説明

半導電性部材及び該半導電性部材を備えた画像形成装置

【課題】 記録媒体の汚れを抑制すると共に画質劣化を抑制可能な半導電性部材及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 導電性支持体の外周に複数の半導電性弾性体層が形成されてなる半導電性部材であって、複数の半導電性弾性体層の内の少なくとも最表面層が発泡層であり、且つ半導電性部材本体から最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、半導電性部材本体のアスカーC硬度より低硬度である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を利用した電子写真装置等に利用し得る半導電性部材及び該半導電性部材を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、複写機、プリンター、及びファクシミリ等の電子写真方式を利用した画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置では、均一に帯電された像担持体を、画像信号を変調したレーザ光等によって露光することによって、像担持体上に画像信号に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を予め帯電されたトナーによって現像することによって、像担持体上にトナー像を形成する。そして、このトナー像を、中間転写体や中間転写ベルトを介して記録媒体に転写、または直接記録媒体に転写することにより、記録媒体上にトナー像を形成する。トナー像が形成された記録媒体に熱や圧力等が加えられることによって、記録媒体上に所望の画像を得ることができる。
【0004】
上述の電子写真方式を利用した画像形成装置において、像担持体上を均一に帯電する手段や記録媒体等にトナー像を転写する手段としては、コロナ放電を利用した非接触式ものが使用されていた。しかし、高圧電源を必要とし、オゾンが発生する等の問題から、近年ではロール状やブレード状等の形状をした半導電性部材を像担持体に接触又は近接させて電圧を印加することにより帯電や転写を行う、接触式または近接式のものが用いられている。
【0005】
半導電性部材を、画像形成装置の中間転写ベルト、転写ローラ、及び帯電ローラ等として用いる場合には、安定したニップ幅(中間転写体や中間転写ベルトと、像担持体との接触領域のベルト搬送方向に沿った幅)を形成することが要求される。このため、画像形成装置に用いられる半導電性部材は、低硬度であることが要求される。
【0006】
特に、記録媒体の裏面に配置され、像担持体との間に記録媒体を挟持搬送することによって像担持体上のトナー像を直接記録媒体に転写、像担持体との間に中間転写ベルトを挟持することによって像担持体上のトナー像を中間転写ベルトに転写、または中間転写ベルトの間に記録媒体を挟持搬送することによって該中間転写ベルトに転写されたトナー像を記録媒体に転写する転写部材では、硬度が高くなるほど像担持体と中間転写体、及び像担持体と中間転写とのニップを形成するためにはニップ圧を硬度が低い場合に比べて高くする必要がある。このように、転写部材の硬度が高くなるほど、転写部におけるニップ圧が高くなることから、トナー像が凝集し、電荷密度が高くなり、ひいてはトナー像内部で放電が発生してトナー極性を変化され、ライン画像が中抜けするホローキャラクタの画質欠陥が発生するという問題があった。
【0007】
このため、転写部材には特に低硬度化が要求されている。転写部材の低硬度化を達成するための方法として、転写部材として用いるゴム材に可塑剤等の低分子成分を配合する方法(例えば、特許文献1参照)、転写部材として用いるゴム材料を発泡体とする方法(例えば、特許文献2参照)、及び転写部材として用いるゴム材料を発泡体とし、この発泡体の表面に更に弾性層を設ける方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0008】
【特許文献1】特開平10―090976号公報
【特許文献2】特開平9―281776号公報
【特許文献3】特開2005―134503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記技術のように、転写部材として用いるゴム材に可塑剤等の低分子成分を配合する方法では、転写部材の表面から低分子成分がブリードし、画質に悪影響を与えるといった問題があった。また、転写部材として用いるゴム材料を発泡体とする方法では、低硬度化を達成することはできるものの、ニップ中心部にニップ圧が集中することからニップ中心部がニップ幅方向両端部に比べて高圧力となることにより、画質劣化を引き起こすという問題があった。また、転写部材として用いるゴム材料全てを発泡体とした場合には、ニップ部に歪みが発生しやすく、画質不良が発生するという問題があった。
【0010】
