半導体装置
【課題】スイッチング用トランジスタのオフ電流を低く抑え、容量素子の大容量化を図らずとも、駆動用トランジスタの特性のばらつきに起因する、画素間における発光素子の輝度ムラを抑えることができる発光装置の提案を課題とする。
【解決手段】第1のトランジスタを消去用トランジスタと兼ね、前記第1のトランジスタは飽和領域で動作させる。第1のトランジスタのゲートを消去用の走査線に接続し、第1のトランジスタは、消去用の走査線の電位により、電流を流せる状態、流せない状態に選択できる。また、第1のトランジスタと直列に、線形領域で動作する第2のトランジスタを配し、スイッチング用トランジスタを介して画素の発光、非発光の信号を伝えるビデオ信号は第2のトランジスタのゲートに入力する。
【解決手段】第1のトランジスタを消去用トランジスタと兼ね、前記第1のトランジスタは飽和領域で動作させる。第1のトランジスタのゲートを消去用の走査線に接続し、第1のトランジスタは、消去用の走査線の電位により、電流を流せる状態、流せない状態に選択できる。また、第1のトランジスタと直列に、線形領域で動作する第2のトランジスタを配し、スイッチング用トランジスタを介して画素の発光、非発光の信号を伝えるビデオ信号は第2のトランジスタのゲートに入力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流を発光素子に供給するための手段と発光素子とが、複数の各画素に備えられた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子は自ら発光するため視認性が高く、液晶表示装置(LCD)で必要なバックライトが要らず薄型化に最適であると共に、視野角にも制限が無い。そのため近年、発光素子を用いた発光装置は、CRTやLCDに代わる表示装置として注目されている。なお、本明細書において発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子を意味しており、OLED(Organic Light Emitting Diode)や、FED(Field Emission Display)に用いられているMIM型の電子源素子(電子放出素子)等を含んでいる。
【0003】
なお発光装置とは、パネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。さらに本発明は、該発光装置を作製する過程における、パネルが完成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電流を発光素子に供給するための手段を複数の各画素に備える。
【0004】
発光素子の1つであるOLED(Organic Light Emitting Diode)は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electroluminescence)が得られる電界発光材料を含む層(以下、電界発光層と記す)と、陽極層と、陰極層とを有している。電界発光層は陽極と陰極の間に設けられており、単層または複数の層で構成されている。これらの層の中に無機化合物を含んでいる場合もある。電界発光層におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とが含まれる。
【0005】
次に、一般的な発光装置の画素の構成とその駆動について簡単に説明する。図7に示した画素は、スイッチング用トランジスタ700、消去用トランジスタ708、駆動用トランジスタ701と、容量素子702と、発光素子703とを有している。スイッチング用トランジスタ700は、ゲートが第1の走査線705に接続されており、ソースとドレインが一方は信号線704に、もう一方は駆動用トランジスタ701のゲートに接続されている。駆動用トランジスタ701は、ソースが電源線706に接続されており、ドレインが発光素子703の陽極に接続されている。消去用トランジスタ708は、ゲートが第2の走査線709に接続されており、ソースが電源線706に、ドレインが駆動用トランジスタ701のゲートに接続されている。発光素子703の陰極は対向電極707に接続されている。容量素子702は駆動用トランジスタ701のゲートとソース間の電位差を保持するように設けられている。また、電源線706、対向電極707には、電源からそれぞれ所定の電圧が印加されており、互いに電位差を有している。
【0006】
第1の走査線705の信号によりスイッチング用トランジスタ700がオンになると、信号線704に入力されたビデオ信号が駆動用トランジスタ701のゲートに入力される。この入力されたビデオ信号の電位と電源線706の電位差が駆動用トランジスタ701のゲート・ソース間電圧Vgsとなり、発光素子703に電流が供給され、発光素子703が発光する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えば、ポリシリコンを用いたトランジスタは、電界効果移動度が高く、オン電流が大きいので、発光装置のトランジスタとして適している。しかし、ポリシリコンを用いたトランジスタは、結晶粒界に形成される欠陥に起因して、その特性にばらつきが生じやすいといった問題点を有している。
【0008】
図7に示した画素において、駆動用トランジスタ701のドレイン電流が画素毎にばらつくと、ビデオ信号の電位が同じであっても駆動用トランジスタ701のドレイン電流が画素間で異なり、結果的に発光素子703の輝度ムラが生じてしまうという問題があった。
【0009】
ドレイン電流のばらつきを抑制する手段として、特願2003−008719号で提案した、駆動用トランジスタ701のL/W(L:チャネル長、W:チャネル幅)を大きくする方法がある。ここで、駆動用トランジスタ701の飽和領域におけるドレイン電流Idsは式1で与えられる。
【0010】
(数1)
Ids=β(Vgs−Vth)2/2
【0011】
式1から、駆動用トランジスタ701の飽和領域におけるドレイン電流IdsはVgsの僅かな変化に対しても流れる電流に大きく影響するため、発光素子703が発光している期間に駆動用トランジスタ701のゲート・ソース間に保持した電圧Vgsが変化しないように注意する必要がある。そのためには駆動用トランジスタ701のゲート・ソース間に設けられた容量素子702の容量を大きくすることや、スイッチング用トランジスタ700、消去用トランジスタ708のオフ電流を低く抑える必要がある。
【0012】
スイッチング用トランジスタ700、消去用トランジスタ708のオフ電流を低く抑えること、且つ、大きな容量を充電するためにスイッチング用トランジスタ700、消去用トランジスタ708のオン電流を高くすることはトランジスタ作製プロセスにおいては難しい課題である。
【0013】
また、スイッチング用トランジスタ700、消去用トランジスタ708のスイッチングや信号線、走査線の電位の変化等に伴い、駆動用トランジスタ701のVgsが変化してしまうという問題もある。これは、駆動用トランジスタ701のゲートにつく寄生容量によるものである。
【0014】
本発明は上述した問題に鑑み、スイッチング用トランジスタ700、消去用トランジスタ708のオフ電流を低く抑えたり、容量素子702の容量も大きくしたりしなくても、発光素子に流れる電流に影響しない。また、寄生容量による影響も受けにくい、且つ、駆動用トランジスタ701の特性のばらつきに起因する、画素間における発光素子703の輝度ムラを抑えることができる発光装置及び素子基板の提案を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明では、駆動用トランジスタを消去用トランジスタと兼ね、前記駆動用トランジスタは飽和領域で動作させる。前記駆動用トランジスタのゲートを第2の走査線に接続し、前記駆動用トランジスタは、前記第2の走査線の電位により、電流を流せる状態、流せない状態に選択できる。また、前記駆動用トランジスタと直列に、線形領域で動作する電流制御用トランジスタを配し、スイッチング用トランジスタを介して画素の発光、非発光の信号を伝えるビデオ信号は前記電流制御用トランジスタのゲートに入力する。
【0016】
前記電流制御用トランジスタは線形領域で動作するため前記電流制御用トランジスタのソース・ドレイン間電圧Vdsは小さく、前記電流制御用トランジスタのゲート・ソース間電圧Vgsの僅かな変動は、発光素子に流れる電流に影響しない。発光素子に流れる電流は飽和領域で動作する前記駆動用トランジスタにより決定される。前記駆動用トランジスタのゲートの電位は前記第2の走査線の電位であり、前記駆動用トランジスタのソースの電位は前記電流制御用トランジスタのドレインの電位であり、前記駆動用トランジスタのVgsは発光素子が発光している期間不変である。よって、前記電流制御用トランジスタのゲート・ソース間に設けられた容量素子の容量を大きくしたり、前記スイッチング用トランジスタのオフ電流を低く抑えたりしなくても、発光素子に流れる電流に影響しない。また、前記電流制御用トランジスタのゲートにつく寄生容量による影響も受けない。このため、ばらつき要因が減り、画質を大いに高めることができる。
【0017】
また、前記スイッチング用トランジスタはオフ電流を低く抑える必要がないため、トランジスタ作製プロセスを簡略化することができ、コスト削減、歩留まり向上に大きく貢献することができる。
【発明の効果】
【0018】
