説明

印刷ヘッドのクリーニング

【課題】ノズル群を複数備えた印刷装置におけるノズルの検査やクリーニングを効率よく行う技術を提供する。
【解決手段】ノズルの吐出検査を行い、吐出検査結果に基づいてクリーニングの対象となるノズル群を選択し、対象となったノズル群のクリーニングを行うことで、効率よくノズル群のクリーニングを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ノズルから印刷媒体上にインクを吐出することで画像の印刷を行う技術に関し、特に、ノズル群を複数備えた印刷装置におけるノズルのクリーニングを効率よく行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像の印刷装置として、インクジェットプリンタが広く普及している。インクジェットプリンタは、複数のノズルを有する印刷ヘッドを移動させながら、インクを印刷媒体上に吐出することで、画像の印刷を行っている。また、A列0番用紙やロール紙といった比較的大型の用紙に対応した印刷装置は、複数の印刷ヘッドを用いて画像の印刷を行っている。
【0003】
このようなインクジェットプリンタでは、インクの粘度の増加や、気泡の混入や、異物の付着等によって、ノズルが目詰まりを起こしたり、ノズルが吐出するインク量が変化したりする吐出異常が生じる場合があった。特に、A列0番用紙やロール紙といった比較的大型の用紙に対応した印刷装置は、複数の印刷ヘッドを用いており、使用しているノズルの数が多い。そのため、ノズルの検査やクリーニングを効率良く行いたいという要望があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、複数の印刷ヘッドを備えた印刷装置におけるノズルの検査を効率良く行うことを第1の目的とする。また、ノズルのクリーニングを効率よく行うことを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
この発明の一形態による印刷装置は、共通のインク供給路からインクの供給を受けるノズルで構成されるノズル群を複数備え、ノズルから印刷媒体上にインクを吐出することで、画像の印刷を行う印刷装置であって、前記ノズル群のノズルのクリーニングを行うクリーニング部と、前記ノズルのインクの吐出異常を検査するための所定の動作を実行するとともに、前記クリーニング部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、吐出検査結果に基づいて、クリーニングの対象となる対象ノズル群を選択する。
【0007】
この印刷装置は、インクの吐出検査に結果に基づいて、選択的にノズル群のクリーニングを行うことができるので、ノズルのクリーニングを効率よく行うことができる。
【0008】
上記印刷装置において、
前記制御部は、インクの補充時期と、インクタンクの交換時期と、最後に印刷を行ってからの経過時間と、インクの種類と、のうちの少なくとも一つに応じて、ノズルのクリーニングのシーケンスを決定するのが好ましい。
【0009】
こうすることで、インクの補充時期、インクタンクの交換時期、最後に印刷を行ってからの経過時間、インクの種類などの環境条件の違い応じて、より適したクリーニングを行うことができる。
【0010】
上記各印刷装置において、
さらに、光を射出する発光部と、前記光を受ける受光部とを有し、各ノズルのインクの吐出検査を行うことが可能な検査部を備え、前記制御部は、前記各ノズルのインク滴の軌跡と前記光とが交わるように、各ノズルからインク滴を吐出させて、各ノズルの吐出異常を検知する第1吐出検査モードを備えるのが好ましい。
【0011】
こうすることで、吐出異常のあるノズル群の検知を容易に行うことができる。
【0012】
上記各印刷装置において、
前記制御部は、テストパターンを印刷するテストパターン印刷部と、吐出異常ノズルの指定をユーザに許容する入力部と、を有し、ユーザによる前記入力部への入力に応じて、インクの吐出異常を検知する第2吐出検査モードを備えるのが好ましい。
【0013】
こうすることで、実際の印刷結果に応じた吐出異常ノズルの検知を行うことができる。
【0014】
上記各印刷装置であって、前記クリーニング部は、それぞれ少なくとも一つのノズル群を密閉して覆う複数のキャップと、各キャップとノズル群との密閉空間内のガスの吸引を行うための吸引部と、を備え、前記制御部は、前記クリーニングの対象ノズル群と向かい合った前記キャップを少なくとも用いて、ノズル群の密閉を行うクリーニングモードを有するのが好ましい。
【0015】
こうすることで、強制的にノズルからインクを吸引することができるので、より効果的にノズルのクリーニングを行うことができる。
【0016】
上記各印刷装置であって、
前記各キャップは、それぞれが第1開閉手段を備えた吸引路によって前記吸引部と接続され、前記制御部は、前記クリーニングの対象ノズル群を密閉するキャップ以外のキャップに対応する前記第1開閉手段を閉じることによって、前記対象ノズル群をクリーニングする第1種吸引クリーニングを行うモードを有するのが好ましい。
【0017】
こうすることで、吐出異常があるノズル群を優先的にクリーニングすることができるので、クリーニングの効率を上げることができる。
【0018】
上記各印刷装置であって、
前記各キャップは、それぞれが第1開閉手段を備えた吸引路によって前記吸引部と接続され、前記制御部は、前記クリーニングの対象ノズル群を密閉するキャップに対応する前記第1開閉手段を、前記吸引部が動作している間に、閉の状態が第1の所定の時間続いた後に開の状態にすることによって、前記対象ノズル群をクリーニングする第2種吸引クリーニングを行うモードを有するのが好ましい。
【0019】
こうすることで、吸引路内の圧力が下がった状態で、第1開閉手段を開くことができる。よって、勢いよくノズルからインクを吸引することができるので、より効果的にノズルのクリーニングを行うことができる。
【0020】
上記各印刷装置であって、
前記各ノズル群のための前記インク供給路は、それぞれが第2開閉手段を備え、前記制御部は、前記クリーニングの対象ノズル群の前記第2開閉手段を、前記吸引部が動作している間に、閉の状態が第2の所定の時間続いた後に開の状態にすることによって、前記対象ノズル群をクリーニングする第3種吸引クリーニングモードを有するのが好ましい。
【0021】
こうすることで、ノズル群とキャップとで構成される密閉空間内の圧力が下がった状態で、第2開閉手段を開くことができる。よって、勢いよくノズルからインクを吸引することができるので、より効果的にノズルのクリーニングを行うことができる。
【0022】
上記各印刷装置であって、
前記吸引部は、吸引力を変更することが可能な吸引手段を備えており、前記制御部は、クリーニングの種類に応じて、吸引手段の吸引力を選択するのが好ましい。
【0023】
こうすることで、クリーニングの種類に適した吸引力でのクリーニングを行うことができる。
【0024】
上記各印刷装置であって、
前記吸引部は、吸引力の異なる複数の吸引手段を備えており、前記制御部は、クリーニングの種類に応じて、吸引手段を選択するのが好ましい。
【0025】
こうすることで、クリーニングの種類に適した吸引力でのクリーニングを行うことができる。
【0026】
上記各印刷装置であって、
前記クリーニング部は、前記ノズルの開口部を拭うための、弾性体で構成されたワイパブレードを複数備え、前記制御部は、クリーニングの対象ノズル群と向かい合った前記ワイパブレードを少なくとも用いて、ノズル群のノズル開口を拭うワイピングを行うクリーニングモードを有するのが好ましい。
【0027】
こうすることで、ゴムやスポンジなどの弾性体で構成されたワイパブレードを用いて、強力にノズルのクリーニングを行うことができる。
【0028】
上記各印刷装置であって、
前記ワイパブレードは、前記キャップの配置に合わせて複数配置されており、同一のノズル群に対応する前記キャップと前記ワイパブレードとが、一つのユニットとして交換可能であるのが好ましい。
【0029】
こうすることで、キャップやワイパブレードに不具合が有る場合でも、不具合のあるユニットのみを交換することができるので、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0030】
上記各印刷装置であって、
前記制御部は、前記ノズル群と前記ワイパブレードとの少なくとも一方を移動させることで、前記ワイパブレードが、前記ノズル群から副走査方向にオフセットし、ノズルを含む平面から離れた位置をとることが可能であり、さらに、前記ワイパブレードをオフセットさせたままノズル群に近づける第1動作と、前記ワイパブレードを副走査方向に移動させる第2動作とを、適宜組み合わせることによって、前記ワイピングを行うのが好ましい。
【0031】
こうすることで、ノズル群を構成する複数のノズルを拭うことができるので、ワイピングの効率を上げることができる。
【0032】
本発明は、さらに、以下のような種々の形態をとることができる。
1.印刷媒体上に印刷を行う印刷装置であって、
複数種類のインクを吐出する複数のノズル群をそれぞれ備えたN個(Nは2以上の整数)の印刷ヘッドと、
前記N個の印刷ヘッドに関してノズルの吐出異常を検査するための複数の検査部と、
を備え、
前記複数の検査部の各検査部は、前記N個の印刷ヘッドの全部を検査することができず前記各検査部に予め割り当てられた少なくとも1つの印刷ヘッドの検査を実行できる位置に配置されている、印刷装置。
この印刷装置によれば、複数の印刷ヘッドのノズル検査を比較的短時間で精度良く実行することができる。
【0033】
2.形態1記載の印刷装置であって、さらに、
前記N個の印刷ヘッドを搭載し、所定の第1の方向に沿って往復移動するキャリッジを備え、
前記N個の印刷ヘッドの少なくとも一部の複数の印刷ヘッドは、前記第1の方向と垂直な第2の方向に関して互いに異なる位置に配置されており、
前記複数の検査部は、前記第2の方向に関して互いに異なる位置に配置されている、印刷装置。
【0034】
3.形態2記載の印刷装置であって、
前記N個の印刷ヘッドは、それぞれ前記第2の方向に沿ってほぼ一直線上に配置された印刷ヘッドで構成される複数の印刷ヘッド列に分類されているとともに、任意の1種類の同一のインクを吐出するために前記N個の印刷ヘッドに設けられたN個のノズル群は、前記第2の方向に沿って互いに異なる位置に配置されており、
前記複数の検査部は、前記N個のノズル群をそれぞれ検査可能なN個の検査部を含む、印刷装置。
