説明

半導体装置

【課題】消費電流を低減し、動作周波数の限界がそれほど高くない場合でもレイアウトパターンサイズが大きくならない半導体装置を提供する。
【解決手段】クロック切換レジスタ10が、マイクロコンピュータ1Aに電源が投入されると設定値が初期化され、クロック切換回路7が、マイクロコンピュータ1Aに電源が投入されると、クロック切換レジスタ10の初期化された値に応じて、発振回路6からのクロック信号を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動作を停止することができる発振回路を内蔵するとともに、内蔵した複数のクロック発生回路のうち外付け素子に対応したクロック発生回路を選択できるマイクロコンピュータ等の半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は例えば特許文献1に示された従来のマイクロコンピュータのクロック信号制御部分の構成を示すブロック図である。図において、30Aはマイクロコンピュータ、31は水晶振動子等の外部発振子、32はマイクロコンピュータ30Aにリセット信号を与えるリセット信号発生回路である。マイクロコンピュータ30Aにおいて、33はクロック信号を発生する発振回路、34は外部発振子31による信号からクロック信号を作成する振動子発振回路、7は選択信号に応じていずれかのクロック信号を選択してマイクロコンピュータ30Aの内部回路に供給するクロック切換回路である。
【0003】
次に動作について説明する。
発振回路33は、リングオシレータ等の立ち上がり特性のよいオシレータで構成される。マイクロコンピュータ30Aに対して電源供給が開始されると、クロック切換回路7は、発振回路33からのクロック信号を選択するように設定される。発振回路33は、電源供給開始後すぐに発振を開始する。従って、クロック切換回路7は、電源供給開始後すぐに、マイクロコンピュータ30Aの内部回路にクロック信号を供給する。
【0004】
電源供給が開始されると、リセット信号発生回路32は、マイクロコンピュータ30Aに所定期間のリセットレベルを与えた後にリセット状態を解除するレベルを与える。マイクロコンピュータ30Aにおいて、リセット状態が解除されると、クロック切換回路7が、振動子発振回路34からのクロック信号を選択するように設定される。その後、マイクロコンピュータ30Aの内部回路は、振動子発振回路34からのクロック信号によって動作する。以上のようにして、立ち上がり特性がさほどよくない振動子発振回路34の発振クロック信号が安定する前では、発振回路33によってマイクロコンピュータ30Aの内部回路にクロック信号が供給される。
【0005】
図7は例えば特許文献2に記載された従来の他のマイクロコンピュータのクロック信号制御部分の構成を示すブロック図である。図において、30Bはマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータ30Bにおいて、2,3はXIN端子、XOUT 端子である。XIN端子2、XOUT 端子3には抵抗または振動子が接続されるので、以下、それらを外部素子接続端子2,3という。40,41は発振回路43のための外部素子が接続される外部素子接続端子、44はクロック信号を発生するクロック信号発生回路、7は発振回路43からのクロック信号とクロック信号発生回路44からのクロック信号とのうちのいずれかを選択するクロック切換回路である。
【0006】
クロック信号発生回路44において、4は外部素子接続端子2,3に抵抗が接続されたときに抵抗値とコンデンサの容量とに応じた周波数のクロック信号を発振するCR発振回路、5は外部素子接続端子2,3に振動子が接続されたときに動作する振動子発振回路、20A,20BはCR発振回路4と振動子発振回路5とのうちのいずれかを外部素子接続端子2,3に接続する切換回路である。CR発振回路4は反転論理積ゲート51、反転回路52,53,54、コンデンサ55および反転論理積ゲート51と電源との間に接続されたスイッチ56を含む。振動子発振回路5は、反転論理積ゲート57および反転論理積ゲート57と電源との間に接続されたスイッチ58を含む。
【0007】
次に動作について説明する。
マイクロコンピュータ30Bに対して電源供給が開始されると、クロック切換回路7は、発振回路43からのクロック信号を選択するように設定される。従って、マイクロコンピュータ30Bのリセット状態が解除されたときには、クロック切換回路7は、マイクロコンピュータ30Bの内部回路に発振回路43からのクロック信号を供給する。その後、マイクロコンピュータ30Bにおいて、クロック信号発生回路44からのクロック信号が内部回路に供給されるようにクロック切換回路7が切り換えられる。
【0008】