電流制御用トランジスタのゲート・ソース間に設けられた容量素子の容量を大きくしたり、スイッチング用トランジスタのオフ電流を低く抑えたりしなくても、発光素子に流れる電流に影響しない。また、電流制御用トランジスタのゲートにつく寄生容量による影響も受けない。このため、ばらつき要因が減り、画質を大いに高めることができる。
【0019】
また、スイッチング用トランジスタはオフ電流を低く抑える必要がないため、トランジスタ作製プロセスを簡略化することができ、コスト削減、歩留まり向上に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示す図。
【図2】本発明の一実施形態を示す図。
【図3】本発明の一実施形態を示す図。
【図4】信号線駆動回路の一構成例を示す図。
【図5】本発明の上面図の一例を示す図。
【図6】本発明が適用可能な電子機器の例を示す図。
【図7】従来例を示す図。
【図8】外部回路とパネルの概要を示す図。
【図9】走査線駆動回路の一構成例を示す図。
【図10】走査線駆動回路の一構成例を示す図。
【図11】本発明の上面図の一例を示す図。
【図12】本発明の断面構造の一例を示す図。
【図13】本発明の動作タイミングの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
図1に、本発明の発光装置が有する画素の一実施形態を示す。図1に示す画素は、発光素子104と、ビデオ信号の画素への入力を制御するためのスイッチング素子として用いるトランジスタ(スイッチング用トランジスタ)101と、発光素子104に流れる電流値を制御する駆動用トランジスタ102、発光素子104への電流の供給を制御する電流制御用トランジスタ103とを有している。
さらに本実施の形態のように、ビデオ信号の電位を保持するための容量素子105を画素に設けても良い。
【0022】
駆動用トランジスタ102及び電流制御用トランジスタ103は同じ極性を有する。本発明では、駆動用トランジスタ102を飽和領域で、電流制御用トランジスタ103を線形領域で動作させる。
【0023】
また、駆動用トランジスタ102のLをWより長く、電流制御用トランジスタ103のLをWと同じか、それより短くてもよい。より望ましくは、駆動用トランジスタ102のWに対するLの比が5以上にするとよい。
【0024】
また、駆動用トランジスタ102にはエンハンスメント型トランジスタを用いてもよいし、ディプリーション型トランジスタを用いてもよい。
【0025】
また、スイッチング用トランジスタ101はN型トランジスタを用いてもよいし、P型トランジスタを用いてもよい。
【0026】
スイッチング用トランジスタ101のゲートは、第1の走査線Gaj(j=1〜y)に接続されている。スイッチング用トランジスタ101のソースとドレインは、一方が信号線Si(i=1〜x)に、もう一方が電流制御用トランジスタ103のゲートに接続されている。駆動用トランジスタ102のゲートは第2の走査線Gej(j=1〜y)に接続されている。そして駆動用トランジスタ102及び電流制御用トランジスタ103は、電源線Vi(i=1〜x)から供給される電流が、駆動用トランジスタ102及び電流制御用トランジスタ103のドレイン電流として発光素子104に供給されるように、電源線Vi(i=1〜x)、発光素子104と接続されている。本実施の形態では、電流制御用トランジスタ103のソースが電源線Vi(i=1〜x)に接続され、駆動用トランジスタ102のドレインが発光素子104の画素電極に接続される。
【0027】
発光素子104は陽極と陰極と、陽極と陰極との間に設けられた電界発光層とからなる。図1のように、陽極が駆動用トランジスタ102と接続している場合、陽極が画素電極、陰極が対向電極となる。発光素子104の対向電極と、電源線Vi(i=1〜x)のそれぞれには、発光素子104に順バイアス方向の電流が供給されるように、電位差が設けられている。
【0028】
容量素子105が有する2つの電極は、一方は電源線Vi(i=1〜x)に接続されており、もう一方は電流制御用トランジスタ103のゲートに接続されている。容量素子105はスイッチング用トランジスタ101が非選択状態(オフ状態)にある時、容量素子105の電極間の電位差を保持するために設けられている。なお図1では容量素子105を設ける構成を示したが、本発明はこの構成に限定されず、容量素子105を設けない構成にしても良い。
【0029】
図1では駆動用トランジスタ102および電流制御用トランジスタ103をP型トランジスタとし、駆動用トランジスタ102のドレインと発光素子104の陽極とを接続した。逆に駆動用トランジスタ102および電流制御用トランジスタ103をN型トランジスタとするならば、駆動用トランジスタ102のソースと発光素子104の陰極とを接続する。この場合、発光素子104の陰極が画素電極、陽極が対向電極となる。
【0030】
次に、図1に示した画素の駆動方法について説明する。図1に示す画素は、その動作を書き込み期間、点灯期間および非点灯期間とに分けて説明することができる。
【0031】
まず書き込み期間において第1の走査線Gaj(j=1〜y)が選択されると、第1の走査線Gaj(j=1〜y)にゲートが接続されているスイッチング用トランジスタ101がオンになる。そして、信号線S1〜Sxに入力されたビデオ信号が、スイッチング用トランジスタ101を介して電流制御用トランジスタ103のゲートに入力される。同時に、ビデオ信号の電位は容量素子105によって保持される。
【0032】
点灯期間では第2の走査線Gej(j=1〜y)が選択され、第2の走査線Gej(j=1〜y)にゲートが接続されている駆動用トランジスタ102がオンになる。このとき容量素子105によって保持されたビデオ信号の電位により、電流制御用トランジスタ103がオンになる場合は、電源線Vi(i=1〜x)
を介して電流が発光素子104に供給される。このとき電流制御用トランジスタ103は線形領域で動作しているため、発光素子104に流れる電流は、飽和領域で動作する駆動用トランジスタ102と発光素子104の電圧電流特性によって決まる。そして発光素子104は、供給される電流に見合った高さの輝度で発光する。
【0033】
また容量素子105によって保持されたビデオ信号の電位によって電流制御用トランジスタ103がオフになる場合は、発光素子104への電流の供給は行なわれず、発光素子104は発光しない。
【0034】
非点灯期間では、第2の走査線Gej(j=1〜y)により、駆動用トランジスタ102はオフとする。これにより、発光素子104への電流の供給は行なわれない。
【0035】
なお、書き込み期間において、第2の走査線Gej(j=1〜y)を選択しても、非選択としてもよい。
【0036】
次に、横方向に隣り合って配置された画素を、一度に点灯・非点灯させる線順次方式において、赤色、青色、緑色に発光する発光素子を組み合わせてカラー表示を行う場合を説明する。カラー表示を行う場合、色ごとに発光素子に使われる材料を変えたり、カラーフィルターを通して発光素子を点灯させるなどの方法がある。このとき、各発光素子に同じ大きさの電流を流しても、発光素子の材料の違いや、カラーフィルターの透過率の違いなどから、正しくカラーが表示できない場合がある。
【0037】
例えば、画素内の駆動用トランジスタのL及びWのサイズを変更することで、色ごとに発光輝度が異なる発光素子を設けることができる。
【0038】
また、画素内の駆動用トランジスタの閾値電圧を変更することで、色ごとに発光輝度が異なる発光素子を設けることができる。
【0039】
図2に示すような画素配置の接続について説明する。赤の画素201、緑の画素202、青の画素203において、各画素内のスイッチング用トランジスタのゲートが第1の走査線Gaj(j=1〜y)に、駆動用トランジスタのゲートが第2の走査線Gej(j=1〜y)に接続をしている。各画素内のスイッチング用トランジスタのソースとドレインは、一方が、赤の画素201では信号線Sri(i=1〜x)に、緑の画素202では信号線Sgi(i=1〜x)に、青の画素203では信号線Sbi(i=1〜x)に、もう一方が各画素内の電流制御用トランジスタのゲートに接続されている。各画素内の電流制御用トランジスタのソースは、赤の画素201では電源線Vri(i=1〜x)、緑の画素202では電源線Vgi(i=1〜x)、青の画素203では電源線Vbi(i=1〜x)に接続しており、色ごとに電源線を分けることで、各画素内の駆動トランジスタのソース・ゲート間電圧Vgsを変えることができる。これにより、色ごとに発光素子に流れる電流値を変えることが可能である。
【0040】
図3に示すような画素配置の接続について説明する。赤の画素301、緑の画素302、青の画素303において、各画素内のスイッチング用トランジスタのゲートが第1の走査線Gaj(j=1〜y)に、電流制御用トランジスタのソースが電源線Vi(i=1〜x)に接続をしている。各画素内のスイッチング用トランジスタのソースとドレインは、一方が、赤の画素301では信号線Sri(i=1〜x)に、緑の画素302では信号線Sgi(i=1〜x)に、青の画素303では信号線Sbi(i=1〜x)に、もう一方が各画素内の電流制御用トランジスタのゲートに接続されている。各画素内の駆動用トランジスタのゲートは、赤の画素301では第2の走査線Gerj(j=1〜y)、緑の画素302では第3の走査線Gegj(j=1〜y)、青の画素203では第4の走査線Gebj(j=1〜y)に接続しており、色ごとに駆動用トランジスタのゲートが接続される走査線を分けることで、各画素内の駆動トランジスタのソース・ゲート間電圧Vgsを変えることができる。これにより、色ごとに発光素子に流れる電流値を変えることが可能である。