【0035】
4.形態1ないし3のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記複数の検査部の個数は前記印刷ヘッドの個数Nと等しく、各検査部はそれぞれ1つの印刷ヘッドに関する検査を実行する、印刷装置。
【0036】
5.形態1ないし4のいずれかに印刷装置であって、
前記複数の検査部は、前記第1の方向に関して前記印刷媒体の両側端の外側に配置された第1と第2の検査部セットに分類されている、印刷装置。
【0037】
6.印刷ヘッドのノズル検査方法であって、
複数種類のインクを吐出する複数のノズル群をそれぞれ備えたN個(Nは2以上の整数)の印刷ヘッドを準備する工程と、
前記N個の印刷ヘッドに関してノズルの吐出異常を検査するための複数の検査部を準備する工程と、
前記複数の検査部の各検査部を用いて、前記各検査部に予め割り当てられた少なくとも1つの印刷ヘッドの検査を実行する工程と、
を備える方法。
【0038】
7.形態6記載の方法であって、さらに、
前記N個の印刷ヘッドは、所定の第1の方向に沿って往復移動するキャリッジ上に搭載されており、
前記N個の印刷ヘッドの少なくとも一部の複数の印刷ヘッドは、第1の方向と垂直な第2の方向に関して互いに異なる位置に配置されており、
前記複数の検査部は、前記第2の方向に関して互いに異なる位置に配置されている、方法。
【0039】
8.形態7記載の方法であって、
前記N個の印刷ヘッドは、それぞれ前記第2の方向に沿ってほぼ一直線上に配置された印刷ヘッドで構成される複数の印刷ヘッド列に分類されているとともに、任意の1種類の同一のインクを吐出するために前記N個の印刷ヘッドに設けられたN個のノズル群は、前記第2の方向に沿って互いに異なる位置に配置されており、
前記複数の検査部は、前記N個のノズル群をそれぞれ検査可能なN個の検査部を含む、方法。
【0040】
9.形態6ないし8のいずれかに記載の方法であって、
前記複数の検査部の個数は前記印刷ヘッドの個数Nと等しく、各検査部はそれぞれ1つの印刷ヘッドに関する検査を実行する、方法。
【0041】
10.形態6ないし9のいずれかに方法であって、
前記複数の検査部は、前記第1の方向に関して前記印刷媒体の両側端の外側に配置された第1と第2の検査部セットに分類されている、方法。
【0042】
11.印刷装置であって、
複数種類のインクを吐出する複数のノズル群をそれぞれ備え、個別に取り替え可能な複数の印刷ヘッドユニットと、
前記複数の印刷ヘッドユニットのノズルクリーニングを実行するクリーニング部と、
前記複数の印刷ヘッドユニットのそれぞれのノズルクリーニングの実行タイミングを規定するためのクリーニングタイミング情報を格納するタイミングテーブルと、
前記クリーニング部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記クリーニングタイミング情報に従って前記複数の印刷ヘッドユニットのそれぞれに関してノズルクリーニングを前記クリーニング部に実行させる、印刷装置。
この印刷装置によれば、個々の印刷ヘッドユニットでノズルクリーニングが必要が必要となる時期が異なる場合にも、各ユニットに適切なタイミングでノズルクリーニングを実行することができる。
【0043】
12.形態11記載の印刷装置であって、
前記制御部は、任意の1つの印刷ヘッドユニットが取り替えられたときに、当該印刷ヘッドユニットに関する前記クリーニングタイミング情報を更新する、印刷装置。
【0044】
13.形態12記載の印刷装置であって、
前記制御部は、各印刷ヘッドユニットの使用履歴に応じて各印刷ヘッドユニットに関する前記クリーニングタイミング情報を更新する、印刷装置。
【0045】
14.形態13記載の印刷装置であって、
前記制御部は、各印刷ヘッドユニットが前記印刷装置に装着された時点がより早いほど、より短い時間間隔で前記ノズルクリーニングが実行されるように前記タイミングテーブル内の前記クリーニングタイミング情報を更新する、印刷装置。
【0046】
15.印刷ヘッドのクリーニング方法であって、
複数種類のインクを吐出する複数のノズル群をそれぞれ備え、個別に取り替え可能な複数の印刷ヘッドユニットを準備する工程と、
前記複数の印刷ヘッドユニットのそれぞれのノズルクリーニングの実行タイミングを規定するためのクリーニングタイミング情報を設定する工程と、
前記クリーニングタイミング情報に従って前記複数の印刷ヘッドユニットのそれぞれに関してノズルクリーニングを実行する工程と、
を備える方法。
【0047】
16.形態15記載の方法であって、さらに、
任意の1つの印刷ヘッドユニットが取り替えられたときに、当該印刷ヘッドユニットに関する前記クリーニングタイミング情報を更新する工程を含む、方法。
【0048】
17.形態16記載の方法であって、さらに、
各印刷ヘッドユニットの使用履歴に応じて各印刷ヘッドユニットに関する前記クリーニングタイミング情報を更新する工程を含む、方法。
【0049】
18.形態17記載の方法であって、
前記クリーニングタイミング情報の更新は、各印刷ヘッドユニットの使用開始時点がより早いほど、より短い時間間隔で前記ノズルクリーニングが実行されるように行われる、方法。
【0050】
19.印刷媒体上に印刷を行う印刷装置であって、
複数種類のインクを吐出する複数のノズル群をそれぞれ備えたN個(Nは2以上の整数)の印刷ヘッドと、
前記N個の印刷ヘッドに関してノズルの吐出異常を検査するための検査部と、
を備え、
前記検査部は、前記検査によって吐出異常があると判定された異常ノズルに関して、前記異常ノズルが属するノズル群内における前記異常ノズルの番号と、前記ノズル群を有する印刷ヘッド内における前記ノズル群の番号と、前記印刷ヘッドの識別番号と、を含む異常ノズル情報を生成する、印刷装置。
この印刷装置では、異常ノズルの位置が、ノズル番号と、ノズル群番号と、印刷ヘッドの識別番号との3つを含む異常ノズル情報で識別できるので、この異常ノズル情報を利用して必要な処理を実行することができる。
【0051】
20.形態19記載の印刷装置であって、
前記印刷ヘッドの識別番号は、前記印刷ヘッドの製造時に前記印刷ヘッドに割り当てられた一義的な識別番号である、印刷装置。
【0052】
21.形態19または20記載の印刷装置であって、さらに、
前記N個の印刷ヘッドのノズルクリーニングを実行するクリーニング部と、
前記クリーニング部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記異常ノズル情報に従って前記異常ノズルを含む印刷ヘッドをクリーニング対象として選択し、前記選択された印刷ヘッドに対して前記ノズルクリーニングを前記クリーニング部に実行させる、印刷装置。
【0053】
22.印刷ヘッドのノズル検査方法であって、
複数種類のインクを吐出する複数のノズル群をそれぞれ備えたN個(Nは2以上の整数)の印刷ヘッドを準備する工程と、
前記N個の印刷ヘッドに関してノズルの吐出異常を検査する工程と、
前記検査によって吐出異常があると判定された異常ノズルに関して、前記異常ノズルが属するノズル群内における前記異常ノズルの番号と、前記ノズル群を有する印刷ヘッド内における前記ノズル群の番号と、前記印刷ヘッドの識別番号と、を含む異常ノズル情報を生成する工程と、
を備える方法。
【0054】
23.形態22記載の方法であって、
前記印刷ヘッドの識別番号は、前記印刷ヘッドの製造時に前記印刷ヘッドに割り当てられた一義的な識別番号である、方法。
【0055】
24.形態22または23記載の方法であって、さらに、
前記異常ノズル情報に従って、前記異常ノズルを含む印刷ヘッドをクリーニング対象として選択する工程と、
前記選択された印刷ヘッドに対してノズルクリーニングを実行する工程と、
を含む、方法。
【0056】
25.印刷装置であって、
複数種類のインクを吐出する複数のノズル群をそれぞれ備えた複数の印刷ヘッドと、
前記複数の印刷ヘッドのノズルクリーニングを実行するクリーニング部と、
前記クリーニング部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記ノズルクリーニングの対象として1つ以上の印刷ヘッドを選択し、前記選択された1つ以上の印刷ヘッドのすべてについて同時に前記ノズルクリーニングを前記クリーニングに実行させる、印刷装置。
この印刷装置によれば、ノズルクリーニングの対象とされた印刷ヘッドに関するクリーニングが同時に実行されるので、短時間で効率良くクリーニングを実行することができる。
【0057】
26.形態25記載の印刷装置であって、
前記ノズルクリーニングは、ノズルの吸引を含み、
前記制御部は、前記ノズルクリーニングの対象として選択された個々の印刷ヘッドに関して、前記ノズル吸引の吸引力を個別に設定可能である、印刷装置。
【0058】
27.形態26記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記ノズルクリーニングの対象として選択された個々の印刷ヘッドの使用履歴に応じて前記ノズル吸引の吸引力を設定可能である、印刷装置。
【0059】
28.印刷ヘッドのクリーニング方法であって、
複数種類のインクを吐出する複数のノズル群をそれぞれ備えた複数の印刷ヘッドを準備する工程と、
ノズルクリーニングの対象として1つ以上の印刷ヘッドを選択する工程と、
前記選択された1つ以上の印刷ヘッドのすべてについて同時に前記ノズルクリーニングを実行する工程と、
を備える方法。
【0060】
29.形態28記載の方法であって、
前記ノズルクリーニングは、ノズルの吸引を含み、
前記ノズル吸引の吸引力は、前記ノズルクリーニングの対象として選択された個々の印刷ヘッドに関して個別に設定可能である、方法。
【0061】
30.形態29記載の方法であって、
前記ノズル吸引の吸引力は、前記ノズルクリーニングの対象として選択された個々の印刷ヘッドの使用履歴に応じて設定可能である、方法。
【0062】
なお、この発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、印刷方法および印刷装置、印刷制御方法および印刷制御装置、ノズルのクリーニング方法および装置、ノズルの検査方法および装置、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例としてのプリンタの構成を示す説明図である。
【図2】実施例における印刷部の概略を説明する説明図である。