一方、転写部材として構成するゴム材料を発泡体とし、この発泡体の表面にさらに弾性層や樹脂層を設ける方法では、転写部材の低硬度化を達成することができるだけではなく、転写部におけるニップ圧によって弾性層や樹脂層が圧縮されることなく下層の発泡体が収縮するため、ニップ中心部への圧力集中が緩和されるといった長所がある。しかしながら、発泡体の表面に弾性層や樹脂層を設けた場合、転写部材表面に付着したトナーにより、紙などの記録媒体の裏面を汚しやすいという問題がある。このため、転写部材表面をクリーニング部材によりクリーニングする工程が必要となり、転写部材表面がクリーニング部材からの機械的ストレスにより傷つき、画質劣化を引き起こすという問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、記録媒体の汚れを抑制すると共に画質劣化を抑制可能な半導電性部材及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決することの可能な半導電性部材の構成を見出し、本発明に至った。
上記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
【0013】
(1)導電性支持体の外周に複数の半導電性弾性体層が形成されてなる半導電性部材であって、前記複数の半導電性弾性体層の内の少なくとも最表面層が発泡層であり、且つ半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、半導電性部材本体のアスカーC硬度より低硬度であることを特徴とする半導電性部材であることを特徴としている。
【0014】
(2)半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、半導電性部材本体のアスカーC硬度より5度以上低硬度であることを特徴とする上記(1)に記載の半導電性部材であることを特徴としている。
【0015】
(3)半導電性部材本体のアスカーC硬度が、20度以上45度以下の範囲内であり、半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、5度以上35度以下の範囲内であることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の半導電性部材である。
【0016】
(4)前記複数の半導電性弾性体層の内の少なくとも最表面層が、導電剤としてカーボンブラックを含むことを特徴とする上記(3)に記載の半導電性部材である。
【0017】
(5)上記(1)から上記(4)の何れか1つに記載の半導電性部材を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の半導電性部材は、導電性支持体の外周に複数の半導電性弾性体層が形成されてなる半導電性部材であって、前記複数の半導電性弾性体層の内の少なくとも最表面層が発泡層であり、且つ半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、半導電性部材本体のアスカーC硬度より低硬度であることを特徴とする半導電性部材であり、また本発明の画像形成装置は該半導電性部材を備えているので、記録媒体の汚れを抑制すると共に、画質劣化を抑制可能な半導電性部材及び画像形成装置を提供することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の半導電性部材及び該半導電性部材を備える画像形成装置について説明する。
【0020】
本発明の半導電性部材は、導電性支持体の外周に複数の半導電性弾性体層が形成されてなる半導電性部材であって、前記複数の半導電性弾性体層の内の少なくとも最表面層が発泡層であり、且つ半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度(JIS K−7312)が、半導電性部材本体のアスカーC硬度より低硬度であることを特徴としている。
【0021】
このように、少なくとも最表面の半導電性弾性体層を発泡層とすることによって、半導電性部材のアスカーC硬度を、最表面が発泡層ではない半導電性部材に比べて低硬度とすることができるので、画像形成装置に搭載されたときに半導電性部材の最表面層に付着したトナー等によって記録媒体を汚すことを抑制することができる。
【0022】
また、本発明の半導電性部材では、半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、半導電性部材本体のアスカーC硬度より低硬度であるので、半導電性部材と像担持体、または半導電性部材と転写ベルト等との接触領域(以下、ニップ領域と称する)において半導電性部材に圧力(以下、ニップ圧と称する)が加えられたときには、最表面の半導電性弾性体層に比べて、最表面層の下層側の半導電性弾性体層の収縮率が高くなるため、ニップ中心部へニップ圧が集中(図2線図54及び線図52参照)されることを抑制する(図2線図50参照)ことができ、画像の中抜け発生を防止することができる。
【0023】
このように、半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度を、半導電性部材本体のアスカーC硬度より低硬度とすることによって、半導電性部材と像担持体、または半導電性部材と転写ベルト等とのニップ領域において略均一にニップ圧がかかるので、転写ムラや画像の中抜けを防止することができ、該半導電性部材を画像形成装置に搭載した場合であっても、画質劣化を抑制することができる。
【0024】
