説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】より容易に半導体装置を製造すること。
【解決手段】薄型化した基板15の下面に支持フィルム19を貼付し、その支持フィルム19をフレーム40に貼付することで、損傷しやすい基板15をフレーム40ごと取り扱うことを可能にして、基板15の搬送や基板15に対する加工を行ない易くした。また、その基板15に再配線27、柱状電極20、半田端子23や、基板15の上面及び側面を被覆する封止膜9を形成した後、ダイシングにより個片化した際、基板15に貼付した支持フィルム19をそのまま下面を被覆する樹脂膜とすることで、半導体装置1をより容易に製造することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップのパッケージ方法として、いわゆるWLP(Wafer Level Package)法がある。WLP法はウエハ状態でウエハに封止膜や配線の形成を行った後、そのウエハをチップサイズに切り出して個片化した半導体装置を製造する方法である。これにより、内蔵するICチップとほぼ同じサイズの小型パッケージ(チップサイズパッケージ)を製造することができる。
【0003】
例えば、従来の小型パッケージである半導体装置は、最終工程でウエハの切断(ダイシング)を行なって個々の半導体装置に個片化するため、半導体装置の基板の主面は樹脂封止されているが、基板の側面は切断面が剥き出しのままであるものがあった。剥き出しの状態の基板の側面は損傷しやすく、また、その側面から半導体装置の内部に向かって酸化などの腐食が進んでしまうことがあった。
これに対し、個片化された段階で、基板の主面に加え、基板の側面と裏面も樹脂で被覆した半導体装置を製造する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4103896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の場合、半導体装置を製造する過程で、ウエハの天地を逆にしたり元に戻したり、ダイシングテープを貼り付けたり剥離したりする工程が煩雑であり手間が掛かるため、製造コストの上昇を招くという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、より容易に半導体装置を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明の一の態様は、半導体装置の製造方法であって、
半導体基板及び前記半導体基板の一方の面に形成された複数の接続端子を備えた基板の前記接続端子に再配線の一端部が接続される半導体装置の製造方法において、
前記基板の下面に支持フィルムを貼付するとともに、その基板の周囲を囲うフレームに前記支持フィルムを貼付する支持フィルム貼付工程と、
前記基板の上面側から前記支持フィルムに達する溝を形成する基板切断工程と、
を備えることを特徴としている。
前記再配線の他端部に接続される柱状電極を形成する柱状電極形成工程を備えてもよい。
前記柱状電極の側面並びに上面を被覆する封止膜を形成する封止膜形成工程を備えてもよい。
前記封止膜の上面の位置は、前記フレームの上面の位置より高いことが好ましい。
前記封止膜及び前記柱状電極を研削する研削工程を備えてもよい。
前記研削工程後の前記封止膜の上面の位置は、前記フレームの上面の位置より高いことが好ましい。
前記封止膜形成工程は、前記封止膜を前記溝内に充填することが好ましい。
前記溝内の前記封止膜を分断するように、前記封止膜と前記支持フィルムを切断して、複数の半導体装置に個片化する個片化工程を備えてもよい。
前記柱状電極上に半田端子を形成する半田端子形成層工程を備えてもよい。
前記半導体基板の裏面を研削して、その厚みを薄くする基板薄型化工程を備えてもよい。
上記半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置であって、
前記支持フィルムは、前記半導体基板と同調するように熱膨張及び収縮が可能な熱膨張率を有する材料を有することを特徴としている。
上記半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置であって、
前記支持フィルムの熱膨張率は、前記封止膜の熱膨張率より小さく、前記封止膜の熱膨張率に比べて前記半導体基板の熱膨張率に近い値を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より容易に半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図2】半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【図3】半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【図4】半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【図5】半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【図6】半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【図7】図6の矢印VII方向からの矢視図である。
