説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】強度を維持し且つバンプ同士の間の狭ピッチ化に耐え得るバンプ及びアンダーバリアメタル構造を得られるようにする。
【解決手段】半導体装置は、半導体チップ1と、半導体チップ1の上に形成された電極パッド2と、電極パッド2の上に形成されたアンダーバリアメタル10と、アンダーバリアメタル10の上に形成されたはんだバンプ6と、アンダーバリアメタル10及びはんだバンプ6の周囲を覆うように形成されたアンダーフィル材18とを有している。はんだバンプ6は、アンダーバリアメタル10との接合界面が該アンダーバリアメタル10の上面であり、アンダーフィル材18は、バンプ6の側面とアンダーバリアメタル10の端面との接合部分における角度が直角又は鈍角である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、外部電極端子にアンダーバリアメタルが設けられ、回路配線基板にフリップチップ実装された半導体チップを有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信機器及び事務用電子機器等の小型化と高性能化とが進められるに伴い、これらの電子機器に搭載される半導体装置に小型化と共に入出力用の外部端子の個数を増やすことが要求されている。
【0003】
一方、半導体製造プロセスの著しい進展に伴って、半導体チップの構造も微細化及び高集積化が進み、層間絶縁膜には比誘電率が低い、いわゆるLow−k膜が用いられる場合が多くなってきている。
【0004】
Low−k膜は、その物理的強度が従来の絶縁膜と比べて大幅に低いことから、外部からの応力等によって半導体チップの能動領域がダメージを受けやすい。これを防止するために、微細化及び高集積化が進んだ半導体チップにおいては、特にフリップチップ方式を用いて外部回路と接続する場合には、はんだバンプを用いた溶融接続が注目されている。
【0005】
近年開発されている半導体チップの特徴は、電極パッドを能動領域の上に形成して行うフリップチップ実装と、Low−k材料を用いる層間絶縁膜とにある。但し、これらの実装方式及び構成材料には、半導体チップの信頼性が低下するという課題がある。
【0006】
半導体チップの構成材料と半導体チップを実装する回路配線基板の構成材料とが異なる場合には、熱膨張係数の相違による変位が半導体装置と回路配線基板とにしばしば発生する。発生した変位は、半導体装置と回路配線基板とを接続するバンプに応力歪みを発生させ、この応力歪みは、フリップチップ実装するためのバンプと電極パッドとの接合面を破壊してしまう。熱膨張から発生する応力歪みの対策は、アンダーフィル材又は封止樹脂材(以下、併せてアンダーフィル材と呼ぶ。)を電極パッドの周辺領域に充填することによって対処している。
【0007】
しかしながら、アンダーフィル材は、熱膨張による応力歪みの影響を緩和するための強度を備えるフィラーと溶剤とから構成されている。従って、アンダーフィル材を充填する領域の形状が複雑な場合は、フィラーが均一に充填されず、溶剤のみが充填されるという現象が発生する。この場合、アンダーフィル材を加熱により硬化する際に、フィラーが充填された領域はフィラーとバンプとの接触面が密着して、歪み等にも耐え得る強度を備えた構造体を形成することができる。一方、溶剤のみが充填された領域は、加熱すると溶剤が揮発してしまうため、ボイド又は気泡(以下、併せてボイドと呼ぶ。)が発生してしまう。その結果、バンプと電極パッドとの接合面に発生したボイドが起点となってクラックが発生し、発生したクラックによって、半導体チップ、すなわち半導体装置の信頼性が低下する。
【0008】
半導体チップへの負担を軽減する対策として、半導体チップと回路配線基板とを物理的に接続するはんだバンプとの熱膨張の差に伴う接続面への応力の集中を緩和するために、はんだバンプの形成領域の周囲に環状のレジスト膜を形成するという方法が提示されている(例えば、特許文献1を参照。)。この環状のレジスト膜により、はんだバンプを形成した後、はんだバンプの周囲にアンダーフィル材を充填する際に、該アンダーフィル材がはんだバンプと電極パッドとの接合面に浸透することがないように、電極パッドの周囲が保護される。
