半導体装置
【課題】RMS移相誤差を向上させる移相器の提供。
【解決手段】FETのオフ容量とそれに並列接続したインダクタとの共振を用いるスイッチと、LPFとHPFと、を含むマイクロ波移相器において、前記共振部は、前記FETと並列にインダクタ(1)と、MIMキャパシタ(2)の直列回路が配置され、LC直列接続回路のレイアウトにおいて、インダクタは非最密構造であるが、インダクタの中央部の空きスペースに、金属部材(3)または誘電体基板の比誘電率より高い誘電体が配置される。
【解決手段】FETのオフ容量とそれに並列接続したインダクタとの共振を用いるスイッチと、LPFとHPFと、を含むマイクロ波移相器において、前記共振部は、前記FETと並列にインダクタ(1)と、MIMキャパシタ(2)の直列回路が配置され、LC直列接続回路のレイアウトにおいて、インダクタは非最密構造であるが、インダクタの中央部の空きスペースに、金属部材(3)または誘電体基板の比誘電率より高い誘電体が配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特にマイクロ波移相器に関する。
【背景技術】
【0002】
移相器にはいくつかの種類が存在し、長さの異なる50Ω線路をSPDT(Single-Pole Dual Throw)スイッチ(単極2接点スイッチ)2個で接続し、スイッチ切替により得られる両線路の電気長差を移相量として使用する線路切替型、集中定数のLやC、およびSPDTスイッチを複数個組み合わせて、電気的にLC型の低域通過フィルタ(LPF)と高域通過フィルタ(HPF)を切り替えることによる位相差を利用するHPF/LPF切替型などがある。また、スイッチ部も、シリーズのFET(Field Effect Transistor)とシャントのFET併用したシリーズシャントタイプ、FETと並列にインダクタを接続した共振タイプなどの種類がある。これらの中で、後述されるように、本発明では共振タイプのスイッチとHPF/LPF切替型を用いている。
【0003】
図9に示すようなフィルタの場合、LPFがオンのとき、
・・・(1)
【0004】
上式(1)において、XNとBNは正規化されたリアクタンスとサセプタンスである。
【0005】
通過特性S21の位相は遅れ、これをΦ1とすると、次式(2)で与えられる。
・・・(2)
【0006】
逆にSPDTスイッチ部のHPF側のFETがオンのとき、XNに−XN、BNに−BNを代入し、
・・・(3)
を得る。
【0007】
このとき通過特性S21の位相は進み、これをΦ2とする。
・・・(4)
【0008】
移相量は、移相Φ1とΦ2の差で定義され、次式(5)で表される。
・・・(5)
【0009】
このような移相器において、HPF側がオンし、LPF側がオフした場合に、スイッチ部のインダクタが低抵抗配線により形成されて寄生抵抗が小さいと、移相量の周波数特性に、共振に起因する起伏(凸凹・こぶ)が生じる。
【0010】
これが
・・・(6)
(但し、nは周波数ポイント数、Φ0は規定された移相量)で表されるRMS移相誤差を劣化させていた。
【0011】
図10は、特許文献1に開示された移相器の構成を示す図である。図10に示すように、従来の移相器は、FETにインダクタを並列接続した2個のSPDTスイッチ11c、11dを入力部と出力部に配置し、ハイパスフィルタ(HPF)12およびローパスフィルタ(LPF)13を、その間に接続して構成される。HPF12側の2個のFET Q1、Q3と、LPF側13の2個のFET Q5、Q7は、ゲートバイアスにより一方の2個がオンするときはもう一方の2個はオフするが、オフ側のFETの遮断特性をより向上させてオン側の通過特性を向上させるために、インダクタL21、L22、L23、L24をぞれぞれFET Q1、Q5、Q3、Q7に並列接続し、所望の帯域で並列共振を起こすようにしている。
【0012】
さらに、FETのDC特性を測定するため、インダクタに直列にキャパシタを入れることが必要であるが、直列接続のインダクタとキャパシタのレイアウト構成は、通常、図11に示すように、Q値を高めるためインダクタを非最密構造にして、さらにMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタ21を、インダクタ(スパイラルインダクタ)22の外に配置するレイアウトである。図11は、特許文献2に従来例として記載されている、LC直列接続モノリシックフィルタレイアウトである。キャパシタ21とインダクタ(スパイラルインダクタ)22は半導体基板上に平面的に配置されている。
【0013】
【特許文献1】特開2006−19823号公報
【特許文献2】特開平7−66043号公報
【非特許文献1】Shiban K. Koul and Bharathi Bhat, "Microwave and Milimeter Wave Phase Shifters VolumeII Semiconductor and Delay Line Phase Shifters " , pp412-413 , Artech House , 1991
