説明

半導体装置

【課題】回路基板上に搭載された半導体素子の上面と回路基板とを接続部材を介して電気的に接続するとともに、半導体素子の上面に放熱用のヒートシンクを設けてなる半導体装置において、ヒートシンクの樹脂バリ付着を防止しつつ、半導体素子の上面と回路基板の一面側との電気的接続、および、半導体素子の上面からの放熱を適切に行う。
【解決手段】接続部材は、板状をなすリードフレーム30であり、リードフレーム30は、一端部31側が半導体素子20の上面21の周辺部に電気的に接続され、他端部32側が回路基板10の一面11まで延びて当該他端部32が回路基板10の一面11側に電気的に接続されたものであり、ヒートシンク30は、半導体素子20の上面21の中央部、および、リードフレーム30の一端部31側の上面30bに放熱性接続材50を介して接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板上に搭載された半導体素子の上面と回路基板とを接続部材を介して電気的に接続するとともに、半導体素子の上面に放熱用のヒートシンクを設けてなる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の半導体装置としては、特許文献1に記載のものが提案されている。このものは、回路基板と、回路基板の一面上に搭載された半導体素子と、半導体素子の上面と回路基板の一面側とを結線して電気的に接続するボンディングワイヤと、半導体素子の上面にてボンディングワイヤを避けた位置に接続されて半導体素子の熱を放熱するヒートシンクと、ボンディングワイヤを封止するモールド樹脂とを備えて構成されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3854054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来のこの種の半導体装置では、半導体素子の上面と回路基板の一面側とを電気的に接続する接続部材として、機械的強度の低いボンディングワイヤを採用しているため、そのボンディングワイヤを保護する等の目的で、ボンディングワイヤをモールド樹脂で封止している。
【0005】
ここで、このモールド樹脂による封止工程において、ヒートシンクの上面に余分なモールド樹脂、つまり樹脂バリが付着するのを避けるべく、ヒートシンクの上面を確実に金型に密着させる必要がある。そのために、金型をヒートシンクに押し付ける力を大きくすることになり、ヒートシンクの下面に接続されている半導体素子にダメージが発生する恐れがある。
【0006】
また、仮に上記樹脂バリがヒートシンクの上面に付着した場合、この樹脂バリを除去するためには、たとえばヒートシンクの上面の樹脂バリを切削して除去することが必要になる。しかしながら、このような樹脂バリの除去においては、切削等による力がヒートシンクに対して加わるため、ヒートシンクの下面に接続されている半導体素子にダメージが発生する恐れがある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、回路基板上に搭載された半導体素子の上面と回路基板とを接続部材を介して電気的に接続するとともに、半導体素子の上面に放熱用のヒートシンクを設けてなる半導体装置において、ヒートシンクの樹脂バリ付着を防止しつつ、半導体素子の上面と回路基板の一面側との電気的接続、および、半導体素子の上面からの放熱を適切に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、回路基板(10)と、
回路基板(10)の一面(11)上に搭載された半導体素子(20)と、
半導体素子(20)の上面(21)と回路基板(10)の前記一面(11)側とを電気的に接続する接続部材(30)と、
半導体素子(20)の上面(21)に接続されて半導体素子(20)の熱を放熱するヒートシンク(40)と、を備える半導体装置において、
接続部材は、板状をなすリードフレーム(30)であり、
リードフレーム(30)は、一端部(31)側が半導体素子(20)の上面(21)の周辺部に電気的に接続され、他端部(32)側が回路基板(10)の一面(11)まで延びて当該他端部(32)が回路基板(10)の一面(11)側に電気的に接続されたものであり、
ヒートシンク(40)は、半導体素子(20)の上面(21)の中央部、および、リードフレーム(30)の一端部(31)側の上面(30b)に放熱性接続材(50〜52)を介して接続されていることを特徴とする。
【0009】
それによれば、板状のリードフレーム(30)を、半導体素子(20)の上面(21)と回路基板(10)の一面(11)側とを電気的に接続する接続部材としているから、当該接続部材をモールド樹脂で封止することが不要となり、そもそも樹脂バリの問題は生じない。
【0010】
また、半導体素子(20)の上面(21)側にて、ヒートシンク(40)を半導体素子(20)だけでなく、リードフレーム(30)にも接続しているから、ヒートシンク(40)をリードフレーム(30)まで覆う大きなものにすることができ、半導体素子(20)の上面(21)側にてリードフレーム(30)からもヒートシンク(40)への放熱が行える。
