説明

半導体装置

【課題】複数のトランジスタにより構成されるSRAMセルを有し、SRAMセル内の素子領域の幅や形状が略均一な半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に形成された所定の方向に長さ方向を有する素子領域と、前記素子領域内にそれぞれソース・ドレイン領域および前記所定の方向に略平行なチャネル方向を有するチャネル領域を有し、前記所定の方向と略垂直な方向にそれぞれゲート電極を有する複数のトランジスタと、それぞれが複数の前記トランジスタを含み、アレイ配置された複数のSRAMセルと、前記所定の方向に略垂直な方向に隣接する前記SRAMセル同士の最外側の前記素子領域の間に形成された、前記所定方向に略平行な長さ方向を有し、前記素子領域と同じ材料からなるダミー領域と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲート電極による電流の制御性を高めるために、チャネル領域をゲート電極で挟んだ構造を有するダブルゲート型トランジスタの1つに、フィン構造を有するフィン型トランジスタがある。フィン型トランジスタは、素子の微細化、カットオフ特性やキャリア移動度の向上、短チャネル効果の抑制に有利な性質を有する。
【0003】
従来の半導体装置として、フィン型トランジスタを用いたSRAM(Static Random Access Memory)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】国際公開第05/036651号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数のトランジスタにより構成されるSRAMセルを有し、SRAMセル内の素子領域の幅や形状が略均一な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、半導体基板と、前記半導体基板上に形成された所定の方向に長さ方向を有する素子領域と、前記素子領域内にそれぞれソース・ドレイン領域および前記所定の方向に略平行なチャネル方向を有するチャネル領域を有し、前記所定の方向と略垂直な方向にそれぞれゲート電極を有する複数のトランジスタと、それぞれが複数の前記トランジスタを含み、アレイ配置された複数のSRAMセルと、前記所定の方向に略垂直な方向に隣接する前記SRAMセル同士の最外側の前記素子領域の間に形成された、前記所定方向に略平行な長さ方向を有し、前記素子領域と同じ材料からなるダミー領域と、を備えることを特徴とする半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数のトランジスタにより構成されるSRAMセルを有し、SRAMセル内の素子領域の幅や形状が略均一な半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
〔第1の実施の形態〕
(半導体装置の構成)
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置のSRAMハーフセルを概略的に表す上面図であり、図1(b)は、図1(a)のSRAMハーフセルを(マトリクス)アレイ配置した状態を示す上面図である。また、図2は、図1(a)の切断線II−IIにおける切断面を矢印の方向に見た断面図である。
【0008】
本実施の形態においては、フィン型トランジスタによる6トランジスタ型のSRAMについて説明する。6トランジスタ型のSRAMは、1つのセルにn型のトランスファトランジスタ、n型のドライバトランジスタ、p型のロードトランジスタをそれぞれ2つずつ有する。
【0009】
半導体装置1は、n型のトランスファトランジスタT、n型のドライバトランジスタD、およびp型のロードトランジスタLの3種類のトランジスタと、トランスファトランジスタTとドライバトランジスタDのソース・ドレイン領域(図示しない)を含むフィン12aと、ロードトランジスタLのソース・ドレイン領域(図示しない)を含むフィン12bと、トランスファトランジスタTに用いられるゲート電極13a、ドライバトランジスタDとロードトランジスタLに共通に用いられるゲート電極13bを含む。
【0010】
また、トランスファトランジスタT、ドライバトランジスタD、ロードトランジスタLは、半導体基板11上に形成され、素子分離領域20により、互いに電気的に分離される。
【0011】
図1(a)、(b)に示すハーフセル10は、SRAMセル100を半分にしたものであり、トランスファトランジスタT、ドライバトランジスタD、ロードトランジスタLをそれぞれ1つずつ有する。
【0012】
図1(b)に示すように、互いに向きが180°異なる2つのハーフセル10を、ロードトランジスタLが内側、トランスファトランジスタTおよびドライバトランジスタDが外側になるように互いのゲート電極13bをつなげることにより、6つのトランジスタを有するSRAMセル100が構成される。