外部素子接続端子2,3に抵抗が接続されている場合には、切換回路20A,20Bは、CR発振回路4と外部素子接続端子2,3とが接続されるように設定される。従って、接続された抵抗とコンデンサ55とを含む回路が形成され、抵抗値および容量で定まる周波数のクロック信号がクロック切換回路7に出力される。なお、このとき、反転論理積ゲート51の一方の入力と電源とを切り離すようにスイッチ56が設定される。また、反転論理積ゲート51の他方の入力はハイレベルとされる。
【0009】
外部素子接続端子2,3に振動子が接続されている場合には、切換回路20A,20Bは、図7に示すように、振動子発振回路5と外部素子接続端子2,3とが接続されるように設定される。また、反転論理積ゲート57の一方の入力と電源とを切り離すようにスイッチ58が設定され、反転論理積ゲート57の他方の入力はハイレベルとされる。従って、振動子からの信号が整形されたクロック信号がクロック切換回路7に出力される。
【0010】
マイクロコンピュータ30Bがこのように構成されている場合には、ユーザは、周波数安定性に欠けるが立ち上がり特性のよいCR発振と、立ち上がり特性はよくないが周波数安定性のよい振動子発振とのいずれかを、用途に応じて選択することができる。
【0011】
【特許文献1】特開平4−33116号公報
【特許文献2】特開平6−260836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の半導体装置は以上のように構成されているので、電源投入時のクロック信号の安定性を確保したりユーザの要望に応じたクロック発振回路を選択することはできるものの、振動子発振回路34やクロック信号発生回路44が選択されているときにも発振回路33,43が動作を継続する。従って、半導体装置の消費電流が増加してしまうという課題があった。
また、半導体装置における動作周波数には限界がある。発振周波数がその限界を越えないように発振回路33,43は設計されなければならない。従って、動作周波数の限界がそれほど高くない場合には発振回路33,43に含まれるコンデンサの容量を大きくしなければならず、その結果、発振回路33,43のレイアウトパターンサイズが大きくなるという課題があった。
【0013】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、消費電流を低減することができる半導体装置を得ることを目的とする。
また、動作周波数の限界がそれほど高くない場合でもレイアウトパターンサイズが大きくならない半導体装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係る半導体装置は、装置外部に設けた抵抗又は振動子と接続し、前記抵抗又は前記振動子と共動してクロック信号を発振する第1の発振回路と、装置外部との接続を有さず装置に内蔵され、所定の周波数のクロック信号を発振する第2の発振回路と、第1の発振回路と第2の発振回路とのうちのいずれかからのクロック信号を選択するための値が設定されるクロック切換レジスタと、クロック切換レジスタの設定値に応じて、第1の発振回路からのクロック信号と第2の発振回路からのクロック信号とのうちのいずれかを選択するクロック切換回路とを備えた半導体装置において、クロック切換レジスタは、装置に電源が投入されると設定値が初期化され、クロック切換回路は、装置に電源が投入されると、クロック切換レジスタの初期化された値に応じて、第2の発振回路からのクロック信号を選択するものである。
【0015】
この発明に係る半導体装置は、装置外部に設けた抵抗又は振動子と第1の発振回路との接続に応じて、第1の発振回路を有効にするスイッチ回路と、スイッチ回路が第1の発振回路を有効にすると、第2の発振回路の発振を停止する発振停止回路とを備えるものである。
【0016】
この発明に係る半導体装置は、CPUを備え、クロック切換レジスタは、CPUにより値の設定が可能である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、発振回路からのクロック信号が選択されていない場合には、発振回路の動作を停止することができ、半導体装置の消費電流を低減することができる効果がある。
【0018】
この発明によれば、動作周波数の限界がそれほど高くない場合でも発振回路の発振周波数を高くでき、半導体装置のレイアウトパターンサイズが大きくならない効果がある。
【0019】
この発明によれば、テスタのクロック信号を用いて半導体装置をテストするときに、確実にテストを実行できる効果がある。
【0020】