【0041】
なお素子基板は、本発明の発光装置を作製する過程における、発光素子が形成される前の一形態に相当する。
【0042】
本発明の発光装置において用いられるトランジスタは、単結晶シリコンを用いて形成されたトランジスタであっても良いし、SOIを用いたトランジスタであっても良いし、多結晶シリコンやアモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタであっても良い。また、有機半導体を用いたトランジスタであっても良いし、カーボンナノチューブを用いたトランジスタであってもよい。また本発明の発光装置の画素に設けられたトランジスタは、シングルゲート構造を有していても良いし、ダブルゲート構造やそれ以上のゲート電極を有するマルチゲート構造であっても良い。
【0043】
上記構成により、電流制御用トランジスタ103は線形領域で動作するため電流制御用トランジスタ103のソース・ドレイン間電圧Vdsは小さく、電流制御用トランジスタ103のゲート・ソース間電圧Vgsの僅かな変動は、発光素子104に流れる電流に影響しない。発光素子104に流れる電流は飽和領域で動作する駆動用トランジスタ102により決定される。駆動用トランジスタ102のゲートの電位は第2の走査線の電位であり、駆動用トランジスタ102のソースの電位は電流制御用トランジスタ103のドレインの電位であり、駆動用トランジスタ102のVgsは発光素子104が発光している期間不変である。よって、電流制御用トランジスタ103のゲート・ソース間に設けられた容量素子105の容量を大きくしたり、スイッチング用トランジスタ101のオフ電流を低く抑えたりしなくても、発光素子104に流れる電流に影響しない。また、電流制御用トランジスタ103のゲートにつく寄生容量による影響も受けない。このため、ばらつき要因が減り、画質を大いに高めることができる。
【0044】
また、スイッチング用トランジスタ101はオフ電流を低く抑える必要がないため、トランジスタ作製プロセスを簡略化することができ、コスト削減、歩留まり向上に大きく貢献することができる。
【0045】
以下に、本発明の実施例について記載する。
【実施例1】
【0046】
アクティブマトリクス型表示装置に本発明の画素構成が使用される場合、その構成と駆動について説明する。
【0047】
図8に外部回路のブロック図とパネルの概略図を示す。
【0048】
図8に示すように、アクティブマトリクス型表示装置は外部回路8004及びパネル8010を有する。外部回路8004はA/D変換部8001、電源部8002及び信号生成部8003を有する。A/D変換部8001はアナログ信号で入力された映像データ信号をデジタル信号(ビデオ信号)に変換し、信号線駆動回路8006へ供給する。電源部8002はバッテリーやコンセントより供給された電源から、それぞれ所望の電圧値の電源を生成し、信号線駆動回路8006、第1の走査線駆動回路8007、第2の走査信号線駆動回路8012、OLED素子8011、信号生成部8003等に供給する。信号生成部8003には、電源、映像信号及び同期信号等が入力され、各種信号の変換を行う他、信号線駆動回路8006、第1の走査線駆動回路8007及び第2の走査線駆動回路8012を駆動するためのクロック信号等を生成する。
【0049】
外部回路8004からの信号及び電源はFPCを通し、パネル8010内のFPC接続部8005から内部回路等に入力される。
【0050】
また、パネル8010は基板8008上に、FPC接続部8005、内部回路が配置され、また、OLED素子8011を有する。内部回路は信号線駆動回路8006、第1の走査線駆動回路8007、第2の走査線駆動回路8012及び画素部8009を有する。前記画素部8009に本発明の実施形態に挙げたいずれかの画素構成を採用することができる。
【0051】
基板中央には画素部8009が配置され、その周辺には、信号線駆動回路8006、第1の走査線駆動回路8007及び第2の走査線駆動回路8012が配置されている。OLED素子8011及び、前記発光素子の対向電極は画素部8009全体面に形成されている。
【0052】
動作について、図9及び図4を用い説明する。図9に第1の走査線駆動回路8007のブロック図を、図4に信号線駆動回路8006のブロック図を示す。
【0053】
第1の走査線駆動回路8007及び第2の走査線駆動回路8012はD−フリップフロップ9001を複数段用いてなるシフトレジスタ9002、レベルシフタ9003及びバッファ9004等を有する。
【0054】
入力される信号はクロック信号線(G−CK)、反転クロック信号線(G−CKB)及びスタートパルス(G−SP)とする。なお、第2の走査線駆動回路8012の構成は第1の走査線駆動回路8007と同様とするが、前記スタートパルス(G−SP)のタイミング及びパルス幅はそれぞれ異なる。
【0055】
また、信号線駆動回路8006はD−フリップフロップ4001を複数段用いてなるシフトレジスタ4002、データラッチ回路4003、ラッチ回路4004、レベルシフタ4005及びバッファ4006等を有する。
【0056】
入力される信号はクロック信号線(S−CK)、反転クロック信号線(S−CKB)、スタートパルス(S−SP)、ビデオ信号(DATA)及びラッチパルス(LatchPulse)とする。
【0057】
まず、クロック信号、反転クロック信号及びスタートパルスのタイミングに従って、第1の走査信号線駆動回路8007のシフトレジスタ9002より、順次サンプリングパルスが出力され、走査線G1〜Gmが順に選択される。
【0058】
次に、クロック信号、反転クロック信号及びスタートパルスのタイミングに従って、シフトレジスタ4002より、順次サンプリングパルスが出力される。サンプリングパルスはデータラッチ回路4003へ入力され、そのタイミングで、ビデオ信号を取り込み、保持する。この動作が一列目から順に行われる。
【0059】
最終段のデータラッチ回路4003においてビデオ信号の保持が完了すると、水平帰線期間中にラッチパルスが入力され、データラッチ回路4003において保持されているビデオ信号は一斉にラッチ回路4004へと転送される。その後、レベルシフタ4005においてレベルシフトされ、バッファ4006において整形された後、信号線S1からSnへ一斉に出力される。その際、走査線駆動回路8007によって選択された第1の走査線の画素へ、Hレベル、Lレベルが入力され、OLED素子8011の発光、非発光を制御する。
【0060】
このとき、OLED素子8011の発光期間においては、第2の走査線駆動回路8012からそれぞれの第2の走査線へ駆動用トランジスタがオンする電位が出力される。また、所望の発光期間が終了し、非発光期間に移ると、前記駆動用トランジスタがオフする電位が出力される。
【0061】
本実施例にて示したアクティブマトリクス型表示装置はパネル8010と外部回路8004が独立されているが、これらを同一基板上に一体形成して作製してもよい。また、表示装置は例として、OLEDを使用したものとしたが、OLED以外の発光素子を利用した発光装置でもよい。また、信号線駆動回路8006内にレベルシフタ4005及びバッファ4006が無くてもよいし、第1の走査線駆動回路8007及び第2の走査線駆動回路8012内にレベルシフタ9003及びバッファ9004が無くてもよい。
【実施例2】
【0062】
本実施例では、実施形態の図3において説明した、駆動トランジスタのゲート電極に印加される電圧を赤色、緑色、青色の画素ごとに分けることで、ホワイトバランス調節する方法を採用した場合の、第2の走査線駆動回路の一実施例について説明する。図10に本実施例の第2の走査線駆動回路のブロック図を、図3に本実施例の画素を示す。
【0063】
第2の走査線駆動回路8012はD−フリップフロップ1001を複数段用いてなるシフトレジスタ1002、レベルシフタ1003及びバッファ1004等を有する。
【0064】
入力される信号はクロック信号線(G−CK)、反転クロック信号線(G−CKB)及びスタートパルス(G−SP)とする。
【0065】
また、走査線Gerj(j=1〜y)、Gegj(j=1〜y)、Gebj(j=1〜y)ごとに接続されるバッファ1004の電源線を分ける。具体的には前記走査線Gerjに接続されるバッファには電源線Rを接続し、前記走査線Gegjに接続されるバッファには電源線Gを接続し、前記走査線Gebjに接続されるバッファには電源線Bを接続する。また、バッファ1004を設けない場合は、レベルシフタ1003の電源線を走査線Gerj、Gegj、Gebjごとに分けてもよい。
【0066】
また赤の画素301の消去には走査線Gerj(j=1〜y)を、緑の画素302の消去にはGegj(j=1〜y)を、青の画素303の消去にはGebj(j=1〜y)を用いる。
【実施例3】
【0067】
本実施例では、図1に示した画素の、上面図の一実施例について説明する。図5に本実施例の画素の上面図を示す。
【0068】
5001は信号線、5002は電源線に相当し、5004は第1の走査線、5003は第2の走査線に相当する。本実施例では、信号線5001と電源線5002は同じ導電膜で形成し、第1の走査線5004と第2の走査線5003は同じ導電膜で形成する。また5005はスイッチング用トランジスタであり、第1の走査線5004の一部がそのゲート電極として機能する。また、5007は駆動用トランジスタであり、第2の走査線5003の一部がそのゲート電極として機能する。5008は電流制御用トランジスタに相当する。駆動用トランジスタ5007は、そのL/Wが電流制御用トランジスタ5008よりも大きくなるように、活性層が曲がりくねっている。5009は画素電極に相当し、電界発光層や陰極(共に図示せず)と重なる領域(発光エリア)5010において発光する。
