説明

印刷装置、ドライバープログラム、印刷システム

【課題】複数のCPUを備える印刷装置において、スループットおよび消費電力をともに最適化する。
【解決手段】印刷装置2は、ページ毎に、単一CPUもしくは複数CPUを示すモード情報と、印刷データとを、印刷制御装置3から受け付ける。そして、印刷装置2は、ページ毎に、受け付けたモード情報に従って、単一CPUもしくは複数CPUが動作するように設定する。また、印刷装置2は、ページ毎に、設定したモードで、受け付けた印刷データを印刷可能なイメージデータに変換し、印刷エンジン28に送り、印刷を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、ドライバープログラム、印刷システムに係る。
【背景技術】
【0002】
プリンター、コピー機、複合機等の印刷装置には、印刷処理の高速化を図るため、複数のCPUを搭載したものがある。このような印刷装置は、ページ記述言語や中間言語等の所定のコマンド形式の言語で記述された印刷データをイメージデータ(描画データ)に変換する処理を、複数のCPUの並列処理により実現する(例えば、特許文献1)。生成されたイメージデータは、印刷装置の印刷エンジンに送られ、印刷媒体に印刷が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−198240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷装置の印刷速度(スループット、例えばPPM(ページ数/分))は、印刷エンジンの仕様により上限が決まっている。そして、印刷エンジンに送られるイメージデータは、少なくとも当該印刷エンジンの上限の印刷速度に間に合うように、CPUにより生成されればよい。
【0005】
しかしながら、従来の印刷装置では、印刷エンジンの印刷速度に十分間に合うか否かに係らず、常時複数のCPUによりイメージデータが生成されている。すなわち、イメージデータの生成が印刷エンジンの印刷速度に十分間に合う場合でも、常時複数のCPUが動作している。常時動作するCPUの数が多ければ、その分、消費電力が増大する。
【0006】
本発明は、複数のCPUを備える印刷装置において、スループットおよび消費電力をともに最適化するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明の第1の態様は、複数のCPUを備える印刷装置であって、ページ毎に、単一CPUもしくは複数CPUを示すモード情報と、印刷データとを受け付け、当該モード情報に従って、単一CPUもしくは複数CPUが動作するように設定するモード設定手段と、ページ毎に、前記モード設定手段により設定されたモードで、前記印刷データを印刷可能なイメージデータに変換する印刷データ変換手段と、を有する、
ことを特徴とする。
【0008】
ここで、上記の印刷装置であって、前記モード設定手段は、1ページ目については、前記モード情報に係わらず、複数CPUが動作するように設定する、ことを特徴としていてもよい。
【0009】
また、上記の印刷装置であって、前記モード設定手段は、1ページ目については、印刷エンジンがウォームアップ中であるか否かを判定し、ウォームアップ中でない場合に、複数CPUが動作するように設定し、ウォームアップ中である場合に、単一CPUが動作するように設定する、ことを特徴としていてもよい。
【0010】
また、上記の印刷装置であって、前記モード設定手段は、一または複数のページの印刷指示を含む印刷ジョブの終了後、次の印刷ジョブを受け付けているか否かを判定し、次の印刷ジョブがない場合、単一のCPUが動作するように設定する、ことを特徴としていてもよい。
【0011】
上記の課題を解決するための本発明の第2の態様は、コンピューターを、複数のCPUを備える印刷装置を制御する印刷制御装置として機能させるためのドライバープログラムであって、ページ毎に、当該ページの印刷データの特徴に応じて、当該印刷データを処理すべきCPUの数を示すモード情報を生成するモード情報生成手段と、前記印刷データおよび前記モード情報を、前記印刷装置に送信する印刷データ生成手段として、前記コンピューターを機能させる、ことを特徴とする。
【0012】
