説明

印刷端末及びポスティングサーバ

【課題】印刷コンテンツを配信して印刷させるシステムにおいて、印刷コンテンツの配信状態及び印刷状態を把握する。
【解決手段】印刷端末110Pは、SIPサーバを介して確立されたセッションを用いてコンテンツデータ16を取得する通信部320と、コンテンツデータ16及びコンテンツデータのプレゼンス情報38を記憶するメモリ330と、コンテンツデータ16に基づいて印刷を実行する印刷エンジン340と、プレゼンス情報38を管理するCPU310とを備える。通信部320は、プレゼンス情報38に含まれるコンテンツデータ16の状態が更新されたときに、ポスティングサーバに対して更新後のプレゼンス情報38を送信し、更新後のプレゼンス情報38のうち、送信未完了のプレゼンス情報38が所定以上になると、ポスティングサーバからの新たなセッション確立要求を受け付けない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツの印刷を行うためのコンテンツデータをネットワークを介して伝送するための技術に関するものである。なお、本明細書中において、「印刷コンテンツ」または単に「コンテンツ」とは、文書、画像、またはそれら組み合わせた情報エンティティなどを言い、特に、印刷可能なものを言う。
【背景技術】
【0002】
従来、企業が顧客に広告などを配信する場合、郵送やファクシミリなどが利用されていた。また、通信教育分野などにおいて、教材提供企業が受講者に教材などを配信する場合も、同様に、郵送やファクシミリなどが利用されていた。
【0003】
郵送による場合、広告や教材などの印刷コンテンツ自体は、高品質で印刷されたものを提供できるものの、送付に多数の人手を要し、多くのコストがかかると共に、送付にも時間を要するという問題がある。
【0004】
また、ファクシミリによる場合は、郵送に比較して、送付に人手や時間は要しないものの、通信費用は発生し、また、顧客先で受け取る印刷コンテンツ自体も高品質なものを期待できないという問題がある。さらに、ファクシミリでは、配信先がコンテンツを受信したことまでは確認できるが、印刷出力されたか否かまでは確認できない。
【0005】
一方、近年では、インターネットの発達などによって、情報を無料に近い低コストで伝送することが可能となっている。また、高性能なプリンタや複合機などの開発によって、家庭内でも、比較的低コストで、高品質な印刷を行うことができるようになってきている。
【0006】
なお、ネットワークを利用した情報の伝送に関しては、例えば、下記の特許文献に記載のものが知られている。
【特許文献1】特開2005− 109701号公報
【特許文献2】特開2003− 178028号公報
【特許文献3】特表2005− 516320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、上記したインターネットなどのネットワークや、プリンタや複合機などを含む印刷端末などを利用して、印刷コンテンツを、低コストで、かつ、高品質にて配信することができる、システムの開発が待たれている。
【0008】
また、そのような配信システムでは、印刷コンテンツが印刷端末へ確実に配信されたか否か、及び、印刷端末に配信された印刷コンテンツが印刷されたか否かを把握することは、印刷コンテンツの送り手にとっては極めて重要なことである。
【0009】
従って、本発明の目的は、印刷コンテンツを、低コストで、かつ、高品質にて配信するシステムにおいて、印刷コンテンツの配信状態及び印刷状態を把握する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの実施態様に従う、ネットワークを介して配信システムに接続される印刷端末であって、前記配信システムは、コンテンツの印刷を行うためのコンテンツデータを前記ネットワークを介して前記印刷端末へ配信するポスティングサーバと、前記ポスティングサーバからの配信リクエストに基づいて、前記ネットワークを介して、シグナリングプロトコルに従い、前記ポスティングサーバと前記印刷端末との間におけるセッションの確立を仲介する仲介サーバと、を備えていて、前記印刷端末は、前記仲介サーバを介したセッション確立要求を受け付けて、前記ポスティングサーバとのセッションを確立し、前記確立されたセッションを用いて、所定のデータ転送用のプロトコルに従ってコンテンツデータを取得する通信部と、前記取得したコンテンツデータ、及び、前記コンテンツデータの状態を示す情報を含むプレゼンス情報を記憶する記憶手段と、前記コンテンツデータに基づいて印刷を実行する印刷手段と、を備え、前記通信部は、前記プレゼンス情報に含まれる前記コンテンツデータの状態が受信済みであることを示すか、または、前記印刷手段の印刷の実行により印刷済みであることを示すように更新されたときに、前記ポスティングサーバに対して、前記更新後のプレゼンス情報の送信を試み、前記更新後のプレゼンス情報のうち、前記ポスティングサーバへの送信が完了していないプレゼンス情報が所定以上になると、前記仲介サーバを介した前記ポスティングサーバからの新たなセッション確立要求を受け付けない。
【0011】
これにより、印刷端末へ印刷コンテンツデータを配信したポスティングサーバは、印刷コンテンツデータが印刷端末に配信されたこと及び印刷端末での印刷が完了したことを、確実に把握することができる。
【0012】
好適な実施形態では、前記記憶手段に記憶されているコンテンツデータを削除する削除手段をさらに備え、前記通信部は、前記プレゼンス情報に含まれる前記コンテンツデータの状態が削除済みであることを示すように更新されたとき、前記ポスティングサーバに対して、前記更新後のプレゼンス情報を送信するようにしてもよい。
【0013】
これにより、印刷端末へ印刷コンテンツデータを配信したポスティングサーバは、印刷コンテンツデータが印刷端末で削除されたことを、確実に把握することができる。
【0014】
好適な実施形態では、前記ポスティングサーバに対する送信が完了していない前記更新後のプレゼンス情報があるとき、前記通信部は、所定の間隔で前記ポスティングサーバに対する送信リトライを行うようにしてもよい。
【0015】
これにより、未送信のプレゼンス情報を前記ポスティングサーバへ確実に送信できるようになる。
【0016】
好適な実施形態では、前記シグナリングプロトコルは、SIP(Session Initiation Protocol)であってもよい。
【0017】
好適な実施形態では、前記データ転送用プロトコルは、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)またはHTTPS(Hypertext Transfer Protocol Security)であってもよい。
