説明

半導体装置

【課題】半導体スイッチ素子に印加される電圧を簡易な構成で精度良く測定することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置101は、第1導通電極と、第2導通電極とを有する半導体スイッチ素子10と、半導体スイッチ素子10の第1導通電極および第2導通電極間の電圧を測定するための電圧測定回路31とを備え、電圧測定回路31は、半導体スイッチ素子10と並列に接続され、半導体スイッチ素子10の導通方向に印加される電圧を所定値に制限する定電圧素子3と、定電圧素子3と並列に接続された制御用スイッチ7と、半導体スイッチ素子10がオフされているときに制御用スイッチ7をオンし、半導体スイッチ素子10がオンされているときに制御用スイッチ7をオフするスイッチ制御部15とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、半導体スイッチ素子に印加される電圧を測定する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータなどのモータの回転速度制御および交流電源装置などに使用される半導体スイッチング装置において、半導体スイッチ素子が過電流状態であることを検出するために、たとえばこの半導体スイッチ素子を通して電流を流したときのオン電圧を測定する方法が採用される。
【0003】
インバータなどに使用される駆動回路内蔵のIPM(Intelligent Power Module)の過電流保護は、たとえば以下のように行なわれる。すなわち、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)チップに対してカレントセンスを設け、カレントセンスと抵抗とを接続してこの抵抗の両端電圧をモニタする。そして、規定以上の電圧が発生した場合、IGBTチップに過電流が発生したとしてIGBTチップへのゲート信号を遮断し、また、エラー信号を出力する。
【0004】
半導体スイッチ素子を備え、この半導体スイッチ素子に印加される電圧の測定等を行なう構成として、たとえば、特開平5−30727号公報(特許文献1)には、以下のような変圧器が開示されている。すなわち、光トリガサイリスタの陽極と陰極との間には、第1の抵抗およびゼナーダイオードが直列に接続され、このゼナーダイオードと並列に第2の抵抗とLEDとの直列接続体が接続されている。
【0005】
また、特開昭59−163919号公報(特許文献2)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、パワートランジスタのオン電圧を検出するオン電圧検出器は、電力損失を大きく生じない高抵抗と、コンパレータに過大電圧入力を与えないためのクランプ用ツェナーダイオードと、ツェナーダイオードに直列接続されたダイオードとを含む。
【0006】
また、特開昭61−121115号公報(特許文献3)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、ソレノイドの一端と駆動素子のコレクタとの接続部に接続された第1の抵抗、第1の抵抗に直列に接続された第2の抵抗、第2の抵抗に並列に接続されたコンデンサ、および第2の抵抗に並列に接続されたツェナーダイオードを備える。
【0007】
また、特開2006−136086号公報(特許文献4)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、電流検出の対象となるMOSFETのソース−ドレイン間に第1の抵抗体と第2の抵抗体との直列回路を接続し、MOSFETのオン電圧を第1の抵抗体および第2の抵抗体からなる電圧分圧回路により分圧して検知回路に取り込み、電流に換算してMOSFETに通流する電流を検知する。この構成において、第1の抵抗体と第2の抵抗体とからなる電圧分圧回路の電圧分圧比が温度により変化し、温度が上昇すると電圧分圧比が大きくなるようにする。
【0008】
また、特開平5−184133号公報(特許文献5)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、各光サイリスタの陽極および陰極間には、コンデンサと抵抗が直列に接続され、その接続点がダイオードおよび第1のゼナーダイオードを介してトランジスタのベースに接続されている。第2のゼナーダイオードと並列に上記トランジスタのコレクタおよびエミッタが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−30727号公報
【特許文献2】特開昭59−163919号公報
【特許文献3】特開昭61−121115号公報
【特許文献4】特開2006−136086号公報
【特許文献5】特開平5−184133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前述のようにIGBTチップに対してカレントセンスを設けるためには、メイン電流およびカレントセンス電流の比率を一定にするなどチップ設計に高度な技術が必要である。メイン電流およびカレントセンス電流の比率にバラツキが大きい場合には、過電流とはならないような電流でゲート信号を遮断してしまう誤動作、および過電流となっているのにゲート信号を遮断しない誤動作等が起こる場合がある。
【0011】
また、IGBTのコレクタ電位を高耐圧のダイオードを介してモニタし、保護動作を駆動回路において実施する構成も考えられる。しかしながら、このような構成では、電源電圧以上の耐圧を有するダイオードが必要であり、また、モニタ用のIC(Integrated Circuit)なども高価なものが必要となってしまう。また、IGBTのコレクタ−エミッタ間の電圧変化が大きくなることから、上記のような誤動作が起こりやすい。
【0012】
しかしながら、特許文献1〜5には、以上のような問題点を解決するための構成は開示されていない。