また、本発明の半導電性部材は、複数の半導電性弾性体層の内の少なくとも最表面層が発泡層であり、且つ半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、半導電性部材本体のアスカーC硬度より低硬度であるので、半導電性部材と転写ベルト等とのニップ領域において略均一にニップ圧をかけることができ、半導電性部材の永久変形しにくくでき、低硬度にするときに問題となるブリードを抑制できるという効果が得られる。
【0025】
―半導電性部材―
本発明の半導電性部材は、導電性支持体上に複数の半導電性弾性体層が積層された構成となっている。
なお、本発明における半導電性部材とは、体積抵抗において1×104Ω〜1×1010Ωの範囲内の導電性を有する部材を示している。
【0026】
本発明における半導電性部材は、例えば、電子写真方式を用いた画像形成装置の、帯電手段、転写手段、中間転写方式における1次転写手段及び2次転写手段、クリーニング手段、除電手段等として用いられる導電性または半導電性の部材(以下、半導電性部材と称する。)であり、その形状は、特に限定されることがなく、例えば、ローラ状であってもよいし、ブレード状であってもよい。
【0027】
―導電性支持体―
本発明の半導電性部材における導電性支持体は、例えば、SUS、SUM等の金属からなることが好ましい。ローラ状の構造を有する半導電性部材であれば、導電性支持体は半導電性部材の軸方向を貫くように配され、半導電性部材の回転軸として機能することも可能である。また、導電性支持体には、外部電源が接続され、所望のバイアスが印加されるため、外部電源と共に半導電性部材への電圧印加手段としても機能する。
【0028】
―半導電性弾性体層―
上記導電性支持体に、複数の半導電性弾性体層が積層されるように構成されることによって、本発明の半導電性部材が構成される。
【0029】
本発明の半導電性部材の半導電性弾性体層として用いられる材料としては、
特に限定されるものではなく、例えば、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。
中でも、均一な抵抗の得られ易さの観点からエピクロルヒドリン-エチレンオキサイド共重合ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴムが好ましく用いられる。
【0030】
本発明の半導電性部材を構成する複数の半導電性弾性体層の内の、少なくとも最表面層は、発泡層であることが必須であり、最表面層及び最表面層の下層側の半導電性弾性体層の双方が発泡層であることが更に好ましい。
【0031】
発泡層としての半導電性弾性体層は、上記半導電性弾性体層として用いられる材料に、発泡剤を添加することによって作製することができる。
【0032】
発泡剤としては、ベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ジニトロソペンタメチレンテトラアミン(DPT)、ジニトロソペンタスチレンテトラミンやベンゼンスルホニルヒドラジド誘導体、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、二酸化炭素を発生する重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、窒素を発生するニトロソスルホニルアゾ化合物、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソフタルアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、P−トルエンスルホニルセミカルバジド、P,P’−オキシービス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等が挙げられる。
【0033】
これらの発泡剤の中でも、発泡制御のし易さを考慮すると、ベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミドが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記発泡剤の形態としては、特に制限はなく目的に応じて、粒子状、液状等の中から適宜選択することができる。なお、前記発泡剤の形態は、例えば顕微鏡等を用いて観察することができる。また、前記粒子状の発泡剤の体積平均一次粒径は、例えば、コールターカウンター等を用いて測定することがでる。
【0035】
本発明の半導電性弾性体層を構成する上記材料に対する発泡剤の含有量は、該材料100質量部に対して、5質量部〜50質量部の範囲内であることが好ましい。
【0036】
本発明の半導電性部材において、少なくとも最表面の半導電性弾性体層は、添加剤として導電材を含有する。少なくとも最表面層に導電剤を含有することによって、半導電性弾性体層が電気的安定性を得ることができる。
【0037】
