説明

協調動作する手術台

【課題】多様な位置で患者を支持し医療処置を効果的にする手術台の提供。
【解決手段】手術台10は、ヒンジで互いに取り付けられフレームを形成する第1及び第2の支持部材14,16を利用し、プラットフォームを有している。第1及び第2のコネクタ28、30は、各支持部材を各支柱に保持する。各支柱は、基部と、位置決め機構56,58を有する上方延在構造とにより形成され、各コネクタ及び支持部材を保持する。各位置決め機構は、柱と、第1のアーム60とを利用する。第1のアームの近位部分は、第1の柱に対して軸周りに回転可能である。第2のアーム66は近位部分と遠位部分とを有し、これにより第2のアームの近位部分が第1のアームの遠位部分に対して軸周りに回転可能である。第2のアームの遠位部分は、コネクタを介してフレームに連結する。制御部は、第1及び第2のアームの近位部分の軸回転を決定し、フレームの全体的な構成を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願のクロスリファレンス
本願は、2011年4月7日提出の米国仮特許出願第61/516,853号の利益を主張し、この仮特許出願をまとめて本願に参照し援用する。
【0002】
本発明は、多様な位置で患者を支持し医療処置を効果的にする新規で有益な手術台に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの外科的処置は、検査、画像診断及び外科的診療を可能にするために患者の位置決めを必要とする。例えば、脊椎手術では、患者を腹臥位、背臥位、側臥位の何れかにする必要がある。また、脊椎手術に有益な手術台も、外科医の身長に適合させる高さ調整を必要とする。加えて、トレンデレンブルク体位、逆トレンデレンブルク体位、側方傾斜、及び患者の脊柱の屈曲/伸展がしばしば必要である。さらに、これらの機能を行う総ての手術台は、外科医に視界のアクセスと、CアームあるいはOアームX線透視装置を利用した腰椎、胸椎、及び頸椎領域の画像を含む脊椎画像とを可能にしなければならない。
【0004】
例えば、腹臥位の脊椎手術の処置としては、椎弓切除術と、椎間板切除術と、後方あるいは側方腰椎椎体間固定術と、骨切り術と、椎弓根スクリュー挿入術と、経椎間孔腰椎椎体間固定術(TLIF)と、椎骨形成術と、頚椎椎間板切除術及び固定術と、脊柱側弯症及び他の奇形の矯正術とを含む。
【0005】
背臥位の外科的処置としては、前方腰椎椎体間固定術(ALIF)と、全腰椎椎間板手術と、人工椎間板移植と、頚椎椎間板切除術及び固定術とを含む。また、極度側方腰椎椎体間固定術(XLIF)を行うため側臥位が用いられる。
【0006】
言うまでもなく、上記医療処置に適切な手術台は、非常に用途が広く、耐久性があり、その位置決め性能が正確でなければならない。
【0007】
過去に、メディカルチェア及びサージカルチェア、ベッド、あるいは手術台に関して多くの構造及びシステムが提案されている。例えば、米国特許第6,499,162号はモータ駆動ピストンを用いてフレームを調整する電力駆動ベッドを記載している。
【0008】
米国特許第6,000,076号、第6,971,131号、第7,003,828号、第7,103,931号、及び米国特許出願公開第2008/0127419号は、電力駆動ギヤを用いて独自の方法で家具とテーブルの位置及び外形を調整する制御機構を記載している。
【0009】
米国特許第5,208,928号、第5,468,216号、第5,579,550号、第5,640,730号、第5,774,914号、第5,862,549号、第5,870,784号、第7,055,195号、第7,331,557号、第7,596,820号は、ほぼ直線方向に、モータで起動する主ねじを利用した椅子とテーブルのアクチュエータを教示している。
【0010】
米国特許第5,659,909号は、ラックアンドピニオン機構を利用して頂部及び底部プレートを平行移動する手術台支持部材を開示している。
【0011】
米国特許第4,230,100号は、3つの独自のフレームと、主ねじを利用する直線移動システムとを示すカイロプラクティックテーブルを開示している。
【0012】
米国特許第4,474,364号は、ヒンジ連結部分を有する手術台を記載しており、これは空気あるいは油圧シリンダによって様々な構成で作動する。
【0013】
米国特許第6,634,043号は、ヘッド側及びフット側を有する処置台を開示しており、油圧シリンダを用いて自動的に調整可能である。
【0014】
米国特許第5,444,882号は、油圧シリンダによって独立して動作可能な複数の支持部材を有する手術台を教示している。
【0015】