【0013】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、半導体スイッチ素子に印加される電圧を簡易な構成で精度良く測定することが可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる半導体装置は、第1導通電極と、第2導通電極とを有する半導体スイッチ素子と、半導体スイッチ素子の第1導通電極および第2導通電極間の電圧を測定するための電圧測定回路とを備え、電圧測定回路は、半導体スイッチ素子と並列に接続され、半導体スイッチ素子の導通方向に印加される電圧を所定値に制限する定電圧素子と、定電圧素子と並列に接続された制御用スイッチと、半導体スイッチ素子がオフされているときに制御用スイッチをオンし、半導体スイッチ素子がオンされているときに制御用スイッチをオフするスイッチ制御部とを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、半導体スイッチ素子に印加される電圧を簡易な構成で精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置が半導体スイッチ素子10のオン電圧を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置が半導体スイッチ素子10のオン電圧を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【0019】
図1を参照して、半導体装置101は、半導体スイッチ素子10と、ダイオード素子11と、クランプダイオード12と、電圧測定回路31とを備える。電圧測定回路31は、抵抗2と、ツェナーダイオード3と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御回路15とを含む。
【0020】
半導体装置101は、電源13から供給される直流電力に基づいてモータ8を駆動する。電圧測定回路31は、ツェナーダイオード3の両端に印加される電圧VZを測定することにより、半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間の電圧を測定する。IC151は、電圧測定回路31の測定結果に基づいて半導体スイッチ素子10の過電流状態を検出する。
【0021】
半導体スイッチ素子10は、たとえばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)チップである。ダイオード素子11は、半導体スイッチ素子10と逆方向の導通方向を有する。ダイオード素子11は、たとえば半導体スイッチ素子10のドレインおよびソース間に存在する寄生ダイオードである。ダイオード素子11は、フリーホイールダイオードとして使用される。
【0022】
半導体スイッチ素子10は、クランプダイオード12のアノードおよび抵抗2の第1端に接続されたドレインと、電源13のマイナス側端子、ツェナーダイオード3のアノード、制御用スイッチ7の第2端に接続されたソースと、駆動信号GSを受けるゲートとを有する。クランプダイオード12は、電源13のプラス側端子およびモータ8の第1端に接続されたカソードと、モータ8の第2端に接続されたアノードとを有する。
【0023】
半導体スイッチ素子10と、抵抗2およびツェナーダイオード3の直列回路とは、互いに並列に接続されている。また、制御用スイッチ7は、ツェナーダイオード3および半導体スイッチ素子10と並列に接続されている。また、ツェナーダイオード3は、半導体スイッチ素子10の導通方向と逆の導通方向になるように接続されている。ツェナーダイオード3は、抵抗2の第2端および制御用スイッチ7の第1端に接続されたカソードと、制御用スイッチ7の第2端に接続されたアノードとを有する。制御用スイッチ7の第1端および第2端にIC151が接続されている。
【0024】
抵抗2は、ツェナーダイオード3を通して流れる電流を制限するために設けられる。抵抗2の抵抗値は、ツェナーダイオード3に十分な電圧が印加されるような値に設定される。
【0025】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置が半導体スイッチ素子10のオン電圧を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【0026】
図2を参照して、GSは半導体スイッチ素子10への駆動信号すなわち半導体スイッチ素子10のゲート電圧であり、Idは半導体スイッチ素子10のドレイン電流であり、Vds半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間電圧であり、SWSは制御用スイッチ7への制御信号であり、VZはツェナーダイオード3の両端電圧である。
【0027】
駆動信号GSは、タイミングAからタイミングBの期間で論理ハイレベルとなり、この期間において半導体スイッチ素子10はオン状態となる。また、駆動信号GSは、タイミングBからタイミングAの期間で論理ローレベルとなり、この期間において半導体スイッチ素子10はオフ状態となる。
【0028】
制御信号SWSは、駆動信号GSと論理レベルが反対になる。すなわち、制御信号SWSは、タイミングAからタイミングBの期間で論理ローレベルとなり、タイミングBからタイミングAの期間で論理ハイレベルとなる。
【0029】
ここで、半導体装置101が制御用スイッチ7およびツェナーダイオード3を備えないと仮定する。このような構成においては、半導体スイッチ素子10がオフされているとき、電源13の出力電圧Voが半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間の両端に印加される。このため、半導体スイッチ素子10と並列に接続された電圧測定回路31にも同様に出力電圧Voの大半が印加される。そうすると、出力電圧Vo以上の耐圧を有するIC151が必要になってしまう。
【0030】