【0009】
以上説明したように、半導体チップは、電極パッドを能動領域の上に形成し、バンプと呼ばれる外部接続端子を介して外部回路と接続するフリップチップ方式が主流となってきている。また、半導体製造プロセスの著しい進展に伴って、半導体装置の構造も微細化及び高集積化が進み、層間絶縁膜として比誘電率が低いLow−k材料が用いられるようになってきている。これにより、外部接続端子の電極パッドへの熱応力の負担を軽減すべく、例えば特許文献1のように取り組まれてきている。
【0010】
しかしながら、半導体装置のさらなる小型化、微細化及び高集積化に伴い、半導体チップの信頼性の維持に対応しきれない場合が現れ始めている。そこで、今後はバンプが形成される電極パッドへの負担の軽減、特にバンプ同士の間の狭ピッチ化、例えば50μm〜200μmに対応できる技術の確立が急務となっている。
【0011】
半導体装置は、シリコン(Si)又はガリウム砒素(GaAs)等からなり、回路配線基板は、ガラス、アラミド繊維又はセラミック等の無機材料と、銅(Cu)等の金属材料とを用いており、前述したように、半導体装置の構成材料と半導体装置を実装する回路配線基板の構成材料とは異なっている。
【0012】
半導体装置の製造プロセスには、半導体基板を250℃〜300℃程度で加熱する工程があり、シリコンを主成分とする半導体チップは3ppm/℃の熱膨張係数であり、ガラス繊維を主成分とする回路配線基板は10ppm/℃程度の熱膨張係数であるため、加熱する際に両者の膨張の程度に差が生じる。ここで、熱膨張係数の差に起因する半導体装置と回路配線基板との変位は、両者を接続するバンプに応力歪みを発生させる。発生した応力歪みによって、バンプが破壊してしまい、電気的な接続不良に至ってしまう。
【0013】
特許文献1においては、図8に示すように、半導体チップ101は、該半導体チップ101の上に選択的に形成された電極パッド102と、該電極パッド102の上にそれを覆うように形成されたアンダーバリアメタル(UBM)110と、該UBM110の上に形成されたはんだバンプ106とを有している。ここで、UBM110は、その周縁部が電極パッド102の周囲に形成された絶縁膜109の周縁部に跨るように形成されている。また、絶縁膜109の上には、環状のレジスト膜126が形成されており、該レジスト膜126の内側の端面とUBM110及びはんだバンプ106の端面は互いに接している。このように、環状のレジスト膜126は、フリップチップ実装後の加熱冷却サイクルにおいて、はんだバンプ106と電極パッド102との接合部の近傍に発生する応力によってUBM10の剥離を防止するために、はんだバンプ106の外側に形成されている。すなわち、半導体チップ101における電極パッド102の外周領域に環状のレジスト膜126を形成することにより、はんだバンプ106を固定してUBM110との接続性を向上することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−268442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記従来の半導体装置は、はんだバンプ106の周囲にアンダーフィル材118を注入する際に問題が生じる。
【0016】
アンダーフィル材118は、はんだバンプ106の接合強度を向上するためにその周囲に充填され、熱膨張による応力歪みの影響を緩和するための強度を備える材料として、溶剤にフィラー119が添加されている。フィラー119は粒子状であり、アンダーフィル材118は充填されると、はんだバンプ106の外縁部に沿って毛細管現象によって浸透していく。
【0017】
ここで、図8に示すように、アンダーフィル材118のレジスト膜126上の充填領域120の角度θ1が鋭角である場合には、フィラー119が均一に充填する空間を確保できず、フィラー119が未充填となって溶剤のみが充填されてしまう。このような状態で、アンダーフィル材118を加熱により硬化すると溶剤が揮発してしまい、溶剤が揮発した領域にボイド121が発生する。このはんだバンプ106とUBM110との接合面の近傍に発生したボイド121によって、はんだバンプ106とアンダーフィル材118とが密着しない部位が生じる。その結果、はんだバンプ106は、アンダーフィル材118との密着による剛性を確保できず、その後の加熱冷却ストレスによって、はんだバンプ106の外縁部のボイド121からクラック122が発生してしまう。