【図8】半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【図9】半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【図10】半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【図11】半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【図12】半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【図13】半導体装置の熱変形に関する説明図であり、常温時の状態(a)と、高温時の状態(b)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
図1は、本発明の実施形態1に係る半導体装置1を示す断面図である。
半導体装置1は、図1に示すように、基板15の一方の面側に再配線17、柱状電極20、半田端子23等を形成してなる。半導体装置1は、その上面および側面が封止膜9で覆われ、下面が接着剤層18を介して支持フィルム19で覆われたパッケージ構造を成している。
【0012】
基板15は、図1に示すように、半導体デバイスウェハ10に絶縁膜14が積層されてなる。
半導体デバイスウェハ10は、図1に示すように、シリコン等からなる半導体基板11と、金属等の導電性材料からなる複数の接続パッド(接続端子)12と、酸化シリコン等の絶縁性材料からなるパッシベーション膜13等を備えている。
【0013】
半導体基板11の内部や表面には、トランジスタ等の電気素子や配線等が形成されている。接続パッド12は半導体基板11上の配線と接続されている。パッシベーション膜13は半導体基板11の表面に形成され、電気素子や配線等を被覆する。また、パッシベーション膜13には、接続パッド12を露出させる開口13aが設けられている。図1に示すように、開口13aは接続パッド12よりも小さい。
【0014】
パッシベーション膜13の表面には、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等からなる絶縁膜14が形成されている。絶縁膜14には、ポリイミド(PI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)等の高機能プラスチック材料、エポキシ系、フェノール系、シリコン系等のプラスチック材料、またはこれらの複合材料等を用いることができる。
絶縁膜14には、接続パッド12を露出させる開口14aが設けられている。開口14aは例えばレーザにより形成することができる。図1に示すように、絶縁膜14の開口14aはパッシベーション膜13の開口13aよりも小さく、開口14aの外周部で接続パッド12と絶縁膜14とが密着している。
【0015】
再配線27は、電解めっき用シード層16及び主層17を有している。電解めっき用シード層16は、銅、チタン等の金属を含み、絶縁膜14の表面の一部及び開口14aから露出した接続パッド12の上部に形成されている。電解めっき用シード層16は、200nm〜2000nmの厚さが好ましい。電解めっき用シード層16の一端部は、開口13aと開口14aを通じて接続パッド12に接続されている。
電解めっき用シード層16の表面には銅等の導電性材料からなる主層17が形成されている。主層17は1μm〜10μmの厚さが好ましい。再配線27の一端部27aは電解めっき用シード層16を介して接続パッド12に接続されている。
【0016】
再配線17の他端部27bの上面には、銅等からなる柱状電極20が形成されている。
その柱状電極20の側面を被覆するとともに、再配線27と絶縁膜14を被覆する封止膜9が、基板15の上面から側面に亘って設けられている。封止膜9の表面が柱状電極20の上端面と略面一となることで柱状電極20が封止膜9から露出されている。封止膜9は、エポキシ系やポリイミド系の絶縁性樹脂からなる。
柱状電極20の上端面には、略球形状の半田端子23が設けられている。
【0017】
基板15の下面側である半導体基板11の裏面には、接着剤層18を介して支持フィルム19が設けられている。
接着剤層18は、例えば、エポキシ系の樹脂材料からなる接着剤が硬化してなり、支持フィルム19を基板15に接着している。
支持フィルム19は、例えば、ガラス繊維からなる布、シリカフィラー、或いはアラミド繊維等の低熱膨張率の添加材を含有した、エポキシ系やポリイミド系等の樹脂のフィルム材であり、例えば15μm〜50μmの厚さを有する。
