説明

印刷可能な誘電体材料、デバイス、および方法

無機粒子などの付加的な任意選択の成分と共に、比較的高い誘電率kを有するスチレン系ポリマー、典型的にシアノ官能性スチレン系ポリマーを含有するインクジェット印刷可能な組成物が開示される。前記組成物は典型的に、インクジェットプリンタを用いて印刷されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
誘電体材料は、多種多様な電子デバイスにおいて使用される。例を挙げると、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ(例えば、埋め込みコンデンサ)、およびレジスタなどがあり、例えば、増幅器、レシーバ、トランスミッタ、インバータ、および発振器を形成するために様々な配列で使用することができる。これらおよび他のデバイスにおいて用いられる誘電体材料はしばしば、電子デバイスを製造する間に複雑なパターンで堆積される。
【0002】
電子デバイスの寸法が減少したので、より小さな誘電体パターン、特により薄い誘電体パターンを作る必要が生じている。これらのより小さな、より薄い誘電体パターンは、高い誘電率kを有する材料を必要とする。さらに、誘電体パターンを簡単に変えることができ、誘電体パターンを特化することができる必要性が生じている。この必要性は、一部は、電子デバイスの特化、機能的なプロトタイプの必要性、短い製品開発サイクルに対する要求の増大によって促されている。
【0003】
このため、複雑な、微細なパターンで堆積することができる誘電体材料が必要とされており、また、容易に特化されるパターンで経済的に堆積することができる誘電体材料が必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、高い誘電率を有し、インクジェットプリンタで印刷することができる組成物、前記組成物の印刷方法、および前記組成物を用いて作製された物品を提供する。
【0005】
特定の実施態様において、本発明は液体供給媒体と、式:
【化1】

[上式中、RがCH3またはCH2CH2CNであり、各R5が独立して、アルキル基、ハロゲン、または少なくとも1個のCN基を含みCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基であり、n=0〜3である]にそれぞれ相応する少なくとも2個のモノマー単位を含むポリマーとを含有する組成物を含める。さらに、前記組成物は、無機粒子、例えば、チタン酸バリウム粒子を含有してもよい。前記ポリマーおよび粒子を含有する組成物は概して、硬化する前に、インクジェットプリンタを用いて印刷可能であるような粘度を有する。
【0006】
いくつかの実施態様において、本発明は、液体供給媒体と、式:
【化2】

[上式中、XがO、S、またはNR10を表し、R10がHまたはC1−C2アルキル基を表し、R6が、場合により少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されたC1-C5アルキレン基を表し、R7がHまたはCH3を表し、R8がC1−C6アルキル基、または少なくとも1個のCN基を含みCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基を表し、R9が、少なくとも1個のCN基を含みCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基を表す]にそれぞれ相応する少なくとも2個のモノマー単位を有するポリマーとを含有する組成物を含める。
【0007】
本発明の様々な特徴および利点は、本発明の以下の詳細な説明およびクレームから明らかであろう。上記の要旨は、本開示の各々の説明された実施態様または全ての実施態様について記載することを意図するものではない。以下の詳細な説明は、本明細書に開示された原理を利用する特定の好ましい実施態様をより詳しく例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の印刷可能な組成物は、無機粒子などの付加的な任意選択の成分と共に、比較的高い誘電率kを有するスチレン系ポリマー、典型的にシアノ官能性スチレン系ポリマーと、液体供給媒体とを含有する。
【0009】
前記組成物は典型的に、インクジェットプリンタを用いて印刷することができる。前記組成物のために用いられるポリマー材料、適した粒子、および組成物の印刷方法は、ここにより詳細に記載される。
【0010】
本明細書中で用いられるとき、「ポリマー」は、2つ以上のモノマー単位を含有し(例えば、ホモポリマーおよびコポリマー)、「コポリマー」は、2つ以上の異なったモノマー単位を含有し、ターポリマー、テトラポリマーなどを包含する。コポリマーは、ランダム、ブロック、交互などであってもよい。
【0011】
本明細書中で用いられるとき、「a」または「an」または「the」は「少なくとも1つの」と交換可能に用いられ、修飾されている要素の「1つ以上の」を意味する。
【0012】