米国特許第7,152,261号及び第7,739,762号は、ヒンジで連結された複数の回転可能な手術台支持部材を開示しており、テーブルのヘッド側及びフット側に配置された協調駆動システムで動作する。
【0016】
米国特許第7,739,762号は、患者の支持部分が独立したエレベータの二重制御によって動作する手術台を教示している。
【0017】
米国特許第7,565,708号は、ヒンジ連結部分を有する患者位置決め支持を開示しており、ケーブル駆動システムあるいはプルロッドアセンブリで動作する。
【0018】
複数の位置に患者を位置決めし確実で正確な外科的処置を可能にする手術台は、医療分野で著しく進歩するであろう。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、新しく有益な手術台に関する。
【0020】
本発明は、ヒンジで互いに取り付けフレームを形成する第1及び第2の支持部材を利用する。この方法では、第1及び第2の支持部材が上方、下方に角度をつけるか、あるいは平らな配置に位置づけることができる。様々なプラットフォーム及びパッドを第1及び第2の支持部材に配置して手術、画像診断、あるいは健康診断する患者を適切に位置づけることができる。この点で、第1及び第2の支持部材で形成されたフレームは放射線透過性であり、CアームあるいはOアームX線透視装置に対応している。
【0021】
フレームの第1及び第2の支持部材は、一方が手術台ヘッド側にあり、他方がフレームの手術台フット側にある第1及び第2のコネクタによってそれぞれ保持される。また、第1及び第2の支柱が本発明で見つけられ、基部と、基部から延在し基部に接続する柱あるいは上方構造とを具える。第1及び第2の支柱の各々は、柱に連結した位置決め機構と、第1及び第2のコネクタとを具える。
【0022】
第1及び第2の支柱の各位置決め機構は、近位部分と遠位部分とを有する第1のアームを利用する。第1のアームの近位部分は、第1の柱に対して軸周りに回転可能である。また、第2のアームが近位部分と遠位部分とを有している。第2のアームの近位部分は、第1のアームの遠位部分に対して軸周りに回転可能である。各位置決め機構の第2のアームの遠位部分は、それぞれフレームに保持された第1及び第2のコネクタに回転自在に連結される。この方法では、第1及び第2のアームの遠位部分の相対的な動作がフレームの支持部材の配置を決定する。すなわち、ヘッド側とフット側の支柱の位置決め機構を介したフレームは、ヒンジで上方、ヒンジで下方、及び/又は水平配置を想定することができる。さらに、トレンデレンブルク体位あるいは逆トレンデレンブルグ体位をこのフレームによって達成することができる。後者は、フレームの第1及び第2の支持部材を接続するヒンジ機構の高さを変更せずに達成することができる。さらに、フレームは、1以上の支柱に関連する位置決め機構を用いることによって側方傾斜を達成することができる。また、モータ、ウォームギヤ、及びサイクロイド歯車は、第1のアームの遠位部分と第2のアームの近位部分との間の回転運動のそれぞれに関連し、第1及び第2のアームは柱とフレームの支持部材とにそれぞれ回転可能に連結する。側方傾斜がさらに、回転ギヤ機構、モータ駆動、及びモータを介して達成される。
【0023】
最も重要なことは、制御部が本発明で見つけられることであり、支柱に対する第1及び第2のアームの近位部分の協調した回転度合いと、側方傾斜と組み合わせた第1のアームの遠位部分と第2のアームの近位部分との間の回転度合いとを決定し、フレーム上の患者は特定の手術あるいは医療処置に応じて位置決められる。背臥位、腹臥位、あるいは側臥位で患者を位置決めでき、上記位置決め処理の何れかの間に、患者プラットフォームの動作も手術台のフレームの位置に調整されることに注意されたい。
【0024】
特に、アームあるいは側方傾斜機構によって達成された各回転運動は、中央マイクロプロセッサにこの動作の信号を送る1以上のセンサあるいはエンコーダを具える。フレームを位置決めするときに患者プラットフォーム、第1及び第2のアーム、及び手術台の側方傾斜の動作を調整するために適切なソフトウェアあるいはコンピュータプログラムが用いられる。最も重要なことは、空間の特定の場所、地面に対する固定位置にフレームの手術位置を固定しながらヒンジによる回転、トレンデレンブルク体位、及び傾斜を予め決定することができるということである。すなわち、ヘッド側及びフット側の支柱で見つけられる位置決め機構によって有効になった手術台の全動作中にフレーム上のポイントに対する手術ポイントあるいは固定した手術部位が完全に静止したままである。
【0025】
さらに、本発明の手術台の位置決めの制御は、コントロールパネルあるいは外科医あるいは手術を行う外科医の助手によって通常保持されるハンドペンダントなどの手動で操作可能なコマンドアクチュエータによって決定することができる。このアクチュエータにより、医師は1つのボタンを押下することによって上述した配置の何れかで手術台を位置決めすることができる。また、プログラムされた中央マイクロプロセッサは、受信したコマンドと様々な手術台モータとを調整し、ロボットのように所望の手術台位置を達成する。