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図10の構成では、HPF12側の2個のFET Q1、Q3とLPF13側の2個のFET Q5、A7は、ゲートバイアスにより、HPF12側とLPF13側のうち一方の2個がオンするときは、他方の2個はオフさせて、切り替えて使用する。オン側の通過特性を向上させるために、オフ側のFETにインダクタを並列接続し、所望の帯域で並列共振を起こさせることで高インピーダンス状態にし、遮断特性をより向上させている。これにより所望の挿入損失、移相量を得ることができる。
【0015】
図11の構成では、半導体基板上に設けられた非最密なインダクタ(スパイラルインダクタ)22と、所望の帯域ではインピーダンスがほぼ0になる程度の面積のMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタ21が直列接続されている。DCにおいては、インダクタに流れる電流を遮断し、FETのDC特性を測定することができる。オン時のFETは抵抗で近似することができ、オフ時のFETは容量で近似できる。
【0016】
さらに、インダクタの寄生抵抗を考慮してインダクタと直列に配置することとし、HPF側がオンして、LPF側がオフする場合の移相器は、等価回路で表すと、図12のようになる。オン時のFETを等価的に表した抵抗R1と、抵抗R1に並列に接続されたインダクタL1とその寄生抵抗R2を持つ、2組のオン時スイッチ部の間に、2個のシリーズキャパシタC2と、これらの間にシャントインダクタL2を配置するHPFを接続した回路と、オフ時のFETを等価的に表したキャパシタC1と、キャパシタC1と並列に接続されたインダクタL1とその抵抗成分R2を持つ、2組のオフ時スイッチ部の間に、2個のシリーズインダクタL3と、これらの間にシャントキャパシタC3を配置するLPFを接続した回路が、入力部及び出力部に繋がっている。
【0017】
LPF側を、入力側から見たインピーダンスを計算する。この回路は、フィルタに対して対照であるから、図12は、図13に示すような等価回路で代用可能である。インダクタは低抵抗であり、R2=0と近似すると、
・・・(7)
より
・・・(8)
【0018】
ここで、容量C1と、直列接続されたL1とR2とが並列接続された並列共振回路(図14参照)において、共振周波数ω0を計算する。
【0019】
アドミッタンスYは、
・・・(9)
であり、虚部が0のときが共振時であることから、
・・・(10)
となる。
【0020】
この関係から、ω0を一定にする条件は、
・・・(11)
これを|Z|の式に代入して、計算する。
【0021】
f0=10GHz(=ω0/2π)、L1=1nH、R2=0Ω、L3=0.03nH、C3=0.2pFの場合、図15に示すように、8.4GHzでショートになることがわかる。
【0022】
本来、オフ側、すなわち、図12において、LPF側は、高いインピーダンスであるべきであるが、このようにショートになるため、オン側、すなわちHPF側の通過特性が劣化し、移相量も共振に起因する微小起伏(凸凹・こぶ)を持つことを、本願発明者達は、初めて見出した。この事実は、我々が検索したどの文献にも記載の無いことである。そして、これが、RMS移相誤差を劣化させる原因である。
【0023】
FETのDC特性を測定可能にするため、インダクタに直列にキャパシタを接続するレイアウトは、図16に示すように、非最密のインダクタ1に、キャパシタ2を外側にレイアウトしていた。
【0024】
このレイアウト構成では、図8の比較例にて、「従来例」として示すように、Q値が高いため、移相量の周波数特性に、共振起因の不要な起伏が生じてしまっていた。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本願で開示される発明は、上記課題を解決するため、概略以下の構成とされる。
【0026】
本発明の第1の側面(アスペクト)に係る半導体装置は、FETのオフ容量とそれに並列接続したインダクタとの共振を用いるスイッチと、低域通過フィルタと高域通過フィルタと、を含むマイクロ波移相器において、前記共振部は、前記FETと並列にインダクタと、MIMキャパシタの直列回路が配置され、LC直列接続回路のレイアウトにおいて、インダクタは非最密構造であるが、インダクタの中央部の空きスペースに、金属または誘電体基板の比誘電率より高い誘電体が配置されている。
【0027】
本発明の第2の側面に係る半導体装置は、FETのオフ容量とそれに並列接続したインダクタとの共振を用いるスイッチと、低域通過フィルタと高域通過フィルタと、を含むマイクロ波移相器において、共振部はFETと並列にインダクタとMIMキャパシタの直列回路が配置され、LC直列接続回路のレイアウトにおいて、インダクタは非最密構造であり、前記インダクタの中央部の空きスペースにMIMキャパシタが配置されている。
【0028】
本発明によれば、インダクタとキャパシタとを直列接続するレイアウトにおいて、インダクタは最密構造にして、キャパシタを外側へ配置するか、もしくは、インダクタが非最密であっても、その内側の領域にキャパシタを配置する構成の半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、LC直列共振のQ値が小さくなり、LPF側(オフ側)のショートを阻止できるため、オン側の通過特性mag(S21)が劣化せず、phase(S21)に生じる共振起因の微小起伏(凸凹・こぶ)も縮小され、RMS移相誤差を向上させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
