説明

半導体製造装置及び半導体製造方法

【課題】エッチング工程を行う際の窒化膜のエッチング選択比を向上できる半導体製造装置及び方法を提供する。
【解決手段】半導体製造装置は工程チャンバー100の外部でジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oガスからプラズマを発生させ、発生されたプラズマを工程チャンバー100内へ供給する。ソースガスの変更無しで酸素の供給量及びチャックの温度を調節することによって、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比とポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比との相対的な大きさを逆に調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製造装置及び方法に関し、より詳細には基板をエッチングする装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を製造するためには蒸着、写真、エッチング、アッシング、及び洗浄等の多様な工程が要求される。これらの中でエッチング工程はウエハーのような半導体基板の上に形成された薄膜の中で望む領域を除去する工程であり、最近にはプラズマを利用して薄膜をエッチングする方法が使用されている。このようなエッチング工程で特に考慮されている要素の中で1つはエッチング選択比である。エッチング選択比は他の薄膜をエッチングすることなくエッチングしようとする薄膜のみをエッチングできる程度を示す。
【0003】
薄膜の中でシリコン窒化膜(Silicon Nitride:SiN)のエッチングは一般的に次のように行われる。先ず、工程チャンバー内のチャック(chuck)の上に基板を位置させ、工程チャンバー内へソースガスを供給し、これらのガスから工程チャンバー内でプラズマを発生させる。
【0004】
プラズマは薄膜と化学的に反応して基板上で薄膜を除去する。シリコン窒化膜をエッチングするためのソースガスとしては四フッ化炭素(CF、Tetrafluoromethane)、トリフルオロメタン(CHF、Trifluoromethane)、及び酸素Oが使用される。しかし,上述した装置構造及び上述したガスを使用してシリコン窒化膜をエッチングする場合、チャックの温度や工程チャンバー内の圧力等のような工程条件を多様に変化させてもシリコン酸化膜やポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比は約30:1〜50:1程度と低い。
【0005】
また、一般的にエッチング工程が行われる間、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比とポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比との相対的大きさは大きく変化せず、維持される。しかし、エッチング工程が進行するにしたがって基板の上に形成された薄膜の状態が変化する場合、上のようなエッチング方法で工程が進行する時、エッチングが非効率的になりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−0172584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、基板に対してエッチング工程遂行の時、他の薄膜に対する窒化膜のエッチング選択比を向上させることができる半導体製造装置及び方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、エッチング工程が行われる途中にシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比とポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比との相対的大きさを調節できる半導体製造装置及び方法を提供することにある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題はこれに制限されず、言及されていないその他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は基板の上に形成された窒化膜をエッチングする半導体製造方法を提供する。本発明の一実施形態によれば、工程チャンバー内に提供されたサセプタの上に基板を位置させ、前記工程チャンバーの外部で第1ソースガスからプラズマを発生させ、前記プラズマを前記工程チャンバーへ供給し、前記第1ソースガスはジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oを含み、工程進行の途中に前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度が変更される。
【0011】
一例によれば、前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度の中でいずれか1つは増加し、その他の1つは減少することができる。
【0012】
