説明

単層および多層グラフェンとその作製方法、単層および多層グラフェンを有する物体あるいは電気機器

【課題】凹凸を有する物体にグラフェンを実質的に均一な厚さで形成する。
【解決手段】酸化グラフェン溶液102中に、物体103を浸漬した後、引き上げ乾燥させる、あるいは、物体と電極104を浸漬し、前記物体を陽極として前記電極間に電圧を加える。酸化グラフェンは負に帯電するので、陽極に引き寄せられ、物体の表面に実質的に均一な厚さで付着する。その後、物体を真空中あるいは還元性雰囲気中で加熱することで、酸化グラフェンを還元し、グラフェンとする。以上により、凹凸のある物体の表面にも実質的に均一な厚さのグラフェンの層を形成できる。例えば、ウィスカ状のシリコン表面にもグラフェンの層を形成でき、リチウムイオン二次電池等の蓄電装置にも利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、sp結合を有する1原子層の炭素分子のシートである単層グラフェンあるいは単層グラフェンが2層乃至100層、好ましくは、2層乃至50層、より好ましくは2層乃至20層積層した多層グラフェンとその作製方法、単層および多層グラフェンを有する電気機器(蓄電装置)に関する。
【0002】
なお、本明細書では、単層グラフェンと多層グラフェンを総称して、単にグラフェン(あるいは、グラフェンの層)という。また、層数を指定したグラフェンを、「何層のグラフェン」という。なお、グラフェンは、ポリアセン(特許文献5参照)をさらに2次元的に広げたものでもある。
【背景技術】
【0003】
グラフェンは高い導電率や移動度という優れた電気特性、柔軟性や高い機械的強度という優れた物理的特性のためにさまざまな製品に応用することが試みられている(特許文献1乃至特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0070146号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0110627号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0131915号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2010/0081057号明細書
【特許文献5】米国特許第4,628,015号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グラフェンの作製方法には、大きく分けて気相成長(CVD)法と塗布法がある。CVD法は、例えば、特許文献1あるいは特許文献2に記載されているように、触媒となる金属を加熱し、そこに炭化水素ガスを通すことで、触媒上にグラフェンを成長させるものである。
【0006】
また、塗布法は、特許文献3に記載されているように、グラファイトを酸化して得られる酸化グラフェンを溶液に分散させ、これを塗布することにより酸化グラフェン膜を形成し、さらに、これを還元して、グラフェンを得るものである。
【0007】
いずれの方法も平坦な表面にグラフェンを得ることは可能である。しかしながら、複雑な曲面上や凹凸のある物体上にグラフェンを形成することは困難である。本発明は、そのような複雑な曲面上や凹凸のある物体上に形成されたグラフェンを提供することを課題の一とする。また、そのような複雑な曲面上や凹凸のある物体上にグラフェンを形成する方法を提供することを課題の一とする。また、複雑な曲面上や凹凸のある物体上に形成されたグラフェンを有する機器を提供することを課題の一とする。
【0008】
また、凹凸のある物体上にグラフェンの層を有する電気機器、特に、容量が高く、充放電にともなう劣化の小さな陰極材料や蓄電装置を提供することを課題とする。また、本発明は、高速の充電あるいは大電力の取り出しに適した陰極材料や蓄電装置を提供することを課題とする。本発明の一態様は、これらの課題の少なくとも一を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、酸化グラフェンを分散させた溶液中に表面に凹凸のある物体を浸漬させる工程と、物体を溶液から引き上げる工程と、物体表面を乾燥させて、その表面に酸化グラフェンの層を形成する工程と、その後、熱処理をおこなうことにより酸化グラフェンを還元せしめ、グラフェンの層を物体の表面に形成する工程とを有するグラフェンの層の形成方法である。
【0010】
また、本発明の一態様は、酸化グラフェンを分散させた溶液中に表面に凹凸のある電気伝導性のある表面を有する物体を浸漬させ、物体を陽極として電気泳動法により物体表面に酸化グラフェンの層を形成する工程と、その後、熱処理をおこなうことにより酸化グラフェンを還元せしめ、グラフェンの層を物体の表面に形成する工程とを有するグラフェンの層の形成方法である。
【0011】
酸化グラフェンは負に帯電するので、グラフェンを形成する物体を陽極とすると、溶液中の酸化グラフェンは物体表面に移動し、酸化グラフェンの層を形成することができる。
【0012】
真空中あるいは還元性雰囲気中等の適切な雰囲気で酸化グラフェンを加熱することで、酸化グラフェンを還元し、グラフェンの層を物体表面に形成できる。なお、グラフェンは純粋な炭素である必要はなく、その純度は用途に応じて決定できる。例えば、炭素と水素以外の元素の濃度を15原子%以下とするとよい。あるいは、炭素以外の元素の濃度を30原子%以下としてもよい。なお、用いる酸化グラフェンの一辺の長さは100μm以下、好ましくは、10μm以下としてもよい。