この発明によれば、半導体装置をテストするときに、クロック信号制御部分も確実にテストできる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による半導体装置のクロック信号制御部分の構成を示すブロック図である。この場合には、半導体装置としてマイクロコンピュータを例にとる。図において、1Aはマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータ1Aにおいて、2,3は抵抗または水晶振動子やセラミック振動子等の振動子が接続される外部素子接続端子、4は外部素子接続端子2,3に抵抗が接続されたときに抵抗値とコンデンサの容量とに応じた周波数のクロック信号を発振するCR発振回路(第1の発振回路)、5は外部素子接続端子2,3に振動子が接続されたときに動作する振動子発振回路(第1の発振回路)、6は立ち上がり特性のよい発振回路(第2の発振回路)、7はCR発振回路4または振動子発振回路5からのクロック信号と発振回路6からのクロック信号とのうちのいずれかを選択してマイクロコンピュータ1Aの内部回路に供給するクロック切換回路、8はCR発振回路4と振動子発振回路5とのうちのいずれが選択されるのかを示す情報が設定されるクロック選択レジスタ、9はクロック選択レジスタ8の設定値に応じてCR発振回路4または振動子発振回路5を有効にするスイッチ回路、10はクロック切換回路7がいずれのクロック信号を選択するのかを示す情報が設定されるクロック切換レジスタである。
【0022】
図2は発振回路6の一構成例を示す回路図である。発振回路6は、例えば図に示すようなリングオシレータで実現される。図2に示す例では、ゲート回路110とそれに縦続に接続された遅延素子を形成する反転回路121,122,123,124,125,126を有する。反転回路126の出力はゲート回路110に帰還されるとともに反転回路127を介してクロック切換回路7に出力される。反転回路122,123,124,125の入力側には、他方が電源側に接続されたコンデンサ131,133,135,137と、他方が接地側に接続されたコンデンサ132,134,136,138とが接続される。ゲート回路110にはクロック切換レジスタ10の出力が入力される。なお、ゲート回路110は、発振停止回路の一実現例である。
【0023】
次に動作について説明する。
マイクロコンピュータ1Aに対して電源供給が開始されると、クロック切換レジスタ10の内容は「0」に設定される。または、マイクロコンピュータ1Aに外部から供給されるリセット信号が所定期間ローレベルになるとクロック切換レジスタ10の内容は「0」に設定される。このとき、クロック切換レジスタ10の出力はローレベルになる。クロック切換回路7は、クロック切換レジスタ10の出力がローレベルであるときには、発振回路6からのクロック信号をマイクロコンピュータ1Aの内部回路に供給する。
発振回路6からクロック信号が供給されるとマイクロコンピュータ1Aはリセット状態となり、外部より供給されるリセット信号がハイレベルになるとマイクロコンピュータ1Aは発振回路6からのクロック信号を用いた動作状態となる。
【0024】
外部素子接続端子2,3に抵抗が接続されている場合には、CPUは、動作を開始すると、クロック選択レジスタ8にCR発振回路4を選択するための情報を設定する。この例では、「1」を設定する。クロック選択レジスタ8の内容が「1」であるときには、クロック選択レジスタ8はハイレベルを出力する。また、CPUは、クロック切換レジスタ10の内容を「1」にする。クロック切換レジスタ10の内容が「1」であるときには、クロック切換レジスタ10はハイレベルを出力する。クロック選択レジスタ8の出力はスイッチ回路9に供給される。スイッチ回路9は、クロック選択レジスタ8の出力がハイレベルである場合には、CR発振回路4と外部素子接続端子2,3とを接続する。従って、外部素子接続端子2,3に接続された抵抗とCR発振回路4内のコンデンサとを含む回路が形成され、抵抗値および容量で定まる周波数のクロック信号がクロック切換回路7に出力される。なお、CPUがクロック選択レジスタ8の内容を「1」に設定した後、外部端子2,3に接続された抵抗とCR発振回路4による発振が安定するまで、マイクロコンピュータ1Aは発振回路6からのクロック信号で動作し、CR発振回路4の発振が安定した後にクロック切換レジスタ10の内容は「1」に切替る。
【0025】
クロック切換レジスタ10の出力がハイレベルになっているので、クロック切換回路7は、CR発振回路4または振動子発振回路5からのクロック信号をマイクロコンピュータ1Aの内部回路に供給する。この場合にはCR発振回路4が発振しているので、CR発振回路4からのクロック信号がマイクロコンピュータ1Aの内部回路に供給される。
【0026】
外部素子接続端子2,3に振動子が接続されている場合には、CPUは、動作を開始すると、クロック選択レジスタ8に「0」を設定するとともに、クロック切換レジスタ10の内容を「1」にする。クロック選択レジスタ8の内容が「0」であるときには、クロック選択レジスタ8はローレベルを出力する。スイッチ回路9は、クロック選択レジスタ8の出力がローレベルであるときには、振動子発振回路5と外部素子接続端子2,3とを接続する。従って、振動子からの信号が振動子発振回路5によって整形されたクロック信号が、クロック切換回路7を介してマイクロコンピュータ1Aの内部回路に出力される。なお、CPUがクロック選択レジスタ8の内容を「0」に設定した後、外部端子2,3に接続された振動子と振動子発振回路5による発振が安定するまで、マイクロコンピュータ1Aは発振回路6からのクロック信号で動作し、振動子発振回路5の発振が安定した後にクロック切換レジスタ10の内容は「1」に切替る。
