説明

印刷システム、印刷方法

【課題】印刷画像の部分的な加工が容易な印刷システムを実現する。
【解決手段】印刷システムは、印刷対象の画像中の拡大対象領域の指定が書き込まれたオーダシートを読み取り、指定された拡大対象領域を特定するオーダ内容特定手段と、印刷対象の画像に、当該印刷対象の画像中のオーダ内容特定手段で特定した拡大対象領域の画像を拡大して重ねて、加工画像を生成する加工画像生成手段と、加工画像を用いて印刷を実行する加工画像印刷手段とを備える。そして、オーダ内容特定手段は、オーダシートに予め印刷された印刷対象のサンプル画像上に書き込まれた、所定の色の線で囲まれた領域を抽出し、抽出した領域を前記拡大対象領域と特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷システムに係り、特に、印刷画像の部分的な加工が容易な印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラの普及により、一般人でも自分で撮った画像を家庭のプリンタで手軽に印刷することが可能となってきている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−104817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮影時にユーザが良いと思ったアングルで撮影した写真をそのまま印刷しても、希望の写真にならない場合がある。例えば、屋外で大きな建物を背景に入れてスナップショットを撮影するときに、建物の全景を収めることに気をとられて、主役としたかった人物を小さく写してしまう撮影ミスがある。このような場合、人物を大きく見えるようにするためには、写真全体を拡大しつつ、周囲をトリミングして印刷すればよい。しかし、これでは、建物の一部がフレームアウトしてしまうという不都合がある。また、画像の加工のために煩雑なソフトウェアを使用するのは、面倒である。
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、簡易な操作で画像の部分的な加工印刷を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様である印刷システムは、
印刷対象の画像中の拡大対象領域の指定が書き込まれたオーダシートを読み取り、指定に基づいて拡大対象領域を特定するオーダ内容特定手段と、
前記印刷対象の画像について、当該印刷対象の画像中の前記オーダ内容特定手段で特定した拡大対象領域の画像を前記拡大対象領域外の領域よりも拡大して加工画像を生成する加工画像生成手段と、
前記加工画像を用いて印刷を実行する加工画像印刷手段とを備える。そして、前記オーダ内容特定手段は、前記オーダシートに予め印刷された印刷対象のサンプル画像上に書き込まれた、所定の色の線で囲まれた領域を抽出し、抽出した領域を前記拡大対象領域と特定する。
【0007】
また、前記加工画像生成手段は、前記拡大対象領域の画像が所定の解像度の範囲で印刷媒体上に印刷されるように、前記拡大対象領域の画像の拡大率を設定することができる。
【0008】
前記加工画像生成手段は、前記印刷対象の画像のピクセル数と、印刷媒体のサイズと、前記拡大対象領域の位置とから、前記拡大対象領域の拡大率及び前記印刷対象の画像への配置を設定することができる。
【0009】
また、前記加工画像生成手段は、前記拡大対象領域の元の画像が、拡大した画像により隠れるように、前記拡大対象領域の拡大率及び前記印刷対象の画像への配置を設定することができる。
【0010】
また、前記印刷システムは、印刷対象の画像中の拡大対象領域、拡大率及び配置の指定を書き込むためのオーダシートを印刷するオーダシート印刷手段を備えていてもよい。そして、前記オーダ内容特定手段は、前記拡大対象領域、拡大率及び配置の指定が書き込まれた前記オーダシートを読み取り、指定された拡大対象領域、拡大率及び配置を特定してもよい。前記加工画像生成手段は、前記印刷対象の画像中の前記オーダ内容特定手段で特定した拡大対象領域の画像を、当該オーダ内容特定手段で特定した拡大率で拡大し、当該オーダ内容特定手段で特定した配置で、当該印刷対象の画像に重ねて、加工画像を生成することができる。
【0011】
また、前記加工画像生成手段は、前記拡大対象領域の画像が所定の解像度の範囲で印刷媒体上に印刷され、かつ前記拡大対象領域の元の画像が、拡大した画像により隠れるように、前記拡大対象領域の拡大率及び前記印刷対象の画像への配置を修正することができる。
【0012】
