説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】ダミーインナーリード上に位置するソルダーレジスト層が膨れることを抑制することにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる半導体装置を提供する。
【解決手段】フィルム基材20は、デバイスホール20aと、端部21aがデバイスホール20a中に延伸しているインナーリード21と、一端部22aがデバイスホール20a中に延伸し、かつ他端部22b側がデバイスホール20aに向けて折り返されているダミーインナーリード22と、ソルダーレジスト層23とを有する。デバイスホール20a中に配置された半導体チップ10は、インナーリード21の端部21aに接合する外部接続端子11と、ダミーインナーリード22の一端部22aに接合するダミー外部接続端子12とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム基材のデバイスホール中に半導体チップが配置された半導体装置及びその製造方法に関する。特に本発明は、従来と比べて信頼性が向上する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7(A)は従来の半導体装置の構成を説明する為の平面図であり、図7(B)は図7(A)のB−B断面図である。この半導体装置は、フィルム基材120のデバイスホール120aの中に半導体チップ110を配置し、モールド樹脂(図示せず)で封止することにより製造される。半導体チップ110はバンプ111及びダミーバンプ112を有している。バンプ111はインナーリード121の端部に接合しており、ダミーバンプ112はダミーインナーリード122の端部に接合している。ダミーインナーリード122は、インナーリード121の配置間隔を均等にするために設けられており、ダミーバンプ112はダミーインナーリード122を固定するために設けられている。
【0003】
フィルム基材120上にはソルダーレジスト層123が設けられている。ソルダーレジスト層123はインナーリード121及びダミーインナーリード122を被覆している。バンプ111とインナーリード121の接合、及びダミーバンプ112とダミーインナーリード122の接合は、それぞれ接合部分を加熱することにより行われる。このため、ソルダーレジスト層123の下に位置するインナーリード121及びダミーインナーリード122にも熱が伝達する。インナーリード121は十分に長いため、熱が拡散して過度の温度上昇は生じないが、ダミーインナーリード122はインナーリード121と比べて短いため、熱が拡散せず温度が過度に上昇することがある。この場合、ダミーインナーリード122上に位置するソルダーレジスト層123が膨れ(例えば符号123aで示す部分)、半導体装置の信頼性を低下させることがある。
【特許文献1】特開平05−021514号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、ダミーインナーリードが短い場合、ダミーインナーリードとダミー外部接続端子(例えばダミーバンプ)を接合するときの熱によって、ダミーインナーリード上に位置するソルダーレジスト層が膨れてしまい、半導体装置の信頼性を低下させることがある。
【0005】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ダミーインナーリード上に位置するソルダーレジスト層が膨れることを抑制することにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、デバイスホールが形成されたフィルム基材と、
前記フィルム基材上に形成され、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリードと、
前記フィルム基材上に形成され、一端部が前記デバイスホール中に延伸し、かつ他端部側が前記デバイスホールに向けて折り返されているダミーインナーリードと、
前記フィルム基材上に位置する前記インナーリード、及び前記フィルム基材上に位置する前記ダミーインナーリードそれぞれを被覆するソルダーレジスト層と、
前記デバイスホール中に配置された半導体チップと、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの端部に接合する外部接続端子と、
前記半導体チップに形成され、前記ダミーインナーリードの一端部に接合するダミー外部接続端子とを具備する。
【0007】
この半導体装置によれば、前記ダミーインナーリードの長さを従来と比較して長くすることができる。このため、前記ダミーインナーリードの一端部と前記ダミー外部接続端子とを接合する際に前記ダミーインナーリードを伝達する熱は、従来と比較して前記ダミーインナーリード内で拡散する。従って、前記ダミーインナーリードに過度の温度上昇が生じることが抑制される。
従って、前記ダミーインナーリード上に位置する前記ソルダーレジスト層が膨れることが抑制され、この結果、半導体装置の信頼性が低下することが抑制される。
【0008】
