半導体装置
【課題】流量の検出精度を向上することのできる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体基板上に少なくとも発熱体が形成されて、流体の流量を検出する流量検出部が構成された半導体装置であって、半導体基板の同一面側に、流量検出部と流体の湿度を検出する湿度検出部とが、湿度検出部が流量検出部よりも上流側となるように、流体の流れ方向に沿って並んで形成されている。
【解決手段】半導体基板上に少なくとも発熱体が形成されて、流体の流量を検出する流量検出部が構成された半導体装置であって、半導体基板の同一面側に、流量検出部と流体の湿度を検出する湿度検出部とが、湿度検出部が流量検出部よりも上流側となるように、流体の流れ方向に沿って並んで形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を検出する半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、流体の流量を検出する半導体装置が知られている。
【0003】
この種の半導体装置は、半導体基板上に発熱体(発熱抵抗体)と該発熱体近傍の温度を感知する感温体(側温抵抗体)とが形成されて、流体の流量を検出する流量検出部が構成されている。
【特許文献1】特許第3468731号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、流体(例えば空気)中には水分が含まれる。したがって、上述した半導体装置によって流体の流量を検出した場合、水分量の分だけ誤差が生じてしまう。このような誤差は、特に車両内燃機関の燃料噴射制御のように、高精度の流量(空気量)を必要とする用途においては、好ましくないものである。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、流量の検出精度を向上することのできる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の発明は、半導体基板上に少なくとも発熱体が形成されて、流体の流量を検出する流量検出部が構成された半導体装置であって、半導体基板の流量検出部形成領域の近傍に、流体の湿度を検出する湿度検出部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
このように本発明によれば、湿度検出部を備えるので、流体中に含まれる水分量を補正しない構成に比べて、流量の検出精度を向上することができる。また、湿度検出部が、同一の半導体基板であって流量検出部形成領域の近傍に形成されているので、流量検出部とは別の基板に構成された湿度センサを備える構成に比べて、流量検出部により近い位置の流体の湿度を検出することができる。すなわち、流量の検出精度を向上することができる。
【0008】
また、流量検出部と湿度検出部が同一の半導体基板に構成されているので、流量検出部とは別の基板に構成された湿度センサを備える構成に比べて、体格の小型化を図ることができる。
【0009】
半導体基板における流量検出部と湿度検出部の配置としては、例えば請求項2に記載のように、湿度検出部が、流量検出部の少なくとも発熱体よりも、流体の流れ方向において上流側に形成された構成とすると良い。一例としては、請求項3に記載のように、湿度検出部が、流体の流れ方向に沿って流量検出部に隣接形成された構成とすることができる。
【0010】
このような構成とすると、湿度検出部が、流量検出部を構成する発熱体の熱の影響を受けるのを、抑制することができる。したがって、湿度検出部が精度良く湿度を検出することができるので、結果として流量の検出精度をより向上することができる。
【0011】
なお、請求項4に記載のように、湿度検出部が、流体の流れに沿う方向において流量検出部の上流部位及び下流部位を除く流量検出部の近傍部位に形成された構成(流体の流れ方向に対して、流量検出部と湿度検出部が平行に形成された構成)としても良い。このような構成としても、請求項2に記載の発明と同様な効果を期待することができる。
【0012】
次に、湿度検出部が、半導体基板上に形成された導電材料からなる一対の電極と、半導体基板上であって少なくとも電極間に配置され、湿度変化に応じて比誘電率又はインピーダンスが変化する感湿膜とを有し、半導体基板上には、流量検出部及び湿度検出部の検出信号に基づく信号を外部に出力するパッドが形成され、パッドと外部接続端子としてのリードとの接続部位を含み、流量検出部及び湿度検出部の形成領域を除く半導体基板の一部が、封止樹脂によって被覆され、半導体基板の、封止樹脂による被覆部位の少なくとも一部と封止樹脂との間には、半導体基板と封止樹脂との密着力を高める高分子膜が配置される構成においては、請求項5に記載のように、高分子膜が感湿膜と同一材料を用いて形成されても良い。
【0013】
このように、高分子膜と感湿膜との構成材料を同一とすると、構成を簡素化することができる。また、製造工程も簡素化することができる。
【0014】
なお、請求項6に記載のように、感湿膜と高分子膜の少なくとも一部とが一体的に形成された構成としても良いし、請求項7に記載のように、感湿膜と高分子膜とが、互いに分離形成された構成としても良い。請求項6に記載の構成とすると、体格をより小型化することも可能である。また、請求項7に記載の構成において、請求項8に記載のように、高分子膜が封止樹脂によって完全に被覆された構成とすると、パッドとリードとの接続部位の水分によって腐食する場合には、腐食を抑制することができる。
【0015】
請求項9に記載のように、湿度検出部を構成する感湿膜としてポリイミドを採用すると良い。ポリイミドは、水分の吸着量によって比誘電率が変化するので、湿度検出部が容量式の湿度センサとして機能する。また、ポリイミドは、シリコンからなる半導体基板とエポキシ樹脂等の封止樹脂との密着力を高めることができる。
【0016】
なかでも、請求項10に記載のように、感湿膜として、基本となる分子鎖の末端同士が連結され、網目構造を形成したポリイミドを採用することが好ましい。このようなポリイミドは、高温高湿下において吸着水が凝集するときに生じる感湿膜の膨潤を抑制することができる。換言すれば、ポリイミド分子間に水分が侵入しがたいので、高分子膜が直接的又は感湿膜を介して間接的に封止樹脂外に露出する構成であって、パッドとリードとの接続部位の水分によって腐食する場合に、腐食を抑制することができる。
【0017】
次に、半導体基板上に通電により発熱して湿度検出部を加熱する湿度用ヒータが形成される構成においては、請求項11に記載のように、湿度用ヒータと発熱体とが同一材料からなる配線部として一体的に形成されても良い。
【0018】
このような構成とすると、感湿膜の劣化によって感湿膜中から抜けにくくなった水分を湿度用ヒータによって飛ばして、感湿膜を回復させることができる。また、湿度用ヒータと発熱体とを1つの配線部として構成しているので、構成を簡素化し、体格を小型化することができる。また、製造工程も簡素化することができる。
【0019】
請求項12に記載のように、半導体基板には、流量検出部形成領域のうち、発熱体に対応する直下領域と、湿度検出部の形成領域の直下領域に、半導体基板の他領域よりも熱伝導率の低い低熱伝導領域が形成され、半導体基板の厚さ方向において、発熱体に対応する低熱伝導領域と湿度検出部に対応する低熱伝導領域とで、深さが異なる構成としても良い。
【0020】
このような構成とすると、半導体基板側への伝熱量を、発熱体と湿度用ヒータとで異なる状態とすることができる。すなわち、流量検出部と湿度検出部とを、それぞれ適した温度とすることができる。具体的には、請求項13に記載のように、それぞれの低熱伝導領域を空洞部としても良いし、請求項14に記載のようにそれぞれの低熱伝導領域を多孔質シリコンが配置された領域としても良い。
【0021】
また、半導体基板には、流量検出部形成領域のうち、発熱体に対応する直下領域と、湿度検出部の形成領域の直下領域に、半導体基板の他領域よりも熱伝導率の低い低熱伝導領域が形成される構成においては、請求項15に記載のように、発熱体に対応する低熱伝導領域と湿度検出部に対応する低熱伝導領域の一方が空洞部とされ、他方が多孔質シリコンが配置された領域とされても良い。このような構成としても、空洞部と多孔質シリコンとの熱伝導率の違いによって、半導体基板側への伝熱量を、発熱体と湿度用ヒータとで異なる状態とすることができる。
【0022】
また、請求項16に記載のように、湿度用ヒータと発熱体とで、配線部の幅が異なる構成としても良い。このような構成としても、流量検出部と湿度検出部とを、それぞれ適した温度とすることができる。
【0023】
次に、半導体基板の同一面側に流量検出部と湿度検出部とが形成される構成においては、請求項17に記載のように、流量検出部形成領域のうち、少なくとも発熱体の形成領域と、湿度検出部の形成領域との間に、一面から所定深さを有する溝部が形成されると良い。
【0024】
このような構成とすると、流量検出部と湿度検出部が同一の半導体基板に構成されながらも、溝部の形成されない構成に比べて、流量検出部と湿度検出部との間における伝熱を抑制することができる。すなわち、流量の検出精度をより向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。図2は、図1のII−II線に沿う模式的な断面図である。図3は、流量検出部周辺の拡大平面図である。図4は、湿度検出部周辺の拡大平面図である。図5は、半導体基板における感湿膜と高分子膜と位置関係を示す模式的な平面図である。図2においては、便宜上、流量検出部や回路部を省略して図示している。また、図3及び図4においては、便宜上、保護膜等の絶縁膜を省略して図示している。なお、以下に示す図において、白抜き矢印は通常時の流体の流れ方向を示している。
【0026】
図1及び図2に示すように、半導体基板110には、半導体装置100の要部として、流体の流量を検出する流量検出部120と、流体の湿度を検出する湿度検出部130とが形成されている。すなわち、1つのチップに流量検出部120と湿度検出部130が集積されている。
【0027】
流量検出部120は、所謂熱式の流量センサとして構成されている。具体的には、図2及び図3に示すように、半導体基板110としてのシリコン基板における流量検出部形成領域の一部に、低熱伝導領域としての流量用空洞部111が形成されて、流量用空洞部111上に絶縁膜からなる薄肉部112(メンブレン)が構成されている。より詳しくは、流量検出部形成面の裏面側から半導体基板110が異方性エッチングされて、薄肉部112が構成されている。なお、図3においては、破線で囲まれた2つの矩形領域のうち、小さい領域内が薄肉部112であり、大きい領域が流量用空洞部111の開口面113を示している。薄肉部112は、薄肉部112以外の半導体基板110の他部位と比べて非常に薄く形成されているため熱容量が低く抑えられ、他部位との熱的な絶縁が確保されている。
【0028】
薄肉部112上には、図3に示すように発熱体121,122が形成されている。発熱体121は、流体の流れ方向に対して上流側に配置された上流側発熱体であり、発熱体122は流体の流れ方向に対して下流側に配置された下流側発熱体である。また、一対の発熱体121,122を挟むようにして、測温抵抗体からなる一対の感温体123,124が、薄肉部112よりも厚い薄肉部112の周辺領域であって流体の上流側と下流側にそれぞれ形成されている。なお、発熱体122,122、及び、感温体123,124は、図3に示すように、配線部125の一部としてそれぞれ形成されており、配線部125は後述する回路部140との繋ぎ配線としての機能も果たしている。なお、配線部125の構成材料としては、例えば不純物が適宜添加された多結晶シリコンや、Ptなどの金属といった公知の配線材料を採用することができる。
【0029】