一例によれば、前記工程チャンバーの温度調節は前記サセプタの温度を調節することによって行うことができる。
【0013】
一例によれば、前記酸素の供給量は100〜2000SCCMの範囲と2000〜2500SCCMの範囲の間で変更され、前記工程チャンバーの温度は40℃〜70℃の範囲と10℃〜40℃の範囲の間に変更できる。
【0014】
前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度が変更されると、前記ジフルオロメタン供給量は一定に維持できる。
【0015】
前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度が変更されると、前記窒素ガスの供給量を変更できる。
【0016】
一例によれば、前記工程進行の際、前記サセプタの温度は0〜70℃であり、前記ジフルオロメタンCHガスの供給量は10〜500SCCMであり、前記窒素Nガスの供給量は100〜2500SCCMであり、前記酸素Oガスの供給量は100〜2500SCCMであってよく。また、前記工程チャンバー内の圧力は300〜1000mTorrであってよく。また、工程進行の際、前記プラズマを発生させるために供給される電力は1000〜3000Wでありうる。
【0017】
一例によれば、前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度を変更すると、前記電力の大きさも変更できる。
【0018】
また、前記プラズマが前記工程チャンバーへ供給される通路へ第2ソースガスが供給され、前記第2ソースガスは三フッ化窒素NFを含むことができる。工程進行の際、前記三フッ化窒素の供給量は0より大きくて1000SCCM以下でありうる。
【0019】
また、本発明はポリシリコン膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜が形成された基板の上でシリコン窒化膜をエッチングする半導体製造方法を提供する。前記半導体製造方法によれば、前記基板が工程チャンバー内のサセプタの上にローディングされた状態でジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oを含む第1ソースガスからプラズマを発生させて前記シリコン窒化膜をエッチングし、前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度を変更することによって前記シリコン酸化膜に対する前記シリコン窒化膜のエッチング選択比と前記ポリシリコン膜に対する前記シリコン窒化膜のエッチング選択比との相対的な大きさが調節される。
【0020】
一例によれば、前記プラズマは前記工程チャンバーの外部から発生させた後、前記工程チャンバーへ供給してもよい。
【0021】
一例によれば、前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度の中でいずれか1つは増加し、その他の1つは減少するように変更できる。
【0022】
一例によれば、前記工程チャンバーの温度調節は前記サセプタの温度を調節することを含み、前記酸素の供給量は100〜2000SCCMの範囲と2000〜2500SCCMとの範囲の間に変更され、前記サセプタの温度は40℃〜70℃の範囲と10℃〜40℃との範囲の間に変更できる。
【0023】
一例によれば、前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度を変更すると、前記ジフルオロメタンおよび前記窒素の供給量を変更できる。また、前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度を変更すると、前記工程チャンバー内の圧力は一定に維持されうる。
【0024】
一例によれば、前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度を変更すると、前記プラズマを発生させるために供給される電力の大きさを変更することができる。
【0025】
一例によれば、前記ジフルオロメタンCHの供給量は10〜500SCCMであり、前記窒素の供給量は100〜2500SCCMであり、前記酸素の供給量は100〜2500SCCMでありうる。また、前記基板が置かれるサセプタの温度は0〜70℃であり、前記工程チャンバー内の圧力は300〜1000mTorrでありうる。
【0026】
また、本発明は半導体製造装置を提供する。前記半導体製造装置はエッチング工程が行われる工程ユニット、前記工程ユニットの外部に提供され、前記工程ユニットにプラズマを供給するプラズマ供給ユニット、及び前記工程ユニット及び前記プラズマ供給ユニットを制御する制御器を含む。前記工程ユニットは工程チャンバー、前記工程チャンバー内に位置され、基板を支持し、加熱部材を有するサセプタを含む。前記プラズマ供給ユニットは前記工程ユニットの外部に提供され、内部に放電空間を有するプラズマチャンバー、前記放電空間へ第1ソースガスを供給する第1ソースガス供給部、前記放電空間で第1ソースガスからプラズマが発生するように電力を提供する電力印加部、及び前記放電空間で発生したプラズマが前記工程チャンバーへ供給される通路へ提供される流入ダクトを含む。前記第1ソースガスはジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oを含む。前記制御器は工程進行の途中に前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度を変更させる。
