説明

印刷情報読取装置及び印刷情報読取方法

【課題】ディスプレイを用いることなく印刷情報の全領域を確実に撮像できるようにし、これにより読取装置の小型化及び低価格化図る。
【解決手段】リモートコントローラ1Aの筐体18の先端側面部に設けた窓にプリズム17aを取り付け、筐体18の底面が印刷シート20上の二次元コード21が印刷された位置の横方向の予め決められた範囲に配置された状態で、上記二次元コードの光学像を上記プリズム17aにより窓から筐体18内に導入して、筐体18内に配置されたカメラ10の受光面に結像させるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カメラを使用して二次元コード等の印刷情報を読み取る印刷情報読取装置及び印刷情報読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次元コードを利用した情報の検索サービスや提供サービスが普及している。この種のサービスは、例えば新聞や雑誌等の印刷物に表示されたQRコードに代表される二次元コードをカメラにより撮像し、その画像データから上記二次元コードに含まれるURL(Uniform Resource Locator)を認識する。そして、このURLをもとにインターネットに対しアクセスすることにより、対応するWebサーバから検索情報や商業情報を取得するものである。この種のサービスを利用すると、ユーザはURLをキー操作により入力する必要がなくなり、また誤ったアクセスを減らすことができるので大変便利である。
【0003】
しかしながら、二次元コードを読み取る際、一般にユーザはカメラが内蔵された読取装置を手で把持して二次元コードを撮像する。このため、二次元コードの全体がカメラの撮像範囲(フレーム)内に収まらず、その結果二次元コードを正しく読み取ることができないことがある。
【0004】
そこで従来では、例えば携帯電話機等のようにディスプレイを備えた装置を使用し、読み取りに先立ちカメラで撮像した二次元コードの画像をディスプレイに表示させて、読取対象の二次元コードが撮像範囲内に収まっているか否かを確認できるようにしている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−277445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このような従来の読取装置では、ディスプレイとその表示駆動回路を備えることが必要となる。このため、例えばテレビジョン受信機やビデオ記録再生装置等のリモートコントローラを読取装置として使用する場合には、リモートコントローラにカメラばかりでなくディスプレイとその表示駆動回路を設けなければならず、装置の大型化とコストアップを招く。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、ディスプレイを用いることなく印刷情報の全領域を確実に撮像できるようにし、これにより小型かつ安価な印刷情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためにこの発明の1つの観点は、筐体内にカメラを内蔵させると共に筐体の側面部に設けた窓に光学系を設け、筐体の底面部が印刷媒体上の印刷情報が印刷された範囲外の予め決められた範囲に配置された状態で、上記光学系により上記印刷情報の光学像を筐体内に導入して上記カメラに結像させ、当該カメラから上記印刷情報に対応する画像信号を出力するように構成したものである。
【0009】
したがって、筐体の底面部を印刷媒体上の印刷情報が印刷された範囲外の予め決められた範囲に載置すれば、当該印刷された印刷情報の光学像が光学系により筐体内に導入されてカメラに結像される。このため、印刷情報の画像を表示させるためのディスプレイとその表示駆動回路が不要となり、これにより装置の小型化と低価格化が可能となる。また、筐体の底面部を印刷媒体上に載置した状態で印刷情報が撮像されるので、手ぶれなどの影響を受けることなく高精度の読み取り処理が可能となる。
【0010】
またこの発明の一観点は、以下のような具体的な実施態様を備えることも特徴とする。
第1の実施態様は、上記光学系が、上記印刷情報の光学像を屈折させることにより斜視像から平面像に変換するプリズムを備えることである。
