説明

半導体集積回路装置の製造方法

【課題】複数の接触端子と複数のチップ電極の接触圧力のばらつきを低減する。
【解決手段】薄膜シート(第1シート)2は、複数のコンタクタ(接触端子)3が形成された主面(接触端子形成面)2a、および主面2aの反対側に位置する裏面2bを有する。また、薄膜シート2には、主面2aと裏面2bの間に複数の配線23、ダミー配線26が配置される。複数のコンタクタ3が配列されるコンタクタ群(第1接触端子群)の端部に配置されるコンタクタ3eとダミー配線26の間には、薄膜シート2の主面2aから裏面2bまでを貫通する開口部から成るスリット2dが、配線23に沿って形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置の製造技術に関し、特に、半導体集積回路装置の電極にプローブカードの接触端子を押し当てて行う半導体集積回路装置の電気的検査に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2005−136246号公報(特許文献1)、国際公開第2006/97982号公報(特許文献2)には、半導体集積回路装置の電極パッドにプローブカードの接触端子を押し当てて行う半導体集積回路の電気的検査(プローブ検査)の方法およびこれに用いるプローブカードが記載されている。
【0003】
特開2007-134554号公報(特許文献3)には、接触端子上に複数の配線層を積層した薄膜シートを有するプローブカードが記載されている。
【0004】
特開2008-164486号公報(特許文献4)には、接触端子上に形成されたスルーホールを介して接触端子と配線を電気的に接続した薄膜シートを有するプローブカードが記載されている。
【0005】
特開2005−302917号公報(特許文献5)には、薄膜シートに信号伝達には関与しないダミー配線を配置するプローブカードが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−136246号公報
【特許文献2】国際公開第2006/97982号公報
【特許文献3】特開2007-134554号公報
【特許文献4】特開2008-164486号公報
【特許文献5】特開2005−302917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体集積回路装置の検査技術としてプローブ検査がある。このプローブ検査は、所定の機能どおりに動作するか否かを確認する機能テストや、DC動作特性およびAC動作特性のテストを行って良品/不良品を判別するテスト等を含む。プローブ検査においては、ウエハ出荷対応(品質の差別化)、KGD(Known Good Die)対応(MCP(Multi-Chip Package)の歩留り向上)、あるいはトータルコスト低減などの要求から、ウエハ状態でプローブ検査を行う技術が用いられている。
【0008】
近年、半導体集積回路装置の多機能化が進行し、1個の半導体チップ(以下、単にチップと記す)に複数の回路を作りこむことが進められている。また、半導体集積回路装置の製造コストを低減するために、半導体素子および配線を微細化して、チップの面積を小さくし、半導体ウエハ(以下、単にウエハと記す)1枚当たりの取得チップ数を増加することが進められている。そのため、チップ電極(テストパッド、ボンディングパッド)数が増加するだけでなく、チップ電極の配置が狭ピッチ化し、チップ電極の面積も縮小されてきている。このようなチップ電極の狭ピッチ化に伴って、上記プローブ検査にカンチレバー状の接触端子を有するプローバを用いようとした場合には、接触端子をチップ電極の配置位置に合わせて設置することが困難になってしまう課題が存在する。
【0009】
本願発明者らは、半導体集積回路装置の製造技術を用いて形成された接触端子を有するプローバを用いることにより、チップ電極が狭ピッチ化したチップに対してもプローブ検査が実現できる技術について検討している。その中で、本願発明者らは、以下のようなさらなる課題を見出した。
【0010】
すなわち、プローブ検査では、複数の接触端子を、ウエハの主面に形成された複数のチップ電極と接触させるので、各接触端子と各チップ電極の接触圧力のばらつきを低減する技術が必要となる。接触圧力のばらつきが大きい場合、接触抵抗が不均一になり、正確な電気的検査が行えなくなる原因となる。
【0011】
また、接触圧力が大きすぎると、被検査対象であるウエハが破損する原因となる。このウエハの破損を防止する観点からは、接触圧力のばらつきの中心値(設計上の接触圧力)を低減することが有効であるが、このためには、ばらつきのマージンをさらに小さくする必要が生じる。
【0012】
また、本願発明者の検討によれば、複数の接触端子が形成されるシートの接触端子配置領域に均等な荷重を加えても、接触圧力のばらつきが生じることが判った。例えば、複数の接触端子が配列される接触端子群の端部に配置される接触端子の接触圧力は、他の接触端子の接触圧力よりも高くなる。また、接触端子群内において、複数の接触端子が密集して配置される密集配置領域と、散在して配置される散在配置領域を有している場合、散在配置領域に配置される接触端子の接触圧力は、密集配置領域に配置される接触端子の接触圧力よりも高くなる。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の接触端子と複数のチップ電極の接触圧力のばらつきを低減することのできる技術を提供することにある。
【0014】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0016】
すなわち、本願発明の一態様である半導体装置の製造方法は、以下の工程を含んでいる。(a)複数のチップ領域に区画され、前記複数のチップ領域の各々には半導体集積回路が形成され、主面上において前記半導体集積回路と電気的に接続する複数のチップ電極が形成された半導体ウエハを準備する工程を含む。また、(b)複数の第1配線が形成された配線基板と、前記複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面側に対向するように前記配線基板に保持された第1シートと、前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された接触端子配置領域を、前記第1シートの裏面より押圧する押圧部と、を有する第1カードを準備する工程を含む。また、(c)前記第1シートの前記複数の接触端子の先端を前記半導体ウエハの前記複数のチップ電極に接触させて前記半導体集積回路の電気的検査を行う工程を含む。
【0017】
また、前記第1シートは、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する前記裏面を含む。また、前記第1シートは、前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、前記裏面を有し前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、を含む。また、前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれる。また、前記複数の第2配線のうち、前記複数の第1接触端子に接続される前記複数の第2配線は、平面視において、前記第1方向と交差する方向に沿って延在するように配置される。また、平面視において、前記複数の第1接触端子のうち、前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子の前記第1接触端子群の反対側には、前記第1絶縁膜上に前記第2配線に沿って形成され、かつ、前記複数の接触端子とは電気的に接続されない第3配線が配置される。また、前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子と前記第3配線の間には、前記第1シートの前記接触端子形成面および前記裏面のうち、一方の面から他方の面までを貫通する開口部から成るスリットが、前記第2配線に沿って形成されているものである。
【0018】
また、前記端部は、前記接触端子配置領域の角部領域に配置される。
【発明の効果】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0020】
すなわち、本願発明の一態様によれば、複数の接触端子と複数のチップ電極の接触圧力のばらつきを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造フローの概要を示す説明図である。
【図2】図1に示すウエハ準備工程で準備するウエハの主面側を示す平面図である。
【図3】図2に示すウエハの一部の拡大断面図である。
【図4】図1に示す個片化工程で取得する複数の半導体チップのうちの一つの主面側を示す平面図である。
【図5】図1に示すプローブ検査工程で使用する半導体集積回路検査装置の概要構成を模式的に示す説明図である。
【図6】図5に示すプローブカードの全体構造を示す断面図である。
【図7】図5に示すプローブカードのウエハとの対向面側を示す平面図である。
【図8】図7に示す薄膜シートの配線レイアウトの概要を示す平面図である。
【図9】図7に示すコンタクタ配置領域の拡大平面図である。
【図10】図9のB部の拡大平面図である。
【図11】図10のC−C線に沿った拡大断面図である。
【図12】図10のD−D線に沿った拡大断面図である。
【図13】図11に対する他の実施態様である薄膜シートを用いて、コンタクタとウエハのパッドを接触させた状態を示す拡大断面図である。
【図14】図11に示す薄膜シートを用いて、コンタクタとウエハのパッドを接触させた状態を示す拡大断面図である。
【図15】図9のE部の拡大平面図である。
【図16】図15の変形例を示す拡大平面図である。
【図17】図10に示す薄膜シートの組立工程の一例を示す拡大断面図である。
【図18】図17に示す組立工程の変形例を示す拡大断面図である。
【図19】図4に対する変形例である半導体チップの主面側を示す平面図である。
【図20】図9に対する変形例である薄膜シートのコンタクタ配置領域周辺を示す拡大平面図である。
【図21】図20のF部の拡大平面図である。
【図22】図20のG部の拡大平面図である。
【図23】図21のH−H線に沿った拡大断面図である。
【図24】図20のK部の拡大平面図である。
【図25】図23に示す薄膜シートを用いて、コンタクタとウエハのパッドを接触させた状態を示す拡大断面図である。
【図26】図8に対する変形例である薄膜シートの配線レイアウトの概要を示す平面図である。
【図27】図26に示すコンタクタ配置領域の拡大平面図である。
【図28】図27のL部の拡大平面図である。
【図29】図28に示す薄膜シートの裏面側を示す拡大平面図である。
【図30】図29のM−M線に沿った拡大断面図である。
【図31】図30に示す薄膜シートの裏面から押圧を開始した状態を示す拡大断面図である。
【図32】図30に示す薄膜シートを用いて、コンタクタとウエハのパッドを接触させた状態を示す拡大断面図である。
【図33】図29のN−N線に沿った断面において、コンタクタとウエハのパッドを接触させた状態を示す拡大断面図である。
【図34】図27のP部の拡大平面図である。
【図35】図34に示す薄膜シートの裏面側を示す拡大平面図である。
【図36】図34のQ−Q線に沿った拡大断面図である。
【図37】図17に示す組立工程の変形例を示す拡大断面図である。
【図38】図18に示す組み立て工程の変形例を示す拡大断面図である。
【図39】図30に示す薄膜シートの変形例を示す拡大断面図である。
【図40】図30に示す薄膜シートの他の変形例を示す拡大断面図である。
【図41】図29に示す帯部材の全体構造と、コンタクタ群との相対的位置関係を模式的に示す拡大平面図である。
【図42】図41に対する変形例を模式的に示す拡大平面図である。
【図43】図27に対する変形例である薄膜シートのコンタクタ配置領域の拡大平面図である。
【図44】図43のL部の拡大平面図である。
【図45】図44に示す薄膜シートの裏面側を示す拡大平面図である。
【図46】図44のN−N線に沿った断面において、コンタクタとウエハのパッドを接触させた状態を示す拡大断面図である。
【図47】図45に示す帯部材の全体構造と、コンタクタ群との相対的位置関係を模式的に示す拡大平面図である。
【図48】図47に対する第1の変形例を模式的に示す拡大平面図である。
【図49】図47に対する第2の変形例を模式的に示す拡大平面図である。
【図50】図1に示す電気的検査工程を、複数のチップ領域に対して一括で行う場合に用いる薄膜シートのコンタクタ配置領域を模式的に示す拡大平面図である。
【図51】図1に示す電気的検査工程を、複数のチップ領域に対して一括で行う場合に用いる薄膜シートのコンタクタ配置領域を模式的に示す拡大平面図である。
【図52】図1に示す電気的検査工程を、複数のチップ領域に対して一括で行う場合に用いる薄膜シートのコンタクタ配置領域を模式的に示す拡大平面図である。
【図53】図1に示す電気的検査工程を、複数のチップ領域に対して一括で行う場合に用いる薄膜シートのコンタクタ配置領域を模式的に示す拡大平面図である。
【図54】図1に示す電気的検査工程を、複数のチップ領域に対して一括で行う場合に用いる薄膜シートのコンタクタ配置領域を模式的に示す拡大平面図である。
【図55】図1に示す電気的検査工程を、複数のチップ領域に対して一括で行う場合に用いる薄膜シートのコンタクタ配置領域を模式的に示す拡大平面図である。
【図56】図1に示す電気的検査工程を、複数のチップ領域に対して一括で行う場合に用いる薄膜シートの、図54に対する変形例を示す拡大平面図である。
【図57】図25に対する他の実施態様である薄膜シートを用いて、コンタクタとウエハのパッドを接触させた状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0023】
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を含むものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金めっき、Cu層、ニッケルめっき等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
【0024】
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0025】
また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0026】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するため、あるいは領域の境界を明示するために、ハッチングやドットパターンを付すことがある。
【0027】
また、本願発明を詳細に説明する前に、本願における用語の意味を説明すると次の通りである。
【0028】
プローブ検査とは、ウエハ工程(分割前に行うウエハに対する各種処理工程)が終了したウエハに対してプローバ(半導体集積回路検査装置)を用いて行われる電気的試験であって、チップ領域の主面上に形成された電極に接触端子の先端を当てて半導体集積回路の電気的検査を行うことをいう。プローブ検査には、所定の機能通りに動作するか否かを確認する機能テストやDC動作特性およびAC動作特性のテストを行って良品/不良品を判別するものである。各チップに分割してから(またはパッケージング完了後)行われる選別テスト(最終テスト)とは区別される。
【0029】
プローブカードとは、検査対象となるウエハと接触する接触端子および配線基板(配線基板)などを有する構造体をいい、プローバもしくは半導体集積回路検査装置とは、インタフェースリング、プローブカードおよび検査対象となるウエハを載せるウエハステージを含む試料支持系を有する検査装置をいう。
【0030】
テスタ(Test System)とは、半導体集積回路を電気的に検査するものであり、所定の電圧および基準となるタイミング等の信号を発生するものをいう。
【0031】
テスタヘッドとは、テスタと電気的に接続し、テスタより送信された電圧および信号を受け、電圧および詳細なタイミング等の信号を半導体集積回路に対して発生し、ポゴピンなどを介してプローブカードへ信号を送るものをいう。
【0032】
インタフェースリングとは、ポゴピンなどの導電路を介してテスタヘッドおよびプローブカードと電気的に接続し、テスタヘッドより送られてきた信号を後述するプローブカードへ送るものをいう。
【0033】
ポゴピン(POGO pin)またはスプリングプローブとは、接触ピン(プランジャ(接触針))をばね(コイルスプリング)の弾性力で電極(端子)に押し当てる構造を有し、必要に応じてその電極への電気的接続を行うようにした接触針をいい、たとえば金属製の管(保持部材)内に配置されたばねが金属ボールを介して接触ピンへ弾性力を伝える構成となっている。
【0034】
薄膜プローブ(membrane probe)、薄膜プローブシート、または薄膜シートとは、上記のような検査対象と接触する前記接触端子(突起端子)とそこから引き回された配線とが設けられ、その配線に外部接触用の電極が形成された薄膜をいう。薄膜シートは、例えば、厚さ10μm〜100μm程度のものをいい、シリコンウエハを半導体集積回路の製造に用いるのと同様な、ウエハプロセス、すなわちフォトリソグラフィ技術、CVD(Chemical Vapor Deposition)技術、スパッタリング技術およびエッチング技術などを組み合わせたパターニング手法によって、配線層およびそれに電気的に接続された先端部(接触端子)を一体的に形成されたもの等を言う。もちろん、プロセスは複雑になるが、一部を別に形成して、後に合体させることも可能である。
【0035】
接触端子、突起端子、コンタクタ、またはプローブとは、各チップ領域上に設けられた電極(チップ電極)に接触させて電気的特性の検査を行うための導電性の突起物をいう。
【0036】
(実施の形態1)
<半導体集積回路装置の製造方法>
まず、図1〜図4を用いて本実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法の全体の流れを説明する。図1は、本実施の形態の半導体集積回路装置の製造フローの概要を示す説明図である。また、図2は、図1に示すウエハ準備工程で準備するウエハの主面側を示す平面図、図3は、図2に示すウエハの一部の拡大断面図、図4は図1に示す個片化工程で取得する複数の半導体チップのうちの一つの主面側を示す平面図である。
【0037】
まず、図1に示すウエハ準備工程として、図2に示すように、例えば平面視において四角形を成す複数のチップ領域10aに区画されたウエハ(半導体ウエハ)WHを準備する。ウエハWHの複数のチップ領域10aの各々には半導体集積回路が形成され、主面上において半導体集積回路と電気的に接続する複数のパッド(電極、チップ電極、電極パッド)11(図4参照)が形成されている。
【0038】
図2に示すウエハWHの形成方法の一例について図3を用いて簡単に説明すると、例えば、以下のように形成される。まず、半導体基板準備工程(図1参照)で、主面(デバイス形成面)12aを有する半導体基板12を準備する。その後、半導体素子形成工程(図1参照)で、半導体基板12の主面12aにトランジスタやダイオードなどの複数の半導体素子(図示は省略)を形成する。その後、チップ配線層形成工程(図1参照)で、半導体基板12の主面12a上に配線層13を積層する。図3では、主面12a上に複数の配線層13を積層した例を示している。このチップ配線層形成工程では、最上層に複数のパッド11を形成し、各パッド11は配線層13が備える複数の配線13aを介して主面12aの複数の半導体素子と電気的に接続される。複数の配線13aは、配線層13が備える絶縁膜13bにより絶縁されている。これらの工程により、ウエハWHの主面12a側には、複数の半導体集積回路が形成される。その後、保護膜形成工程(図1参照)で、配線層およびパッド11を覆うように、保護膜(パッシベーション膜、絶縁膜)14を形成する。そして、保護膜14の一部に開口部14aを形成し、開口部14aにおいてパッド11を、保護膜14から露出させる。以上の工程により、ウエハWHには、複数の半導体チップ10が形成され、図2に示すウエハWHが得られる。なお、保護膜(パッシベーション膜、絶縁膜)14は、例えば、窒化シリコン膜、シリコン酸化膜、または窒化シリコン膜とシリコン酸化膜との積層膜で構成される。図4に示すように、本実施の形態では、平面視において四角形を成す半導体チップ10(チップ領域10a)の各辺に沿って、それぞれ複数のパッド11が配置されるパッド群(チップ電極群)を有している。言い換えれば、半導体チップ10(図2に示すチップ領域10a)の外縁を構成する四辺のうち、第1辺に沿って、複数のパッド11aが形成されたパッド群(チップ電極群)11Aが配置される。また、第2辺に沿って、複数のパッド11bが形成されたパッド群(チップ電極群)11Bが配置される。また、第3辺に沿って、複数のパッド11cが形成されたパッド群(チップ電極群)11Cが配置される。また、第4辺に沿って、複数のパッド11dが形成されたパッド群(チップ電極群)11Dが配置される。
【0039】
次に、図1に示すプローブ検査工程として、図2に示すウエハWHの電気的検査を行う。プローブ検査工程には、図1に示すように、プローブカード準備工程と、電気的検査工程が含まれる。なお、図1では、説明の便宜上、ウエハ準備工程と、プローブ検査工程を分けて示しているが、ウエハ準備工程をプローブ検査工程に含めて考えることもできる。このプローブ検査工程の詳細は、後述する。
【0040】
次に、図1に示す個片化工程として、図2に示すウエハWHをチップ領域10a毎に分割し、図4に示す半導体チップ(半導体集積回路装置)10を複数個取得する。本工程では、例えば、図2に示す複数のチップ領域10aそれぞれの間に配置されたスクライブ領域10bに沿ってウエハWHを切断し、チップ領域10a毎に個片化する。以上の工程により、本実施の形態の半導体集積回路装置である半導体チップ10が得られる。なお、上記は、半導体チップを製造する工程のうち、主要工程の概要を説明したものであり、種々の変形例を適用することができる。
【0041】
<半導体集積回路検査装置>
次に、図1に示すプローブ検査工程で使用する半導体集積回路検査装置(半導体検査装置)の概要を説明する。図5は、図1に示すプローブ検査工程で使用する半導体集積回路検査装置の概要構成を模式的に示す説明図、図6は、図5に示すプローブカードの全体構造を示す断面図、図7は、図5に示すプローブカードのウエハとの対向面(主面)側を示す平面図である。なお、図6は、図7のA−A線に沿った断面図である。
【0042】
図5に示すように、本実施の形態1のプローバ(半導体集積回路検査装置、半導体検査装置)PRは、プローブカードPRC、テスタヘッドTHD、インタフェースリングIFR、カードホルダCHD、ウエハステージWST、およびウエハチャック(ウエハ保持具)WCHなどから形成されている。テスタヘッドTHDとインタフェースリングIFRとの間、およびインタフェースリングIFRとプローブカードPRCとの間は、それぞれ複数本のポゴピンPGPを介して電気的に接続され、それによりテスタヘッドTHDとプローブカードPRCとの間が電気的に接続されている。また、テスタヘッドTHDは、テスタTに電気的に接続され、テスタTからプローブ検査に必要な電圧や信号電流が供給される。
【0043】
カードホルダCHDは、プローブカードPRCをプローバPRに機械的に接続するもので、かつ、ポゴピンPGPからの圧力によってプローブカードPRCに反りが生じてしまうことを防ぐ機械的強度を持つ。また、プローバPRの筐体内には、ウエハステージWSTが配置され、ウエハステージWST上には、ウエハチャックWCHが配置され、固定されている。被検査対象であるウエハWHは、複数のパッド11(図4参照)が形成された主面12a(図3参照)側をプローブカードPRCと対向させた状態でウエハチャックWCHに固定される。
【0044】