【0013】
上記においてグラフェンの層の上に、さらに酸化グラフェンの層を形成し、これを還元してグラフェンの層を形成してもよい。
【0014】
また、本発明の一態様は、表面にグラフェンの層を有する凹凸を有する物体である。ここで、物体表面(物体がグラフェンの層と接する面)は導電性を呈してもよい。また、本発明の一態様は、表面がグラフェンの層に覆われたウィスカ状の物体である。
【0015】
また、本発明の一態様は、グラフェンの層に覆われた凹凸を有する物体を有する電気機器である。また、本発明の一態様は、グラフェンの層に覆われたウィスカを有する負極集電体を陰極として有し、前記グラフェンの層は少なくとも1つの空孔を有することを特徴とする蓄電装置である。
【0016】
さらに、上記においてグラフェンの層の上に、グラフェンの層とは異なる材料の層が単層あるいは複数層形成されていてもよい。また、グラフェンの層とは異なる材料の層の上にグラフェンの層を形成してもよい。その際、グラフェンの層とは異なる材料の層は、グラフェンの層が剥離することを防止するような応力緩和する作用を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様では、凹凸がある物体においても、グラフェンは実質的に均一な厚さで形成できる。特に、電気泳動により酸化グラフェンの層を物体表面に形成する場合には、酸化グラフェンの導電率が十分に低いため、酸化グラフェンの層に既に覆われている部分にさらに酸化グラフェンが積層することは少なく、まだ、酸化グラフェンの層に覆われていない部分に酸化グラフェンが優先的に積層するためである。このように酸化グラフェンの積層がおこなわれるため、物体の表面に形成される酸化グラフェンの厚さは実質的に均一な厚さになる。
【0018】
なお、酸化グラフェンは、ある大きさのグラフェンシートの端の一部がカルボキシル基(−COOH)で終端されているため、水等の溶媒中では、カルボキシル基から水素イオンが離脱し、酸化グラフェン自体は負に帯電する。そのため、陽極に引き寄せられ、付着する。
【0019】
また、表面が実質的に均一な厚さのグラフェンの層で覆われた物体は、物体が何らかの要因で膨張しても、グラフェンが十分な柔軟性を有しているため物体が破砕してしまうことを防止できる。
【0020】
本発明の一態様はさまざまな電気機器に応用できる。例えば、リチウムイオン二次電池用の陰極材料としても用いることができる。その際、グラフェンの層は表面の保護だけでなく、活物質としても機能することがある。
【0021】
リチウムイオン二次電池用の陰極材料としては、グラファイト系の陰極材料が広く使用されている。しかし、グラファイト系の陰極材料の単位質量当たりの理論放電容量は、炭素原子6個に対してリチウム原子1個が結合すると仮定するため、372mAh/gしかない。
【0022】
これに対し、グラフェンを陰極材料に用いる提案がなされている(特許文献4参照)。グラフェンは、ポリアセン(特許文献5参照)をさらに2次元的に広げたものである。ポリアセンは、炭素原子2個に対してリチウム原子1個が結合することから、グラファイトの3倍の高い放電容量が得られる。グラフェンも同様に高密度にリチウムを保持でき、高い放電容量が得られる。
【0023】
なお、上記の方法を用いれば、例えば、ウィスカ状の負極集電体あるいは負極活物質上に、グラフェンの層を形成できる。その結果、陰極の表面積は極めて大きくなる。この際には1層乃至50層、好ましくは1層乃至20層のグラフェンを形成できる。このグラフェンには適度に空孔や隙間が存在するため、リチウムイオンが出入りできる。また、このグラフェン内にはリチウムイオンを蓄積することができる。すなわち、陰極材料として使用できる。
【0024】
さらに、このグラフェンの層ではグラフェン間の間隔が、グラファイトにおけるグラフェン間よりも広いため、より高い密度でリチウムイオンを蓄積できる。また、リチウムイオンがグラフェン間に挿入された状態においても体積の増加は限定的であるため、充放電の繰り返しに伴う、活物質の微粉化はおこりにくい。したがって、繰り返しの充放電に耐える陰極材料となる。
【0025】
また、表面積が大きいことはリチウムイオンを急速に出入りさせる上で好適で、急速充電や大電力の取り出しが可能となる。
【0026】
なお、上記の効果は、結晶性の低いグラフェンの層でのみ可能であり、例えば、特許文献2および特許文献3に記載されているようなCVD法によって作製された結晶性の高いグラフェン膜では、空孔が少なく、グラフェン間距離も狭いので十分な効果が得られない。
【0027】
なお、本発明者の観察の結果、例えば、65層、および108層のグラフェンは、基体であるウィスカから剥離しやすいことが認められ、剥離の程度は108層のグラフェンが大きかった。一方、17層、43層のグラフェンでは剥離は認められなかった。
【0028】
すなわち、101層以上のグラフェンは、充放電の際に剥離することがあり、剥離を十分に抑制するには50層以下であることが好ましい。剥離を防止するにはより柔軟なグラフェンを用いるとよい。なお、ウィスカとグラフェンとの密着性が向上している場合にはこの限りではない。