【0018】
本発明は、前記の問題を解決し、強度を維持し且つバンプ同士の間の狭ピッチ化に耐え得るバンプ及びUBM構造を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記の目的を達成するため、本発明は、半導体装置を、バンプとアンダーバリアメタルと接合部の近傍におけるアンダーフィル材の充填領域を広く確保できるようにする構成とする。
【0020】
具体的に、本発明に係る半導体装置は、半導体チップと、半導体チップの上に形成された電極パッドと、電極パッドの上に形成されたアンダーバリアメタルと、アンダーバリアメタルの上に形成された金属からなるバンプと、アンダーバリアメタル及びバンプの周囲を覆うように形成されたアンダーフィル材とを備え、バンプは、アンダーバリアメタルとの接合界面が該アンダーバリアメタルの上面に形成され、アンダーフィル材は、バンプの側面とアンダーバリアメタルの端面との接合部分における角度が直角又は鈍角である。
【0021】
本発明の半導体装置によると、金属からなるバンプは、アンダーバリアメタルとの接合界面が該アンダーバリアメタルの上面であり、且つ、アンダーフィル材は、バンプの側面とアンダーバリアメタルの端面との接合部分における角度が直角又は鈍角である。このため、バンプとアンダーバリアメタルとの隙間にも、フィラーを含むアンダーフィル材が必要な量だけ且つ均一に充填できるので、バンプとフィラーとの界面が密着して、加熱冷却ストレス及び物理的なストレスにも耐え得る電極構造を得ることができる。
【0022】
本発明の半導体装置において、アンダーバリアメタルの端面は、該アンダーバリアメタルの厚さ方向の中央部分が内側に湾曲した円弧状であってもよい。
【0023】
本発明の半導体装置において、アンダーフィル材はフィラーを含み、該フィラーの粒径は、アンダーバリアメタルの厚さよりも小さくてよい。
【0024】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板に形成された半導体集積回路の上に、電極パッドを形成する工程と、半導体集積回路の上の電極パッドの周囲にマスク部材を選択的に形成する工程と、マスク部材から露出する電極パッドの上にアンダーバリアメタルを形成する工程と、マスク部材から露出するアンダーバリアメタルの上に、金属からなるバンプを形成する工程と、バンプが形成された半導体基板を分割して半導体チップを形成し、形成された半導体チップのバンプを配線基板と対向させることにより、半導体チップを配線基板上にフリップチップ実装する工程と、マスク部材を除去する工程と、マスク部材を除去する工程よりも後に、半導体チップと配線基板との間にアンダーフィル材を注入する工程とを備えている。
【0025】
本発明の半導体装置の製造方法によると、フリップチップ実装する工程と、アンダーフィル材を注入する工程との間に、電極パッドの周囲に形成したマスク部材を除去する工程を備えているため、金属からなるバンプの側面とアンダーバリアメタルの端面との接合部分における角度を直角又はそれ以上に大きくすることができる。その結果、バンプとアンダーバリアメタルとの隙間にも、フィラーを含むアンダーフィル材が必要な量だけ且つ均一に充填できるので、バンプとフィラーとの界面が密着して、加熱冷却ストレス及び物理的なストレスにも耐え得る電極構造を得ることができる。
【0026】
本発明の半導体装置の製造方法において、マスク部材の電極パッド側の端面は、マスク部材の厚さ方向の中央部分が電極パッド側に湾曲した円弧状であってもよい。
【0027】
本発明の半導体装置の製造方法において、マスク部材は、レジスト材、フィルム状のレジスト材又はレジストからなるOリングであってよい。
【0028】
本発明の半導体装置の製造方法において、アンダーフィル材は複数のフィラーを含み、フィラーの粒径は、アンダーバリアメタルの厚さよりも小さくてよい。
