半田付け部の検査装置、検査方法、検査プログラムおよび検査システム
【課題】簡易な構成により良否判定に用いる画像と目視による外観検査に用いる画像とを取得できるとともに、半田付け部の立体形状を容易に認識可能な外観検査用画像を取得できる半田付け部の検査装置、検査方法、検査プログラムおよび検査システムを提供する。
【解決手段】良否判定用画像に基づいて半田付け部の良否を判定し、良否判定結果に応じ、同一の検査装置を用いて、検査対象の半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して複数の外観検査用画像を順次取得する。これらの画像を順次表示することにより、半田付け部の立体形状を容易に認識可能となる。
【解決手段】良否判定用画像に基づいて半田付け部の良否を判定し、良否判定結果に応じ、同一の検査装置を用いて、検査対象の半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して複数の外観検査用画像を順次取得する。これらの画像を順次表示することにより、半田付け部の立体形状を容易に認識可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に実装された電子部品の半田付け部を検査する半田付け部の検査装置、検査方法、検査プログラムおよび検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上の半田付け部をカメラで撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査することが行われている。このような検査では、最初に、半田付け部を照明して撮影した画像の濃淡情報を基準となる形状パターンと比較することにより半田付け部の良否を判定し、この良否判定にて否判定された検査対象について目視によりその外観を再度確認する、といった検査が行われていた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、目視による外観検査では、否判定された半田付け部を基板上の多数の半田付け部の中から探さなくてはならず、その作業は極めて手間の掛かるものであった。
【0003】
また、良否判定された基板の基板情報に基づいて、良否判定に用いた撮像系とは別の撮像系を備える装置により再検査を要する基板上の半田付け部を順次撮影し、その画像をディスプレイ上に表示することにより目視検査することが行われている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、そのような装置を良否判定装置とは別個に設けることは設備のコストアップにつながってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−273360号公報
【特許文献2】特開2007−003360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題を解決せんとするもので、簡易な構成により良否判定に用いる画像と目視による外観検査に用いる画像とを取得できるとともに、半田付け部の立体形状を容易に認識可能な外観検査用画像を取得できる半田付け部の検査装置、検査方法、検査プログラムおよび検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査装置であって、
検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を撮像手段により取得する良否判定用画像取得手段と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定手段と、
前記良否判定手段による良否判定結果に応じて、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得手段と、
目視による外観検査を実施するために、前記外観検査用画像取得手段により順次取得された複数の前記外観検査用画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする半田付け部の検査装置。
2.上記1.において、前記外観検査用画像取得手段により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶手段により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示することを特徴とする。
3.基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査方法であって、
検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得工程と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定工程と、
前記良否判定工程による良否判定結果に応じて、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得工程と、
目視による外観検査を実施するために、前記外観検査用画像取得工程により順次取得された複数の前記外観検査用画像を表示する表示工程と、を備えることを特徴とする半田付け部の検査方法。
4.上記3.において、前記外観検査用画像取得工程により順次取得された前記画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶工程をさらに備え、
前記表示工程は、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶工程により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示する請求項3記載の半田付け部の検査方法。
5.基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査プログラムであって、
検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得機能と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定機能と、
前記良否判定機能による良否判定結果に応じて、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得機能と、
目視による外観検査を実施するために、前記外観検査用画像取得機能により順次取得された複数の前記外観検査用画像を表示する表示機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とする半田付け部の検査プログラム。
6.上記5.において、前記外観検査用画像取得機能により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶機能をさらに備え、
前記表示機能は、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶機能により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示することを特徴とする。
7.基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査システムであって、
検査対象となる半田付け部の良否を判定する良否判定装置と、
前記良否判定装置により否判定された前記半田付け部について目視による外観検査を実施する外観検査装置と、を備え、
前記良否判定装置は、
前記半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得手段と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定手段と、
前記良否判定手段により否判定された前記半田付け部について、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得手段と、
前記外観検査用画像取得手段により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶手段と、を備え、
前記外観検査装置は、
目視による外観検査を実施するために、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶手段により記憶された前記外観検査用画像を読み出して順次表示する表示手段を備えることを特徴とする半田付け部の検査システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明の半田付け部の検査装置によると、検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を撮像手段により取得する良否判定用画像取得手段と、この良否判定用画像取得手段により取得された良否判定用画像に基づいて半田付け部の良否を判定する良否判定手段と、良否判定手段による良否判定結果に応じて、照明手段により半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射し、良否判定用画像を取得した撮像手段と同じ撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得手段と、目視による外観検査を実施するために、外観検査用画像取得手段により順次取得された複数の外観検査用画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴としている。これにより、良否判定に用いる画像と目視による外観検査に用いる画像とを、1つの装置で簡易に取得することができる。また、従来のように、目視による外観検査において、否判定された半田付け部を基板上の多数の半田付け部の中から探す必要がないため、作業時間の短縮を図ることができる。さらに、外観検査用画像は、照明光を複数の異なる方向から順次照射して撮影した画像であり、これらの画像を表示手段により順次切り替えて表示するようにしている。これにより、半田付け部の立体形状を容易に認識可能となる。
【0008】
また、前記外観検査用画像取得手段により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶手段をさらに備え、前記表示手段が、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶手段により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示する場合は、記憶手段により記憶した外観検査用画像を読み出すことにより随時外観検査を実施することができる。
【0009】
以上は、本発明が装置として実現される場合について説明したが、かかる装置を実現する方法やプログラム、当該プログラムを記録した媒体としても発明は実現可能である。また、以上のような半田付け部の検査装置は単独で実現される場合もあるし、ある方法に適用され、あるいは同方法が他の機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、上記に示す半田付け部の検査装置、検査方法および検査プログラムに限らず、各種の態様を含むものである。したがって、本発明思想は、プログラム、ソフトウェアであったり、ハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。
発明の思想の具現化例として上記装置を制御するためのソフトウェアとなる場合には、かかるプログラム、ソフトウェア、あるいはソフトウェアを記録した記録媒体上においても存在し、利用される。
【0010】
また、プログラム、ソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。一次複製品、二次複製品などの複製段階についても同等である。その他、供給装置として通信回線を利用して行う場合でも本発明が利用されていることにはかわりない。さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態であってもよい。
【0011】
本発明の半田付け部検査システムによると、検査対象となる半田付け部の良否を判定する良否判定装置と、この良否判定装置により否判定された半田付け部について目視による外観検査を実施する外観検査装置と、を備えている。良否判定装置は、半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得手段と、良否判定用画像に基づいて良否判定を実施する良否判定手段と、良否判定手段により否判定された半田付け部について、照明手段により複数の異なる方向から照明光を順次照射して撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得手段と、外観検査用画像取得手段により順次取得された外観検査用画像を、当該半田付け部が形成されている基板情報および当該半田付け部の基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶手段と、を備え、外観検査装置は、目視による外観検査を実施するために、基板情報および位置情報に基づいて記憶手段から外観検査用画像を読み出して順次表示する表示手段を備えるようにしている。これにより、良否判定装置により、良否判定に用いる画像と目視による外観検査に用いる画像とを取得することができる。また、従来のように、目視による外観検査において、否判定された半田付け部を基板上の多数の半田付け部の中から探す必要がないため、作業時間の短縮を図ることができる。さらに、良否判定装置により取得される外観検査用画像は、照明光を複数の異なる方向から順次照射して撮影した画像であり、これらの画像を外観検査装置の表示手段により順次切り替えて表示するようにしている。これにより、半田付け部の立体形状を容易に認識可能となる。さらに、良否判定装置の記憶手段により記憶した外観検査用画像を外観検査装置で随時読み出すことにより、随時外観検査を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態1にかかる半田付け部検査装置の概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態1および2にかかる照明手段を示す説明図である。
【図3】本実施形態1にかかるコンピュータの内部ブロック図である。
【図4】本実施形態1にかかるソフトウェアブロック図である。
【図5】本実施形態1にかかる半田付け部検査処理のフローチャートを示す図である。
【図6】本実施形態1にかかる良否判定処理のフローチャートを示す図である。
【図7】本実施形態1にかかる外観検査用画像取得処理のフローチャートを示す図である。
【図8】評価領域Eの例を示す平面図である。
【図9】外観検査用画像の例を示す図である。
【図10】他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図11】さらに他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図12】さらに他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図13】さらに他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図14】さらに他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図15】さらに他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図16】さらに他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図17】本実施形態2にかかる半田付け部検査システムの概略構成を示す図である。