【0018】
本発明の一つの実施態様に従うポスティングサーバは、印刷端末に対してコンテンツの印刷を行うためのコンテンツデータを配信し、前記印刷端末に前記コンテンツデータに基づく印刷を実行させるポスティングサーバであって、送信端末から送信された前記コンテンツデータ及び配信先情報を受信する受信手段と、仲介サーバがシグナリングプロトコルに従い、前記ポスティングサーバと前記受信手段が受信した配信先情報が示す印刷端末との間に確立したセッションを用いて、所定のデータ転送用のプロトコルに従って、前記受信手段が受信したコンテンツデータを配信する配信手段と、配信先の印刷端末から、前記配信手段が配信したコンテンツデータの配信状態及び印刷状態を示すプレゼンス情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得したプレゼンス情報を前記送信端末へ提供する提供手段と、を備える。
【0019】
これにより、ポスティングサーバが、送信端末から依頼を受けた印刷コンテンツデータが、印刷端末へ配信されたか、及び印刷端末で印刷が実行されたかを、送信端末へ提供することができる。
【0020】
好適な実施形態では、前記配信手段は、前記コンテンツデータをPUSH型にて配信しても良い。
【0021】
好適な実施形態では、前記シグナリングプロトコルは、SIP(Session Initiation Protocol)であっても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムについて、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係るコンテンツ配信システムの概略構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すとおり、本実施形態のコンテンツ配信システムは、印刷コンテンツ(広告や通信教材など)の配信を希望する企業によって管理される送信端末112Sと、ネットワークサービス提供業者によって管理されるポスティングサーバ102及びSIP(Session Initiation Protocol)サーバ104,106と、それぞれの顧客によって管理される印刷端末108P,110Pと、で構成されている。なお、ポスティングサーバ102及びSIPサーバ104,106は、それぞれ、異なるネットワークサービス提供業者によって管理されていてもよいし、同一のネットワークサービス提供業者によって管理されていてもよい。ポスティングサーバ102、SIPサーバ104,106、及び印刷端末108P,110Pは、インターネットを含む、いわゆるブロードバンドネットワーク114を介して接続されている。また、送信端末112Sは、同じくブロードバンドネットワークを介してポスティングサーバ102に接続されていてもよいし、専用回線などを介してポスティングサーバ102に接続されていてもよい。
【0025】
なお、図1に示すように、ネットワーク114内において、ポスティングサーバ102、SIPサーバ104及び印刷端末108Pは、west.comドメインに所属しているものとし、SIPサーバ106及び印刷端末110Pは、east.comドメインに所属しているものとする。
【0026】
本実施形態では、広告や通信教材などの印刷コンテンツは、コンテンツデータとして、後ほど詳述するように、送信端末112Sからポスティングサーバ102に送信され、ポスティングサーバ102によって、印刷端末108P,110PにそれぞれPUSH型で配信される。ここで、このような印刷のために用いられるコンテンツデータとしては、例えば、JPEGデータ、GIFデータ、PNGデータ、TIFFデータ、プレーンテキストデータ、HTMLデータ、PDFデータ、PostScript(登録商標)データなど、画像やドキュメントを表現することが可能な各種データを用いることができる。また、印刷端末で用いられるプリンタ等の機種が分かっている場合には、印刷データの形態で配信するようにしてもよい。また、ここで、「PUSH型」とは、端末側が情報をリクエストしなくても、サーバ側が一方的に情報を端末に送り出して配信する方法を言う。本実施形態においては、後述するように、コンテンツデータの転送にHTTPないしはHTTPSを用いて行う。従って、ポスティングサーバ102から印刷端末108P,110Pへアクセスしてデータを送信する(HTTP POST)、いわゆるPUSH型の配信、または、印刷端末108P,110Pからポスティングサーバ102へアクセスしてデータを取得する(HTTP GET)、いわゆるPULL型の配信の2通りが可能である。
図2は図1におけるポスティングサーバ102の主要構成を示すブロック図である。図2に示すように、ポスティングサーバ102は、サーバコンピュータによって構成されており、プログラムを実行することにより種々の処理や制御を行うCPU10と、ネットワークを介して他の装置との間で各種データや情報などの伝送を行う通信部12と、プログラムを格納したり、データや情報を格納したりするためのメモリ14と、を主として備えている。このうち、メモリ14は、データや情報として、コンテンツデータ16や配信依頼情報18などを格納すること可能である。なお、ポスティングサーバ102は、上記構成要素以外にも、キーボードやポインティングデバイスなどの入力部やモニタなどの表示部などを備えているが、図では省略されている。
【0027】
また、本実施形態では、上述したコンテンツデータの配信に先立って、シグナリングプロトコルの一種であるSIP(Session Initiation Protocol)を用いて、装置間におけるセッションの確立を行うようにしている。なお、コンテンツデータの配信、すなわち、装置間におけるコンテンツデータの伝送には、SIPではなく、データ転送プロトコルの一種であるHTTP(Hypertext Transfer Protocol)またはHTTPS(Hypertext Transfer Protocol Security)を用いるようにしている。ここで、「セッション」とは、端末などのノード間でメディアストリームを送受信する関係を言う。
【0028】
図3は図1におけるSIPサーバ104,106の主要構成を示すブロック図である。図3に示すように、SIPサーバ104,106も、ポスティングサーバ102と同様に、サーバコンピュータによって構成されており、プログラムを実行することにより種々の処理や制御を行うCPU30と、ネットワークを介して他の装置との間で各種データや情報などの伝送を行う通信部32と、プログラムを格納したり、データや情報を格納したりするためのメモリ34と、を主として備えている。このうち、メモリ34は、情報として、後述するような、登録情報36やプレゼンス情報38などを格納すること可能である。なお、SIPサーバ104,106は、上記構成要素以外にも、キーボードやポインティングデバイスなどの入力部やモニタなどの表示部などを備えているが、図では省略されている。
