説明

印刷システム及び方法

全般的に、第1の態様において、発明はその上に画像が印刷されている製品を製造するための製造システムを含む。製造システムは製造ラインの1つまたはそれより多くのステーションに対する経路に沿って製品を運ぶように構成されたコンベヤーを備え、それぞれの製品はコンベヤー上の座におかれる。製造システムは、製品がコンベヤーに載って印刷ステーションを通過する際に製品上に画像を印刷するように構成された印刷ステーション及び印刷ステーションに命令を与えるように構成された電子コントローラも備え、電子コントローラは製造システムの他のステーションの作業に基づいて印刷作業を修正する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
米国特許法第119条第(e)項(1)の下に、本出願は、2005年2月28日に出願された、名称を「印刷システム及び方法(PRINTING SYSTEMS AND METHODS)」とする米国仮特許出願第60/657052号の優先権を主張する。上記出願の明細書の全内容は本明細書に参照として含まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は印刷に関し、さらに詳しくは、連続生産ラインにおける製品上への印刷に関する。
【背景技術】
【0003】
印刷のためのシステムはインクジェットプリンタのような液滴射出装置を備えることができる。インクジェットプリンタは一般に1つまたはそれより多くのプリントヘッドを有する。従来、プリントヘッドはインク溜め及び集成噴射部品を有する。インク溜めはインクを集成噴射部品に供給し、集成噴射部品は要求に応じてインク滴を射出する噴射モジュールを有する。いくつかの実施形態において、噴射モジュールはそれぞれインク供給源から対応するオリフィス路に至る複数のインク路を有する。それぞれのオリフィス路は、そこからインク滴が射出される、オリフィス開口で終端する。インク滴射出はインク路内のインクを、例えば、圧電型デフレクタ、サーマルバブルジェット(登録商標)発生器または静電偏向素子とすることができる、アクチュエータで加圧することによって制御される。
【0004】
それぞれのオリフィス開口からの液滴射出は独立に制御することができる。ドロップオンデマンド型プリントヘッドにおいては、集成噴射部品と印刷基板を互いに対して移動させながら画像の特定の画素位置において液滴を選択的に射出するように、それぞれのアクチュエータが起発される。高性能集成噴射部品において、オリフィス開口の直径は一般に約50μmより小さく、例えば約25μmであり、開口間隔のピッチは約100〜300オリフィス/インチ(約4〜12オリフィス/mm)のピッチであり、解像度は約100〜約3000dpi(約4〜約120ドット/mm)ないしさらに高く、約1〜約70ピコリットル(pl)ないしそれ以下の大きさの液滴を与える。液滴射出頻度は一般に10kHzないしそれより高い。
【0005】
ホイジントン(Hoinsington)等の特許文献1は半導体基体及び圧電型アクチュエータを有する噴射モジュールを説明している。特許文献1の全内容は本明細書に参照として含まれる。モジュール基体はシリコンでつくられ、エッチングでインクチャンバが定められている。オリフィス開口は、シリコン基体に取り付けられた個別のオリフィスプレートによって定められている。圧電型アクチュエータは、印加電圧に応答して形状寸法が変化する、すなわち曲がる、圧電材料層を有する。圧電層の曲がりがインク路に沿っておかれたポンピングチャンバ内のインクを加圧する。
【0006】
噴射モジュールの別の例が、名称を「プリントヘッド(PRINTHEAD)」とするアンドレアス・バイブル(Andreas Bibl)等の特許文献2に開示されている。特許文献2の全内容は本明細書に参照として含まれる。
【0007】
一般に、プリントヘッドは1つまたはそれより多くの集成噴射部品を有することができる。印刷システムはプリントヘッドに対する基板の単パスまたは多重パスにおいて印刷することができる。プリントヘッドはインク及び/または、例えば、電子コンポーネントに用いられる材料(例えば導電性材料)またはフラットパネルディスプレイ用カラーフィルタ材料のような、その他の液体を噴射するために用いることができる。
【特許文献1】米国特許第5265315号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/189947号明細書,2002年7月3日出願
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、製品上に画像を印刷する工程を含む製造ラインの効率及びスループットを向上させる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