【図3】実施例における印刷ヘッド下面のノズル配列を示す説明図である。
【図4】実施例におけるキャリッジの概略を説明する説明図である。
【図5】実施例におけるキャリッジの概略を説明する説明図である。
【図6】実施例における印刷部の概略を説明する説明図である。
【図7】実施例における検査部が印刷ヘッドの吐出検査を行う様子を示す説明図である。
【図8】実施例におけるキャップ部の概略を説明する説明図である。
【図9】実施例におけるキャップ部の構成の一部を示す概念図である。
【図10】実施例におけるインク供給システムとキャップを用いたクリーニングシステムを模式的に説明する説明図である。
【図11】実施例としての第1種吸引クリーニングを示すフローチャート
【図12】実施例としての第2種吸引クリーニングを示すフローチャート
【図13】実施例としての第3種吸引クリーニングを示すフローチャート
【図14】実施例におけるワイパ部の概略を説明する説明図である。
【図15】実施例におけるワイパブレードを説明する斜視図である。
【図16】実施例におけるワイパブレードがノズルプレート下面を拭う様子を説明する説明図である。
【図17】実施例におけるワイパ部がキャリッジ上の印刷ヘッドのワイピングを行う様子を示す説明図である。
【図18】実施例における一つのユニットとして構成されたワイパブレードとキャップとの概要を示す斜視図である。
【図19】実施例におけるプリンタの制御回路の構成を示すブロック図である。
【図20】実施例としての第1シーケンスを示すフローチャートである。
【図21】実施例としての第2シーケンスを示すフローチャートである。
【図22】実施例としてのタイマクリーニングのシーケンスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.装置の構成:
B.クリーニングシーケンスの実施例:
C.変形例:
【0065】
A.装置の構成:
A1.プリンタの構成:
図1は、本発明の一実施例としてのプリンタ200の構成の概略を示す斜視図である。このプリンタ200は、例えばJIS規格のA列0番用紙やB列0番用紙やロール紙といった比較的大型の印刷用紙Pに対応したプリンタである。印刷用紙Pは、給紙部210から印刷部220に供給される。印刷部220は、供給された印刷用紙Pにインクを吐出することによって印刷を行う。印刷部220で印刷された印刷用紙Pは、排紙部230に排出される。
【0066】
給紙部210は、印刷用紙Pとしてのロール紙をセット可能なロール紙ホルダ211を備えている。ロール紙ホルダ211は、ロール紙を保持するスピンドル212と、スピンドル212の着脱および懸架が可能な第1スピンドル受け213と第2スピンドル受け214とを備えている。2つのスピンドル受け213、214は、プリンタ200上部に備えられている2本の支持柱215にそれぞれ設けられている。スピンドル212は、中央にロール紙が装着された後、両端が第1スピンドル受け213と第2スピンドル受け214とに装着される。
【0067】
排紙部230は、ロール紙を巻き取り可能な巻き取りホルダ231を備えている。巻き取りホルダ231は、印刷部220で印刷されたロール紙を巻き取るスピンドル232と、スピンドル232の着脱および懸架が可能な第1スピンドル受け233と第2スピンドル受け234とを備えている。2つのスピンドル受け233、234は、プリンタ200下部に備えられている2本の支持柱235にそれぞれ設けられている。スピンドル232は、両端が第1スピンドル受け233と第2スピンドル受け234とに装着され、図示しない駆動手段により回転可能となっている。なお、スピンドル212を駆動手段により回転させ、印刷用紙Pを巻き上げる構成にすることもできる。また、後述の様に、排紙ローラー等の紙送り手段を印刷部220内に設け、紙送り手段を駆動させることにより、印刷用紙Pを排出する構成とすることもできる。
【0068】
印刷部220の上面には、吐出異常ノズルやクリーニング対象ノズルの指定や印刷モードなどの入力が可能な入力部としての入出力部240が設けられている。
【0069】
図2は、印刷部220の構成を説明する構成図である。印刷部220は、複数の印刷ヘッド(後述する)が設置されたキャリッジ1を有している。このキャリッジ1には、印刷ヘッドが利用するインクを一時的に貯留する複数のサブタンクセット3Sが搭載されている。1つのサブタンクセット3Sは、複数のサブタンク3a〜3fを含んでいる。キャリッジ1は、キャリッジモータ100によって駆動される駆動ベルト101に連結されており、主走査ガイド部材102に案内されて、主走査方向MSに沿って移動することが可能である。キャリッジ1の主走査方向の移動範囲における印刷用紙Pの両端部には、ノズルの吐出検査を行う第1検査部10Aと第2検査部10Bとが設けられている。第2検査部10Bの横には、ノズルのワイピングを行うワイパ部30と、ノズル群を密封してクリーニングを行うキャップ部20と、サブタンクセット3Sにインクを供給するためのメインタンクセット9とが設けられている。1つのメインタンクセット9は、複数のメインタンク9a〜9fを含んでいる。
【0070】
印刷を行う場合には、キャリッジ1は主走査方向に移動しながら、ノズルから印刷用紙Pにインクを吐出して印刷を行う。ノズルの吐出検査を行う場合には、キャリッジ1は第1検査部10A、もしくは、第2検査部10Bと向かい合う位置に移動してノズルの吐出検査を行う。ノズルのワイピングを行う場合には、キャリッジ1はワイパ部30と向かい合う位置に移動してノズルのワイピングを行う。キャップを用いたクリーニングを行う場合には、キャリッジ1はキャップ部20と向かい合う位置に移動してノズルのクリーニングを行う。
【0071】
サブタンクセット3Sとメインタンクセット9とはインク供給路103によって接続されている。この実施例では、ブラックK、シアンC、淡シアンLC、マゼンタM、淡マゼンタLM、イエローYの6種類のインクのサブタンク3a〜3fがあり、対応する6つのメインタンク9a〜9fと、それぞれ接続されている。但し、利用可能なインクは6種類に限らず、4種類のインク(例えば、ブラックK、シアンC、マゼンタM、イエローY)や、7種類のインク(例えば、ブラックK、淡ブラックLK、シアンC、淡シアンLC、マゼンタM、淡マゼンタLM、イエローY)を利用することもできる。利用可能なインクの種類は、ユーザの要望に応じて決めることができる。
【0072】
図3は1つの印刷ヘッド6の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。印刷ヘッド6は3つのノズルプレート2a、2b、2cを有している。1つのノズルプレートの下面には、異なるインクを吐出することが可能な2つのノズル群が備えられており、印刷ヘッド6全体で6つのノズル群を有している。この実施例では、それぞれのノズル群に異なるインクが割り当てられているが、このうちの複数のノズル群から同じインクを吐出するようにしても良い。なお、本実施例では、各印刷ヘッド6を個別に取り替えることが可能である。すなわち、1つの印刷ヘッド6と、その印刷ヘッド6をキャリッジに固定するための部材(図示せず)とを含む組立体(「印刷ヘッドユニット」とも呼ぶ)が、1ユニットとして取り替えられる。
【0073】
発光部11と受光部12とは、各ノズルからインクが正常に吐出されているか否かの検査(以下「吐出検査」という。)を行うための検査ユニット13を構成している。第1検査部10Aと第2検査部10Bには、このような検査ユニットがそれぞれ複数組設けられている。これらの詳細については後述する。
【0074】
図4は、キャリッジ1の概略を説明する説明図である。この実施例では、印刷ヘッド6が、キャリッジ1上に複数配置されている。よって、比較的広い領域の印刷を一度に行うことが可能であり、比較的大型の印刷用紙を用いる場合でも、高速に印刷を行うことができる。
【0075】
図5は、キャリッジ1に搭載されたサブタンクの概略を説明する説明図である。キャリッジ1上には、各印刷ヘッド6に対して、1つのサブタンクセット3Sが配置されている。また、この実施例では、キャリッジ1上に全てのサブタンクセット3Sを2次元的に配置できないため、各サブタンクセット3Sは、キャリッジ1上に設けられた2段のサブタンク用プレート1A、1Bに分けて搭載されている。なお、プレートの数は2枚に限定されるものではなく、サブタンク3の数に応じて、1段あるいは3段以上のプレートを設けて対応することができる。
【0076】
図6は、キャリッジ1を含む印刷部220の一部断面図である。給紙部210(図1)から供給された印刷用紙Pは、プリンタ200の後上部(図6右上)から前下部(図6左下)にかけて設けられる印刷用紙搬送経路を経て印刷され、排紙部230に排出される。
【0077】
印刷用紙搬送経路上には、給紙部210側から順に、給紙ガイド105、給紙ローラ106、給紙ローラ106に向かい合って配置された従動ローラ107、傾斜して設けられた印刷ステージ108、印刷ステージ108に向かい合って配置されたキャリッジ1、排紙ガイド109、排紙ガイド109に向かい合って配置された排紙ローラ110が備えられている。
【0078】
給紙ガイド105と、印刷ステージ108と、排紙ガイド109とはそれぞれが平坦に形成されており、印刷用紙搬送面として作用する。よって、印刷用紙Pは平坦なまま搬送されるため、比較的大型の用紙を用いる場合でも、印刷用紙Pが波打って印刷画像が乱れることを防止することができる。
【0079】
キャリッジ1上の2段のサブタンク用プレート1A、1B上には、それぞれ複数のサブタンク3が搭載されている。それぞれのサブタンク3は、第2開閉手段としてのバルブ4を有している。印刷ヘッド6とサブタンク3とは、バルブ4を経由するインク供給路5によって接続されている。この実施例では、1つの印刷ヘッド6は6つのノズル群を有しているため、1つの印刷ヘッド6には、6つのサブタンク3a〜3f(図2)が接続されている。1つの印刷ヘッド6の6つのノズル群については、各ノズル群用のバルブ4を適宜開閉することで、個別にインクの供給を止めることができる。
【0080】