【0011】
よって、本発明によれば、ヒートシンク(40)の樹脂バリ付着を防止しつつ、半導体素子(20)の上面(21)と回路基板(10)の一面(11)側との電気的接続、および、半導体素子(20)の上面(21)からの放熱を適切に行うことができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の半導体装置において、半導体素子(20)の上面(21)の中央部とヒートシンク(40)とは、放熱性を有する板材(60)を介して、接続されていることを特徴とする。
【0013】
それによれば、半導体素子(20)の上面(21)上におけるリードフレーム(30)の厚さ分の段差を、板材(60)の厚さにより調整できるから、ヒートシンク(40)が、当該ヒートシンク(40)における半導体素子(20)の上面(21)との対向面である下面(41)を平坦面とした構成であっても、半導体素子(20)およびリードフレーム(30)とヒートシンク(40)とを適切に接続しやすくなる。
【0014】
さらに、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の半導体装置において、板材(60)とリードフレーム(30)とは同一の厚さであることを特徴とする。
【0015】
それによれば、板材(60)とリードフレーム(30)とが同一厚さであるから、半導体素子(20)の上面(21)上におけるリードフレーム(30)の厚さ分の段差を、より調整しやすい。
【0016】
さらに、請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の半導体装置において、板材(60)とリードフレーム(30)とは、同一材料よりなることを特徴とする。
【0017】
それによれば、板材(60)を、リードフレーム(30)のアイランドなどにより構成することができ、板材(60)およびリードフレーム(30)の形成が容易になる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置において、リードフレーム(30)よりもヒートシンク(40)の方が熱伝導性に優れた材料よりなることを特徴とする。それによれば、放熱性向上の点で好ましい。
【0019】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
【図2】第1実施形態の他の例としての半導体装置の概略断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
【図7】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
【図8】第6実施形態の他の例としての半導体装置の概略断面図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
【図10】本発明の第8実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1の方法を示す工程図である。
【図11】図10に続く第1の方法を示す工程図である。
【図12】第8実施形態に係る半導体装置の製造方法の第2の方法を示す工程図である。
【図13】図12に続く第1の方法を示す工程図である。
【図14】図13に続く第1の方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置S1の概略断面構成を示す図である。
【0023】
本実施形態の半導体装置S1は、大きくは、回路基板10と、回路基板10の一面11上に搭載された半導体素子20と、半導体素子20の上面21と回路基板10の一面11側とを電気的に接続する接続部材としてのリードフレーム30と、半導体素子20の上面21に接続されて半導体素子20の熱を放熱するヒートシンク40と、を備えて構成されている。
【0024】
回路基板10は、一方の板面11を半導体素子20が搭載される素子搭載面である一面11とする板状のもので、プリント基板などの樹脂基板やセラミック基板などよりなる。このような回路基板10は、典型的には矩形板状をなす。
【0025】
また、ここでは、回路基板10はインターポーザとして機能するものである。具体的には、回路基板10の他方の板面12である他面12側には、はんだなどよりなるバンプ13が設けられており、回路基板10は、このバンプ13を介して、図示しない別の基板に電気的および機械的に接続されるようになっている。
【0026】
半導体素子20は、シリコン半導体などよりなり、下面22を回路基板10の一面11に対向させつつ上面21を回路基板10の一面11の上方に向けた状態で、回路基板10の一面11上に搭載されている。このような半導体素子20としては、ベアチップでもよいし、CSP(チップサイズパッケージ)などであってもよい。
【0027】
ここでは、半導体素子20は矩形板状のベアチップである。また、ここでは、半導体素子20は、表裏の関係にある上下面21、22の両方に図示しない電極を有し、当該両面21、22側から電気的な取り出しを行うもの、いわゆる両面電極タイプのICチップとして構成されている。
