説明

半透明の日焼け止め化粧ファンデーション組成物

15以上、好ましくは18以上、より好ましくは20以上のSPF値、及び0.5以上、好ましくは1.0以上、より好ましくは2.5以上のΔLT値を有する化粧ファンデーション組成物が提供され、ΔLTが次の式に従って測定される:
ΔLT=ΔL2−ΔL1
式中:
ΔL1=L1110−L115
ΔL2=L2110−L215
1は製品が適用されていない素肌で得たLyの測定値であり、
2は製品が適用されている皮膚で得たLyの測定値であり;及び
yは、鏡面からの特定角度yでの半透明値である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、高い日焼け止め利益を与える半透明の化粧ファンデーション組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧スキンファンデーション及び化粧日焼け止め剤製品は既知であり、長年にわたって存在している。日焼け止め利益を提供する化粧スキンファンデーションを製造することも、かねてから知られている。しかし、こうしたファンデーションの配合者は、特定の明らかに相反する難題−下にある皮膚を目立たなくし、満足のいく日焼け止め利益を提供するファンデーションの能力を増大させる一方で、他方では極めて人工的な外観を皮膚に与えないこと−に直面している。しかし、皮膚の自然な外観を保持することは、下にある皮膚を見えるようにする相対的に半透明の製品を使用することによって達成されるのが最良であることが多く−それは皮膚を目立たなくすることとは明らかに逆である。日焼け止め利益を提供するために金属酸化物の日焼け止め剤を利用する場合、こうした材料の量を減らして半透明の製品を得ることも製品のUVブロック能力を低減することになる。
【0003】
この問題は、年齢とともに皮膚の半透明性が減るため、化粧スキンファンデーションの高齢ユーザーは実際に見掛けの半透明性を増大させるファンデーションを所望することが多いという事実によって複雑化する。現在、皮膚の半透明性の問題に対処する唯一の手法は、被覆範囲を減少させること、すなわち組成物中の金属酸化物顔料濃度を減少させて、適用に際して、実際に目立たなくなる皮膚を少なくなるようにすることである。この手法では、せいぜい、下にある皮膚の固有の半透明性をほぼ維持することができる程度であるが、容易に理解できるように、こうしたファンデーションは、対象とする表面に対して十分な被覆範囲を提供できず、日焼け止め利益も十分に提供できない場合がある。見掛けの半透明性は組成物に光沢のある皮膚軟化剤を添加することによってわずかに増大できることもあるが、こうした増大は消費者の必要性を満たすのには不十分である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、下にある皮膚の被覆範囲を高めるとともに日焼け止め利益を高め、同時に半透明性を維持し、さらには向上させて自然な外観を維持できるファンデーションを提供することによって、先行技術の上述の欠点に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、15以上、好ましくは18以上、より好ましくは20以上のSPF値、及び0.5以上、好ましくは1.0以上、より好ましくは2.5以上のΔLT値を有する化粧ファンデーション組成物を提供し、ここでΔLTは、次の式に従って測定される:
ΔLT=ΔL2−ΔL1
式中:
ΔL1=L1110−L115
ΔL2=L2110−L215
1は製品が適用されていない素肌で得たLyの測定値であり;
2は製品が適用されている皮膚で得たLyの測定値であり;及び
yは、鏡面からの特定角度yでの半透明値である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書の全ての重量、測定値及び濃度は、特に指定のない限り、組成物全体に関して25℃で測定される。
【0007】
特に指示のない限り、本明細書で言及する組成物の割合は全て、組成物全体(すなわち、存在する構成成分全ての和)の重量百分率であり、また全ての比は重量比である。
【0008】
金属酸化物粒子に関連して本明細書で使用する時、ドーピング又はコーティング材料の重量は全て、下にある金属酸化物粒子、すなわちドープされた又はコーティングされた粒子の重量百分率として与えられる。この定義は、さらに、ドーピング又はコーティング材料自体が金属酸化物である場合でも当てはまる。従って、粒子がxグラムの重量があり、及びコーティング又はドーピング材料がyグラムの重量がある場合、コーティング又はドーピング材料の重量百分率はy/x*100である。
【0009】
化粧ファンデーション組成物に関連して本明細書で使用する時、金属酸化物日焼け止め剤粒子の重量百分率は、下にある金属酸化物粒子といずれかのドーピング又はコーティングとを合わせた重量を、化粧ファンデーション組成物全体の重量で割ったものである。故に、粒子がxグラム重量であり、コーティング又はドーピング材料がyグラム重量であり、化粧ファンデーション組成物全体(コーティング又はドーピングされた金属酸化物粒子を含む)がzグラム重量である場合、金属酸化物粒子の重量百分率は(x+y)/z*100である。
【0010】
特に指示のない限り、ポリマーの分子量は全て数平均分子量である。
【0011】
組成物中の架橋オルガノポリシロキサンエラストマーの重量百分率に関する本明細書の参照は、その組成物中の固体のオルガノポリシロキサンエラストマーの重量百分率に関するものである。
【0012】
特に指示のない限り、本文内で参照される全ての文献の内容は、その全てが本明細書に参考として組み込まれる。
【0013】
実際に測定した値の特定の例が提示されている場合を除いて、本明細書で参照する数値は「約」という語により修飾されていると考えるべきである。
【0014】
半透明性は、光を当てられた表面がその光を扱う方向の指標として考えることができる。より詳細には、それは、表面を一定角度、例えば直角から45°にて照らした場合、観測者が異なる角度から表面の同じ部分を観測することによって見られる光度の差とみなすことができる。実験的に、45°における一定の照明下で、最も大きな差は、45°入射光の鏡面反射率バンドから測定される場合(この場合は垂直から測定されない)、表面の同じ部分を15°(彩度バンド(chroma band)と呼ばれることが多い)と110°(背面散乱光)の角度から観測した場合に観測される。これは、図2にて示され、以下でより詳細に議論される。結果として、15°及び110°にて測定された光度の差は、半透明性の尺度として見なすことができ、大きな正の値は、半透明性が大きい表面を示し、小さい正の値、さらには負の値は半透明性が低い表面であることを示す。
【0015】
皮膚、特に若くて健康的な皮膚は比較的高い半透明性を有するが、それは15°及び110°にて測定される光度の差が大きいことを意味する(110°の場合よりも15°での方がより多くの光を吸収する)。この効果はまた、皮膚の組成によって説明でき、その説明によれば光は皮膚に入って、離れることができ、結果として測定角度によって異なる光路長さとなり、これはベール−ランバートの法則(the Beer-Lambert Law)に従う。
【0016】