上記した本発明についてさらに説述すべく添付図面を参照して以下に説明する。本発明は、FETのオフ容量とそれに並列接続したインダクタとの共振を用いるスイッチと、LPFとHPFと、を含むマイクロ波移相器(例えば図10参照)において、共振部は、FETと並列に、インダクタとキャパシタの直列回路が配置され、LC直列接続回路のレイアウトにおいて、非最密構造とされたインダクタの中央部の空きスペースに、金属または、誘電体基板の比誘電率より高い誘電体が配置されている。
【0031】
移相器における位相の周波数特性の不連続点の発生は、HPF側がオン、LPF側がオフ時に、LPF側のFETのオフ容量(図12のC1)、スイッチ部のインダクタのインダクタンス(L1)、LPFのMIM(Metal Insulator Metal)シャントキャパシタ(図12のC3)と、LPFのシリーズインダクタ(L3)で形成される共振回路により、LPF側がショートになることが原因である。本発明は、これを解消するための手段として、スイッチ部インダクタの抵抗を大きくし、移相器におけるFETのDC特性を測定可能にするため、FETと並列接続されているインダクタ(例えば図10のQ1、Q5、Q3、Q7にそれぞれ並列に接続されるインダクタL21、L22、L23、L24)に、DCカット用MIMキャパシタを接続し、Q値を下げるためにインダクタのレイアウトを、内側の空きスペースをなくすようにしている。以下いくつかの実施例に即して説明する。
【実施例】
【0032】
<実施例1>
図1に示すように、本実施例においては、非最密のインダクタ1の外側にキャパシタ2を配置するレイアウト構成において、インダクタ1の中央部の空きスペースに、電気的にどこにも接続されない金属部材3(又は、比誘電率の大きな誘電体)が配置されている。
【0033】
「非最密」とは、インダクタ1の最も内側のセグメントの長さは配線し得る最大の長さよりは短く、そのセグメントの両側にある配線との間隔が等しいか、または、インダクタの最も内側のセグメントの両側にある配線のうち、電流の向きがインダクタの最も内側のセグメントの電流の向きと反対である配線との間隔が広く、電流の向きがインダクタの最も内側のセグメントの電流の向きと同じである配線との間隔は狭くするレイアウトをいう。
【0034】
なお、図1において、インダクタ1の中央部の空きスペースに配置される金属部材3は、平面型の薄膜インダクタに対応させて、薄膜金属からなり、その平面形状は、インダクタ1の中央部の空きスペースの内側形状に対応させて矩形形状とされているが、本発明はかかる形状等に制限されるものでないことは勿論である。
【0035】
非最密構造のインダクタ1は、中央に空き領域があり、この面積をSとする。
【0036】
インダクタ1の一方から電力が供給された場合を、電圧一定で電流Iが流れこんだ場合として考える。インダクタの内側の空き領域Sには、ファラデーの電磁誘導の法則から、磁束Φとして
・・・(12)
の起電力が生じる。
【0037】
ここで、Φは、磁束密度をB(=μH、Hは磁界、μは透磁率)として、磁束Φ=BSであるため、
・・・(13)
である。
【0038】
この起電力によるインダクタの抵抗の増減をΔRとすると
・・・(14)
であり、−は元々の抵抗値より下がることを意味している。
【0039】
一方、Q値は
・・・(15)
となり、もとの値より大きくなることがわかる。
【0040】
したがって、図8の「従来例」のデータに示すように、Q値が高くなる。
【0041】
本発明は、図1に示すように、面積Sがほとんどないため、磁束Φ=BSが縮減し、式(14)より、ΔRはほとんど0となり、式(15)において分母R+ΔRは減少せず、Q値は低いままである。
【0042】
実施例1として、
図2には、移相器のLPF側がオン時の通過特性の大きさ、
図3には、移相器のHPF側がオン時の通過特性の大きさ、
図4には、移相器のLPF側がオン時の通過特性の位相、
図5には、移相器のHPF側がオン時の通過特性の位相、
図6には、図4と図5の差、すなわち、移相量を示す。
【0043】
図2から図6には、従来例(ひし形)、実施例1(■)、実施例2(▲)の特性を記してある。
【0044】
図3から、従来例に比べて、実施例1では、7.5GHz付近でのロスが少なくなっており、このため、図5の位相も、実施例1では改善されている。
【0045】
このため、図6の移相量も改善され、7GHzから10GHzの帯域では、RMS移相誤差も従来の3.4度が、2.9度に改善されている。
【0046】
Q値を低くすることは、インダクタの内側の空きスペースの面積Sを小さくし、さらにインダクタの長さlを長くするか、または、抵抗率ρの大きい材料とし抵抗Rを大きくすることで、より効果的となる。
【0047】
<実施例2>