【0069】
なお本発明の上面図は本の一実施例であり、本発明はこれに限定されないことは言うまでもない。
【実施例4】
【0070】
本実施例では、図1に示した画素の、図5とは異なる上面図の一実施例について説明する。図11に本実施例の画素の上面図を示す。
【0071】
11001は信号線、11002は電源線に相当し、11004は第1の走査線、11003は第2の走査線に相当する。本実施例では、信号線11001と電源線11002は同じ導電膜で形成し、第1の走査線11004と第2の走査線11003は同じ導電膜で形成する。また11005はスイッチング用トランジスタであり、第1の走査線11004の一部がそのゲート電極として機能する。また、11007は駆動用トランジスタであり、第2の走査線11003の一部がそのゲート電極として機能する。11008は電流制御用トランジスタに相当する。駆動用トランジスタ11007は、そのL/Wが電流制御用トランジスタ11008よりも大きくなるように、活性層が曲がりくねっている。11009は画素電極に相当し、電界発光層や陰極(共に図示せず)と重なる領域(発光エリア)11010において発光する。
【0072】
なお本発明の上面図は本の一実施例であり、本発明はこれに限定されないことは言うまでもない。
【実施例5】
【0073】
本実施例では、画素の断面構造について説明する。
【0074】
図12(A)に、駆動用トランジスタ1221がP型で、発光素子1222から発せられる光が陽極1223側に抜ける場合の、画素の断面図を示す。図12(A)では、発光素子1222の陽極1223と駆動用トランジスタ1221が電気的に接続されており、陽極1223上に電界発光層1224、陰極1225が順に積層されている。陰極1225は仕事関数が小さく、なおかつ光を反射する導電膜であれば公知の材料を用いることができる。例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。そして電界発光層1224は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。複数の層で構成されている場合、陽極1223上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層する。なおこれらの層を全て設ける必要はない。陽極1223は光を透過する透明導電膜を用いて形成し、例えばITOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いても良い。
【0075】
陽極1223と、電界発光層1224と、陰極1225とが重なっている部分が発光素子1222に相当する。図12(A)に示した画素の場合、発光素子1222から発せられる光は、白抜きの矢印で示すように陽極1223側に抜ける。
【0076】
図12(B)に、駆動用トランジスタ1201がN型で、発光素子1202から発せられる光が陽極1205側に抜ける場合の、画素の断面図を示す。図12(B)では、発光素子1202の陰極1203と駆動用トランジスタ1201が電気的に接続されており、陰極1203上に電界発光層1204、陽極1205が順に積層されている。陰極1203は仕事関数が小さく、なおかつ光を反射する導電膜であれば公知の材料を用いることができる。例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。そして電界発光層1204は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。複数の層で構成されている場合、陰極1203上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なおこれらの層を全て設ける必要はない。陽極1205は光を透過する透明導電膜を用いて形成し、例えばITOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いても良い。
【0077】
陰極1203と、電界発光層1204と、陽極1205とが重なっている部分が発光素子1202に相当する。図12(B)に示した画素の場合、発光素子1202から発せられる光は、白抜きの矢印で示すように陽極1205側に抜ける。
【0078】
なお本実施例では、駆動用トランジスタと発光素子が電気的に接続されている例を示したが、駆動用トランジスタと発光素子との間に電流制御用トランジスタが接続されている構成であってもよい。
【実施例6】
【0079】
本発明の画素構成を用いた駆動タイミングの一例を、図13を用いて説明する。
【0080】
図13はデジタル時間階調方式を用い、4ビット階調を表現する場合の例である。データ保持期間Ts1〜Ts4は、その長さの比をTs1:Ts2:Ts3:Ts4=23:22:21:20=8:4:2:1としている。
【0081】
動作について説明する。まず、書き込み期間Tb1において、1行目から順に第1の走査線が選択され、スイッチング用トランジスタがオンする。次に、信号線よりビデオ信号が各画素に入力され、その電位によって各画素の発光、非発光が制御される。ビデオ信号の書き込みが完了した行においては、直ちにデータ保持期間Ts1へと移る。同じ動作が、最終行まで行われ、期間Ta1が終了する。このときデータ保持期間Ts1が終了した行から順に期間Tb2へ移る。
【0082】
ここで、書き込み期間よりも短いデータ保持期間を有するサブフレーム期間(ここではSF4が該当する)においては、データ保持期間の終了後、直ちに次の書き込み期間が開始しないよう、消去期間2102を設ける。消去期間において、発光素子は、強制的に非発光状態とされる。
【0083】
ここでは4ビット階調を表現する場合について説明したが、ビット数及び階調数はこれに限定されない。また、発光の順番はTs1〜Ts4である必要はなく、ランダムでもよいし、複数に分割して発光をしてもよい。
【実施例7】
【0084】
本発明の表示装置は様々な電子機器の表示部に用いることができる。特に低消費電力が要求されるモバイル機器には本発明の表示装置を用いることが望ましい。
【0085】
具体的に前記電子機器として、携帯情報端末(携帯電話、モバイルコンピュータ、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、表示ディスプレイ、ナビゲーションシステム等が挙げられる。これら電子機器の具体例を図6に示す。
【0086】
図6(A)表示ディスプレイであり、筐体6001、音声出力部6002、表示部6003等を含む。本発明の表示装置は表示部6003に用いることができる。表示装置は、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用など全ての情報表示装置が含まれる。
【0087】
図6(B)はモバイルコンピュータであり、本体6101、スタイラス6102、表示部6103、操作ボタン6104、外部インターフェイス6105等を含む。本発明の表示装置は表示部6103に用いることができる。
【0088】
図6(C)はゲーム機であり、本体6201、表示部6202、操作ボタン6203等を含む。本発明の表示装置は表示部6202に用いることができる。
【0089】
図6(D)は携帯電話であり、本体6301、音声出力部6302、音声入力部6303、表示部6304、操作スイッチ6305、アンテナ6306等を含む。本発明の表示装置は表示部6304に用いることができる。
【0090】
以上のように、本発明の表示装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流を発光素子に供給するための手段と発光素子とが、複数の各画素に備えられた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子は自ら発光するため視認性が高く、液晶表示装置(LCD)で必要なバックライトが要らず薄型化に最適であると共に、視野角にも制限が無い。そのため近年、発光素子を用いた発光装置は、CRTやLCDに代わる表示装置として注目されている。なお、本明細書において発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子を意味しており、OLED(Organic Light Emitting Diode)や、FED(Field Emission Display)に用いられているMIM型の電子源素子(電子放出素子)等を含んでいる。
【0003】
なお発光装置とは、パネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。さらに本発明は、該発光装置を作製する過程における、パネルが完成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電流を発光素子に供給するための手段を複数の各画素に備える。
【0004】
