説明

印刷装置、印刷方法及びプログラム

【課題】精度良く被印刷体の下端の位置を把握する印刷装置、被印刷体下端決定方法、コンピュータプログラム、及び、コンピュータシステムを実現することにある。
【解決手段】供給された被印刷体を所定の送り方向へ送るための送り手段と、光を発するための発光手段と、前記発光手段により発せられた光を受光するための受光センサと、を備え、前記送り手段により送られた前記被印刷体が前記発光手段により発せられた光を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知する印刷装置において、複数の位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知して、この検知結果に基づいて前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の前記送り方向の位置を求めることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、被印刷体下端決定方法、コンピュータプログラム、及び、コンピュータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な印刷装置であるカラーインクジェットプリンタは既によく知られている。このカラーインクジェットプリンタは、ノズルからインクを吐出するインクジェット式の印刷ヘッドを備えており、被印刷体の一例としての印刷用紙にインク滴を着弾させることによって画像や文字等を記録する構成となっている。
【0003】
そして、印刷ヘッドは、ノズルが形成されたノズル面を印刷用紙に対向させた状態で前記印刷ヘッドを備え移動可能な移動部材の一例としてのキャリッジに支持されており、ガイド部材に沿って印刷用紙の幅方向に移動(主走査)し、この主走査に同期してインクを吐出する。
また、近年、写真と同じイメージの出力結果が得られる等の理由から、印刷用紙の全表面を対象として印刷を行ういわゆる縁なし印刷が可能なカラーインクジェットプリンタが人気を集めている。縁なし印刷により、例えば、印刷用紙の四辺の縁にも余白なくインクを吐出して印刷することが可能である。
【0004】
ところで、印刷用紙上のドットを形成すべき位置に精度良く印刷を行うためには、印刷用紙の位置を正確に把握する必要がある。そして、これを実現するための一つの手順として、印刷装置は印刷用紙の下端の位置を把握する。
【0005】
印刷用紙の下端の位置を把握するためにいくつかの手法が提案されているが、発光ダイオード等から光を発し、紙送りされる印刷用紙が当該光を遮ることによるフォトダイオード等の受光センサ(以下、受光部ともいう)の出力値の変化を検知することにより前記下端の位置を把握する手法がある。
【0006】
しかしながら、印刷用紙は曲がって(斜めに)給紙される(又は、紙送りされる)場合があるため、かかる手法により把握された下端の位置は、厳密には、紙送り方向において最も後れて送られる位置ではなく、印刷装置の下端位置を把握する精度という点で問題が生じる可能性がある。
【0007】
特に、縁なし印刷の場合には、印刷用紙の下端にも印刷を行うため、印刷用紙の下端の位置を正確に把握する必要があり、下端位置を正確に把握できない場合には、印刷された印刷用紙の下部に余白部分ができてしまう等の問題が生ずる可能性がある。また、かかる問題を回避するために、印刷領域を拡大してマージンを持たせた印刷を行うと、余計なインクを消費する等の問題が生ずる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、精度良く被印刷体の下端の位置を把握する印刷装置、被印刷体下端決定方法、コンピュータプログラム、及び、コンピュータシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
主たる本発明は、供給された被印刷体を所定の送り方向へ送るための送り手段と、光を発するための発光手段と、前記発光手段により発せられた光を受光するための受光センサと、を備え、前記送り手段により送られた前記被印刷体が前記発光手段により発せられた光を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知する印刷装置において、複数の位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知して、この検知結果に基づいて前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の前記送り方向の位置を求めることを特徴とする印刷装置である。
【0010】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、精度良く被印刷体の下端の位置を把握する印刷装置、被印刷体下端決定方法、コンピュータプログラム、及び、コンピュータシステムを実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0013】
供給された被印刷体を所定の送り方向へ送るための送り手段と、光を発するための発光手段と、前記発光手段により発せられた光を受光するための受光センサと、を備え、前記送り手段により送られた前記被印刷体が前記発光手段により発せられた光を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知する印刷装置において、複数の位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知して、この検知結果に基づいて前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の前記送り方向の位置を求めることを特徴とする印刷装置。
【0014】
複数の位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知して、この検知結果に基づいて前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の前記送り方向の位置を求めることにより、精度良く被印刷体の下端の位置を把握することができる。
【0015】
また、印刷ヘッドからインクを吐出して前記被印刷体にドットを形成することとしてもよい。