プリンタは製造ラインにおいて製品上に画像(例えば、グラフィックス、文章、バーコード)を印刷するために用いることができる。製品上に印刷するためのステーションは製造ラインの他のステーション(例えば、検査ステーション、ラミネートステーション、被膜形成ステーション、押出ステーション、組立ステーション、露光ステーション、截断またはダイシングステーション)の上流及び/または下流におくことができ、プリンタの作業は他のステーションの作業と統合することができる。そのような統合は製造施設の効率及びスループットを向上させることができる。
【0010】
全般的に、第1の態様において、本発明はその上に画像が印刷されている製品を製造するための製造システムを含む。製造システムは製造ラインの1つまたはそれより多くのステーションに対して経路に沿って製品を運ぶように構成されたコンベヤーを備え、それぞれの製品はコンベヤー上の座におかれる。製造システムは、製品がコンベヤーに載って印刷ステーションを通過する際に、製品上に画像を印刷するように構成された印刷ステーション及び印刷ステーションに命令を与えるように構成された電子コントローラも備え、電子コントローラは製造システムのその他のステーションの作業に基づいて印刷作業を修正する。
【0011】
製造システムの実施形態は以下の特徴の1つまたはそれより多くを有することができる。他のステーションは印刷ステーションの上流または下流にあることができる。他のステーションは検査ステーションまたは截断ステーションとすることができる。製品は、印刷ステーションを通過するときに、単品製品の形態にあることができる。あるいは、製品は、印刷ステーションを通過するときに、連続ウエブの一部であることができる。他のステーションは対応する製品に作業するようにそれぞれが構成された複数のコンポーネントを有することができ、電子コントローラがそれぞれのコンポーネントの作業の変化に基づいて印刷作業を修正する。
【0012】
全般的に、別の態様において、本発明は、複数の液滴射出モジュールを有する被着装置を備え、被着装置は基板が被着装置に対して移動している間に基板の複数の領域上に液滴を被着するように構成されている、システムを含む。システムは、基板が截断装置に対して移動している間に基板の各領域を截断するように構成された複数の截断機を有する截断装置も備える。システムはさらに、1つまたはそれより多くの作動不能截断機に対応するウエブの領域には被着装置が印刷しないように被着装置を制御するように構成された電子コントローラを備える。
【0013】
全般的に、別の態様において、本発明は、基板経路に対して配置されるように構成され、よって基板経路に沿って移動している基板の複数の領域上に液滴を被着するように構成された被着装置を備える、システムを含む。システムは、被着装置に複数の基板領域上に液滴を被着させるように構成された電子コントローラも備え、電子コントローラは複数の要素を有するプログラマブルデータ構造(例えばアレイ)を有し、それぞれの要素は基板の一領域に対応し、第1の値を有するようにプログラムされた要素に対応する基板領域上には被着装置が液滴を被着するが、第1の値とは異なる第2の値を有するようにプログラムされた要素に対応する基板領域には被着装置は液滴を被着しない。要素は、製造ラインにおいて被着装置の上流または下流にある他のステーションのコンポーネントにも対応することができる。
【0014】
全般的に、一態様において、本発明はその上に画像が印刷されている製品を製造する方法を含み、本方法は、印刷ステーションを有する製造ラインの1つまたはそれより多くのステーションに対する経路に沿って製品を運搬する工程、それぞれの製品が印刷ステーションを通過する際に経路上の複数の場所で製品上に画像を印刷する工程、及び製造ラインの1つまたはそれより多くのステーションから受け取られる情報に基づいて印刷工程を修正する工程を含む。
【0015】
実施形態は以下の特徴の1つまたはそれより多くを有することができる。本方法は経路のいくつかの場所においては印刷ステーションが画像を印刷しないように印刷作業を修正する工程を含むことができる。前記いくつかの場所は製品の欠品に対応する場所とすることができる。
【0016】
全般的に、一態様において、本発明はその上に画像が印刷されている製品を製造するための製造システムを含み、製造システムは、製造システムを通る経路に沿って製品を搬送するように構成されたコンベヤー、製品がコンベヤーに載って印刷ステーションを通過する際にコンベヤー上の複数の場所において製品上に画像を印刷するように構成された印刷ステーション、コンベヤー上の、画像が印刷される場所にそれぞれが対応している、製品を検出するように構成された検知装置、及び印刷ステーションに命令を与えるように構成された、検知装置からの情報に基づいて印刷ステーションの作業を修正する、電子コントローラを備える。
【0017】
