半導体装置及びその製造方法
【課題】電子部品の生じた熱を金属板及びモールド樹脂を介して効率よく放熱でき、且つ、電気絶縁性を確保することのできる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、両面に電極を有する電子部品20と、電子部品20が配置され、電極の一方と電気的に接続された基板30と、電子部品20上に配置され、電極の他方と電気的に接続された金属板40と、電子部品20、基板30の少なくとも一部、金属板40を一体的に封止するモールド樹脂50を備える。そして、対向配置された2つの部材としての、電子部品20と基板30との間、及び、電子部品20と金属板40との間の少なくとも一方に、樹脂シート60が配置される。樹脂シート60は、ビアホール内に導電材料を配置してなる接続ビア61を有し、樹脂シート60を挟む2つの部材は、接続ビア61に接しつつ接続ビア61を介して接合される。
【解決手段】半導体装置は、両面に電極を有する電子部品20と、電子部品20が配置され、電極の一方と電気的に接続された基板30と、電子部品20上に配置され、電極の他方と電気的に接続された金属板40と、電子部品20、基板30の少なくとも一部、金属板40を一体的に封止するモールド樹脂50を備える。そして、対向配置された2つの部材としての、電子部品20と基板30との間、及び、電子部品20と金属板40との間の少なくとも一方に、樹脂シート60が配置される。樹脂シート60は、ビアホール内に導電材料を配置してなる接続ビア61を有し、樹脂シート60を挟む2つの部材は、接続ビア61に接しつつ接続ビア61を介して接合される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面に電極を有する電子部品と、電子部品が配置され、電極の一方と電気的に接続された電子部品搭載部材と、電子部品上に配置され、電極の他方と電気的に接続された金属板と、電子部品、電子部品搭載部材の少なくとも一部、及び金属板を一体的に封止するモールド樹脂と、を備える半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1,2に記載された構成の半導体装置が知られている。この半導体装置は、両面に電極を有する電子部品と、電子部品が配置され、電極の一方と電気的に接続された電子部品搭載部材と、電子部品上に配置され、電極の他方と電気的に接続された金属板と、電子部品、電子部品搭載部材の少なくとも一部、及び金属板を一体的に封止するモールド樹脂と、を備える。
【0003】
この半導体装置では、ボンディングワイヤに代えて金属板を用いるため、導通損失を低減し、半導体装置の電気的特性を向上することができる。また、ボンディングワイヤよりも金属板のほうが熱マスとしての効果が高いため、金属板及び該金属板の電子部品と反対側に位置するモールド樹脂(以下、金属板を覆うモールド樹脂と示す)を介した外部への放熱性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−123686号公報
【特許文献2】特開2001−291823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1,2に示される従来の半導体装置では、電子部品の電極と金属板とがリフローはんだ付けにより接続され、電子部品の電極と電子部品搭載部材もリフローはんだ付けにより接続される。このため、液状態ではんだ厚がばらつき、これにより、電子部品の厚さ方向において、金属板を覆うモールド樹脂の厚さにばらつきが生じる。例えば所望の厚さより厚いと、金属板及びその上方に位置するモールド樹脂を介した放熱性が低下し、厚さが薄いと、電気絶縁性が低下する。また、金属板が傾いて配置されると、局所的に放熱性や電気絶縁性が低下することとなる。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、電子部品の生じた熱を金属板及びモールド樹脂を介して効率よく放熱でき、且つ、電気絶縁性を確保することのできる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の半導体装置は、
第1主面と、該第1主面と反対の第2主面との両面に電極を有する電子部品(20)と、
電子部品(20)の第1主面に対向配置され、第1主面の電極と電気的に接続された電子部品搭載部材(30,36)と、
電子部品(20)の第2主面に対向配置され、第2主面の電極と電気的に接続された金属板(40)と、
電子部品(20)、電子部品搭載部材(30,36)の少なくとも一部、及び金属板(40)を一体的に封止するモールド樹脂(50)と、を備える。
【0008】
そして、対向配置された2つの部材としての、電子部品(20)と電子部品搭載部材(30,36)、及び、電子部品(20)と金属板(40)、の少なくとも一方の間に樹脂シート(60)が配置され、
樹脂シート(60)は、ビアホール内に導電材料が配置されてなる接続ビア(61)を有しており、モールド樹脂(50)にて封止され、
樹脂シート(60)が間に配置された2つの部材は、接続ビア(61)に接しつつ接続ビア(61)を介して接合されていることを特徴とする。
【0009】
このように、樹脂シート(60)に形成された接続ビア(61)によって、樹脂シート(60)を挟む2つの部材が接合される。すなわち、接続ビア(61)により、2つの部材が、電気的、熱的、及び機械的に接続される。
【0010】
また、電子部品(20)と電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、電子部品(20)と金属板(40)との間の少なくとも一方に、樹脂シート(60)が配置される。このため、樹脂シート(60)が配置された2つの部材の間隔のばらつきを、製造過程において液状となるはんだを用いる構成に較べて小さくすることができる。これにより、金属板(40)を覆うモールド樹脂(51)の厚さのばらつきを小さくすることができる。すなわち、金属板(40)を覆うモールド樹脂(51)の厚さを所望の値とすることができる。
【0011】
以上から、本発明によれば、電子部品(20)の生じた熱を金属板(40)及びモールド樹脂の被覆部分(51)を介して効率よく放熱しつつ電気絶縁性を確保することができる。
【0012】
請求項2に記載のように、
樹脂シート(60)は、熱可塑性樹脂を用いて形成されており、
樹脂シート(60)が間に配置された2つの部材のそれぞれに、樹脂シート(60)が接着している構成とすることが好ましい。
【0013】
このように熱可塑性樹脂を用いると、加熱により樹脂シート(60)を軟化させ、各部材に接着させる(密着させる)ことができる。したがって、熱硬化性樹脂を用いる構成に較べて、樹脂シート(60)を挟む2つの部材、例えば電子部品(20)と金属板(40)の機械的な接続信頼性を向上することができる。また、機械的な接続信頼性を向上することで、電気的な接続信頼性も向上することができる。
【0014】
請求項3に記載のように、
複数の電子部品(21,22)は、共通の樹脂シート(60)を介して、共通の金属板(40)に接続されても良い。
【0015】
これによれば、電子部品(21,22)ごとに樹脂シート(60a,60b)を位置決め配置する構成に較べて、構成を簡素化することができる。
【0016】
請求項4に記載のように、
共通の金属板(40)に接続された複数の電子部品(21,22)として、他の電子部(22)品とは厚さの異なる電子部品(21)を有する場合、
樹脂シート(60)は、熱可塑性樹脂を用いて形成された樹脂フィルム(62a,62b)を複数枚積層しつつ一体化してなり、電子部品(21,22)と該電子部品(21,22)に隣接する樹脂シート(60)との厚さの和が一定となるように、樹脂フィルム(62a,62b)の積層枚数により部分的に厚さが異なる構成とすると良い。
【0017】
これによれば、電子部品(21,22)の厚さのばらつきを、樹脂シート(60)を構成する樹脂フィルム(62a,62b)の積層枚数と配置にて調整するため、金属板(40)の各電子部品(21,22)と対向する部分を覆うモールド樹脂(51)の厚さを一定とすることができる。すなわち、厚さの異なる複数の電子部品(21,22)を採用しながらも、電子部品(21,22)の生じた熱を金属板(40)及びモールド樹脂の被覆部分(51)を介して効率よく放熱しつつ電気絶縁性を確保することができる。
【0018】
一方、請求項5に記載のように、
複数の電子部品(21,22)は、互いに異なる樹脂シート(60a,60b)を介して共通の金属板(40)に接続され、
共通の金属板(40)に接続された複数の電子部品(21,22)として、他の電子部品(22)とは厚さの異なる電子部品(21)を有する場合、
複数の樹脂シート(60a,60b)は、該樹脂シート(60a,60b)と隣接する電子部品(21,22)との厚さの和が一定となるように、電子部品(21,22)に応じて厚さが異なる構成としても良い。
【0019】
これによっても、厚さの異なる複数の電子部品(21,22)を採用しつつ、金属板(40)の各電子部品(21,22)と対向する部分を覆うモールド樹脂(51)の厚さを一定とすることができる。
【0020】
請求項6に記載のように、
電子部品(20)と電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、電子部品(20)と金属板(40)との間の両方に、接続ビア(61)を有する樹脂シート(60)が配置された構成とするとことが好ましい。
【0021】
これによれば、電子部品(20)と電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、電子部品(20)と金属板(40)との間の一方のみに樹脂シート(60)が配置される構成に較べて、金属板(40)を覆うモールド樹脂(51)の厚さのばらつきをより小さくすることができる。
【0022】
請求項7に記載のように、電子部品搭載部材(30)は、絶縁基材(31)に配線(32)が形成された基板であり、
基板(30)は、電子部品(20)の配置面に、電子部品(20)の第1主面の電極と接続される電子部品用ランド(33)を有する構成を採用することもできる。
【0023】
この場合、請求項8に記載のように、
金属板(40)は、基板(30)における電子部品(20)の配置面に形成された金属板用ランド(34)と電気的に接続され、
基板(30)は、電子部品(20)の配置面と反対の面に外部接続用の電極(35)を有し、基板(30)の電極形成面がモールド樹脂(50)に対して露出された構成としても良い。
【0024】
これによれば、外部接続用のリードを有さないため、電子部品(20)の厚さ方向に垂直な方向において、半導体装置(10)の体格を小型化することができる。
【0025】
一方、請求項9に記載のように、
電子部品搭載部材(36)は、リードフレームであり、
電子部品(20)は、リードフレーム(36)のダイパッド(37)に配置されて、電子部品(20)の第1主面の電極がダイパッド(37)に接続され、
金属板(40)は、リードフレーム(36)において電子部品(30)が配置されたダイパッド(37)と電気的に分離された部分(38)に接続された構成を採用することもできる。
【0026】
次に、請求項10に記載の発明は、
第1主面と、該第1主面と反対の第2主面との両面に電極を有する電子部品(20)を、第1主面が対向するように電子部品搭載部材(30,36)に配置するとともに、電子部品(20)の第2主面上に金属板(40)を配置し、第1主面の電極と電子部品搭載部材(30,36)の接続部(33)、及び、第2主面の電極と金属板(40)をそれぞれ電気的に接続する接続工程と、
接続工程後、電子部品(20)、電子部品搭載部材(30,36)の少なくとも一部、及び金属板(40)を一体的に封止するように、モールド樹脂(50)を成形する成形工程と、を備える半導体装置の製造方法であって、
接続工程として、
電子部品(20)と電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、電子部品(20)と金属板(40)との間の少なくとも一方に、熱可塑性樹脂を用いて形成され、導電性ペースト(61a)の充填されたビアホールを有する樹脂シート(60)を配置して積層体を形成する積層工程と、
積層体を、積層方向において加圧しつつ加熱することで、樹脂シート(60)を軟化させて樹脂シート(60)を挟む2つの部材のそれぞれに接着させるとともに、導電性ペースト(61a)中の導電性粒子を焼結させて2つの部材を接合する加圧・加熱工程と、を有することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、請求項2に記載の半導体装置を形成することができる。また、その作用効果は、請求項1,2に記載の発明の作用効果と同じであるのでその記載を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図であり、便宜上、モールド樹脂を省略している。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、仮接着工程を示す。
【図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、積層工程及び加圧・加熱工程を示す。
【図5】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、基板の準備工程を示す。