本発明に係る他の半導体装置は、デバイスホールが形成されたフィルム基材と、
前記フィルム基材上に形成され、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリードと、
前記フィルム基材上に形成され、一端部が前記デバイスホール中に延伸し、かつ他端部が前記インナーリードに接続しているダミーインナーリードと、
前記フィルム基材上に位置する前記インナーリード、及び前記フィルム基材上に位置する前記ダミーインナーリードそれぞれを被覆するソルダーレジスト層と、
前記デバイスホール中に配置された半導体チップと、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの端部に接合する外部接続端子と、
前記半導体チップに形成され、前記ダミーインナーリードの一端部に接合するダミー外部接続端子とを具備する。
【0009】
この半導体装置によれば、前記ダミーインナーリードの端部と前記ダミー外部接続端子とを接合する際に前記ダミーインナーリードを伝達する熱は、前記インナーリードに拡散する。従って、前記ダミーインナーリードに過度の温度上昇が生じることが抑制される。
従って、前記ダミーインナーリード上に位置する前記ソルダーレジスト層が膨れることが抑制され、この結果、半導体装置の信頼性が低下することが抑制される。
【0010】
前記ダミー外部接続端子の電位はフローティングであるのが好ましい。このようにすると、前記ダミーインナーリード及び前記インナーリードを介して前記外部接続端子と前記ダミー外部接続端子が導通しても、問題は生じない。
【0011】
本発明に係る他の半導体装置は、デバイスホールが形成されたフィルム基材と、
前記フィルム基材上に形成され、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリードと、
前記フィルム基材上に形成され、端部が前記デバイスホール中に延伸しているダミーインナーリードと、
前記フィルム基材上に位置する前記インナーリード、及び前記フィルム基材上に位置する前記ダミーインナーリードそれぞれを被覆するソルダーレジスト層と、
前記デバイスホール中に配置された半導体チップと、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの端部に接合する外部接続端子と、
前記半導体チップに形成され、前記ダミーインナーリードの端部に接合するダミー外部接続端子とを具備し、前記ダミーインナーリードの長さは1mm以上である。
【0012】
この半導体装置によれば、前記ダミーインナーリードの長さが1mm以上あるため、前記ダミーインナーリードの端部と前記ダミー外部接続端子とを接合する際に前記ダミーインナーリードを伝達する熱は、前記ダミーインナーリード内で十分に拡散する。このため、前記ダミーインナーリードに過度の温度上昇が生じることが抑制される。従って、前記ダミーインナーリード上に位置する前記ソルダーレジスト層が膨れることが抑制され、この結果、半導体装置の信頼性が低下することが抑制される。
【0013】
本発明に係る他の半導体装置は、デバイスホールが形成されたフィルム基材と、
前記フィルム基材上に形成され、途中で折り返されていて第1の端部及び第2の端部それぞれが前記デバイスホール中に延伸しているインナーリードと、
前記フィルム基材上に位置する前記インナーリードを被覆するソルダーレジスト層と、
前記デバイスホール中に配置された半導体チップと、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの前記第1の端部に接合する第1の外部接続端子と、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの前記第2の端部に接合する第2の外部接続端子とを具備し、前記インナーリードの長さは2mm以上である。
【0014】
この半導体装置によれば、前記インナーリードの長さが2mm以上あるため、前記インナーリードの第1及び第2の端部と前記第1及び第2の外部接続端子とを接合する際に前記インナーリードを伝達する熱は、前記インナーリード内で十分に拡散する。このため、前記インナーリードに過度の温度上昇が生じることが抑制される。従って、前記インナーリード上に位置する前記ソルダーレジスト層が膨れることが抑制され、この結果、半導体装置の信頼性が低下することが抑制される。
【0015】
本発明に係る他の半導体装置は、デバイスホールが形成されたフィルム基材と、
前記フィルム基材上に形成され、途中で折り返されていて第1の端部及び第2の端部それぞれが前記デバイスホール中に延伸しているインナーリードと、
前記フィルム基材上に形成され、前記インナーリードから分岐したダミーインナーリードと、
前記フィルム基材上に位置する前記インナーリード、及び前記ダミーインナーリードそれぞれを被覆するソルダーレジスト層と、
前記デバイスホール中に配置された半導体チップと、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの前記第1の端部に接合する第1の外部接続端子と、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの前記第2の端部に接合する第2の外部接続端子とを具備する。