【0026】
新しく有益な手術台が本書に記載されていることが明らかである。
【0027】
したがって、本発明の目的は、患者を支持するヒンジで連結したフレームを有する患者用手術台を提供し、身体の腰部胸部領域の手術中の屈曲/伸展を可能にすることである。
【0028】
したがって、本発明の別の目的は、身体の腰部、胸部、及び頸部を画像化するCアームとOアームX線透視装置に対応した手術台を提供することである。
【0029】
本発明の別の目的は、腹臥位、仰臥位、あるいは側臥位で手術台に配置された患者の手術を可能にした手術台を提供することである。
【0030】
本発明の別の目的は、腹臥位の患者の腹部脱落を可能にし、頭からつま先まで画像化するX線透視装置の使用を可能にする手術台を提供することである。
【0031】
本発明の更なる目的は、手術台のヘッド側に麻酔科医を配置し患者の目、鼻、及び口を観察するのを可能にする手術台を提供することである。
【0032】
本発明の更なる目的は、ヒンジで連結したフレームを利用して最大限の屈曲あるいは伸展も、手術台のフレームの側方回転もを提供する手術台を提供することである。
【0033】
本発明の別の目的は、手術台の患者のトレンデレンブルク体位あるいは逆トレンデレンブルク体位を利用する手術台を提供することである。
【0034】
本発明の別の目的は、手術台のフレーム位置に対して長手方向に調整可能な患者プラットフォームを配置することができる手術台を提供することである。
【0035】
本発明の更なる目的は、外科医あるいは外科医を補助する人が遠隔操作して1つのボタンを押すことによって手術台の患者の複数の位置決めを行うことができる手術台を提供することである。
【0036】
本発明の別の目的は、頚椎牽引法を提供する手術台を提供することである。
【0037】
本発明の別の目的は、頑丈であり、ハンマー打ち、のこぎり切断、及びドリル加工などの外科的処置中の積荷重及び運用荷重による振動と衝撃に耐えることができる手術台を提供することである。
【0038】
本発明の別の目的は、放射線透過性を有するヒンジ連結フレームの手術台を提供することである。
【0039】
さらに本発明の別の目的は、複数の配置を想定するが、手術台の全動作中に固定した手術部位を維持する手術台を提供することである。
【0040】
本発明は、特に明細書を進むにつれ明らかになる特定の特性及びその特徴に関するので他の目的及び利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の手術台の側立面図である。
【図2】図2は、フレーム部材の複数の位置決めを示す一方、これにより固定した手術部位を維持する本発明の手術台の側立面図である。
【図3】図3は、患者プラットフォームを有し、水平構成のフレームを備えた本発明の手術台の概略側立面図である。
【図4】図4は、角度をつけた上方配置をもたらす第1及び第2の位置決め機構のアームの回転を示した本発明の手術台の概略側立面図である。
【図5】図5は、角度をつけた下方配置をもたらす第1及び第2の位置決め機構のアームの回転を示した本発明の手術台の概略側立面図である。
【図6】図6は、図1のライン6−6に沿って切り取った手術台のヘッド側の側立面図である。
【図7】図7は、図1のライン1−1に沿って切り取った手術台のフット側の側立面図である。
【図8】図8は、典型的な第1及び第2のアーム構造の分解斜視図である。
【図9】図9は、フット側からの手術台の側立面図である。
【図10】図10は、本発明の手術台の機械的要素と、電子制御要素との間の連携を示す概略図である。
【図11】図11は、手動で操作可能なコマンドアクチュエータとして利用したハンドペンダントの平面図である。
【図12】図12は、手術台の構成要素に関連する主制御部のマイクロプロセッサを示すブロック図である。
【図13】図13は、主制御部に関連するソフトウェアウォッチドッグの電気回路図である。
【図14】図14は、主制御部に関連するデータメモリの電気回路図である。
【図15】図15は、モータのRS485送受信部の電気回路図である。
【図16】図16は、ハンドペンダントあるいはコントロールパネルのRS485送受信部の電気回路図である。
【図17】図17は、手術台の構成要素に関連するモータコントローラのブロック図である。
【図18】図18は、モータのブレーキドライバの電気回路図である。
【図19】図19は、モータコントローラ及び関連する構成要素のブロック図である。
【図20】図20は、モータの3相ブリッジの電気回路図である。