【図6】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、実装工程を示す。
【図7】第2実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図8】第3実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図9】第3実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、積層工程及び加圧・加熱工程を示す。
【図10】第4実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図11】第4実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、金属板上に、樹脂シート及び縦型素子を仮接着する工程を示す。
【図12】第4実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、基板の準備工程を示す。
【図13】その他変形例を示す断面図である。
【図14】その他変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図面において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。また、電子部品の厚さ方向を単に厚さ方向と示し、該厚さ方向に垂直な方向を単に垂直な方向と示す。また、特に断りのない限り、厚さとは、厚さ方向に沿う長さを示すものとする。
【0030】
(第1実施形態)
図1及び図2に示す半導体装置10は、縦型素子20と、縦型素子20が配置され、縦型素子20の一方の電極が電気的に接続された基板30と、縦型素子20上、すなわち縦型素子20に対して基板30と反対側に配置され、縦型素子20の他方の電極が電気的に接続された金属板40と、縦型素子20、基板30における縦型素子配置面、及び金属板40を一体的に封止するモールド樹脂50を備える。さらに本実施形態では、縦型素子20と金属板40との間に配置された樹脂シート60を備える。
【0031】
縦型素子20は、厚さ方向の両端をなす第1主面及び第2主面にそれぞれ電極を有する素子である。この縦型素子20が、特許請求の範囲に記載の両面に電極を有する電子部品に相当する。なお、基板30との対向面が第1主面、金属板40との対向面が第2主面となっている。このような縦型素子20としては、IGBTやMOSFETなどの発熱量の大きいパワー系半導体素子、ダイオード、ICなどを採用することができる。
【0032】
本実施形態では、基板30に対し、4つの縦型素子20が配置されている。4つの縦型素子20のうち、2つはIGBT21、残りの2つは転流ダイオード22(以下、FWD22と示す)である。そして、1つのIGBT21に対して1つのFWD22が逆並列に接続されており、2つの金属板40(40a,40b)に、それぞれ1組のIGBT21及びFWD22が接続されている。また、2つのIGBT21は互いに直列に接続されており、これら4つの縦型素子20により、インバータが構成されている。そして、2つのIGBT21の接続点(中点)が、モータなどの負荷に接続されるようになっている。なお、図1に示す金属板40a側が、インバータのハイサイド(高電位)側アームを構成し、金属板40b側がローサイド側アームを構成している。
【0033】
IGBT21は、第1主面にゲート電極及びエミッタ電極を有し、第2主面にコレクタ電極を有する。一方、FWD22は、第1主面にアノード電極を有し、第2主面にカソード電極を有する。そして、共通の金属板40に接続されたIGBT21及びFWD22において、IGBT21のエミッタ電極とFWD22のアノード電極は、基板30の配線32を介して電気的に接続されている。また、IGBT21のコレクタ電極とFWD22のカソード電極は、樹脂シート60の接続ビア61及び金属板40を介して、電気的に接続されている。また、縦型素子20(21,22)の各電極は、Niを含んで構成されている。
【0034】
これら縦型素子20は、基板30の一面に対向配置されている。また、本実施形態では、図1に示すように、縦型素子20(21,22)以外の電子部品23も、基板30の一面に配置されている。なお、このような電子部品23としては、コンデンサ、コイル、抵抗などを採用することができる。
【0035】
基板30は、樹脂やセラミックなどの絶縁材料を用いて形成された絶縁基材31に、配線部32を設けてなり、その一面に、配線部32の一部としてのランド33を有している。この基板30が、特許請求の範囲に記載の電子部品搭載部材に相当する。
【0036】
本実施形態の基板30は、エポキシ樹脂系材料からなる絶縁基材31に、配線部32を構成する導体パターン32aが多層に配置されてなる多層基板となっている。なお、ランド33は、配線部32のうち、導体パターン32aの一部である。また、符号32bは、導体パターン32aとともに配線部32を構成する層間接続部である。
【0037】
そして、基板30の一面、すなわち縦型素子20の配置面に、ランド33として、IGBT21のゲート電極用のランド33a、エミッタ電極用のランド33b、FWD22のアノード電極用のランド33cが形成されている。また、これらランド33とは別に、金属板40用のランド34が形成されている。そして、IGBT21のゲート電極とランド33a、エミッタ電極とランド33b、FWD22のアノード電極とランド33c、及び金属板40とランド34が、はんだ70にて電気的且つ機械的に接続されている。本実施形態では、はんだ70として、Sn−Ag−Cuはんだを採用している。
【0038】
一方、基板30の縦型素子配置面の裏面には、外部接続用のパッド35が形成されている。なお、図2に示すパッド35は、IGBT21のゲート電極に配線部32を介して接続されたパッドと、金属板40、すなわちIGBT21のコレクタ電極とFWD22のカソード電極IGBT21のコレクタ電極とFWD22のカソード電極に、配線部32を介して接続されたパッド35である。パッド35としては、図示しないがそれ以外に、ハイサイド側IGBT21のエミッタ電極とローサイド側IGBT21のコレクタ電極との接続点(中点)に接続されたパッド、ローサイド側のIGBT21のエミッタ電極及びFWD22のアノード電極に共通のパッドなどを有している。
【0039】
金属板40は、縦型素子20に対して電流経路としての機能を果たすとともに、縦型素子20の生じた熱を蓄熱して放熱する機能を果たすものである。この金属板40は、縦型素子20の第2主面に対向配置されて、第2主面に形成された電極と電気的に接続されている。
【0040】
金属板40の構成材料は、モールド樹脂50よりも熱伝導性の高い金属材料であれば特に限定されるものではない。例えば、銅や銅合金、アルミニウムなどを採用することができる。本実施形態では、熱伝導性が高い、加工しやすい、安価であるとの観点で、銅からなる金属板40を採用している。
【0041】
また、本実施形態では、金属板40が、縦型素子20に対して対向配置される対向部41と、該対向部41から延びた脚部42を有している。対向部41は、所定の厚さを有し、垂直方向に沿う平面形状が矩形の平板状をなしており、この対向部41に対し、1組のIGBT21及びFWD22が対向配置されている。脚部42は、対向部41の矩形の四隅近傍にそれぞれ設けられており、各脚部42の先端が、はんだ70を介して、対応するランド34に電気的且つ機械的に接続されている。また、対向部41の厚さは、脚部42の厚さよりも厚くなっている。これにより、金属板40の対向部41は、効果的に熱マスとしての蓄熱機能を果たすようになっている。
【0042】
樹脂シート60は、半導体装置10の製造過程から、縦型素子20の第2主面と金属板40との対向距離(間隔)を、ばらつきの小さい状態で保持するとともに、縦型素子20と金属板40とを、電気的、熱的、及び機械的に接続する機能を果たすものである。このため、樹脂シート60は、ビアホール内に導電材料を配置してなる接続ビア61を有している。
【0043】
本実施形態では、樹脂シート60が、熱可塑性樹脂を用いて形成された1枚の熱可塑性樹脂フィルムからなる。そして、樹脂シート60は、該樹脂シート60を挟む縦型素子20及び金属板40のそれぞれに接着している。このような熱可塑性樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂とともに、ガラス繊維、アラミド繊維などの無機材料を含むフィルム、無機材料を含まない熱可塑性樹脂からなるフィルムのいずれも採用することができる。本実施形態では、熱可塑性樹脂フィルムとして、ガラス繊維などの無機材料や線膨張係数などを調整するための無機フィラーを含まない、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)30重量%とポリエーテルイミド(PEI)70重量%からなる樹脂フィルムを採用している。
【0044】
そして、1つの縦型素子20につき、1枚の樹脂シート60が配置されている。なお、樹脂シート60のうち、符号60aは、IGBT21に接して配置された樹脂シート、符号60bは、FWD22に接して配置された樹脂シートである。本実施形態では、IGBT21の第2主面全面がコレクタ電極、FWD22の第2主面全面がカソード電極となっており、これら樹脂シート60(60a,60b)は、対応する縦型素子20(21,22)の第2主面とほぼ同じ大きさ及び形状を有し、第2主面全域を覆っている。また、図2に示すように、IGBT21とFWD22の厚さがともにほぼ等しいため、樹脂シート60a,60bの厚さもほぼ等しい厚さとなっている。
【0045】
接続ビア61は、熱可塑性樹脂フィルムにおいて、厚さ方向に沿って設けたビアホール(貫通孔)に導電性ペーストを充填し、この導電性ペースト中の導電性粒子を加圧・加熱により焼結してなるものである。本実施形態では、接続ビア61がAg−Sn合金からなる。また、各樹脂シート60a,60bにおいて、複数の接続ビア61が、所定ピッチで格子状に配列されている。また、IGBT21のほうがFWD22よりも垂直方向に沿う大きさが大きいため、樹脂シート60aのほうが樹脂シート60よりも接続ビア61の個数が多いものとなっている。
【0046】
モールド樹脂50は、縦型素子20、基板30におけるランド33を含む少なくとも一部、及び金属板40を一体的に封止するものである。このため、縦型素子20と金属板40とを接続する樹脂シート60、縦型素子20と基板30のランド33とを接続するはんだ70も、このモールド樹脂50により封止されている。
【0047】
モールド樹脂50の構成材料としては、エポキシ樹脂などの周知の樹脂材料を採用することができる。本実施形態では、エポキシ樹脂を用いたトランスファ成形により、モールド樹脂が形成されている。また、基板30のうち、縦型素子20の配置された一面全面が、モールド樹脂50によって被覆されている。このため、縦型素子20以外の電子部品23もモールド樹脂50により封止されている。
【0048】
また、モールド樹脂50のうち、厚さ方向において金属板40における縦型素子20と反対側に位置する部分、すなわち金属板40を覆う被覆部51の厚さは、所定の厚さとなっている。なお、縦型素子20の生じた熱は、樹脂シート60の接続ビア61を介して金属板40に伝達され、金属板40から被覆部51を介して半導体装置10の外部に放熱される。このため、被覆部51の厚さが薄いほど、放熱性を向上することができる。一方、縦型素子20には大電流が流れるため、被覆部51は必要であるが、この被覆部51の厚さが厚いほど、電気絶縁性を向上することができる。この点を考慮し、本実施形態では、被覆部51の厚さが、放熱性を向上しつつ電気絶縁性を確保できる所定の厚さとなっている。
【0049】
次に、上記した半導体装置10の製造方法の一例について、図2〜図6を用いて説明する。
【0050】
先ず、樹脂シート60を準備する。本実施形態では、樹脂シート60(60a,60b)として、ガラス繊維などの無機材料や線膨張係数などを調整するための無機フィラーを含まない、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)30重量%とポリエーテルイミド(PEI)70重量%からなる熱可塑性樹脂フィルムをそれぞれ1枚用いる。そして、この熱可塑性樹脂フィルムに炭酸ガスレーザなどにより、樹脂フィルムを貫通するビアホールを形成し、スクリーン印刷などによって、導電性ペースト61aをビアホール内に充填する。
【0051】
導電性ペースト61aは、導電性粒子にエチルセルロース樹脂やアクリル樹脂などを保形性付与のため添加し、テルピネオールなどの有機溶剤を加えた状態で混練することで得ることができる。底のないビアホール内に導電性ペースト61aを留めるには、本出願人による特開2010−123760号公報に記載の導電性ペーストを用いると良い。また、この導電性ペースト61aを充填する装置(方法)としては、本出願人による特開2010−228104号公報に記載の装置(方法)を採用すると良い。
【0052】
この導電性ペースト61aは、導電性粒子に対し、導電性粒子の焼結温度よりも低い温度で分解または揮発するとともに、該温度よりも低く、室温よりも高い温度で溶融状態となり、室温で固体状態となる低融点室温固体樹脂が添加されている。低融点室温固体樹脂としては、例えばパラフィンがある。これによれば、充填時には加温することで、低融点室温固体樹脂が溶融してペースト状となり、充填後の冷却において、低融点室温固体樹脂が固化することで導電性ペースト61aも固まって、ビアホール内に保持することができる。なお、充填する際には、ビアホールの一端を平坦な部材にて塞いでおけば良い。