【0029】
より柔軟なグラフェンを得るためには、20層以下のグラフェンの層を用いればよい。また、酸素の濃度のより高いものが好ましく、酸素濃度が5原子%以上15原子%以下であるものを用いるとよい。そのようなグラフェンの層では、グラフェン間の距離が十分に大きいため、リチウムイオンを高密度で蓄積できるので、なお好ましい。なお、グラフェンの層の導電性を重視する場合には、酸素濃度の低いものが望ましく、酸素濃度が1原子%以下であるものを用いるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態1に用いる装置を説明する図である。
【図2】本発明の一態様に関する図である。
【図3】本発明の一態様に関する図である。
【図4】本発明の一態様に関する図である。
【図5】シリコンウィスカとその表面に形成されたグラフェンの層を示す写真である。
【図6】実施例1に関する写真である。
【図7】実施例2に関する図である。
【図8】実施例3に関する写真である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施の形態について説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0032】
(実施の形態1)
本実施の形態では、物体にグラフェンを形成する方法について説明する。酸化グラフェンは、グラファイトを酸化して、酸化グラファイトを作製し、これに超音波振動を加えることで得られる。詳細は特許文献3を参照すればよい。また、市販の酸化グラフェンを利用してもよい。
【0033】
酸化グラフェンを水やN−methylpyrrolidone(NMP)等の溶媒に分散させる。溶媒は極性溶媒であることが好ましい。酸化グラフェンの濃度は1リットル当たり0.1g乃至10gとすればよい。
【0034】
図1に本実施の形態で用いる装置の図を示す。容器101に酸化グラフェンを分散させた溶液102を入れ、そこにグラフェンの層を形成する物体103を入れ、これを陽極とする。また、溶液に陰極となる導電体104を入れ、陽極と陰極の間に適切な電圧(例えば、5V乃至20V)を加える。なお、電圧は一定でなくてもよい。陽極と陰極の間を流れる電荷量を測定することで、物体に付着した酸化グラフェンの層の厚さを見積もることができる。
【0035】
必要な厚さの酸化グラフェンが得られたら、物体を溶液から引き上げ、乾燥させる。さらに、真空中あるいは不活性ガス(窒素あるいは希ガス等)中等の還元性の雰囲気で150℃以上、好ましくは200℃以上の温度で加熱する。加熱する温度が高いほど、また、加熱する時間が長いほど、酸化グラフェンがよく還元され、純度の高い(すなわち、炭素以外の元素の濃度の低い)グラフェンが得られるが、加熱する温度は物体との反応性も考慮して決定されるべきである。なお、酸化グラフェンは150℃で還元されることがわかっている。
【0036】
なお、得られるグラフェンの電子伝導性を高めるためには、高温での処理が好ましい。例えば、加熱温度100℃(1時間)では多層グラフェンの抵抗率は240MΩcm程度であるが、加熱温度200℃(1時間)では4kΩcm程度となり、300℃(1時間)では2.8Ωcm程度(いずれも8試料の平均値)となる。
【0037】
このようにして物体の表面に形成された酸化グラフェンは還元され、グラフェンとなる。その際、隣接するグラフェン同士が結合し、より巨大な網目状あるいはシート状のネットワークを形成する。このようにして形成されたグラフェンは、物体に凹凸があっても、その凹部にも凸部にもほぼ均一な厚さで形成される。
【0038】
(実施の形態2)
本実施の形態では、リチウムイオン二次電池の負極集電体の一表面に形成されたシリコンのウィスカの表面に1層乃至50層のグラフェンを形成する例について説明する。本実施の形態では、浸漬法を用いてグラフェンを形成する。
【0039】
最初に、グラファイトを酸化して、酸化グラファイトを作製し、これに超音波振動を加えることで酸化グラフェンを得、水やNMP等の溶媒に分散させる。
【0040】
この溶液にシリコンウィスカを含むシリコン活物質層を集電体ごと浸漬し、これを引き上げた後、乾燥させる。さらに、真空中あるいは不活性ガス(窒素あるいは希ガス等)中等の還元性の雰囲気で150℃以上、好ましくは200℃以上の温度で加熱する。以上の工程により、シリコン活物質層表面に1層乃至50層のグラフェンを形成することができる。
【0041】
このようにして表面にグラフェンの層を形成したシリコンのウィスカを有する集電体に、さらに同じように処理をおこなってグラフェンの層を重ねて形成してもよい。同じことを3回以上繰り返してもよい。このように多層のグラフェンを形成するとグラフェンの強度が高くなり、グラフェンがウィスカから剥離することを抑制できる。
【0042】
なお、一度に厚いグラフェンの層を形成する場合にはグラフェンの層のsp結合の向きに乱雑さが生じ、グラフェンの層の強度が厚さに比例しなくなるが、このように何度かに分けてグラフェンの層を形成する場合には、グラフェンの層のsp結合が概略ウィスカの表面と平行であるため、厚くするほどグラフェンの層の強度が増す。
【0043】
さらに、グラフェンの層を厚く形成するには、グラフェンの層の上に、適切な材料の層を形成し、その上にグラフェンの層を形成するとよい。そのような材料の層としては、銅のように柔軟性があり、リチウムを吸蔵しない材料が好ましい。