このようにすると、印刷情報をその水平方向から撮像することになるにもかかわらず、平面像としてカメラに結像させることができ、これにより画像の歪みを低減して印刷情報の内容解読を高精度に行うことが可能となる。
【0011】
第2の実施態様は、上記光学系が、上記印刷情報の光学像を屈折させることにより斜視像から平面像に変換するプリズムと、このプリズムにより平面像に変換された上記印刷情報の光学像を反射させて上記カメラに結像させる反射鏡とを備えることである。
このようにすると、プリズムにより筐体内に導入された印刷情報の光学像を、筐体内で任意の方向へ反射させてカメラに結像させることが可能となる。この結果、筐体内におけるカメラの設置位置やプリズムの設置位置等の設計上の自由度を高めることができる。
【0012】
第3の実施態様は、上記筐体の底面部に検出器を設け、筐体の底面部が上記媒体上の印刷情報が印刷された範囲外の予め決められた範囲に配置されたとき、この状態を上記検出器により検出する。そして、上記検出器により上記状態が検出された場合に、読取回路が上記カメラから画像信号を取り込んでその内容を解読し、その解読結果を表す情報をメモリに格納するように構成したことである。
このようにすると、筐体の底面部を印刷媒体上の印刷情報が印刷された範囲外の予め決められた範囲に配置すると、この状態が検出器により検出されて読取回路により自動的に読取処理動作が行われる。したがって、ユーザは読取ボタンを操作する必要がなくなり、その分操作性が向上する。
【0013】
第4の実施態様は、上記読取回路において、カメラから画像信号を取り込んでその内容を解読してその解読処理の成否を判定し、解読処理が成功したと判定された場合にのみ、上記解読処理により得られた解読結果を表す情報をメモリに格納すると共に、上記解読処理の成否を表す情報をユーザに提示するように構成したものである。
【0014】
このようにすると、印刷情報が正しく読み取られた場合にのみその解読結果がメモリに格納され、例えば印刷媒体上における筐体底部の配置位置が予め決められた範囲からずれていて印刷情報を正しく読み取れなかった場合には、その解読結果を表す情報はメモリに格納されず、ユーザに対し正しく読み取れなかった旨が提示される。このため、印刷情報の不確かな読取結果がそのままメモリに記憶されることを未然に防止することができる。そして、常に正しく読み取られた印刷情報の解読結果に基づいて、他機器の制御やWebアクセスを正確に行うことが可能となり、またメモリの記憶領域を有効に使用することができる。しかも、読み取りが正しく行われなかった場合にはその旨がユーザに提示されるので、ユーザは読取操作の失敗をその場で認識することができ、これにより読取操作を即時やり直すことが可能となる。
【0015】
第5の実施態様は、筐体の側面部に、光学系及びカメラにより撮像可能な印刷媒体上の範囲を表示する機能を有する透光性部材を付設するように構成したものである。このような構成であると、ユーザが読取装置を印刷媒体上の読取位置に位置合わせする際に、上記透光性部材を位置合わせ用のガイドとして使用することができ、これにより印刷情報の読取操作をより一層確実にかつ円滑に行うことが可能となる。
【0016】
第6の実施態様は、上記透光性部材に、その底面部が印刷媒体上の印刷情報が印刷された範囲に当接して当該範囲を平坦化する機能をさらに持たせるように構成したものである。このようにすると、読取操作時に印刷媒体が透光性部材により押さえられて印刷情報の印刷範囲が平坦化される。このため、印刷媒体に皺や反り等があっても、これらを矯正して平坦な状態で印刷情報を読み取り処理することが可能となり、これによりさらに高精度の読取処理が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
すなわち、この発明の一観点によれば、ディスプレイを用いることなく印刷情報の全領域を確実に撮像できるようにし、これにより小型かつ安価な印刷情報読取装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1はこの発明に係わる印刷情報読取装置の第1の実施形態を示すもので、(a)はその平面図、(b)は側面図である。
第1の実施形態に係わる印刷情報読取装置は、印刷情報として二次元コード(QRコード)を読み取るもので、テレビジョン受信機又はビデオ記録再生装置で使用されるリモートコントローラに設けられる。
