅膜)11)上に、リン(P)を含有する無電解ニッケルめっき層(Ni(ニッケル)とP(リン)を含有する無電解めっき層、Ni(ニッケル)とP(リン)との合金からなる無電解めっき層)である無電解Ni−Pめっき層(めっき膜、めっき皮膜)13aが形成される。無電解Ni−Pめっき層13aの膜厚は、例えば3〜15μm程度である。
【0054】
ステップS2aの無電解ニッケルめっき処理は、例えば、硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム、オキシカルボン酸、硫酸、水酸化ナトリウム、および無機硫黄化合物などを用いためっき液を用いて行うことができる。硫酸ニッケルなどのニッケル化合物と次亜リン酸ナトリウムなどのリン系還元剤を用いためっき液を用いることで、リン(P)を含有する無電解ニッケル(Ni)めっき層である無電解Ni−Pめっき層13aを形成することができる。
【0055】
次に、無電解めっき法を用いて、パラジウム(Pd)めっき処理を施す(ステップS2b)。これにより、無電解Ni−Pめっき層13a上に、無電解Pd(パラジウム)めっき層(Pd(パラジウム)からなる無電解めっき層、めっき膜、めっき皮膜)13bが形成される。無電解Pdめっき層13bの膜厚は、例えば0.1〜0.6μm程度である。
【0056】
ステップS2bの無電解パラジウムめっき処理は、例えば、パラジウム化合物、アンモニア、アミン化合物、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸およびその水溶液などを用いためっき液を用いて行うことができる。パラジウム化合物を用いためっき液を用いることで、無電解Pdめっき層13bを形成することができる。
【0057】
本実施の形態では、無電解Ni−Pめっき層13a(すなわちP含有の無電解Niめっき層)上に次の無電解めっき層を形成する工程(ここではステップS2bの無電解Pdめっき層13bを形成する工程)において、下地の無電解Ni−Pめっき層13aのNi(ニッケル)がめっき液(無電解Ni−Pめっき層13a上の無電解めっき層(ここでは無電解Pdめっき層13b)を形成するためのめっき液、ここでは無電解パラジウムめっき液)中へ溶出する量(溶出量)を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにする。この無電解Ni−Pめっき層13aからめっき液(ここでは無電解パラジウムめっき液)中へのNi(ニッケル)の溶出量は、めっき液(ここでは無電解パラジウムめっき液)中に溶け込んだNi(ニッケル)の重量を、めっき面積(ここではその上に無電解Pdめっき層13bが形成される下地の無電解Ni−Pめっき層13aの面積)で割った値に対応する。
【0058】
次に、無電解めっき法を用いて、金(Au)めっき処理を施す(ステップS2c)。これにより、無電解Pdめっき層13b上に、無電解Au(金)めっき層(Au(金)からなるめっき層、めっき膜、めっき皮膜)13cが形成される。無電解Auめっき層13cの膜厚は、例えば0.05〜1μm程度である。このステップS2cの無電解金めっき処理は、例えば、先に行う無電解フラッシュ金めっき処理と、その後の無電解還元金めっき処理とにより行うことができる。
【0059】
ステップS2cの無電解金めっき処理のうち、先に行う無電解フラッシュ金めっき処理は、例えば、シアン化金カリウムを塩とした水溶性ポリアミノポリカルボン酸、水溶性アミン、その誘導体、およびPH調整剤などを用いためっき液を用いて行うことができる。ステップS2cの無電解金めっき処理のうち、後で行う無電解還元金めっき処理は、例えば、水溶性亜硫酸金化合物、水溶性ポリアミノポリカルボン酸、その塩、水溶性アミン、その誘導体、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、ヒドラジン化合物およびベンゾトリアゾール系化合物などを用いためっき液を用いて行うことができる。
【0060】
このようにして(ステップS2a〜S2cにより)、半田接続用の端子であるランド部4b(半田レジスト層12の開口部12aから露出する導体層11)に無電解めっき処理を施して、その表面に無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cを形成する。従って、ランド部4bに半田ボール7を接続する前の状態では、配線基板21(配線基板2)の半田接続用(半田ボール7接続用)の端子(ランド部4b)は、半田レジスト層12の開口部12aから露出する導体層(銅膜)11と、その導体層11上に形成された無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cにより形成される。このようにしてめっき処理されたランド部4bに対して、半導体装置の製造工程のステップS6の半田ボール7形成工程において半田ボール7が接続されることになる。
【0061】
なお、ボンディングワイヤ5接続用の端子である配線基板21のランド部4aの表面に対しても、上記ステップS2a,S2b,S2cと同様の無電解めっき処理を施しておくことが好ましい。これにより、配線基板21の主面21aのランド部4aの表面にも、無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cと同様の無電解めっき層が形成される。配線基板21の主面21aのランド部4a(ワイヤボンディング用の端子)と配線基板21の主面21bのランド部4b(半田接続用の端子)とに対して、同様のめっき処理を施して同様のめっき層(すなわち無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13c)を形成することで、配線基板21の両主面21a,21bのランド部4a,4bに対するめっき工程を同じめっき工程で行うことができ、半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0062】
無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cを形成したランド部4bに、ステップS6で半田リフロー処理などにより半田ボール7を接続すると、図20に示されるように、無電解Auめっき層13cのAu(金)と無電解Pdめっき層13bのPd(パラジウム)とは半田ボール7の半田の中に溶け込む。そして、無電解Ni−Pめっき層13a中のNi(ニッケル)は半田ボール7の半田と反応して合金層51を形成する。この合金層51は、半田ボール7を構成する半田のSn(スズ)と無電解Ni−Pめっき層13aのNi(ニッケル)とを含む合金(化合物)からなり、例えばSn−Ni合金からなる。半田ボール7を構成する半田がCu(銅)を含有する場合は、合金層51はSn(スズ)とNi(ニッケル)とCu(銅)とを含む合金(例えばSn−Ni−Cu合金)からなる。このため、配線基板21(配線基板2)のランド部4bに半田ボール7を接続した後の状態では、半田ボール7は、合金層(Sn−Ni合金層)51および無電解Ni−Pめっき層13aを介して、導体層(銅膜)11に接続されていることになる。従って、半導体装置1に半田ボール7を接続した後の状態では、ランド部4bは、半田レジスト層12の開口部12aから露出する導体層(銅膜)11とその上に形成された無電解Ni−Pめっき層13aにより構成され、このランド部4bが合金層51を介して半田ボール7と接続された状態となる。
【0063】
無電解Ni−Pめっき層13aのうち、合金層51と無電解Ni−Pめっき層13aとの界面近傍の領域には、無電解Ni−Pめっき層13aの他の領域に比較してリン(P)の濃度(割合)が高い(Ni濃度が低い)リン濃縮層52が形成される。これは、ランド部4bに半田ボール7を接続したときに、無電解Ni−Pめっき層13aの表層部分(半田ボール7側の表層部分)のNiが半田ボール7の半田と反応して合金層51が形成され、その分、表層部分(すなわちリン濃縮層52)におけるNi含有率が低下(すなわちP含有率が上昇)して、合金層51と無電解Ni−Pめっき層13aとの界面近傍にリン濃縮層52が形成されたためである。このリン濃縮層52も、無電解Ni−Pめっき層13aと同様に無電解Ni−Pめっき層(P含有の無電解Niめっき層、NiとPとの合金)からなるが、リン濃縮層52よりも内部側(導体層11側)における無電解Ni−Pめっき層13aに比較して、リン(P)の濃度(割合)が高い。
【0064】
このように、図3に示されるランド部4b(導体層11)表面のめっき層13は、半田ボール7接続前は無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cからなり、半田ボール7接続後は無電解Ni―Pめっき層13a(およびリン濃縮層52)からなる。
【0065】
本発明者の検討によれば、このようなリン濃縮層52が存在していても、ランド部4bと半田ボール7との間の接続強度はほとんど低下しないが、無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面(すなわちリン濃縮層52と合金層51との界面)にボイドが形成されていると、ランド部4bと半田ボール7との間の接続強度が低下することが新たに分かった。
【0066】
図21は、無電解Ni−Pめっき層13a(のリン濃縮層52)と合金層51との界面(界面近傍)にボイド(微小ボイド)61が形成された比較例を示す部分拡大断面図(要部断面図)であり、無電解Ni−Pめっき層13aのリン濃縮層52と合金層51との界面近傍領域が模式的に示されている。
【0067】
図21のように、無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面(すなわちリン濃縮層52と合金層51との界面)にボイド61が形成されていると、半田ボール7とランド部4bとの間の接合面積が小さくなり、また半田ボール7とランド部4bとの界面(無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面)に割れが生じやすくなるなどして、半田ボール7の接続強度(接合強度)が低下することが分かった。特に、10nm程度以上(例えば直径数十nm程度)のボイド61が無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面(すなわちリン濃縮層52と合金層51との界面)に存在すると、半田ボール7の接続強度が低下してしまう。
【0068】
この微小なボイド61の発生原因を調べたところ、ランド部4b上に無電解めっき処理を施した際に、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層との界面の無電解Ni−Pめっき層13a側に生じたボイド(微小ボイド)61aに起因することが分かった。図22は、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層(ここでは無電解Pdめっき層13b)との界面にボイド61aが生じた比較例の状態を模式的に示す断面図であり、上記図19と同じ領域が示されている。この無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層(ここでは無電解Pdめっき層13b)との界面(界面近傍)に生じていたボイド61aが、半田ボール7をランド4bに接続した後にも残存して、無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面(界面近傍)のボイド61になる。
【0069】
図23は、ボイド61aの発生メカニズムの説明図である。図24は、各種の金属の自然電極電位を示す表(説明図)である。
【0070】
ボイド61aの生成(すなわちボイド61の生成)は、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後、その無電解Ni−Pめっき層13aの表面に対して行う無電解めっき処理の際に生じる置換反応が原因である。図23に模式的に示されるように、無電解Ni−Pめっき層13aの形成後、次に行う無電解めっき処理の際に、無電解Ni−Pめっき層13aのNi(ニッケル)が電子を放出してイオン化して無電解めっき液中に溶け出し、それ(電子)を無電解めっき液中の金属イオン(無電解Pdめっき層13bを形成する場合はPdイオン)が受け取ることによって金属化して無電解Ni−Pめっき層13aの表面に析出する。この置換反応をできるだけ少なく抑えることで、無電解Ni−Pめっき層13aの表面でのボイド61aの生成を防止することができる。
【0071】
本発明者の検討によれば、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理において、下地の無電解Ni−Pめっき層13aのNi(ニッケル)が無電解めっき液中へ溶出する量(すなわち、無電解Ni−Pめっき層13aから、無電解Ni−Pめっき層13a上の無電解めっき層を形成するための無電解めっき液中への、Ni(ニッケル)の溶出量)を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにすれば、上記置換反応を抑制し、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層との界面(界面近傍)にボイド61aが生じるのを防止できることが分かった。特に、10nm程度以上(例えば直径数十nm程度)のボイド61aが無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層との界面(界面近傍)に生成されるのを防止することができる。無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液中へのNiの溶出量は、無電解めっき液中に溶け込んだNi(ニッケル)の重量をめっき面積(めっき処理する無電解Ni−Pめっき層13aの面積)で割った値に対応する。無電解めっき液中に溶け込んだNi(ニッケル)の重量は、例えば原子吸光光度計などにより測定することができる。
【0072】
無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理において、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液中へのNi(ニッケル)の溶出量は、例えばその無電解めっき液への添加剤などを調整することにより、制御することができる。
【0073】
また、図24に示されるように、Pd(パラジウム)はAu(金)に比較してNiとの電位ギャップが小さい。すなわち、Ni膜上にAu膜を形成した場合の電位ギャップは1.65eVとなるが、Ni膜上にPd膜を形成した場合の電位ギャップは1.08eVとなる。このため、無電解Pdめっき層13bの形成を省略して無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Auめっき層13cを形成した場合に比較して、無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Pdめっき層13bを形成した方が、上記のような置換反応(無電解Ni−Pめっき層13a表面での置換反応)を少なくすることができる。また、無電解Ni−Pめっき層13aの局部的腐食を抑制または防止することができる。従って、本実施の形態のように、無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Pdめっき層13bを形成し、その上に無電解Auめっき層13cを形成することで、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理において、無電解Ni−Pめっき層13aの表面での置換反応をより少なくし、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層との界面にボイド61aが生じるのをより的確に防止することができる。
【0074】
図25は、本実施の形態における無電解Ni−Pめっき層13aのリン濃縮層52と合金層51との界面近傍領域を示す部分拡大断面図(要部断面図)であり、上記図21に対応する。
【0075】
本実施の形態では、半導体装置1製造用の配線基板21(配線基板2)のランド部4bへのめっき工程において、無電解Ni−Pめっき層13a上に次の無電解めっき層を形成する際の無電解Ni−Pめっき層13a表面の置換反応を抑制して無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層(ここでは無電解Pdめっき層13b)との界面(界面近傍)にボイド61aが生じるのを防止し、それによって、ランド部4bに半田ボール7を接続したときに、無電解Ni−Pめっき層13a(のリン濃縮層52)と合金層51との界面(界面近傍)にボイド61が形成されるのを防止する。このため、本実施の形態の半導体装置1では、図25に示されるように、無電解Ni−Pめっき層13a(のリン濃縮層52)と合金層51との界面(界面近傍)にボイドが形成されておらず、特に、10nm程度以上のボイドが無電解Ni−Pめっき層13a(のリン濃縮層52)と合金層51との界面(界面近傍)に存在しない。従って、半田ボール7とランド部4bとの間の接合面積を増大し、また半田ボール7とランド部4bとの界面(無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面)に割れが生じるのを防止でき、配線基板2(配線基板21)のランド部4bと半田ボール7との間の接続強度を向上することができる。従って、半導体装置1の配線基板2の半田接続用の端子(ランド部4b)の半田接続の強度を向上することができる。また、半導体装置1の信頼性を向上することができる。また、半導体パッケージ(半導体装置1)製造用の配線基板21の信頼性(半田接続の信頼性)を向上することができる。
【0076】
また、他の形態として、無電解Pdめっき層13bの形成を省略し、無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Auめっき層13cを形成することもできる。この場合も、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理(この場合は無電解Auめっき処理)において、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液(この場合は無電解Auめっき液)へのNi(ニッケル)の溶出量を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにする。これにより、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層(この場合は無電解Auめっき層13c)との界面(界面近傍)にボイド61aが生じるのを防止でき、そのようなランド部に半田ボール7を接続した際のボイド61の発生を防止し、半田ボール7の接続強度を向上することができる。従って、半導体装置1の配線基板2の半田接続用の端子(ランド部4b)の半田接続の強度を向上することができる。
【0077】