実施形態は以下の特徴の1つまたはそれより多くを有することができる。製造システムにおいて、電子コントローラは、コンベヤー上のいくつかの場所において印刷ステーションが画像を印刷しないように、印刷作業を修正する。前記いくつかの場所は、製品の欠品に対応する場所または検知装置による検出で製品を見落としている場所とすることができる。印刷ステーションは、製品上に液滴を被着することによって画像を印刷するように構成された、複数のインクジェット印刷モジュールを有することができる。インクジェット印刷モジュールは圧電型インクジェット印刷モジュールとすることができる。検知装置は複数のセンサまたはカメラを有することができる。
【0018】
本発明の実施形態は、特定のコンベヤー場所に対し、その場所における基板上への印刷が望ましくない場合に、製造システムによる印刷作業の選択的停止を可能にできる。これは製造ラインを停止せずに行うことができ、製造施設の全体効率を向上させる。
【0019】
印刷ステーションの上流または下流における製造システムの作業によっては、あるコンベヤー場所における印刷作業が望ましくなくなることがあり得る。例えば、印刷ステーションの上流のステーションが特定のコンベヤー場所に製品を置き損ねた場合、引き続くその場所での印刷作業はコンベヤー上に直接に印刷液を無駄に被着することになり、これはコンベヤーの清掃のために、保守コストを高め、製造ラインのダウンタイムを長くすることになり得る。さらに、高価な被着液に対しては、コンベヤー上への無駄な被着はコストを高め、製造システムの全般的な経済性を低め得る。
【0020】
印刷ステーションの上流または下流のステーションが故障した場合に、あるコンベヤー場所における印刷作業が望ましくなくなることがあり得る。この一例は、截断ステーションの截断機が連続ウエブからの製品の有効な截断を停止した場合である。いくつかの実施形態において、上流の印刷ステーションは下流の截断ステーションにおけるカッターに対応する連続ウエブのある場所に画像を印刷する。カッターが故障すると、対応する印刷された領域はウエブから截断されず、被着された液が無駄になることになろう。さらに、残りのウエブがリサイクルされる場合、被着された液はリサイクルされたウエブを汚すことになり、さらに無駄を生じることになり得る。
【0021】
したがって、とりわけ、本発明のシステム及び方法は製造ラインの効率及びスループットを向上させ、製造施設の全体的経済性を向上させ得るという利点を有する。
【0022】
本発明の1つまたはそれより多くの実施形態の詳細が添付図面に示され、以下の説明に述べられる。本発明のその他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面から、また特許請求の範囲から、明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
様々な図面において同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0024】
図1を参照すれば、製造システム100の一部は、印刷ステーション110,印刷ステーション110の上流の第1のステーション120及び印刷ステーションの下流の第2のステーション130を備える。製造システム100には、第1のステーション120,印刷ステーション110及び第2のステーション130を通過する経路に沿って製品111を運ぶコンベヤー101も備える。コンベヤー101は、多くのローラー105に載って、矢印102の方向に移動する。
【0025】
印刷ステーション110はそれぞれの製品上に、製品が印刷ステーションを通過する際に、画像を印刷する。一般に、画像は、グラフィック画像(例えば、絵)、文章または抽象的画像(例えば、抽象的ロゴまたはバーコードのような機能性抽象的画像)である。一般に、画像は製造システム100が用いられている特定の用途に依存する。
【0026】
いくつかの実施形態において、印刷される画像は製品毎ベースで変わり得る。例えば、バッチ内のそれぞれの製品上に相異なるシリアル番号またはメッセージ文を印刷することによって製品を個別化することができる。あるいは、いくつかの実施形態において、製品バッチ内のそれぞれの製品に同じ画像が印刷される。
【0027】
図1において製品111は単品製品として示されているが、一般に、製品は単品製品とすることができ、あるいは連続ウエブの一部とすることができる。後に(例えば印刷ステーション110の前または後で)連続ウエブを截断するかまたは連続ウエブから分離して単品製品とすることができる。
【0028】
単品製品の例には、パッケージ品(例えば、箱、ビン、缶またはその他の容器)、個別ラベル、薬剤品(例えば、個別錠剤)、食品(例えば、クッキーまたはキャンディ)または電子部品(例えばIC)がある。連続ウエブの例には、高分子材ウエブ、金属ウエブ(例えばアルミホイル)または連続食用物ウエブ(例えばクッキー生地)がある。