【0027】
クロック切換レジスタ10の出力がハイレベルになっているので、クロック切換回路7は、CR発振回路4または振動子発振回路5からのクロック信号をマイクロコンピュータ1Aの内部回路に供給する。この場合には振動子発振回路5が発振しているので、振動子発振回路5からのクロック信号がマイクロコンピュータ1Aの内部回路に供給される。
【0028】
図2に示すように、発振回路6の構成要素であるゲート回路110は、クロック切換レジスタ10の出力を導入している。クロック切換レジスタ10の出力が、クロック切換回路7がCR発振回路4または振動子発振回路5からのクロック信号を選択していることを示している場合には、クロック切換レジスタ10からの信号はハイレベルである。従って、ゲート回路110は閉状態になるので発振回路6の発振は停止し、発振回路6において電流は流れなくなる。すなわち、マイクロコンピュータ1AがCR発振回路4または振動子発振回路5からのクロック信号によって動作しているときには発振回路6に電流は流れない。よって、マイクロコンピュータ1Aの消費電流は、従来のマイクロコンピュータにおける消費電流よりも低減する。
【0029】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による半導体装置のクロック信号制御部分の構成を示すブロック図である。この場合にも、半導体装置としてマイクロコンピュータを例にとる。図において、1Bはマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータ1Bにおいて、11は発振回路6の出力側に接続された分周器である。その他のものは、図1に示されたものと同じものである。
【0030】
次に動作について説明する。
実施の形態1の場合には、発振回路6の発振周波数は、マイクロコンピュータ1Aの動作可能周波数を越えることはできない。動作可能周波数がそれほど高くない場合には、発振回路6の発振周波数を高くすることはできない。発振周波数を低くするには、発振回路6におけるコンデンサ131〜138の容量を大きくしなければならない。すなわち、発振回路6のレイアウトパターンサイズが増大する。
【0031】
そこで、この実施の形態2のように、発振回路6とクロック切換回路7との間に分周器11を設ける。すると、分周器11で周波数が落とされたクロック信号がクロック切換回路7を介してマイクロコンピュータ1Bの内部回路に供給されるので、発振回路6の発振周波数は高くてもよい。すなわち、コンデンサ131〜138の容量を小さくでき、発振回路6のレイアウトパターンサイズを小さくできる。
なお、発振回路6側のクロック信号とCR発振回路4または振動子発振回路5からのクロック信号とを切り換えるための制御は、実施の形態1の場合と同様である。
【0032】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3による半導体装置のクロック信号制御部分の構成を示すブロック図である。この場合にも、半導体装置としてマイクロコンピュータを例にとる。この実施の形態3によるマイクロコンピュータは、製品テストを考慮して構成されている。図において、1Cはマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータ1Cにおいて、14はクロック選択レジスタ8からの信号を有効にするか無効にするか決定するクロック選択制御回路、15はテストを指定する信号の入力端子16から入力される信号に応じてクロック選択制御回路14を制御するテスト信号発生回路である。その他のものは、図3に示されたものと同じものである。
【0033】
次に動作について説明する。
一般に、製品テスト時には、テスタで発生されるクロック信号が外部素子接続端子2を介してマイクロコンピュータ1Cに供給される。CR発振回路4は、例えば図7に示すように、コンデンサ55を内部に含む。従って、CR発振回路4が選択されている場合には、テスタで発生されるクロック信号が正常にマイクロコンピュータ1Cの内部回路に伝達されない可能性がある。そこで、テスト時には、常に振動子発振回路5が選択されるようにしなければならない。テスト時には、クロック選択レジスタ8の内容を常に「0」にしておけば、そのようにすることは可能である。しかし、その場合には、クロック選択レジスタ8によるクロック信号の選択動作が正常であるか否かのテストができない。
【0034】
そこで、この実施の形態3のように、クロック選択制御回路14およびテスト信号発生回路15を設ける。クロック選択制御回路14は、テスト信号発生回路15からの信号が有意であるときには、クロック選択レジスタ8の内容にかかわらず、スイッチ回路9に対して「0」を出力する。テスト信号発生回路15からの信号が有意でないときには、クロック選択レジスタ8の出力をスイッチ回路9に対してそのまま出力する。なお、クロック選択レジスタ8の内容は、マイクロコンピュータ1Cの所定の出力端子にも出力される。