【0053】
また、樹脂シート60の形成に併せて、周知の半導体プロセスにより、縦型素子20(21,22)を形成する。
【0054】
樹脂シート60及び縦型素子20の準備後、図3に示すように、第2主面を搭載面として縦型素子20(21,22)を樹脂シート60(60a,60b)に載置する。そして、例えばパルスヒート方式の熱圧着ツール(図示略)により、縦型素子20(21,22)を第1主面側から加圧しつつ加熱して、樹脂シート60を縦型素子20に接着する(密着させる)仮接着工程を行う。すなわち、縦型素子20と樹脂シート60とを一体させる。この仮接着工程では、樹脂シート60の表面が軟化して接着機能を有する程度、すなわち、樹脂シート60全体の体格が殆ど変化しない程度の加圧・加熱条件、例えば樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上融点以下の温度とする。
【0055】
次いで、縦型素子20と一体化した樹脂シート60を、図4に示すように、縦型素子20と反対の面が金属板40の対向部41に接するように、対向部41における基板30側の面に載置する積層工程を行う。すなわち、金属板40上に、樹脂シート60を介して縦型素子20を積層して積層体を形成する。そして、例えばパルスヒート方式の熱圧着ツール(図示略)により、縦型素子20(21,22)を第1主面側から加圧しつつ加熱して、樹脂シート60を金属板40に接着させるとともに、導電性ペースト61a中の導電性粒子を焼結して、縦型素子20と金属板40とを電気的に接続する加圧・加熱工程を行う。この加圧・加熱工程では、樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上融点以下の温度(例えば280℃)とする。
【0056】
この加圧・加熱工程(接続工程)では、導電性ペースト61a中のSn(融点232℃)が溶融し、同じく導電性ペースト61a中のAg粒子に拡散して、Ag−Sn合金(融点480℃)を形成する。また、導電性ペースト61aに圧力が加えられているため、焼結により一体化した合金からなる接続ビア61がビアホール内に形成される。
【0057】
溶融したSnは、金属板40を構成するCuとも相互拡散する。これにより、接続ビア61と金属板40の界面に金属拡散層(Cu−Sn合金層)が形成される。また、溶融したSnは、縦型素子20の電極(IGBT21のコレクタ電極、FWD22のカソード電極)を構成するNiとも相互拡散する。これにより、接続ビア61と電極との界面に金属拡散層(Ni−Sn合金層)が形成される。
【0058】
以上により、接続ビア61を介して縦型素子20と金属板40とが、電気的、熱的、及び機械的に接続される。また、樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂が金属板40にも接着するため、縦型素子20及び金属板40の両方に接着する樹脂シート60によっても、縦型素子20と金属板40とが機械的に接続される。そして、金属板40、樹脂シート60、及び縦型素子20(21,22)が一体化されたユニット80が形成される。
【0059】
また、図5に示すように、基板30を別途準備し、この基板30のランド33,34上に例えばペースト状のはんだ70を塗布する。
【0060】
そして、縦型素子20の第1主面に形成された対応する電極、及び、金属板40の脚部42の先端が、基板30のはんだ70に接するように、基板30のランド形成面にユニット80を載置する。そして、リフローにより、縦型素子20(21,22)の電極と対応するランド33(33a〜33c)とをはんだ70を介して接合し、金属板40の脚部42と対応するランド34とをはんだ70を介して接合する実装工程を行う。この実装工程により、図6に示すように、基板30にユニット80が一体化された状態となる。なお、上記した積層工程、加圧・加熱工程、及び実装工程が、特許請求の範囲に記載の接続工程に相当する。
【0061】
次いで、ユニット80が一体化された基板30を、図示しない金型のキャビティに配置し、キャビティ内に樹脂を注入してモールド樹脂50を成形する成形工程を行う。本実施形態では、エポキシ樹脂を用いたトランスファ成形により、モールド樹脂50を形成する。以上により、図1及び図2に示す半導体装置10を得ることができる。
【0062】
次に、上記した半導体装置10及びその製造方法の特徴部分の効果について説明する。
【0063】
本実施形態では、樹脂シート60に形成された接続ビア61によって、樹脂シート60を挟む縦型素子20と金属板40が接合される。すなわち、接続ビア61により、縦型素子20と金属板40が、電気的、熱的、及び機械的に接続される。
【0064】
また、縦型素子20と金属板40の間に、所定厚さの樹脂シート60が配置される。樹脂シート60の厚さは、その製造過程において殆ど変化しない。このため、製造過程において液状となるはんだを用いる構成に較べて、縦型素子20と金属板40の間隔のばらつきを小さくすることができる。これにより、金属板40を覆うモールド樹脂50の被覆部51の厚さのばらつきを小さくすることができる。すなわち、金属板40を覆う被覆部51の厚さを所望の値とすることができる。
【0065】
以上から、本実施形態によれば、縦型素子20の生じた熱を金属板40及びモールド樹脂50の被覆部51を介して外部に効率よく放熱しつつ電気絶縁性を確保することができる。特に本実施形態では、縦型素子20の第1主面側に、絶縁基材31を有する基板30が存在し、第1主面側へ放熱しがたい構成となっているが、上記構成を採用するため、第2主面側に効率よく放熱することができる。
【0066】
また、本実施形態では、樹脂シート60が、熱可塑性樹脂を用いて形成されており、隣接する縦型素子20及び金属板40の両方に接着している。したがって、熱硬化性樹脂を用いる構成に較べて、縦型素子20と金属板40との機械的な接続信頼性を向上することができる。また、機械的な接続信頼性を向上することで、電気的な接続信頼性(長期安定性)も向上することができる。
【0067】
また、本実施形態では、金属板40の脚部42を基板30のランド34に接続させており、半導体装置10は、外部接続用のパッド35を、モールド樹脂50に被覆されない縦型素子配置面の裏面に設けている。このように、外部接続用のリードを有さないため、垂直方向において、半導体装置10の体格を小型化することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、樹脂シート60(60a,60b)を縦型素子20(21,22)に仮接着してから、縦型素子20を金属板40と接続する例を示した。しかしながら、仮接着工程を省略し、金属板40上に、樹脂シート60、縦型素子20の順で積層した後、加圧・加熱により、縦型素子20を金属板40と接続するようにしても良い。これによれば、製造工程を簡素化することができる。この場合、加圧・加熱工程において、樹脂シート60は縦型素子20及び金属板40の両方に接着することとなる。
【0069】
(第2実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した半導体装置10及びその製造方法と共通する部分についての説明は割愛する。第1実施形態では、共通の金属板40(40a,40b)に接続される複数の縦型素子21,22の厚さがほぼ同じであり、各縦型素子21,22に隣接する樹脂シート60a,60bの厚さもほぼ等しい例を示した。
【0070】
これに対し、本実施形態では、図7に示すように、複数の縦型素子21,22の厚さが互いに異なっている。そして、縦型素子21と樹脂シート60aの厚さの和と、縦型素子22と樹脂シート60bの厚さの和とが同じとなるように、樹脂シート60a,60bの厚さが設定されている。すなわち、厚さの薄い縦型素子21に対応する樹脂シート60aは厚く、厚さの厚い縦型素子22に対応する樹脂シート60bは薄くなっている。なお、本実施形態では、厚さの異なる熱可塑性樹脂フィルムを用いることで、樹脂シート60a,60bの厚さを異ならせている。
【0071】
このように、本実施形態によれば、縦型素子21,22の厚さが互いに異なりながらも、モールド樹脂50の被覆部51の厚さを、金属板40の縦型素子21,22と対向する部分である対向部41全域で一定とすることができる。すなわち、厚さの異なる複数の縦型素子21,22を採用しながらも、縦型素子21,22の生じた熱を金属板40及びモールド樹脂50の被覆部51を介して効率よく放熱しつつ、電気絶縁性を確保することができる。
【0072】
(第3実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した半導体装置10及びその製造方法と共通する部分についての説明は割愛する。第1実施形態及び第2実施形態では、縦型素子21,22ごとに、個別に樹脂シート60a,60bが配置される例を示した。これに対し、本実施形態では、図8に示すように、共通の金属板40に接続された縦型素子21,22に対し、共通の樹脂シート60(1つの樹脂シート60)が配置される点を第1の特徴点とする。これによれば、上記実施形態に較べて、構成及び製造工程を簡素化することができる。
【0073】
また、第2実施形態では、樹脂シート60a,60bを構成する熱可塑性樹脂フィルムの厚さを異ならせることで、厚さの異なる縦型素子21,22に対応する例を示した。これに対し、本実施形態では、図9に示すように、複数枚の熱可塑性樹脂フィルム62a,62bを部分的に積層して樹脂シート60を構成する点を第2の特徴点とする。
【0074】
樹脂シート60は、縦型素子21,22と樹脂シート60との厚さの和が一定となるように、厚さの薄い縦型素子21に対応する部分は、2枚の樹脂フィルム62a,62bによる積層構造、厚さの厚い縦型素子22に対応する部分は、1枚の樹脂フィルム62aのみとなっている。このように、樹脂フィルム62a,62bの積層枚数に差を付けて、樹脂シート60の厚さを部分的に異ならせている。
【0075】
これによれば、縦型素子21,22の厚さのばらつきを、樹脂シート60を構成する樹脂フィルム62a,62bの積層枚数と配置にて調整するため、モールド樹脂50の被覆部51の厚さを一定とすることができる。すなわち、厚さの異なる複数の縦型素子21,22を採用しながらも、縦型素子21,22の生じた熱を金属板40及び被覆部51を介して外部に効率よく放熱しつつ電気絶縁性を確保することができる。
【0076】
なお、本実施形態では、図9に示すように、金属板40上に、熱可塑性樹脂フィルム62a、熱可塑性樹脂フィルム62bの順に積層して樹脂シート60とし、この樹脂シート60上に、縦型素子20を配置する。この時点で、熱可塑性樹脂フィルム62a,62bは一体化していない。そして、加圧・加熱により、縦型素子20を金属板40と接続する。この加圧・加熱によって、熱可塑性樹脂フィルム62a,62bは、縦型素子21,22及び金属板40に接着するとともに、相互に接着する。また、各熱可塑性樹脂フィルム62a,62bにおいて、導電性ペースト61a中の導電性粒子が焼結して接続ビア61となる。そして、接続ビア61同士が一体化する。以上により、樹脂シート60を介して縦型素子20が金属板40に一体化されたユニット80となる。以下の工程は、第1実施形態と同じである。なお、第1実施形態に示したように、積層工程の前に、仮接着工程を実施し、樹脂シート60を縦型素子20に接着するとともに、熱可塑性樹脂フィルム62a,62bを相互に接着するようにしても良い。
【0077】
また、本実施形態では、樹脂シート60が第1の特徴点を有した上でさらに第2の特徴点を有する例を示した。しかしながら、第1の特徴点のみを有する構成としても良い。例えば第1実施形態に示す構成において、共通の樹脂シート60を採用しても良い。
【0078】
(第4実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した半導体装置10及びその製造方法と共通する部分についての説明は割愛する。上記各実施形態では、縦型素子20(21,22)と金属板40との間のみに樹脂シート60(60a,60b)が配置される例を示した。これに対し、本実施形態では、図10に示すように、縦型素子20(21,22)と金属板40との間、及び、縦型素子20(21,22)と基板30との間の両方に、接続ビア61を有する樹脂シート60が配置されている点を特徴とする。
【0079】
なお、図10において、符号60aはIGBT21と金属板40との間に配置された樹脂シート、符号60bは、FWD22と金属板40との間に配置された樹脂シート、符号60cは、IGBT21と基板30との間に配置された樹脂シート、符号60dは、FWD22と金属板40との間に配置された樹脂シートである。
【0080】
IGBT21の基板30と対向する第1主面には、ゲート電極とエミッタ電極が形成されているが、本実施形態では、両電極に対し樹脂シート60は共通となっており、樹脂シート60に形成された接続ビア61により、ゲート電極が対応するランド33aと選択的に接続され、エミッタ電極が対応するランド33bと選択的に接続されている。
【0081】
また、図10では、第1実施形態同様、IGBT21とFWD22の厚さがほぼ同じとなっており、樹脂シート60a,60bの厚さが互いにほぼ等しい厚さとなっている。また、樹脂シート60c,60dの厚さも、互いにほぼ等しい厚さとなっている。