このように構成される流量検出部120においては、本実施形態に係る発熱体121,122が、電流の供給量によって発熱する機能に加えて、それ自身の抵抗値の変化に基づいて、自身の温度を感知する機能も有している。そして、上流側と下流側の各発熱体121,122で生じる熱のうち、流体によって奪われる熱に基づき、流体の流量が検出される。また、上流側の発熱体121と下流側の発熱体122とのそれぞれに生じる熱のうち、流体によって奪われる熱量の差に基づき、流体の流通方向が検出される。さらに、上流側の発熱体121と上流側の感温体123との温度差、及び、下流側の発熱体122と下流側の感温体124との温度差に基づき、各発熱体121,122に供給される電流量が制御される。なお、上述した流量検出部120の詳細については、本出願人による例えば特開2004−205498号公報を参照されたい。
【0030】
湿度検出部130は、所謂容量式の湿度センサとして構成されている。具体的には、図4に示すように、半導体基板110としてのシリコン基板の、流量検出部形成面と同一面上に、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜(図示略)を介して、一対の検出電極131,132が互いに離間しつつ対向するように形成されている。より詳しくは、検出電極131,132の形状として、櫛歯形状を採用している。また、検出電極131,132に隣接して、一対の参照電極134,135が、検出電極形成面と同一平面において、互いに離間しつつ対向するように形成されている。本実施形態においては、参照電極134,135が、検出電極131,132と同一の材料を用いて、同一パターンに形成されている。より詳しくは、検出電極131,132及び参照電極134,135が、ともに櫛歯状に形成されている。なお、検出電極131,132及び参照電極134,135の構成材料としては、例えば不純物が適宜添加された多結晶シリコンや、Pt,Al,Cu,Auなどの金属といった公知の配線材料を採用することができる。
【0031】
そして、検出電極131,132及び参照電極134,135を覆うように、半導体基板110上にシリコン窒化膜などの保護膜(図示略)が形成され、この保護膜上に、検出電極131,132及び検出電極131,132間を覆うように、例えばポリイミドなどの感湿材料からなる感湿膜133が形成されている。なお、検出電極131,132及び参照電極134,134に水分に対する耐食性がある場合には、保護膜を形成しなくとも良い。
【0032】
このように構成される湿度検出部130においては、感湿膜133中に水分が浸透すると、水分の比誘電率が大きいため、浸透した水分量に応じて感湿膜133の比誘電率が変化する。その結果、感湿膜133を誘電体の一部として検出電極131,132によって構成されるコンデンサの静電容量が変化する。それに対し、参照電極134,135側には感湿膜133が設けられていないため、参照電極134,135によって構成されるコンデンサの静電容量は、変化しないか、変化しても僅かである。感湿膜133内に含まれる水分量は、湿度検出部130の周囲の湿度に対応するため、検出電極131,132間の静電容量と参照電極134,135間の静電容量との容量差から湿度を検出することができる。
【0033】
なお、半導体基板110には、図1に示すように、上述した流量検出部120及び湿度検出部130以外にも、回路部140が形成されている。この回路部140は、MOSトランジスタやダイオードなどの素子や配線から構成され、流量検出部120及び湿度検出部130と電気的に接続されている。そして、流量検出部120及び湿度検出部130から出力された信号を処理する信号処理回路や検出時において各流量検出部120,湿度検出部130に印加される信号を生成する回路などを含んでいる。図1においては、便宜上、半導体基板110のうち、流量検出部120と湿度検出部130の形成領域を除く領域に回路部140を示している(図1中の破線)が、回路部140の形成領域は流量用空洞部111を除く部位であれば特に限定されるものではない。
【0034】
半導体基板110に構成された回路部140の端部には、電極としてのパッド150が形成されており、このパッド150は、外部出力端子としてのリード160とワイヤ170を介して接続されている。したがって、回路部140と外部(例えば外部ECU)とが、リード160を介して電気的に信号を授受することができる。また、半導体基板110は、流量検出部120及び湿度検出部130の形成面の裏面を搭載面として、支持部材180に例えば接着によって固定されている。本実施形態においては、支持部材180が、リード160とともにリードフレームの一部として構成されており、支持部材180における流量用空洞部111に対応する部位に、流量用空洞部111と外部との間において流体を流通可能とする流通部181としての貫通孔が形成されている。そして、パッド150を含み、流量検出部120及び湿度検出部130の形成領域を除く半導体基板110の一部、この半導体基板110の一部に対応する支持部材180の一部、ワイヤ170、及びリード160の一部が、エポキシ樹脂などの封止樹脂190によって一体的に被覆(モールド)されている。なお、上述したリードフレームは、封止樹脂190が硬化された状態で、不要部分が除去され、図1及び図2に示すように、リード160と支持部材180が分離されている。
【0035】
このように本実施形態に係る半導体装置100によれば、流量検出部120だけでなく湿度検出部130を備えるので、流体中に含まれる水分量を補正しない構成に比べて、流量の検出精度を向上することができる。
【0036】
また、湿度検出部130が、同一の半導体基板110であって流量検出部120の形成領域近傍に形成されているので、流量検出部120とは別の基板に構成された湿度センサを備える構成に比べて、流量検出部120により近い位置の流体の湿度を検出することができる。すなわち、流量の検出精度をより向上することができる。
【0037】
また、流量検出部120と湿度検出部130が同一の半導体基板110に構成されているので、流量検出部120とは別の基板に構成された湿度センサを備える構成に比べて、体格の小型化を図ることができる。
【0038】
次に、半導体装置100の、流量検出部120と湿度検出部130が1チップに集積化された点以外の特徴点について、図1及び図5を用いて説明する。
【0039】
先ず、流量検出部120と湿度検出部130との配置に特徴を持たせている。例えば湿度検出部130を流量検出部120よりも下流側とすると、流量検出部120を構成する発熱体121,122の熱の奪った流体が、発熱体121,122よりも下流側に位置する湿度検出部130に対して熱を与える恐れがある。すなわち、湿度検出部130の湿度検出精度が低下する恐れがある。特に半導体基板110の同一面側に流量検出部120と湿度検出部130が構成される場合にはこの問題が生じやすい。
【0040】
これに対し、本実施形態においては、図1に示すように、半導体基板110の同一面側において、流体の流れ方向に沿って流量検出部120と湿度検出部130が並んで形成され、且つ、湿度検出部130を流量検出部120よりも上流側としている。したがって、流体が通常の流れ方向であれば、流体を介した伝熱を抑制することができるので、湿度検出部130を流量検出部120よりも下流側とする構成に比べて、湿度検出部130が受ける発熱体121,122の熱の影響を低減することができる。すなわち、湿度検出部130が精度良く湿度を検出することができるので、流量検出部120と湿度検出部130の検出結果から、流体に含まれる水分量を除いた流量(真の流量)を求めるに当たり、流量の検出精度をより向上することができる。したがって、半導体装置100は、車両内燃機関の燃料噴射制御のように、高精度の流量(空気量)を必要とする用途に好適である。
【0041】
次に、湿度検出部130を構成する感湿膜133に特徴を持たせている。ここで、封止樹脂によって半導体基板の少なくとも一部が被覆される構成においては、封止樹脂と半導体基板との密着力を高めるために、半導体基板上にポリイミドなどの高分子膜を形成することが好ましい。そこで、本実施形態においては、ポリイミドからなる感湿膜133を採用し、図5に示すように、同一材料からなる感湿膜133と高分子膜200とを一体的に形成している。したがって、感湿膜133と高分子膜200とが別材料からなる構成に比べて、構成及び製造工程を簡素化することができる。また、感湿膜133が高分子膜200と一体化されているので、感湿膜133の保持力が高まり、流体に晒される感湿膜133の剥離等を抑制することができる。さらには、一体化によって半導体装置100の体格を小型化することも可能である。
【0042】
また、本実施形態においては、封止樹脂190から露出する半導体基板110の部位において、高分子膜200と一体化された感湿膜133の形成領域の無駄をなくすため、流体の流れ方向に沿って流量検出部120と湿度検出部130を並んで形成し、湿度検出部130を構成する検出電極131,132を封止樹脂190による被覆部位側としている。しかしながら、感湿膜133は、薄肉部112を除く部位であれば形成することができる。検出電極131,132上だけでなくそれ以外(例えば流量検出部120の一部)上に形成する場合、形成領域が大きくなるのでコストは増加するものの製造しやすくなる。
【0043】
なお、感湿膜133と高分子膜200が一体的に形成された構成においては、感湿膜133を介して高分子膜200へ水分が浸入し、パッド150とリード160との接続部位が腐食する恐れがないとはいえない。そこで、本実施形態においては、感湿膜133及び高分子膜200として、基本となる分子鎖の末端同士が連結され、網目構造を形成したポリイミドを採用している。このようなポリイミドとしては、例えば末端アセチレンで終端したポリアミド酸を熱処理することにより、硬化時に末端部のアセチレン同士が反応してベンゼン環が形成されて網目構造を形成したポリイミドや、基本となる分子鎖の末端同士が連結された網目構造のポリアミド酸を脱水閉環させて得られるポリイミドがある。これらポリイミドの詳細は、本出願人による特開2003−232765号公報,特開2006−71647号公報に示されているので参照されたい。このような、網目構造をなすポリイミドを採用すると、高温高湿下において吸着水が凝集するときに生じる感湿膜133の膨潤を抑制することができる。換言すれば、ポリイミド分子間に水分が侵入しがたいので、高分子膜200が直接的及び/又は感湿膜133を介して間接的に封止樹脂190外に露出し、且つ、パッド150とリードとの接続部位が水分によって腐食する構成においても、腐食を抑制することができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、流量検出部形成面の裏面側から半導体基板110が異方性エッチングされて、流量用空洞部111が形成された例を示した。すなわち、流量用空洞部111の開口面113が、半導体基板110の流量検出部形成面の裏面側となる例を示した。しかしながら、流量用空洞部111の構成は上記例に限定されるものではない。薄肉部112を構成できれば良い。例えば図6に示すように、流量検出部形成面側から半導体基板110をエッチングすることで形成された流量用空洞部111を採用することもできる。この場合、流量用空洞部111は流量検出部形成面側に開口(図示略)しているので、支持部材180に流通部181を設けなくとも良い。図6は、変形例を示す断面図であり、図2に対応している。
【0045】
また、本実施形態においては、半導体基板110の同一面側において、流体の流れ方向に沿って流量検出部120と湿度検出部130が並んで形成され、且つ、湿度検出部130が流量検出部120よりも上流側とされた例を示した。しかしながら、流量検出部120と湿度検出部130の並び方向が流体の流れ方向に沿わなくとも、流体の流れ方向において湿度検出部130が流量検出部120よりも上流側であれば、流体を介した伝熱を抑制することができる。また、流体を介した伝熱は、流量検出部120を構成する発熱体121,122からの熱が主であるので、少なくとも発熱体121,122を湿度検出部130よりも下流側とすれば良い。例えば図7に示すように、流量検出部120を構成する配線部125のうち、上流側の感温体123を湿度検出部130よりも上流側とし、残りの発熱体121,121と感温体124を下流側としても良い。図7は、変形例を示す平面図であり、図1に対応している。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図8及び図9に基づいて説明する。図8は、第2実施形態に係る半導体装置において、半導体基板における感湿膜と高分子膜と位置関係を示す模式的な平面図である。図9は、半導体装置の模式的な断面図である。図9は、第1実施形態で示した図2に対応しており、図2同様便宜上、流量検出部や回路部を省略して図示している。
