半導体装置の製造方法
【課題】チップ上のパッドとワイヤの接合強度を向上させることができる半導体装置の製造方法を得る。
【解決手段】本発明に係る半導体装置の製造方法は、配線基板上に接着層を介してチップを接着する接着工程と、接着工程の後に、超音波振動を印加しながらチップ上のパッドにワイヤをボンディングするワイヤボンディング工程とを有し、接着層として、ワイヤボンディング工程におけるプロセス温度での弾性率が100MPa以上のものを用いる。
【解決手段】本発明に係る半導体装置の製造方法は、配線基板上に接着層を介してチップを接着する接着工程と、接着工程の後に、超音波振動を印加しながらチップ上のパッドにワイヤをボンディングするワイヤボンディング工程とを有し、接着層として、ワイヤボンディング工程におけるプロセス温度での弾性率が100MPa以上のものを用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板上に接着層を介してチップを接着した後、超音波振動を印加しながらチップ上のパッドにワイヤをボンディングする半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リードフレーム又は配線基板上にチップを接着する際に、フィルム状の接着層が用いられている(例えば、特許文献1参照)。ここで、配線基板の表面には5μm〜20μmの凹凸があるため、接着層と配線基板との間に隙間ができる。これに対し、接着層が柔らかい場合、樹脂封止の際の圧力で当該隙間の空気は抜けるため何ら問題は無い。一方、接着層が硬い場合、当該隙間の空気は抜け難いためボイドとして残り、パッケージの実装の際の熱等でチップが割れる原因となる。このため、従来は、接着層としてワイヤボンディング工程におけるプロセス温度での弾性率が10MPa以下のものを用いていた。
【0003】
また、配線基板上に接着層を介してチップを接着した後、チップ上のパッドにワイヤをボンディングする。この際に、超音波を印加することにより、パッド表面の酸化膜を破壊して、パッドとワイヤの接合強度を向上させていた。
【0004】
【特許文献1】特開2003−119440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、4ビット〜16ビットのマイコン等において、チップサイズが3mm角以下のチップが用いられるようになってきた。このような小さなチップと配線基板との接着面積は小さいため、チップと配線基板の接合強度も小さい。これにより、ワイヤボンディング工程において、超音波振動に併せてチップが揺れ動くため、パッド表面の酸化膜を十分に破壊することができず、パッドとワイヤの接合強度が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、チップ上のパッドとワイヤの接合強度を向上させることができる半導体装置の製造方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、配線基板上に接着層を介してチップを接着する接着工程と、接着工程の後に、超音波振動を印加しながらチップ上のパッドにワイヤをボンディングするワイヤボンディング工程とを有し、接着層として、ワイヤボンディング工程におけるプロセス温度での弾性率が100MPa以上のものを用いる。本発明のその他の特徴は以下に明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ワイヤボンディング工程において超音波振動に併せてチップが揺れ動くのを抑制し、チップ上のパッドとワイヤの接合強度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について図面を用いて説明する。
【0010】
まず、図1に示すような配線基板1を用意する。この配線基板1には、図2に示す構造が複数個配列されている。また、図3は配線基板の断面図である。図示のように、配線基板1には、複数のCu配線2が設けられ、表面がソルダーレジスト3で覆われている。
【0011】
図4は配線基板の要部を拡大した断面図である。Cu配線2の配線基板1上での厚みは18μmであり、Cu配線2とソルダーレジスト3の合計の厚みは33μmである。そして、Cu配線2同士の間でソルダーレジスト3が窪むため、ソルダーレジスト3の表面には5〜20μmの凹凸が形成される。
【0012】
次に、図5及び図6に示すように、配線基板1上に接着層4を介して3mm角のチップ5を接着する。この際、接着層4として、後述のワイヤボンディング工程におけるプロセス温度での弾性率が100MPa以上のものを用いる。このように弾性率の高い接着層4を用いるため、図7に示すように、ソルダーレジスト3と接着層4の間に微小な隙間が形成される。接着層4の厚さは、半導体装置の薄型化のために、25μm以下となっている。
【0013】
次に、図8及び図9に示すように、チップ5上に接着層6を介して2mm角のスペーサチップ7を搭載する。なお、接着層6は、接着層4と同様の物質からなる。
【0014】