【0029】
図4は一般的なSIPサーバの種別を示す説明図である。一般に、SIPサーバは、機能に応じて、図4に示すような種別に分けることができる。
【0030】
レジストラは、SIPクライアント(すなわち、SIPユーザエージェント)からの登録要求を受け付けて、SIPクライアントのSIPアドレス(すなわち、SIP URI(Uniform Resource Identifier))や位置情報(すなわち、IP(Internet Protocol)アドレスなど)を、ロケーションサーバに登録する。
【0031】
ロケーションサーバは、SIPクライアントやサーバのSIPアドレスや位置情報などを格納するデータベースである。
【0032】
プロキシサーバは、SIPクライアント間において、リクエストやレスポンスを中継するサーバであって、SIPクライアント間におけるセッションの確立などを仲介する。
【0033】
リダイレクトサーバは、SIPクライアントからの問い合わせに対して、通信したい相手先の位置情報を通知する。
【0034】
プレゼンスサーバは、SIPクライアントの状態に関する情報(例えば、電源がオンかオフかなど)を取得し、管理すると共に、それらをプレゼンス情報として他のSIPクライアントに提供する。
【0035】
図5は図1における印刷端末108P,110Pの構成の各種形態を示す説明図である。印刷端末108P,110Pの構成としては、図5に示すように、種々の形態が考えられる。なお、ここで、後述する複合機とは、少なくとも印刷機能と読取・送信機能を備えた多機能印刷装置を言う。また、プリンタとは、少なくとも印刷機能を備えた単機能印刷装置を言う。
【0036】
1)印刷端末が、IP(Internet Protocol)通信プリンティング対応複合機52のみで構成される形態である。IP通信プリンティング対応複合機52は、後述するSIP URIなどグローバルなアドレスを直接扱うことができるため、ブロードバンドルータ50を介して、インターネットなどのブロードバンドネットワーク114に直接接続したとしても、それらネットワーク114上の装置との間でデータをやりとりすることが可能である。このため、IP通信プリンティング対応複合機52だけで、印刷端末を構成することができる。配信されたコンテンツデータは、黒色矢印72で示すように、ネットワーク114から、ブロードバンドルータ50を介してIP通信プリンティング対応複合機52に伝送される。なお、IP通信プリンティング対応複合機の代わりに、IP通信プリンティング対応プリンタを用いるようにしてもよい。
【0037】
2)印刷端末が、パーソナルコンピュータ54と、そのパーソナルコンピュータ54にUSBケーブルなどで直接接続される複合機56またはプリンタ58と、で構成される形態である。配信されたコンテンツデータは、黒色矢印74で示すように、ブロードバンドルータ50を介して、パーソナルコンピュータ54に伝送され、複合機56またはプリンタ58に出力される。
【0038】
3)印刷端末が、パーソナルコンピュータ54と、そのパーソナルコンピュータ54にLANケーブルなどでLAN(ローカルエリアネットワーク)70を介して接続されたネットワーク対応複合機62と、で構成される形態である。ネットワーク対応複合機62は、プライペートなアドレスを扱うことができるが、グローバルなアドレスを扱うことができないため、パーソナルコンピュータ54などを介さないと、ネットワーク114上の装置との間でデータをやりとりすることができないからである。配信されたコンテンツデータは、黒色矢印74で示すように、ブロードバンドルータ50を介して、パーソナルコンピュータ54に伝送された後、黒色矢印76で示すように、LAN70を介してネットワーク対応複合機62に伝送される。なお、ネットワーク対応複合機の代わりに、ネットワーク対応プリンタを用いるようにしてもよい。
【0039】
4)印刷端末が、パーソナルコンピュータ54と、そのパーソナルコンピュータ54にLANケーブルなどでLAN70を介して接続されたネットワークアダプタ64と、そのネットワークアダプタ64にUSBケーブルなどで接続された複合機66またはプリンタ68と、で構成される形態である。複合機やプリンタがネットワーク対応でない場合に、有効な形態である。配信されたコンテンツデータは、黒色矢印74で示すように、ブロードバンドルータ50を介して、パーソナルコンピュータ54に伝送された後、黒色矢印78で示すように、LAN70を介しネットワークアダプタ64に伝送され、その後、複合機66またはプリンタ68に出力される。
【0040】
なお、装置同士は、ケーブルなど有線で接続される代わりに、いわゆる無線LANや、ブルートゥースや、赤外線など、無線で接続されてもよい。
【0041】
また、インターネットを含むネットワーク114では、グローバルIPアドレスが割り当てられるのに対し、LAN70などのプライペートネットワークでは、プライペートIPアドレスが割り当てられることが多い。そのような場合、いわゆるNAT(Network Address Translation)越えの問題が存在するが、一般に知られているように、NAT越えの方法として、UPnP(Universal Plug and Play)の技術や、STUN(Simple Traversal of UDP through NAT)の技術や、TURN(Traversal Using Relay NAT)の技術や、ICE(Interactive Connectivity Establishment)の技術などを用いることによって、そのような問題は解決することができる。
【0042】
ところで、複合機を用いる場合、上記したとおり、読取・送信機能を有しているため、印刷端末を構成するだけでなく、送信端末を構成することもできる。なお、送信端末としては、その他、パーソナルコンピュータ54と、そのパーソナルコンピュータ54にUSBケーブルなどで直接接続されるスキャナ60と、で構成される形態も考えられる。送信端末を構成する場合、読取・送信されたコンテンツデータは、上記した黒色矢印とは反対向きの経路をたどって、ネットワーク114へ伝送される。なお、本実施形態において、SIPサーバ104,106は、請求項における仲介サーバに相当する。
【0043】