【0047】
第2実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0048】
第1実施形態においては、感湿膜133と高分子膜200が一体化された例を示した。これに対し、本実施形態においては、感湿膜133と高分子膜200とが同一材料である例えばポリイミドからなるものの、図8及び図9に示すように、互いに分離形成され、高分子膜200が封止樹脂190によって完全に被覆されている点を特徴とする。感湿膜133と高分子膜200とが分離形成された点以外は、第1実施形態に示した構成と同じであり、その効果も同様である。
【0049】
このように、本実施形態に係る半導体装置100においては、高分子膜200が直接的に封止樹脂190の外部に露出されておらず、感湿膜133を介して間接的にも露出されていないので、パッド150とリード160との接続部位が水分によって腐食する構成であっても、その腐食を抑制することができる。
【0050】
また、このような分離形成された構成であっても、感湿膜133と高分子膜200とが同一材料からなるので、別材料からなる構成に比べて構成及び製造工程を簡素化することができる。
【0051】
なお、本実施形態に示した感湿膜133と高分子膜200の構成を、第1実施形態に示した変形構成(図6,図7)に対して適用することもできる。
【0052】
また、本実施形態においては、感湿膜133と分離形成された高分子膜200が、封止樹脂190によって完全に被覆された例を示した。しかしながら、感湿膜133と分離形成された高分子膜200の一部が、封止樹脂190から外部に露出された構成としても良い。このような構成とすると、封止樹脂190の端部まで高分子膜200が配置されているので、半導体基板110に対する封止樹脂190の剥離を生じにくくすることができる。ただし、高分子膜200が直接的に外部に露出されるので、第1実施形態で示したように、網目構造をなすポリイミドを採用することが好ましい。
【0053】
また、感湿膜133と高分子膜200とが分離形成された構成においては、一体化された構成よりも半導体基板110に対する感湿膜133の保持力が低下することが考えられる。そこで、例えばシランカップリング材を用いることで、半導体基板110に対する感湿膜133の保持力低下を抑制するようにしても良い。
【0054】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図10に基づいて説明する。図10は、第3実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図であり、第1実施形態で示した図1に対応している。
【0055】
第3実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0056】
第1実施形態においては、半導体基板110の同一面側において、流体の流れ方向に沿って流量検出部120と湿度検出部130が並んで形成され、且つ、湿度検出部130が流量検出部120よりも上流側とされた例を示した。これに対し、本実施形態においては、図10に示すように、湿度検出部130が、流体の流れに沿う方向において流量検出部120の上流部位及び下流部位を除く流量検出部120の近傍部位に形成されている点を特徴とする。例えば本実施形態においては、流体の流れ方向に対して、流量検出部120と湿度検出部130が平行に形成されている。なお、半導体基板110における流量検出部120と湿度検出部130の配置以外は、第1実施形態に示した構成と同じであり、その効果も同様である。
【0057】
このように、本実施形態に係る半導体装置100においては、流体の流れ方向に対して、流量検出部120と湿度検出部130が平行に形成されているので、流体を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制することができる。したがって、湿度検出部130が精度良く湿度を検出することができ、ひいては、流量の検出精度をより向上することができる。
【0058】
また、本実施形態に示す構成によれば、流体が通常とは逆(図10に示す白抜き矢印方向とは逆)に流れても、流量検出部120からの流体を介した湿度検出部130への伝熱を抑制することができる。
【0059】
なお、本実施形態に示した流量検出部120と湿度検出部130の配置を、第1実施形態に示した変形構成(図6,図7)や第2実施形態に示した構成に対して適用することもできる。
【0060】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、図11及び図12に基づいて説明する。図11は、第4実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図であり、第1実施形態で示した図1に対応している。図12は、半導体基板を介した流量検出部から湿度検出部への伝熱抑制を示す模式的な断面図である。なお、図12においては、便宜上、流量検出部と湿度検出部の構成は省略し、位置のみを示している。
【0061】
第4実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0062】
第1実施形態においては、半導体基板110の同一面側において、流体の流れ方向に沿って流量検出部120と湿度検出部130とを並んで形成し、且つ、湿度検出部130を流量検出部120よりも上流側とすることで、流体を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制する例をしめした。これに対し、本実施形態においては、流体を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制するだけでなく、半導体基板110を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制するように構成されている点を特徴とする。
【0063】
具体的には、図11に示すように、流量検出部120の形成領域と湿度検出部130の形成領域との間であって両者の対向部分に、半導体基板110の流量検出部形成面から所定深さを有する溝部としてのトレンチ114が形成されている。なお、トレンチ114が形成された点以外は、第1実施形態に示した構成と同じであり、その効果も同様である。トレンチ114は反応性イオンエッチング(RIE)などのエッチングによって形成することができる。
【0064】
このように、本実施形態に係る半導体装置100においては、図12に示すように、流量検出部120の形成領域と湿度検出部130の形成領域との間にトレンチ114が形成されており、半導体基板110を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱経路が、トレンチ114の形成されない構成に対して長くなっている。すなわち、半導体基板110を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制することができる。したがって、湿度検出部130が精度良く湿度を検出することができ、ひいては、流量の検出精度をより向上することができる。
【0065】
なお、本実施形態においては、流量検出部120の形成領域と湿度検出部130の形成領域との間であって両者の対向部分にトレンチ114が形成された例を示した。しかしながら、トレンチ114は、少なくとも発熱体121,122の形成領域と、当該形成領域に対向する湿度検出部130の形成領域との間に形成されれば良い。
【0066】
また、本実施形態においては、第1実施形態に示した構成に対して、トレンチ114が形成された例を示した。しかしながら、流量検出部120と湿度検出部130との位置関係に関わらず、トレンチ114を設けることで半導体基板110を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制することができる。したがって、トレンチ114を、第1実施形態に示した変形構成(図6,図7)や第2実施形態に示した構成に対して適用することもできる。
【0067】
また、本実施形態においては、トレンチ114が空洞部とされた例を示した。しかしながら、トレンチ114内を、半導体基板110よりも熱伝導率の低い材料で埋めた構成としても良い。このような構成としても、半導体基板110を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制することができる。なお、多孔体(例えばポーラスシリコンやポーラス絶縁膜)で埋めると、トレンチ114内を埋める構成において、伝熱の抑制により効果的である。
【0068】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を、図13及び図14に基づいて説明する。図13は、第5実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。図14は、配線部における発熱体と湿度用ヒータの配線幅を示す模式的な平面図である。
【0069】
第5実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0070】
本実施形態においては、図13に示すように、半導体基板110上に通電により発熱して湿度検出部130を加熱する湿度用ヒータ136が形成されている。この湿度用ヒータ136は、感湿膜133の劣化によって感湿膜133中から抜けにくくなった水分を飛ばして、感湿膜133を回復させるためのものである。そして、湿度用ヒータ136と流量検出部120を構成する発熱体121,122(図13及び図14において発熱体121のみを図示)とが、図13及び図14に示すように、同一材料からなる配線部125として一体的に形成されている点を第1の特徴とする。また、湿度検出部130に対応する半導体基板110の部位にも、低熱伝導領域としての湿度用空洞部118が形成されている点を第2の特徴とする。
【0071】
具体的には、図13に示すように、半導体基板110上に絶縁膜115(例えばシリコン窒化膜とシリコン酸化膜)を介して発熱体121,122及び湿度用ヒータ136を含む配線部125が形成されている。図13には示されないが、この配線部125は、第1実施形態で示したように、感温体123,124も含んでいる。配線部125上には、層間絶縁膜116(例えばシリコン酸化膜)を介して湿度検出部130を構成する検出電極131,132が形成されている。図13には示されないが、参照電極134,135も検出電極131,132と同一平面に形成されている。そして、検出電極131,132上には、保護膜117(例えばシリコン窒化膜)を介して感湿膜133が形成されている。
【0072】
半導体基板110には、流量検出部120と湿度検出部130に対応して、流量用空洞部111と湿度用空洞部118がそれぞれ形成されている。なお、湿度用空洞部118は、半導体基板100の平面方向において感湿膜133を含むように形成されている。この流量用空洞部111と湿度用空洞部118は、ともに絶縁膜115を底面として形成されており、流量用空洞部111上と湿度用空洞部118上に、絶縁膜からなる薄肉部112,119がそれぞれ構成されている。また、例えば不純物が添加された多結晶シリコンからなる配線部125は、図14に示すように、より高温とする発熱体121のほうが湿度用ヒータ136よりも幅が狭くされている。
【0073】