次に、図10に示すように、配線基板1をステージ8の上に載せる。そして、キャピラリ9から排出した金ワイヤ10の先端の金ボールを、キャピラリ9により超音波振動を印加しながら、チップ5上のパッド11に押圧してボンディングする。この際、キャピラリ9による荷重は20〜80g、超音波振動の振幅は1μm程度、振動数は60〜120kHzとする。そして、図11及び図12に示すように、金ワイヤ10の他端は配線基板1の配線2にボンディングする。
【0015】
上記のように、接着層4としてワイヤボンディング工程におけるプロセス温度での弾性率が100MPa以上のものを用いることにより、ワイヤボンディング工程において超音波振動に併せてチップ5が揺れ動くのを抑制し、チップ5上のパッド11と金ワイヤ10の接合強度を向上させることができる。
【0016】
この効果は特にチップ5としてチップサイズが3mm角以下のものを用いた場合に顕著となる。そして、このような小さなチップであれば、弾性率が高い接着層4を用いても、接着層4と配線基板1との間から空気が抜け易い。また、チップ5として、短辺が3mm以下のものや、面積が9mm2以下のものを用いた場合も同様である。
【0017】
また、チップ5上のパッド11と金ワイヤ10の接合強度を確保するために、ワイヤボンディング工程におけるプロセス温度は100℃以上にするのが好ましく、150℃以上にするのが特に好ましい。具体的には、配線基板1を載せたステージ8の温度を160℃に設定して、チップ5側へ熱を供給する。
【0018】
次に、図13及び図14に示すように、スペーサチップ7上に接着層12を介して3mm角のチップ13を搭載する。なお、接着層12は、接着層4と同様の物質からなる。そして、図15及び図16に示すように、上記と同様に、チップ13上のパッド14と配線基板1上のCu配線2にワイヤ15をボンディングする。
【0019】
次に、図17に示すように、配線基板1上をトランスファーモールド法により樹脂16で樹脂封止する。この際、樹脂注入時の圧力を8MPa以上にする。この樹脂注入時の圧力により、図18に示すように、接着層4と配線基板1との間から空気を追い出すことができる。樹脂16は、熱硬化性のエポキシ樹脂などにより形成され、トランスファーモールド時の工程温度は例えば180℃である。接着層4としては、弾性率が高すぎると、トランスファーモールド時に樹脂から圧力を受けた場合に、配線基板1表面の凹凸に馴染む形への変形が十分に進まないため、ある程度以下の弾性率であることが好ましい。具体的には、トランスファーモールドの工程温度における接着層4の弾性率が1GPa以下であることが好ましい。特に、半導体装置の薄型化のために、接着層4の厚さが25μm以下と薄型化されている場合には、適当な弾性率を有する接着層4の選択は重要となる。以上の工程により、本実施の形態に係る半導体装置が製造される。
【0020】
ここで、接着層4としてペースト状のものを用いると、チップ5と配線基板1との間から接着層4がはみ出し易いという問題がある。特に、チップ5の端と配線基板1上のCu配線2との間隔を0.5mm以下とする場合、はみ出した接着層4が配線基板1上のCu配線2に達して不良を生じる原因となる。また、チップ5として、チップ厚が100μm以下のものを用いた場合、はみ出した接着層4がチップ5上に這い上がって不良を生じる原因となる。そこで、接着層4としてフィルム状のものを用いるのが好ましい。
【0021】
そして、フィルム状の接着層4を用いる場合、複数のチップ5が形成されたウェハの裏面に接着層4を貼り付けた後に、チップ5ごとにウェハを切断することで、製造工程を簡略化することができる。また、弾性率を高くするために、接着層4として、シリカフィラーやBNフィラー等の無機フィラーが10wt%以上、好ましくは50wt%以上含有するものを用いる。
【0022】
また、配線基板1表面の凹部とチップとの隙間に空気が残るとボイドとなる。このボイドによるチップ5の割れを防ぐためには、最終形態でのチップ5下におけるボイドの割合を1割以下にする必要がある。そこで、図19に示すように、配線基板1としてチップ5を接着する表面領域においてCu配線2がある部分が90%以上のものを用いる。チップ5を接着する領域の配線としては、フローティング電位のダミー配線パターンや、電源電位もしくは接地電位電極と接続する電源/GND配線パターンの幅を、信号用配線の幅に比べて広く形成する事によってその領域を調整するのが好ましい。また、信号用配線の幅は、これら幅広配線に比べて、細く、ほぼ均一にすることにより、スタブ配線の形成や、インピーダンスの不整合によるノイズ源の形成などを防ぐことができる。チップ下領域の幅広配線パターン形状としては、図19に示すように、チップ外の領域に連続するスリットが形成されていることが好ましい。チップ外の領域に連続する放射状のスリットが形成されていることにより、チップの下に取り残されたボイドを効果的にチップ外に排出することができる。
【0023】
また、配線基板1として表面の凹凸の深さが10μm以下、より好ましくは2μm以下のものを用いることにより、配線基板1の表面の凹部に接着層4が入り込み易くなるため、チップ5と配線基板1の接合強度を更に向上させることができる。配線基板1表面の凹凸の深さを低くする手段としては、例えば、ソルダーレジストを2層に分けて塗布する方法や、ドライフィルムレジストを使用し、ラミネートローラーによる熱圧着によって形成する方法などが選択可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】配線基板全体を示す平面図である。