【0027】
一例によれば、前記プラズマチャンバーは前記工程チャンバーの上部で前記工程チャンバーに結合され、前記工程ユニットは前記サセプタの上部に位置され、上下方向に多数のホールが形成されたバッフルを含むことができる。
【0028】
一例によれば、前記プラズマ供給ユニットは前記放電空間で発生した前記プラズマが前記工程チャンバーに流れる通路へ第2ソースガスを供給する第2ソースガス供給部をさらに含み、前記第2ソースガスは三フッ化窒素NFを含むことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、基板に対してエッチング工程が行われる際の窒化膜のエッチング選択比を向上させることができる。
【0030】
また、本発明によれば、基板に対してプラズマを利用してエッチング工程を行う際のシリコン酸化膜やポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を大きく高くすることができる。
【0031】
さらに、本発明によれば、エッチング工程が行われる間に工程条件を変更することによって、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比とポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比との相対的な大きさを調節することができる。
【0032】
また、本発明によれば、同一のソースガスを使用する場合にも、使用される酸素ガス量及び/又は工程チャンバーの温度を変更してシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比とポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比との相対的な大きさを逆転できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態による半導体製造装置を概略的に示す図面である。
【図2】図1の装置を利用して第1工程条件でエッチング工程を行う際の、シリコン酸化膜とポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を示す実験例である。
【図3】図1の装置を利用して第2工程条件でエッチング工程を行う際の、シリコン酸化膜とポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を示す実験例である。
【図4】図1と異なる装置構造を利用してエッチング工程を行う際の、シリコン酸化膜とポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を示す実験例である。
【図5】本発明の一実施形態にしたがってエッチング工程を行う方法を順に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下添付された図面を参照して本発明の一実施形態による半導体製造装置及び半導体方法を詳細に説明する。
【0035】
本実施形態で基板は半導体ウエハーでありうる。しかし、これに限定されず、基板はガラス基板等のように他の種類の基板であってもよい。
【0036】
図1は本発明の一実施形態による半導体製造装置を示す図面である。
【0037】
図1を参照すれば、半導体製造装置1はプラズマを利用して基板Wの上の薄膜をエッチングする。基板にはポリシリコン膜、シリコン酸化膜、及びシリコン窒化膜を含む複数の膜が形成され、エッチングしようとする薄膜は窒化膜でありうる。一例によれば、窒化膜はシリコン窒化膜(Silicon Nitride)でありうる。
【0038】
半導体製造装置1は工程ユニット(Processing Unit、100)、排気ユニット(Exhausting Unit、200)、プラズマ供給ユニット(Plasma Supplying Unit、300)、及び制御器(図示せず)を有する。
【0039】
工程ユニット100は基板が置かれ、エッチング工程が行われる空間を提供する。排気ユニット200は工程チャンバー100の内部に留まる工程ガス及び基板処理過程で発生した反応産物等を外部へ排出し、工程チャンバー100の内の圧力を設定圧力に維持する。プラズマ供給ユニット300は工程ユニット100の外部で工程ガスからプラズマ(Plasma)を生成させ、これを工程ユニット100へ供給する。制御器は工程ユニット100及びプラズマ供給ユニット300を制御する。
【0040】
工程ユニット100は工程チャンバー110、基板支持部120、及びバッフル130を有する。工程チャンバー110の内部には基板処理工程を遂行する処理空間111が形成される。工程チャンバー110は上部壁が開放され、側壁には開口(図示せず)が形成されてもよい。基板は開口を通じて工程チャンバー110の内部に出入する。開口はドア(図示せず)のような開閉部材によって開閉されてもよい。工程チャンバー110の底面には排気ホール112が形成される。排気ホール112は排気ユニット200に連結され、工程チャンバー110の内部に留まるガスと反応産物とが外部へ排出される通路を提供する。