このように本実施形態に係る半導体装置100においては、感湿膜133の劣化によって感湿膜133中から抜けにくくなった水分を、湿度用ヒータ136によって飛ばして、感湿膜133を回復させることができる。
【0074】
また、湿度用ヒータ136と発熱体121,122とを1つの配線部125として構成しているので、構成を簡素化し、体格を小型化することができる。また、製造工程も簡素化することができる。
【0075】
なお、配線部125の通電時には、発熱体121,122と湿度用ヒータ136がともに発熱する。したがって、例えば第1実施形態に示したように、湿度検出部130が流量検出部120よりも上流側の場合、湿度用ヒータ136をオンさせて感湿膜133を回復させたいときには、流体を介した湿度用ヒータ136から流量検出部120への伝熱の影響が少なからずあるので、湿度用ヒータ136のオンタイミングにおける流量検出部120から出力される信号を流量検出に用いないようにすることが好ましい。また、第3実施形態に示したように、湿度検出部130が流量検出部120と流体の流れに沿って平行の場合、上述と同様の処理をしても良いが、流体を介した湿度用ヒータ136から流量検出部120への伝熱の影響が上述よりも小さいので、湿度用ヒータ136のオンタイミングにおける流量検出部120から出力される信号を流量検出に用いることも可能である。
【0076】
また、本実施形態においては、配線部125の幅を変えることで、発熱体121,122側の温度と湿度用ヒータ136とを変える例を示した。しかしながら、それ以外にも、例えば図15に示すように、低熱伝導領域である流量用空洞部111と湿度用空洞部118の深さをそれぞれ異なる深さ(図15においては、温度の低い湿度用ヒータ136に対応する湿度用空洞部118のほうが流量用空洞部111よりも浅い)としても良い。このような構成とすると、半導体基板110側への伝熱量を、発熱体121,122と湿度用ヒータ136とで異なる状態とすることができ、ひいては、流量検出部120と湿度検出部130とを、それぞれ適した温度とすることができる。図15は、変形例を示す断面図である。
【0077】
また、本実施形態においては、低熱伝導領域として、半導体基板110における発熱体121,122の直下領域に流量用空洞部111が形成され、半導体基板110における湿度検出部130の直下領域に湿度用空洞部118が形成された例を示した。しかしながら、低熱伝導領域は空洞に限定されるものではなく、半導体基板110よりも熱伝導率であれば良い。例えば、多孔体(例えばポーラスシリコンやポーラス絶縁膜)によって構成されても良い。例えば発熱体121,122に対応する低熱伝導領域と湿度検出部130に対応する低熱伝導領域の一方が空洞部とされ、他方が多孔質シリコンが配置された領域としても良い。その一例として、図16においては、発熱体121,122に対応する低熱伝導領域が流量用空洞部111として構成され、湿度検出部130に対応する低熱伝導領域がポーラスシリコンからなる多孔質シリコン部210として構成されている。このような多孔質シリコン部210は、例えば局所的な電気化学溶解反応によって形成することができる。このような構成としても、空洞部と多孔質シリコンとの熱伝導率の違いによって、半導体基板110側への伝熱量を、発熱体121,122と湿度用ヒータ136とで異なる状態とすることができる。図16は、変形例を示す断面図である。
【0078】
なお、本実施形態に示した構成は、上述した各実施形態及びその変形例と組み合わせることが可能である。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0080】
本実施形態においては、半導体基板110としてシリコン基板の例を示した。しかしながら、シリコン基板に限定されるものではない。
【0081】
本実施形態においては、流量検出部120が、発熱体121,122とともに、感温体123,124を有する例を示した。しかしながら、流量検出部120は、流体の流量を検出するために、少なくとも発熱体121,122を有すれば良いので、感温体123,124のない構成としても良い。
【0082】
本実施形態においては、湿度検出部130が、参照電極134,135を有する例を示した。しかしながら、参照電極134,135のない構成としても良い。
【0083】
本実施形態においては、回路部140が、流量検出部120及び湿度検出部130とともに同一の半導体基板110に構成された例を示した。すなわち、流量検出部120及び湿度検出部130とともに回路部140が1チップ化された例を示した。しかしながら、回路部140を別基板に構成しても良い。その場合、回路部140が構成された基板は、封止樹脂190によって完全に被覆された状態となる。また、回路部140の機能を半導体装置100とは別(例えば外部ECU)にもたせた構成としても良い。
【0084】
本実施形態においては、半導体基板110が支持部材180に固定された状態で、半導体基板110の一部が封止樹脂190によって被覆された例を示した。しかしながら、支持部材180のない構成としても良い。ただし、本実施形態に示したように支持部材180をリードフレームの一部とすると、封止樹脂190による被覆時(例えばトランスファーモールド時)に、半導体基板110の位置ずれを抑制することができる。なお、支持部材180の形状は、本実施形態に示した例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う模式的な断面図である。
【図3】流量検出部周辺の拡大平面図である。
【図4】湿度検出部周辺の拡大平面図である。
【図5】半導体基板における感湿膜と高分子膜と位置関係を示す模式的な平面図である。
【図6】変形例を示す断面図である。
【図7】変形例を示す平面図である。
【図8】第2実施形態に係る半導体装置において、半導体基板における感湿膜と高分子膜と位置関係を示す模式的な平面図である。
【図9】半導体装置の模式的な断面図である。
【図10】第3実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【図11】第4実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【図12】半導体基板を介した流量検出部から湿度検出部への伝熱抑制を示す模式的な断面図である。
【図13】第5実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図14】配線部における発熱体と湿度用ヒータの配線幅を示す模式的な平面図である。
【図15】変形例を示す断面図である。
【図16】変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0086】
100・・・半導体装置
110・・・半導体基板
111・・・流量用空洞部(低熱伝導領域)
112・・・薄肉部
120・・・流量検出部
121,122・・・発熱体
123,124・・・感温体
125・・・配線部
130・・・湿度検出部
131,132・・・検出電極(電極)
133・・・感湿膜
134,135・・・参照電極
190・・・封止樹脂
200・・・高分子膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を検出する半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、流体の流量を検出する半導体装置が知られている。
【0003】
この種の半導体装置は、半導体基板上に発熱体(発熱抵抗体)と該発熱体近傍の温度を感知する感温体(側温抵抗体)とが形成されて、流体の流量を検出する流量検出部が構成されている。
【特許文献1】特許第3468731号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、流体(例えば空気)中には水分が含まれる。したがって、上述した半導体装置によって流体の流量を検出した場合、水分量の分だけ誤差が生じてしまう。このような誤差は、特に車両内燃機関の燃料噴射制御のように、高精度の流量(空気量)を必要とする用途においては、好ましくないものである。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、流量の検出精度を向上することのできる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の発明は、半導体基板上に少なくとも発熱体が形成されて、流体の流量を検出する流量検出部が構成された半導体装置であって、半導体基板の流量検出部形成領域の近傍に、流体の湿度を検出する湿度検出部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
このように本発明によれば、湿度検出部を備えるので、流体中に含まれる水分量を補正しない構成に比べて、流量の検出精度を向上することができる。また、湿度検出部が、同一の半導体基板であって流量検出部形成領域の近傍に形成されているので、流量検出部とは別の基板に構成された湿度センサを備える構成に比べて、流量検出部により近い位置の流体の湿度を検出することができる。すなわち、流量の検出精度を向上することができる。
【0008】
また、流量検出部と湿度検出部が同一の半導体基板に構成されているので、流量検出部とは別の基板に構成された湿度センサを備える構成に比べて、体格の小型化を図ることができる。
【0009】
半導体基板における流量検出部と湿度検出部の配置としては、例えば請求項2に記載のように、湿度検出部が、流量検出部の少なくとも発熱体よりも、流体の流れ方向において上流側に形成された構成とすると良い。一例としては、請求項3に記載のように、湿度検出部が、流体の流れ方向に沿って流量検出部に隣接形成された構成とすることができる。
【0010】
このような構成とすると、湿度検出部が、流量検出部を構成する発熱体の熱の影響を受けるのを、抑制することができる。したがって、湿度検出部が精度良く湿度を検出することができるので、結果として流量の検出精度をより向上することができる。
【0011】
なお、請求項4に記載のように、湿度検出部が、流体の流れに沿う方向において流量検出部の上流部位及び下流部位を除く流量検出部の近傍部位に形成された構成(流体の流れ方向に対して、流量検出部と湿度検出部が平行に形成された構成)としても良い。このような構成としても、請求項2に記載の発明と同様な効果を期待することができる。
【0012】
次に、湿度検出部が、半導体基板上に形成された導電材料からなる一対の電極と、半導体基板上であって少なくとも電極間に配置され、湿度変化に応じて比誘電率又はインピーダンスが変化する感湿膜とを有し、半導体基板上には、流量検出部及び湿度検出部の検出信号に基づく信号を外部に出力するパッドが形成され、パッドと外部接続端子としてのリードとの接続部位を含み、流量検出部及び湿度検出部の形成領域を除く半導体基板の一部が、封止樹脂によって被覆され、半導体基板の、封止樹脂による被覆部位の少なくとも一部と封止樹脂との間には、半導体基板と封止樹脂との密着力を高める高分子膜が配置される構成においては、請求項5に記載のように、高分子膜が感湿膜と同一材料を用いて形成されても良い。
【0013】
このように、高分子膜と感湿膜との構成材料を同一とすると、構成を簡素化することができる。また、製造工程も簡素化することができる。
【0014】
なお、請求項6に記載のように、感湿膜と高分子膜の少なくとも一部とが一体的に形成された構成としても良いし、請求項7に記載のように、感湿膜と高分子膜とが、互いに分離形成された構成としても良い。請求項6に記載の構成とすると、体格をより小型化することも可能である。また、請求項7に記載の構成において、請求項8に記載のように、高分子膜が封止樹脂によって完全に被覆された構成とすると、パッドとリードとの接続部位の水分によって腐食する場合には、腐食を抑制することができる。
【0015】
請求項9に記載のように、湿度検出部を構成する感湿膜としてポリイミドを採用すると良い。ポリイミドは、水分の吸着量によって比誘電率が変化するので、湿度検出部が容量式の湿度センサとして機能する。また、ポリイミドは、シリコンからなる半導体基板とエポキシ樹脂等の封止樹脂との密着力を高めることができる。