本実施形態では、上述したとおり、シグナリングプロトコルの一種であるSIPを用いて、装置間におけるセッションの確立を行い、データ転送プロトコルの一種であるHTTPSを用いて、装置間におけるコンテンツデータの伝送を行うようにしている。以下、実施形態コンテンツ配信システムの動作概要を説明する。
【0044】
図1において、まず、ポスティングサーバ102や印刷端末108Pは、それぞれ、起動すると、同じドメイン(west.com)に所属しているSIPサーバ104にSIPクライアントとしてアクセスする。同様に、印刷端末110Pも、起動すると、同じドメイン(east.com)に所属しているSIPサーバ106にSIPクライアントとしてアクセスする。そして、ポスティングサーバ102、印刷端末108P,110Pは、破線矢印116,118,120で示すように、アクセスしたSIPサーバ104,106にそれぞれ登録要求を出し、自己のSIP URIやIPアドレスなどの情報を送信する。SIPサーバ104,106は、レジストラ,ロケーションサーバとして機能し、図3に示すように、そのCPU30は、通信部32を介して、登録要求を受け付け、送信
された情報を登録情報36としてメモリ34に登録する。
【0045】
この結果、SIPサーバ104は、同じドメイン(west.com)に所属するポスティングサーバ102及び印刷端末108Pの登録情報を有することになり、SIPサーバ106は、同じドメイン(east.com)に所属する印刷端末110Pの登録情報を有することになる。登録情報36は、各端末毎に、そのSIP URIと、そのIPアドレスと、が対応付けて、CPU30によって管理される。
【0046】
ここで、SIP URIは、例えば、「sip:user@west.com」という形式の識別子で表される。先頭には、SIPであることを示す識別子(スキーム)を置き(「sip」)、次にユーザ識別子を置き(「user」)、「@」で区切って、ホスト名を置く(「west.com」)という形式になっている。なお、ユーザ識別子には、ユーザIDや電話番号などが用いられる。また、ホスト名には、完全修飾ドメイン名(FQDN:Fully Qualified DomainName)やIPアドレスが用いられる。さらに、ホスト名の後には、ポート番号や、オプションパラメータなどを置くことも可能である。また、SIP URIに代えて、SIPのセキュアなURIとして、SIPS URIを用いることもできる。その場合、スキームとして、「sips」を置く。
【0047】
こうして、SIPに関する事前準備が完了したら、SIPを利用した、コンテンツデータの配信が可能となる。
【0048】
そこで、まず、企業側において、印刷コンテンツとして配信したい一以上の印刷コンテンツのエンティティデータと、各配信先のリストを用意する。送信端末112Sは、その一以上のエンティティデータを含むコンテンツデータと、配信先リストを含む配信依頼情報と、を白抜き矢印138で示すように、ポスティングサーバ102に送信する。ポスティングサーバ102は、図2に示すように、受信したコンテンツデータ16と、配信依頼情報18と、をメモリ14に一旦格納する。このとき、送信端末112Sからポスティングサーバ102へのコンテンツデータ,配信依頼情報の伝送には、API(Application Program Interface)技術が利用される。伝送プロトコルとしては、HTTPSに従って行われるが、FTP(File Transfer Protocol)など他のデータ伝送プロトコルを用いるようにしてもよい。
【0049】
ポスティングサーバ102のCPU10は、配信依頼情報18を読み出し、それに含まれる配信先リストを解析する。配信先リストには、配信先として、印刷端末108Pや110PのSIP URIが記載されている。そして、ポスティングサーバ102のCPU10は、その配信先リストに従って、まず、印刷端末110Pを送信先として、ポスティングサーバ102と同じドメイン(west.com)に所属するSIPサーバ104にリクエストを送信する(実線矢印122)。このとき、SIPサーバ104は、プロキシサーバとして機能する。SIPサーバ104は、印刷端末110Pが自己とは異なるドメイン(east.com)に所属しており、印刷端末110Pに関する登録情報を有していないので、印刷端末110Pと同じドメイン(east.com)に所属するSIPサーバ106に、そのリクエストを転送する(実線矢印126)。SIPサーバ106も、プロキシサーバとして機能する。SIPサーバ106は、印刷端末110Pが自己とは同じドメイン(east.com)に所属しており、印刷端末110Pに関する登録情報を有しているので、その登録情報に基づき、転送されたリクエストを印刷端末110Pに中継する(実線矢印128)。印刷端末110Pは、ポスティングサーバ102を返信先として、そのリクエストに対するレスポンスをSIPサーバ106に送信する(実線矢印132)。すると、SIPサーバ106は、ポスティングサーバ102が自己とは異なるドメイン(west.com)に所属しており、ポスティングサーバ102に関する登録情報を有していないので、ポスティングサーバ102と同じドメイン(west.com)に所属するSIPサーバ104に、そのレスポンスを転送する(実線矢印134)。SIPサーバ104は、ポスティングサーバ102が自己とは同じドメイン(west.com)に所属しており、ポスティングサーバ102に関する登録情報を有しているので、その登録情報に基づき、転送されたレスポンスをポスティングサーバ102に中継する(実線矢印136)。このように、ポスティングサーバ102と印刷端末110Pとの間で、リクエストとレスポンスがやりとりされることによって、両者の間でセッションの確立がなされることになる。また、このとき、SIPサーバ104.106は、共にプロキシサーバとして機能し、セッション確立の仲介を行う。詳細には、図6に示すようなリクエストとレスポンスがやりとりされる。
【0050】
図6は図1におけるポスティングサーバ102と印刷端末110Pとの間のセッション確立処理のシーケンスを示す説明図である。図6において、時間は上から下に向かって流れている。また、カギ括弧内の数の順番に、処理シーケンスは進んでいく。
【0051】
ポスティングサーバ102は、自己のIPアドレスを印刷端末110Pに伝えるために、印刷端末110Pに向かって送信するINVITEリクエストメッセージのボディの中に、ポスティングサーバ102のIPアドレスを含ませる。一方、印刷端末110Pも、自己のIPアドレスをポスティングサーバ102に伝えるために、ポスティングサーバ102に向かって送信する200 OKレスポンスメッセージのボディの中に、印刷端末110PのIPアドレスを含ませる。
【0052】