【0041】
基板支持部120は基板Wを支持する。基板支持部120はサセプタ121と支持軸122とを含む。サセプタ121は処理空間111の内に位置され、円板形状に提供される。サセプタ121は支持軸122によって支持される。基板Wはサセプタ121の上面に置かれる。サセプタ121の内部には電極(図示せず)が提供されてもよい。電極は外部電源に連結され、印加された電力によって静電気を発生させる。発生した静電気が基板Wをサセプタ121に固定してもよい。サセプタ121の内部には加熱部材125が提供されてもよい。一例によれば、加熱部材125はヒーティングコイルであってもよい。また、サセプタ121の内部には冷却部材126が提供されてもよい。冷却部材126は冷却水が流れる冷却ラインで提供されてもよい。加熱部材125は基板Wを既設定された温度に加熱する。冷却部材126は基板Wを強制冷却させる。
【0042】
また、工程チャンバー110の外側にウォールヒーター118が提供されてもよい。ウォールヒーター118はコイルの形状で提供されてもよい。選択的にウォールヒーター118は工程チャンバー110の外壁の内に提供されてもよい。バッフル130はサセプタ121の上部に位置する。バッフル130にはホール131が形成される。ホール131はバッフル130の上面から下面まで提供される貫通ホールとして提供され、バッフル130の各領域に均一に形成される。
【0043】
再び図1を参照すれば、プラズマ供給ユニット300は工程チャンバー110の上部に位置する。プラズマ供給ユニット300はソースガスを放電させてプラズマを生成し、生成されたプラズマを処理空間111へ供給する。プラズマ供給ユニット300はプラズマチャンバー310、第1ソースガス供給部320、第2ソースガス供給部322、電力印加部330、及び流入ダクト340を含む。
【0044】
プラズマチャンバー310は工程チャンバー110の外部に位置する。一例によれば、プラズマチャンバー310は工程チャンバー110の上部に位置されて工程チャンバー110に結合される。プラズマチャンバー310には上面及び下面が開放された放電空間311が内部に形成される。プラズマチャンバー310の上端はガス供給ポート315によって密閉される。ガス供給ポート315は第1ソースガス供給部320に連結される。第1ソースガスはガス供給ポート315を通じて放電空間311へ供給される。第1ソースガスはジフルオロメタンCH(Difluoromethane)、窒素N、及び酸素Oを含む。選択的に第1ソースガスは四フッ化炭素CF(Tetrafluoromethane)等他の種類のガスをさらに含んでもよい。
【0045】
電力印加部330は放電空間311へ高周波電力を印加する。電力印加部330はアンテナ331と電源332とを含む。
【0046】
アンテナ331は誘導結合形プラズマ(ICP)アンテナであって、コイル形状に提供される。アンテナ331はプラズマチャンバー310外部でプラズマチャンバー310に複数回巻かれる。アンテナ331は放電空間311に対応する領域でプラズマチャンバー310に巻かれる。アンテナ331の一端は電源332に連結され、他端は接地される。
【0047】
電源332はアンテナ331へ高周波電流を供給する。アンテナ331へ供給された高周波電力は放電空間311へ印加される。高周波電流によって放電空間311には誘導電気場が形成され、放電空間311の内の第1ソースガスは誘導電気場からイオン化に必要であるエネルギーを得てプラズマ状態に変換される。
【0048】
電力印加部330の構造は上述した例に限定されず、第1ソースガスからプラズマを発生させるための多様な構造を使用することができる。
【0049】
流入ダクト340はプラズマチャンバー310と工程チャンバー110との間に位置する。流入ダクト340は工程チャンバー110の開放された上面を密閉し、下端にバッフル130が結合する。流入ダクト340の内部には流入空間341が形成される。流入空間341は放電空間311と処理空間111とを連結し、放電空間311で生成されたプラズマが処理空間111へ供給される通路へ提供する。
【0050】
流入空間341は流入口341aと拡散空間341bとを含むことができる。流入口341aは放電空間311の下部に位置し、放電空間311に連結される。放電空間311で生成されたプラズマは流入口341aを通じて流入される。拡散空間341bは流入口341aの下部に位置し、流入口341aと処理空間111とを連結する。拡散空間341bは下に行くほど、断面積がだんだん広くなる。拡散空間341bは逆漏斗形状を有してもよい。流入口341aで供給されたプラズマは拡散空間341bを通過する間に拡散される。
【0051】
放電空間311で発生させたプラズマが工程チャンバー110へ供給される通路には第2ソースガス供給部322が連結されてもよい。例えば、第2ソースガス供給部322はアンテナ331の下端が提供される位置と拡散空間341bの上端が提供される位置との間にプラズマが流れる通路へ第2ソースガスを供給する。一例によれば、第2ソースガスは三フッ化窒素NF(Nitrogen Trifluoride)を含む。選択的に第2ソースガスの供給無しで第1ソースガスのみでエッチング工程を行なってもよい。