【図18】本実施形態2にかかるコンピュータおよび外観検査装置の内部ブロック図である。
【図19】本実施形態2にかかるソフトウェアブロック図である。
【図20】本実施形態2にかかる半田付け部検査処理のフローチャートを示す図である。
【図21】本実施形態2にかかる良否判定処理のフローチャートを示す図である。
【図22】本実施形態2にかかる外観検査用画像取得処理のフローチャートを示す図である。
【図23】本実施形態2にかかる外観検査処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)実施形態1
(1−1)半田付け部検査装置の構成:
(1−2)半田付け部検査処理:
(2)実施形態2
(2−1)半田付け部検査システムの構成:
(2−2)半田付け部検査処理:
(3)他の実施形態:
【0014】
(1)実施形態1
(1−1)半田付け部の検査装置の構成:
図1は、本実施形態1にかかる半田付け部の検査装置の構成を示している。同図において、検査装置10は、相互に接続された撮像ユニット20とコンピュータ30とから構成されている。撮像ユニット20は検査対象物の実装基板50を撮像して撮像イメージを生成し、同撮像イメージをコンピュータ30に出力する。コンピュータ30は撮像イメージを入力し、同撮像イメージを解析することにより、撮像を行った実装基板50上に実装されたチップ部品51等の各半田付け部の良否を判定する。また、検査装置10は、その良否判定結果に基づいて、目視による外観検査を実施するために、当該半田付け部の外観検査用の画像を取得する。図1において、撮像ユニット20は、実装基板50が一定位置に載置されるとともに、コントローラ21の指令に基づいてX−Y(水平)方向に移動可能なX−Yステージ23を備えている。カメラ22は、90度毎に4つ設けられており、それぞれ中心方向斜め下方に配向されている。これらのカメラ22は、検査対象となる半田の形状に応じた撮像方向となるように選択されて用いられる。また、各カメラ22は、その内部に図示しない光学系とCCD撮像板がそれぞれ備えられており、斜め下方の像を光学系を介してCCD撮像板に結像することが可能となっている。
【0015】
CCD撮像板はドットマトリックス状に配列された複数のCCD撮像素子で構成されている。CCD撮像素子は、それぞれ入力した光に応じて電荷を発生させる光電素子であるとともに、同発生した電荷を一時的に記憶する。そして、CCD撮像素子にて生成した電荷をデジタル信号に変換しつつ、順次コントローラ21に転送する。コントローラ21は、転送された上記デジタル信号をCCD撮像板におけるCCD撮像素子の個々のアドレスに対応づけながら画像メモリ(VRAM)21aに蓄積する。すなわち、VRAM21aにおいてCCD撮像素子に対応する画素ごとに上記デジタル信号の階調を有する画像データが生成される。なお、本実施形態1において、上記デジタル信号はCCD撮像素子に入力された光の輝度を表現するものとする。すなわち、画素ごとに輝度値を有する画像データがVRAM21aにおいて記憶される。
【0016】
上記のようにしてVRAM21aに記憶された画像データはコンピュータ30に対して出力される。また、カメラ22にて撮像を行うごとにVRAM21aには新たな画像データが記憶される。コントローラ21は、X−Yステージ23に対して駆動信号を出力しており、同駆動信号に応じてX−Yステージ23が水平方向に駆動される。むろん、X−Yステージ23上の一定位置に載置された実装基板50も水平移動することとなる。このようにすることにより、カメラ22を移動させることなく、実装基板50上のあらゆる位置にカメラ22の視野を移動させることが可能となる。なお、カメラ22にて撮像する際には、X−Yステージ23が停止するため、静止画像が撮像されることとなる。また、カメラ22にて撮像した画像データを撮像イメージというものとする。
【0017】
X−Yステージ23から所定量上方には、円環状の下段照明24aおよび中段照明24bと、円形状の上段照明24cと、を備える照明手段24が保持されている。図2に示すように、下段照明24a、中段照明24bおよび上段照明24cは同心円上に設けられており、各カメラ22は中段照明24bと上段照明24cとの間から中心方向斜め下方に配向されている。これにより、実装基板50の照明手段24による反射像をカメラ22にて撮像した2次元の画像データを生成することができる。また、下段照明24a、中段照明24bおよび上段照明24cは、それぞれ発光素子としてLEDを具備している。
【0018】
また、図2に示すように、下段照明24aおよび中段照明24bは、その円周方向に、それぞれ複数に分割(図2中8分割)されており、24a−1と24b−1、24a−2と24b−2、というように、それぞれを単独で点灯させることができる。この分割照明を順次切り替えることにより、異なる方向から照明光が照射された検査対象を撮像することができる。本実施形態1では、上段照明24cを用いて良否判定用の画像を取得するとともに、下段照明24aおよび中段照明24bを用いて外観検査用の画像を取得する。なお、照明手段24は図示のように3段ではなく、良否判定用画像取得用の照明と外観検査用画像取得用との2段であってもよいし、4段以上であってもよい。さらに、1段の照明手段として、外観検査用画像を取得する際には分割照明により異なる方向から照明光を照射し、良否判定用画像を取得する際には全周から照明光を照射する、というようにしてもよい。
【0019】
図3は、コンピュータ30の内部構成をブロック図により示している。同図において、コンピュータ30は、主要な構成としてCPU31とRAM32とビデオメモリ(VRAM)33とハードディスク(HDD)34を備えている。CPU31は、HDD34に記憶されたオペレーティングシステム(OS)34aや半田付け部検査プログラム34b等に基づいた処理を実行させる演算装置であり、同処理を実行する際にRAM32をワークエリアとして使用する。VRAM33は、画像データを記憶するために特化したメモリであり、撮像イメージ33aが記憶される。なお、撮像イメージ33aは、コントローラ21のVRAM21aから転送された画像データである。
【0020】
その他の構成として、コンピュータ30にはビデオインターフェイス(I/F)35と入力インターフェイス(I/F)37とI/O39が備えられている。ビデオI/F35にはディスプレイ等の表示部36が接続され、入力I/F37にはキーボードやマウス等の入力部38が接続され、I/O39には撮像ユニット20のコントローラ21が接続されている。I/O39は、コントローラ21に対してX−Yステージ23を駆動させるための信号や、カメラ22にて撮像を実行させるための信号等を出力するとともに、コントローラ21から撮像イメージの入力を受け付けている。
【0021】
図4は、コンピュータ30にて実現されるソフトウェアの構成とデータの流れを示している。CPU31およびRAM32にて、OS34aと半田付け部検査プログラム34bとが実行されており、そのモジュール構成が示されている。半田付け部検査プログラムMP1は、撮像実行部MP11と撮像イメージ取得部MP12と判定用データ取得部MP13と良否判定部MP14と表示制御部MP15とを備えている。
【0022】
撮像実行部MP11は、HDD34に記憶された基板データ34cを取得し、同基板データ34cに基づいて撮像ユニット20に良否判定用画像となる撮像イメージの撮影を実行させる。具体的に説明すると、基板データ34cには、実装基板50の外形情報、部品搭載情報、部品外形情報といった情報が格納されており、これらの情報に基づいてX−Yステージ23を駆動させる。したがって、実装基板50上における所望の位置にカメラ22の視野を動かすことができ、実装基板50上における所望の位置を撮像可能である。また、基板データ34cには、良否判定の際の基準となる判定基準情報も含まれている。
【0023】
また、撮像実行部MP11は、後述する良否判定部MP14による良否判定結果を取得するとともにHDD34から基板データ34cを取得し、これらに基づいて撮像ユニット20に外観検査用画像となる撮像イメージの撮像を実行させる。このとき取得される外観検査用画像は、異なる方向から照明光が照射された状態で取得される複数の画像である。したがって、撮像実行部MP11は、外観検査用画像の取得に際し、1つの実装基板50についての良否判定完了後、目視による外観検査を要する半田付け部について、基板データ34cを参照して当該半田付け部の基板上の位置情報を取得し、これに基づいてX−Yステージ23を駆動させて照明光の照射方向の異なる状態の複数回の撮像を実行する。
さらに、撮像実行部MP11は、照明制御部MP11Aを備えており、良否判定に用いる画像の撮影時と外観検査に用いる画像の撮影時とで異なる照明の照射状態を制御する。
【0024】
撮像イメージ取得部MP12は、コントローラ21から撮像イメージを入力し、VRAM33に良否判定用画像となる撮像イメージ33aや外観検査用画像となる撮像イメージ33aを記憶させる。
判定用データ取得部MP13は、良否判定用画像となる撮像イメージ33aを入力して種々の画像処理を施したり、画像処理された撮像イメージ33aから良否判定要因となる特徴値、例えば、平均輝度や最大輝度や最小輝度やエッジ数等のデータを取得したりする。この良否判定用データが基板データ34cに含まれる判定基準情報と比較されることにより、当該半田付け部の良否が判定される。
【0025】
良否判定部MP14は、判定用データ取得部MP13にて取得した良否判定用データと、基板データ34cに含まれる判定基準情報とを比較して当該半田付け部の良否を判定する。
表示制御部MP15は、外観検査用画像である撮像イメージ33aを入力して表示部36に出力する。具体的には、目視による外観検査を要する半田付け部の外観検査用画像となる撮像イメージ33aをVRAM33から取得し、表示部36に出力してディスプレイ上に表示させる。また、上述のように、外観検査用画像は複数取得されている。これら複数の外観検査用画像を表示部36に表示する方法としては、例えば、入力部38を介して手動で切り替えて順次表示させたり、また所定の表示間隔にて自動的に切り替えて順次表示させたり、といった方法とすることができる。また、この表示制御部MP15により、良否判定用画像として取得した撮像イメージ33aや検査処理の過程で生成された各種データ等を表示部36に出力するようにしてもよい。
【0026】
(1−2)半田付け部検査処理:
本実施形態1においては、上述の構成において図5〜7に示すフローチャートに従って被検査対象の良否判定を行う。本実施形態1においては、検査装置に搬入された基板について、逐次X−Yステージ23上で基板上の各半田付け部の良否判定を実行する。そして、この良否判定結果に基づいて外観検査を要する半田付け部を特定し、当該半田付け部の外観検査用の画像を取得する。このため、検査に際しては、図5に示すように、最初にステップS100にて、検査対象となる半田付け部が形成された実装基板50を搬入する。そして、ステップS110にて良否判定処理を実行する。
【0027】
本実施形態1における良否判定処理では、予め定められた判定基準データと良否判定用画像から取得した判定用データとを比較して実装基板50上の各半田付け部の良否を判定する。なお、良否判定の手法としては、良否判定用画像に基づいて当該半田付け部の良否を判定する限り特に限定されないが、例えば、判別分析による良否判定、パターンマッチングによる良否判定等が挙げられる。
【0028】
図6は良否判定処理の流れを示している。同図において、ステップS200にて、撮像実行部MP11は、HDD34に記憶された基板データ34cを取得し、この基板データ34cに基づいてX−Yステージ23を駆動し、実装基板50上の良否判定対象となる半田付け部をカメラ22の視野内に移動させる。
ステップS210では、当該半田付け部の撮像を行う。この撮像時の照明光の照射状態は、上段照明24cによる良否判定用画像を撮影する際の照明光の照射状態であり、撮影される画像は良否判定用の画像である。本実施形態1においては、カメラ22の視野内に複数の半田付け部が含まれた状態で撮像するようにしており、これにより撮像に費やす時間を低減するようにしている。なお、この撮像に際しては、実装基板50上の各被検査対象についてそれぞれ撮像するようにしてもよい。
【0029】
ステップS220においては、撮像イメージ33aが生成され、撮像イメージ取得部MP12は撮像イメージ33aをVRAM33に記憶させる。図9は、カメラ22の視野Sを示している。本実施形態1においては、カメラ22にて撮像される視野Sには、実装基板50上の複数の実装部品や半田が含まれている。すなわち、ステップS220においては、視野S全体を表す画像データとして撮像イメージ33aが生成される。なお、本実施形態1においては、良否判定対象となる半田付け部の例として、実線で示すチップ部品51の半田52の形状について説明するものとする。
【0030】
ステップS230においては、撮像イメージ33aから半田52についての判定用データを取得する。すなわち、図8において半田52の周辺を実線で囲んだ評価領域Eの内側の画素データに基づいて、良否の判定基準と比較する判定用データを取得する。なお、ステップS230においてCPU31は、HDD34に記憶された基板データ34cに基づいて、視野Sのどこに良否判定対象の半田52が配置されているかを特定する。そして、半田52が撮像された画素に予め登録されたサイズの評価領域Eを設定する。
ステップS240においては、ステップS230にて取得された判定用データと判定基準データとを比較して半田52の良否判定を実行し、図5のステップS120に移行する。
【0031】
ステップS120においては、ステップS110の良否判定において否判定されたか否かを判断する。本実施形態1においては、ステップS110の良否判定処理において否判定された半田付け部について目視による外観検査を実施するようにしている。したがって、ステップS110にて否判定されなかった場合はステップS150に移行し、否判定された場合には、ステップS130の外観検査用画像取得処理に移行する。
ステップS130においては、ステップS110における半田付け部の良否判定結果に基づいて、当該半田付け部の外観検査用の画像を取得する処理を実行する。本実施形態1における外観検査用画像取得処理は、図7に示すフローチャートに従って実行される。また、上述のように、外観検査用画像は、1つの半田付け部について、照明手段24の下段照明24aおよび中段照明24bにより異なる方向から照明光を照射して撮影した複数の画像である。
【0032】
図7において、最初に、ステップS300にて、変数nを"1"に初期化する。この変数nは、最大値をNとする整数であり、目視による外観検査を要する半田付け部から取得する外観検査用画像の数である。また、この変数nの値と、下段照明24aおよび中段照明24bからの照明光の照射方向とは予め対応付けられている。すなわち、変数nの値が異なると、撮像時の照明光の照射方向も異なる。
ステップS310では、当該半田付け部の撮像を行う。このとき、照明制御部MP11Aは、変数nに対応する方向から照明光を照射するように下段照明24aおよび中段照明24bを制御し、この照明光の照射状態で撮像を実行する。
【0033】
ステップS320においては撮像イメージが生成される。生成された撮像イメージは、VRAM33に撮像イメージ33aとして記憶される。