支持フィルム19の熱膨張率は、好ましくは10[ppm/℃]未満、例えば6[ppm/℃]であり、半導体基板11を構成するシリコンの熱膨張率に近似した或いは同じ値を有していることが好ましい。支持フィルム19の熱膨張率は、含有する低熱膨張率の添加材の割合等を調整することによって所望する値に調整されている。特に、支持フィルム19の熱膨張率は、封止膜9の熱膨張率(例えば、10〜12[ppm/℃])より小さく調整されている。
【0018】
次に、半導体装置1の製造方法について、図2〜図12を用いて説明する。
【0019】
まず、図2に示すように、半導体デバイスウェハ10の表面に絶縁膜14を設け、その絶縁膜14にフォトリソグラフィでパターニングを施して接続パッド12に対応する位置に開口14aを形成し、基板15を形成する。
【0020】
次に、スパッタ等の気相堆積法により基板15における絶縁膜14の全面及び接続パッド12の全面を覆う電解めっき用シード層16を形成する。次いで、電解めっき用シード層16上の再配線27を形成しない位置及びアライメントマークを形成しない位置(半導体デバイスウェハ10の周縁部の複数箇所)に再配線レジスト(図示省略)を形成し、電解めっき用シード層16を陰極とする電解めっきにより再配線レジスト(図示省略)が形成されていない部分に銅メッキを施し、主層17を堆積することで再配線27を形成する(図3参照)。
再配線レジストを除去した後、再配線27上の柱状電極20を形成する位置に開口を有し、それ以外の再配線27及び電解めっき用シード層16を覆う80〜120μmの厚さの電極形成用レジストマスク(図示省略)を形成する。次いで、電解めっき用シード層16を陰極とする電解めっきにより電極用レジスト(図示省略)の開口内に銅メッキを施し、再配線27上に柱状電極20を形成する(図3参照)。
その後、図3に示すように、電極形成用レジストマスクを除去し、さらにソフトエッチングによって再配線27が形成されていない部分の電解めっき用シード層16を除去する。なお、このとき柱状電極20及び再配線27の一部もエッチングされるが、柱状電極20及び再配線27は電解めっき用シード層16と比較して充分に厚いため影響はない。
【0021】
次に、図4に示すように、半導体デバイスウェハ10における半導体基板11の裏面を、汎用のウエハグラインディング装置により研削して、半導体基板11の厚みを例えば50μm程度に薄くする。なお、基板15(半導体デバイスウェハ10)に再配線27及び柱状電極20を形成した段階では、基板15に反りを生じさせてしまう構成(例えば、熱硬化する封止樹脂層)は無く、基板15は平面性を保っているので、半導体基板11を容易に研削することができ、基板15を薄型化することができる。
【0022】
次に、図5、図6に示すように、基板15(半導体デバイスウェハ10)の周囲に基板15より十分厚く、基板15より強度の強い金属製のフレーム40を配置してから、上面に接着剤18aが塗布された支持フィルム19を基板15及びフレーム40の下面側に配置する。次いで、基板15及びフレーム40を下方向に移動するか、或いは支持フィルム19を上方向に移動して支持フィルム19の接着剤18aに基板15及びフレーム40を貼付する。フレーム40は、基板15を搬送する治具である。図7は、図6の矢印VII方向からの矢視図である。
この接着剤18aが熱硬化することで接着剤層18になる。
そして、接着剤層18は、基板15に封止膜19を取り付けるばかりでなく、中央において基板15を固定し、基板15の外周においてフレーム40に固定することで、薄型化された基板15をフレーム40と一体的に取り扱うことが可能になる。つまり、基板15のみでは薄すぎて、後工程で例えば基板15の周縁等を接触によって損傷しやすくまた変形により取り扱いにくいことがあるが、薄型化された基板15が支持フィルム19と接着剤層18を介してフレーム40に固定されていることで、基板15をフレーム40ごと取り扱うことができ、基板15を保護しながら基板15の搬送や基板15に対する加工を容易に行なうことができるようになる。
また、ここで熱硬化する構成は接着剤層18のみであり、接着剤層18は、支持フィルム19に比べて極めて薄く形成されているので接着剤18aが熱硬化する際に、接着剤18aが硬化収縮による応力は小さく、また基板15の周囲の外では、剛直なフレーム40が接着剤18aを固定しているため、基板15の下面に位置する接着剤18aの収縮を抑え、ひいては収縮の応力による基板15の反りを抑える。
【0023】
次に、図8に示すように、基板15を個片化する際のダイシングラインに沿い、第1のダイシングブレードを用いて基板15を切削する第1のダイシングを施す。第1のダイシングによって、基板15の上面側から接着剤層18に達する溝8を形成する。
この溝8が形成された基板15は、絶縁膜14から半導体基板11まで切断されているが、切断されたそれぞれの基板15が接着剤層18によって支持フィルム19に固着された状態になっている。つまり、各基板15は、フレーム40に貼着された支持フィルム19と一体に加工処理が進められる。
【0024】