【0044】
図2は、上記の集電体、ウィスカとグラフェンの層を模式的に示したものである。集電体201の表面は加工されて、ウィスカ202を有する。そして、ウィスカ202の表面には上記の処理により第1のグラフェンの層203_1と第2のグラフェンの層203_2等が形成される。また、グラフェンの層203には適度に空孔204が存在する。また、グラフェンの層203を何回かにわけて形成する際には、空孔204の場所は重ならないことがある。
【0045】
なお、集電体201の表面には、ウィスカ202の代わりに、溝や孔を設けてもよい。いずれにしても、集電体201の表面積を増加させるものであればよい。また、集電体201とウィスカ202等の構造物は、互いに異なる材料で構成されていてもよい。例えば、集電体201にチタンを用い、ウィスカ202には、シリコンを用い、CVD法で作製してもよい。
【0046】
図3はコイン型の二次電池の構造を示す模式図である。図3に示すように、コイン型の二次電池は、陰極303、陽極309、セパレータ305、電解液(図示せず)、筐体304および筐体312を有する。このほかにはリング状絶縁体306、スペーサー310およびワッシャー311を有する。
【0047】
陰極303は、負極集電体301上にウィスカの形成された負極活物質層302を有する。負極集電体301としては、例えば銅やチタンを用いるとよい。そして、負極集電体301を上述の酸化グラフェン溶液に浸漬した後、加熱処理をおこなって、酸化グラフェンを還元させ、ウィスカの表面に1層乃至50層のグラフェンを形成する。
【0048】
この操作を複数回おこない、全体として厚さ30nm乃至300nmのグラフェンの層を得る。これが負極活物質となる。ウィスカ上に形成されたグラフェンの層は極めて表面積が大きくなるため、高速充電や大容量の放電に適している。ただし、グラフェンの層は極めて薄いので図3には示していない。
【0049】
正極集電体307の材料としては、アルミニウムを用いるとよい。正極活物質層308は、正極活物質の粒子をバインダーや導電助剤とともに混合したスラリーを正極集電体307上に塗布して、乾燥させたものを用いればよい。
【0050】
正極活物質の材料としては、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム、珪酸マンガンリチウム、珪酸鉄リチウム等を用いることができるが、これに限らない。活物質粒子の粒径は20nm乃至100nmとするとよい。また、焼成時にグルコース等の炭水化物を混合して、正極活物質粒子にカーボンがコーティングされるようにしてもよい。この処理により導電性が高まる。
【0051】
電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒にLiPFを溶解させたものを用いるとよいが、これに限られない。
【0052】
セパレータ305には、空孔が設けられた絶縁体(例えば、ポリプロピレン)を用いてもよいが、リチウムイオンを透過させる固体電解質を用いてもよい。
【0053】
筐体304、筐体312、スペーサー310およびワッシャー311は、金属(例えば、ステンレス)製のものを用いるとよい。筐体304および筐体312は、陰極303および陽極309を外部と電気的に接続する機能を有している。
【0054】
これら陰極303、陽極309およびセパレータ305を電解液に含浸させ、図3に示すように、筐体304を下にして陰極303、セパレータ305、リング状絶縁体306、陽極309、スペーサー310、ワッシャー311、筐体312をこの順で積層し、筐体304と筐体312とを圧着してコイン型の二次電池を作製する。
【0055】
(実施の形態3)
本実施の形態では、集電体上に形成されたウィスカの表面に1層乃至50層のグラフェンよりなるグラフェンの層を形成する別の例について説明する。本実施の形態では、電気泳動法を用いてグラフェンを形成する。実施の形態2と同様に、酸化グラフェンを水やNMP等の溶媒に分散させる。酸化グラフェンの濃度は1リットル当たり0.1g乃至10gとすればよい。
【0056】
酸化グラフェンを分散させた溶液にウィスカが形成された集電体を入れ、これを陽極とする。また、溶液に陰極となる導電体を入れ、陽極と陰極の間に適切な電圧(例えば、5V乃至20V)を加える。酸化グラフェンは、ある大きさのグラフェンシートの端の一部がカルボキシル基(−COOH)で終端されているため、水等の溶媒中では、カルボキシル基から水素イオンが離脱し、酸化グラフェン自体は負に帯電する。そのため、陽極に引き寄せられ、付着する。なお、この際、電圧は一定でなくてもよい。陽極と陰極の間を流れる電荷量を測定することで、ウィスカに付着した酸化グラフェンの層の厚さを見積もることができる。
【0057】
必要な厚さの酸化グラフェンが得られたら、集電体を溶液から引き上げ、乾燥させる。さらに、真空中あるいは不活性ガス(窒素あるいは希ガス等)中等の還元性の雰囲気で150℃以上、好ましくは200℃以上の温度で加熱する。この結果、ウィスカの表面に形成された酸化グラフェンは還元され、グラフェンとなる。その際、隣接するグラフェン同士が結合し、より巨大な網目状あるいはシート状のネットワークを形成する。
【0058】