印刷ヘッドからインクを吐出して印刷を行ういわゆるインクジェット方式の印刷装置においては、特に印刷結果の質の高さが要求されるから、上記手段によるメリットがより大きくなる。
【0016】
また、前記発光手段と前記受光センサを主走査方向に移動させて複数の位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知することとしてもよい。
このようにすれば、用意する発光手段及び受光センサの数を減少させることができる。
【0017】
また、主走査方向における互いに異なる第一位置及び第二位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知して、前記第一位置の主走査方向の位置と、前記第二位置の主走査方向の位置と、第一位置において前記出力値の変化が検知されてから第二位置において前記出力値の変化が検知されるまでの被印刷体の送り量と、に基づいて、前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の位置を求めることとしてもよい。
このようにすれば、受光センサの出力値の変化を検知する回数を最小限とすることができ、手順を簡略化することができる。
【0018】
また、前記下端の左端と右端のうちどちらが前記送り方向において後れて送られるかを前記発光手段及び前記受光センサを前記第一位置から移動させる前に判定し、判定された結果に基づいて、前記第二位置を、前記第一位置から見て主走査方向の下流側に設定するか、又は、上流側に設定するかを決定することとしてもよい。
このようにすれば、第一位置から第二位置への移動の際に、仮の位置を経由させるという非効率性を回避することができる。
【0019】
また、前記被印刷体を静止させ、かつ、前記発光手段を主走査方向に移動させて、前記発光手段により発せられた前記光が前記被印刷体の端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知して、前記端の位置を特定し、特定された該端の位置に基づいて、前記下端の左端と右端のうちどちらが前記送り方向において後れて送られるかを判定することとしてもよい。
【0020】
前記被印刷体を静止させ、かつ、前記発光手段を主走査方向に移動させるという操作は、前記被印刷体に印刷を行うための操作と共通であるため、効率的に前記判定を行うための情報を入手することができる。
【0021】
また、前記端の位置を特定した後に、前記送り手段により前記被印刷体を送り、前記被印刷体を静止させ、かつ、前記発光手段を主走査方向に移動させて、前記発光手段により発せられた前記光が前記被印刷体の端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を再度検知して、前記端の位置を特定し、特定された二つの端の位置に基づいて、前記下端の左端と右端のうちどちらが前記送り方向において後れて送られるかを判定することとしてもよい。
このようにすれば、前記判定をするための情報がより多くなるから、前記下端の左端と右端のうちどちらが前記送り方向において後れて送られるかを精度よく判定できる。
【0022】
また、ドットを形成するための印刷ヘッドを備え移動可能な移動部材に、前記発光手段と前記受光センサが設けられていることとしてもよい。
このようにすれば、前記移動部材と前記発光部及び前記受光部の移動機構を共通化することができる。
【0023】
また、前記被印刷体の全表面を対象として印刷を行うこととしてもよい。
前記被印刷体の全表面を対象として印刷を行う場合には、被印刷体の下端にも印刷を行うため、被印刷体の下端の位置を正確に把握する必要があるから、上記手段によるメリットがより大きくなる。
【0024】
また、供給された被印刷体を所定の送り方向へ送るための送り手段と、光を発するための発光手段と、前記発光手段により発せられた光を受光するための受光センサと、を備え、前記送り手段により送られた前記被印刷体が前記発光手段により発せられた光を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知する、印刷ヘッドからインクを吐出して前記被印刷体の全表面を対象として印刷を行う印刷装置において、インクを吐出してドットを形成するための印刷ヘッドを備え移動可能な移動部材に、前記発光手段と前記受光センサが設けられており、前記発光手段と前記受光センサを主走査方向に移動させることによって、主走査方向における互いに異なる第一位置及び第二位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知して、前記第一位置の主走査方向の位置と、前記第二位置の主走査方向の位置と、第一位置において前記出力値の変化が検知されてから第二位置において前記出力値の変化が検知されるまでの被印刷体の送り量と、に基づいて、前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の位置を求め、前記被印刷体を静止させ、かつ、前記発光手段を主走査方向に移動させて、前記発光手段により発せられた前記光が前記被印刷体の端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知して、前記端の位置を特定し、該端の位置を特定した後に、前記送り手段により前記被印刷体を送り、前記被印刷体を静止させ、かつ、前記発光手段を主走査方向に移動させて、前記発光手段により発せられた前記光が前記被印刷体の端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を再度検知して、前記端の位置を特定し、特定された二つの端の位置に基づいて、前記下端の左端と右端のうちどちらが前記送り方向において後れて送られるかを前記発光手段及び前記受光センサを前記第一位置から移動させる前に判定し、判定された結果に基づいて、前記第二位置を、前記第一位置から見て主走査方向の下流側に設定するか、又は、上流側に設定するかを決定することを特徴とする印刷装置。
このようにすれば、既述の総ての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
【0025】