【0028】
そして、半導体素子20は、下面22側の当該電極に対応する位置にて、フリップチップ接続部23を介して、回路基板10の一面11に電気的および機械的に接続されている。ここで、フリップチップ接続部23は、たとえば、はんだ、バンプあるいは導電性接着剤などの導電性材料よりなる。
【0029】
接続部材としてのリードフレーム30は、42アロイやCu合金などの導電性金属よりなる一般的な板状をなすリードフレーム30であり、典型的には一端部31から他端部32に延びる矩形の短冊形状をなすものである。
【0030】
ここで、リードフレーム30は、複数個設けられており、個々のリードフレーム30は、回路基板10の一面11に対して、一方の板面である下面30aを対向させつつ、他方の板面である上面30bを回路基板10の一面11の上方に向けた状態で、回路基板10の一面11上に配置されている。
【0031】
そして、リードフレーム30は、一端部31側の下面30aが半導体素子20の上面21の周辺部に対向して電気的に接続され、中間部が半導体素子20の外郭からはみだして回路基板10側にディプレス加工により曲げられている。そして、リードフレーム30の他端部32側が回路基板10の一面11まで延び、当該他端部32の下面30aが回路基板10の一面11に対向して電気的に接続されている。
【0032】
ここで、リードフレーム30の一端部31側と半導体素子20の上面21の周辺部に備えられている図示しない電極との間は、導電性接着剤やはんだなどの導電性接続材24を介して電気的に接続されている。
【0033】
また、リードフレーム30の他端部32側と回路基板10の一面11の図示しない電極との間も、図示しないけれども、同じく上記導電性接続材24を介して電気的に接続されている。なお、このリードフレーム30の他端部32側と回路基板10の一面11側との電気的接続は、回路基板10の一面11から他面12に貫通するビアに、リードフレーム30の他端部32側を挿入することにより行ってもよい。
【0034】
ヒートシンク40は、当該ヒートシンク40の下面41を半導体素子20の上面21に対向させた状態で、半導体素子20の上に搭載されている。ヒートシンク40は、下面41側から半導体素子20の熱を受け取り、下面41とは反対側の放熱面である上面42側から放熱するものである。
【0035】
ここでは、ヒートシンク40は、上下面41、42を表裏の板面として、半導体素子20よりも一回り大きく、回路基板10よりは小さい矩形板状を成すものである。また、ここでは、半導体素子20の上面21に対向するヒートシンク40の下面41は、平坦面とされている。
【0036】
このようなヒートシンク40は、Cu合金やアルミ等の金属やAlN等のセラミックからなるが、放熱性向上の点で、リードフレーム30よりも、ヒートシンク40の方が熱伝導性に優れた材料よりなることが望ましい。たとえばリードフレーム30が42アロイである場合に、ヒートシンク40をCuよりなるものにすればよい。
【0037】
そして、ヒートシンク40は、その下面41にて、半導体素子20の上面21の中央部、および、リードフレーム30の一端部31側の上面30bに、放熱性接続材50を介して接続されている。
【0038】
ここでは、放熱性接続材50は、樹脂中に熱伝導性に優れたセラミックなどのフィラーやビーズを分散してなる一般的な電気絶縁性の放熱シート50よりなる。この放熱シート50は、ヒートシンク40と実質同一の平面サイズを有し、ヒートシンク40の下面41の全体に貼り付けられた平面矩形の単一シートである。
【0039】
これにより、リードフレーム30とヒートシンク40とは放熱シート50を介して、電気的に絶縁しつつ熱伝達が可能な状態で接続されている。そのため、各リードフレーム30同士は、ヒートシンク40を介して電気的に導通することはない。
【0040】
一方、半導体素子20の上面21の中央部とヒートシンク40とは、さらに放熱性を有する板材60を介して、接続されている。具体的には、板材60は、当該板材60の板面を半導体素子20の上面21と平行にした状態で、放熱シート40と半導体素子20の上面21との間に介在している。
【0041】
この板材60は、リードフレーム30よりも内周側の半導体素子20の中央部に配置されるもので、たとえば半導体素子20よりも一回り小さい矩形平板状を成す。ここで、板材60と半導体素子20の上面21とは、上記リードフレーム30の一端部31と同様の導電性接続材24により接続されている。
【0042】
そして、板材60とヒートシンク40とは、放熱シート50を介して、電気的に絶縁しつつ熱伝達が可能な状態で接続されている。なお、板材60と半導体素子20との接続については、導電性接続材24に代えて、一般的な電気絶縁性の接着剤で行ってもよい。
【0043】
つまり、本実施形態では、半導体素子20の上面21側にて、半導体素子20およびリードフレーム30は、共通の単一のヒートシンク30に接続されている。そして、これにより半導体素子20からの熱は、リードフレーム30を介在しない第1の経路と、リードフレーム30を介在する第2の経路とにより、ヒートシンク40に伝わるようになっている。