上記のように形成されたグラフェンは、ウィスカのように凹凸があっても、その凹部にも凸部にもほぼ均一な厚さで形成される。このようにして、シリコン活物質層の表面に1層乃至50層のグラフェンよりなるグラフェンの層を形成することができる。
【0059】
なお、このようにグラフェンの層を形成した後に、本実施の形態の方法によるグラフェンの層の形成や、実施の形態2の方法によるグラフェンの層の形成を複数回おこない、全体として厚さ30nm乃至300nmのグラフェンの層を得る。これが負極活物質となる。その後、実施の形態2で示したように二次電池を作製できる。
【0060】
(実施の形態4)
本発明の一態様に係る蓄電装置は、例えば、電気自動車、電動工具、パーソナルコンピュータ、携帯電話等で使用できる。これらの電気機器は、有線で電源を供給されるとは限らないため、内部に充電池を有する。その充電池の負極の活物質として、例えば、実施の形態2乃至実施の形態3で示した1層乃至50層のグラフェンで表面が覆われたシリコンを用いればよい。
【0061】
特に、瞬間的に大きな電流を流すことが必要とされる用途、あるいは、必要とされる電流値が大きく変動する用途では、内部抵抗の小さい充電池が求められるので、本発明を適用すると、十分な効果が得られる。また、移動する物体では、電気容量の高い充電池が求められるが、本発明を適用すると、十分な効果が得られる。
【0062】
その他にも、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いた電子機器・電気機器の具体例として、表示装置、照明装置、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画または動画を再生する画像再生装置、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、エアコンディショナーなどの空調設備、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、透析装置などが挙げられる。
【0063】
また、蓄電装置からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電子機器・電気機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車、内燃機関と電動機を併せ持った複合型自動車(ハイブリッドカー)、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車などが挙げられる。
【0064】
なお、上記電子機器・電気機器は、消費電力の殆ど全てを賄うための蓄電装置(主電源と呼ぶ)として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。或いは、上記電子機器・電気機器は、商用電源からの電力の供給が停止した場合に、電子機器・電気機器への電力の供給をおこなうことができる蓄電装置(無停電電源と呼ぶ)として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。
【0065】
或いは、上記電子機器・電気機器は、上記主電源や商用電源からの電子機器・電気機器への電力の供給と並行して、電子機器・電気機器への電力の供給をおこなうための蓄電装置(補助電源と呼ぶ)として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。
【0066】
図4に、上記電子機器・電気機器の具体的な構成を示す。図4において、表示装置401は、本発明の一態様に係る蓄電装置405を用いた電子機器・電気機器の一例である。具体的に、表示装置401は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体402、表示部403、スピーカー部404、蓄電装置405等を有する。本発明の一態様に係る蓄電装置405は、筐体402の内部に設けられている。
【0067】
表示装置401は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置405に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置405を無停電電源として用いることで、表示装置401の利用が可能となる。
【0068】
表示部403には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
【0069】
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0070】
図4において、据え付け型の照明装置411は、本発明の一態様に係る蓄電装置414を用いた電気機器の一例である。具体的に、照明装置411は、筐体412、光源413、蓄電装置414等を有する。図4では、蓄電装置414が、筐体412及び光源413が据え付けられた天井415の内部に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置414は、筐体412の内部に設けられていても良い。
【0071】