【0042】
本発明を十分に理解するため、上記記載した図面とともに考慮すべき本発明の好適な実施形態の以下の詳細な記載について説明する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の様々な態様は、先に記載した図面を参照するその好適な実施形態の以下の詳細な記載から展開する。
【0044】
本発明は、概して図面で参照符号10で示されている。手術台10は、その要素の1つとしてフレーム12を具える。フレーム12は、第1の支持部材14と第2の支持部材16とを具える。第1の支持部材14は、図1及び図9のヒンジ18及び19を介して第2の支持部材16にヒンジで取り付けられている。図6及び図7を参照すると、第1の支持部材14が脚部分20及び22を具えているのを観察することができる。同様に、第2の支持部材16は脚部分24及び26を有している。もちろん、従来の胸部、殿部/大腿部パッド及び他の類似の商品を用いて(図3に示す)特定の配置で患者を保持してもよい。この点、摺動可能な患者プラットフォーム90は、全体を本願に参照して援用する米国特許第7,739,762号に示す患者支持構造及び摺動機構の形態を取っている。言うまでもなく、摺動可能な患者プラットフォーム90はヒンジ18及び19周りの支持部材14及び16のヒンジ回転に応じて動作する。
【0045】
図1に戻ると、第1の支持部材14が第1のプレートあるいはコネクタ28に連結している一方で、第2の支持部材16がプレートあるいはコネクタ30に連結していることが理解できる。一般に、手術台10は図1及び図9のヘッド側32及びフット側34を有している。スペーサあるいは支持バー36は、ヘッド側32とフット側34とに跨り、固定されているように示されているが、支持バーは伸縮自在に構成することができ、格納用に手術台10を折り畳むことができる。何れの場合も、外科的処置中にフレーム12の第1及び第2の支持部材14及び16を位置決めする間、支持バー36は固定位置にある。
【0046】
再び、図1を参照すると、第1の支柱38がヘッド側32で床面あるいは地面40から延在する一方で、第2の支柱42がフット側34で床面40から延在していることに注意されたい。支柱38は、基部46を有する接続された柱44を具え、ロック可能な車輪機構48を介して床面40に支持される。同様に、フット側34の支柱42は、基部52から延在する接続された柱50を有しており、これはさらにロック可能な車輪機構54を具える。
【0047】
第1及び第2の支柱38及び42は、位置決め機構56及び58をそれぞれ具える。例えば、フット側34の位置決め機構58は、近位部分62と遠位部分64とを有する第1のアーム60を有する。第2のアーム66はさらに、近位部分68と遠位部分70とを有する。第1のアーム60の近位部分62は、柱50に対して軸周りに回転可能である。第2のアーム66の近位部分68は、第1のアームの遠位部分64に対して軸周りに回転可能である。第2のアーム66の遠位部分70はサイクロイド歯車76に連結し、これは次いで支持部材16に連結されたコネクタプレート30に連結する。位置決め機構56及び58の各アームは、ウォームギヤボックスと駆動モータとに関連する。例えば、駆動モータ72及びウォームギヤボックス74は、位置決め機構58の第2のアーム66に関連する。また、アーム60の近位側にサイクロイド歯車79を見つけることができる。サイクロイド歯車76及び78は、位置決め機構58に関して図1に示されている。言うまでもなく、図1及び図3〜図7の位置決め機構56はアーム80及び82に関して同様に構成されている。
【0048】
図2に移り、支持部材14及び16によって形成されたフレーム12の僅かに角度をつけた上方位置(実線)から手術台10が上へ移動するの(仮想線)を観察することができる。位置決め機構58に関連する矢印84は、位置決め機構58の第1のアーム60と第2のアーム66とに関連するサイクロイド歯車の相対的な動作を示している。加えて、複数の矢印86は、位置決め機構56の第1のアーム80と第2のアーム82とに対する位置決め機構56のサイクロイド歯車の回転運動を示している。フレーム18の位置及び支持部材14及び16の配置は、このため、位置決め機構56及び58の特定の動作によって決定される。しかしながら、サークル88によって示された固定した手術位置あるいは固定した手術部位は、この動作を通じて同じままである。したがって、外科医は手術台10の位置を変える間に位置を変更する必要がないので、手術台10のこの性能により外科医が患者に手術を行うのが容易になる。
【0049】
