説明

印刷装置、印刷システム、ニアエンド通知方法、および制御プログラム

【課題】ニアエンドマークが予め付されていないロール紙を用いた場合でも、当該ロール紙のニアエンドをユーザが把握可能にする。
【解決手段】ホストコンピュータ102から送信された印刷データをロール紙7に印刷するサーマルヘッド8と、前記ロール紙7のニアエンドを検出するニアエンド検出器17と、前記ニアエンド検出器17によってニアエンドが検出された場合、前記ロール紙7への印刷時に前記ニアエンドを示すニアエンドパターン65を印刷するニアエンド印刷制御部53と、を備えてプリンタ101を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙が残り少なくなった状態であるニアエンドをユーザに通知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール紙に文字や図形をライン状のサーマルヘッドを用いて印刷して、その印刷したロール紙を切断して排出口から排出する記録装置が知られている。この種の記録装置は、例えばレシートや領収書を印刷するPOSシステムや、現金自動支払機(ATM)、キャッシュディスペンサー(CD)などに組み込まれて使用されている。
また、一般に、ロール紙の残りが少なくなった状態であるニアエンドをユーザに通知しロール紙の補充を促すために、ロール紙の製造工程において、終端から所定の長さまで赤インクなどでニアエンドマークを予め付すことが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−59233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら近年、台紙(剥離紙)なし(ライナーレス:Liner-less)のラベル用紙がロール紙として用いられることがある。このラベル用紙においては、ロール紙の裏面に全域に亘り糊(粘着材)が塗布され、この糊をラベル表面から剥がれ易くするために、ロール紙のラベル表面にはリリースコート剤が全面に塗布されている。このリリースコート剤には、ニアエンドマークのマーキングに使用されている塗料との親和性が低いものがあり、このため、ラベル表面にニアエンドマークを付してのニアエンドの通知ができない場合がある、という問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ニアエンドマークが予め付されていないロール紙を用いた場合でも、当該ロール紙のニアエンドをユーザが把握可能な印刷装置、印刷システム、ニアエンド通知方法、および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、受信した印刷データをロール紙に印刷する印刷手段と、前記ロール紙のニアエンドを検出するニアエンド検出手段と、前記ニアエンド検出手段によってニアエンドが検出された場合、前記ロール紙への印刷時に前記ニアエンドを示すニアエンドパターンを印刷する印刷制御手段と、を備えたことを特徴とする印刷装置である。
【0005】
第1の態様によれば、ニアエンドが検出された場合、ロール紙への印刷時にニアエンドパターンが共に印刷される。これにより、ユーザは、ロール紙へのニアエンドパターンの出現からロール紙のニアエンドを把握することができる。
さらに、ニアエンドパターンの印刷によってロール紙のニアエンドを通知するから、生産工程においてロール紙にニアエンドマークを予め付しておく必要がない。これにより、ロール紙の生産性が高められ、また、従来のニアエンドマーク付与用の塗料との親和性が低くニアエンドマークを予め付すことが困難な、例えば台紙なしのラベル紙をロール紙に用いる場合でも、ニアエンドを確実にユーザに通知することができる。
【0006】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記印刷制御手段は、前記ロール紙の残量に応じて前記ニアエンドパターンのパターンを変えて印刷することを特徴とする。
第2の態様によれば、ニアエンドが検出された後においては、ロール紙の残量に応じてニアエンドパターンのパターンが変わることになるから、このパターンの変化に基づいてロール紙の残量をユーザが把握することができる。これにより、ユーザは、ロール紙の紙不足を生じさせない程度に十分にロール紙を使い切ったタイミングを見計らってロール紙の交換を行う事も可能になる。