本発明の半導電性部材の半導電性弾性体層に添加される導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属または合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化錫−酸化インジウムまたは酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物、及びイオン伝導性の導電剤として、過酸化リチウム等のアルカリ金属過酸化物;過塩素酸リチウム等の過塩素酸塩;テトラブチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩;燐酸エステル塩;等を挙げることができるが、これらの中でも、コスト、入手のし易さの観点からカーボンブラックが好ましい。
【0038】
なお、本発明における複数の半導電性弾性体層の内、最表面の半導電性弾性体層を構成する成分としては、イオン伝導性の導電剤を含まないことが好ましい。
【0039】
ここで、導電剤として好適なカーボンブラックは、これを添加したゴム組成物または樹脂組成物中において連鎖状に結合する性質があり、かかる連鎖結合の長さに応じてゴム組成物または樹脂組成物の抵抗値が異なったものになる。この連鎖結合が長ければ、半導電性弾性体層の導電性は向上しその抵抗値は低下する。一方、連鎖結合が短ければ、半導電性弾性体層の導電性は低下しその抵抗値は高くなる。すなわち、長い連鎖結合を形成するカーボンブラックを添加した場合は、所望の抵抗値を発現されるためのカーボンブラックの添加量は、短い連鎖結合を形成するカーボンブラックに比べて少なくすることができるが、抵抗値が大きく変化することになるので、半導電性弾性体層内の抵抗値のバラツキを低減することができない場合がある。
【0040】
また、本発明においては、前記導電剤が2種類以上の導電剤からなることが好ましい。
更に、導電剤としては、2種類以上のカーボンブラックであることがより好ましい。この場合、導電剤としては、表面特性等の特性が異なる2種類のカーボンブラックを併用することが更に好ましい。
【0041】
前記導電剤を用いる場合、上述した連鎖結合の長さは、カーボンブラックの個々の粒子の粒径や表面活性度に依存しているが、これを示す指標の1つとして、DBP(ジブチルフタレート)吸油量がある。本発明におけるDBP吸油量は、ASTM D2414−6TTに定義されたDBP吸油量である。このDBP吸油量は、カーボンブラック100gに吸収されるDBP量(ml)が多いか少ないかを表すものである。このDBP吸油量の多いカーボンブラックほど、長い連鎖結合を形成するものとされている。
本発明においては、前記導電剤に、1種類のカーボンブラックを用いる場合のDBP吸油量は50〜250ml/100gであることが好ましい。
【0042】
また、DBP吸油量の多いカーボンブラックのみをゴム組成物に添加して、弾性層の抵抗値を調整しようとすると、添加量の僅かな増減でも抵抗値が大きく変化することになる。そのため、カーボンブラックの添加量及び分散状態を厳密に規定しなくては、所定の抵抗値を弾性層に付与することができない場合がある。一方、DBP吸油量の少ないカーボンブラックのみを添加して、弾性層の抵抗値を調整しようとすれば、DBP吸油量の多いカーボンブラックのみを添加した場合よりも、カーボンブラックがゴム組成物中に略均一に分散するので、添加量の増減に伴う抵抗値の変化の割合は小さくなる。しかし、所定の抵抗値を弾性層に付与するためには、DBP吸油量の多いカーボンブラックのみを添加する場合よりも、多量のカーボンブラックを添加する必要となる場合がある。その結果、ゴム組成物中のカーボンブラックの配合割合が高まることから、ゴム組成物をバンバリーミキサー、ニーダー等で混練する際に高粘度となるため加工が困難になる場合がある。また、得られた半導電性弾性体層が高硬度になる問題が発生する場合がある。
【0043】
したがって、前記導電剤には、DBP吸油量の多いカーボンブラックと、DBP吸油量の少ないカーボンブラック、つまりDBP吸油量の異なる2種以上のカーボンブラックを併用することが特に好ましい。
【0044】
前記導電剤に用いる吸油量の異なる2種以上のカーボンブラックは、DBP吸油量に差があるものが好ましいが、この差があまりに小さいと、1種類のカーボンブラックを添加した場合と同じような結果を生じることになる。したがって、吸油量の異なる2種以上のカーボンブラックとしては、ある程度DBP吸油量に差のあるものが好ましく、DBP吸油量の多いカーボンブラックとしてDBP吸油量が250ml/100g以上であるカーボンブラックと、吸油量の少ないカーボンブラックとしてDBP吸油量が100ml/100g以下のものを組み合せることが好ましい。また、DBP吸油量の多いカーボンブラックとしては、DBP吸油量が250ml/100g以上であることがより好ましく、吸油量の少ないカーボンブラックとしては、DBP吸油量が100ml/100g以下であることがより好ましい。
【0045】
具体的には、前記吸油量の多いカーボンブラックとしては、例えば、吸油量447ml/100gのHS−500(旭カーボン(株)製)、吸油量360ml/100gのケッチェンブラック(ライオンアグゾ(株)製)、吸油量288ml/100gの粒状アセチレンブラック(電気化学(株)製)、吸油量265ml/100gのバルカンXC−72(キャボット社製)等のカーボンブラックなどが挙げられる。また、前記吸油量の少ないカーボンブラックとしては、例えば、吸油量28ml/100gのアサヒサーマルFT(旭カーボン(株)製)、吸油量35ml/100gのアサヒサーマルMT(旭カーボン(株)製)等のサーマルブラックなどが挙げられる。