上記の課題を解決するための本発明の第3の態様は、複数のCPUを備える印刷装置と、前記印刷装置を制御する印刷制御装置とを備える印刷システムであって、前記印刷制御装置は、ページ毎に、当該ページの印刷データの特徴に応じて、当該印刷データを処理すべきCPUの数を示すモード情報を生成するモード情報生成手段と、前記印刷データおよび前記モード情報を、前記印刷装置に送信する印刷データ生成手段と、を有し、前記印刷装置は、ページ毎に、前記モード情報と前記印刷データとを前記印刷制御装置から受け付け、当該モード情報に従って、単一CPUもしくは複数CPUが動作するように設定するモード設定手段と、ページ毎に、前記モード設定手段により設定されたモードで、前記印刷データを印刷可能なイメージデータに変換する印刷データ変換手段と、を有する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態の一例に係る、印刷システムのハードウェア構成の概略を示すブロック図。
【図2】印刷システムの機能構成の一例を示すブロック図。
【図3】印刷制御装置の印刷データ生成処理を示すフロー図。
【図4】印刷装置の印刷データ変換処理を示すフロー図。
【図5】印刷装置の1ページ目の印刷データ変換処理を示すフロー図。
【図6】印刷装置の2ページ目以降の印刷データ変換処理を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態の一例に係る、印刷システム1のハードウェア構成の概略を示すブロック図である。
【0016】
本図に示すように、印刷システム1は、印刷装置2と、印刷制御装置3とを有する。印刷装置2は、プリンター、コピー機、複合機等の印刷機能を備えた装置である。印刷制御装置3は、アプリケーションプログラムやドライバープログラムによる各種処理を実行し、プリンターホストとして機能する、PCなどの情報処理装置である。印刷装置2および印刷制御装置3は、例えば、USB、有線LAN、無線LANなどのネットワークを介して接続される。
【0017】
印刷制御装置3は、各種演算を行うCPUと、CPUが実行するプログラムやデータを格納するRAMと、起動に必要なプログラムやデータを予め格納するROMと、ハードディスク等の補助記憶装置と、ユーザインタフェース画面などを表示するLCDなどの表示装置と、キーボードやマウス等の入力装置と、CD−ROM等の可搬性を有する可搬型記憶媒体の情報を読み出すメディア読取装置と、USBによる通信を行うUSBインターフェイス(I/F)と、LANなどのネットワークを介して通信を行う通信インターフェイスとを備える(いずれも不図示)。
【0018】
印刷装置2は、複数のCPU(CPU21、CPU22、CPU23)と、ROM24と、RAM25と、USBインターフェイス(I/F)26と、DMAC(Direct Memory Access Controller)27と、印刷エンジン28とを有する。
【0019】
CPU21〜23は、RAM25にロードされた所定のプログラムにしたがって、各種の処理を実行し、印刷装置2全体の動作を制御するユニットである。
【0020】
CPU21〜23は、例えば、印刷制御装置3から送られた印刷データ(ページ記述言語や中間言語等の所定のコマンド形式の言語)および後述するモード情報(CPUの動作モードを示す情報)を、DMAC27により、USBインターフェイス26からRAM25に転送して格納する。また、CPU21〜23は、RAM25から印刷データを読み出し、当該印刷データに基づいて描画処理、色変換処理、ハーフトーン処理などの各種画像処理を実行し、イメージデータを生成し、RAM25に格納する。また、CPU21〜23は、生成したイメージデータを、DMAC27により、RAM25から印刷エンジン28に転送し、印刷エンジン28に印刷を実行させる。
【0021】
ROM24は、各種のプログラム、データ等が格納された不揮発性メモリである。RAM25は、ROM24からロードされたプログラム、印刷制御装置3から送られた印刷データ、CPU21〜23により生成されたイメージデータ等が格納される揮発性メモリである。
【0022】
USBインターフェイス26は、USBにより外部の機器と情報の送受信を行うためユニットである。USBインターフェイス26は、例えば、印刷制御装置3から受信した印刷データを、DMAC27を用いてRAM25に転送する。
【0023】
DMAC27は、CPU21〜23を介さずに、各ユニット間のデータ転送を制御するユニットである。DMAC27は、例えば、USBインターフェイス26およびRAM25の間、RAM25および印刷エンジン28の間のデータ転送を行う。
【0024】