本明細書中で用いられるとき、用語「有機基」は、脂肪族基、環状基、または脂肪族基と環状基との組合せ(例えば、アルカリール基とアラルキル基)に分類される炭化水素基(酸素、窒素、硫黄、ケイ素、およびハロゲンなど、炭素および水素以外の任意選択の元素を有する)を意味する。本発明の文脈において、有機基は、有機誘電体層のフィルム形成性質および/または有機誘電体層に隣接した半導体層の形成または機能を妨げない有機基である。用語「脂肪族基」は、飽和または不飽和直鎖または分岐状炭化水素基を意味する。この用語を用いて、例えば、アルキル、アルケニル、およびアルキニル基を包含する。用語「アルキル基」は例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、ヘプチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2−エチルヘキシルなどの飽和直鎖または分岐状炭化水素基を意味する。用語「アルケニル基」は、ビニル基などの1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和直鎖または分岐状炭化水素基を意味する。用語「アルキニル基」は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する不飽和直鎖または分岐状炭化水素基を意味する。用語「環状基」は、脂環式基、芳香族基、または複素環基に分類される閉鎖環状炭化水素基を意味する。用語「脂環式基」は、脂肪族基の特性に似た特性を有する環状炭化水素基を意味する。用語「芳香族基」または「アリール基」は、単一または多核芳香族炭化水素基を意味し、その範囲内にアルカリールおよびアラルキル基を含める。用語「複素環基」は、環中の原子の1個以上が炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素、硫黄など)である閉鎖環状炭化水素を意味する。
【0013】
置換も本発明のポリマーの有機基について予想される。この出願全体に用いた特定の用語の考察及び列挙を単純化する手段として、用語「基(group)」及び「部分(moiety)」を用いて、置換を可能にする、または置換され得る化学種と、置換を可能にしない、または同様に置換され得ない化学種とを区別する。従って、用語「基」を化学置換基について記載するために用いるとき、記載された化学物質は、未置換基及び、例えば、(アルコキシ基中のように)鎖中にO、N、Si、またはS原子を有するその基、並びにカルボニル基または他の通常の置換を含有する。用語「部分」を化学化合物または置換基について記載するために用いる場合、未置換の化学物質だけを含めるものとする。例えば、語句「アルキル基」は、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル等の純粋な開鎖飽和炭化水素アルキル置換基だけではなく、例えば、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルホニル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシルなどの従来技術に周知の更に別の置換基を有するアルキル置換基をも含めるものとする。従って、「アルキル基」は、エーテル基、ハロアルキル、ニトロアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、スルホアルキルなどを含める。他方、語句「アルキル部分」は、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル等の純粋な開鎖飽和炭化水素アルキル置換基だけを含めるように限定されている。
【0014】
本明細書中で用いられるとき、「層」は、例えば、溶液塗布方法または蒸着方法を用いて前駆物質化合物から支持体上に形成することができる一切の層を指す。用語「層」は、「バリア層」、「誘電体層」、「絶縁層」、および「導電性層」など、半導体産業に固有の層を含めるものとする(用語「層」は、半導体産業においてしばしば用いられる用語「フィルム」と同義語である)。層は、連続したおよび不連続なパターンを備えることができる。用語「層」はまた、ガラス上のコーティングなど、半導体技術外の技術に見出される層を含めるものとする。
【0015】
ポリマー材料
本発明のインクジェット印刷可能な組成物には、比較的高い誘電率を有する、スチレン系ポリマー、典型的にシアノ官能性スチレン系ポリマーがある。これらのポリマーを標準化学技術(例えば、相応するモノマーのフリーラジカル重合または既存のポリマーの化学改質)によって調製することができる。
【0016】
印刷可能な組成物の形成に使用するのに適したポリマーには、シアノ官能性部分および比較的高い誘電率を全ポリマーにもたらす部分を有するポリマーが挙げられ、この部分は、同一または異なっていてもよい。ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。コポリマーは、2つ以上の異なったモノマーから調製されたそれらのポリマーであり、ターポリマー、テトラポリマーなどがある。モノマーは、ランダム、ブロック、セグメント化コポリマー、ならびに様々な他の構造配置のいずれかを形成することができる。
【0017】
無機粒子が印刷可能な組成物に含有されている場合、印刷可能な組成物中のポリマーの量は典型的に、前記ポリマーと無機粒子との全重量を基準として、少なくとも5、10、20、30または40パーセントから50、80、またはさらに95重量パーセントまでの範囲であるが、より多いおよびより少ない量もまた、用いてもよい。
【0018】
1つの実施態様において、ポリマーは、式:
【化3】

[上式中、各R1が独立してH、アリール基(アラルキルおよびアルカリールなど)、Cl、Br、I、または架橋可能な基(すなわち、1個以上の架橋可能な基)を含有する有機基であり、各R2が独立してH、アリール基(アラルキルおよびアルカリールなど)、またはR4であり、各R3が独立してHまたはメチルであり、各R5が芳香環の置換基であり、独立してアルキル基、ハロゲン、またはR4であり、n=0〜3であり、各R4が独立して、少なくとも1個のCN基を含有するCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基であるが、ただし、ポリマー中の少なくとも1つのモノマー単位がR4を含有することを条件とする]にそれぞれ相応する少なくとも2個のモノマー単位を有するほとんど非フッ素化された有機ポリマーを含有する。好ましくは、少なくとも1個のR1が架橋可能な基を含有する。特定の実施態様について、ほとんど非フッ素化された誘電体ポリマーが架橋される。