次に、図5に示すプローブカードPRCの構造について説明する。図6に示すようにプローブカードPRCは、複数の配線1cが形成された配線基板1を有している。また、プローブカードPRCは、配線基板1に保持された薄膜シート2を有している。薄膜シート2は、複数のコンタクタ(接触端子)3が形成された主面(接触端子形成面)2aおよび主面2aの反対側に位置する裏面2bを有し、主面2aがウエハWH(図5参照)の主面側に対向するように、配線基板1に保持されている。また、プローブカードPRCは、薄膜シート2のうち複数のコンタクタ3が形成された領域(図7に示すコンタクタ配置領域2c)を、裏面2bより押圧する押圧部4を有している。また、プローブカードPRCは、連結治具5aを介して押圧部4および薄膜シート2に一括して荷重を印加する加圧部5を有している。なお、押圧部4および加圧部5の詳細は後述する。
【0045】
配線基板1は、下面(シート保持面)1aおよび下面1aの反対側に位置する上面(裏面)1bを有し、平面視において円形を成す板材である(平面形状は図7参照)。本実施の形態の配線基板1は、下面1a、上面1b間に複数の配線層が積層された、所謂、多層配線基板である。各配線層には、それぞれ複数の配線1cが形成され、下面1a側と上面1b側は電気的に接続されている。配線基板1の下面1aには、この複数の配線1cと、それぞれ電気的に接続する複数の受け部(図示は省略)が形成されている。そして、この複数の受け部は、複数の配線1cを通じて、配線基板1の上面1bに設けられた複数のポゴ(POGO)座1dと電気的に接続している。このポゴ座1dは、テスタヘッドTHD(図5)とプローブカードとの間で、信号を入力、あるいは出力するポゴピンPGP(図5参照)を受ける端子となっている。つまり、ポゴ座1dは配線基板1(プローブカードPRC)の外部端子となっている。このため、図7に示すように、配線基板1の上面側には多数のポゴ座1dが配置されている。また、配線基板1の下面1aは、カードホルダCHD(図5参照)に接続され、固定される。
【0046】
薄膜シート2は、前記したように主面2a、裏面2bを有し、平面視において、配線基板1より直径が小さい円形を成す。詳細は後述するが、薄膜シート2は、例えばポリイミド樹脂を主成分とする基材を有する薄膜であって、柔軟性を有している。また、薄膜シート2は、裏面2bを配線基板1の下面1aと対向させた状態で、接続治具6により配線基板1に固定され、保持されている。図7に示すようにリング形状を成す複数の接続治具6によって、薄膜シート2の周縁部および周縁部よりも内側の領域が配線基板1に固定されている。
【0047】
また、配線基板1の中央には開口部1eが形成され、開口部1eの内側には、配線基板1の上面1b上に固定され、開口部1e内において配線基板1の下面1aよりも下方まで延在する張り出しリング7が配置されている。薄膜シート2の複数のコンタクタ3が形成された領域は、この張り出しリング7により、配線基板1の下方に向かって張り出され、カードホルダCHD(図5参照)の下面よりも下方に配置される。また、張り出しリング7の内側には接着リング8が配置されている。接着リング8は、接着剤(例えばエポキシ系接着剤)を介して薄膜シート2の裏面2b側に接着され、ボルトなどの接続治具を介して加圧部5と連結固定されている。これにより、加圧部5により加重を印加した際、あるいは押圧部4により薄膜シート2を押圧した際に、薄膜シート2に弛みが発生することを防止できる。
【0048】
また、押圧部4は、プランジャ4a、押圧具である押し駒4b、および押し駒4bの下面(押圧面)側に配置されるエラストマ(緩衝層)4cを備えている。押圧部4は、コンタクタ3が形成された領域の薄膜シート2を裏面(上面)2bから押し駒4bおよびエラストマ4cを介してプランジャ4aが押圧し、押し駒4bを押し出すことによって薄膜シート2を引き伸ばし、各コンタクタ3の先端の位置をそれぞれが対応するパッド11(図4参照)と対向する位置となるように調整する。プランジャ4aはプローブカードPRCの筐体に固定される。また、配線基板1もプローブカードPRCの筐体に固定されているので、プランジャ4aはこの筐体を介して配線基板1に固定されている。プランジャ4a内には、ばね4dが内蔵されており、このばね4dの弾性力によって一定の押圧力が押しピン4eを介して押し駒4b、エラストマ4cおよび薄膜シート2へ伝わる構造となっている。本実施の形態1において、押し駒4bの材質としては、42アロイを例示することができる。また、エラストマ4cとしてはシリコンシートを例示することができる。
【0049】
また、加圧部5は、押圧部4と加圧部5を連結する連結治具5aおよび連結治具5aに固定される複数(図6では2個)のばね5bを有している。図示は省略するが、このばね5bは、例えば配線基板1の平面において約8箇所〜12箇所に配置されている。このばね5bの一方の端部は、配線基板1に固定され、他方の端部は連結治具5aに固定されている。ばね5bの弾性力は、プローブ検査時においてコンタクタ3がパッド11(図4参照)と接触し、プローブカードPRCがパッド11に向かって押し込まれた際に連結治具5aに作用する。この時、加圧部5は押圧部4および接着リング8と固定され、連結治具5a、押し駒4b、エラストマ4c、接着リング8およびプランジャ4aは一体(加圧機構)となっていることから、ばね5bの弾性力は、これら一体となった部材をパッド11に向かって押し下げるように作用する。このため、プランジャ4a内のばね4dから薄膜シート2へ伝わる押圧力は、主として薄膜シート2の引き伸ばしに用いられることになる。
【0050】
プローブ検査工程(図1参照)では、薄膜シート2を配線基板1に保持させた後、薄膜シート2のうち、複数のコンタクタ3が形成されたコンタクタ配置領域(接触端子配置領域)2cを、押圧部4により裏面2b側からエラストマ(緩衝層)4cを介して押圧する。これにより、薄膜シート2は引き伸ばされ、主面2aに配置された複数のコンタクタ3は、所定の位置(電気的検査工程において、複数のパッド11(図4参照)と対向する位置)に位置合わせされる(シート引き伸ばし工程)。このシート引き伸ばし工程は、電気的検査工程(図1参照)において、複数のコンタクタ3と複数のパッド11(図4参照)を接触させる前に予め行う。例えば、シート引き伸ばし工程は、図1に示すプローブカード準備工程に含まれる。そして、電気的検査工程(図1参照)では、複数のコンタクタ3と複数のパッド11(図4参照)を接触させることで、加圧部5のばね5bの弾性力が、押圧部4を介して薄膜シート2の複数のコンタクタ3に伝達される(加圧工程)。
【0051】
ところで、以下で詳述する薄膜シート2は、図6に示す本実施の形態のプローブカードPRCの変形例に適用することもできる。例えば、図6に示す加圧部5を配置せず、押圧部4のプランジャ4aを配線基板1に固定した変形例に適用することができる。この場合、パッド11(図4参照)への荷重制御はプランジャ4aのみで行うことになる。ただし、プランジャ4aは、押し駒4bを押し出して薄膜シート2を配線基板1の下面1aより下方に張り出させるためにも用いられる。したがって、確実に薄膜シート2を配線基板1の下面1aよりも下方に張り出し、かつ低荷重でコンタクタ3をパッド11に接触させる観点から、本実施の形態では、押圧部4と加圧部5を備えたプローブカードPRCを採用している。
【0052】
<薄膜シートの詳細構造>
次に、図6および図7に示す薄膜シート2の詳細構造について説明する。図8は、図7に示す薄膜シートの配線レイアウトの概要を示す平面図、図9は、図7に示すコンタクタ配置領域の拡大平面図である。また、図10は、図9のB部の拡大平面図、図11は図10のC−C線に沿った拡大断面図、図12は図10のD−D線に沿った拡大断面図である。
【0053】
図9に示すように、薄膜シート2の主面2a側に配置されるコンタクタ配置領域(接触端子配置領域)2cには、複数のコンタクタ3が形成されている。本実施の形態では、図4に示すように平面視において四角形を成すチップ領域10aの各辺に沿ってそれぞれ複数のパッド11が配置されたウエハWH(図2参照)を検査する。このため、図8および図9に示すコンタクタ配置領域2cは、平面視において四角形を成し、各辺に沿ってそれぞれ複数のコンタクタ3が配置されている。言い換えれば、コンタクタ配置領域2cの外縁を構成する四辺のうち、第1辺に沿って、複数のコンタクタ3aが形成されたコンタクタ群(接触端子群)3Aが配置される。また、第1辺と交差する第2辺に沿って、複数のコンタクタ3bが形成されたコンタクタ群(接触端子群)3Bが配置される。また、第1辺と対向する第3辺に沿って、複数のコンタクタ3cが形成されたコンタクタ群(接触端子群)3Cが配置される。また、第2辺と対向する第4辺に沿って、複数のコンタクタ3dが形成されたコンタクタ群(接触端子群)3Dが配置される。
【0054】
また、図10〜図12に示すように、薄膜シート2は、主面(接触端子形成面)2aを有するポリイミド膜(絶縁膜)22を有している。複数のコンタクタ3は、ポリイミド膜22が有する主面2aに固定されている。また、図10に示すように、複数のコンタクタ3aは、コンタクタ群3Aの延在方向(配列方向、第1方向)に沿って配置されている。薄膜シート2の各コンタクタ3は、図4に示す複数のパッド11と対向する位置に配置されるように形成されている。なお、図10では、図9に示す各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dのうち、コンタクタ群3A、3Dの拡大図を例示的に示している。以下、コンタクタ3の周辺構造について、コンタクタ3aを例として説明するが、特に、異なる構造である旨説明する場合を除き、コンタクタ3b、3c、3dの周辺構造も同様である。
【0055】
図11および図12に示すように、複数のコンタクタ3は、それぞれ金属膜21からなる。本実施の形態では、例えば、下層からロジウム膜21aおよびニッケル膜21bが順次積層された積層膜となっている。このコンタクタ3は、薄膜シート2中にて平面四角形状にパターニングされた金属膜21であり、薄膜シート2の主面2aよりも下方に突出するように形成されている。コンタクタ3の形状は種々の変形例を適用することができるが、本実施の形態では、例えば、図10および図12に示すように角柱状に形成された台座部の下面に四角錐台形型に形成された突起部が形成された形状となっている。また、台座部の側面は、その一部がポリイミド膜22に覆われている。このように、コンタクタ3の突起部上に台座部を形成することにより、コンタクタ3の高さを高くすることができる。このため、プローブ検査を行う際には、薄膜シート2の主面2aからコンタクタ3の先端までの距離を長くすることができる。例えば、本実施の形態では、薄膜シート2の主面2aからコンタクタ3の先端までの距離は、約50μmとなっている。これにより、プローブ検査時にポリイミド膜22と被検査対象物であるウエハWH(図2参照)の表面が接触することを防止ないしは抑制できる。
【0056】
また、薄膜シート2は、ポリイミド膜22と裏面2bの間に形成される複数の配線23を有している。複数の配線23は、それぞれ下層から導体膜23aおよび導体膜23bが順次積層された積層膜となっている。導体膜23aは、配線23を形成するための下地導体膜であって、例えば、膜厚0.1μm程度のクロム膜および膜厚1μm程度の銅膜を順次スパッタリング法または蒸着法によって堆積することによって成膜することができる。また、導体膜23bは、配線23の寄生インダクタンス(例えば配線抵抗)を低減する主導体膜であって、例えば、銅膜、または銅膜およびニッケル膜を下層から順次堆積した積層膜を例示することができる。これら複数の配線23はポリイミド膜25により覆われている。言い換えれば、薄膜シート2は、ポリイミド膜22上に、複数の配線23およびこれらを覆う絶縁膜であるポリイミド膜25からなる配線層24が積層されている。
【0057】
また、複数の配線23は、それぞれ、図6に示す配線基板1との接続部(例えば前記した受け部)まで引き出され、配線基板1の複数の配線1cと電気的に接続されている。複数の配線23は、図6に示すコンタクタ配置領域2c内から配線基板1の下面1aに向かって放射状に引き出され、配線基板1の下面1aにおいて、複数の配線1cとそれぞれ電気的に接続される。例えば、図8に模式的に示すように、コンタクタ配置領域2c内のコンタクタ3と接続される配線23は、コンタクタ配置領域2c内から各コンタクタ群の延在方向と直交する方向(第2方向)に引き出される(延在する)。直交方向に引き出される距離は、略円形の平面形状を成す薄膜シート2の中心から約1/3〜1/2程度となっている。また、配線23は、そこからさらに薄膜シート2の外縁(周縁部)に向かって、放射状に引き出される。そして、薄膜シート2の周縁部付近で図6に示す配線基板1の複数の受け部(図示は省略)と複数の配線23が電気的に接続される。また、複数の配線23のコンタクタ配置領域2c内の端部は、コンタクタ3よりもさらに内側まで延在している。なお、図11および図12では、ポリイミド膜22上に一層の配線層24を積層する例を示しているが、配線層24の数はこれに限定されない。例えば、配線層24上に、さらに別の配線層を積層し、二層以上の積層構造とすることもできる。この場合、配線の引き回しスペースを増加させることができるので、コンタクタ配置領域2c内に配置するコンタクタ3の数が増加しても、それぞれを電気的に接続することができる。
【0058】
また、複数の配線23は、複数のコンタクタ3とそれぞれ電気的に接続されている。図11および図12に示すようにポリイミド膜22のコンタクタ3上には、スルーホール(開口部)TH1が形成され、スルーホールTH1の底部において、ポリイミド膜22上に形成される配線23とコンタクタ3が電気的に接続されている。本実施の形態では、スルーホールTH1は、コンタクタ3の直上に形成している。このように、スルーホールTH1をコンタクタ3の直上に配置することにより、スルーホールTH1の配置スペースを低減することができるので、コンタクタ3の狭ピッチ化に対応することができる。
【0059】
また、図10に示すように、複数の配線23のうち、複数のコンタクタ3aに接続される複数の配線23は、平面視において、コンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)と交差(直交)する方向に沿って延在するように配置されている。このように複数の配線23をコンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)と交差(直交)する方向に沿って延在させることにより、複数のコンタクタ3の配置ピッチが詰まっている場合でも、複数の配線23を効率的に引き出すことができる。また、図8に示されるように、配線23は、そこからさらに薄膜シート2の外縁(周縁部)に向かって、放射状に引き出される。薄膜シート2の周縁部付近で図6に示す配線基板1の複数の受け部(図示は省略)と複数の配線23が電気的に接続される。複数の配線23のコンタクタ配置領域2c内の端部は、コンタクタ3よりもさらに内側まで延在している。配線層24(図11および図12参照)の配線23は、薄膜シート2の応力を均一にするために、密度が均等になるように構成される。
【0060】
また、図8および図10〜図12に示すように薄膜シート2には、複数の配線23の間に複数のダミー配線26が形成されている。図10に示すように複数のダミー配線26は、複数の配線23と同様に、ポリイミド膜22上に積層される配線層24内に形成されている。言い換えれば、複数のダミー配線26は、ポリイミド膜22上に形成され、ポリイミド膜25により覆われている。薄膜シート2は前記したようにポリイミドを主成分とする薄いシートであり、図6に示す押圧部4を下方に押し出すことで、薄膜シート2を引き伸ばしてコンタクタ3とパッド11(図4参照)の位置を調整する(シート引き伸ばし工程)。しかし、薄膜シート2内に複数の配線23が離間して形成する場合、配線23を配置した領域と配置しない領域の間で、薄膜シート2が引き伸ばされる挙動が変化して、一様に引き伸ばすことが困難になる。この結果、薄膜シート2に弛みが発生し、コンタクタ3とパッド11(図4参照)の位置ずれが発生する原因となる。配線23が形成されない領域に、複数のダミー配線26を形成することで、配線23が形成されていない領域の面積を低減している。これにより、薄膜シート2の硬さや剛性が一様になるので、前記シート引き伸ばし工程において、弛みが発生することを防止ないしは抑制できる。
【0061】
これら、複数のダミー配線26は、複数のコンタクタ3とは電気的に接続されていないので、非導電性材料で構成することもできる。ただし、複数のダミー配線26は、図11および図12に示すように複数の配線23と同様にそれぞれ下層から導体膜23aおよび導体膜23bが順次積層された積層膜とすることが好ましい。配線23とダミー配線26の構成部材を共通化することで、薄膜シート2の硬さや剛性などの機械的特性を一様化することができる。また、配線23とダミー配線26の構成部材を共通化することで、薄膜シート2を形成する際に、複数の配線23と複数のダミー配線26を一括して形成することができる。また、複数のダミー配線26は、複数のコンタクタ3とは電気的に接続されていないので、複数の配線23が形成された領域の間に自由に配置することができる。ただし、複数の配線23が密集して配置されるコンタクタ3の周辺では、効率的にダミー配線26を配置する観点から、配線23に沿ってダミー配線26を配置することが好ましい。
【0062】
図10および図12に示すように、コンタクタ群3Aの領域内において、複数の配線23の間に配線23に沿ってそれぞれダミー配線26を配置している。これにより、薄膜シート2の裏面2bの平坦度を向上させることができる。ただし、複数の配線23間の配置ピッチが狭く、ダミー配線26の配置スペースが確保できない場合には、複数の配線23の間にダミー配線26を配置しない構成とすることもできる。また、図10に示すように、複数のコンタクタ群3A、3Bが交差する角部領域(コーナ部)2fでは、複数のコンタクタ3aのうち、コンタクタ群3Aの端部に配置されるコンタクタ3eのコンタクタ群3Aとは反対側に、複数のダミー配線26が、配線23に沿って形成されている。また、複数のコンタクタ3bのうち、コンタクタ群3Bの端部に配置されるコンタクタ3eのコンタクタ群3Bとは反対側に、複数のダミー配線26が、配線23に沿って形成されている。また、図示は省略するが、コンタクタ群3A、3Bの反対側の端部、および図9に示すコンタクタ群3C、3Dの両端部においても同様に複数のダミー配線26が配線23に沿って配置されている。なお、角部領域2fとは、図9に示すように四角形の平面形状を成すコンタクタ配置領域2cの各辺に沿ってコンタクタ群3A、3B、3C、3Dが配置されている場合に、2つのコンタクタ群の延長線が交差する領域をいう。図9および図10では、角部領域2fにハッチングを付して示している。複数のコンタクタ群3A、3Bが交差する角部領域(コーナ部)2fでは複数の配線23が形成されない領域の面積が特に広くなるので、薄膜シート2を引き伸ばす際に弛みが発生し易いが、ダミー配線26をそれぞれ配置することにより、この弛みの発生を抑制することができる。
【0063】
ここで、図10および図11に示すように、本実施の形態の薄膜シート2は、コンタクタ群3Aの端部に配置されるコンタクタ3eとダミー配線26の間に、スリット2dが形成されている。図10および図11では、コンタクタ3eとコンタクタ3eの隣に配置されるダミー配線26の間にスリット2dが形成されている。また、図10に示すようにコンタクタ群3Bの端部に配置されるコンタクタ3eとダミー配線26の間に、スリット2dが形成されている。図10では、コンタクタ3eとコンタクタ3eの隣に配置されるダミー配線26の間にスリット2dが形成されている。また、図示は省略するが、コンタクタ群3A、3Bの反対側の端部、および図9に示すコンタクタ群3C、3Dの両端部においても端部に配置されるコンタクタ3eとダミー配線26の間に、スリット2dがそれぞれ形成されている。これらのスリット2dは、図11に示す薄膜シート2の主面2aおよび裏面2bのうち、一方の面から他方の面までを貫通する開口部から成る。また、これらのスリット2dは、スリット2dの隣に配置される配線23(およびダミー配線26)に沿って形成されている。スリット2dは、例えば、薄膜シート2の薄膜シート2の主面2aおよび裏面2bのうち、一方の面から他方の面に向かってレーザ光を照射することにより形成することができる。スリット2dのさらに詳細な構造およびこのスリット2dを形成する理由は後述する。
【0064】
<コンタクタの接触圧力の検討>
次に、スリット2d周辺のさらに詳細な構造およびこのスリット2dを形成する理由について詳細に説明する。まず、図1に示す電気的検査工程において生じる課題について、本願発明者が検討した他の実施態様(比較例)を用いて説明した後、本実施の形態の詳細構造について説明する。図13は、図11に対する別の実施態様である薄膜シートを用いて、コンタクタとウエハのパッドを接触させた状態を示す拡大断面図である。なお、図13に示す実施態様は、薄膜シートの裏面の構造を除き、本実施の形態と同様である。したがって、以下の説明において、薄膜シートが取り付けられるプローブカードの他の部材については、必要に応じ、図6等を参照して説明する。
【0065】
まず、図13に示す薄膜シート100は、図11に示す薄膜シート2のスリット2dが形成されていない点で本実施の形態と相違する。その他の点については、本実施の形態の薄膜シート2と同様である。
【0066】
図13に示すように、プローブ検査工程(図1参照)では、前記したシート引き伸ばし工程の後で、薄膜シート100の複数のコンタクタ3の先端をウエハWHの複数のパッド11にそれぞれ接触させて半導体集積回路の電気的検査を行う。図13では、コンタクタ3とパッド11の接触時の衝撃を緩和する観点から、押し駒4bと薄膜シート100の裏面2bの間に緩衝層としてエラストマ4cを配置する。また、押圧部4と薄膜シート100の裏面2bの密着界面における摺動性を向上させる観点から、エラストマ4cと薄膜シート100の裏面2bの間にさらに薄膜シート100と別体で形成されたポリイミドシート4fを配置している。図13では、それぞれ別体に形成された2枚のポリイミドシート4fを重ねて配置する例を示している。つまり、コンタクタ3とパッド11の接触圧力は、前記した加圧工程において、主に加圧部5(図6参照)から印加される荷重により調整されるが、これらの荷重は緩衝層であるエラストマ4cを介して薄膜シート100に伝達される。
【0067】
ここで、図6に示すように、薄膜シート100(図13参照)のコンタクタ配置領域2cに一様に荷重を伝達するため、押し駒4bおよび押し駒4bの下層に配置されるエラストマ4c(およびエラストマ4cの下層に配置される図13に示すポリイミドシート4f)は、薄膜シート100(図13参照)の裏面2bにおいて、コンタクタ配置領域2cよりも広い範囲を覆っている。つまり、図13に示すように、薄膜シート100の裏面2bにおいて、エラストマ4cを介して荷重を受ける荷重伝達領域には、複数のコンタクタ3上の領域2e、およびその周辺領域(例えば角部領域2f)が含まれる。一方、薄膜シート2の主面側においてウエハWHと接触するのは、複数のコンタクタ3であって、角部領域2fの主面側はウエハWHとは接触しない。
【0068】
このため、図13で矢印50を付して示すように、エラストマ4cから薄膜シート2の裏面2bに向かって伝達される荷重が、裏面2bにおいて、一様になっていた場合でも、コンタクタ3に伝わる荷重は一様にはならない。すなわち、複数のコンタクタ3のうち、コンタクタ群の端部に配置されていないコンタクタ3は、両隣に別のコンタクタ3が配置されているので、コンタクタ3の直上以外の領域から伝達される荷重は、両隣のコンタクタ3と分散して受けることができる。一方、コンタクタ群の端部に配置されるコンタクタ3eは、両隣のうちの一方しか、コンタクタ3が配置されていない。このため、コンタクタ3e上の領域2eからの荷重に加え、その周辺領域(例えば、図13に示す複数のダミー配線26が形成された角部領域2f)からの荷重も伝達される。特に、コンタクタ3eは、図10に示すように、複数のコンタクタ群3A、3Bが交差する角部領域(コーナ部)2fと隣接して配置されるため、角部から伝達される荷重量が大きくなる。この結果、端部に配置されるコンタクタ3eとパッド11の接触圧力は、他のコンタクタ3とパッド11の接触圧力よりも高くなる。
