説明

単体型モータ/発電機二重機能装置

二重機能モータ/発電機は、再充電可能電池と、モード切換え装置と、二重機能ロータ/ステータ構造と、少なくとも2つの伝動装置と、モータ又は発電機の何れのモードが選択されるのかに応じて2つの伝動装置から1つを選択するクラッチ装置とを包含する。二重機能モータ/発電機がモータとして使用されるときには、出力が、モード切換えスイッチによって制御される再充電可能電池からロータ/ステータ構造及び1つの伝動装置を介して被駆動負荷に対して供給され、発電機として使用されるときには、電池が負荷に対して外力を加えることにモータモードよって再充電され、その負荷が、他方の伝動装置を駆動して、モータモードにおけるロータの回転方向とは反対の方向にロータを回転させ、結果として、電池を再充電させるべくロータ/ステータ構造内に電流を誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重機能モータ/発電機装置に係り、より詳細には、モータ及び発電機として使用することが可能な二重機能を有する単体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン又はモータは、電気を供給する補助出力システムを使用して装置を駆動する。そのようなエンジン及びモータによって達成される負荷の駆動は、通常、個々の発電機手段及び駆動装置を必要とする。したがって、それは、相当な空間が必要となり、高いコストが掛かるものでもある。更になお、それは、産業上の利用可能性に欠けている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の問題を解決するため、1つの補助電機子とその表面の1つの補助巻線とを備え、切替え装置をも付随させたモータが、発電機機能をモータに追加すべく開発され製造されてきた。しかしながら、モータと発電機の回路の間における接続の変更が電気的問題を引き起こし、1つの補助電機子とその表面の1つの巻線とを備えたモータの製造は、複雑なものであり、製造に欠陥が生じ易く、製造コストを増大させる。結果として、モータ及び発電機の両方に使用することが可能である二重機能を有する単体装置を開発することが望まれてきた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明の1つの目的は、上述の何れの課題をも解決して、モータ及び発電機として使用することが可能である二重機能を有する単体装置を設けることにある。本発明は、再充電可能電池と、切換え手段と、二重機能モータ/発電機手段と、少なくとも2つの伝動装置と、前記伝動装置と交互に噛合う前進/後退クラッチ手段とからなる単体型の構成要素共有型モータ/発電機二重機能装置を提供する。二重機能モータ/発電機手段がモータとして使用されるとき、出力が、切換え手段の制御下において前進/後退クラッチ手段によって選択される第1伝動装置を介して再充電可能電池からステータ又はロータ及び被駆動負荷に対して供給され、また発電機として使用されるときには、被駆動負荷に対して外力を加えることによって電池が再充電され、そしてその負荷が、第2伝動装置を駆動して、モータとして作動されるときの第1回転方向とは反対の方向にロータを回転させ、電池を再充電させるべくステータ及びロータの間における電磁結合を介して起電力を誘導する。
【0005】
本発明のもう1つの目的は、再充電可能電池と、切換え手段と、ロータ及びステータを包含する二重機能モータ/発電機手段と、ロータ回転方向選択手段とを含み、ステータが永久磁石材料によって形成され、ロータがコイル巻線を有するようにした、単体型モータ/発電機二重機能装置を設けることにある。
【0006】
更に、本発明のもう1つの目的は、ステータがコイル巻線により巻回される透磁性材料によって形成され、ロータが永久磁石材料によって形成されるようにした、上述の形式の単体型モータ/発電機二重機能装置を設けることにある。
【0007】
本発明のもう1つの特徴に拠れば、ステータ及びロータが両者共にコイル巻線を巻回される透磁性材料によって形成され、当該装置が、少なくとも1つの起動スイッチと、フィードバック・スイッチと、整流器とを更に含むようにした、単体型モータ/発電機二重機能装置が設けられる。それらの2つのスイッチは、当該装置が発電機として使用されるとき、初めは同時に閉じられる。再充電可能電池は、起動スイッチを介してロータの巻線に電位を与え、その誘導電位が、更に、ステータ/ロータ構造の磁場に対しても貢献する。ロータがステータに相対して所定の方向に運動すると、磁場によって誘導される起電力の第1部分は、整流器及びフィードバック・スイッチを介してロータのコイル巻線にフィードバックされる。結果として、起動スイッチが開かれて起電力の主要部分は上述の切換え手段を介して電池を充電するために使用されるが、起電力の第1部分はロータの巻線に対してフィードバックされ続ける。起動スイッチは、起動の後、被駆動負荷に加えられる外力が停止するまでは、開かれたままになる。