また、無電解Pdめっき層13bや無電解Auめっき層13c以外にも、無電解Pt(白金、プラチナ)めっき層または無電解Ag(銀)めっき層を無電解Ni−Pめっき層13a上に形成する場合にも本実施の形態を適用することができる。この場合も、銅のランド部4b上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後、その表面に対して行う無電解めっき処理(この場合は無電解Ptめっき処理または無電解Agめっき処理)において、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液(この場合は無電解Ptめっき液または無電解Agめっき液)へのNi(ニッケル)の溶出量を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにする。これにより、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層(この場合は無電解Ptめっき層または無電解Agめっき層)との界面(界面近傍)にボイド61aが生じるのを防止でき、そのようなランド部に半田ボール7を接続した際のボイド61の発生を防止し、半田ボール7の接続強度を向上することができる。従って、半導体装置1の配線基板2の半田接続用の端子(ランド部4b)の半田接続の強度を向上することができる。
【0078】
また、図13および図14に示されるような半導体装置1を実装する実装基板31のランド部32は、例えば銅膜(銅箔)などの銅を主成分とする導電体材料からなる導体層からなり、この銅のランド部32の表面にはめっき処理が施され、めっき処理されたランド部32に半導体装置1の半田ボール7が接続される。この実装基板31の半田接続用のランド部32の表面のめっき処理は、配線基板21の半田接続用のランド部4bの表面のめっき処理(ステップS2a〜S2cのめっき処理)と同様のめっき処理を施しておけば、より好ましい。
【0079】
すなわち、半導体装置1の実装用の配線基板である実装基板31は、次のようにして製造または準備される。まず、実装基板31の主面で露出する銅のランド部32を有する実装基板31を準備し、そのランド部32の表面にP(リン)を含有する無電解Niめっき層である無電解Ni−Pめっき層(無電解Ni−Pめっき層13aに対応)を形成し、更にその表面に対して他の無電解めっき層を形成するが、この無電解Ni−Pめっき層の表面に対して行う無電解めっき処理(例えば無電解Pdめっき、無電解Auめっき、無電解Ptめっきまたは無電解Agめっき処理、より好ましくは無電解Pdめっき処理)において、無電解Ni−Pめっき層から無電解めっき液へのNi(ニッケル)の溶出量を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにする。このようにしてランド部32の表面上に無電解Ni−Pめっき層およびその上層の他の無電解めっき層(例えば無電解Pdめっき層)を形成することで、無電解Ni−Pめっき層とその上層の無電解めっき層(例えば無電解Pdめっき層)との界面(界面近傍)に微小なボイド(ボイド61aと同様のボイド)が生じるのを防止できる。必要に応じて更に上層に無電解めっき層(例えば無電解Auめっき層)を形成して、表面にめっき層が形成されたランド部32を有する実装基板31が製造される。このように、ランド部32表面のめっき層34は、半導体装置1を実装する前(半田ボール7接続前)は、下から順に無電解Ni−Pめっき層、無電解Pdめっき層および無電解Auめっき層により形成することができる。このようにして製造された実装基板31のランド部32に半田リフロー処理により半導体装置1の半田ボール7を接続して、図13および図14に示されるように実装基板31に半導体装置1を実装することができる。
【0080】
このようにして製造された実装基板31に半導体装置1を実装すると、ランド部32表面の無電解Ni−Pめっき層と半田ボール7との界面には上記合金層51のようなSnとNiとを含有する合金層が形成されるが、この合金層とランド部32上の無電解Ni−Pめっき層(のリン濃縮層)との界面(界面近傍)には微小なボイド(ボイド61と同様のボイド)は形成されない。これにより、半導体装置1の半田ボール7と実装基板31のランド部32との間の接続強度を向上することができ、半導体パッケージ(半導体装置1)を半田実装する実装基板31の半田接続の強度を向上することができる。また、半導体パッケージ(半導体装置1)実装用の実装基板31の信頼性を向上することができる。また、実装基板31において、半導体装置1実装用(半田ボール7接続用)のランド部32だけでなく、他の電子部品を半田実装するための端子(ランド部)についても、上記ランド部32表面のめっき処理と同様のめっき処理を同じめっき工程で施しておけばより好ましく、これにより、半導体装置1および他の電子部品と実装基板31との接合部(半田接合部)の接続強度を向上することができる。
【0081】
また、上記のようにしてめっき処理したランド部(ランド部4bやランド部32)に接続する半田(ここでは半田ボール7)が、鉛(Pb)を含有しない半田であるPb(鉛)フリー半田からなる場合に、本実施の形態を適用すれば、特に有効である。Pbフリー半田としては、例えばSn−Ag−Cu系のPbフリー半田などを用いることができる。Pbフリー半田は、Pb含有半田に比較して硬い。このため、比較的やわらかいPb含有半田で半田ボール7を形成した場合に比べて、Pbフリー半田で半田ボール7を形成した場合は、ランド部(ランド部4bやランド部32)と半田ボール7の接合部(接続部)に応力が印加されやすい(応力が緩和されにくい)。このため、Pbフリー半田で半田ボール7を形成した場合は、半田ボール7とランド部との間の接続強度を高めることが重要となる。このため、半田接続用のランド部(ランド部4bやランド部32)に本実施の形態のようなめっき処理を施してからそこに半田ボール7を接続することで、上記のようなボイド61の発生を防止して半田ボール7の接続強度を向上でき、たとえランド部の半田接続に使用する半田の材料(半田ボール7の材料)としてPbフリー半田を用いた場合でも、半田ボール7への応力印加などによる不具合(例えば半田ボール7接続部の破断など)を防止することができる。
【0082】
次に、本実施の形態(ステップS2a〜S2c)のようにして配線基板21(配線基板2)のランド部4bへめっき処理し、そこに半田ボール7を接続した場合の半田ボール7の接続強度の向上効果についてより詳細に説明する。
【0083】
図26は、せん断強度試験の説明図であり、図27は、各種サンプルのせん断強度試験の結果を示すグラフであり、図28は、せん断強度試験を行った各種サンプルにおけるボイド61(ボイド61a)の有無を示す表(説明図)である。図27のグラフの縦軸はせん断強度に対応する。サンプルA、サンプルBおよびサンプルCは、いずれも半導体装置1と同様のBGAパッケージ形態の半導体装置であるが、図28に示されるように、サンプルAは、本実施の形態とは異なり、上記図21に示される比較例のように、無電解Ni−Pめっき層13a(のリン濃縮層52)と合金層51との界面(界面近傍)に微小なボイド61が生じているサンプルであり、サンプルBは、本実施の形態とは異なり、上記図21に示される比較例のように微小なボイド61が発生しているが、サンプルAよりもボイド61が少ないサンプルであり、サンプルCは、本実施の形態のように、微小なボイド61が生じていないサンプル(すなわち本実施の形態の半導体装置1に対応)である。
【0084】
サンプルCは、上記のように、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理(ここでは無電解Pdめっき処理)において、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液(ここでは無電解Pdめっき液)へのNi(ニッケル)の溶出量を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにすることで、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解Pdめっき層13bとの界面にボイド61aが生じるのを防止し、それによって半田ボール7をランド4bに接続した後に無電解Ni−Pめっき層13aと合金層(Sn−Ni合金層)51との界面に微小なボイド61が生じるのを防止している。
【0085】
サンプルAおよびサンプルBは、本実施の形態とは異なり、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理(ここでは無電解Pdめっき処理)において、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液(ここでは無電解Pdめっき液)へのNi(ニッケル)の溶出量が5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)を超えたものである。このため、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解Pdめっき層13bとの界面にボイド61aが生じ、それによって半田ボール7をランド4bに接続した後に無電解Ni−Pめっき層13aと合金層(Sn−Ni合金層)51との界面に微小なボイド61が生じている。微小なボイド61の有無は、例えば断面のSEM(Scanning Electron Microscope)観察などにより確認することができる。サンプルA、サンプルBおよびサンプルCは、ランド部上へのめっき工程以外は、ほぼ同様にして作製される。
【0086】
せん断強度試験では、図26に示されるように、サンプルA、サンプルBおよびサンプルCのそれぞれの配線基板2の主面2bに平行な方向にツール71を移動させ、配線基板2のランド部4bに接続した半田ボール7に対してツール71でせん断力を作用させ、どの程度のせん断力によって半田ボール7が欠落したかを調べた。せん断速度(ツール71の移動速度)は250μm/s、ツール高さH1は10μmにてせん断強度試験の評価を行った。
【0087】
図27のグラフからも分かるように、サンプルA、サンプルBおよびサンプルCについても、せん断強度の差は、ほとんどみられなかった。
【0088】
図29は、引張強度試験の説明図であり、図30は、各種サンプルの引張強度試験の結果を示すグラフである。図30のグラフの縦軸は引張強度に対応する。サンプルA、サンプルBおよびサンプルCのそれぞれは、上記せん断強度試験を行ったサンプルと同種のサンプルである。
【0089】
引張強度試験では、図29に示されるように、サンプルA、サンプルBおよびサンプルCのそれぞれの配線基板2のランド部4bに接続した半田ボール7に対してツール72を吸着させ、配線基板2の主面2bとは垂直方向(上方向)にツール72を移動して半田ボール7に引張力を作用させ、どの程度の引張力によって半田ボール7が欠落するかを調べた。引張速度は250μm/sで引張強度試験の評価を行った。
【0090】
図30のグラフに示されるように、サンプルBおよびサンプルCに比較して、ボイド61が多いサンプルAの引張強度が低いことが分かる。それに対して、ボイド61が少ないサンプルBとボイド61が生じていないサンプルCについては、引張強度の有意差はほとんど見られなかった。
【0091】
図31および図32は、衝撃曲げ試験の説明図であり、図33は、衝撃曲げ試験の際に印加した衝撃の大きさの測定例を示すグラフであり、図34は、各種サンプルの衝撃曲げ試験の結果を示す表(説明図)である。サンプルA、サンプルBおよびサンプルCのそれぞれは、上記せん断強度試験および引張強度試験を行ったサンプルと同種のサンプルである。
【0092】
衝撃曲げ試験は、図31に示されるように、サンプルA、サンプルBまたはサンプルCに対応する半導体装置(BGA形態の半導体装置)75を半田ボール7を介して実装基板76に接続し(例えば上記図13のような状態にし)、実装基板76の裏面(半導体装置75を実装した主面とは逆側の主面)を上方に向けて配置し、実装基板76の裏面にロッド77を落下させて実装基板76の裏面側から半田接合部(半田ボール7接合部)に衝撃を印加するものである。印加した衝撃の大きさは、図32の平面図に模式的に示されるように、半導体装置75の角部近傍の実装基板76上に貼り付けた歪みゲージ78にてモニタすることができる。なお、衝撃曲げ試験は、図31のスパンL2を90mmとして行った。
【0093】
図33は、衝撃曲げ試験の際に印加した衝撃の大きさの測定例を示すグラフであり、図33のグラフの縦軸は、歪みゲージ78に発生した歪みに対応し、図33のグラフの横軸は、衝撃を印加してからの時間に対応する。図33の例では、約0.002秒で2000ppm程度の歪みが実装基板76に発生している。ロッド77を落下させる高さH2などを変えることで、印加される衝撃の大きさ(図33のグラフのピーク値に対応)を変えることができる。
【0094】
図34の表には、各種サンプルA、サンプルBおよびサンプルCに対して、衝撃曲げ試験を行い、印加する衝撃の大きさを徐々に増加させていき、どの程度の衝撃を印加したときに半田接合部に破断が生じるかを調べた結果が示されている。図34の表中の○印は、半田接合部(半田ボール7と配線基板2(のランド部4b)の接合部)に破断が生じなかった場合に対応し、図34の表中の×印は、半田接合部(半田ボール7と配線基板2(のランド部4b)の接合部)に破断が生じた場合に対応する。半田接合部に破断が生じたかどうかは、例えば電気的にチェックすることができる。
【0095】
図34に示されるように、サンプルAは1250ppmの衝撃を印加した段階で半田接合部(半田ボール7と配線基板2の接合部)に破断が生じ、サンプルBは1750ppmの衝撃を印加した段階で半田接合部(半田ボール7と配線基板2の接合部)に破断が生じているのに対して、サンプルCは3500ppmの衝撃までは半田接合部に破断は生じず、4000ppmの衝撃を印加した段階で半田接合部(半田ボール7と配線基板2の接合部)に破断が生じている。
【0096】
このように、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度は、微小なボイド61の存在の有無に大きく依存し、微小ボイド61が存在するサンプルAおよびサンプルBに比較して、微小ボイド61の存在しないサンプルC(すなわち本実施の形態の半導体装置1)は、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度を高くする(向上させる)ことができる。このため、無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面(すなわちリン濃縮層52と合金層51との界面)において微小なボイド61(特に直径10nm程度以上のボイド)が存在しないようにすることで、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度を向上させることができ、半導体装置1における半田ボール7の接続強度を向上することができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0097】
また、配線基板21(配線基板2)のランド部4bのめっき工程で発生し得るボイド61aを防止することが、半田ボール7をランド4bに接続した後に無電解Ni−Pめっき層13aと合金層(Sn−Ni合金層)51との界面での微小なボイド61をなくし、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度を向上させるために重要である。すなわち、銅のランド部4b(すなわち銅膜11)上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理(ここではステップS2bの無電解Pdめっき層13bの形成工程)において、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液中へのNi(ニッケル)の溶出量を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにすることで、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層(ここでは無電解Pdめっき層13b)との界面にボイド61aが生じるのを防止し、それによって半田ボール7をランド4bに接続した後に無電解Ni−Pめっき層13a(のリン濃縮層52)と合金層(Sn−Ni合金層)51との界面に微小なボイド61が生じるのを防止できる。これにより、図34に示されるように、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度を向上させることができ、半導体装置1における半田ボール7の接続強度を向上することができる。従って、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0098】
本実施の形態(ステップS2a〜S2c)のようにして配線基板21(配線基板2)のランド部4bへ無電解めっき処理を行い、そこに半田ボール7を接続した場合の、ステップS2bの無電解Pdめっき工程での無電解Ni−Pめっき層13aから無電解Pdめっき液中へのNiの溶出量と、ボイド61(ボイド61a)の発生の有無と、半田ボール7の接続強度との関係について、更に次のような実験を行って調べた。
【0099】
BGAパッケージ形態の半導体装置用の配線基板21(配線基板2)のCuのランド部4b上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成し、その上に無電解Pdめっき層13bを形成し、更にその上に無電解フラッシュAuめっき皮膜および無電解還元Auめっき皮膜からなる無電解Auめっき層13cを形成して各種サンプル(半導体装置1と同様のBGAパッケージ形態の半導体装置)を作製し、衝撃曲げ試験を行った結果を図35に示している。サンプル1〜サンプル6では、ステップS2aで用いた無電解Ni−Pめっき液(無電解Ni−Pめっき層13a形成用のめっき液)とステップS2bで用いた無電解Pdめっき液(無電解Pdめっき層13b形成用のめっき液)との組合せを変えてある。各種サンプル(サンプル1〜サンプル6)において、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面上に無電解Pdめっき層13bを形成する無電解めっき工程での、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解Pdめっき液中へのNi(ニッケル)の溶出量が、図35の表中に記載されている。
【0100】
この無電解Pdめっき液中へのNiの溶出量は、例えば次のようにして測定することができる。サンプル1〜サンプル6を作製する際に用いたものと同じめっき液を100ml採取し、3cm×3cm(3cm四方)のCu板(銅板)に無電解Ni−Pめっきを施した後に、無電解Pdめっきを行い、更に無電解Auめっきを行った。この際の各無電解めっきの条件は、サンプル1〜サンプル6の銅のランド部4bに対する各無電解めっき処理の条件とほぼ同じである。めっき面積は3cm×3cm×2=18cm2であり、無電解Pdめっき液に溶け込んだNiの量は原子吸光光度計により測定し、Niの溶出量は無電解Pdめっき液中に溶け込んだNiの重量をめっき面積で割った値とした。