着手中の問題(消費者の皮膚がファンデーションで覆われた場合の知覚)に戻ると、金属酸化物粒子で皮膚を覆うことで、光が皮膚に入るのが妨げられて、15°及び110°を含む全ての方向にて光散乱が増大するという効果があることは明白である。15°で散乱した光の光路の長さが110°で散乱したものよりも減少するので(実際、110°では、光路の長さがほとんど減少しない)、15°における光度の増大は110°の場合よりも顕著に大きくなり、金属酸化物の被覆範囲が増大するにつれて知覚される半透明性が減少するようになる。本発明者らが直面する難題は、知覚される半透明性を増大させると同時に、金属酸化物粒子による皮膚の被覆範囲を保持し、さらには増大させることであった。
【0017】
現在販売されている化粧ファンデーション組成物の半透明性の測定によれば、試験されたいかなるものも、本発明によって達成される高い日焼け止め利益と組み合わせた0.5以上のΔLTの半透明性を達成できないことがわかった。好ましくは、ΔLT値は、1.0以上、より好ましくは2.5以上、さらにより好ましくは4.0以上である。
【0018】
有利なことには、本発明の化粧ファンデーション組成物の半透明性ΔLT値は30を超えない。
【0019】
ファンデーションで覆われる皮膚の半透明性を増大させる1つの方法は、組成物に架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを包含させることである。理論に束縛されるものではないが、こうしたエラストマー類は、ドライダウンした膜に不透明度の低い島を形成でき、それを通った光は皮膚まで透過できる。架橋オルガノポリシロキサンエラストマー類は本明細書に用いるのに好ましいが、同じ効果をもたらす他の材料を代わりに使用してもよい。
【0020】
架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、化粧ファンデーション組成物の0.01重量%〜15重量%、好ましくは1重量%〜10重量%、より好ましくは2重量%〜5重量%の量で、本発明に従う化粧ファンデーション組成物に存在してもよい。
【0021】
架橋オルガノポリシロキサンエラストマーの出発物質としての機能を果たすことができる硬化性オルガノポリシロキサン組成物の種類には、特に制限はない。これに関連する例は、SiH含有ジオルガノポリシロキサンとケイ素結合ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの付加反応により白金金属触媒下で硬化する付加反応硬化オルガノポリシロキサン組成物;ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンとSiH含有ジオルガノポリシロキサンとの脱水素反応により有機スズ化合物の存在下で硬化する縮合硬化オルガノポリシロキサン組成物;ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと加水分解性オルガノシラン類の縮合反応(この縮合反応は、脱水、アルコール−遊離、オキシム−遊離、アミン−遊離、アミド−遊離、カルボキシル−遊離、及びケトン−遊離反応によって示される)により有機スズ化合物又はチタン酸エステルの存在下で硬化する縮合硬化オルガノポリシロキサン組成物;オルガノペルオキシド触媒の存在下で熱硬化するペルオキシド硬化オルガノポリシロキサン組成物;及びガンマ線、紫外線、又は電子ビームのような高エネルギー放射線により硬化されるオルガノポリシロキサン組成物である。
【0022】
好ましいオルガノポリシロキサンエラストマー類は、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー類である。このようなジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー類は、ダウ・コーニング(Dow Corning)(DC9040、DC9040及びDC9045)、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)(SFE839及びベルベシル(Velvesil)範囲の製品)、信越(Shin Etsu)(KSG−15、16、18[ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマー])、及びグラント・インダストリーズ(Grant Industries)(グランシル(Gransil)(商標)系列の材料)、信越(Shin Etsu)から供給されるラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー類(例えば、KSG−320、KSG−41、KSG−42、KSG−43、及びKSG−44)、及びジメチコン/PEG−10クロスポリマー、例えばKSG−210及び240を包含する様々な供給元から供給されている。極めて好ましいオルガノポリシロキサンエラストマー類は、DC9040、KSG15、KSG−210及びKSG320である。
【0023】
本発明による化粧ファンデーション組成物はさらに、アグロメレーションを防ぐために金属酸化物顔料粒子を湿潤させる作用をもつ分散剤を含んでいてもよい。上述の半透明性のモデルに関して、アグロメレーションは、15°での半透明性を増大させると考えることができ(表面からの光のランダムな散乱が増大するからである)、それによって15°と110°との光度の差が小さくなり、従って知覚される半透明性が減少する。アグロメレーションを減らす又は回避することにより、この作用に対抗する。本発明に従って使用されてもよい分散剤は、以下で定義される部類A、B、及びC、又はそうした材料の混合物から成る群から選択されてもよい:
部類A材料は:
(a)不揮発性であり;及び
(b)25℃で5cm2/s(500センチストークス)以下、好ましくは1cm2/s(100センチストークス)以下、より好ましくは0.5cm2/s(50センチストークス)以下の粘度を有し;及び
(c)3.0〜5.0、好ましくは3.5〜5.0の誘電率を有する。
【0024】
部類Aに属する分散剤の例としては、ジグリセリン若しくはトリグリセリン又はそれらのエステル、あるいは1,2,3,4ブタントリオール又はエリスリトール、ジエリスリトール又はトリエリスリトール(tri erthyritol)の分枝状エステルが挙げられる。これらのエステル類は、少なくとも1つの遊離ヒドロキシル基を有していなければならない。この部類の好ましい分散剤としては、エリスリチル(erythrityl)トリエチルヘキサノエート(ニッシン・オイリオ(Nisshin Oilio)からサラコス(Salacos)E−38として入手可能)、及びポリグリセリル−2トリイソステアレート(ニッシン・オイリオ(Nisshin Oilio)からコスモル(Cosmol)43Vとして入手可能)が挙げられる。
【0025】
本明細書で使用する時、分散剤に関連して使用される場合に「不揮発性」という用語には、次の定義の少なくとも1つを満たす材料が含まれる:(a)その油が25℃及び0.1MPa圧力(1気圧)にて約26.7Pa(0.2mmHg)以下の蒸気圧を示す;(b)その油が0.1MPa(1気圧)で少なくとも約300℃の沸点を有する。
【0026】