各サブタンク3の設置位置は、サブタンク3の高さと、対応するノズルプレート2の高さとの関係が、ノズルプレート2の位置によらずほぼ一定となるように設定されている。こうすることで、サブタンク3とノズルプレート2との水頭差の違いを小さくすることができる。よって、水頭差の違いによるインク吐出量の違いを小さくすることができ、均一な印刷画質を得ることができる。また、各サブタンク3の設置位置については、微調整を行うことができるようにしても良い。印刷ヘッドのインク吐出量にばらつきがある場合でも、サブタンク3の設置位置を調整することで水頭差を調整し、インク吐出量を調整することができる。また、サブタンク3とノズルプレート2とを一体として、キャリッジ1に固定してもよい。こうすることで、サブタンク3やノズルプレート2を交換する作業が容易となる。
【0081】
A2.検査部の構成:
図7は、第1検査部10Aで用いられている複数の検査ユニット13の配置と、ノズルの配置との関係を説明する説明図である。一つの検査ユニット13は、発光部11と受光部12とを有している。発光部11は受光部12に向けてレーザ光Lを射出する。発光部11と受光部12との配置は、レーザ光Lの方向と、副走査方向に沿って配置されたノズル列の方向とが、やや傾くように設定されている。吐出検査の際には、まず、発光部11から受光部12に向けてレーザ光Lを射出する。そして、図3に示すように、検査対象ノズルが吐出するインクの軌跡とレーザ光Lとが交わるように印刷ヘッドを移動させ、検査対象ノズルからインクを吐出させる。レーザ光Lが遮られた場合は、インクが吐出されていると判断する。
【0082】
第1検査部10Aと第2検査部10Bとは、図2に示すように、印刷用紙Pの両外側に配置される。図7は第1検査部10Aが吐出検査を行う様子を示している。この実施例では、第1検査部10Aは、キャリッジ上のA列とB列に配置された印刷ヘッド6の吐出検査を行い、第2検査部10Bは、キャリッジ上のC列とD列に配置された印刷ヘッド6の吐出検査を行う。第1検査部10Aには、副走査方向に沿って9組の検査ユニット13が配置されている。第1検査部10Aは、キャリッジ上に副走査方向に並んだ複数のノズルプレート2を、同時に検査することができる。第1検査部10Aが実線で表された位置にくるようにキャリッジを移動させることで、キャリッジ上のA列に配置された5個の印刷ヘッドの吐出検査を行うことができる。さらに、第1検査部10Aが破線で表された位置にくるようにキャリッジを移動させることで、キャリッジ上のB列に配置された4個の印刷ヘッドの吐出検査を行うことができる。キャリッジ上のC列とD列についても同様に、第2検査部10Bを用いて吐出検査を行うことができる。
【0083】
A列の印刷ヘッド6とB列の印刷ヘッド6との副走査方向の配置は、発光部11と受光部12とを設けることが可能な間隔DSをあけて設定されている。第1検査部10Aの発光部11と受光部12との副走査方向の配置は、A列およびB列の印刷ヘッド6の間、もしくは、外側となるように設定される。よって、発光部11と受光部12と印刷ヘッドとを干渉させずに吐出検査を行うことができる。C列およびD列と第2検査部10Bとの関係も同様であり、発光部11と受光部12とノズルプレート2とを干渉させずに吐出検査を行うことができる。
【0084】
A3.キャップ部の構成:
図8は、キャップ部20上のキャップセット21Sの配置を説明する説明図である。この実施例では、1つのキャップセット21Sは一つの印刷ヘッド6(図7)に対応しており、3つのノズルプレート2a、2b、2c(図3)に対応する3つのキャップ21a、21b、21cを有している。従って、1つのキャップは、2つのノズル群に対応するように設けられている。なお、1つのキャップを1つの印刷ヘッド6に対応させるようにしても良く、1つのキャップを1つのノズル群に対応させるようにしても良い。
【0085】
図9は、キャップ部20の構成の一部を示す概念図である。各キャップ21a、21b、21cには、第1開閉手段としてのバルブ23a、23b、23cを備える吸引路22a、22b、22cがそれぞれ接続されている。各吸引路22a、22b、22cは吸引部24に接続されている。この実施例では、吸引部24は、比較的吸引力の高い第1ポンプ24Aと、比較的吸引力の低い第2ポンプ24Bとで構成される。これらのポンプには、それぞれ第3開閉手段としてのバルブ25A、25Bがそれぞれ接続されている。これらのバルブ25Aとバルブ25Bとを選択的に開閉することで、第1ポンプ24Aと第2ポンプ24Bとを選択的に利用することができる。また、各バルブ23a、23b、23bから吸引部24へと向かう吸引路22は、その一部が共通の吸引路22eにまとめられている。
【0086】
キャップセット21Sは、図示しない駆動機構で駆動されて印刷ヘッド6に向かって移動し、印刷ヘッドの下面に密着して、ノズル群を覆う密閉空間を形成する。その後、吸引部24を稼働させ、密閉空間内のガスを吸引することで、密閉空間内の圧力が下がり、強制的にノズルからインクを吸引することができる。吸引されたインクは、吸引路22を経て、図示しない廃インク排出部に排出される。
【0087】
この実施例の吸引部24は、例えば、吸引ポンプやローラポンプを用いて構成することができる。構成が簡単なローラポンプを用いることで、吸引部のメンテナンスを容易にすることができる。また、吸引力が可変な吸引手段を用いることもできる。こうすることで、バルブ25を用いずに、クリーニングの種類に応じた適切な吸引力で吸引することができる。
【0088】
なお、キャップ部20は、印刷を行わない場合に、キャップセット21Sを印刷ヘッド下面に密着させた状態でバルブ23を閉じておくことで、ノズルが乾燥することを防止するために利用可能である。
【0089】
本実施例では、キャリッジ上の全ての印刷ヘッド6(図7)を同時に覆うことができる数のキャップセット21S(図8)が設けられており、すべての印刷ヘッド6を同時にクリーニングすることが可能である。この代わりに、キャップセット21Sを印刷ヘッド6の数よりも少ない数だけ準備しておき、キャップセット21Sと印刷ヘッド6の少なくとも一方を移動させて複数回のクリーニング動作を行うことで、全ての印刷ヘッド6のクリーニングを行う構成とすることもできる。こうすることで、装置の小型化を図ることができる。
【0090】
図10は、この実施例における、インク供給システムとキャップを用いたクリーニングシステムを模式的に説明する説明図である。なお、図10では、便宜上、1種類のインクを吐出する1つのノズルプレート2についてのクリーニングシステム構成を示している。このクリーニングシステムは、以下のような複数種類のクリーニング動作を行うことが可能である。
(1)第1種吸引クリーニング:
通常の吸引力でノズルからインクを吸引する。
(2)第2種吸引クリーニング:
吸引路上のバルブ23の開閉動作を利用して、急激にノズルからインクを吸引する。
(3)第3種吸引クリーニング:
インク供給路5上のバルブ4の開閉動作を利用して、急激にノズルからインクを吸引する。
【0091】
以下、クリーニングを行う際に行うサブタンク3内へのインクの充填に関するシーケンスについての説明は省略する。サブタンク3内のインクの充填状態を検知するには、ホール素子と、磁性体と、フロート機構などを組み合わせたセンサー等を利用することができる。
【0092】
図11は、第1種吸引クリーニングを示すフローチャートである。第1種吸引クリーニングを行う場合には、第1ポンプ24A、或いは、第2ポンプ24Bのどちらかを用いる。ここでは、比較的吸引力の低い第2ポンプ24Bを利用する場合について述べる。まず、ステップS900にて、バルブ25Aを閉じてバルブ25Bを開く。次にステップS902にて、インク供給路5に設けられた第2開閉手段としてのバルブ4を開いた状態にする。クリーニングの対象となるノズル群に対応するバルブ4以外のバルブ4については、閉じても良い。次にステップS904に移行し、複数のバルブ23のうちでクリーニングの対象となるノズル群に対応するキャップ21に接続されたバルブ23のみを開き、ステップ906に移行して、第2ポンプ24Bを作動させる。すると、第2ポンプ24Bは、バルブ23が開いているキャップ21のみについて、密閉空間内のガスを吸引し、ノズルからインクが吸引される。その結果、ノズルの吐出異常の原因となっていた異物や、粘度が高くなったインクなどが吸い出され、吐出異常が解消される。吸引されたインク等は、廃インク排出部27に排出される。
【0093】
このように、第1種吸引クリーニングでは、クリーニングの対象となったノズル群に対応するキャップについてインクの強制吸引を行うので、クリーニング対象外ノズル群からインクを吸引することを防止できる。この結果、クリーニング時に廃棄されるインク量を節約することができる。なお、バルブ操作とポンプ作動のタイミングについては、任意に決めることができるが、バルブ操作を行った後にポンプを作動させるのが好ましい。こうすることで、余分にインクを吸引することを防止することができる。なお、比較的低い力で吸引した場合には、ノズル開口近傍に形成されるメニスカスと呼ばれるインク界面が、クリーニングが終了した後に、好ましい形状に安定して戻ることができる。一方、比較的強い力で吸引した場合には、異物、泡等の排出能力を高めることができる。
【0094】
図12は、第2種吸引クリーニングを示すフローチャートである。第2種吸引クリーニングを行う場合には、第1ポンプ24A、或いは、第2ポンプ24Bのどちらかを用いる。ここでは、比較的吸引力の高い第1ポンプ24Aを利用する場合について述べる。まず、ステップS930にて、バルブ25Aを開いてバルブ25Bを閉じる。次のステップS932にて、インク供給路5に設けられた第2開閉手段としてのバルブ4を、開いた状態にする。クリーニングの対象となるノズル群に対応するバルブ4以外のバルブ4については、閉じても良い。次にステップ934に移行し、吸引路22に設けられた複数のバルブ23を、一旦、全てを閉じた状態にする。この状態でステップS936に移行し、第1ポンプ24Aを作動させる。第1ポンプ24Aが作動した後、ステップS938にて、タイマ68による経過時間の測定が開始される。ステップS940では、タイマ68が計測した経過時間と第1の所定の時間とが比較され、経過時間が第1の所定の時間を超えていない場合は、再びステップS940に返る。経過時間が第1の所定の時間より小さい間は、ステップS940が繰り返される。この間に、第1ポンプ24Aからバルブ23までの吸引路内のガスが吸引され、圧力が低くなる。経過時間が第1の所定の時間を超えた場合、ステップS942に移行し、クリーニングの対象となるノズル群に対応するバルブ23を開く。すると、バルブ23を開いたキャップ21についてのみ、密閉空間内の圧力が急激に下がり、ノズルから急激にインクが吸引される。その結果、ノズルの吐出異常の原因となっていた異物や、粘度が高くなったインクなどが吸い出され、吐出異常が解消される。吸引されたインク等は、廃インク排出部27に排出される。