【0007】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記ニアエンドパターンを印刷するか否かを設定可能にする設定手段を備えたことを特徴とする。
第3の態様によれば、設定するだけで、ニアエンドパターンの印刷を簡単に禁止することが可能になる。例えば、ニアエンドパターンをしばらくの間、常に印刷しないようにする、或いは、ニアエンドマークが予め付されたロール紙を使用するためニアエンドマークを印刷しない、といった使い方が簡単にできる。
【0008】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記設定手段は、印刷物に応じて、前記ニアエンドパターンを印刷するか否かを設定可能にすることを特徴とする。
第4の態様によれば、印刷物に応じてニアエンドパターンを印刷する/印刷しないといった使い分けが可能となる。例えば、ニアエンドパターンが印刷されることで価値が損なわれる可能性のある印刷物(例えばクーポンなど)や、ニアエンドパターンが印刷されると煩わしく感じられるような印刷物を印刷するときにだけ、ニアエンドパターンを印刷しなといった使い方が簡単にできる。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第5の態様は、印刷データを生成するホスト装置と、前記ホスト装置から送信された印刷データをロール紙に印刷を行う印刷装置と、を備え、前記印刷装置は、前記ロール紙のニアエンドを検出するニアエンド検出手段と、前記ニアエンド検出手段によってニアエンドが検出された場合、前記ロール紙への印刷時に前記ニアエンドを示すニアエンドパターンを印刷する印刷制御手段と、を備えたことを特徴とする印刷システムにある。
第5の態様によれば、第1の態様と同様な作用、効果を奏する。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第6の態様は、受信した印刷データをロール紙に印刷する印刷装置のニアエンド通知方法であって、前記ロール紙のニアエンドが検出された場合、前記ロール紙への印刷時に前記ニアエンドを示すニアエンドパターンを印刷することを特徴とするニアエンド通知方法にある。
第6の態様によれば、第1の態様と同様な作用、効果を奏する。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第7の態様は、受信した印刷データをロール紙に印刷する印刷手段と、前記ロール紙のニアエンドを検出するニアエンド検出手段と、を備えた印刷装置を、前記ニアエンド検出手段によってニアエンドが検出された場合、前記ロール紙への印刷時に前記ニアエンドを示すニアエンドパターンを印刷する印刷制御手段として機能させることを特徴とする制御プログラムにある。
第7の態様によれば、第1の態様と同様な作用、効果を奏する。
【0012】
なお、本発明の第8の態様として、受信した印刷データをロール紙に印刷する印刷手段と、前記ロール紙のニアエンドを検出するニアエンド検出手段と、を備えた印刷装置を、前記ニアエンド検出手段によってニアエンドが検出された場合、前記ロール紙への印刷時に前記ニアエンドを示すニアエンドパターンを印刷する印刷制御手段として機能させることを特徴とする制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体もある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ニアエンドが検出された場合に、ロール紙への印刷時にニアエンドパターンが印刷されるため、ニアエンドマークが予め付されていないロール紙が用いられた場合でも、ユーザは、ロール紙へのニアエンドパターンの印刷の出現からロール紙のニアエンドを把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る印刷システム100の構成を示す図である。
印刷システム100は、ホスト装置としてのホストコンピュータ102と、このホストコンピュータ102に通信ケーブル103を介して接続されたプリンタ101とを備えて構成されている。この印刷システム100は、スーパーマーケット等の小売店や飲食店等に導入されたPOSシステムにおけるレシートやクーポンの発行に好適に用いら得るものである。
【0015】
ホストコンピュータ102は、プリンタ101に対し、通信ケーブル103を介して印刷データや制御データを送信し、このプリンタ101を制御することによって記録媒体に画像を印刷させる。印刷システム100をPOSシステムに用いる場合には、例えば購入商品名や購入金額等の決済情報を含む印刷データがホストコンピュータ102からプリンタ101に送信される。