次に、本発明の実施例2について説明する。図7は、実施例2のレイアウトを示す図である。図1の実施例1では、非最密なインダクタ1の中央部の空きスペースに金属部材3、外側にキャパシタ2をレイアウトして、直列接続しているが、中央部空きスペースの金属部材3の代わりに、外側に配置していたMIMキャパシタ2をレイアウトする。なお、図7のレイアウトパタンの寸法(数値)は、図16に対応させて例示したものであり、本発明はかかる寸法に限定されるものでないことは勿論である。
【0048】
前記実施例1と同様に、インダクタ1の内側に空きスペースがあるが、ここに、MIMキャパシタ2を配置するために、磁界が生じるものの、その面積Sがほぼ0である。
【0049】
したがって、図2から図5の実施例2のデータに示すように、従来例から改善されている様子がわかる。7GHzから10GHzの帯域では、RMS移相誤差は従来の3.4度が2.3度と改善されている。
【0050】
実施例1と同じで、磁界の貫く面積Sがほぼ0であることから、誘導起電力もほぼ0となり、抵抗の増減分ΔRがほぼ0であるため、Q値は高くならない。
【0051】
実施例2は、前記実施例1と回路的には同じであるが、レイアウトとして、インダクタ1の内側中央部の空きスペースに、どこにも接続されない金属部材を置くか、MIMキャパシタを置くかという、レイアウト上の相違がある。
【0052】
以上、本発明を上記実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例の構成にのみ制限されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例1のレイアウトを示す図である。
【図2】実施例1の計算結果(LPF側がオンのときのmag[S21](通過特性))を示す図である。
【図3】実施例1の計算結果(HPF側がオンのときのmag[S21](通過特性))を示す図である。
【図4】実施例1の計算結果(LPF側がオンのときのphase[S21](通過特性))を示す図である。
【図5】実施例1の計算結果(HPF側がオンのときのphase[S21](通過特性))を示す図である。
【図6】実施例1の計算結果(図12と図13の差であり移相量)を示す図である。
【図7】本発明の実施例2のレイアウトを示す図である。
【図8】直列接続のインダクタとキャパシタのレイアウト違いによるQ値計算結果を示す図である。
【図9】HPF/LPF切替型移相器のフィルタ部回路を示す図である。
【図10】従来の移相器の回路の一例を示す図である。
【図11】従来の移相器のレイアウトを示す図である。
【図12】従来の移相器の等価回路を示す図である。
【図13】従来の移相器の等価回路を示す図である。
【図14】容量CにインダクタLと抵抗Rが直列接続されたものが並列接続された回路を示す図である。
【図15】図13の回路についてインピーダンスの周波数特性を計算した結果を示す図である。
【図16】従来例のレイアウトを示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 インダクタ
2 キャパシタ(MIMキャパシタ)
3 金属部材
10a 入力部
10b 出力部
11c、11d スイッチ部(SPDTスイッチ)
12 HPF
13 LPF
21 キャパシタ(MIMキャパシタ)
22 インダクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特にマイクロ波移相器に関する。
【背景技術】
【0002】
移相器にはいくつかの種類が存在し、長さの異なる50Ω線路をSPDT(Single-Pole Dual Throw)スイッチ(単極2接点スイッチ)2個で接続し、スイッチ切替により得られる両線路の電気長差を移相量として使用する線路切替型、集中定数のLやC、およびSPDTスイッチを複数個組み合わせて、電気的にLC型の低域通過フィルタ(LPF)と高域通過フィルタ(HPF)を切り替えることによる位相差を利用するHPF/LPF切替型などがある。また、スイッチ部も、シリーズのFET(Field Effect Transistor)とシャントのFET併用したシリーズシャントタイプ、FETと並列にインダクタを接続した共振タイプなどの種類がある。これらの中で、後述されるように、本発明では共振タイプのスイッチとHPF/LPF切替型を用いている。
【0003】
図9に示すようなフィルタの場合、LPFがオンのとき、
・・・(1)
【0004】
上式(1)において、XNとBNは正規化されたリアクタンスとサセプタンスである。
【0005】
通過特性S21の位相は遅れ、これをΦ1とすると、次式(2)で与えられる。
・・・(2)
【0006】
逆にSPDTスイッチ部のHPF側のFETがオンのとき、XNに−XN、BNに−BNを代入し、
・・・(3)
を得る。
【0007】
このとき通過特性S21の位相は進み、これをΦ2とする。
・・・(4)
【0008】
移相量は、移相Φ1とΦ2の差で定義され、次式(5)で表される。
・・・(5)
【0009】
このような移相器において、HPF側がオンし、LPF側がオフした場合に、スイッチ部のインダクタが低抵抗配線により形成されて寄生抵抗が小さいと、移相量の周波数特性に、共振に起因する起伏(凸凹・こぶ)が生じる。
【0010】
これが
・・・(6)