発光素子の1つであるOLED(Organic Light Emitting Diode)は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electroluminescence)が得られる電界発光材料を含む層(以下、電界発光層と記す)と、陽極層と、陰極層とを有している。電界発光層は陽極と陰極の間に設けられており、単層または複数の層で構成されている。これらの層の中に無機化合物を含んでいる場合もある。電界発光層におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とが含まれる。
【0005】
次に、一般的な発光装置の画素の構成とその駆動について簡単に説明する。図7に示した画素は、スイッチング用トランジスタ700、消去用トランジスタ708、駆動用トランジスタ701と、容量素子702と、発光素子703とを有している。スイッチング用トランジスタ700は、ゲートが第1の走査線705に接続されており、ソースとドレインが一方は信号線704に、もう一方は駆動用トランジスタ701のゲートに接続されている。駆動用トランジスタ701は、ソースが電源線706に接続されており、ドレインが発光素子703の陽極に接続されている。消去用トランジスタ708は、ゲートが第2の走査線709に接続されており、ソースが電源線706に、ドレインが駆動用トランジスタ701のゲートに接続されている。発光素子703の陰極は対向電極707に接続されている。容量素子702は駆動用トランジスタ701のゲートとソース間の電位差を保持するように設けられている。また、電源線706、対向電極707には、電源からそれぞれ所定の電圧が印加されており、互いに電位差を有している。
【0006】
第1の走査線705の信号によりスイッチング用トランジスタ700がオンになると、信号線704に入力されたビデオ信号が駆動用トランジスタ701のゲートに入力される。この入力されたビデオ信号の電位と電源線706の電位差が駆動用トランジスタ701のゲート・ソース間電圧Vgsとなり、発光素子703に電流が供給され、発光素子703が発光する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えば、ポリシリコンを用いたトランジスタは、電界効果移動度が高く、オン電流が大きいので、発光装置のトランジスタとして適している。しかし、ポリシリコンを用いたトランジスタは、結晶粒界に形成される欠陥に起因して、その特性にばらつきが生じやすいといった問題点を有している。
【0008】
図7に示した画素において、駆動用トランジスタ701のドレイン電流が画素毎にばらつくと、ビデオ信号の電位が同じであっても駆動用トランジスタ701のドレイン電流が画素間で異なり、結果的に発光素子703の輝度ムラが生じてしまうという問題があった。
【0009】
ドレイン電流のばらつきを抑制する手段として、特願2003−008719号で提案した、駆動用トランジスタ701のL/W(L:チャネル長、W:チャネル幅)を大きくする方法がある。ここで、駆動用トランジスタ701の飽和領域におけるドレイン電流Idsは式1で与えられる。
【0010】
(数1)
Ids=β(Vgs−Vth)2/2
【0011】
式1から、駆動用トランジスタ701の飽和領域におけるドレイン電流IdsはVgsの僅かな変化に対しても流れる電流に大きく影響するため、発光素子703が発光している期間に駆動用トランジスタ701のゲート・ソース間に保持した電圧Vgsが変化しないように注意する必要がある。そのためには駆動用トランジスタ701のゲート・ソース間に設けられた容量素子702の容量を大きくすることや、スイッチング用トランジスタ700、消去用トランジスタ708のオフ電流を低く抑える必要がある。
【0012】
スイッチング用トランジスタ700、消去用トランジスタ708のオフ電流を低く抑えること、且つ、大きな容量を充電するためにスイッチング用トランジスタ700、消去用トランジスタ708のオン電流を高くすることはトランジスタ作製プロセスにおいては難しい課題である。
【0013】
また、スイッチング用トランジスタ700、消去用トランジスタ708のスイッチングや信号線、走査線の電位の変化等に伴い、駆動用トランジスタ701のVgsが変化してしまうという問題もある。これは、駆動用トランジスタ701のゲートにつく寄生容量によるものである。
【0014】
本発明は上述した問題に鑑み、スイッチング用トランジスタ700、消去用トランジスタ708のオフ電流を低く抑えたり、容量素子702の容量も大きくしたりしなくても、発光素子に流れる電流に影響しない。また、寄生容量による影響も受けにくい、且つ、駆動用トランジスタ701の特性のばらつきに起因する、画素間における発光素子703の輝度ムラを抑えることができる発光装置及び素子基板の提案を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明では、駆動用トランジスタを消去用トランジスタと兼ね、前記駆動用トランジスタは飽和領域で動作させる。前記駆動用トランジスタのゲートを第2の走査線に接続し、前記駆動用トランジスタは、前記第2の走査線の電位により、電流を流せる状態、流せない状態に選択できる。また、前記駆動用トランジスタと直列に、線形領域で動作する電流制御用トランジスタを配し、スイッチング用トランジスタを介して画素の発光、非発光の信号を伝えるビデオ信号は前記電流制御用トランジスタのゲートに入力する。
【0016】
前記電流制御用トランジスタは線形領域で動作するため前記電流制御用トランジスタのソース・ドレイン間電圧Vdsは小さく、前記電流制御用トランジスタのゲート・ソース間電圧Vgsの僅かな変動は、発光素子に流れる電流に影響しない。発光素子に流れる電流は飽和領域で動作する前記駆動用トランジスタにより決定される。前記駆動用トランジスタのゲートの電位は前記第2の走査線の電位であり、前記駆動用トランジスタのソースの電位は前記電流制御用トランジスタのドレインの電位であり、前記駆動用トランジスタのVgsは発光素子が発光している期間不変である。よって、前記電流制御用トランジスタのゲート・ソース間に設けられた容量素子の容量を大きくしたり、前記スイッチング用トランジスタのオフ電流を低く抑えたりしなくても、発光素子に流れる電流に影響しない。また、前記電流制御用トランジスタのゲートにつく寄生容量による影響も受けない。このため、ばらつき要因が減り、画質を大いに高めることができる。
【0017】
また、前記スイッチング用トランジスタはオフ電流を低く抑える必要がないため、トランジスタ作製プロセスを簡略化することができ、コスト削減、歩留まり向上に大きく貢献することができる。
【発明の効果】
【0018】
電流制御用トランジスタのゲート・ソース間に設けられた容量素子の容量を大きくしたり、スイッチング用トランジスタのオフ電流を低く抑えたりしなくても、発光素子に流れる電流に影響しない。また、電流制御用トランジスタのゲートにつく寄生容量による影響も受けない。このため、ばらつき要因が減り、画質を大いに高めることができる。
【0019】
また、スイッチング用トランジスタはオフ電流を低く抑える必要がないため、トランジスタ作製プロセスを簡略化することができ、コスト削減、歩留まり向上に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示す図。
【図2】本発明の一実施形態を示す図。
【図3】本発明の一実施形態を示す図。
【図4】信号線駆動回路の一構成例を示す図。
【図5】本発明の上面図の一例を示す図。
【図6】本発明が適用可能な電子機器の例を示す図。
【図7】従来例を示す図。
【図8】外部回路とパネルの概要を示す図。
【図9】走査線駆動回路の一構成例を示す図。
【図10】走査線駆動回路の一構成例を示す図。
【図11】本発明の上面図の一例を示す図。
【図12】本発明の断面構造の一例を示す図。
【図13】本発明の動作タイミングの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
図1に、本発明の発光装置が有する画素の一実施形態を示す。図1に示す画素は、発光素子104と、ビデオ信号の画素への入力を制御するためのスイッチング素子として用いるトランジスタ(スイッチング用トランジスタ)101と、発光素子104に流れる電流値を制御する駆動用トランジスタ102、発光素子104への電流の供給を制御する電流制御用トランジスタ103とを有している。
さらに本実施の形態のように、ビデオ信号の電位を保持するための容量素子105を画素に設けても良い。
【0022】
駆動用トランジスタ102及び電流制御用トランジスタ103は同じ極性を有する。本発明では、駆動用トランジスタ102を飽和領域で、電流制御用トランジスタ103を線形領域で動作させる。
【0023】
また、駆動用トランジスタ102のLをWより長く、電流制御用トランジスタ103のLをWと同じか、それより短くてもよい。より望ましくは、駆動用トランジスタ102のWに対するLの比が5以上にするとよい。
【0024】
また、駆動用トランジスタ102にはエンハンスメント型トランジスタを用いてもよいし、ディプリーション型トランジスタを用いてもよい。
【0025】
また、スイッチング用トランジスタ101はN型トランジスタを用いてもよいし、P型トランジスタを用いてもよい。
【0026】