【0008】
本発明の更なる1つの特徴に拠れば、差動装置、トルク・コンバータ、及び/又は、トルク、速度、方向又はその他の必要な機能の変更を可能にする補助伝動装置をも更に包含するようにした、上述の形式の単体型モータ/発電機二重機能装置が設けられる。
【0009】
更になお、本発明のもう1つの特徴に拠れば、回転方向選択手段が切換え手段と連動するか或いはそれから独立して制御されることが可能とされた、上述の形式の単体型モータ/発電機二重機能装置が設けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のその他の目的、特徴及び利点は、後述の詳細な説明から当業者において明白になるであろう。
【0011】
図1は、本発明の第1実施例における単体型モータ/発電機二重機能装置の概略図である。図2は、本発明の第2実施例における単体型モータ/発電機二重機能装置の概略図である。図3は、本発明の第3実施例における単体型モータ/発電機二重機能装置の概略図である。
【実施例1】
【0012】
図1に示された単体型モータ/発電機二重機能装置は、二重機能モータ/発電機装置1と、モータモードと発電機モードの間を切換える切換え手段2と、再充電可能電池3と、第1伝動装置4Aと、第2伝動装置4Bと、差動装置すなわち第3伝動装置4Cと、前進/後退クラッチ手段5とを包含する。二重機能モータ/発電機装置1は、永久磁石によって形成されるステータ11と、コイル巻線を巻回されるロータ12と、ブラシ13と、整流子14とを有する。ロータ12のシャフト15の両端は、第1伝動装置4A及び第2伝動装置4Bのそれぞれを介して差動装置4Cと接続する。差動装置4Cは、ホイールのような負荷6と接続する。
【0013】
切換え手段2は、スイッチを包含するものであり、好ましくは、連動制御装置(図示略)を介して前進/後退クラッチ手段5を制御する。すなわち、前進/後退クラッチ手段5は、切換え手段2がモータ駆動位置Bに位置するときに第2伝動装置4Bが連動制御装置を介して噛合うようにして、第1位置に変更される。前進/後退クラッチ手段5は、切換え手段2が発電機位置Aに位置し、かつそれと同時に被駆動負荷6が回転するときに伝動装置4Aが連動制御装置を介して噛合うようにして、第2位置に変更される。あるいは、切換え手段2及び前進/後退クラッチ手段5は、個々に操作されることも可能である。
【0014】
整流器3A及び電圧/電流調整器3Bは、再充電可能電池3の前に設置することが可能である。二重機能モータ/発電機装置1は、速度調整器7のような駆動制御装置に接続され、シャフト15の速度を制御する。速度調整器7は、起動及び停止の制御、トルク調節、位相制御、電圧及び電流の制御などを含めたモータの駆動及び制御に必要なすべての機能を提供し得るものであるとよい。
【0015】
切換え手段2がモータモードを選択するモータ駆動位置Bに位置するとき、再充電可能電池3は、速度調整器7、接続ワイヤW、ブラシ13、及び整流子14を介して二重機能モータ/発電機装置1のロータ12のコイル巻線に出力を供給し、永久磁石11の磁場との電磁結合の故にロータ12を時計回り方向のような所定の第1方向に回転させる起電力を印加する。この段階では、フレミングの左手の法則に従って、二重機能モータ/発電機装置1は、モータとして使用され、シャフト15によって伝動装置4Bを駆動し、その結果、差動装置4Cを介して被駆動負荷6をも駆動する。更に、差動装置4Cは、トルク、速度、方向又はその他の必要な機能を制御する機能を有しても良い。
【0016】
切換え手段2が発電機モードを選択する発電機位置Aに位置するとき、前進/後退クラッチ手段5は、それと同時に連動又はその他の操作によってもう1つの位置に変更される。被駆動負荷6は外力が加わると回転し、伝動装置4Aがシャフト15と噛合う。その結果、ロータ12は位置Bの方向とは反対の第2方向に回転し、起電力が永久磁石11の磁場とロータ12のコイル巻線内に誘導される磁場との間の連結によって生成される。この段階では、フレミングの左手の法則に従って、二重機能モータ/発電機装置1は発電機として使用される。結果として生じる起電力は、整流子14及びブラシ13を介して連結され、ブラシ13を介する電圧出力が、接続ワイヤW及び位置Aにおける切換え手段2に対して供給され、続いて、整流器3Aに対しても直接供給される。更に、電圧は、電圧/電流調整器3Bを介して安定した固有の電圧/電流に調節され、その後、再充電可能電池3を再充電させるべく印加される。