【0082】
これによれば、基板30と縦型素子20の間、縦型素子20と金属板40の間に、それぞれ所定厚さの樹脂シート60が配置され、厚さ方向において、基板30、縦型素子20、金属板40の間にはんだが存在しない。また、樹脂シート60の厚さは、その製造過程において殆ど変化しない。このため、製造過程において液状となるはんだを用いる構成に較べて、縦型素子20と金属板40の間隔のばらつき、及び、基板30と縦型素子20の間隔のばらつきを、それぞれ小さくすることができる。すなわち、基板30と金属板40の間隔のばらつきをより小さくすることができる。これにより、金属板40を覆うモールド樹脂50の被覆部51の厚さのばらつきをより小さくすることができる。
【0083】
なお、このような半導体装置10は、例えば以下の製造方法により形成することができる。図11に示すように、金属板40上に、樹脂シート60a,60bを載置し、樹脂シート60a上にIGBT21、樹脂シート60b上にFWD22を載置する。次いで、IGBT21上に樹脂シート60cを載置し、FWD22上に樹脂シート60dを載置して積層体を形成する。そして、この積層体を加圧・加熱することで、各樹脂シート60を隣接する縦型素子20、金属板40に接着する(密着させる)仮接着を行う。これにより、縦型素子20と金属板40が一体化してなるユニット80が形成される。ユニット80では、導電性ペースト61a中の導電性粒子は完全に焼結していない。この仮接着では、各樹脂シート60の表面が軟化して接着機能を有する程度、すなわち、樹脂シート60全体の体格が殆ど変化しない程度の加圧・加熱条件、例えば樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上融点以下の温度とする。
【0084】
そして、ユニット80を図12に示す基板30に載置し、例えばパルスヒート方式の熱圧着ツール(図示略)により、金属板40側から加圧しつつ加熱して、樹脂シート60c,60dを基板30に接着させるとともに、各樹脂シート60において導電性ペースト61a中の導電性粒子を焼結して、基板30と縦型素子20(21,22)、縦型素子20(21,22)と金属板40とを電気的に接続する加圧・加熱工程を行う。この加圧・加熱工程では、樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上融点以下の温度(例えば280℃)とする。その後、リフローにより、金属板40の脚部42と対応するランド34とをはんだ70を介して接合する実装工程を行う。以下の工程は、第1実施形態と同じである。なお、加圧・加熱工程において、金属板40の脚部42と対応するランド34とのはんだ70を介した接合を併せて行っても良い。また、基板30上に、樹脂シート60c,60dを載置し、樹脂シート60c上にIGBT21、樹脂シート60d上にFWD22を載置する。次いで、IGBT21上に樹脂シート60aを載置し、FWD22上に樹脂シート60bを載置して積層体を形成する。そして、この積層体を加圧・加熱することで、各樹脂シート60を隣接する縦型素子20、金属板40に接着する(密着させる)仮接着を行う。その後、金属板40を基板30上に載置しても良い。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0086】
上記実施形態では、1つの金属板40に対し、2つの縦型素子20(21,22)が配置される例を示した。しかしながら、縦型素子20の個数は上記例に限定されるものではない。例えば図13に示すように、1つの金属板40に1つの縦型素子20(例えばIGBT)が配置される構成としても良い。図13では、第1実施形態同様、縦型素子20の第2主面と金属板40の間のみに樹脂シート60が配置されている。また、それ以外の例として、1つの金属板40に対し、3つ以上の縦型素子20が配置されても良い。
【0087】
第1実施形態〜第3実施形態では、縦型素子20と金属板40の間のみに樹脂シート60が配置される例を示したが、縦型素子20と基板30の間のみに樹脂シート60が配置される構成としても良い。
【0088】
上記実施形態では、電子部品搭載部材として基板30の例を示した。しかしながら、図14に示すように、電子部品搭載部材として、リードフレーム36を採用することもできる。図14では、リードフレーム36が、縦型素子20の配置されるダイパッド37と、外部接続用端子としてのリード38を有している。また、縦型素子20としてIGBTを採用しており、ダイパッド37として、ゲート電極用のダイパッド37aとエミッタ電極用のダイパッド37bを有している。また、リード38は、モールド樹脂50から一部が外部に延出されており、金属板40の脚部42は、はんだ70によりリード38と接続されている。図14に示す例では、このリード38が、特許請求の範囲に記載の縦型素子20の配置されたダイパッド37(37a,37b)と電気的に分離された部分に相当する。図14に示す半導体装置10では、ダイパッド37(37a,37b)がモールド樹脂50により封止されており、厚さ方向において、縦型素子20の生じた熱を第1主面側に放熱しがたい構成となっている。しかしながら、縦型素子20の生じた熱を、樹脂シート60の接続ビア61を介して、金属板40の対向部41に伝達させ、金属板40から被覆部51を介して外部に放熱させることができる。
【0089】
なお、図14では、リード38に金属板40の脚部42が接続される例を示しているが、例えば上記ダイパッド37と電気的に分離され、電子部品23が実装されたダイパッドを有する場合、このダイパッドに脚部42を接続させることもできる。
【0090】
上記実施形態では、樹脂シート60を構成する樹脂として熱可塑性樹脂の例を示した。しかしながら、熱硬化性樹脂を採用することもできる。熱硬化性樹脂の場合、Bステージ状態のものを用いれば、熱可塑性樹脂同様、樹脂シート60を縦型素子20などに接着させることもできる。
【0091】
また、樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂も上記例に限定されない。例えば、PEEK/PEIからなるものであっても、上記例とは比率の異なるものを採用しても良い。また、PEEK/PEI以外の構成材料、例えば液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などを採用しても良い。
【0092】
上記実施形態では、樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂フィルムとして、ガラス繊維、アラミド繊維などの基材に用いられる無機材料、融点や線膨張係数の調整のために添加される無機フィラーを有さないフィルムを用いる例を示した。これによれば、加圧・加熱する際に、縦型素子20への局所的な応力印加を抑制することができる。しかしながら、ガラス繊維、アラミド繊維などの基材に用いられる無機材料、融点や線膨張係数の調整のために添加される無機フィラーを有するフィルムを採用することもできる。
【符号の説明】
【0093】
10・・・半導体装置
20・・・縦型素子(両面に電極を有する電子部品)
21・・・IGBT
22・・・FWD
23・・・電子部品
30・・・基板(電子部品搭載部材)
31・・・絶縁基材
32・・・配線部
33,33a〜33c・・・ランド(電子部品用ランド)
34・・・ランド(金属板用ランド)
35・・・パッド
36・・・リードフレーム(電子部品搭載部材)
37,37a,37b・・・ダイパッド
38・・・リード
40,40a,40b・・・金属板
41・・・対向部
42・・・脚部
50・・・モールド樹脂
51・・・被覆部
60,60a,60b,60c,60d・・・樹脂シート
61・・・接続ビア
61a・・・導電性ペースト
62a,62b・・・樹脂フィルム
70・・・はんだ
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面に電極を有する電子部品と、電子部品が配置され、電極の一方と電気的に接続された電子部品搭載部材と、電子部品上に配置され、電極の他方と電気的に接続された金属板と、電子部品、電子部品搭載部材の少なくとも一部、及び金属板を一体的に封止するモールド樹脂と、を備える半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1,2に記載された構成の半導体装置が知られている。この半導体装置は、両面に電極を有する電子部品と、電子部品が配置され、電極の一方と電気的に接続された電子部品搭載部材と、電子部品上に配置され、電極の他方と電気的に接続された金属板と、電子部品、電子部品搭載部材の少なくとも一部、及び金属板を一体的に封止するモールド樹脂と、を備える。
【0003】
この半導体装置では、ボンディングワイヤに代えて金属板を用いるため、導通損失を低減し、半導体装置の電気的特性を向上することができる。また、ボンディングワイヤよりも金属板のほうが熱マスとしての効果が高いため、金属板及び該金属板の電子部品と反対側に位置するモールド樹脂(以下、金属板を覆うモールド樹脂と示す)を介した外部への放熱性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−123686号公報
【特許文献2】特開2001−291823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1,2に示される従来の半導体装置では、電子部品の電極と金属板とがリフローはんだ付けにより接続され、電子部品の電極と電子部品搭載部材もリフローはんだ付けにより接続される。このため、液状態ではんだ厚がばらつき、これにより、電子部品の厚さ方向において、金属板を覆うモールド樹脂の厚さにばらつきが生じる。例えば所望の厚さより厚いと、金属板及びその上方に位置するモールド樹脂を介した放熱性が低下し、厚さが薄いと、電気絶縁性が低下する。また、金属板が傾いて配置されると、局所的に放熱性や電気絶縁性が低下することとなる。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、電子部品の生じた熱を金属板及びモールド樹脂を介して効率よく放熱でき、且つ、電気絶縁性を確保することのできる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の半導体装置は、
第1主面と、該第1主面と反対の第2主面との両面に電極を有する電子部品(20)と、
電子部品(20)の第1主面に対向配置され、第1主面の電極と電気的に接続された電子部品搭載部材(30,36)と、
電子部品(20)の第2主面に対向配置され、第2主面の電極と電気的に接続された金属板(40)と、
電子部品(20)、電子部品搭載部材(30,36)の少なくとも一部、及び金属板(40)を一体的に封止するモールド樹脂(50)と、を備える。
【0008】
そして、対向配置された2つの部材としての、電子部品(20)と電子部品搭載部材(30,36)、及び、電子部品(20)と金属板(40)、の少なくとも一方の間に樹脂シート(60)が配置され、
樹脂シート(60)は、ビアホール内に導電材料が配置されてなる接続ビア(61)を有しており、モールド樹脂(50)にて封止され、
樹脂シート(60)が間に配置された2つの部材は、接続ビア(61)に接しつつ接続ビア(61)を介して接合されていることを特徴とする。
【0009】
このように、樹脂シート(60)に形成された接続ビア(61)によって、樹脂シート(60)を挟む2つの部材が接合される。すなわち、接続ビア(61)により、2つの部材が、電気的、熱的、及び機械的に接続される。
【0010】
また、電子部品(20)と電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、電子部品(20)と金属板(40)との間の少なくとも一方に、樹脂シート(60)が配置される。このため、樹脂シート(60)が配置された2つの部材の間隔のばらつきを、製造過程において液状となるはんだを用いる構成に較べて小さくすることができる。これにより、金属板(40)を覆うモールド樹脂(51)の厚さのばらつきを小さくすることができる。すなわち、金属板(40)を覆うモールド樹脂(51)の厚さを所望の値とすることができる。
【0011】
以上から、本発明によれば、電子部品(20)の生じた熱を金属板(40)及びモールド樹脂の被覆部分(51)を介して効率よく放熱しつつ電気絶縁性を確保することができる。
【0012】
請求項2に記載のように、
樹脂シート(60)は、熱可塑性樹脂を用いて形成されており、
樹脂シート(60)が間に配置された2つの部材のそれぞれに、樹脂シート(60)が接着している構成とすることが好ましい。
【0013】
このように熱可塑性樹脂を用いると、加熱により樹脂シート(60)を軟化させ、各部材に接着させる(密着させる)ことができる。したがって、熱硬化性樹脂を用いる構成に較べて、樹脂シート(60)を挟む2つの部材、例えば電子部品(20)と金属板(40)の機械的な接続信頼性を向上することができる。また、機械的な接続信頼性を向上することで、電気的な接続信頼性も向上することができる。
【0014】
請求項3に記載のように、
複数の電子部品(21,22)は、共通の樹脂シート(60)を介して、共通の金属板(40)に接続されても良い。
【0015】
これによれば、電子部品(21,22)ごとに樹脂シート(60a,60b)を位置決め配置する構成に較べて、構成を簡素化することができる。
【0016】