【0013】
また、ダミーフィン17が、フィン12a、12bの長さ方向に略垂直な方向に隣接するSRAMセル100同士の、最外側のフィンであるフィン12aの間に形成される。さらに好ましくは、ダミーフィン17は、隣接するSRAMセル100同士の境界のうち、フィン12a、12bの長さ方向(図1(a)、(b)の上下方向)に略平行な方向の境界、すなわち図1(a)、(b)の左右に隣接するSRAMセル100同士の境界の上に位置する。
【0014】
ここで、境界とは、図1(b)において点線で表された各ハーフセル10の枠のうち、2つのハーフセル10からなるSRAMセル100の枠に等しいものであり、フィン12a、12bの長さ方向に略垂直な方向に隣接するSRAMセル100同士の、最外側のフィンであるフィン12aの中間に位置するものとする。なお、以下の各実施の形態においては、好ましい例として、ダミーフィン17がフィン12a、12bの長さ方向に略垂直な方向に隣接するSRAMセル100同士の境界上に形成されるものとして説明するが、本実施の形態と同様にこれに限られるものではなく、フィン12a、12bの長さ方向に略垂直な方向に隣接するSRAMセル100同士のフィン12aの間に形成されるものであればよい。
【0015】
なお、図1においては、簡略化のため、素子分離領域20、キャップ層22の図示を省略してある。
【0016】
半導体基板2には、Si基板、SiGe基板、もしくは部分選択エピタキシャル成長法等によりこれらを組み合わせた基板等を用いることができる。
【0017】
素子分離領域20は、SiO等の絶縁材料からなる。
【0018】
素子領域としてのフィン12a、12bは、例えば、半導体基板2の表面をエッチング加工することにより形成され、単結晶Si、単結晶SiGe等からなる。また、フィン12a、12bは、ゲート電極13aまたはゲート電極13bに囲まれた領域の両側に、ソース領域およびドレイン領域を含む。ゲート電極13a、13bに囲まれ、ソース領域とドレイン領域に挟まれた領域は、チャネル領域として働く。
【0019】
ソース・ドレイン領域に含まれる導電型不純物は、n型のトランスファトランジスタT、ドライバトランジスタDの場合はAs、P等のn型不純物、p型のロードトランジスタLの場合はB、BF等のp型不純物が用いられる。
【0020】
また、フィン12a、12bの上面の所定の位置には、ソース領域またはドレイン領域に接続されるフィンコンタクト14が形成されている。フィンコンタクト14は、各部のソース領域またはドレイン領域と、上層の配線とを電気的に接続する。
【0021】
ダミーの素子領域としてのダミーフィン17は、例えば、フィン12a、12bと同様に、半導体基板2の表面をエッチング加工することにより形成され、フィン12a、12bと同じ材料からなる。また、ダミーフィン17は、フィン12a、12bと同じフィン幅およびフィン高さを有するが、トランジスタの一部として機能しない。このため、ソース領域またはドレイン領域が形成されなくてもよい。また、フィンコンタクト14は接続されない。また、ダミーフィン17はフィン12a、12bと略平行に形成される。
【0022】
また、ダミーフィン17とそれに隣接するフィン12aとの間隔と、フィン12aとそれに隣接するフィン12bとの間隔と、互いに隣接するフィン12b同士の間隔とは、略等しいことが好ましい。
【0023】
ゲート電極13a、13bは、例えば、導電型不純物を含む多結晶シリコンまたは多結晶シリコンゲルマニウムからなる。ゲート電極13a、13bに含まれる導電型不純物には、n型のトランスファトランジスタT、ドライバトランジスタDの場合はAs、P等のn型不純物、p型のロードトランジスタLの場合はB、BF等のp型不純物が用いられる。なお、ゲート電極13a、13bの表面にシリサイド層が形成されていてもよい。また、ゲート電極13a、13bは、全体がシリサイド化したフルシリサイド電極であってもよい。また、ゲート電極13a、13bは、W、Ta、Ti、Hf、Zr、Ru、Pt、Ir、Mo、Al、Ni等やこれらの化合物等からなるメタルゲート電極であってもよい。また、メタルゲート電極部と多結晶Si電極部の積層構造を有してもよい。また、ゲート電極13a、13bの側面には、絶縁材料からなるゲート側壁が形成されていてもよい。
【0024】
また、ゲート電極13aの上面の所定の位置には、ゲートコンタクト15が形成されている。ゲートコンタクト15は、ゲート電極13aと上層の配線とを電気的に接続する。また、ゲート電極13bおよびフィン12bの上面には、これらに共用されるコンタクトであるシェアードコンタクト16が形成される。シェアードコンタクト16は、ゲート電極13bおよびフィン12bと、上層の配線とを電気的に接続する。
【0025】