【0016】
この半導体装置によれば、前記インナーリードから前記ダミーインナーリードが分岐しているため、前記インナーリードの第1及び第2の端部と前記第1及び第2の外部接続端子とを接合する際に前記インナーリードを伝達する熱は、前記ダミーインナーリードに拡散する。このため、前記インナーリードに過度の温度上昇が生じることが抑制される。従って、前記インナーリード上に位置する前記ソルダーレジスト層が膨れることが抑制され、この結果、半導体装置の信頼性が低下することが抑制される。
【0017】
本発明に係る他の半導体装置は、デバイスホールが形成されたフィルム基材と、
前記フィルム基材上に形成され、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリードと、
前記フィルム基材上に形成され、端部が前記フィルム基材上から前記デバイスホール中に延伸しているダミーインナーリードと、
前記フィルム基材上に位置する前記インナーリード、及び前記フィルム基材上に位置する前記ダミーインナーリードそれぞれを被覆するソルダーレジスト層と、
前記デバイスホール中に配置された半導体チップと、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの端部に接合する外部接続端子と、
前記半導体チップに形成され、前記ダミーインナーリードの端部に接合するダミー外部接続端子と、
を具備し、前記ダミーインナーリードは、前記フィルム基材上に位置する部分が前記端部より幅広である。
【0018】
この半導体装置によれば、前記ダミーインナーリードは、前記フィルム基材上に位置する部分が前記端部より幅広である。このため、前記ダミーインナーリードの端部と前記ダミー外部接続端子とを接合する際に前記ダミーインナーリードを伝達する熱は、前記ダミーインナーリード内で十分に拡散する。従って、前記ダミーインナーリードに過度の温度上昇が生じることが抑制される。従って、前記ダミーインナーリード上に位置する前記ソルダーレジスト層が膨れることが抑制され、この結果、半導体装置の信頼性が低下することが抑制される。
【0019】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、デバイスホール、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリード、一端部が前記デバイスホール中に延伸していて他端部側が前記デバイスホールに向けて折り返されているダミーインナーリード、並びに、前記インナーリード及び前記ダミーインナーリードを被覆するソルダーレジスト層それぞれを具備するフィルム基材を準備すると共に、外部接続端子及びダミー外部接続端子を具備する半導体チップを準備する工程と、
前記デバイスホール中に前記半導体チップを配置することにより、前記外部接続端子上に前記インナーリードの端部を位置させ、かつ前記ダミー外部接続端子上に前記ダミーインナーリードの一端部を位置させる工程と、
前記外部接続端子及び前記インナーリードの端部を加熱することによりこれらを相互に接合させ、かつ前記ダミー外部接続端子及び前記ダミーインナーリードの端部を加熱することによりこれらを相互に接合させる工程とを具備する。
【0020】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、デバイスホール、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリード、一端部が前記デバイスホール中に延伸していて他端部が前記インナーリードに接続しているダミーインナーリード、並びに前記インナーリード及び前記ダミーインナーリードを被覆するソルダーレジスト層それぞれを具備するフィルム基材を準備すると共に、外部接続端子及びダミー外部接続端子を具備する半導体チップを準備する工程と、
前記デバイスホール中に前記半導体チップを配置することにより、前記外部接続端子上に前記インナーリードの端部を位置させ、かつ前記ダミー外部接続端子上に前記ダミーインナーリードの一端部を位置させる工程と、
前記外部接続端子及び前記インナーリードの端部を加熱することによりこれらを相互に接合させ、かつ前記ダミー外部接続端子及び前記ダミーインナーリードの一端部を加熱することによりこれらを相互に接合させる工程とを具備する。
【0021】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、デバイスホール、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリード、端部が前記デバイスホール中に延伸していて長さが1mm以上であるダミーインナーリード、並びに前記インナーリード及び前記ダミーインナーリードを被覆するソルダーレジスト層それぞれを具備するフィルム基材を準備すると共に、外部接続端子及びダミー外部接続端子を具備する半導体チップとを準備する工程と、