【図2】配線基板を示す平面図である。
【図3】配線基板を示す断面図である。
【図4】図3に示す配線基板の要部を拡大した断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】図6に示す半導体装置の要部を拡大した断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図10】ワイヤボンディング工程を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図18】図17に示す半導体装置の要部を拡大した断面図である。
【図19】チップを接着する表面領域においてCu配線がある部分が90%以上の配線基板を示す平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 配線基板
2 Cu配線(配線)
4 接着層
5 チップ
10 金ワイヤ(ワイヤ)
11 パッド
16 樹脂
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板上に接着層を介してチップを接着した後、超音波振動を印加しながらチップ上のパッドにワイヤをボンディングする半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リードフレーム又は配線基板上にチップを接着する際に、フィルム状の接着層が用いられている(例えば、特許文献1参照)。ここで、配線基板の表面には5μm〜20μmの凹凸があるため、接着層と配線基板との間に隙間ができる。これに対し、接着層が柔らかい場合、樹脂封止の際の圧力で当該隙間の空気は抜けるため何ら問題は無い。一方、接着層が硬い場合、当該隙間の空気は抜け難いためボイドとして残り、パッケージの実装の際の熱等でチップが割れる原因となる。このため、従来は、接着層としてワイヤボンディング工程におけるプロセス温度での弾性率が10MPa以下のものを用いていた。
【0003】
また、配線基板上に接着層を介してチップを接着した後、チップ上のパッドにワイヤをボンディングする。この際に、超音波を印加することにより、パッド表面の酸化膜を破壊して、パッドとワイヤの接合強度を向上させていた。
【0004】
【特許文献1】特開2003−119440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、4ビット〜16ビットのマイコン等において、チップサイズが3mm角以下のチップが用いられるようになってきた。このような小さなチップと配線基板との接着面積は小さいため、チップと配線基板の接合強度も小さい。これにより、ワイヤボンディング工程において、超音波振動に併せてチップが揺れ動くため、パッド表面の酸化膜を十分に破壊することができず、パッドとワイヤの接合強度が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、チップ上のパッドとワイヤの接合強度を向上させることができる半導体装置の製造方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、配線基板上に接着層を介してチップを接着する接着工程と、接着工程の後に、超音波振動を印加しながらチップ上のパッドにワイヤをボンディングするワイヤボンディング工程とを有し、接着層として、ワイヤボンディング工程におけるプロセス温度での弾性率が100MPa以上のものを用いる。本発明のその他の特徴は以下に明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ワイヤボンディング工程において超音波振動に併せてチップが揺れ動くのを抑制し、チップ上のパッドとワイヤの接合強度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について図面を用いて説明する。
【0010】
まず、図1に示すような配線基板1を用意する。この配線基板1には、図2に示す構造が複数個配列されている。また、図3は配線基板の断面図である。図示のように、配線基板1には、複数のCu配線2が設けられ、表面がソルダーレジスト3で覆われている。
【0011】
図4は配線基板の要部を拡大した断面図である。Cu配線2の配線基板1上での厚みは18μmであり、Cu配線2とソルダーレジスト3の合計の厚みは33μmである。そして、Cu配線2同士の間でソルダーレジスト3が窪むため、ソルダーレジスト3の表面には5〜20μmの凹凸が形成される。
【0012】
次に、図5及び図6に示すように、配線基板1上に接着層4を介して3mm角のチップ5を接着する。この際、接着層4として、後述のワイヤボンディング工程におけるプロセス温度での弾性率が100MPa以上のものを用いる。このように弾性率の高い接着層4を用いるため、図7に示すように、ソルダーレジスト3と接着層4の間に微小な隙間が形成される。接着層4の厚さは、半導体装置の薄型化のために、25μm以下となっている。