ここで図3〜図5に移ると、手術台10が地面40に位置決めされているのを理解することができる。図3は、患者プラットフォーム90が手術台10のヘッド側32の近くに配置された水平位置の手術台10を示している。矢印92は、支持部材14及び16がヒンジで回転する間に、フレーム12に沿った患者プラットフォーム90の典型的な動作を示している。図4は、フレーム12の角度をつけた上方位置を示しており、ここでヒンジ部分18及び19が矢印94に従って上方に移動している。図5は、フレーム12の角度をつけた下方位置を示しており、ここでヒンジ部分18及び19が矢印96に従って移動している。固定した手術部位88は地面40とフレーム12の特定の部分とに対して実質的に空間で固定位置にあることに注意されたい。
【0050】
図6及び図7は、手術台10のヘッド側32とフット側34を示している。フレーム18と支持部材14及び16は、図6及び図7の矢印94及び96に従って側方に回転し、側方に傾斜しているのを理解されたい。
【0051】
ここで図8に関して、位置決め機構58などの典型的な位置決め機構の詳細図が示されている。例示的な位置決め機構58は、(概略的に示す)サイクロイド歯車76,78,及び79を有していることが示されている。サイクロイド歯車76,78,及び79は、日本の東京都のNabtesco社によって製造されたRシリーズで特定された型式とすることができる。キャスト連結アーム60は、サイクロイド歯車79のカバー100を具えており、これは図1及び図2にこれまで記載された柱50に連結される。同様に、サイクロイド歯車78はサイクロイド歯車76に対して回転自在に配置されたアーム66に連結されている。さらに、アーム60及び66はキャスト連結アームから成る。アーム60、サイクロイド歯車78、及びアーム66をまとめて保持する複数の締結具102及び104が図8に示されている。ブラシレスDCモータ106は、サイクロイド歯車78に対するアーム60の回転を起動するために利用されている。ブラシレスモータ106は、ノースカロライナ州マーフィーのムーグ社によって製造されたモデルBN34−35AF−001LHモータの形態を取ることができる。もちろん、アーム60に対するアーム66の回転と、アーム66に対するコネクタプレート30及び支持部材16の回転とに類似するモータを関連づけることができる。すなわち、モータ106で示した型式の6つのモータと、以下で記載したギヤボックス及びエンコーダとが本発明の位置決め機構56及び58の実施形態に関連する。第7のモータは、以下で論じられる手術台12の傾斜機能に関連する。さらに図8を参照すると、ギヤボックス108がモータ106に連結されている。ギヤボックス108は、カリフォルニア州サニーヴェールのR.M.ホフマン社によって製造されたモデル型PIN A−520−2002とすることができる。モータ106のシャフトの位置を検出するアブソリュートエンコーダあるいはセンサ110がさらにギヤボックス108に取り付けられ、これはHDR Pico Bladeとして特定された型式とすることができる。また、モータ106の速度を測定する光学式エンコーダあるいはセンサ112がそこに取り付けられ、これはHDR MTA100として特定された型式とすることができる。
【0052】
図9はさらに手術台10を示し、傾斜駆動モータ114の装備を具えており、これはカリフォルニア州サニーヴェールのR.M.ホフマン社によって製造されたモデル型PIN A−520−2012とすることができる。また、アーム66に対する支持部材16の角回転を動作するヒンジ角度駆動モータ116が分解図で示されている。ヒンジ角度駆動モータ116は、図8に示したアーム60及び66に対して用いた型式とすることができる。
【0053】
図10は、位置決め機構56及び58と、患者プラットフォーム90とに関連する主制御部118の全機能を表している。主制御部118、プラットフォーム90、及びモータコントローラプロセッサ152の回路の中にソフトウェア120がプログラムされていることに注意されたく、明細書としてさらに説明する後者は、アーム60,66,80,及び82と、支持部材14及び16と、患者プラットフォーム90と、手術台10に提供された側方傾斜との動作に関連するモータを起動し続ける。このソフトウェアあるいはコンピュータプログラム120は、付属書類として本願に添付し、参照して本願に援用する。
【0054】
図11に平面図で示すハンドペンダント124は、ボタンオーバーレイ128を有する下部部分126で構成される。ハンドペンダント124のユーザは、単にボタンオーバーレイ128の1つのボタンを押したままにするだけで各ボタンに図示した手術台位置に従って手術台10を配置する。特定のボタンを解放すると、手術台10の動作が停止する。例えば、ボタン130及び132は、手術台10の側方傾斜をもたらす。コントロールパネル122(図示せず)に類似するレイアウトを利用してもよい。ソフトキー134は、言語、手術台10の動作速度、メモリ機能などのパラメータを決定するための設定ボタンとして機能する。ハンドペンダント124の裾広がり部分138の大きなスクリーン136は、手術台10の位置、バッテリ状況などを含むステータス情報を提供する。図8のセンサ110及び112などの位置センサあるいはエンコーダは、位置決め機構56及び58で見つけられるモータのそれぞれに関連しており、患者プラットフォーム90が上記特定した項目の動作のフィードバックとして機能する。