印刷エンジン28は、CPU21〜23から送られたイメージデータに基づいて印刷媒体に印刷を行うユニットである。印刷エンジン28は、例えば、トナーを充填したカートリッジを備え、このトナーを印刷用紙等の印刷媒体に転写することで印刷を行うレーザー方式のユニットである。もちろん、インクジェット方式であってもよい。
【0025】
ところで、本発明では、印刷装置2は、CPU21〜23のうちいずれか1つが動作する単一CPUモードと、CPU21〜23の全てが動作するマルチCPUモードとを切り替えることができる。以下の説明では、CPU21がメインCPUであり、単一CPUモードでは、CPU21のみが動作するものとする。
【0026】
CPU21(メインCPU)は、印刷制御装置3から印刷データとともに受信した、単一CPUモードもしくはマルチCPUモードを示す情報に従って、モードを切り替える。単一CPUモードの場合は、CPU21は、CPU22およびCPU23に対するクロック供給を停止、もしくは、電源供給を停止する。CPU21は、印刷データをイメージデータに変換し、印刷エンジン28に送る。マルチCPUモードの場合は、CPU21〜23が並列的に印刷データをイメージデータに変換し、印刷エンジン28に送る。
【0027】
単一CPUモードおよびマルチCPUモードのデータの流れについて説明する。単一CPUモードの場合、(1)印刷制御装置3から送られた印刷データは、DMAC27により、USBインターフェイス26からRAM25に転送される。それから、(2)印刷データは、CPU21によりRAM25から読み出されてイメージデータに変換され、RAM25に書き込まれる。そして、(3)イメージデータは、DMAC27により、RAM25から印刷エンジン28に転送される。マルチCPUモードの場合、上記の(2)に代えて、(2´)印刷データは、CPU21〜23によりRAM25から読み出されてイメージデータに変換され、RAM25に書き込まれる。
【0028】
以上、印刷システム1のハードウェア構成について説明した。もちろん、この構成は、本願発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られない。また、一般的な印刷システム1、印刷装置2、印刷制御装置3が備える他の構成を排除するものではない。
【0029】
図2は、印刷システム1の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
印刷制御装置3は、印刷データ生成部310およびヘッダ情報生成部320を有する。これらの機能部は、CPUがRAMにロードした所定のプログラム(例えば、プリンタードライバープログラム)を実行することにより実現される。この所定のプログラムは、例えば、インターネットなどのネットワークから、もしくは、CD−ROMなどの可搬型記憶媒体から、印刷制御装置3にインストールされる。
【0031】
印刷データ生成部310は、アプリケーションプログラム等から受け付けた印刷対象の電子データに基づいて、ページ単位で、ページ記述言語や中間言語などのコマンド形式の印刷データを生成する。また、印刷データの生成の際、ヘッダ情報生成部320に要求してヘッダ情報を生成させる。そして、生成した印刷データにヘッダ情報を付加して印刷装置2に送信する。
【0032】
ヘッダ情報生成部320は、ページ単位で、印刷対象の電子データおよび/または印刷データを解析して、当該ページのデータの特徴に応じた印刷装置2のCPUの動作モード(単一CPUモードもしくはマルチCPUモード)を選択する。そして、モードを示すヘッダ情報を印刷データ生成部310に出力する。
【0033】
CPUの動作モードは、印刷データのイメージデータへの変換処理が、印刷装置2の印刷エンジン28の仕様で決まっている上限の印刷速度に少なくとも間に合う速度で実行されるように、単一CPUモードもしくはマルチCPUモードのいずれか選択される。この選択のための条件として、本実施形態では、ページごとのデータの特徴を用いる。
【0034】
例えば、データの特徴は、コードサイズ、印刷色(モノクロまたはカラー)、データ属性等である。例えば、ヘッダ情報生成部320は、印刷データから生成されるべきイメージデータのコードサイズが所定値以上となる場合に、マルチCPUモードを選択する。また、印刷色がモノクロである場合に、単一CPUモードを選択する。また、データ属性がグラフィックスである(例えば、ページにグラフィックスが含まれる)場合に、マルチCPUモードを選択する。これらの条件は、印刷装置2の仕様に応じて、ドライバープログラムに予め設定されるようにしてもよい。なお、条件は上記に限られない。上記の条件の2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0035】