上述のようにして、1つの外観検査用画像を取得すると、ステップS330においては、変数nが最大値Nに達しているか否か、すなわち、予め設定された数の画像を取得したか否か判別する。最大値Nに達していると判別されなければ、変数nをインクリメントし(ステップS340)、ステップS310以降の処理を繰り返す。変数nが最大値Nに達していると判別されれば、図5のステップS140に移行する。
ステップS140においては、ステップS130にて取得した外観検査用画像に基づいて、実際の外観検査を実行する。本実施形態1における外観検査では、ステップS110の良否判定処理において否判定された半田付け部について目視による外観検査を実施するようにしており、表示制御部MP15は、VRAM33に撮像イメージ33aとして記憶されている外観検査用画像の1つを読み込んで表示部36に表示させる。上述のように、外観検査用画像は、照明光の照射方向の異なる状態で複数取得されている。これらを表示部36に順次表示する方法としては、例えば、オペレータによる入力部38の操作により手動で切り替える方法や、また所定の表示間隔にて自動的に切り替える方法が挙げられる。
【0034】
図9〜16は外観検査用画像の例であり、照明の照射方向がそれぞれ異なる画像である。これらの画像によると、照明の照射方向が異なることにより、照明の反射面がそれぞれ異なっていることがわかる。そして、これらを表示部36に順次表示させると、中央部の電子部品における半田付け部では半田の形状がドーム形状となっており、浮き不良の状態となっていることが容易に認識できる。このように、照明の照射方向の異なる複数の画像を順次表示して外観検査を行うことにより、半田付け部に形成された半田の立体的な形状を極めて容易に認識することができる。なお、これら複数の外観検査用画像について、検査対象となる半田付け部以外の部分の輝度を所定の割合で低下させる画像処理を施すようにしてもよい。これにより、当該半田付け部の立体形状をより容易に認識することも可能である。
【0035】
上述のようにして否判定された半田付け部について外観検査を実行し、当該半田付け部の真の良否を判定する。目視による外観検査においても否判定された半田付け部については、不良であることが確定される。
ステップS150においては、検査部位である実装基板50上の半田付け部のすべてについて良否判定および外観検査が終了しているか否かを判別する。すべての検査部位について終了していないと判別されれば、ステップS110以降の処理を繰り返し、終了していると判別されれば、ステップS160に移行する。
ステップS160においては、すべての実装基板50について半田付け部の検査処理が終了しているか否かを判別する。すべての基板について終了していないと判別されれば、ステップS100以降の処理を繰り返し、終了していると判別されれば、半田付け部検査処理を終了する。
【0036】
このように、本実施形態1の半田付け部の検査装置によると、検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を撮像ユニット20により取得し、この良否判定用画像に基づいて半田付け部の良否を判定する。そして、良否判定手段による良否判定結果に応じて、照明手段24により半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射し、撮像ユニット20により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する。さらに取得した複数の外観検査用画像を表示部36により順次表示して外観検査を実施する。これにより、良否判定に用いる画像と目視による外観検査に用いる画像とを1つの装置で簡易に取得することができる。また、従来のように、目視による外観検査において、否判定された半田付け部を基板上の多数の半田付け部の中から探す必要がないため、作業時間の短縮を図ることができる。さらに、外観検査用画像は、照明光を複数の異なる方向から順次照射して撮影した画像であり、これらの画像を順次切り替えて表示することにより、半田付け部の立体形状を容易に認識することができる。
【0037】
(2)実施形態2
(2−1)半田付け部の検査システムの構成:
図17は、本実施形態2にかかる半田付け部の検査システムの構成を示している。同図において、検査システム60は、別体に設けられた良否判定装置70と外観検査装置90とを備えている。
【0038】
良否判定装置70は、撮像ユニット20と、これに接続されたコンピュータ80とから構成されており、実装基板50上のチップ部品51等に形成されている半田付け部の良否判定処理と、良否判定処理において否判定された半田付け部についての外観検査用画像取得処理とを実行する。外観検査装置90は、上記外観検査を実行するためのコンピュータである。外観検査装置90と良否判定装置70のコンピュータ80とは相互に接続されている。本実施形態2における半田付け部検査システムにおいて、良否判定装置70により否判定された半田付け部を有する実装基板50は、良品の実装基板50とは別にストックされ、外観検査装置90にて目視による外観検査が実施される。
【0039】
撮像ユニット20は、上記実施形態1と同様の構成であり、4つのカメラ22と、下段照明24a、中段照明24bおよび上段照明24cを有する照明手段24と、X−Yステージ23と、これらを制御するとともにVRAM21aを有するコントローラ21と、を備えている。このような構成により、検査対象物の実装基板50を撮像して撮像イメージを生成し、同撮像イメージをコンピュータ80に出力する。
【0040】
図18にコンピュータ80および外観検査装置90の内部構成をブロック図により示す。同図において、コンピュータ80は、主要な構成としてCPU81とRAM82とVRAM83とHDD84を備えている。CPU81は、HDD84に記憶されたOS84aや良否判定プログラム84b等に基づいた処理を実行させる演算装置であり、同処理を実行する際にRAM82をワークエリアとして使用する。VRAM83にはコントローラ21のVRAM21aから転送された画像データである撮像イメージ83aが記憶される。HDD84には、OS84aと良否判定プログラム84bと基板データ84cとが記憶されているとともに、良否判定処理にて取得される判定結果データ84dと外観検査用画像データ84eとが記憶される。
基板データ84cは、実装基板50の外形情報、部品搭載情報、部品外形情報といった情報とともに良否判定の際の基準となる判定基準情報が格納されたデータである。
判定結果データ84dは、実装基板50の製造ロット毎に作成され、1つの基板の良否判定終了後に、否判定された半田付け部の位置とその判定内容(浮き、不濡れ等の不良種類)とが、各基板に固有の情報である基板IDとともに追記される。なお、この判定結果データ84dは、各実装基板50毎に作成したり、基板の種類毎に作成したりするようにしてもよい。
外観検査用画像データ84eは、1つの基板の良否判定終了後に、否判定された1つの半田付け部について、照明手段24の下段照明24aおよび中段照明24bにより異なる方向から照明光を照射して取得される複数の撮像イメージである。この外観検査用画像データ84eは、基板IDと否判定された半田付け部の位置に対応づけられて記憶される。
【0041】
外観検査装置90は、CPU91とRAM92とHDD94を備えている。CPU81は、HDD84に記憶されたOS94aや外観検査プログラム94b等に基づいた処理を実行させる演算装置であり、同処理を実行する際にRAM92をワークエリアとして使用する。
【0042】
その他の構成として、コンピュータ80にはI/O89が備えられている。I/O39には撮像ユニット20のコントローラ21と外観検査装置90のI/O99が接続されている。I/O89は、コントローラ21に対してX−Yステージ23を駆動させるための信号やカメラ22にて撮像を実行させるための信号等を出力したり、外観検査装置90に対して、HDD84に記憶されている外観検査用画像データ84eを出力したりする。また、I/O89は、コントローラ21から撮像イメージの入力を受け付けている。なお、コンピュータ80にビデオI/Fと入力I/Fを備えるようにし、これらにそれぞれ表示部および入力部を接続して実施形態1と同様の構成とするようにしてもよい。
【0043】
また、外観検査装置90には、ビデオI/F95と入力I/F97とI/O99が備えられている。ビデオI/F95には表示部96が接続され、入力I/F97には入力部38が接続されている。I/O99はコンピュータ80のI/O89に接続されており、コンピュータ80のHDD84から、基板データ84c、判定結果データ84dおよび外観検査用画像データ84eが入力される。
【0044】
図19は、コンピュータ80および外観検査装置90にて実現されるソフトウェアの構成とデータの流れを示している。CPU81およびRAM82にて、OS84aと良否判定プログラム84bとが実行されているとともに、CPU91およびRAM92にて、OS94aと外観検査プログラム94bとが実行されており、そのモジュール構成が示されている。良否判定プログラムMP2は、撮像実行部MP21と撮像イメージ取得部MP22と判定用データ取得部MP23と良否判定部MP24とを備え、外観検査プログラムMP3は、表示制御部MP35を備えている。
【0045】
撮像実行部MP21は、上述の実施形態1の撮像実行部MP11と同様に、HDD84に記憶された基板データ84cを取得し、同基板データ84cに基づいて撮像ユニット20に良否判定用画像となる撮像イメージの撮影を実行させる。
また、撮像実行部MP21は、基板データ84cと、判定結果データ84dとをHDD84から取得し、これらに基づいて撮像ユニット20に外観検査用画像となる撮像イメージの撮像を実行させる。具体的には、撮像実行部MP21は、外観検査用画像の取得に際し、1つの実装基板50についての良否判定完了後、当該実装基板50に対応する判定結果データ84dを取得し、基板データ84cを参照して目視による外観検査を要する半田付け部の基板上の位置情報を取得し、これらに基づいてX−Yステージ23を駆動させて当該半田付け部の撮像を実行させる。さらに、撮像実行部MP21は照明制御部MP21Aを備えており、良否判定に用いる画像の撮影時と外観検査に用いる画像の撮影時とで異なる照明の照射状態を制御する。
【0046】
撮像イメージ取得部MP22は、コントローラ21から撮像イメージを入力し、VRAM83に良否判定用画像となる撮像イメージ83aを記憶させたり、HDD84に外観検査用画像データ84eとして記憶させたりする。
判定用データ取得部MP23は、撮像イメージ83aを入力し、良否判定用画像である撮像イメージ83aに種々の画像処理を施した画像データを取得したり、撮像イメージ83aから良否判定要因となる特徴値、例えば、平均輝度や最大輝度や最小輝度やエッジ数等のデータを取得し、これらに基づいた良否判定用のデータを取得したりする。この良否判定用データが基板データ84cに含まれる判定基準情報と比較されることにより、当該半田付け部の良否が判定される。
【0047】
良否判定部MP24は、判定用データ取得部MP23にて取得した良否判定用データと基板データ84cに含まれる判定基準情報とを比較して当該半田付け部の良否を判定する。良否判定の結果は、判定結果データ84dとしてHDD84に記憶される。
表示制御部MP35は、コンピュータ80のHDD84に外観検査用画像データ84eとして記録されている撮像イメージを表示部96に出力し、それらのイメージを順次表示させる。具体的には、良否判定が否判定となり、外観検査を要する実装基板50について、当該実装基板50の基板IDをオペレータにより入力部98を介して入力したり、実装基板50に記載された基板IDを自動的に読み取ったりすることにより、コンピュータ80のHDD84から当該実装基板50の判定結果データ84dを取得する。そして、この判定結果データ84dから否判定された半田付け部を特定し、これに対応する外観検査用画像データ84eを表示部96に順次出力する。表示部96の外観検査用画像の表示方法としては、上記実施形態1と同様に、入力部98を介して手動で切り替えて順次表示させたり、また所定の表示間隔にて自動的に切り替えて順次表示させたり、といった方法とすることができる。
【0048】
(2−2)半田付け部検査処理:
本実施形態2においては、上述の構成において図20〜23に示すフローチャートに従って被検査対象の検査を行う。本実施形態2においては、最初に、良否判定装置に搬入された実装基板50について、X−Yステージ23上で基板上の各半田付け部の良否判定を実行する。そして、この良否判定結果に基づいて外観検査を要する半田付け部を特定し、当該半田付け部の外観検査用の画像を取得する。このため、検査に際しては、図20に示すように、ステップS500にて、検査対象となる半田付け部が形成された実装基板50を搬入する。そして、ステップS510にて良否判定処理を実行する。
【0049】
本実施形態2における良否判定処理では、予め定められた基板データ84cに含まれる判定基準情報と良否判定用画像から取得した判定用データとを比較して実装基板50上の各半田付け部の良否を判定する。各半田付け部の良否判定の結果は、判定結果データ84dとして、HDD84に記憶される。なお、良否判定の手法としては、上記実施形態1と同様に、良否判定用画像に基づいて当該半田付け部の良否を判定する限り特に限定されない。
【0050】
図21は良否判定処理の流れを示している。ステップS600にて、撮像実行部MP21は、HDD84に記憶された基板データ84cを取得し、この基板データ84cに基づいてX−Yステージ23を駆動し、実装基板50上の良否判定対象となる半田付け部をカメラ22の視野内に移動させる。
ステップS610では、当該半田付け部の撮像を行う。この撮像時の照明光の照射状態は、上段照明24cによる良否判定用画像を撮影する際の照明光の照射状態であり、撮影される画像は良否判定用の画像である。なお、この撮像に際しても、上記実施形態1と同様に、実装基板50上の各被検査対象についてそれぞれ撮像するようにしてもよいし、カメラ22の視野内に複数の半田付け部が含まれた状態で撮像するようにして撮像に費やす時間を低減するようにしてもよい。
【0051】
ステップS620においては、撮像イメージ83aが生成され、撮像イメージ取得部MP22が撮像イメージ83aをVRAM83に記憶させる。ステップS630においては、撮像イメージ83aから半田付け部についての判定用データを取得する。ステップS640においては、ステップS630にて取得された判定用データと判定基準データとを比較して半田付け部の良否判定を実行する。
ステップS650においては、1つの実装基板50上の検査対象となる全半田付け部の良否判定が終了したか否かを判別する。本実施形態2においては、X−Yステージ23によって視野Sを移動させつつステップS600〜S640の処理を繰り返し実行する。全半田付け部についての良否判定処理が終了した場合には、図20のステップS520に移行する。
【0052】
ステップS520においては、ステップS510の良否判定にて否判定された半田付け部があるか否かを判断する。ステップS510にて実装基板50上の全ての半田付け部が否判定されなかった場合はステップS550に移行し、否判定された半田付け部が1つでもある場合には、ステップS530において、当該実装基板50についての判定結果データ84dを記憶し、ステップS540の外観検査用画像取得処理に移行する。
【0053】
ステップS540においては、ステップS510における各半田付け部の良否判定結果に基づいて、否判定された半田付け部の外観検査用の画像を取得する処理を実行する。本実施形態2における外観検査用画像取得処理は、図22に示すフローチャートに従って実行される。上述のように、本実施形態2においては、ステップS510の良否判定処理において否判定された半田付け部について目視による外観検査を実施するようにしており、本外観検査用画像取得処理は、良否判定処理において否判定された半田付け部についての外観検査用画像を取得する処理である。また、上述のように、外観検査用画像は、1つの半田付け部について、照明手段24の下段照明24aおよび中段照明24bにより異なる方向から照明光を照射して撮影した複数の画像である。