照明装置411は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置414に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置414を無停電電源として用いることで、照明装置411の利用が可能となる。
【0072】
なお、図4では天井415に設けられた据え付け型の照明装置411を例示しているが、本発明の一態様に係る蓄電装置は、天井415以外、例えば側壁416、床417、窓418等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
【0073】
また、光源413には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
【0074】
図4において、室内機421及び室外機425を有するエアコンディショナーは、本発明の一態様に係る蓄電装置424を用いた電気機器の一例である。具体的に、室内機421は、筐体422、送風口423、蓄電装置424等を有する。図4では、蓄電装置424が、室内機421に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置424は室外機425に設けられていても良い。或いは、室内機421と室外機425の両方に、蓄電装置424が設けられていても良い。
【0075】
エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置424に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機421と室外機425の両方に蓄電装置424が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置424を無停電電源として用いることで、エアコンディショナーの利用が可能となる。
【0076】
なお、図4では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナーに、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることもできる。
【0077】
図4において、電気冷凍冷蔵庫431は、本発明の一態様に係る蓄電装置435を用いた電気機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫431は、筐体432、冷蔵室用扉433、冷凍室用扉434、蓄電装置435等を有する。図4では、蓄電装置435が、筐体432の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫431は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置435に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置435を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫431の利用が可能となる。
【0078】
なお、上述した電子機器・電気機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電気機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることで、電気機器の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
【0079】
また、電子機器・電気機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄電装置に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑えることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫431の場合、気温が低く、冷蔵室用扉433、冷凍室用扉434の開閉がおこなわれない夜間において、蓄電装置435に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉433、冷凍室用扉434の開閉がおこなわれる昼間において、蓄電装置435を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率を低く抑えることができる。
【実施例1】
【0080】
本実施例では、ウィスカ状のシリコン表面に実施の形態2で示した浸漬法によりグラフェンを形成した試料について説明する。ウィスカ状のシリコンはシランガスを原料とする減圧CVD法によって集電体(チタンシート)上に形成され、図5(A)に示すような表面形状をしている。
【0081】
酸化グラフェンを分散させた水溶液は以下のように作製した。グラファイト(鱗片カーボン)と濃硫酸を混合したものに、過マンガン酸カリウムを加えた後、2時間撹拌した。その後、純水を加え、加熱して15分撹拌し、さらに過酸化水素水を加えることで、酸化グラファイトを含む黄褐色の溶液を得た。さらに、これを濾過し、塩酸を加えた後、純水で洗浄した。そして、超音波処理を2時間おこない、酸化グラファイトを酸化グラフェンにし、酸化グラフェンを分散させた水溶液を得た。
【0082】