【0013】
次に、図8及び図9に示すように、チップ5上に接着層6を介して2mm角のスペーサチップ7を搭載する。なお、接着層6は、接着層4と同様の物質からなる。
【0014】
次に、図10に示すように、配線基板1をステージ8の上に載せる。そして、キャピラリ9から排出した金ワイヤ10の先端の金ボールを、キャピラリ9により超音波振動を印加しながら、チップ5上のパッド11に押圧してボンディングする。この際、キャピラリ9による荷重は20〜80g、超音波振動の振幅は1μm程度、振動数は60〜120kHzとする。そして、図11及び図12に示すように、金ワイヤ10の他端は配線基板1の配線2にボンディングする。
【0015】
上記のように、接着層4としてワイヤボンディング工程におけるプロセス温度での弾性率が100MPa以上のものを用いることにより、ワイヤボンディング工程において超音波振動に併せてチップ5が揺れ動くのを抑制し、チップ5上のパッド11と金ワイヤ10の接合強度を向上させることができる。
【0016】
この効果は特にチップ5としてチップサイズが3mm角以下のものを用いた場合に顕著となる。そして、このような小さなチップであれば、弾性率が高い接着層4を用いても、接着層4と配線基板1との間から空気が抜け易い。また、チップ5として、短辺が3mm以下のものや、面積が9mm2以下のものを用いた場合も同様である。
【0017】
また、チップ5上のパッド11と金ワイヤ10の接合強度を確保するために、ワイヤボンディング工程におけるプロセス温度は100℃以上にするのが好ましく、150℃以上にするのが特に好ましい。具体的には、配線基板1を載せたステージ8の温度を160℃に設定して、チップ5側へ熱を供給する。
【0018】
次に、図13及び図14に示すように、スペーサチップ7上に接着層12を介して3mm角のチップ13を搭載する。なお、接着層12は、接着層4と同様の物質からなる。そして、図15及び図16に示すように、上記と同様に、チップ13上のパッド14と配線基板1上のCu配線2にワイヤ15をボンディングする。
【0019】
次に、図17に示すように、配線基板1上をトランスファーモールド法により樹脂16で樹脂封止する。この際、樹脂注入時の圧力を8MPa以上にする。この樹脂注入時の圧力により、図18に示すように、接着層4と配線基板1との間から空気を追い出すことができる。樹脂16は、熱硬化性のエポキシ樹脂などにより形成され、トランスファーモールド時の工程温度は例えば180℃である。接着層4としては、弾性率が高すぎると、トランスファーモールド時に樹脂から圧力を受けた場合に、配線基板1表面の凹凸に馴染む形への変形が十分に進まないため、ある程度以下の弾性率であることが好ましい。具体的には、トランスファーモールドの工程温度における接着層4の弾性率が1GPa以下であることが好ましい。特に、半導体装置の薄型化のために、接着層4の厚さが25μm以下と薄型化されている場合には、適当な弾性率を有する接着層4の選択は重要となる。以上の工程により、本実施の形態に係る半導体装置が製造される。
【0020】
ここで、接着層4としてペースト状のものを用いると、チップ5と配線基板1との間から接着層4がはみ出し易いという問題がある。特に、チップ5の端と配線基板1上のCu配線2との間隔を0.5mm以下とする場合、はみ出した接着層4が配線基板1上のCu配線2に達して不良を生じる原因となる。また、チップ5として、チップ厚が100μm以下のものを用いた場合、はみ出した接着層4がチップ5上に這い上がって不良を生じる原因となる。そこで、接着層4としてフィルム状のものを用いるのが好ましい。
【0021】
そして、フィルム状の接着層4を用いる場合、複数のチップ5が形成されたウェハの裏面に接着層4を貼り付けた後に、チップ5ごとにウェハを切断することで、製造工程を簡略化することができる。また、弾性率を高くするために、接着層4として、シリカフィラーやBNフィラー等の無機フィラーが10wt%以上、好ましくは50wt%以上含有するものを用いる。
【0022】
また、配線基板1表面の凹部とチップとの隙間に空気が残るとボイドとなる。このボイドによるチップ5の割れを防ぐためには、最終形態でのチップ5下におけるボイドの割合を1割以下にする必要がある。そこで、図19に示すように、配線基板1としてチップ5を接着する表面領域においてCu配線2がある部分が90%以上のものを用いる。チップ5を接着する領域の配線としては、フローティング電位のダミー配線パターンや、電源電位もしくは接地電位電極と接続する電源/GND配線パターンの幅を、信号用配線の幅に比べて広く形成する事によってその領域を調整するのが好ましい。また、信号用配線の幅は、これら幅広配線に比べて、細く、ほぼ均一にすることにより、スタブ配線の形成や、インピーダンスの不整合によるノイズ源の形成などを防ぐことができる。チップ下領域の幅広配線パターン形状としては、図19に示すように、チップ外の領域に連続するスリットが形成されていることが好ましい。チップ外の領域に連続する放射状のスリットが形成されていることにより、チップの下に取り残されたボイドを効果的にチップ外に排出することができる。
【0023】