【0069】
また、コンタクタ3eとパッド11の接触圧力が大きくなると、コンタクタ3eがパッド11に深く食い込むので、その反動により、コンタクタ3eの隣に配置されるコンタクタ3fが浮き上がり、コンタクタ3fとパッド11の接触圧力は、他のコンタクタ3とパッド11の接触圧力よりも低くなる。つまり、複数のコンタクタ3の接触圧力のばらつきが増大してしまう。
【0070】
そして、接触圧力のばらつきが大きい場合、接触抵抗が不均一になり、正確な電気的検査が行えなくなる原因となる。例えば、接触圧力が低い箇所では、検査のための信号電流が流れず、導通不良(オープン不良)の原因となる。また、接触圧力が大きすぎると、被検査対象であるウエハが破損する原因となる。このウエハの破損を防止する観点からは、接触圧力のばらつきの中心値(設計上の接触圧力)を低減することが有効であるが、このためには、ばらつきのマージンをさらに小さくする必要が生じる。特に近年では、プローブ検査時に被検査対象であるウエハの破損を防止する観点から、コンタクタ3とパッド11の接触圧力をさらに低減する要求がある。例えば、半導体チップ10(図4参照)の回路動作を向上させる観点から、層間絶縁膜である絶縁膜13bとして、比誘電率が保護膜14よりも低く、例えば約3.0未満の絶縁膜(Low−k絶縁膜と呼ばれる)を用いる技術がある。Low−k絶縁膜の形成方法としては、例えば、SiOC等のシリカガラス系の材料をCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成する方法がある。また例えば、または炭素含有シリコン酸化物系の材料をCVD法により形成する方法、あるいは、絶縁膜をポーラスな構造とすることで、比誘電率を低減する方法がある。上記したLow−k絶縁膜は、保護膜14よりも比誘電率が低いという電気的特性を有するが、一方で、機械的強度(破壊耐性)が保護膜14よりも低いという特性も有している。このため、コンタクタ3とパッド11の接触圧力が高い場合、絶縁膜13bや、回路が破壊される原因となる。
【0071】
<本実施の形態の薄膜シートのスリット周辺の詳細>
次に、上記検討結果を踏まえ、本実施の形態のスリット2d周辺のさらに詳細な構造、および好ましい実施態様について説明する。図14は、図11に示す薄膜シートを用いて、コンタクタとウエハのパッドを接触させた状態を示す拡大断面図である。
【0072】
図14に示すように、本実施の形態のプローブ検査工程(図1参照)では、前記したシート引き伸ばし工程の後、薄膜シート2の複数のコンタクタ3の先端を、ウエハWHの複数のパッド11にそれぞれ接触させて半導体集積回路の電気的検査を行う。本実施の形態では、図13に示す比較例と同様に、コンタクタ3とパッド11の接触時の衝撃を緩和する観点から、押し駒4bと薄膜シート2の裏面2bの間に緩衝層としてエラストマ4cを配置する。また、押圧部4と薄膜シート2の裏面2bの密着界面における摺動性を向上させる観点から、エラストマ4cと薄膜シート2の裏面2bの間に、薄膜シート2と別体で形成されたポリイミドシート4fをさらに配置している。図14では、それぞれ別体に形成された2枚のポリイミドシート4fを重ねて配置する例を示している。これらエラストマ4cとポリイミドシート4fは、単に、押し駒4bと薄膜シート2の裏面2bの間に配置して押圧部4(図6参照)の押圧力により固定することもできるが、本実施の形態では、押し駒4bの下面とエラストマ4cの上面を接着固定している。これにより、押し駒4bとエラストマ4cが一体化され、押圧面側に緩衝層が配置された押圧具となる。また、本実施の形態では、エラストマ4cの下面にポリイミドシート4fを接着固定している。これにより、押し駒4b、エラストマ4c、およびポリイミドシート4fが一体化され、押圧面に薄膜シート2との摺動性が良好なポリイミド膜を備える押圧具となる。
【0073】
ここで、本実施の形態では、コンタクタ群の端部に配置されるコンタクタ3eとダミー配線26の間に、スリット2dが配線23(およびダミー配線26)に沿って形成されている。一方、コンタクタ3eとコンタクタ3fの間には、スリット2dが形成されていない。そしてスリット2dは、薄膜シート2の主面2aおよび裏面2bのうち、一方の面から他方の面までを貫通する開口部から成る。このため、例えば、図14に示す角部領域2fに伝達された荷重の一部は、薄膜シート2の角部領域2fを下方に押し下げる力に変換されて緩和される。また、図14に示す角部領域2fに伝達された荷重の他部は、スリット2dよりも外側(図9に示すコンタクタ配置領域2cの外縁部側)の領域で分散される。このため、コンタクタ3eに伝達される荷重は、コンタクタ3上の領域2eから伝達される荷重およびその周辺のスリット2dとの境界線までの僅かな領域から伝達される荷重となる。つまり、コンタクタ3eに伝達される荷重を、周囲のコンタクタ3に伝達される荷重と同程度にすることができる。言い換えれば、スリット2dは、角部領域2fからコンタクタ3eに直接的に荷重が伝達される経路を分断する開放端となっている。この結果、端部に配置されるコンタクタ3eとパッド11の接触圧力は、他のコンタクタ3とパッド11の接触圧力と同程度となる。また、コンタクタ3eとパッド11の接触圧力は他のコンタクタ3の接触圧力と同程度とすることで、コンタクタ3eの隣に配置されるコンタクタ3fとパッド11の接触圧力を、他のコンタクタ3とパッド11の接触圧力と同程度にすることができる。すなわち、複数のコンタクタ3と複数のパッド11の接触圧力のばらつきを低減することができる。
【0074】
この結果、複数のコンタクタ3それぞれの接触圧力のばらつきに起因する、電気的検査工程での不良を防止ないしは抑制できる。例えば、コンタクタ3fへの伝達荷重が極端に低くなり、導通不良(オープン不良)が発生することを防止ないしは抑制できる。また例えば、コンタクタ3eへの伝達荷重が極端に高くなり、パッド11や絶縁膜13bや半導体集積回路が破壊されることを防止ないしは抑制できる。例えば、絶縁膜13bとして、前記したLow−k絶縁膜を用いたウエハWHの電気的検査を行う場合、各コンタクタ3の接触圧力は低く設定する必要がある。例えば、各コンタクタ3に伝達される接触時の荷重は、それぞれ5×10−3N程度とする。本実施の形態によれば、このように低荷重で電気的検査を行う場合であっても、接触圧力のばらつきのマージンを小さくすることができるので、導通不良やウエハWHの破壊を防止することができる。
【0075】
<スリット周辺の好ましい態様>
次に、スリット2dの好ましい態様について説明する。前記したように、スリット2dは、角部領域2fからコンタクタ3eに直接的に荷重が伝達される経路を分断する開放端となっているが、荷重の伝達経路を分断する効果をより大きくする観点から、スリット2dの延在方向の長さは長い方が好ましい。図10に示すように、コンタクタ群3A、3Bの幅よりも長くすることが好ましい。スリット2dを長く形成することで、荷重の伝達経路の分断距離が長くなる。
【0076】
また、本実施の形態では、コンタクタ群3A、3Bが交差(直交)する角部領域2f(図9および図10においてハッチングを付して示す領域)と、コンタクタ群3Aおよびコンタクタ群3Bの間にそれぞれスリット2dを配置している。このように、延在方向が交差(直交)する複数のコンタクタ群3A、3Bを有する薄膜シート2では、角部領域2fと、コンタクタ群3Aおよびコンタクタ群3Bの間にそれぞれスリット2dを配置することが好ましい。コンタクタ群3A、3Bそれぞれの端部に配置されるコンタクタ3eの直近にスリット2dを配置できるからである。
【0077】
また、この場合、コンタクタ群3Aまたはコンタクタ群3Bからコンタクタ配置領域2cの内側(中央方向)に向かうスリット2dの長さ(第1の長さ)には限界がある。各コンタクタ群に接続された複数の配線23や他のスリット2dと交差するからである。一方、コンタクタ群3Aまたはコンタクタ群3Bからコンタクタ配置領域2cの外側(外縁方向)に向かうスリット2dの長さ(第2の長さ)は、このような制約がない、または少ない。したがって、前記した第1の長さよりも第2の長さを長くすることで、スリット2dの全長を長くすることができる。
【0078】
また、スリット2dの幅については、角部領域2fからコンタクタ3eに直接的に荷重が伝達される経路を分断する開放端としての機能の観点からは特に制約は無い。薄膜シート2の主面2aから裏面2bまでが確実に貫通されていれば、スリット2dの幅は、例えば配線23よりも細くても開放端として機能させることができる。つまり、スリット2dは、その幅に係わらず開放端として機能させることができる。一方、スリット2dの幅を広くすると、薄膜シート2の角部領域2fに大きな開口部が形成されることとなる。このように大きな開口部を形成した場合、開放端として機能させることはできるが、薄膜シート2の耐久性の低下要因、あるいは、前記したシート引き伸ばし工程において、弛みなく薄膜シート2を引き伸ばす際の阻害要因となる懸念がある。したがって、このような観点からスリット2dの幅は、配線23の幅以下とすることが好ましい。
【0079】
また、角部領域2fからコンタクタ3eに直接的に荷重が伝達される経路を分断する開放端としての機能の観点からは、スリット2dに沿って配置される配線23やダミー配線26の側面(スリット2d側の側面)がスリット2dにおいてポリイミド膜25から露出する構成とすることもできる。ただし、配線23やダミー配線26の一部が露出すると、配線23やダミー配線26が酸化、あるいは腐食しやすくなる。このため、配線23やダミー配線26の酸化や腐食による電気的試験工程の信頼性低下を抑制する観点からは、図11に示すように、スリット2dの隣に配置される配線23やダミー配線26のスリット2d側の側面は、ポリイミド膜25により覆われていることが好ましい。
【0080】
また、図10では、コンタクタ3の接触圧力のばらつきのマージンが特に大きくなり易いコンタクタ群の端部(角部領域2f)にスリット2dを配置した例について説明したが、角部領域2f(図9参照)以外にスリット2dを形成することができる。例えば、図15や図16に示すようにコンタクタ群3A内にスリット2dを配置することができる。図15は、図9のE部の拡大平面図、図16は図15の変形例を示す拡大平面図である。図15に示すように、コンタクタ群3Aには、第1の間隔P1で配置される複数のコンタクタ3gと第1の間隔P1よりも広い第2の間隔P2で配置されるコンタクタ3hが配置されている。言い換えれば、コンタクタ群3Aは、第1の間隔P1で複数のコンタクタ3gが配置される密集配置領域と、第1の間隔P1よりも広い第2の間隔P2でコンタクタ3hが配置される散在配置領域を有している。前記したように複数のコンタクタ3は、検査対象のパッド11(図4参照)に対向するように配置されるので、必ずしも全てのコンタクタ3が等間隔で配置されるとは限らず、図15に密集配置領域と散在配置領域が混在する場合がある。ここで、前記したコンタクタ3eの接触圧力が高くなるのと同様の原理により、散在配置領域に配置されるコンタクタ3hおよび密集配置領域の端部に配置されるコンタクタ3gの接触圧力は、他のコンタクタ3の接触圧力よりも高く成り易い。コンタクタ3g、3h間の領域から、散在配置領域に配置されるコンタクタ3hおよび密集配置領域の端部に配置されるコンタクタ3gに向かって荷重が伝達されるからである。
【0081】
そこで、図15に示すように、第2の間隔P2で配置されるコンタクタ3g、3hの間に、スリット2dを形成している。図15では、コンタクタ3hの両隣に、それぞれ第2の間隔P2でコンタクタ3gが配置されているので、コンタクタ3hの両隣にそれぞれ配線23に沿ってスリット2dを配置している。一方、第1の間隔P1で配置されるコンタクタ3g間にはスリット2dを形成していない。これにより、コンタクタ3g、3h間の領域からコンタクタ3hおよび密集配置領域の端部に配置されるコンタクタ3gに向かって伝達される荷重を低減することができる。このため、コンタクタ3g、3hに伝達される荷重を、周囲のコンタクタ3に伝達される荷重と同程度にすることができる。
【0082】
また、図16に示すように、第2の間隔P2で配置されるコンタクタ3g、3hの間に、ダミー配線26を配置して、ダミー配線26とコンタクタ3gの間、およびダミー配線26とコンタクタ3hの間にそれぞれ配線23に沿ってスリット2dを形成することもできる。この場合、図15に示す場合と比較して、スリット2dとコンタクタ3g、3hの距離をそれぞれ近づけることができるので、コンタクタ3g、3hに伝達される荷重を一層低減することができる。ただし、第2の間隔P2の間隔が狭い場合には、コンタクタ3g、3hの間に複数のスリット2dを形成することにより、薄膜シート2の強度が局所的に低下して、耐久性が低下する懸念がある。したがって、例えば、第2の間隔P2が第1の間隔P1の2倍以下の時は、図15に示すように、1本のスリット2dを配置することが好ましい。
【0083】
<薄膜シートの組立工程>
次に、薄膜シート2の組み立て工程について説明する。上記した薄膜シート2は、最下層に配置される複数のコンタクタ3から最上層に配置されるポリイミド膜25まで、各層の部材を順次積層して形成する。以下、図17および図18を用いて簡単に薄膜シート2を形成する工程について2種類の例を説明する。図17は、図10に示す薄膜シートの組立工程の一例を示す拡大断面図である。図18は、図17に示す組立工程の変形例を示す拡大断面図である。
【0084】
まず、図17に示すように、薄膜シート形成用の基板(例えば、シリコン基板)40を準備して、基板40上に複数のコンタクタ3を形成するための開口部(穴)40aを形成する。その後、開口部40aを含む基板上に、コンタクタ3等のめっき形成に用いる導電膜41を成膜する。その後、開口部40aをマスクした状態(図示は省略)で、開口部40aの周囲に例えば銅からなる10μm〜20μm程度の薄膜42を成膜する。図17に示す構造では、この薄膜42が形成されていない領域がコンタクタ3となる。その後、開口部40aを塞ぐマスクを除去した後、開口部の周囲を覆うマスク(図示は省略)を形成し、導電膜41を電極とした電解めっき法により、コンタクタ3の表面を覆う導電膜となるロジウム膜(導電膜)21aおよびニッケル膜(導電膜)21bを順次堆積する。この時、ロジウム膜21aおよびニッケル膜21bは成膜領域の下地の形状に倣って形成される。その後、薄膜42を露出させた後、ニッケル膜21bを覆うようにマスク(図示は省略)を形成し、薄膜42上に、例えば銅からなる10μm〜20μm程度の薄膜43をさらに成膜する。この2層目の薄膜43を形成することにより、後にコンタクタ3の側面の一部を覆うポリイミド膜22の段差部が形成される。その後、ニッケル膜21b上のマスクを取り除き、電解めっき法によりニッケル膜21b上にさらにニッケル膜21bを堆積する。ここまでの工程で、図10〜図12に示すコンタクタ3の形状を形成する。コンタクタ3の上面は成膜領域の下地の形状に倣って形成されるので、図17に示すように中央部よりも周縁部の方が盛り上がった形状となる。
【0085】
その後、マスクを取り除き、コンタクタ3および前記した上層の薄膜43を覆うようにポリイミド膜22を成膜する。この時、ポリイミド膜22は、成膜領域の下地の形状に倣って形成されるので、図17に示すようにコンタクタ3の上面の周縁部上が周囲よりも盛り上がって形成される。その後、ポリイミド膜22に、コンタクタ3の上面に達するスルーホールTH1を形成する。続いて、スルーホールTH1の内部を含むポリイミド膜22上に導体膜23a、23bを順次積層する。これにより、コンタクタ3と電気的に接続された配線23が形成される。また、コンタクタ3と電気的に接続されないダミー配線26もこの時に一括して形成される。その後、ポリイミド膜22、配線23およびダミー配線26上にポリイミド膜25を成膜する。これにより、配線層24が形成される。そして、基板40、導電膜41、および薄膜42、43を取り除く(例えばエッチングにより取り除く)と、薄膜シート2が得られる。
【0086】
ところで、図10および図11に示すスリット2dは、例えば、薄膜シート2の主面2aおよび裏面2bのうち、一方の面から他方の面に向かってレーザ光LZを照射することにより形成することができる(レーザ照射工程)。レーザ光LZをスリット2dの形成領域(配線23とダミー配線26の間)に照射すると、照射された領域内のポリイミド膜22、25が取り除かれ、開口部を形成することができる。このレーザ照射工程を施すタイミングは、例えば、図17に示す例では、基板40、導電膜41、および薄膜42、43を取り除く前に、薄膜シート2の裏面2b側からレーザ光LZを照射して形成する。この時、レーザ光LZを照射する領域には、配線23やダミー配線26などの金属パターンは形成されていないので、ポリイミド膜22、25を容易に取り除くことができる。このように、薄膜シート2を配線基板1(図6参照)に接続し、保持する前にスリット2dを形成する場合には、その後、スリット2dが形成された薄膜シート2を配線基板1(図6参照)に接続し、保持させる。詳しくは、スリット2dを形成した後、図17に示す基板40、導電膜41、および薄膜42、43を取り除き、その後、薄膜シート2を配線基板1(図6参照)に接続し、保持させる。そしてその後、前記したシート引き伸ばし工程を行い、複数のコンタクタ3の位置を調整する。
【0087】
また、レーザ照射工程のタイミングは、上記に限定されず、薄膜シート2を図6に示す配線基板1に接続し、保持させた後(前記したシート引き伸ばし工程の後)で行うことができる。この場合、図18に示すように押圧部4により、薄膜シート2の裏面2b側から押圧し、薄膜シート2を引き伸ばした状態で、主面2a側からレーザ光LZを照射する。このように、薄膜シート2を配線基板1に取り付けた状態でレーザ光LZを照射した場合、レーザ照射領域のポリイミドシート4fおよびエラストマ4cの一部まで達する開口部が形成される。また、エラストマ4cを貫通する開口部が形成される場合もある。つまり、スリット2dの上層に配置されるエラストマ4cの少なくとも一部まで到達する開口部が形成される。スリット2d上の緩衝層の一部または全部を取り除くことにより、角部領域2fに伝達される荷重をより確実に分断することができるので、図14を用いて説明した場合と同等、あるいはそれ以上に複数のコンタクタ3の接触圧力のばらつきを低減することができる。また、前記したシート引き伸ばし工程の後でスリット2dを形成するので、その後、薄膜シート2を引き伸ばした状態を維持することで、スリット2dと押圧部の位置ずれを防止ないしは抑制することができる。ただし、メンテナンスなどの目的で、薄膜シート2と配線基板1(図6参照)を分解した後、再度、薄膜シート2を配線基板1に接続し、保持させる場合、エラストマ4cの一部に開口部が形成されていると、精密な位置合わせが必要となる。このため、分解後に再組み立てを行う場合には、押圧部4に接着固定されるエラストマ4cおよびポリイミドシート4fを新しいものと交換し、図14に示す態様で使用することが好ましい。
【0088】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、基本的な技術思想を理解し易くするため、コンタクタ配置領域2cの辺に沿って、一列で複数のコンタクタ3が配置された実施態様について説明した。しかし、近年の半導体集積回路装置に対する小型化の要求や高機能化の要求から、狭ピッチ多ピン化がさらに進められており、狭ピッチ多ピン化を実現する一つの方法として、半導体チップの一辺に沿って、複数列でそれぞれチップ電極(パッド)を配置する技術(複数列配置技術)がある。この複数列配置技術を用いた半導体集積回路装置の電気的検査を行う場合、複数のコンタクタの配置もチップ電極の配置に対応して複数列にする必要がある。本実施の形態では、複数列配置技術を用いた半導体集積回路装置の製造方法に適用した実施態様について説明する。なお、本実施の形態は、前記実施の形態1で説明した技術を応用して適用した変形例である。このため、前記実施の形態1と重複する説明は極力省略し、前記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0089】
図19は、図4に対する変形例である半導体チップの主面側を示す平面図である。また、図20は、図9に対する変形例である薄膜シートのコンタクタ配置領域周辺を示す拡大平面図である。また、図21は、図20のF部の拡大平面図、図22は、図20のG部の拡大平面図である。また、図23は、図21のH−H線に沿った拡大断面図である。また、図24は、図20のK部の拡大平面図である。
【0090】
図19に示す半導体チップ10c(チップ領域10a)は、平面視において四角形を成し、各辺に沿って配置されるパッド群(チップ電極群)11A、11B、11C、11Dには、複数のパッド11がそれぞれ複数列で配置されている。言い換えれば、パッド群11A、11B、11C、11Dにそれぞれ配置される複数のパッド11には、第1列目に配置される複数のパッド(第1列目チップ電極)11eと、第1列目と半導体チップ10c(チップ領域10a)の一辺との間に位置する第2列目に配置される複数のパッド(第2列目チップ電極)11fが含まれる。このように一辺に沿って複数列でパッド11を配置することにより、一つのパッド群11A、11B、11C、11Dに配置されるパッド11の数を増加させることができる。
【0091】
また、例えば図19の拡大図に示すように、パッド群11Aの配列方向に沿って、第1列目に配置されるパッド11eの間に第2列目に配置されるパッド11fが配置されるように、互い違いに(所謂、千鳥配置で)配列されている。このようにパッド11を複数列で配置する場合に、千鳥配置とすることで、各パッド11に接続される配線(図3参照)のレイアウトを効率化することができる。
【0092】
図19のように、検査対象であるチップ領域10aの各辺に沿って配置されるパッド群11A、11B、11C、11Dに、複数のパッド11がそれぞれ複数列で配置されている場合、図20に示す薄膜シート31のように、複数のコンタクタ3のレイアウトは、検査対象のパッド11のレイアウトに対応させる必要がある。すなわち、図20に示す薄膜シート31は、平面視において四角形を成すコンタクタ配置領域2cを備えている。コンタクタ配置領域2cの各辺に沿って配置されるコンタクタ群(接触端子群)3A、3B、3C、3Dには、複数のコンタクタ3がそれぞれ複数列で配置されている。言い換えれば、コンタクタ群3A、3B、3C、3Dにそれぞれ配置される複数のコンタクタ3には、第1列目に配置される複数のコンタクタ(第1列目接触端子)3kと、第1列目とコンタクタ配置領域2cの一辺との間に位置する第2列目に配置される複数のコンタクタ(第2列目接触端子)3mが含まれる。また、コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの配列方向に沿って、第1列目に配置されるコンタクタ3kの間に第2列目に配置されるコンタクタ3mが配置されるように、互い違いに(所謂、千鳥配置で)配列されている。
【0093】
また、図23に示すように、本実施の形態では、それぞれ複数の配線23を備える配線層24を積層し、ポリイミド膜22上に配置される下層の配線層24aと上層の配線層24bを電気的に接続している。各配線層24は、複数の配線23と、複数の配線23を覆うポリイミド膜(絶縁膜)25を備えている。そして、下層の配線層24aの配線23上には、ポリイミド膜25にスルーホール(開口部)TH2が形成され、スルーホールTH2の底部において、上層の配線23と、下層の配線23が電気的に接続している。これにより、コンタクタ3の配置パターンが狭ピッチ、多ピン化した場合であっても、配線23を引き出すスペースを確保することができる。なお、図23では、二層の配線層24を積層した例を示しているが、配線層24の数はこれに限定されない。例えば、前記実施の形態1のように一層構造とすることもできる。また例えば、さらに配線層24を積層し、三層以上の積層構造とすることもできる。また、本実施の形態では、前記したように、第1列目の複数のコンタクタ3kと第2列目の複数のコンタクタ3mが千鳥配置で配列されている。このため、第1列目に配置される隣り合うコンタクタ3kの間には、第2列目のコンタクタ3aと接続される配線23が配置され、第2列目に配置される隣り合うコンタクタ3aの間には、第1列目のコンタクタ3mと接続される配線23が配置されている。このように複数の配線23をコンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)と交差(直交)する方向に沿って延在させることにより、配線23の引き出しスペースを確保することができる。