【0044】
このような本実施形態の半導体装置S1は、回路基板10の一面11上に、半導体素子20を搭載し、リードフレーム30および板材60の接続を行い、さらに放熱シート50を介してヒートシンク40を搭載することにより製造される。
【0045】
ところで、本実施形態によれば、板状のリードフレーム30を、半導体素子20の上面21と回路基板10の一面11側とを電気的に接続する接続部材としているから、当該接続部材をモールド樹脂で封止することが不要となり、そもそもヒートシンク40に樹脂が付着することはなく、従来構成にて発生するような樹脂バリの問題は生じない。
【0046】
また、半導体素子20の上面21側にて、ヒートシンク40を半導体素子20だけでなく、リードフレーム30にも接続しているから、ヒートシンク40をリードフレーム30まで覆う大きなものにすることができ、半導体素子20の上面21側にてリードフレーム30からもヒートシンク40への放熱が行える。
【0047】
よって、本実施形態によれば、ヒートシンク40の樹脂バリ付着を防止しつつ、半導体素子20の上面21と回路基板10の一面11との電気的接続、および、半導体素子20の上面21からの放熱を適切に行うことができる。
【0048】
また、本実施形態では、半導体素子20の上面21の中央部とヒートシンク40とは、放熱性を有する板材60を介して、接続されているため、半導体素子20の上面21上におけるリードフレーム30の厚さ分の段差を、板材60の厚さにより調整できる。そのため、ヒートシンク40が、下面41を平坦面とした構成であっても、半導体素子20およびリードフレーム30とヒートシンク40とを適切に接続しやすくなる。
【0049】
さらに、この場合、板材60とリードフレーム30とは、厚さが異なっていても、たとえば導電性接続材24の厚さにより、その厚さの差異は吸収可能であるが、できるならば同一の厚さであることが望ましい。
【0050】
それによれば、板材60とリードフレーム30とが同一厚さであるから、半導体素子20の上面21上におけるリードフレーム30の厚さ分の段差が、板材60により吸収されやすく、当該段差の調整がより行いやすくなる。
【0051】
また、板材60とリードフレーム30とは、異種材料であってもよいが、同一材料よりなることが望ましい。たとえば、ともに42アロイまたはCu合金よりなるものとする。それによれば、板材60を、リードフレーム30のアイランドなどにより構成することができ、板材60およびリードフレーム30の形成が容易になる。
【0052】
さらに言うならば、板材60は、放熱性を有するものであればリードフレーム30となるリードフレーム素材とは別体のものよりなるものであってもよいが、同一材料とすることで、同一のリードフレーム素材から、板材60およびリードフレーム30を形成することができ、製造工程の簡素化が図れる.
たとえば、板材60をアイランド、リードフレーム30をリード部とするリードフレーム素材を用いて、これら板材60、リードフレーム30を形成する場合、典型的なリードフレーム素材と同様に、矩形板状のアイランド60の各辺の外側に、複数個のリード部30が放射状に配置されたリードフレーム素材を用いる。
【0053】
なお、図1の例では、放熱シート50は、ヒートシンク40と実質同一の平面サイズを有する単一シートであったが、複数個の放熱シート50を、ヒートシンク40のうち板材60および個々のリードフレーム30と対向する部分にのみ配置してもよい。
【0054】
図2は、本第1実施形態の他の例としての半導体装置S2の概略断面構成を示す図である。本例の半導体装置S2のように、両面電極タイプの半導体素子20の下面22と回路基板10の一面11との間に、エポキシ樹脂などよりなるアンダーフィル70を充填し、フリップチップ接続部23による接続の補強を行ってもよい。
【0055】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置S3の概略断面構成を示す図である。ここでは、本実施形態と上記第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。
【0056】
上記第1実施形態では、上記図1に示されるように、ヒートシンク40と、板材60およびリードフレーム30とを、放熱性接続材としての単一の放熱シート50を介して熱的に接続していた。
【0057】
それに対して、図3に示されるように、本実施形態では、ヒートシンク40と板材60との接続、および、ヒートシンク40とリードフレーム30との接続を別体の放熱性接続材51、52を用いて行っている。つまり、板材60接続用の放熱性接続材51と、リードフレーム30接続用の放熱性接続材52とは、分離して配置されている。
【0058】
この場合、リードフレーム30接続用の放熱性接続材52は、リードフレーム30とヒートシンク40との電気的絶縁を確保するために電気絶縁性である必要がある。そのため、このリードフレーム30接続用の放熱性接続材52は、上記放熱シート50であってもよいが、ここでは、電気絶縁性且つ熱伝導性の樹脂部材52よりなる。
【0059】