【0019】
リモートコントローラ1Aは、長方形状をなすスティック型の筐体18を有し、この筐体18の上面にはテンキーや複数の機能キーが配設されている。機能キーの中には、二次元コードの読取指示を入力するための読取ボタン11aと、読み取った二次元コードの解読データの送信指示を入力するための送信ボタン12が含まれる。
【0020】
一方、筐体18内にはカメラ10と、リモートコントローラ1Aを動作させるために必要な回路ユニットが内蔵されている。カメラ10は、撮像素子として例えばCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を使用したものである。
【0021】
また、筐体18の先端側面部には窓が設けられ、この窓には通信部13が取着されている。この通信部13は、例えば赤外線を用いた信号送信器とその送信制御回路とからなり、図示しないテレビジョン受信機又はビデオ記録再生装置に向けて、遠隔操作信号や、読み取った二次元コードの解読データを送信するために使用される。
【0022】
さらに、筐体18の上記窓にはプリズム17aが取り付けられている。図2はその構成を拡大して示す図である。プリズム17aは、筐体18の底面が印刷シート20上の二次元コード21が印刷された位置の横方向の予め決められた範囲に配置された状態で、上記二次元コード21の斜視光学像を上記窓から筐体18内に導入して上記カメラ10の受光面に平面像として結像させる機能を有する。
【0023】
リモートコントローラ1Aの回路ユニットは次のように構成される。図3はその機能構成を示すブロック図である。すなわち、回路ユニットは、通信部13と、情報読取部14と、データ記憶部15と、効果音出力部16と、バッテリ19を備える電源回路部とから構成される。
【0024】
情報読取部14は、読取ボタン11aの操作を検出すると、カメラ10を起動して当該カメラ10から二次元コード21の画像信号を読み込み、この読み込んだ画像信号から二次元コード21を解読する。そして、解読が正しく行われたか否かを判定し、正しく行われた場合にはその旨の鳴音信号を効果音出力部16へ出力すると共に、上記解読結果を表すデータをデータ記憶部15へ出力する。なお、解読が正しく行われなかった場合にも、その旨の鳴音信号を効果音出力部16へ出力する。なお、この情報読取部14の機能は、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)にアプリケーション・プログラムを実行させることにより実現される。
【0025】
データ記憶部15は、記憶媒体として例えばEEPROM又はRAMを使用したもので、上記情報読取部14から出力される二次元コードの解読結果を表すデータを、予め決められた領域に記憶する。
効果音出力部16は、例えばサウンダ又はスピーカからなり、上記情報読取部14から供給された鳴音信号に応じた鳴音を発生する。
通信部13は、送信ボタン12が押下された場合に、送信制御回路により上記データ記憶部15から上記二次元コード21の解読結果を表すデータを読み出し、この読み出したデータを信号送信器から赤外線信号として送信する。なお、通信部13は赤外線を使用するものに限らず、Bluetooth(登録商標)等の特定小電力を使用する無線インタフェースを使用することも可能である。
【0026】
次に、以上のように構成された装置による二次元コード21の読取動作を説明する。
二次元コード21を読み取ろうとする場合、ユーザは先ずリモートコントローラ1Aの底面部を印刷シート20上に置く。そして、図1及び図2に示すように、二次元コード21が印刷された位置の横方向の予め決められた範囲に移動させて、二次元コード21に対しプリズム17aが対向するように位置決めする。この結果、上記二次元コード21の光学像は、プリズム17aにより集光及び屈折されて筐体18内に導入され、カメラ10の受光面に平面像として結像される。
【0027】
そして、この状態でユーザはリモートコントローラ1Aの読取ボタン11aを押下する。そうすると、情報読取部14によりカメラ10が起動される。この結果、カメラ10により上記プリズム17aにより結像された二次元コードの光学像が撮像され、その画像信号が情報読取部14に取り込まれる。情報読取部14は、上記取り込んだ二次元コード21の画像信号に対し二次元コード21の解読処理を行い、解読が正しく行われたか否かを判定する。そして、解読が正しく行われた場合には、その旨の鳴音を効果音出力部16から出力させると共に、上記解読結果を表すデータを出力してデータ記憶部15内の予め決められた領域に記憶させる。なお、解読が正しく行われなかった場合には、その旨の鳴音を上記効果音出力部16から出力させる。