【0094】
図23に示す薄膜シート31は、前記実施の形態1の<薄膜シートの組立工程>を応用して組み立てることができる。すなわち、<薄膜シートの組立工程>において、ポリイミド膜22、配線23およびダミー配線26上にポリイミド膜25を成膜した後で、かつ、基板40(図12参照)を取り除く工程の前に、ポリイミド膜25に、配線23の上面に達するスルーホールTH2を形成する。続いて、続いて、スルーホールTH2の内部を含むポリイミド膜25上に導体膜23a、23bを順次積層する。これにより、下層の配線23と電気的に接続された上層の配線23が形成される。またこの時、上層の配線層24bのダミー配線も形成する。その後、ポリイミド膜25、配線23およびダミー配線上にさらにポリイミド膜25を成膜する。これにより、上層の配線層24bが形成される。そして、図12に示す基板40、導電膜41、および薄膜42、43を取り除く(例えばエッチングにより取り除く)と、図23に示す薄膜シート31が得られる。また、前記実施の形態1で説明したレーザ照射工程は、図17に示す例のように、基板40、導電膜41、および薄膜42、43を取り除く前に、薄膜シート31の裏面2b側からレーザ光LZを照射して形成することができる。また、その変形例として図18に示す例のように、前記したシート引き伸ばし工程の後で行うことができる。
【0095】
図20に示すように各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dが複数列で配置されている場合、コンタクタ群3A、3B、3C、3Dに配置される各列の端部の位置が異なる場合がある。例えば、図21および図22に示すように、コンタクタ群3Aにおいて、第1列目に配置される複数のコンタクタ3kのうち、第1列目の配列の端部に配置されるコンタクタ3p(図21参照)の位置は、第2列目に配置される複数のコンタクタ3mのうち、第2列目の配列の端部に配置されるコンタクタ3n(図22参照)の位置よりも配列の内側になっている。言い換えれば、コンタクタ群3Aの端部周辺では、第1列目のコンタクタ3kが配置されず、複数の第2列目のコンタクタ3mが一列で配置されている。この場合、各列に配置されるコンタクタ3k、3mを一列と見做して、前記実施の形態1で説明した技術を適用することができる。つまり、各列の端部に配置されるコンタクタ3n、3pのうち、コンタクタ群3Aの端部に配置されるコンタクタ3nとダミー配線26の間に、前記実施の形態1で説明したスリット2dを形成する。一方、図21に示すように、コンタクタ3pと、コンタクタ3pの隣に配置される配線23、またはダミー配線26との間には、図22に示すスリット2dは形成していない。
【0096】
図22に示すコンタクタ3nの周囲には第1列目のコンタクタ3kが配置されていない。このため、スリット2dを形成しなければ、コンタクタ3nには、前記実施の形態1で説明したコンタクタ3e(図10参照)と同様に、角部領域2fからの荷重が集まり、パッド11(図19参照)との接触圧力が高くなり易い。一方、図21に示すコンタクタ3pは、第1列目のコンタクタ3kの端部に配置されているが、近傍に複数のコンタクタ3mが配置されているので、周辺領域(例えば図21にハッチングを付して示す領域2g)からの荷重は、コンタクタ3pおよび複数のコンタクタ3mに分散して伝達される。したがって、図22に示すスリット2dを形成しなくてもコンタクタ3pの接触圧力は、コンタクタ3nの接触圧力と比較して高くなり難い。そこで、接触圧力が特に高くなり易い図22に示すコンタクタ3nとダミー配線26の間にスリット2dを形成し、接触圧力のばらつきを低減している。前記実施の形態1で説明したように、スリット2dは、角部領域2fなど、直下にコンタクタ3が形成されていない領域からコンタクタ3に直接的に荷重が伝達される経路を分断する開放端として有効である。しかし、極端に多数のスリット2dを形成すると、薄膜シート2の耐久性の低下要因、あるいは、弛みなく薄膜シート2を引き伸ばす際の阻害要因となる懸念がある。つまり、図21および図22に示す本実施の形態によれば、接触圧力のばらつきを低減し、かつ、薄膜シートの耐久性の低下を抑制することができる。また、薄膜シート2を引き伸ばす際の弛みの発生を抑制することができるので、複数のコンタクタ3を対応する複数のパッド11(図19参照)のそれぞれと正しく接触させることができる。
【0097】
また、前記実施の形態1で説明した図15および図16に示すように、コンタクタ群の途中にスリット2dを形成する技術を本実施の形態で適用する場合にも、各列に配置されるコンタクタ3k、3mを一列と見做して、適用することができる。すなわち、図24に示すように複数のコンタクタ3k、3mのうち、周囲に配置されるコンタクタ3kおよびコンタクタ3mとの間隔が他よりも広い領域に、スリット2dを形成する。図24に示すように、コンタクタ群3Aの第1列目には、第1の間隔P1で複数のコンタクタ3kが配置される領域(密集配置領域)2hと、第1の間隔P1よりも広い第2の間隔P2でコンタクタ3kが配置される領域(散在配置領域)2kが含まれる。また、コンタクタ群3Aの第2列目には、第3の間隔P3で複数のコンタクタ3mが配置される領域(密集配置領域)2mと、第3の間隔P3よりも広い第4の間隔P4でコンタクタ3mが配置される領域(散在配置領域)2nが含まれる。
【0098】
そして、第1列目の散在配置領域である領域2kと、第2列目の散在配置領域である領域2nがコンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)に沿って隣り合って配置されている場合、散在領域内に配置されるコンタクタ3rには、前記実施の形態1で説明したコンタクタ3h(図15、図16参照)と同様に、領域2k、2nからの荷重が集まり、パッド11(図19参照)との接触圧力が高くなり易い。一方、第2列目の領域2nの隣に、第1列目の密集配置領域である領域2hが配置されている場合、領域2nからの荷重は、領域2n周囲の複数のコンタクタ3に分散して伝達されるので、コンタクタ3rよりは、接触圧力が高くなり難い。そこで、本実施の形態では、接触圧力が特に高くなる第1列目の領域(散在配置領域)2kと第2列目の領域(散在配置領域)2nが隣り合う(重なる)領域において、隣り合うコンタクタ3の間にスリット2dを形成している。一方、第1列目の領域(散在配置領域)2kと第2列目の領域(密集配置領域)2mが隣り合う(重なる)領域、あるいは、一方、第1列目の領域(密集配置領域)2hと第2列目の領域(散在配置領域)2nが隣り合う(重なる)領域にはスリット2dを形成していない。言い換えれば、各列に配置されるコンタクタ3k、3mを一列と見做し、隣り合うコンタクタ3の配置間隔が特に広い領域にスリット2dを形成している。例えば、図24では、散在配置領域を介して隣り合うコンタクタ3kまたはコンタクタ3mの間に、複数のコンタクタ3mまたはコンタクタ3kが配置されている領域では、スリット2dを形成していない。一方、散在配置領域を介して隣り合うコンタクタ3kまたはコンタクタ3mの間に配置されるコンタクタ3mまたはコンタクタ3kが1個以下である場合には、スリット2dを形成している。これにより、接触圧力のばらつきを低減し、かつ、薄膜シートの耐久性の低下を抑制することができる。また、前記したシート引き伸ばし工程において、薄膜シート2を引き伸ばす際の弛みの発生を抑制することができるので、複数のコンタクタ3を対応する複数のパッド11(図19参照)のそれぞれと正しく接触させることができる。
【0099】
以上の通り、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dが複数列で配置されている場合、各列に配置されるコンタクタ3k、3mを一列と見做して、前記実施の形態1で説明した技術を適用することができる。ただし、変形例としては、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dにそれぞれ、配置される第1列目と第2列目を、それぞれ独立したコンタクタ群として前記実施の形態1で説明した技術を適用することもできる。例えば、図21において、第1列目に配置されるコンタクタ3kの端部に配置されるコンタクタ3pとその隣に配置されるダミー配線26の間にスリット(図22に示すスリット2dと同様であるが、図示は省略)を形成することができる。また、例えば、図24において、散在配置領域を介して隣り合うコンタクタ3kまたはコンタクタ3mの間に、複数のコンタクタ3mまたはコンタクタ3kが配置されている領域にも、スリット2dを形成することができる。これらの場合、各列に配置されるコンタクタ3の配置ピッチによりスリット2dを個別に形成することで、各コンタクタ3の接触圧力のばらつきをより精密に低減することができる。
【0100】
本実施の形態は、上記した相違点の他の点では前記実施の形態1と同様である。したがって、重複する説明は省略するが、例えば、<スリット周辺の好ましい態様>などは、前記実施の形態1で説明した薄膜シート2を薄膜シート31に置き換えて適用することができる。
【0101】
(実施の形態3)
前記実施の形態1および前記実施の形態2では、コンタクタ群の端部や散在配置領域に配置されたコンタクタ3の接触圧力のばらつきを低減することができる技術について説明した。本実施の形態では、密集配置領域に配置された複数のコンタクタ3も含めた複数のコンタクタ3の接触圧力のばらつきを低減する技術について説明する。なお、本実施の形態は、前記実施の形態1または前記実施の形態2で説明した技術の応用技術なので、前記実施の形態1または前記実施の形態2と重複する説明は極力省略し、前記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0102】
前記実施の形態1で説明した薄膜シート2(図12参照)および前記実施の形態2で説明した薄膜シート31(図23参照)は、主面2a側から複数の金属パターンとポリイミドなどの樹脂膜を順次積層して形成する。このため、最上層に配置されるポリイミド膜25の上面(薄膜シート2、31の裏面2b)は、下層に配置される金属パターン(例えばコンタクタ3や配線23)に倣った凹凸面となっている。そして、コンタクタ3上にスルーホールTH1を形成し、配線23とコンタクタ3をコンタクタ3上で電気的に接続するので、コンタクタ3上に配置される裏面2bの領域30aが周囲と比較して突出している。言い換えれば、薄膜シート2の裏面2bのうち、複数のコンタクタ3上に位置する領域30aの高さは、領域30aの周囲の領域30bの高さよりも高くなっている。
【0103】
図25は、図23に示す薄膜シート31を用いて、コンタクタとウエハのパッドを接触させた状態を示す拡大断面図である。図25に示すように、プローブ検査工程(図1参照)では、前記したシート引き伸ばし工程の後で、薄膜シート31の複数のコンタクタ3の先端をウエハWHの複数のパッド11にそれぞれ接触させて半導体集積回路の電気的検査を行う。プローブ検査工程において、周囲よりも突出した領域30aを有する薄膜シート31のコンタクタ3とパッド11を接触させると、図25に矢印51を付して示すように、領域30a上に配置されるエラストマ4cの一部が領域30aの周辺に流動(移動)して、コンタクタ3上のエラストマ4cの厚さが薄くなる。この結果、コンタクタ3上の突出した領域30aでは、エラストマ4cからの反力が大きくなって、単位面積当たりに伝達される荷重が大きくなる。この伝達荷重の量は、領域30aと周辺領域の高低差によって変化する。例えば、領域30aと周辺領域の高低差が大きければ、周辺領域に流動するエラストマ4cの流動量は多くなり、伝達荷重は大きくなる。一方、領域30aと周辺領域の高低差が小さければ、周辺領域に流動するエラストマ4cの流動量は少なくなり、伝達荷重は小さくなる。ここで、全てのコンタクタ3上において、領域30aの面積および周辺領域との高低差を均一にすれば、各コンタクタ3上の領域30aに伝達される荷重を一様にすることができると考えられる。しかし、加工精度の観点、あるいは、コンタクタ3や配線23の配置レイアウト上の制約が大きくなるため、全てのコンタクタ3上において、領域30aの面積および周辺領域との高低差を均一にすることは困難である。このため、各コンタクタ3上に配置される領域30aと周辺領域の高低差のばらつきに応じて、コンタクタ3とパッド11の接触圧力のばらつくこととなる。このような裏面2bの高低差に起因するコンタクタ3の接触圧力のばらつきは、例えば、複数のコンタクタ3が等間隔で配置された領域内においても発生する。そして、接触圧力のばらつきが大きい場合、接触抵抗が不均一になり、正確な電気的検査が行えなくなる原因となることは、前記実施の形態1で説明した通りである。
【0104】
次に、本願発明者は、上記課題の発生原因が、裏面2bの平坦度が低いためであると考え、図57に示す別の実施態様について検討した。図57に示す薄膜シート101は、裏面2bを有する最上層のポリイミド膜102の厚さを下層のポリイミド膜25よりも厚く形成し、裏面2bが平坦になっている点で図25に示す薄膜シート31と相違する。ポリイミド膜102を構成するポリイミド樹脂は、金属材料よりも柔軟な材料なので、厚く形成することにより、下層の金属パターンに倣った凹凸面を改善することができる。つまり、裏面2bを平坦化することができる。しかし、本願発明者の検討によれば、薄膜シート101を用いた場合であってもコンタクタ3とパッド11の接触圧力には、ばらつきが生じることを本発明者らは新たに見出した。
【0105】
この原因は以下の理由によると考えられる。すなわち、裏面2bを平坦化すると、裏面2bの単位面積当たりに伝達される荷重の量は均一化することができるが、薄膜シート101のコンタクタ3や配線23のレイアウトにより、各コンタクタ3に伝達される荷重の量がばらつくからである。複数のコンタクタ3は、前記したように検査対象であるウエハWHのパッド11と対向する位置に配置されるように主面2a側に形成する。そして、ウエハWHの複数のパッド11の配列パターンは、チップ領域に形成される回路上の要求等により決定されるので、必ずしも全てが等間隔で配置される訳ではない。このため、薄膜シート101の主面2aに形成される複数のコンタクタ3も、全てが等間隔で配置される訳ではない。例えば、一つのコンタクタ群3A(後述する図27参照)において、隣り合うコンタクタ3が第1の間隔で配置される領域(密集配置領域)と、第1の間隔よりも広い第2の間隔で配置される領域(散在配置領域)を備えている場合がある。また、例えば、一つのコンタクタ群3Aにおいて、コンタクタ群3Aの端部に配置されるコンタクタ3は、一方の隣には別のコンタクタ3が配置されるが、反対側の隣には、コンタクタ3が配置されない。このように、散在配置領域に配置されるコンタクタ3や、コンタクタ群3Aの端部に配置されるコンタクタ3は密集領域に配置されるコンタクタ3よりも接触圧力が高くなる。散在配置領域やコンタクタ群3Aの端部では、コンタクタ3の周囲に伝わった荷重を分散させにくいので、一つのコンタクタ3に対して伝達される荷重が、密集配置領域よりも大きくなるからである。このように、単に薄膜シート101の裏面2bを平坦化するだけでは、接触圧力のばらつきを十分に抑制することができないことを本発明者らは新たに見出した。
【0106】
本願発明者は、上記課題を踏まえ、複数のコンタクタ3の接触圧力のばらつきを抑制技術について検討し、本実施の形態の構成を見出した。以下、図26〜図30を用いて、薄膜シート32の構造を説明する。図26は、図8に対する変形例である薄膜シートの配線レイアウトの概要を示す平面図、図27は、図26に示すコンタクタ配置領域の拡大平面図である。また、図28は、図27のL部の拡大平面図、図29は、図28に示す薄膜シートの裏面側を示す拡大平面図、図30は図29のM−M線に沿った拡大断面図である。なお、以下で説明する技術は、前記実施の形態1で説明したように、複数のコンタクタ3を一列で配置する場合、および前記実施の形態2で説明したように、複数のコンタクタ3を複数列で配置する場合の双方に適用することができる。本実施の形態では、代表例として前記実施の形態2のように複数列でコンタクタ3を配置した薄膜シートに適用した実施態様について説明する。また、本実施の形態において、電気的検査の対象となるウエハ、およびチップ領域の構造は、前記実施の形態2で説明した図2に示すウエハWHおよび図19に示すチップ領域10aと同様なので、図示は省略する。
【0107】
本実施の形態の薄膜シート32と、前記実施の形態2で説明した薄膜シート31(図23参照)は、例えば図30に示すように、薄膜シート32の裏面2bにおいて、領域30aの隣に、領域30aの高さよりもさらに高い面を有する突出部32aが形成されている点で相違する。
【0108】
図30を用いて説明すると、薄膜シート32は、裏面2bを有するポリイミド膜(絶縁膜)33を有している。このポリイミド膜33は、配線層24上に配置されている。詳しくは、上層の配線層24a(ポリイミド膜25)を覆うように配置されている。また、上層の配線層24a(ポリイミド膜25)とポリイミド膜33の間には、帯状に形成された帯部材34が配置されている。そして、上層のポリイミド膜25の上面を覆うポリイミド膜33は、ポリイミド膜33よりも下層に配置される各部材のパターンに倣って形成されるので、ポリイミド膜33の帯部材34と重なる領域周辺が他の領域よりも上方に突出した突出部32aとなっている。つまり、図30に示す薄膜シート32は、図23に示す薄膜シート31の配線層24a上に帯部材34およびポリイミド膜33をさらに積層した構造となっている。帯部材34に倣って形成される突出部32aの高さはコンタクタ3上の領域30aの高さよりもさらに高くなっている。言い換えれば、薄膜シート32の裏面2bのうち、複数のコンタクタ3上に位置する複数の領域30aの高さは、突出部32aの高さよりも低く、かつ、複数の領域30aと突出部32aの間の領域30bの高さよりも高い。
【0109】
また、図29に示すように、帯部材34およびこれに倣って形成される突出部32aは、平面視において、コンタクタ群3Aの両隣に、コンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)に沿って延在するように配置されている。帯部材34および突出部32aが、平面視においてスリット2dと重なる領域では、帯部材34および突出部32aは形成されていない。言い換えれば、帯部材34および突出部32aは、平面視においてスリット2dと重なる領域では、スリット2dにより分断されている。なお、拡大図による図示は省略するが、帯部材34およびこれに倣って形成される突出部32aは、図27に示すコンタクタ群3A、3B、3C、3Dそれぞれの両隣に、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの延在方向に沿って形成されている。これにより、押圧部4(後述する図31および図32参照)からコンタクタ3に至る荷重の伝達経路に、突出部32aをより確実に介在させることができる。なお、図29において、スリット2dと帯部材34との位置関係を解かり易くするため、図28に示す配線23は図示していない。
【0110】
次に、薄膜シート32を用いて図1に示すプローブ検査工程を行った場合の動作について説明する。図31は、図30に示す薄膜シートの裏面から押圧を開始した状態を示す拡大断面図、図32は、図30に示す薄膜シートを用いて、コンタクタとウエハのパッドを接触させた状態を示す拡大断面図である。また、図33は、図29のN−N線に沿った断面において、コンタクタとウエハのパッドを接触させた状態を示す拡大断面図である。まず、前記実施の形態1で説明したシート引き伸ばし工程として、図6に示す押圧部により図26に示す薄膜シート32のコンタクタ配置領域2cの裏面2b側(図30参照)を押圧し、薄膜シート32のコンタクタ配置領域2cを下方に押し下げることで薄膜シート32を押圧部に倣って弛みなく広げる。この時、図31に示すように、裏面2bにおいて、最も高い位置に配置される突出部32aの上面と押圧部4(詳しくは、最下層に配置されるポリイミドシート4fの下面)が密着する。突出部32aの上面が押圧部4と密着した後、さらに押圧すると、押圧部4のポリイミドシート4fは、突出部32aの形状に倣って変形し、突出部32aおよびポリイミドシート4fよりも柔らかいエラストマ4cに突出部32a上のポリイミドシート4fが食い込む。言い換えれば、突出部32a上のエラストマ4cの一部は、突出部32aの周囲に流動する(変形する)。一方、2つの突出部32a間の領域は、突出部32aよりも低い位置にあるため、コンタクタ3上におけるエラストマ4cの流動による変形を抑制できる。このため、押圧部4から薄膜シート32に印加される押圧力は、突出部32a上において最も大きく、突出部32a間に挟まれるコンタクタ3上の領域30aに印加される押圧力は、突出部32a上よりも小さくなる。例えば、図32に示すように、領域30aとポリイミドシート4fの間に隙間が形成される場合もある。
【0111】
図1に示す電気的検査工程では、図32に示すように、複数のコンタクタ3とパッド11を接触させるが、この時、薄膜シート32には加圧部5(図6参照)から押圧部4を介してさらに荷重(接触荷重)が印加される。この接触荷重の大きさは、前記押圧力と同様に、突出部32a上において最も大きく、突出部32a間に挟まれるコンタクタ3上の領域30aに印加される接触荷重は、突出部32a上よりも小さくなる。つまり、薄膜シート32に印加される荷重(接触荷重)は、押圧部4から、主として突出部32aが受け、突出部32aを介してコンタクタ3に伝達されることとなる。言い換えれば、薄膜シート32に印加される荷重は、コンタクタ3上の領域30aから裏面2bに対して直交方向にコンタクタ3に伝達されず、領域30aの隣に配置された突出部32aから、裏面2bに対して斜め方向にコンタクタ3に伝達される。このため、コンタクタ3上の領域30aが周囲と比較して突出している場合であっても、コンタクタ3に伝達される荷重のばらつきを低減できる。このように、突出部32aを、平面視において、コンタクタ3と離間して配置することにより、コンタクタ3に伝達される荷重のばらつきを低減でき、各コンタクタ3の接触圧力を均一化することができる。
【0112】
また、図29に示すように、突出部32aは、複数のコンタクタ3aが配置されるコンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)に沿って延在するように配置されている。このため、例えば図33に示すように複数の配線23上に亘って連続的に形成された突出部32aの上面(裏面2b)の全体が押圧部4の押圧具であるポリイミドシート4fと密着する。つまり、コンタクタ群3A(図11参照)の延在方向(配列方向)に沿って延在する突出部32a全体で、押圧部4から伝達される荷重を受けることとなる。そして、突出部32aに伝達された荷重は、2本の突出部32aの間に挟まれた複数のコンタクタ3に分散して伝達される。つまり、2本の突出部32aの間に挟まれた複数のコンタクタ3それぞれの接触圧力のばらつきを低減することができる。例えば、図29において密集配置領域に配置された複数のコンタクタ3(図29に示す範囲では7個または3個のコンタクタ3k、3m)のそれぞれには、これらのコンタクタ3の両隣に配置された2本の突出部32aから荷重が分散して伝達される。これにより、各コンタクタ3の接触圧力を均一化することができる。すなわち、散在配置領域に配置されるコンタクタ3の接触圧力と、他の領域(例えば密集領域)に配置されるコンタクタ3の接触圧力とを均一化することができる。この結果、複数のコンタクタ3それぞれの接触圧力のばらつきに起因する、電気的検査工程での不良を防止ないしは抑制できる。例えば、複数のコンタクタ3に分散して荷重を伝達するので、一部のコンタクタ3への伝達荷重が極端に低くなり、導通不良(オープン不良)が発生することを防止ないしは抑制できる。また例えば、複数のコンタクタ3に分散して荷重を伝達するので、一部のコンタクタ3への伝達荷重が極端に高くなり、パッド11や絶縁膜13b(図3参照)や半導体集積回路が破壊されることを防止ないしは抑制できる。例えば、絶縁膜13bとして、前記したLow−k絶縁膜を用いたウエハWHの電気的検査を行う場合、各コンタクタ3の接触圧力は低く設定する必要がある。例えば、各コンタクタ3に伝達される接触時の荷重は、それぞれ5×10−3N程度とする。本実施の形態によれば、このように低荷重で電気的検査を行う場合であっても、接触圧力のばらつきのマージンを小さくすることができるので、導通不良やウエハWHの破壊を防止することができる。