そして、この水溶液に上記のウィスカ状のシリコンをチタンシートごと浸漬し、引き上げた。これを乾燥させ、さらに、真空中(0.1Pa以下)、300℃で10時間加熱した。このようにして作製した試料の表面を観察したものを図5(C)に示す。
【0083】
図5(C)に示されるように、ウィスカ状のシリコンの凹部はグラフェンの層に覆われている。また、このグラフェンの層は、ウィスカ状のシリコンの凸部と凸部の間をつなぐように形成されていることがわかった。
【0084】
ウィスカ状のシリコンがどのくらいの厚さのグラフェンで覆われているか確かめるため、断面TEM観察をおこなった。2箇所の断面を観察した。図6(A)に示される部分では、グラフェンの厚さは6.8nmであった。また、図6(B)に示される部分では、グラフェンの厚さは17.2nmであった。
【0085】
なお、他の部分では、グラフェンの層が認められないこともあり、同じ試料内でもグラフェンの層の厚さが大きくばらついていることがわかった。
【0086】
図5(C)の凹部の状態を確認するため、断面を観察すると、図6(C)に示されるように、グラフェン(を含む)層とウィスカ状のシリコンの凹部の間には空間が形成されていることがわかった。なお、試料観察のため、このグラフェンの層の上には、カーボンの蒸着膜を形成した。図6(C)ではグラフェンの層の上にカーボンの蒸着膜があることに注意する必要がある。
【実施例2】
【0087】
本実施例では、ウィスカ状のシリコン表面に実施の形態3で示した電気泳動法によりグラフェンを形成した試料について説明する。ウィスカ状のシリコンは実施例1で用いたものと同じである。また、実施例1で用いたものと同じ酸化グラフェンの水溶液を用意する。
【0088】
酸化グラフェンを分散させた水溶液に、上記のウィスカ状のシリコンをチタンシートごと浸漬し、また、対向電極としてステンレス板を浸漬した。ここでは、チタンシートとステンレス板との距離を1cmとした。そして、チタンシートを陽極、ステンレス板を陰極として、10Vの電圧を5分間かけた。この間に流れた電荷量は0.114Cであった。
【0089】
その後、チタンシートを取り出し、乾燥させ、さらに、真空中(0.1Pa以下)、300℃で10時間加熱した。このようにして試料を作製した。得られたウィスカ状のシリコンの表面を観察したものを図5(B)に示す。図5(A)と目立った違いが認められないが、写真の中央部には膜状の物体が、ウィスカ間にかかっている様子が認められる。また、ところどころ、ウィスカ表面に黒い部分があり、グラフェンの厚い部分であると考えられる。
【0090】
ラマン分光法より、グラフェンの特徴であるDバンドとGバンドのピークがウィスカのどの箇所を測定しても認められたことから、ウィスカ表面のほぼ全面がグラフェンで覆われていると考えられる。
【0091】
このように、電気泳動法では、グラフェンの層の厚さは電荷量で制御できるので極めて再現性がよかった。このように、実施の形態3で示される電気泳動法によるグラフェンの層の形成は、極めて均一におこなえることが示された。
【実施例3】
【0092】
本実施例では、ウィスカ状のシリコン表面にグラフェンを形成し、これをリチウムイオン二次電池の陰極として用いた場合と、表面に何の処理も施さなかった場合とを比較する。リチウムイオン二次電池に用いられる電解液は、電極(特に陰極)と反応して、電極表面に電解液の分解した化合物膜が形成されることが知られている。
【0093】
このような化合物膜はSEI(Solid Electrolyte Interface)と呼ばれ、電極と電解質の反応を和らげ、安定化させるために必要であると考えられている。しかしながら、その厚さは電極と電解質の組み合わせによって決定されるため、必要以上に厚くなることもある。
【0094】
SEI形成に伴う悪影響としては、クーロン効率の低下、電極と電解液間のリチウムイオン伝導性の低下、電解液の消耗などが挙げられる。従来、このようなSEIの生成を抑制するために、蒸着法やCVD法により電極表面を被覆することが試みられてきた。
【0095】
リチウムイオン二次電池の電極は表面積が大きい方が好ましいため、例えば、ウィスカ状のシリコンのような複雑な形状を用いることが好ましい。ところが、このような物体の表面を被覆するには、蒸着法やCVD法は使用できない。しかし、実施の形態1あるいは実施例1で示した方法であれば、ウィスカ状のシリコンであっても適切に被覆できる。
【0096】
本実施例では、試料Aと試料Bの2種類の試料を用意した。試料Aは表面に何の処理も施さなかったウィスカ状のシリコンであり、初期の表面の状態は図5(A)に示されるものと同等である。試料Bは実施例1に示した方法で表面にグラフェンを形成したウィスカ状のシリコンで、初期の表面の状態は図5(B)に示されるものと同等である。
【0097】
次に、試料Aおよび試料Bに対してサイクリックボルタンメトリー測定(CV測定)を1回おこない、その後のウィスカ状のシリコンの表面の様子を観察した。CV測定は三極式のビーカーセル(作用極:試料Aあるいは試料B、参照極:金属リチウム、対極:金属リチウム、電解液:六フッ化リン酸リチウム(LiPF)のエチレンカーボネート(EC)溶液(1mol/L)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液(体積比1:1))を用いて、走査速度0.1mV/秒でおこなった。