【0101】
無電解Ni−Pめっきとしては、硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム、オキシカルボン酸、硫酸、水酸化ナトリウム、および無機硫黄化合物などを用いた2種類のめっき液(第1および第2の無電解Ni−Pめっき液)を用いた。無電解Pdめっきとしては、パラジウム化合物、アンモニア、アミン化合物、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸、およびその水溶液などを用いた3種類のめっき液(第1、第2および第3の無電解Pdめっき液)を用いた。無電解フラッシュ金めっきとして、シアン化金カリウムを塩とした水溶性ポリアミノポリカルボン酸、水溶性アミン、その誘導体、およびPH調整剤などを用いためっき液を用いた。無電解還元金めっきとしては、水溶性亜硫酸金化合物、水溶性ポリアミノポリカルボン酸、その塩、水溶性アミン、その誘導体、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、ヒドラジン化合物、およびベンゾトリアゾール系化合物などを用いためっき液を用いた。サンプル1、サンプル3およびサンプル5は第1の無電解Ni−Pめっき液を用い、サンプル2、サンプル4およびサンプル6は第2の無電解Ni−Pめっき液を用いた。また、サンプル1およびサンプル2は第1の無電解Pdめっき液を用い、サンプル3およびサンプル4は第2の無電解Pdめっき液を用い、サンプル5およびサンプル6は第3の無電解Pdめっき液を用いた。
【0102】
図36は、形成されためっき層の分析例を示すグラフである。分析にはSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy:二次イオン質量分析法)を用いている。図36のグラフの縦軸はSIMSによる分析時のカウント数、図36のグラフの横軸はスパッタリング深さ(すなわちめっき層の表面からの深さ)に対応する。特開2002−146548号公報などによると、Niめっき中のS(硫黄)やC(炭素)の量が多くなると接続強度が低下する可能性があることが記載されている。このため、無電解Ni−Pめっき層中のS(硫黄)の量をSIMS分析で調べた。SIMS測定の条件は、一次イオンがCs+、加速電圧が14kV、電流が25nA、ビーム径が60μm、エッチング領域が200μm□(200μm×200μm)、データ収集領域が中心70μm□(70μm×70μm)、真空度が5×10−7Paにて行った。S(硫黄)の量は、測定深さ1500nmでのNiのカウント数に対するSのカウント数の割合とした。図36のグラフに示される測定例(サンプル2、サンプル4またはサンプル6)では、Sの量(含有率)は約1%である。無電解Ni−Pめっき層中のS(硫黄)の含有量は用いる無電解Ni−Pめっき液に依存し、同じ第1の無電解Ni−Pめっき液を用いて作製したサンプル1、サンプル3およびサンプル5の無電解Ni−Pめっき層13aはほぼ同じS(硫黄)含有量(含有率)を示すが、それとは異なる第2の無電解Ni−Pめっき液を用いたサンプル2、サンプル4およびサンプル6の無電解Ni−Pめっき層13aよりもS(硫黄)含有量(含有率)が大きい。
【0103】
このような条件で配線基板2のCuのランド部4b上にめっき処理し半田ボール7を接続して作製されたサンプル1〜サンプル6(半導体装置1と同様のBGAパッケージ形態の半導体装置)に対して衝撃曲げ試験を行った結果が図35に示されている。図35の表中の○印は、半田接合部(半田ボール7と配線基板2(のランド部4b)の接合部)に破断が生じなかった場合に対応し、図35の表中の×印は、半田接合部(半田ボール7と配線基板2(のランド部4b)の接合部)に破断が生じた場合に対応する。半田接合部に破断が生じたかどうかは、例えば電気的にチェックすることができる。また、図37は、サンプル1〜サンプル6について、無電解Ni−Pめっき層13a中のS(硫黄)の含有量(図37のグラフの横軸)と、無電解Ni−Pめっき層上への無電解Pdめっき工程での無電解Ni−Pめっき層から無電解Pdめっき液中へのNiの溶出量(図37のグラフの縦軸)とをプロットしたグラフである。
【0104】
サンプル1〜サンプル6のうち、サンプル1、サンプル2およびサンプル3には、上記のような微小なボイド61(ボイド61a)が発生していたが、サンプル4、サンプル5およびサンプル6には、上記のような微小なボイド61(ボイド61a)の発生は認められなかった。微小なボイド61(ボイド61a)の有無は、例えば断面のSEM観察などにより確認することができる。
【0105】
図35の表からも分かるように、サンプル1は1500ppmの衝撃で半田接合部(配線基板2のランド部4bと半田ボール7との間の接合部)に破断が生じ、サンプル2およびサンプル3は1700ppmの衝撃で半田接合部に破断が生じているのに対して、サンプル4、サンプル5およびサンプル6は3000ppmの衝撃を印加しても半田接合部に破断が生じなかった。このように、微小なボイド61(ボイド61a)が発生しているサンプル1、サンプル2およびサンプル3は、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度が低く、微小なボイド61(ボイド61a)が発生していないサンプル4、サンプル5およびサンプル6は、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度が高い。また、図37のグラフでは、ボイド61(ボイド61a)が発生せずに衝撃曲げ試験の耐衝撃強度が高かったサンプル4、サンプル5およびサンプル6を○印で示し、ボイド61(ボイド61a)が発生して衝撃曲げ試験の耐衝撃強度が低下したサンプル1、サンプル2およびサンプル3を×印で示している。
【0106】
図35の表や図37のグラフから、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度は無電解Ni−Pめっき層13a中のS含有量にあまり依存していないが、無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Pdめっき層13bを形成する際の無電解Ni−Pめっき層13aから無電解Pdめっき液中へのNiの溶出量に大きく依存していることが分かる。図35の表や図37のグラフからも分かるように、配線基板21(配線基板2)のCuのランド部4b上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面上に無電解めっき層(ここでは無電解Pdめっき層13b)を形成する工程での、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液(ここでは無電解Pdめっき液)へのNi(ニッケル)の溶出量を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下(サンプル4、サンプル5およびサンプル6に対応)とすることで、上記のような微小なボイド61(ボイド61a)の発生を防止し、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度を向上させることができる。これにより、半導体装置1における(ランド部4bと)半田ボール7の接続強度を向上することができる。従って、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0107】
また、本実施の形態では、上記のように、銅のランド部4b上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成し、その上に無電解Pdめっき層13bをしてから、最上層に無電解Auめっき層13cを形成している。このようなめっき処理を行ったランド部の半田濡れ性を評価した結果を図38のグラフに示している。図38のグラフの横軸は、無電解めっき層を形成した後に熱処理を行ったときの熱処理温度に対応し、図38のグラフの縦軸は、メニスコグラフ法による半田濡れ性の評価におけるゼロクロスタイムに対応し、半田の濡れに要する時間にほぼ相当するものである。ゼロクロスタイムが短いほど、半田の濡れ性が良好である(半田濡れ性が高い)ことを示している。また、図38のグラフには、本実施の形態のように、銅のランド部上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成し、その上に無電解Pdめっき層13bを形成してから、最上層に無電解Auめっき層13cを形成したサンプル(図38のグラフ中ではAu/Pd/Ni−Pとして示されている)と、無電解Pdめっき層13bの形成を省略し、銅のランド部上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成し、その上に無電解Auめっき層13cを形成したサンプル(図38のグラフ中ではAu/Ni−Pとして示されている)について、半田濡れ性を調べた結果が示されている。
【0108】
図38のグラフから分かるように、銅のランド部上に形成した無電解Ni−Pめっき層13a上に直接無電解Auめっき層13cを形成する場合に比較して、本実施の形態のように、銅のランド部上に形成した無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Pdめっき層13bを形成してから、その上に無電解Auめっき層13cを形成することで、ランド部の半田の濡れ性をより向上することができる。
【0109】
また、配線基板2(配線基板21)のランド部4aに対するボンディングワイヤ5の接続強度を調べた結果を図39に示してある。本実施の形態では、配線基板21(配線基板2)の両主面21a,21bのランド部4a,4bに対して同様のめっき処理を施しているので、ワイヤボンディング用の銅のランド部4a上にも、無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cが順に形成されている。このようなめっき処理を行ったランド部4aに対するボンディングワイヤ5の接続強度を評価した結果を図39のグラフに示している。図39のグラフの横軸は、無電解めっき層を形成した後に熱処理を行ったときの熱処理時間(熱処理温度は180℃)に対応し、図39のグラフの縦軸は、ランド部に接続したボンディングワイヤの接続強度(ボンディング強度)に対応する。また、図39のグラフには、本実施の形態のように、銅のランド部上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成し、その上に無電解Pdめっき層13bを形成してから、最上層に無電解Auめっき層13cを形成したサンプル(図39のグラフ中ではAu/Pd/Ni−Pとして示されている)と、無電解Pdめっき層13bの形成を省略し、銅のランド部上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成し、その上に無電解Auめっき層13cを形成したサンプル(図39のグラフ中ではAu/Ni−Pとして示されている)について、ボンディングワイヤを接続して接続強度を測定した結果が示されている。
【0110】
図39のグラフから分かるように、本実施の形態のように、銅のランド部上に形成した無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Pdめっき層13bを形成してから、その上に無電解Auめっき層13cを形成することで、ランド部に対するワイヤボンディング性を向上し、ボンディングワイヤの接続強度をより向上することができる。
【0111】
このように、本実施の形態では、配線基板の銅膜などからなるランド部4b上に無電解めっき処理を行って、無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cを順に形成し、その後、このランド部4bに半田ボール7を接続している。
【0112】
本実施の形態とは異なり、銅膜などからなるランド部4b上にめっき層を形成せずに、直接半田ボール7を接続すると、ランド部4bの銅と半田との合金層が形成されて、ランド部4bと半田ボール7の接続強度が低下する可能性がある。それに対して、本実施の形態のように、ランド部4b上にバリア層として無電解Ni−Pめっき層13aを形成することで、ランド部4bの銅が半田ボール7の半田と反応して合金化するのを防止でき、ランド部4bと半田ボール7の接続強度を向上することができる。
【0113】
また、本実施の形態では、触媒としての安定性が高いP(リン)を無電解Niめっき液に使用し、P含有無電解Niめっき層である無電解Ni−Pめっき層13aを形成する。このため、ランド部上への無電解Ni−Pめっき層13aの成長速度を早めることができ、無電解Ni−Pめっき層13aを形成するためのめっき液の寿命を長くし、また、めっき液の安定性を高めることができる。また、めっき工程に要するコストも低減できる。
【0114】
この無電解Ni−Pめっき層13aのようなNiめっき層は酸化しやすいが、本実施の形態では、無電解Ni−Pめっき層13a上に保護膜として酸化し難い金属からなるめっき層(無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13c)を形成しているので、無電解Ni−Pめっき層13aを含むめっき層の酸化を防止することができる。
【0115】
また、本実施の形態では、配線基板21(配線基板2)の主面21aのランド部4a(ワイヤボンディング用のランド部4a)のめっき層と、配線基板21(配線基板2)の主面21bのランド部4b(半田接続用のランド部4b)のめっき層とを、同様のめっき層(無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13c)により形成しているので、ランド部4aのめっき工程とランド部4bのめっき工程とを同じめっき工程で行うことができ、配線基板21やそれを用いて製造する半導体装置の製造コストを低減できる。また、ランド部4a,4b上に比較的硬い無電解Ni−Pめっき層13aを形成しているので、ボンディングワイヤ5を配線基板21(配線基板2)の主面21aのランド部4aに接続するワイヤボンディング工程で超音波が伝導しやすくなり、ランド部4aへのボンディングワイヤ5の接続強度を高めることができる。また、ランド部4a,4bの最表面のめっき層を無電解Auめっき層13cにより形成することにより、ボンディングワイヤ5を配線基板21(配線基板2)の主面21aのランド部4aに接続したときに、ランド部4aへのボンディングワイヤ5の接続強度を高めることができる。
【0116】
また、本実施の形態では、半田接続用の端子としてのランド部(配線基板2(配線基板21)のランド部4bや実装基板31のランド部32)上にリン(P)を含有する無電解めっき層である無電解Ni−Pめっき層(無電解Ni−Pめっき層13a)を形成し、更にその無電解Ni−Pめっき層の表面に次の無電解めっき層(すなわち無電解Ni−Pめっき層上の無電解めっき層)を形成する際に、無電解Ni−Pめっき層13aから、無電解Ni−Pめっき層上の無電解めっき層を形成するための無電解めっき液中へのNiの溶出量が、5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにする。これにより、無電解Ni−Pめっき層とその上層の無電解めっき層との界面(界面近傍)にボイド(特に直径10nm以上のボイド)が生じるのを防止でき、そのようなランド部に半田接続(半田ボールの接続)を行った際のランド部と半田との界面(無電解Ni−Pめっき層とSn−Ni合金層との界面)でのボイド(特に直径10nm以上のボイド)の発生を防止し、そのランド部の半田接続の強度(半田ボールの接続強度)を向上することができる。特に、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度を向上することができる。従って、半導体装置の信頼性(半田接続または半田実装の信頼性)を向上することができる。また、半田接続用の端子を有し、半導体パッケージ(半導体装置)の製造に用いられる配線基板の信頼性(半田接続または半田実装の信頼性)を向上することができる。また、半田接続用の端子を有し、半導体パッケージ(半導体装置)を実装するために用いられる配線基板(実装基板)の信頼性(半田接続または半田実装の信頼性)を向上することができる。
【0117】
また、本実施の形態では、ランド部(配線基板2(配線基板21)のランド部4bや実装基板31のランド部32)上にリン(P)を含有する無電解めっき層である無電解Ni−Pめっき層(無電解Ni−Pめっき層13a)を形成し、更にその上に形成する無電解めっき層としては、無電解Pd(パラジウム)めっき層、無電解Au(金)めっき層、無電解Pt(白金、プラチナ)めっき層または無電解Ag(銀)めっき層などを用いることができるが、無電解Pd(パラジウム)めっき層であればより好ましい。無電解Ni−Pめっき層上に無電解Pdめっき層を形成することで、無電解Ni−Pめっき層を形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理において、無電解Ni−Pめっき層の表面での置換反応をより少なくし、また、無電解Ni−Pめっき層の局部的腐食を抑制または防止し、無電解Ni−Pめっき層とその上層の無電解めっき層との界面(界面近傍)にボイドが生じるのをより的確に防止することができる。これにより、ランド部(配線基板2(配線基板21)のランド部4bや実装基板31のランド部32)の半田接続の強度をより的確に向上することができる。
【0118】
また、本実施の形態では、配線基板21(配線基板2)、半導体装置1および実装基板31の半田接続用の端子(ランド部4b,32)の半田接続の強度、特に衝撃に対する耐久性(耐衝撃強度)を向上することができるので、例えば携帯用の電子機器などに使用する半導体装置(およびその製造に使用される配線基板)やその実装基板に本実施の形態を適用すれば、より効果が大きい。
【0119】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、例えば半田接続用の端子を有する配線基板やそれを用いた半導体装置などに適用できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、半導体装置の製造技術および配線基板の製造技術に関し、特に、半田接続用の端子を有する配線基板やそれを用いた半導体装置の半田接続の強度を向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板上に半導体チップを搭載してボンディングワイヤで接続し、半導体チップおよびボンディングワイヤを覆うように封止樹脂を形成し、配線基板の下面のランド部に半田ボールを接続することで、BGAパッケージ形態の半導体装置が製造される。配線基板の半田ボール接続用のランド部は、例えば表面にめっき処理が施された銅膜(Cuパッド)からなる。
【0003】