【0113】
また、図29に示すように、突出部32aの延長線上においてスリット2dが配置される領域には突出部32aは形成されていない。言い換えれば、突出部32aは、スリット2dにより分断されている。このため、前記実施の形態1または前記実施の形態2で説明したように、接触圧力が他よりも高くなり易いコンタクタ3の周囲からの荷重の伝達経路を、スリット2dにより分断することができる。例えば、図29の散在配置領域に配置されたコンタクタ3rに伝達される荷重を低減することができる。このため、コンタクタ3rの接触圧力を他のコンタクタ3の接触圧力と同程度に揃えることができる。
【0114】
つまり、本実施の形態では、コンタクタ群の両隣に、コンタクタ群の延在方向(配列方向)に沿って突出部32aを形成することにより、突出部32aに挟まれた領域内に配置されるコンタクタ3の接触圧力を揃えることができる。また、スリット2dを形成する領域には、突出部32aを形成しないので、散在配置領域に配置されたコンタクタ3rの接触圧力を他のコンタクタ3の接触圧力と揃えることができる。この結果、複数のコンタクタ3の接触圧力のばらつきを低減することができる。
【0115】
また、図28〜図30では、コンタクタ群内においてスリット2dを形成する領域について説明したが、帯部材34および突出部32aは、図27に示す各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの端部、つまり、コンタクタ配置領域2cの角部領域2f周辺まで延在している。図34は、図27のP部の拡大平面図、図35は、図34に示す薄膜シートの裏面側を示す拡大平面図である。また、図36は、図34のQ−Q線に沿った拡大断面図である。なお、図35において、スリット2dと帯部材34との位置関係を解かり易くするため図34および図36に示す配線23は図示していない。
【0116】
図35に示すように、帯部材34および突出部32aは、各コンタクタ群3A、3Bの端部、つまり、コンタクタ配置領域2cの角部領域2f周辺まで延在している。拡大図による図示は省略するが、図27に示すように帯部材34および突出部32aは、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの両隣に、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの両端部までそれぞれ配置されている。図35に示すように、帯部材34および突出部32aを、コンタクタ群3A、3Bの端部まで延在させることにより、コンタクタ群3A、3Bに配置される複数のコンタクタ3a、3bの接触圧力を揃えることができる。コンタクタ群3A、3Bの端部に配置されるコンタクタ3eとダミー配線26の間に、前記実施の形態1または前記実施の形態2で説明したスリット2dがそれぞれ形成され、図33同様に、スリット2dは、薄膜シート2の主面2aおよび裏面2bのうち、一方の面から他方の面までを貫通する開口部から成る(例えば図36参照)。
【0117】
また、図35および図36に示すように、スリット2dを形成する領域には、突出部32aを形成していない。図35では、角部領域2f内にも帯部材34およびこれに倣った突出部32aが形成されているが、帯部材34および突出部32aは、スリット2dにより分断されている。このため、コンタクタ群3A、3Bの端部に配置されたコンタクタ3nへの、角部領域2fからの荷重伝達を防止ないしは抑制することができるので、端部に配置されたコンタクタ3nの接触圧力を他のコンタクタ3の接触圧力と揃えることができる。
【0118】
ところで、図27に示すように、帯部材34および突出部32aは、平面視において四角形を成すコンタクタ配置領域2cに対して、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dよりも内側、および各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dよりも外側にそれぞれ形成されている。そして図35に示すように、外側に配置される帯部材34および突出部32aはスリット2dを形成する領域と平面視において重なるので、スリット2dにより分断されている。一方、内側に配置される帯部材34および突出部32aはスリット2dを形成する領域と平面視において重ならないので、スリット2dにより分断されている。図34に示すように、各コンタクタ群に接続された複数の配線23や他のスリット2dと交差することを避けるため、各コンタクタ群3A、3Bからコンタクタ配置領域2c(図27参照)の内側(中央方向)に向かうスリット2dの長さは、コンタクタ群3A、3Bからコンタクタ配置領域2cの外側(外縁方向)に向かうスリット2dの長さよりも短くなっている。このため、図35に示すように、内側に配置される帯部材34および突出部32aはスリット2dを形成する領域と平面視において重ならない。このような場合には、図35に示すようにコンタクタ群3Aに沿って配置される内側の帯部材34とコンタクタ群3Bに沿って配置される内側の帯部材34を連結しても良い。特に、図35に示すようにコンタクタ群3A、3Bの長さが長くなり、これらに沿って配置される内側の帯部材34が重なる場合には、これらを連結した方が、荷重を分散させる観点から好ましい。
【0119】
<突出部周辺構造の好ましい態様>
次に、図27〜図35に示す突出部32a周辺の好ましい態様について説明する。
【0120】
まず、本実施の形態では、図29に示すように平面視において、コンタクタ群3Aの両隣に、コンタクタ群3Aに沿って延在するように、それぞれ突出部32aが配置されている。図29の変形例としては、コンタクタ群3Aの両隣のうち、いずれか一方に突出部32aを配置する態様とすることもできる(図示は省略)。この場合、突出部32aの方がコンタクタ3上の領域30aよりも高い位置に配置されるので、領域30a上におけるエラストマ4c(図32参照)の流動量を例えば図13に示す薄膜シート100よりは、低減することができる。また、突出部32aをコンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)に沿って延在させることにより、突出部32aに伝達された荷重を、突出部32aの隣に配置された複数のコンタクタ3に分散させることができる。したがって、図13に示す比較例よりは、各コンタクタ3の接触圧力のばらつきを低減することができる。ただし、押圧部4(図32参照)からコンタクタ3に至る荷重の伝達経路に、突出部32aをより確実に介在させる観点からは、図29に示すように、コンタクタ群3Aの両隣にそれぞれ突出部32aを配置することが好ましい。特に、図29のように一つのコンタクタ群3Aにコンタクタ3を複数列で配置する場合には、突出部32aから遠い列のコンタクタ3において、接触圧力にばらつきが生じる懸念があるので、コンタクタ群3Aの両隣にそれぞれ突出部32aを配置することが特に好ましい。
【0121】
また、押圧部4(図32参照)からコンタクタ3に至る荷重の伝達経路に、突出部32aをより確実に介在させる観点から、突出部32aは、エラストマ4cやポリイミドシート4fよりも硬い(難変形性である)ことが好ましい。また、突出部32aが受けた荷重の複数のコンタクタ3への分散性を向上させる観点から、突出部32aは、ポリイミド膜25、26(図30参照)よりも剛性を高くすることが好ましい。このような条件を満たすため、本実施の形態では、図30に示すようにポリイミド膜33とポリイミド膜25の間に、金属膜から成る帯部材34を形成し、帯部材34に倣って突出部32aが形成される構造としている。帯部材34は、配線23と同じ材料から成る。すなわち、帯部材34は、下層から金属膜34aおよび金属膜34bが順次積層された積層膜となっている。金属膜34aは、帯部材34を形成するための下地金属膜であって、例えば、膜厚0.1μm程度のクロム膜および膜厚1μm程度の銅膜を順次スパッタリング法または蒸着法によって堆積することによって成膜することができる。また、金属膜34bは、帯部材34に必要な膜厚を確保するための主たる金属膜であって、例えば、銅膜、または銅膜およびニッケル膜を下層から順次堆積した積層膜を例示することができる。このように金属膜34a、34bから成る帯部材34は、エラストマ4cやポリイミドシート4fよりも硬い(難変形性である)ので、押圧部4(図32参照)からコンタクタ3に至る荷重の伝達経路に、突出部32aをより確実に介在させることができる。また、帯部材34は、ポリイミド膜25、26よりも剛性が高い金属膜34a、34bから成るので、突出部32aが受けた荷重の複数のコンタクタ3への分散性を向上させることができる。なお、本実施の形態では、帯部材34は、配線23やコンタクタ3とは電気的に接続されないため、帯部材34には導電性は要求されない。したがって、エラストマ4cやポリイミドシート4fよりも硬い材料、あるいは、ポリイミド膜25、26よりも剛性が高い材料であれば、帯部材34を、例えば樹脂材料により構成することもできる。また、帯部材34をポリイミド膜25、26よりも剛性が高い材料で構成することにより、薄膜シート32を押圧部4(図6参照)により押圧した際に、薄膜シート32に皺が発生することを抑制できる。
【0122】
また、複数のコンタクタ3に分散して荷重を伝達する機能からは、例えば図30に示す帯部材34の側面(スリット2d側の側面、端面)がスリット2dにおいてポリイミド膜33から露出する構成とすることもできる。ただし、帯部材34の一部が露出すると、帯部材34が腐食しやすくなる。そこで、これを防止する観点からは、図30に示すように、スリット2dの隣に配置される帯部材34のスリット2d側の側面は、ポリイミド膜33により覆われていることが好ましい。
【0123】
また、薄膜シート32のスリット2dは、前記実施の形態と同様に、例えば、薄膜シート32の主面2aおよび裏面2bのうち、一方の面から他方の面に向かってレーザ光を照射することにより形成することができる(レーザ照射工程)。ただし、本実施の形態では、金属膜からなる帯部材34を形成するので、以下の態様が好ましい。図37は、図17に示す組立工程の変形例を示す拡大断面図、図38は図18に示す組み立て工程の変形例を示す拡大断面図である。例えば、図17の変形例である図37に示すように、配線層24a上に最上層の配線層24bを積層し、さらに、金属膜34a、34b(図30参照)からなる帯部材34およびこれを覆うポリイミド膜33を積層する。その後、基板40、導電膜41、および薄膜42、43を取り除く前に、薄膜シート32の裏面2b側からレーザ光LZを照射して形成することができる。また、例えば、図18の変形例である図38に示すように、薄膜シート32を図6に示す配線基板1に接続し、保持させた後、薄膜シート32の裏面2b側から押圧し(前記シート引き伸ばし工程)、薄膜シート32を引き伸ばした状態で、主面2a側からレーザ光LZを照射して形成することができる。
【0124】
ここで、図37、図38のいずれの場合においても、レーザ光LZを照射する領域、すなわち、スリット2dを形成する領域には、帯部材34は形成されていないことが好ましい。レーザ光LZを照射する領域に金属膜からなる帯部材34が形成されている場合であっても、ポリイミド膜25、33にスリット2dを形成する場合よりも高いエネルギーのレーザ光LZを照射すればこれを切断することができる。しかし、金属膜からなる帯部材34を切断するために必要な高エネルギーのレーザ光LZをポリイミド膜25、33に照射すると、過剰に加工される場合がある。そこで、レーザ照射工程での加工不良を防止ないしは抑制する観点から、レーザ光LZを照射する領域、すなわち、スリット2dを形成する領域には、帯部材34は形成されていないことが好ましい。このような態様でレーザ照射工程を行うため、例えば本実施の形態では、金属膜34a、34b(図30参照)からなる帯部材34を形成する工程において、スリットを形成する予定領域に、予めマスク(図示は省略)を配置した状態で帯部材34を形成する。これにより、マスクを取り除いた後で、帯部材34を覆うポリイミド膜33を積層すれば、図37、図38に示すように、レーザ光LZを照射する領域には、帯部材34は形成されていない薄膜シート32が得られる。また、これにより、図30に示すように、スリット2dの隣に配置される帯部材34のスリット2d側の側面が、ポリイミド膜33により覆われた構造となる。
【0125】
なお、図38に示す組み立て工程によれば、前記実施の形態1で説明した図18に示す組み立て工程と同様に、レーザ照射領域のポリイミドシート4fおよびエラストマ4cの一部まで達する開口部が形成される。また、エラストマ4cを貫通する開口部が形成される場合もある。
【0126】
また、図30〜図38では、帯部材34をポリイミド膜33で覆う構成としたが、変形例として図39に示す薄膜シート36のように、帯部材34が薄膜シート32の裏面2b側に露出した構造とすることもできる。図39は、図30に示す薄膜シートの変形例を示す拡大断面図である。図39に示す薄膜シート36では、図30に示すポリイミド膜33を形成せず、最上層に配置されるポリイミド膜25の上面が薄膜シート32の裏面2bとなっている。この場合、ポリイミド膜25上に形成される帯部材34が、突出部32aとなる。ただし、帯部材34やポリイミドシート4f(図32参照)を保護する観点からは、図30に示すように、帯部材34を保護膜としてのポリイミド膜33で覆う方が好ましい。例えば、帯部材34の腐食やポリイミド膜25からの剥離を防止ないしは抑制できる。また例えば、帯部材34と直接擦れることによるポリイミドシート4f(図32参照)の破損を防止できる。
【0127】
また、図30〜図38では、薄膜シート32の裏面2bのコンタクタ3上の領域30aが周囲の領域30bよりも高くなっている例を示した。しかし、変形例として図40に示す薄膜シート38のように、平坦化された裏面2bに突出部32aを形成する構造とすることもできる。図40は、図30に示す薄膜シートの他の変形例を示す拡大断面図である。図40に示す薄膜シート38によれば、図30〜図38に示す薄膜シート32と同様に突出部32aを形成することにより、突出部32aで受けた荷重を複数のコンタクタ3に分散して伝達することができるので、各コンタクタ3の接触圧力のばらつきを低減することができる。
【0128】
また、突出部32aで荷重を受けるためには、突出部32aの高さがコンタクタ配置領域2c(図9参照)の裏面2bにおいて、最も高い位置となるような厚さが好ましい。このため、帯部材34の厚さは、配線23の厚さ以上とすることが好ましい。特に好ましくは、図30に示すように、配線23よりも帯部材34を厚く形成することが好ましい。
【0129】
また、図29に示すように、コンタクタ群3Aの両隣に帯部材34を配置する場合には、平面視において、帯部材34とコンタクタ群3Aとの間の距離を等距離にすることが好ましい。例えば、図29では、2本の帯部材のうち、コンタクタ群3Aの一方の隣に配置される帯部材34からコンタクタ群3Aまでの距離L1は、コンタクタ群3Aの他方の隣に配置される帯部材34からコンタクタ群3Aまでの距離L2と等しくなっている。また、図29に示すように、距離L1と距離L2は、一つのコンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)において一定である。これにより、複数のコンタクタ3と突出部32aの距離を略一定に保つことができるので、突出部32aが受けた荷重をバランス良く複数のコンタクタに分散させることができる。また、特に好ましい距離L1と距離L2の具体的な値は、コンタクタ3の大きさ(平面寸法)に応じて変化するが、本実施の形態では、距離L1、L2は、一つのコンタクタ3の幅に対して0.5倍以上、2倍以下としている。例えば、コンタクタ3の幅(平面視において、コンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)と直交する方向の長さ)が約50μmであるのに対し、距離L1、L2は約25μm以上100μm以下の任意の値としている。距離L1、L2の値が極端に大きくなると、裏面2bのコンタクタ3上の領域30aが押圧部4(図32参照)からの荷重を受け易くなり、突出部32aを介さない荷重成分が生じる。一方、距離L1、L2の値が極端に小さくなると、突出部32aで受けた荷重を複数のコンタクタ3に分散する際に、分散性のばらつきが生じ易くなる。このため、距離L1、L2は、一つのコンタクタ3の幅に対して0.5倍以上、2倍以下とすることが特に好ましい。
【0130】
また、図29に示すように、コンタクタ群3Aの両隣に帯部材34を配置する場合には、平面視において、各帯部材34の帯幅を揃えることが好ましい。例えば、図29では、2本の帯部材34のうち、コンタクタ群3Aの一方の隣に配置される帯部材34の帯幅W1と、コンタクタ群3Aの他方の隣に配置される帯部材34の帯幅W2は等しくなっている。また、帯幅W1と帯幅W2は、一つのコンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)において一定である。これにより、各突出部32aで受ける荷重量が同程度とすることができる。また、押圧部4(図32参照)から突出部32aを介して複数のコンタクタ3に伝達される荷重が、接触圧力を決定する主たる荷重となるようにするためには、帯幅W1、W2は広くすることが好ましい。本実施の形態では、帯幅W1、W2は下層に配置される配線23(図10参照)の配線幅よりも広く、一つのコンタクタ3の幅と同程度にしている。例えば、図10に示す配線23の配線幅(コンタクタ3上に延在する領域の配線幅)が約20〜25μmであるのに対し、帯幅W1、W2は約40〜60μm程度としている。つまり、帯幅W1、W2はコンタクタ3の幅(平面視において、コンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)と直交する方向の長さ)と同程度になっている。このように、帯幅W1、W2を広く形成することにより、突出部32aを介さずに複数のコンタクタ3に伝達される荷重の影響を低減することができる。なお、帯幅W1、W2は、一つのコンタクタ3の幅と同程度以上とすれば、突出部32aを介さずに複数のコンタクタ3に伝達される荷重の影響を低減することができるので、帯幅W1、W2の上限は特に限定されない。したがって、例えば、薄膜シート32を押圧部4(図6参照)により押圧した際にコンタクタ配置領域2c(図27参照)を弛みなく広げる観点、あるいは、薄膜シート32やプローブカードPRC(図6参照)を組立てる工程でのハンドリングの観点などから適宜選択することができる。
【0131】
また、図28および図29に示すように、コンタクタ群3Aには、複数のコンタクタ3が、コンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)に沿って複数列(2列)で配置されている。これは、検査対象であるチップ領域10a(図19参照)におけるパッド11(図19参照)の配列パターンに対応させるためである。このように、一つのコンタクタ群3Aに複数列でコンタクタ3を配置する場合、図29の変形例として、第1列目のコンタクタ3と第2列目のコンタクタ3の間に、さらに帯部材34(突出部32a)を配置することも考えられる。すなわち、コンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)に沿って3本以上の帯部材34(突出部32a)を配置する構造とすることもできる。ただし、図29に示すように、第1列目のコンタクタ3と第2列目のコンタクタ3間の距離が短い場合、各列のコンタクタ3の間に帯部材34を配置すると、間に配置した帯部材34とコンタクタ3の距離が短くなり、各コンタクタ3間の接触圧力のばらつきが十分に低減できなくなる虞がある。また、半導体チップ10(図4参照)の平面積の小型化の観点からは、パッド11(図4参照)を複数列で配置する場合には、第1列目のパッド11と第2列目のパッド11の距離を近づけて配置することが好ましい。そこで、図29に示すように、複数のコンタクタ3が、コンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)に沿って複数列(2列)で配置される場合であっても、複数列で配置されるコンタクタ3の間には、帯部材34は配置しないことがより好ましい。この場合でも、第1列目のコンタクタ3と第2列目のコンタクタ3間の距離が短ければ(図29では約58μm)、コンタクタ群3Aの両隣に配置された2本の帯部材34の間に配置された各列のコンタクタ3にそれぞれ荷重を分散して伝達することができるので、接触圧力のばらつきを低減することができる。もちろん、第1列目のコンタクタ3と第2列目のコンタクタ3間の距離が長い(例えば、一つのコンタクタ3の幅の2倍以上)場合には、第1列目のコンタクタ3と第2列目のコンタクタ3の間に、さらに帯部材34(突出部32a)を配置することができる。
【0132】
また、図27に示す薄膜シート32は、四角形を成すコンタクタ配置領域2cの各辺に沿って配置される複数のコンタクタ群のうち、図29に示すコンタクタ群3A以外のコンタクタ群3B、3C、3Dにもそれぞれ複数のコンタクタ3が配置されている。図27に示すように、コンタクタ群3Aと交差(直交)する辺に沿って配置されるコンタクタ群Bには、複数のコンタクタ3bが、コンタクタ群3Bの延在方向(配列方向)に沿って複数列(2列)で配置されている。また、コンタクタ群3Aと対向する辺に沿って配置されるコンタクタ群Bには、複数のコンタクタ3cが、コンタクタ群3Cの延在方向(配列方向)に沿って複数列(2列)で配置されている。また、コンタクタ群3Bと対向する辺に沿って配置されるコンタクタ群Dには、複数のコンタクタ3dが、コンタクタ群3Dの延在方向(配列方向)に沿って複数列(2列)で配置されている。そして、コンタクタ群3B、3C、3Dの両隣には、コンタクタ群3Aの両隣と同様に、それぞれ帯部材34およびこれに倣った突出部32aが配置されている。このように、コンタクタ配置領域2cの各辺に沿ってそれぞれコンタクタ群3A、3B、3C、3Dを配置する場合には、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの両隣にそれぞれ配置される帯部材34間の距離L3(図29参照)を等しくすることが好ましい。各帯部材34間の距離L3を等しくすることにより、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dのそれぞれにおいて、距離L1、L2(図29参照)を揃えることができる。この結果、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dに配置されるコンタクタ3a、3b、3c、3d間の接触圧力のばらつきを低減することができる。
【0133】
また、帯部材34および突出部32aの全体構造として、図41に示すように、コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの内側および外側に配置された複数の帯部材34はコンタクタ配置領域2cの各辺に沿って、それぞれ環状に配置されている。図41は、図29に示す帯部材の全体構造と、コンタクタ群との相対的位置関係を模式的に示す拡大平面図である。図41では、コンタクタ群3A、3B、3C、3Dは平面視において四辺形を構成する。そして、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dに沿って配置される帯部材34のそれぞれは、平面視において、四辺形の内側に配置される内側環状体28aと、前記四辺形の外側に配置される外側環状体28bの一部を構成する。言い換えれば、図41では、平面視において四角形を成すコンタクタ配置領域2cの角部領域2fに帯部材34を配置している。