【0029】
本発明の半導体装置の製造方法において、バンプを形成する工程には、電気めっき法、ボール搭載法又はスクリーン印刷法を用いることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、バンプ接合部の応力歪みを緩和することができ、接合強度を維持してバンプ同士の間の狭ピッチ化にも耐え得るバンプ及びUBM構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置であって、バンプ及びUBMを含む領域を示す部分的な概略断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】(a)〜(i)は本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態の第1変形例に係る半導体装置であって、バンプ及びUBMを含む領域を示す部分的な概略断面図である。
【図5】本発明の一実施形態の第1変形例に係る半導体装置の第1の製造方法を示す一工程の部分的な断面図である。
【図6】本発明の一実施形態の第1変形例に係る半導体装置の第2の製造方法を示す一工程の部分的な断面図である。
【図7】本発明の一実施形態の第1変形例に係る半導体装置の第3の製造方法を示す一工程の部分的な断面図である。
【図8】従来例に係る電極パッド構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(一実施形態)
本発明の一実施形態について図1を参照しながら説明する。
【0033】
図1に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、バンプの構造体として、半導体チップ1の上に選択的に形成された電極パッド2と、該電極パッド2の上にそれを覆うように形成されたアンダーバリアメタル(UBM)10と、該UBM10の上に形成されたはんだバンプ6とを有している。ここで、UBM10は、その周縁部が電極パッド2の周囲に形成された絶縁膜9の周縁部に跨るように形成されている。
【0034】
絶縁膜9の上並びにはんだバンプ6及びUBM10の側面には、フィラー19が添加されたアンダーフィル材18が充填されている。
【0035】
ここで、本実施形態の特徴として、はんだバンプ6は、UBM10の上面との間でのみ接合界面を有している。さらに、アンダーフィル材18は、はんだバンプ6の側面とUBM10の端面との接合部分における角度が鈍角θ2である。
【0036】
このように、はんだバンプ6をUBM10の上面にのみ形成する構造とすると、UBM10の膜厚分だけ、はんだバンプ6の形成位置が高くなるため、はんだバンプ6とUBM10との接合部の近傍及びUBM10と絶縁膜9との接続部の近傍に形成されるアンダーフィル材18の充填領域20を十分に確保することができる。
【0037】
このように、絶縁膜9の上で且つはんだバンプ6及びUBM10の接合部の周囲の充填領域20は、従来の半導体装置のように鋭角θ1ではなく、鈍角θ2となる。すなわち、アンダーフィル材18の充填領域20の形状を先細り形状でなくすることができ、その結果、充填領域20の容積を拡大することが可能となる。充填領域20の容積を拡大すると、毛細管現象で浸透していくアンダーフィル材18は、より浸透性が向上する。該アンダーフィル材18の浸透性が向上すると、該アンダーフィル材18に含まれる粒子状のフィラー19の浸透性も向上する。このため、充填領域20に必要な量のフィラー19を均一に充填することができる。すなわち、はんだバンプ6とUBM10との接合部の外側の充填領域20にフィラー19を十分に且つ均一に充填することができるため、フィラー19と、はんだバンプ6、UBM10及び絶縁膜9との互いの密着性を向上することができる。なお、はんだバンプ6の側面とUBM10の端面との接合部分における角度θ2は鋭角でなければよく、すなわち直角であってもよい。
【0038】
(一実施形態の製造方法)
以下、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について図2及び図3を参照しながら説明する。