この樹脂部材52には、具体的には、シリカ、アルミナなどの電気絶縁性のフィラーを含有するエポキシ樹脂などよりなるポッティング樹脂が用いられる。また、図3に示されるように、この樹脂部材52は、リードフレーム30の一端部31とヒートシンク40との間に介在するだけでなく、さらに、リードフレーム30全体を封止して、リードフレーム30を保護するようにしてもよい。
【0060】
一方、板材60接続用の放熱性接続材51は、樹脂部材52とは離れており電気的に絶縁されているから、導電性でも電気絶縁性でもよい。それゆえ、この板材60接続用の放熱性接続材51は、上記放熱シート50であってもよいが、ここでは、導電性接続材24と同様の材料よりなるものとされている。
【0061】
このような本実施形態の半導体装置S3は、半導体素子20の搭載、リードフレーム30および板材60の接続後、樹脂部材52によるリードフレーム30の封止を行い、その後は、ヒートシンク40の搭載を行うことにより製造される。
【0062】
そして、本実施形態によっても、上記同様、ヒートシンク40の樹脂バリ付着を防止しつつ、半導体素子20の上面21と回路基板10の一面11との電気的接続、および、半導体素子20の上面21からの放熱を適切に行うことができる。
【0063】
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置S4の概略断面構成を示す図である。ここでは、本実施形態と上記第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。
【0064】
図4に示されるように、本実施形態では、リードフレーム30の他端部32側と回路基板10の一面11側との電気的接続は、回路基板10の一面11から他面12に貫通する図示しないビアに、リードフレーム30の他端部32側を挿入することにより行われている。
【0065】
さらに、本実施形態では、このリードフレーム30の他端部32を回路基板10の他面12より突出させている。この場合、回路基板10を他面12側にて別の基板に接続した場合に、この突出するリードフレーム30の他端部32を当該別の基板に電気的に接続することが可能となる。
【0066】
なお、本実施形態においても、上記第2実施形態のように、ヒートシンク40と板材60との接続、および、ヒートシンク40とリードフレーム30との接続を別体の放熱性接続材51、52を用いて行ってもよい。
【0067】
(第4実施形態)
図5は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置S5の概略断面構成を示す図である。ここでは、本実施形態と上記第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。
【0068】
上記第1実施形態では、回路基板10の一面11上に直接、半導体素子20を搭載したが、本実施形態の図5に示されるように、回路基板10の一面11と半導体素子20との間に、再配線用部材80を介して、半導体素子20の搭載を行ってもよい。
【0069】
この再配線用部材80は、半導体素子20と回路基板10とを電気的に接続する再配線の機能を果たすものであり、たとえば、上記第1実施形態に示したインターポーザとしての回路基板と同様の構成を有するものとして構成される。
【0070】
つまり、半導体素子20と再配線用部材80とは、フリップチップ接続部23を介して電気的に接続され、再配線用部材80と回路基板10とは、バンプ81を介して電気的および機械的に接続されている。そして、ここでは、回路基板10はプリント基板やセラミック基板などよりなり、たとえばマザーボードとして機能するものである。
【0071】
なお、本実施形態は、回路基板10の一面11と半導体素子20との間に、さらに再配線用部材80を介在させたものであるから、上記第2実施形態および上記第3実施形態とも組み合わせることが可能であることはもちろんである。
【0072】
(第5実施形態)
図6は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置S6の概略断面構成を示す図である。上記各実施形態では、リードフレーム30の中間部は、ディプレス加工により曲げられた形状とされていたが、本実施形態のように、リードフレーム30はエッチングにより形成され、このエッチングにより当該曲げられた形状を形成しているものでもよい。
【0073】
この場合、エッチング加工の典型的な形状として、曲げ部分が曲線状ではなく角部とされて曲げられた形状とされている。
【0074】
(第6実施形態)
図7は、本発明の第6実施形態に係る半導体装置S7の概略断面構成を示す図である。ここでは、本実施形態と上記第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。
【0075】
上記第1実施形態では、図1に示されるように、板材60は平板形状のものであったが、本実施形態の図7に示されるように、ディプレス加工により曲げられることで平板のものに比べて実質的な高さを大きくした板材60であってもよい。
【0076】