【0046】
複数の半導電性弾性体層の内の最表面層の半導電性弾性体層を構成する上記材料に対する、上記導電材の含有量は、半導電性弾性体層を構成する上記ゴム組成物または上記樹脂組成物100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下の範囲内に設定されることが好ましい。
このように設定することにより、得られる半導電性部材の、環境変化及び電圧の変化等に起因する電気抵抗の変動幅を効果的に小さくすることができる。
【0047】
本発明の半導電性弾性体層を構成する材料には、前記導電剤及び前記発泡剤以外に、架橋剤、及び充填剤等を必要に応じて、適宜配合することができる。
【0048】
前記架橋剤としては、特に限定するものではなく、従来公知のもの、例えばチオウレア、トリアジン、イオウ等が挙げられる。前記充填剤としては、シリカ、タルク、クレー、酸化チタン等の絶縁性の充填剤が挙げられ、これらは単独で若しくは併せて用いられる。
【0049】
本発明において、複数の半導電性弾性層の内、最表面層の体積抵抗は、帯電性、転写性という観点から、体積抵抗を1×104Ω〜1×1010Ωの範囲とすることが好ましい。この体積抵抗は、まず対象となる帯電部材を、Al製平板電極に接触させ、帯電部材の導電性支持体の両端部にAl平板電極方向にそれぞれ500gの加重を加えてAl製平板電極に圧接し、そしてこの導電性支持体とAl平板電極との間に電圧(V)=1000Vを印加し、10秒後の電流値(I)を測定し、体積抵抗(R)=V/Iから体積抵抗を求めることができる。
【0050】
同様に、複数の半導電性弾性層の内、最表面層より下層側の半導電性弾性層の体積抵抗は、帯電性、転写性という観点から、体積抵抗を1×104Ω〜1×1010Ωの範囲とすることが好ましい。この体積抵抗は、導電剤を分散させる等して調製することができる。
【0051】
本発明において、複数の半導電性弾性層の内の最表面層の厚みは、製造性、コストの観点から、1mm〜15mmが好ましい。
【0052】
同様に、複数の半導電性弾性層の内、最表面層より下層側の半導電性弾性層の厚みは、製造性、コストの観点から、1mm〜15mmが好ましい。
【0053】
ここで、本発明の半導電性部材は、半導電性部材本体から最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、半導電性部材本体のアスカーC硬度より低硬度であることが必須である。
【0054】
具体的には、半導電性部材本体から最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、半導電性部材本体のアスカーC硬度より5度以上40度以下の範囲内で低硬度であることが好ましく、10度以上20 度以下の範囲内で低硬度であること好ましい。
【0055】
半導電性部材本体から最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、半導電性部材本体のアスカーC硬度より5未満の範囲内で低硬度であると、画像の中抜けを防止する効果が低下する傾向があり、40度以上低い硬度であると耐久性に劣るものとなる傾向がある。
【0056】
また、半導電性部材本体のアスカーC硬度は、20度以上45度以下の範囲内であることが好ましく、アスカーC硬度25度以上40度以下の範囲内であることが更に好ましい。
半導電性部材本体のアスカーC硬度が20度未満であると、耐久性に劣るものとなる傾向があり、45度より大きいと、画像の中抜けを防止する効果が低下する傾向があるという問題が生じる。
【0057】
半導電性部材本体から最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度は、5度以上35度以下の範囲内であることが好ましく、アスカーC硬度10度以上30度以下の範囲内であることが好ましい。
半導電性部材本体から最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が5度未満であると、耐久性に劣るものとなる傾向があるという問題が生じ35度より大きいと、画像の中抜けを防止する効果が低下する傾向があるという問題が生じる。
【0058】
アスカーC硬度は、JISK―7312に準じて、アスカーC型硬度径(高分子計器社製)の押針を比測定物表面に当接させ、500g加重の条件で測定される。
【0059】
本発明の半導電性部材では、半導電性部材本体から最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、半導電性部材本体のアスカーC硬度より低硬度となるように調製し、且つ導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度、及び半導電性部材本体のアスカーC硬度各々を、上述のような範囲内となるように調製するためには、半導電性弾性体層を構成する上記材料の種類、上記発泡剤の添加による平均発泡率、平均気泡径、及び導電剤の添加量によって調製することができる。
具体的には、加硫発泡させるときの圧力と温度とを高くすることで硬度を上げることができ、加硫剤、導電剤、発泡剤の添加量を少なくすることで、硬度を下げることができる。これらを組み合わせて制御することで本発明におけるアスカーC硬度を達成することができる。