【0028】
ユーザが、解読が正しく行われたことを上記鳴音により確認し、送信ボタン12を押下したとする。そうすると通信部13内の送信制御回路は、上記データ記憶部15から上記二次元コード21の解読結果を表すデータを読み出し、この読み出したデータに対応する赤外線信号を送信器から図示しないテレビジョン受信機又はビデオ記録再生装置に向けて送信させる。
【0029】
テレビジョン受信機又はビデオ記録再生装置は、上記二次元コード21の解読結果を表すデータを受信すると、この受信したデータに基づいて例えば番組の録画予約の登録処理を行う。また、テレビジョン受信機又はビデオ記録再生装置がインターネット等の通信ネットワークに接続可能であれば、上記データをこの通信ネットワークを介してWebサーバへ送信し、Webサーバから配信される番組関連情報や商業サービス情報を受信して画面に表示させる。
【0030】
以上述べたように第1の実施形態では、リモートコントローラ1Aの筐体18の先端側面部に設けた窓にプリズム17aを取り付け、筐体18の底面が印刷シート20上の二次元コード21が印刷された位置の横方向の予め決められた範囲に配置された状態で、上記二次元コード21の斜視光学像を上記プリズム17aにより窓から筐体18内に導入して、筐体18内に配置されたカメラ10の受光面に平面像として結像させるようにしている。
【0031】
したがって、二次元コード21を読み取る場合にユーザは、筐体18の底面を印刷シート20上の二次元コード21が印刷された位置の横方向の予め決められた範囲に配置すれば、当該印刷された二次元コード21がプリズム17aを介して筐体18内のカメラ10により撮像される。このため、二次元コード21の撮像範囲を確認するためのディスプレイとその表示駆動回路が不要となり、これによりリモートコントローラ1Aの小型化と低価格化を図ることが可能となる。
【0032】
また、二次元コード21をその斜め方向から撮像することになるにもかかわらず、プリズム17aにより屈折させることで、二次元コード21は平面像としてカメラ10に結像される。このため、画像歪みを低減して二次元コード21の内容を高精度に解読することが可能となる。さらに、筐体18の底面を印刷シート20上に載置した状態で二次元コード21の撮像が行われるので、手ぶれなどの影響もなくすことができる。
【0033】
なお、以上述べた第1の実施形態は以下のような各種変形が可能である。図4乃至図9はその構成を示す図である。
すなわち、印刷シート20上の二次元コード21を、その水平方向からリモートコントローラ1Aの筐体18内に収容したカメラ10により撮像するには、プリズム17aの入射側の面又は出射側の面或いはその両方を傾斜させることが必要である。この傾斜面の角度は、読取対象の二次元コード21のサイズにより決定される。
【0034】
図4及び図5に示す構成は、プリズム17b,17cの入射側の面を傾斜させている。このようにすると、天井に存在する光源から光が照明されている場合に、筐体18による影が印刷シート20上に生じ難くすることができ、これにより情報読取部14における画像処理を簡単化することができる。
【0035】
図6に示す構成は、薄いシートに小さなプリズムを並べた、いわゆるプリズムシート17dを使用したものである。このようにすると、プリズムの容積を小さくしてリモートコントローラ1Aのサイズを小型化することができる。
図7に示す構成は、複数のプリズム17e1,17e2を光軸方向に並べて配置したものである。このようにすると、1段目のプリズム17e1により屈折された光学像をさらに2段目のプリズム17e2により屈折させてカメラ10に結像させることができ、プリズムの屈折率を最適な値に設定し易くすることができる。
【0036】