また、配線基板1として表面の凹凸の深さが10μm以下、より好ましくは2μm以下のものを用いることにより、配線基板1の表面の凹部に接着層4が入り込み易くなるため、チップ5と配線基板1の接合強度を更に向上させることができる。配線基板1表面の凹凸の深さを低くする手段としては、例えば、ソルダーレジストを2層に分けて塗布する方法や、ドライフィルムレジストを使用し、ラミネートローラーによる熱圧着によって形成する方法などが選択可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】配線基板全体を示す平面図である。
【図2】配線基板を示す平面図である。
【図3】配線基板を示す断面図である。
【図4】図3に示す配線基板の要部を拡大した断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】図6に示す半導体装置の要部を拡大した断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図10】ワイヤボンディング工程を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図18】図17に示す半導体装置の要部を拡大した断面図である。
【図19】チップを接着する表面領域においてCu配線がある部分が90%以上の配線基板を示す平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 配線基板
2 Cu配線(配線)
4 接着層
5 チップ
10 金ワイヤ(ワイヤ)
11 パッド
16 樹脂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板上に接着層を介してチップを接着する接着工程と、
前記接着工程の後に、超音波振動を印加しながら前記チップ上のパッドにワイヤをボンディングするワイヤボンディング工程とを有し、
前記接着層として、前記ワイヤボンディング工程におけるプロセス温度での弾性率が100MPa以上のものを用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記チップとして、チップサイズが3mm角以下のものを用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記チップとして、短辺が3mm以下のものを用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記チップとして、面積が9mm2以下のものを用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ワイヤボンディング工程におけるプロセス温度を100℃以上にすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ワイヤボンディング工程におけるプロセス温度を150℃以上にすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ワイヤボンディング工程の後に、前記配線基板上をトランスファーモールド法により樹脂封止する樹脂封止工程を更に有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記樹脂封止工程において、樹脂注入時の圧力を8MPa以上にすることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記接着層として、フィルム状のものを用いることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記チップの端と前記配線基板上の配線との間隔を0.5mm以下とすることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記チップとして、チップ厚が100μm以下のものを用いることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
複数の前記チップが形成されたウェハの裏面に前記接着層を貼り付けた後に、前記チップごとに前記ウェハを切断する工程を更に有することを特徴とする請求項9〜11の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記接着層として、無機フィラーを10wt%以上含有するものを用いることを特徴とする請求項9〜12の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記接着層として、無機フィラーを50wt%以上含有するものを用いることを特徴とする請求項9〜13の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記配線基板として、前記チップを接着する表面領域において配線がある部分が90%以上のものを用いることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記配線基板として、表面の凹凸の深さが2μm以下のものを用いることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記配線基板として、表面の凹凸の深さが10μm以下のものを用いることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記ワイヤボンディング工程の後に、前記配線基板上をトランスファーモールド法により樹脂封止する樹脂封止工程を更に有し、