【0019】
別の実施態様において、本発明は、モノマー単位を有する有機ポリマー(好ましくは、ほとんど非フッ素化された有機ポリマー)を含有する誘電体層を備える電子デバイスを提供し、そこにおいて、各R1が独立して、架橋可能な基(すなわち、1個以上の架橋可能な基)を含有する有機基であり、各R2が独立してH、アリール基(アルカリールおよびアラルキルなど)、またはR4であり、各R3が独立してHまたはメチルであり、各R5が芳香環の置換基であり、独立してアルキル基、ハロゲン、またはR4であり、n=0〜3であり、各R4が独立して、少なくとも1個のCN基を含有するCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基であるが、ただし、ポリマー中の少なくとも1つのモノマー単位がR4を含有することを条件とする。2個のモノマー単位が同じであってもよく、それによってホモポリマーを形成する。架橋可能なポリマーは、製造方法の融通性を提供し、溶液加工されたデバイス層と容易に統合されるので、特に望ましい。
【0020】
特定の実施態様について、ポリマーが架橋される。架橋されたポリマーは典型的に、それらの架橋されていない類似体よりも高いブレークダウン電界強度を許容する。また、典型的に、架橋されたおよび架橋されていないポリマーの誘電率に差がある。ポリマーは、ほとんど非フッ素化であってもよい。ここにおいて、「ほとんど非フッ素化された」は、ポリマー層中の炭素の5パーセント未満(より好ましくは1パーセント未満およびさらにより好ましくは0パーセント)がフッ素置換基を有することを意味する。従って、特定のポリマーは、(例えば、R5に)フッ素の少量を有することができる。
【0021】
特定の実施態様について、少なくとも1つのR1が、少なくとも1つの架橋可能な基を含有する。架橋可能な基の例には、例えば、(メタ)アクリレート(すなわち、アクリレートおよびメタクリレート)、アミン、ヒドロキシル、チオール、オキシラン、アジリジン、クロロシラン(例えば、トリアルコキシシラン)、ビニル、およびアルコキシシラン(例えば、トリアルコキシシラン)などがある。好ましくは、架橋可能な基はアクリレートである。様々な架橋可能な基の組合せがいずれか1つのポリマー中にありうる。典型的に、架橋可能な基が大きさが20個までの炭素原子であってもよい有機基に導入される。さらに、架橋可能な基は、O、N、S、P、およびSiなどのヘテロ原子を含有することができる。
【0022】
特定の実施態様について、R1およびR2は、大きさが18個までの炭素原子を含有することができるアリール基を含有する。好ましくは、R1およびR2のためのアリール基は(C5−C8)アリール基であり、それらの例には、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、またはそれらのアルキル置換誘導体などがあるがそれらに限定されない。R1およびR2のための好ましいアリール基には、フェニルがある。これらの基は、1〜3個のR5基で置換されてもよい。
【0023】
特定の実施態様について、R5が(C1-C20)アルキル基であってもよく、より好ましくは(C1−C12)アルキル基、さらにより好ましくは(C1−C8)アルキル基、さらにより好ましくは(C1−C4)アルキル基であってもよく、それらの例には、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどがあるがそれらに限定されない。特定の実施態様について、R5がハロゲンであってもよく、好ましくは、Cl、Br、またはIであってもよい。特定の実施態様について、R5がR4であってもよく、R4が、少なくとも1個のCN基を含有するCN基1個当たり30〜200の分子量を有する(C2−C12)有機基である。
【0024】
特定の実施態様について、各R4が、少なくとも1個のCN基を含有するCN基1個当たり30〜200の分子量を有する(C2−C20)有機基であり、より好ましくは(C2−C12)有機基である。特定の実施態様について、R4が、1個以上の芳香族基を含有する。好ましくは,分子量は、CN基1個当たり30〜150である。R4のためのCN含有基の例には、N−メチル−(2−シアノエチル)カルバミド、N−ビス(2−シアノエチル)カルバミド、p−(2−シアノエチル)フェニル、p−(2,2−ジシアノプロピル)フェニル、p−(1,2−ジシアノプロピオニトリロ)フェニル、N−メチル−N−(2−シアノエチル)ベンジルアミノ、ビス−N−(2−シアノエチル)ベンジルアミノ、シアノメチル、2,2’−ジシアノプロピル、1,2,2’−トリシアノエチル、およびN,N’−ビス(2−シアノエチル)アミノエチルなどがあるがそれらに限定されない。
【0025】
特定の実施態様について、R2が独立してH、(C5−C8)アリール基、またはR4およびR4が、少なくとも1個のCN基を有するCN基1個当たり30〜200の分子量を有する(C2−C20)有機基、より好ましくは(C2−C12)有機基である。
【0026】
特定の実施態様において、本発明は、式:
【化4】

[上式中、XがO、S、またはNR10を表し、R10がHまたはC1−C2アルキル基を表し、R6が、場合により少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されたC1-C5アルキレン基を表し、R7がHまたはCH3を表し、R8がC1−C6アルキル基、または少なくとも1個のCN基を含みCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基を表し、R9が、少なくとも1個のCN基を含みCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基を表す]にそれぞれ相応する少なくとも2個のモノマー単位を有するポリマーを含有する組成物を含める。