本発明の第2の態様である印刷システムの印刷方法は、印刷対象の画像中の拡大対象領域の指定が書き込まれたオーダシートを読み取り、指定に基づいて拡大対象領域を特定するオーダ内容特定ステップと、前記印刷対象の画像に、当該印刷対象の画像中の前記オーダ内容特定ステップで特定した拡大対象領域の画像を前記拡大対象領域外の領域よりも拡大して重ねて、加工画像を生成する加工画像生成ステップと、前記加工画像を用いて印刷を実行する加工画像印刷ステップとを行う。そして、前記オーダ内容特定ステップは、前記オーダシートに予め印刷された印刷対象のサンプル画像上に書き込まれた、所定の色の線で囲まれた領域を抽出し、抽出した領域を前記拡大対象領域と特定する。
【0013】
本発明の第3の態様であるコンピュータを印刷システムの制御装置として機能させるためのプログラムは、印刷対象の画像中の拡大対象領域の指定が書き込まれたオーダシートを読み取り、指定に基づいて拡大対象領域を特定するオーダ内容特定手段と、前記印刷対象の画像に、当該印刷対象の画像中の前記オーダ内容特定手段で特定した拡大対象領域の画像を前記拡大対象領域外の領域よりも拡大して重ねて、加工画像を生成する加工画像生成手段と、前記加工画像を用いた印刷を指示する加工画像印刷指示手段として、前記コンピュータを機能させる。前記オーダ内容特定手段は、前記オーダシートに予め印刷された印刷対象のサンプル画像上に書き込まれた、所定の色の線で囲まれた領域を抽出し、抽出した領域を前記拡大対象領域と特定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の印刷システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本図に示すように、印刷システムは、印刷制御装置として機能するホストコンピュータ10と印刷装置及び画像読取装置として機能する複合機40とがケーブル50を介して接続されて構成される。
【0016】
ホストコンピュータ10は、主制御装置であるCPU11、メインメモリとしてデータ等を一時的に格納するRAM12、プログラム等が記録されたROM13、補助記憶装置としてのハードディスク装置14、複合機40等との入出力を制御するインタフェース15、各装置間の通信経路となるシステムバス16を備えて構成される。ハードディスク装置14には、画像加工のためのアプリケーションプログラム、複合機40の制御のためのプリンタドライバ、スキャナドライバなどがインストールされている。
【0017】
ホストコンピュータ10には、インタフェース15を介して、マウス、キーボード等の入力装置20と、液晶モニタ等の表示装置30とが接続されている。
【0018】
複合機40は、通常のプリンタが備えるプリント機能と、通常のスキャナが備えるスキャン機能とを備えている。そのため、CPU,RAM,ROM等からなる主制御部(不図示)と、ホストコンピュータ10との入出力を制御するインタフェース(不図示)と、各装置間の通信経路となるシステムバス(不図示)とを備え、さらに、印刷機構や給排紙機構を備えたプリンタ部41と、イメージセンサや光源を備えたスキャナ部42とを備えている。
【0019】
図2は、本実施形態における印刷システムの機能構成の一例を示すブロック図である。各機能部は、ソフトウェアあるいはハードウェア的に実現することができる。
【0020】
本図に示すように、ホストコンピュータ10は、主制御部110と、オーダシート生成部111と、加工画像生成部112と、プリンタドライバ部113と、スキャナドライバ部114とを備えている。
【0021】
主制御部110は、様々な処理を行う中心的なユニットでる。例えば、入力装置20を介して入力されたユーザからの要求に従って、対応する処理の実行を各機能部に指示する。
【0022】
オーダシート生成部111は、画像の加工内容を受け付けるためのオーダシートを生成する。また、生成したオーダシートが印刷されるように、プリンタドライバ部113を制御する。例えば、写真画像の特定の部分の拡大率や配置の指定を受け付けるチェック欄を設けたオーダシートを生成し、プリンタドライバ部113を介して印刷する。
【0023】
加工画像生成部112は、スキャナドライバ部114を介して読み込んだオーダシートに従って、印刷対象の画像を加工する。また、加工した画像が印刷媒体(例えば、写真用紙)に印刷されるように、プリンタドライバ113を制御する。
【0024】
プリンタドライバ部113は、オーダシート生成部111や加工画像生成部112からの指示にしたがって、印刷媒体(普通用紙、写真用紙など)上に、印刷対象のイメージが形成されるように、プリンタ部41を介して、印刷を実行する。