【0052】
次に、図1の半導体製造装置1を利用して基板Wをエッチングする方法を説明する。図1の半導体製造装置1は、工程処理ユニット100の外部でプラズマを発生させ、これをダウンストリーム(Downstream)方式によって工程チャンバー110へ供給するリモートプラズマ装置の1種である。本実施形態によれば、ソースガスにはジフルオロメタンCH、三フッ化窒素NF、窒素N、及び酸素Oが使用される。ジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oは放電空間311へ直接供給され、三フッ化窒素NFは放電空間311で発生させたプラズマが工程チャンバー110へ供給される通路へ供給される。第1ソースガスとしてさらに四フッ化炭素CFを加えて使用してもよい。
【0053】
エッチング工程の工程条件は次のとおりである。この場合シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜の選択比として約100:1〜3000:1を実現でき、ポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜の選択比を約100:1〜1000:1の高選択比で実現することができる。
【0054】
(工程条件)
サセプタの温度:0〜70℃
ジフルオロメタンCHガスの供給量:10〜500SCCM
三フッ化窒素NFガスの供給量:0〜1000SCCM
窒素Nガスの供給量:100〜2500SCCM
酸素Oガスの供給量:100〜2500SCCM
電力:1000〜3000W
工程チャンバー内の圧力:300〜1000mTorr。
【0055】
エッチング工程遂行の時、ソースガスとして四フッ化炭素CFやトリフルオロメタンCHFガスを使用する場合に比べてジフルオロメタンCHと窒素N、及び酸素Oとを共に使用する場合、ジフルオロメタンCHがポリシリコン膜(Poly Silicon)とシリコン酸化膜(Silicon Oxide)との上にCのポリマー膜を形成するメカニズムと、酸素Oと窒素Nとによって前記ポリマー膜を除去するメカニズムが同時に進行されることによって、ポリシリコン膜とシリコン酸化膜とに対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を大きく増加させることができる。
【0056】
また、エッチング工程を行う途中で工程条件の中でソースガスの種類を変更しなくとも、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比とポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比との相対的な大きさを変更することができる。
【0057】
選択比は、以下の第1工程条件でシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比はポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比より高い。
【0058】
(第1工程条件)
サセプタの温度:0〜40℃
ジフルオロメタンCHガスの供給量:10〜500SCCM
三フッ化窒素NFガスの供給量:0〜1000SCCM
窒素Nガスの供給量:100〜2500SCCM
酸素Oガスの供給量:2000〜2500SCCM
電力:1000〜3000W
工程チャンバー内の圧力:300〜1000mTorr。
【0059】
また、以下の第2工程条件でポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比はシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比より高い。
【0060】
(第2工程条件)
サセプタの温度:40〜70℃
ジフルオロメタンCHガスの供給量:10〜500SCCM
三フッ化窒素NFガスの供給量:0〜1000SCCM
窒素Nガスの供給量:100〜2500SCCM
酸素Oガスの供給量:100〜2000SCCM
電力:1000〜3000W
工程チャンバー内の圧力:300〜1000mTorr。
【0061】
図2は第1工程条件内の範囲でエッチング工程を行う際の、ポリシリコン膜及びシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を示す。図3は第2工程条件内の範囲でエッチング工程を行う際の、ポリシリコン膜及びシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比を示す。図2と図3を参照すれば、図2の工程条件ではシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比(180:1)がポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比(90:1)より高くて、図3の工程条件ではこれと反対にポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比(170:1)がシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比(90:1)より高いことが分かる。