【0027】
1つの方法において、本発明は、式:
【化5】

[上式中、RがCH3またはCH2CH2CNであり、各R5が独立して、アルキル基、ハロゲン、または少なくとも1個のCN基を含みCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基であり、n=0〜3である]にそれぞれ相応する少なくとも2個のモノマー単位を有するポリマーを提供する。
【0028】
さらに別の適したポリマーには、2003年5月8日に出願された米国特許出願第10/434,377号明細書(バイ(Bai)ら)に開示されたポリマーがある。
【0029】
液体供給媒体
液体供給媒体は典型的に、少なくとも1つの水および/または少なくとも1つの有機溶剤を含む。典型的な有機溶剤には、グリコール(例えば、モノ−、ジ−またはトリ−エチレングリコールまたはより高級なエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールまたはこのようなグリコールのエーテル、チオジグリコール)、グリセロールおよびそれらのエーテルおよびエステル、ポリグリセロール、モノ−、ジ−、およびトリ−エタノールアミン、プロパノールアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリドン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、プロピレンカーボネート、およびそれらの組合せがある。印刷可能な組成物は、例えば、着色剤(例えば、染料および/または顔料)、チキソトロープ、増粘剤、またはそれらの組合せなどの1つ以上の任意選択の添加剤を含有してもよい。
【0030】
液体供給媒体は、本明細書に記載されたように、典型的に所望の粘度を達成するために選択されたいずれかの量において、印刷可能な組成物中に存在してもよい。典型的に、液体供給媒体は、印刷可能な組成物の全体積を基準として、少なくとも50体積パーセントから80体積パーセントまでの量において印刷可能な組成物中に存在する。
【0031】
粒子
本発明のインクジェット印刷可能な組成物はさらに、場合により、高い誘電率を有する印刷可能な粒状材料を含有する。高い誘電率を有する特定の有用な粒子には、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの強誘電セラミック充填剤がある。他の適したセラミック粒子には、チタン酸ストロンチウム、ジルコン酸鉛または米国特許第6,159,611号明細書(リー(Lee))および同6,586,791号明細書(リー)に記載された充填剤などの高い誘電率を有する他の充填剤がある。例えば、適した材料には、BaTiO3、SrTiO3、Mg2TiO4、Bi2(TiO33、PbTiO3、NiTiO3、CaTiO3、ZnTiO3、Zn2TiO4、BaSnO3、Bi(SnO33、CaSnO3、PbSnO3、PbMgNbO3、MgSnO3、SrSnO3、ZnSnO3、BaZrO3、CaZrO3、PbZrO3、MgZnO3、SrZrO3、およびZnZrO3などがある。チタン酸バリウムおよびジルコン酸鉛などの密度の高い多結晶質セラミックが、本発明に使用するために特に好ましい。
【0032】
粒状材料を目的の物理的、光学、または他の性質のために選択することができる。例えば、透明性が望ましい状況において、透明であり、マトリックス材料に整合する屈折率を有し、および/または光の散乱が最小にされるように十分に小さい無機粒子を選択することが好ましいことがある。それらは、(特定の実施態様において)紫外線の吸収がないために選択されてもよい。
【0033】
本発明による印刷可能な組成物中で酸化物無機粒子を使用する利点の1つは、得られた硬化したコーティングの硬度および耐磨耗性の改良である。別の利点は、硬化したコーティングの透明性の保持である。また、無機酸化物または酸化物混合物の適した選択によって、分散体中の無機粒子の屈折率および濃度に応じて印刷可能な絶縁組成物の屈折率の性質の制御を可能にする。
【0034】
本発明のいくつかの実施態様において、組成物の粒子は、無機粒子とも称される、ナノメートルサイズの粒子をポリマー組成物と共に含む。本発明の実施において、粒度は、いずれの適した技術を用いて測定されてもよい。
【0035】
典型的に、粒子が印刷可能な組成物中に含有されるとき、それらは、ポリマーおよび無機粒子の全体積を基準として少なくとも5体積パーセントから60体積パーセントの無機粒子またはそれ以上を含む。いくつかの実施において、無機粒子の量は、ポリマーおよび無機粒子の全体積を基準として少なくとも10体積パーセント、しばしば少なくとも30体積パーセントの無機粒子、典型的には60体積パーセント以下である。無機粒子の表面の改質は、使用された特定の表面処理剤に応じて水中でまたは水と1つ以上の補助溶剤との混合物中で行なわれてもよい。
【0036】
いくつかの実施態様において、無機粒子は、1〜500ナノメートルの平均粒度を有するが、他の実施態様において無機粒子は、10〜250ナノメートルの平均粒度を有し、さらに他の実施態様においてそれらは20〜80ナノメートル、または10〜30ナノメートルの平均粒度を有する。粒度は、数平均粒度を指し、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡を使用する計測器を用いて測定される。粒度を測定する別の方法は、重量平均粒度を測定する、動的光散乱である。適していると思われるこのような計測器の実施例の1つは、カリフォルニア州、フラートンのベックマン・コールター社(Beckman Coulter,Inc.Fullerton,California)から商品名「N4プラス・サブミクロン・パーティクル・アナライザ(N4 PLUS SUB−MICRON PARTICLE ANALYZER)」として市販されている。