(但し、nは周波数ポイント数、Φ0は規定された移相量)で表されるRMS移相誤差を劣化させていた。
【0011】
図10は、特許文献1に開示された移相器の構成を示す図である。図10に示すように、従来の移相器は、FETにインダクタを並列接続した2個のSPDTスイッチ11c、11dを入力部と出力部に配置し、ハイパスフィルタ(HPF)12およびローパスフィルタ(LPF)13を、その間に接続して構成される。HPF12側の2個のFET Q1、Q3と、LPF側13の2個のFET Q5、Q7は、ゲートバイアスにより一方の2個がオンするときはもう一方の2個はオフするが、オフ側のFETの遮断特性をより向上させてオン側の通過特性を向上させるために、インダクタL21、L22、L23、L24をぞれぞれFET Q1、Q5、Q3、Q7に並列接続し、所望の帯域で並列共振を起こすようにしている。
【0012】
さらに、FETのDC特性を測定するため、インダクタに直列にキャパシタを入れることが必要であるが、直列接続のインダクタとキャパシタのレイアウト構成は、通常、図11に示すように、Q値を高めるためインダクタを非最密構造にして、さらにMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタ21を、インダクタ(スパイラルインダクタ)22の外に配置するレイアウトである。図11は、特許文献2に従来例として記載されている、LC直列接続モノリシックフィルタレイアウトである。キャパシタ21とインダクタ(スパイラルインダクタ)22は半導体基板上に平面的に配置されている。
【0013】
【特許文献1】特開2006−19823号公報
【特許文献2】特開平7−66043号公報
【非特許文献1】Shiban K. Koul and Bharathi Bhat, "Microwave and Milimeter Wave Phase Shifters VolumeII Semiconductor and Delay Line Phase Shifters " , pp412-413 , Artech House , 1991
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図10の構成では、HPF12側の2個のFET Q1、Q3とLPF13側の2個のFET Q5、A7は、ゲートバイアスにより、HPF12側とLPF13側のうち一方の2個がオンするときは、他方の2個はオフさせて、切り替えて使用する。オン側の通過特性を向上させるために、オフ側のFETにインダクタを並列接続し、所望の帯域で並列共振を起こさせることで高インピーダンス状態にし、遮断特性をより向上させている。これにより所望の挿入損失、移相量を得ることができる。
【0015】
図11の構成では、半導体基板上に設けられた非最密なインダクタ(スパイラルインダクタ)22と、所望の帯域ではインピーダンスがほぼ0になる程度の面積のMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタ21が直列接続されている。DCにおいては、インダクタに流れる電流を遮断し、FETのDC特性を測定することができる。オン時のFETは抵抗で近似することができ、オフ時のFETは容量で近似できる。
【0016】
さらに、インダクタの寄生抵抗を考慮してインダクタと直列に配置することとし、HPF側がオンして、LPF側がオフする場合の移相器は、等価回路で表すと、図12のようになる。オン時のFETを等価的に表した抵抗R1と、抵抗R1に並列に接続されたインダクタL1とその寄生抵抗R2を持つ、2組のオン時スイッチ部の間に、2個のシリーズキャパシタC2と、これらの間にシャントインダクタL2を配置するHPFを接続した回路と、オフ時のFETを等価的に表したキャパシタC1と、キャパシタC1と並列に接続されたインダクタL1とその抵抗成分R2を持つ、2組のオフ時スイッチ部の間に、2個のシリーズインダクタL3と、これらの間にシャントキャパシタC3を配置するLPFを接続した回路が、入力部及び出力部に繋がっている。
【0017】
LPF側を、入力側から見たインピーダンスを計算する。この回路は、フィルタに対して対照であるから、図12は、図13に示すような等価回路で代用可能である。インダクタは低抵抗であり、R2=0と近似すると、
・・・(7)
より
・・・(8)
【0018】
ここで、容量C1と、直列接続されたL1とR2とが並列接続された並列共振回路(図14参照)において、共振周波数ω0を計算する。
【0019】
アドミッタンスYは、
・・・(9)
であり、虚部が0のときが共振時であることから、
・・・(10)
となる。
【0020】
この関係から、ω0を一定にする条件は、
・・・(11)
これを|Z|の式に代入して、計算する。
【0021】
f0=10GHz(=ω0/2π)、L1=1nH、R2=0Ω、L3=0.03nH、C3=0.2pFの場合、図15に示すように、8.4GHzでショートになることがわかる。
【0022】