【0029】
上流ステーション120で実施される機能も製造システム100が用いられている特定の用途に依存して変わる。いくつかの実施形態において、上流ステーション120は、例えば欠品について、及び/またはコンベヤー101上の製品の場所を決定するために、それぞれの製品を検査(例えば光学検査)する、検査ステーションである。
【0030】
いくつかの実施形態において、上流ステーション120は成形機能を提供する。例えば、上流ステーション120は製品111に材料を被着または付着(例えばラミネート)することができ、あるいは部品を組み立てて製品111にすることができる。別の例において、上流ステーション120は前駆材料を押出成形して連続ウエブにする押し出しステーションとすることができる。
【0031】
下流ステーション130も、製造システム100が用いられている特定の用途に依存して、様々な作業を実施するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態において、下流ステーションは印刷ステーション110で製品111上に被着されたインクを乾燥または硬化させるために用いられる硬化ステーションとすることができる。硬化ステーションの例には、(例えば溶媒ベースのインクから溶媒を蒸発させるための)オーブンまたは、製品上に被着されたインクを硬化させるために適切な光でインクを照射する、露光ステーション(例えばUV露光ステーション)がある。
【0032】
図2Aを参照すれば、印刷ステーション110はプリントヘッド202及び、通信線路231を通じて、プリントヘッド202に命令を与え、プリントヘッド202から情報を受け取る、電子コントローラ230を有する。コントローラ230は通信線路232を通じて製造システム100の他のパーツとも交信する。例えば、コントローラ230は上流ステーション120及び/または下流ステーション130と交信することができる。
【0033】
図2Aに示されるように、コンベヤー101は製品211,212及び213を支持し、移動させてプリントヘッド202を通過させる。それぞれの製品がプリントヘッドを通る際に、製品の表面上にプリントヘッドが画像を印刷する。図2Aに表されている瞬間については、製品213がプリントヘッド202の下流にあって、その上面には画像222が既に印刷されている。製品212は、製品212の上面に画像を印刷する、プリントヘッド202に対面している。製品211はプリントヘッド202の上流にあり、印刷はまだ行われていない。
【0034】
プリントヘッド202は、製品がプリントヘッドに対面して移動している際に画像を形成するためにそれぞれの製品の上面に液滴を被着する多くの集成噴射部品(例えば圧電型インクジェット集成噴射部品)を収める。図2Aは、製品212の上面にオリフィス210から液滴220を射出する単一の集成噴射部品201を示す。
【0035】
平面図で示される、図2Bを参照すれば、プリントヘッド202はコンベヤー101上の3つのレーンのそれぞれにまたがる、3つの集成噴射部品201A〜201Cを有する。それぞれの集成噴射部品はコンベヤー101を横切る方向に延び、対応するレーンにまたがる、オリフィスアレイ(225A〜225C)を有する。コンベヤー101は、3つの製品が載ってプリントヘッド202を同時に通過するように、それぞれのレーンで製品を運ぶ。3つの製品は図2Bのそれぞれのレーンに示される。詳しくは、製品211A,212A及び213Aが1つのレーンで運ばれ、それぞれの製品が通過する際に製品上に画像を印刷する集成噴射部品201Aを通過する。同様に、製品211B〜213B及び製品211C〜213Cはそれぞれ別のレーンで運ばれ、それぞれの製品が通過する際に製品上に画像を印刷する集成噴射部品201B及び201Cをそれぞれ通過する。プリントヘッド202の下流にある製品213A〜Cにはそれぞれ画像222A〜Cが印刷されている。プリントヘッド202に対面している製品212A〜Cはそれぞれ画像の一部224A〜Cが印刷されている状態で示され、製品211A〜Cはプリントヘッド202の上流にあって、印刷はまだ行われていない。
【0036】
プリントヘッド202はコンベヤーを横切る方向に配列された3つの集成噴射部品を有するが、一般に、プリントヘッド内の集成噴射部品の数は変わり得る。いくつかの実施形態において、プリントヘッドは3つより多くの集成噴射部品を(例えば、4つまたはそれより多く、5つまたはそれより多く、6つまたはそれより多く、7つまたはそれより多く、8つまたはそれより多く、10またはそれより多くの集成噴射部品のように)有することができる。あるいは、別のプリントヘッドは集成噴射部品を1つまたは2しか有していないことがあり得る。
【0037】