ゲート絶縁膜21は、例えば、SiO、SiN、SiONや、High−k材料(例えば、HfSiON、HfSiO、HfO等のHf系材料、ZrSiON、ZrSiO、ZrO等のZr系材料、Y等のY系材料)、もしくはこれらをレアメタル系材料と組み合わせた材料からなる。
【0026】
キャップ膜22は、SiN等の絶縁材料からなり、フィン12形成のためのRIE(Reactive Ion Etching)に用いるマスク等としての役割を有する。なお、キャップ層22を設けず、フィン12の上層にもゲート絶縁膜21を設け、フィン12の上面にもチャネルが形成されるような構成としてもよい。
【0027】
(第1の実施の形態の効果)
図3(a)は、比較例としてのダミーフィンを有さない半導体装置のSRAMハーフセルを概略的に表す上面図であり、図3(b)は、図3(a)のSRAMハーフセルを(マトリクス)アレイ配置した状態を示す上面図である。比較例に係る半導体装置2は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置1からダミーフィン17を省いたものに等しいものとする。
【0028】
比較例に係るダミーフィンを有さない半導体装置2によると、図3(b)に示すように、隣接するSRAMセル100同士の境界のうち、フィン12a、12bの長さ方向(図3(a)、(b)の上下方向)に略平行な方向の境界、すなわち図3(a)、(b)の左右に隣接するSRAMセル100同士の境界の上に、フィンが配置されない非配置領域18ができる。
【0029】
非配置領域18が存在すると、非配置領域18近くのフィン(図3(a)、(b)においてはフィン12a)の形状や厚さが、その他の領域におけるフィン(図3(a)、(b)においてはフィン12b)と異なる形状や厚さを有し、全体としてフィンの形状や厚さが不均一になるおそれがある。以下に、その理由の一例を記す。
【0030】
フィン12a、12bは、半導体基板11の表面をRIE(Reactive Ion Etching)等でパターニングすることにより形成されるが、非配置領域18にはフィンが形成されないため、エッチングにより削られる半導体基板11の材料(例えばSi)の量が他の領域よりも多くなる。そのため、非配置領域18近くのフィンに半導体基板11の材料が再付着する量が増え、形状が偏ったり、厚みが増したりするおそれがある。その結果、非配置領域18近くのフィンの形状や厚さが、その他の領域において等しいピッチで形成されるフィンと異なる形状や厚さを有することになり、短チャネル効果の発生等の電気的特性の劣化を引き起こすおそれがある。
【0031】
一方、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置1によると、ダミーフィン17を形成することにより、非配置領域18を作らず、フィン(フィン12a、12bおよびダミーフィン17)を均一なピッチで配置することができる。これにより、半導体装置1全体においてフィン12a、12bの形状や厚さを均一にし、電気的特性の劣化を抑えることができる。
【0032】
なお、本実施の形態におけるトランスファトランジスタT、ドライバトランジスタD、およびロードトランジスタLは、プレーナ型トランジスタであってもよい。この場合、半導体基板の素子分離領域に囲まれた素子領域がフィン12a、12bおよびダミーフィン17に相当し、ゲート電極13a、13bはこの素子領域の上にゲート絶縁膜を介して形成される。素子領域のゲート電極13a、13bの直下の領域はチャネル領域として機能し、そのチャネル領域を挟んでソース領域およびドレイン領域が形成される。
【0033】
これにより、トランスファトランジスタT、ドライバトランジスタD、およびロードトランジスタLが、プレーナ型トランジスタである場合であっても、ダミーフィン17に相当するダミーの素子領域を形成することにより、非配置領域18に相当する素子領域が形成されない領域を作らず、素子領域(ダミーの素子領域を含む)を均一なピッチで配置することができる。これにより、半導体装置1全体において素子領域の形状や厚さを均一にし、電気的特性の劣化を抑えることができる。
【0034】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、ダミーフィン17の形成位置において第1の実施の形態と異なる。なお、第1の実施の形態と同様の点については、簡単のために説明を省略する。
【0035】
(半導体装置の構成)
図4(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置のSRAMハーフセルを概略的に表す上面図であり、図4(b)は、図4(a)のSRAMハーフセルを(マトリクス)アレイ配置した状態を示す上面図である。
【0036】