【0039】
まず、図2の工程ST1及び図3(a)に示すように、公知の拡散製造プロセスに従って、あらかじめ形成された半導体集積回路と外部接続端子とを電気的に接続できるよう、アルミニウム(Al)、銅(Cu)又は金(Au)等からなる複数の電極パッド2を半導体ウェハ1Aの集積回路の上に形成する。その後、半導体ウェハ1Aの上に、各電極パッド2を露出するように保護絶縁膜7を形成する。続いて、保護絶縁膜7の上に、電極パッド2及び保護絶縁膜7の電極パッド2側の周縁部を露出する絶縁膜9を形成する。このとき、一例として、絶縁膜9における電極パッド2側の端面は、上方に向かって拡がる順テーパ形状とする。
【0040】
次に、図2の工程ST2及び図3(b)に示すように、例えばスピン塗布法により、半導体ウェハ1Aの上にレジスト膜31を全面的に塗布して形成する。レジスト膜31には、例えば、紫外(UV)光の照射により、不溶性となるネガティブ型と、逆に可溶性となるポジティブ型とがあり、開口形状及びマスクの設計仕様等に応じて適宜選択することができる。ここでは、レジスト膜31にポジティブ型を用いている。続いて、レジスト膜31の上にUBM形成領域に開口部を有するUBM形成用マスク32を、半導体ウェハ1Aと位置調整した後に、該半導体ウェハ1Aと重ね合わせ、その後、UBM形成用マスク32の上方からUV光を照射する。
【0041】
次に、図3(c)に示すように、露光したレジスト膜31を現像すると、レジスト膜31のUV光を照射された部分が現像液に溶けるため、UBM形成領域を開口する開口パターンを有するレジスト膜31が形成される。従って、レジスト膜31における開口パターンからは、電極パッド2が露出することになる。ここで、レジスト膜31の開口パターンの端面は、半導体ウェハ1Aの主面に対してほぼ垂直である。その後、図3(d)に示すように、UBM形成用マスク32を除去する。
【0042】
次に、図2の工程ST3及び図3(e)に示すように、電気めっき法又は無電解めっき法により、電極パッド2の上に、後工程で形成されるはんだバンプと接合するUBM10を形成する。UBM10に求められる機能には、めっき法等によって形成される最終金属であるバンプとの低抵抗性、高いはんだ拡散防止機能及び最上層の金属膜のはんだ濡れ性等がある。そこで、UBM10は、電極パッド2の上に、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、金(Au)又は銅(Cu)等の異種の金属を積層して形成する。これにより、はんだバンプ形成時の物理的且つ電気的な接続の機能が果たされる。ここで、UBM10の厚さはレジスト膜31の上面を上限として形成する。
【0043】
次に、図2の工程ST4及び図3(f)に示すように、形成したUBM10の上に、電気めっき法、ボール搭載法又はスクリーン印刷法等によって、複数のはんだバンプ6を一括に形成する。ここで、電気めっき法とは、各UBM10の上に、めっきレジストパターンをマスクとして形成し、はんだめっきを形成し、その後、めっきレジストパターンを除去する。その後、不要な金属層をエッチングにより除去し、最後に熱処理を行って、はんだバンプ6を形成する。また、ボール搭載法は、フラックス印刷用開口部を設けたマスクを用いて、フラックスをスクリーン印刷する。その後、ボール搭載用開口部を設けたマスクを用いてボールを搭載し、リフロー装置又はオーブン装置等により加熱して、はんだバンプ6を形成する。また、スクリーン印刷法は、はんだペースト印刷用開口部を設けたマスクを用いて、はんだペーストを印刷する。その後、ボール搭載法と同様に加熱して、はんだバンプ6を形成する。このとき、UBM10の端面は、レジスト膜31の開口パターンの端面形状と一致するため、該レジスト膜31の開口パターンの端面を半導体ウェハ1Aの主面に垂直に形成した場合は、UBM10の端面も垂直となる。
【0044】