【0134】
また、図41に示す帯部材34および突出部32aの全体構造の変形例として、図42に示す薄膜シート37のように、内側環状体28a、外側環状体28bの各角部(角部領域2f)において、帯部材34を配置しない構造とすることができる。図42は、図41に対する変形例を模式的に示す拡大平面図である。図42の薄膜シート37は、コンタクタ配置領域2cの角部領域2fに外側環状体28bの帯部材34および内側環状体28aの帯部材34を配置せず、内側環状体28a、外側環状体28bそれぞれの一部を構成する各帯部材34は互いに独立した部材となっている。この場合、各コンタクタ3(図27参照)の接触圧力をコンタクタ群3A、3B、3C、3Dそれぞれの単位で制御することができる。また、延在方向の変局点となる内側環状体28aの角部に帯部材34を形成しないことにより、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dのそれぞれに沿って配置される帯部材34の相互の影響を低減することができる。
【0135】
本実施の形態は、上記した相違点の他の点では前記実施の形態2と同様である。したがって、重複する説明は省略するが、前記実施の形態1や前記実施の形態2で説明した技術について、薄膜シート2や薄膜シート31を薄膜シート32に置き換えて適用することができる。
【0136】
(実施の形態4)
前記実施の形態3では、散在領域に配置された複数のコンタクタ3と、密集配置領域に配置された複数のコンタクタ3と、を含む複数のコンタクタ3の接触圧力のばらつきを総合的に低減する技術について説明した。ただし、実施の形態1および実施の形態2で説明した散在配置領域にスリット2dを形成する技術と、実施の形態3で説明した突出部32aを形成する技術は、それぞれ独立して適用することができる。本実施の形態では、前記実施の形態3の変形例として、スリット2dを形成しない実施態様について説明する。なお、本実施の形態は、前記実施の形態3で説明した技術の応用技術なので、前記実施の形態3と重複する説明は極力省略し、前記実施の形態3との相違点を中心に説明する。また、以下で説明する技術は、前記実施の形態1で説明したように、複数のコンタクタ3を一列で配置する場合、および前記実施の形態2で説明したように、複数のコンタクタ3を複数列で配置する場合の双方に適用することができる。本実施の形態では、代表例として前記実施の形態2のように複数列でコンタクタ3を配置した薄膜シートに適用した実施態様について説明する。
【0137】
図43は、図27に対する変形例である薄膜シートのコンタクタ配置領域の拡大平面図である。また、図44は、図43のL部の拡大平面図、図45は、図44に示す薄膜シートの裏面側を示す拡大平面図である。また、図46は、図44のN−N線に沿った断面において、コンタクタとウエハのパッドを接触させた状態を示す拡大断面図である。また、図47は、図45に示す帯部材の全体構造と、コンタクタ群との相対的位置関係を模式的に示す拡大平面図である。また、図48、図49は、それぞれ図47に対する第1または第2の変形例を模式的に示す拡大平面図である。なお、図45に示すM−M線に沿った拡大断面は、前記実施の形態3で説明した図30と同様なので、図示は省略する。また、図45において、突出部32aとコンタクタ3との平面的位置関係を解かり易くするため、図44に示す配線23、ダミー配線26は図示していない。
【0138】
図43〜図49に示す本実施の形態の薄膜シート39は、前記実施の形態3で説明した薄膜シート32が備えるスリット2dが形成されていない点で、相違する。すなわち、図44、図45、46と前記実施の形態3で説明した図28、図29、図33の比較から判るように、本実施の形態4の薄膜シート39は、散在配置領域(図44に示す領域2n、2k)にスリット2d(図28参照)が形成されていない。また、図44に示すように、平面視において、コンタクタ群3Aの両隣に配置される帯部材34および突出部32aは、スリット2d(図28参照)により分断されず、コンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)に沿って連続的に延在するように配置されている。上記以外の点では、薄膜シート39は前記実施の形態3で説明した薄膜シート32と同様である。このように、スリット2dを形成しない薄膜シート39の場合であっても、平面視において、コンタクタ3と離間して突出部32aを配置することにより、コンタクタ3に伝達される荷重のばらつきを低減でき、各コンタクタ3の接触圧力を均一化することができる。また、突出部32aを、コンタクタ群3Aの延在方向(配列方向)に沿って連続的に延在するように配置することにより、突出部32aに伝達された荷重は、2本の突出部32aの間に挟まれた複数のコンタクタ3に分散して伝達される。つまり、2本の突出部32aの間に挟まれた複数のコンタクタ3それぞれの接触圧力のばらつきを低減することができる。例えば、図44において複数のコンタクタ3(図44に示す範囲では11個のコンタクタ3)のそれぞれには、これらのコンタクタ3の両隣に配置された2本の突出部32aから荷重が分散して伝達される。これにより、散在配置領域に配置されるコンタクタ3の接触圧力と、他の領域(例えば密集領域)に配置されるコンタクタ3の接触圧力とを均一化することができる。この結果、前記実施の形態3で説明したような、複数のコンタクタ3それぞれの接触圧力のばらつきに起因する、電気的検査工程での不良を防止ないしは抑制できる。
【0139】
また、図44に示すようにスリット2dを形成する領域に、突出部32aを残す(スリット2dにより分断しない)構成にした場合、コンタクタ3に伝達される荷重のばらつきを低減でき、各コンタクタ3の接触圧力を均一化することができるとともに、シート引き伸ばし工程において、弛みなく薄膜シート2を引き伸ばす際の阻害要因を取り除くことができる。
【0140】
また、帯部材34および突出部32aの全体構造として、図47に示すように、コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの内側に配置された4つの帯部材34はそれぞれ連結して一体化し、コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの外側に配置された4つの帯部材34を連結して一体化する構造に適用する場合がある。図47では、コンタクタ群3A、3B、3C、3Dは平面視において四辺形を構成する。そして、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dに沿って配置される帯部材34のそれぞれは、平面視において、四辺形の内側に配置される内側環状体28aと、前記四辺形の外側に配置される外側環状体28bの一部を構成する。このような場合には、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dに沿って配置される突出部32aのそれぞれが受ける荷重が相互に影響するので、特に、各帯部材34間の距離L3、L4、L5、L6を等しくすることが好ましい。
【0141】
また、図47に示すように、外側環状体28bを途中で分断されることなく連続的に形成する場合には、外側環状体28bの各辺の延長線が交わる角部では、接続される2辺が直交しないように各辺に対して斜めに配置された斜め配置部28cを介して接続されている。外側環状体28bの2辺が接続される角部は、帯部材34の延在方向が変化する変局点となる。このため、斜め配置部28cを設けることで、各帯部材34の相互の影響を緩和している。ただし、斜め配置部28cを設けることで、帯部材34とコンタクタ群3A、3B、3C、3Dの距離L1、L2(例えば、図29参照)が変わってしまう場合には、斜め配置部28cを設けない方が好ましい。例えば、図47に示す内側環状体28aの各辺が交わる角部の近傍には、コンタクタ群3A、3B、3C、3Dが配置されている。このため、内側環状体28aの各辺が交わる角部には斜め配置部を設けていない。これにより、内側環状体28aを構成する各帯部材34の延在方向のそれぞれにおいて、帯部材34とコンタクタ群3A、3B、3C、3Dの距離L2(例えば図29参照)を揃えることができる。
【0142】
また、図47に示す帯部材34および突出部32aの全体構造の変形例として、図48に示すように、内側環状体28a、外側環状体28bの各角部において、帯部材34を分断する(連結しない)構造とすることができる。この場合、各帯部材34は互いに独立した部材となるので各コンタクタ3の接触圧力をコンタクタ群3A、3B、3C、3Dそれぞれの単位で制御することができる。また、変局点となる角部に帯部材34を形成しないことにより、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dのそれぞれに沿って配置される帯部材34の相互の影響を低減することができる。このように、帯部材34を分断する場合には、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dに配置される複数のコンタクタ3a、3b、3c、3dのうち、端部に配置されるものと同じ位置、あるいはそれよりもさらに角部側まで延在させることが好ましい。これにより、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dに配置される複数のコンタクタ3a、3b、3c、3dの荷重をそれぞれ分散させることができるので、接触圧力のばらつきを低減することができる。
【0143】
なお、図48に示す内側環状体28a、外側環状体28bのそれぞれを分断する態様の変形例として、内側環状体28a、外側環状体28bのいずれか一方を分断する構造とすることもできる。例えば図49では、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの長さが長く、内側環状体28aの角部近傍まで延在している。このため、図49では、前記実施の形態3で説明したスリット2d(図41、図42参照)は形成しないが、外側環状体28bの各角部において、帯部材34を分断する(連結しない)構造としている。一方、内側環状体28aは、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの端部まで延在させるため、途中で分断されることなく連続的に形成している。
【0144】
<その他の変形例>
次に、上記以外の変形例について説明する。前記実施の形態1〜前記実施の形態4では、平面視において四角形を成すコンタクタ配置領域2cの各辺に沿って一列、または二列で複数のコンタクタ3を配置する例を説明したが、コンタクタ3の配列パターンはこれに限定されない。図示は省略するが、例えば前記実施の形態2のように複数のコンタクタ3が複数列で配置されたコンタクタ群3B、3C、3Dと、前記実施の形態1のように複数のコンタクタ3aが一列で配置されたコンタクタ群3Aが混在する構造に適用することができる。
【0145】
また、前記実施の形態3の薄膜シート32や前記実施の形態3の薄膜シート39では、複数のコンタクタ3がコンタクタ群の延在方向(配列方向)に沿って、それぞれ複数列(2列)で配置された構造に適用した実施態様について説明した。しかし、コンタクタ群内におけるコンタクタ3の列数や、コンタクタ群の配置はこれに限定されない。例えば、前記実施の形態1のように各コンタクタ群に複数のコンタクタ3が一列で配置された構造に適用することができる。複数のコンタクタ3を一列で配置した場合、薄膜シート32のように複数列でコンタクタ3aを配置する場合よりもさらに高精度でコンタクタ3aの接触圧力のばらつきを低減することができる。
【0146】
また、本実施の形態で説明した半導体チップ10、10cは、四辺のそれぞれに沿って複数のパッド11が配置されているが、例えば、四辺のうちの一辺あるいは二辺のみに沿ってパッド11が配置されている場合もある。そして、パッド11の配列に対応してコンタクタ群の数も、一つ、あるいは二つとなる。この場合には、スリット2dや突出部32a、帯部材34はコンタクタ群が配置された辺のみに形成すれば良い。
【0147】
また、前記実施の形態1〜前記実施の形態4では、1枚の薄膜シートに、一つのチップ領域10a(図2、図19参照)に対応するコンタクタ配置領域2cを配置して、各チップ領域10aに対して順次、電気的検査を行う実施態様を示したが、複数のチップ領域10aに対して一括して電気的検査を行うこともできる。
【0148】
図50〜図55は、図1に示す電気的検査工程を、複数のチップ領域に対して一括で行う場合に用いる薄膜シートのコンタクタ配置領域を模式的に示す拡大平面図である。図50および図51は、前記実施の形態1または前記実施の形態2に対する変形例、図52および図53は前記実施の形態3に対する変形例である。また、図54および図55は前記実施の形態4に対する変形例である。図50〜図55に示す薄膜シート60、61、62、63、64、65は、それぞれ複数(図50、図52、図54では2個、図51、図53、図55では4個)のコンタクタ配置領域2cを有している。そして、各コンタクタ配置領域2cには、それぞれコンタクタ群3A、3B、3C、3Dが配置されている。このような構成とすることにより、複数のチップ領域10a(図2参照)に対して一括して電気的検査を行うことができる。また、3個以上のコンタクタ配置領域2cを配置するレイアウトは、図51、図53や図55のようにマトリクス状に配置する態様には限定されず、例えば3個以上のコンタクタ配置領域2cを一列で並べて配置することもできる。
【0149】
また、図50〜図53では、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの端部には、前記実施の形態1〜前記実施の形態3のいずれかで説明したスリット2dがそれぞれ形成されている。このため、コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの端部に配置されるコンタクタの接触圧力を低減することができる。また、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの途中には、例えば図15、図16、図24、図28、図29を用いて説明したスリット2dがそれぞれ形成されている。このため、散在配置領域に配置されるコンタクタや密集配置領域の端部に配置されるコンタクタの接触圧力を低減することができる。ところで、図50〜図53に示すように、一枚の薄膜シート60、61、62、63が複数のコンタクタ配置領域2cを有する場合、コンタクタ配置領域2cの境界を介して対向するコンタクタ群が存在する。例えば図50において、左側のコンタクタ配置領域2cに配置されるコンタクタ群3Bと、右側のコンタクタ配置領域2cに配置されるコンタクタ群3Dがこれに相当する。このようなコンタクタ群に対応して形成するスリット2dは、一方のコンタクタ配置領域2cに配置されるスリット2dが、他方のコンタクタ配置領域2cに配置されるスリット2dと交わる場合がある。この場合、スリット2dを連結して、複数のコンタクタ配置領域2cに亘って延在させることができる。また、複数のコンタクタ配置領域2cに亘ってスリット2dを延在させると、他のコンタクタ配置領域2cにおける配線レイアウトの阻害要因となる場合には、スリット2dの両端がコンタクタ配置領域2c内に収まるように配置することでこれを抑制することができる。
【0150】
また、図52および図53に示すように、各コンタクタ群3A、3B、3C、3Dの両隣には、それぞれ帯部材34が配置されている。このため、帯部材34の間に挟まれた領域に配置される複数のコンタクタの接触圧力のばらつきを低減することができる。ところで、図52や図53に示すように、複数のコンタクタ配置領域2cを並べて配置する場合、各コンタクタ配置領域2cの間隔は、図2に示す隣り合うチップ領域10a間の間隔(スクライブ領域10bの幅)に応じて変化する。そして、スクライブ領域10bの幅によっては、図52〜図55に示すように隣り合うコンタクタ配置領域2cにそれぞれ帯部材34を配置できない場合がある。そこで、図54の変形例として示す図56の薄膜シート66では、隣り合うコンタクタ配置領域2cにおいて兼用する1本の帯部材34を配置している。つまり、2つのコンタクタ配置領域2c(例えば図47参照)がそれぞれ有する外側環状体28bのうち、対向配置される帯部材34を一体化している。この場合、一体化された帯部材34と、これと対向する内側環状体28aの一部である帯部材34は、異なる帯幅となる場合がある。しかし、この場合であっても、帯部材34(突出部32a)を形成しない場合と比較すると、コンタクタ3の接触圧力のばらつきを低減することができる。
【0151】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記した各実施の形態で説明した各変形例を、要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせて適用できる。
【0152】
<発明の概要>
本願で詳細に説明した発明には、以下の構成が含まれている。以下、項毎に説明する。
【0153】
〔項1〕
(a)複数のチップ領域に区画され、前記複数のチップ領域の各々には半導体集積回路が形成され、主面上において前記半導体集積回路と電気的に接続する複数のチップ電極が形成された半導体ウエハを準備する工程、
(b)複数の第1配線が形成された配線基板と、前記複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する裏面を有し、前記複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面側に対向するように前記配線基板に保持された第1シートと、前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された接触端子配置領域を、緩衝層を介して前記裏面より押圧する押圧部と、を有する第1カードを準備する工程、
(c)前記第1シートの前記複数の接触端子の先端を前記半導体ウエハの前記複数のチップ電極に接触させて前記半導体集積回路の電気的検査を行う工程、
を含み、
前記第1シートは、
前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、
前記裏面を有し、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、
を含み、
前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれ、
前記複数の第2配線のうち、前記複数の第1接触端子に接続される前記複数の第2配線は、平面視において、前記第1方向と交差する方向に沿って延在するように配置され、
平面視において、前記複数の第1接触端子のうち、前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子の前記第1接触端子群の反対側には、前記第1絶縁膜上に前記第2配線に沿って形成され、かつ、前記複数の接触端子とは電気的に接続されない第3配線が配置され、
前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子と前記第3配線の間には、前記第1シートの前記接触端子形成面および前記裏面のうち、一方の面から他方の面までを貫通する開口部から成るスリットが、前記第2配線に沿って形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0154】
〔項2〕
項1において、
前記スリットの長さは、前記第1接触端子群の延在方向と直交方向の幅よりも長いことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0155】
〔項3〕
項2において、
平面視において、四角形を成す前記接触端子配置領域には、前記接触端子配置領域の外縁を構成する四辺のうち、第1辺に沿って配置される前記第1接触端子群、前記第1辺と交差する第2辺に沿って複数の第2接触端子が配置される第2接触端子群、および前記第1接触端子群と前記第2接触端子群が交差する第1角部領域が配置され、
前記第1角部領域と前記第1接触端子群の間、および前記第1角部領域と前記第2接触端子群の間には、それぞれ前記スリットが形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0156】
〔項4〕
項3において、
前記スリットの長さは、前記第1または前記第2接触端子群から前記接触端子配置領域の内側に向かう方向の長さよりも、前記第1または前記第2接触端子群から前記接触端子配置領域の外側に向かう方向の長さの方が長いことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0157】
〔項5〕
項1において、
前記第2配線の前記スリット側の側面は、前記第2絶縁膜により覆われていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0158】
〔項6〕
項1において、
前記第1接触端子群は、第1の間隔で前記複数の第1接触端子が配置される第1領域と、前記第1の間隔よりも広い第2の間隔で前記第1接触端子が配置される第2領域を有し、
前記第2領域に配置される前記第1接触端子および前記第1領域の端部に配置される前記第1接触端子の間に、前記第2配線に沿って、前記スリットが形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0159】
〔項7〕
項1において、
前記(b)工程は、
(b1)基板を準備する工程と、
(b2)前記(b1)の後、前記基板上に、前記複数の接触端子、前記第1絶縁膜、前記複数の第2および第3配線、前記第2絶縁膜を順に積層する工程と、
(b3)前記(b2)工程の後、前記第1シートの前記裏面側からレーザ光を照射して前記スリットを形成する工程と、
(b4)前記(b3)工程の後、前記第1シートを前記配線基板と接続し、保持させる工程と、
を含むことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0160】
〔項8〕
項1において、
前記(b)工程は、
(b1)基板を準備する工程と、
(b2)前記(b1)の後、前記基板上に、前記複数の接触端子、前記第1絶縁膜、前記複数の第2および第3配線、前記第2絶縁膜を順に積層する工程と、
(b3)前記(b2)工程の後、前記第1シートを前記配線基板と接続し、保持させる工程と、
(b4)前記(b3)工程の後、前記押圧部により、前記緩衝層を介して前記接触端子配置領域の前記裏面から押圧する工程と、
(b5)前記(b4)工程の後、前記第1シートの前記接触端子形成面側からレーザ光を照射して前記スリットを形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0161】
〔項9〕
項8において、
前記(b5)工程では、前記スリットの上層に配置される前記緩衝層の少なくとも一部まで到達する開口部が形成されることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0162】
〔項10〕
項1において、
前記第1接触端子群に配置される前記複数の第1接触端子には、前記第1方向に沿った第1列目に配置される複数の第1列目接触端子と、第2列目に配置される複数の第2列目接触端子が含まれることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0163】
〔項11〕
項10において、
前記第1接触端子群の端部周辺では、前記複数の第1列目接触端子が配置されず、前記複数の第2列目接触端子が一列で配置され、
前記複数の第2列目接触端子のうち、前記第2列目の端部に配置される接触端子と、該接触端子の前記第1接触端子群の反対側に配置される前記第3配線との間には、前記スリットが形成され、