【0060】
<画像形成装置>
以下、本発明の半導電性部材を備えることが可能な画像形成装置の一例を、図1を用いて説明するが、本発明の半導電性部材を備えた画像形成装置としては、電子写真方式を用いた画像形成装置であればよく、図1に示されるような形態に限られるものではない。
【0061】
画像形成装置10は、所定方向に回転され静電潜像が形成される像担持体12を備えている。像担持体12の近傍には、像担持体12の回転方向に沿って、像担持体12表面を均一に帯電するための帯電ローラ14、画像信号を変調したレーザ光を像担持体12上に走査露光することによって像担持体12上に静電潜像を形成するための露光装置16、像担持体12上に形成された静電潜像を予め帯電されたトナーによって現像する現像装置18、像担持体12との間で記録媒体20を挟持搬送すると共に像担持体12との間に電界を形成することによって静電潜像が現像されることで像担持体12上に形成されたトナー像を記録媒体20に転写する転写手段としての転写ローラ22、及び像担持体12上の残留トナーを除去するためのクリーニング装置24を含んで構成されている。帯電ローラ14は、帯電ローラ14表面が像担持体12表面に接触されることによって、像担持体12表面が一様に帯電される。
【0062】
本発明の半導電性部材は、画像形成装置10の帯電ローラ14、または転写ローラ22等として好適に用いられる。なお、画像形成装置として、像担持体12上に形成されたトナー像を中間転写ベルトに転写した後に、中間転写ベルト上のトナー像を更に転写ローラ(図示省略)によって記録媒体に転写する場合には、該転写ローラとしても好適に用いられる。
【0063】
画像形成装置10では、所定方向に回転される像担持体12表面が、帯電ローラ14によって一様に帯電された後に、露光装置16によってレーザ光が走査露光されると、像担持体12上の画像信号に応じた静電潜像が形成される。像担持体12上に形成された静電潜像は、像担持体12の回転によって現像装置18の設置位置に対向する領域に達すると、現像装置18によって現像される。現像装置18によって静電潜像に応じたトナー像が像担持体12上に形成され、像担持体12のトナー像の形成領域が、像担持体12と転写ローラ22とが対向する領域に達すると、像担持体12上のトナー像は転写ローラ22によって記録媒体20に転写される。記録媒体20に転写されたトナー像は、図示を省略する定着装置によって記録媒体20上に定着され、記録媒体20に画像が形成される。画像形成された記録媒体20は、図示を省略したローラによって画像記録装置10外部へと排出される。
【0064】
表面に形成されたトナー像が記録媒体20に転写された像担持体12は、回転されることによってクリーニング装置24によって紙粉や残留トナー等が除去される。
【0065】
上記のような画像形成装置10の帯電ローラ14や転写ローラ22として、本発明の半導電性部材が用いられることによって、帯電ローラ14と像担持体12との接触領域(ニップ)または、像担持体12と記録媒体20を介して接触される転写ローラ22とのニップ幅(帯電ローラ14と像担持体12との接触領域の像担持体12の回転方向に沿った幅、または、像担持体12と転写ローラ22との接触領域の像担持体12の回転方向に沿った幅)に渡ってニップ圧を均一とすることができ、ニップ領域においてニップ圧がニップ幅の中央部分において高くなることを抑制することができる。また、最表面層が発泡層であるので、記録媒体汚れを抑制することができる。
従って、画像形成装置10における画質劣化を抑制することができるとともに、記録媒体の汚れを抑制することができる。
【実施例】
【0066】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0067】
(実施例1)
―転写ローラとしての半導電性部材の作製―
【0068】
加硫剤として硫黄1部と、加硫促進剤としてテトラメチルチラウムジサルファイド0.6質量部を含有するゴム素材(EPDM EP33:日本合成ゴム(株))に、ケッチェンブラック(ライオンアグゾ製)12部、及びFTカーボン(旭カーボン製)20質量部、発泡剤として、ベンゼンスルホニルヒドラジド6質量部をニーダーにより混練した未加硫ゴムコンパウンドをφ8mmのステンレススチール製の芯軸に巻き付け、加硫缶にて加硫発泡後、研磨し、φ14mmの半導電性部材R−1a(半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材)を形成した。
【0069】
さらに、エピクロルヒドリンゴム(日本ゼオン株式会社製ゼクロン3105)70質量部とアクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製DN223)30質量部とを混合し、加硫剤として、硫黄(鶴見化学工業社製、200メッシュ)1質量部と、加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラ−M)1.5質量部と、発泡剤として、ベンゼンスルホニルヒドラジド6質量部とを加え混練し、押出し機でチューブ形状に押出成形後加硫缶にて加硫発泡し、半導電性部材R−1aを圧入後研磨し、φ19mmの半導電性部材R−1(半導電性部材本体)を得た。
【0070】