図8に示す構成は、リモートコントローラ1Aの底板となる筐体をプリズム17fと一体形成したものである。また図9に示す構成は、リモートコントローラ1Aの底板となる筐体18の先端部を一部切除し、この切除部位をプリズム17gの底面により置換したものである。図2に示した構成では、底板となる筐体18上にプリズム17aが乗っている構成となっているため、筐体18の厚さの分だけ、プリズム17aを二次元コード21から離間させた位置に配置する必要があり、そのために位置決めに多少のコツが必要になる。しかし、図8及び図9に示す構成によれば、プリズム17aを二次元コード21の端部に接した状態で位置決めすることができるので、位置決めにコツが不要となり読取操作を簡単化することができる。
【0037】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、リモートコントローラ1Bの筐体18内に反射鏡を設け、プリズムにより屈折導入された二次元コード21の光学像を、上記反射鏡により反射させてカメラ10に結像させるように構成したものである。
図10は、この発明に係わる印刷情報読取装置の第2の実施形態を示す平面図である。同図において、リモートコントローラ1Bの1側面部の先端側に近い位置には窓が形成され、この窓にはプリズム17hが取り付けられている。また、筐体18内の上記プリズム17hと対向する位置には反射鏡17iが配設されている。この反射鏡17iは、上記プリズムにより屈折された二次元コード21の光学像を90度反射させてカメラ10に結像させる。
【0038】
このような構成であるから、読取対象の二次元コード21に対し、リモートコントローラ1Bの側面部を位置合わせして二次元コード21を読み取ることが可能となる。また、筐体18内に反射鏡17iを設けて、プリズムにより屈折された二次元コード21の光学像を90度反射させてカメラ10に結像させるようにしているので、リモートコントローラ1Bの幅方向のサイズの大型化を防ぐことができる。
【0039】
(第3の実施形態)
この発明の第3の実施形態は、リモートコントローラ1Cの筐体底面に読取ボタンを設け、ユーザがリモートコントローラ1Cを印刷シート上に所定量以上の力で押し付けたときに、上記読取ボタンが動作して操作信号が発生し、情報読取部14が読取処理を実行するように構成したものである。
【0040】
図11はこの発明に係わる印刷情報読取装置の第3の実施形態を示す図であり、(a)は読取ボタンが動作する前の状態を、(b)は読取ボタンが動作した後の状態を示している。
リモートコントローラ1Cの筐体底面の先端部には、読取ボタン11bが設けられている。この読取ボタン11bは、操作ピンがバネにより支持された押しボタン式のスイッチからなり、リモートコントローラ1Cを印刷シート20上に置いた状態ではオフ状態となっており、リモートコントローラ1Cの脚として機能する。そして、リモートコントローラ1Cを印刷シート20上に所定量以上の力で押し付けるとオン状態になり、読取指示信号を発生する。上記所定量の押し付け力は、上記バネにより設定される。
【0041】
このような構成であるから、リモートコントローラ1Cを印刷シート20上に置いて読取位置に位置合わせしたのち、リモートコントローラ1Cを印刷シート20上に所定量以上の力で押し付けると、読取ボタン11bがオン状態になって読取指示信号が発生される。そして、この読取指示信号をトリガとして情報読取部14が二次元コードの読取処理を実行する。
したがって、ユーザは印刷シート20に対するリモートコントローラ1Cの位置合わせ操作の延長上として読取ボタン11bの押下操作を行うことが可能となり、これにより別途読取ボタンを操作する手間をなくして、操作性を高めることが可能となる。
【0042】
(第4の実施形態)
この発明の第4の実施形態は、リモートコントローラの筐体の窓部に、箱形をなす透光性の読取ガイド部材を付設し、この読取ガイド部材により、プリズム及びカメラにより撮像可能な印刷シート上の範囲を表示すると共に、印刷シートの二次元コードが印刷された部位を平坦化するようにしたものである。
【0043】
図12はこの発明の第4の実施形態に係わるリモートコントローラの構成を示すもので、(a)はその外観を示す斜視図、(b)は側面図である。なお、同図において前記図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