【0055】
主制御部118は、予備のコントロールパネル122あるいはハンドペンダント124などの手動操作可能なコマンドアクチュエータによって有効にされ、後者は外科医あるいは外科医の助手が運ぶことができる。
【0056】
図12〜図20は、主制御部118に関連する回路を示しておりハンドペンダント124のオーバーレイ128に従って手術台10を動かす。図12〜図20に示した回路は、手術台10の回路基板に配置される。図12〜図20に示した様々な構成要素は、従来の電子記号に従ってこの図面で特定される。主制御部140は、ホストマイクロプロセッサとして機能し、ハンドペンダント124あるいはコントロールパネル122からのユーザ入力に従って動作コマンドを作成する。主制御部140はさらに、手術台10に関連する電気系統の電源管理制御として機能する。例えば、主制御部140はバックアップバッテリの充電を開始し、交流電源が無くなったときにバッテリ電源に切り替える。主制御部はさらに、図12〜図20に示した電子機器システムの通信ハブとして機能する。図12に示すように、これらの機能はブロック図の形式で示されている。さらに図12に示すように、図12〜図20に示す構成要素の回路の一般的な基準電圧はDC3.3ボルトである。この電圧は、従来の電圧レギュレータと変圧器とによって主制御部140に供給される。図13は、ソフトウェア120が機能を停止した場合にウォッチドックとして機能するソフトウェアスーパーバイザ142を示している。同様に、ソフトウェア120のクラッシュが発生した場合、ソフトウェアスーパーバイザ142が主制御部140に関連するシステムをリセットする。データメモリ144はルックアップテーブルを含み、図14の他のストレージはソフトウェア120を必要とする。
【0057】
図15及び図16の送受信部は、基準電圧を標準的な通信バスを構成するRS−485信号に変換する。送受信部146は、手術台10のヘッド側32と手術台10のフット側34でそれぞれ見つけられるヘッドモータ及びフットモータのI/O146及び148に関連する。主制御部140はさらに、図12のモータドライバ150に電力を向け、これはさらに図17〜図20に示されている。
【0058】
ここで図17を参照すると、モータコントローラプロセッサのモータドライバ150は、図8のDCモータ106などの各1つのブラシレスDCモータを起動する。モータドライバ150は、主制御部140からコマンドを受信するモータコントローラプロセッサ152を具える。モータコントローラプロセッサ152はさらに、図8に示す速度光学センサ112とアブソリュートセンサあるいはエンコーダ110などの各モータに関連する各センサからセンサ情報を受信する。また、図13のスーパーバイザ142に類似するウォッチドックスーパーバイザ154は、マイクロプロセッサ140の動作を監視し、ソフトウェアクラッシュが発生した場合に主制御部118のシステムをリセットする。ブレーキドライバ156とモータフォルト入力158とがさらに、モータコントローラプロセッサ152に供給される。ブレーキドライバ156はさらに図18に詳述されている。ブレーキドライバ156は、モータコントローラプロセッサ152の入力を受信し、これはトランジスタ160に進む。制動信号は、アンプ162を介してモータコントローラプロセッサ152に進む。このようなブレーキングは一般に、ボタンの解放がハンドペンダント124で発生したときに発生する。モータコントローラプロセッサ152はさらに、図19のモータコントローラ164と通信する。モータコントローラ164への典型的な入力は、方向制御(時計回り及び反時計回り)、PWM速度制御、及び実行/停止制御などを含む。モータコントローラは、モータ106などのモータに関連し、さらにモータ電流検出部を介してフィードバックを受信する。
【0059】
図20を参照すると、同じ構成の6つの電界効果トランジスタQ1−Q6を利用するブリッジを用いることによってモータコントローラ164が例示的なモータ106を制御するのは明らかである。抵抗器166は、電流検出抵抗器を具え、これはモータコントローラ164に送られる。このように、モータ106などのモータに関連するモータコントローラプロセッサ152及びモータコントローラ164は、各モータの実行/停止制御、速度及び方向を操作する。各モータは、従来の電源管理システムによって再び提供される24ボルトで実行することに注意されたい。マイクロプロセッサ152及び各モータ106のモータコントローラ164は、各モータのシャフトの位置と、各モータの速度とそれぞれ示すエンコーダあるいはセンサ110あるいは112を利用することにさらに理解されたい。