このホストコンピュータ102は、各種の画像・映像を表示するディスプレイ102a(表示画面)やユーザにより操作されるキーボード102b等を備えたコンピュータシステムにより構成される。
プリンタ101は、例えば台紙(剥離紙)なしのラベル用紙がロール状に巻かれたロール紙7を記録媒体として用い、このロール紙7の印刷面にサーマルヘッド8(図3)により熱を与えて印刷する、いわゆるロール紙プリンタとして構成されている。
【0016】
プリンタ101は、図1に示すように、メインケース1にロール紙カバー2(蓋)及びカッタカバー3を組み付けて構成される略箱形の外装を有し、その上面には印刷後のロール紙7を排出する排紙口16が形成されている。この排紙口16には切刃を有するマニュアルカッタ4が設けられ、マニュアルカッタ4の切刃にロール紙7を押し付けて、手で切断できるようになっている。また、プリンタ101の前面には、電源ボタンや操作スイッチ等の各種スイッチや各種のインジケータ類が設けられている。
【0017】
図2は、プリンタ101のフレーム構成を示す斜視図である。
プリンタ101は、本体フレーム20Aとして、箱形に成形されたベースフレーム24と、このベースフレーム24の上に互いに対向して配置された左サイドフレーム21及び右サイドフレーム22とを備えている。左サイドフレーム21及び右サイドフレーム22の後部には、ロール紙7を転動可能な状態で保持するロール紙ホルダ26が配設され、このロール紙ホルダ26の上方には、上述したロール紙カバー2を固定するロール紙カバーフレーム25が設けられている。このロール紙カバー2はロール紙カバーフレーム25と共にヒンジ27を支点として回動して開閉可能に構成され、ロール紙カバー2が開いた状態においてはロール紙ホルダ26が開放してロール紙7がセット可能になる。一方、左サイドフレーム21及び右サイドフレーム22の前部には、カッタ機構としてのオートカッタユニット9などが配置されている。
【0018】
図3はプリンタ101の断面視図である。
プリンタ101は、左サイドフレーム21及び右サイドフレーム22の間に架け渡されたヘッドフレーム80を備え、このヘッドフレーム80にサーマルヘッド8が配設されている。サーマルヘッド8は、その長手方向(ロール紙7の幅方向)に並べられた多数の発熱素子(図示略)を備え、ロール紙7の印刷面に接してロール紙7を加熱することにより、文字を含む画像を記録する。またプリンタ101全体を制御する制御基板であるメイン基板10がフロント基板カバー12及びリア基板カバー13に挟まれた状態でベースフレーム24に配設されている。また、このメイン基板10には各種機器を接続可能にするインターフェース基板11が接続されている。
【0019】
上記サーマルヘッド8の対向位置には丸プラテンであるプラテン5が配設され、このプラテン5がロール紙7の搬送機構を兼ねている。すなわち、プラテン5はサーマルヘッド8に向けて付勢されると共に紙送りモータ47(図4)により回転可能に設けられており、これらプラテン5及びサーマルヘッド8に、ロール紙ホルダ26から引き出されたロール紙7の先端部が挟持される。そしてプラテン5が回転駆動に伴ってロール紙7がロール紙ホルダ26から搬送路Sに沿って順次引き出され、サーマルヘッド8により印刷されて排紙口16から排出される。この排紙口16には可動刃94及び固定刃95を備え、排紙口16から排出されたロール紙7を自動で切断する上記オートカッタユニット9が配置され、切断された印刷済みのロール紙7がレシートあるいはクーポンとして発行される。
また、ロール紙ホルダ26には、ロール紙7が残り少なくなった状態であることを検出するニアエンド検出器17が配設され、このニアエンド検出器17の検出信号がメイン基板10に入力される。ニアエンド検出器17は、ロール紙ホルダ26におけるロール紙7の巻き芯の高さ位置に応じてオンになるリミットスイッチ(図示せず)を備えている。このリミットスイッチはロール紙7の消費に伴って巻き芯の高さ位置が所定位置まで下がったとき、すなわち、ロール紙7の残量が所定量となったときにオンするように設定されており、このリミットスイッチの検出信号がメイン基板10に入力される。また、リミットスイッチがオンとなる巻き芯の高さ位置を調節することで、ニアエンドとして検出するロール紙7の残量を可変することができる。
【0020】
図4は印刷システム100の機能的構成を示すブロック図である。