前記デバイスホール中に前記半導体チップを配置することにより、前記外部接続端子上に前記インナーリードの端部を位置させ、かつ前記ダミー外部接続端子上に前記ダミーインナーリードの端部を位置させる工程と、
前記外部接続端子及び前記インナーリードの端部を加熱することによりこれらを相互に接合させると共に、前記ダミー外部接続端子及び前記ダミーインナーリードの端部を加熱することによりこれらを相互に接合させる工程とを具備する。
【0022】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、デバイスホール、途中で折り返されていて第1の端部及び第2の端部それぞれが前記デバイスホール中に延伸しているインナーリード、及び前記インナーリードを被覆するソルダーレジスト層それぞれを具備するフィルム基材を準備すると共に、第1の外部接続端子及び第2の外部接続端子を具備する半導体チップを準備する工程と、
前記デバイスホール中に前記半導体チップを配置することにより、前記第1の外部接続端子上に前記インナーリードの第1の端部を位置させ、かつ前記第2の外部接続端子上に前記インナーリードの第2の端部を位置させる工程と、
前記第1及び第2の外部接続端子並びに前記インナーリードの第1及び第2の端部を加熱することにより、前記第1の外部接続端子と前記第1の端部を接合させ、かつ前記第2の外部接続端子と前記第2の端部を接合させる工程と、
を具備し、前記インナーリードは長さが2mm以上である。
【0023】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、デバイスホール、途中で折り返されていて第1の端部及び第2の端部それぞれが前記デバイスホール中に延伸しているインナーリード、前記インナーリードから分岐しているダミーインナーリード、並びに前記インナーリード及び前記ダミーインナーリードを被覆するソルダーレジスト層それぞれを具備するフィルム基材を準備すると共に、第1の外部接続端子及び第2の外部接続端子を具備する半導体チップを準備する工程と、
前記デバイスホール中に前記半導体チップを配置することにより、前記第1の外部接続端子上に前記インナーリードの第1の端部を位置させ、かつ前記第2の外部接続端子上に前記インナーリードの第2の端部を位置させる工程と、
前記第1及び第2の外部接続端子並びに前記インナーリードの第1及び第2の端部を加熱することにより、前記第1の外部接続端子と前記第1の端部を接合させ、かつ前記第2の外部接続端子と前記第2の端部を接合させる工程とを具備する。
【0024】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、デバイスホール、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリード、端部が前記デバイスホール中に延伸しているダミーインナーリード、並びに前記ダミーインナーリード及び前記インナーリードを被覆するソルダーレジスト層それぞれを具備するフィルム基材を準備すると共に、外部接続端子及びダミー外部接続端子を具備する半導体チップとを準備する工程と、
前記デバイスホール中に前記半導体チップを配置することにより、前記外部接続端子上に前記インナーリードの端部を位置させ、かつ前記ダミー外部接続端子上に前記ダミーインナーリードの一端部を位置させる工程と、
前記外部接続端子及び前記インナーリードの端部を加熱することによりこれらを相互に接合させ、かつ前記ダミー外部接続端子及び前記ダミーインナーリードの一端部を加熱することによりこれらを相互に接合させる工程と、
を具備し、前記ダミーインナーリードは、前記フィルム基材上に位置する部分が前記端部より幅広である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1(A)は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための平面図であり、図1(B)は図1(A)のA−A断面図である。この半導体装置は、フィルム基材20のデバイスホール20aの中に半導体チップ10を配置し、モールド樹脂(図示せず)で封止することにより製造される。
【0026】
半導体チップ10は複数のバンプ11及びダミーバンプ12を有している。ダミーバンプ12はバンプ11の相互間に位置しており、その電位はフローティングである。バンプ11それぞれは互いに異なるインナーリード21の端部21aに接合しており、ダミーバンプ12はダミーインナーリード22の一端部22aに接合している。ダミーインナーリード22は、インナーリード21の配置間隔を均等にするために設けられており、ダミーバンプ12はダミーインナーリード22を固定するために設けられている。
【0027】
インナーリードとバンプの接合は、以下のようにして行われる。まず、デバイスホール20aの中に半導体チップ10を配置し、バンプ11及びダミーバンプ12それぞれ上に、インナーリード21の端部21a及びダミーインナーリード22の一端部22aを位置させる。次いで、モールド樹脂で封止する前に、バンプ11及び端部21a、並びにダミーバンプ12及び一端部22aを加熱処理して、これらを接合させる。