本来、オフ側、すなわち、図12において、LPF側は、高いインピーダンスであるべきであるが、このようにショートになるため、オン側、すなわちHPF側の通過特性が劣化し、移相量も共振に起因する微小起伏(凸凹・こぶ)を持つことを、本願発明者達は、初めて見出した。この事実は、我々が検索したどの文献にも記載の無いことである。そして、これが、RMS移相誤差を劣化させる原因である。
【0023】
FETのDC特性を測定可能にするため、インダクタに直列にキャパシタを接続するレイアウトは、図16に示すように、非最密のインダクタ1に、キャパシタ2を外側にレイアウトしていた。
【0024】
このレイアウト構成では、図8の比較例にて、「従来例」として示すように、Q値が高いため、移相量の周波数特性に、共振起因の不要な起伏が生じてしまっていた。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本願で開示される発明は、上記課題を解決するため、概略以下の構成とされる。
【0026】
本発明の第1の側面(アスペクト)に係る半導体装置は、FETのオフ容量とそれに並列接続したインダクタとの共振を用いるスイッチと、低域通過フィルタと高域通過フィルタと、を含むマイクロ波移相器において、前記共振部は、前記FETと並列にインダクタと、MIMキャパシタの直列回路が配置され、LC直列接続回路のレイアウトにおいて、インダクタは非最密構造であるが、インダクタの中央部の空きスペースに、金属または誘電体基板の比誘電率より高い誘電体が配置されている。
【0027】
本発明の第2の側面に係る半導体装置は、FETのオフ容量とそれに並列接続したインダクタとの共振を用いるスイッチと、低域通過フィルタと高域通過フィルタと、を含むマイクロ波移相器において、共振部はFETと並列にインダクタとMIMキャパシタの直列回路が配置され、LC直列接続回路のレイアウトにおいて、インダクタは非最密構造であり、前記インダクタの中央部の空きスペースにMIMキャパシタが配置されている。
【0028】
本発明によれば、インダクタとキャパシタとを直列接続するレイアウトにおいて、インダクタは最密構造にして、キャパシタを外側へ配置するか、もしくは、インダクタが非最密であっても、その内側の領域にキャパシタを配置する構成の半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、LC直列共振のQ値が小さくなり、LPF側(オフ側)のショートを阻止できるため、オン側の通過特性mag(S21)が劣化せず、phase(S21)に生じる共振起因の微小起伏(凸凹・こぶ)も縮小され、RMS移相誤差を向上させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
上記した本発明についてさらに説述すべく添付図面を参照して以下に説明する。本発明は、FETのオフ容量とそれに並列接続したインダクタとの共振を用いるスイッチと、LPFとHPFと、を含むマイクロ波移相器(例えば図10参照)において、共振部は、FETと並列に、インダクタとキャパシタの直列回路が配置され、LC直列接続回路のレイアウトにおいて、非最密構造とされたインダクタの中央部の空きスペースに、金属または、誘電体基板の比誘電率より高い誘電体が配置されている。
【0031】
移相器における位相の周波数特性の不連続点の発生は、HPF側がオン、LPF側がオフ時に、LPF側のFETのオフ容量(図12のC1)、スイッチ部のインダクタのインダクタンス(L1)、LPFのMIM(Metal Insulator Metal)シャントキャパシタ(図12のC3)と、LPFのシリーズインダクタ(L3)で形成される共振回路により、LPF側がショートになることが原因である。本発明は、これを解消するための手段として、スイッチ部インダクタの抵抗を大きくし、移相器におけるFETのDC特性を測定可能にするため、FETと並列接続されているインダクタ(例えば図10のQ1、Q5、Q3、Q7にそれぞれ並列に接続されるインダクタL21、L22、L23、L24)に、DCカット用MIMキャパシタを接続し、Q値を下げるためにインダクタのレイアウトを、内側の空きスペースをなくすようにしている。以下いくつかの実施例に即して説明する。
【実施例】
【0032】
<実施例1>
図1に示すように、本実施例においては、非最密のインダクタ1の外側にキャパシタ2を配置するレイアウト構成において、インダクタ1の中央部の空きスペースに、電気的にどこにも接続されない金属部材3(又は、比誘電率の大きな誘電体)が配置されている。
【0033】
「非最密」とは、インダクタ1の最も内側のセグメントの長さは配線し得る最大の長さよりは短く、そのセグメントの両側にある配線との間隔が等しいか、または、インダクタの最も内側のセグメントの両側にある配線のうち、電流の向きがインダクタの最も内側のセグメントの電流の向きと反対である配線との間隔が広く、電流の向きがインダクタの最も内側のセグメントの電流の向きと同じである配線との間隔は狭くするレイアウトをいう。
【0034】
なお、図1において、インダクタ1の中央部の空きスペースに配置される金属部材3は、平面型の薄膜インダクタに対応させて、薄膜金属からなり、その平面形状は、インダクタ1の中央部の空きスペースの内側形状に対応させて矩形形状とされているが、本発明はかかる形状等に制限されるものでないことは勿論である。
【0035】