次に、図9に示すように、基板15の上面に封止膜9となる樹脂材料を塗布して熱硬化させることで、溝8内を充塞するとともに、絶縁膜14と再配線27と柱状電極20を被覆する封止膜9を形成する。このとき、封止膜9の上面の位置は、フレーム40の上面の位置より高い。
次に、図10に示すように、封止膜9の上面と柱状電極20の上端面が略面一となるように封止膜9と柱状電極20をグラインダーで研削して、柱状電極20の上端面を露出させるとともに、各柱状電極20の高さを均等にする。研削時にグラインダーの下面が摺動するが、このとき、グラインダーがフレーム40に接触しないように、封止膜9の上面及び柱状電極20の上端面が、フレーム40の上面より高い位置で研削を終了する。
次に、図11に示すように、封止膜9の表面に露出した柱状電極20の上端面に、略球形状の半田端子23を形成する。
【0025】
次に、図12に示すように、所定のダイシングラインに相当する溝8に沿い、封止膜9部分を切断する第2のダイシングを施して、複数の半導体装置1に個片化する。
第2のダイシングは、第1のダイシングブレードより薄い第2のダイシングブレードを用いることで、溝8内の封止膜9部分を分断するように、封止膜9と支持フィルム19と接着剤層18を切断して、半導体基板11の側面に封止膜9の層を残すように、半導体装置1を個片化する工程である。第2のダイシングブレードは、シリコン等の半導体基板11のように硬質の部材を切断する必要がないので薄くても十分切断することができる。
このように、第2のダイシングによって、基板15を複数の半導体装置1に個片化することで、半導体装置1が製造される。
【0026】
以上のように、本実施形態によれば、第2のダイシングにより半導体装置1が個片化された段階で、基板15の上面及び側面は封止膜9で被覆され、基板15の下面は支持フィルム19と接着剤層18で被覆されている。つまり、絶縁性の樹脂膜(封止膜9、支持フィルム19および接着剤層18)を介してフレーム40と一体であった基板15を個片化することで、基板15の全面を樹脂膜で被覆したパッケージ構造の半導体装置1を容易に製造することができる。
特に、基板15を支持フィルム19に貼付してフレーム40に固定し、その基板15をフレーム40ごと取り扱うことを可能にすることで、基板15の搬送や基板15に対する加工を容易に行なうことができる。また、基板15に貼付した支持フィルム19をそのまま下面側の樹脂膜とすることで、半導体装置1をより一層容易に製造することができる。
【0027】
また、基板15に反りが生じない段階で半導体基板11を容易に研削して薄型化することができるので、その薄型化された基板15を備える半導体装置1の薄型化を図ることができる。
なお、薄型化された基板15のみでは基板15が損傷しやすく取り扱いにくいことがあるが、その薄型化された基板15を支持フィルム19に貼付してフレーム40と一体に取り扱うことで、半導体装置1の製造が容易になる。
【0028】
また、半導体装置1において、基板15の下面である半導体基板11に貼付された支持フィルム19の熱膨張率は、半導体基板11を構成するシリコンの熱膨張率に近似した或いは同等の値を有しているので、半導体装置1が使用される環境温度に変化がある場合でも、支持フィルム19は半導体基板11と同調するように熱膨張及び収縮することによって、半導体装置1の熱変形を妨げることがない。
具体的に、半導体装置1における封止膜9は熱硬化して形成される際に硬化収縮するので、半導体装置1はその上面側が縮み、下面(支持フィルム19)側が凸に反る形状を呈しやすくなっている。一方、封止膜9は、半導体基板11と支持フィルム19よりも熱膨張率が大きいので高温時には膨張して、半導体装置1は下面(支持フィルム19)側が凹に反る形状を呈しやすくなっている。
そして、例えば、図13(a)に示すように、メイン回路基板Pに実装された半導体装置1は、常温時に支持フィルム19側が僅かに凸に反った形状を呈している。これに対し、図13(b)に示すように、高温時にメイン回路基板Pが熱膨張する際、封止膜9も熱膨張し、半導体装置1は支持フィルム19側が僅かに凹に反った形状に熱変形する。この熱膨張に伴う半導体装置1の熱変形によって、半導体装置1の封止膜9側がメイン回路基板Pの膨張に追従し、半田端子23の接合を維持することができる。また、常温に下がる際には、半導体装置1がメイン回路基板Pの収縮に追従して、図13(a)に示す状態に戻る。ここで例えば、支持フィルム19の熱膨張率が半導体基板11よりも大きく、封止膜9と同等の値を有すると、高温時に支持フィルム19も熱膨張してしまうので、封止膜9が膨張することに伴って半導体装置1の支持フィルム19側が凹に反る熱変形が妨げられてしまうのである。
このように、支持フィルム19の熱膨張率が半導体基板11の熱膨張率に近いので、支持フィルム19は半導体基板11と同調するように熱膨張及び収縮することができ、封止膜9の膨張や収縮を妨げることはなく、半導体装置1の熱変形を妨げることがない。つまり、半導体装置1をメイン回路基板Pにリフローして実装する際の高温時とその前後の常温時に、半導体装置1は好適に膨張、収縮するので、支持フィルム19は、半導体装置1がメイン回路基板Pの膨張と収縮に追従する熱応力緩和機構を妨げることがない。