【0095】
第2種吸引クリーニングは、第1種吸引クリーニングと比べて、急激なインクの強制吸引を行うため、第1種吸引クリーニングでは解消することが困難な吐出異常も解消することができる。なお、バルブ操作とポンプ作動のタイミングについては、操作の容易さに応じて任意に決めることができるが、バルブ23を全て閉じた後にポンプを作動させるのが好ましい。こうすることで、余分にインクを吸引することを防止することができる。
【0096】
第2種吸引クリーニングを行うための第1の所定の時間は、例えば、吸引部の吸引力が、−20kPa〜−60kPa(−0.2atm〜−0.6atm)程度である場合には、1秒以上10秒以下とするのが好ましく、2秒以上7秒以下とするのが特に好ましい。こうすることで、密閉空間内の圧力を十分に下げることが可能となり、短時間で吐出異常の解消を行うことができる。なお、第1の所定の時間は、密閉空間や吸引路の容積と吸引部の性能によって決めるのが好ましい。
【0097】
図13は、第3種吸引クリーニングを示すフローチャートである。第3種吸引クリーニングを行う場合には、第1ポンプ24A、或いは、第2ポンプ24Bのどちらかを用いる。ここでは、比較的吸引力の高い第1ポンプ24Aを利用する場合について述べる。まず、ステップS960にて、バルブ25Aを開いてバルブ25Bを閉じる。次のステップS962にて、吸引路22に設けられたバルブ23を、開いた状態にする。クリーニングの対象となるノズル群に対応するバルブ23以外のバルブ23については、閉じても良い。次にステップS964に移行し、インク供給路に設けられた第2開閉手段としての複数のバルブ4を、一旦、全てを閉じた状態にする。この状態でステップS966に移行し、第1ポンプ24Aを作動させる。第1ポンプ24Aが作動した後、ステップS968にて、タイマ68による経過時間の測定が開始される。ステップS970では、タイマ68が計測した経過時間と第2の所定の時間とが比較され、経過時間が第2の所定の時間を超えていない場合は、再びステップS970に返る。経過時間が第2の所定の時間より小さい間は、ステップS970が繰り返される。この間に、キャップ21によって形成された密閉空間内のガスが吸引され、圧力が低くなる。経過時間が第2の所定の時間を超えた場合、ステップS972に移行し、クリーニングの対象となるノズル群に対応するバルブ4を開く。すると、バルブ4を開いたキャップ21についてのみ、ノズルから急激にインクが吸引される。その結果、ノズルの吐出異常の原因となっていた異物や、粘度が高くなったインクなどが吸い出され、吐出異常が解消される。吸引されたインク等は、廃インク排出部27に排出される。
【0098】
第3種吸引クリーニングは、第1種吸引クリーニングと比べて、急激なインクの強制吸引を行うため、第1種吸引クリーニングでは解消することが困難な吐出異常も解消することができる。また、第2種吸引クリーニングと比べて、インクの吸引までに減圧している領域の容量が、キャップの分だけ大きいので、より効率よくインクを吸引することができる。なお、バルブ操作とポンプ作動のタイミングについては、操作の容易さに応じて任意に決めることができるが、バルブ4を全て閉じた後にポンプを作動させるのが好ましい。こうすることで、余分にインクを吸引することを防止することができる。
【0099】
第3種吸引クリーニングを行うための第2の所定の時間は、例えば、吸引部の吸引力が、−20kPa〜−60kPa(−0.2atm〜−0.6atm)程度である場合には、1秒以上10秒以下とするのが好ましく、2秒以上7秒以下とするのが特に好ましい。こうすることで、密閉空間内の圧力を十分に下げることが可能となり、短時間で吐出異常の解消を行うことができる。なお、第2の所定の時間は、密閉空間や吸引路の容積と吸引部の性能によって決めるのが好ましい。
【0100】
第2種、および、第3種クリーニングは、上述の説明のように比較的高い吸引力を利用することで、比較的低い吸引力を利用する場合と比べて、クリーニングシーケンスに必要な時間が同様であっても、より高い排出能を得ることができるという点で、優れている。
【0101】
吸引部としては、吸引力が可変である吸引部を利用することもできる。この場合、吸引クリーニングの種類に応じて適切な吸引力に調整するのが好ましい。また、吸引クリーニングの種類によらず、1種類の吸引部を利用することもできる。こうすることで、吸引部のコストを抑えることができる。
【0102】
なお、吸引クリーニング時の吸引力は、クリーニング対象となるすべての印刷ヘッド(またはすべてのノズル群)に対して同じ値に設定するようにしてもよく、あるいは、各印刷ヘッド毎(またはノズル群毎)に異なる吸引力を個別に設定するようにしてもい。後者の場合には、各印刷ヘッドに対する吸引力は、例えば、各印刷ヘッドで使用されるインクの種類や各印刷ヘッドの使用履歴に応じて決定される。
【0103】
クリーニングの対象となる印刷ヘッドとしては、例えば、検査部13(図7)の検査によって吐出異常があると判断されたノズル(異常ノズル)を含む印刷ヘッドが選択される。異常ノズルの位置は、異常ノズルが属するノズル群内における異常ノズルの番号と、そのノズル群を有する印刷ヘッド内におけるノズル群の番号と、印刷ヘッドの識別番号と、によって特定される。印刷ヘッドの識別番号は、プリンタ内の印刷ヘッドの位置から決定される番号であってもよく、あるいは、印刷ヘッドの製造時に印刷ヘッドに割り当てられた一義的な識別番号としても良い。
【0104】
制御回路40は、吐出検査の結果から、異常ノズルのノズル番号とノズル群番号と印刷ヘッドの識別番号を含む異常ノズル情報を生成し、この異常ノズル情報に応じてクリーニングの対象とする印刷ヘッドを選択することが可能である。また、異常ノズル情報をメモリに蓄積しておけば、異常の発生しやすいノズル/ノズル群/印刷ヘッドを判定するために、この異常ノズル情報を利用することができる。例えば、この異常ノズル情報と、印刷ヘッドの製造時に印刷ヘッドに割り当てられた一義的な識別番号から、製造工程の良否に関する情報を得ることも可能である。
【0105】
A4.ワイパ部の構成:
図14は、ワイパ部30(図2)の構成を説明する説明図である。ワイパ部30には、それぞれ3つのワイパブレード31a、31b、31cを有するワイパブレードセット31Sが、副走査方向に一列に5組配置されている。
【0106】
図15は、ワイパブレード31の斜視図である。ワイパブレード31は、弾性体としてのゴムを板状に加工したものであり、一つのノズルプレートを拭うのに十分な大きさに加工されている。一つのワイパブレード31は、一つのノズルプレートに対応するように限定するものではなく、例えば、一つのノズル群に対応するように設けることもでき、複数の印刷ヘッドに対応するように設けることもできる。例えば、1つのワイパブレード31で3つのノズルプレート2a,2b,2c(図3)のワイピングを同時に行うように構成することもできる。
【0107】
図16は、ワイパブレード31がノズルプレート2下面を拭う様子を説明する、ワイパ部30の側面図である。ノズルプレート2の下面にはノズルNzが副走査方向に沿って複数配置されている。ワイパ部30は、クリーニングの対象ノズル群から副走査方向にオフセットしているとともに、ノズルを含む平面から離れた図12(a)の点線の位置から、オフセットしたままノズル群に近づくように移動(第1動作)して、図12(a)実線の位置にくる。その後、図12(b)(c)(d)の順に副走査方向に沿って移動(第2動作)することで、ノズルプレート2の下面を拭うワイピングを行う。よって、ノズルプレート2の下面に付着した紙片やインク滓などを除去することで、吐出異常を解消することができる。
【0108】
図17は、ワイパ部30がキャリッジ上のノズルプレート2のワイピングを行う様子を示す説明図である。ワイパ部30は、キャリッジ上に副走査方向に並んだ複数のノズルプレート2を、同時にワイピングすることができる。ワイパ部30が実線で表された位置にくるようにキャリッジを移動させ、その後、ワイパ部30を上方に移動させることによって、キャリッジ上のA列に配置されるノズルプレート2のワイピングを行うことができる。さらに、ワイパ部30が破線で表された位置にくるようにキャリッジを移動させることで、キャリッジ上のB列に配置されるノズルプレート2のワイピングを行うことができる。キャリッジ上のC列、D列についても同様にワイピングを行うことができる。
【0109】
ワイパブレード31とキャップとは、一つのユニットとして構成することもできる。図18は、一つのユニットとして構成されたワイパブレード31とキャップ21との概要を示す斜視図である。ワイパブレード31とキャップ21とは、一つの印刷ヘッド6に対応して、3つずつ設けられている。ワイパブレード31、キャップ21ともに、一つのノズルプレート2に対応するように限定されるものではなく、一つのノズル群に対応するように設けることも可能であり、複数の印刷ヘッドに対応するように設けることも可能である。
【0110】
A6.制御部の構成:
図19は、制御部としての制御回路40を中心としたプリンタ200の構成を示すブロック図である。この印刷システムは、印刷制御装置としてのコンピュータ90を備えている。なお、プリンタ200とコンピュータ90とは、広義の「印刷装置」と呼ぶことができる。
【0111】
制御回路40は、CPU41と、プログラマブルROM(PROM)43と、RAM44と、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG)45とを備えた算術論理演算回路として構成されている。この制御回路40は、さらに、外部のモータ等とのインタフェースを専用に行なうI/F専用回路50とを備えている。このI/F専用回路50には、印刷ヘッド6を駆動してノズルプレート2よりインクを吐出させるヘッド駆動回路61と、紙送りモータおよびキャリッジモータ100を駆動するモータ駆動回路62と、第1検査部10Aと第2検査部10Bとを駆動する検査部駆動回路63と、吸引部を駆動する吸引部駆動回路64と、各バルブを駆動するバルブ駆動回路65と、キャップ部20を駆動するキャップ駆動回路66と、ワイパ部30を駆動するワイパ駆動回路67と、タイマ68と、ノズルクリーニングのタイミングを規定するタイミング情報を格納するタイミングテーブル70と、テストパターンを格納するテストパターン印刷部69と、入出力部240と、が接続されている。