印刷装置2は、印刷データ変換部210およびモード設定部220を有する。モード設定部220は、メインのCPU21がROM24からRAM25にロードした所定のプログラムを実行することにより実現される。印刷データ変換部210は、単一CPUモードの場合、メインのCPU21がROM24からRAM25にロードした所定のプログラムを実行することにより、マルチCPUモードの場合、CPU21〜23がROM24からRAM25にロードした所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0036】
印刷データ変換部210は、ページ単位で、印刷制御装置3から送られた印刷データに基づいて、描画処理、色変換処理、ハーフトーン処理などの各種画像処理を実行し、印刷データをイメージデータに変換する。そして、生成したイメージデータを印刷エンジン28に送り、印刷を実行させる。
【0037】
モード設定部220は、ページ単位で、印刷制御装置3から送られたヘッダ情報に基づいて、CPUの動作モードを切り替える。すなわち、ヘッダ情報で単一CPUモードが指定されている場合、モード設定部220は、印刷データ変換部210がCPU21で実現されるように動作モードを切り替える。ヘッダ情報でマルチCPUモードが指定されている場合、印刷データ変換部210の処理がCPU21〜23で実現されるように動作モードを切り替える。
【0038】
また、モード設定部220は、印刷ジョブの1ページ目の処理については、ヘッダ情報と関係なく、印刷エンジン28がウォームアップ中か否かを判定する。そして、ウォームアップ中の場合、モード設定部220は、単一CPUモードを設定する。ウォームアップ中でない場合、マルチCPUモードを設定する。このようにして、印刷エンジン28がウォームアップ中でない場合、モード設定部220は、印刷エンジン28による1ページ目の印刷(ファーストプリント)を、できる限り早く開始する。
【0039】
以上、印刷システム1の機能構成について説明した。もちろん、この構成は、本願発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られない。また、一般的な印刷システム1、印刷装置2、印刷制御装置3が備える他の構成を排除するものではない。
【0040】
また、上記の各構成要素は、印刷システム1、印刷装置2、印刷制御装置3の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。各構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0041】
次に、上記の印刷システム1により実現される、特徴的な処理について説明する。
【0042】
図3は、印刷制御装置3の印刷データ生成処理を示すフロー図である。本フローは、例えば、アプリケーションプログラム等を介して、印刷データ生成部310がユーザーから電子データの印刷指示を受け付けることにより開始される。
【0043】
S100では、印刷データ生成部310は、ページ単位で、印刷データを生成する。また、ヘッダ情報生成部320に、ヘッダ情報の生成を要求する。そして、処理をS110に進める。
【0044】
S110では、ヘッダ情報生成部320は、ページ単位で、印刷データを解析して、当該ページのデータの特徴に応じた印刷装置2のCPUの動作モードを選択する。そして、選択したモードを示すヘッダ情報を印刷データ生成部310に出力し、処理をS120に進める。
【0045】
S120では、印刷データ生成部310は、生成した印刷データ(S100)に、取得したヘッダ情報(S110)を付加し、印刷装置2に送信する。そして、本フローを終了する。
【0046】
図4は、印刷装置2の印刷データ変換処理を示すフロー図である。本フローは、例えば、印刷装置2が、印刷制御装置3から1ページまたは複数ページの、印刷データおよびヘッダ情報を含む印刷ジョブを受信することにより開始される。
【0047】
S200では、モード設定部220は、1ページ目の印刷データについて、印刷データ変換処理(図5)を実行する。そして、処理をS210に進める。S210では、モード設定部220は、2ページ目の印刷データがあるか否かを判定する。2ページ目がある場合(S210:YES)、処理をS220に進める。2ページ目がない場合(S210:NO)、本フローを終了する。S220では、モード設定部220は、2ページ目以降の印刷データについて、印刷データ変換処理(図6)を実行する。