こうして、ポスティングサーバ102から送信したACKリクエストメッセージが、印刷端末110Pに到達したら、ポスティングサーバ102と印刷端末110Pとの間のセッションは確立されたことになる。
【0053】
その後、ポスティングサーバ102は、200 OKレスポンスメッセージより取得した印刷端末110PのIPアドレスに基づいて、印刷端末110Pに、SIPサーバ104,106を介することなく、直接アクセスして、図1の白抜き矢印142で示すように、HTTPSに従ってコンテンツデータをPUSH型で配信する。
【0054】
印刷端末110Pは、配信されたコンテンツデータの受信が完了したら、再び、SIPに従って、BYEリクエストメッセージをSIPサーバ104,106を介してポスティングサーバ102に送信する。ポスティングサーバ102は、BYEリクエストメッセージを受信すると、200 OKレスポンスメッセージをSIPサーバ104,106を介して印刷端末110Pに返す。これにより、ポスティングサーバ102と印刷端末110Pとの間のセッションが解消される。
【0055】
次に、ポスティングサーバ102のCPU10は、その配信先リストに従って、ポスティングサーバ102と同じドメイン(west.com)に所属する印刷端末108Pを送信先として、SIPサーバ104にリクエストを送信する(実線矢印122)。SIPサーバ104は、印刷端末108Pが自己とは同じドメイン(west.com)に所属しており、印刷端末108Pに関する登録情報を有しているので、その登録情報に基づき、そのリクエストを印刷端末108Pに中継する(実線矢印124)。印刷端末108P、ポスティングサーバ102を返信先として、そのリクエストに対するレスポンスをSIPサーバ104に送信する(実線矢印130)。すると、SIPサーバ104は、ポスティングサーバ102が自己とは同じドメイン(west.com)に所属しており、ポスティングサーバ102に関する登録情報を有しているので、その登録情報に基づき、そのレスポンスをポスティングサーバ102に中継する(実線矢印136)。このように、ポスティングサーバ102と印刷端末108Pとの間で、リクエストとレスポンスがやりとりされることによって、両者の間でセッションの確立がなされることになる。また、このとき、SIPサーバ104は、プロキシサーバとして機能し、セッション確立の仲介を行う。なお、ポスティングサーバ102と印刷端末108Pとの間のセッション確立処理のシーケンスについては、前述した図6から容易に類推できるので、説明は省略する。
【0056】
こうして、ポスティングサーバ102と印刷端末108Pとの間のセッションが確立されると、ポスティングサーバ102は、印刷端末108PのIPアドレスに基づいて、印刷端末108Pに、SIPサーバ104を介することなく、直接アクセスして、図1の白抜き矢印140で示すように、HTTPSに従ってコンテンツデータをPUSH型で配信する。
【0057】
コンテンツデータの配信が完了したら、ポスティングサーバ102と印刷端末108Pは、BYEリクエストメッセージと200 OKレスポンスメッセージのやりとりを行い、これにより、ポスティングサーバ102と印刷端末108Pとの間のセッションが解消される。
【0058】
印刷端末108P及び110Pでは、配信されたコンテンツデータに基づいて、印刷機能により、印刷を実行し、印刷コンテンツを出力する。これにより、印刷端末108P,110Pを管理する各々の顧客に、印刷コンテンツを配信することができる。
【0059】
一方、SIPサーバ104,106は、それぞれ、プレゼンスサーバとしても機能する。SIPサーバ104のCPU30は、同じドメイン(west.com)に所属する印刷端末108Pの状態に関するプレゼンス情報を、SIPサーバ106のCPU30は、同じドメイン(east.com)に所属する印刷端末110Pの状態に関する情報を、それぞれ通信部32を介して取得し、図3に示すように、メモリ34内にプレゼンス情報38として格納して、管理する。SIPサーバ104,106間で、それぞれのドメインに所属している印刷端末108P,110Pのプレゼンス情報38を交換しても良い。そして、SIPサーバ104,106のCPU30は、ポスティングサーバ102に対して、プレゼンス情報38を提供する。これによって、ポスティングサーバ102は、印刷端末108P,110Pの状態を把握することができる。
【0060】
上述の実施形態によれば、コンテンツデータの伝送に、インターネットを含むネットワーク114を利用するため、低コストで、かつ、高速度で、コンテンツデータの配信を行うことができる。印刷端末として、顧客の有する高性能なプリンタや複合機を利用することができるため、高品質な印刷を行うことができる。さらに、企業側は、ポスティングサーバ102を利用することによって、印刷コンテンツとして配信したいコンテンツデータと、各配信先のリストを用意するだけでよいため、人的,経済的負担が軽くて済む。また、ポスティングサーバ102を利用することによって、大量の印刷コンテンツの配信が可能となる。また、ポスティングサーバ102がコンテンツデータをPUSH型で配信することにより、顧客は、何ら意識することなく、印刷コンテンツを自動的に受け取りを行うことができる。
【0061】
図7は、印刷端末110Pの主要構成を示すブロック図である。ここでは、印刷端末110Pを例にとり説明するが、印刷端末108Pも同様の機能構成であってよい。また、図7では、印刷端末110Pは、IP通信プリンティング対応複合機52ないしはネットワーク対応複合機62のように、ネットワークに直接接続可能な複合機を例にして説明する。しかしながら、印刷端末110Pが、ネットワークアダプタ64を介してネットワークに接続される複合機66ないしプリンタ68で構成される場合や、パーソナルコンピュータ54とプリンタ58ないし複合機56などで構成される場合でも、実質的に同様の構成を実現できる。
【0062】
印刷端末110Pは、プログラムを実行することにより種々の処理や制御を行うCPU310と、ネットワークを介して他の装置との間で各種データや情報などの伝送を行う通信部320と、プログラムを格納したり、データや情報を格納したりするためのメモリ330と、印刷ヘッド及び紙送り機構などを備え、印刷を実行する印刷エンジン340とを主として備えている。このうち、メモリ330は、ポスティングサーバ102から配信されたコンテンツデータ16と、コンテンツデータ16のプレゼンス情報38とを格納すること可能である。さらに、メモリ330上には、送信キュー335が設けられている。
【0063】
なお、印刷端末110Pは、上記構成要素以外にも、操作パネルなどの入出力部を備えているが、図では省略されている。
【0064】