プリンタ101は、CPU、ROM、RAMをメイン基板10に設けて構成された制御部40を備えている。制御部40にはインターフェース42を介して、ホストコンピュータ102から印刷データなどが供給される。制御部40の入力側には、ニアエンド検出器17が接続されており、制御部40は、ニアエンド検出器17からの入力信号に基づきロール紙7のニアエンドを検出する。また、制御部40には、制御プログラムとしてのファームウェア44を記憶する不揮発性メモリ43が接続されている。制御部40の出力側には、ヘッドドライバ45、モータドライバ46を介して、サーマルヘッド8及び紙送りモータ47が接続されている。
【0021】
制御部40は、ロール紙7への印刷動作を中枢的に制御するものであり、ロール紙残量監視部51と、ニアエンド印刷制御部53とを備えている。
ロール紙残量監視部51は、ニアエンド検出器17によってニアエンドが検出された後におけるロール紙7の紙送りの量を監視するものであり、紙送りカウンタ61を備えている。紙送りカウンタ61は、紙送りモータ47を送り出し方向に駆動制御するステップをカウントし、その総ステップ数(累積値)を算出することで、ロール紙7の紙送りの総量を監視する。
【0022】
ニアエンド印刷制御部53は、ニアエンド検出器17によってニアエンドが検出された場合、それ以降に印刷されるロール紙7に、ニアエンドを示すニアエンドパターン65を印刷するように制御するものであり、パターン変更部63を備えている。パターン変更部63は、ニアエンドパターン65(図6)を印刷する際のパターン(図像)をロール紙7の残量に基づいて変更するものであり、これにより、このニアエンドパターン65からロール紙7の残量をユーザが把握可能になる。
【0023】
印刷システム100においては、印刷物が例えばクーポンなどの所定の印刷物である場合に、当該印刷物へのニアエンドパターン65の印刷を禁止することを設定可能に構成されている。具体的には、ニアエンドパターン65の印刷を禁止する印刷物を設定値として含む設定データ67がホストコンピュータ102に記憶されている。ホストコンピュータ102は設定データ67で指定された印刷物を印刷する際、ニアエンドパターン65の印刷を禁止することを示す禁止情報を印刷データに含めてプリンタ101に送信する。制御部40は、この禁止情報が印刷データに含まれている場合には、ニアエンド検出器17によりニアエンドが検出されているときでも、ニアエンドパターン65の印刷を禁止する。これにより、例えば印刷物が通常のレシートの場合はニアエンドパターン65を印刷し、印刷物が付加価値のあるクーポン等の特定の印刷物である場合にはニアエンドパターン65を付さないようにする、といった使い分けができる。
なお、ホストコンピュータ102がニアエンドパターン65の印刷を禁止する印刷物を設定した設定データ67を記憶する構成としたが、これに限らず、プリンタ101のRAMに予め保持する構成としても良い。
【0024】
次に図5を参照してプリンタ101の印刷動作について説明する。
制御部40は、電源が投入されると待機状態となり(ステップS1)、ホストコンピュータ102から印刷データを受信するまで待ち受ける(ステップS2:No)。待機状態の間に印刷データをホストコンピュータ102から受け取った場合(ステップS2:Yes)、制御部40は、ニアエンド検出器17によってロール紙7のニアエンドが検出されているか否かを判断する(ステップS3)。
【0025】
ニアエンドが検出されていない場合には(ステップS3:No)、ロール紙7の残量が十分であることから、ロール紙7へのニアエンドパターン65の印刷は行われず印刷データにしたがった通常通りの印刷が行われる。すなわち、制御部40は、印刷データに含まれる印刷すべき文字データや画像データ(「通常データ」と言う)に基づいて、ロール紙7に印刷を行う(ステップS4)。
一方、ニアエンドが検出されている場合(ステップS3:Yes)、制御部40は、ニアエンドパターン65の印刷が禁止されているか否かを、ホストコンピュータ102から受け取った印刷データに上記禁止情報が含まれているか否かに基づいて判断する(ステップS5)。ニアエンドパターン65の印刷が禁止されている場合(ステップS5:Yes)、制御部40は処理手順を上記ステップS4に進めて、ニアエンドパターン65の印刷を伴わない通常通りの印刷を行う。
【0026】