図4(a)、(b)に示すように、ダミーフィン17は、隣接するSRAMセル100同士の境界のうち、フィン12a、12bの長さ方向(図4(a)、(b)の上下方向)に略平行な方向の境界、すなわち図4(a)、(b)の左右に隣接するSRAMセル100同士の境界の両端上には形成されず、隣接するSRAMセル100同士の境界のうち、フィン12a、12bの長さ方向に略垂直な境界の上で分離される。ここで、ダミーフィン17のトランスファトランジスタT側(図4(a)上側)の分離部を分離部17a、ドライバトランスファ側(図4(a)下側)の分離部を分離部17bとする。分離部17aと分離部17bの分離幅は等しいことが好ましい。
【0037】
(第2の実施の形態の効果)
本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置1によると、ゲートコンタクト15の形成位置にずれが発生したり、径が大きくなったりして、ゲートコンタクト15がダミーフィン17の上面に接触してしまった場合においても、ダミーフィン17が分離部17a、17bで分離されることにより、フィン12a、12bの長さ方向に略垂直な方向に隣接するセル100にダミーフィン17を介してリーク電流が流れ込むことを抑制できる。
【0038】
なお、本実施の形態におけるトランスファトランジスタT、ドライバトランジスタD、およびロードトランジスタLは、プレーナ型トランジスタであってもよい。
【0039】
〔第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態は、ダミーフィン17の形成位置において第1の実施の形態と異なる。なお、第1の実施の形態と同様の点については、簡単のために説明を省略する。
【0040】
(半導体装置の構成)
図5(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置のSRAMハーフセルを概略的に表す上面図であり、図5(b)は、図5(a)のSRAMハーフセルを(マトリクス)アレイ配置した状態を示す上面図である。
【0041】
図5(a)、(b)に示すように、ダミーフィン17は、フィン12a、12bの長さ方向に略垂直な方向に隣接するSRAMセル100同士のゲート電極13bに両側から挟まれた領域(ゲート電極13bの長さ方向の延長上にある領域)である分離部17cにおいて分離されている。なお、このダミーフィン17の分離部の分離幅は、ゲート電極13bの幅と等しくなくてもよい。
【0042】
(第3の実施の形態の効果)
本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置1によると、ダミーフィン17は、両側からゲート電極13bに挟まれる領域である分離部17cにおいて分離されているため、ゲート電極13bとダミーフィン17の間に余計な寄生容量が発生することを抑制できる。特に、本実施の形態は、トランジスタの高速動作が必要とされる場合に効果を発揮する。
【0043】
なお、本実施の形態におけるトランスファトランジスタT、ドライバトランジスタD、およびロードトランジスタLは、プレーナ型トランジスタであってもよい。また、本実施の形態は、第2の実施の形態と組み合わせることができる。
【0044】
また、図6(a)、(b)に示すように、ダミーフィン17は、分離部17cに加えて、第2の実施の形態における分離部17aに相当する分離部17aにおいて分離された構成であってもよい。
【0045】
これにより、ゲートコンタクト15の形成位置にずれが発生したり、径が大きくなったりして、ゲートコンタクト15がダミーフィン17の上面に接触してしまった場合においても、フィン12a、12bの長さ方向に略垂直な方向に隣接するセル100にダミーフィン17を介してリーク電流が流れ込むことを抑制できる。
【0046】
〔第4の実施の形態〕
本発明の第4の実施の形態は、ダミーフィン17を挟むゲート電極13bの形状において第1の実施の形態と異なる。なお、第1の実施の形態と同様の点については、簡単のために説明を省略する。
【0047】
(半導体装置の構成)
図7(a)は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置のSRAMハーフセルを概略的に表す上面図であり、図7(b)は、図7(a)のSRAMハーフセルを(マトリクス)アレイ配置した状態を示す上面図である。また、図8は、図7(a)の切断線VII−VIIにおける切断面を矢印の方向に見た断面図である。
【0048】
図7(a)、(b)および図8に示すように、本実施の形態に係る半導体装置1においては、フィン12a、12bの長さ方向に略垂直な方向に隣接するSRAMセル100同士のゲート電極13bは、互いの間にあるダミーフィン17のゲート絶縁膜23に両側からそれぞれ接し、かつ互いに接しない。なお、これらのゲート電極13bは、初めに一体に形成された後、エッチングによりフィン12cを介して分離するように加工される。
【0049】