【0035】
テスト時には、入力端子16に、有意なテスト信号をクロック選択制御回路14に与えることを指示する信号が入力される。その信号に応じて、テスト信号発生回路15は、有意なテスト信号をクロック選択制御回路14に与える。すると、クロック選択制御回路14はスイッチ回路9に対して常に「0」を出力する。従って、スイッチ回路9は、常に外部素子接続端子2,3を振動子発振回路5に接続する。振動子発振回路5は例えば図7に示すように構成されているので、テスタからのクロックは、問題なくクロック切換回路7に供給される。従って、クロック切換回路7がCR発振回路4または振動子発振回路5からのクロック信号を選択するように切り換わったときには、正常なクロック信号がマイクロコンピュータ1Cの内部回路に供給される。
【0036】
クロック選択レジスタ8の内容は所定の出力端子に出力されるので、テスト実行者は、その出力端子の状態をモニタすることによって、クロック選択レジスタ8が正しく動作しているのかどうか認識することができる。なお、クロック選択レジスタ8の内容を所定の出力端子に出力することは、テスト時に用いられるプログラムがクロック選択レジスタ8の内容を読み出して、その内容を所定の出力端子に出力することによって実現できる。または、クロック選択レジスタ8の内容が所定の出力端子に出力されるようにハードウェア的に結線しておくことによって実現できる。
【0037】
製品テスト時ではない実稼働時には、入力端子16には、テスト時ではないことを示す信号が入力される。すると、テスト信号発生回路15は、有意でない信号をクロック選択制御回路14に与える。クロック選択制御回路14は、その信号に応じてクロック選択レジスタ8の出力を通過させるように制御する。従って、発振回路6側のクロック信号とCR発振回路4または振動子発振回路5からのクロック信号とを切り換えるための制御が、実施の形態1および実施の形態2の場合と同様に実行される。
【0038】
以上のように、この実施の形態3によれば、ユーザの要望に応じたクロック発振回路を選択することができる半導体装置を提供できるとともに、テスト時に確実に半導体装置の動作確認が行える。
【0039】
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4による半導体装置のクロック信号制御部分の構成を示すブロック図である。この場合にも、半導体装置としてマイクロコンピュータを例にとる。この実施の形態によるマイクロコンピュータも、製品テストを考慮して構成されている。図において、1Dはマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータ1Dにおいて、17はテストモードを有効にするか無効にするか決定するための情報が設定されるテスト信号制御レジスタ、18はテスト信号制御レジスタ17の内容に応じてテスト信号を通過させるか阻止するか決定するテスト信号制御回路である。その他のものは、図4に示されたものと同じものである。
【0040】
次に動作について説明する。
テスト信号制御回路18は、テスト信号制御レジスタ17の内容が「0」である時には、テスト信号発生回路15からのテスト信号を通過させる。テスト信号制御レジスタ17の内容が「1」である時には、テスト信号発生回路15からのテスト信号を阻止し、テスト信号が有意でないことを示す信号をクロック選択制御回路14に出力する。
【0041】
製品テスト時にテスタからのクロック信号によってマイクロコンピュータ1Dを動作させたい場合には、CPUは、テスト信号制御レジスタ17の内容を「0」に設定する。テスト信号制御レジスタ17の内容が「0」である場合には、テスト信号制御回路18は、テスト信号発生回路15からの信号をクロック選択制御回路14に供給する。その状態で、有意なテスト信号をクロック選択制御回路14に与えることを指示する信号が入力端子16に入力されると、テスト信号発生回路15は、有意なテスト信号を出力する。テスト信号制御回路18はテスト信号を通過させるように設定されているので、有意なテスト信号が、クロック選択制御回路14に与えられる。よって、この場合には、実施の形態3の場合と同様に、スイッチ回路9は、外部素子接続端子2,3を振動子発振回路5に接続する。従って、マイクロコンピュータ1Dは、テスタからのクロック信号に従って動作することができる。
【0042】
実施の形態3ではテスト時には常に振動子発振回路5が選択されていた。従って、CR発振回路4が正常に動作するか否か確認できない。また、クロック選択制御回路14が確かにクロック選択レジスタ8の内容に応じて切り換え動作を行うかどうか確認できない。しかし、この場合には、テスト信号制御レジスタ17の内容を「1」にすることによってそれらの動作確認も行うことができる。すなわち、テスト時にそれらの動作確認を行いたい場合には、CPUは、テスト信号制御レジスタ17の内容を「1」に設定する。