【0062】
本発明の実施形態によれば、ソースガスの種類を変更せず、酸素ガスの供給量や工程チャンバー内の温度を調節することによって、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比とポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比との相対的な大きさを調節することができる。工程チャンバーの温度の調節はサセプタの温度を変更することによって行われてもよい。したがって、工程チャンバー110の内へソースガスを供給してエッチング工程を行う際、基板Wの上に形成されたシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、及びポリシリコン膜の状態等が変更される場合にもソースガスの種類の変更無しでシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比とポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比との相対的な大きさを調節することによって工程を行うことができる。
【0063】
図4は図1の装置構造と異なり、工程チャンバー内部で直接プラズマを発生させる構造の装置で、ソースガスとしてジフルオロメタンCH、酸素O、窒素N、及びアルゴンArガスを使用してエッチング工程を行う際の、シリコン酸化膜とポリシリコンとに対するシリコン窒化膜とのエッチング選択比を示す実験例である。
【0064】
図4に図示された実験例によれば、サセプタの温度、工程チャンバー内の圧力、ジフルオロメタンCH、アルゴンAr、酸素O、及び窒素Nの供給量、及び電力を図4のように提供すると、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比は約36:1であり、ポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比は約48:1であり、図1のような装置構造を使用してエッチング工程を遂行する時に比べて、エッチング選択比が相対的に非常に低いことが分かる。
【0065】
図5は図1の装置1を利用してシリコン窒化膜をエッチングする方法を示すフローチャートである。下のエッチング方法は制御器がソースガスの量、サセプタ120の温度、工程チャンバー110の内の圧力、電力の大きさ等を制御することによって行ってもよい。
【0066】
図5を参照すれば、最初に基板Wがサセプタ120の上へローディングされる(ステップS10)。初期にエッチング工程を行う際には第1工程条件にしたがってシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比がポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比より高くなるように工程を行う(ステップS20)。その後、一定の時間が経過後、基板Wがサセプタ120に保持されている状態で第2工程条件に変更する(ステップS30)。続いて、第2工程条件にポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比がシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比より高くなるように工程を行う(ステップS40)。
【0067】
第1工程条件から第2工程条件に変更する際に、酸素ガスの供給量、サセプタ120の温度、又は酸素ガスの供給量とサセプタ120の温度とを全て変更し、ジフルオロメタン、三フッ化窒素、窒素ガスの供給量及び工程チャンバー110内の圧力は同様に維持することができる。プラズマを発生させるために供給される電力は同様に維持するか、または変更することができる。工程が完了したら、サセプタ120から基板Wをアンローディングする(ステップS50)。
【0068】
しかし、これと異なりジフルオロメタン、三フッ化窒素、窒素ガスの供給量及び工程チャンバー110内の圧力もポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比とシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比との相対的な大きさ変更に影響を及ぼさない範囲内で変更できる。
【0069】
選択的に初期にエッチング工程を行う際に、第2工程条件にしたがって工程を遂行し、一定の時間が経過後、第1工程条件に変更して工程を行うこともできる。
【0070】
選択的に、第1工程条件と第2工程条件とを交互に適用しながら、エッチング工程を行なってもよい。
【0071】
上述した例では第1工程条件から第2工程条件に変更する際に、工程チャンバー110内の温度はサセプタ121の温度を調節して行われることを説明した。しかし、これに限定されず、工程チャンバー110の内の温度調節はウォールヒーター118の温度を調節することによって行われるか、またはウォールヒーター118とサセプタ121の温度を全て調節することによって行われうる。