【0025】
スキャナドライバ部114は、加工画像生成部112からの指示に従って、スキャナ部42を介して、原稿台に載せられたオーダシートを読み込み、加工画像生成部112に送る。
【0026】
つぎに、本実施形態の印刷システムの特徴的な動作について説明する。
【0027】
本実施形態の印刷システムは、印刷対象の画像(例えば、写真)について、ユーザの好みに応じて、特定の領域(例えば、人物)を拡大して印刷することができる。そのため、ユーザからの画像の加工に関する要求内容を受け付けるためのオーダシートをプリンタ機能により出力する。そして、ユーザにより書き込みがなされたオーダシートをスキャナ機能で読み込んで、加工に関する要求内容を特定し、特定した要求内容に従って加工した画像をプリンタ機能により出力する。
【0028】
そこで、まず、図3のフロー図を用いて、オーダシートの出力処理について説明する。
【0029】
主制御部110は、ユーザから入力装置20を介して、オーダシートの印刷要求を受け付けると、このフローを開始する(S11)。
【0030】
まず、オーダシート生成部111は、印刷対象を設定する(S12)。例えば、表示装置30に、HDD14の中のフォルダに格納されている写真画像を一覧表示し、入力装置20を介して印刷対象の写真画像のファイルの選択を受け付ける。そして、選択されたファイルの写真画像を印刷対象として設定する。
【0031】
次に、オーダシート生成部111は、印刷対象として設定された画像について、印刷媒体に印刷する領域(「印刷領域」という)を設定する(S13)。印刷領域を設定するのは、印刷対象の画像と印刷用紙のアスペクト比が異なる場合があるからである。オーダシート生成部111は、用紙サイズに応じて、元の画像をトリミングするなどして、印刷領域を設定する。例えば、画像の中央を基準として、所定の倍率で用紙に印刷した場合にはみ出してしまう部分をカットして残った部分を印刷領域に設定する。なお、加工画像生成部112は、プリンタドライバ部113から用紙サイズを取得する。
【0032】
次に、オーダシート生成部111は、オーダシートのイメージデータを作成し、作成したイメージデータを用いて、プリンタドライバ部113を介して、オーダシートを印刷する(S14)。ここで、オーダシート生成部111は、印刷対象として設定された画像のサンプル画像をオーダシートに含めて印刷する。また、ユーザに印刷対象の画像に関する情報(ファイル名、撮影日時など)を知らせるため、これらの情報を含めて印刷する。また、スキャナ機能でオーダシートを読み込んだときに、印刷対象の画像や、設定した印刷領域が特定できるように、これらを特定するための情報(ファイル名、印刷領域、倍率などからなる印刷設定情報)を含めて印刷する。さらに、拡大する部分(「拡大対象領域」という)の拡大率、配置を指定させる欄を含めて印刷する。
【0033】
図4は、オーダシート200の一例を示す。図示するように、オーダシート200には、印刷対象として設定された写真画像のサンプル画像210と、ファイル名、撮影日時などの情報201と、印刷設定情報(ファイル名、印刷領域、倍率など)202が印刷されている。なお、オーダシート生成部111は、印刷設定情報202を、2次元バーコード等の図形に変換して、印刷することができる。
【0034】
さらに、オーダシート200には、拡大対象領域の拡大率の選択を受け付けるチェック欄203と、元の画像への配置の仕方の選択を受け付けるチェック欄204とを含んでいる。配置には、例えば、下揃え、上揃え、中央揃え、等がある。
【0035】
なお、オーダシート生成部111は、サンプル画像210を、スキャナで読み取りにくい色、または、ユーザにより書き込まれる拡大対象領域を示す線のインクの色と区別し易い色で印刷するようにしてもよい。例えば、拡大対象領域を示す線の色として予め定めた色(例えば、緑)の補色(例えば、ピンク)で、サンプル画像210の印刷を行う。
【0036】
以上、オーダシートの出力処理について説明した。オーダシートが出力されると、ユーザは、オーダシートに書き込みを行うことになる。
【0037】
図5は、ユーザにより書き込みされたオーダシート200の一例である。本実施形態では、予め定められた色のマーカ212により囲まれた領域が拡大対象領域となる。図5の例では、マーカ212は、人物を囲むように書き込まれている。かかる場合、人物が写っている領域が拡大対象領域となる。
【0038】
次に、図6のフロー図を用いて、ユーザにより書き込まれたオーダシートに基づいて、画像を加工して印刷する処理について説明する。
【0039】
