説明

印刷法

【課題】厚膜の印刷物を作る。
【解決手段】シリコンゴムによる凹版にインキを充填した後、凹版平部のインキを除去し、凹部のインキの溶剤の蒸発16、版への吸収17によりインキ11に粘着性、凝集性を発生させることで、基板14にインキを100%転写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電機部品等製作の工程の中で望まれている、基板面上へ精度、精細を維持しながら高厚膜印刷画像を形成する印刷法に関するもの。
【背景技術】
【0002】
今日普及している印刷法はその印刷膜厚は一般的に数μ以下である。唯一シルク印刷のみが数十μの印刷膜厚を可能にしている。ただ、シルク印刷においては、寸法精度の悪さ、精細性の悪さ等、課題を抱え電器部品等を作る手法として採用し難いのが現状である。本案は高精度、高精細を維持しつつ高膜厚の印刷画像をえる為に考案した印刷法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電極の印刷、PDP用のリブなど厚盛の印刷が望まれている分野が有るが、シルク印刷では精度や精細性が不足する、現在高精度が求められる比較的厚盛の印刷が可能なグラビヤ法においても要求される膜厚は得られない。
【0004】
本案はグラビヤ印刷並みの高精度、高精細をえつつ、シルク印刷並みの数十μの膜厚を印刷によって得るという課題を解決するために考案したものである。
【課題を解決する為の手段】
【0005】
本案は上記課題を解決する為に考案したもので、
シリコンゴムシート面に求める画像に応じた深度、開口を持った凹部を設け画素部とする、また必要に応じて該シートに精度を待たせるため剛性板を裏打ちしシリコンゴム製の凹版とする。
【0006】
凹版面上全面に樹脂(インキ)を塗布した後、凹部以外の版面からインキを除去、凹部内のインキをすべて被印刷面(基板)に転写し厚膜印刷画像を得る。
【発明の効果】
【0007】
▲1▼凹版面の凹部のインキをすべて基板面に転写する為厚膜画像が得られると伴に、凹部の深さを考慮する事により求める厚膜設計できる。
▲2▼凹版に金属版等の裏打ち板(4)を付ける事も出来る為、安定した画像の寸法を得る事ができる。
【発明を実施する為の最良の形態】
【0008】
シリコンゴムにより凹版を作成、凹部にインキを充填、該インキの粘着性、凝集性、シリコンの撥水性を用い凹部内のインキすべてを基板に転写する事によって厚膜印刷を行う。
【実施例1】
【0009】
請求項1を説明する。
金属板に幅50μ、高さ20μのストライプ状の凸版をつくり母型(1)とする。
該母型に。該母型に型取り用シリコンゴム(2)液を注入硬化、剥離し、上記母型と凹凸反対のシリコンによる凹版(3)を作る。(図1)
【0010】
インキの準備。ビヒクルとなる樹脂に低沸点溶剤、高沸点溶剤、シリコン吸収溶剤を混ぜ塗布特性を持たせたインキ(6)とする。該インキを塗布器(5)で上記凹版に全面塗布(図2)。クリーニングシート(8)を圧着し凹版面の平部(10)及び凹部(9)表皮のインキをシートに転写、版面上から除去。(図3)
【0011】
凹部内のインキがシリコン吸収溶剤の更なる吸収により硬化進行しインキ表面の粘着性の発生及びインキ凝集力の強化を待って基板に圧着、シリコンゴムの撥水性により凹部内のインキをすべて基板に転写。この事により線幅50μ、膜厚7μのストライプの厚膜印刷物を得た。(図7)
【実施例2】
【0012】
請求項2を説明する。
実施例1と同様のシリコンゴムによる凹版を作る。
実施例1と同様にインキの準備、凹版へのインキ全面塗布(図2)を行う。低沸点溶剤の蒸発、シリコン吸収溶剤の吸収により版面上インキが半硬化、このタイミングによりシリコンシート(7)を用い圧着し平部(10)のインキをシリコンシートに転写、版面上から除去。(図4)
【0013】
実施例1と同様に、凹部内のインキがシリコン吸収溶剤の更なる吸収により硬化進行しインキ表面の粘着性の発生及びインキ凝集力の強化を待って基板に圧着、シリコンゴムの撥水性により凹部内のインキをすべて基板に転写。この事により線幅50μ、膜厚10μのストライプの厚膜印刷物を得た。(図7)
【実施例3】
【0014】
請求項3を説明する。
実施例1と同様にシリコンゴム凹版を作る。
インキの準備。実施例1のインキに対して溶剤の比率を下げ粘度を上げたインキを準備。該インキをドクター(13)により凹版の凹部(9)のみに充填する。(図5)
【0015】
実施例1と同様に、低沸点溶剤の蒸発及びシリコン吸収溶剤の吸収により凹部内のインキが半硬化、インキ表面の粘着性の発生及びインキ凝集力の強化を待って基板に圧着。シリコンゴムの撥水性により凹部内のインキをすべて基板に転写。この事により線幅50μ、膜厚6μのストライプの厚膜印刷を行った。(図7)
【実施例4】
【0016】
請求項4を説明する。
実施例1と同様にシリコンゴム凹版を作る。
インキの準備。実施例1のインキに対して溶剤の比率を上げ粘度を下げたインキを準備。該インキを表面張力の原理を用いた塗布器(5)によって、上記凹版の全面にインキを塗布。塗布条件を設定し凹版の平部(10)面のインキをインキの表面張力とシリコンゴムの撥水性により除去。(図6)
【0017】
実施例1と同様に、低沸点溶剤の蒸発及びシリコン吸収溶剤の吸収により凹部内のインキが半硬化、インキ表面の粘着性の発生及びインキ凝集力の強化を待って基板に圧着。シリコンゴムの撥水性により凹部内のインキをすべて基板に転写。この事により線幅200μ、膜厚60μのストライプの厚膜印刷を行った。(図7)
【産業上の利用可能性】
【0018】
厚膜が求められる銀ペーストによる配線印刷や基板上にリブや仕切り板の印刷による作成。厚みが求められる機能性樹脂の印刷による形成等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】母型からシリコンゴム凹版を作る工程説明図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部(9)のあるシリコンゴム(2)によってできた凹版(3)の全面にインキ(6)を塗布し、クリーニングシート(8)を版全面に圧着し平部(10)インキを版面から除去した後に、凹部のインキを溶剤の蒸発(16)、版への吸収(17)により半乾燥させ、粘着性、凝集力を発生、印刷版を被印刷基板(14)に圧着し、凹部(9)インキを基板に100%転写することによりなる印刷法
【請求項2】
版面の平部(10)のインキを版面から除去するにあたり、シリコンシート(8)を用いる事を特徴とする請求項1
【請求項3】
版面の平部(10)のインキを版面から除去するにあたり、ドクター(13)を用いる事を特徴とする請求項1
【請求項4】
版面の平部(10)のインキを版面から除去するにあたり、インキの表面張力とシリコンゴムの撥水性を利用し、塗布時にインキを転移させないことを特徴とする請求項1