また、供給された被印刷体を所定の送り方向へ送るための送り手段と、光を発するための発光手段と、前記発光手段により発せられた光を受光するための受光センサと、を備え、前記送り手段により送られた前記被印刷体が前記発光手段により発せられた光を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知する印刷装置による被印刷体下端決定方法において、複数の位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知するステップと、この検知結果に基づいて前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の前記送り方向の位置を求めるステップと、を備えることを特徴とする被印刷体下端決定方法。
複数の位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知して、この検知結果に基づいて前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の前記送り方向の位置を求めることにより、精度良く被印刷体の下端の位置を把握することができる。
【0026】
また、精度良く被印刷体の下端の位置を把握することができるという前記効果を奏する上記方法を印刷装置に実行させるためのコンピュータプログラムを実現することも可能である。
【0027】
また、コンピュータ本体、コンピュータ本体に接続可能な表示装置、及び、コンピュータ本体に接続可能な印刷装置であって、供給された被印刷体を所定の送り方向へ送るための送り手段と、光を発するための発光手段と、前記発光手段により発せられた光を受光するための受光センサと、を備え、前記送り手段により送られた前記被印刷体が前記発光手段により発せられた光を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知する印刷装置であって、複数の位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知して、この検知結果に基づいて前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の前記送り方向の位置を求める印刷装置、を具備することを特徴とするコンピュータシステム。
このようにして実現されたコンピュータシステムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0028】
===装置の全体構成例===
図1は、本発明の一例としての印刷システムの構成を示すブロック図である。この印刷システムは、コンピュータ90と、印刷装置の一例としてのカラーインクジェットプリンタ20と、を備えている。なお、カラーインクジェットプリンタ20とコンピュータ90とを含む印刷システムは、広義の「印刷装置」と呼ぶこともできる。また、図示はしないが、上記コンピュータ90、上記カラーインクジェットプリンタ20、CRT21や液晶表示装置等の表示装置、キーボードやマウス等の入力装置、フレキシブルドライブ装置やCD−ROMドライブ装置等のドライブ装置等から、コンピュータシステムが構築されている。
【0029】
コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、カラーインクジェットプリンタ20に転送するための印刷データPDが出力される。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム95は、処理対象の画像に対して所望の処理を行い、また、ビデオドライバ91を介してCRT21に画像を表示している。
【0030】
アプリケーションプログラム95が印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これをカラーインクジェットプリンタ20に供給する印刷データPDに変換する。プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色変換モジュール98と、ハーフトーンモジュール99と、ラスタライザ100と、ユーザインターフェース表示モジュール101と、UIプリンタインターフェースモジュール102と、色変換ルックアップテーブルLUTと、が備えられている。
【0031】
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95で形成されたカラー画像データの解像度を、印刷解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データは、まだRGBの3つの色成分からなる画像情報である。色変換モジュール98は、色変換ルックアップテーブルLUTを参照しつつ、各画素毎に、RGB画像データを、カラーインクジェットプリンタ20が利用可能な複数のインク色の多階調データに変換する。
【0032】
色変換された多階調データは、例えば256階調の階調値を有している。ハーフトーンモジュール99は、いわゆるハーフトーン処理を実行してハーフトーン画像データを生成する。このハーフトーン画像データは、ラスタライザ100によりカラーインクジェットプリンタ20に転送すべきデータ順に並べ替えられ、最終的な印刷データPDとして出力される。印刷データPDは、各主走査時のドットの形成状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータと、を含んでいる。
【0033】
ユーザインターフェース表示モジュール101は、印刷に関係する種々のユーザインターフェースウィンドウを表示する機能と、それらのウィンドウ内におけるユーザの入力を受け取る機能とを有している。
【0034】
UIプリンタインターフェースモジュール102は、ユーザインターフェース(UI)とカラーインクジェットプリンタ間のインターフェースを取る機能を有している。ユーザがユーザインターフェースにより指示した命令を解釈して、カラーインクジェットプリンタへ各種コマンドCOMを送信したり、逆に、カラーインクジェットプリンタから受信したコマンドCOMを解釈して、ユーザインターフェースへ各種表示を行ったりする。
【0035】