スイッチング用トランジスタ101のゲートは、第1の走査線Gaj(j=1〜y)に接続されている。スイッチング用トランジスタ101のソースとドレインは、一方が信号線Si(i=1〜x)に、もう一方が電流制御用トランジスタ103のゲートに接続されている。駆動用トランジスタ102のゲートは第2の走査線Gej(j=1〜y)に接続されている。そして駆動用トランジスタ102及び電流制御用トランジスタ103は、電源線Vi(i=1〜x)から供給される電流が、駆動用トランジスタ102及び電流制御用トランジスタ103のドレイン電流として発光素子104に供給されるように、電源線Vi(i=1〜x)、発光素子104と接続されている。本実施の形態では、電流制御用トランジスタ103のソースが電源線Vi(i=1〜x)に接続され、駆動用トランジスタ102のドレインが発光素子104の画素電極に接続される。
【0027】
発光素子104は陽極と陰極と、陽極と陰極との間に設けられた電界発光層とからなる。図1のように、陽極が駆動用トランジスタ102と接続している場合、陽極が画素電極、陰極が対向電極となる。発光素子104の対向電極と、電源線Vi(i=1〜x)のそれぞれには、発光素子104に順バイアス方向の電流が供給されるように、電位差が設けられている。
【0028】
容量素子105が有する2つの電極は、一方は電源線Vi(i=1〜x)に接続されており、もう一方は電流制御用トランジスタ103のゲートに接続されている。容量素子105はスイッチング用トランジスタ101が非選択状態(オフ状態)にある時、容量素子105の電極間の電位差を保持するために設けられている。なお図1では容量素子105を設ける構成を示したが、本発明はこの構成に限定されず、容量素子105を設けない構成にしても良い。
【0029】
図1では駆動用トランジスタ102および電流制御用トランジスタ103をP型トランジスタとし、駆動用トランジスタ102のドレインと発光素子104の陽極とを接続した。逆に駆動用トランジスタ102および電流制御用トランジスタ103をN型トランジスタとするならば、駆動用トランジスタ102のソースと発光素子104の陰極とを接続する。この場合、発光素子104の陰極が画素電極、陽極が対向電極となる。
【0030】
次に、図1に示した画素の駆動方法について説明する。図1に示す画素は、その動作を書き込み期間、点灯期間および非点灯期間とに分けて説明することができる。
【0031】
まず書き込み期間において第1の走査線Gaj(j=1〜y)が選択されると、第1の走査線Gaj(j=1〜y)にゲートが接続されているスイッチング用トランジスタ101がオンになる。そして、信号線S1〜Sxに入力されたビデオ信号が、スイッチング用トランジスタ101を介して電流制御用トランジスタ103のゲートに入力される。同時に、ビデオ信号の電位は容量素子105によって保持される。
【0032】
点灯期間では第2の走査線Gej(j=1〜y)が選択され、第2の走査線Gej(j=1〜y)にゲートが接続されている駆動用トランジスタ102がオンになる。このとき容量素子105によって保持されたビデオ信号の電位により、電流制御用トランジスタ103がオンになる場合は、電源線Vi(i=1〜x)
を介して電流が発光素子104に供給される。このとき電流制御用トランジスタ103は線形領域で動作しているため、発光素子104に流れる電流は、飽和領域で動作する駆動用トランジスタ102と発光素子104の電圧電流特性によって決まる。そして発光素子104は、供給される電流に見合った高さの輝度で発光する。
【0033】
また容量素子105によって保持されたビデオ信号の電位によって電流制御用トランジスタ103がオフになる場合は、発光素子104への電流の供給は行なわれず、発光素子104は発光しない。
【0034】
非点灯期間では、第2の走査線Gej(j=1〜y)により、駆動用トランジスタ102はオフとする。これにより、発光素子104への電流の供給は行なわれない。
【0035】
なお、書き込み期間において、第2の走査線Gej(j=1〜y)を選択しても、非選択としてもよい。
【0036】
次に、横方向に隣り合って配置された画素を、一度に点灯・非点灯させる線順次方式において、赤色、青色、緑色に発光する発光素子を組み合わせてカラー表示を行う場合を説明する。カラー表示を行う場合、色ごとに発光素子に使われる材料を変えたり、カラーフィルターを通して発光素子を点灯させるなどの方法がある。このとき、各発光素子に同じ大きさの電流を流しても、発光素子の材料の違いや、カラーフィルターの透過率の違いなどから、正しくカラーが表示できない場合がある。
【0037】
例えば、画素内の駆動用トランジスタのL及びWのサイズを変更することで、色ごとに発光輝度が異なる発光素子を設けることができる。
【0038】
また、画素内の駆動用トランジスタの閾値電圧を変更することで、色ごとに発光輝度が異なる発光素子を設けることができる。
【0039】
図2に示すような画素配置の接続について説明する。赤の画素201、緑の画素202、青の画素203において、各画素内のスイッチング用トランジスタのゲートが第1の走査線Gaj(j=1〜y)に、駆動用トランジスタのゲートが第2の走査線Gej(j=1〜y)に接続をしている。各画素内のスイッチング用トランジスタのソースとドレインは、一方が、赤の画素201では信号線Sri(i=1〜x)に、緑の画素202では信号線Sgi(i=1〜x)に、青の画素203では信号線Sbi(i=1〜x)に、もう一方が各画素内の電流制御用トランジスタのゲートに接続されている。各画素内の電流制御用トランジスタのソースは、赤の画素201では電源線Vri(i=1〜x)、緑の画素202では電源線Vgi(i=1〜x)、青の画素203では電源線Vbi(i=1〜x)に接続しており、色ごとに電源線を分けることで、各画素内の駆動トランジスタのソース・ゲート間電圧Vgsを変えることができる。これにより、色ごとに発光素子に流れる電流値を変えることが可能である。
【0040】
図3に示すような画素配置の接続について説明する。赤の画素301、緑の画素302、青の画素303において、各画素内のスイッチング用トランジスタのゲートが第1の走査線Gaj(j=1〜y)に、電流制御用トランジスタのソースが電源線Vi(i=1〜x)に接続をしている。各画素内のスイッチング用トランジスタのソースとドレインは、一方が、赤の画素301では信号線Sri(i=1〜x)に、緑の画素302では信号線Sgi(i=1〜x)に、青の画素303では信号線Sbi(i=1〜x)に、もう一方が各画素内の電流制御用トランジスタのゲートに接続されている。各画素内の駆動用トランジスタのゲートは、赤の画素301では第2の走査線Gerj(j=1〜y)、緑の画素302では第3の走査線Gegj(j=1〜y)、青の画素203では第4の走査線Gebj(j=1〜y)に接続しており、色ごとに駆動用トランジスタのゲートが接続される走査線を分けることで、各画素内の駆動トランジスタのソース・ゲート間電圧Vgsを変えることができる。これにより、色ごとに発光素子に流れる電流値を変えることが可能である。
【0041】
なお素子基板は、本発明の発光装置を作製する過程における、発光素子が形成される前の一形態に相当する。
【0042】
本発明の発光装置において用いられるトランジスタは、単結晶シリコンを用いて形成されたトランジスタであっても良いし、SOIを用いたトランジスタであっても良いし、多結晶シリコンやアモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタであっても良い。また、有機半導体を用いたトランジスタであっても良いし、カーボンナノチューブを用いたトランジスタであってもよい。また本発明の発光装置の画素に設けられたトランジスタは、シングルゲート構造を有していても良いし、ダブルゲート構造やそれ以上のゲート電極を有するマルチゲート構造であっても良い。
【0043】
上記構成により、電流制御用トランジスタ103は線形領域で動作するため電流制御用トランジスタ103のソース・ドレイン間電圧Vdsは小さく、電流制御用トランジスタ103のゲート・ソース間電圧Vgsの僅かな変動は、発光素子104に流れる電流に影響しない。発光素子104に流れる電流は飽和領域で動作する駆動用トランジスタ102により決定される。駆動用トランジスタ102のゲートの電位は第2の走査線の電位であり、駆動用トランジスタ102のソースの電位は電流制御用トランジスタ103のドレインの電位であり、駆動用トランジスタ102のVgsは発光素子104が発光している期間不変である。よって、電流制御用トランジスタ103のゲート・ソース間に設けられた容量素子105の容量を大きくしたり、スイッチング用トランジスタ101のオフ電流を低く抑えたりしなくても、発光素子104に流れる電流に影響しない。また、電流制御用トランジスタ103のゲートにつく寄生容量による影響も受けない。このため、ばらつき要因が減り、画質を大いに高めることができる。
【0044】
また、スイッチング用トランジスタ101はオフ電流を低く抑える必要がないため、トランジスタ作製プロセスを簡略化することができ、コスト削減、歩留まり向上に大きく貢献することができる。
【0045】
以下に、本発明の実施例について記載する。
【実施例1】
【0046】
アクティブマトリクス型表示装置に本発明の画素構成が使用される場合、その構成と駆動について説明する。
【0047】
図8に外部回路のブロック図とパネルの概略図を示す。
【0048】