【0016】
なかでも、請求項10に記載のように、感湿膜として、基本となる分子鎖の末端同士が連結され、網目構造を形成したポリイミドを採用することが好ましい。このようなポリイミドは、高温高湿下において吸着水が凝集するときに生じる感湿膜の膨潤を抑制することができる。換言すれば、ポリイミド分子間に水分が侵入しがたいので、高分子膜が直接的又は感湿膜を介して間接的に封止樹脂外に露出する構成であって、パッドとリードとの接続部位の水分によって腐食する場合に、腐食を抑制することができる。
【0017】
次に、半導体基板上に通電により発熱して湿度検出部を加熱する湿度用ヒータが形成される構成においては、請求項11に記載のように、湿度用ヒータと発熱体とが同一材料からなる配線部として一体的に形成されても良い。
【0018】
このような構成とすると、感湿膜の劣化によって感湿膜中から抜けにくくなった水分を湿度用ヒータによって飛ばして、感湿膜を回復させることができる。また、湿度用ヒータと発熱体とを1つの配線部として構成しているので、構成を簡素化し、体格を小型化することができる。また、製造工程も簡素化することができる。
【0019】
請求項12に記載のように、半導体基板には、流量検出部形成領域のうち、発熱体に対応する直下領域と、湿度検出部の形成領域の直下領域に、半導体基板の他領域よりも熱伝導率の低い低熱伝導領域が形成され、半導体基板の厚さ方向において、発熱体に対応する低熱伝導領域と湿度検出部に対応する低熱伝導領域とで、深さが異なる構成としても良い。
【0020】
このような構成とすると、半導体基板側への伝熱量を、発熱体と湿度用ヒータとで異なる状態とすることができる。すなわち、流量検出部と湿度検出部とを、それぞれ適した温度とすることができる。具体的には、請求項13に記載のように、それぞれの低熱伝導領域を空洞部としても良いし、請求項14に記載のようにそれぞれの低熱伝導領域を多孔質シリコンが配置された領域としても良い。
【0021】
また、半導体基板には、流量検出部形成領域のうち、発熱体に対応する直下領域と、湿度検出部の形成領域の直下領域に、半導体基板の他領域よりも熱伝導率の低い低熱伝導領域が形成される構成においては、請求項15に記載のように、発熱体に対応する低熱伝導領域と湿度検出部に対応する低熱伝導領域の一方が空洞部とされ、他方が多孔質シリコンが配置された領域とされても良い。このような構成としても、空洞部と多孔質シリコンとの熱伝導率の違いによって、半導体基板側への伝熱量を、発熱体と湿度用ヒータとで異なる状態とすることができる。
【0022】
また、請求項16に記載のように、湿度用ヒータと発熱体とで、配線部の幅が異なる構成としても良い。このような構成としても、流量検出部と湿度検出部とを、それぞれ適した温度とすることができる。
【0023】
次に、半導体基板の同一面側に流量検出部と湿度検出部とが形成される構成においては、請求項17に記載のように、流量検出部形成領域のうち、少なくとも発熱体の形成領域と、湿度検出部の形成領域との間に、一面から所定深さを有する溝部が形成されると良い。
【0024】
このような構成とすると、流量検出部と湿度検出部が同一の半導体基板に構成されながらも、溝部の形成されない構成に比べて、流量検出部と湿度検出部との間における伝熱を抑制することができる。すなわち、流量の検出精度をより向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。図2は、図1のII−II線に沿う模式的な断面図である。図3は、流量検出部周辺の拡大平面図である。図4は、湿度検出部周辺の拡大平面図である。図5は、半導体基板における感湿膜と高分子膜と位置関係を示す模式的な平面図である。図2においては、便宜上、流量検出部や回路部を省略して図示している。また、図3及び図4においては、便宜上、保護膜等の絶縁膜を省略して図示している。なお、以下に示す図において、白抜き矢印は通常時の流体の流れ方向を示している。
【0026】
図1及び図2に示すように、半導体基板110には、半導体装置100の要部として、流体の流量を検出する流量検出部120と、流体の湿度を検出する湿度検出部130とが形成されている。すなわち、1つのチップに流量検出部120と湿度検出部130が集積されている。
【0027】
流量検出部120は、所謂熱式の流量センサとして構成されている。具体的には、図2及び図3に示すように、半導体基板110としてのシリコン基板における流量検出部形成領域の一部に、低熱伝導領域としての流量用空洞部111が形成されて、流量用空洞部111上に絶縁膜からなる薄肉部112(メンブレン)が構成されている。より詳しくは、流量検出部形成面の裏面側から半導体基板110が異方性エッチングされて、薄肉部112が構成されている。なお、図3においては、破線で囲まれた2つの矩形領域のうち、小さい領域内が薄肉部112であり、大きい領域が流量用空洞部111の開口面113を示している。薄肉部112は、薄肉部112以外の半導体基板110の他部位と比べて非常に薄く形成されているため熱容量が低く抑えられ、他部位との熱的な絶縁が確保されている。
【0028】
薄肉部112上には、図3に示すように発熱体121,122が形成されている。発熱体121は、流体の流れ方向に対して上流側に配置された上流側発熱体であり、発熱体122は流体の流れ方向に対して下流側に配置された下流側発熱体である。また、一対の発熱体121,122を挟むようにして、測温抵抗体からなる一対の感温体123,124が、薄肉部112よりも厚い薄肉部112の周辺領域であって流体の上流側と下流側にそれぞれ形成されている。なお、発熱体122,122、及び、感温体123,124は、図3に示すように、配線部125の一部としてそれぞれ形成されており、配線部125は後述する回路部140との繋ぎ配線としての機能も果たしている。なお、配線部125の構成材料としては、例えば不純物が適宜添加された多結晶シリコンや、Ptなどの金属といった公知の配線材料を採用することができる。
【0029】
このように構成される流量検出部120においては、本実施形態に係る発熱体121,122が、電流の供給量によって発熱する機能に加えて、それ自身の抵抗値の変化に基づいて、自身の温度を感知する機能も有している。そして、上流側と下流側の各発熱体121,122で生じる熱のうち、流体によって奪われる熱に基づき、流体の流量が検出される。また、上流側の発熱体121と下流側の発熱体122とのそれぞれに生じる熱のうち、流体によって奪われる熱量の差に基づき、流体の流通方向が検出される。さらに、上流側の発熱体121と上流側の感温体123との温度差、及び、下流側の発熱体122と下流側の感温体124との温度差に基づき、各発熱体121,122に供給される電流量が制御される。なお、上述した流量検出部120の詳細については、本出願人による例えば特開2004−205498号公報を参照されたい。
【0030】
湿度検出部130は、所謂容量式の湿度センサとして構成されている。具体的には、図4に示すように、半導体基板110としてのシリコン基板の、流量検出部形成面と同一面上に、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜(図示略)を介して、一対の検出電極131,132が互いに離間しつつ対向するように形成されている。より詳しくは、検出電極131,132の形状として、櫛歯形状を採用している。また、検出電極131,132に隣接して、一対の参照電極134,135が、検出電極形成面と同一平面において、互いに離間しつつ対向するように形成されている。本実施形態においては、参照電極134,135が、検出電極131,132と同一の材料を用いて、同一パターンに形成されている。より詳しくは、検出電極131,132及び参照電極134,135が、ともに櫛歯状に形成されている。なお、検出電極131,132及び参照電極134,135の構成材料としては、例えば不純物が適宜添加された多結晶シリコンや、Pt,Al,Cu,Auなどの金属といった公知の配線材料を採用することができる。
【0031】
そして、検出電極131,132及び参照電極134,135を覆うように、半導体基板110上にシリコン窒化膜などの保護膜(図示略)が形成され、この保護膜上に、検出電極131,132及び検出電極131,132間を覆うように、例えばポリイミドなどの感湿材料からなる感湿膜133が形成されている。なお、検出電極131,132及び参照電極134,134に水分に対する耐食性がある場合には、保護膜を形成しなくとも良い。
【0032】
このように構成される湿度検出部130においては、感湿膜133中に水分が浸透すると、水分の比誘電率が大きいため、浸透した水分量に応じて感湿膜133の比誘電率が変化する。その結果、感湿膜133を誘電体の一部として検出電極131,132によって構成されるコンデンサの静電容量が変化する。それに対し、参照電極134,135側には感湿膜133が設けられていないため、参照電極134,135によって構成されるコンデンサの静電容量は、変化しないか、変化しても僅かである。感湿膜133内に含まれる水分量は、湿度検出部130の周囲の湿度に対応するため、検出電極131,132間の静電容量と参照電極134,135間の静電容量との容量差から湿度を検出することができる。
【0033】
なお、半導体基板110には、図1に示すように、上述した流量検出部120及び湿度検出部130以外にも、回路部140が形成されている。この回路部140は、MOSトランジスタやダイオードなどの素子や配線から構成され、流量検出部120及び湿度検出部130と電気的に接続されている。そして、流量検出部120及び湿度検出部130から出力された信号を処理する信号処理回路や検出時において各流量検出部120,湿度検出部130に印加される信号を生成する回路などを含んでいる。図1においては、便宜上、半導体基板110のうち、流量検出部120と湿度検出部130の形成領域を除く領域に回路部140を示している(図1中の破線)が、回路部140の形成領域は流量用空洞部111を除く部位であれば特に限定されるものではない。
【0034】
半導体基板110に構成された回路部140の端部には、電極としてのパッド150が形成されており、このパッド150は、外部出力端子としてのリード160とワイヤ170を介して接続されている。したがって、回路部140と外部(例えば外部ECU)とが、リード160を介して電気的に信号を授受することができる。また、半導体基板110は、流量検出部120及び湿度検出部130の形成面の裏面を搭載面として、支持部材180に例えば接着によって固定されている。本実施形態においては、支持部材180が、リード160とともにリードフレームの一部として構成されており、支持部材180における流量用空洞部111に対応する部位に、流量用空洞部111と外部との間において流体を流通可能とする流通部181としての貫通孔が形成されている。そして、パッド150を含み、流量検出部120及び湿度検出部130の形成領域を除く半導体基板110の一部、この半導体基板110の一部に対応する支持部材180の一部、ワイヤ170、及びリード160の一部が、エポキシ樹脂などの封止樹脂190によって一体的に被覆(モールド)されている。なお、上述したリードフレームは、封止樹脂190が硬化された状態で、不要部分が除去され、図1及び図2に示すように、リード160と支持部材180が分離されている。
【0035】
このように本実施形態に係る半導体装置100によれば、流量検出部120だけでなく湿度検出部130を備えるので、流体中に含まれる水分量を補正しない構成に比べて、流量の検出精度を向上することができる。
【0036】
また、湿度検出部130が、同一の半導体基板110であって流量検出部120の形成領域近傍に形成されているので、流量検出部120とは別の基板に構成された湿度センサを備える構成に比べて、流量検出部120により近い位置の流体の湿度を検出することができる。すなわち、流量の検出精度をより向上することができる。
【0037】