一般に、製造システム100は、上流ステーション120及び/または下流ステーション130の作業に基づき、必要に応じて印刷ステーション110の作業を修正する。修正には、特定の製品上に印刷されるべき画像のタイプ、位置または性質の調節、あるいは特定の製品または基板の一部に全く印刷しないでおくことを含めることができる。
【0038】
上流ステーション120の作業に基づく印刷ステーション110の作業の修正の一例は、上流ステーション120がコンベヤー上の製品の存在または欠品を決定するセンサである場合である。例えば、いくつかの実施形態において、コンベヤー101はコンベヤー上の特定の場所に製品211A〜213Cを支持するための個別の窪みを有する。どの印刷ステーション110が画像を印刷するかのタイミングはそれぞれの窪みの場所のプリントステーション通過によって調製される。しかし、何らかの理由によって窪みが空であれば、印刷ステーションがその特定の窪みでは印刷しないように、印刷作業を修正することが望ましい。これは上流ステーション120における製品の存在または欠品についてそれぞれの窪みを検査することによってなされる。印刷ステーションはデフォルトとしてそれぞれの窪みにおいてプリントするようにプログラムされる。欠品が検出されると、上流ステーション120は印刷ステーション110に信号を送り、印刷ステーションに空の窪みにおける印刷を中止させる。
【0039】
下流ステーション130の作業に基づく印刷ステーション110の作業の修正の一例は、下流ステーション130が連続ウエブまたは連結ウエブから印刷済製品を截断する(または別の場合には分離する)ための機具を有する場合である。截断機のカッターが使用不能になると、システムは印刷ステーションに命令して使用不能のカッターに対応するウエブの領域への印刷を中止させることができる。
【0040】
図3を参照すれば、そのような截断機の一例は、コンベヤー101が連続ウエブ320を移動させて截断機を通過させる際に矢印331方向に回転するドラム310の外表面に取り付けられた一連のカッター311〜318を有する、截断機300である。ドラム310が回転すると、カッターが順次に製品をウエブから截断する。図3に表されている瞬間については、カッター311が製品をウエブ320から截断している。既に、カッター312,313及び314がそれぞれ製品321,322及び323をウエブ320から截断済である。ドラムがさらに回転すると、既に截断された製品の上流でカッター318が製品をウエブ320から截断するであろう。
【0041】
そのような截断機を用いることができる用途の一例は、連続ウエブから無線周波識別(RFID)タグの截断である。印刷ステーションは、その後に截断されるタグに対応するウエブのそれぞれの領域上に、識別画像(例えばシリアル番号)を印刷することができる。
【0042】
カッター311〜318の内の1つまたはそれより多くが、他のカッターの機能を果たす能力に実質的に影響を与えずに、使用不能になる(例えば、刃がなまる、壊れる、またはドラム300から外れる)ことがあり得る。この状況においては、印刷ステーションが使用不能カッターに対応するウエブの領域上には画像を印刷しないように印刷作業を修正することが望ましいことがあり得る。そのような領域上に印刷しなければインクを節約できる。さらに、未截ウエブがリサイクルされる場合、未截ウエブ領域上へのインク被着はウエブ材料を汚染し得る。
【0043】
用途に依存して、截断機300は一連のカッターだけを有することができる。そのような実施例において、截断機300はドラム310の部分回転毎にウエブから製品を1つだけ截断する。あるいは、截断機300はウエブを横切る方向に複数のカッターを有することができ、部分回転毎にウエブから対応する数の製品を截断する。いくつかの実施形態において、截断機はウエブを横切る方向にいくつか(4,5,6,7,8,9,10またはそれより多く)のカッターを有することができる。さらに、截断機300はドラム310の周縁に載る8連カッターを有しているが、一般に、この数は変わり得る。
【0044】
さらに、別のタイプの截断機を用いることもできる。例えば、截断機は、円筒ドラムの表面に配列された回転カッターアレイの代りに、コンベヤーが製品を移動させて截断機を通過させる際にウエブから製品を打ち抜く、平型カッターアレイを有することができる。
【0045】
ウエブから製品を截断する複数のカッターがある、截断機300のような截断機に対して、ウエブはそれぞれが異なるカッターに対応する座のアレイを有するとして表すことができる。印刷ステーションはこれらの座のそれぞれにおいて画像を印刷するように構成されるべきであり、それぞれの座は下流の截断機を通過する際にウエブから截断される。例えば、截断機が3レーンの8連カッターを有する、図4Aを参照すれば、截断機の1回転に対応するウエブ400の長さには、印刷ステーションが印刷するべき3×8アレイの座401〜428がある。
【0046】