【0028】
フィルム基材20上には、デバイスホール20aの周辺部を除いてソルダーレジスト層23が設けられている。ソルダーレジスト層23はダミーインナーリード22及び複数のインナーリード21を被覆しており、これらを保護している。インナーリード21それぞれは、ソルダーレジスト層23の下に位置する部分で斜めに折れ曲がっている。折れ曲がった後のインナーリード21の相互間隔は狭いため、インナーリード21の相互間にダミーインナーリード22を延伸できない。
【0029】
これに対してダミーインナーリード22は、ソルダーレジスト層23の下方の部分22cで折れ曲がり、他端部22bがデバイスホール20a上に位置している。このため、ダミーインナーリード22の長さを、従来と比較して長くすることができる(例えば1mm以上)。
【0030】
このため、ダミーインナーリード22の一端部22aとダミーバンプ12とを接合する際にダミーインナーリード22を伝達する熱は、従来と比較して拡散する。従って、ダミーインナーリード22に過度の温度上昇が生じることが抑制される。
【0031】
従って、本実施形態によれば、ダミーインナーリード22上に位置するソルダーレジスト層23が膨れることが抑制され、この結果、半導体装置の信頼性が低下することが抑制される。また、インナーリード21及びダミーインナーリード22は、フィルム基材20上に形成された導体薄膜をパターニングすることにより形成される。従って、ダミーインナーリード22を本実施形態の形状にしても、コストは上昇しない。
【0032】
なお、ソルダーレジスト層23の膨れ防止に必要なダミーインナーリード22の最低長(例えば1mm)を規定すると、ダミーインナーリードを過剰に長くすることが抑制され、スペースを効率的に使用することができる。
【0033】
図2は、第2の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する為の平面図である。本図に示す半導体装置は、ダミーインナーリード22の構成を除いて第1の実施形態に係る半導体装置と同一の構成を有する。以下、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0034】
本実施形態において、ダミーインナーリード22は折れ曲がり部分を有しておらず、他端部22bでインナーリード21に接続している。このようにした場合、ダミーインナーリード22とダミーバンプ12を接合するときの熱は、ダミーインナーリード22を介してインナーリード21に伝達し、拡散する。
【0035】
従って、本実施形態によってもダミーインナーリード22に過度の温度上昇が生じることを抑制できる。このため、ダミーインナーリード22上に位置するソルダーレジスト層23が膨れることが抑制され、半導体装置の信頼性が低下することが抑制される。
【0036】
また、ダミーインナーリード22を本実施形態の形状にしても、コストは上昇しない。また、ダミーバンプ12の電位はフローティングであるため、ダミーインナーリード22及びインナーリード21を介してバンプ11とダミーバンプ12が導通しても問題は生じない。
【0037】
図3は、第3の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する為の平面図である。本図に示す半導体装置は、インナーリード21の相互間隔が十分にある点、及びダミーインナーリード22が折り返されずにインナーリード21相互間に延伸している点を除いて、第1の実施形態に係る半導体装置と同一の構成を有する。以下、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施形態によっても、ダミーインナーリード22の長さを1mm以上にすることができる。従って、第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0038】
図4は、第4の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する為の平面図である。本図に示す半導体装置において、インナーリード21は半導体チップ10が有する2つのバンプ11a,11bを相互に接続している。以下、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0039】
インナーリード21はフィルム基材20上で折れ曲がっており、略U字形状に引き回されている。インナーリード21は、折れ曲がり部分21c及びその前後の部分がソルダーレジスト層23に覆われている。またインナーリード21の一端部21aはバンプ11aに接合しており、他端部21bはバンプ11bに接合している。インナーリード21とバンプ11a,11bの接合方法は、第1の実施形態においてインナーリード及びバンプを相互に接合する方法と同一である。
【0040】
本実施形態において、インナーリード21の長さは2mm以上である。このため、本実施形態によっても第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0041】