また、流量検出部120と湿度検出部130が同一の半導体基板110に構成されているので、流量検出部120とは別の基板に構成された湿度センサを備える構成に比べて、体格の小型化を図ることができる。
【0038】
次に、半導体装置100の、流量検出部120と湿度検出部130が1チップに集積化された点以外の特徴点について、図1及び図5を用いて説明する。
【0039】
先ず、流量検出部120と湿度検出部130との配置に特徴を持たせている。例えば湿度検出部130を流量検出部120よりも下流側とすると、流量検出部120を構成する発熱体121,122の熱の奪った流体が、発熱体121,122よりも下流側に位置する湿度検出部130に対して熱を与える恐れがある。すなわち、湿度検出部130の湿度検出精度が低下する恐れがある。特に半導体基板110の同一面側に流量検出部120と湿度検出部130が構成される場合にはこの問題が生じやすい。
【0040】
これに対し、本実施形態においては、図1に示すように、半導体基板110の同一面側において、流体の流れ方向に沿って流量検出部120と湿度検出部130が並んで形成され、且つ、湿度検出部130を流量検出部120よりも上流側としている。したがって、流体が通常の流れ方向であれば、流体を介した伝熱を抑制することができるので、湿度検出部130を流量検出部120よりも下流側とする構成に比べて、湿度検出部130が受ける発熱体121,122の熱の影響を低減することができる。すなわち、湿度検出部130が精度良く湿度を検出することができるので、流量検出部120と湿度検出部130の検出結果から、流体に含まれる水分量を除いた流量(真の流量)を求めるに当たり、流量の検出精度をより向上することができる。したがって、半導体装置100は、車両内燃機関の燃料噴射制御のように、高精度の流量(空気量)を必要とする用途に好適である。
【0041】
次に、湿度検出部130を構成する感湿膜133に特徴を持たせている。ここで、封止樹脂によって半導体基板の少なくとも一部が被覆される構成においては、封止樹脂と半導体基板との密着力を高めるために、半導体基板上にポリイミドなどの高分子膜を形成することが好ましい。そこで、本実施形態においては、ポリイミドからなる感湿膜133を採用し、図5に示すように、同一材料からなる感湿膜133と高分子膜200とを一体的に形成している。したがって、感湿膜133と高分子膜200とが別材料からなる構成に比べて、構成及び製造工程を簡素化することができる。また、感湿膜133が高分子膜200と一体化されているので、感湿膜133の保持力が高まり、流体に晒される感湿膜133の剥離等を抑制することができる。さらには、一体化によって半導体装置100の体格を小型化することも可能である。
【0042】
また、本実施形態においては、封止樹脂190から露出する半導体基板110の部位において、高分子膜200と一体化された感湿膜133の形成領域の無駄をなくすため、流体の流れ方向に沿って流量検出部120と湿度検出部130を並んで形成し、湿度検出部130を構成する検出電極131,132を封止樹脂190による被覆部位側としている。しかしながら、感湿膜133は、薄肉部112を除く部位であれば形成することができる。検出電極131,132上だけでなくそれ以外(例えば流量検出部120の一部)上に形成する場合、形成領域が大きくなるのでコストは増加するものの製造しやすくなる。
【0043】
なお、感湿膜133と高分子膜200が一体的に形成された構成においては、感湿膜133を介して高分子膜200へ水分が浸入し、パッド150とリード160との接続部位が腐食する恐れがないとはいえない。そこで、本実施形態においては、感湿膜133及び高分子膜200として、基本となる分子鎖の末端同士が連結され、網目構造を形成したポリイミドを採用している。このようなポリイミドとしては、例えば末端アセチレンで終端したポリアミド酸を熱処理することにより、硬化時に末端部のアセチレン同士が反応してベンゼン環が形成されて網目構造を形成したポリイミドや、基本となる分子鎖の末端同士が連結された網目構造のポリアミド酸を脱水閉環させて得られるポリイミドがある。これらポリイミドの詳細は、本出願人による特開2003−232765号公報,特開2006−71647号公報に示されているので参照されたい。このような、網目構造をなすポリイミドを採用すると、高温高湿下において吸着水が凝集するときに生じる感湿膜133の膨潤を抑制することができる。換言すれば、ポリイミド分子間に水分が侵入しがたいので、高分子膜200が直接的及び/又は感湿膜133を介して間接的に封止樹脂190外に露出し、且つ、パッド150とリードとの接続部位が水分によって腐食する構成においても、腐食を抑制することができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、流量検出部形成面の裏面側から半導体基板110が異方性エッチングされて、流量用空洞部111が形成された例を示した。すなわち、流量用空洞部111の開口面113が、半導体基板110の流量検出部形成面の裏面側となる例を示した。しかしながら、流量用空洞部111の構成は上記例に限定されるものではない。薄肉部112を構成できれば良い。例えば図6に示すように、流量検出部形成面側から半導体基板110をエッチングすることで形成された流量用空洞部111を採用することもできる。この場合、流量用空洞部111は流量検出部形成面側に開口(図示略)しているので、支持部材180に流通部181を設けなくとも良い。図6は、変形例を示す断面図であり、図2に対応している。
【0045】
また、本実施形態においては、半導体基板110の同一面側において、流体の流れ方向に沿って流量検出部120と湿度検出部130が並んで形成され、且つ、湿度検出部130が流量検出部120よりも上流側とされた例を示した。しかしながら、流量検出部120と湿度検出部130の並び方向が流体の流れ方向に沿わなくとも、流体の流れ方向において湿度検出部130が流量検出部120よりも上流側であれば、流体を介した伝熱を抑制することができる。また、流体を介した伝熱は、流量検出部120を構成する発熱体121,122からの熱が主であるので、少なくとも発熱体121,122を湿度検出部130よりも下流側とすれば良い。例えば図7に示すように、流量検出部120を構成する配線部125のうち、上流側の感温体123を湿度検出部130よりも上流側とし、残りの発熱体121,121と感温体124を下流側としても良い。図7は、変形例を示す平面図であり、図1に対応している。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図8及び図9に基づいて説明する。図8は、第2実施形態に係る半導体装置において、半導体基板における感湿膜と高分子膜と位置関係を示す模式的な平面図である。図9は、半導体装置の模式的な断面図である。図9は、第1実施形態で示した図2に対応しており、図2同様便宜上、流量検出部や回路部を省略して図示している。
【0047】
第2実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0048】
第1実施形態においては、感湿膜133と高分子膜200が一体化された例を示した。これに対し、本実施形態においては、感湿膜133と高分子膜200とが同一材料である例えばポリイミドからなるものの、図8及び図9に示すように、互いに分離形成され、高分子膜200が封止樹脂190によって完全に被覆されている点を特徴とする。感湿膜133と高分子膜200とが分離形成された点以外は、第1実施形態に示した構成と同じであり、その効果も同様である。
【0049】
このように、本実施形態に係る半導体装置100においては、高分子膜200が直接的に封止樹脂190の外部に露出されておらず、感湿膜133を介して間接的にも露出されていないので、パッド150とリード160との接続部位が水分によって腐食する構成であっても、その腐食を抑制することができる。
【0050】
また、このような分離形成された構成であっても、感湿膜133と高分子膜200とが同一材料からなるので、別材料からなる構成に比べて構成及び製造工程を簡素化することができる。
【0051】
なお、本実施形態に示した感湿膜133と高分子膜200の構成を、第1実施形態に示した変形構成(図6,図7)に対して適用することもできる。
【0052】
また、本実施形態においては、感湿膜133と分離形成された高分子膜200が、封止樹脂190によって完全に被覆された例を示した。しかしながら、感湿膜133と分離形成された高分子膜200の一部が、封止樹脂190から外部に露出された構成としても良い。このような構成とすると、封止樹脂190の端部まで高分子膜200が配置されているので、半導体基板110に対する封止樹脂190の剥離を生じにくくすることができる。ただし、高分子膜200が直接的に外部に露出されるので、第1実施形態で示したように、網目構造をなすポリイミドを採用することが好ましい。
【0053】
また、感湿膜133と高分子膜200とが分離形成された構成においては、一体化された構成よりも半導体基板110に対する感湿膜133の保持力が低下することが考えられる。そこで、例えばシランカップリング材を用いることで、半導体基板110に対する感湿膜133の保持力低下を抑制するようにしても良い。
【0054】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図10に基づいて説明する。図10は、第3実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図であり、第1実施形態で示した図1に対応している。
【0055】
第3実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0056】
第1実施形態においては、半導体基板110の同一面側において、流体の流れ方向に沿って流量検出部120と湿度検出部130が並んで形成され、且つ、湿度検出部130が流量検出部120よりも上流側とされた例を示した。これに対し、本実施形態においては、図10に示すように、湿度検出部130が、流体の流れに沿う方向において流量検出部120の上流部位及び下流部位を除く流量検出部120の近傍部位に形成されている点を特徴とする。例えば本実施形態においては、流体の流れ方向に対して、流量検出部120と湿度検出部130が平行に形成されている。なお、半導体基板110における流量検出部120と湿度検出部130の配置以外は、第1実施形態に示した構成と同じであり、その効果も同様である。
【0057】
このように、本実施形態に係る半導体装置100においては、流体の流れ方向に対して、流量検出部120と湿度検出部130が平行に形成されているので、流体を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制することができる。したがって、湿度検出部130が精度良く湿度を検出することができ、ひいては、流量の検出精度をより向上することができる。
【0058】
また、本実施形態に示す構成によれば、流体が通常とは逆(図10に示す白抜き矢印方向とは逆)に流れても、流量検出部120からの流体を介した湿度検出部130への伝熱を抑制することができる。
【0059】
なお、本実施形態に示した流量検出部120と湿度検出部130の配置を、第1実施形態に示した変形構成(図6,図7)や第2実施形態に示した構成に対して適用することもできる。
【0060】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、図11及び図12に基づいて説明する。図11は、第4実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図であり、第1実施形態で示した図1に対応している。図12は、半導体基板を介した流量検出部から湿度検出部への伝熱抑制を示す模式的な断面図である。なお、図12においては、便宜上、流量検出部と湿度検出部の構成は省略し、位置のみを示している。
【0061】