半導電性部材R―1a(半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材))の測定結果。
・アスカーC硬度:35度
半導電性部材R―1(半導電性部材本体)の測定結果。
・アスカーC硬度:40度
【0071】
(実施例2)
―転写ローラとしての半導電性部材の作製―
【0072】
φ8mmのステンレススチール製の芯軸に導電性液状シリコーン生ゴム(DX35−1195A&B:東レダウコーリングシリコーン(株)製)を射出成形(120℃、10分)し、φ14mmの半導電性部材R−2aを形成した。
さらに、エピクロルヒドリンゴム(日本ゼオン株式会社製ゼクロン3105)70質量部とアクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製DN223)30質量部とを混合し、加硫剤として、硫黄(鶴見化学工業社製、200メッシュ)1質量部と、加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラ−M)1.5質量部と、発泡剤として、ベンゼンスルホニルヒドラジド6質量部とを加え混練し、押出し機でチューブ形状に押出成形後加硫缶にて加硫発泡し、半導電性部材R−2aを圧入後研磨し、φ19mmの半導電性部材R−2を得た。
【0073】
半導電性部材R―2a(半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材)の測定結果。
・アスカーC硬度:22度
半導電性部材R―2(半導電性部材本体)の測定結果。
・アスカーC硬度:32度
【0074】
(実施例3)
―転写ローラとしての半導電性部材の作製―
加硫剤として硫黄1部と、加硫促進剤としてテトラメチルチラウムジサルファイド0.6部を含有するゴム素材(EPDM EP33:日本合成ゴム(株))に、ケッチェンブラック(ライオンアグゾ製)12部及びFTカーボン(旭カーボン製)20部、発泡剤として、ベンゼンスルホニルヒドラジド6部をニーダーにより混練した未加硫ゴムコンパウンドをφ8mmのステンレススチール製の芯軸に巻き付け、加硫缶にて加硫発泡後、研磨し、φ14mmの半導電性部材R−3aを形成した。
さらに、エピクロルヒドリンゴム(日本ゼオン株式会社製ゼクロン3105)70質量部とアクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製DN223)30質量部とを混合し、加硫剤として、硫黄(鶴見化学工業社製、200メッシュ)2質量部と、加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラ−M)1.5質量部と、発泡剤として、ベンゼンスルホニルヒドラジド5質量部とを加え混練し、押出し機でチューブ形状に押出成形後加硫缶にて加硫発泡し、半導電性部材R−3aを圧入後研磨し、φ19mmの半導電性部材R−3を得た。
【0075】
半導電性部材R―3a(半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材)の測定結果。
・アスカーC硬度:35度
半導電性部材R―3(半導電性部材本体)の測定結果。
・アスカーC硬度:45度
【0076】
(比較例1)
―転写ローラとしての半導電性部材の作製―
【0077】
エピクロルヒドリンゴム(日本ゼオン株式会社製ゼクロン3106)60質量部とアクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製DN115)40質量部とを混合し、加硫剤として、硫黄(鶴見化学工業社製、200メッシュ)1質量部と、加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラ−M)1.5質量部と、発泡剤として、ベンゼンスルホニルヒドラジド6質量部とを加え混練し、φ8mmのステンレススチール製の芯軸に巻き付け、加硫缶にて加硫発泡後、研磨し、φ19mmの半導電性部材R−2を得た。
【0078】
半導電性部材R―4(半導電性部材本体)の測定結果。
・アスカーC硬度:40度
【0079】
(比較例2)
―転写ローラとしての半導電性部材の作製―
【0080】
加硫剤として硫黄1部と、加硫促進剤としてテトラメチルチラウムジサルファイド0.6部を含有するゴム素材(EPDM EP33:日本合成ゴム(株))に、ケッチェンブラック(ライオンアグゾ製)12部及びFTカーボン(旭カーボン製)20部、発泡剤として、ベンゼンスルホニルヒドラジド6部をニーダーにより混練した未加硫ゴムコンパウンドをφ8mmのステンレススチール製の芯軸に巻き付け、加硫缶にて加硫発泡後、研磨し、φ19mmの半導電性部材R−5a(半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材)を形成した。
【0081】
上記得られた半導電性部材R−5aに厚み0.1mmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂にイオン導電性ポリマーを分散してなる熱収縮チューブを120℃に被覆し、φ19mmの半導電性部材R−5(半導電性部材本体)を得た。
【0082】
半導電性部材R―5a(半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材)の測定結果。