截断機の作業に基づいて印刷ステーションの作業を修正するための一方法は、以下の通りである。印刷ステーションを制御する電子コントローラはそれぞれのカッターに対応する要素を有するデータ構造を有することができる。それぞれの要素に対する値は対応するカッターの状態を表す。例えば、カッターが適切に機能している場合、対応する要素は“1”に設定することができる。カッターが機能していなければ、対応する要素は“0”に設定することができる。図4Bも参照すれば、座412及び426に対するカッターが機能していない場合の、座401〜428に対するカッターに対応するアレイが示されている。ウエブは移動して印刷ステーションを通り過ぎるから、コントローラは、アレイの、印刷されている座の行に対応する列を読み出し、それにしたがって印刷ステーションに基板上への印刷を命令する。例えば、座401,411及び421がプリントヘッドに対面している場合、コントローラはアレイの第1列を読み出す。第1列の要素は全て値“1”を有しているから、印刷ステーションは3つの座の全てで画像を印刷する。しかし、座402,412及び422がプリントヘッドに対面している場合、コントローラはアレイの第2列を読み出し、座402及び422に対応する要素は“1”に設定されているが、座412に対応する要素は“0”に設定されているから、印刷は座402及び422だけで行われ、座412では行われない。アレイは、必要に応じて、手動で、または自動的に更新することができる。
【0047】
さらに一般的には、製造システムの他のステーションの作業または他のステーションからのフィードバックに基づいて印刷作業を制御するための更新可能なデータ構造を有するという概念は、截断だけでなく、他の作業に対しても用いることができる。例えば、製造システムが特定の座(例えばコンベヤー上の窪み)にある単品製品を印刷ステーションに送る場合、印刷ステーションの上流の検査ステーションが、製品がおかれていない座を識別し、それにしたがって、対応するデータ構造を、印刷ステーションがそのような座で印刷を行わないように更新することができる。
【0048】
上述の議論は製造される製品のそれぞれに画像を印刷する印刷ステーションに関しているが、いくつかの実施形態において、画像形成とは別の目的のために、製品上に材料を被着するために印刷ステーションを用いることができる。相応じて、そのような実施形態においては、被着される材料がインクではないことがあり得る。被着される材料には、フィルターアレイを形成するための材料のような受動光学材料、または有機発光ダイオードを形成するために用いられる材料のような発光材料を含む、光学材料を含めることができる。被着することができる液体の別の例は接着材料及び、導電性高分子材のような、電子材料である。
【0049】
被着される液体が極めて高価な実施形態においては、有効な製品が提供されないであろう座(例えば、空の座またはウエブから截断されないであろう座)における印刷を防止するために印刷作業を修正することは特に有用であり得る。さらに、被着される材料がコンベヤーを汚染し、清掃に相当な労力が必要となる場合にも空の座での印刷を防止することは特に有用である。
【0050】
本発明の多くの実施形態を説明した。しかしながら、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく様々な改変がなされ得ることは理解されるであろう。したがって、他の実施形態も添付される特許請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】印刷ステーションを含む製造ラインの一部の略図である
【図2A】製造ラインの印刷ステーションの断面図である
【図2B】図2Aに示される印刷ステーションの平面図である
【図3】製造ラインの截断機の断面図である
【図4A】截断機の一実施形態においてカッターに対応する製品座を示すコンベヤー上の基板の平面図である
【図4B】図4Aに示される製品座において製品上に画像を印刷するために印刷作業を制御するためのアレイである
【符号の説明】
【0052】
100 製造システム
101 コンベヤー
105 ローラー
110 印刷ステーション
111 製品
120 上流ステーション
130 下流ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像がその上に印刷されている製品を製造するための製造システムにおいて、前記製造システムが、
製造ラインの1つまたはそれより多くのステーションに対する経路に沿って製品を搬送するように構成されたコンベヤーであって、それぞれの製品は該コンベヤー上の座におかれるコンベヤー、
前記製品が前記コンベヤーに載って印刷ステーションを通過する際に、前記製品上に画像を印刷するように構成された印刷ステーション、及び
前記印刷ステーションに命令を与えるように構成された電子コントローラであって、 前記製造システムの他のステーションの作業に基づいて印刷作業を修正する電子コントローラ、