日本特開平10−163404号公報(特許文献1)には、BGA用入出力端子のCuパッド表面に無電解めっき法によりP含有のNiめっき層を形成後、更に無電解めっき法によりAuめっき層を形成し、このCuパッド上に半田ボールを装着する技術が記載されている。また、Cuパッド表面に無電解めっき法によりP含有のNiめっき層を形成後、更に無電解めっき法によりAuめっき層を形成し、この無電解めっき処理したCuパッドに半田ボールを接続したとき、Auめっき層のAuは半田ボール中に拡散するとともに、P含有Niも半田ボール中のSnとNi−Sn化合物を生成し、Niの移動に伴ってNiめっき層に含まれるPの表面濃度が異常に高くなり、このPの濃度が高く濃化したP濃縮層が半田ボールとCuパッドの接合強度を低下させることが記載されている。
【特許文献1】日本特開平10−163404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者の検討によれば、次のことが新たに分かった。
【0005】
表面に無電解めっき層を形成したランド部(Cuパッド)に半田ボールを接続したときの半田ボールの接続強度を検討したところ、ランド部(Cuパッド)上に形成したP含有Niめっき層と、半田ボールを接続したときに半田ボールのSnとP含有Niめっき層のNiが反応して形成されるSn−Ni合金(化合物)層との界面に発生する微小なボイドが原因で、半田ボールの接続強度が低下することが分かった。このような微小なボイドが形成されていると、ランド部の半田接続の強度が低下し、例えばBGAパッケージのような半田ボールを接続した半導体装置における半田ボールの接続強度が低下し、半導体装置の信頼性を低下させる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、半田接続の強度を向上できる技術を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、半導体装置の信頼性を向上できる技術を提供することにある。
【0008】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】
本発明は、配線基板の半田接続用の複数の端子上にリン(P)を含有する無電解ニッケル(Ni)めっき層を形成し、その上に他の無電解めっき層を形成する際の、下地のリン(P)を含有する無電解ニッケル(Ni)めっき層からめっき液中へのニッケル(Ni)の溶出量を5×10−6kg/m2以下にするものである。
【0011】
また、本発明は、半導体装置の配線基板の複数の端子に複数の半田ボールが接続され、その複数の端子は、配線基板の主面に形成された銅を主成分とする導体層と、導体層上に形成されたリン(P)を含有する無電解ニッケル(Ni)めっき層とを有し、リン(P)を含有する無電解ニッケル(Ni)めっき層と半田ボールとの間にはスズ(Sn)とニッケル(Ni)を含む合金層が形成されており、その合金層とリン(P)を含有する無電解ニッケル(Ni)めっき層との界面に10nm以上のボイドが形成されていないものである。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0013】
半田接続用の端子の半田接続の強度を向上することができる。
【0014】
また、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の側面図である。
【図2】図1の半導体装置の断面図である。
【図3】図1の半導体装置の要部断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程を示す製造プロセスフロー図である。
【図5】半導体装置の製造に用いられる配線基板の全体平面図である。
【図6】配線基板のうちの一つの基板領域およびその周辺領域の平面図である。
【図7】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図13】半導体装置を実装基板に実装した状態を示す側面図である。
【図14】図13の要部断面図である。
【図15】めっき用配線が形成された比較例の配線基板を示す全体平面図である。
【図16】めっき用配線が形成された比較例の配線基板のうちの一つの基板領域およびその周辺領域の平面図である。
【図17】めっき用配線を形成した配線基板を用いて製造された比較例の半導体装置の側面図である。
【図18】ランド部へのめっき処理を示すプロセスフロー図である。
【図19】ランド部の表面にめっき処理を施した状態でのランド部の要部断面図である。
【図20】ランド部に半田ボールを接続した後の状態でのランド部の要部断面図である。
【図21】無電解Ni−Pめっき層のリン濃縮層と合金層との界面近傍にボイドが形成された比較例を示す部分拡大断面図である。
【図22】無電解Ni−Pめっき層とその上層の無電解めっき層との界面近傍にボイドが生じた状態を模式的に示す断面図である。
【図23】ボイドの発生メカニズムの説明図である。
【図24】各種の金属の自然電極電位を示す表である。
【図25】無電解Ni−Pめっき層のリン濃縮層と合金層との界面近傍領域を示す部分拡大断面図である。
【図26】せん断強度試験の説明図である。
【図27】せん断強度試験の結果を示すグラフである。
【図28】せん断強度試験を行った各種サンプルにおけるボイドの有無を示す表である。
【図29】引張強度試験の説明図である。
【図30】引張強度試験の結果を示すグラフである。
【図31】衝撃曲げ試験の説明図である。
【図32】衝撃曲げ試験の説明図である。
【図33】衝撃曲げ試験の際に印加した衝撃の大きさの測定例を示すグラフである。
【図34】衝撃曲げ試験の結果を示す表である。
【図35】衝撃曲げ試験を行った結果を示す表である。
【図36】めっき層の分析例を示すグラフである。
【図37】無電解Ni−Pめっき層中のSの含有量と無電解Pdめっき工程での無電解Pdめっき液中へのNiの溶出量とをプロットしたグラフである。
【図38】めっき処理を行ったランド部の半田濡れ性を評価した結果を示すグラフである。
【図39】配線基板のランド部に対するボンディングワイヤの接続強度を調べた結果を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションに分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0018】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0019】
本実施の形態の半導体装置およびその製造方法を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置の側面図であり、図2はその断面図(側面断面図)、図3はその要部断面図(部分拡大断面図)である。
【0021】
本実施の形態の半導体装置1は、面実装形の半導体パッケージであり、例えばBGA(Ball Grid Array package)、MAP(Mold Array Package)、LGA(Land Grid Array Package)またはCSP(Chip Size Package)形態などの半導体装置である。
【0022】
図1〜図3に示される本実施の形態の半導体装置1は、配線基板2と、配線基板2の主面(上面)2a上に搭載された半導体チップ(半導体素子)3と、半導体チップ3の電極(ボンディングパッド)3aと配線基板2の主面2aの導電性のランド部(端子、電極、パッド、配線、導体部)4aとの間を電気的に接続するボンディングワイヤ5と、半導体チップ3およびボンディングワイヤ5を覆うように配線基板2の主面2a上に形成された封止樹脂(封止部、モールド樹脂、樹脂体)6と、配線基板2の主面(下面)2bの導電性のランド部(端子、電極、パッド、配線、導体部)4bに接続された半田ボール(ボール電極)7とを有している。なお、図3には配線基板2と半田ボール7との接続部近傍の部分拡大断面図が示されている。
【0023】
配線基板(パッケージ用配線基板、パッケージ基板)2は、図示はしないけれども、例えば、樹脂材料(例えばガラスエポキシ樹脂)、有機高分子材料またはセラミックス材料(例えばアルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3))などからなる複数の絶縁層(基材層)と複数の導体層(配線層、導体パターン層)とが積層されて一体化された多層構造を有しており、いわゆる多層基板(多層配線基板)である。配線基板2の導体層を形成する材料としては、銅などの導電性の良い材料を用いることができる。
【0024】
配線基板2の主面2a(半導体チップ3搭載側の主面2a)には、半導体チップ3の電極3aとボンディングワイヤ5を介して電気的に接続するための導電性のランド部4aが複数形成されている。配線基板2の主面2b(半田ボール7接続側の主面2b、ここでは主面2aとは逆側の主面2b)には、半田ボール7接続用の導電性のランド部4bが複数形成されている。配線基板2の主面2aのランド部4aと主面2bのランド部4bとは、配線基板2(の絶縁層)に形成された図示しないスルーホール(スルーホール内の導体)や配線基板2の絶縁層間に形成された内部配線層(図示せず)などを介して電気的に接続されている。また、配線基板2として、上記のように複数の絶縁層(基材層)と複数の導体(配線)層とが積層された多層基板を用いても、あるいは1つの絶縁層(基材層)の表面および裏面に導体層が形成された基板を用いてもよい。
【0025】
図3にも示されるように、配線基板2の主面2b上には、例えば銅膜(銅箔)などの銅を主成分とする導電体材料からなる導体層(導体膜)11が形成されており、この導体層11を覆うように、配線基板2の主面2b上に、開口部12aを有する半田レジスト層12が形成されている。半田レジスト層12の開口部12aから露出する導体層11の表面には、めっき処理が施されてめっき層13が形成されている。このめっき処理については、後でより詳細に説明する。半田レジスト層12の開口部12aから露出する導体層11およびその表面のめっき層13により、配線基板2の半田ボール7接続用のランド部4bが形成される。ランド部4bを構成する導体層(銅膜)11の膜厚は、例えば10〜40μm程度である。ランド部4bは、配線基板2の半田接続用の端子(半田ボール7を接続するための端子)であり、各ランド部4bには半田ボール7が接続されている。半田ボール7は半導体装置1の外部接続端子として機能することができる。半田ボール7は、例えばPb(鉛)フリー半田からなる。また、配線基板2の主面2a上には、配線やランド部4a形成用の導体層(導体膜、銅膜)14が、導体層11と同様の材料により形成されている。配線基板2の主面2a上の半田レジスト層12から露出する導体層14により、ワイヤボンディング用のランド部4aが形成される。ランド部4aの表面にもめっき処理が施されてめっき層が形成されている。
【0026】
半導体チップ3は、例えば、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)に種々の半導体素子または半導体集積回路などを形成した後、必要に応じて半導体基板の裏面研削を行ってから、ダイシングなどにより半導体基板を各半導体チップ3に分離したものである。半導体チップ3は、配線基板2の主面2a上に、フェースアップ(face-up)ボンディングされている。このため、半導体チップ3は、その表面(半導体素子形成側の面)が上方を向くように配線基板2の主面2a上に搭載され、半導体チップ3の裏面(半導体素子形成側の面とは逆側の面)が配線基板2に接合材(ダイボンディング材、接着材)15を介して接合(接着)されている。
【0027】
半導体チップ3の表面には、複数の電極(ボンディングパッド、パッド電極)3aが形成されている。電極3aは、半導体チップ3に形成された半導体素子または半導体集積回路に電気的に接続されている。半導体チップ3の電極3aは、それぞれボンディングワイヤ5を介して配線基板2の主面2aのランド部4aに電気的に接続されている。ボンディングワイヤ5は、例えば金(Au)線などの金属細線などからなる。
【0028】
配線基板2上に、半導体チップ3およびボンディングワイヤ5を覆うように封止樹脂6が形成されている。封止樹脂6は、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。例えば、フィラーを含むエポキシ樹脂などを用いて封止樹脂6を形成することができる。封止樹脂6により、半導体チップ3やボンディングワイヤ5が封止され、保護される。
【0029】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程について説明する。図4は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す製造プロセスフロー図である。図5は、本実施の形態の半導体装置の製造に用いられる配線基板21の全体平面図であり、図6は、配線基板21のうちの一つの基板領域21cおよびその周辺領域の平面図である。図7〜図12は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の断面図(要部断面図)である。なお、図5には、半田ボール7を接続する側の主面21b(主面2bに対応)側が示され、図6は、図5とは逆側の主面、すなわち半導体チップ3を搭載する側の主面21a(主面2aに対応)が示されている。また、図7〜図11には一つの基板領域21cに対応する断面が示され、図12には一つの基板領域21cから製造された半導体装置1が示されている。
【0030】
まず、配線基板(パッケージ用配線基板、パッケージ基板、配線基板母体)21を準備する(ステップS1)。
【0031】
配線基板21は、複数の基板領域(配線基板、単位領域、単位配線基板領域)21cが繋がって形成された多連の配線基板(多連パッケージ基板、多数個取り基板)であり、後述する配線基板21の切断工程で切断されて個々の基板領域21cに分離されるものである。分離された各基板領域21cが、上記配線基板2に対応する。各基板領域21cは同様の構成を有しており、各基板領域21cから一つの半導体装置が製造され、配線基板21は複数の基板領域21cが図5の上下左右方向に規則的に並んで配置された構造になっている。
【0032】
このような配線基板21は、上記配線基板2のように、例えば絶縁層(基材層)と導体層(配線層)とを積層して一体化した多層基板(多層配線基板)であり、種々の手法を用いて形成(製造)できる。
【0033】
配線基板21の製造法の一例をビルドアップ法を基に説明する。まず、コア材(樹脂とガラス織布の複合材料を例とするシート両面に銅箔などの導電性金属材料が貼り付けられている)の両面に配置されている導体層をエッチングなどによりパターニングし、必要に応じてスルーホールを形成する。スルーホールは、ドリルまたはレーザーを用いコア材に貫通孔を開けた後、金や銅などの導電性のよい金属材料でめっきされて形成される。更にビルドアップ材(樹脂とガラス織布や無機フィラーなどの複合材料を例とするシート片面に銅箔などの導電性金属材料が貼り付けられている)をコア材の両面に配置し、圧着することにより積層する。圧着後、ビルドアップ材に片面に配置されている導体層を各々エッチング等によりパターニングし、必要に応じてスルーホールを形成する。スルーホールの形成方法は基本的にコア材と同様である。このようにして、内部と両主面に導体層が形成された多層基板(多層配線基板)としての配線基板21を形成することができる。配線基板21は、ビルドアップ法以外にも、印刷法やシート積層法など、種々の手法を用いて製造することができ、上記製造方法には限定されない。
【0034】
更に、配線基板21の一方または両方の主面に半田レジスト層を形成する。例えば、配線基板21の主面21bに形成された導体層(図3の導体層11に対応)を覆い、半田ボール7接続予定領域の導体層(導体層11)が露出するような開口部(図3の開口部12aに対応)を有する半田レジスト層(図3の半田レジスト層12に対応)を配線基板21の主面21bに形成する。
【0035】
このようにして準備された配線基板21の半導体チップ3搭載側の主面21a(主面2aに対応)には、各基板領域21cにおいて、ボンディングワイヤ5接続用の複数のランド部4aが形成され(露出され)、主面21aとは反対側の主面であり配線基板21の半田ボール7接続側の主面21b(主面2bに対応)には、各基板領域21cにおいて、半田ボール7接続用の複数のランド部4bが形成され(露出され)並んで配置されている。配線基板21の各基板領域21cにおいて、ランド部4aとランド部4bとは、配線基板21(の絶縁層)に形成された図示しないスルーホール(スルーホール内の導体)や配線基板21の主面または内部に形成された配線層(図示せず)などを介して電気的に接続されている。
【0036】
それから、配線基板21の主面21a,21bに対してめっき処理を施す。すなわち、配線基板21の主面21a,21bで露出するランド部4a,4bは、例えば、配線基板21の主面21a,21bに設けられた銅膜(銅箔)などの銅を主成分とする導電体材料からなる導体層(導体層11,14)からなり、この銅のランド部4a,4bの表面に、めっき処理を施す(ステップS2)。本実施の形態では、このめっき処理には、無電解めっき法を用いる。この無電解めっき処理により、銅のランド部4a,4b上に、P(リン)を含有する無電解Ni(ニッケル)めっき層と、無電解Pd(パラジウム)めっき層と無電解Au(金)めっき層とが順に形成される。ステップS2のめっき処理については、後でより詳細に説明する。
【0037】
このようにして配線基板21を準備し、ランド部4a,4bの表面にめっき処理(無電解めっき処理)を施すことで、図7に示されるような本実施の形態で用いられる配線基板21が得られる。それから、図8に示されるように、配線基板21の各基板領域21cに接合材15を介して半導体チップ3を搭載する(ステップS3)。この際、半導体チップ3の裏面側が配線基板21の主面21a側となるように、フェースアップボンディングを行う。
【0038】
次に、図9に示されるように、ワイヤボンディング工程を行って、半導体チップ3と配線基板2とを電気的に接続する(ステップS4)。すなわち、半導体チップ3の表面の電極3aと配線基板21の主面21aのランド部4aとをボンディングワイヤ5を介して電気的に接続する。
【0039】
次に、図10に示されるように、モールド工程(例えばトランスファモールド工程)を行って、配線基板21上に半導体チップ3とボンディングワイヤ5とを覆うように封止樹脂6を形成する(ステップS5)。封止樹脂6の形成には、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料を用いることができ、例えば、フィラーなどを含むエポキシ樹脂などを用いて封止樹脂6を形成することができる。
【0040】
次に、図11に示されるように、配線基板21の主面21bに半田ボール7を形成(接続)する(ステップS6)。例えば、配線基板21の主面21bを上方に向けた状態で、配線基板21の主面21bに設けられたランド部4b上に半田ボールを搭載し、リフロー処理(熱処理)を行って配線基板21の主面21bのランド部4bに接続する半田ボール7を形成する。