通信部320は、SIPサーバ106,104を介してポスティングサーバ102からセッション確立要求を受け付けて、ポスティングサーバ102とのセッションを確立する。また、確立されたセッションを用いて、HTTPまたはHTTPSに従ってコンテンツデータ16(データエンティティ160)をポスティングサーバ102から取得し、メモリ330に格納する。
【0065】
コンテンツデータ16は、個別の印刷コンテンツに対応する複数のデータエンティティ160,160,・・・から構成される。
【0066】
プレゼンス情報38は、各データエンティティ160,160,・・・の属性を示す情報を含む。例えば、プレゼンス情報38には、図8に示すように、データ項目として、各データエンティティ160,160,・・・の識別情報であるドキュメント番号381と、送信元のポスティングサーバ102の識別情報であるSIP URI382と、それぞれのデータエンティティ160,160,・・・の状態を示すコンテンツ動作状態383と、各データエンティティ160,160,・・・の印刷に関する状態を示すコンテンツ印刷状態384とが含まれている。プレゼンス情報38は、一つのデータエンティティ160に対して1レコード380で構成されている。つまり、プレゼンス情報38には、複数のデータエンティティ160,160,・・・に対応する複数のレコード380,380,・・・が含まれている。
【0067】
コンテンツ動作状態383は、例えば、データエンティティ160の受信(配信)が完了していることを示す「受信済み」と、印刷が完了していることを示す「印刷完了」と、データエンティティ160がメモリ330から削除されたことを示す「削除済み」などをとり得る。コンテンツ印刷状態383は、正常に印刷が完了した「正常終了」、ユーザによって途中で印刷がキャンセルされた「キャンセル」及びプリンタのエラーなどで正常終了しなかった「異常終了」などをとり得る。
【0068】
CPU310が所定のプログラムを実行すると、プレゼンス情報38を管理する管理手段、及び、データエンティティ160をメモリ330から削除する削除手段などが実現される。例えば、通信部320が受信したデータエンティティ160をメモリ330に格納すると、CPU310が管理手段として、そのデータエンティティ160に対応するプレゼンス情報38のレコード380のコンテンツ動作状態383を「受信済み」に更新する。また、印刷エンジン340がデータエンティティ160に従って印刷を実行すると、CPU310が管理手段として印刷エンジン340からその印刷に関するステータスを取得して、印刷されたデータエンティティ160に対応するプレゼンス情報38のレコード380を更新する。例えば、あるデータエンティティ160の印刷が正常終了すれば、プレゼンス情報38のそれに対応するレコード380のコンテンツ動作状態383が「印刷完了」、コンテンツ印刷状態383が「正常終了」に更新される。CPU310が削除手段として、データエンティティ160をメモリ330から削除すれば、それに応じてCPU310が管理手段として、削除したデータエンティティ160に対応するプレゼンス情報38のレコード380のコンテンツ動作状態383を「削除済み」に更新する。
【0069】
例えば、ユーザからの指示を受けたときに、CPU310が削除手段として、データエンティティ160をメモリ330から削除しても良いし、各データエンティティ160に、配信時刻からの有効期間を予め設定しておき、その有効期間が過ぎると、CPU310が削除手段として自動的に削除するようにしても良い。
【0070】
プレゼンス情報38のあるレコード380において、いずれかの項目が更新されると、CPU310が管理手段として、更新後のプレゼンス情報38のレコード380を送信キュー335へ格納する。例えば、コンテンツ動作状態383が更新されたとき、特にコンテンツ動作状態383が「受信済み」「印刷済み」「削除済み」になったときに、CPU310が更新後のプレゼンス情報38のレコード380を送信キュー335へ格納するようにしても良い。
【0071】
通信部320は、送信キュー335に格納されているプレゼンス情報38のレコード380をポスティングサーバ102へ送信を試みる。通信部320は、プレゼンス情報38のレコード380を、例えばTCPまたはUDPを用いて送信してもよい。送信先のポスティングサーバ102は、例えば、送信するプレゼンス情報38のレコード380に含まれるプレゼンスサーバ102のSIP URI382に基づいて特定される。何らかの理由で、ポスティングサーバ102に対してプレゼンス情報38のレコード380の送信が完了できないときは、通信部320は、所定時間ウェイトした後、送信キュー335に残っているプレゼンス情報38のレコード380の送信リトライを行う。プレゼンスサーバ102への送信が完了したプレゼンス情報38のレコード380は、送信キュー335から削除される。送信が完了したか否かの判定は、例えば、ポスティングサーバ102からプレゼンス情報38のレコード380の受信通知を受領したか否かによって行ってもよい。
【0072】
通信部320は、送信キュー335に所定以上のプレゼンス情報38のレコード380が蓄積されているときは、プレゼンスサーバ102から新たなセッション確立要求があっても、その要求を拒否する。プレゼンス情報38のレコード380を確実にプレゼンスサーバ102へ送信する必要があるため、未送信のプレゼンス情報38のレコード380が増えたときは、新たなデータエンティティ160を受け付けないこととした。
【0073】
次に、上記のような構成を備える印刷端末110Pの処理について、フローチャートを用いて説明する。
【0074】
図9は、印刷端末110Pのコンテンツデータ16の受信処理を示すフローチャートである。
【0075】
まず、通信部320が、ポスティングサーバ102から、SIPサーバ104,106を介してセッション確立要求を受け付ける(S100)。ここで、通信部320は、セッション確立要求を受け付けることが可能であるか否かを判定する(S110)。例えば、送信キュー335に所定数以上の未送信のプレゼンス情報38のレコード380が格納されているときなど、セッション確立要求を受け付けないときは(S110:No)、通信部320はそのセッション確立要求を拒否する(S180)。
【0076】
一方、通信部320がセッション確立要求を受け付けるときは(S110:Yes)、通信部320が、ポスティングサーバ102との間で所定のセッション確立処理を行う(S120)。そして、印刷端末110Pとポスティングサーバ102との間にセッションが確立すれば(S130:Yes)、通信部320は、HTTPSに従って、ポスティングサーバ102から配信されたコンテンツデータ16のデータエンティティ160を受信する(S140)。