しかしながら、半導体装置101は、制御用スイッチ7を備え、スイッチ制御回路15は、半導体スイッチ素子10がオフされているとき、制御用スイッチ7をオンする。これにより、電圧測定回路31に印加される電圧を0Vとすることができるため、出力電圧Vo以上の耐圧を有するIC151が不要となる。また、半導体スイッチ素子10がオフされているときにIC151において高電圧が検出され、半導体スイッチ素子10が過電流状態であると誤って判定されることを防ぐことができる。また、半導体スイッチ素子10がオフされているときは、過電流状態であると判定しないような制御をIC151で行なう必要がなくなり、制御の簡易化を図ることができる。
【0031】
また、スイッチ制御回路15は、半導体スイッチ素子10がオンされているとき、制御用スイッチ7をオフする。たとえば、スイッチ制御回路15は、半導体スイッチ素子10がオフ状態からオン状態に変化すると同時にスイッチ7をオフする。これにより、半導体スイッチ素子10のオン電圧に対応する電圧がツェナーダイオード3の両端に印加される。
【0032】
以上のようなスイッチ制御により、図2に示すように、ドレイン電流Idsと同様に変化する電圧波形を有する電圧VZがツェナーダイオード3の両端に印加され、これを測定することができる。すなわち、電圧VZを半導体スイッチ素子10のオン電圧として検出することができる。そして、半導体スイッチ素子10のオン電圧を検出することにより、半導体スイッチ素子10を通して流れる電流を測定することができ、半導体スイッチ素子10の過電流状態を検出することができる。
【0033】
また、半導体装置101がツェナーダイオード3を備えないと仮定する。このような構成においては、たとえばモータ8が故障して短絡した場合、半導体スイッチ素子10がオンされているときはスイッチ7がオフされるため、出力電圧Voが半導体スイッチ素子10およびスイッチ7の両端にそれぞれ印加され、両者が破壊される恐れがある。
【0034】
しかしながら、半導体装置101では、ツェナーダイオード3を備える構成により、半導体スイッチ素子10およびスイッチ7の両端にそれぞれ印加される電圧は、モータ8が故障して短絡した場合でも、ツェナーダイオード3のツェナー電圧以下となる。これにより、半導体スイッチ素子10およびスイッチ7が破壊されることを防ぐことができる。
【0035】
また、半導体装置101では、電圧VZがツェナーダイオード3のツェナー電圧より大きくならないため、電圧VZを測定するためのIC151を高耐圧のものにする必要がなくなることから、IC151を容易に設計することができ、小型化を図り、コストを低減することができる。
【0036】
また、スイッチ7の耐圧はツェナーダイオード3のツェナー電圧より若干大きくするだけでよく、スイッチ7を通して流れる電流は抵抗2によって制限されることから、小容量のスイッチを用いることができるため、小型化を図り、コストを低減することができる。
【0037】
以上より、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置では、半導体スイッチ素子に印加される電圧を簡易な構成で精度良く測定することができる。これにより、半導体スイッチ素子10の過電流状態を正確に検出することができるため、歩留まりを向上させることができる。
【0038】
なお、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置では、半導体スイッチ素子10は、たとえばMOSFETチップであるとしたが、これに限定するものではなく、IGBT等の他の半導体スイッチ素子であってもよい。
【0039】
また、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置は、ツェナーダイオード3を備える構成であるとしたが、ツェナーダイオード3に限らず、半導体スイッチ素子10と並列に接続され、半導体スイッチ素子10の導通方向に印加される電圧を所定値に制限する定電圧素子であればよい。このような定電圧素子としては、たとえばバリスタがあげられる。
【0040】
また、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置では、半導体スイッチング素子10の寄生ダイオードをフリーホイールダイオードとして使用する構成であるとしたが、これに限定するものではない。半導体スイッチング素子10として寄生ダイオードを有しないIGBTを使用する場合、あるいは半導体スイッチング素子10としてMOSFETを使用する場合でもモータ8の回生時の消費電力を抑えるために、順方向電圧の小さいSBD(ショットキーバリアダイオード)などをフリーホイールダイオードとして別途設ける構成であってもよい。
【0041】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0042】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る半導体装置と比べて定電圧素子を変更した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様である。
【0043】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
図3を参照して、半導体装置102は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置と比べて、電圧測定回路31の代わりに電圧測定回路32を備える。電圧測定回路32は、抵抗2と、ダイオード部5と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御回路15とを含む。
【0044】
ダイオード部5は、抵抗2と直列接続されている。半導体スイッチ素子10と、抵抗2およびダイオード部5の直列回路とは、互いに並列に接続されている。また、制御用スイッチ7は、ダイオード部5および半導体スイッチ素子10と並列に接続されている。また、ダイオード部5は、半導体スイッチ素子10の導通方向と同じ導通方向になるように直列接続された複数のダイオードを含む。ダイオード部5は、半導体スイッチ素子10の導通方向に印加される電圧を所定値に制限する。