第4実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0062】
第1実施形態においては、半導体基板110の同一面側において、流体の流れ方向に沿って流量検出部120と湿度検出部130とを並んで形成し、且つ、湿度検出部130を流量検出部120よりも上流側とすることで、流体を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制する例をしめした。これに対し、本実施形態においては、流体を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制するだけでなく、半導体基板110を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制するように構成されている点を特徴とする。
【0063】
具体的には、図11に示すように、流量検出部120の形成領域と湿度検出部130の形成領域との間であって両者の対向部分に、半導体基板110の流量検出部形成面から所定深さを有する溝部としてのトレンチ114が形成されている。なお、トレンチ114が形成された点以外は、第1実施形態に示した構成と同じであり、その効果も同様である。トレンチ114は反応性イオンエッチング(RIE)などのエッチングによって形成することができる。
【0064】
このように、本実施形態に係る半導体装置100においては、図12に示すように、流量検出部120の形成領域と湿度検出部130の形成領域との間にトレンチ114が形成されており、半導体基板110を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱経路が、トレンチ114の形成されない構成に対して長くなっている。すなわち、半導体基板110を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制することができる。したがって、湿度検出部130が精度良く湿度を検出することができ、ひいては、流量の検出精度をより向上することができる。
【0065】
なお、本実施形態においては、流量検出部120の形成領域と湿度検出部130の形成領域との間であって両者の対向部分にトレンチ114が形成された例を示した。しかしながら、トレンチ114は、少なくとも発熱体121,122の形成領域と、当該形成領域に対向する湿度検出部130の形成領域との間に形成されれば良い。
【0066】
また、本実施形態においては、第1実施形態に示した構成に対して、トレンチ114が形成された例を示した。しかしながら、流量検出部120と湿度検出部130との位置関係に関わらず、トレンチ114を設けることで半導体基板110を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制することができる。したがって、トレンチ114を、第1実施形態に示した変形構成(図6,図7)や第2実施形態に示した構成に対して適用することもできる。
【0067】
また、本実施形態においては、トレンチ114が空洞部とされた例を示した。しかしながら、トレンチ114内を、半導体基板110よりも熱伝導率の低い材料で埋めた構成としても良い。このような構成としても、半導体基板110を介した流量検出部120から湿度検出部130への伝熱を抑制することができる。なお、多孔体(例えばポーラスシリコンやポーラス絶縁膜)で埋めると、トレンチ114内を埋める構成において、伝熱の抑制により効果的である。
【0068】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を、図13及び図14に基づいて説明する。図13は、第5実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。図14は、配線部における発熱体と湿度用ヒータの配線幅を示す模式的な平面図である。
【0069】
第5実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0070】
本実施形態においては、図13に示すように、半導体基板110上に通電により発熱して湿度検出部130を加熱する湿度用ヒータ136が形成されている。この湿度用ヒータ136は、感湿膜133の劣化によって感湿膜133中から抜けにくくなった水分を飛ばして、感湿膜133を回復させるためのものである。そして、湿度用ヒータ136と流量検出部120を構成する発熱体121,122(図13及び図14において発熱体121のみを図示)とが、図13及び図14に示すように、同一材料からなる配線部125として一体的に形成されている点を第1の特徴とする。また、湿度検出部130に対応する半導体基板110の部位にも、低熱伝導領域としての湿度用空洞部118が形成されている点を第2の特徴とする。
【0071】
具体的には、図13に示すように、半導体基板110上に絶縁膜115(例えばシリコン窒化膜とシリコン酸化膜)を介して発熱体121,122及び湿度用ヒータ136を含む配線部125が形成されている。図13には示されないが、この配線部125は、第1実施形態で示したように、感温体123,124も含んでいる。配線部125上には、層間絶縁膜116(例えばシリコン酸化膜)を介して湿度検出部130を構成する検出電極131,132が形成されている。図13には示されないが、参照電極134,135も検出電極131,132と同一平面に形成されている。そして、検出電極131,132上には、保護膜117(例えばシリコン窒化膜)を介して感湿膜133が形成されている。
【0072】
半導体基板110には、流量検出部120と湿度検出部130に対応して、流量用空洞部111と湿度用空洞部118がそれぞれ形成されている。なお、湿度用空洞部118は、半導体基板100の平面方向において感湿膜133を含むように形成されている。この流量用空洞部111と湿度用空洞部118は、ともに絶縁膜115を底面として形成されており、流量用空洞部111上と湿度用空洞部118上に、絶縁膜からなる薄肉部112,119がそれぞれ構成されている。また、例えば不純物が添加された多結晶シリコンからなる配線部125は、図14に示すように、より高温とする発熱体121のほうが湿度用ヒータ136よりも幅が狭くされている。
【0073】
このように本実施形態に係る半導体装置100においては、感湿膜133の劣化によって感湿膜133中から抜けにくくなった水分を、湿度用ヒータ136によって飛ばして、感湿膜133を回復させることができる。
【0074】
また、湿度用ヒータ136と発熱体121,122とを1つの配線部125として構成しているので、構成を簡素化し、体格を小型化することができる。また、製造工程も簡素化することができる。
【0075】
なお、配線部125の通電時には、発熱体121,122と湿度用ヒータ136がともに発熱する。したがって、例えば第1実施形態に示したように、湿度検出部130が流量検出部120よりも上流側の場合、湿度用ヒータ136をオンさせて感湿膜133を回復させたいときには、流体を介した湿度用ヒータ136から流量検出部120への伝熱の影響が少なからずあるので、湿度用ヒータ136のオンタイミングにおける流量検出部120から出力される信号を流量検出に用いないようにすることが好ましい。また、第3実施形態に示したように、湿度検出部130が流量検出部120と流体の流れに沿って平行の場合、上述と同様の処理をしても良いが、流体を介した湿度用ヒータ136から流量検出部120への伝熱の影響が上述よりも小さいので、湿度用ヒータ136のオンタイミングにおける流量検出部120から出力される信号を流量検出に用いることも可能である。
【0076】
また、本実施形態においては、配線部125の幅を変えることで、発熱体121,122側の温度と湿度用ヒータ136とを変える例を示した。しかしながら、それ以外にも、例えば図15に示すように、低熱伝導領域である流量用空洞部111と湿度用空洞部118の深さをそれぞれ異なる深さ(図15においては、温度の低い湿度用ヒータ136に対応する湿度用空洞部118のほうが流量用空洞部111よりも浅い)としても良い。このような構成とすると、半導体基板110側への伝熱量を、発熱体121,122と湿度用ヒータ136とで異なる状態とすることができ、ひいては、流量検出部120と湿度検出部130とを、それぞれ適した温度とすることができる。図15は、変形例を示す断面図である。
【0077】
また、本実施形態においては、低熱伝導領域として、半導体基板110における発熱体121,122の直下領域に流量用空洞部111が形成され、半導体基板110における湿度検出部130の直下領域に湿度用空洞部118が形成された例を示した。しかしながら、低熱伝導領域は空洞に限定されるものではなく、半導体基板110よりも熱伝導率であれば良い。例えば、多孔体(例えばポーラスシリコンやポーラス絶縁膜)によって構成されても良い。例えば発熱体121,122に対応する低熱伝導領域と湿度検出部130に対応する低熱伝導領域の一方が空洞部とされ、他方が多孔質シリコンが配置された領域としても良い。その一例として、図16においては、発熱体121,122に対応する低熱伝導領域が流量用空洞部111として構成され、湿度検出部130に対応する低熱伝導領域がポーラスシリコンからなる多孔質シリコン部210として構成されている。このような多孔質シリコン部210は、例えば局所的な電気化学溶解反応によって形成することができる。このような構成としても、空洞部と多孔質シリコンとの熱伝導率の違いによって、半導体基板110側への伝熱量を、発熱体121,122と湿度用ヒータ136とで異なる状態とすることができる。図16は、変形例を示す断面図である。
【0078】
なお、本実施形態に示した構成は、上述した各実施形態及びその変形例と組み合わせることが可能である。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0080】
本実施形態においては、半導体基板110としてシリコン基板の例を示した。しかしながら、シリコン基板に限定されるものではない。
【0081】
本実施形態においては、流量検出部120が、発熱体121,122とともに、感温体123,124を有する例を示した。しかしながら、流量検出部120は、流体の流量を検出するために、少なくとも発熱体121,122を有すれば良いので、感温体123,124のない構成としても良い。
【0082】
本実施形態においては、湿度検出部130が、参照電極134,135を有する例を示した。しかしながら、参照電極134,135のない構成としても良い。
【0083】
本実施形態においては、回路部140が、流量検出部120及び湿度検出部130とともに同一の半導体基板110に構成された例を示した。すなわち、流量検出部120及び湿度検出部130とともに回路部140が1チップ化された例を示した。しかしながら、回路部140を別基板に構成しても良い。その場合、回路部140が構成された基板は、封止樹脂190によって完全に被覆された状態となる。また、回路部140の機能を半導体装置100とは別(例えば外部ECU)にもたせた構成としても良い。
【0084】
本実施形態においては、半導体基板110が支持部材180に固定された状態で、半導体基板110の一部が封止樹脂190によって被覆された例を示した。しかしながら、支持部材180のない構成としても良い。ただし、本実施形態に示したように支持部材180をリードフレームの一部とすると、封止樹脂190による被覆時(例えばトランスファーモールド時)に、半導体基板110の位置ずれを抑制することができる。なお、支持部材180の形状は、本実施形態に示した例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う模式的な断面図である。
【図3】流量検出部周辺の拡大平面図である。
【図4】湿度検出部周辺の拡大平面図である。
【図5】半導体基板における感湿膜と高分子膜と位置関係を示す模式的な平面図である。
【図6】変形例を示す断面図である。
【図7】変形例を示す平面図である。
【図8】第2実施形態に係る半導体装置において、半導体基板における感湿膜と高分子膜と位置関係を示す模式的な平面図である。