【0077】
このように、送信キュー335に所定数以上の未送信のプレゼンス情報38のレコード380が格納されているときは、印刷端末110Pは、ポスティングサーバ102からセッション確立要求を拒否する。これにより、ポスティングサーバ102へ未送信のプレゼンス情報38のレコード380が、増えすぎることを防止し、未送信レコードの消失などのトラブルを未然に防止している。
【0078】
次に、図10は、プレゼンス情報の更新処理及び送信処理を示すフローチャートである。
【0079】
CPU310がデータエンティティ160の状態変化を検出すると、そのデータエンティティ160に対応するプレゼンス情報38のレコード380を更新する(S200)。例えば、ポスティングサーバ102から配信されたデータエンティティ160を受信したとき、あるいは、データエンティティ160に基づく印刷が完了したときに、プレゼンス情報38のレコード380が更新されると、CPU310がそれを検出する。
【0080】
CPU310は、更新されたプレゼンス情報38のレコード380をメモリ330から読み出して、送信キュー335に格納する(S210)。
【0081】
送信キュー335にプレゼンス情報38のレコード380が格納されると、通信部320は、送信キュー335に格納されているプレゼンス情報38のレコード380の送信処理を行う(S220)。これにより、更新されたプレゼンス情報38のレコード380は、直ちにポスティングサーバ102に対する送信処理が開始される。この送信処理の詳細について、以下に説明する。
【0082】
図11は、プレゼンス情報38のレコード380の詳細な送信処理を示すフローチャートである。
【0083】
通信部320は、送信キュー335に、未送信のプレゼンス情報38のレコード380が一つ以上格納されているか否かを判定する(S300)。送信キュー335に未送信のプレゼンス情報38のレコード380がないときは(S300:No)、この処理を終了する。
【0084】
一方、送信キュー335に未送信のプレゼンス情報38のレコード380があるときは(S300:Yes)、送信キュー335の先頭から順に、未送信のプレゼンス情報38のレコード380をポスティングサーバ102へ送信を試みる(S310)。
【0085】
この送信の試行を行った後、通信部320は、ポスティングサーバ102への送信が成功したか否かを判定する(S320)。
【0086】
ポスティングサーバ102へのプレゼンス情報38のレコード380の送信が成功したときは(S320:Yes)、送信済みのレコード380を送信キュー335から削除する(S330)。これに対して、プレゼンス情報38のレコード380の送信に失敗したときは(S330:No)、所定時間ウェイトして、ステップS310以降の処理を繰り返す(S340)。
【0087】
これにより、送信キューに蓄積されているプレゼンス情報38のレコード380をポスティングサーバ102へ送信することができる。
【0088】
つぎに、図12は、送信端末112Sにおいて、印刷コンテンツの配信を依頼してから、その印刷コンテンツの配信及び印刷が行われたか否かを確認するための配信表示が行われるまでの主要なデータのやりとりを模式的に示したシーケンス図である。同図に従って、データのやりとりについて説明する。なお、同図においては、SIPサーバ104,106、及びセッションの確立処理などを省略している。
【0089】
まず、依頼端末112Sが印刷コンテンツのデータエンティティ160及び配信依頼情報をポスティングサーバ102へ送信する(S400)。ポスティングサーバ102では、通信部12がコンテンツデータ及び配信依頼情報を受信する。
【0090】
ポスティングサーバ102は、配信依頼情報に従って配信相手である印刷端末110Pを特定し、SIPサーバ104,106を介して確立されたセッションを用いて、通信部12が印刷端末110Pに対してコンテンツデータを配信する(S410)。
【0091】
印刷端末110Pは、上述した通り、データエンティティ160を受信すると、データエンティティ160に対応するプレゼンス情報38のレコード380をポスティングサーバ102へ送信する(S430)。ポスティングサーバ102では、通信部12が印刷端末110Pから送信されたプレゼンス情報38のレコード380を取得する。
【0092】
ポスティングサーバ102では、通信部12が取得したプレゼンス情報38のレコード380に基づいて、データエンティティ160の配信完了を示す配信実績情報を送信端末112Sに対して提供する(S440)。そして、送信端末112Sは、提供された配信実績情報に基づいて、印刷を依頼したコンテンツのステータスを示す配信表示を行う。これにより、送信端末112Sから配信を依頼した印刷コンテンツが、印刷端末110Pへ配信されたことを把握できる。
【0093】
一方、印刷端末110Pでは、受信したデータエンティティ160の印刷を行い、印刷が完了すると、そのデータエンティティ160に対応するプレゼンス情報38のレコード380をポスティングサーバ102へ送信する(S450)。ポスティングサーバ102では、通信部12が印刷端末110Pから送信されたプレゼンス情報38のレコード380を取得する。
【0094】
ポスティングサーバ102では、通信部12が取得したプレゼンス情報38のレコード380に基づいて、データエンティティ160の印刷完了を示す配信実績情報を送信端末112Sに対して提供する(S460)。そして、送信端末112Sは、提供された配信実績情報に基づいて配信表示を行う。これにより、送信端末112Sから配信を依頼した印刷コンテンツが、印刷端末110Pで印刷されたことを把握できる。
【0095】
また、印刷端末110Pでは、データエンティティ160が削除されると、そのデータエンティティ160に対応するプレゼンス情報38のレコード380をポスティングサーバ102へ送信する(S470)。ポスティングサーバ102では、通信部12が印刷端末110Pから送信されたプレゼンス情報38のレコード380を取得する。
【0096】
ポスティングサーバ102では、通信部12が取得したプレゼンス情報38のレコード380に基づいて、データエンティティ160の削除完了を示す配信実績情報を送信端末112Sに対して提供する(S480)。そして、送信端末112Sは、配信実績情報に基づいて配信表示を行う。これにより、送信端末112Sから配信を依頼した印刷コンテンツが、印刷端末110Pで削除されたことを把握できる。
【0097】
上記のように送信端末へ配信実績情報を提供することにより、印刷コンテンツの配信を依頼した企業等は、印刷端末への配信が行われたことや、印刷が行われたことを知らせることができる。