【0045】
電圧測定回路32は、ダイオード部5の両端に印加される電圧VZを測定することにより、半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間の電圧を測定する。
【0046】
本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置では、ダイオード部5におけるダイオードの数を変更することにより、電圧VZの最大レベルを調整することができる。
【0047】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0048】
なお、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置は、ダイオード部5を備える構成であるとしたが、ダイオードに限らず、バリスタ等の双方向に導通する半導体素子であってもよい。このような構成であっても、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置と同様の効果を得ることができる。
【0049】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0050】
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る半導体装置と比べて電圧VZの調整機能を追加した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様である。
【0051】
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
図4を参照して、半導体装置103は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置と比べて、電圧測定回路31の代わりに電圧測定回路33を備える。電圧測定回路33は、抵抗2と、ツェナーダイオード3と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御回路15と、抵抗24とを含む。抵抗24は、抵抗2と直列接続され、かつ半導体スイッチ素子10、ダイオード素子11、ツェナーダイオード3および制御用スイッチ7と並列に接続されている。
【0052】
半導体装置101では、オン状態における半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間電圧すなわちオン電圧がツェナーダイオード3の両端に印加されていた。
【0053】
これに対して、半導体装置103では、半導体スイッチ素子10のオン電圧を抵抗2および抵抗24によって分圧することができるため、ツェナーダイオード3の両端に印加される電圧VZの最大レベルを調整することができる。
【0054】
なお、抵抗2を直列接続された複数の抵抗に置き換える、あるいは抵抗2の抵抗値を調整することによっても、電圧VZのレベル調整をすることが可能である。
【0055】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0056】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0057】
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る半導体装置と比べて電圧VZを安定化させる機能を追加した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様である。
【0058】
図5は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
図5を参照して、半導体装置104は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置と比べて、電圧測定回路31の代わりに電圧測定回路34を備える。電圧測定回路34は、抵抗2と、ツェナーダイオード3と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御回路15と、コンデンサ4とを含む。コンデンサ4は、抵抗2と直列接続され、かつ半導体スイッチ素子10、ダイオード素子11、ツェナーダイオード3および制御用スイッチ7と並列に接続されている。
【0059】
半導体装置104では、コンデンサ4により、半導体スイッチ素子10のオン状態およびオフ状態間の遷移時に発生するノイズおよびリンギングに起因する電圧VZの急激なレベル変化を抑制することができる。これにより、過電流検出の誤動作を防ぐことができる。
【0060】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0061】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0062】
<第5の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る半導体装置と比べてスイッチ制御部15の制御内容を変更した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様である。
【0063】
図6は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置が半導体スイッチ素子10のオン電圧を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【0064】
図6を参照して、スイッチ制御部15は、半導体スイッチ素子10がオンされてから所定時間経過するまでは制御用スイッチ7のオン状態を維持し、所定時間経過後に制御用スイッチ7をオフする。
【0065】