【0072】
また、上述した例では第1工程条件と第2工程条件とで窒素ガスの供給量が一定であることと説明した。しかし、第1工程条件から第2工程条件に工程条件を変更する際に、窒素ガスの供給量を変化させうる。窒素ガスの供給量は窒化膜のエッチング量を調節することができる。例えば、窒素の供給量を増加させて窒化膜のエッチング量を減らすことができる。したがって、第1工程条件と第2工程条件とで窒素ガスの供給量変化によってポリシリコン膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比とシリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比とを調節して、これらの相対的な大きさを調節することができる。
【0073】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有するものであれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された実施形態は本発明の技術思想を限定するものではなく、単に説明するためのものであり、このような実施形態によって、本発明の技術的思想の範囲を限定するものではない。本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて解釈しなければならないし、それと同等な範囲内である全て技術的思想は本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0074】
100・・・工程チャンバー
200・・・排気ユニット
300・・・プラズマ供給部材
310・・・プラズマチャンバー
320・・・ソースガス供給部
330・・・電力印加部
340・・・流入ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に形成された窒化膜をエッチングする半導体製造方法において、
工程チャンバー内に提供されたサセプタの上に基板を位置させ、前記工程チャンバーの外部で第1ソースガスからプラズマを発生させ、前記プラズマを前記工程チャンバーへ供給し、
前記第1ソースガスはジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oを含み、
工程進行の途中に前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度が変更される半導体製造方法。
【請求項2】
前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度の中でいずれか1つは増加し、その他の1つは減少する請求項1に記載の半導体製造方法。
【請求項3】
前記工程チャンバーの温度調節は前記サセプタの温度を調節することを含む請求項1又は請求項2に記載の半導体製造方法。
【請求項4】
前記酸素の供給量は100〜2000SCCMの範囲と2000〜2500SCCMの範囲の間に変更され、前記サセプタの温度は40℃〜70℃の範囲と10℃〜40℃の範囲で変更される請求項1又は2に記載の半導体製造方法。
【請求項5】
前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度が変更される際に、前記ジフルオロメタンの供給量は一定に維持される請求項1に記載の半導体製造方法。
【請求項6】
前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度が変更される際に、前記窒素ガスの供給量は変更される請求項1に記載の半導体製造方法。
【請求項7】
前記工程チャンバーの温度を調節することは前記サセプタの温度を調節することを含み、
前記工程進行の際、前記サセプタの温度は0〜70℃であり、前記ジフルオロメタンCHガスの供給量は10〜500SCCMであり、前記窒素Nガスの供給量は100〜2500SCCMであり、前記酸素Oガスの供給量は100〜2500SCCMである請求項1に記載の半導体製造方法。
【請求項8】
前記工程チャンバー内の圧力は300〜1000mTorrであり、前記プラズマを発生させるために供給される電力は1000〜3000Wである請求項7に記載の半導体製造方法。
【請求項9】
前記プラズマが前記工程チャンバーへ供給される通路へ第2ソースガスが供給され、
前記第2ソースガスは三フッ化窒素NFを含む請求項7に記載の半導体製造方法。
【請求項10】
工程進行の際、前記三フッ化窒素の供給量は0より大きくて1000SCCM以下である請求項9に記載の半導体製造方法。
【請求項11】
ポリシリコン膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜が形成された基板の上でシリコン窒化膜をエッチングする半導体製造方法において、
前記基板が工程チャンバー内のサセプタの上にローディングされた状態でジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oを含む第1ソースガスからプラズマを発生させて前記シリコン窒化膜をエッチングし、