【0054】
図22において、ステップS700にて、撮像実行部MP21は、HDD84に記憶された判定結果データ84dと基板データ84cを取得し、目視による外観検査を要する半田付け部と、当該半田付け部の実装基板50上の位置を特定する。そして、これらの情報に基づいて、ステップS710にて、X−Yステージ23を駆動し、実装基板50上の当該半田付け部をカメラ22の視野内に移動させる。
次に、変数nを"1"に初期化する(ステップS720)。この変数nは、上記実施形態1と同様に、最大値をNとする整数であり、目視による外観検査を要する半田付け部から取得する外観検査用画像の数である。また、変数nの値が異なると、撮像時の照明光の照射方向も異なる。
【0055】
ステップS730では、当該半田付け部の撮像を行う。このとき、照明制御部MP21Aは、変数nに対応する方向から照明光を照射するように下段照明24aおよび中段照明24bを制御し、この照明光の照射状態で撮像を実行する。ステップS740においては、撮像イメージが生成され、ステップS750にて、撮像イメージ取得部MP22により、外観検査用画像データ84eとしてHDD84に記憶される。
【0056】
上述のようにして、半田付け部の外観検査用画像を取得すると、ステップS760においては、変数nが最大値Nに達しているか否か、すなわち、予め設定された異なる方向から照明光を照射した所定枚数の画像を取得したか否か判別する。最大値Nに達していると判別されなければ、変数nをインクリメントし(ステップS770)、ステップS730以降の処理を繰り返す。変数nが最大値Nに達していると判別されれば、ステップS780に移行する。
【0057】
ステップS780においては、実装基板50上の外観検査を要するすべての半田付け部についての外観検査用画像を取得したか否かを判別する。すべての半田付け部についての外観検査用画像を取得したと判別されなければ、ステップS710以降の処理を繰り返し、他の半田付け部についての外観検査用画像を取得する処理を実行する。
【0058】
ステップS550では、良否判定装置70によるすべての実装基板の良否判定処理が終了したか否かを判別する。すべての実装基板50の良否判定処理が終了した場合には、ステップS560の外観検査に移行する。また、ステップS540において外観検査用画像を取得された実装基板50は、良判定された実装基板50とは別にストックされ、外観検査装置90による外観検査が実施される。
【0059】
ステップS560においては、外観検査装置90による外観検査処理を実行する。外観検査処理は、図23のフローチャートに従って実行される。ステップS800においては、良否判定が否判定となり、外観検査を要する実装基板50について、当該実装基板50の基板IDを入力する。本実施形態2においては、目視による外観検査を要する実装基板50は、ステップS540において外観検査用画像を取得された時点で、良判定された実装基板50とは別にストックされており、これらの実装基板50の基板IDを順次入力する。この基板IDの入力に際しては、オペレータにより入力部98を介して入力したり、実装基板50に記載された基板IDを自動的に読み取ったりするようにできる。基板IDが入力されることにより、この基板IDに対応する判定結果データ84dと基板データ84cをコンピュータ80のHDD84から取得する(ステップS810)。判定結果データ84dには、入力した基板IDに対応する実装基板50上の否判定された半田付け部の情報が含まれており、これに基づいて、否判定された半田付け部を特定する。なお、この半田付け部の特定は容易にできることが好ましく、例えば、基板データ84cに基づいて表示部96にCADデータ等により基板外形および部品配置図を表示させておき、取得した判定結果データ84dに基づいて、表示されている部品配置図上に否判定された半田付け部を良判定された半田付け部と色分けして表示させるようにすることができる。
【0060】
否判定された半田付け部を特定すると、HDD84の外観検査用画像データ84eから当該半田付け部に対応する画像を読み込み、表示部96に表示する(ステップS820)。表示部96に表示される外観検査用画像は、上記実施形態1と同様に、オペレータによる入力部98の操作により手動で切り替えたり、また所定の表示間隔にて自動的に切り替えたりすることにより順次表示される。そして、順次表示される外観検査用画像に基づいて目視による外観検査を実施する(ステップS830)。
【0061】
上述のようにして、否判定された半田付け部について外観検査を実行し、当該実装基板50の真の良否を判定する。目視による外観検査においても否判定された半田付け部を有する実装基板50については、不良であることが確定される。なお、不良と確定された実装基板については、通常、当該不良箇所のリペア等が施される。
【0062】
ステップS840では、当該実装基板50の外観検査を要するすべての半田付け部について外観検査を実行したか否かを判別する。他に外観検査を要する半田付け部がある場合にはステップS820以降の処理を繰り返し、すべての外観検査が終了した場合には、図20のステップS570に移行する。
ステップS570では、否判定されたすべての実装基板50について外観検査が終了したか否かを判別し、否判定されたすべての実装基板50について外観検査が終了したと判別されなければステップS550に戻り図23の外観検査処理を繰り返し、すべての外観検査が終了したと判別されれば半田付け部検査処理を終了する。
【0063】
このように、本実施形態2においては、検査対象となる半田付け部の良否を判定する良否判定装置80と、この良否判定装置により否判定された半田付け部について目視による外観検査を実施する外観検査装置90と、を備えるようにしている。そして、良否判定装置80により、半田付け部の良否判定用画像を取得して良否判定を実施し、否判定された半田付け部について、複数の異なる方向から照明光を順次照射して当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得するようにしている。外観検査用画像は、当該半田付け部が形成されている基板情報および当該半田付け部の基板上の位置情報と関連付けてHDD84に記憶され、これらに基づいて、外観検査装置90はHDD84から外観検査用画像を読み出して順次表示する。これにより、良否判定装置80により、良否判定に用いる画像と目視による外観検査に用いる画像とを取得することができる。また、従来のように、目視による外観検査において、否判定された半田付け部を基板上の多数の半田付け部の中から探す必要がないため、作業時間の短縮を図ることができる。さらに、良否判定装置80により取得される外観検査用画像は、上記実施形態1と同様に、照明光を複数の異なる方向から順次照射して撮影した画像であり、これらの画像を外観検査装置90の表示部96により順次切り替えて表示するようにしている。これにより、半田付け部の立体形状を容易に認識可能となる。また、良否判定装置80に記憶された外観検査用画像を外観検査装置90で随時読み出すことにより、随時外観検査を実施することができる。
【0064】
(3)他の実施形態:
上記実施形態1においては、1つの半田付け部について良否判定を実施した後に外観検査を実施するようにしたが、これに限定されず、例えば、実装基板50上の全ての半田付け部について良否判定を実施し、その後、この良否判定結果に基づいて、外観検査を要する箇所について外観検査用画像を取得するようにしてもよい。
【0065】
また、本実施形態1においては、取得した外観検査用画像をVRAM33に記憶させるようにしたが、これに限定されず、例えば、上記実施形態2と同様に、HDD34や、他に設けた記録媒体等の記憶手段により記憶させるようにしてもよい。また、外観検査用画像を記憶させるに際し、例えば、半田付け部が形成されている実装基板50の固有の基板情報である基板IDおよび当該半田付け部の位置情報と関連づけて記憶させるようにしてもよい。これにより、基板情報および位置情報に基づいて外観検査用画像を随時読み出すことができ、外観検査を随時実施することができる。
【0066】
また、本実施形態1および2においては、良否判定において否判定された検査対象について外観検査を実施するようにしたが、これに限定されず、例えば、良否判定において良判定された検査対象についても外観検査を実施するようにしてもよい。この場合、良否判定において誤判定される恐れのある検査対象、例えば、基板上の実装密度が高く、隣接する他の半田付け部からの反射光の影響を受けやすい半田付け部等について、予め外観検査も実行するようにプログラムを作成しておき、良否判定とともに外観検査を実施するようにしてもよい。
【0067】
なお、参考までに、取得された複数の外観検査用画像にそれぞれ所定の画像処理を施し、それらを合成するようにすることもできる。これにより、半田付け部の立体形状をより容易に認識することができるようになる。
【符号の説明】
【0068】
10;半田付け部検査装置、20;撮像ユニット、21;コントローラ、21a;画像メモリ(VRAM)、22;カメラ、23;X−Yステージ、24;照明手段、24a;下段照明、24b;中段照明、24c;上段照明、30;コンピュータ、31,81,91;CPU、32,82,92;RAM、33,83;ビデオメモリ(VRAM)、33a,83a;撮像イメージ、34,84,94;ハードディスク(HDD)、34a,84a,94a;オペレーティングシステム(OS)、34b;半田付け部検査プログラム、34c,84c;基板データ、35,95;ビデオインターフェイス、36,96;表示部、37,87;入力インターフェイス、38,98;入力部、39,89,99;I/O、50;実装基板、51;チップ部品、52;半田、60;半田付け部検査システム、70;良否判定装置、80;コンピュータ、84b;良否判定プログラム、84d;判定結果データ、84e;外観検査用画像データ、90;外観検査装置、94b;外観検査プログラム、MP1;半田付け部検査プログラム、MP11,MP21;撮像実行部、MP11A,MP21A;照明制御部、MP12,MP22;撮像イメージ取得部、MP13,MP23;判定用データ取得部、MP14,MP24;良否判定部、MP15,MP35;表示制御部、MP2;良否判定プログラム、MP3;外観検査プログラム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に実装された電子部品の半田付け部を検査する半田付け部の検査装置、検査方法、検査プログラムおよび検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上の半田付け部をカメラで撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査することが行われている。このような検査では、最初に、半田付け部を照明して撮影した画像の濃淡情報を基準となる形状パターンと比較することにより半田付け部の良否を判定し、この良否判定にて否判定された検査対象について目視によりその外観を再度確認する、といった検査が行われていた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、目視による外観検査では、否判定された半田付け部を基板上の多数の半田付け部の中から探さなくてはならず、その作業は極めて手間の掛かるものであった。
【0003】
また、良否判定された基板の基板情報に基づいて、良否判定に用いた撮像系とは別の撮像系を備える装置により再検査を要する基板上の半田付け部を順次撮影し、その画像をディスプレイ上に表示することにより目視検査することが行われている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、そのような装置を良否判定装置とは別個に設けることは設備のコストアップにつながってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−273360号公報
【特許文献2】特開2007−003360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題を解決せんとするもので、簡易な構成により良否判定に用いる画像と目視による外観検査に用いる画像とを取得できるとともに、半田付け部の立体形状を容易に認識可能な外観検査用画像を取得できる半田付け部の検査装置、検査方法、検査プログラムおよび検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査装置であって、
検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を撮像手段により取得する良否判定用画像取得手段と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定手段と、
前記良否判定手段による良否判定結果に応じて、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得手段と、
目視による外観検査を実施するために、前記外観検査用画像取得手段により順次取得された複数の前記外観検査用画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする半田付け部の検査装置。
2.上記1.において、前記外観検査用画像取得手段により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶手段により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示することを特徴とする。
3.基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査方法であって、
検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得工程と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定工程と、
前記良否判定工程による良否判定結果に応じて、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得工程と、
目視による外観検査を実施するために、前記外観検査用画像取得工程により順次取得された複数の前記外観検査用画像を表示する表示工程と、を備えることを特徴とする半田付け部の検査方法。
4.上記3.において、前記外観検査用画像取得工程により順次取得された前記画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶工程をさらに備え、
前記表示工程は、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶工程により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示する請求項3記載の半田付け部の検査方法。
5.基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査プログラムであって、
検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得機能と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定機能と、