粘度は、10.5rad/s(100rpm)の速度及び25℃にてブルックフィールド(Brookfield)RV++スピンドルにて測定される。
【0027】
分散剤の誘電率は、ニュージャージー州プリンストン(Princeton)のサイエンティフィカ(Scientifica)によって製造されるモデル870液体誘電率メーターを用いて20℃で測定した。計測は平衡に達した後に行った(概して、一定値になるまで5分かかった)。
【0028】
部類Bの材料は式R−X−R’(式中、R及びR’はC6〜C10アルキル基であり、Xは酸素原子又はカーボネート基である)に従い、すなわち構造を有する基である;
【0029】
【化1】

【0030】
好ましくは、Xはカーボネート基である。
【0031】
Rは、R’と同一でもよく、又は異なっていてもよい。
【0032】
好ましくは、R及びR’は、独立に直鎖又は分枝鎖C7〜C9である。
【0033】
より好ましくは、R及びR’の両方がC8アルキル基である。
【0034】
さらにより好ましくは、R及びR’の両方が2−エチルヘキシル基であり、Xはカーボネート基である。
【0035】
この部類に入る市販の分散剤としては、テゴソフト(TEGOSOFT)DEC(ゴールドシュミット(Goldschmidt AG)、セチオール(CETIOL)OE(コグニス(Cognis AG))及びセチオール(CETIOL)CCが挙げられる。
【0036】
部類Cは、イソノニルイソノナノエート(セピック(Seppic)からラノール(Lanol)99として入手可能)のみを含む。
【0037】
アグロメレーションを減少又は防ぐために金属酸化物顔料粒子を湿潤させることに加えて、分散剤はさらに、金属酸化物粒子の上に反射性表面層を提供する効果を有することがある。理論に束縛されるものではないが、これらの材料が、適用された化粧ファンデーション組成物が微視的に平滑な表面を有することを確実にできると考えられている。
【0038】
本発明の化粧ファンデーション組成物は、0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.5重量%〜10重量%、より好ましくは1重量%〜8重量%、さらにより好ましくは2重量%〜6重量%の分散剤を含んでいてもよい。
【0039】
本発明の化粧組成物は、金属酸化物粒子を含む。好適な金属酸化物のいずれかが使用されてもよい。好ましくは、金属酸化物粒子は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、酸化クロム、水酸化クロム、酸化ジルコニウム、及び酸化セリウムから成る群から選択される。
【0040】
本発明に従う化粧ファンデーション組成物は、0.1重量%〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%の金属酸化物粒子を含んでいてもよく、この量は、金属酸化物顔料及びまた存在する場合は金属酸化物日焼け止め剤粒子を含む。
【0041】
使用されてもよい金属酸化物顔料としては、アナターゼ顔料、例えばケミラOy(Kemira Oy)(フィンランド)からのX200、及びルチル顔料、例えばISKジャパン(ISK Japan)からのCR50又はPF671が挙げられる。X200は、FA65UMLOとしてコボ・プロダクツ(Kobo Products Inc)からの65%メチコン処理分散液として利用可能である。
【0042】
微細金属酸化物粒子は、不当な化学又は光化学反応を引き起こすことがある、反応性の高い表面を有する。この効果に対抗するために、それらの表面を、シリカのような他の材料、又はアルミナのような金属酸化物の1つ以上でドーピングして、表面の反応性を低減することが知られている。この表面処理は、典型的には金属酸化物粒子の15〜30重量%を表す。有利には、本発明の化粧組成物中に含まれる金属酸化物粒子は、そのようにドーピングされてもよい。
【0043】
有利なことには、金属酸化物粒子は、疎水性のキャリア媒体中における粒子の分散を改善するために疎水性のコーティングが施されてもよい。有利には、金属酸化物粒子は、金属酸化物粒子の2〜25重量%、好ましくは5重量%〜15重量%、より好ましくは7重量%〜12重量%の疎水性コーティングを含む。
【0044】
有利なことには、疎水性コーティングは、1以上の次の材料及びイソプロピルアルコールの混合物を金属酸化物粉末上に適用し、150℃で3時間乾燥することによって行うことができる:反応性オルガノポリシロキサン、ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレンを包含する)、水素添加レシチン及びそれらの塩、N−アシルアミノ酸及びそれらの塩、並びにデキストリン脂肪酸エステル類。好ましくは反応性オルガノポリシロキサンは、オルガノ水素ポリシロキサン、トリオルガノシロキシケイ酸、及びトリアルコキシ基で両方の末端が修飾されているオルガノポリシロキサンを含む。反応性オルガノポリシロキサン類の部類に入る市販の材料には、信越化学社(Shin-Etsu Chemical Company Ltd)により製造されるKF−99、KF−9901、KF−7312F、KF−7312−J、KF−7312K、KF−9001、KF−9002、X−21−5249及びX−21−5250;ダウ・コーニング東レシリコーン社(Dow Corning Toray Silicone Co. Ltd.)により製造されるSH−1107、DC593、BY−11−015、BY−11−018及びBY−11−022;東芝シリコーン社(Toshiba Silicone Co. Ltd.)により製造されるTSF484、TSF483及びTSF4600;日本ユニカー社(Nippon Unicar Co. Ltd.)により製造されるFZ3704及びAZ6200が挙げられる。
【0045】
疎水性コーティングは、前の段落で記載されたものに限定されず、代わりに、当業者に既知の代替的な疎水性コーティングが用いられてもよい。そのようなコーティングには、トリアルコイルイソプロピルチタネート、好ましくはトリイソステアロイルイソプロピルチタネート、及びペルフルオロコーティング、好ましくはポリペルフルオロエトキシメトキシPEG−2ホスフェートを挙げてもよい。
【0046】
既に議論したように、本発明は、オルガノポリシロキサンエラストマーを含む不透明度を減少させた島を使用できる。定義によれば、これらの「島」は、可視光線を出入り可能にして所望の半透明性利益を提供するだけでなく、紫外線も出入り可能にする。しかし、紫外線を皮膚に到達させることは、高い日焼け止め利益に影響する場合があり、それによって製品が達成できるSPF値が減少する。この作用を打ち消すために、規定のSPF向上機構を以下で議論するように使用してもよい。これらのSPF向上機構は、15以上、好ましくは18以上、より好ましくは20以上のSPF値を有する組成物を生じる。SPFは、紅斑に対する日焼け止め剤の光防護について一般に使用される尺度であり、保護された皮膚に最小の紅斑を生じるのに必要な紫外線のエネルギーと、同じ人物の保護されていない皮膚に同じ最小の紅斑を生じるのに必要な紫外線エネルギーとの比として定義される(米国官報、64巻、98号、27666〜27693頁、1999年5月21日参照)。本発明によれば、各SPF向上機構は、単独で使用されてもよく、又は別のSPF向上機構と組み合わせて使用されてもよい。