そして、半導体装置1がメイン回路基板Pの膨張と収縮に追従することで、半田端子23と柱状電極20にかかる応力は好適に緩和されるので、半田端子23と柱状電極20は破断しにくく半導体装置1の製品安定性が向上する。
【0029】
また、第1のダイシングでは主に半導体基板11を切削し、第2のダイシングでは主に封止膜9と支持フィルム19の樹脂を切削するので、それぞれの材料を切削することに適したブレードを選択して使用することができる。
なお、第2のダイシング時に、半導体基板11は封止膜9で保護されているので、支持フィルム19を切削する際に飛散するガラス片が半導体基板11に付着してしまうことはない。
【0030】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 半導体装置
10 半導体デバイスウェハ
11 半導体基板
12 接続パッド(接続端子)
13 パッシベーション膜
14 絶縁膜
15 基板
16 電解めっき用シード層
17 再配線
18 接着剤層
19 支持フィルム
20 柱状電極
23 半田端子
8 溝
9 封止膜
40 フレーム
P メイン基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板及び前記半導体基板の一方の面に形成された複数の接続端子を備えた基板の前記接続端子に再配線の一端部が接続される半導体装置の製造方法において、
前記基板の下面に支持フィルムを貼付するとともに、その基板の周囲を囲うフレームに前記支持フィルムを貼付する支持フィルム貼付工程と、
前記基板の上面側から前記支持フィルムに達する溝を形成する基板切断工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記再配線の他端部に接続される柱状電極を形成する柱状電極形成工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記柱状電極の側面並びに上面を被覆する封止膜を形成する封止膜形成工程を備えることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記封止膜の上面の位置は、前記フレームの上面の位置より高いことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記封止膜及び前記柱状電極を研削する研削工程を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記研削工程後の前記封止膜の上面の位置は、前記フレームの上面の位置より高いことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記封止膜形成工程は、前記封止膜を前記溝内に充填することを特徴とする請求項3〜6の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記溝内の前記封止膜を分断するように、前記封止膜と前記支持フィルムを切断して、複数の半導体装置に個片化する個片化工程を備えることを特徴とする請求項3〜7の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記柱状電極上に半田端子を形成する半田端子形成層工程を備えることを特徴とする請求項2〜8の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体基板の裏面を研削して、その厚みを薄くする基板薄型化工程を備えることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10の何れかに記載の半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置であって、
前記支持フィルムは、前記半導体基板と同調するように熱膨張及び収縮が可能な熱膨張率を有する材料を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項3〜10の何れかに記載の半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置であって、
前記支持フィルムの熱膨張率は、前記封止膜の熱膨張率より小さく、前記封止膜の熱膨張率に比べて前記半導体基板の熱膨張率に近い値を有することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−181858(P2011−181858A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47292(P2010−47292)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】