【0048】
図5は、印刷装置2の1ページ目の印刷データ変換処理を示すフロー図である。
【0049】
S201では、モード設定部220は、印刷エンジン28がウォームアップ済みであるか否かを判定する。印刷エンジン28がウォームアップ済みである場合(S201:YES)、処理をS204に進める。印刷エンジン28がウォームアップ済みでない場合(S201:NO)、処理をS202に進める。
【0050】
S202では、モード設定部220は、現在設定されているCPUの動作モードが単独CPUモードであるか否かを判定する。現在設定されているCPUの動作モードが単独CPUモードである場合(S202:YES)、処理をS206に進める。現在設定されているCPUの動作モードが単独CPUモードでない場合(S202:NO)、処理をS203に進める。
【0051】
S203では、モード設定部220は、CPUの動作モードを単独CPUモードに切り替える。すなわち、印刷データ変換部210がCPU21で実現されるように設定し、CPU22およびCPU23を停止状態(クロック供給の停止、もしくは、電源供給の停止)にする。そして、処理をS206に進める。
【0052】
一方、S204では、モード設定部220は、現在設定されているCPUの動作モードがマルチCPUモードであるか否かを判定する。現在設定されているCPUの動作モードがマルチCPUモードである場合(S204:YES)、処理をS206に進める。現在設定されているCPUの動作モードがマルチCPUモードでない場合(S204:NO)、処理をS205に進める。
【0053】
S205では、モード設定部220は、CPUの動作モードをマルチCPUモードに切り替える。すなわち、印刷データ変換部210がCPU21〜23で実現されるように設定し、CPU22およびCPU23を停止状態から起動状態に移行する。そして、処理をS206に進める。
【0054】
S206では、印刷データ変換部210は、1ページ目の印刷データをRAM25から読み出し、イメージデータに変換してRAM25に書き込む。また、生成したイメージデータをDMAC27により印刷エンジン28に送る。そして、本フローを終了する。
【0055】
図6は、印刷装置2の2ページ目以降の印刷データ変換処理を示すフロー図である。
【0056】
S221では、モード設定部220は、処理対象のページのヘッダ情報が単独CPUモードを示しているか否かを判定する。ヘッダ情報が単独CPUモードを示している場合(S221:YES)、処理をS222に進める。ヘッダ情報が単独CPUモードを示していない場合(S221:NO)、処理をS224に進める。
【0057】
S222〜S225の処理は、図5のS202〜205と同様なので説明を省略する。
【0058】
S226では、印刷データ変換部210は、処理対象のページの印刷データをRAM25から読み出し、イメージデータに変換してRAM25に書き込む。また、生成したイメージデータをDMAC27により印刷エンジン28に送る。そして、処理をS227に進める。
【0059】
S227では、モード設定部220は、印刷ジョブの全ページの印刷データ変換処理が終了したか否かを判定する。全ページの処理が終了していない場合(S227:NO)、処理をS221に戻す。全ページの処理が終了している場合(S227:YES)、本フローを終了する。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について説明した。本実施形態によれば、複数のCPUを備える印刷装置において、スループットおよび消費電力をともに最適化することができる。
【0061】
すなわち、本実施形態によれば、印刷装置2の印刷エンジン28の仕様で決まっている上限の印刷速度に少なくとも間に合う速度で、CPUによる各種処理が実行されるように、単一CPUモードもしくはマルチCPUモードのいずれか選択される。このような構成により、上限のスループットが維持されつつ、消費電力が低減される。
【0062】
なお、上記の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかである。
【0063】