【0041】
その後、図12に示されるように、配線基板21(または配線基板21および封止樹脂6)をダイサー(図示せず)などを用いて所定の位置(基板領域21c間のダイシングライン)で切断して個片に切り離し、各半導体装置1に分離する(ステップS7)。これにより、個片化された半導体装置1が得られる(製造される)。製造された半導体装置1は、実装基板などに実装(搭載)することができる。
【0042】
図13は、半導体装置1を実装基板(実装用基板、配線基板、外部基板、マザーボード)31に実装した状態を示す側面図であり、図14はその要部断面図(部分拡大断面図)である。図14には、半導体装置1の半田ボール7と実装基板31との接続部近傍の部分拡大断面図が示されている。
【0043】
実装基板31は、半導体パッケージ形態の半導体装置1を実装(半田実装)するための配線基板であり、半導体装置1を実装する側の主面31aに導電性のランド部(端子、電極、配線、導体部)32が、実装基板31の主面31a上の半田レジスト層33から露出するように形成されており、このランド部32に半導体装置1の半田ボール7が接続される。例えば、実装基板31の主面31aに半導体装置1を搭載し、リフロー処理(熱処理)を行うことにより、半導体装置1の半田ボール7を実装基板31のランド部32に接続することができる。
【0044】
実装基板31のランド部32は、例えば銅膜(銅箔)などの銅を主成分とする導体層(導体膜)からなり、この銅のランド部32の表面にはめっき処理が施されてめっき層34が形成されており、めっき処理されたランド部32に半導体装置1の半田ボール7が接続される。本実施の形態では、実装基板31の半田接続用の端子であるランド部32の表面のめっき処理は、配線基板21(配線基板2)の半田接続用(半田ボール7接続用)のランド部4bの表面のめっき処理(すなわちステップS2のめっき処理)と同様のめっき処理を施しておくことが好ましい。
【0045】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程における配線基板21(配線基板2)のランド部4a,4bへのめっき処理、すなわちステップS2のめっき工程についてより詳細に説明する。
【0046】
配線基板21(配線基板2)の半田接続用(半田ボール7接続用)の銅のランド部4bの表面にはめっき処理を施し、めっき処理されたランド部4bに半田ボール7が接続されるが、本実施の形態では、配線基板21(配線基板2)のランド部4a,4bへのめっき処理(すなわちステップS2のめっき工程)を無電解めっき法を用いて行う。
【0047】
本実施の形態とは異なり、電解めっき法を用いて配線基板の主面のランド部の表面にめっき処理を施す場合、電流を流すための、めっき用配線を配線基板に形成することが必要である。図15は、電解めっき法を用いてランド部4a,4bの表面にめっき処理を施すためのめっき用配線42を形成した比較例の配線基板41を示す全体平面図であり、図16は、配線基板41のうちの一つの基板領域41c(基板領域21cに対応)およびその周辺領域の平面図である。配線基板41は、めっき用配線42を形成したこと以外は上記配線基板21とほぼ同様の構成を有している。また、図15は上記図5に対応し、図16は上記図6に対応する。また、図15および図16では一部のめっき用配線42については理解を簡単にするために図示を省略している。
【0048】
半導体装置の小型化や多端子化などにより、ランド部4a,4bや半田ボール7の挟ピッチ化が進むと、配線基板41にめっき用配線42を形成するのが困難になってくる。
【0049】
図17は、めっき用配線42を形成した配線基板41を用いて製造された比較例の半導体装置43の側面図である。MAP用の配線基板41を用いて製造したBGAパッケージ形態の半導体装置43では、配線基板41の各単位領域(基板領域41c)に半導体チップ3を搭載し、全体をモールド樹脂(封止樹脂6)で封止し、ダイサーにより切断して個片の半導体装置43に分離するが、切断により個片化した半導体装置43の配線基板44(配線基板41を各基板領域41cに分離したもの)の側面にめっき用配線42の銅が露出することになる。この半導体装置43の配線基板44の側面で露出した銅(めっき用配線42)の間隔が狭いと、マイグレーションなどにより、ショート不良などが発生する可能性がある。更に、めっき用配線42がノイズを拾うことにより、半導体装置43に動作不良などが発生する可能性がある。また、めっき用配線42があると、基板状態での配線基板41の電気的な検査ができず、半導体装置43を製造した後に不良が判明して半導体装置の製造歩留りを低下させる可能性がある。
【0050】
それに対して本実施の形態では、無電解めっき法を用いて、配線基板21(配線基板2)の主面21a,21b(主面2a,2b)のランド部4a,4bの表面にめっき処理を施す。このため、配線基板21(配線基板2)にめっき用配線を形成する必要がない。これにより、ランド部4a,4bや半田ボール7の挟ピッチ化が可能となり、半導体装置の小型化や多端子化に有利となる。また、配線基板21にめっき用配線が不要なので、配線基板21を切断して半導体装置1を製造したときに、切断により個片化された半導体装置1の配線基板2の側面でめっき用配線が露出することはない。このため、配線基板の側面で露出するめっき用配線に起因するショート不良などを防止することができる。また、めっき用配線がノイズを拾うことによる動作不良などを防止することができる。また、めっき用配線がないので、基板状態で配線基板21の電気的な検査を行うことができ、良品として選別された配線基板21を用いて半導体装置1を製造することが可能となる。このため、半導体装置の製造歩留りを向上させることができる。
【0051】
図18は、本実施の形態における配線基板21(配線基板2)のランド部4a,4bへのめっき工程(すなわちステップS2のめっき工程)を示すプロセスフロー図である。図19は、半田接続用のランド部4bの表面にめっき処理を施した状態(ランド部4bに半田ボール7を接続する前の状態)でのランド部4bの要部断面図(部分拡大断面図)であり、図20は、ランド部4bに半田ボール7を接続した後の状態でのランド部4bの要部断面図(部分拡大断面図)である。図19では、ランド部4bを構成する導体層11の表層部分とその導体層11上に形成されためっき層(13a,13b,13c)が模式的に示されている。図20は、図19と同じ領域の断面図に対応し、図19のようなめっき層が表面に形成されたランド部4bに半田ボール7を接続した状態が模式的に示されている。
【0052】
半田接続用のランド部4bに対するめっき処理(ステップS2)は、次のようにして行われる。
【0053】
まず、無電解めっき法を用い、リン(P)を触媒としてニッケル(Ni)めっき処理(リン含有無電解ニッケルめっき処理)を施す(ステップS2a)。これにより、図19に示されるように、ランド部4b(すなわち半田レジスト層12の開口部12aから露出する導体層(銅膜)11)上に、リン(P)を含有する無電解ニッケルめっき層(Ni(ニッケル)とP(リン)を含有する無電解めっき層、Ni(ニッケル)とP(リン)との合金からなる無電解めっき層)である無電解Ni−Pめっき層(めっき膜、めっき皮膜)13aが形成される。無電解Ni−Pめっき層13aの膜厚は、例えば3〜15μm程度である。
【0054】
ステップS2aの無電解ニッケルめっき処理は、例えば、硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム、オキシカルボン酸、硫酸、水酸化ナトリウム、および無機硫黄化合物などを用いためっき液を用いて行うことができる。硫酸ニッケルなどのニッケル化合物と次亜リン酸ナトリウムなどのリン系還元剤を用いためっき液を用いることで、リン(P)を含有する無電解ニッケル(Ni)めっき層である無電解Ni−Pめっき層13aを形成することができる。
【0055】
次に、無電解めっき法を用いて、パラジウム(Pd)めっき処理を施す(ステップS2b)。これにより、無電解Ni−Pめっき層13a上に、無電解Pd(パラジウム)めっき層(Pd(パラジウム)からなる無電解めっき層、めっき膜、めっき皮膜)13bが形成される。無電解Pdめっき層13bの膜厚は、例えば0.1〜0.6μm程度である。
【0056】
ステップS2bの無電解パラジウムめっき処理は、例えば、パラジウム化合物、アンモニア、アミン化合物、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸およびその水溶液などを用いためっき液を用いて行うことができる。パラジウム化合物を用いためっき液を用いることで、無電解Pdめっき層13bを形成することができる。
【0057】
本実施の形態では、無電解Ni−Pめっき層13a(すなわちP含有の無電解Niめっき層)上に次の無電解めっき層を形成する工程(ここではステップS2bの無電解Pdめっき層13bを形成する工程)において、下地の無電解Ni−Pめっき層13aのNi(ニッケル)がめっき液(無電解Ni−Pめっき層13a上の無電解めっき層(ここでは無電解Pdめっき層13b)を形成するためのめっき液、ここでは無電解パラジウムめっき液)中へ溶出する量(溶出量)を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにする。この無電解Ni−Pめっき層13aからめっき液(ここでは無電解パラジウムめっき液)中へのNi(ニッケル)の溶出量は、めっき液(ここでは無電解パラジウムめっき液)中に溶け込んだNi(ニッケル)の重量を、めっき面積(ここではその上に無電解Pdめっき層13bが形成される下地の無電解Ni−Pめっき層13aの面積)で割った値に対応する。
【0058】
次に、無電解めっき法を用いて、金(Au)めっき処理を施す(ステップS2c)。これにより、無電解Pdめっき層13b上に、無電解Au(金)めっき層(Au(金)からなるめっき層、めっき膜、めっき皮膜)13cが形成される。無電解Auめっき層13cの膜厚は、例えば0.05〜1μm程度である。このステップS2cの無電解金めっき処理は、例えば、先に行う無電解フラッシュ金めっき処理と、その後の無電解還元金めっき処理とにより行うことができる。
【0059】
ステップS2cの無電解金めっき処理のうち、先に行う無電解フラッシュ金めっき処理は、例えば、シアン化金カリウムを塩とした水溶性ポリアミノポリカルボン酸、水溶性アミン、その誘導体、およびPH調整剤などを用いためっき液を用いて行うことができる。ステップS2cの無電解金めっき処理のうち、後で行う無電解還元金めっき処理は、例えば、水溶性亜硫酸金化合物、水溶性ポリアミノポリカルボン酸、その塩、水溶性アミン、その誘導体、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、ヒドラジン化合物およびベンゾトリアゾール系化合物などを用いためっき液を用いて行うことができる。
【0060】
このようにして(ステップS2a〜S2cにより)、半田接続用の端子であるランド部4b(半田レジスト層12の開口部12aから露出する導体層11)に無電解めっき処理を施して、その表面に無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cを形成する。従って、ランド部4bに半田ボール7を接続する前の状態では、配線基板21(配線基板2)の半田接続用(半田ボール7接続用)の端子(ランド部4b)は、半田レジスト層12の開口部12aから露出する導体層(銅膜)11と、その導体層11上に形成された無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cにより形成される。このようにしてめっき処理されたランド部4bに対して、半導体装置の製造工程のステップS6の半田ボール7形成工程において半田ボール7が接続されることになる。
【0061】
なお、ボンディングワイヤ5接続用の端子である配線基板21のランド部4aの表面に対しても、上記ステップS2a,S2b,S2cと同様の無電解めっき処理を施しておくことが好ましい。これにより、配線基板21の主面21aのランド部4aの表面にも、無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cと同様の無電解めっき層が形成される。配線基板21の主面21aのランド部4a(ワイヤボンディング用の端子)と配線基板21の主面21bのランド部4b(半田接続用の端子)とに対して、同様のめっき処理を施して同様のめっき層(すなわち無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13c)を形成することで、配線基板21の両主面21a,21bのランド部4a,4bに対するめっき工程を同じめっき工程で行うことができ、半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0062】
無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cを形成したランド部4bに、ステップS6で半田リフロー処理などにより半田ボール7を接続すると、図20に示されるように、無電解Auめっき層13cのAu(金)と無電解Pdめっき層13bのPd(パラジウム)とは半田ボール7の半田の中に溶け込む。そして、無電解Ni−Pめっき層13a中のNi(ニッケル)は半田ボール7の半田と反応して合金層51を形成する。この合金層51は、半田ボール7を構成する半田のSn(スズ)と無電解Ni−Pめっき層13aのNi(ニッケル)とを含む合金(化合物)からなり、例えばSn−Ni合金からなる。半田ボール7を構成する半田がCu(銅)を含有する場合は、合金層51はSn(スズ)とNi(ニッケル)とCu(銅)とを含む合金(例えばSn−Ni−Cu合金)からなる。このため、配線基板21(配線基板2)のランド部4bに半田ボール7を接続した後の状態では、半田ボール7は、合金層(Sn−Ni合金層)51および無電解Ni−Pめっき層13aを介して、導体層(銅膜)11に接続されていることになる。従って、半導体装置1に半田ボール7を接続した後の状態では、ランド部4bは、半田レジスト層12の開口部12aから露出する導体層(銅膜)11とその上に形成された無電解Ni−Pめっき層13aにより構成され、このランド部4bが合金層51を介して半田ボール7と接続された状態となる。
【0063】
無電解Ni−Pめっき層13aのうち、合金層51と無電解Ni−Pめっき層13aとの界面近傍の領域には、無電解Ni−Pめっき層13aの他の領域に比較してリン(P)の濃度(割合)が高い(Ni濃度が低い)リン濃縮層52が形成される。これは、ランド部4bに半田ボール7を接続したときに、無電解Ni−Pめっき層13aの表層部分(半田ボール7側の表層部分)のNiが半田ボール7の半田と反応して合金層51が形成され、その分、表層部分(すなわちリン濃縮層52)におけるNi含有率が低下(すなわちP含有率が上昇)して、合金層51と無電解Ni−Pめっき層13aとの界面近傍にリン濃縮層52が形成されたためである。このリン濃縮層52も、無電解Ni−Pめっき層13aと同様に無電解Ni−Pめっき層(P含有の無電解Niめっき層、NiとPとの合金)からなるが、リン濃縮層52よりも内部側(導体層11側)における無電解Ni−Pめっき層13aに比較して、リン(P)の濃度(割合)が高い。
【0064】
このように、図3に示されるランド部4b(導体層11)表面のめっき層13は、半田ボール7接続前は無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cからなり、半田ボール7接続後は無電解Ni―Pめっき層13a(およびリン濃縮層52)からなる。
【0065】
本発明者の検討によれば、このようなリン濃縮層52が存在していても、ランド部4bと半田ボール7との間の接続強度はほとんど低下しないが、無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面(すなわちリン濃縮層52と合金層51との界面)にボイドが形成されていると、ランド部4bと半田ボール7との間の接続強度が低下することが新たに分かった。
【0066】
図21は、無電解Ni−Pめっき層13a(のリン濃縮層52)と合金層51との界面(界面近傍)にボイド(微小ボイド)61が形成された比較例を示す部分拡大断面図(要部断面図)であり、無電解Ni−Pめっき層13aのリン濃縮層52と合金層51との界面近傍領域が模式的に示されている。
【0067】
図21のように、無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面(すなわちリン濃縮層52と合金層51との界面)にボイド61が形成されていると、半田ボール7とランド部4bとの間の接合面積が小さくなり、また半田ボール7とランド部4bとの界面(無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面)に割れが生じやすくなるなどして、半田ボール7の接続強度(接合強度)が低下することが分かった。特に、10nm程度以上(例えば直径数十nm程度)のボイド61が無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面(すなわちリン濃縮層52と合金層51との界面)に存在すると、半田ボール7の接続強度が低下してしまう。
【0068】
この微小なボイド61の発生原因を調べたところ、ランド部4b上に無電解めっき処理を施した際に、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層との界面の無電解Ni−Pめっき層13a側に生じたボイド(微小ボイド)61aに起因することが分かった。図22は、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層(ここでは無電解Pdめっき層13b)との界面にボイド61aが生じた比較例の状態を模式的に示す断面図であり、上記図19と同じ領域が示されている。この無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層(ここでは無電解Pdめっき層13b)との界面(界面近傍)に生じていたボイド61aが、半田ボール7をランド4bに接続した後にも残存して、無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面(界面近傍)のボイド61になる。
【0069】
図23は、ボイド61aの発生メカニズムの説明図である。図24は、各種の金属の自然電極電位を示す表(説明図)である。
【0070】
ボイド61aの生成(すなわちボイド61の生成)は、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後、その無電解Ni−Pめっき層13aの表面に対して行う無電解めっき処理の際に生じる置換反応が原因である。図23に模式的に示されるように、無電解Ni−Pめっき層13aの形成後、次に行う無電解めっき処理の際に、無電解Ni−Pめっき層13aのNi(ニッケル)が電子を放出してイオン化して無電解めっき液中に溶け出し、それ(電子)を無電解めっき液中の金属イオン(無電解Pdめっき層13bを形成する場合はPdイオン)が受け取ることによって金属化して無電解Ni−Pめっき層13aの表面に析出する。この置換反応をできるだけ少なく抑えることで、無電解Ni−Pめっき層13aの表面でのボイド61aの生成を防止することができる。