・アスカーC硬度:32度
半導電性部材R―5(半導電性部材本体)の測定結果。
・アスカーC硬度:45度
【0083】
(比較例3)
―転写ローラとしての半導電性部材の作製―
加硫剤として硫黄1部と、加硫促進剤としてテトラメチルチラウムジサルファイド0.6部を含有するゴム素材(EPDM EP33:日本合成ゴム(株))に、ケッチェンブラック(ライオンアグゾ製)13部及びFTカーボン(旭カーボン製)20部、発泡剤として、ベンゼンスルホニルヒドラジド5部をニーダーにより混練した未加硫ゴムコンパウンドをφ8mmのステンレススチール製の芯軸に巻き付け、加硫缶にて加硫発泡後、研磨し、φ14mmの半導電性部材R−6aを形成した。
さらに、エピクロルヒドリンゴム(日本ゼオン株式会社製ゼクロン3105)70質量部とアクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製DN223)30質量部とを混合し、加硫剤として、硫黄(鶴見化学工業社製、200メッシュ)1質量部と、加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラ−M)1.5質量部と、発泡剤として、ベンゼンスルホニルヒドラジド6質量部とを加え混練し、押出し機でチューブ形状に押出成形後加硫缶にて加硫発泡し、半導電性部材R−6aを圧入後研磨し、φ19mmの半導電性部材R−6を得た。
【0084】
半導電性部材R―6a(半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材)の測定結果。
・アスカーC硬度:50度
半導電性部材R―6(半導電性部材本体)の測定結果。
・アスカーC硬度:45度
【0085】
<評価>
上記実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例3において作製した半導電性部材各々を、画像形成装置に搭載し、画質評価を行うと共に、ニップ圧の評価を行った。
【0086】
―画質評価試験―
上記実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例3各々で作製した、半導電性部材R−1〜R―6を、画像形成装置(Able3221:富士ゼロックス(株)社製)に転写ローラとして搭載し、初期及びテストチャートを20万枚出力後に30%のハーフトーン画像を出力し、画質評価を行った。
【0087】
―画質評価試験結果―
実施例1〜実施例3各々において作製した半導電性部材R−1〜R―3については、中抜け、用紙裏面汚れ、及び画質不良のない良好な画像を得ることができた。
一方、比較例1、3において作製した半導電部材R−4、R−6を、画質評価したところ、用紙裏面汚れの発生は無かったものの、中抜けが発生した。また、比較例2において作製した半導電性部材R−5を、画質評価したところ、中抜け等の画質不良は発生しなかったものの、用紙裏面汚れが発生した。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】ニップ領域においてニップ幅方向の中心部(ニップ中心部)へニップ圧が集中した状態、及びニップ幅方向に渡ってニップ圧が略均一である状態における、ニップ幅方向位置に対応するニップ圧を示す模式図である。
【符号の説明】
【0089】
10 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体の外周に複数の半導電性弾性体層が形成されてなる半導電性部材であって、
前記複数の半導電性弾性体層の内の少なくとも最表面層が発泡層であり、且つ半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、半導電性部材本体のアスカーC硬度より低硬度であることを特徴とする半導電性部材。
【請求項2】
半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、半導電性部材本体のアスカーC硬度より5度以上低硬度であることを特徴とする請求項1に記載の半導電性部材。
【請求項3】
半導電性部材本体のアスカーC硬度が、20度以上45度以下の範囲内であり、半導電性部材本体から前記最表面層の半導電性弾性体層を除いた下層からなる半導電性部材のアスカーC硬度が、5度以上35度以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導電性部材。
【請求項4】
前記複数の半導電性弾性体層の内の少なくとも最表面層が、導電剤としてカーボンブラックを含むことを特徴とする請求項3に記載の半導電性部材。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の半導電性部材を備えた画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−86394(P2007−86394A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274972(P2005−274972)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】