図8に示すように、アクティブマトリクス型表示装置は外部回路8004及びパネル8010を有する。外部回路8004はA/D変換部8001、電源部8002及び信号生成部8003を有する。A/D変換部8001はアナログ信号で入力された映像データ信号をデジタル信号(ビデオ信号)に変換し、信号線駆動回路8006へ供給する。電源部8002はバッテリーやコンセントより供給された電源から、それぞれ所望の電圧値の電源を生成し、信号線駆動回路8006、第1の走査線駆動回路8007、第2の走査信号線駆動回路8012、OLED素子8011、信号生成部8003等に供給する。信号生成部8003には、電源、映像信号及び同期信号等が入力され、各種信号の変換を行う他、信号線駆動回路8006、第1の走査線駆動回路8007及び第2の走査線駆動回路8012を駆動するためのクロック信号等を生成する。
【0049】
外部回路8004からの信号及び電源はFPCを通し、パネル8010内のFPC接続部8005から内部回路等に入力される。
【0050】
また、パネル8010は基板8008上に、FPC接続部8005、内部回路が配置され、また、OLED素子8011を有する。内部回路は信号線駆動回路8006、第1の走査線駆動回路8007、第2の走査線駆動回路8012及び画素部8009を有する。前記画素部8009に本発明の実施形態に挙げたいずれかの画素構成を採用することができる。
【0051】
基板中央には画素部8009が配置され、その周辺には、信号線駆動回路8006、第1の走査線駆動回路8007及び第2の走査線駆動回路8012が配置されている。OLED素子8011及び、前記発光素子の対向電極は画素部8009全体面に形成されている。
【0052】
動作について、図9及び図4を用い説明する。図9に第1の走査線駆動回路8007のブロック図を、図4に信号線駆動回路8006のブロック図を示す。
【0053】
第1の走査線駆動回路8007及び第2の走査線駆動回路8012はD−フリップフロップ9001を複数段用いてなるシフトレジスタ9002、レベルシフタ9003及びバッファ9004等を有する。
【0054】
入力される信号はクロック信号線(G−CK)、反転クロック信号線(G−CKB)及びスタートパルス(G−SP)とする。なお、第2の走査線駆動回路8012の構成は第1の走査線駆動回路8007と同様とするが、前記スタートパルス(G−SP)のタイミング及びパルス幅はそれぞれ異なる。
【0055】
また、信号線駆動回路8006はD−フリップフロップ4001を複数段用いてなるシフトレジスタ4002、データラッチ回路4003、ラッチ回路4004、レベルシフタ4005及びバッファ4006等を有する。
【0056】
入力される信号はクロック信号線(S−CK)、反転クロック信号線(S−CKB)、スタートパルス(S−SP)、ビデオ信号(DATA)及びラッチパルス(LatchPulse)とする。
【0057】
まず、クロック信号、反転クロック信号及びスタートパルスのタイミングに従って、第1の走査信号線駆動回路8007のシフトレジスタ9002より、順次サンプリングパルスが出力され、走査線G1〜Gmが順に選択される。
【0058】
次に、クロック信号、反転クロック信号及びスタートパルスのタイミングに従って、シフトレジスタ4002より、順次サンプリングパルスが出力される。サンプリングパルスはデータラッチ回路4003へ入力され、そのタイミングで、ビデオ信号を取り込み、保持する。この動作が一列目から順に行われる。
【0059】
最終段のデータラッチ回路4003においてビデオ信号の保持が完了すると、水平帰線期間中にラッチパルスが入力され、データラッチ回路4003において保持されているビデオ信号は一斉にラッチ回路4004へと転送される。その後、レベルシフタ4005においてレベルシフトされ、バッファ4006において整形された後、信号線S1からSnへ一斉に出力される。その際、走査線駆動回路8007によって選択された第1の走査線の画素へ、Hレベル、Lレベルが入力され、OLED素子8011の発光、非発光を制御する。
【0060】
このとき、OLED素子8011の発光期間においては、第2の走査線駆動回路8012からそれぞれの第2の走査線へ駆動用トランジスタがオンする電位が出力される。また、所望の発光期間が終了し、非発光期間に移ると、前記駆動用トランジスタがオフする電位が出力される。
【0061】
本実施例にて示したアクティブマトリクス型表示装置はパネル8010と外部回路8004が独立されているが、これらを同一基板上に一体形成して作製してもよい。また、表示装置は例として、OLEDを使用したものとしたが、OLED以外の発光素子を利用した発光装置でもよい。また、信号線駆動回路8006内にレベルシフタ4005及びバッファ4006が無くてもよいし、第1の走査線駆動回路8007及び第2の走査線駆動回路8012内にレベルシフタ9003及びバッファ9004が無くてもよい。
【実施例2】
【0062】
本実施例では、実施形態の図3において説明した、駆動トランジスタのゲート電極に印加される電圧を赤色、緑色、青色の画素ごとに分けることで、ホワイトバランス調節する方法を採用した場合の、第2の走査線駆動回路の一実施例について説明する。図10に本実施例の第2の走査線駆動回路のブロック図を、図3に本実施例の画素を示す。
【0063】
第2の走査線駆動回路8012はD−フリップフロップ1001を複数段用いてなるシフトレジスタ1002、レベルシフタ1003及びバッファ1004等を有する。
【0064】
入力される信号はクロック信号線(G−CK)、反転クロック信号線(G−CKB)及びスタートパルス(G−SP)とする。
【0065】
また、走査線Gerj(j=1〜y)、Gegj(j=1〜y)、Gebj(j=1〜y)ごとに接続されるバッファ1004の電源線を分ける。具体的には前記走査線Gerjに接続されるバッファには電源線Rを接続し、前記走査線Gegjに接続されるバッファには電源線Gを接続し、前記走査線Gebjに接続されるバッファには電源線Bを接続する。また、バッファ1004を設けない場合は、レベルシフタ1003の電源線を走査線Gerj、Gegj、Gebjごとに分けてもよい。
【0066】
また赤の画素301の消去には走査線Gerj(j=1〜y)を、緑の画素302の消去にはGegj(j=1〜y)を、青の画素303の消去にはGebj(j=1〜y)を用いる。
【実施例3】
【0067】
本実施例では、図1に示した画素の、上面図の一実施例について説明する。図5に本実施例の画素の上面図を示す。
【0068】
5001は信号線、5002は電源線に相当し、5004は第1の走査線、5003は第2の走査線に相当する。本実施例では、信号線5001と電源線5002は同じ導電膜で形成し、第1の走査線5004と第2の走査線5003は同じ導電膜で形成する。また5005はスイッチング用トランジスタであり、第1の走査線5004の一部がそのゲート電極として機能する。また、5007は駆動用トランジスタであり、第2の走査線5003の一部がそのゲート電極として機能する。5008は電流制御用トランジスタに相当する。駆動用トランジスタ5007は、そのL/Wが電流制御用トランジスタ5008よりも大きくなるように、活性層が曲がりくねっている。5009は画素電極に相当し、電界発光層や陰極(共に図示せず)と重なる領域(発光エリア)5010において発光する。
【0069】
なお本発明の上面図は本の一実施例であり、本発明はこれに限定されないことは言うまでもない。
【実施例4】
【0070】
本実施例では、図1に示した画素の、図5とは異なる上面図の一実施例について説明する。図11に本実施例の画素の上面図を示す。
【0071】
11001は信号線、11002は電源線に相当し、11004は第1の走査線、11003は第2の走査線に相当する。本実施例では、信号線11001と電源線11002は同じ導電膜で形成し、第1の走査線11004と第2の走査線11003は同じ導電膜で形成する。また11005はスイッチング用トランジスタであり、第1の走査線11004の一部がそのゲート電極として機能する。また、11007は駆動用トランジスタであり、第2の走査線11003の一部がそのゲート電極として機能する。11008は電流制御用トランジスタに相当する。駆動用トランジスタ11007は、そのL/Wが電流制御用トランジスタ11008よりも大きくなるように、活性層が曲がりくねっている。11009は画素電極に相当し、電界発光層や陰極(共に図示せず)と重なる領域(発光エリア)11010において発光する。
【0072】
なお本発明の上面図は本の一実施例であり、本発明はこれに限定されないことは言うまでもない。
【実施例5】
【0073】
本実施例では、画素の断面構造について説明する。
【0074】
図12(A)に、駆動用トランジスタ1221がP型で、発光素子1222から発せられる光が陽極1223側に抜ける場合の、画素の断面図を示す。図12(A)では、発光素子1222の陽極1223と駆動用トランジスタ1221が電気的に接続されており、陽極1223上に電界発光層1224、陰極1225が順に積層されている。陰極1225は仕事関数が小さく、なおかつ光を反射する導電膜であれば公知の材料を用いることができる。例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。そして電界発光層1224は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。複数の層で構成されている場合、陽極1223上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層する。なおこれらの層を全て設ける必要はない。陽極1223は光を透過する透明導電膜を用いて形成し、例えばITOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いても良い。