【0037】
印刷
本発明の組成物は、インクジェット印刷などのデジタル印刷方法を用いて印刷可能である。典型的なインクジェット印刷方法には、サーマルインクジェット、連続インクジェット、ピエゾインクジェット、アコースティックインクジェット、およびホットメルトインクジェット印刷などがある。サーマルインクジェットプリンタおよび/またはプリントヘッドは、例えば、ヒューレット・パッカード社(Hewlett−Packard Company)(カリフォルニア州、パロアルト(Palo Alto,California))、およびレックスマーク・インターナショナル(Lexmark International)(ケンタッキー州、レキシントン(Lexington,Kentucky))から容易に市販品として入手可能である。連続インクジェットプリントヘッドは、例えば、ドミノ・プリンティング・サイエンス(Domino Printing Sciences)(英国、ケンブリッジ(Cambridge,United Kingdom))などの連続プリンタ製造元から市販されている。ピエゾ インクジェットプリントヘッドは、例えば、トライデント・インターナショナル(Trident International)(コネチカット州、ブルックフィールド(Brookfield,Connecticut))、エプソン(Epson)(カリフォルニア州、トランス(Torrance,California))、日立データ・システムズ・コーポレーション(Hitachi Data Systems Corporation)(カリフォルニア州、サンタクララ(Santa Clara,California))、ザールPLC(Xaar PLC)(英国、ケンブリッジ)、スペクトラ(Spectra)(ニューハンプシャー州、レバノン(Lebanon,New Hampshire))、およびイダニット・テクノロジーズ社(Idanit Technologies,Limited)(イスラエル、リジョンルション(Rishon Le Zion,Israel))から市販されている。ホットメルトインクジェットプリンタは、例えば、ゼロックス・コーポレーション(Xerox Corporation)(コネチカット州、スタンフォード(Stamford,Connecticut))から市販されている。
【0038】
インクジェット印刷は、印刷パターンを容易に変えることができるという点で非常に用途が広いのに対して、スクリーン印刷および他の用具に基づく技術は、各々の単一パターンで用いられる異なったスクリーンまたは用具を必要とする。従って、インクジェット印刷は、清浄にされて維持される必要があるスクリーンまたは用具の多量の在庫を必要としない。また、付加的な印刷可能な組成物を、予め形成された絶縁層上にインクジェット印刷してより大きな(例えば、より高い)層を形成し、および/または電子デバイスを製造することができる。
【0039】
従って、印刷可能な組成物は、それを支持体上にインクジェット印刷しやすくする粘度を有する。典型的に、前記組成物は、プリントヘッド温度において1秒-1〜1000秒-1の剪断速度で、連続した応力曲線を用いて測定されたとき、1〜40ミリパスカル秒の粘度を有し、しばしば、プリントヘッド温度において1秒-1〜1000秒-1の剪断速度で、連続した応力曲線を用いて測定したとき、6〜20ミリパスカル秒の粘度を有する。有用なプリントヘッド温度としては、例えば、60℃以下の温度が挙げられるが、より高い温度が使用されてもよい。
【0040】
組成物のインクジェット印刷は、絶縁層を支持体に適用する従来の方法よりも多くの利点を提供することができる。本発明は、場合によっては支持体を損傷または汚染することなく誘電体層を精密に堆積することを可能にする。インクジェット印刷は非接触印刷方法であり、従って、通常のパターン化におけるスクリーンまたは用具の使用および/または湿式加工時に生じる場合があるような、接触のために支持体表面を損傷および/または汚染することなく絶縁材料を支持体上に直接に印刷することを可能にする。インクジェット印刷はまた、精密かつばらつきなく適用された材料を製造することができる高度に制御可能な印刷方法を提供する。
【0041】
付加的な成分および印刷後の処理
また、必要ならば、本発明のポリマーに光開始剤を混合して架橋を促進することができる。フリーラジカル重合を開始する有用な光開始剤は、例えば、「光化学(“Photochemistry”)」の第2章、カルバート(Calvert)およびピット(Pitts)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)(1966年)に記載されている。これらの光開始剤の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、および(アルファ)−メチルベンゾインなどのアクリロイン(acryloin)およびそれらの誘導体、ベンジルおよびジアセチルなどのジケトン、ジフェニルモノスルフィド、ジフェニルジスルフィド、デシルフェニルスルフィド、およびテトラメチルチウラムモノスルフィドなどの有機硫化物、S−ベンゾイル−N,N−ジメチルジチオカルバメートなどのS−アシルチオカルバメート、およびアセトフェノン、ベンゾフェノンなどのフェノン、およびそれらの誘導体がある。
【0042】