ゲート電極13bは、ダミーフィン17の近傍では高さが低くなっており、キャップ膜24の上面に接しない。ゲート絶縁膜23およびキャップ膜24は絶縁体であるため、隣接するSRAMセル100のゲート電極13b同士は電気的に分離される。なお、この付近の領域をゲート分離領域19とする。
【0050】
(第4の実施の形態の効果)
第1の実施の形態のように、ゲート電極13bをダミーフィン17と分離して形成する場合は、分離箇所をほぼ完全に(素子分離領域20の上面が露出するまで)除去する必要がある。ゲート電極13bの分離箇所をほぼ完全に除去するためには、エッチングの特性上、ゲート電極13bの高さに応じた開口幅が必要になるため、フィン12a、12bの長さ方向に略垂直な方向に隣接するSRAMセル100のドライバトランジスタD同士をあまり近くに配置することができない。
【0051】
一方、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置1によると、隣接するSRAMセル100のゲート電極13b同士は、互いの間にあるダミーフィン17のゲート絶縁膜23に両側からそれぞれ接し、それぞれダミーフィン17の近傍で高さを下げることにより、互いに電気的に分離されている。そのため、分離箇所のゲート電極13bを下部まで完全に除去する場合と比較して、開口幅を小さくすることができ、その結果、フィン12a、12bの長さ方向に略垂直な方向に隣接するSRAMセル100のドライバトランジスタD同士を近くに配置し、SRAMセル100のサイズを小さくすることができる。
【0052】
なお、本実施の形態においては、図7(a)、(b)に示すように、フィン12aとそれに隣接するフィン12bとの間隔、および互いに隣接するフィン12b同士の間隔も、ダミーフィン17とそれに隣接するフィン12aとの間隔に等しくなるように狭めている。
【0053】
また、本実施の形態は、第2の実施の形態と組み合わせることができる。
【0054】
〔第5の実施の形態〕
本発明の第5の実施の形態は、ゲート分離部が2箇所に設けられている点において第4の実施の形態と異なる。なお、第4の実施の形態と同様の点については、簡単のために説明を省略する。
【0055】
(半導体装置の構成)
図9(a)は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置のSRAMハーフセルを概略的に表す上面図であり、図9(b)は、図9(a)のSRAMハーフセルを(マトリクス)アレイ配置した状態を示す上面図である。
【0056】
図9(a)、(b)に示すように、本実施の形態に係る半導体装置1は、ドライバトランジスタD1、D2の2つのドライバトランジスタを有する。トランスファトランジスタTおよびドライバトランジスタD1のソース・ドレイン領域はフィン12aに含まれ、ドライバトランジスタD2のソース・ドレイン領域は、フィン12cに含まれる。
【0057】
また、半導体装置1は、第4の実施の形態におけるゲート分離部19と同様の、ダミーフィン17がゲート電極13bを分離するゲート分離部19aと、フィン12cがゲート電極13aとゲート電極13bを分離するゲート分離部19bを有する。ゲート分離部19a、19bの構造は、第4の実施の形態におけるゲート分離部19と同様である。また、ゲート電極13aとゲート電極13bは、初めに一体に形成された後、エッチングによりフィン12cを介して分離するように加工される。
【0058】
(第5の実施の形態の効果)
本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置1によれば、ゲート分離部19a、19bを設けることにより、ゲート電極13a、13bのほぼ完全に(素子分離領域20の上面が露出するまで)除去する箇所を無くし、より効率的にフィン12a、12b、12cを配置することができる。
【0059】
また、ドライバトランジスタを2つ設けることにより、ノイズの発生を抑え、読み出し時の動作安定性を向上させることができる。
【0060】
また、本実施の形態は、第2の実施の形態と組み合わせることができる。
【0061】
〔他の実施の形態〕
本発明は、上記各実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。例えば、上記各実施の形態においては、SRAMセル100に6つのトランジスタが含まれる6トランジスタ型のSRAMについて説明したが、SRAMセル100に含まれるトランジスタの数はこれに限られない。
【0062】
また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記各実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置を概略的に表す上面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の図1(a)に示した切断線II−IIにおける切断面を図中の矢印の方向に見た断面図。