なお、プリンタドライバ96は、各種コマンドCOMを送受信する機能、印刷データPDをカラーインクジェットプリンタ20に供給する機能等を実現する。プリンタドライバ96の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。また、このようなコンピュータプログラムを、インターネットを介してコンピュータ90にダウンロードすることも可能である。
【0036】
図2は、カラーインクジェットプリンタ20の主要な構成の一例を示す概略斜視図である。このカラーインクジェットプリンタ20は、用紙スタッカ22と、図示しないステップモータで駆動される紙送りローラ24と、プラテン26と、ドットを形成するための印刷ヘッドを備え移動可能な移動部材の一例としてのキャリッジ28と、キャリッジモータ30と、キャリッジモータ30によって駆動される牽引ベルト32と、キャリッジ28のためのガイドレール34とを備えている。また、キャリッジ28には、多数のノズルを備えた印刷ヘッド36と、後に詳述する反射型光学センサ29が搭載されている。
【0037】
印刷用紙Pは、用紙スタッカ22から紙送りローラ24によって巻き取られてプラテン26の表面上を被印刷体の送り方向の一例としての紙送り方向(以下、副走査方向ともいう)へ送られる。キャリッジ28は、キャリッジモータ30により駆動される牽引ベルト32に牽引されて、ガイドレール34に沿って主走査方向に移動する。なお、主走査方向とは、図に示すように副走査方向に垂直な2つの方向をいう。また、印刷用紙Pをカラーインクジェットプリンタ20へ供給するための給紙動作、印刷用紙Pをカラーインクジェットプリンタ20から排出させるための排紙動作も上記紙送りローラ24を用いて行われる。
【0038】
===反射型光学センサの構成例===
図3は、反射型光学センサ29の一例を説明するための模式図である。反射型光学センサ29はキャリッジ28に取り付けられ、例えば発光ダイオードから構成される発光手段の一例としての発光部38と例えばフォトトランジスタから構成される受光センサの一例としての受光部40を有している。発光部38から発した光、すなわち入射光は、印刷用紙Pや発せられた光の方向に印刷用紙Pがない場合にはプラテン26により反射され、その反射光は受光部40で受光され、電気信号に変換される。そして、受光した反射光の強さに応じた受光センサの出力値として、電気信号の大きさが測定される。
【0039】
なお、上記においては、図に示されるように、発光部38と受光部40は、一体となって反射型光学センサ29という機器を構成することとしたが、発光機器と受光機器のように各々別個の機器を構成してもよい。
【0040】
また、上記においては、受光した反射光の強さを得るために、反射光を電気信号に変換した後に電気信号の大きさを測定することとしたが、これに限定されるものではなく、受光した反射光の強さに応じた受光センサの出力値を測定することができればよい。
【0041】
===キャリッジ周辺の構成例===
次にキャリッジ周辺の構成について説明する。図4は、インクジェットプリンタのキャリッジ28周辺の構成を示した図である。
【0042】
図4に示したインクジェットプリンタは、被印刷体送り手段の一例としての紙送りを行う紙送りモータ(以下、PFモータともいう)31と、印刷用紙Pにインクを吐出する印刷ヘッド36が固定され、主走査方向に駆動されるキャリッジ28と、キャリッジ28を駆動するキャリッジモータ(以下、CRモータともいう)30と、キャリッジ28に固定されたリニア式エンコーダ11と、所定の間隔にスリットが形成されたリニア式エンコーダ用符号板12と、PFモータ31用の不図示のロータリ式エンコーダ13と、印刷用紙Pを支持するプラテン26と、PFモータ31によって駆動されて印刷用紙Pを搬送する紙送りローラ24と、CRモータ30の回転軸に取付けられたプーリ25と、プーリ25によって駆動される牽引ベルト32とを備えている。
【0043】
次に、上記のリニア式エンコーダ11及びロータリ式エンコーダ13について説明する。図5は、キャリッジ28に取付けられたリニア式エンコーダ11の構成を模式的に示した説明図である。
【0044】
図5に示したリニア式エンコーダ11は、発光ダイオード11aと、コリメータレンズ11bと、検出処理部11cとを備えている。検出処理部11cは、複数(例えば4個)のフォトダイオード11dと、信号処理回路11eと、例えば2個のコンパレータ11fA、11fBとを有している。
【0045】
発光ダイオード11aの両端に抵抗を介して電圧VCCが印加されると、発光ダイオード11aから光が発せられる。この光はコリメータレンズ11bにより平行光に集光されてリニア式エンコーダ用符号板12を通過する。リニア式エンコーダ用符号板12には、所定の間隔(例えば1/180インチ(1インチ=2.54cm))毎にスリットが設けられている。
【0046】
リニア式エンコーダ用符号板12を通過した平行光は、図示しない固定スリットを通って各フォトダイオード11dに入射し、電気信号に変換される。4個のフォトダイオード11dから出力される電気信号は信号処理回路11eにおいて信号処理され、信号処理回路11eから出力される信号はコンパレータ11fA、11fBにおいて比較され、比較結果がパルスとして出力される。コンパレータ11fA、11fBから出力されるパルスENC−A、ENC−Bがリニア式エンコーダ11の出力となる。
【0047】
図6は、CRモータ正転時及び逆転時におけるリニア式エンコーダ11の2つの出力信号の波形を示したタイミングチャートである。
【0048】
図6(a)及び図6(b)に示すように、CRモータ正転時及び逆転時のいずれの場合も、パルスENC−AとパルスENC−Bとは位相が90度だけ異なっている。CRモータ30が正転しているとき、即ち、キャリッジ28が主走査方向に移動しているときは、図6(a)に示すように、パルスENC−AはパルスENC−Bよりも90度だけ位相が進み、CRモータ30が逆転しているときは、図6(b)に示すように、パルスENC−AはパルスENC−Bよりも90度だけ位相が遅れる。そして、パルスENC−A及びパルスENC−Bの1周期Tは、キャリッジ28がリニア式エンコーダ用符号板12のスリット間隔を移動する時間に等しい。
【0049】