図5は、第5の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する為の平面図である。本図に示す半導体装置は、インナーリード21の折れ曲がり部分21cからダミーインナーリード21d分岐している点を除いて、第4の実施形態に係る半導体装置と同一の構成を有する。以下、第4の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0042】
本実施形態によれば、インナーリード21とバンプ11a,11bを接合するときの熱がダミーインナーリード21dにも伝達するため、インナーリード21の長さが第4の実施形態より短くても第4の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0043】
図6は、第6の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する為の平面図である。本図に示す半導体装置は、ダミーインナーリード22の構成を除いて第1の実施形態と同一の構成を有する。以下、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0044】
ダミーインナーリード22は、フィルム基材20上に位置する部分が他の部分と比べて幅広になっている。本実施形態によっても、ダミーインナーリード22とダミーバンプ12を接合するときの熱はダミーインナーリード22内で拡散するため、ダミーインナーリード22に過度の温度上昇が生じることを抑制できる。このため、ダミーインナーリード22上に位置するソルダーレジスト層23が膨れることが抑制され、半導体装置の信頼性が低下することが抑制される。
【0045】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(A)は第1の実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための平面図、(B)は(A)のA−A断面図。
【図2】第2の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する為の平面図
【図3】第3の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する為の平面図。
【図4】第4の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する為の平面図
【図5】第5の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する為の平面図。
【図6】第6の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する為の平面図。
【図7】(A)は従来の半導体装置の構成を説明するための平面図、(B)は(A)のB−B断面図。
【符号の説明】
【0047】
10,110…半導体チップ、11,11a,11b,111…バンプ、12,112…ダミーバンプ、20,120…フィルム基材、20a,120a…デバイスホール、21,121…インナーリード、21a…端部(一端部)、22b…他端部、21c…折れ曲がり部分、21d,22,122…ダミーインナーリード、22a…一端部、22b…他端部、23,123…ソルダーレジスト層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスホールが形成されたフィルム基材と、
前記フィルム基材上に形成され、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリードと、
前記フィルム基材上に形成され、一端部が前記デバイスホール中に延伸し、かつ他端部側が前記デバイスホールに向けて折り返されているダミーインナーリードと、
前記フィルム基材上に位置する前記インナーリード、及び前記フィルム基材上に位置する前記ダミーインナーリードそれぞれを被覆するソルダーレジスト層と、
前記デバイスホール中に配置された半導体チップと、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの端部に接合する外部接続端子と、
前記半導体チップに形成され、前記ダミーインナーリードの一端部に接合するダミー外部接続端子と、
を具備する半導体装置。
【請求項2】
デバイスホールが形成されたフィルム基材と、
前記フィルム基材上に形成され、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリードと、
前記フィルム基材上に形成され、一端部が前記デバイスホール中に延伸し、かつ他端部が前記インナーリードに接続しているダミーインナーリードと、
前記フィルム基材上に位置する前記インナーリード、及び前記フィルム基材上に位置する前記ダミーインナーリードそれぞれを被覆するソルダーレジスト層と、
前記デバイスホール中に配置された半導体チップと、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの端部に接合する外部接続端子と、