また、図8は、本第6実施形態に係る他の例としての半導体装置S8の概略断面構成を示す図である。上記第1実施形態の図1では、板材60はリードフレーム30と同じ厚さの平板であったが、この図8に示されるように、板材60は、リードフレーム30よりも厚い平板とされたものでもよい。
【0077】
これら図7および図8に示される板材60は、リードフレーム30と同じリードフレーム素材のアイランドとして構成されたものであって、当該アイランドにディプレス加工を施したものや、もともと当該アイランドの方が厚い一般的な異形フレームを用いて形成される。また、これら板材60は、リードフレーム30とは別部材より形成されたものであってもよいことは、上記第1実施形態と同様である。
【0078】
本実施形態によれば、ヒートシンク40と板材60との距離に比べて、ヒートシンク40とリードフレーム30の一端部31側との距離を大きくできるから、ヒートシンク40とリードフレーム30との電気的な短絡の防止に好適である。
【0079】
なお、図7、図8では、ヒートシンク40と板材60との接続、および、ヒートシンク40とリードフレーム30との接続を、上記第2実施形態と同様に、別体の放熱性接続材51、52を用いて行っていたが、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、ヒートシンク40と板材60およびリードフレーム30とを、単一の放熱シート50を介して熱的に接続してもよい。
【0080】
この場合、板材60では、リードフレーム30よりも放熱シート50の凹み度合を大きくすることで、対応が可能となることはもちろんである。また、本実施形態は、板材60の形状や厚さを変えるだけのものであるから、第1および第2実施形態以外の上記各実施形態とも組み合わせ可能であることは言うまでもない。
【0081】
(第7実施形態)
図9は、本発明の第7実施形態に係る半導体装置S9の概略断面構成を示す図である。上記各実施形態では、半導体素子20の上面21の中央部とヒートシンク40とは板材60を介して接続されていた。
【0082】
それに対して、図9に示されるように、本実施形態では、板材60に代えて、ヒートシンク40の下面41に凸部40aを設けることにより、当該板材60が無い分、凸部40aの厚さで吸収するようにしている。
【0083】
このような凸部40aは、プレス加工などにより形成できる。そして、本実施形態は、ヒートシンク40に凸部40aを設けて、板材60を省略したものであるから、上記各実施形態と組み合わせて適用が可能であることはもちろんである。
【0084】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態では、上記図1に示した半導体装置S1の製造方法について、より具体的な方法を示すものである。ここでは、回路基板10およびリードフレーム素材として多連状態のものを用い、これらを組み付けた後、最終的に分断して、半導体装置S1を製造する方法を提供する。
【0085】
図10、図11は、本実施形態に係る半導体装置S1の製造方法の第1の方法を示す工程図であり、図10および図11において、それぞれ(a)、(c)は概略平面図、(b)は(a)の概略断面図、(d)は(c)の概略断面図である。
【0086】
なお、図10、図11および後述する図12〜図14中の平面図においては、リードフレーム30のうち当該平面図中の破線に重なる部位が曲げられた部位を示している。また、これら図10〜図14においては、半導体装置S1の細部を省略している。
【0087】
[図10(a)、(b)の工程]
まず、個々の回路基板10が連結された多連状態の回路基板10を用意し、その一面11上に半導体素子20を搭載する(半導体素子搭載工程)。
【0088】
[図10(c)、(d)の工程]
次に、矩形板状のアイランドとしての板材60とリード部としてのリードフレーム30とが、吊りリードを含むフレーム部101により一体に連結されたリードフレーム素材100を用意し、このリードフレーム素材100を、回路基板10の一面11上にて導電性接続材24を介して、半導体素子20の上面21の上に搭載する(リードフレーム接続工程)。
【0089】
[図11(a)、(b)の工程]
次に、半導体素子20の上面21上にて、板材60およびリードフレーム30の上に、放熱シート50を介してヒートシンク40を搭載し、放熱シート50の接合力によりヒートシンク40を固定する(ヒートシンク搭載工程)。また、半田ボールなどを用いてバンプ13を形成する。
【0090】
[図11(c)、(d)の工程]
次に、ダイシングカットにより、多連状態のリードフレーム素材100および回路基板10をカットし、半導体装置S1の単位に個片化する(カット工程)。こうして、半導体装置S1ができあがる。以上が第1の方法である。
【0091】
また、図12、図13、図14は、本実施形態に係る半導体装置S1の製造方法の第2の方法を示す工程図であり、図12および図13において、それぞれ(a)、(c)は概略平面図、(b)は(a)の概略断面図、(d)は(c)の概略断面図であり、図14において、(a)は概略平面図、(b)は(a)の概略断面図である。
【0092】
[図12(a)、(b)の工程]