印刷した後、本発明のポリマーを例えば、放射線(例えば、紫外線(UV)、電子ビーム、ガンマ線)または熱エネルギーを用いて架橋することができる。化学架橋剤もまた、必要ならば使用することができる。例には、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、グリセリルジ(メタ)アクリレート、グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールトリアクリレートおよび1,3,5−トリ(2−メタクリルオキシエチル)−s−トリアジンなどがあるがそれらに限定されない。
【0043】
印刷可能な組成物は通常、例えば放射線露光、熱暴露などによって硬化することによって、印刷後に固化される。多くの場合、それほど粘性でない状態の絶縁材料を冷却してサイズおよび形状を維持する、より粘性の状態に印刷することによってインクジェット印刷された絶縁材料の位置および形状を設定することが望ましいことがある。
【0044】
本発明の方法および材料を用いて形成される物品を様々な電子デバイスを形成するために使用することができる。例を挙げると、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ(例えば、埋め込みコンデンサ)、およびレジスタなどがあり、増幅器、レシーバ、トランスミッタ、インバータ、および発振器を形成するために様々な配列で使用することができる。
【0045】
本発明の目的および利点は以下の実施例においてさらに説明されるが、これらの実施例に記載された特定の材料およびそれらの量、ならびに他の条件および詳細は、本発明を不当に限定すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0046】
これらの実施例は、単に例示目的のためであるにすぎず、添付したクレームの範囲を限定することを意図するものではない。実施例および明細書の他の部分においての全ての部、パーセンテージ、比などは、特に記載しない限り、重量に基づいている。溶剤および他の試薬は、特に記載しない限り、ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical, Milwaukee, Wisconsin)から得られた。
【0047】
【表1】

【0048】
ポリマー1の調製
磁気撹拌機および窒素入口を備えた250−mlの3首フラスコに、3,3’−イミノジプロピオニトリル(36.50g、90パーセント)およびSMA(45.00g)をDMAc(80ml)に溶かした溶液を入れた。混合物を30分間、室温において撹拌した後、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.50g、99パーセント)を溶液に添加し、次いで溶液を24時間、120℃において加熱した。溶液を室温まで冷却させ、機械的に撹拌しながら1.5リットルのイソプロパノール中にゆっくりと流し込んだ。形成された黄色の沈殿物を濾過によって集め、減圧(約30mmHg)において48時間、100℃で乾燥させた。収量:68.6g。
【0049】
上記の調製された材料(40.00g)をDMAc(100ml)に溶解した撹拌溶液に、56.00gのGMA、0.20gのヒドロキノン、および1.0gのN,N−ジメチルベンジルアミンを入れた。混合物を窒素でフラッシし、次いで20時間、55℃に加熱した。溶液を室温に冷却させた後、それを、機械撹拌しながらヘキサンとイソプロパノールとの混合物(2:1、体積/体積)1.5リットル中にゆっくりと流し込んだ。形成された沈殿物を50mlのアセトンに溶解し、そして、最初に、上に用いられたのと同じ溶剤混合物中に、次いでイソプロパノール中に、2回沈殿させた。得られた褐色パウダー状固体(brown power−like solid)を濾過によって集め、減圧(約30mmHg)下で24時間、50℃で乾燥させた。収量:32.2g。
【0050】
BTセラミック分散体の調製
BTセラミック分散体を調製するために、分散剤としてPS3を用いてBaTiO3粉末を、MEK/MIBKの混合溶剤と混合した。得られた分散体中のBaTiO3粉末の重量パーセントは70パーセントであった。
【0051】
試験方法
レオロジーの測定
レオロジーを英国、グロスターシャー、サイレンセスターのボーリン・インストルメンツ社(Bohlin Instruments Limited, Cirencester,Gloucestershire,England)から得られたボーリンC−ボル・レオメーター(BOHLIN C−VOR RHEOMETER)でC25同心円筒ジオメトリー(cup and bob geometry)、連続した応力曲線モード、1秒-1〜10000秒-1を用いて測定した。流体がニュートン流体であるかどうか結果を記録し、粘度をミリパスカル秒単位で測定した。
【0052】
表面張力の測定
ウィルヘミィ(Wilhemy)プレート法によってノースカロライナ州、シャーロットのクリュスUSA(Kruss USA, Charlotte,North Carolina)から市販されているクリュス表面張力計を用いて表面張力を測定した。結果を1センチメートル当たりのダイン単位で測定し、1メートル当たりのニュートンに変換した。
【0053】
厚さの測定
ニューヨーク州、ウッドベリーのヴェッコ・インストルメンツ(Veeco Instruments,Woodbury,New York)から市販されているヴェッコ・デクタク6M スタイラス・プロファイラー (VEECO DEKTAK 6M STYLUS PROFILER)を用いて 厚さを測定した。結果をマイクロメートル単位で記録した。
【0054】
キャパシタンスの測定
カリフォルニア州、パロアルトのヒューレット・パッカード社から市販されているHP4192A LF インピーダンスアナライザー(IMPEDANCEANALYZER)を用いてキャパシタンスを測定した。結果をキャパシタンス/単位面積(1平方ミリメートル当たりのピコファラド/mm2)で記録した。