請求項4に記載のように、
共通の金属板(40)に接続された複数の電子部品(21,22)として、他の電子部(22)品とは厚さの異なる電子部品(21)を有する場合、
樹脂シート(60)は、熱可塑性樹脂を用いて形成された樹脂フィルム(62a,62b)を複数枚積層しつつ一体化してなり、電子部品(21,22)と該電子部品(21,22)に隣接する樹脂シート(60)との厚さの和が一定となるように、樹脂フィルム(62a,62b)の積層枚数により部分的に厚さが異なる構成とすると良い。
【0017】
これによれば、電子部品(21,22)の厚さのばらつきを、樹脂シート(60)を構成する樹脂フィルム(62a,62b)の積層枚数と配置にて調整するため、金属板(40)の各電子部品(21,22)と対向する部分を覆うモールド樹脂(51)の厚さを一定とすることができる。すなわち、厚さの異なる複数の電子部品(21,22)を採用しながらも、電子部品(21,22)の生じた熱を金属板(40)及びモールド樹脂の被覆部分(51)を介して効率よく放熱しつつ電気絶縁性を確保することができる。
【0018】
一方、請求項5に記載のように、
複数の電子部品(21,22)は、互いに異なる樹脂シート(60a,60b)を介して共通の金属板(40)に接続され、
共通の金属板(40)に接続された複数の電子部品(21,22)として、他の電子部品(22)とは厚さの異なる電子部品(21)を有する場合、
複数の樹脂シート(60a,60b)は、該樹脂シート(60a,60b)と隣接する電子部品(21,22)との厚さの和が一定となるように、電子部品(21,22)に応じて厚さが異なる構成としても良い。
【0019】
これによっても、厚さの異なる複数の電子部品(21,22)を採用しつつ、金属板(40)の各電子部品(21,22)と対向する部分を覆うモールド樹脂(51)の厚さを一定とすることができる。
【0020】
請求項6に記載のように、
電子部品(20)と電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、電子部品(20)と金属板(40)との間の両方に、接続ビア(61)を有する樹脂シート(60)が配置された構成とするとことが好ましい。
【0021】
これによれば、電子部品(20)と電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、電子部品(20)と金属板(40)との間の一方のみに樹脂シート(60)が配置される構成に較べて、金属板(40)を覆うモールド樹脂(51)の厚さのばらつきをより小さくすることができる。
【0022】
請求項7に記載のように、電子部品搭載部材(30)は、絶縁基材(31)に配線(32)が形成された基板であり、
基板(30)は、電子部品(20)の配置面に、電子部品(20)の第1主面の電極と接続される電子部品用ランド(33)を有する構成を採用することもできる。
【0023】
この場合、請求項8に記載のように、
金属板(40)は、基板(30)における電子部品(20)の配置面に形成された金属板用ランド(34)と電気的に接続され、
基板(30)は、電子部品(20)の配置面と反対の面に外部接続用の電極(35)を有し、基板(30)の電極形成面がモールド樹脂(50)に対して露出された構成としても良い。
【0024】
これによれば、外部接続用のリードを有さないため、電子部品(20)の厚さ方向に垂直な方向において、半導体装置(10)の体格を小型化することができる。
【0025】
一方、請求項9に記載のように、
電子部品搭載部材(36)は、リードフレームであり、
電子部品(20)は、リードフレーム(36)のダイパッド(37)に配置されて、電子部品(20)の第1主面の電極がダイパッド(37)に接続され、
金属板(40)は、リードフレーム(36)において電子部品(30)が配置されたダイパッド(37)と電気的に分離された部分(38)に接続された構成を採用することもできる。
【0026】
次に、請求項10に記載の発明は、
第1主面と、該第1主面と反対の第2主面との両面に電極を有する電子部品(20)を、第1主面が対向するように電子部品搭載部材(30,36)に配置するとともに、電子部品(20)の第2主面上に金属板(40)を配置し、第1主面の電極と電子部品搭載部材(30,36)の接続部(33)、及び、第2主面の電極と金属板(40)をそれぞれ電気的に接続する接続工程と、
接続工程後、電子部品(20)、電子部品搭載部材(30,36)の少なくとも一部、及び金属板(40)を一体的に封止するように、モールド樹脂(50)を成形する成形工程と、を備える半導体装置の製造方法であって、
接続工程として、
電子部品(20)と電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、電子部品(20)と金属板(40)との間の少なくとも一方に、熱可塑性樹脂を用いて形成され、導電性ペースト(61a)の充填されたビアホールを有する樹脂シート(60)を配置して積層体を形成する積層工程と、
積層体を、積層方向において加圧しつつ加熱することで、樹脂シート(60)を軟化させて樹脂シート(60)を挟む2つの部材のそれぞれに接着させるとともに、導電性ペースト(61a)中の導電性粒子を焼結させて2つの部材を接合する加圧・加熱工程と、を有することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、請求項2に記載の半導体装置を形成することができる。また、その作用効果は、請求項1,2に記載の発明の作用効果と同じであるのでその記載を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図であり、便宜上、モールド樹脂を省略している。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、仮接着工程を示す。
【図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、積層工程及び加圧・加熱工程を示す。
【図5】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、基板の準備工程を示す。
【図6】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、実装工程を示す。
【図7】第2実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図8】第3実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図9】第3実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、積層工程及び加圧・加熱工程を示す。
【図10】第4実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図11】第4実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、金属板上に、樹脂シート及び縦型素子を仮接着する工程を示す。
【図12】第4実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図であり、基板の準備工程を示す。
【図13】その他変形例を示す断面図である。
【図14】その他変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図面において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。また、電子部品の厚さ方向を単に厚さ方向と示し、該厚さ方向に垂直な方向を単に垂直な方向と示す。また、特に断りのない限り、厚さとは、厚さ方向に沿う長さを示すものとする。
【0030】
(第1実施形態)
図1及び図2に示す半導体装置10は、縦型素子20と、縦型素子20が配置され、縦型素子20の一方の電極が電気的に接続された基板30と、縦型素子20上、すなわち縦型素子20に対して基板30と反対側に配置され、縦型素子20の他方の電極が電気的に接続された金属板40と、縦型素子20、基板30における縦型素子配置面、及び金属板40を一体的に封止するモールド樹脂50を備える。さらに本実施形態では、縦型素子20と金属板40との間に配置された樹脂シート60を備える。
【0031】
縦型素子20は、厚さ方向の両端をなす第1主面及び第2主面にそれぞれ電極を有する素子である。この縦型素子20が、特許請求の範囲に記載の両面に電極を有する電子部品に相当する。なお、基板30との対向面が第1主面、金属板40との対向面が第2主面となっている。このような縦型素子20としては、IGBTやMOSFETなどの発熱量の大きいパワー系半導体素子、ダイオード、ICなどを採用することができる。
【0032】
本実施形態では、基板30に対し、4つの縦型素子20が配置されている。4つの縦型素子20のうち、2つはIGBT21、残りの2つは転流ダイオード22(以下、FWD22と示す)である。そして、1つのIGBT21に対して1つのFWD22が逆並列に接続されており、2つの金属板40(40a,40b)に、それぞれ1組のIGBT21及びFWD22が接続されている。また、2つのIGBT21は互いに直列に接続されており、これら4つの縦型素子20により、インバータが構成されている。そして、2つのIGBT21の接続点(中点)が、モータなどの負荷に接続されるようになっている。なお、図1に示す金属板40a側が、インバータのハイサイド(高電位)側アームを構成し、金属板40b側がローサイド側アームを構成している。
【0033】
IGBT21は、第1主面にゲート電極及びエミッタ電極を有し、第2主面にコレクタ電極を有する。一方、FWD22は、第1主面にアノード電極を有し、第2主面にカソード電極を有する。そして、共通の金属板40に接続されたIGBT21及びFWD22において、IGBT21のエミッタ電極とFWD22のアノード電極は、基板30の配線32を介して電気的に接続されている。また、IGBT21のコレクタ電極とFWD22のカソード電極は、樹脂シート60の接続ビア61及び金属板40を介して、電気的に接続されている。また、縦型素子20(21,22)の各電極は、Niを含んで構成されている。
【0034】
これら縦型素子20は、基板30の一面に対向配置されている。また、本実施形態では、図1に示すように、縦型素子20(21,22)以外の電子部品23も、基板30の一面に配置されている。なお、このような電子部品23としては、コンデンサ、コイル、抵抗などを採用することができる。
【0035】
基板30は、樹脂やセラミックなどの絶縁材料を用いて形成された絶縁基材31に、配線部32を設けてなり、その一面に、配線部32の一部としてのランド33を有している。この基板30が、特許請求の範囲に記載の電子部品搭載部材に相当する。
【0036】
本実施形態の基板30は、エポキシ樹脂系材料からなる絶縁基材31に、配線部32を構成する導体パターン32aが多層に配置されてなる多層基板となっている。なお、ランド33は、配線部32のうち、導体パターン32aの一部である。また、符号32bは、導体パターン32aとともに配線部32を構成する層間接続部である。
【0037】
そして、基板30の一面、すなわち縦型素子20の配置面に、ランド33として、IGBT21のゲート電極用のランド33a、エミッタ電極用のランド33b、FWD22のアノード電極用のランド33cが形成されている。また、これらランド33とは別に、金属板40用のランド34が形成されている。そして、IGBT21のゲート電極とランド33a、エミッタ電極とランド33b、FWD22のアノード電極とランド33c、及び金属板40とランド34が、はんだ70にて電気的且つ機械的に接続されている。本実施形態では、はんだ70として、Sn−Ag−Cuはんだを採用している。
【0038】
一方、基板30の縦型素子配置面の裏面には、外部接続用のパッド35が形成されている。なお、図2に示すパッド35は、IGBT21のゲート電極に配線部32を介して接続されたパッドと、金属板40、すなわちIGBT21のコレクタ電極とFWD22のカソード電極IGBT21のコレクタ電極とFWD22のカソード電極に、配線部32を介して接続されたパッド35である。パッド35としては、図示しないがそれ以外に、ハイサイド側IGBT21のエミッタ電極とローサイド側IGBT21のコレクタ電極との接続点(中点)に接続されたパッド、ローサイド側のIGBT21のエミッタ電極及びFWD22のアノード電極に共通のパッドなどを有している。
【0039】
金属板40は、縦型素子20に対して電流経路としての機能を果たすとともに、縦型素子20の生じた熱を蓄熱して放熱する機能を果たすものである。この金属板40は、縦型素子20の第2主面に対向配置されて、第2主面に形成された電極と電気的に接続されている。
【0040】
金属板40の構成材料は、モールド樹脂50よりも熱伝導性の高い金属材料であれば特に限定されるものではない。例えば、銅や銅合金、アルミニウムなどを採用することができる。本実施形態では、熱伝導性が高い、加工しやすい、安価であるとの観点で、銅からなる金属板40を採用している。
【0041】