【0071】
本発明者の検討によれば、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理において、下地の無電解Ni−Pめっき層13aのNi(ニッケル)が無電解めっき液中へ溶出する量(すなわち、無電解Ni−Pめっき層13aから、無電解Ni−Pめっき層13a上の無電解めっき層を形成するための無電解めっき液中への、Ni(ニッケル)の溶出量)を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにすれば、上記置換反応を抑制し、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層との界面(界面近傍)にボイド61aが生じるのを防止できることが分かった。特に、10nm程度以上(例えば直径数十nm程度)のボイド61aが無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層との界面(界面近傍)に生成されるのを防止することができる。無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液中へのNiの溶出量は、無電解めっき液中に溶け込んだNi(ニッケル)の重量をめっき面積(めっき処理する無電解Ni−Pめっき層13aの面積)で割った値に対応する。無電解めっき液中に溶け込んだNi(ニッケル)の重量は、例えば原子吸光光度計などにより測定することができる。
【0072】
無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理において、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液中へのNi(ニッケル)の溶出量は、例えばその無電解めっき液への添加剤などを調整することにより、制御することができる。
【0073】
また、図24に示されるように、Pd(パラジウム)はAu(金)に比較してNiとの電位ギャップが小さい。すなわち、Ni膜上にAu膜を形成した場合の電位ギャップは1.65eVとなるが、Ni膜上にPd膜を形成した場合の電位ギャップは1.08eVとなる。このため、無電解Pdめっき層13bの形成を省略して無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Auめっき層13cを形成した場合に比較して、無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Pdめっき層13bを形成した方が、上記のような置換反応(無電解Ni−Pめっき層13a表面での置換反応)を少なくすることができる。また、無電解Ni−Pめっき層13aの局部的腐食を抑制または防止することができる。従って、本実施の形態のように、無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Pdめっき層13bを形成し、その上に無電解Auめっき層13cを形成することで、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理において、無電解Ni−Pめっき層13aの表面での置換反応をより少なくし、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層との界面にボイド61aが生じるのをより的確に防止することができる。
【0074】
図25は、本実施の形態における無電解Ni−Pめっき層13aのリン濃縮層52と合金層51との界面近傍領域を示す部分拡大断面図(要部断面図)であり、上記図21に対応する。
【0075】
本実施の形態では、半導体装置1製造用の配線基板21(配線基板2)のランド部4bへのめっき工程において、無電解Ni−Pめっき層13a上に次の無電解めっき層を形成する際の無電解Ni−Pめっき層13a表面の置換反応を抑制して無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層(ここでは無電解Pdめっき層13b)との界面(界面近傍)にボイド61aが生じるのを防止し、それによって、ランド部4bに半田ボール7を接続したときに、無電解Ni−Pめっき層13a(のリン濃縮層52)と合金層51との界面(界面近傍)にボイド61が形成されるのを防止する。このため、本実施の形態の半導体装置1では、図25に示されるように、無電解Ni−Pめっき層13a(のリン濃縮層52)と合金層51との界面(界面近傍)にボイドが形成されておらず、特に、10nm程度以上のボイドが無電解Ni−Pめっき層13a(のリン濃縮層52)と合金層51との界面(界面近傍)に存在しない。従って、半田ボール7とランド部4bとの間の接合面積を増大し、また半田ボール7とランド部4bとの界面(無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面)に割れが生じるのを防止でき、配線基板2(配線基板21)のランド部4bと半田ボール7との間の接続強度を向上することができる。従って、半導体装置1の配線基板2の半田接続用の端子(ランド部4b)の半田接続の強度を向上することができる。また、半導体装置1の信頼性を向上することができる。また、半導体パッケージ(半導体装置1)製造用の配線基板21の信頼性(半田接続の信頼性)を向上することができる。
【0076】
また、他の形態として、無電解Pdめっき層13bの形成を省略し、無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Auめっき層13cを形成することもできる。この場合も、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理(この場合は無電解Auめっき処理)において、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液(この場合は無電解Auめっき液)へのNi(ニッケル)の溶出量を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにする。これにより、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層(この場合は無電解Auめっき層13c)との界面(界面近傍)にボイド61aが生じるのを防止でき、そのようなランド部に半田ボール7を接続した際のボイド61の発生を防止し、半田ボール7の接続強度を向上することができる。従って、半導体装置1の配線基板2の半田接続用の端子(ランド部4b)の半田接続の強度を向上することができる。
【0077】
また、無電解Pdめっき層13bや無電解Auめっき層13c以外にも、無電解Pt(白金、プラチナ)めっき層または無電解Ag(銀)めっき層を無電解Ni−Pめっき層13a上に形成する場合にも本実施の形態を適用することができる。この場合も、銅のランド部4b上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後、その表面に対して行う無電解めっき処理(この場合は無電解Ptめっき処理または無電解Agめっき処理)において、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液(この場合は無電解Ptめっき液または無電解Agめっき液)へのNi(ニッケル)の溶出量を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにする。これにより、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層(この場合は無電解Ptめっき層または無電解Agめっき層)との界面(界面近傍)にボイド61aが生じるのを防止でき、そのようなランド部に半田ボール7を接続した際のボイド61の発生を防止し、半田ボール7の接続強度を向上することができる。従って、半導体装置1の配線基板2の半田接続用の端子(ランド部4b)の半田接続の強度を向上することができる。
【0078】
また、図13および図14に示されるような半導体装置1を実装する実装基板31のランド部32は、例えば銅膜(銅箔)などの銅を主成分とする導電体材料からなる導体層からなり、この銅のランド部32の表面にはめっき処理が施され、めっき処理されたランド部32に半導体装置1の半田ボール7が接続される。この実装基板31の半田接続用のランド部32の表面のめっき処理は、配線基板21の半田接続用のランド部4bの表面のめっき処理(ステップS2a〜S2cのめっき処理)と同様のめっき処理を施しておけば、より好ましい。
【0079】
すなわち、半導体装置1の実装用の配線基板である実装基板31は、次のようにして製造または準備される。まず、実装基板31の主面で露出する銅のランド部32を有する実装基板31を準備し、そのランド部32の表面にP(リン)を含有する無電解Niめっき層である無電解Ni−Pめっき層(無電解Ni−Pめっき層13aに対応)を形成し、更にその表面に対して他の無電解めっき層を形成するが、この無電解Ni−Pめっき層の表面に対して行う無電解めっき処理(例えば無電解Pdめっき、無電解Auめっき、無電解Ptめっきまたは無電解Agめっき処理、より好ましくは無電解Pdめっき処理)において、無電解Ni−Pめっき層から無電解めっき液へのNi(ニッケル)の溶出量を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにする。このようにしてランド部32の表面上に無電解Ni−Pめっき層およびその上層の他の無電解めっき層(例えば無電解Pdめっき層)を形成することで、無電解Ni−Pめっき層とその上層の無電解めっき層(例えば無電解Pdめっき層)との界面(界面近傍)に微小なボイド(ボイド61aと同様のボイド)が生じるのを防止できる。必要に応じて更に上層に無電解めっき層(例えば無電解Auめっき層)を形成して、表面にめっき層が形成されたランド部32を有する実装基板31が製造される。このように、ランド部32表面のめっき層34は、半導体装置1を実装する前(半田ボール7接続前)は、下から順に無電解Ni−Pめっき層、無電解Pdめっき層および無電解Auめっき層により形成することができる。このようにして製造された実装基板31のランド部32に半田リフロー処理により半導体装置1の半田ボール7を接続して、図13および図14に示されるように実装基板31に半導体装置1を実装することができる。
【0080】
このようにして製造された実装基板31に半導体装置1を実装すると、ランド部32表面の無電解Ni−Pめっき層と半田ボール7との界面には上記合金層51のようなSnとNiとを含有する合金層が形成されるが、この合金層とランド部32上の無電解Ni−Pめっき層(のリン濃縮層)との界面(界面近傍)には微小なボイド(ボイド61と同様のボイド)は形成されない。これにより、半導体装置1の半田ボール7と実装基板31のランド部32との間の接続強度を向上することができ、半導体パッケージ(半導体装置1)を半田実装する実装基板31の半田接続の強度を向上することができる。また、半導体パッケージ(半導体装置1)実装用の実装基板31の信頼性を向上することができる。また、実装基板31において、半導体装置1実装用(半田ボール7接続用)のランド部32だけでなく、他の電子部品を半田実装するための端子(ランド部)についても、上記ランド部32表面のめっき処理と同様のめっき処理を同じめっき工程で施しておけばより好ましく、これにより、半導体装置1および他の電子部品と実装基板31との接合部(半田接合部)の接続強度を向上することができる。
【0081】
また、上記のようにしてめっき処理したランド部(ランド部4bやランド部32)に接続する半田(ここでは半田ボール7)が、鉛(Pb)を含有しない半田であるPb(鉛)フリー半田からなる場合に、本実施の形態を適用すれば、特に有効である。Pbフリー半田としては、例えばSn−Ag−Cu系のPbフリー半田などを用いることができる。Pbフリー半田は、Pb含有半田に比較して硬い。このため、比較的やわらかいPb含有半田で半田ボール7を形成した場合に比べて、Pbフリー半田で半田ボール7を形成した場合は、ランド部(ランド部4bやランド部32)と半田ボール7の接合部(接続部)に応力が印加されやすい(応力が緩和されにくい)。このため、Pbフリー半田で半田ボール7を形成した場合は、半田ボール7とランド部との間の接続強度を高めることが重要となる。このため、半田接続用のランド部(ランド部4bやランド部32)に本実施の形態のようなめっき処理を施してからそこに半田ボール7を接続することで、上記のようなボイド61の発生を防止して半田ボール7の接続強度を向上でき、たとえランド部の半田接続に使用する半田の材料(半田ボール7の材料)としてPbフリー半田を用いた場合でも、半田ボール7への応力印加などによる不具合(例えば半田ボール7接続部の破断など)を防止することができる。
【0082】
次に、本実施の形態(ステップS2a〜S2c)のようにして配線基板21(配線基板2)のランド部4bへめっき処理し、そこに半田ボール7を接続した場合の半田ボール7の接続強度の向上効果についてより詳細に説明する。
【0083】
図26は、せん断強度試験の説明図であり、図27は、各種サンプルのせん断強度試験の結果を示すグラフであり、図28は、せん断強度試験を行った各種サンプルにおけるボイド61(ボイド61a)の有無を示す表(説明図)である。図27のグラフの縦軸はせん断強度に対応する。サンプルA、サンプルBおよびサンプルCは、いずれも半導体装置1と同様のBGAパッケージ形態の半導体装置であるが、図28に示されるように、サンプルAは、本実施の形態とは異なり、上記図21に示される比較例のように、無電解Ni−Pめっき層13a(のリン濃縮層52)と合金層51との界面(界面近傍)に微小なボイド61が生じているサンプルであり、サンプルBは、本実施の形態とは異なり、上記図21に示される比較例のように微小なボイド61が発生しているが、サンプルAよりもボイド61が少ないサンプルであり、サンプルCは、本実施の形態のように、微小なボイド61が生じていないサンプル(すなわち本実施の形態の半導体装置1に対応)である。
【0084】
サンプルCは、上記のように、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理(ここでは無電解Pdめっき処理)において、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液(ここでは無電解Pdめっき液)へのNi(ニッケル)の溶出量を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにすることで、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解Pdめっき層13bとの界面にボイド61aが生じるのを防止し、それによって半田ボール7をランド4bに接続した後に無電解Ni−Pめっき層13aと合金層(Sn−Ni合金層)51との界面に微小なボイド61が生じるのを防止している。
【0085】
サンプルAおよびサンプルBは、本実施の形態とは異なり、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理(ここでは無電解Pdめっき処理)において、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液(ここでは無電解Pdめっき液)へのNi(ニッケル)の溶出量が5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)を超えたものである。このため、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解Pdめっき層13bとの界面にボイド61aが生じ、それによって半田ボール7をランド4bに接続した後に無電解Ni−Pめっき層13aと合金層(Sn−Ni合金層)51との界面に微小なボイド61が生じている。微小なボイド61の有無は、例えば断面のSEM(Scanning Electron Microscope)観察などにより確認することができる。サンプルA、サンプルBおよびサンプルCは、ランド部上へのめっき工程以外は、ほぼ同様にして作製される。
【0086】
せん断強度試験では、図26に示されるように、サンプルA、サンプルBおよびサンプルCのそれぞれの配線基板2の主面2bに平行な方向にツール71を移動させ、配線基板2のランド部4bに接続した半田ボール7に対してツール71でせん断力を作用させ、どの程度のせん断力によって半田ボール7が欠落したかを調べた。せん断速度(ツール71の移動速度)は250μm/s、ツール高さH1は10μmにてせん断強度試験の評価を行った。
【0087】
図27のグラフからも分かるように、サンプルA、サンプルBおよびサンプルCについても、せん断強度の差は、ほとんどみられなかった。
【0088】
図29は、引張強度試験の説明図であり、図30は、各種サンプルの引張強度試験の結果を示すグラフである。図30のグラフの縦軸は引張強度に対応する。サンプルA、サンプルBおよびサンプルCのそれぞれは、上記せん断強度試験を行ったサンプルと同種のサンプルである。
【0089】
引張強度試験では、図29に示されるように、サンプルA、サンプルBおよびサンプルCのそれぞれの配線基板2のランド部4bに接続した半田ボール7に対してツール72を吸着させ、配線基板2の主面2bとは垂直方向(上方向)にツール72を移動して半田ボール7に引張力を作用させ、どの程度の引張力によって半田ボール7が欠落するかを調べた。引張速度は250μm/sで引張強度試験の評価を行った。
【0090】
図30のグラフに示されるように、サンプルBおよびサンプルCに比較して、ボイド61が多いサンプルAの引張強度が低いことが分かる。それに対して、ボイド61が少ないサンプルBとボイド61が生じていないサンプルCについては、引張強度の有意差はほとんど見られなかった。
【0091】
図31および図32は、衝撃曲げ試験の説明図であり、図33は、衝撃曲げ試験の際に印加した衝撃の大きさの測定例を示すグラフであり、図34は、各種サンプルの衝撃曲げ試験の結果を示す表(説明図)である。サンプルA、サンプルBおよびサンプルCのそれぞれは、上記せん断強度試験および引張強度試験を行ったサンプルと同種のサンプルである。
【0092】
衝撃曲げ試験は、図31に示されるように、サンプルA、サンプルBまたはサンプルCに対応する半導体装置(BGA形態の半導体装置)75を半田ボール7を介して実装基板76に接続し(例えば上記図13のような状態にし)、実装基板76の裏面(半導体装置75を実装した主面とは逆側の主面)を上方に向けて配置し、実装基板76の裏面にロッド77を落下させて実装基板76の裏面側から半田接合部(半田ボール7接合部)に衝撃を印加するものである。印加した衝撃の大きさは、図32の平面図に模式的に示されるように、半導体装置75の角部近傍の実装基板76上に貼り付けた歪みゲージ78にてモニタすることができる。なお、衝撃曲げ試験は、図31のスパンL2を90mmとして行った。