非最密構造のインダクタ1は、中央に空き領域があり、この面積をSとする。
【0036】
インダクタ1の一方から電力が供給された場合を、電圧一定で電流Iが流れこんだ場合として考える。インダクタの内側の空き領域Sには、ファラデーの電磁誘導の法則から、磁束Φとして
・・・(12)
の起電力が生じる。
【0037】
ここで、Φは、磁束密度をB(=μH、Hは磁界、μは透磁率)として、磁束Φ=BSであるため、
・・・(13)
である。
【0038】
この起電力によるインダクタの抵抗の増減をΔRとすると
・・・(14)
であり、−は元々の抵抗値より下がることを意味している。
【0039】
一方、Q値は
・・・(15)
となり、もとの値より大きくなることがわかる。
【0040】
したがって、図8の「従来例」のデータに示すように、Q値が高くなる。
【0041】
本発明は、図1に示すように、面積Sがほとんどないため、磁束Φ=BSが縮減し、式(14)より、ΔRはほとんど0となり、式(15)において分母R+ΔRは減少せず、Q値は低いままである。
【0042】
実施例1として、
図2には、移相器のLPF側がオン時の通過特性の大きさ、
図3には、移相器のHPF側がオン時の通過特性の大きさ、
図4には、移相器のLPF側がオン時の通過特性の位相、
図5には、移相器のHPF側がオン時の通過特性の位相、
図6には、図4と図5の差、すなわち、移相量を示す。
【0043】
図2から図6には、従来例(ひし形)、実施例1(■)、実施例2(▲)の特性を記してある。
【0044】
図3から、従来例に比べて、実施例1では、7.5GHz付近でのロスが少なくなっており、このため、図5の位相も、実施例1では改善されている。
【0045】
このため、図6の移相量も改善され、7GHzから10GHzの帯域では、RMS移相誤差も従来の3.4度が、2.9度に改善されている。
【0046】
Q値を低くすることは、インダクタの内側の空きスペースの面積Sを小さくし、さらにインダクタの長さlを長くするか、または、抵抗率ρの大きい材料とし抵抗Rを大きくすることで、より効果的となる。
【0047】
<実施例2>
次に、本発明の実施例2について説明する。図7は、実施例2のレイアウトを示す図である。図1の実施例1では、非最密なインダクタ1の中央部の空きスペースに金属部材3、外側にキャパシタ2をレイアウトして、直列接続しているが、中央部空きスペースの金属部材3の代わりに、外側に配置していたMIMキャパシタ2をレイアウトする。なお、図7のレイアウトパタンの寸法(数値)は、図16に対応させて例示したものであり、本発明はかかる寸法に限定されるものでないことは勿論である。
【0048】
前記実施例1と同様に、インダクタ1の内側に空きスペースがあるが、ここに、MIMキャパシタ2を配置するために、磁界が生じるものの、その面積Sがほぼ0である。
【0049】
したがって、図2から図5の実施例2のデータに示すように、従来例から改善されている様子がわかる。7GHzから10GHzの帯域では、RMS移相誤差は従来の3.4度が2.3度と改善されている。
【0050】
実施例1と同じで、磁界の貫く面積Sがほぼ0であることから、誘導起電力もほぼ0となり、抵抗の増減分ΔRがほぼ0であるため、Q値は高くならない。
【0051】
実施例2は、前記実施例1と回路的には同じであるが、レイアウトとして、インダクタ1の内側中央部の空きスペースに、どこにも接続されない金属部材を置くか、MIMキャパシタを置くかという、レイアウト上の相違がある。
【0052】
以上、本発明を上記実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例の構成にのみ制限されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例1のレイアウトを示す図である。
【図2】実施例1の計算結果(LPF側がオンのときのmag[S21](通過特性))を示す図である。
【図3】実施例1の計算結果(HPF側がオンのときのmag[S21](通過特性))を示す図である。
【図4】実施例1の計算結果(LPF側がオンのときのphase[S21](通過特性))を示す図である。
【図5】実施例1の計算結果(HPF側がオンのときのphase[S21](通過特性))を示す図である。
【図6】実施例1の計算結果(図12と図13の差であり移相量)を示す図である。
【図7】本発明の実施例2のレイアウトを示す図である。
【図8】直列接続のインダクタとキャパシタのレイアウト違いによるQ値計算結果を示す図である。
【図9】HPF/LPF切替型移相器のフィルタ部回路を示す図である。
【図10】従来の移相器の回路の一例を示す図である。
【図11】従来の移相器のレイアウトを示す図である。
【図12】従来の移相器の等価回路を示す図である。
【図13】従来の移相器の等価回路を示す図である。
【図14】容量CにインダクタLと抵抗Rが直列接続されたものが並列接続された回路を示す図である。
【図15】図13の回路についてインピーダンスの周波数特性を計算した結果を示す図である。
【図16】従来例のレイアウトを示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 インダクタ