前記良否判定機能による良否判定結果に応じて、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得機能と、
目視による外観検査を実施するために、前記外観検査用画像取得機能により順次取得された複数の前記外観検査用画像を表示する表示機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とする半田付け部の検査プログラム。
6.上記5.において、前記外観検査用画像取得機能により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶機能をさらに備え、
前記表示機能は、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶機能により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示することを特徴とする。
7.基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査システムであって、
検査対象となる半田付け部の良否を判定する良否判定装置と、
前記良否判定装置により否判定された前記半田付け部について目視による外観検査を実施する外観検査装置と、を備え、
前記良否判定装置は、
前記半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得手段と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定手段と、
前記良否判定手段により否判定された前記半田付け部について、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得手段と、
前記外観検査用画像取得手段により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶手段と、を備え、
前記外観検査装置は、
目視による外観検査を実施するために、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶手段により記憶された前記外観検査用画像を読み出して順次表示する表示手段を備えることを特徴とする半田付け部の検査システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明の半田付け部の検査装置によると、検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を撮像手段により取得する良否判定用画像取得手段と、この良否判定用画像取得手段により取得された良否判定用画像に基づいて半田付け部の良否を判定する良否判定手段と、良否判定手段による良否判定結果に応じて、照明手段により半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射し、良否判定用画像を取得した撮像手段と同じ撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得手段と、目視による外観検査を実施するために、外観検査用画像取得手段により順次取得された複数の外観検査用画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴としている。これにより、良否判定に用いる画像と目視による外観検査に用いる画像とを、1つの装置で簡易に取得することができる。また、従来のように、目視による外観検査において、否判定された半田付け部を基板上の多数の半田付け部の中から探す必要がないため、作業時間の短縮を図ることができる。さらに、外観検査用画像は、照明光を複数の異なる方向から順次照射して撮影した画像であり、これらの画像を表示手段により順次切り替えて表示するようにしている。これにより、半田付け部の立体形状を容易に認識可能となる。
【0008】
また、前記外観検査用画像取得手段により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶手段をさらに備え、前記表示手段が、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶手段により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示する場合は、記憶手段により記憶した外観検査用画像を読み出すことにより随時外観検査を実施することができる。
【0009】
以上は、本発明が装置として実現される場合について説明したが、かかる装置を実現する方法やプログラム、当該プログラムを記録した媒体としても発明は実現可能である。また、以上のような半田付け部の検査装置は単独で実現される場合もあるし、ある方法に適用され、あるいは同方法が他の機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、上記に示す半田付け部の検査装置、検査方法および検査プログラムに限らず、各種の態様を含むものである。したがって、本発明思想は、プログラム、ソフトウェアであったり、ハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。
発明の思想の具現化例として上記装置を制御するためのソフトウェアとなる場合には、かかるプログラム、ソフトウェア、あるいはソフトウェアを記録した記録媒体上においても存在し、利用される。
【0010】
また、プログラム、ソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。一次複製品、二次複製品などの複製段階についても同等である。その他、供給装置として通信回線を利用して行う場合でも本発明が利用されていることにはかわりない。さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態であってもよい。
【0011】
本発明の半田付け部検査システムによると、検査対象となる半田付け部の良否を判定する良否判定装置と、この良否判定装置により否判定された半田付け部について目視による外観検査を実施する外観検査装置と、を備えている。良否判定装置は、半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得手段と、良否判定用画像に基づいて良否判定を実施する良否判定手段と、良否判定手段により否判定された半田付け部について、照明手段により複数の異なる方向から照明光を順次照射して撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得手段と、外観検査用画像取得手段により順次取得された外観検査用画像を、当該半田付け部が形成されている基板情報および当該半田付け部の基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶手段と、を備え、外観検査装置は、目視による外観検査を実施するために、基板情報および位置情報に基づいて記憶手段から外観検査用画像を読み出して順次表示する表示手段を備えるようにしている。これにより、良否判定装置により、良否判定に用いる画像と目視による外観検査に用いる画像とを取得することができる。また、従来のように、目視による外観検査において、否判定された半田付け部を基板上の多数の半田付け部の中から探す必要がないため、作業時間の短縮を図ることができる。さらに、良否判定装置により取得される外観検査用画像は、照明光を複数の異なる方向から順次照射して撮影した画像であり、これらの画像を外観検査装置の表示手段により順次切り替えて表示するようにしている。これにより、半田付け部の立体形状を容易に認識可能となる。さらに、良否判定装置の記憶手段により記憶した外観検査用画像を外観検査装置で随時読み出すことにより、随時外観検査を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態1にかかる半田付け部検査装置の概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態1および2にかかる照明手段を示す説明図である。
【図3】本実施形態1にかかるコンピュータの内部ブロック図である。
【図4】本実施形態1にかかるソフトウェアブロック図である。
【図5】本実施形態1にかかる半田付け部検査処理のフローチャートを示す図である。
【図6】本実施形態1にかかる良否判定処理のフローチャートを示す図である。
【図7】本実施形態1にかかる外観検査用画像取得処理のフローチャートを示す図である。
【図8】評価領域Eの例を示す平面図である。
【図9】外観検査用画像の例を示す図である。
【図10】他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図11】さらに他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図12】さらに他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図13】さらに他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図14】さらに他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図15】さらに他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図16】さらに他の外観検査用画像の例を示す図である。
【図17】本実施形態2にかかる半田付け部検査システムの概略構成を示す図である。
【図18】本実施形態2にかかるコンピュータおよび外観検査装置の内部ブロック図である。
【図19】本実施形態2にかかるソフトウェアブロック図である。
【図20】本実施形態2にかかる半田付け部検査処理のフローチャートを示す図である。
【図21】本実施形態2にかかる良否判定処理のフローチャートを示す図である。
【図22】本実施形態2にかかる外観検査用画像取得処理のフローチャートを示す図である。
【図23】本実施形態2にかかる外観検査処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)実施形態1
(1−1)半田付け部検査装置の構成:
(1−2)半田付け部検査処理:
(2)実施形態2
(2−1)半田付け部検査システムの構成:
(2−2)半田付け部検査処理:
(3)他の実施形態:
【0014】
(1)実施形態1
(1−1)半田付け部の検査装置の構成:
図1は、本実施形態1にかかる半田付け部の検査装置の構成を示している。同図において、検査装置10は、相互に接続された撮像ユニット20とコンピュータ30とから構成されている。撮像ユニット20は検査対象物の実装基板50を撮像して撮像イメージを生成し、同撮像イメージをコンピュータ30に出力する。コンピュータ30は撮像イメージを入力し、同撮像イメージを解析することにより、撮像を行った実装基板50上に実装されたチップ部品51等の各半田付け部の良否を判定する。また、検査装置10は、その良否判定結果に基づいて、目視による外観検査を実施するために、当該半田付け部の外観検査用の画像を取得する。図1において、撮像ユニット20は、実装基板50が一定位置に載置されるとともに、コントローラ21の指令に基づいてX−Y(水平)方向に移動可能なX−Yステージ23を備えている。カメラ22は、90度毎に4つ設けられており、それぞれ中心方向斜め下方に配向されている。これらのカメラ22は、検査対象となる半田の形状に応じた撮像方向となるように選択されて用いられる。また、各カメラ22は、その内部に図示しない光学系とCCD撮像板がそれぞれ備えられており、斜め下方の像を光学系を介してCCD撮像板に結像することが可能となっている。
【0015】
CCD撮像板はドットマトリックス状に配列された複数のCCD撮像素子で構成されている。CCD撮像素子は、それぞれ入力した光に応じて電荷を発生させる光電素子であるとともに、同発生した電荷を一時的に記憶する。そして、CCD撮像素子にて生成した電荷をデジタル信号に変換しつつ、順次コントローラ21に転送する。コントローラ21は、転送された上記デジタル信号をCCD撮像板におけるCCD撮像素子の個々のアドレスに対応づけながら画像メモリ(VRAM)21aに蓄積する。すなわち、VRAM21aにおいてCCD撮像素子に対応する画素ごとに上記デジタル信号の階調を有する画像データが生成される。なお、本実施形態1において、上記デジタル信号はCCD撮像素子に入力された光の輝度を表現するものとする。すなわち、画素ごとに輝度値を有する画像データがVRAM21aにおいて記憶される。
【0016】
上記のようにしてVRAM21aに記憶された画像データはコンピュータ30に対して出力される。また、カメラ22にて撮像を行うごとにVRAM21aには新たな画像データが記憶される。コントローラ21は、X−Yステージ23に対して駆動信号を出力しており、同駆動信号に応じてX−Yステージ23が水平方向に駆動される。むろん、X−Yステージ23上の一定位置に載置された実装基板50も水平移動することとなる。このようにすることにより、カメラ22を移動させることなく、実装基板50上のあらゆる位置にカメラ22の視野を移動させることが可能となる。なお、カメラ22にて撮像する際には、X−Yステージ23が停止するため、静止画像が撮像されることとなる。また、カメラ22にて撮像した画像データを撮像イメージというものとする。
【0017】
X−Yステージ23から所定量上方には、円環状の下段照明24aおよび中段照明24bと、円形状の上段照明24cと、を備える照明手段24が保持されている。図2に示すように、下段照明24a、中段照明24bおよび上段照明24cは同心円上に設けられており、各カメラ22は中段照明24bと上段照明24cとの間から中心方向斜め下方に配向されている。これにより、実装基板50の照明手段24による反射像をカメラ22にて撮像した2次元の画像データを生成することができる。また、下段照明24a、中段照明24bおよび上段照明24cは、それぞれ発光素子としてLEDを具備している。
【0018】
また、図2に示すように、下段照明24aおよび中段照明24bは、その円周方向に、それぞれ複数に分割(図2中8分割)されており、24a−1と24b−1、24a−2と24b−2、というように、それぞれを単独で点灯させることができる。この分割照明を順次切り替えることにより、異なる方向から照明光が照射された検査対象を撮像することができる。本実施形態1では、上段照明24cを用いて良否判定用の画像を取得するとともに、下段照明24aおよび中段照明24bを用いて外観検査用の画像を取得する。なお、照明手段24は図示のように3段ではなく、良否判定用画像取得用の照明と外観検査用画像取得用との2段であってもよいし、4段以上であってもよい。さらに、1段の照明手段として、外観検査用画像を取得する際には分割照明により異なる方向から照明光を照射し、良否判定用画像を取得する際には全周から照明光を照射する、というようにしてもよい。
【0019】
図3は、コンピュータ30の内部構成をブロック図により示している。同図において、コンピュータ30は、主要な構成としてCPU31とRAM32とビデオメモリ(VRAM)33とハードディスク(HDD)34を備えている。CPU31は、HDD34に記憶されたオペレーティングシステム(OS)34aや半田付け部検査プログラム34b等に基づいた処理を実行させる演算装置であり、同処理を実行する際にRAM32をワークエリアとして使用する。VRAM33は、画像データを記憶するために特化したメモリであり、撮像イメージ33aが記憶される。なお、撮像イメージ33aは、コントローラ21のVRAM21aから転送された画像データである。