そして、リニア式エンコーダ11の出力パルスENC−A、ENC−Bの各々の立ち上がりエッジ、立ち上がりエッジが検出され、検出されたエッジの個数が計数され、この計数値に基づいてCRモータ30の回転位置が演算される。この計数はCRモータ30が正転しているときは1個のエッジが検出されると「+1」を加算し、逆転しているときは、1個のエッジが検出されると「−1」を加算する。パルスENC−A及びENC−Bの各々の周期は、リニア式エンコーダ用符号板12の、あるスリットがリニア式エンコーダ11を通過してから次のスリットがリニア式エンコーダ11を通過するまでの時間に等しく、かつ、パルスENC−AとパルスENC−Bとは位相が90度だけ異なっている。このため、上記計数のカウント値「1」はリニア式エンコーダ用符号板12のスリット間隔の1/4に対応する。これにより上記計数値にスリット間隔の1/4を乗算すれば、その乗算値に基づいて、計数値が「0」に対応する回転位置からのCRモータ30の移動量を求めることができる。このときリニア式エンコーダ11の解像度はリニア式エンコーダ用符号板12のスリットの間隔の1/4となる。
【0050】
一方、PFモータ31用のロータリ式エンコーダ13はロータリ式エンコーダ用符号板14がPFモータ31の回転に応じて回転する回転円板である以外は、リニア式エンコーダ11と同様の構成となっており、2つの出力パルスENC−A、ENC−Bを出力し、かかる出力に基づいてPFモータ31の移動量を求めることができる。
【0051】
===カラーインクジェットプリンタの電気的構成例===
図7は、カラーインクジェットプリンタ20の電気的構成の一例を示すブロック図である。このカラーインクジェットプリンタ20は、コンピュータ90から供給された信号を受信するバッファメモリ50と、印刷データを格納するイメージバッファ52と、カラーインクジェットプリンタ20全体の動作を制御するシステムコントローラ54と、メインメモリ56と、EEPROM58とを備えている。システムコントローラ54には、さらに、キャリッジモータ30を駆動する主走査駆動回路61と、紙送りモータ31を駆動する副走査駆動回路62と、印刷ヘッド36を駆動するヘッド駆動回路63と、反射型光学センサ29の発光部38、受光部40を制御する反射型光学センサ制御回路65と、既述のリニア式エンコーダ11と、既述のロータリ式エンコーダ13と、が接続されている。また、反射型光学センサ制御回路65は、受光部40により受光される反射光から変換される電気信号を測定するための電気信号測定部66を備えている。
【0052】
コンピュータ90から転送された印刷データは、一旦、バッファメモリ50に蓄えられる。カラーインクジェットプリンタ20内では、システムコントローラ54が、バッファメモリ50から印刷データの中から必要な情報を読み取り、これに基づいて、主走査駆動回路61、副走査駆動回路62、ヘッド駆動回路63等に対して制御信号を送る。
【0053】
イメージバッファ52には、バッファメモリ50で受信された複数の色成分の印刷データが格納される。ヘッド駆動回路63は、システムコントローラ54からの制御信号に従って、イメージバッファ52から各色成分の印刷データを読出し、これに応じて印刷ヘッド36に設けられた各色のノズルアレイを駆動する。
【0054】
===印刷ヘッドのノズル配列例===
図8は、印刷ヘッド36の下面におけるノズル配列を示す説明図である。この印刷ヘッド36は、副走査方向に沿った一直線上にそれぞれ配列されたブラックノズル列とカラーノズル列とを有している。本明細書においては、「ノズル列」を「ノズル群」とも呼ぶ。
【0055】
ブラックノズル列(白丸で示す)は、180個のノズル#1〜#180を有している。これらのノズル#1〜#180は、副走査方向に沿って一定のノズルピッチk・Dで配置されている。ここで、Dは副走査方向のドットピッチであり、kは整数である。副走査方向のドットピッチDは、主走査ライン(ラスタライン)のピッチとも等しい。以下では、ノズルピッチk・Dを表す整数kを、単に「ノズルピッチk」と呼ぶ。ノズルピッチkの単位は「ドット」であり、これは副走査方向のドットピッチを意味している。
【0056】
図8の例では、ノズルピッチkは4ドットである。但し、ノズルピッチkは、任意の整数に設定することができる。
【0057】
カラーノズル列は、イエロー用ノズル群Y(白三角で示す)と、マゼンタ用ノズル群M(白四角で示す)と、シアン用ノズル群C(白菱形で示す)とを含んでいる。なお、この明細書では、有彩色インク用のノズル群を「有彩色ノズル群」とも呼ぶ。各有彩色ノズル群は、60個のノズル#1〜#60を有している。また、有彩色ノズル群のノズルピッチは、ブラックノズル列のノズルピッチkと同じである。有彩色ノズル群のノズルは、ブラックノズル列のノズルと同じ副走査位置に配置されている。
【0058】
印刷時には、キャリッジ28とともに印刷ヘッド36が主走査方向に一定速度で移動している間に、各ノズルからインク滴が吐出される。但し、印刷方式によっては、すべてのノズルが常に使用されるとは限らず、一部のノズルのみが使用される場合もある。
【0059】
===第一の実施の形態===
次に、図9及び図10を用いて、本発明の第一の実施の形態について説明する。図9は、印刷ヘッド36と反射型光学センサ29と印刷用紙Pの位置関係を模式的に表した図であり、図10は、第一の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【0060】
先ず、最初に、ユーザがアプリケーションプログラム95等において印刷を行う旨を指示する(ステップS2)。本指示を受け取ったアプリケーションプログラム95が、印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これを各主走査時のドットの形成状態を示すラスタデータと副走査送り量を示すデータとを含む印刷データPDに変換する。さらに、プリンタドライバ96は、かかる印刷データPDを各種コマンドCOMとともに、カラーインクジェットプリンタ20に供給する。カラーインクジェットプリンタ20は、これらを、バッファメモリ50により受信した後に、イメージバッファ52又はシステムコントローラ54へ送信する。
【0061】