2 キャパシタ(MIMキャパシタ)
3 金属部材
10a 入力部
10b 出力部
11c、11d スイッチ部(SPDTスイッチ)
12 HPF
13 LPF
21 キャパシタ(MIMキャパシタ)
22 インダクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FETのオフ容量と、前記FETのオフ容量に並列接続したインダクタとの共振部を備えたスイッチと、
低域通過フィルタ及び高域通過フィルタと、
を含む移相器において、
前記共振部は、
前記FETと並列に、インダクタとMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタの直列回路が配置され、
LC直列回路において、
非最密構造にレイアウトされたインダクタの中央部の空き領域に、金属又は誘電体基板の比誘電率よりも高い誘電体が配置されている、ことを特徴とする移相器。
【請求項2】
FETのオフ容量と前記FETのオフ容量に並列接続したインダクタとの共振部を備えたスイッチと、
低域通過フィルタ及び高域通過フィルタと、
を含む移相器において、
前記共振部は、
前記FETと並列に、インダクタとMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタの直列回路が配置され、
LC直列回路において、
非最密構造にレイアウトされたインダクタの中央部の空き領域に、前記MIMキャパシタが配置されている、ことを特徴とする移相器。
【請求項3】
FETと並列に、インダクタとキャパシタの直列回路が誘電体基板上に配置されてなる共振型スイッチを備え、低域通過フィルタ/高域通過フィルタ切替え型の移相器であって、
中央部に空き領域を有する平面型のインダクタの前記空き領域に、金属部材、又は、前記誘電体基板の比誘電率より高い比誘電率の誘電部材が配置されている、ことを特徴とする移相器。
【請求項4】
中央部に空き領域を有する平面型のインダクタとキャパシタのLC共振回路が共振型スイッチを構成し、
前記インダクタの空き領域に、他の導電部材と接続されない状態の金属部材が配置されている、ことを特徴とする移相器。
【請求項5】
中央部に空き領域を有する平面型のインダクタとキャパシタのLC共振回路が共振型スイッチを構成し、
前記インダクタの空き領域に、前記キャパシタが配置されている、ことを特徴とする移相器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一記載の移相器を備えた半導体装置。
【請求項1】
FETのオフ容量と、前記FETのオフ容量に並列接続したインダクタとの共振部を備えたスイッチと、
低域通過フィルタ及び高域通過フィルタと、
を含む移相器において、
前記共振部は、
前記FETと並列に、インダクタとMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタの直列回路が配置され、
LC直列回路において、
非最密構造にレイアウトされたインダクタの中央部の空き領域に、金属又は誘電体基板の比誘電率よりも高い誘電体が配置されている、ことを特徴とする移相器。
【請求項2】
FETのオフ容量と前記FETのオフ容量に並列接続したインダクタとの共振部を備えたスイッチと、
低域通過フィルタ及び高域通過フィルタと、
を含む移相器において、
前記共振部は、
前記FETと並列に、インダクタとMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタの直列回路が配置され、
LC直列回路において、
非最密構造にレイアウトされたインダクタの中央部の空き領域に、前記MIMキャパシタが配置されている、ことを特徴とする移相器。
【請求項3】
FETと並列に、インダクタとキャパシタの直列回路が誘電体基板上に配置されてなる共振型スイッチを備え、低域通過フィルタ/高域通過フィルタ切替え型の移相器であって、
中央部に空き領域を有する平面型のインダクタの前記空き領域に、金属部材、又は、前記誘電体基板の比誘電率より高い比誘電率の誘電部材が配置されている、ことを特徴とする移相器。
【請求項4】
中央部に空き領域を有する平面型のインダクタとキャパシタのLC共振回路が共振型スイッチを構成し、
前記インダクタの空き領域に、他の導電部材と接続されない状態の金属部材が配置されている、ことを特徴とする移相器。
【請求項5】
中央部に空き領域を有する平面型のインダクタとキャパシタのLC共振回路が共振型スイッチを構成し、
前記インダクタの空き領域に、前記キャパシタが配置されている、ことを特徴とする移相器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一記載の移相器を備えた半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−172075(P2008−172075A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4588(P2007−4588)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]