【0020】
その他の構成として、コンピュータ30にはビデオインターフェイス(I/F)35と入力インターフェイス(I/F)37とI/O39が備えられている。ビデオI/F35にはディスプレイ等の表示部36が接続され、入力I/F37にはキーボードやマウス等の入力部38が接続され、I/O39には撮像ユニット20のコントローラ21が接続されている。I/O39は、コントローラ21に対してX−Yステージ23を駆動させるための信号や、カメラ22にて撮像を実行させるための信号等を出力するとともに、コントローラ21から撮像イメージの入力を受け付けている。
【0021】
図4は、コンピュータ30にて実現されるソフトウェアの構成とデータの流れを示している。CPU31およびRAM32にて、OS34aと半田付け部検査プログラム34bとが実行されており、そのモジュール構成が示されている。半田付け部検査プログラムMP1は、撮像実行部MP11と撮像イメージ取得部MP12と判定用データ取得部MP13と良否判定部MP14と表示制御部MP15とを備えている。
【0022】
撮像実行部MP11は、HDD34に記憶された基板データ34cを取得し、同基板データ34cに基づいて撮像ユニット20に良否判定用画像となる撮像イメージの撮影を実行させる。具体的に説明すると、基板データ34cには、実装基板50の外形情報、部品搭載情報、部品外形情報といった情報が格納されており、これらの情報に基づいてX−Yステージ23を駆動させる。したがって、実装基板50上における所望の位置にカメラ22の視野を動かすことができ、実装基板50上における所望の位置を撮像可能である。また、基板データ34cには、良否判定の際の基準となる判定基準情報も含まれている。
【0023】
また、撮像実行部MP11は、後述する良否判定部MP14による良否判定結果を取得するとともにHDD34から基板データ34cを取得し、これらに基づいて撮像ユニット20に外観検査用画像となる撮像イメージの撮像を実行させる。このとき取得される外観検査用画像は、異なる方向から照明光が照射された状態で取得される複数の画像である。したがって、撮像実行部MP11は、外観検査用画像の取得に際し、1つの実装基板50についての良否判定完了後、目視による外観検査を要する半田付け部について、基板データ34cを参照して当該半田付け部の基板上の位置情報を取得し、これに基づいてX−Yステージ23を駆動させて照明光の照射方向の異なる状態の複数回の撮像を実行する。
さらに、撮像実行部MP11は、照明制御部MP11Aを備えており、良否判定に用いる画像の撮影時と外観検査に用いる画像の撮影時とで異なる照明の照射状態を制御する。
【0024】
撮像イメージ取得部MP12は、コントローラ21から撮像イメージを入力し、VRAM33に良否判定用画像となる撮像イメージ33aや外観検査用画像となる撮像イメージ33aを記憶させる。
判定用データ取得部MP13は、良否判定用画像となる撮像イメージ33aを入力して種々の画像処理を施したり、画像処理された撮像イメージ33aから良否判定要因となる特徴値、例えば、平均輝度や最大輝度や最小輝度やエッジ数等のデータを取得したりする。この良否判定用データが基板データ34cに含まれる判定基準情報と比較されることにより、当該半田付け部の良否が判定される。
【0025】
良否判定部MP14は、判定用データ取得部MP13にて取得した良否判定用データと、基板データ34cに含まれる判定基準情報とを比較して当該半田付け部の良否を判定する。
表示制御部MP15は、外観検査用画像である撮像イメージ33aを入力して表示部36に出力する。具体的には、目視による外観検査を要する半田付け部の外観検査用画像となる撮像イメージ33aをVRAM33から取得し、表示部36に出力してディスプレイ上に表示させる。また、上述のように、外観検査用画像は複数取得されている。これら複数の外観検査用画像を表示部36に表示する方法としては、例えば、入力部38を介して手動で切り替えて順次表示させたり、また所定の表示間隔にて自動的に切り替えて順次表示させたり、といった方法とすることができる。また、この表示制御部MP15により、良否判定用画像として取得した撮像イメージ33aや検査処理の過程で生成された各種データ等を表示部36に出力するようにしてもよい。
【0026】
(1−2)半田付け部検査処理:
本実施形態1においては、上述の構成において図5〜7に示すフローチャートに従って被検査対象の良否判定を行う。本実施形態1においては、検査装置に搬入された基板について、逐次X−Yステージ23上で基板上の各半田付け部の良否判定を実行する。そして、この良否判定結果に基づいて外観検査を要する半田付け部を特定し、当該半田付け部の外観検査用の画像を取得する。このため、検査に際しては、図5に示すように、最初にステップS100にて、検査対象となる半田付け部が形成された実装基板50を搬入する。そして、ステップS110にて良否判定処理を実行する。
【0027】
本実施形態1における良否判定処理では、予め定められた判定基準データと良否判定用画像から取得した判定用データとを比較して実装基板50上の各半田付け部の良否を判定する。なお、良否判定の手法としては、良否判定用画像に基づいて当該半田付け部の良否を判定する限り特に限定されないが、例えば、判別分析による良否判定、パターンマッチングによる良否判定等が挙げられる。
【0028】
図6は良否判定処理の流れを示している。同図において、ステップS200にて、撮像実行部MP11は、HDD34に記憶された基板データ34cを取得し、この基板データ34cに基づいてX−Yステージ23を駆動し、実装基板50上の良否判定対象となる半田付け部をカメラ22の視野内に移動させる。
ステップS210では、当該半田付け部の撮像を行う。この撮像時の照明光の照射状態は、上段照明24cによる良否判定用画像を撮影する際の照明光の照射状態であり、撮影される画像は良否判定用の画像である。本実施形態1においては、カメラ22の視野内に複数の半田付け部が含まれた状態で撮像するようにしており、これにより撮像に費やす時間を低減するようにしている。なお、この撮像に際しては、実装基板50上の各被検査対象についてそれぞれ撮像するようにしてもよい。
【0029】
ステップS220においては、撮像イメージ33aが生成され、撮像イメージ取得部MP12は撮像イメージ33aをVRAM33に記憶させる。図9は、カメラ22の視野Sを示している。本実施形態1においては、カメラ22にて撮像される視野Sには、実装基板50上の複数の実装部品や半田が含まれている。すなわち、ステップS220においては、視野S全体を表す画像データとして撮像イメージ33aが生成される。なお、本実施形態1においては、良否判定対象となる半田付け部の例として、実線で示すチップ部品51の半田52の形状について説明するものとする。
【0030】
ステップS230においては、撮像イメージ33aから半田52についての判定用データを取得する。すなわち、図8において半田52の周辺を実線で囲んだ評価領域Eの内側の画素データに基づいて、良否の判定基準と比較する判定用データを取得する。なお、ステップS230においてCPU31は、HDD34に記憶された基板データ34cに基づいて、視野Sのどこに良否判定対象の半田52が配置されているかを特定する。そして、半田52が撮像された画素に予め登録されたサイズの評価領域Eを設定する。
ステップS240においては、ステップS230にて取得された判定用データと判定基準データとを比較して半田52の良否判定を実行し、図5のステップS120に移行する。
【0031】
ステップS120においては、ステップS110の良否判定において否判定されたか否かを判断する。本実施形態1においては、ステップS110の良否判定処理において否判定された半田付け部について目視による外観検査を実施するようにしている。したがって、ステップS110にて否判定されなかった場合はステップS150に移行し、否判定された場合には、ステップS130の外観検査用画像取得処理に移行する。
ステップS130においては、ステップS110における半田付け部の良否判定結果に基づいて、当該半田付け部の外観検査用の画像を取得する処理を実行する。本実施形態1における外観検査用画像取得処理は、図7に示すフローチャートに従って実行される。また、上述のように、外観検査用画像は、1つの半田付け部について、照明手段24の下段照明24aおよび中段照明24bにより異なる方向から照明光を照射して撮影した複数の画像である。
【0032】
図7において、最初に、ステップS300にて、変数nを"1"に初期化する。この変数nは、最大値をNとする整数であり、目視による外観検査を要する半田付け部から取得する外観検査用画像の数である。また、この変数nの値と、下段照明24aおよび中段照明24bからの照明光の照射方向とは予め対応付けられている。すなわち、変数nの値が異なると、撮像時の照明光の照射方向も異なる。
ステップS310では、当該半田付け部の撮像を行う。このとき、照明制御部MP11Aは、変数nに対応する方向から照明光を照射するように下段照明24aおよび中段照明24bを制御し、この照明光の照射状態で撮像を実行する。
【0033】
ステップS320においては撮像イメージが生成される。生成された撮像イメージは、VRAM33に撮像イメージ33aとして記憶される。
上述のようにして、1つの外観検査用画像を取得すると、ステップS330においては、変数nが最大値Nに達しているか否か、すなわち、予め設定された数の画像を取得したか否か判別する。最大値Nに達していると判別されなければ、変数nをインクリメントし(ステップS340)、ステップS310以降の処理を繰り返す。変数nが最大値Nに達していると判別されれば、図5のステップS140に移行する。
ステップS140においては、ステップS130にて取得した外観検査用画像に基づいて、実際の外観検査を実行する。本実施形態1における外観検査では、ステップS110の良否判定処理において否判定された半田付け部について目視による外観検査を実施するようにしており、表示制御部MP15は、VRAM33に撮像イメージ33aとして記憶されている外観検査用画像の1つを読み込んで表示部36に表示させる。上述のように、外観検査用画像は、照明光の照射方向の異なる状態で複数取得されている。これらを表示部36に順次表示する方法としては、例えば、オペレータによる入力部38の操作により手動で切り替える方法や、また所定の表示間隔にて自動的に切り替える方法が挙げられる。
【0034】
図9〜16は外観検査用画像の例であり、照明の照射方向がそれぞれ異なる画像である。これらの画像によると、照明の照射方向が異なることにより、照明の反射面がそれぞれ異なっていることがわかる。そして、これらを表示部36に順次表示させると、中央部の電子部品における半田付け部では半田の形状がドーム形状となっており、浮き不良の状態となっていることが容易に認識できる。このように、照明の照射方向の異なる複数の画像を順次表示して外観検査を行うことにより、半田付け部に形成された半田の立体的な形状を極めて容易に認識することができる。なお、これら複数の外観検査用画像について、検査対象となる半田付け部以外の部分の輝度を所定の割合で低下させる画像処理を施すようにしてもよい。これにより、当該半田付け部の立体形状をより容易に認識することも可能である。
【0035】
上述のようにして否判定された半田付け部について外観検査を実行し、当該半田付け部の真の良否を判定する。目視による外観検査においても否判定された半田付け部については、不良であることが確定される。
ステップS150においては、検査部位である実装基板50上の半田付け部のすべてについて良否判定および外観検査が終了しているか否かを判別する。すべての検査部位について終了していないと判別されれば、ステップS110以降の処理を繰り返し、終了していると判別されれば、ステップS160に移行する。
ステップS160においては、すべての実装基板50について半田付け部の検査処理が終了しているか否かを判別する。すべての基板について終了していないと判別されれば、ステップS100以降の処理を繰り返し、終了していると判別されれば、半田付け部検査処理を終了する。
【0036】
このように、本実施形態1の半田付け部の検査装置によると、検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を撮像ユニット20により取得し、この良否判定用画像に基づいて半田付け部の良否を判定する。そして、良否判定手段による良否判定結果に応じて、照明手段24により半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射し、撮像ユニット20により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する。さらに取得した複数の外観検査用画像を表示部36により順次表示して外観検査を実施する。これにより、良否判定に用いる画像と目視による外観検査に用いる画像とを1つの装置で簡易に取得することができる。また、従来のように、目視による外観検査において、否判定された半田付け部を基板上の多数の半田付け部の中から探す必要がないため、作業時間の短縮を図ることができる。さらに、外観検査用画像は、照明光を複数の異なる方向から順次照射して撮影した画像であり、これらの画像を順次切り替えて表示することにより、半田付け部の立体形状を容易に認識することができる。
【0037】
(2)実施形態2
(2−1)半田付け部の検査システムの構成:
図17は、本実施形態2にかかる半田付け部の検査システムの構成を示している。同図において、検査システム60は、別体に設けられた良否判定装置70と外観検査装置90とを備えている。
【0038】
良否判定装置70は、撮像ユニット20と、これに接続されたコンピュータ80とから構成されており、実装基板50上のチップ部品51等に形成されている半田付け部の良否判定処理と、良否判定処理において否判定された半田付け部についての外観検査用画像取得処理とを実行する。外観検査装置90は、上記外観検査を実行するためのコンピュータである。外観検査装置90と良否判定装置70のコンピュータ80とは相互に接続されている。本実施形態2における半田付け部検査システムにおいて、良否判定装置70により否判定された半田付け部を有する実装基板50は、良品の実装基板50とは別にストックされ、外観検査装置90にて目視による外観検査が実施される。
【0039】
撮像ユニット20は、上記実施形態1と同様の構成であり、4つのカメラ22と、下段照明24a、中段照明24bおよび上段照明24cを有する照明手段24と、X−Yステージ23と、これらを制御するとともにVRAM21aを有するコントローラ21と、を備えている。このような構成により、検査対象物の実装基板50を撮像して撮像イメージを生成し、同撮像イメージをコンピュータ80に出力する。
【0040】
図18にコンピュータ80および外観検査装置90の内部構成をブロック図により示す。同図において、コンピュータ80は、主要な構成としてCPU81とRAM82とVRAM83とHDD84を備えている。CPU81は、HDD84に記憶されたOS84aや良否判定プログラム84b等に基づいた処理を実行させる演算装置であり、同処理を実行する際にRAM82をワークエリアとして使用する。VRAM83にはコントローラ21のVRAM21aから転送された画像データである撮像イメージ83aが記憶される。HDD84には、OS84aと良否判定プログラム84bと基板データ84cとが記憶されているとともに、良否判定処理にて取得される判定結果データ84dと外観検査用画像データ84eとが記憶される。
基板データ84cは、実装基板50の外形情報、部品搭載情報、部品外形情報といった情報とともに良否判定の際の基準となる判定基準情報が格納されたデータである。