【0055】
誘電率の測定
誘電率を以下の等式:C/A=εεo/dを用いて計算した(C=キャパシタンス 、εo=自由空間の誘電率=8.854×10-15ファラド/ミリメートル、ε=誘電率、A=コンデンサの面積=上部の小さな金ドットの面積、およびd=有機絶縁フィルムの厚さ)。
【0056】
実施例1
ポリマー/BaTiO3分散体インクの調製
以下の成分の溶液:1.73グラムのポリマー1、17.30グラムのシクロペンタノン、0.20グラムのペンタエリトリトールトリアクリレート、および17ミリグラムのベンゾイルペルオキシドを最初に調製し、0.45マイクロメートルのフィルターを通して濾過した。この濾過された溶液に、15.89グラムのBTセラミック分散体を添加して、固形分を基準として50体積パーセントのBaTiO3配合量を生じた。全混合物を5分間、超音波処理し、使用する前に十分に振とうした。
【0057】
レオロジーおよび表面張力の測定
上に調製された混合物のレオロジーおよび表面張力を上記の試験方法に記載されたように測定した。混合物は、6ミリパスカル秒の粘度および0.0294ニュートン/メートルの表面張力を有するニュートン流体であった。
【0058】
インクジェット印刷方法
XY並進台上に取付けられたザールXJ128−200ピエゾプリントヘッドを用いて1インチ当たり317×295ドット(dpi)解像度においてインクを印刷した。プリントヘッドを1250Hzおよび35ボルトにおいて駆動した。試料を、清浄にされたシリコンウエハ上に単純な1インチ(2.5cm)の四角形パターンで印刷した。試料をプリンタで特定範囲の回数、1回から3回まで印刷した。コーティングを30分間、窒素環境中で温度を約175℃に設定したホットプレート上で熱硬化した。1回で印刷された試料の表面は非常に平滑であるが、多数回で印刷された試料の表面は粗い。光学顕微鏡写真によって、1回で印刷された試料はピンホールを示したが、2または3回で印刷された試料は示さなかった。
【0059】
実施例2〜3および比較例C
ポリマー/BaTiO3分散体インクの調製
実施例1に記載された手順に従った。
【0060】
コンデンサの形成
硬化フィルムの誘電率を調べるために上に調製されたポリマー/BaTiO3分散体インクを用いてコンデンサを形成した。タンタルのコーテチィングされたn+Si/Alを支持体として使用し、ポリマー/BaTiO3分散体インクをその上に2回(実施例2)または3回(実施例3)インクジェット印刷するかまたはスピンコーティングした(比較例C)。30分間、窒素環境中で約175℃の温度に設定したホットプレート上で熱硬化してこれらのフィルムを完全に硬化した。金ドットの配列(厚さが約90nm、直径2mm)を堆積し、真空チャンバ内で金属シャドウツールを通してパターン化した。
【0061】
厚さおよびキャパシタンスの測定
試料の厚さおよびキャパシタンスを上記の試験方法を用いて測定し、これらの値を用いて誘電率を計算した。厚さ、キャパシタンスおよび計算された誘電率を(以下の)表1に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
本発明の様々な修正および変更を、本発明の範囲および原理から逸脱することなく実施できることは、前述の説明から当業者には明白であろう。したがって、本発明は、上記の例示的な実施態様に不当に限定されるものではないことは理解されるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を形成するための印刷可能な組成物であって、式:
【化1】

[上式中、XがO、S、またはNR10を表し、R10がHまたはC1−C2アルキル基を表し、R6が、少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されていてもよいC1-C5アルキレン基を表し、R7がHまたはCH3を表し、R8がC1−C6アルキル基、または少なくとも1個のCN基を含みCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基を表し、R9が、少なくとも1個のCN基を含みCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基を表す]にそれぞれ相応する少なくとも2個のモノマー単位を有するポリマーと、
ポリマーと無機粒子との全体積を基準として5〜60体積パーセントの無機粒子と、
液体供給媒体と、を含み、
60℃以下の少なくとも1つの温度において1秒-1〜1000秒-1の剪断速度で、連続した応力曲線を用いて測定したとき、粘度が1〜40ミリパスカル秒である、印刷可能な組成物。
【請求項2】
インクジェット印刷のために適している、請求項1に記載の、誘電体層を形成するための印刷可能な組成物。
【請求項3】
前記無機粒子がチタン酸バリウムを含む、請求項1に記載の、誘電体層を形成するための印刷可能な組成物。
【請求項4】
硬化性であり、硬化した後に20より大きい誘電率を有する、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項5】
硬化性であり、硬化した後に40より大きい誘電率を有する、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項6】
誘電体層を形成するための組成物であって、式:
【化2】

[上式中、RがCH3またはCH2CH2CNであり、各R5が独立して、アルキル基、ハロゲン、または少なくとも1個のCN基を含みCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基であり、n=0〜3である]にそれぞれ相応する少なくとも2個のモノマー単位を含むポリマーを、ポリマーと無機粒子との全重量を基準として5〜95重量パーセントと、