例えば、図6のS227の後、モード設定部220は、次の印刷ジョブを印刷制御装置3から受け付けたか否か判定し、次の印刷ジョブを受け付けていない場合、CPUの動作モードを単独CPUモードに設定するようにし、次の印刷ジョブを受け付けている場合、現在のモードを変更しないようにする。このようにすれば、次の印刷ジョブがなければ、すぐに消費電力を低下させることができる。また、次の印刷ジョブを受け付けており、かつ、現在のモードがマルチCPUモードであれば、モードを切り替えずに(図5のS204:YES)、ファーストプリントの開始を早めることができる。
【0064】
また、例えば、動作するCPUの数を、複数段階切り替えられるようにしてもよい。具体的には、印刷制御装置3は、印刷データの内容に応じて、動作するCPUの数(1〜n)決定し、ヘッダ情報として印刷装置2に送る。印刷装置2は、ヘッダ情報に基づいて、指定された数のCPUを起動状態にする。このようにすれば、印刷データの内容に応じて、スループットを維持しつつ、消費電力をより減らすことができる。
【符号の説明】
【0065】
1:印刷システム、2:印刷装置、3:印刷制御装置、21:CPU、22:CPU、23:CPU、24:ROM、25:RAM、26:USBI/F、27:DMAC、28:印刷エンジン、210:印刷データ変換部、220:モード設定部、310:印刷データ生成部、320:ヘッダ情報生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のCPUを備える印刷装置であって、
ページ毎に、単一CPUもしくは複数CPUを示すモード情報と、印刷データとを受け付け、当該モード情報に従って、単一CPUもしくは複数CPUが動作するように設定するモード設定手段と、
ページ毎に、前記モード設定手段により設定されたモードで、前記印刷データを印刷可能なイメージデータに変換する印刷データ変換手段と、を有する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記モード設定手段は、1ページ目については、前記モード情報に係わらず、複数CPUが動作するように設定する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記モード設定手段は、1ページ目については、印刷エンジンがウォームアップ中であるか否かを判定し、ウォームアップ中でない場合に、複数CPUが動作するように設定し、ウォームアップ中である場合に、単一CPUが動作するように設定する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記モード設定手段は、
一または複数のページの印刷指示を含む印刷ジョブの終了後、次の印刷ジョブを受け付けているか否かを判定し、次の印刷ジョブがない場合、単一のCPUが動作するように設定する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
コンピューターを、複数のCPUを備える印刷装置を制御する印刷制御装置として機能させるためのドライバープログラムであって、
ページ毎に、当該ページの印刷データの特徴に応じて、当該印刷データを処理すべきCPUの数を示すモード情報を生成するモード情報生成手段と、
前記印刷データおよび前記モード情報を、前記印刷装置に送信する印刷データ生成手段として、前記コンピューターを機能させる、
ことを特徴とするドライバープログラム。
【請求項6】
複数のCPUを備える印刷装置と、前記印刷装置を制御する印刷制御装置とを備える印刷システムであって、
前記印刷制御装置は、
ページ毎に、当該ページの印刷データの特徴に応じて、当該印刷データを処理すべきCPUの数を示すモード情報を生成するモード情報生成手段と、
前記印刷データおよび前記モード情報を、前記印刷装置に送信する印刷データ生成手段と、を有し、
前記印刷装置は、
ページ毎に、前記モード情報と前記印刷データとを前記印刷制御装置から受け付け、当該モード情報に従って、単一CPUもしくは複数CPUが動作するように設定するモード設定手段と、
ページ毎に、前記モード設定手段により設定されたモードで、前記印刷データを印刷可能なイメージデータに変換する印刷データ変換手段と、を有する、
ことを特徴とする印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−188598(P2010−188598A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34910(P2009−34910)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】