すなわち、制御信号SWSは、タイミングBからタイミングAの期間で論理ハイレベルとなり、この期間において制御用スイッチ7はオン状態となる。また、制御信号SWSは、タイミングAから所定時間経過するまでは論理ハイレベルのままであり、この期間において制御用スイッチ7はオン状態を維持する。そして、制御信号SWSは、タイミングAから所定時間経過時に論理ローレベルとなり、タイミングBまでの期間において制御用スイッチ7はオフ状態となる。
【0066】
このような構成により、半導体スイッチ素子10がオフ状態からオン状態へ遷移する時に発生するノイズ等に起因する電圧VZの急激なレベル変化を防ぐことができ、過電流検出の誤動作を防ぐことができる。
【0067】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0068】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0069】
<第6の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る半導体装置をモジュール化した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様である。
【0070】
図7は、本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
図7を参照して、半導体装置106は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置と比べて、さらに、ケースKと、駆動端子TD1,TD2と、モニタ端子TM1,TM2とを備える。
【0071】
ケースKは、半導体スイッチ素子10と、ダイオード素子11と、クランプダイオード12と、電圧測定回路31とを収容している。駆動端子TD1,TD2およびモニタ端子TM1,TM2は、ケースKに取り付けられている。
【0072】
ケースKの外部から駆動端子TD1を介して半導体スイッチ素子10のゲートに駆動信号GSが与えられる。また、ツェナーダイオード3の両端に印加される電圧VZは、モニタ端子TM1,TM2を介してケースKの外部にあるIC151に与えられる。
【0073】
このような構成により、半導体装置106の外部において半導体スイッチ素子10のオン電圧を容易に測定することができる。
【0074】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0075】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0076】
<第7の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る半導体装置をIPM化した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様である。
【0077】
図8は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
図8を参照して、半導体装置107は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置と比べて、さらに、ケースKと、エラー端子TEと、駆動部16と、過電流検出部17とを備える。
【0078】
ケースKは、半導体スイッチ素子10と、ダイオード素子11と、クランプダイオード12と、電圧測定回路31と、駆動部16と、過電流検出部17とを収容している。エラー端子TEは、ケースKに取り付けられている。
【0079】
駆動部16は、半導体スイッチ素子10を駆動するための駆動信号GSを半導体スイッチ素子10のゲートへ出力する。
【0080】
過電流検出部17は、電圧測定回路31の測定結果すなわちツェナーダイオード3の両端に印加される電圧VZの大きさに基づいて、駆動部16による半導体スイッチ素子10への駆動信号GSの出力を停止させ、半導体スイッチ素子10をオフさせる制御を行なう。また、過電流検出部17は、電圧測定回路31の測定結果に基づいて、半導体スイッチ素子10が過電流状態であることを示すエラー信号を端子TE経由でケースKの外部へ出力する。
【0081】
このように、半導体装置107は、モジュール内部に駆動部16を内蔵し、かつ駆動信号GSの遮断機能を有する過電流検出部17を内蔵することにより、過電流に対する応答速度を速くできるため、半導体スイッチ素子10が破壊されることを未然に防ぐことが可能になる。また、電圧VZを伝達するための配線長を短くできるため、過電流検出部17へ伝達される電圧VZがノイズなどの影響を受けにくくなることから、過電流検出の誤動作を防ぐことができる。
【0082】
また、半導体装置107では、電圧測定回路31、駆動部16および過電流検出部17が、たとえば1つの集積回路41すなわち1つの半導体チップに含まれる。これにより、モジュール全体の小型化、低コスト化および組立性の向上を実現することができる。
【0083】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0084】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0085】
<第8の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る半導体装置と比べて半導体スイッチ素子の種類を変更した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様である。
【0086】
図9は、本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
図9を参照して、半導体装置108は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置と比べて、半導体スイッチ素子10およびダイオード素子11の代わりに半導体スイッチ素子20およびダイオード素子21を備える。
【0087】
半導体スイッチ素子20およびダイオード素子21は炭化珪素(SiC)によって形成されている。
【0088】