また、ユーザは印刷用紙Pのサイズや縁なし印刷を行う旨をユーザインターフェース表示モジュール101に指示することが可能である。ユーザによる当該指示は、ユーザインターフェース表示モジュール101により受け取られ、UIプリンタインターフェースモジュール102へ送られる。UIプリンタインターフェースモジュール102は、指示された命令を解釈して、カラーインクジェットプリンタ20へコマンドCOMを送信する。カラーインクジェットプリンタ20は、コマンドCOMをバッファメモリ50により受信した後に、システムコントローラ54へ送信する。
【0062】
カラーインクジェットプリンタ20は、システムコントローラ54に送信された命令に基づいて、副走査駆動回路62により紙送りモータ31を駆動させる等して、印刷用紙Pの給紙を行う(ステップS4)。
【0063】
そして、システムコントローラ54は、印刷用紙Pを紙送り方向へ送りつつ、キャリッジ28を主走査方向に移動させて、キャリッジ28に備えられた印刷ヘッド36からインクを吐出して縁なし印刷を行う(ステップS6、ステップS8)。なお、印刷用紙Pの紙送り方向への送りは、副走査駆動回路62により紙送りモータ31を駆動させて、キャリッジ28の主走査方向への移動は、主走査駆動回路61によりキャリッジモータ30を駆動させて、印刷ヘッド36からのインクの吐出は、ヘッド駆動回路63により印刷ヘッド36を駆動させて、それぞれ行われる。
【0064】
カラーインクジェットプリンタ20は、ステップS6及びステップS8の動作を継続して行うが、例えば、主走査方向へのキャリッジ28の移動回数が所定回数に達した場合(ステップS10)に、次の主走査方向へのキャリッジ28の移動からは以下の動作を行う。
【0065】
システムコントローラ54は、反射型光学センサ制御回路65により、キャリッジ28に備えられた反射型光学センサ29を制御し、当該反射型光学センサ29の発光部38からプラテン26に向けて光を発する(ステップS12)。
【0066】
次に、図9(a)及び図9(b)に示すように、システムコントローラ54は、CRモータ30を駆動させて、キャリッジ28を移動させる。やがて、図9(b)に示すように印刷用紙Pの端を上記発光部38から発光された光が遮ることとなる(ステップS14)。このときに、発光部38から発せられた光の入射先は、プラテン26から印刷用紙Pに変わるから、その反射光を受光した反射型光学センサ29の受光部40の出力値である電気信号の大きさは変化する。そして、この電気信号の大きさを電気信号測定部66により測定し、印刷用紙Pの端が前記光を通過したことを検知する。
【0067】
そして、リニア式エンコーダ11の出力パルスに基づいてCRモータ30の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を、換言すればキャリッジ28の位置(以下、位置X1ともいう)を記憶する(ステップS16)。
【0068】
そして、図9(b)及び図9(c)に示すように、システムコントローラ54は、CRモータ30を駆動させて、キャリッジ28を主走査方向さらに移動させて、印刷用紙Pに印刷を行う(ステップS18)。
【0069】
次に、図9(c)及び図9(d)に示すように、システムコントローラ54は、CRモータ30を駆動させて、キャリッジ28を移動させ、また、紙送りモータ31を駆動させて、印刷用紙Pを所定量紙送りする(ステップS20)。
【0070】
次に、カラーインクジェットプリンタ20は、既述のステップS14からステップS20の動作を繰り返す。
【0071】
すなわち、図9(d)及び図9(e)に示すように、システムコントローラ54は、CRモータ30を駆動させて、キャリッジ28を移動させる。やがて、図9(e)に示すように印刷用紙Pの端を上記発光部38から発光された光が遮ることとなる(ステップS14)。このときに、発光部38から発せられた光の入射先は、プラテン26から印刷用紙Pに変わるから、その反射光を受光した反射型光学センサ29の受光部40の出力値である電気信号の大きさは変化する。そして、この電気信号の大きさを電気信号測定部66により測定し、印刷用紙Pの端が前記光を通過したことを検知する。
【0072】
そして、リニア式エンコーダ11の出力パルスに基づいてCRモータ30の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を、換言すればキャリッジ28の位置(以下、位置X2ともいう)を記憶する(ステップS16)。
【0073】
そして、図9(e)及び図9(f)に示すように、システムコントローラ54は、CRモータ30を駆動させて、キャリッジ28を主走査方向さらに移動させて、印刷用紙Pに印刷を行う(ステップS18)。
【0074】
次に、システムコントローラ54は、CRモータ30を駆動させて、キャリッジ28を移動させ、また、紙送りモータ31を駆動させて、印刷用紙Pを所定量紙送りする(ステップS20)。
【0075】
このように、カラーインクジェットプリンタ20は、ステップS14、ステップS16、ステップS18、ステップS20の動作を継続して行うが、例えば、印刷用紙Pの紙送り量が所定量に達した場合(ステップS22)には、以下の動作を行う。
【0076】
先ず、図9(f)及び図9(g)に示すように、システムコントローラ54は、CRモータ30を駆動させて、キャリッジ28を所定の位置(以下、第一位置ともいう)に移動させて位置決めする(ステップS24)。そして、リニア式エンコーダ11の出力パルスに基づいてCRモータ30の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を、換言すればキャリッジ28の第一位置を記憶する(ステップS26)。
【0077】
次に、図9(g)及び図9(h)に示すように、システムコントローラ54は、紙送りモータ31を駆動させて印刷用紙Pを所定量紙送りする(ステップS28)。
【0078】
ここで、所定量の紙送りが終了する前に、図9(h)に示すように印刷用紙Pの下端が上記発光部38から発光された光を遮った場合には(ステップS30)、発光部38から発せられた光の入射先は、印刷用紙Pからプラテン26に変わるから、その反射光を受光した反射型光学センサ29の受光部40の出力値である電気信号の大きさは変化する。そして、この電気信号の大きさを電気信号測定部66により測定し、印刷用紙Pの下端が前記光を通過したことを検知する。また、このときに、システムコントローラ54は、ロータリ式エンコーダ13の出力パルスに基づいてPFモータ31の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を、換言すれば印刷用紙Pの送り量を記憶する(ステップS32)。