【0075】
陽極1223と、電界発光層1224と、陰極1225とが重なっている部分が発光素子1222に相当する。図12(A)に示した画素の場合、発光素子1222から発せられる光は、白抜きの矢印で示すように陽極1223側に抜ける。
【0076】
図12(B)に、駆動用トランジスタ1201がN型で、発光素子1202から発せられる光が陽極1205側に抜ける場合の、画素の断面図を示す。図12(B)では、発光素子1202の陰極1203と駆動用トランジスタ1201が電気的に接続されており、陰極1203上に電界発光層1204、陽極1205が順に積層されている。陰極1203は仕事関数が小さく、なおかつ光を反射する導電膜であれば公知の材料を用いることができる。例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。そして電界発光層1204は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。複数の層で構成されている場合、陰極1203上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なおこれらの層を全て設ける必要はない。陽極1205は光を透過する透明導電膜を用いて形成し、例えばITOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いても良い。
【0077】
陰極1203と、電界発光層1204と、陽極1205とが重なっている部分が発光素子1202に相当する。図12(B)に示した画素の場合、発光素子1202から発せられる光は、白抜きの矢印で示すように陽極1205側に抜ける。
【0078】
なお本実施例では、駆動用トランジスタと発光素子が電気的に接続されている例を示したが、駆動用トランジスタと発光素子との間に電流制御用トランジスタが接続されている構成であってもよい。
【実施例6】
【0079】
本発明の画素構成を用いた駆動タイミングの一例を、図13を用いて説明する。
【0080】
図13はデジタル時間階調方式を用い、4ビット階調を表現する場合の例である。データ保持期間Ts1〜Ts4は、その長さの比をTs1:Ts2:Ts3:Ts4=23:22:21:20=8:4:2:1としている。
【0081】
動作について説明する。まず、書き込み期間Tb1において、1行目から順に第1の走査線が選択され、スイッチング用トランジスタがオンする。次に、信号線よりビデオ信号が各画素に入力され、その電位によって各画素の発光、非発光が制御される。ビデオ信号の書き込みが完了した行においては、直ちにデータ保持期間Ts1へと移る。同じ動作が、最終行まで行われ、期間Ta1が終了する。このときデータ保持期間Ts1が終了した行から順に期間Tb2へ移る。
【0082】
ここで、書き込み期間よりも短いデータ保持期間を有するサブフレーム期間(ここではSF4が該当する)においては、データ保持期間の終了後、直ちに次の書き込み期間が開始しないよう、消去期間2102を設ける。消去期間において、発光素子は、強制的に非発光状態とされる。
【0083】
ここでは4ビット階調を表現する場合について説明したが、ビット数及び階調数はこれに限定されない。また、発光の順番はTs1〜Ts4である必要はなく、ランダムでもよいし、複数に分割して発光をしてもよい。
【実施例7】
【0084】
本発明の表示装置は様々な電子機器の表示部に用いることができる。特に低消費電力が要求されるモバイル機器には本発明の表示装置を用いることが望ましい。
【0085】
具体的に前記電子機器として、携帯情報端末(携帯電話、モバイルコンピュータ、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、表示ディスプレイ、ナビゲーションシステム等が挙げられる。これら電子機器の具体例を図6に示す。
【0086】
図6(A)表示ディスプレイであり、筐体6001、音声出力部6002、表示部6003等を含む。本発明の表示装置は表示部6003に用いることができる。表示装置は、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用など全ての情報表示装置が含まれる。
【0087】
図6(B)はモバイルコンピュータであり、本体6101、スタイラス6102、表示部6103、操作ボタン6104、外部インターフェイス6105等を含む。本発明の表示装置は表示部6103に用いることができる。
【0088】
図6(C)はゲーム機であり、本体6201、表示部6202、操作ボタン6203等を含む。本発明の表示装置は表示部6202に用いることができる。
【0089】
図6(D)は携帯電話であり、本体6301、音声出力部6302、音声入力部6303、表示部6304、操作スイッチ6305、アンテナ6306等を含む。本発明の表示装置は表示部6304に用いることができる。
【0090】
以上のように、本発明の表示装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のトランジスタと、
第2のトランジスタと、
発光素子と、
を有する半導体装置であって、
前記発光素子と、前記第1のトランジスタと、前記第2のトランジスタとは電気的に直列に接続し、
前記第1のトランジスタは飽和領域で動作し、
前記第2のトランジスタは線形領域で動作することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1のトランジスタと、
第2のトランジスタと、
第3のトランジスタと、
発光素子と、
を有する半導体装置であって、
前記発光素子と、前記第1のトランジスタと、前記第2のトランジスタとは電気的に直列に接続し、
前記第1のトランジスタは飽和領域で動作し、
前記第2のトランジスタは線形領域で動作し、
前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続していることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1のトランジスタと、前記第2のトランジスタは同一導電型であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、
前記第3のトランジスタはチャネル長がチャネル幅より長く、
前記第2のトランジスタはチャネル長がチャネル幅と同じかチャネル幅より短いことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第3のトランジスタはチャネル幅に対するチャネル長の比が5以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項1】
第1のトランジスタと、
第2のトランジスタと、
発光素子と、
を有する半導体装置であって、
前記発光素子と、前記第1のトランジスタと、前記第2のトランジスタとは電気的に直列に接続し、
前記第1のトランジスタは飽和領域で動作し、
前記第2のトランジスタは線形領域で動作することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1のトランジスタと、
第2のトランジスタと、
第3のトランジスタと、
発光素子と、
を有する半導体装置であって、
前記発光素子と、前記第1のトランジスタと、前記第2のトランジスタとは電気的に直列に接続し、
前記第1のトランジスタは飽和領域で動作し、
前記第2のトランジスタは線形領域で動作し、
前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続していることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1のトランジスタと、前記第2のトランジスタは同一導電型であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、
前記第3のトランジスタはチャネル長がチャネル幅より長く、
前記第2のトランジスタはチャネル長がチャネル幅と同じかチャネル幅より短いことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第3のトランジスタはチャネル幅に対するチャネル長の比が5以上であることを特徴とする半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−146023(P2010−146023A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15542(P2010−15542)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【分割の表示】特願2003−139563(P2003−139563)の分割
【原出願日】平成15年5月16日(2003.5.16)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【分割の表示】特願2003−139563(P2003−139563)の分割
【原出願日】平成15年5月16日(2003.5.16)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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