前記接着層として、前記トランスファーモールド工程におけるプロセス温度での弾性率が1GPa以下のものを用いることを特徴とする請求項1〜17の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
配線基板上に接着層を介してチップを接着する接着工程と、
前記接着工程の後に、超音波振動を印加しながら前記チップ上のパッドにワイヤをボンディングするワイヤボンディング工程とを有し、
前記接着層として、前記ワイヤボンディング工程におけるプロセス温度での弾性率が100MPa以上のものを用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記チップとして、チップサイズが3mm角以下のものを用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記チップとして、短辺が3mm以下のものを用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記チップとして、面積が9mm2以下のものを用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ワイヤボンディング工程におけるプロセス温度を100℃以上にすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ワイヤボンディング工程におけるプロセス温度を150℃以上にすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ワイヤボンディング工程の後に、前記配線基板上をトランスファーモールド法により樹脂封止する樹脂封止工程を更に有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記樹脂封止工程において、樹脂注入時の圧力を8MPa以上にすることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記接着層として、フィルム状のものを用いることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記チップの端と前記配線基板上の配線との間隔を0.5mm以下とすることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記チップとして、チップ厚が100μm以下のものを用いることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
複数の前記チップが形成されたウェハの裏面に前記接着層を貼り付けた後に、前記チップごとに前記ウェハを切断する工程を更に有することを特徴とする請求項9〜11の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記接着層として、無機フィラーを10wt%以上含有するものを用いることを特徴とする請求項9〜12の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記接着層として、無機フィラーを50wt%以上含有するものを用いることを特徴とする請求項9〜13の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記配線基板として、前記チップを接着する表面領域において配線がある部分が90%以上のものを用いることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記配線基板として、表面の凹凸の深さが2μm以下のものを用いることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記配線基板として、表面の凹凸の深さが10μm以下のものを用いることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記ワイヤボンディング工程の後に、前記配線基板上をトランスファーモールド法により樹脂封止する樹脂封止工程を更に有し、
前記接着層として、前記トランスファーモールド工程におけるプロセス温度での弾性率が1GPa以下のものを用いることを特徴とする請求項1〜17の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−201368(P2007−201368A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21029(P2006−21029)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
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