【0047】
第1のSPF向上機構によれば、不透明度が減少した「島」の周りの膜の日焼け止め特性を増大させるように特定の措置が行われる。その文面では、こうした機構は皮膚に到達する紫外線の量に顕著な作用を及ぼすとは考えられないが、驚くべきことにこの場合は逆である。理論に束縛されるものではないが、エラストマーの「島」はそこに入射した紫外線の相当量を周りの膜に散乱させ、その結果その光がそこで有効にブロックできれば、紫外線が皮膚に到達するのを妨げると考えられている。
【0048】
第1のSPF向上機構の第1の実施形態によれば、本発明の化粧ファンデーションは、1nm〜50nmの第1の数加重平均一次粒径を有する第1の金属酸化物日焼け止め剤粒子、並びに50nm以上200nm以下の第2の数加重平均一次粒径を有する第2の金属酸化物日焼け止め剤粒子を含む。定義されたより小さい及びより大きい金属酸化物日焼け止め剤粒子の両方を存在させることによって、これらの目的−UVB日焼け止め効果(より大きい粒子によって達成される)、UVA日焼け止め効果(より小さい粒子によって達成される)、可視光線の反射増大による皮膚の被覆範囲の改善(これもより大きい粒子による)を同時に達成できる。故に、より大きい粒子は、日焼け止め剤及び顔料として同時に作用し得る。
【0049】
第1及び第2の金属酸化物日焼け止め剤粒子は、日焼け止め効果を与えるいずれかの好適な金属酸化物類を含んでいてもよく、第1及び第2の金属酸化物類のそれぞれは、単一金属の酸化物類又は2以上の金属混合物の酸化物類であってもよい(ただし、数加重平均一次粒径条件には従う)。好ましくは、第1及び第2の金属酸化物粒子は、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子及びこれらの混合物から成る群から選択される。さらにより好ましくは、第1及び第2の金属酸化物粒子は、二酸化チタン粒子を含む。
【0050】
有利なことには、第1の数加重平均一次粒径は5〜40nmであり、第2の数加重平均一次粒径は、50nm以上150nmまでの範囲である。より有利なことには、第1の数加重平均一次粒径は8〜30nmであり、第2の数加重平均一次粒径は50nm以上120nmまで、好ましくは55nm以上で100nmまでである。
【0051】
第1の金属酸化物粒子は、有利なことには、組成物の0.1〜10%、好ましくは0.5〜8%、より好ましくは1〜5%で含まれ、第2の金属酸化物粒子は、有利なことには、組成物の0.1〜10%、好ましくは0.5〜8%、より好ましくは2〜5%で含まれる。
【0052】
有利なことには、本発明に従う組成物は、重量比:
第1の金属酸化物粒子の重量
第2の金属酸化物粒子の重量
が1.0未満であり、0.99〜0.1であるように第1の金属酸化物粒子よりも高い百分率重量の第2の金属酸化物粒子を含む。これは、ある程度下にある皮膚をマスクすることを意図する化粧組成物、例えば化粧スキンファンデーションの場合に特に有利な場合があり;より大きい粒子を多く存在させることにより、これらの目的−UVBの日焼け止め効果、UVA日焼け止め効果及びより高い割合のより大きい粒子による可視光線の増大した反射による皮膚被覆範囲の改善を同時に達成できる。
【0053】
第1の金属酸化物粒子として使用されてもよい市販の材料としては、ケミラOy(Kemira Oy)からのM262、及びイシハラ(Ishihara Corp)からのTTO S−3、TTO S−4、TTO V−3が挙げられる。第2の金属酸化物粒子として使用されてもよい市販の材料としては、イシハラ(Ishihara Corp)からのKQ−1、MPT−140及びMPT141が挙げられる。好ましい実施形態において、約15nmの平均一次粒子を有する三好化成(Miyoshi Kasei)からのSAS−TTO S−3/D5(フィブリルコーティングされたTTO S−3粒子を含む)及び約60nmの一次粒径を有するSAS−KQ1(フィブリルコーティングされたKQ−1粒子を含む)は、それぞれ第1及び第2の金属酸化物粒子として組み合わせてもよい。
【0054】
本明細書で使用する時、用語「一次粒径」は、X線回折により決定される、金属酸化物の結晶の大きさを意味する。これは、一番強いルチル線の広がりを測定することに基づいている。
【0055】
第1のSPF向上機構の第2の実施形態によれば、親水性の(水溶性)有機及び/又は水分散性有機日焼け止め剤が組成物に含まれる。定義では、これらの材料は親油性のシリコーンエラストマーの「島」から膜のその他の部分に移動し、ここで、使用中、それらは、「ドライ−ダウン」(製品中の水が蒸発し、その後に皮膚に適用される期間)で結晶化する傾向がある。このため、いずれかの親水性又は水分散性有機日焼け止め剤が使用されてもよい。好ましい親水性有機日焼け止め剤の非限定例としては、PBSA(2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸)、ベンゾフェノン−4(2−ベンゾイル−5−メトキシ−1−フェノール−4−スルホン酸)及びPABA(パラアミノ安息香酸)が挙げられる。好ましい水分散性有機日焼け止め剤の非限定例は、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(チバ(Ciba)からのチノソーブ(Tinosorb)Mとして50%分散液にて利用可能である)である。本発明による化粧ファンデーション組成物は、0.1〜8%、好ましくは0.5〜6%、より好ましくは1%〜5%の親水性有機日焼け止め剤、水分散性有機日焼け止め剤又はこれらの混合物を含んでいてもよい。
【0056】
第2のSPF向上機構によれば、親油性の有機日焼け止め剤は製品に含まれる。理論に束縛されるものではないが、親油性有機日焼け止め剤は、オルガノポリシロキサンエラストマーの「島」内に可溶性となり得、それによって紫外線が不透明度の減少したそれらの領域を通って皮膚に到達するのを直接ブロックすると考えられる。このため、いずれかの親油性有機日焼け止め剤が使用されてもよく−好適な例は、CTFA国際化粧成分辞書及びハンドブック(CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)、7版、2巻、1672頁、ウェニンガー(Wenninger)及びマックイーウェン(McEwen)編(米国化粧品工業会(The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association, Inc.)、ワシントンD.C.、1997年)に見出すことできる。しかし、非極性の親油性有機日焼け止め剤、例えば2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(オクトクリレンと呼ばれる)、シンナメート類及びそれらの誘導体、例えば2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート及びオクチル−p−メトキシシンナメート及びホモサラート、オクチルサリチレート、オクチルジメチル(octyldiemthyl)パラアミノ安息香酸及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(アビナルAプラス(Uvinul A Plus))を使用するのが好ましい。理論に束縛されるものではないが、極性有機日焼け止め剤は、アグロメレーションを生じる顔料粒子と相互作用する場合がある一方で、列挙された非極性材料はこうした問題を生じない。本発明による化粧ファンデーション組成物は、化粧ファンデーション組成物の1〜20重量%、好ましくは2重量%を超え、15重量%以下、より好ましくは3重量%〜15重量%の親油性の有機日焼け止め剤を含む。親油性有機日焼け止め剤がオクチルメトキシシンナメートである場合、それは化粧ファンデーション組成物の2重量%を超えた量で存在するのが好ましい。