【0043】
すると、テスト信号制御回路18はテスト信号発生回路15からのテスト信号を阻止するので、クロック選択制御回路14は、クロック選択レジスタ8の内容に従って選択動作を行う。クロック選択レジスタ8の内容が「1」であるときには、クロック選択レジスタ8は、外部素子接続端子2,3をCR発振回路4に接続するように指示する。従って、外部素子接続端子2,3に抵抗が接続されていれば、CR発振回路4からのクロック信号がマイクロコンピュータ1Dの内部回路に供給されるはずである。すなわち、この状態でマイクロコンピュータ1Dが正常に動作すれば、CR発振回路4は正常動作していると確認される。
【0044】
製品テスト時ではない実稼働時には、入力端子16には、テスト時ではないことを示す信号が入力される。その場合には、テスト信号制御回路18から、テスト信号が有意でないことを示す信号がクロック選択制御回路14に与えられる。従って、クロック選択制御回路14はクロック選択レジスタ8の内容に応じた信号をスイッチ回路9に与える。よって、発振回路6側のクロック信号とCR発振回路4または振動子発振回路5からのクロック信号とを切り換えるための制御は、実施の形態1および実施の形態2の場合と同様に実行される。
【0045】
以上のように、この実施の形態4によれば、テスト時にCR発振回路4およびクロック選択制御回路14の動作確認も行え、製品テストをより効率的に進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の実施の形態1による半導体装置のクロック信号制御部分の構成を示すブロック図である。
【図2】発振回路の一構成例を示す回路図である。
【図3】この発明の実施の形態2による半導体装置のクロック信号制御部分の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態3による半導体装置のクロック信号制御部分の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態4による半導体装置のクロック信号制御部分の構成を示すブロック図である。
【図6】従来のマイクロコンピュータのクロック信号制御部分の構成を示すブロック図である。
【図7】従来の他のマイクロコンピュータのクロック信号制御部分の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0047】
4 CR発振回路(第1の発振回路)、5 振動子発振回路(第1の発振回路)、6 発振回路(第2の発振回路)、7 クロック切換回路、11 分周器、14 クロック選択制御回路、17 テスト信号制御レジスタ、110 ゲート回路(発振停止回路)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置外部に設けた抵抗又は振動子と接続し、前記抵抗又は前記振動子と共動してクロック信号を発振する第1の発振回路と、
装置外部との接続を有さず装置に内蔵され、所定の周波数のクロック信号を発振する第2の発振回路と、
前記第1の発振回路と前記第2の発振回路とのうちのいずれかからのクロック信号を選択するための値が設定されるクロック切換レジスタと、
前記クロック切換レジスタの設定値に応じて、前記第1の発振回路からのクロック信号と前記第2の発振回路からのクロック信号とのうちのいずれかを選択するクロック切換回路とを備えた半導体装置において、
前記クロック切換レジスタは、装置に電源が投入されると設定値が初期化され、
前記クロック切換回路は、装置に電源が投入されると、前記クロック切換レジスタの初期化された値に応じて、前記第2の発振回路からのクロック信号を選択することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
装置外部に設けた抵抗又は振動子と第1の発振回路との接続に応じて、前記第1の発振回路を有効にするスイッチ回路と、
前記スイッチ回路が前記第1の発振回路を有効にすると、第2の発振回路の発振を停止する発振停止回路とを備えたことを特徴とする請求項1の半導体装置。
【請求項3】
CPUを備え、
クロック切換レジスタは、前記CPUにより値の設定が可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−120183(P2006−120183A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1814(P2006−1814)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【分割の表示】特願平8−123404の分割
【原出願日】平成8年5月17日(1996.5.17)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【出願人】(391024515)株式会社ルネサスデザイン (11)
【Fターム(参考)】