加工画像生成部112は、ユーザからの要求に従って、スキャナドライバ部114を介して、書き込み済みのオーダシート200を読み込む(S21)。そして、印刷設定情報202から、印刷対象の画像を特定し(S22)、さらに、印刷領域を特定する(S23)。なお、加工画像生成部112は、印刷設定情報202が2次元バーコードの場合、2次元バーコードを変換して印刷設定情報を取得する。
【0040】
次に、加工画像生成部112は、拡大対象領域を特定する(S24)。図5に示すように、オーダシート200のサンプル画像210には、マーカ212により、拡大対象領域が指定されている。加工画像生成部112は、マーカ212の色の部分を抽出することにより、マーカ212で囲まれた領域を特定する。そして、印刷対象の画像中のマーカ212で囲まれた領域を、拡大対象領域と特定する。
【0041】
次に、加工画像生成部112は、オーダシート200のチェック欄に基づいて、要求された拡大率を特定する(S25)。
【0042】
次に、加工画像生成部112は、拡大率の見直し処理を行う(S26)。ここで、拡大率の見直しをするのは、ユーザにより要求された拡大率をそのまま適用して印刷した場合に、拡大対象領域の画像の解像度が低下し、ジャギーが入ったり、ぼやけて見栄えが悪くなったりする場合があるからである。
【0043】
加工画像生成部112は、下記式により、拡大率の上限値Eを求める。拡大率の上限値Eは、印刷用紙のサイズ(xpインチ,ypインチ)、印刷領域のピクセル値(xiピクセル,yiピクセル)、予め定めた許容解像度R(例えば、240dpi)を用いて、
(拡大率の上限値E)=xi/(xp×R)
により求めることができる。
【0044】
そして、加工画像生成部112は、要求された拡大率が上限値E以下であるか否か調べ、上限値E以下である場合は、要求された拡大率をそのまま採用する。一方、上限値を超える場合は、上限値Eを拡大率として設定する。
【0045】
次に、加工画像生成部112は、オーダシート200のチェックされた位置に基づいて、要求された配置を特定する(S27)。
【0046】
次に、加工画像生成部112は、配置の見直し処理を行う(S28)。ここで、配置の見直しをするのは、ユーザにより要求された配置をそのまま適用して印刷した場合に、拡大対象領域が用紙からはみ出てしまう場合もあるからである。また、拡大対象領域の元の画像が、拡大された画像により綺麗に隠れない場合、見栄えが悪いものとなるからである。
【0047】
そこで、加工画像生成部112は、まず、拡大対象領域の画像を、S26で設定した拡大率でかつ、要求された配置で、元の画像に配置することを試みる。例えば、「上揃え」の場合、図7(A)に示すように、拡大対象領域の元の画像(破線部)に、拡大後の画像(実線部)を最上部を揃えて、配置する。または、「下揃え」の場合、図7(B)に示すように、拡大対象領域の元の画像(破線部)に、拡大後の画像(実線部)を最下部を揃えて、配置する。または、「中央揃え」の場合、図7(C)に示すように、拡大対象領域の元の画像(破線部)に、拡大後の画像(実線部)をそれぞれの中央地点を揃えて、配置する。
【0048】
そして、加工画像生成部112は、印刷領域からはみ出るか否か調べ、はみ出る場合、はみ出し方向の逆方向に配置をずらして印刷領域内に収まるように修正する。または、はみ出しが無くなるまで拡大率を小さくしてもよい。
【0049】
また、加工画像生成部112は、拡大対象領域の元の画像が、重ねられた拡大後の画像により全て隠れるか否か調べる。そして、拡大対象領域の元の画像で隠れない部分がある場合、全ての部分が隠れるように、拡大後の画像の配置をずらす。例えば、「中央揃え」の方向に位置をずらしていく。「中央揃え」をしても尚、隠れない部分がある場合、全ての部分を隠すために、拡大率を変更してもよい。例えば、拡大対象領域の元の画像が全て隠れるまで、拡大率を上限値Eまで所定値ずつ上げる。または、元の画像の全てが隠れるまで、拡大率を下げていく。あるいは、元の画像の全てが隠れるまで、拡大率を変更しながら、上下左右方向に配置を所定値ずつずらしていく。
【0050】
このように、配置の変更及び拡大率の変更を行っても尚、拡大対象領域の元の画像が隠れない場合、加工画像生成部112は、元の画像が隠れない旨を知らせる警告を、表示装置30に表示する。そして、続行要求を受け付けた場合のみ、以降の処理を行う。
【0051】
なお、ユーザから、入力装置20を介して、あるいはオーダシートにより、拡大率や配置の見直しを行わないように指定された場合、ユーザにより要求された拡大率及び配置をそのまま採用し、拡大率及び配置の見直しを行わないようにしてもよい。