また、本実施形態では、金属板40が、縦型素子20に対して対向配置される対向部41と、該対向部41から延びた脚部42を有している。対向部41は、所定の厚さを有し、垂直方向に沿う平面形状が矩形の平板状をなしており、この対向部41に対し、1組のIGBT21及びFWD22が対向配置されている。脚部42は、対向部41の矩形の四隅近傍にそれぞれ設けられており、各脚部42の先端が、はんだ70を介して、対応するランド34に電気的且つ機械的に接続されている。また、対向部41の厚さは、脚部42の厚さよりも厚くなっている。これにより、金属板40の対向部41は、効果的に熱マスとしての蓄熱機能を果たすようになっている。
【0042】
樹脂シート60は、半導体装置10の製造過程から、縦型素子20の第2主面と金属板40との対向距離(間隔)を、ばらつきの小さい状態で保持するとともに、縦型素子20と金属板40とを、電気的、熱的、及び機械的に接続する機能を果たすものである。このため、樹脂シート60は、ビアホール内に導電材料を配置してなる接続ビア61を有している。
【0043】
本実施形態では、樹脂シート60が、熱可塑性樹脂を用いて形成された1枚の熱可塑性樹脂フィルムからなる。そして、樹脂シート60は、該樹脂シート60を挟む縦型素子20及び金属板40のそれぞれに接着している。このような熱可塑性樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂とともに、ガラス繊維、アラミド繊維などの無機材料を含むフィルム、無機材料を含まない熱可塑性樹脂からなるフィルムのいずれも採用することができる。本実施形態では、熱可塑性樹脂フィルムとして、ガラス繊維などの無機材料や線膨張係数などを調整するための無機フィラーを含まない、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)30重量%とポリエーテルイミド(PEI)70重量%からなる樹脂フィルムを採用している。
【0044】
そして、1つの縦型素子20につき、1枚の樹脂シート60が配置されている。なお、樹脂シート60のうち、符号60aは、IGBT21に接して配置された樹脂シート、符号60bは、FWD22に接して配置された樹脂シートである。本実施形態では、IGBT21の第2主面全面がコレクタ電極、FWD22の第2主面全面がカソード電極となっており、これら樹脂シート60(60a,60b)は、対応する縦型素子20(21,22)の第2主面とほぼ同じ大きさ及び形状を有し、第2主面全域を覆っている。また、図2に示すように、IGBT21とFWD22の厚さがともにほぼ等しいため、樹脂シート60a,60bの厚さもほぼ等しい厚さとなっている。
【0045】
接続ビア61は、熱可塑性樹脂フィルムにおいて、厚さ方向に沿って設けたビアホール(貫通孔)に導電性ペーストを充填し、この導電性ペースト中の導電性粒子を加圧・加熱により焼結してなるものである。本実施形態では、接続ビア61がAg−Sn合金からなる。また、各樹脂シート60a,60bにおいて、複数の接続ビア61が、所定ピッチで格子状に配列されている。また、IGBT21のほうがFWD22よりも垂直方向に沿う大きさが大きいため、樹脂シート60aのほうが樹脂シート60よりも接続ビア61の個数が多いものとなっている。
【0046】
モールド樹脂50は、縦型素子20、基板30におけるランド33を含む少なくとも一部、及び金属板40を一体的に封止するものである。このため、縦型素子20と金属板40とを接続する樹脂シート60、縦型素子20と基板30のランド33とを接続するはんだ70も、このモールド樹脂50により封止されている。
【0047】
モールド樹脂50の構成材料としては、エポキシ樹脂などの周知の樹脂材料を採用することができる。本実施形態では、エポキシ樹脂を用いたトランスファ成形により、モールド樹脂が形成されている。また、基板30のうち、縦型素子20の配置された一面全面が、モールド樹脂50によって被覆されている。このため、縦型素子20以外の電子部品23もモールド樹脂50により封止されている。
【0048】
また、モールド樹脂50のうち、厚さ方向において金属板40における縦型素子20と反対側に位置する部分、すなわち金属板40を覆う被覆部51の厚さは、所定の厚さとなっている。なお、縦型素子20の生じた熱は、樹脂シート60の接続ビア61を介して金属板40に伝達され、金属板40から被覆部51を介して半導体装置10の外部に放熱される。このため、被覆部51の厚さが薄いほど、放熱性を向上することができる。一方、縦型素子20には大電流が流れるため、被覆部51は必要であるが、この被覆部51の厚さが厚いほど、電気絶縁性を向上することができる。この点を考慮し、本実施形態では、被覆部51の厚さが、放熱性を向上しつつ電気絶縁性を確保できる所定の厚さとなっている。
【0049】
次に、上記した半導体装置10の製造方法の一例について、図2〜図6を用いて説明する。
【0050】
先ず、樹脂シート60を準備する。本実施形態では、樹脂シート60(60a,60b)として、ガラス繊維などの無機材料や線膨張係数などを調整するための無機フィラーを含まない、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)30重量%とポリエーテルイミド(PEI)70重量%からなる熱可塑性樹脂フィルムをそれぞれ1枚用いる。そして、この熱可塑性樹脂フィルムに炭酸ガスレーザなどにより、樹脂フィルムを貫通するビアホールを形成し、スクリーン印刷などによって、導電性ペースト61aをビアホール内に充填する。
【0051】
導電性ペースト61aは、導電性粒子にエチルセルロース樹脂やアクリル樹脂などを保形性付与のため添加し、テルピネオールなどの有機溶剤を加えた状態で混練することで得ることができる。底のないビアホール内に導電性ペースト61aを留めるには、本出願人による特開2010−123760号公報に記載の導電性ペーストを用いると良い。また、この導電性ペースト61aを充填する装置(方法)としては、本出願人による特開2010−228104号公報に記載の装置(方法)を採用すると良い。
【0052】
この導電性ペースト61aは、導電性粒子に対し、導電性粒子の焼結温度よりも低い温度で分解または揮発するとともに、該温度よりも低く、室温よりも高い温度で溶融状態となり、室温で固体状態となる低融点室温固体樹脂が添加されている。低融点室温固体樹脂としては、例えばパラフィンがある。これによれば、充填時には加温することで、低融点室温固体樹脂が溶融してペースト状となり、充填後の冷却において、低融点室温固体樹脂が固化することで導電性ペースト61aも固まって、ビアホール内に保持することができる。なお、充填する際には、ビアホールの一端を平坦な部材にて塞いでおけば良い。
【0053】
また、樹脂シート60の形成に併せて、周知の半導体プロセスにより、縦型素子20(21,22)を形成する。
【0054】
樹脂シート60及び縦型素子20の準備後、図3に示すように、第2主面を搭載面として縦型素子20(21,22)を樹脂シート60(60a,60b)に載置する。そして、例えばパルスヒート方式の熱圧着ツール(図示略)により、縦型素子20(21,22)を第1主面側から加圧しつつ加熱して、樹脂シート60を縦型素子20に接着する(密着させる)仮接着工程を行う。すなわち、縦型素子20と樹脂シート60とを一体させる。この仮接着工程では、樹脂シート60の表面が軟化して接着機能を有する程度、すなわち、樹脂シート60全体の体格が殆ど変化しない程度の加圧・加熱条件、例えば樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上融点以下の温度とする。
【0055】
次いで、縦型素子20と一体化した樹脂シート60を、図4に示すように、縦型素子20と反対の面が金属板40の対向部41に接するように、対向部41における基板30側の面に載置する積層工程を行う。すなわち、金属板40上に、樹脂シート60を介して縦型素子20を積層して積層体を形成する。そして、例えばパルスヒート方式の熱圧着ツール(図示略)により、縦型素子20(21,22)を第1主面側から加圧しつつ加熱して、樹脂シート60を金属板40に接着させるとともに、導電性ペースト61a中の導電性粒子を焼結して、縦型素子20と金属板40とを電気的に接続する加圧・加熱工程を行う。この加圧・加熱工程では、樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上融点以下の温度(例えば280℃)とする。
【0056】
この加圧・加熱工程(接続工程)では、導電性ペースト61a中のSn(融点232℃)が溶融し、同じく導電性ペースト61a中のAg粒子に拡散して、Ag−Sn合金(融点480℃)を形成する。また、導電性ペースト61aに圧力が加えられているため、焼結により一体化した合金からなる接続ビア61がビアホール内に形成される。
【0057】
溶融したSnは、金属板40を構成するCuとも相互拡散する。これにより、接続ビア61と金属板40の界面に金属拡散層(Cu−Sn合金層)が形成される。また、溶融したSnは、縦型素子20の電極(IGBT21のコレクタ電極、FWD22のカソード電極)を構成するNiとも相互拡散する。これにより、接続ビア61と電極との界面に金属拡散層(Ni−Sn合金層)が形成される。
【0058】
以上により、接続ビア61を介して縦型素子20と金属板40とが、電気的、熱的、及び機械的に接続される。また、樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂が金属板40にも接着するため、縦型素子20及び金属板40の両方に接着する樹脂シート60によっても、縦型素子20と金属板40とが機械的に接続される。そして、金属板40、樹脂シート60、及び縦型素子20(21,22)が一体化されたユニット80が形成される。
【0059】
また、図5に示すように、基板30を別途準備し、この基板30のランド33,34上に例えばペースト状のはんだ70を塗布する。
【0060】
そして、縦型素子20の第1主面に形成された対応する電極、及び、金属板40の脚部42の先端が、基板30のはんだ70に接するように、基板30のランド形成面にユニット80を載置する。そして、リフローにより、縦型素子20(21,22)の電極と対応するランド33(33a〜33c)とをはんだ70を介して接合し、金属板40の脚部42と対応するランド34とをはんだ70を介して接合する実装工程を行う。この実装工程により、図6に示すように、基板30にユニット80が一体化された状態となる。なお、上記した積層工程、加圧・加熱工程、及び実装工程が、特許請求の範囲に記載の接続工程に相当する。
【0061】
次いで、ユニット80が一体化された基板30を、図示しない金型のキャビティに配置し、キャビティ内に樹脂を注入してモールド樹脂50を成形する成形工程を行う。本実施形態では、エポキシ樹脂を用いたトランスファ成形により、モールド樹脂50を形成する。以上により、図1及び図2に示す半導体装置10を得ることができる。
【0062】
次に、上記した半導体装置10及びその製造方法の特徴部分の効果について説明する。
【0063】
本実施形態では、樹脂シート60に形成された接続ビア61によって、樹脂シート60を挟む縦型素子20と金属板40が接合される。すなわち、接続ビア61により、縦型素子20と金属板40が、電気的、熱的、及び機械的に接続される。
【0064】
また、縦型素子20と金属板40の間に、所定厚さの樹脂シート60が配置される。樹脂シート60の厚さは、その製造過程において殆ど変化しない。このため、製造過程において液状となるはんだを用いる構成に較べて、縦型素子20と金属板40の間隔のばらつきを小さくすることができる。これにより、金属板40を覆うモールド樹脂50の被覆部51の厚さのばらつきを小さくすることができる。すなわち、金属板40を覆う被覆部51の厚さを所望の値とすることができる。
【0065】
以上から、本実施形態によれば、縦型素子20の生じた熱を金属板40及びモールド樹脂50の被覆部51を介して外部に効率よく放熱しつつ電気絶縁性を確保することができる。特に本実施形態では、縦型素子20の第1主面側に、絶縁基材31を有する基板30が存在し、第1主面側へ放熱しがたい構成となっているが、上記構成を採用するため、第2主面側に効率よく放熱することができる。
【0066】
また、本実施形態では、樹脂シート60が、熱可塑性樹脂を用いて形成されており、隣接する縦型素子20及び金属板40の両方に接着している。したがって、熱硬化性樹脂を用いる構成に較べて、縦型素子20と金属板40との機械的な接続信頼性を向上することができる。また、機械的な接続信頼性を向上することで、電気的な接続信頼性(長期安定性)も向上することができる。
【0067】
また、本実施形態では、金属板40の脚部42を基板30のランド34に接続させており、半導体装置10は、外部接続用のパッド35を、モールド樹脂50に被覆されない縦型素子配置面の裏面に設けている。このように、外部接続用のリードを有さないため、垂直方向において、半導体装置10の体格を小型化することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、樹脂シート60(60a,60b)を縦型素子20(21,22)に仮接着してから、縦型素子20を金属板40と接続する例を示した。しかしながら、仮接着工程を省略し、金属板40上に、樹脂シート60、縦型素子20の順で積層した後、加圧・加熱により、縦型素子20を金属板40と接続するようにしても良い。これによれば、製造工程を簡素化することができる。この場合、加圧・加熱工程において、樹脂シート60は縦型素子20及び金属板40の両方に接着することとなる。
【0069】