【0057】
有利なことには、本発明の化粧ファンデーション組成物は油を含む。油は、化粧ファンデーション組成物の1重量%〜80重量%の量で存在してもよい。
【0058】
その油は、環状でも線状でもよく、官能化されていてもいなくてもよいシリコーン類;C10〜C30分枝状、線状又は環状アルカン類又はエステル類を包含する有機油類、及びこれらの混合物から成る群から選択されてもよいが、イソノニルイソノナノエートは除く。
【0059】
本発明の化粧ファンデーション組成物に使用されてもよい好ましい環状シリコーン類は、次式に対応する:
【0060】
【化2】

式中、nは約3〜約8である。極めて好ましくは、環状揮発性シリコーン類は、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン及びこれらの混合物から選択される。
【0061】
本発明の化粧ファンデーション組成物に使用されてもよい好ましい線状シリコーン類は、次式に対応する:
(CH33Si−O−〔Si(CH32−O〕m−Si(CH33
式中、mは、約1〜約20、好ましくは3〜12である。
【0062】
線状シリコーン類は一般に、25℃で約5E−5m2/s(50センチストークス)未満、好ましくは5E−6m2/s(5センチストークス)未満の粘度を有し;環状シリコーン類は一般に、25℃で約1E−5m2/s(10センチストークス)未満の粘度を有する。
【0063】
市販の環状シリコーン類の例としては次が挙げられる:ダウ・コーニング(Dow Corning)200、ダウ・コーニング(Dow Corning)244、ダウ・コーニング(Dow Coming)245、ダウ・コーニング(Dow Corning)344、及びダウ・コーニング(Dow Corning)345(ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)から市販);SF−1204及びSF−1202シリコーン流体(G.E.シリコーンズ(G.E.Silicones)から市販)、GE7207及び7158(ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Co.)から市販);並びにSWS−03314(SWSシリコーンズ社(SWS Silicones Corp.)から市販)。
【0064】
有用な線状ジメチコン類の好ましい例としては、DC200 5cst(5E−6m2/s)、DC1630及びDC5−2117が挙げられ、より好ましくは、線状ジメチコンはDC5−2117を含む。
【0065】
本発明の化粧ファンデーション組成物に包含されてもよい好ましい有機油類は、イソヘキサデカン、イソドデカン及びこれらの混合物である。
【0066】
本発明の化粧ファンデーション組成物は、無水物製品又はエマルションとして配合されてもよい。化粧ファンデーション組成物がエマルションとして配合される場合、それらのエマルションは油中水型(シリコーン中水型)エマルション、又は水中油型(水中シリコーン型)エマルションであってもよいが、好ましくはシリコーン中水型エマルションである。
【0067】
有利なことには、本発明の化粧ファンデーション組成物は、0.1〜70%、好ましくは1〜50%、より好ましくは5〜40%の水を含有するシリコーン中水型エマルションとして配合される。
【0068】
本発明の化粧ファンデーション組成物は、エマルションの形態であるかどうかに拘わらず、乳化剤を含んでいてもよい。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、及び両性乳化剤、並びにこれらの混合物から成る群から選択されてもよい。好適な乳化剤は、マカッチャンの洗剤及び乳化剤(McCutcheon's Detergents and Emulsifiers)、北アメリカ版(North American Edition)、317頁〜324頁で開示されている。
【0069】
本発明の化粧ファンデーション組成物がシリコーン中水型エマルションである場合、好ましい乳化剤は、ポリオキシアルキレンコポリマー類(シリコーンポリエーテル類としても既知)、ポリグリセリルコポリマー類及びこれらの混合物から成る群から選択される。ポリオキシアルキレンコポリマー類は、米国特許第4,268,499号に詳細に記載されている。より好ましいポリエーテル類としては、DC5225C又はDC5185としてのシクロペンタシロキサンとのブレンドとして利用可能なPEG/PPG−18/18ジメチコン;信越(Shin-Etsu)からのKF6017又はKF6028として利用可能なPEG9ジメチコンが挙げられる。好ましいポリグリセリル乳化剤は、信越(Shin-Etsu Inc.)からのKF6100及びKF6104として入手可能である。
【0070】
1つの実施形態において、本発明の化粧ファンデーション組成物はポリグリセリルコポリマー乳化剤のみを含み、ポリオキシアルキレン乳化剤は含まないのが好ましい。これは、ポリオキシアルキレン乳化剤が分解してエチレングリコール及びアルデヒド類を放出する可能性があり、これが一部の消費者の皮膚の感受性を増加させる可能性があるからである。
【0071】
乳化剤の総濃度は、配合物の0.01重量%〜約15重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、さらによりに好ましくは組成物の1.0重量%〜約5重量%、さらにより好ましくは約1.0重量%〜約3重量%であってもよい。
【0072】
本発明の化粧ファンデーション組成物は、任意に、1〜50μm、好ましくは5〜20μmの平均粒子直径を有する球状粒子を含有していてもよい。球状粒子に関連して本明細書で使用する時、粒子直径は一次粒子の直径と理解されるべきである。
【0073】