を備えることを特徴とする製造システム。
【請求項2】
前記他のステーションが前記印刷ステーションの上流にあることを特徴とする請求項1に記載の製造システム。
【請求項3】
前記他のステーションが前記印刷ステーションの下流にあることを特徴とする請求項1に記載の製造システム。
【請求項4】
前記他のステーションが検査ステーションであることを特徴とする請求項1に記載の製造システム。
【請求項5】
前記他のステーションが截断ステーションであることを特徴とする請求項1に記載の製造システム。
【請求項6】
前記製品が、前記印刷ステーションを通過するときに、単品製品の形態にあることを特徴とする請求項1に記載の製造システム。
【請求項7】
前記製品が、前記印刷ステーションを通過するときに、連続ウエブの一部であることを特徴とする請求項1に記載の製造システム。
【請求項8】
前記他のステーションが、それぞれが対応する製品に作業するように構成された複数のコンポーネントを有し、前記電子コントローラがそれぞれのコンポーネントの作業の変化に基づいて前記印刷作業を修正することを特徴とする請求項1に記載の製造システム。
【請求項9】
その上に画像が印刷されている製品を製造する方法において、前記方法が、
印刷ステーションを備える製造ラインの1つまたはそれより多くのステーションに対する経路に沿って製品を搬送する工程、
それぞれの製品が前記印刷ステーションを通過する際に、前記経路上の複数の場所において製品上に画像を印刷する工程、及び
前記製造ラインの1つまたはそれより多くのステーションから受け取る情報に基づいて前記印刷工程を修正する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記印刷ステーションが前記経路のいくつかの場所において画像を印刷しないように、前記印刷工程が修正されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記いくつかの場所が製品の欠品に対応する場所であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
その上に画像が印刷されている製品を製造するための製造システムにおいて、前記製造システムが、
前記製造システムを通過する経路に沿って製品を搬送するように構成されたコンベヤー、
前記製品が前記コンベヤーに載って印刷ステーションを通過する際に、前記コンベヤー上の複数の場所において前記製品上に画像を印刷するように構成された印刷ステーション、
前記コンベヤー上の製品を検出するように構成された検知装置であって、それぞれの製品は画像が印刷される場所に対応するものである検知装置、及び
前記印刷ステーションに命令を与えるように構成された電子コントローラであって、前記検知装置からの情報に基づいて前記印刷ステーションの作業を修正する電子コントローラ、
を備えることを特徴とする製造システム。
【請求項13】
前記印刷ステーションが前記コンベヤーのいくつかの場所において画像を印刷しないように、前記電子コントローラが前記印刷作業を修正することを特徴とする請求項12に記載の製造システム。
【請求項14】
前記いくつかの場所が、前記検知装置による検出時の前記製品の欠品または前記製品の見落としに対応する場所であることを特徴とする請求項13に記載の製造システム。
【請求項15】
前記印刷ステーションが、前記製品上に液滴を被着することによって画像を印刷するように構成された、複数のインクジェット印刷モジュールを有することを特徴とする請求項12に記載の製造システム。
【請求項16】
前記インクジェット印刷モジュールが圧電型インクジェット印刷モジュールであることを特徴とする請求項15に記載の製造システム。
【請求項17】
前記検知装置が複数のセンサを有することを特徴とする請求項12に記載の製造システム。
【請求項18】
前記検知装置がカメラを有することを特徴とする請求項17に記載の製造システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2008−531275(P2008−531275A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558166(P2007−558166)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/007198
【国際公開番号】WO2006/094023
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(506364477)フジフイルム ディマティックス インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】FUJIFILM Dimatix, Inc.
【Fターム(参考)】