前記複数の第1列目接触端子のうち、前記第1列目の端部に配置される接触端子と、該接触端子の隣に配置される前記第2または第3配線との間には、前記スリットが形成されていないことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0164】
〔項12〕
項10において、
前記第1接触端子群の前記第1列目には、第1の間隔で前記複数の第1列目接触端子が配置される第1密集配置領域と、前記第1の間隔よりも広い第2の間隔で前記複数の第1列目接触端子が配置される第1散在配置領域とが含まれ、
前記第1接触端子群の前記第2列目には、第3の間隔で前記複数の第2列目接触端子が配置される第2密集配置領域と、前記第3の間隔よりも広い第4の間隔で前記複数の第2列目接触端子が配置される第2散在配置領域とが含まれ、
前記第1方向に沿って、前記第1、第2散在配置領域が隣り合って配置された領域には、前記スリットが形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0165】
〔項13〕
項12において、
前記第1方向に沿って、前記第1散在配置領域と前記第2密集配置領域、または、第1密集配置領域と前記第2散在配置領域が隣り合って配置される領域には、前記スリットが形成されていないことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0166】
〔項14〕
(a)複数のチップ領域に区画され、前記複数のチップ領域の各々には半導体集積回路が形成され、主面上において前記半導体集積回路と電気的に接続する複数のチップ電極が形成された半導体ウエハを準備する工程、
(b)複数の第1配線が形成された配線基板と、前記複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する裏面を有し、前記複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面側に対向するように前記配線基板に保持された第1シートと、前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された接触端子配置領域を、緩衝層を介して前記裏面より押圧する押圧部と、を有する第1カードを準備する工程、
(c)前記第1シートの前記複数の接触端子の先端を前記半導体ウエハの前記複数のチップ電極に接触させて前記半導体集積回路の電気的検査を行う工程、
を含み、
前記第1シートは、
前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、
前記裏面を有し、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、
前記裏面に形成された突出部と、
を含み、
前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれ、
前記複数の第2配線のうち、前記複数の第1接触端子に接続される前記複数の第2配線は、平面視において、前記第1方向と交差する方向に沿って延在するように配置され、
平面視において、前記複数の第1接触端子のうち、前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子の前記第1接触端子群の反対側には、前記第1絶縁膜上に前記第2配線に沿って形成され、かつ、前記複数の接触端子とは電気的に接続されない第3配線が配置され、
前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子と前記第3配線の間には、前記第1シートの前記接触端子形成面および前記裏面のうち、一方の面から他方の面までを貫通する開口部から成るスリットが、前記第2配線に沿って形成され、
前記突出部は、平面視において、前記第1接触端子群の隣に、前記第1接触端子群に沿って延在するように配置され、かつ、前記突出部の延長線上において前記スリットが配置される領域には前記突出部は形成されていないことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0167】
〔項15〕
項14において、
前記裏面には、複数の前記突出部が形成され、
前記複数の突出部は、平面視において、前記第1接触端子群の両隣に、前記第1接触端子群に沿って延在するように配置されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0168】
〔項16〕
項15において、
前記第2絶縁膜と複数の第2配線の間には、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線を覆う第3絶縁膜が形成され、
前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜の間には、前記第2絶縁膜よりも剛性の高い材料から成る複数の帯部材が形成され、
前記複数の帯部材には、平面視において、前記第1接触端子群の両隣に、前記第1接触端子群に沿って帯状に延在するように配置される複数の第1帯部材が含まれ、
前記複数の突出部は、前記複数の帯部材に倣って形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0169】
〔項17〕
項16において、
前記複数の帯部材は、金属膜から成ることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0170】
〔項18〕
項17において、
前記第2、第3配線の前記スリット側の側面、および前記複数の帯部材の前記スリット側の側面は、前記第2絶縁膜により覆われていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0171】
〔項19〕
項17において、
前記(b)工程は、
(b1)基板を準備する工程と、
(b2)前記(b1)の後、前記基板上に、前記複数の接触端子、前記第1絶縁膜、前記複数の第2および第3配線、前記第3絶縁膜、前記複数の帯部材、および前記第2絶縁膜を順に積層する工程と、
(b3)前記(b2)工程の後、前記第1シートの前記裏面側からレーザ光を照射して前記スリットを形成する工程と、
(b4)前記(b3)工程の後、前記第1シートを前記配線基板と接続し、保持させる工程と、
を含み、
前記複数の帯部材は、前記(b3)工程において前記レーザ光を照射する領域には、形成しないことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0172】
〔項20〕
項17において、
前記(b)工程は、
(b1)基板を準備する工程と、
(b2)前記(b1)の後、前記基板上に、前記複数の接触端子、前記第1絶縁膜、前記複数の第2および第3配線、前記第3絶縁膜、前記複数の帯部材、および前記第2絶縁膜を順に積層する工程と、
(b3)前記(b2)工程の後、前記第1シートを前記配線基板と接続し、保持させる工程と、
(b4)前記(b3)工程の後、前記押圧部により、前記緩衝層を介して前記接触端子配置領域の前記裏面から押圧する工程と、
(b5)前記(b4)工程の後、前記第1シートの前記接触端子形成面側からレーザ光を照射して前記スリットを形成する工程と、
を含み、
前記複数の帯部材は、前記(b5)工程において前記レーザ光を照射する領域には、形成しないことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0173】
〔項21〕
複数の第1配線が形成された配線基板と、
半導体ウエハの主面上に形成された複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する裏面を有し、前記複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面に対向して前記配線基板に保持された第1シートと、
前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された領域を、緩衝層を介して前記裏面より押圧する押圧部と、
を有し、
前記第1シートは、
前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、
前記裏面を有し、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、
を含み、
前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれ、
前記複数の第2配線のうち、前記複数の第1接触端子に接続される前記複数の第2配線は、平面視において、前記第1方向と交差する方向に沿って延在するように配置され、
平面視において、前記複数の第1接触端子のうち、前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子の前記第1接触端子群の反対側には、前記第1絶縁膜上に前記第2配線に沿って形成され、かつ、前記複数の接触端子とは電気的に接続されない第3配線が配置され、
前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子と前記第3配線の間には、前記第1シートの前記接触端子形成面および前記裏面のうち、一方の面から他方の面までを貫通する開口部から成るスリットが、前記第2配線に沿って形成されていることを特徴とするプローブカード。
【0174】
〔項22〕
(a)複数のチップ領域に区画され、前記複数のチップ領域の各々には半導体集積回路が形成され、主面上において前記半導体集積回路と電気的に接続する複数のチップ電極が形成された半導体ウエハを準備する工程、
(b)複数の第1配線が形成された配線基板と、前記複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する裏面を有し、前記複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面側に対向するように前記配線基板に保持された第1シートと、前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された領域を、緩衝層を介して前記裏面より押圧する押圧部と、を有する第1カードを準備する工程、
(c)前記第1シートの前記複数の接触端子の先端を前記半導体ウエハの前記複数のチップ電極に接触させて前記半導体集積回路の電気的検査を行う工程、
を含み、
前記第1シートは、
前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、
前記裏面を有し、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、
前記裏面に形成された突出部と、
を含み、
前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれ、
前記突出部は、平面視において、前記第1接触端子群と離間して配置されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0175】
〔項23〕
(a)複数のチップ領域に区画され、前記複数のチップ領域の各々には半導体集積回路が形成され、主面上において前記半導体集積回路と電気的に接続する複数のチップ電極が形成された半導体ウエハを準備する工程、
(b)複数の第1配線が形成された配線基板と、前記複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する裏面を有し、前記複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面側に対向するように前記配線基板に保持された第1シートと、前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された領域を、緩衝層を介して前記裏面より押圧する押圧部と、を有する第1カードを準備する工程、
(c)前記第1シートの前記複数の接触端子の先端を前記半導体ウエハの前記複数のチップ電極に接触させて前記半導体集積回路の電気的検査を行う工程、
を含み、
前記第1シートは、
前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、
前記裏面を有し、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、
前記裏面に形成された突出部と、
を含み、
前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれ、
前記複数の第2配線のうち、前記複数の第1接触端子に接続される前記複数の第2配線は、平面視において、前記第1方向と交差する方向に沿って延在するように配置され、
前記突出部は、平面視において、前記第1接触端子群の隣に、前記第1接触端子群に沿って延在するように配置されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0176】
〔項24〕
項23において、
前記裏面には、複数の前記突出部が形成され、
前記複数の突出部は、平面視において、前記第1接触端子群の両隣に、前記第1接触端子群に沿って延在するように配置されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0177】
〔項25〕
項24において、
前記第2絶縁膜と前記複数の第2配線の間には、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線を覆う第3絶縁膜が形成され、
前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜の間には、前記第2絶縁膜よりも剛性の高い材料から成る複数の帯部材が形成され、
前記複数の帯部材には、平面視において、前記第1接触端子群の両隣に、前記第1接触端子群に沿って帯状に延在するように配置される複数の第1帯部材が含まれ、
前記複数の突出部は、前記複数の帯部材に倣って形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0178】
〔項26〕
項25において、
前記複数の第2配線と前記複数の接触端子は、前記第1絶縁膜の前記複数の接触端子上に形成された複数のスルーホールを介してそれぞれ接続され、
前記裏面のうち、前記複数の接触端子上に位置する複数の第1領域の高さは、前記突出部の高さよりも低く、かつ、前記複数の第1領域と前記突出部の間の第2領域の高さよりも高いことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0179】
〔項27〕
項24において、
平面視において、前記複数の第1帯部材のうち、前記第1接触端子群の一方の隣に配置される第1帯部材から前記第1接触端子群までの距離は、前記第1接触端子群の他方の隣に配置される第1帯部材から前記第1接触端子群までの距離と等しいことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0180】
〔項28〕
項26において、
平面視において、前記複数の第1帯部材のうち、前記第1接触端子群の一方の隣に配置される前記第1帯部材の帯幅と、前記第1接触端子群の他方の隣に配置される前記第1帯部材の帯幅は等しいことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0181】
〔項29〕
項26において、
前記第1接触端子群には、前記複数の第1接触端子が、前記第1方向に沿って一列または複数列で配置され、
前記複数列の場合、平面視において、前記複数列で配置される複数の第1接触端子の間には、前記複数の帯部材は形成されていないことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0182】
〔項30〕
項25において、
前記複数のチップ領域は、平面視において、それぞれ四角形を成し、各チップ搭載領域の外縁を構成する四辺のそれぞれに沿って、複数の第1チップ電極が配置される第1チップ電極群、複数の第2チップ電極が配置される第2チップ電極群、複数の第3チップ電極が配置される第3チップ電極群、および複数の第4チップ電極が配置される第4チップ電極群が配置され、
前記第1シートの前記接触端子形成面には、前記(c)工程において、前記複数の第1チップ電極と対向配置される前記複数の第1接触端子が形成された前記第1接触端子群、前記複数の第2チップ電極と対向配置される前記複数の第2接触端子が形成された第2接触端子群、前記複数の第3チップ電極と対向配置される前記複数の第3接触端子が形成された第3接触端子群、および前記複数の第4チップ電極と対向配置される前記複数の第4接触端子が形成された第4接触端子群が配置され、
前記複数の帯部材には、平面視において、前記第1接触端子群の両隣に前記第1接触端子群に沿って帯状に延在する前記複数の第1帯部材、前記第2接触端子群の両隣に前記第2接触端子群に沿って帯状に延在する複数の第2帯部材、前記第3接触端子群の両隣に前記第3接触端子群に沿って帯状に延在する複数の第3帯部材、および前記第4接触端子群の両隣に前記第4接触端子群に沿って帯状に延在する複数の第4帯部材が含まれ、
前記複数の突出部は、前記複数の第1、第2、第3および第4帯部材のそれぞれに倣って形成され、
前記複数の第1帯部材間の距離、前記複数の第2帯部材間の距離、前記複数の第3帯部材間の距離、および前記複数の第4帯部材間の距離は等しいことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0183】
〔項31〕
項30において、
前記第1、第2、第3および第4接触端子群は、平面視において、四辺形を構成し、
前記複数の第1、第2、第3および第4帯部材のそれぞれは、平面視において、前記四辺形の内側に配置される第1環状体と、前記四辺形の外側に配置される第2環状体の一部を構成することを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0184】
〔項32〕
項31において、
前記第1環状体は、途中で分断されることなく連続的に形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0185】
〔項33〕
項32において、
前記第2環状体は、途中で分断されることなく連続的に形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0186】
〔項34〕
項33において、
前記第2環状体は、前記第1、第2、第3および第4接触端子群が成す前記四辺形の各辺に沿った四辺を有し、
前記第2環状体の各辺の延長線が交わる角部では、接続される2辺が直交しないように各辺に対して斜めに配置された斜め配置部を介して接続されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0187】
〔項35〕
項24において、
前記複数の帯部材は、金属膜から成ることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【0188】
〔項36〕
複数の第1配線が形成された配線基板と、
半導体ウエハの主面上に形成された複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する裏面を有し、前記複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面に対向して前記配線基板に保持された第1シートと、
前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された領域を、緩衝層を介して前記裏面より押圧する押圧部と、
を有し、
前記第1シートは、
前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、
前記裏面を有し、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、
前記裏面に形成された突出部と、
を含み、
前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれ、
前記複数の第2配線のうち、前記複数の第1接触端子に接続される前記複数の第2配線は、平面視において、前記第1方向と交差する方向に沿って延在するように配置され、
前記突出部は、平面視において、前記第1接触端子群の隣に、前記第1接触端子群に沿って延在するように配置されていることを特徴とするプローブカード。
【0189】
〔項37〕
項36において、
前記裏面には、複数の前記突出部が形成され、
前記複数の突出部は、平面視において、前記第1接触端子群の両隣に、前記第1接触端子群に沿って延在するように配置されていることを特徴とするプローブカード。
【0190】
〔項38〕
項37において、
前記第2絶縁膜と前記複数の第2配線の間には、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線を覆う第3絶縁膜が形成され、
前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜の間には、前記第2絶縁膜よりも剛性の高い材料から成る複数の帯部材が形成され、
前記複数の帯部材には、平面視において、前記第1接触端子群の両隣に、前記第1接触端子群に沿って帯状に延在するように配置される複数の第1帯部材が含まれ、
前記複数の突出部は、前記複数の帯部材に倣って形成されていることを特徴とするプローブカード。
【0191】
〔項39〕
項38において、
前記複数の第2配線と前記複数の接触端子は、前記第1絶縁膜の前記複数の接触端子上に形成された複数のスルーホールを介してそれぞれ接続され、
前記裏面のうち、前記複数の接触端子上に位置する複数の第1領域の高さは、前記突出部の高さよりも低く、かつ、前記複数の第1領域と前記突出部の間の第2領域の高さよりも高いことを特徴とするプローブカード。
【0192】
〔項40〕
項39において、
平面視において、前記複数の第1帯部材のうち、前記第1接触端子群の一方の隣に配置される第1帯部材から前記第1接触端子群までの距離は、前記第1接触端子群の他方の隣に配置される第1帯部材から前記第1接触端子群までの距離と等しいことを特徴とするプローブカード。
【0193】
〔項41〕
項39において、
前記複数の接触端子は、前記第1シートの前記接触端子形成面の接触端子配置領域に形成され、
前記接触端子配置領域は、平面視において、四角形を成し、前記接触端子配置領域の外縁を構成する四辺のそれぞれに沿って、複数の前記第1接触端子が配置される前記第1接触端子群、複数の第2接触端子が配置される第2接触端子群、複数の第3接触端子が配置される第3接触端子群、および複数の第4接触端子が配置される第4接触端子群が配置され、
前記複数の帯部材には、平面視において、前記第1接触端子群の両隣に前記第1接触端子群に沿って帯状に延在する前記複数の第1帯部材、前記第2接触端子群の両隣に前記第2接触端子群に沿って帯状に延在する複数の第2帯部材、前記第3接触端子群の両隣に前記第3接触端子群に沿って帯状に延在する複数の第3帯部材、および前記第4接触端子群の両隣に前記第4接触端子群に沿って帯状に延在する複数の第4帯部材が含まれ、
前記複数の突出部は、前記複数の第1、第2、第3および第4帯部材のそれぞれに倣って形成され、
前記複数の第1帯部材間の距離、前記複数の第2帯部材間の距離、前記複数の第3帯部材間の距離、および前記複数の第4帯部材間の距離は等しいことを特徴とするプローブカード。
【0194】
〔項42〕
半導体ウエハを載せる台と、
前記半導体ウエハの電気的特性を検査するテスタと電気的に接続されるプローブカードと、
を有する半導体検査装置であって、
前記プローブカードは、
複数の第1配線が形成された配線基板と、
前記半導体ウエハの主面上に形成された複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する裏面を有し、前記複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面に対向して前記配線基板に保持された第1シートと、