好ましい球状粒子には、メチルシルセスキオキサン樹脂微小球から選択されるポリマー粒子、例えば、トスパール(Tospearl)145A又はトスパール2000の名称でGEシリコーン(GE silicone)により販売されているもの;ポリメチルメタクリレート類の微小球、例えば、ミクロパール(Micropearl)M100の名称でセピック(Seppic)により販売されているもの;架橋ポリジメチルシロキサン類の球状粒子、特に、例えばトレフィル(Trefil)E506C又はトレフィル(Trefil)E505Cの名称でダウ・コーニング東レシリコーン(Dow Corning Toray Silicone)により販売されているもの、ポリアミド、より詳細にはナイロン(Nylon)12の球状(sphericle)粒子、特に、例えばオルガソール(Orgasol)2002D Nat C05の名称でアトケム(Atochem)により販売されているもの、ポリスチレン微小球、例えば、ダイノスフェアズ(Dynospheres)の名称でダイノ・パーティクルズ(Dyno Particles)により販売されているもの;フロビード(FloBead)EA209の名称でコボ(Kobo)により販売されているエチレンアクリレートコポリマー、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。また、有用であることが見出されているものは、コボ社(Kobo Inc.)からのロナスフェア(Ronasphere)LDPである。また、コボ社(Kobo Inc.)により販売されているポリウレタン粒子BPD500が用いられてもよい。
【0074】
存在する場合、球状粒子は、本発明の化粧ファンデーション組成物にて、約0.01%〜約40%、より好ましくは約1%〜約10%、さらにより好ましくは約1%〜約5%の濃度で包含されていてもよい。
【0075】
本発明の化粧ファンデーション組成物はさらに、皮膚コンディショニング剤を含んでいてもよい。これらのコンディショニング剤は、保湿剤、剥離剤又は皮膚軟化剤から選択されてもよく、化粧ファンデーション組成物の約0.01重量%〜30重量%、好ましくは約1重量%〜約20重量%、より好ましくは約1重量%〜10重量%で存在してもよい。
【0076】
本発明の化粧ファンデーション組成物に含まれていてもよい保湿剤としては、多価アルコール類、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシ化グリセリン、プロポキシル化グリセリン及びこれらの混合物が挙げられる。最も好ましくは、保湿剤はグリセリンを含む。
【0077】
さらに親水性のゲル化剤、例えばアクリル酸/エチルアクリレートコポリマー類、カルボキシビニルポリマー類(例えば、B.F.グッドリッチ社(B.F. Goodrich Company)からカルボポール(Carbopol)(商標)として販売されるもの)、ポリアクリルアミド類(セピック(Seppic)からセピゲル(Seppigel)305として入手可能なもの)及びこれらの混合物から成る群から選択されるものが、本発明の化粧ファンデーション組成物に包含されていてもよい。
【0078】
種々の追加的な任意成分が本発明の組成物に組み込まれてもよい。それらの追加的な成分の非限定例には、ペプチド類(例えば、マトリキシル[ペンタペプチド(pentapetide)誘導体])、ファルネソール、ビサボロール、フィタントリオール、尿素、グアニジン(例えば、アミノグアニジン)のような追加のスキンケア活性物質;アスコルビン酸、ビタミンA(例えば、レチニルパルミテート又はレチニルプロプリオネートのようなレチノイド誘導体)、ビタミンE(例えば、酢酸トコフェロール)、ビタミンB3(例えば、ナイアシンアミド)及びビタミンB5(例えば、パンテノール)など、並びにこれらの混合物のようなビタミン類及びその誘導体;抗ニキビ薬剤(レゾルシノール、サリチル酸など);酸化防止剤(例えば、フィトステロール類、リポ酸);フラボノイド類(例えば、イソフラボン類、フィトエストロゲン類);アロエベラ抽出物、アラントインなどのような皮膚鎮静及び回復剤;キレート化剤及び金属イオン封鎖剤;並びに精油類、芳香剤、皮膚感覚剤、乳白剤、芳香族化合物(例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、及びオイゲノール)のような審美的な目的に好適な剤が挙げられる。
【0079】
半透明性の計算方法
以下で定義される方法で行われる半透明性の測定は全て、X−Rite(商標)MA68II分光光度計を用いて行われる。しかし、誤解を避けるために、同じ光源を用いて適切に較正され、同じ入射光線角度及び同じ反射角度(図2にて定義されるように、鏡面から15°及び110°)が使用される限り、好適なマルチアングルスペクトロメーターのいずれをも使用できる。
【0080】
基準の標準化
45°で入射する光線の色を、X−Rite(商標)MA68II分光光度計を用い、ヒトの目の視覚的受容応答に最も近いと考えられるCMC(測色委員会(Colour Measurement Committee))許容誤差法により全ての製品について測定する。CMCの式を用いて(英国標準BS:6923)、許容度楕円(tolerance ellipsoid)は、サンプル間の小さい色差を評価できる色空間において対象について計算される。光源は、10°標準観測者でのD65照明である。この光源は、平均的な日光を示すように意図され、およそ6500Kの相関色温度を有する(ISO10526:1999によって標準として認識されている)。
【0081】
隠蔽率チャート(シーン・インスツルメンツ社(Sheen Instruments Ltd.)によって供給されるチャート参照:301/2A)を示す図1を参照すると、製品は300μmの厚さにて領域(1)に適用され、黒色及び白色の半分ずつが関与する領域(2)にて隠蔽率チャートの中央で計測を行い、図の右側に示される矢印の方向にて行う。
【0082】
試験されるべき製品全てを、シェードの「バフベージュ」−カバーガール(CoverGirl)(商標)ファンデーションパレット内のシェード#111(L*=68.72 a*=11.47 b*=19.49)と比較しなければならない。L*、a*及びb*は3D色空間における座標を指し、ここでL*は色がどの程度明るいか、暗いかを示し、a*は赤から緑の軸上の位置を示し、b*は黄色から青色の軸上の位置を示し、これらの量はこの分野の当業者には既知であり、さらに定義する必要はない。
【0083】
デルタE値を、次の式を用いてこの標準に対して計算する:
【0084】
【数1】

【0085】
試験に組み込むために、製品は標準に対してデルタEが0.5以下でなければならない。しかし、誤解を避けるために、この方法を再現するためにカバーガール(CoverGirl)(商標)ファンデーションを用いる必要はなく、そのデルタE値を達成できるいずれのファンデーションも許容範囲である。
【0086】
所与の製品における半透明性測定方法
反射率及びデルタLは、ヒトの皮膚のインビボ組成全体について、産業界で標準的な反射光及び色の分析装置であるX−Rite(商標)MA68 II、5アングル分光光度計を用いて測定される。図2を参照すると、分光光度計の入射光線(3)は皮膚表面(4)に対して45°であり、それは鏡面反射(5)(また表面に対しては45°及び入射光線に対しては90°)から15°、25°、45°、75°及び110°における反射光を分析する。
【0087】
本明細書で使用する時、Lyは鏡面から特定角度yで測定されたL値である。
【0088】
本明細書で使用する時、基準測定値とも呼ばれるL1は、製品が適用されていない素肌での測定値である。
【0089】
本明細書で使用する時、適用後測定値とも呼ばれるL2は、製品が適用された皮膚での測定値である。
【0090】
インビボデータの固有の変動性を考慮すると、統計学的に正確なデータを得るためには少なくとも15人の被実験者が基準群として必要である。多因子分析を用いれば、本方法を用いて製品間に大きな有意差を示すデータを得ることができる。使用前に、装置と共に供給された白色及び黒色標準を使用して計器を較正する。被実験者は18〜35歳の白人女性である。