【0093】
図33は、衝撃曲げ試験の際に印加した衝撃の大きさの測定例を示すグラフであり、図33のグラフの縦軸は、歪みゲージ78に発生した歪みに対応し、図33のグラフの横軸は、衝撃を印加してからの時間に対応する。図33の例では、約0.002秒で2000ppm程度の歪みが実装基板76に発生している。ロッド77を落下させる高さH2などを変えることで、印加される衝撃の大きさ(図33のグラフのピーク値に対応)を変えることができる。
【0094】
図34の表には、各種サンプルA、サンプルBおよびサンプルCに対して、衝撃曲げ試験を行い、印加する衝撃の大きさを徐々に増加させていき、どの程度の衝撃を印加したときに半田接合部に破断が生じるかを調べた結果が示されている。図34の表中の○印は、半田接合部(半田ボール7と配線基板2(のランド部4b)の接合部)に破断が生じなかった場合に対応し、図34の表中の×印は、半田接合部(半田ボール7と配線基板2(のランド部4b)の接合部)に破断が生じた場合に対応する。半田接合部に破断が生じたかどうかは、例えば電気的にチェックすることができる。
【0095】
図34に示されるように、サンプルAは1250ppmの衝撃を印加した段階で半田接合部(半田ボール7と配線基板2の接合部)に破断が生じ、サンプルBは1750ppmの衝撃を印加した段階で半田接合部(半田ボール7と配線基板2の接合部)に破断が生じているのに対して、サンプルCは3500ppmの衝撃までは半田接合部に破断は生じず、4000ppmの衝撃を印加した段階で半田接合部(半田ボール7と配線基板2の接合部)に破断が生じている。
【0096】
このように、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度は、微小なボイド61の存在の有無に大きく依存し、微小ボイド61が存在するサンプルAおよびサンプルBに比較して、微小ボイド61の存在しないサンプルC(すなわち本実施の形態の半導体装置1)は、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度を高くする(向上させる)ことができる。このため、無電解Ni−Pめっき層13aと合金層51との界面(すなわちリン濃縮層52と合金層51との界面)において微小なボイド61(特に直径10nm程度以上のボイド)が存在しないようにすることで、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度を向上させることができ、半導体装置1における半田ボール7の接続強度を向上することができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0097】
また、配線基板21(配線基板2)のランド部4bのめっき工程で発生し得るボイド61aを防止することが、半田ボール7をランド4bに接続した後に無電解Ni−Pめっき層13aと合金層(Sn−Ni合金層)51との界面での微小なボイド61をなくし、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度を向上させるために重要である。すなわち、銅のランド部4b(すなわち銅膜11)上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理(ここではステップS2bの無電解Pdめっき層13bの形成工程)において、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液中へのNi(ニッケル)の溶出量を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにすることで、無電解Ni−Pめっき層13aとその上層の無電解めっき層(ここでは無電解Pdめっき層13b)との界面にボイド61aが生じるのを防止し、それによって半田ボール7をランド4bに接続した後に無電解Ni−Pめっき層13a(のリン濃縮層52)と合金層(Sn−Ni合金層)51との界面に微小なボイド61が生じるのを防止できる。これにより、図34に示されるように、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度を向上させることができ、半導体装置1における半田ボール7の接続強度を向上することができる。従って、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0098】
本実施の形態(ステップS2a〜S2c)のようにして配線基板21(配線基板2)のランド部4bへ無電解めっき処理を行い、そこに半田ボール7を接続した場合の、ステップS2bの無電解Pdめっき工程での無電解Ni−Pめっき層13aから無電解Pdめっき液中へのNiの溶出量と、ボイド61(ボイド61a)の発生の有無と、半田ボール7の接続強度との関係について、更に次のような実験を行って調べた。
【0099】
BGAパッケージ形態の半導体装置用の配線基板21(配線基板2)のCuのランド部4b上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成し、その上に無電解Pdめっき層13bを形成し、更にその上に無電解フラッシュAuめっき皮膜および無電解還元Auめっき皮膜からなる無電解Auめっき層13cを形成して各種サンプル(半導体装置1と同様のBGAパッケージ形態の半導体装置)を作製し、衝撃曲げ試験を行った結果を図35に示している。サンプル1〜サンプル6では、ステップS2aで用いた無電解Ni−Pめっき液(無電解Ni−Pめっき層13a形成用のめっき液)とステップS2bで用いた無電解Pdめっき液(無電解Pdめっき層13b形成用のめっき液)との組合せを変えてある。各種サンプル(サンプル1〜サンプル6)において、無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面上に無電解Pdめっき層13bを形成する無電解めっき工程での、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解Pdめっき液中へのNi(ニッケル)の溶出量が、図35の表中に記載されている。
【0100】
この無電解Pdめっき液中へのNiの溶出量は、例えば次のようにして測定することができる。サンプル1〜サンプル6を作製する際に用いたものと同じめっき液を100ml採取し、3cm×3cm(3cm四方)のCu板(銅板)に無電解Ni−Pめっきを施した後に、無電解Pdめっきを行い、更に無電解Auめっきを行った。この際の各無電解めっきの条件は、サンプル1〜サンプル6の銅のランド部4bに対する各無電解めっき処理の条件とほぼ同じである。めっき面積は3cm×3cm×2=18cm2であり、無電解Pdめっき液に溶け込んだNiの量は原子吸光光度計により測定し、Niの溶出量は無電解Pdめっき液中に溶け込んだNiの重量をめっき面積で割った値とした。
【0101】
無電解Ni−Pめっきとしては、硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム、オキシカルボン酸、硫酸、水酸化ナトリウム、および無機硫黄化合物などを用いた2種類のめっき液(第1および第2の無電解Ni−Pめっき液)を用いた。無電解Pdめっきとしては、パラジウム化合物、アンモニア、アミン化合物、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸、およびその水溶液などを用いた3種類のめっき液(第1、第2および第3の無電解Pdめっき液)を用いた。無電解フラッシュ金めっきとして、シアン化金カリウムを塩とした水溶性ポリアミノポリカルボン酸、水溶性アミン、その誘導体、およびPH調整剤などを用いためっき液を用いた。無電解還元金めっきとしては、水溶性亜硫酸金化合物、水溶性ポリアミノポリカルボン酸、その塩、水溶性アミン、その誘導体、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、ヒドラジン化合物、およびベンゾトリアゾール系化合物などを用いためっき液を用いた。サンプル1、サンプル3およびサンプル5は第1の無電解Ni−Pめっき液を用い、サンプル2、サンプル4およびサンプル6は第2の無電解Ni−Pめっき液を用いた。また、サンプル1およびサンプル2は第1の無電解Pdめっき液を用い、サンプル3およびサンプル4は第2の無電解Pdめっき液を用い、サンプル5およびサンプル6は第3の無電解Pdめっき液を用いた。
【0102】
図36は、形成されためっき層の分析例を示すグラフである。分析にはSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy:二次イオン質量分析法)を用いている。図36のグラフの縦軸はSIMSによる分析時のカウント数、図36のグラフの横軸はスパッタリング深さ(すなわちめっき層の表面からの深さ)に対応する。特開2002−146548号公報などによると、Niめっき中のS(硫黄)やC(炭素)の量が多くなると接続強度が低下する可能性があることが記載されている。このため、無電解Ni−Pめっき層中のS(硫黄)の量をSIMS分析で調べた。SIMS測定の条件は、一次イオンがCs+、加速電圧が14kV、電流が25nA、ビーム径が60μm、エッチング領域が200μm□(200μm×200μm)、データ収集領域が中心70μm□(70μm×70μm)、真空度が5×10−7Paにて行った。S(硫黄)の量は、測定深さ1500nmでのNiのカウント数に対するSのカウント数の割合とした。図36のグラフに示される測定例(サンプル2、サンプル4またはサンプル6)では、Sの量(含有率)は約1%である。無電解Ni−Pめっき層中のS(硫黄)の含有量は用いる無電解Ni−Pめっき液に依存し、同じ第1の無電解Ni−Pめっき液を用いて作製したサンプル1、サンプル3およびサンプル5の無電解Ni−Pめっき層13aはほぼ同じS(硫黄)含有量(含有率)を示すが、それとは異なる第2の無電解Ni−Pめっき液を用いたサンプル2、サンプル4およびサンプル6の無電解Ni−Pめっき層13aよりもS(硫黄)含有量(含有率)が大きい。
【0103】
このような条件で配線基板2のCuのランド部4b上にめっき処理し半田ボール7を接続して作製されたサンプル1〜サンプル6(半導体装置1と同様のBGAパッケージ形態の半導体装置)に対して衝撃曲げ試験を行った結果が図35に示されている。図35の表中の○印は、半田接合部(半田ボール7と配線基板2(のランド部4b)の接合部)に破断が生じなかった場合に対応し、図35の表中の×印は、半田接合部(半田ボール7と配線基板2(のランド部4b)の接合部)に破断が生じた場合に対応する。半田接合部に破断が生じたかどうかは、例えば電気的にチェックすることができる。また、図37は、サンプル1〜サンプル6について、無電解Ni−Pめっき層13a中のS(硫黄)の含有量(図37のグラフの横軸)と、無電解Ni−Pめっき層上への無電解Pdめっき工程での無電解Ni−Pめっき層から無電解Pdめっき液中へのNiの溶出量(図37のグラフの縦軸)とをプロットしたグラフである。
【0104】
サンプル1〜サンプル6のうち、サンプル1、サンプル2およびサンプル3には、上記のような微小なボイド61(ボイド61a)が発生していたが、サンプル4、サンプル5およびサンプル6には、上記のような微小なボイド61(ボイド61a)の発生は認められなかった。微小なボイド61(ボイド61a)の有無は、例えば断面のSEM観察などにより確認することができる。
【0105】
図35の表からも分かるように、サンプル1は1500ppmの衝撃で半田接合部(配線基板2のランド部4bと半田ボール7との間の接合部)に破断が生じ、サンプル2およびサンプル3は1700ppmの衝撃で半田接合部に破断が生じているのに対して、サンプル4、サンプル5およびサンプル6は3000ppmの衝撃を印加しても半田接合部に破断が生じなかった。このように、微小なボイド61(ボイド61a)が発生しているサンプル1、サンプル2およびサンプル3は、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度が低く、微小なボイド61(ボイド61a)が発生していないサンプル4、サンプル5およびサンプル6は、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度が高い。また、図37のグラフでは、ボイド61(ボイド61a)が発生せずに衝撃曲げ試験の耐衝撃強度が高かったサンプル4、サンプル5およびサンプル6を○印で示し、ボイド61(ボイド61a)が発生して衝撃曲げ試験の耐衝撃強度が低下したサンプル1、サンプル2およびサンプル3を×印で示している。
【0106】
図35の表や図37のグラフから、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度は無電解Ni−Pめっき層13a中のS含有量にあまり依存していないが、無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Pdめっき層13bを形成する際の無電解Ni−Pめっき層13aから無電解Pdめっき液中へのNiの溶出量に大きく依存していることが分かる。図35の表や図37のグラフからも分かるように、配線基板21(配線基板2)のCuのランド部4b上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成した後にその表面上に無電解めっき層(ここでは無電解Pdめっき層13b)を形成する工程での、無電解Ni−Pめっき層13aから無電解めっき液(ここでは無電解Pdめっき液)へのNi(ニッケル)の溶出量を5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下(サンプル4、サンプル5およびサンプル6に対応)とすることで、上記のような微小なボイド61(ボイド61a)の発生を防止し、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度を向上させることができる。これにより、半導体装置1における(ランド部4bと)半田ボール7の接続強度を向上することができる。従って、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0107】
また、本実施の形態では、上記のように、銅のランド部4b上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成し、その上に無電解Pdめっき層13bをしてから、最上層に無電解Auめっき層13cを形成している。このようなめっき処理を行ったランド部の半田濡れ性を評価した結果を図38のグラフに示している。図38のグラフの横軸は、無電解めっき層を形成した後に熱処理を行ったときの熱処理温度に対応し、図38のグラフの縦軸は、メニスコグラフ法による半田濡れ性の評価におけるゼロクロスタイムに対応し、半田の濡れに要する時間にほぼ相当するものである。ゼロクロスタイムが短いほど、半田の濡れ性が良好である(半田濡れ性が高い)ことを示している。また、図38のグラフには、本実施の形態のように、銅のランド部上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成し、その上に無電解Pdめっき層13bを形成してから、最上層に無電解Auめっき層13cを形成したサンプル(図38のグラフ中ではAu/Pd/Ni−Pとして示されている)と、無電解Pdめっき層13bの形成を省略し、銅のランド部上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成し、その上に無電解Auめっき層13cを形成したサンプル(図38のグラフ中ではAu/Ni−Pとして示されている)について、半田濡れ性を調べた結果が示されている。
【0108】
図38のグラフから分かるように、銅のランド部上に形成した無電解Ni−Pめっき層13a上に直接無電解Auめっき層13cを形成する場合に比較して、本実施の形態のように、銅のランド部上に形成した無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Pdめっき層13bを形成してから、その上に無電解Auめっき層13cを形成することで、ランド部の半田の濡れ性をより向上することができる。
【0109】
また、配線基板2(配線基板21)のランド部4aに対するボンディングワイヤ5の接続強度を調べた結果を図39に示してある。本実施の形態では、配線基板21(配線基板2)の両主面21a,21bのランド部4a,4bに対して同様のめっき処理を施しているので、ワイヤボンディング用の銅のランド部4a上にも、無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cが順に形成されている。このようなめっき処理を行ったランド部4aに対するボンディングワイヤ5の接続強度を評価した結果を図39のグラフに示している。図39のグラフの横軸は、無電解めっき層を形成した後に熱処理を行ったときの熱処理時間(熱処理温度は180℃)に対応し、図39のグラフの縦軸は、ランド部に接続したボンディングワイヤの接続強度(ボンディング強度)に対応する。また、図39のグラフには、本実施の形態のように、銅のランド部上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成し、その上に無電解Pdめっき層13bを形成してから、最上層に無電解Auめっき層13cを形成したサンプル(図39のグラフ中ではAu/Pd/Ni−Pとして示されている)と、無電解Pdめっき層13bの形成を省略し、銅のランド部上に無電解Ni−Pめっき層13aを形成し、その上に無電解Auめっき層13cを形成したサンプル(図39のグラフ中ではAu/Ni−Pとして示されている)について、ボンディングワイヤを接続して接続強度を測定した結果が示されている。
【0110】
図39のグラフから分かるように、本実施の形態のように、銅のランド部上に形成した無電解Ni−Pめっき層13a上に無電解Pdめっき層13bを形成してから、その上に無電解Auめっき層13cを形成することで、ランド部に対するワイヤボンディング性を向上し、ボンディングワイヤの接続強度をより向上することができる。
【0111】
このように、本実施の形態では、配線基板の銅膜などからなるランド部4b上に無電解めっき処理を行って、無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13cを順に形成し、その後、このランド部4bに半田ボール7を接続している。
【0112】
本実施の形態とは異なり、銅膜などからなるランド部4b上にめっき層を形成せずに、直接半田ボール7を接続すると、ランド部4bの銅と半田との合金層が形成されて、ランド部4bと半田ボール7の接続強度が低下する可能性がある。それに対して、本実施の形態のように、ランド部4b上にバリア層として無電解Ni−Pめっき層13aを形成することで、ランド部4bの銅が半田ボール7の半田と反応して合金化するのを防止でき、ランド部4bと半田ボール7の接続強度を向上することができる。