【図9】半導体装置の模式的な断面図である。
【図10】第3実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【図11】第4実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【図12】半導体基板を介した流量検出部から湿度検出部への伝熱抑制を示す模式的な断面図である。
【図13】第5実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図14】配線部における発熱体と湿度用ヒータの配線幅を示す模式的な平面図である。
【図15】変形例を示す断面図である。
【図16】変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0086】
100・・・半導体装置
110・・・半導体基板
111・・・流量用空洞部(低熱伝導領域)
112・・・薄肉部
120・・・流量検出部
121,122・・・発熱体
123,124・・・感温体
125・・・配線部
130・・・湿度検出部
131,132・・・検出電極(電極)
133・・・感湿膜
134,135・・・参照電極
190・・・封止樹脂
200・・・高分子膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に少なくとも発熱体が形成されて、流体の流量を検出する流量検出部が構成された半導体装置であって、
前記半導体基板の流量検出部形成領域の近傍に、前記流体の湿度を検出する湿度検出部が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記湿度検出部は、前記流量検出部の少なくとも前記発熱体よりも、前記流体の流れ方向において上流側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記湿度検出部は、前記流体の流れ方向に沿って、前記流量検出部に隣接形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記湿度検出部は、前記流体の流れに沿う方向において前記流量検出部の上流部位及び下流部位を除く前記流量検出部の近傍部位に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記湿度検出部は、前記半導体基板上に形成された導電材料からなる一対の電極と、前記半導体基板上であって少なくとも前記電極間に配置され、湿度変化に応じて比誘電率又はインピーダンスが変化する感湿膜とを有し、
前記半導体基板上には、前記流量検出部及び前記湿度検出部の検出信号に基づく信号を外部に出力するパッドが形成され、
前記パッドと外部接続端子としてのリードとの接続部位を含み、前記流量検出部及び前記湿度検出部の形成領域を除く前記半導体基板の一部が、封止樹脂によって被覆され、
前記半導体基板の、前記封止樹脂による被覆部位の少なくとも一部と前記封止樹脂との間には、前記半導体基板と前記封止樹脂との密着力を高める高分子膜が配置され、
前記高分子膜が、前記感湿膜と同一材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記感湿膜と前記高分子膜の少なくとも一部とが、一体的に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記感湿膜と前記高分子膜とが、互いに分離形成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記高分子膜が、前記封止樹脂によって完全に被覆されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記湿度検出部は、ポリイミドを前記感湿膜とすることを特徴とする請求項5〜8いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記湿度検出部は、基本となる分子鎖の末端同士が連結され、網目構造を形成したポリイミドを前記感湿膜とすることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体基板上に、通電により発熱して、前記湿度検出部を加熱する湿度用ヒータが形成されており、
前記湿度用ヒータと前記発熱体とが、同一材料からなる配線部として一体的に形成されていることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体基板には、前記流量検出部形成領域のうち、前記発熱体に対応する直下領域と、前記湿度検出部の形成領域の直下領域に、前記半導体基板の他領域よりも熱伝導率の低い低熱伝導領域が形成され
前記半導体基板の厚さ方向において、前記発熱体に対応する低熱伝導領域と前記湿度検出部に対応する低熱伝導領域とで、深さが異なることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
それぞれの前記低熱伝導領域は、空洞部であることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
それぞれの前記低熱伝導領域は、多孔質シリコンが配置された領域であることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体基板には、前記流量検出部形成領域のうち、前記発熱体に対応する直下領域と、前記湿度検出部の形成領域の直下領域に、前記半導体基板の他領域よりも熱伝導率の低い低熱伝導領域が形成され、
前記発熱体に対応する低熱伝導領域と前記湿度検出部に対応する低熱伝導領域の一方が空洞部であり、他方が多孔質シリコンが配置された領域であることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記湿度用ヒータと前記発熱体とで、前記配線部の幅が異なることを特徴とする請求項11〜15いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記半導体基板には、同一面側に前記流量検出部と前記湿度検出部とが形成され、前記流量検出部形成領域のうち、少なくとも前記発熱体の形成領域と、前記湿度検出部の形成領域との間に、前記一面から所定深さを有する溝部が形成されていることを特徴とする請求項1〜16いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項1】
半導体基板上に少なくとも発熱体が形成されて、流体の流量を検出する流量検出部が構成された半導体装置であって、
前記半導体基板の流量検出部形成領域の近傍に、前記流体の湿度を検出する湿度検出部が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記湿度検出部は、前記流量検出部の少なくとも前記発熱体よりも、前記流体の流れ方向において上流側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記湿度検出部は、前記流体の流れ方向に沿って、前記流量検出部に隣接形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記湿度検出部は、前記流体の流れに沿う方向において前記流量検出部の上流部位及び下流部位を除く前記流量検出部の近傍部位に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記湿度検出部は、前記半導体基板上に形成された導電材料からなる一対の電極と、前記半導体基板上であって少なくとも前記電極間に配置され、湿度変化に応じて比誘電率又はインピーダンスが変化する感湿膜とを有し、
前記半導体基板上には、前記流量検出部及び前記湿度検出部の検出信号に基づく信号を外部に出力するパッドが形成され、
前記パッドと外部接続端子としてのリードとの接続部位を含み、前記流量検出部及び前記湿度検出部の形成領域を除く前記半導体基板の一部が、封止樹脂によって被覆され、
前記半導体基板の、前記封止樹脂による被覆部位の少なくとも一部と前記封止樹脂との間には、前記半導体基板と前記封止樹脂との密着力を高める高分子膜が配置され、
前記高分子膜が、前記感湿膜と同一材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記感湿膜と前記高分子膜の少なくとも一部とが、一体的に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記感湿膜と前記高分子膜とが、互いに分離形成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記高分子膜が、前記封止樹脂によって完全に被覆されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記湿度検出部は、ポリイミドを前記感湿膜とすることを特徴とする請求項5〜8いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記湿度検出部は、基本となる分子鎖の末端同士が連結され、網目構造を形成したポリイミドを前記感湿膜とすることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体基板上に、通電により発熱して、前記湿度検出部を加熱する湿度用ヒータが形成されており、
前記湿度用ヒータと前記発熱体とが、同一材料からなる配線部として一体的に形成されていることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体基板には、前記流量検出部形成領域のうち、前記発熱体に対応する直下領域と、前記湿度検出部の形成領域の直下領域に、前記半導体基板の他領域よりも熱伝導率の低い低熱伝導領域が形成され
前記半導体基板の厚さ方向において、前記発熱体に対応する低熱伝導領域と前記湿度検出部に対応する低熱伝導領域とで、深さが異なることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
それぞれの前記低熱伝導領域は、空洞部であることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
それぞれの前記低熱伝導領域は、多孔質シリコンが配置された領域であることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体基板には、前記流量検出部形成領域のうち、前記発熱体に対応する直下領域と、前記湿度検出部の形成領域の直下領域に、前記半導体基板の他領域よりも熱伝導率の低い低熱伝導領域が形成され、
前記発熱体に対応する低熱伝導領域と前記湿度検出部に対応する低熱伝導領域の一方が空洞部であり、他方が多孔質シリコンが配置された領域であることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記湿度用ヒータと前記発熱体とで、前記配線部の幅が異なることを特徴とする請求項11〜15いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記半導体基板には、同一面側に前記流量検出部と前記湿度検出部とが形成され、前記流量検出部形成領域のうち、少なくとも前記発熱体の形成領域と、前記湿度検出部の形成領域との間に、前記一面から所定深さを有する溝部が形成されていることを特徴とする請求項1〜16いずれか1項に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−157742(P2008−157742A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346565(P2006−346565)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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