【0052】
こうして、拡大対象領域の拡大率と配置が決定すると、加工画像生成部112は、印刷のためのイメージデータを生成する(S29)。
【0053】
具体的には、加工画像生成部112は、印刷対象の画像から印刷領域に相当する画像を取得する。そして、その画像から、拡大対象領域の部分の画像を抽出し、設定した拡大率で拡大し、さらに、設定した配置で元の画像に重ね、合成画像を生成する。
【0054】
なお、印刷設定情報202に他の印刷に関する設定情報(コントラストなど)が含まれている場合には、加工画像生成部112は、これらの設定情報を用いて、合成画像を調整する。
【0055】
こうして、印刷のためのイメージデータを生成すると、加工画像生成部112は、プリンタドライバ114を介して、印刷を実行する(S30)。
【0056】
こうして、例えば、図7(C)に示すように、拡大対象領域として指定された人物が写っている部分が拡大された写真画像が印刷される。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0058】
上記実施形態によれば、簡易な操作で、画像の部分的な加工が可能となる。すなわち、ユーザは、拡大したい部分をカラーペンにより手書きで輪郭を記入するだけでよい。
【0059】
また、拡大率と配置を見直すので、拡大された領域の画像にジャギーが現れてしまったり、フレームアウトしてしまったり、元の画像が隠れなかったりといったことを防止することができる。
【0060】
本発明は、上記実施形態に制限されない。上記実施形態は、様々な変形が可能である。
【0061】
また、ユーザの指示により、拡大率が上限値Eを超えて印刷する場合、ジャギーの発生による見栄えの悪さを低減するために、加工画像生成部112は、拡大対象領域の画像について、ぼかし処理などの画質調整処理をしてもよい。また、拡大対象領域の元の画像のうち、拡大後の画像によって隠れない部分について、見栄えの悪さを低減させるために、ぼかし処理などの画質調整処理をしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、拡大率、配置の指定を、オーダシートで受け付けたが、これに限られない。表示装置30に上記オーダシートを表示し、入力装置20を介して、これらの指定を受け付けてもよい。また、複合機40の操作パネル(表示装置付きの入力装置)により、これらの指定を受け付けてもよい。
【0063】
また、加工画像生成部112は、拡大対象領域の指定のみユーザから受け付けて、拡大率や配置を自動的に決定するようにしてもよい。かかる場合、拡大率の上限値Eを超えない予め定めた拡大率及び配置を用いる。
【0064】
また、ホストコンピュータ10は、印刷前に合成画像を表示装置30に表示するプレビュー機能を備えていてもよい。
【0065】
また、上記実施形態は、スキャナ機能とプリンタ機能を備え、かつ、ホストと接続することなく、可搬性の記録媒体(メモリーカード)から画像を取得して印刷を実行するスタンドアロンの複合機に適用することができる。かかる複合機の場合、その制御部は、上記実施形態で説明したホストコンピュータ10の処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】印刷システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【図2】印刷システムの機能構成の一例を示すブロック図。
【図3】オーダシートの出力処理を説明するフロー図。
【図4】オーダシート一例を示す図。
【図5】オーダシート(記入済)の一例を示す図。
【図6】加工画像の印刷処理のフロー図。
【図7】印刷される画像の例を示す図。
【符号の説明】
【0067】
10…ホストコンピュータ、11…CPU、12…RAM、13…ROM、14…補助記憶装置(HDD)、15…インタフェース、16…システムバス、20…入力装置、30…表示装置、40…複合機、41…プリンタ部、42…スキャナ部、110…主制御部、111…オーダシート生成部、112…加工画像生成部112、113…プリンタドライバ部、114…スキャナドライバ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
印刷対象の画像中の拡大対象領域の指定が書き込まれたオーダシートを読み取り、指定に基づいて拡大対象領域を特定するオーダ内容特定手段と、
前記印刷対象の画像について、当該印刷対象の画像中の前記オーダ内容特定手段で特定した拡大対象領域の画像を前記拡大対象領域外の領域よりも拡大して加工画像を生成する加工画像生成手段と、