前記半導体チップに形成され、前記ダミーインナーリードの一端部に接合するダミー外部接続端子と、
を具備する半導体装置。
【請求項3】
前記ダミー外部接続端子の電位はフローティングである請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
デバイスホールが形成されたフィルム基材と、
前記フィルム基材上に形成され、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリードと、
前記フィルム基材上に形成され、端部が前記デバイスホール中に延伸しているダミーインナーリードと、
前記フィルム基材上に位置する前記インナーリード、及び前記フィルム基材上に位置する前記ダミーインナーリードそれぞれを被覆するソルダーレジスト層と、
前記デバイスホール中に配置された半導体チップと、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの端部に接合する外部接続端子と、
前記半導体チップに形成され、前記ダミーインナーリードの端部に接合するダミー外部接続端子と、
を具備し、前記ダミーインナーリードの長さは1mm以上である半導体装置。
【請求項5】
デバイスホールが形成されたフィルム基材と、
前記フィルム基材上に形成され、途中で折り返されていて第1の端部及び第2の端部それぞれが前記デバイスホール中に延伸しているインナーリードと、
前記フィルム基材上に位置する前記インナーリードを被覆するソルダーレジスト層と、
前記デバイスホール中に配置された半導体チップと、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの前記第1の端部に接合する第1の外部接続端子と、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの前記第2の端部に接合する第2の外部接続端子と、
を具備し、前記インナーリードの長さは2mm以上である半導体装置。
【請求項6】
デバイスホールが形成されたフィルム基材と、
前記フィルム基材上に形成され、途中で折り返されていて第1の端部及び第2の端部それぞれが前記デバイスホール中に延伸しているインナーリードと、
前記フィルム基材上に形成され、前記インナーリードから分岐したダミーインナーリードと、
前記フィルム基材上に位置する前記インナーリード、及び前記ダミーインナーリードそれぞれを被覆するソルダーレジスト層と、
前記デバイスホール中に配置された半導体チップと、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの前記第1の端部に接合する第1の外部接続端子と、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの前記第2の端部に接合する第2の外部接続端子と、
を具備する半導体装置。
【請求項7】
デバイスホールが形成されたフィルム基材と、
前記フィルム基材上に形成され、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリードと、
前記フィルム基材上に形成され、端部が前記フィルム基材上から前記デバイスホール中に延伸しているダミーインナーリードと、
前記フィルム基材上に位置する前記インナーリード、及び前記フィルム基材上に位置する前記ダミーインナーリードそれぞれを被覆するソルダーレジスト層と、
前記デバイスホール中に配置された半導体チップと、
前記半導体チップに形成され、前記インナーリードの端部に接合する外部接続端子と、
前記半導体チップに形成され、前記ダミーインナーリードの端部に接合するダミー外部接続端子と、
を具備し、前記ダミーインナーリードは、前記フィルム基材上に位置する部分が前記端部より幅広である半導体装置。
【請求項8】
デバイスホール、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリード、一端部が前記デバイスホール中に延伸していて他端部側が前記デバイスホールに向けて折り返されているダミーインナーリード、並びに、前記インナーリード及び前記ダミーインナーリードを被覆するソルダーレジスト層それぞれを具備するフィルム基材を準備すると共に、外部接続端子及びダミー外部接続端子を具備する半導体チップを準備する工程と、
前記デバイスホール中に前記半導体チップを配置することにより、前記外部接続端子上に前記インナーリードの端部を位置させ、かつ前記ダミー外部接続端子上に前記ダミーインナーリードの一端部を位置させる工程と、
前記外部接続端子及び前記インナーリードの端部を加熱することによりこれらを相互に接合させ、かつ前記ダミー外部接続端子及び前記ダミーインナーリードの端部を加熱することによりこれらを相互に接合させる工程と、
を具備する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