判定結果データ84dは、実装基板50の製造ロット毎に作成され、1つの基板の良否判定終了後に、否判定された半田付け部の位置とその判定内容(浮き、不濡れ等の不良種類)とが、各基板に固有の情報である基板IDとともに追記される。なお、この判定結果データ84dは、各実装基板50毎に作成したり、基板の種類毎に作成したりするようにしてもよい。
外観検査用画像データ84eは、1つの基板の良否判定終了後に、否判定された1つの半田付け部について、照明手段24の下段照明24aおよび中段照明24bにより異なる方向から照明光を照射して取得される複数の撮像イメージである。この外観検査用画像データ84eは、基板IDと否判定された半田付け部の位置に対応づけられて記憶される。
【0041】
外観検査装置90は、CPU91とRAM92とHDD94を備えている。CPU81は、HDD84に記憶されたOS94aや外観検査プログラム94b等に基づいた処理を実行させる演算装置であり、同処理を実行する際にRAM92をワークエリアとして使用する。
【0042】
その他の構成として、コンピュータ80にはI/O89が備えられている。I/O39には撮像ユニット20のコントローラ21と外観検査装置90のI/O99が接続されている。I/O89は、コントローラ21に対してX−Yステージ23を駆動させるための信号やカメラ22にて撮像を実行させるための信号等を出力したり、外観検査装置90に対して、HDD84に記憶されている外観検査用画像データ84eを出力したりする。また、I/O89は、コントローラ21から撮像イメージの入力を受け付けている。なお、コンピュータ80にビデオI/Fと入力I/Fを備えるようにし、これらにそれぞれ表示部および入力部を接続して実施形態1と同様の構成とするようにしてもよい。
【0043】
また、外観検査装置90には、ビデオI/F95と入力I/F97とI/O99が備えられている。ビデオI/F95には表示部96が接続され、入力I/F97には入力部38が接続されている。I/O99はコンピュータ80のI/O89に接続されており、コンピュータ80のHDD84から、基板データ84c、判定結果データ84dおよび外観検査用画像データ84eが入力される。
【0044】
図19は、コンピュータ80および外観検査装置90にて実現されるソフトウェアの構成とデータの流れを示している。CPU81およびRAM82にて、OS84aと良否判定プログラム84bとが実行されているとともに、CPU91およびRAM92にて、OS94aと外観検査プログラム94bとが実行されており、そのモジュール構成が示されている。良否判定プログラムMP2は、撮像実行部MP21と撮像イメージ取得部MP22と判定用データ取得部MP23と良否判定部MP24とを備え、外観検査プログラムMP3は、表示制御部MP35を備えている。
【0045】
撮像実行部MP21は、上述の実施形態1の撮像実行部MP11と同様に、HDD84に記憶された基板データ84cを取得し、同基板データ84cに基づいて撮像ユニット20に良否判定用画像となる撮像イメージの撮影を実行させる。
また、撮像実行部MP21は、基板データ84cと、判定結果データ84dとをHDD84から取得し、これらに基づいて撮像ユニット20に外観検査用画像となる撮像イメージの撮像を実行させる。具体的には、撮像実行部MP21は、外観検査用画像の取得に際し、1つの実装基板50についての良否判定完了後、当該実装基板50に対応する判定結果データ84dを取得し、基板データ84cを参照して目視による外観検査を要する半田付け部の基板上の位置情報を取得し、これらに基づいてX−Yステージ23を駆動させて当該半田付け部の撮像を実行させる。さらに、撮像実行部MP21は照明制御部MP21Aを備えており、良否判定に用いる画像の撮影時と外観検査に用いる画像の撮影時とで異なる照明の照射状態を制御する。
【0046】
撮像イメージ取得部MP22は、コントローラ21から撮像イメージを入力し、VRAM83に良否判定用画像となる撮像イメージ83aを記憶させたり、HDD84に外観検査用画像データ84eとして記憶させたりする。
判定用データ取得部MP23は、撮像イメージ83aを入力し、良否判定用画像である撮像イメージ83aに種々の画像処理を施した画像データを取得したり、撮像イメージ83aから良否判定要因となる特徴値、例えば、平均輝度や最大輝度や最小輝度やエッジ数等のデータを取得し、これらに基づいた良否判定用のデータを取得したりする。この良否判定用データが基板データ84cに含まれる判定基準情報と比較されることにより、当該半田付け部の良否が判定される。
【0047】
良否判定部MP24は、判定用データ取得部MP23にて取得した良否判定用データと基板データ84cに含まれる判定基準情報とを比較して当該半田付け部の良否を判定する。良否判定の結果は、判定結果データ84dとしてHDD84に記憶される。
表示制御部MP35は、コンピュータ80のHDD84に外観検査用画像データ84eとして記録されている撮像イメージを表示部96に出力し、それらのイメージを順次表示させる。具体的には、良否判定が否判定となり、外観検査を要する実装基板50について、当該実装基板50の基板IDをオペレータにより入力部98を介して入力したり、実装基板50に記載された基板IDを自動的に読み取ったりすることにより、コンピュータ80のHDD84から当該実装基板50の判定結果データ84dを取得する。そして、この判定結果データ84dから否判定された半田付け部を特定し、これに対応する外観検査用画像データ84eを表示部96に順次出力する。表示部96の外観検査用画像の表示方法としては、上記実施形態1と同様に、入力部98を介して手動で切り替えて順次表示させたり、また所定の表示間隔にて自動的に切り替えて順次表示させたり、といった方法とすることができる。
【0048】
(2−2)半田付け部検査処理:
本実施形態2においては、上述の構成において図20〜23に示すフローチャートに従って被検査対象の検査を行う。本実施形態2においては、最初に、良否判定装置に搬入された実装基板50について、X−Yステージ23上で基板上の各半田付け部の良否判定を実行する。そして、この良否判定結果に基づいて外観検査を要する半田付け部を特定し、当該半田付け部の外観検査用の画像を取得する。このため、検査に際しては、図20に示すように、ステップS500にて、検査対象となる半田付け部が形成された実装基板50を搬入する。そして、ステップS510にて良否判定処理を実行する。
【0049】
本実施形態2における良否判定処理では、予め定められた基板データ84cに含まれる判定基準情報と良否判定用画像から取得した判定用データとを比較して実装基板50上の各半田付け部の良否を判定する。各半田付け部の良否判定の結果は、判定結果データ84dとして、HDD84に記憶される。なお、良否判定の手法としては、上記実施形態1と同様に、良否判定用画像に基づいて当該半田付け部の良否を判定する限り特に限定されない。
【0050】
図21は良否判定処理の流れを示している。ステップS600にて、撮像実行部MP21は、HDD84に記憶された基板データ84cを取得し、この基板データ84cに基づいてX−Yステージ23を駆動し、実装基板50上の良否判定対象となる半田付け部をカメラ22の視野内に移動させる。
ステップS610では、当該半田付け部の撮像を行う。この撮像時の照明光の照射状態は、上段照明24cによる良否判定用画像を撮影する際の照明光の照射状態であり、撮影される画像は良否判定用の画像である。なお、この撮像に際しても、上記実施形態1と同様に、実装基板50上の各被検査対象についてそれぞれ撮像するようにしてもよいし、カメラ22の視野内に複数の半田付け部が含まれた状態で撮像するようにして撮像に費やす時間を低減するようにしてもよい。
【0051】
ステップS620においては、撮像イメージ83aが生成され、撮像イメージ取得部MP22が撮像イメージ83aをVRAM83に記憶させる。ステップS630においては、撮像イメージ83aから半田付け部についての判定用データを取得する。ステップS640においては、ステップS630にて取得された判定用データと判定基準データとを比較して半田付け部の良否判定を実行する。
ステップS650においては、1つの実装基板50上の検査対象となる全半田付け部の良否判定が終了したか否かを判別する。本実施形態2においては、X−Yステージ23によって視野Sを移動させつつステップS600〜S640の処理を繰り返し実行する。全半田付け部についての良否判定処理が終了した場合には、図20のステップS520に移行する。
【0052】
ステップS520においては、ステップS510の良否判定にて否判定された半田付け部があるか否かを判断する。ステップS510にて実装基板50上の全ての半田付け部が否判定されなかった場合はステップS550に移行し、否判定された半田付け部が1つでもある場合には、ステップS530において、当該実装基板50についての判定結果データ84dを記憶し、ステップS540の外観検査用画像取得処理に移行する。
【0053】
ステップS540においては、ステップS510における各半田付け部の良否判定結果に基づいて、否判定された半田付け部の外観検査用の画像を取得する処理を実行する。本実施形態2における外観検査用画像取得処理は、図22に示すフローチャートに従って実行される。上述のように、本実施形態2においては、ステップS510の良否判定処理において否判定された半田付け部について目視による外観検査を実施するようにしており、本外観検査用画像取得処理は、良否判定処理において否判定された半田付け部についての外観検査用画像を取得する処理である。また、上述のように、外観検査用画像は、1つの半田付け部について、照明手段24の下段照明24aおよび中段照明24bにより異なる方向から照明光を照射して撮影した複数の画像である。
【0054】
図22において、ステップS700にて、撮像実行部MP21は、HDD84に記憶された判定結果データ84dと基板データ84cを取得し、目視による外観検査を要する半田付け部と、当該半田付け部の実装基板50上の位置を特定する。そして、これらの情報に基づいて、ステップS710にて、X−Yステージ23を駆動し、実装基板50上の当該半田付け部をカメラ22の視野内に移動させる。
次に、変数nを"1"に初期化する(ステップS720)。この変数nは、上記実施形態1と同様に、最大値をNとする整数であり、目視による外観検査を要する半田付け部から取得する外観検査用画像の数である。また、変数nの値が異なると、撮像時の照明光の照射方向も異なる。
【0055】
ステップS730では、当該半田付け部の撮像を行う。このとき、照明制御部MP21Aは、変数nに対応する方向から照明光を照射するように下段照明24aおよび中段照明24bを制御し、この照明光の照射状態で撮像を実行する。ステップS740においては、撮像イメージが生成され、ステップS750にて、撮像イメージ取得部MP22により、外観検査用画像データ84eとしてHDD84に記憶される。
【0056】
上述のようにして、半田付け部の外観検査用画像を取得すると、ステップS760においては、変数nが最大値Nに達しているか否か、すなわち、予め設定された異なる方向から照明光を照射した所定枚数の画像を取得したか否か判別する。最大値Nに達していると判別されなければ、変数nをインクリメントし(ステップS770)、ステップS730以降の処理を繰り返す。変数nが最大値Nに達していると判別されれば、ステップS780に移行する。
【0057】
ステップS780においては、実装基板50上の外観検査を要するすべての半田付け部についての外観検査用画像を取得したか否かを判別する。すべての半田付け部についての外観検査用画像を取得したと判別されなければ、ステップS710以降の処理を繰り返し、他の半田付け部についての外観検査用画像を取得する処理を実行する。
【0058】
ステップS550では、良否判定装置70によるすべての実装基板の良否判定処理が終了したか否かを判別する。すべての実装基板50の良否判定処理が終了した場合には、ステップS560の外観検査に移行する。また、ステップS540において外観検査用画像を取得された実装基板50は、良判定された実装基板50とは別にストックされ、外観検査装置90による外観検査が実施される。
【0059】
ステップS560においては、外観検査装置90による外観検査処理を実行する。外観検査処理は、図23のフローチャートに従って実行される。ステップS800においては、良否判定が否判定となり、外観検査を要する実装基板50について、当該実装基板50の基板IDを入力する。本実施形態2においては、目視による外観検査を要する実装基板50は、ステップS540において外観検査用画像を取得された時点で、良判定された実装基板50とは別にストックされており、これらの実装基板50の基板IDを順次入力する。この基板IDの入力に際しては、オペレータにより入力部98を介して入力したり、実装基板50に記載された基板IDを自動的に読み取ったりするようにできる。基板IDが入力されることにより、この基板IDに対応する判定結果データ84dと基板データ84cをコンピュータ80のHDD84から取得する(ステップS810)。判定結果データ84dには、入力した基板IDに対応する実装基板50上の否判定された半田付け部の情報が含まれており、これに基づいて、否判定された半田付け部を特定する。なお、この半田付け部の特定は容易にできることが好ましく、例えば、基板データ84cに基づいて表示部96にCADデータ等により基板外形および部品配置図を表示させておき、取得した判定結果データ84dに基づいて、表示されている部品配置図上に否判定された半田付け部を良判定された半田付け部と色分けして表示させるようにすることができる。
【0060】
否判定された半田付け部を特定すると、HDD84の外観検査用画像データ84eから当該半田付け部に対応する画像を読み込み、表示部96に表示する(ステップS820)。表示部96に表示される外観検査用画像は、上記実施形態1と同様に、オペレータによる入力部98の操作により手動で切り替えたり、また所定の表示間隔にて自動的に切り替えたりすることにより順次表示される。そして、順次表示される外観検査用画像に基づいて目視による外観検査を実施する(ステップS830)。
【0061】
上述のようにして、否判定された半田付け部について外観検査を実行し、当該実装基板50の真の良否を判定する。目視による外観検査においても否判定された半田付け部を有する実装基板50については、不良であることが確定される。なお、不良と確定された実装基板については、通常、当該不良箇所のリペア等が施される。
【0062】
ステップS840では、当該実装基板50の外観検査を要するすべての半田付け部について外観検査を実行したか否かを判別する。他に外観検査を要する半田付け部がある場合にはステップS820以降の処理を繰り返し、すべての外観検査が終了した場合には、図20のステップS570に移行する。
ステップS570では、否判定されたすべての実装基板50について外観検査が終了したか否かを判別し、否判定されたすべての実装基板50について外観検査が終了したと判別されなければステップS550に戻り図23の外観検査処理を繰り返し、すべての外観検査が終了したと判別されれば半田付け部検査処理を終了する。
【0063】