この第2の方法では、まず、多連状態のリードフレーム素材100に対して、導電性接続材24を介して、半導体素子20の上面21を接続する(リードフレーム接続工程)。
【0093】
[図12(c)、(d)の工程]
次に、プレス加工などにより、リードフレーム素材100を個々の半導体装置S1の単位にカットする(リードフレームカット工程)。
【0094】
[図13(a)、(b)の工程]
その後、個々の半導体装置S1の単位にて半導体素子20と板材60およびリードフレーム30とが組み付けられたワークを、多連状態の回路基板10の一面11上に搭載する(半導体素子搭載工程)。
【0095】
[図13(c)、(d)の工程]
次に、半導体素子20の上面21上にて、板材60およびリードフレーム30の上に、放熱シート50を介してヒートシンク40を搭載し、放熱シート50の接合力によりヒートシンク40を固定する(ヒートシンク搭載工程)。また、半田ボールなどを用いてバンプ13を形成する。
【0096】
[図14(c)、(d)の工程]
次に、ダイシングカットにより、多連状態の回路基板10をカットし、半導体装置S1の単位に個片化する(回路基板カット工程)。こうして、半導体装置S1ができあがる。以上が第2の方法である。
【0097】
上記第1の方法では、カット工程においてリードフレーム素材100および回路基板10の両方を一括してダイシングカットするため、特にリードフレーム素材100の方がダンシングしにくい場合がある。しかし、の第2の方法によれば、リードフレーム素材100をプレスなどの一般的な方法で予めカットするため、回路基板10のカットをスムーズに行いやすくなる。
【0098】
また、上記第1実施形態の半導体装置S1以外の上記各実施形態の半導体装置についても、本実施形態の製造方法を準用することによって容易に製造できることはもちろんである。
【0099】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、半導体素子20は、両面電極タイプのICチップとして構成されていたが、上面21のみに電極を有し、上面21側からのみ電気的な取り出しを行う、いわゆる片面電極タイプのものであってもよい。この場合には、半導体素子20の下面22とこれに対向する回路基板10の一面11とは、非導電性の接着剤を介して接続されたものにできる。
【符号の説明】
【0100】
10 回路基板
11 回路基板の一面
20 半導体素子
21 半導体素子の上面
30 接続部材としてのリードフレーム
30b リードフレームの上面
31 リードフレームの一端部
32 リードフレームの他端部
40 ヒートシンク
50 放熱性接続材としての放熱シート
51 板材接続用の放熱性接続材
52 放熱性接続材としての樹脂部材
60 板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板(10)と、
前記回路基板(10)の一面(11)上に搭載された半導体素子(20)と、
前記半導体素子(20)の上面(21)と前記回路基板(10)の一面(11)側とを電気的に接続する接続部材(30)と、
前記半導体素子(20)の上面(21)に接続されて前記半導体素子(20)の熱を放熱するヒートシンク(40)と、を備える半導体装置において、
前記接続部材は、板状をなすリードフレーム(30)であり、
前記リードフレーム(30)は、一端部(31)側が前記半導体素子(20)の上面(21)の周辺部に電気的に接続され、他端部(32)側が前記回路基板(10)の一面(11)まで延びて当該他端部(32)が前記回路基板(10)の一面(11)側に電気的に接続されたものであり、
前記ヒートシンク(40)は、前記半導体素子(20)の上面(21)の中央部、および、前記リードフレーム(30)の一端部(31)側の上面(30b)に放熱性接続材(50〜52)を介して接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体素子(20)の上面(21)の中央部と前記ヒートシンク(40)とは、放熱性を有する板材(60)を介して、接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記板材(60)と前記リードフレーム(30)とは同一の厚さであることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記板材(60)と前記リードフレーム(30)とは、同一材料よりなることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記リードフレーム(30)よりも前記ヒートシンク(40)の方が熱伝導性に優れた材料よりなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−253118(P2012−253118A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123200(P2011−123200)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】