前記ポリマーと無機粒子との全体積を基準として5〜60体積パーセントの無機粒子と、
液体供給媒体と、を含み、
60℃以下の少なくとも1つの温度において1秒-1〜1000秒-1の剪断速度で、連続した応力曲線を用いて測定したとき、粘度が1〜40ミリパスカル秒である、組成物。
【請求項7】
インクジェット印刷のために適している、請求項6に記載の、誘電体層を形成するための組成物。
【請求項8】
前記無機粒子がチタン酸バリウムを含む、請求項6に記載の、誘電体層を形成するための組成物。
【請求項9】
硬化した後に20より大きい誘電率を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
硬化した後に40より大きい誘電率を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリマーと無機粒子との全重量を基準として、10〜95重量パーセントのポリマーと、
前記ポリマーと無機粒子との全体積を基準として、5〜60体積パーセントの無機粒子とを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
60℃以下の少なくとも1つの温度において1秒-1〜1000秒-1の剪断速度で、連続した応力曲線を用いて測定したとき、6〜20ミリパスカル秒の粘度を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
前記粒子がチタン酸バリウムを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項14】
誘電体膜の形成方法であって、式:
【化3】

[上式中、XがO、S、またはNR10を表し、R10がHまたはC1−C2アルキル基を表し、R6が、少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されていてもよいC1-C5アルキレン基を表し、R7がHまたはCH3を表し、R8がC1−C6アルキル基を表し、または少なくとも1個のCN基を含みCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基を表し、R9が、少なくとも1個のCN基を含みCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基を表す]にそれぞれ相応する少なくとも2個のモノマー単位を有するポリマーと、
ポリマーと無機粒子との全体積を基準として5〜60体積パーセントの無機粒子と、
液体供給媒体と、を含み、
60℃以下の少なくとも1つの温度において1秒-1〜1000秒-1の剪断速度で、連続した応力曲線を用いて測定したとき、粘度が1〜40ミリパスカル秒である、誘電体層を形成するための印刷可能な組成物を提供する工程を含む、方法。
【請求項15】
誘電体膜の形成方法であって、式:
【化4】

[上式中、RがCH3またはCH2CH2CNであり、各R5が独立して、アルキル基、ハロゲン、または少なくとも1個のCN基を含みCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基であり、n=0〜3である]にそれぞれ相応する少なくとも2個のモノマー単位を含むポリマーを50〜95重量パーセントと、前記ポリマーと無機粒子との全体積を基準として、5〜60体積パーセントの無機粒子と、液体供給媒体とを含有し、60℃以下の少なくとも1つの温度において1秒-1〜1000秒-1の剪断速度で、連続した応力曲線を用いて測定したとき、粘度が1〜40ミリパスカル秒である印刷可能な組成物を提供する工程と、
前記組成物を支持体上にデジタル方式で堆積する工程と、を含む、方法。
【請求項16】
前記印刷可能な組成物がインクジェット印刷のために適している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記無機粒子がチタン酸バリウムを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、硬化した後に20より大きい誘電率を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が、硬化した後に40より大きい誘電率を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法によって形成された誘電体膜を含む電子デバイス。
【請求項21】
誘電体膜の形成方法であって、
式:
【化5】

[上式中、RがCH3またはCH2CH2CNであり、各R5が独立して、アルキル基、ハロゲン、または少なくとも1個のCN基を含みCN基1個当たり30〜200の分子量を有する有機基であり、n=0〜3である]にそれぞれ相応する少なくとも2個のモノマー単位を含むポリマーを50〜95重量パーセントと、液体供給媒体とを含有し、60℃以下の少なくとも1つの温度において1秒-1〜1000秒-1の剪断速度で、連続した応力曲線を用いて測定したとき、粘度が1〜40ミリパスカル秒である印刷可能な組成物を提供する工程と、
前記組成物を支持体上にデジタル方式で堆積する工程と、を含む方法。

【公表番号】特表2007−521387(P2007−521387A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545656(P2006−545656)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/038376
【国際公開番号】WO2005/066977
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】