前記加工画像を用いて印刷を実行する加工画像印刷手段とを備え、
前記オーダ内容特定手段は、
前記オーダシートに予め印刷された印刷対象のサンプル画像上に書き込まれた、所定の色の線で囲まれた領域を抽出し、抽出した領域を前記拡大対象領域と特定する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記加工画像生成手段は、
前記拡大対象領域の画像が所定の解像度の範囲で印刷媒体上に印刷されるように、前記拡大対象領域の画像の拡大率を設定する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記加工画像生成手段は、
前記印刷対象の画像のピクセル数と、印刷媒体のサイズと、前記拡大対象領域の位置とから、前記拡大対象領域の拡大率及び前記印刷対象の画像への配置を設定する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記加工画像生成手段は、
前記拡大対象領域の元の画像が、拡大した画像により隠れるように、前記拡大対象領域の拡大率及び前記印刷対象の画像への配置を設定する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
請求項1に記載の印刷システムであって、
印刷対象の画像中の拡大対象領域、拡大率及び配置の指定を書き込むためのオーダシートを印刷するオーダシート印刷手段を備え、
前記オーダ内容特定手段は、
前記拡大対象領域、拡大率及び配置の指定が書き込まれた前記オーダシートを読み取り、指定された拡大対象領域、拡大率及び配置を特定し、
加工画像生成手段は、
前記印刷対象の画像中の前記オーダ内容特定手段で特定した拡大対象領域の画像を、当該オーダ内容特定手段で特定した拡大率で拡大し、当該オーダ内容特定手段で特定した配置で、当該印刷対象の画像に重ねて、加工画像を生成する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
請求項5の記載の印刷システムであって、
前記加工画像生成手段は、
前記拡大対象領域の画像が所定の解像度の範囲で印刷媒体上に印刷され、かつ前記拡大対象領域の元の画像が、拡大した画像により隠れるように、前記拡大対象領域の拡大率及び前記印刷対象の画像への配置を修正する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
印刷システムの印刷方法であって、
印刷対象の画像中の拡大対象領域の指定が書き込まれたオーダシートを読み取り、指定に基づいて拡大対象領域を特定するオーダ内容特定ステップと、
前記印刷対象の画像について、当該印刷対象の画像中の前記オーダ内容特定ステップで特定した拡大対象領域の画像を前記拡大対象領域外の領域よりも拡大して加工画像を生成する加工画像生成ステップと、
前記加工画像を用いて印刷を実行する加工画像印刷ステップとを行い、
前記オーダ内容特定ステップは、
前記オーダシートに予め印刷された印刷対象のサンプル画像上に書き込まれた、所定の色の線で囲まれた領域を抽出し、抽出した領域を前記拡大対象領域と特定する
ことを特徴とする印刷システムの印刷方法。
【請求項8】
コンピュータを印刷システムの制御装置として機能させるためのプログラムであって、
印刷対象の画像中の拡大対象領域の指定が書き込まれたオーダシートを読み取り、指定に基づいて拡大対象領域を特定するオーダ内容特定手段と、
前記印刷対象の画像について、当該印刷対象の画像中の前記オーダ内容特定手段で特定した拡大対象領域の画像を前記拡大対象領域外の領域よりも拡大して加工画像を生成する加工画像生成手段と、
前記加工画像を用いた印刷を指示する加工画像印刷指示手段として、前記コンピュータを機能させ、
前記オーダ内容特定手段は、
前記オーダシートに予め印刷された印刷対象のサンプル画像上に書き込まれた、所定の色の線で囲まれた領域を抽出し、抽出した領域を前記拡大対象領域と特定する
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能なプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−92393(P2008−92393A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272522(P2006−272522)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】