【0112】
I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ90から供給される印刷データPDを受け取ることができる。I/F専用回路50が内蔵する回路は、パラレルインタフェース回路に限らず、ユニバーサルシリアルバスインタフェース回路などコンピュータ90との接続の容易性を考慮して決めることができる。プリンタ200は、この印刷データPDに従って印刷を実行する。なお、RAM44は、印刷データPDを一時的に格納するためのバッファメモリとして機能する。
【0113】
プリンタ200は、ノズルの吐出異常を検知するためのテストパターンを印刷することが可能である。テストパターン印刷は、入出力部240に対するユーザの指示やコンピュータ90からの指示に従って適宜行われる。印刷結果によって、吐出異常が有ると確認された場合には、ユーザは、入出力部240を通じて吐出異常ノズルを指定することができる。指定項目は、異常のあるノズルに限らず、ノズル群、印刷ヘッド、印刷ヘッドユニットなど、異常のあるノズルを含む複数のノズルで構成されるグループを指定するように構成することもできる。
【0114】
テストパターンを利用した吐出検査と、検査部(10A、10B)を利用した吐出検査とのうち少なくとも一方を行うことで、制御回路40は吐出異常の有るノズルを確認することができる。制御回路40は確認した吐出異常ノズルに基づいて、クリーニングの対象となるノズル群を選択することが可能である。クリーニング対象としては、吐出異常のあるノズル群のみを選択することができ、あるいは、吐出異常のあるノズル群と正常なノズル群とを含む一部のノズル群のみ(キャリッジ1上の全ノズル群ではない一部のノズル群のみ)をクリーニングの対象として選択することも可能である。こうすることによって、効率の良いクリーニングを行うことができる。また、吐出異常が生じることを未然に防ぐために、全てのノズル群をクリーニングの対象として選択するようにしても良い。
【0115】
吐出異常ノズルが発見された場合や、定期的なクリーニング時期に至った場合には、制御回路40は、ヘッド駆動回路61やキャップ駆動回路66などの印刷ヘッドのクリーニングを行うための駆動回路を適宜動作させることで、印刷ヘッドのクリーニングを行う。制御回路40は、インクの補充時期と、インクタンクの交換時期と、最後に印刷を行ってからの経過時間と、インクの種類と、のうちの少なくとも一つに応じてクリーニングシーケンスを決定することができる。例えば、経過時間に応じてクリーニングを実行する場合には、制御回路40は、タイミングテーブル70内に格納されているタイミング情報に基づいてクリーニングタイミングを決定する。「タイミング情報」は、クリーニングの実行タイミングを決定するための情報である。タイミング情報としては、例えばクリーニング実行の時間間隔を設定することができる。
【0116】
タイミングテーブル70内のタイミング情報は、個々の印刷ヘッドユニット毎に更新されることが好ましい。例えば、制御回路40は、1つの印刷ヘッドユニットが取り替えられたときに、その印刷ヘッドユニットのタイミング情報を更新することができる。また、タイミング情報は、印刷ヘッドユニットがプリンタに装着された時点がより早いほど、より短い時間間隔でノズルクリーニングが実行されるように設定されていることが好ましい。通常は、印刷ヘッドユニットの装着からの経過時間が長いほと、その印刷ヘッドユニットのノズルが吐出異常を起こし易くなる傾向がある。従って、個々の印刷ヘッドユニットの使用履歴に応じて個々の印刷ヘッドユニット毎にタイミング情報を更新してゆけば、ノズルの吐出異常をより効率的に検査することができる。なお、クリーニングシーケンスと、クリーニングの対象となるノズル群および印刷ヘッドの選択については後述する。
【0117】
B.クリーニングシーケンスの実施例:
B1.クリーニングシーケンス実施例1:
図20は、ノズル群のクリーニングを行うシーケンスの一実施例としての第1シーケンスを示すフローチャートである。まずステップS501にて第1検査部10A、第2検査部10Bを用いたノズルの吐出検査を行う。吐出異常が見つからなかった場合には、シーケンスを終了する。吐出異常が見つかった場合には、吐出異常のある印刷ヘッドのノズル群をクリーニングの対象として選択して、ステップS502に移行する。
【0118】
ステップS502では、上述の第1種吸引クリーニング(図11)を行う。その後、ステップS503で再び吐出検査を行う。吐出異常が解消された場合には、シーケンスを終了する。吐出異常が解消されない場合には、吐出異常のある印刷ヘッドのノズル群をクリーニングの対象として選択して、ステップS504に移行する。
【0119】
ステップS504では、上述の第3種吸引クリーニング(図13)を行い、続いて、ステップ505に移行して第1種吸引クリーニングを行う。その後、ステップS506で再び吐出検査を行う。吐出異常が解消された場合には、シーケンスを終了する。吐出異常が解消されない場合には、吐出異常のある印刷ヘッドのノズル群をクリーニングの対象として選択して、ステップS507に移行する。
【0120】
ステップS507では、上述の第3種吸引クリーニングと上述のワイピングを行い、続いて、ステップS508に移行して第1種吸引クリーニングを行う。その後、ステップS509で再び吐出検査を行う。吐出異常が解消された場合には、シーケンスを終了する。吐出異常が解消されない場合には、ステップS510に移行する。ステップS510では、入出力部240に不具合の表示を行い、処理を終了する。
【0121】
第3種吸引クリーニングは、急激にノズルからインクを吸引するので、クリーニングが終了した後でも、ノズル開口近傍に形成されるメニスカスと呼ばれるインク界面が好ましい形状に戻らない可能性がある。この実施例では、第3種吸引クリーニングの後に、静かにインクを吸引する第1種吸引クリーニングを行っている。よって、メニスカスが乱れた場合でも、メニスカスを整え、吐出異常ノズルが発生することを防止することができる。第3種吸引クリーニングのインク吸引の強さが、メニスカスを乱すほど強くない場合には、第3種吸引クリーニングの後の第1種吸引クリーニング(ステップS505、S508)を省略することができる。
【0122】
この実施例では、吐出異常の有るノズルプレートのみを選択してクリーニングを行うので、余分なノズルプレートからインクを吸引することなくクリーニングを行うことができる。よって、クリーニングに必要なインクを節約するとともに、新たに吐出異常のあるノズルプレートを発生させることを防止することができる。
【0123】
第3種吸引クリーニングと、第2種吸引クリーニングとは、吐出異常の解消能力がほぼ同じであるため、第3種吸引クリーニングの代わりに第2種吸引クリーニングを用いることもできる。
【0124】
本実施例では、第1検査部10A、第2検査部10Bを利用した吐出検査を行っているので、異常なノズルを容易に検出することができ、効率よくクリーニングを行うことができる。また、この代わりに、テストパターンを利用した吐出検査を行うこともできる。こうすることで、実際に印刷結果に基づく確実な吐出検査を行うことができる。
【0125】
B2.クリーニングシーケンス実施例2:
図21は、ノズル群のクリーニングを行うシーケンスの一実施例としての第2シーケンスを示すフローチャートである。このシーケンスは、インクを補充したり、インクタンクとしてのサブタンク3a〜3f(図2)やメインタンク9a〜9f(図2)を交換したり、インクの種類を交換したりした場合に実施される。
【0126】
まずステップS601で上述の第3種吸引クリーニング(図13)を行う。このステップS601では、全てのノズル群をクリーニングの対象としてクリーニングを行う。第3種吸引クリーニングが終了したら、ステップS602に移行する。
【0127】
ステップS602では、上述の第1シーケンスが実行される。ステップS602で吐出異常が無いことが確認された場合には、シーケンスを終了する。
【0128】
インクを補充したり、インクタンクとしてのサブタンク3a〜3f(図2)やメインタンク9a〜9f(図2)を交換したり、インクの種類を交換したりした場合には、気泡や異物がインク供給路内に混入する可能性がある。そのため、この実施例では、全てのノズル群を対象とした第3種吸引クリーニングを行うことで、吐出異常が生じることを未然に防いでいる。ステップS601での第2の所定の時間は、上述の第1シーケンスでの第3種吸引クリーニングの第2の所定の時間よりも長くするのが好ましい。例えば、5秒以上20秒以下とするのが好ましく、8秒以上15秒以下とするのが特に好ましい。こうすることで、異物が混入した場合でも、より強力にノズルのクリーニングを行うことが可能となる。
【0129】
インクを補充したり、インクタンクを交換したり、インクの種類を交換したりした場合には、ユーザが入出力部240を通じて指示することで、制御回路40がそれらの時期を検知することができる。
【0130】
また、インクタンクにインク量センサーを設け、制御回路40にインク量センサーの値を読みとる回路を備えることで、制御回路40が自動的にインクの補充時期を検知するように構成してもよい。このようなセンサーとしては、例えば、ホール素子と磁性体を利用したものを利用することができる。こうすることで、インクを補充した場合に、自動的に最適なクリーニングを行うことができる。
【0131】
また、インクタンクを装着する部分に、インクタンクの有無を識別するセンサーを設け、制御回路40にセンサー読みとり回路を備えることで、制御回路40が自動的にインクタンクの交換時期(着脱時期)を検知するように構成しても良い。こうすることで、インクタンクを交換した場合に、自動的に最適なクリーニングを行うことができる。
【0132】
また、インクタンクにインクの種類を識別する情報を保持する手段を設け、制御回路40にその識別情報を読みとる回路を備えることで、制御回路40が自動的にインク種類の交換時期を検知するように構成しても良い。また、識別情報が、インクの種類に応じて決まる所定のしきい値Tcl(後述)を含み、読みとり回路がその値も読みとるように構成しても良い。こうすることで、インクの種類を交換した場合に、自動的に最適なクリーニングを行うことができる。
【0133】
B3.クリーニングシーケンス実施例3:
図22は、時間の経過にともなって自動的に行われるタイマクリーニングのシーケンスを示すフローチャートである。まず、ステップS701にて、タイマ68による経過時間の計測が開始される。そして、ステップS702において、印刷指示の有無が判断され、印刷指示が無かった場合には、ステップS703に移行する。ステップS703では、タイマ68が計測した経過時間と所定のしきい値Tclとが比較され、経過時間がTclを越えていない場合には、再びステップS702に返る。所定のしきい値Tclは、インクの種類に応じて予め決められる値である。すなわち、印刷をしていない状態においては、プリンタ200はステップS702とステップS703間の流れで印刷指示を待ち続ける。ステップS702において印刷指示が有った場合には、ステップS708に移行して印刷が行われ、ステップS709においてタイマ68が計測した経過時間がクリアされ、ステップS701に戻り、タイマ68による経過時間の計測が再開される。
【0134】
なお、ステップS709においてタイマ68が計測した経過時間をクリアした後に、ステップS701でタイマをスタートするタイミングは、プリンタ200が印刷を終えて、ノズルの乾燥防止のためにノズルプレート2にキャップセット21Sが密着されるタイミングとすることができる。
【0135】
ステップS702とステップS703間の流れで印刷指示を待ち続けた結果、ステップS703において、タイマ68が計測した経過時間が所定のしきい値Tclを越えているとされた場合には、ステップS704に移行する。
【0136】
ステップS704では、全てのノズル群をクリーニングの対象として、第1種吸引クリーニングを行う。その後、ステップS705に移行し、上述の第1シーケンスが実行される。ステップS705で吐出異常が無いことが確認された場合には、ステップS706においてタイマ68が計測した経過時間がクリアされ、再びステップS701に戻って、タイマをスタートさせる。
【0137】
この実施例では、長時間印刷が行われない場合であっても、所定の時間(Tcl)毎にクリーニングが行われるので、インクが乾いてノズルが目詰まりを起こすことを防止することができる。この所定のしきい値Tclは、インクの種類に応じて決めることができる。例えば、乾燥しやすいインク用のしきい値Tclは、乾燥しにくいインク用のしきい値Tclよりも小さい値とするのが好ましい。こうすることで、インクの種類に応じた適切な頻度でクリーニングを行うことができる。所定のしきい値Tclは、入出力部240に入力されたインク種類情報に応じて自動的に設定するのが好ましい。こうすることで、インク種類に応じた適切な頻度でクリーニングを行うことができる。なお、しきい値Tclの値は、インクタンクに設けられたインク種類識別手段が保持するようにしても良い。制御回路40がこの情報を読みとることで、自動的にしきい値Tclの値を設定することができるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0138】
クリーニングシーケンスとしては、上述の実施例以外のものを構成することも可能であり、クリーニングの種類としては、上述した第1種ないし第3種吸引クリーニングや、ワイピング以外の動作も利用可能である。また、クリーニングシーケンスは、インクの補充時期、インクタンクの交換時期、最後に印刷を行ってからの経過時間、インクの種類、温度、湿度などの印刷環境に応じて設定することもできる。また、第1の所定の時間(図12)、第2の所定の時間(図13)、所定のしきい値Tcl(図22)は、上述の印刷環境に応じて、複数の値を用いるようにすることができる。
【0139】
なお、この発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0140】
C.変形例:
C1.変形例1:
この発明はドラムスキャンプリンタにも適用可能である。この発明は、いわゆるインクジェットプリンタのみではなく、一般に、印刷ヘッドからインクを吐出することによって画像を印刷する印刷装置に適用することができる。このような印刷装置としては、例えばファクシミリ装置や、コピー装置がある。
【0141】
C2.変形例2:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、プリンタ200内の制御回路40(図19)の機能の一部を、コンピュータ90が実行するようにすることも可能である。
【0142】
C3.変形例3:
上記実施例では、1つの検査部13(図7)が1つの印刷ヘッド6の検査のみを行い得るように配置されていたが、この代わりに、個々の検査部13が2つ以上の印刷ヘッド6の検査を行うことができるとともに1つの検査部13では全部の印刷ヘッド6の検査ができないように検査部13と印刷ヘッド6とが配置されていてもよい。但し、図7の例のように、N個(Nは2以上の整数)の印刷ヘッド6が副走査方向SSに関して互いに異なる位置に配置されている場合には、印刷ヘッド6の個数Nと等しい個数の検査部13を、副走査方向SSに関して異なる位置に配置することが好ましい。特に、レーザ光などの光を利用した光学式の検査部は、発光部と受光部の距離が大きくなるほど検出精度が悪化する傾向にある。従って、一般に、N個の印刷ヘッド6が特定の方向に関して異なる位置に配置されているときには、複数の検査部を設けて、各検査部の発光部と受光部の距離が検出精度の観点から十分に短くなるように設定することが好ましい。
【0143】
また、図2の例では、複数の検査部が、印刷媒体の両端の外側にそれぞれ配置された2つの検査部13A,13Bに分類されていたが、これらをいずれか一方に固めて配置するようにしてもよい。但し、2つの検査部13A,13Bに分けて配置するようにすれば、キャリッジが主走査方向に往復運動を行う際に2つの検査部13A,13Bで交互に検査を実行することができ、この結果、検査時間を短縮して検査の効率を高めることが可能である。なお、検査部としては、インクドットによって検査光が遮断されるか否かに応じてインク吐出の有無を判断する光学式の検査部に限らず、他の種類の検査部を採用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0144】
この発明にかかるプリンタは、ピエゾ素子やヒータなどの種々のアクチュエータを利用してインクを噴出するプリンタや、複写機、ファクシミリなどに適用可能である。
【符号の説明】
【0145】
1 …キャリッジ
1A…サブタンク用プレート
1B…サブタンク用プレート
2 …ノズルプレート
2a…ノズルプレート
2b…ノズルプレート
2c…ノズルプレート
3 …サブタンク
3a…サブタンク
3b…サブタンク
3c…サブタンク
3d…サブタンク
3e…サブタンク
3f…サブタンク
3S…サブタンクセット
4 …バルブ
5 …インク供給路
6 …印刷ヘッド
9 …メインタンク
9a…メインタンク
9b…メインタンク
9c…メインタンク
9d…メインタンク
9e…メインタンク
9f…メインタンク
10A…第1検査部
10B…第2検査部
11 …発光部
12 …受光部
13 …検査ユニット
20 …キャップ部
21 …キャップ
21a…キャップ
21b…キャップ
21c…キャップ
21S…キャップセット
22 …吸引路
22a…吸引路
22b…吸引路
22c…吸引路
22e…吸引路
23 …バルブ
23a…バルブ
23b…バルブ
23c…バルブ
24 …吸引部
24A…第1ポンプ
24B…第2ポンプ
25 …バルブ
25A…バルブ
25B…バルブ
27 …廃インク排出部
30 …ワイパ部
31 …ワイパブレード
31a…ワイパブレード
31b…ワイパブレード
31c…ワイパブレード
31S…ワイパブレードセット
40 …制御回路
41 …CPU
43 …P−ROM
44 …RAM
45 …CG
50 …I/F専用回路
56 …コネクタ
61 …ヘッド駆動回路
62 …モータ駆動回路
63 …検査部駆動回路
64 …吸引部駆動回路
65 …バルブ駆動回路
66 …キャップ駆動回路
67 …ワイパ駆動回路
68 …タイマ
69 …テストパターン印刷部
90 …コンピュータ
100…キャリッジモータ
101…駆動ベルト
102…主走査ガイド部材
103…インク供給路
105…給紙ガイド
106…給紙ローラ
107…従動ローラ
108…印刷ステージ
109…排紙ガイド
110…排紙ローラ
200…プリンタ
210…給紙部
211…ロール紙ホルダ
212…スピンドル
213…第1スピンドル受け
214…第2スピンドル受け
215…支持柱
220…印刷部
230…排紙部
231…ホルダ
232…スピンドル
233…第1スピンドル受け
234…第2スピンドル受け
235…支持柱
240…入出力部
MS…主走査方向
SS…副走査方向
DS…間隔
L…レーザ光
Nz…ノズル
P…印刷用紙
PD…印刷データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通のインク供給路からインクの供給を受けるノズルで構成されるノズル群を複数備え、ノズルから印刷媒体上にインクを吐出することで、画像の印刷を行う印刷装置であって、
前記ノズル群のノズルのクリーニングを行うクリーニング部と、
前記ノズルのインクの吐出異常を検査するための所定の動作を実行するとともに、前記クリーニング部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、吐出検査結果に基づいて、クリーニングの対象となる対象ノズル群を選択する、印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、インクの補充時期と、インクタンクの交換時期と、最後に印刷を行ってからの経過時間と、インクの種類と、のうちの少なくとも一つに応じて、ノズルのクリーニングのシーケンスを決定する、印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
さらに、光を射出する発光部と、前記光を受ける受光部とを有し、各ノズルのインクの吐出検査を行うことが可能な検査部を備え、
前記制御部は、
前記各ノズルのインク滴の軌跡と前記光とが交わるように、各ノズルからインク滴を吐出させて、各ノズルの吐出異常を検知する第1吐出検査モードを備える、印刷装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記制御部は、
テストパターンを印刷するテストパターン印刷部と、
吐出異常ノズルの指定をユーザに許容する入力部と、を有し、