【図3】(a)、(b)は、比較例としてのダミーフィンを有さない半導体装置を概略的に表す上面図。
【図4】(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置を概略的に表す上面図。
【図5】(a)、(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置を概略的に表す上面図。
【図6】(a)、(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の変形例を概略的に表す上面図。
【図7】(a)、(b)は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置を概略的に表す上面図。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の図7(a)に示した切断線VII−VIIにおける切断面を図中の矢印の方向に見た断面図。
【図9】(a)、(b)は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置を概略的に表す上面図。
【符号の説明】
【0064】
1 半導体装置。11 半導体基板。12a、12b、12c フィン。13a、13b ゲート電極。17 ダミーフィン。19、19a、19b ゲート分離部。21、23 ゲート絶縁膜。100 SRAMセル。T トランスファトランジスタ。D、D1、D2 ドライバトランジスタ。L ロードトランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された所定の方向に長さ方向を有する素子領域と、
前記素子領域内にそれぞれソース・ドレイン領域および前記所定の方向に略平行なチャネル方向を有するチャネル領域を有し、前記所定の方向と略垂直な方向にそれぞれゲート電極を有する複数のトランジスタと、
それぞれが複数の前記トランジスタを含み、アレイ配置された複数のSRAMセルと、
前記所定の方向に略垂直な方向に隣接する前記SRAMセル同士の最外側の前記素子領域の間に形成された、前記所定方向に略平行な長さ方向を有し、前記素子領域と同じ材料からなるダミー領域と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ダミー領域は、隣接する前記SRAMセル同士の前記所定の方向に略垂直な境界上で分離されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の前記トランジスタは、複数のドライバトランジスタを含み、
複数の前記SRAMセルは、それぞれ前記ドライバトランジスタを有し、
前記ダミー領域は、隣接する前記SRAMセル同士の前記ドライバトランジスタのゲート電極に両側から挟まれた領域において分離されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
複数の前記トランジスタは、フィン型トランジスタであり、複数のドライバトランジスタを含み、
前記素子領域はそれぞれ側面にゲート絶縁膜を有する複数のフィンであり、
前記ダミー領域はそれぞれ側面にゲート絶縁膜を有する複数のダミーフィンであり、
複数の前記SRAMセルは、それぞれ前記ドライバトランジスタを有し、
隣接する前記SRAMセル同士の前記ドライバトランジスタのゲート電極は、互いの間にある前記ダミーフィンの前記ゲート絶縁膜に両側からそれぞれ接し、かつ互いに接しない、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
複数の前記トランジスタは、フィン型トランジスタであり、複数のトランスファトランジスタ、複数のドライバトランジスタおよび複数のロードトランジスタを含み、
前記素子領域はそれぞれ側面にゲート絶縁膜を有する複数のフィンであり、
前記ダミー領域はそれぞれ側面にゲート絶縁膜を有する複数のダミーフィンであり、
複数の前記SRAMセルは、それぞれ前記トランスファトランジスタ、ドライバトランジスタおよびロードトランジスタを有し、
それぞれの前記SRAMセルにおいて、前記トランスファトランジスタのゲート電極と前記ロードトランジスタのゲート電極は、互いの間にある前記ドライバトランジスタの前記ゲート絶縁膜に両側からそれぞれ接し、かつ互いに接しない、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−130210(P2009−130210A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304916(P2007−304916)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】