【0060】
動作中、手術台のユーザは通常、フレーム12に対して摺動自在に移動可能なプラットフォーム90に患者を配置する。ハンドペンダント124を用いると、ボタンオーバーレイ128で見つけられるボタンの1つを単に押したままにすることによって患者の特定の位置が決定される。ボタンの解放がこの位置を固定するので、医師はプラットフォーム90で見つけられる患者に手術をすることができる。本願の付属書類として見つけられるコンピュータプログラムあるいはソフトウェア120は、適切な方法で手術台10のフット側とヘッド側の位置決め機構56及び58の動作を調整する。また、プラットフォーム90の位置も同様に、前述した調整方法で制御される。最も重要なことは、主制御部118を介してハンドペンダント124のユーザが送信した様々な動作中に手術台10に対して固定した手術部位88を維持することができるということである。このシステムにより、手術台10は図2〜図7に部分的に示されたペンダント124で見つけられる位置の何れかを達成することができる。
【0061】
前述の本発明の実施形態は、本発明の完全な開示のためにかなり詳細に説明しているが、本発明の趣旨及び本質から逸脱することなく多くの変更を詳細に行うことができることが当業者に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に配置された患者用の手術台装置であって、
a.第1の支持部材と、
b.前記第1の支持部材にヒンジで取り付けられ前記患者を方向づけるフレームを形成する第2の支持部材と、
c.前記第1の支持部材に連結する第1のコネクタと、
d.前記第2の支持部材に連結する第2のコネクタと、
e.第1の支柱であって、基部と、当該基部から延在し当該基部に連結する第1の柱とを具える第1の支柱と、
f.第2の支柱であって、基部と、当該基部から延在し当該基部に連結する第2の柱とを具える第2の支柱において、前記第2の柱が前記第2のコネクタに連結される、第2の支柱と、
g.前記第1のコネクタに連結された1の位置決め機構において、近位部分と遠位部分とを有する第1のアームであって、当該第1のアームの近位部分が前記第1の柱に対して軸周りに回転可能である第1のアームと、第2のアームであって、当該第2のアームが近位部分と遠位部分とを有し、前記第2のアームの近位部分が前記第1のアームの遠位部分に連結し当該遠位部分に対して軸周りに回転可能であり、前記第2のアームの遠位部分が前記第1のコネクタに回転自在に取り付けられた第2のアームとを具える位置決め機構と、
h.制御部であって、前記1の位置決め機構の第1及び第2のアームの近位部分の回転度合いを発信し前記第1の支持部材の回転動作を発動する制御部とを具えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記第2の柱に連結された別の位置決め機構を具え、当該別の位置決め機構がさらに、近位部分と遠位部分とを有する第1のアームであって、前記第1のアームの近位部分が第1の柱に対して軸周りに回転可能である第1のアームと、前記第2のアームの近位部分が前記第1のアームの遠位部分に連結し当該遠位部分に対して軸周りに回転可能であり、前記第2のアームの遠位部分が前記第2のコネクタに回転自在に取り付けられた第2のアームとを具え、前記制御部がさらに、前記別の位置決め機構の第1及び第2のアームの近位部分の回転度合いを発信し前記第2の支持部材の回転動作を発動することを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記制御部がさらに、地面に対する固定位置を取得し、前記固定位置と、選択的に前記第1及び第2の支持部材の動作中に選択的に第1及び第2の支持部材のポイントとの間の距離を実質的に維持することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置がさらに、前記第1の柱に対する前記1の位置決め機構の第1のアームの回転を駆動する第1のモータと、前記1の位置決め機構の第1のアームに対する前記1の位置決め機構の第2のアームの回転を駆動する第2のモータとを具えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置がさらに、前記第2の柱に対する前記別の位置決め機構の第1のアームの回転を駆動する第3のモータと、前記別の位置決め機構の第1のアームに対する前記別の位置決め機構の第2のアームの回転を駆動する第4のモータとを具えることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項2に記載の装置がさらに、患者プラットフォームを具え、前記患者プラットフォームが前記第1及び第2の支持部材の回転動作中に前記フレームに対して摺動可能であることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項4に記載の装置がさらに、前記第1及び第2のモータの回転角を決定する1のセンサを具え、当該1のセンサによる前記第1及び第2のモータの回転角の決定が前記制御部に伝達されることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置がさらに、前記第1及び第2のモータの回転速度を決定する別のセンサを具え、当該別のセンサによる前記第1及び第2のモータの回転速度の決定が前記制御部に伝達されることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、前記制御部がさらに、前記1の位置決め機構の第1及び第2のアームの回転度合いを表す信号を生成する手動操作可能なコマンドアクチュエータを具えることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、前記制御部がさらに、コンピュータプログラムによって有効になるマイクロプロセッサを具え、前記1の位置決め機構の第1及び第2のアームの近位部分の回転度合いを発動することを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、前記制御部がさらに、前記1の位置決め機構の第1及び第2のアームの回転度合いを表す信号を生成する手動操作可能なコマンドアクチュエータを具えることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項10に記載の装置において、前記制御部がさらに、地面に対する固定位置を取得し、前記固定位置と、選択的に前記第1及び第2の支持部材の動作中に選択的に第1及び第2の支持部材のポイントとの間の距離を実質的に維持することを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項10に記載の装置がさらに、患者プラットフォームを具え、当該患者プラットフォームが前記第1及び第2の支持部材の回転動作中に前記フレームに対して摺動可能であることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項2に記載の装置において、前記制御部がさらにコンピュータプログラムによって有効になるマイクロプロセッサを具え、前記1及び別の位置決め機構の第1及び第2のアームの近位部分の回転度合いを発信することを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置において、前記制御部がさらに、前記1及び別の位置決め機構の第1及び第2のアームの所望の回転度合いを表す信号を生成する手動操作可能なコマンドアクチュエータを具えることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、前記制御部がさらに、地面に対する固定位置を取得し、前記固定位置と、選択的に前記第1及び第2の支持部材の動作中に選択的に第1及び第2の支持部材のポイントとの間の距離を維持することを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置がさらに、患者プラットフォームを具え、当該患者プラットフォームが前記第1又は第2の支持部材の回転動作中に前記フレームに対して摺動可能であることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置がさらに、前記フレームの側方傾斜を有効にする機構を具えることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−228509(P2012−228509A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−88135(P2012−88135)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【出願人】(512092265)
【氏名又は名称原語表記】Mark Diel
【出願人】(512092276)
【氏名又は名称原語表記】Charles Ladd
【出願人】(512092287)
【氏名又は名称原語表記】Steve Lamb
【Fターム(参考)】