(第2実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した半導体装置10及びその製造方法と共通する部分についての説明は割愛する。第1実施形態では、共通の金属板40(40a,40b)に接続される複数の縦型素子21,22の厚さがほぼ同じであり、各縦型素子21,22に隣接する樹脂シート60a,60bの厚さもほぼ等しい例を示した。
【0070】
これに対し、本実施形態では、図7に示すように、複数の縦型素子21,22の厚さが互いに異なっている。そして、縦型素子21と樹脂シート60aの厚さの和と、縦型素子22と樹脂シート60bの厚さの和とが同じとなるように、樹脂シート60a,60bの厚さが設定されている。すなわち、厚さの薄い縦型素子21に対応する樹脂シート60aは厚く、厚さの厚い縦型素子22に対応する樹脂シート60bは薄くなっている。なお、本実施形態では、厚さの異なる熱可塑性樹脂フィルムを用いることで、樹脂シート60a,60bの厚さを異ならせている。
【0071】
このように、本実施形態によれば、縦型素子21,22の厚さが互いに異なりながらも、モールド樹脂50の被覆部51の厚さを、金属板40の縦型素子21,22と対向する部分である対向部41全域で一定とすることができる。すなわち、厚さの異なる複数の縦型素子21,22を採用しながらも、縦型素子21,22の生じた熱を金属板40及びモールド樹脂50の被覆部51を介して効率よく放熱しつつ、電気絶縁性を確保することができる。
【0072】
(第3実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した半導体装置10及びその製造方法と共通する部分についての説明は割愛する。第1実施形態及び第2実施形態では、縦型素子21,22ごとに、個別に樹脂シート60a,60bが配置される例を示した。これに対し、本実施形態では、図8に示すように、共通の金属板40に接続された縦型素子21,22に対し、共通の樹脂シート60(1つの樹脂シート60)が配置される点を第1の特徴点とする。これによれば、上記実施形態に較べて、構成及び製造工程を簡素化することができる。
【0073】
また、第2実施形態では、樹脂シート60a,60bを構成する熱可塑性樹脂フィルムの厚さを異ならせることで、厚さの異なる縦型素子21,22に対応する例を示した。これに対し、本実施形態では、図9に示すように、複数枚の熱可塑性樹脂フィルム62a,62bを部分的に積層して樹脂シート60を構成する点を第2の特徴点とする。
【0074】
樹脂シート60は、縦型素子21,22と樹脂シート60との厚さの和が一定となるように、厚さの薄い縦型素子21に対応する部分は、2枚の樹脂フィルム62a,62bによる積層構造、厚さの厚い縦型素子22に対応する部分は、1枚の樹脂フィルム62aのみとなっている。このように、樹脂フィルム62a,62bの積層枚数に差を付けて、樹脂シート60の厚さを部分的に異ならせている。
【0075】
これによれば、縦型素子21,22の厚さのばらつきを、樹脂シート60を構成する樹脂フィルム62a,62bの積層枚数と配置にて調整するため、モールド樹脂50の被覆部51の厚さを一定とすることができる。すなわち、厚さの異なる複数の縦型素子21,22を採用しながらも、縦型素子21,22の生じた熱を金属板40及び被覆部51を介して外部に効率よく放熱しつつ電気絶縁性を確保することができる。
【0076】
なお、本実施形態では、図9に示すように、金属板40上に、熱可塑性樹脂フィルム62a、熱可塑性樹脂フィルム62bの順に積層して樹脂シート60とし、この樹脂シート60上に、縦型素子20を配置する。この時点で、熱可塑性樹脂フィルム62a,62bは一体化していない。そして、加圧・加熱により、縦型素子20を金属板40と接続する。この加圧・加熱によって、熱可塑性樹脂フィルム62a,62bは、縦型素子21,22及び金属板40に接着するとともに、相互に接着する。また、各熱可塑性樹脂フィルム62a,62bにおいて、導電性ペースト61a中の導電性粒子が焼結して接続ビア61となる。そして、接続ビア61同士が一体化する。以上により、樹脂シート60を介して縦型素子20が金属板40に一体化されたユニット80となる。以下の工程は、第1実施形態と同じである。なお、第1実施形態に示したように、積層工程の前に、仮接着工程を実施し、樹脂シート60を縦型素子20に接着するとともに、熱可塑性樹脂フィルム62a,62bを相互に接着するようにしても良い。
【0077】
また、本実施形態では、樹脂シート60が第1の特徴点を有した上でさらに第2の特徴点を有する例を示した。しかしながら、第1の特徴点のみを有する構成としても良い。例えば第1実施形態に示す構成において、共通の樹脂シート60を採用しても良い。
【0078】
(第4実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した半導体装置10及びその製造方法と共通する部分についての説明は割愛する。上記各実施形態では、縦型素子20(21,22)と金属板40との間のみに樹脂シート60(60a,60b)が配置される例を示した。これに対し、本実施形態では、図10に示すように、縦型素子20(21,22)と金属板40との間、及び、縦型素子20(21,22)と基板30との間の両方に、接続ビア61を有する樹脂シート60が配置されている点を特徴とする。
【0079】
なお、図10において、符号60aはIGBT21と金属板40との間に配置された樹脂シート、符号60bは、FWD22と金属板40との間に配置された樹脂シート、符号60cは、IGBT21と基板30との間に配置された樹脂シート、符号60dは、FWD22と金属板40との間に配置された樹脂シートである。
【0080】
IGBT21の基板30と対向する第1主面には、ゲート電極とエミッタ電極が形成されているが、本実施形態では、両電極に対し樹脂シート60は共通となっており、樹脂シート60に形成された接続ビア61により、ゲート電極が対応するランド33aと選択的に接続され、エミッタ電極が対応するランド33bと選択的に接続されている。
【0081】
また、図10では、第1実施形態同様、IGBT21とFWD22の厚さがほぼ同じとなっており、樹脂シート60a,60bの厚さが互いにほぼ等しい厚さとなっている。また、樹脂シート60c,60dの厚さも、互いにほぼ等しい厚さとなっている。
【0082】
これによれば、基板30と縦型素子20の間、縦型素子20と金属板40の間に、それぞれ所定厚さの樹脂シート60が配置され、厚さ方向において、基板30、縦型素子20、金属板40の間にはんだが存在しない。また、樹脂シート60の厚さは、その製造過程において殆ど変化しない。このため、製造過程において液状となるはんだを用いる構成に較べて、縦型素子20と金属板40の間隔のばらつき、及び、基板30と縦型素子20の間隔のばらつきを、それぞれ小さくすることができる。すなわち、基板30と金属板40の間隔のばらつきをより小さくすることができる。これにより、金属板40を覆うモールド樹脂50の被覆部51の厚さのばらつきをより小さくすることができる。
【0083】
なお、このような半導体装置10は、例えば以下の製造方法により形成することができる。図11に示すように、金属板40上に、樹脂シート60a,60bを載置し、樹脂シート60a上にIGBT21、樹脂シート60b上にFWD22を載置する。次いで、IGBT21上に樹脂シート60cを載置し、FWD22上に樹脂シート60dを載置して積層体を形成する。そして、この積層体を加圧・加熱することで、各樹脂シート60を隣接する縦型素子20、金属板40に接着する(密着させる)仮接着を行う。これにより、縦型素子20と金属板40が一体化してなるユニット80が形成される。ユニット80では、導電性ペースト61a中の導電性粒子は完全に焼結していない。この仮接着では、各樹脂シート60の表面が軟化して接着機能を有する程度、すなわち、樹脂シート60全体の体格が殆ど変化しない程度の加圧・加熱条件、例えば樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上融点以下の温度とする。
【0084】
そして、ユニット80を図12に示す基板30に載置し、例えばパルスヒート方式の熱圧着ツール(図示略)により、金属板40側から加圧しつつ加熱して、樹脂シート60c,60dを基板30に接着させるとともに、各樹脂シート60において導電性ペースト61a中の導電性粒子を焼結して、基板30と縦型素子20(21,22)、縦型素子20(21,22)と金属板40とを電気的に接続する加圧・加熱工程を行う。この加圧・加熱工程では、樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上融点以下の温度(例えば280℃)とする。その後、リフローにより、金属板40の脚部42と対応するランド34とをはんだ70を介して接合する実装工程を行う。以下の工程は、第1実施形態と同じである。なお、加圧・加熱工程において、金属板40の脚部42と対応するランド34とのはんだ70を介した接合を併せて行っても良い。また、基板30上に、樹脂シート60c,60dを載置し、樹脂シート60c上にIGBT21、樹脂シート60d上にFWD22を載置する。次いで、IGBT21上に樹脂シート60aを載置し、FWD22上に樹脂シート60bを載置して積層体を形成する。そして、この積層体を加圧・加熱することで、各樹脂シート60を隣接する縦型素子20、金属板40に接着する(密着させる)仮接着を行う。その後、金属板40を基板30上に載置しても良い。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0086】
上記実施形態では、1つの金属板40に対し、2つの縦型素子20(21,22)が配置される例を示した。しかしながら、縦型素子20の個数は上記例に限定されるものではない。例えば図13に示すように、1つの金属板40に1つの縦型素子20(例えばIGBT)が配置される構成としても良い。図13では、第1実施形態同様、縦型素子20の第2主面と金属板40の間のみに樹脂シート60が配置されている。また、それ以外の例として、1つの金属板40に対し、3つ以上の縦型素子20が配置されても良い。
【0087】
第1実施形態〜第3実施形態では、縦型素子20と金属板40の間のみに樹脂シート60が配置される例を示したが、縦型素子20と基板30の間のみに樹脂シート60が配置される構成としても良い。
【0088】
上記実施形態では、電子部品搭載部材として基板30の例を示した。しかしながら、図14に示すように、電子部品搭載部材として、リードフレーム36を採用することもできる。図14では、リードフレーム36が、縦型素子20の配置されるダイパッド37と、外部接続用端子としてのリード38を有している。また、縦型素子20としてIGBTを採用しており、ダイパッド37として、ゲート電極用のダイパッド37aとエミッタ電極用のダイパッド37bを有している。また、リード38は、モールド樹脂50から一部が外部に延出されており、金属板40の脚部42は、はんだ70によりリード38と接続されている。図14に示す例では、このリード38が、特許請求の範囲に記載の縦型素子20の配置されたダイパッド37(37a,37b)と電気的に分離された部分に相当する。図14に示す半導体装置10では、ダイパッド37(37a,37b)がモールド樹脂50により封止されており、厚さ方向において、縦型素子20の生じた熱を第1主面側に放熱しがたい構成となっている。しかしながら、縦型素子20の生じた熱を、樹脂シート60の接続ビア61を介して、金属板40の対向部41に伝達させ、金属板40から被覆部51を介して外部に放熱させることができる。
【0089】
なお、図14では、リード38に金属板40の脚部42が接続される例を示しているが、例えば上記ダイパッド37と電気的に分離され、電子部品23が実装されたダイパッドを有する場合、このダイパッドに脚部42を接続させることもできる。
【0090】
上記実施形態では、樹脂シート60を構成する樹脂として熱可塑性樹脂の例を示した。しかしながら、熱硬化性樹脂を採用することもできる。熱硬化性樹脂の場合、Bステージ状態のものを用いれば、熱可塑性樹脂同様、樹脂シート60を縦型素子20などに接着させることもできる。
【0091】
また、樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂も上記例に限定されない。例えば、PEEK/PEIからなるものであっても、上記例とは比率の異なるものを採用しても良い。また、PEEK/PEI以外の構成材料、例えば液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などを採用しても良い。
【0092】
上記実施形態では、樹脂シート60を構成する熱可塑性樹脂フィルムとして、ガラス繊維、アラミド繊維などの基材に用いられる無機材料、融点や線膨張係数の調整のために添加される無機フィラーを有さないフィルムを用いる例を示した。これによれば、加圧・加熱する際に、縦型素子20への局所的な応力印加を抑制することができる。しかしながら、ガラス繊維、アラミド繊維などの基材に用いられる無機材料、融点や線膨張係数の調整のために添加される無機フィラーを有するフィルムを採用することもできる。
【符号の説明】
【0093】
10・・・半導体装置
20・・・縦型素子(両面に電極を有する電子部品)
21・・・IGBT
22・・・FWD
23・・・電子部品
30・・・基板(電子部品搭載部材)
31・・・絶縁基材
32・・・配線部
33,33a〜33c・・・ランド(電子部品用ランド)
34・・・ランド(金属板用ランド)