【0098】
図8(A)には、上記のCV測定(走査範囲0V〜1V(vs.Li/Li))を1サイクルおこなった後の試料Aの表面の様子を示す。また、図8(B)には上記のCV測定(走査範囲0V〜1V(vs.Li/Li))を10サイクルおこなった後の試料Bの表面の様子を示す。
【0099】
図8(A)と図5(A)を比較してわかるように、試料Aの表面には、SEIが厚く形成され、元のウィスカ状のシリコンの形状を確認することは困難である。一方、図8(B)と図5(B)あるいは、図8(B)と図8(A)を比較してわかるように、試料Bの表面のSEIは試料Aほど厚くは形成されなかった。
【0100】
上記の試料Aあるいは試料Bを陽極、金属リチウムを陰極、電解液として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)のエチレンカーボネート(EC)溶液(1mol/L)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液(体積比1:1)を用い、セパレータとして、微細な穴のあいたポリプロピレンを用いたコインセルを作製した。そしてコインセルの充放電をおこない、リチウムの放出と吸収に伴う容量の変化を測定した。充放電に際しては、1サイクル目の電流値は50μA、2サイクル目以降は4mAとした。
【0101】
図7(A)に示すように、リチウムの放出と吸収を繰り返すと、試料A、試料Bとも容量が低下するが、10サイクル以降は試料Bの方では容量が増加し、試料Aよりも大きくなった。図7(B)には、30サイクル目のリチウムの放出(あるいは吸収)に伴う電位の変動と容量の関係を示す。試料Bの方が試料Aよりもより多くのリチウムを放出でき、また、より多くのリチウムを吸収できることがわかる。これは、試料Bでは、試料Aに比べるとSEIが厚く形成されなかったことによるものと考えられる。
【符号の説明】
【0102】
101 容器
102 溶液
103 物体
104 導電体
201 集電体
202 ウィスカ
203 グラフェンの層
204 空孔
301 負極集電体
302 負極活物質層
303 陰極
304 筐体
305 セパレータ
306 リング状絶縁体
307 正極集電体
308 正極活物質層
309 陽極
310 スペーサー
311 ワッシャー
312 筐体
401 表示装置
402 筐体
403 表示部
404 スピーカー部
405 蓄電装置
411 照明装置
412 筐体
413 光源
414 蓄電装置
415 天井
416 側壁
417 床
418 窓
421 室内機
422 筐体
423 送風口
424 蓄電装置
425 室外機
431 電気冷凍冷蔵庫
432 筐体
433 冷蔵室用扉
434 冷凍室用扉
435 蓄電装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に1層乃至100層のグラフェンを有する凹凸を有する物体。
【請求項2】
ウィスカを有することを特徴とする請求項1記載の物体。
【請求項3】
前記グラフェンに含まれる炭素と水素以外の元素の濃度は15原子%以下であることを特徴とする請求項1もしくは請求項2記載の物体。
【請求項4】
リチウムイオン二次電池の電極に用いられる請求項1乃至請求3のいずれかに記載の物体。
【請求項5】
酸化グラフェンを分散させた溶液中に、物体と電極を浸漬し、前記物体と前記電極間に電圧を加える工程と、
前記物体を真空中あるいは還元性雰囲気中で加熱する工程と
を有する1層乃至100層のグラフェンの作製方法。
【請求項6】
ウィスカと、ウィスカの表面に形成された1層乃至100層のグラフェンよりなる複数のグラフェンの層とを有する物体を陰極として有し、前記グラフェンの層の各々は少なくとも1つの空孔を有することを特徴とする電気機器。
【請求項7】
前記グラフェンの層は酸化グラフェンをその表面に形成した後、これを還元して得られたことを特徴とする請求項6記載の電気機器。
【請求項8】
前記グラフェンの層に含まれる酸素の濃度は5原子%以上15原子%以下であることを特徴とする請求項6もしくは請求項7記載の電気機器。
【請求項9】
前記グラフェンの層の上に前記グラフェンの層とは異なる材料の層が設けられたことを特徴とする請求項6乃至請求項8記載の電気機器。
【請求項10】
酸化グラフェンを分散させた溶液中に、ウィスカを有する負極集電体を浸漬する工程と、
前記ウィスカを有する負極集電体を溶液から引き上げる工程と、
前記ウィスカを有する負極集電体を真空中あるいは還元性雰囲気中で加熱する工程と
を有する電気機器の作製方法。
【請求項11】
酸化グラフェンを分散させた溶液中に、ウィスカを有する負極集電体と電極を浸漬し、前記ウィスカを有する負極集電体と前記電極間に電圧を加える工程と、
前記ウィスカを有する負極集電体を真空中あるいは還元性雰囲気中で加熱する工程と
を有する電気機器の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−11017(P2013−11017A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−125604(P2012−125604)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】