次に、図2の工程ST5、ST6及び図3(g)に示すように、公知の方法により、半導体ウェハ1Aの裏面を研磨し、研磨により薄膜化された半導体ウェハ1Aをチップ単位に個片に分割して複数の半導体チップ1を得る。その後、得られた半導体チップ1を回路配線基板(外部回路)4に対してフリップチップ実装する。このとき、はんだバンプ6が回路配線基板4の外部回路電極パッド5と接続されるように位置合わせを行う。続いて、熱硬化を行って、半導体チップ1と回路配線基板4とをはんだバンプ6によって物理的且つ電気的に接合する。
【0045】
次に、図2の工程ST7及び図3(h)に示すように、UBM10の形成に用いたレジスト膜31を洗浄により除去する。レジスト膜31の役割は、はんだバンプ6をUBM10の端面と接合させないこと、UBM10の端面形状を決定すること、及び絶縁膜9とはんだバンプ6との空間を確保することである。従って、フリップ実装工程の後は、レジスト膜31の役割がいずれも果たされているため、該レジスト膜31は不要となる。レジスト膜31の洗浄方法は、半導体チップ1及び回路配線基板4の全面を薬液に浸漬して洗浄することにより除去する方法が主流である。さらに必要に応じて、はんだバンプ6同士の間に残存する気泡を除去し、気泡の代わりに洗浄剤34を浸透させるための減圧チャンバ機構、キャビテーション効果によって洗浄除去する超音波機構、又はバンプ6同士の間に洗浄剤34を集中可能な噴射ノズル機構等のように、洗浄性を高める機能を用いてもよい。
【0046】
次に、図2の工程ST8及び図3(i)に示すように、半導体チップ1と回路配線基板4との間に、アンダーフィル材18を充填する。本実施形態においては、はんだバンプ6同士の隙間だけでなく、はんだバンプ6とUBM10との隙間にも必要なアンダーフィル材18と該アンダーフィル材18に含まれるフィラー19とを均一に充填できる。このため、アンダーフィル材18にボイドが形成されず、アンダーフィル材18とはんだバンプ6とが密着して固定されるので、加熱冷却ストレス及び物理的ストレスにも耐え得る構造体を形成することができる。
【0047】
このように、本実施形態に係る製造方法によると、図3(f)に示すバンプ形成工程において、UBM10の周囲の端面をレジスト膜31によって覆っているため、UBM10の上に形成されるはんだバンプ6は、UBM10の端面には形成されることはない。その上、図3(h)に示すレジスト膜除去工程において、レジスト膜31を除去するため、はんだバンプ6の側面とUBM10の端面との接合部分における角度が鈍角となる。その結果、はんだバンプ6とUBM10と絶縁膜9とで囲まれる領域に、均一で且つ十分な量のアンダーフィル材11及びフィラー19を充填することができる。
【0048】
(一実施形態の第1変形例)
以下、本発明の一実施形態の第1変形例について図4を参照しながら説明する。
【0049】
図4に示すように、本変形例に係るUBM10は、その端面が厚さ方向の中央部分において内側に湾曲した円弧状であることを特徴とする。
【0050】
前述したように、アンダーフィル材18に添加された粒子状のフィラー19を有効とするには、フィラー19のはんだバンプ6及びUBM10との密着性を高めることが必要である。そこで、本変形例においては、UBM10の端面を内側に湾曲した円弧形状10aとする。この構成により、はんだバンプ6とUBM10との接合部の外側領域の先細り形状をなくすことができるため、フィラー19の充填性を向上することができる。
【0051】
なお、円弧形状10aの湾曲方向は、UBM10の内側(中心方向)であり、すなわちUBM10の半導体チップ1の主面に平行な方向の断面積は、
(底面の断面積S1)>(厚さ方向の中央部分の断面積S2)となる。
【0052】
ここで、UBM10の底面の断面積S1とその厚さ方向の中央部分の断面積S2との差は、半導体装置の目的等に応じて、電気的接続及び接合強度に影響を及ぼさない範囲で調整が可能である。
【0053】
なお、図4に示すように、アンダーフィル材18がUBM10の厚さよりも大きいフィラー19Aを含む場合、アンダーフィル材18の充填領域20にフィラー19Aを充填することができない。従って、この場合には、充填領域20に溶剤のみが浸透してしまい、加熱時に溶剤が揮発して、ボイドが発生してしまう。
【0054】