このように、本実施形態2においては、検査対象となる半田付け部の良否を判定する良否判定装置80と、この良否判定装置により否判定された半田付け部について目視による外観検査を実施する外観検査装置90と、を備えるようにしている。そして、良否判定装置80により、半田付け部の良否判定用画像を取得して良否判定を実施し、否判定された半田付け部について、複数の異なる方向から照明光を順次照射して当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得するようにしている。外観検査用画像は、当該半田付け部が形成されている基板情報および当該半田付け部の基板上の位置情報と関連付けてHDD84に記憶され、これらに基づいて、外観検査装置90はHDD84から外観検査用画像を読み出して順次表示する。これにより、良否判定装置80により、良否判定に用いる画像と目視による外観検査に用いる画像とを取得することができる。また、従来のように、目視による外観検査において、否判定された半田付け部を基板上の多数の半田付け部の中から探す必要がないため、作業時間の短縮を図ることができる。さらに、良否判定装置80により取得される外観検査用画像は、上記実施形態1と同様に、照明光を複数の異なる方向から順次照射して撮影した画像であり、これらの画像を外観検査装置90の表示部96により順次切り替えて表示するようにしている。これにより、半田付け部の立体形状を容易に認識可能となる。また、良否判定装置80に記憶された外観検査用画像を外観検査装置90で随時読み出すことにより、随時外観検査を実施することができる。
【0064】
(3)他の実施形態:
上記実施形態1においては、1つの半田付け部について良否判定を実施した後に外観検査を実施するようにしたが、これに限定されず、例えば、実装基板50上の全ての半田付け部について良否判定を実施し、その後、この良否判定結果に基づいて、外観検査を要する箇所について外観検査用画像を取得するようにしてもよい。
【0065】
また、本実施形態1においては、取得した外観検査用画像をVRAM33に記憶させるようにしたが、これに限定されず、例えば、上記実施形態2と同様に、HDD34や、他に設けた記録媒体等の記憶手段により記憶させるようにしてもよい。また、外観検査用画像を記憶させるに際し、例えば、半田付け部が形成されている実装基板50の固有の基板情報である基板IDおよび当該半田付け部の位置情報と関連づけて記憶させるようにしてもよい。これにより、基板情報および位置情報に基づいて外観検査用画像を随時読み出すことができ、外観検査を随時実施することができる。
【0066】
また、本実施形態1および2においては、良否判定において否判定された検査対象について外観検査を実施するようにしたが、これに限定されず、例えば、良否判定において良判定された検査対象についても外観検査を実施するようにしてもよい。この場合、良否判定において誤判定される恐れのある検査対象、例えば、基板上の実装密度が高く、隣接する他の半田付け部からの反射光の影響を受けやすい半田付け部等について、予め外観検査も実行するようにプログラムを作成しておき、良否判定とともに外観検査を実施するようにしてもよい。
【0067】
なお、参考までに、取得された複数の外観検査用画像にそれぞれ所定の画像処理を施し、それらを合成するようにすることもできる。これにより、半田付け部の立体形状をより容易に認識することができるようになる。
【符号の説明】
【0068】
10;半田付け部検査装置、20;撮像ユニット、21;コントローラ、21a;画像メモリ(VRAM)、22;カメラ、23;X−Yステージ、24;照明手段、24a;下段照明、24b;中段照明、24c;上段照明、30;コンピュータ、31,81,91;CPU、32,82,92;RAM、33,83;ビデオメモリ(VRAM)、33a,83a;撮像イメージ、34,84,94;ハードディスク(HDD)、34a,84a,94a;オペレーティングシステム(OS)、34b;半田付け部検査プログラム、34c,84c;基板データ、35,95;ビデオインターフェイス、36,96;表示部、37,87;入力インターフェイス、38,98;入力部、39,89,99;I/O、50;実装基板、51;チップ部品、52;半田、60;半田付け部検査システム、70;良否判定装置、80;コンピュータ、84b;良否判定プログラム、84d;判定結果データ、84e;外観検査用画像データ、90;外観検査装置、94b;外観検査プログラム、MP1;半田付け部検査プログラム、MP11,MP21;撮像実行部、MP11A,MP21A;照明制御部、MP12,MP22;撮像イメージ取得部、MP13,MP23;判定用データ取得部、MP14,MP24;良否判定部、MP15,MP35;表示制御部、MP2;良否判定プログラム、MP3;外観検査プログラム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査装置であって、
検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を撮像手段により取得する良否判定用画像取得手段と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定手段と、
前記良否判定手段による良否判定結果に応じて、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得手段と、
目視による外観検査を実施するために、前記外観検査用画像取得手段により順次取得された複数の前記外観検査用画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする半田付け部の検査装置。
【請求項2】
前記外観検査用画像取得手段により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶手段により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示する請求項1記載の半田付け部の検査装置。
【請求項3】
基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査方法であって、
検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得工程と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定工程と、
前記良否判定工程による良否判定結果に応じて、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得工程と、
目視による外観検査を実施するために、前記外観検査用画像取得工程により順次取得された複数の前記外観検査用画像を表示する表示工程と、を備えることを特徴とする半田付け部の検査方法。
【請求項4】
前記外観検査用画像取得工程により順次取得された前記画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶工程をさらに備え、
前記表示工程は、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶工程により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示する請求項3記載の半田付け部の検査方法。
【請求項5】
基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査プログラムであって、
検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得機能と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定機能と、
前記良否判定機能による良否判定結果に応じて、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得機能と、
目視による外観検査を実施するために、前記外観検査用画像取得機能により順次取得された複数の前記外観検査用画像を表示する表示機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とする半田付け部の検査プログラム。
【請求項6】
前記外観検査用画像取得機能により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶機能をさらに備え、
前記表示機能は、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶機能により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示する請求項5記載の半田付け部の検査プログラム。
【請求項7】
基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査システムであって、
検査対象となる半田付け部の良否を判定する良否判定装置と、
前記良否判定装置により否判定された前記半田付け部について目視による外観検査を実施する外観検査装置と、を備え、
前記良否判定装置は、
前記半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得手段と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定手段と、
前記良否判定手段により否判定された前記半田付け部について、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得手段と、
前記外観検査用画像取得手段により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶手段と、を備え、
前記外観検査装置は、
目視による外観検査を実施するために、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶手段により記憶された前記外観検査用画像を読み出して順次表示する表示手段を備えることを特徴とする半田付け部の検査システム。
【請求項1】
基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査装置であって、
検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を撮像手段により取得する良否判定用画像取得手段と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定手段と、
前記良否判定手段による良否判定結果に応じて、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得手段と、
目視による外観検査を実施するために、前記外観検査用画像取得手段により順次取得された複数の前記外観検査用画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする半田付け部の検査装置。
【請求項2】
前記外観検査用画像取得手段により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶手段により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示する請求項1記載の半田付け部の検査装置。
【請求項3】
基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査方法であって、
検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得工程と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定工程と、
前記良否判定工程による良否判定結果に応じて、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得工程と、
目視による外観検査を実施するために、前記外観検査用画像取得工程により順次取得された複数の前記外観検査用画像を表示する表示工程と、を備えることを特徴とする半田付け部の検査方法。
【請求項4】
前記外観検査用画像取得工程により順次取得された前記画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶工程をさらに備え、
前記表示工程は、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶工程により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示する請求項3記載の半田付け部の検査方法。
【請求項5】
基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査プログラムであって、
検査対象となる半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得機能と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定機能と、
前記良否判定機能による良否判定結果に応じて、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得機能と、
目視による外観検査を実施するために、前記外観検査用画像取得機能により順次取得された複数の前記外観検査用画像を表示する表示機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とする半田付け部の検査プログラム。
【請求項6】
前記外観検査用画像取得機能により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶機能をさらに備え、
前記表示機能は、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶機能により記憶された前記外観検査用画像を読み出して表示する請求項5記載の半田付け部の検査プログラム。
【請求項7】
基板上の半田付け部を撮影した画像に基づいて当該半田付け部を検査する半田付け部の検査システムであって、
検査対象となる半田付け部の良否を判定する良否判定装置と、
前記良否判定装置により否判定された前記半田付け部について目視による外観検査を実施する外観検査装置と、を備え、
前記良否判定装置は、
前記半田付け部の良否判定用画像を取得する良否判定用画像取得手段と、
前記良否判定用画像に基づいて前記半田付け部の良否を判定する良否判定手段と、
前記良否判定手段により否判定された前記半田付け部について、照明手段により前記半田付け部に複数の異なる方向から照明光を順次照射して前記撮像手段により当該半田付け部の外観検査用画像を順次取得する外観検査用画像取得手段と、
前記外観検査用画像取得手段により順次取得された前記外観検査用画像を、前記半田付け部が形成されている基板情報および前記半田付け部の前記基板上の位置情報と関連付けて記憶する記憶手段と、を備え、
前記外観検査装置は、
目視による外観検査を実施するために、前記基板情報および前記位置情報に基づいて前記記憶手段により記憶された前記外観検査用画像を読み出して順次表示する表示手段を備えることを特徴とする半田付け部の検査システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−149742(P2011−149742A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9473(P2010−9473)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000243881)名古屋電機工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000243881)名古屋電機工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】
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