前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度を変更することによって、前記シリコン酸化膜に対する前記シリコン窒化膜のエッチング選択比と前記ポリシリコン膜に対する前記シリコン窒化膜のエッチング選択比との相対的な大きさが調節される半導体製造方法。
【請求項12】
前記プラズマは、前記工程チャンバーの外部で発生された後に前記工程チャンバーへ供給される請求項11に記載の半導体製造方法。
【請求項13】
前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度の中でいずれか1つは増加し、その他の1つは減少するように変更される請求項12に記載の半導体製造方法。
【請求項14】
前記工程チャンバーの温度変更は前記サセプタの温度変更を含み、
前記酸素の供給量が100〜2000SCCMの範囲と2000〜2500SCCMの範囲の間に変更され、前記サセプタの温度が40〜70℃の範囲と10〜40℃の範囲の間に変更される請求項11に記載の半導体製造方法。
【請求項15】
前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度を変更する際に、前記ジフルオロメタンの供給量及び前記工程チャンバー内の圧力が一定に維持される請求項12に記載の半導体製造方法。
【請求項16】
前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度を変更する際に、前記窒素の供給量が変更される請求項12に記載の半導体製造方法。
【請求項17】
前記ジフルオロメタンCHの供給量は10〜500SCCMであり、前記窒素の供給量は100〜2500SCCMであり、前記酸素の供給量は100〜2500SCCMである請求項9〜16のいずれかに記載の半導体製造方法。
【請求項18】
前記基板が置かれるサセプタの温度は0〜70℃であり、前記工程チャンバー内の圧力は300〜1000mTorrである請求項17に記載の半導体製造方法。
【請求項19】
半導体製造装置において、
エッチング工程が遂行される工程ユニットと、
前記工程ユニットの外部に提供され、前記工程ユニットへプラズマを供給するプラズマ供給ユニットと、
前記工程ユニット及び前記プラズマ供給ユニットを制御する制御器と、を含み、
前記工程ユニットは、
工程チャンバーと、
前記工程チャンバー内に位置され、基板を支持し、加熱部材を有するサセプタと、を含み、
前記プラズマ供給ユニットは、
前記工程ユニットの外部に提供され、内部に放電空間を有するプラズマチャンバーと、
前記放電空間へ第1ソースガスを供給する第1ソースガス供給部と、
前記放電空間の内で第1ソースガスからプラズマが発生するように電力を提供する電力印加部と、
前記放電空間で発生されたプラズマが前記工程チャンバーへ供給される通路へ提供される流入ダクトと、を含み、
前記第1ソースガスはジフルオロメタンCH、窒素N、及び酸素Oを含み、
前記制御器は工程進行の途中に前記酸素の供給量又は前記サセプタの温度を変更させる半導体製造装置。
【請求項20】
前記プラズマチャンバーは前記工程チャンバーの上部で前記工程チャンバーに結合され、
前記工程ユニットは前記サセプタの上部に位置され、上下方向に多数のホールが形成されたバッフルを含む請求項19に記載の半導体製造装置。
【請求項21】
前記プラズマ供給ユニットは前記放電空間で発生した前記プラズマが前記工程チャンバーに流れる通路へ第2ソースガスを供給する第2ソースガス供給部をさらに含み、
前記第2ソースガスは三フッ化窒素NFを含む請求項20に記載の半導体製造装置。
【請求項22】
請求項19〜21のいずれか1つに記載の半導体製造装置を利用して窒化膜をエッチングする半導体製造方法において、
前記放電空間に前記第1ソースガスを供給する段階と、
前記放電空間で前記第1ソースガスからプラズマを発生させる段階と、
前記放電空間で発生された前記プラズマを前記工程チャンバーへ供給する段階と、
前記プラズマに前記基板上の窒化膜をエッチングする段階と、を含み、
エッチング工程が進行される途中に前記酸素の供給量又は前記工程チャンバーの温度が変更される半導体製造方法。
【請求項23】
前記工程チャンバーの温度変更は前記サセプタの温度変更を含み、
前記エッチング工程が進行される間に前記ジフルオロメタンCHの供給量は10〜500SCCMであり、前記窒素の供給量は100〜2500SCCMであり、前記酸素の供給量は100〜2500SCCMであり、前記サセプタの温度は0〜70℃であり、前記工程チャンバー内の圧力は300〜1000mTorrであり、前記電力は1000〜3000Wである請求項22に記載の半導体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−110415(P2013−110415A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−255628(P2012−255628)
【出願日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【出願人】(504388695)ピーエスケー・インコーポレーテッド (16)
【Fターム(参考)】