ユーザによる前記入力部への入力に応じて、インクの吐出異常を検知する第2吐出検査モードを備える、印刷装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記クリーニング部は、
それぞれ少なくとも一つのノズル群を密閉して覆う複数のキャップと、
各キャップとノズル群との密閉空間内のガスの吸引を行うための吸引部と、
を備え、
前記制御部は、
前記クリーニングの対象ノズル群と向かい合った前記キャップを少なくとも用いて、ノズル群の密閉を行うクリーニングモードを有する、印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置であって、
前記各キャップは、それぞれが第1開閉手段を備えた吸引路によって前記吸引部と接続され、
前記制御部は、前記クリーニングの対象ノズル群を密閉するキャップ以外のキャップに対応する前記第1開閉手段を閉じた状態で前記対象ノズル群をクリーニングする第1種吸引クリーニングを行うモードを有する、印刷装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の印刷装置であって、
前記各キャップは、それぞれが第1開閉手段を備えた吸引路によって前記吸引部と接続され、
前記制御部は、前記クリーニングの対象ノズル群を密閉するキャップに対応する前記第1開閉手段を、前記吸引部が動作している間に、閉の状態が第1の所定の時間続いた後に開の状態にすることによって、前記対象ノズル群をクリーニングする第2種吸引クリーニングを行うモードを有する、印刷装置。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記各ノズル群のための前記インク供給路は、それぞれが第2開閉手段を備え、
前記制御部は、前記クリーニングの対象ノズル群の前記第2開閉手段を、前記吸引部が動作している間に、閉の状態が第2の所定の時間続いた後に開の状態にすることによって、前記対象ノズル群をクリーニングする第3種吸引クリーニングモードを有する、印刷装置。
【請求項9】
請求項5ないし請求項8のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記吸引部は、吸引力を変更することが可能な吸引手段を備えており、
前記制御部は、クリーニングの種類に応じて、吸引手段の吸引力を選択する、印刷装置。
【請求項10】
請求項5ないし請求項9のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記吸引部は、吸引力の異なる複数の吸引手段を備えており、
前記制御部は、クリーニングの種類に応じて、吸引手段を選択する、印刷装置。
【請求項11】
請求項5ないし請求項10のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記クリーニング部は、
前記ノズルの開口部を拭うための、弾性体で構成されたワイパブレードを複数備え、
前記制御部は、
クリーニングの対象ノズル群と向かい合った前記ワイパブレードを少なくとも用いて、ノズル群のノズル開口を拭うワイピングを行うクリーニングモードを有する、印刷装置。
【請求項12】
請求項11に記載の印刷装置であって、
前記ワイパブレードは、前記キャップの配置に合わせて複数配置されており、同一のノズル群に対応する前記キャップと前記ワイパブレードとが、一つのユニットとして交換可能である、印刷装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、
前記ノズル群と前記ワイパブレードとの少なくとも一方を移動させることで、前記ワイパブレードが、前記ノズル群から副走査方向にオフセットし、ノズルを含む平面から離れた位置をとることが可能であり、
さらに、前記ワイパブレードをオフセットさせたままノズル群に近づける第1動作と、前記ワイパブレードを副走査方向に移動させる第2動作とを、適宜組み合わせることによって、前記ワイピングを行う、印刷装置。
【請求項14】
複数の共通インク供給路から、それぞれインクの供給を受ける複数のノズル群と、ノズルのクリーニングを行うためのクリーニング部とを備える印刷装置のノズルクリーニング方法であって、
前記ノズルの吐出異常を検査するための所定の動作を実行する工程と、
前記吐出検査結果に基づいて、クリーニングの対象となる対象ノズル群を選択する工程と、
前記クリーニングの対象ノズル群のクリーニングを行う工程と、
を備えるノズルクリーニング方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、さらに、
インクの補充時期と、インクタンクの交換時期と、最後に印刷を行ってからの経過時間と、インクの種類と、のうちの少なくとも一つに応じて、ノズルのクリーニングのシーケンスを決定する工程を備える方法。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の方法であって、さらに、
各ノズルのインクの吐出異常を検査する工程を備え、
前記検査工程は、前記各ノズルのインク滴の軌跡と前記光とが交わるように、各ノズルからインク滴を吐出させて、各ノズルの吐出異常を検知する工程を含む、方法。
【請求項17】
請求項14または請求項15記載の方法であって、
前記検査工程は、
前記ノズルからインクを吐出してテストパターンを印刷する工程と、
前記テストパターンの印刷結果に応じた吐出異常ノズルの指定を受け取る工程と、
前記吐出異常ノズルの指定に応じて前記ノズルの吐出異常を検知する工程と、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項14ないし請求項17のいずれかに記載の方法であって、
前記クリーニング工程は、
それぞれ少なくとも一つのノズル群を密閉して覆う複数のキャップと、各キャップとノズル群との密閉空間内のガスの吸引を行うための吸引部とを準備する工程と、
前記クリーニングの対象ノズル群と向かい合った前記キャップを少なくとも用いて、前記対象ノズル群の密閉を行う工程と、
を含む方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記各キャップは、それぞれが第1開閉手段を備えた吸引路によって前記吸引部と接続され、
前記クリーニング工程は、
前記クリーニングの対象ノズル群を密閉するキャップ以外のキャップに対応する前記第1開閉手段を閉じた状態で前記対象ノズル群をクリーニングする第1種吸引クリーニングを行う工程を含む、方法。
【請求項20】
請求項18記載の方法であって、
前記各キャップは、それぞれが第1開閉手段を備えた吸引路によって前記吸引部と接続され、
前記クリーニング工程は、
前記クリーニングの対象ノズル群を密閉するキャップに対応する前記第1開閉手段を、前記吸引部が動作している間に、閉の状態が第1の所定の時間続いた後に開の状態にすることによって、前記対象ノズル群をクリーニングする第2種吸引クリーニングを行う工程を含む、方法。
【請求項21】
請求項18記載の方法であって、
前記各ノズル群のための前記インク供給路は、それぞれが第2開閉手段を備え、
前記クリーニング工程は、
前記クリーニングの対象ノズル群の前記第2開閉手段を、前記吸引部が動作している間に、閉の状態が第2の所定の時間続いた後に開の状態にすることによって、前記対象ノズル群をクリーニングする第3種吸引クリーニングを行う工程を含む、方法。
【請求項22】
請求項18記載の方法であって、
前記クリーニング工程は、
実行されるクリーニングの種類に応じて前記クリーニング時の吸引力を選択する工程を含む、方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法であって、さらに、
吸引力の異なる複数の吸引手段を準備する工程を備え、
前記クリーニング工程は、
実行されるクリーニングの種類に応じて吸引手段を選択する工程を含む、方法。
【請求項24】
請求項18ないし請求項23のいずれかに記載の方法であって、さらに、
前記ノズルの開口部を拭うための、弾性体で構成されたワイパブレードを複数準備する工程を備え、
前記クリーニング工程は、
クリーニングの対象ノズル群と向かい合った前記ワイパブレードを少なくとも用いて、ノズル群のノズル開口を拭うワイピングを行う工程を含む、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
前記ワイパブレードは、前記キャップの配置に合わせて複数配置されており、同一のノズル群に対応する前記キャップと前記ワイパブレードとが、一つのユニットとして交換可能である、方法。
【請求項26】
請求項24または請求項25に記載の方法であって、
前記ワイピング工程は、
前記ノズル群と前記ワイパブレードとの少なくとも一方を移動させることで、前記ワイパブレードが、前記ノズル群から副走査方向にオフセットし、ノズルを含む平面から離れた位置に配置する工程と、
前記ワイパブレードをオフセットさせたままノズル群に近づける第1動作と、前記ワイパブレードを副走査方向に移動させる第2動作とを、適宜組み合わせることによって、前記ワイピングを行う工程と、
を含む方法。
【請求項27】
共通のインク供給路からインクの供給を受けるノズルで構成される複数のノズル群と、ノズル群のノズルのクリーニングを行うためのクリーニング部とを備える印刷装置を制御するためのコンピュータプログラム製品であって、
コンピュータ読み取り可能な媒体と、
前記コンピュータ読み取り可能な媒体上に格納されたコンピュータプログラムと、を備え、前記コンピュータプログラムは、
前記ノズルのインクの吐出異常を検査するための所定の動作を実行する第1のプログラムと、
前記吐出検査結果に基づいて、クリーニングの対象となる対象ノズル群を選択する第2のプログラムと、
を備えるコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−179064(P2009−179064A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119418(P2009−119418)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【分割の表示】特願2003−585979(P2003−585979)の分割
【原出願日】平成15年4月21日(2003.4.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】