そこで、はんだバンプ6とUBM10との接合部の近傍の領域にもフィラー19が確実に充填されるように、フィラー19の粒径は、UBM10の厚さよりも小さくする。また、フィラー19の形状は、アンダーフィル材18が毛細管現象を利用して隙間を浸透していくため、多面体でも可能ではあるものの、できれば球状が望ましい。なお、このフィラー19の粒径及び形状は、図1及び図3に示した実施形態にも適用可能である。
【0055】
以下、円弧形状10aの端面を持つUBM10の形成方法について図面を参照しながら説明する。
【0056】
(第1変形例の第1の製造方法)
第1変形例の第1の製造方法は、図5に示すように、レジスト膜形成工程とUBM形成工程とを交互に、例えば5回繰り返す。すなわち、5回繰り返した後にUBM10の厚さが図4に示す所定の厚さとなるようにする。このとき、さらに1回目のレジスト膜形成工程から3回目のレジスト膜形成工程までは、レジスト膜31の開口寸法を段階的に小さくする。一方、4回目のレジスト膜形成工程から5回目のレジスト膜形成工程までは、レジスト膜31の開口寸法を段階的に大きくする。これにより、ほぼ円弧状の端面を持つUBM10を形成することができる。
【0057】
この後は、図3(f)〜図3(i)と同様の工程を経て、図4に示すはんだバンプ6及びUBM10を有する半導体装置を得る。
【0058】
(第1変形例の第2の製造方法)
次に、第1変形例の第2の製造方法について図6を参照しながら説明する。
【0059】
第1変形例の第2の製造方法は、図6に示すように、積層型のレジスト膜31に代えて、フィルム状のレジスト膜31Aを用いる。具体的には、開口端面の厚さ方向の中央部分が開口パターンの中心方向にあらかじめ湾曲した円弧状を有するフィルム状のレジスト膜31Aを、開口パターンから電極パッド2が露出するように、且つ気泡が混入しないように密着させる。
【0060】
なお、フィルム状のレジスト膜31Aの開口形状は、UBM10の形成条件に応じて形成することができる。さらには、異なる開口形状を同一のレジスト膜31Aに形成することも可能である。
【0061】
この後は、図3(e)〜図3(i)と同様の工程を経て、図4に示すはんだバンプ6及びUBM10を有する半導体装置を得る。
【0062】
(第1変形例の第3の製造方法)
次に、第1変形例の第3の製造方法について図7を参照しながら説明する。
【0063】
第1変形例の第3の製造方法は、図7に示すように、開口端面の厚さ方向の中央部分が開口パターンの中心方向にあらかじめ湾曲した円弧状を有するレジストからなるOリング31Bを用いて、UBM10の端面形状を円弧状とする。
【0064】
このような、端面が円弧状のOリング31Bは、フィルム状のレジスト膜31Aと同様に、UBM10の形成条件に応じて形成することができる。また、異なる開口寸法を持たせる場合には、異なる形状のOリング31B同士を密着して形成することも可能である。
【0065】
なお、Oリング31BをUBM10の形成領域の周囲に貼り付ける際には、あらかじめ絶縁膜9の上のUBM形成領域の周囲又はOリング31Bの表面に接着面に接着剤を塗布する。
【0066】
この後は、図3(e)〜図3(i)と同様の工程を経て、図4に示すはんだバンプ6及びUBM10を有する半導体装置を得る。
【0067】
以上説明したように、本実施形態及びその変形例に係る半導体装置は、アンダーフィル材18を毛細管現象を利用してはんだバンプ6同士の間の隙間に注入し、はんだバンプ6とUBM10との接合部の近傍領域にも、フィラー19を含む必要なアンダーフィル材18を均一に充填することができる。このため、はんだバンプ6とフィラー19とが密着して固定されるので、バンプ接合部の応力歪みを緩和することができ、加熱冷却ストレス及び物理的ストレスにも耐え得る接合強度を維持することができる。その結果、狭ピッチ化にも対応可能なはんだバンプ6及びUBM10とからなる構造体を実現することができる。
【0068】
なお、はんだバンプ6の構成材料は、はんだに限られず、はんだ以外の適当な金属材料を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法は、バンプ接合部の応力歪みを緩和することができ、接合強度を維持してバンプ同士の間の狭ピッチ化にも耐え得るバンプ及びUBM構造を得ることができ、特に、外部電極端子にUBMが設けられ、回路配線基板にフリップチップ実装された半導体チップを有する半導体装置等に有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 半導体チップ