35・・・パッド
36・・・リードフレーム(電子部品搭載部材)
37,37a,37b・・・ダイパッド
38・・・リード
40,40a,40b・・・金属板
41・・・対向部
42・・・脚部
50・・・モールド樹脂
51・・・被覆部
60,60a,60b,60c,60d・・・樹脂シート
61・・・接続ビア
61a・・・導電性ペースト
62a,62b・・・樹脂フィルム
70・・・はんだ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、該第1主面と反対の第2主面との両面に電極を有する電子部品(20)と、
前記電子部品(20)の第1主面に対向配置され、前記第1主面の電極と電気的に接続された電子部品搭載部材(30,36)と、
前記電子部品(20)の第2主面に対向配置され、前記第2主面の電極と電気的に接続された金属板(40)と、
前記電子部品(20)、電子部品搭載部材(30,36)の少なくとも一部、及び前記金属板(40)を一体的に封止するモールド樹脂(50)と、を備えた半導体装置であって、
対向配置された2つの部材としての、前記電子部品(20)と前記電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、前記電子部品(20)と前記金属板(40)との間、の少なくとも一方に樹脂シート(60)が配置され、
前記樹脂シート(60)は、ビアホール内に導電材料が配置されてなる接続ビア(61)を有しており、前記モールド樹脂(50)にて封止され、
前記樹脂シート(60)が間に配置された2つの部材は、前記接続ビア(61)に接しつつ前記接続ビア(61)を介して接合されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記樹脂シート(60)は、熱可塑性樹脂を用いて形成されており、
前記樹脂シート(60)が間に配置された2つの部材のそれぞれに、前記樹脂シート(60)が接着していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の前記電子部品(21,22)は、共通の樹脂シート(60)を介して、共通の前記金属板(40)に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
共通の前記金属板(40)に接続された複数の電子部品(21,22)として、他の電子部品(22)とは厚さの異なる電子部品(21)を有し、
前記樹脂シート(60)は、熱可塑性樹脂を用いて形成された樹脂フィルム(62a,62b)を複数枚積層しつつ一体化してなり、前記電子部品(21,22)と該電子部品(21,22)に隣接する樹脂シート(60)との厚さの和が一定となるように、前記樹脂フィルム(62a,62b)の積層枚数により部分的に厚さが異なることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
複数の前記電子部品(21,22)は、互いに異なる前記樹脂シート(60a,60b)を介して共通の前記金属板(40)に接続され、
共通の前記金属板(40)に接続された複数の電子部品(21,22)として、他の電子部品(22)とは厚さの異なる電子部品(21)を有し、
複数の前記樹脂シート(60a,60b)は、該樹脂シート(60a,60b)と隣接する前記電子部品(21,22)との厚さの和が一定となるように、前記電子部品(21,22)に応じて厚さが異なることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電子部品(20)と前記電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、前記電子部品(20)と前記金属板(40)との間の両方に、前記接続ビア(61)を有する樹脂シート(60)が配置されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記電子部品搭載部材(30)は、絶縁基材(31)に配線(32)が形成された基板であり、
前記基板(30)は、電子部品(20)の配置面に、前記電子部品(20)の第1主面の電極と接続される電子部品用ランド(33)を有することを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記金属板(40)は、前記基板(30)における電子部品(20)の配置面に形成された金属板用ランド(34)と電気的に接続され、
前記基板(30)は、前記電子部品(20)の配置面と反対の面に外部接続用の電極(35)を有し、前記基板(30)の電極形成面が前記モールド樹脂(50)に対して露出されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電子部品搭載部材(36)は、リードフレームであり、
前記電子部品(20)は、前記リードフレーム(36)のダイパッド(37)に配置されて、前記電子部品(20)の第1主面の電極が前記ダイパッド(37)に接続され、
前記金属板(40)は、前記リードフレーム(36)において前記電子部品(30)が配置されたダイパッド(37)と電気的に分離された部分(38)に接続されていることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
第1主面と、該第1主面と反対の第2主面との両面に電極を有する電子部品(20)を、前記第1主面が対向するように電子部品搭載部材(30,36)に配置するとともに、前記電子部品(20)の第2主面上に金属板(40)を配置し、前記第1主面の電極と前記電子部品搭載部材(30,36)、及び、前記第2主面の電極と前記金属板(40)をそれぞれ電気的に接続する接続工程と、
前記接続工程後、前記電子部品(20)、前記電子部品搭載部材(30,36)の少なくとも一部、及び前記金属板(40)を一体的に封止するように、モールド樹脂(50)を成形する成形工程と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記接続工程として、
前記電子部品(20)と前記電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、前記電子部品(20)と前記金属板(40)との間の少なくとも一方に、熱可塑性樹脂を用いて形成され、導電性ペースト(61a)の充填されたビアホールを有する樹脂シート(60)を配置して積層体を形成する積層工程と、
前記積層体を、積層方向において加圧しつつ加熱することで、前記樹脂シート(60)を軟化させて前記樹脂シート(60)を挟む2つの部材のそれぞれに接着させるとともに、前記導電性ペースト(61a)中の導電性粒子を焼結させて前記2つの部材を接合する加圧・加熱工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
第1主面と、該第1主面と反対の第2主面との両面に電極を有する電子部品(20)と、
前記電子部品(20)の第1主面に対向配置され、前記第1主面の電極と電気的に接続された電子部品搭載部材(30,36)と、
前記電子部品(20)の第2主面に対向配置され、前記第2主面の電極と電気的に接続された金属板(40)と、
前記電子部品(20)、電子部品搭載部材(30,36)の少なくとも一部、及び前記金属板(40)を一体的に封止するモールド樹脂(50)と、を備えた半導体装置であって、
対向配置された2つの部材としての、前記電子部品(20)と前記電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、前記電子部品(20)と前記金属板(40)との間、の少なくとも一方に樹脂シート(60)が配置され、
前記樹脂シート(60)は、ビアホール内に導電材料が配置されてなる接続ビア(61)を有しており、前記モールド樹脂(50)にて封止され、
前記樹脂シート(60)が間に配置された2つの部材は、前記接続ビア(61)に接しつつ前記接続ビア(61)を介して接合されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記樹脂シート(60)は、熱可塑性樹脂を用いて形成されており、
前記樹脂シート(60)が間に配置された2つの部材のそれぞれに、前記樹脂シート(60)が接着していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の前記電子部品(21,22)は、共通の樹脂シート(60)を介して、共通の前記金属板(40)に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
共通の前記金属板(40)に接続された複数の電子部品(21,22)として、他の電子部品(22)とは厚さの異なる電子部品(21)を有し、
前記樹脂シート(60)は、熱可塑性樹脂を用いて形成された樹脂フィルム(62a,62b)を複数枚積層しつつ一体化してなり、前記電子部品(21,22)と該電子部品(21,22)に隣接する樹脂シート(60)との厚さの和が一定となるように、前記樹脂フィルム(62a,62b)の積層枚数により部分的に厚さが異なることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
複数の前記電子部品(21,22)は、互いに異なる前記樹脂シート(60a,60b)を介して共通の前記金属板(40)に接続され、
共通の前記金属板(40)に接続された複数の電子部品(21,22)として、他の電子部品(22)とは厚さの異なる電子部品(21)を有し、
複数の前記樹脂シート(60a,60b)は、該樹脂シート(60a,60b)と隣接する前記電子部品(21,22)との厚さの和が一定となるように、前記電子部品(21,22)に応じて厚さが異なることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電子部品(20)と前記電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、前記電子部品(20)と前記金属板(40)との間の両方に、前記接続ビア(61)を有する樹脂シート(60)が配置されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記電子部品搭載部材(30)は、絶縁基材(31)に配線(32)が形成された基板であり、
前記基板(30)は、電子部品(20)の配置面に、前記電子部品(20)の第1主面の電極と接続される電子部品用ランド(33)を有することを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記金属板(40)は、前記基板(30)における電子部品(20)の配置面に形成された金属板用ランド(34)と電気的に接続され、
前記基板(30)は、前記電子部品(20)の配置面と反対の面に外部接続用の電極(35)を有し、前記基板(30)の電極形成面が前記モールド樹脂(50)に対して露出されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電子部品搭載部材(36)は、リードフレームであり、
前記電子部品(20)は、前記リードフレーム(36)のダイパッド(37)に配置されて、前記電子部品(20)の第1主面の電極が前記ダイパッド(37)に接続され、
前記金属板(40)は、前記リードフレーム(36)において前記電子部品(30)が配置されたダイパッド(37)と電気的に分離された部分(38)に接続されていることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
第1主面と、該第1主面と反対の第2主面との両面に電極を有する電子部品(20)を、前記第1主面が対向するように電子部品搭載部材(30,36)に配置するとともに、前記電子部品(20)の第2主面上に金属板(40)を配置し、前記第1主面の電極と前記電子部品搭載部材(30,36)、及び、前記第2主面の電極と前記金属板(40)をそれぞれ電気的に接続する接続工程と、
前記接続工程後、前記電子部品(20)、前記電子部品搭載部材(30,36)の少なくとも一部、及び前記金属板(40)を一体的に封止するように、モールド樹脂(50)を成形する成形工程と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記接続工程として、
前記電子部品(20)と前記電子部品搭載部材(30,36)との間、及び、前記電子部品(20)と前記金属板(40)との間の少なくとも一方に、熱可塑性樹脂を用いて形成され、導電性ペースト(61a)の充填されたビアホールを有する樹脂シート(60)を配置して積層体を形成する積層工程と、
前記積層体を、積層方向において加圧しつつ加熱することで、前記樹脂シート(60)を軟化させて前記樹脂シート(60)を挟む2つの部材のそれぞれに接着させるとともに、前記導電性ペースト(61a)中の導電性粒子を焼結させて前記2つの部材を接合する加圧・加熱工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−8749(P2013−8749A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138805(P2011−138805)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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