前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された領域を、緩衝層を介して前記裏面より押圧する押圧部と、
を有し、
前記第1シートは、
前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、
前記裏面を有し、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、
を含み、
前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれ、
前記複数の第2配線のうち、前記複数の第1接触端子に接続される前記複数の第2配線は、平面視において、前記第1方向と交差する方向に沿って延在するように配置され、
平面視において、前記複数の第1接触端子のうち、前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子の前記第1接触端子群の反対側には、前記第1絶縁膜上に前記第2配線に沿って形成され、かつ、前記複数の接触端子とは電気的に接続されない第3配線が配置され、
前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子と前記第3配線の間には、前記第1シートの前記接触端子形成面および前記裏面のうち、一方の面から他方の面までを貫通する開口部から成るスリットが、前記第2配線に沿って形成されていることを特徴とする半導体検査装置。
【0195】
〔項43〕
半導体ウエハを載せる台と、
前記半導体ウエハの電気的特性を検査するテスタと電気的に接続されるプローブカードと、
を有する半導体検査装置であって、
前記プローブカードは、
複数の第1配線が形成された配線基板と、
前記半導体ウエハの主面上に形成された複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する裏面を有し、前記複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面に対向して前記配線基板に保持された第1シートと、
前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された領域を、緩衝層を介して前記裏面より押圧する押圧部と、
を有し、
前記第1シートは、
前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、
前記裏面を有し、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、
を含み、
前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれ、
前記複数の第2配線のうち、前記複数の第1接触端子に接続される前記複数の第2配線は、平面視において、前記第1方向と交差する方向に沿って延在するように配置され、
平面視において、前記複数の第1接触端子のうち、前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子の前記第1接触端子群の反対側には、前記第1絶縁膜上に前記第2配線に沿って形成され、かつ、前記複数の接触端子とは電気的に接続されない第3配線が配置され、
前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子と前記第3配線の間には、前記第1シートの前記接触端子形成面および前記裏面のうち、一方の面から他方の面までを貫通する開口部から成るスリットが、前記第2配線に沿って形成され、
前記突出部は、平面視において、前記第1接触端子群の隣に、前記第1接触端子群に沿って延在するように配置され、かつ、前記突出部の延長線上において前記スリットが配置される領域には前記突出部は形成されていないことを特徴とする半導体検査装置。
【0196】
〔項44〕
半導体ウエハを載せる台と、
前記半導体ウエハの電気的特性を検査するテスタと電気的に接続されるプローブカードと、
を有する半導体検査装置であって、
前記プローブカードは、
複数の第1配線が形成された配線基板と、
前記半導体ウエハの主面上に形成された複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する裏面を有し、前記複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面に対向して前記配線基板に保持された第1シートと、
前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された領域を、緩衝層を介して前記裏面より押圧する押圧部と、
を有し、
前記第1シートは、
前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、
前記裏面を有し、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、
前記裏面に形成された突出部と、
を含み、
前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれ、
前記複数の第2配線のうち、前記複数の第1接触端子に接続される前記複数の第2配線は、平面視において、前記第1方向と交差する方向に沿って延在するように配置され、
前記突出部は、平面視において、前記第1接触端子群と離間して配置されていることを特徴とする半導体検査装置。
【0197】
〔項45〕
半導体ウエハを載せる台と、
前記半導体ウエハの電気的特性を検査するテスタと電気的に接続されるプローブカードと、
を有する半導体検査装置であって、
前記プローブカードは、
複数の第1配線が形成された配線基板と、
前記半導体ウエハの主面上に形成された複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する裏面を有し、前記複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面に対向して前記配線基板に保持された第1シートと、
前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された領域を、緩衝層を介して前記裏面より押圧する押圧部と、
を有し、
前記第1シートは、
前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、
前記裏面を有し、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、
前記裏面に形成された突出部と、
を含み、
前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれ、
前記複数の第2配線のうち、前記複数の第1接触端子に接続される前記複数の第2配線は、平面視において、前記第1方向と交差する方向に沿って延在するように配置され、
前記突出部は、平面視において、前記第1接触端子群の隣に、前記第1接触端子群に沿って延在するように配置されていることを特徴とする半導体検査装置。
【産業上の利用可能性】
【0198】
本発明は、電極にプローブカードの接触端子を押し当てて電気的検査を行う半導体集積回路装置、および電気的検査に用いるプローブカードに利用可能である。
【符号の説明】
【0199】
1 配線基板
1a 下面
1b 上面
1c 配線
1d ポゴ座
1e 開口部
2 薄膜シート
2a 主面(接触端子形成面)
2b 裏面
2c コンタクタ配置領域(接触端子配置領域)
2d スリット
2e、2g、2h、2k、2n 領域
2f 角部領域
3、3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3k、3m、3n、3p、3r コンタクタ(接触端子)
3A、3B、3C、3D コンタクタ群(接触端子群)
4 押圧部
4a プランジャ
4b 押し駒
4c エラストマ
4d ばね
4e 押しピン
4f ポリイミドシート
5 加圧部
5a 連結治具
5b ばね
6 接続治具
7 張り出しリング
8 接着リング
10、10c 半導体チップ(半導体集積回路装置)
10a チップ領域
10b スクライブ領域
11、11a、11b、11c、11d、11e、11f パッド(チップ電極)
11A、11B、11C、11D パッド群(チップ電極群)
12 半導体基板
12a 主面
13 配線層
13a 配線
13b 絶縁膜
14 保護膜
14a 開口部
21 金属膜
21a ロジウム膜
21b ニッケル膜
22 ポリイミド膜
23 配線
23a、23b 導体膜
24、24a、24b 配線層
25、33、102 ポリイミド膜(絶縁膜)
26 ダミー配線
28a 内側環状体
28b 外側環状体
28c 斜め配置部
30a、30b 領域
31、32、36、37、38、39、60、61、62、63、64、65、66、100、101 薄膜シート
32a 突出部
34 帯部材
34a、34b 金属膜
40 基板
40a 開口部
41 導電膜
42、43 薄膜
50、51 矢印
CHD カードホルダ
IFR インタフェースリング
PGP ポゴピン
PR プローバ
PRC プローブカード
T テスタ
TH1、TH2 スルーホール
THD テスタヘッド
WCH ウエハチャック
WH ウエハ
WST ウエハステージ
L1、L2、L3 距離
P1、P2 間隔
W1、W2 帯幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数のチップ領域に区画され、前記複数のチップ領域の各々には半導体集積回路が形成され、主面上において前記半導体集積回路と電気的に接続する複数のチップ電極が形成された半導体ウエハを準備する工程、
(b)複数の第1配線が形成された配線基板と、前記複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する裏面を有し、前記複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面側に対向するように前記配線基板に保持された第1シートと、前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された接触端子配置領域を、緩衝層を介して前記裏面より押圧する押圧部と、を有する第1カードを準備する工程、
(c)前記第1シートの前記複数の接触端子の先端を前記半導体ウエハの前記複数のチップ電極に接触させて前記半導体集積回路の電気的検査を行う工程、
を含み、
前記第1シートは、
前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、
前記裏面を有し、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、
を含み、
前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれ、
前記複数の第2配線のうち、前記複数の第1接触端子に接続される前記複数の第2配線は、平面視において、前記第1方向と交差する方向に沿って延在するように配置され、
平面視において、前記複数の第1接触端子のうち、前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子の前記第1接触端子群の反対側には、前記第1絶縁膜上に前記第2配線に沿って形成され、かつ、前記複数の接触端子とは電気的に接続されない第3配線が配置され、
前記第1接触端子群の端部に配置される第1接触端子と前記第3配線の間には、前記第1シートの前記接触端子形成面および前記裏面のうち、一方の面から他方の面までを貫通する開口部から成るスリットが、前記第2配線に沿って形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記スリットの長さは、前記第1接触端子群の延在方向と直交方向の幅よりも長いことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2において、
平面視において、四角形を成す前記接触端子配置領域には、前記接触端子配置領域の外縁を構成する四辺のうち、第1辺に沿って配置される前記第1接触端子群、前記第1辺と交差する第2辺に沿って複数の第2接触端子が配置される第2接触端子群、および前記第1接触端子群と前記第2接触端子群が交差する第1角部領域が配置され、
前記第1角部領域と前記第1接触端子群の間、および前記第1角部領域と前記第2接触端子群の間には、それぞれ前記スリットが形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記スリットの長さは、前記第1または前記第2接触端子群から前記接触端子配置領域の内側に向かう方向の長さよりも、前記第1または前記第2接触端子群から前記接触端子配置領域の外側に向かう方向の長さの方が長いことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記第2配線の前記スリット側の側面は、前記第2絶縁膜により覆われていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1接触端子群は、第1の間隔で前記複数の第1接触端子が配置される第1領域と、前記第1の間隔よりも広い第2の間隔で前記第1接触端子が配置される第2領域を有し、
前記第2領域に配置される前記第1接触端子および前記第1領域の端部に配置される前記第1接触端子の間に、前記第2配線に沿って、前記スリットが形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1において、
前記(b)工程は、
(b1)基板を準備する工程と、
(b2)前記(b1)の後、前記基板上に、前記複数の接触端子、前記第1絶縁膜、前記複数の第2および第3配線、前記第2絶縁膜を順に積層する工程と、
(b3)前記(b2)工程の後、前記第1シートの前記裏面側からレーザ光を照射して前記スリットを形成する工程と、
(b4)前記(b3)工程の後、前記第1シートを前記配線基板と接続し、保持させる工程と、
を含むことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1において、
前記(b)工程は、
(b1)基板を準備する工程と、
(b2)前記(b1)の後、前記基板上に、前記複数の接触端子、前記第1絶縁膜、前記複数の第2および第3配線、前記第2絶縁膜を順に積層する工程と、
(b3)前記(b2)工程の後、前記第1シートを前記配線基板と接続し、保持させる工程と、
(b4)前記(b3)工程の後、前記押圧部により、前記緩衝層を介して前記接触端子配置領域の前記裏面から押圧する工程と、
(b5)前記(b4)工程の後、前記第1シートの前記接触端子形成面側からレーザ光を照射して前記スリットを形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記(b5)工程では、前記スリットの上層に配置される前記緩衝層の少なくとも一部まで到達する開口部が形成されることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1において、
前記第1接触端子群に配置される前記複数の第1接触端子には、前記第1方向に沿った第1列目に配置される複数の第1列目接触端子と、第2列目に配置される複数の第2列目接触端子が含まれ、
前記第1接触端子群の端部周辺では、前記複数の第1列目接触端子が配置されず、前記複数の第2列目接触端子が一列で配置され、
前記複数の第2列目接触端子のうち、前記第2列目の端部に配置される接触端子と、該接触端子の前記第1接触端子群の反対側に配置される前記第3配線との間には、前記スリットが形成され、
前記複数の第1列目接触端子のうち、前記第1列目の端部に配置される接触端子と、該接触端子の隣に配置される前記第2または第3配線との間には、前記スリットが形成されていないことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1において、
前記第1接触端子群に配置される前記複数の第1接触端子には、前記第1方向に沿った第1列目に配置される複数の第1列目接触端子と、第2列目に配置される複数の第2列目接触端子が含まれ、
前記第1接触端子群の前記第1列目には、第1の間隔で前記複数の第1列目接触端子が配置される第1密集配置領域と、前記第1の間隔よりも広い第2の間隔で前記複数の第1列目接触端子が配置される第1散在配置領域とが含まれ、
前記第1接触端子群の前記第2列目には、第3の間隔で前記複数の第2列目接触端子が配置される第2密集配置領域と、前記第3の間隔よりも広い第4の間隔で前記複数の第2列目接触端子が配置される第2散在配置領域とが含まれ、
前記第1方向に沿って、前記第1、第2散在配置領域が隣り合って配置された領域には、前記スリットが形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1において、
前記第1シートは、前記裏面に形成された突出部を含み、
前記突出部は、平面視において、前記第1接触端子群の隣に、前記第1接触端子群に沿って延在するように配置され、かつ、前記突出部の延長線上において前記スリットが配置される領域には前記突出部は形成されていないことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項13】
(a)複数のチップ領域に区画され、前記複数のチップ領域の各々には半導体集積回路が形成され、主面上において前記半導体集積回路と電気的に接続する複数のチップ電極が形成された半導体ウエハを準備する工程、
(b)複数の第1配線が形成された配線基板と、前記複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する裏面を有し、前記複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面側に対向するように前記配線基板に保持された第1シートと、前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された領域を、緩衝層を介して前記裏面より押圧する押圧部と、を有する第1カードを準備する工程、
(c)前記第1シートの前記複数の接触端子の先端を前記半導体ウエハの前記複数のチップ電極に接触させて前記半導体集積回路の電気的検査を行う工程、
を含み、
前記第1シートは、
前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、
前記裏面を有し、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、
前記裏面に形成された突出部と、
を含み、
前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれ、
前記突出部は、平面視において、前記第1接触端子群と離間して配置されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項14】
(a)複数のチップ領域に区画され、前記複数のチップ領域の各々には半導体集積回路が形成され、主面上において前記半導体集積回路と電気的に接続する複数のチップ電極が形成された半導体ウエハを準備する工程、
(b)複数の第1配線が形成された配線基板と、前記複数のチップ電極に接触させるための複数の接触端子、前記複数の接触端子が形成された接触端子形成面、および前記接触端子形成面の反対側に位置する裏面を有し、前記複数の接触端子の先端が前記半導体ウエハの主面側に対向するように前記配線基板に保持された第1シートと、前記第1シートのうち前記複数の接触端子が形成された領域を、緩衝層を介して前記裏面より押圧する押圧部と、を有する第1カードを準備する工程、
(c)前記第1シートの前記複数の接触端子の先端を前記半導体ウエハの前記複数のチップ電極に接触させて前記半導体集積回路の電気的検査を行う工程、
を含み、
前記第1シートは、
前記接触端子形成面を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記裏面の間に形成され、前記複数の第1配線および前記複数の接触端子と、それぞれ電気的に接続される複数の第2配線と、
前記裏面を有し、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線上に形成された第2絶縁膜と、
前記裏面に形成された突出部と、
を含み、
前記複数の接触端子には、平面視において、第1方向に沿って配置される第1接触端子群に形成された複数の第1接触端子が含まれ、
前記複数の第2配線のうち、前記複数の第1接触端子に接続される前記複数の第2配線は、平面視において、前記第1方向と交差する方向に沿って延在するように配置され、
前記突出部は、平面視において、前記第1接触端子群の隣に、前記第1接触端子群に沿って延在するように配置されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14において、
前記裏面には、複数の前記突出部が形成され、
前記複数の突出部は、平面視において、前記第1接触端子群の両隣に、前記第1接触端子群に沿って延在するように配置されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15において、
前記第2絶縁膜と前記複数の第2配線の間には、前記第1絶縁膜および前記複数の第2配線を覆う第3絶縁膜が形成され、
前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜の間には、前記第2絶縁膜よりも剛性の高い材料から成る複数の帯部材が形成され、
前記複数の帯部材には、平面視において、前記第1接触端子群の両隣に、前記第1接触端子群に沿って帯状に延在するように配置される複数の第1帯部材が含まれ、
前記複数の突出部は、前記複数の帯部材に倣って形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16において、
前記複数の第2配線と前記複数の接触端子は、前記第1絶縁膜の前記複数の接触端子上に形成された複数のスルーホールを介してそれぞれ接続され、
前記裏面のうち、前記複数の接触端子上に位置する複数の第1領域の高さは、前記突出部の高さよりも低く、かつ、前記複数の第1領域と前記突出部の間の第2領域の高さよりも高いことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項18】
請求項15において、
平面視において、前記複数の第1帯部材のうち、前記第1接触端子群の一方の隣に配置される第1帯部材から前記第1接触端子群までの距離は、前記第1接触端子群の他方の隣に配置される第1帯部材から前記第1接触端子群までの距離と等しいことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項19】
請求項17において、
平面視において、前記複数の第1帯部材のうち、前記第1接触端子群の一方の隣に配置される前記第1帯部材の帯幅と、前記第1接触端子群の他方の隣に配置される前記第1帯部材の帯幅は等しいことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項20】
請求項17において、
前記第1接触端子群には、前記複数の第1接触端子が、前記第1方向に沿って一列または複数列で配置され、
前記複数列の場合、平面視において、前記複数列で配置される複数の第1接触端子の間には、前記複数の帯部材は形成されていないことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【公開番号】特開2012−242255(P2012−242255A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113104(P2011−113104)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】