【0091】
皮膚は垂直から45°で入射光によって照らされる。光源は、(前述したように)10°の標準観測者におけるD65光源である。皮膚は、相加平均基準線測定値(L1)を得るために製品を用いずに3回計測される。半透明性の基準線測定値(ΔL1)は次のように定義される:
ΔL1=L1110−L115
次いでマーキング(例えばタトゥ)のない前腕の素肌に、3cm×3cm正方形領域(9cm2)にわたって15μlの用量で製品を適用する。指の平らな部分を使って掃引させ、全部で15回掃引して均一な膜状に製品を適用する。3回の掃引毎に、製品の拭取り方向を90°回転する。次いで、製品を5分間皮膚上で乾燥させる。次いで3回の測定値の相加平均(L2)を各被実験者について得る。半透明性の適用後測定値(ΔL2)は次のように定義される:
ΔL2=L2110−L215
基準線測定値ΔL1は、次いで適用後測定値ΔL2から差し引かれ、半透明性における変化(ΔLT)を得る。
ΔLT=ΔL2−ΔL1
【0092】
半透明製品は、正の値のΔLTを有する。本発明の半透明性の高い製品は、3.5以上、好ましくは4.5以上、より好ましくは5.0以上のΔLT値を有する。理解されるように、極めてマットな材料に関して、この数は、これらの材料が反射光の量を実際に減らすので負の場合がある。
【実施例】
【0093】
以下の実施例は、本発明の範囲内の好ましい実施形態を更に説明し、実証する。本発明の範囲から逸脱することなく本発明の多くの変形形態が可能であるため、これらの実施例は単に例示を目的とするものであり、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
【0094】
本発明のリキッドファンデーションを次のように調製する:好適な容器にて、水、グリセリン、EDTA二ナトリウム及びベンジルアルコールを添加し、従来の技術を用いて透明な水相が得られるまで混合する。水相が透明になると、メチルパラベン類が添加され、再び透明になるまで混合される。得られた相は、シルバーソン(Silverson)SL2T又は同様の装置により高速(837.8rad/s(8,000rpm)、標準ヘッド)で混合される。別の容器にて、KSG21、DC245、顔料分散液、その他の油類、分散剤、及びパラベン類を添加し、均質な混合物が形成されるまでシルバーソン(Silverson)SL2Tを高速設定で用いて、その混合物を粉砕する。
【0095】
この工程の後、水相及びシリコーン相が合わされ、シルバーソン(Silverson)SL2Tを高速設定で使用して、水が完全に組み込まれ、エマルションが形成されるまで粉砕される。次に残りのエラストマーを添加し、シルバーソン(Silverson)を高速設定で使用して、混合物を再び混合して、最終生成物を生成する。
【0096】
【表1】

(1) ダウ・コーニング(Dow Corning)から入手可能
(2) 信越(Shin-Etsu)から入手可能
(3) デグサ(Degussa)から入手可能
(4) 三好化成(Miyoshi Kasei)から入手可能
(5) センシエント(Sensient)から入手可能
* これらは、シクロペンタシロキサン(D5)中のスラリーとして添加される。
【0097】
本明細書は本発明を特定して指摘し明確に請求する請求項で完結するが、添付図面と共になされる好ましい実施形態についての次の説明により、本発明がよりよく理解されるであろうと考える。添付図面では、同一の要素は同じ参照番号によって識別される。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】ΔLを計算する方法に関連して以下でより詳細に議論される隠蔽率チャートの図。
【図2】皮膚表面に対して45°の入射光線がその表面からどのように反射するかを示すダイアグラムである。また、このダイアグラムは、ΔLを計算する方法に関連して発明の明細でより詳細に議論される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
15以上、好ましくは18以上、より好ましくは20以上のSPF値、及び0.5以上、好ましくは1.0以上、より好ましくは2.5以上のΔLT値を有する化粧ファンデーション組成物であって、ΔLTが次の式:
ΔLT=ΔL2−ΔL1
[式中:
ΔL1=L1110−L115
ΔL2=L2110−L215
1は製品が適用されていない素肌で得たLyの測定値であり;
2は製品が適用されている皮膚で得たLyの測定値であり;及び
yは、鏡面からの特定角度yでの半透明値である]に従って測定される、化粧ファンデーション組成物。
【請求項2】
前記化粧ファンデーション組成物の0.01重量%〜15重量%、好ましくは1重量%〜10重量%、より好ましくは2重量%〜5重量%の架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを含む、請求項1に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項3】
前記架橋オルガノポリシロキサンエラストマーがジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーを含む、請求項2に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項4】
分散剤をさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項5】
前記分散剤が:
(a)不揮発性であり;及び
(b)25℃で、5cm2/s(500センチストークス)以下、好ましくは1cm2/s(100センチストークス)以下、より好ましくは0.5cm2/s(50センチストークス)以下の粘度を有し;及び
(c)3.0〜5.0、好ましくは3.5〜5.0の誘電率を有する、請求項4に記載の化粧ファンデーション。
【請求項6】
前記分散剤が、式R−X−R’(式中、R及びR’はC6〜C10アルキル基であり、Xはカーボネート基である)に従う、請求項5に記載の化粧ファンデーション。
【請求項7】
R及びR’の両方が2−エチルヘキシル基である、請求項6に記載の化粧ファンデーション。
【請求項8】
前記分散剤がイソノニルイソノナノエートである、請求項5に記載の化粧ファンデーション。
【請求項9】
0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.5重量%〜10重量%、より好ましくは1重量%〜8重量%、さらにより好ましくは2重量%〜6重量%の分散剤を含む、請求項4〜8のいずれか1項に記載の化粧ファンデーション。
【請求項10】
金属酸化物粒子をさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項11】
前記金属酸化物粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄及び酸化セリウムから成る群から選択される、請求項10に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項12】