【0079】
逆に、所定量の紙送りが終了する前に、印刷用紙Pの下端が発光された光を遮らなかった場合には(ステップS30)、既述のステップS14に示す手順に移行する。
【0080】
所定量の紙送りが終了する前に、印刷用紙Pの下端が発光された光を遮った場合について、引き続いて説明する。システムコントローラ54は、ステップS16で記憶されたキャリッジ28の位置に関する情報を利用して、前記下端の左端と右端のうちどちらが紙送り方向において後れて送られるかを判定する(ステップS34)。
【0081】
例えば、図9(b)及び図9(e)を参照すると、既述の位置X1は既述の位置X2よりも図上で主走査方向において右側に位置している。したがって、この場合には、下端の左端(図上では印刷用紙Pの右上端に示される)が紙送り方向において後れて送られることが解る。逆に、位置X1が位置X2よりも図上で左側に位置している場合には、下端の右端が紙送り方向において後れて送られる。
【0082】
なお、上記位置X1とX2は、既述の通りステップS16で記憶されるが、ステップS14からステップS20までは、図10で明らかなようにループ構造となっているから、ステップS16でキャリッジ28の位置は繰り返し記億され得る。そして、上記位置X1と位置X2をこれらの記憶された位置のうちのどれにしても構わない。
【0083】
そして、この判定された結果に基づいて、キャリッジ28を前記第一位置から移動させて所定の位置(以下、第二位置ともいう)に位置決めする。すなわち、前記第二位置を、前記第一位置から見て主走査方向の下流側に設定するか、又は、上流側に設定するかを上記判定結果に基づいて決定し、キャリッジ28を移動させて本設定を行う(ステップS36)。さらに、詳説すると、図9(h)及び図9(i)に示される通り、下端の左端(図上では印刷用紙Pの右上端に示される)が紙送り方向において後れて送られると判定された場合には、前記第二位置を、前記第一位置から見て主走査方向(ここでは、主走査方向を図上の左側から右側へと向かう方向とする)の下流側に設定する。逆に、下端の右端が紙送り方向において後れて送られると判定された場合には、前記第二位置を、前記第一位置から見て主走査方向の上流側に設定する。そして、リニア式エンコーダ11の出力パルスに基づいてCRモータ30の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を、換言すればキャリッジ28の第二位置を記憶する(ステップS38)。
【0084】
図9(i)及び図9(j)に示すように、所定量の紙送りは引き続いて行われており、その後、所定量の紙送りが終了する前に、図9(j)に示すように印刷用紙Pの下端が上記発光部38から発光された光を遮った場合には(ステップS40)、発光部38から発せられた光の入射先は、印刷用紙Pからプラテン26に変わるから、その反射光を受光した反射型光学センサ29の受光部40の出力値である電気信号の大きさは変化する。そして、この電気信号の大きさを電気信号測定部66により測定し、印刷用紙Pの下端が前記光を通過したことを検知する。また、このときに、システムコントローラ54は、ロータリ式エンコーダ13の出力パルスに基づいてPFモータ31の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を、換言すれば印刷用紙Pの送り量を記憶する(ステップS42)。
【0085】
逆に、所定量の紙送りが終了する前に、印刷用紙Pの下端が発光された光を遮らなかった場合(ステップS40)については後述する。
【0086】
所定量の紙送りが終了する前に、印刷用紙Pの下端が発光された光を遮った場合(ステップS40)について、引き続いて説明する。システムコントローラ54は、ステップS26において記憶されたキャリッジ28の第一位置と、ステップS38において記憶されたキャリッジ28の第二位置と、ステップS32で記憶された印刷用紙Pの送り量と、ステップS42で記憶された印刷用紙Pの送り量とから、下端の左端と右端のうち紙送り方向において後れて送られるどちらか一方の紙送り方向の位置を求める。
【0087】
既述の通り、印刷用紙Pは曲がって(斜めに)給紙、又は、紙送りされる場合がある。この場合、厳密には、紙送り方向においてもっとも後れて送られるのは下端のうち左端又は右端である。本実施の形態においては、図9(a)において白抜き矢印で示すとおり、下端の左端(以下、下左端ともいう)が紙送り方向においてもっとも後れて送られている。
【0088】
図11を用いて、さらに詳細に説明を加える。図11は印刷用紙Pの下端の左端と右端のうち紙送り方向において後れて送られるどちらか一方の紙送り方向の位置を求める方法の例を説明するための図である。
【0089】
図上に実線で示された右上がりの直線は、印刷用紙Pの下端を表している。さらに、図上に示された直線の左端は印刷用紙Pの下端の右端(以下、下右端ともいう)を、直線の右端は印刷用紙Pの下左端を表している。直線と印刷用紙Pの下端に関して、左右が逆になっているのは、紙送り方向を図面の上側から下側への方向としているからである。
【0090】
また、図に示す通り、キャリッジ28の第一位置を点MとしたときのステップS26において記憶された第一位置を数値mとする。同様に、キャリッジ28の第二位置を点NとしたときのステップS38において記憶された第二位置を数値nとする。なお、数値m、nとも、便宜上、印刷用紙Pの下右端の主走査方向の位置を基準とした値としているが、これに限定されるものではなく、他の位置でも構わない。
【0091】
さらに、紙送り方向に着目すると、キャリッジ28は主走査方向にのみ移動するから、図上の点Mと点Nの位置の差pは、そのままステップS32で記憶された印刷用紙Pの送り量とステップS42で記憶された印刷用紙Pの送り量との差を表す。したがって、ステップS32とステップS42において記憶された数値から差pを求めることができることとなる。
【0092】
次に、数値m、n、pから、下端の左端と右端のうち紙送り方向において後れて送られるどちらか一方(本実施の形態においては下左端)の紙送り方向の位置を求める。図に示される通り、当該位置は、例えば、第二位置(点N)との相対的な紙送り方向の差qで表される。以下に、差qの求め方を示す。