ニアエンドパターン65の印刷が禁止されていない場合(ステップS5:No)、制御部40は、ニアエンドパターン65の印刷によりロール紙7のニアエンドをユーザに通知すべく、次の処理を行う。すなわち、パターン変更部63は、ニアエンドが検出された後に印刷されたロール紙7の総量(紙送りの総量)の検出値をロール紙残量監視部51から受け取り(ステップS6)、この総量に基づいて、印刷すべきニアエンドパターン65を決定する(ステップS7)。
【0027】
詳述すると、本実施形態では、ニアエンドとして検出され始めたときのロール紙7の残量を初期値とし、この初期値に対して例えば3割減(70%)までの残量を「多」、初期値の3割減(70%)〜7割減(30%)までの残量を「中」、初期値の7割減(30%)〜使い切りまでの残量を「少」と区分している。そして、それぞれの残量には、図6に示すように、異なるニアエンドパターン65が対応付けられている。同図に示す例では、横線66をロール紙7の長さ方向に略等間隔に配列したパターンがニアエンドパターン65として用いられており、このニアエンドパターン65がロール紙7の左右いずれか一方の縁部70Aに沿って印刷される。このニアエンドパターン65においては、同図(A)〜(C)のそれぞれに示すように、ロール紙7の残量が「多」、「中」、「少」のそれぞれに対して、ロール紙7の残量が少ないほど横線66を太くしたパターンが予め対応付けられている。これらのニアエンドパターン65のデータは例えば制御部40のRAMに格納され、或いはファームウェア44に予め含められている。
【0028】
上記ステップS6においては、パターン変更部63は、ニアエンドが検出された後に印刷されたロール紙7の総量と、ニアエンドとして検出され始めたときのロール紙7の残量(初期値)とに基づいて、ロール紙7の残量が「多」、「中」、「少」のいずれに該当するかを特定し、特定した残量に対応するニアエンドパターン65を特定することになる。なお、ニアエンドとして検出され始めたときのロール紙7の残量は、ニアエンド検出器17が検出するロール紙7の巻き芯の高さ位置に基づいて予め大凡の値が規定され、この規定値が、ニアエンドが検出された当初におけるロール紙7の残量の初期値として用いられる。
次いで、制御部40は、パターン変更部63によって決定されたパターンのニアエンドパターン65を通常データに付加した印刷用のデータを生成し(ステップS7)、この印刷用のデータに基づいてロール紙7に印刷を行うことで、通常データと共にニアエンドパターン65を印刷する(ステップS8)。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、ニアエンド検出器17によってロール紙7のニアエンドが検出された場合、ロール紙7への印刷時にニアエンドパターン65を印刷する構成とした。この構成により、プリンタ101のユーザは、ニアエンドパターン65の出現によってロール紙7のニアエンドを把握することができる。
さらに、ニアエンドパターン65の印刷によってロール紙7のニアエンドを通知するから、従来のように製造工程において、ロール紙7にニアエンドマークを予め付しておく必要がない。これにより、ロール紙の生産性が高められ、また、従来のニアエンドマーク付与用の塗料との親和性が低くニアエンドマークを予め付すことが困難な、例えば台紙なしのラベル紙をロール紙7に用いる場合でも、ニアエンドを確実にユーザに通知することができる。
【0030】
また本実施形態によれば、ロール紙7の残量に応じてニアエンドパターン65のパターンを変える構成とした。この構成により、ユーザは、ニアエンドが検出された後において、ニアエンドパターン65のパターンに基づいてロール紙7の残量を把握することが可能になる。さらに、ユーザは、ロール紙7の紙不足が生じない程度に、十分にロール紙7が使い切られたタイミングを見計らってロール紙7を交換することができる。
【0031】
また本実施形態によれば、ニアエンドパターン65を印刷するか否かを印刷物に応じて設定可能にする構成とした。この構成により、印刷物に応じてニアエンドパターン65を印刷する/印刷しないといった使い分けが可能となる。例えば、ニアエンドパターン65が印刷されることで価値が損なわれる可能性のある印刷物(例えばクーポンなど)や、ニアエンドパターン65が共に印刷されると煩わしく感じられるような印刷物を印刷するときにだけ、ニアエンドパターン65を印刷しないといった使い方が簡単にできる。
なお、ニアエンドパターン65を印刷するか否かを、印刷物に限らずに設定可能にしても良い。これによれば、例えばニアエンドマークが予め付されたロール紙を使用するなどの理由により、ロール紙にはニアエンドパターン65を常に印刷しないといった使い方もできる。