【0017】
図2において示された図面は、本発明における第2実施例の説明図である。要素に関する同じ符号は、図1において示されたものと同じ意味を有する。この実施例では、ステータが磁気透過性材料11Bに被せて巻回されるコイル巻線11Aを包含し、ロータが永久磁石によって形成され、コイル巻線11Aが整流子及びブラシを欠いてワイヤWに対して直接に接続されることを除けば、すべての要素が同じである。
【0018】
切換え手段2がモータ駆動位置Bに位置するとき、再充電可能電池3は、速度調整器7を介してステータのコイル巻線11Aに電力を供給して、磁場を生成し、その磁場が、ロータ12の永久磁石の磁場と連結し、それによって、伝動装置4Bを駆動させるべくロータを回転させる。結果として、被駆動負荷6が、差動装置4Cを介して回転する。
【0019】
切換え手段2が発電機位置Aに位置するとき、前進/後退クラッチ手段5は第2位置に変更される。その後、負荷6が外力を加えることによって回転されるとき、ロータ12は、実施例1の場合と同じ様式において、伝動装置4Aの回転によってモータ駆動方向とは反対の第2方向に回転し、永久磁石11Aの磁場をコイル巻線の磁場と連結させることによって誘導される起電力を生成する。結果として、その起電力が、再充電可能電池3を再充電させる。
【0020】
図3において示された図面は、本発明における第3実施例であり、ステータの構造は実施例2のものと同じであり、ロータは磁気透過性材料12Cに被せて位置するコイル巻線12Bで巻回される。更に、この実施例は整流器8及び起動スイッチ9をも包含する。ステータのコイル巻線11Bは、第1ワイヤWR1を介して整流器8の入力と接続する。整流器8の出力は、第2ワイヤWR2を介して起動スイッチ9と接続する。起動スイッチ9は起動スイッチSW1とフィードバック・スイッチSW2とによって構成され、それらのスイッチが起動電力線WSを介してブラシ13と接続する。
【0021】
モータとして使用されるとき、上述の実施例の場合と同じ様式において、再充電可能電池3は速度調整器7を介してステータのコイル巻線11Aに電力を供給して磁場を生成し、その磁場がロータ12のコイル巻線及び磁気透過性材料の中に誘導される磁場と連結する。その結果、ロータは伝動装置4Bを駆動させるべく所定の第1方向に回転する。
【0022】
しかしながら、モータ/発電機装置が発電機として使用されるとき、切換え手段2は、位置Aに設定され、それと同時に、初めはスイッチSW1及びSW2を閉じるる。再充電可能電池3は、起動電力線WS、ブラシ13及び整流器14を介してロータのコイル巻線12Bに電圧を供給し、その結果、磁場を生成する。したがって、ロータは、第1方向とは反対の所定の第2方向に回転し、ステータの中に磁場を誘導する。結果として生じるステータ及びロータの磁場の連結は、ステータの巻線11Aの中に起電力を生成させる。結果として生じる起電力の一部が、第1ワイヤWR1を介して整流器8に伝えられ、第2ワイヤWR2、スイッチSW2及び起動ワイヤWSを介してロータ12Bにフィードバックされるので、電力は連続して生成される。この段階において、起動スイッチSW1は、開いても良い。その一方で、フィードバック・スイッチは閉じた状態のままロータに電力を供給し続け、出力の主要部分は被駆動負荷6に加わる外力が停止されるまで切換え手段2を介して電池に供給され、その後起動スイッチSW1は、再スタートの間に再び閉じられる。
【0023】
上述の実施例の説明に拠れば、本発明に従った技術的なコンセプトは、モータは一方の方向に回転するが発電機は反対方向に回転するという本質的な原理を使用することによって、再充電可能電池と、切換え手段と、伝動装置と、前進/後退クラッチ手段と、被駆動負荷とを含む単体型モータ/発電機二重機能装置を設けることにある。
【0024】
しかしながら、詳細な説明及び特殊な具体例は、本発明の好適な実施例を示唆しているが、限定のためではなく説明のために提示されていると理解されるべきである。再充電可能電池3に対して電流インディケータを追加すること、過充電装置、電池などを任意選択的に包含させること、或いは伝動装置、接続手段などに関する任意の改良のような多くの変更及び改良は、本発明の範囲内であり、その意図するところから離れることなくなされ得るのであり、本発明は、そのようなすべての改良を含めるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施例における単体型モータ/発電機二重機能装置の概略図である。