【図1】−▲1▼ 母型にシリコンゴムを流し込む図
【図1】−▲2▼ シリコンゴムの背面に裏打ち板を張る図
【図1】−▲3▼ シリコンゴムの硬化後母型から剥離、凹版作成の図
【図2】凹版にインキを塗布する図
【図3】凹版面に塗布されたインキの凹部面の表部と平部面のインキをクリーンシートで版面から除去する図
【図4】凹版面に塗布された平部面のインキをシリコンゴムによるクリーンシートで版面から除去する図
【図5】凹版の凹部のみにインキをブレードで充填する図
【図6】表面張力を原理とする塗布機によって凹版の凹部のみにインキを充填する図
【図7】凹版凹部に充填されたインキが基板に転写されていく説明図
【図7】−▲1▼ インキ内の低沸点溶剤が蒸発し、シリコン吸収溶剤が凹版に吸収されインキが硬化する図
【図7】−▲2▼ インキの硬化がさらに進み粘着性と凝集力が強化される図
【図7】−▲3▼ 凹部インキが圧着された基板にすべて転写される図
【図7】▲4▼ 基板面のインキが焼成により高沸点溶剤が無くなり硬化する図
【符号の説明】
1、母型 2、シルコンゴム 3、凹版 4、裏打ち板
5、塗布機器 6、インキ 7、シリコンゴムシート
8、クリーニングシート 9、凹部 10、平部
11、粘着性、凝集性のあがったインキ 12、硬化したインキ
13、ブレード 14、基板 15、インキの無くなった平部
16、蒸発 17吸収
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−201906(P2010−201906A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77479(P2009−77479)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(503113463)
【Fターム(参考)】