図12(a),(b)において、リモートコントローラ1Dの筐体18の窓部には、無色透明な樹脂材料からなる読取ガイド部材30が取着されている。この読取ガイド部材30は箱形をなし、その高さは上記リモートコントローラ1Dの筐体18の高さ寸法と一致するように設定され、底面が筐体18の底面と同一平面を形成するように構成されている。また、読取ガイド部材30の幅及び長さは、プリズム17a及びカメラ10により撮像可能な印刷シート20上の範囲と一致するように設定されている。
【0044】
このような構成であるから、印刷シート20上に印刷された二次元コード21を読み取る際にユーザは、読取ガイド部材30の底面内に二次元コード21が含まれるようにリモートコントローラ1Dを印刷シート20上に配置する。そうすると、二次元コード21の光学像が読取ガイド部材30を透過してプリズム17aに導かれ、このプリズム17aにより屈折されてカメラ10で受光される。
【0045】
したがって、二次元コード21を読み取るべくリモートコントローラ1Dを印刷シート20上に配置する際に、読取ガイド部材30の底面内に二次元コード21が含まれるように位置決めすることで、読取のための配置位置を簡単かつ正確に設定することが可能となる。しかも、読取ガイド部材30の底面は筐体18の底面と同一平面となるように形成されているので、上記位置決めを行ったときに読取ガイド部材30の底面により印刷シート20が押し付けられて平坦化される。このため、たとえ印刷シート20に皺や反りがあっても、この印刷シート20の皺や反りは延ばされ、これにより二次元コード21の光学像を歪みが矯正された状態で正確に読み取ることが可能となる。
【0046】
(その他の実施形態)
第1の実施形態では、テレビジョン受信機又はビデオ記録再生装置のリモートコントローラに印刷情報読取装置を設けた場合を例にとって説明したが、パーソナル・コンピュータや調理機器、カーナビゲーション機器等で使用するリモートコントローラにも、この発明は適用可能である。
【0047】
また、第4の実施形態では読取ガイド部材30を箱形に形成した場合を例示したが、板状の読取ガイド部材をリモートコントローラ1Dの筐体18底面部から突出するように設けてもよい。また、読取ガイド部材30に読取可能範囲を示す枠型のマーカを表示するようにしてもよい。さらに、読取ガイド部材30は無色透明に限らず着色されていてもよく、その他形状や材料等についても任意に選択できる。
【0048】
さらに、印刷情報の光学像を筐体内のカメラに結像させる光学系は、プリズムとレンズとを組み合わせて構成としてもよい。その他、プリズムの構成や設置位置、筐体内におけるカメラの設置位置、筐体の形状、印刷情報の種類などについても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0049】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明に係わる印刷情報読取装置の第1の実施形態を示す図で、(a)はその平面図、(b)は側面図である。
【図2】図1に示した印刷情報読取装置の要部を拡大して示す図である。
【図3】この発明に係わる印刷情報読取装置の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図4】この発明の第1の実施形態の第1の変形例を示す要部構成図である。
【図5】この発明の第1の実施形態の第2の変形例を示す要部構成図である。
【図6】この発明の第1の実施形態の第3の変形例を示す要部構成図である。
【図7】この発明の第1の実施形態の第4の変形例を示す要部構成図である。
【図8】この発明の第1の実施形態の第5の変形例を示す要部構成図である。
【図9】この発明の第1の実施形態の第6の変形例を示す要部構成図である。
【図10】この発明に係わる印刷情報読取装置の第2の実施形態を示す平面図である。
【図11】この発明に係わる印刷情報読取装置の第3の実施形態を示す側面図である。
【図12】この発明に係わる印刷情報読取装置の第4の実施形態を示す要部構成図である。
【符号の説明】
【0051】
1A,1B,1C,1D…印刷情報読取装置(リモートコントローラ)、10…カメラ、11a,11b…読取ボタン、12…送信ボタン、13…通信部、14…情報読取部、15…データ記憶部、16…効果音出力部、17a〜17h…プリズム、17i…反射鏡、18…筐体、19…バッテリ、20…印刷媒体、21…二次元コード(QRコード)、30…読取ガイド部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に印刷された印刷情報を読み取る印刷情報読取装置において、