ここで、炭化珪素は、耐電圧性が高いため、許容される電流密度を大きくできることから、半導体スイッチ素子およびダイオードの小型化を図ることができる。したがって、本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置では、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置と比べて、さらに小型化を図ることができる。
【0089】
なお、本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置では、半導体スイッチ素子20およびダイオード素子21は炭化珪素(SiC)によって形成されている構成であるとしたが、これに限定するものではなく、半導体スイッチ素子およびダイオードの少なくとも一方が炭化珪素(SiC)によって形成されている構成であってもよい。
【0090】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0091】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る半導体装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置では、絶縁性の低下を防ぎ、かつ冷却性能の低下を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0092】
2,24 抵抗、3 ツェナーダイオード、4 コンデンサ、5 ダイオード部、7 制御用スイッチ、10,20 半導体スイッチ素子、11,21 ダイオード素子、12 クランプダイオード、15 スイッチ制御回路、16 駆動部、17 過電流検出部、31,33,34 電圧測定回路、101〜104,106〜108 半導体装置、K ケース、TD1,TD2 駆動端子、TM1,TM2 モニタ端子、TE エラー端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導通電極と、第2導通電極とを有する半導体スイッチ素子と、
前記半導体スイッチ素子の第1導通電極および第2導通電極間の電圧を測定するための電圧測定回路とを備え、
前記電圧測定回路は、
前記半導体スイッチ素子と並列に接続され、前記半導体スイッチ素子の導通方向に印加される電圧を所定値に制限する定電圧素子と、
前記定電圧素子と並列に接続された制御用スイッチと、
前記半導体スイッチ素子がオフされているときに前記制御用スイッチをオンし、前記半導体スイッチ素子がオンされているときに前記制御用スイッチをオフするスイッチ制御部とを含む半導体装置。
【請求項2】
前記定電圧素子は、ツェナーダイオードであり、
前記電圧測定回路は、さらに、
前記定電圧素子と直列接続され、かつ前記半導体スイッチ素子と並列接続された抵抗を含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記定電圧素子は、直列接続された複数のダイオードであり、
前記電圧測定回路は、さらに、
前記定電圧素子と直列接続され、かつ前記半導体スイッチ素子と並列接続された抵抗を含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電圧測定回路は、さらに、
前記半導体スイッチ素子、前記定電圧素子および前記制御用スイッチと並列に接続された抵抗を含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電圧測定回路は、さらに、
前記半導体スイッチ素子、前記定電圧素子および前記制御用スイッチと並列に接続されたコンデンサを含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記スイッチ制御部は、前記半導体スイッチ素子がオンされてから所定時間経過するまでは前記制御用スイッチのオン状態を維持し、前記所定時間経過後に前記制御用スイッチをオフする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体装置は、さらに、
前記半導体スイッチ素子と、前記定電圧素子と、前記制御用スイッチとを収容するケースと、
前記ケースに取り付けられ、前記定電圧素子に印加される電圧を測定するための端子とを備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体装置は、さらに、
前記半導体スイッチ素子を駆動するための駆動信号を前記半導体スイッチ素子へ出力する駆動部と、
前記定電圧素子に印加される電圧の大きさに基づいて、前記駆動部による前記半導体スイッチ素子への前記駆動信号の出力を停止し、かつ前記半導体スイッチ素子が過電流状態であることを示すエラー信号を出力する過電流検出部と、
前記半導体スイッチ素子と、前記電圧測定回路と、前記駆動部と、前記過電流検出部とを収容するケースとを備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電圧測定回路と、前記駆動部と、前記過電流検出部とは、1つの半導体集積回路に含まれている請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体装置は、さらに、
前記半導体スイッチ素子、前記定電圧素子および前記制御用スイッチと並列に、前記半導体スイッチ素子の導通方向と逆の導通方向になるように接続され、かつ炭化珪素によって形成されたダイオード素子を備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体スイッチ素子は、炭化珪素によって形成されている請求項10に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−200411(P2010−200411A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39659(P2009−39659)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】