【図2】本発明の第2実施例における単体型モータ/発電機二重機能装置の概略図である。
【図3】本発明の第3実施例における単体型モータ/発電機二重機能装置の概略図である。
【符号の説明】
【0026】
1 二重機能モータ/発電機手段
2 切換え手段
3 再充電可能電池
4A,4B,4C 伝動装置
5 前進/後退クラッチ手段(回転方向選択装置)
6 被駆動負荷
7 速度調整器
8 整流器
9 起動スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再充電可能電池と、モータモードと発電機モードの間を切換える切換え手段と、ロータ及びステータを包含するロータ及びステータ構造と、少なくとも2つの伝動装置と、前記モードの選択されたものに応じて前記2つの伝動装置の1つを選択する前進/後退クラッチ手段とを含む単体型モータ/発電機二重機能装置であって、
前記切換え手段が第1位置に位置するときには、前記ロータ及びステータ構造はモータとして使用され、出力が前記ロータ及びステータ構造と1つの伝動装置とを介して前記再充電可能電池から被駆動負荷に供給され、
前記切換え手段が第2位置に位置するときには、前記ロータ及びステータ構造は発電機として使用され、そのとき電池は前記負荷に対して外力を加えることによって前記2つの伝動装置の他方を選択して再充電され、その負荷が当該伝動装置を駆動してロータを回転させかつ電池を再充電させる起電力を誘導することを特徴とする、
前記単体型モータ/発電機二重機能装置。
【請求項2】
前記ステータが永久磁石材料によって形成され、前記ロータがコイル巻線を有することを特徴とする、請求項1に記載の単体型モータ/発電機二重機能装置。
【請求項3】
前記ステータがコイル巻線を巻回される透磁性材料によって形成され、前記ロータが永久磁石材料によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の単体型モータ/発電機二重機能装置。
【請求項4】
前記ステータ及びロータは両者共にコイル巻線を巻回される透磁性材料によって形成され、前記装置は少なくとも1つの起動スイッチとフィードバック・スイッチと整流器とを更に含み、それらの2つのスイッチは当該装置が発電機として使用されて外力が負荷に加わるとき初めは同時に閉じられ、その時前記再充電可能電池は前記起動スイッチを介して前記ロータの巻線に電位を与えて前記ロータを前記ステータに相対して所定の方向に運動させ、前記ステータの巻線の中に誘導される起電力の第1部分は整流器及びフィードバック・スイッチを介して前記ロータのコイル巻線にフィードバックされ、結果として、前記起動スイッチが開かれ、前記起電力の主要部分は前記切換え手段を介して前記電池に供給され、また前記起電力の第1部分は、前記ロータのコイル巻線に対してフィードバックされ続け、前期負荷に加えられる外力が停止するまで誘導による電力を生成することを特徴とする、請求項1に記載の単体型モータ/発電機二重機能装置。
【請求項5】
差動装置、トルク・コンバータ、第3伝動装置、或いは差動装置、トルク・コンバータ又は第3伝動装置の組合せを更に含み、トルク、速度、方向又はその他の必要な機能の変更を提供することを特徴とする、請求項1から4の何れかに記載の単体型モータ/発電機二重機能装置。
【請求項6】
前記前進/後退クラッチ手段が、前記切換え手段と連動することを特徴とする、請求項1に記載の単体型モータ/発電機二重機能装置。
【請求項7】
前記前進/後退クラッチ手段が、前記切換え手段から独立して制御されることを特徴とする、請求項1に記載の単体型モータ/発電機二重機能装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−505234(P2006−505234A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−514202(P2004−514202)
【出願日】平成14年7月19日(2002.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2002/015155
【国際公開番号】WO2003/107510
【国際公開日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【出願人】(504452778)スンイェン カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】