【0113】
また、本実施の形態では、触媒としての安定性が高いP(リン)を無電解Niめっき液に使用し、P含有無電解Niめっき層である無電解Ni−Pめっき層13aを形成する。このため、ランド部上への無電解Ni−Pめっき層13aの成長速度を早めることができ、無電解Ni−Pめっき層13aを形成するためのめっき液の寿命を長くし、また、めっき液の安定性を高めることができる。また、めっき工程に要するコストも低減できる。
【0114】
この無電解Ni−Pめっき層13aのようなNiめっき層は酸化しやすいが、本実施の形態では、無電解Ni−Pめっき層13a上に保護膜として酸化し難い金属からなるめっき層(無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13c)を形成しているので、無電解Ni−Pめっき層13aを含むめっき層の酸化を防止することができる。
【0115】
また、本実施の形態では、配線基板21(配線基板2)の主面21aのランド部4a(ワイヤボンディング用のランド部4a)のめっき層と、配線基板21(配線基板2)の主面21bのランド部4b(半田接続用のランド部4b)のめっき層とを、同様のめっき層(無電解Ni−Pめっき層13a、無電解Pdめっき層13bおよび無電解Auめっき層13c)により形成しているので、ランド部4aのめっき工程とランド部4bのめっき工程とを同じめっき工程で行うことができ、配線基板21やそれを用いて製造する半導体装置の製造コストを低減できる。また、ランド部4a,4b上に比較的硬い無電解Ni−Pめっき層13aを形成しているので、ボンディングワイヤ5を配線基板21(配線基板2)の主面21aのランド部4aに接続するワイヤボンディング工程で超音波が伝導しやすくなり、ランド部4aへのボンディングワイヤ5の接続強度を高めることができる。また、ランド部4a,4bの最表面のめっき層を無電解Auめっき層13cにより形成することにより、ボンディングワイヤ5を配線基板21(配線基板2)の主面21aのランド部4aに接続したときに、ランド部4aへのボンディングワイヤ5の接続強度を高めることができる。
【0116】
また、本実施の形態では、半田接続用の端子としてのランド部(配線基板2(配線基板21)のランド部4bや実装基板31のランド部32)上にリン(P)を含有する無電解めっき層である無電解Ni−Pめっき層(無電解Ni−Pめっき層13a)を形成し、更にその無電解Ni−Pめっき層の表面に次の無電解めっき層(すなわち無電解Ni−Pめっき層上の無電解めっき層)を形成する際に、無電解Ni−Pめっき層13aから、無電解Ni−Pめっき層上の無電解めっき層を形成するための無電解めっき液中へのNiの溶出量が、5×10−6kg/m2(すなわち5μg/m2)以下になるようにする。これにより、無電解Ni−Pめっき層とその上層の無電解めっき層との界面(界面近傍)にボイド(特に直径10nm以上のボイド)が生じるのを防止でき、そのようなランド部に半田接続(半田ボールの接続)を行った際のランド部と半田との界面(無電解Ni−Pめっき層とSn−Ni合金層との界面)でのボイド(特に直径10nm以上のボイド)の発生を防止し、そのランド部の半田接続の強度(半田ボールの接続強度)を向上することができる。特に、衝撃曲げ試験の耐衝撃強度を向上することができる。従って、半導体装置の信頼性(半田接続または半田実装の信頼性)を向上することができる。また、半田接続用の端子を有し、半導体パッケージ(半導体装置)の製造に用いられる配線基板の信頼性(半田接続または半田実装の信頼性)を向上することができる。また、半田接続用の端子を有し、半導体パッケージ(半導体装置)を実装するために用いられる配線基板(実装基板)の信頼性(半田接続または半田実装の信頼性)を向上することができる。
【0117】
また、本実施の形態では、ランド部(配線基板2(配線基板21)のランド部4bや実装基板31のランド部32)上にリン(P)を含有する無電解めっき層である無電解Ni−Pめっき層(無電解Ni−Pめっき層13a)を形成し、更にその上に形成する無電解めっき層としては、無電解Pd(パラジウム)めっき層、無電解Au(金)めっき層、無電解Pt(白金、プラチナ)めっき層または無電解Ag(銀)めっき層などを用いることができるが、無電解Pd(パラジウム)めっき層であればより好ましい。無電解Ni−Pめっき層上に無電解Pdめっき層を形成することで、無電解Ni−Pめっき層を形成した後にその表面に対して行う無電解めっき処理において、無電解Ni−Pめっき層の表面での置換反応をより少なくし、また、無電解Ni−Pめっき層の局部的腐食を抑制または防止し、無電解Ni−Pめっき層とその上層の無電解めっき層との界面(界面近傍)にボイドが生じるのをより的確に防止することができる。これにより、ランド部(配線基板2(配線基板21)のランド部4bや実装基板31のランド部32)の半田接続の強度をより的確に向上することができる。
【0118】
また、本実施の形態では、配線基板21(配線基板2)、半導体装置1および実装基板31の半田接続用の端子(ランド部4b,32)の半田接続の強度、特に衝撃に対する耐久性(耐衝撃強度)を向上することができるので、例えば携帯用の電子機器などに使用する半導体装置(およびその製造に使用される配線基板)やその実装基板に本実施の形態を適用すれば、より効果が大きい。
【0119】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、例えば半田接続用の端子を有する配線基板やそれを用いた半導体装置などに適用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半田接続用の複数の端子がその主面で露出する配線基板を準備する工程、
(b)前記複数の端子上に、リンを含有するニッケルめっき層からなる第1めっき層を無電解めっき法を用いて形成する工程、
(c)前記第1めっき層上に第2めっき層を無電解めっき法を用いて形成する工程、
(d)前記(a)、(b)および(c)工程の後、前記配線基板上に半導体チップを搭載する工程、を有し、
前記(c)工程において、前記第1めっき層から、前記第2めっき層を形成するためのめっき液中へのニッケルの溶出量が5×10−6kg/m2以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の端子は、前記配線基板の前記主面に形成された銅を主成分とする導体層からなり、
前記(b)工程では、前記導体層上に前記第1めっき層が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程後に、表面に前記第1および第2めっき層が形成された前記複数の端子に複数の半田ボールを接続する工程を更に有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記半田ボールは鉛フリー半田からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程で、前記第1めっき層と前記第2めっき層との界面に10nm以上のボイドが形成されないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2めっき層は、パラジウムめっき層、金めっき層、白金めっき層または銀めっき層であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2めっき層は、パラジウムめっき層であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程後で前記(d)工程前に、前記第2めっき層上に、金めっき層からなる第3めっき層を無電解めっき法を用いて形成する工程を更に有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
主面に複数の端子を有する配線基板と、
前記配線基板上に搭載された半導体チップと、
前記配線基板の前記主面の前記複数の端子に接続された複数の半田ボールと、
を有し、
前記複数の端子は、前記配線基板の前記主面に形成された銅を主成分とする導体層と、前記導体層上に形成されたリンを含有する無電解ニッケルめっき層とを有し、前記リンを含有する無電解ニッケルめっき層と前記半田ボールとの間にはスズとニッケルを含む合金層が形成されており、前記リンを含有する無電解ニッケルめっき層と前記合金層の界面に10nm以上のボイドが形成されていないことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置において、
前記半田ボールは鉛フリー半田からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
半田接続用の複数の端子を有する配線基板の製造方法であって、
(a)導体層からなる複数の第1端子がその主面で露出する配線基板を準備する工程、
(b)前記複数の第1端子上に、リンを含有するニッケルめっき層からなる第1めっき層を無電解めっき法を用いて形成する工程、
(c)前記第1めっき層上に第2めっき層を無電解めっき法を用いて形成する工程、
を有し、
前記(c)工程において、前記第1めっき層から、前記第2めっき層を形成するためのめっき液中へのニッケルの溶出量が5×10−6kg/m2以下であり、
表面に前記第1および第2めっき層が形成された前記複数の第1端子により、前記配線基板の半田接続用の複数の端子が形成されることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の配線基板の製造方法において、
前記配線基板は、その上に半導体チップを搭載して半導体パッケージを製造するための配線基板であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の配線基板の製造方法において、
前記半田接続用の複数の端子は、半田ボールを接続するための端子であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の配線基板の製造方法において、
前記半田ボールは鉛フリー半田からなることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項15】
請求項11記載の配線基板の製造方法において、
前記配線基板は、その上に半導体パッケージを半田を介して実装するための配線基板であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の配線基板の製造方法において、
前記半導体パッケージを前記配線基板に実装する際に使用される半田は鉛フリー半田であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項17】
請求項11記載の配線基板の製造方法において、
前記(c)工程で、前記第1めっき層と前記第2めっき層との界面に10nm以上のボイドが形成されないことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項18】
請求項11記載の配線基板の製造方法において、
前記第2めっき層は、パラジウムめっき層、金めっき層、白金めっき層または銀めっき層であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項19】
請求項11記載の配線基板の製造方法において、
前記第2めっき層は、パラジウムめっき層からなることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項20】
請求項19記載の配線基板の製造方法において、
前記(c)工程後に、前記第2めっき層上に、金めっき層からなる第3めっき層を無電解めっき法を用いて形成する工程を更に有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項1】
(a)半田接続用の複数の端子がその主面で露出する配線基板を準備する工程、
(b)前記複数の端子上に、リンを含有するニッケルめっき層からなる第1めっき層を無電解めっき法を用いて形成する工程、
(c)前記第1めっき層上に第2めっき層を無電解めっき法を用いて形成する工程、
(d)前記(a)、(b)および(c)工程の後、前記配線基板上に半導体チップを搭載する工程、を有し、
前記(c)工程において、前記第1めっき層から、前記第2めっき層を形成するためのめっき液中へのニッケルの溶出量が5×10−6kg/m2以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の端子は、前記配線基板の前記主面に形成された銅を主成分とする導体層からなり、
前記(b)工程では、前記導体層上に前記第1めっき層が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程後に、表面に前記第1および第2めっき層が形成された前記複数の端子に複数の半田ボールを接続する工程を更に有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記半田ボールは鉛フリー半田からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程で、前記第1めっき層と前記第2めっき層との界面に10nm以上のボイドが形成されないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2めっき層は、パラジウムめっき層、金めっき層、白金めっき層または銀めっき層であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2めっき層は、パラジウムめっき層であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程後で前記(d)工程前に、前記第2めっき層上に、金めっき層からなる第3めっき層を無電解めっき法を用いて形成する工程を更に有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
主面に複数の端子を有する配線基板と、
前記配線基板上に搭載された半導体チップと、
前記配線基板の前記主面の前記複数の端子に接続された複数の半田ボールと、
を有し、
前記複数の端子は、前記配線基板の前記主面に形成された銅を主成分とする導体層と、前記導体層上に形成されたリンを含有する無電解ニッケルめっき層とを有し、前記リンを含有する無電解ニッケルめっき層と前記半田ボールとの間にはスズとニッケルを含む合金層が形成されており、前記リンを含有する無電解ニッケルめっき層と前記合金層の界面に10nm以上のボイドが形成されていないことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置において、
前記半田ボールは鉛フリー半田からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
半田接続用の複数の端子を有する配線基板の製造方法であって、
(a)導体層からなる複数の第1端子がその主面で露出する配線基板を準備する工程、
(b)前記複数の第1端子上に、リンを含有するニッケルめっき層からなる第1めっき層を無電解めっき法を用いて形成する工程、
(c)前記第1めっき層上に第2めっき層を無電解めっき法を用いて形成する工程、
を有し、
前記(c)工程において、前記第1めっき層から、前記第2めっき層を形成するためのめっき液中へのニッケルの溶出量が5×10−6kg/m2以下であり、
表面に前記第1および第2めっき層が形成された前記複数の第1端子により、前記配線基板の半田接続用の複数の端子が形成されることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の配線基板の製造方法において、
前記配線基板は、その上に半導体チップを搭載して半導体パッケージを製造するための配線基板であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の配線基板の製造方法において、
前記半田接続用の複数の端子は、半田ボールを接続するための端子であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の配線基板の製造方法において、
前記半田ボールは鉛フリー半田からなることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項15】
請求項11記載の配線基板の製造方法において、
前記配線基板は、その上に半導体パッケージを半田を介して実装するための配線基板であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の配線基板の製造方法において、
前記半導体パッケージを前記配線基板に実装する際に使用される半田は鉛フリー半田であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項17】
請求項11記載の配線基板の製造方法において、
前記(c)工程で、前記第1めっき層と前記第2めっき層との界面に10nm以上のボイドが形成されないことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項18】
請求項11記載の配線基板の製造方法において、
前記第2めっき層は、パラジウムめっき層、金めっき層、白金めっき層または銀めっき層であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項19】
請求項11記載の配線基板の製造方法において、
前記第2めっき層は、パラジウムめっき層からなることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項20】
請求項19記載の配線基板の製造方法において、
前記(c)工程後に、前記第2めっき層上に、金めっき層からなる第3めっき層を無電解めっき法を用いて形成する工程を更に有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【国際公開番号】WO2005/087980
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【発行日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510878(P2006−510878)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019583
【国際出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【発行日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/019583
【国際出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
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