1A 半導体ウェハ
2 電極パッド
4 回路配線基板(外部回路)
5 外部回路電極パッド
6 はんだバンプ(金属バンプ)
7 保護絶縁膜
9 絶縁膜
10 アンダーバリアメタル(UBM)
10a 円弧形状
18 アンダーフィル材
19 フィラー
19A 粒径が大きいフィラー
20 充填領域
31 レジスト膜
31A フィルム状のレジスト膜
31B Oリング
32 UBM形成用マスク
34 洗浄剤
S1 底面の断面積
S2 中央部分の断面積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップと、
前記半導体チップの上に形成された電極パッドと、
前記電極パッドの上に形成されたアンダーバリアメタルと、
前記アンダーバリアメタルの上に形成された金属からなるバンプと、
前記アンダーバリアメタル及びバンプの周囲を覆うように形成されたアンダーフィル材とを備え、
前記バンプは、前記アンダーバリアメタルとの接合界面が該アンダーバリアメタルの上面に形成され、
前記アンダーフィル材は、前記バンプの側面と前記アンダーバリアメタルの端面との接合部分における角度が直角又は鈍角であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記アンダーバリアメタルの端面は、該アンダーバリアメタルの厚さ方向の中央部分が内側に湾曲した円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記アンダーフィル材はフィラーを含み、
前記フィラーの粒径は、前記アンダーバリアメタルの厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体基板に形成された半導体集積回路の上に、電極パッドを形成する工程と、
前記半導体集積回路の上の前記電極パッドの周囲に、マスク部材を選択的に形成する工程と、
前記マスク部材から露出する前記電極パッドの上に、アンダーバリアメタルを形成する工程と、
前記マスク部材から露出する前記アンダーバリアメタルの上に、金属からなるバンプを形成する工程と、
前記バンプが形成された半導体基板を分割して半導体チップを形成し、形成された前記半導体チップの前記バンプを配線基板と対向させることにより、前記半導体チップを前記配線基板上にフリップチップ実装する工程と、
前記マスク部材を除去する工程と、
前記マスク部材を除去する工程よりも後に、前記半導体チップと前記配線基板との間に、アンダーフィル材を注入する工程とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記マスク部材の前記電極パッド側の端面は、前記マスク部材の厚さ方向の中央部分が前記電極パッド側に湾曲した円弧状であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記マスク部材は、レジスト材、フィルム状のレジスト材又はレジストからなるOリングであることを特徴とする請求項4又は5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記アンダーフィル材はフィラーを含み、
前記フィラーの粒径は、前記アンダーバリアメタルの厚さよりも小さいことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記バンプを形成する工程は、電気めっき法、ボール搭載法又はスクリーン印刷法を用いることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−142119(P2011−142119A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−409(P2010−409)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】