デバイスホール、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリード、一端部が前記デバイスホール中に延伸していて他端部が前記インナーリードに接続しているダミーインナーリード、並びに前記インナーリード及び前記ダミーインナーリードを被覆するソルダーレジスト層それぞれを具備するフィルム基材を準備すると共に、外部接続端子及びダミー外部接続端子を具備する半導体チップを準備する工程と、
前記デバイスホール中に前記半導体チップを配置することにより、前記外部接続端子上に前記インナーリードの端部を位置させ、かつ前記ダミー外部接続端子上に前記ダミーインナーリードの一端部を位置させる工程と、
前記外部接続端子及び前記インナーリードの端部を加熱することによりこれらを相互に接合させ、かつ前記ダミー外部接続端子及び前記ダミーインナーリードの一端部を加熱することによりこれらを相互に接合させる工程と、
を具備する半導体装置の製造方法。
【請求項10】
デバイスホール、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリード、端部が前記デバイスホール中に延伸していて長さが1mm以上であるダミーインナーリード、並びに前記インナーリード及び前記ダミーインナーリードを被覆するソルダーレジスト層それぞれを具備するフィルム基材を準備すると共に、外部接続端子及びダミー外部接続端子を具備する半導体チップとを準備する工程と、
前記デバイスホール中に前記半導体チップを配置することにより、前記外部接続端子上に前記インナーリードの端部を位置させ、かつ前記ダミー外部接続端子上に前記ダミーインナーリードの端部を位置させる工程と、
前記外部接続端子及び前記インナーリードの端部を加熱することによりこれらを相互に接合させると共に、前記ダミー外部接続端子及び前記ダミーインナーリードの端部を加熱することによりこれらを相互に接合させる工程と、
を具備する半導体装置の製造方法。
【請求項11】
デバイスホール、途中で折り返されていて第1の端部及び第2の端部それぞれが前記デバイスホール中に延伸しているインナーリード、及び前記インナーリードを被覆するソルダーレジスト層それぞれを具備するフィルム基材を準備すると共に、第1の外部接続端子及び第2の外部接続端子を具備する半導体チップを準備する工程と、
前記デバイスホール中に前記半導体チップを配置することにより、前記第1の外部接続端子上に前記インナーリードの第1の端部を位置させ、かつ前記第2の外部接続端子上に前記インナーリードの第2の端部を位置させる工程と、
前記第1及び第2の外部接続端子並びに前記インナーリードの第1及び第2の端部を加熱することにより、前記第1の外部接続端子と前記第1の端部を接合させ、かつ前記第2の外部接続端子と前記第2の端部を接合させる工程と、
を具備し、
前記インナーリードは長さが2mm以上である半導体装置の製造方法。
【請求項12】
デバイスホール、途中で折り返されていて第1の端部及び第2の端部それぞれが前記デバイスホール中に延伸しているインナーリード、前記インナーリードから分岐しているダミーインナーリード、並びに前記インナーリード及び前記ダミーインナーリードを被覆するソルダーレジスト層それぞれを具備するフィルム基材を準備すると共に、第1の外部接続端子及び第2の外部接続端子を具備する半導体チップを準備する工程と、
前記デバイスホール中に前記半導体チップを配置することにより、前記第1の外部接続端子上に前記インナーリードの第1の端部を位置させ、かつ前記第2の外部接続端子上に前記インナーリードの第2の端部を位置させる工程と、
前記第1及び第2の外部接続端子並びに前記インナーリードの第1及び第2の端部を加熱することにより、前記第1の外部接続端子と前記第1の端部を接合させ、かつ前記第2の外部接続端子と前記第2の端部を接合させる工程と、
を具備する半導体装置の製造方法。
【請求項13】
デバイスホール、端部が前記デバイスホール中に延伸しているインナーリード、端部が前記デバイスホール中に延伸しているダミーインナーリード、並びに前記ダミーインナーリード及び前記インナーリードを被覆するソルダーレジスト層それぞれを具備するフィルム基材を準備すると共に、外部接続端子及びダミー外部接続端子を具備する半導体チップとを準備する工程と、
前記デバイスホール中に前記半導体チップを配置することにより、前記外部接続端子上に前記インナーリードの端部を位置させ、かつ前記ダミー外部接続端子上に前記ダミーインナーリードの一端部を位置させる工程と、
前記外部接続端子及び前記インナーリードの端部を加熱することによりこれらを相互に接合させ、かつ前記ダミー外部接続端子及び前記ダミーインナーリードの一端部を加熱することによりこれらを相互に接合させる工程と、
を具備し、
前記ダミーインナーリードは、前記フィルム基材上に位置する部分が前記端部より幅広である半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−142302(P2007−142302A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336656(P2005−336656)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】