【0032】
なお、上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、ニアエンドパターン65としてロール紙7の残量に応じて横線66が太くなるパターンを用いたが、これに限らず、図7(A)に示すように、ロール紙7の残量に応じて横線66が長くなるパターンを用いても良い。さらには、横線66ではなく、図7(B)に示すように、ロール紙7の残量に応じて太さが変わる線68や、図7(C)に示すように、ロール紙7の残量に応じて線の密度や濃度が変わる図像69をニアエンドパターン65として用いても良い。その他にも、ニアエンドパターン65としては、各種の模様や図形、或いは文字、記号などを用いることができる。また、これらのニアエンドパターン65は、ロール紙7の左右一方の縁部70Aと、他方の縁部70Bの両方に印刷する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る印刷システムの構成を示す図である。
【図2】プリンタのフレーム構成を示す斜視図である。
【図3】プリンタの内部構造を示す概略縦断面図である。
【図4】印刷システムの機能的構成を示すブロック図である。
【図5】プリンタの記録動作のフローチャートである。
【図6】ニアエンドパターンの印刷の態様を示す図である。
【図7】ニアエンドパターンの他の態様を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
7…ロール紙、8…サーマルヘッド、17…ニアエンド検出器、40…制御部、44…ファームウェア、51…ロール紙残量監視部、53…ニアエンド印刷制御部、63…パターン変更部、65…ニアエンドパターン、67…設定データ、100…印刷システム、101…プリンタ、102…ホストコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した印刷データをロール紙に印刷する印刷手段と、
前記ロール紙のニアエンドを検出するニアエンド検出手段と、
前記ニアエンド検出手段によってニアエンドが検出された場合、前記ロール紙への印刷時に前記ニアエンドを示すニアエンドパターンを印刷する印刷制御手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷制御手段は、前記ロール紙の残量に応じて前記ニアエンドパターンのパターンを変えて印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記ニアエンドパターンを印刷するか否かを設定可能にする設定手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記設定手段は、印刷物に応じて、前記ニアエンドパターンを印刷するか否かを設定可能にすることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
印刷データを生成するホスト装置と、前記ホスト装置から送信された印刷データをロール紙に印刷を行う印刷装置と、を備え、
前記印刷装置は、
前記ロール紙のニアエンドを検出するニアエンド検出手段と、
前記ニアエンド検出手段によってニアエンドが検出された場合、前記ロール紙への印刷時に前記ニアエンドを示すニアエンドパターンを印刷する印刷制御手段と、
を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
受信した印刷データをロール紙に印刷する印刷装置のニアエンド通知方法であって、
前記ロール紙のニアエンドが検出された場合、前記ロール紙への印刷時に前記ニアエンドを示すニアエンドパターンを印刷する
ことを特徴とするニアエンド通知方法。
【請求項7】
受信した印刷データをロール紙に印刷する印刷手段と、
前記ロール紙のニアエンドを検出するニアエンド検出手段と、を備えた印刷装置を、
前記ニアエンド検出手段によってニアエンドが検出された場合、前記ロール紙への印刷時に前記ニアエンドを示すニアエンドパターンを印刷する印刷制御手段
として機能させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−36374(P2010−36374A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199163(P2008−199163)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】