0.1重量%〜50重量%の金属酸化物粒子を含む、請求項10又は11に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項13】
1nm〜50nm、好ましくは5nm〜40nmの第1の数加重平均一次粒径(number weighted average primary particle size)を有する第1の金属酸化物日焼け止め剤粒子、並びに50nmを超え、及び200nm以下、好ましくは50nmを超え、及び150nm以下の第2の数加重平均一次粒径を有する第2の金属酸化物日焼け止め剤粒子を含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項14】
水溶性及び/又は水分散性日焼け止め剤をさらに含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項15】
前記水溶性有機日焼け止め剤が、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−ベンゾイル−5−メトキシ−1−フェノール−4−スルホン酸、パラアミノ安息香酸及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項14に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項16】
前記水分散性有機日焼け止め剤が、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールである、請求項14又は15に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項17】
前記化粧ファンデーション組成物の1〜20重量%、好ましくは2重量%を超え、15重量%以下の親油性の有機日焼け止め剤をさらに含む、請求項10〜16のいずれか1項に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項18】
前記親油性の有機日焼け止め剤が、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート、ホモサラート及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項17に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項19】
皮膚の半透明性を増大するための及び/又は日焼け止め剤としての、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化粧ファンデーション組成物の使用。
【請求項20】
15以上、好ましくは18以上、より好ましくは20以上のSPF値、及び0.5以上、好ましくは1.0以上、より好ましくは2.5以上のΔLT値を有する化粧ファンデーション組成物であって、前記組成物が下記の(A)〜(C):
(A)前記化粧ファンデーション組成物の0.01重量%〜15重量%の架橋オルガノポリシロキサンエラストマー;
(B)分散剤;
(C)下記の(C1)、(C2)及び(C3)の1以上を含む日焼け止め剤:
(C1)1nm〜50nmの第1の数加重平均一次粒径を有する第1の金属酸化物日焼け止め剤粒子、並びに50nmを超え、及び200nm以下の第2の数加重平均一次粒径を有する第2の金属酸化物日焼け止め剤粒子;
(C2)水溶性及び/又は水分散性有機日焼け止め剤;
(C3)親油性の有機日焼け止め剤;
を含み、
さらに、ΔLTは次の式:
ΔLT=ΔL2−ΔL1
[式中、
ΔL1=L1110−L115
ΔL2=L2110−L215
1は製品が適用されていない素肌で得たLyの測定値であり、
2は製品が適用されている皮膚で得たLyの測定値であり;及び
yは、鏡面からの特定角度yでの半透明値である。]に従って測定される、組成物。
【請求項21】
前記分散剤が:
(a)不揮発性であり;及び
(b)25℃で、5cm2/s(500センチストークス)以下、好ましくは1cm2/s(100センチストークス)以下、より好ましくは0.5cm2/s(50センチストークス)以下の粘度を有し;及び
(c)3.0〜5.0、好ましくは3.5〜5.0の誘電率を有する、請求項20に記載の化粧ファンデーション。
【請求項22】
前記分散剤が、式R−X−R’(式中、R及びR’はC6〜C10アルキル基であり、及びXはカーボネート基である)に従う、請求項20に記載の化粧ファンデーション。
【請求項23】
R及びR’の両方が2−エチルヘキシル基である、請求項22に記載の化粧ファンデーション。
【請求項24】
前記分散剤がイソノニルイソノナノエートである、請求項20に記載の化粧ファンデーション。
【請求項25】
0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.5重量%〜10重量%、より好ましくは1重量%〜8重量%、さらにより好ましくは2重量%〜6重量%の分散剤を含む、請求項20〜24のいずれか1項に記載の化粧ファンデーション。
【請求項26】
前記水溶性有機日焼け止め剤が、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−ベンゾイル−5−メトキシ−1−フェノール−4−スルホン酸、パラアミノ安息香酸及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項20〜25のいずれか1項に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項27】
前記水分散性有機日焼け止め剤が、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールである、請求項20〜26のいずれか1項に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項28】
前記親油性の有機日焼け止め剤が、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート、ホモサラート及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項20〜27のいずれか1項に記載の化粧ファンデーション組成物。
【請求項29】
前記化粧ファンデーション組成物の1〜20重量%、好ましくは2重量%を超え、及び15重量%以下の親油性の有機日焼け止め剤を含む、請求項20〜28のいずれか1項に記載の化粧ファンデーション組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−534688(P2008−534688A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505474(P2008−505474)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/012570
【国際公開番号】WO2006/108003
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】