平面をなす底面部と窓を有する側面部とを備えた筐体と、
前記筐体の窓に設けられ、前記筐体の底面部が前記媒体上の前記印刷情報が印刷された範囲外の予め決められた範囲に配置された状態で、前記印刷情報の光学像を前記窓から筐体内に導入する光学系と、
前記筐体内に設けられ、前記光学系により筐体内に導入された前記印刷情報の光学像を受光して画像信号に変換し出力するカメラと
を具備することを特徴とする印刷情報読取装置。
【請求項2】
前記光学系は、前記印刷情報の光学像を屈折させることにより斜視像から平面像に変換するプリズムを備えることを特徴とする請求項1記載の印刷情報読取装置。
【請求項3】
前記光学系は、前記印刷情報の光学像を屈折させることにより斜視像から平面像に変換するプリズムと、このプリズムにより平面像に変換された前記印刷情報の光学像を反射させて前記カメラに結像させる反射鏡とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の印刷情報読取装置。
【請求項4】
前記筐体の底面部に設けられ、当該筐体の底面部が前記媒体上の前記印刷情報が印刷された範囲外の予め決められた範囲内に配置されたとき、この状態を検出して検出信号を出力する検出器と、
前記検出器からの検出信号の出力に応じて、前記カメラから画像信号を取り込んでその内容を解読し、その解読結果を表す情報をメモリに格納する読取回路と
を、さらに具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷情報読取装置。
【請求項5】
前記読取回路は、
前記カメラから画像信号を取り込んでその内容を解読する解読処理手段と、
前記解読処理の成否を判定する手段と、
前記解読処理が成功したと判定された場合に、前記解読処理手段により得られた解読結果を表す情報をメモリに格納する手段と、
前記解読処理の成否を表す情報をユーザに提示する手段と
を備えることを特徴とする請求項4記載の印刷情報読取装置。
【請求項6】
前記筐体の側面部に付設され、前記光学系及びカメラにより撮像可能な媒体上の範囲を表示する機能を有する透光性部材を、さらに具備することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の印刷情報読取装置。
【請求項7】
前記透光性部材は、底面部が前記媒体上の前記印刷情報が印刷された範囲に当接して当該範囲を平坦化する機能を、さらに有することを特徴とする請求項6記載の印刷情報読取装置。
【請求項8】
筐体内にカメラを内蔵すると共に筐体の側面部に光学系を設け、当該筐体の底面部が印刷媒体上の印刷情報が印刷された範囲外の予め決められた範囲に配置された状態で、上記光学系により、前記印刷情報の光学像を筐体の側面窓から筐体内に導入して上記カメラに結像させ、当該カメラから上記印刷情報に対応する画像信号を出力するように構成した印刷情報読取装置で使用される印刷情報読取方法において、
筐体の底面部が、前記媒体上の前記印刷情報が印刷された範囲外の予め決められた範囲内に配置されたとき、この状態を検出する過程と、
前記状態が検出された場合に、前記カメラから前記印刷情報に対応する画像信号を取り込んでその内容を解読し、その解読結果を表す情報をメモリに格納する過程と、
を具備することを特徴とする印刷情報読取方法。
【請求項9】
前記解読結果を表す情報をメモリに格納する過程は、
前記カメラから画像信号を取り込んでその内容を解読する過程と、
前記解読処理の成否を判定する過程と、
前記解読処理が成功したと判定された場合に、前記解読処理手段により得られた解読結果を表す情報をメモリに格納する過程と、
前記解読処理の成否を表す情報をユーザに提示する過程と
を備えることを特徴とする請求項8記載の印刷情報読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−67254(P2010−67254A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324306(P2008−324306)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】