【0098】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのコンテンツ配信システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】ポスティングサーバ102の主要構成を示すブロック図である。
【図3】SIPサーバ104,106の主要構成を示すブロック図である。
【図4】一般的なSIPサーバの種別を示す説明図である。
【図5】印刷端末108P,110Pの構成の各種形態を示す説明図である。
【図6】ポスティングサーバ102と印刷端末110Pとの間のセッション確立処理のシーケンスを示す説明図である。
【図7】印刷端末110Pの主要構成を示すブロック図である。
【図8】プレゼンス情報38のデータ構造の一例を示す図である。
【図9】印刷端末110Pのコンテンツデータ16の受信処理を示すフローチャートである。
【図10】プレゼンス情報の更新処理及び送信処理を示すフローチャートである。
【図11】プレゼンス情報38のレコードの詳細な送信処理を示すフローチャートである。
【図12】印刷コンテンツの配信から配信表示までの主要なデータのやりとりを模式的に示したシーケンス図である。
【符号の説明】
【0100】
10,30,310 CPU
12,32、320 通信部
14,34、330 メモリ
16 コンテンツデータ
18 配信依頼情報
36 登録情報
38 プレゼンス情報
50 ブロードバンドルータ
52 通信プリンティング対応複合機
54 パーソナルコンピュータ
56,66 複合機
58,68 プリンタ
60 スキャナ
62 ネットワーク対応複合機
64 ネットワークアダプタ
102 ポスティングサーバ
104,106 SIPサーバ
108P,110P 印刷端末
112S 送信端末
114 ブロードバンドネットワーク
160,160,・・・ データエンティティ
335 送信キュー
340 印刷エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して配信システムに接続される印刷端末であって、
前記配信システムは、
コンテンツの印刷を行うためのコンテンツデータを前記ネットワークを介して前記印刷端末へ配信するポスティングサーバと、
前記ポスティングサーバからの配信リクエストに基づいて、前記ネットワークを介して、シグナリングプロトコルに従い、前記ポスティングサーバと前記印刷端末との間におけるセッションの確立を仲介する仲介サーバと、を備えていて、
前記印刷端末は、
前記仲介サーバを介したセッション確立要求を受け付けて、前記ポスティングサーバとのセッションを確立し、前記確立されたセッションを用いて、所定のデータ転送用のプロトコルに従ってコンテンツデータを取得する通信部と、
前記取得したコンテンツデータ、及び、前記コンテンツデータの状態を示す情報を含むプレゼンス情報を記憶する記憶手段と、
前記コンテンツデータに基づいて印刷を実行する印刷手段と、を備え、
前記通信部は、
前記プレゼンス情報に含まれる前記コンテンツデータの状態が受信済みであることを示すか、または、前記印刷手段の印刷の実行により印刷済みであることを示すように更新されたときに、前記ポスティングサーバに対して、前記更新後のプレゼンス情報の送信を試み、
前記更新後のプレゼンス情報のうち、前記ポスティングサーバへの送信が完了していないプレゼンス情報が所定以上になると、前記仲介サーバを介した前記ポスティングサーバからの新たなセッション確立要求を受け付けない印刷端末。
【請求項2】
請求項1記載の印刷端末において、
前記記憶手段に記憶されているコンテンツデータを削除する削除手段をさらに備え、
前記通信部は、前記プレゼンス情報に含まれる前記コンテンツデータの状態が削除済みであることを示すように更新されたとき、前記ポスティングサーバに対して、前記更新後のプレゼンス情報を送信する、印刷端末。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷端末において、
前記ポスティングサーバに対する送信が完了していない前記更新後のプレゼンス情報があるとき、前記通信部は、所定の間隔で前記ポスティングサーバに対する送信リトライを行う、印刷端末。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷端末において、
前記シグナリングプロトコルは、SIP(Session Initiation Protocol)である、印刷端末。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷端末において、
前記データ転送用プロトコルは、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)またはHTTPS(Hypertext Transfer Protocol Security)である、印刷端末。
【請求項6】
印刷端末に対してコンテンツの印刷を行うためのコンテンツデータを配信し、前記印刷端末に前記コンテンツデータに基づく印刷を実行させるポスティングサーバであって、
送信端末から送信された前記コンテンツデータ及び配信先情報を受信する受信手段と、
仲介サーバがシグナリングプロトコルに従い、前記ポスティングサーバと前記受信手段が受信した配信先情報が示す印刷端末との間に確立したセッションを用いて、所定のデータ転送用のプロトコルに従って、前記受信手段が受信したコンテンツデータを配信する配信手段と、
配信先の印刷端末から、前記配信手段が配信したコンテンツデータの配信状態及び印刷状態を示すプレゼンス情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得したプレゼンス情報を前記送信端末へ提供する提供手段と、を備えるポスティングサーバ。
【請求項7】
請求項6に記載のポスティングサーバにおいて、
前記配信手段は、前記コンテンツデータをPUSH型にて配信する、ポスティングサーバ。
【請求項8】
請求項6または7に記載のポスティングサーバにおいて、
前記シグナリングプロトコルは、SIP(Session Initiation Protocol)である、ポスティングサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−113649(P2010−113649A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287676(P2008−287676)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】