【0093】
先ず、印刷用紙Pの傾きθを求める。図からも明らかなように、tanθ=p/(n−m)の関係があるから、θ=tan−1(p/(n−m))となる。
次に、図11に示される紙送り方向の距離aを求める。図からも明らかなように、(a−p)/a=m/nの関係があるから、a=n・p/(n−m)となる。
次に、図11に示される主走査方向の距離bを求める。印刷用紙の(下端の)幅は既知であり、これをrとしたときには、b=r・cosθとなり、θに既に求めた値を代入することにより、bを求めることができる。
さらに、図からも明らかなようにn/(b−n)=a/qの関係があるから、q=a・(b−n)/nとなり、これに、既に求めたaとbを代入することにより、qを求めることができる。
【0094】
このようにして、ステップS26、ステップS32、ステップS38、ステップS42において記憶された数値から、下端の左端と右端のうち紙送り方向において後れて送られるどちらか一方(本実施の形態においては下左端)の紙送り方向の位置が求められる(ステップS44)。
【0095】
次に、ステップS40で所定量の紙送りが終了する前に、印刷用紙Pの下端が発光された光を遮らなかった場合について説明する。
【0096】
この場合には、下端の左端と右端のうち紙送り方向において後れて送られるどちらか一方(本実施の形態においては下左端)の紙送り方向の位置を求めることなく、所定量の紙送りが終了後、キャリッジ28を主走査方向に移動させつつ、印刷ヘッド36からインクを吐出して印刷用紙Pに印刷を行う(ステップS46)。
【0097】
そして、印刷用紙Pの次の紙送りを行う際に、システムコントローラ54は、CRモータ30を駆動させて、キャリッジ28を前記第二位置へ移動させて位置決めする(ステップS48)。そして、リニア式エンコーダ11の出力パルスに基づいてCRモータ30の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を、換言すればキャリッジ28の第二位置を記憶する(ステップS50)。
【0098】
次に、システムコントローラ54は、紙送りモータ31を駆動させて印刷用紙Pを所定量紙送りする(ステップS52)。
【0099】
そして、ステップS40と同様に、印刷用紙Pの下端が上記発光部38から発光された光を所定量の紙送りが終了する前に遮るかどうかを判定する(ステップS54)。印刷用紙Pの下端が発光された光を遮った場合には(ステップS54)、システムコントローラ54は、既に説明した方法で、印刷用紙Pの下端が前記光を通過したことを検知し、かつ、印刷用紙Pの送り量を記憶する(ステップS56)。
逆に、印刷用紙Pの下端が発光された光を遮らなかった場合には(ステップS54)、既述のステップS46に示す手順に移行する。
【0100】
そして、所定量の紙送りが終了する前に、印刷用紙Pの下端が発光された光を遮った場合(ステップS54)には、システムコントローラ54は、ステップS26において記憶されたキャリッジ28の第一位置と、ステップS50において記憶されたキャリッジ28の第二位置と、ステップS32で記憶された印刷用紙Pの送り量と、ステップS56で記憶された印刷用紙Pの送り量とから、既に説明した方法を用いて、下端の左端と右端のうち紙送り方向において後れて送られるどちらか一方の紙送り方向の位置を求める(ステップS44)。
【0101】
なお、以上の処理を行うためのプログラムは、EEPROM58に格納されており、かかるプログラムはシステムコントローラ54により実行される。
【0102】
背景技術の項で説明したとおり、印刷用紙Pは曲がって(斜めに)給紙される(又は、紙送りされる)場合があるため、発光ダイオード等から光を発し、紙送りされる印刷用紙が当該光を遮ることによるフォトダイオード等の受光センサの出力値の変化を単に検知することにより把握された下端の位置は、厳密には、紙送り方向において最も後れて送られる位置ではなく、印刷装置の下端位置を把握する精度という観点から問題が生じる可能性がある
そこで、このように、複数の位置で印刷用紙Pの下端が光を遮ることによる受光センサの出力値の変化を検知して、この検知結果に基づいて前記下端の左端と右端のうち紙送り方向において後れて送られるどちらか一方の紙送り方向の位置を求め、精度良く印刷用紙Pの下端の位置を把握することにより、上記問題を解決することが可能となる。
【0103】
なお、上記においては、第一位置と第二位置の主走査方向の位置に基づいて、下端の左端と右端のうち紙送り方向において後れて送られるどちらか一方の位置を求めることとしたが、第一位置の主走査方向の位置又は第二位置の主走査方向の位置と、双方の位置間の距離とに基づいて求める場合も、広義には、第一位置と第二位置の主走査方向の位置に基づいて求める場合に含まれる。
【0104】
また、上記においては、ステップS32及びステップS42で、PFモータ31の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を印刷用紙Pの送り量として記憶し、この差を第一位置において受光センサの出力値の変化が検知されてから第二位置において受光センサの出力値の変化が検知されるまでの印刷用紙の送り量としたが、ステップS42でPFモータ21の移動量を求める場合の基準位置をステップS32におけるPFモータ31の位置として、印刷用紙の送り量を得ても良い。また、ステップS32とステップS56において記憶された数値の差から所定の紙送り量を求める既述の手順についても同様のことがいえる。
【0105】
また、上記においては、反射型光学センサを用いることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、前記発光部と前記受光部を主走査方向及び副走査方向に垂直な方向で対向するように、かつ、前記発光部と前記受光部が被印刷体を挟むように配置してもよい。
【0106】
また、上記においては、第一位置、及び、第二位置を所定の位置としたが、任意の位置としてもよい。また、第一位置、及び、第二位置を所定の位置とした場合には、その後の、第一位置及び第二位置を記憶する手順、すなわち、ステップS26、ステップS38、又は、ステップS50は省略してもよい。また、第二位置を任意の位置としても、ステップS38で第二位置を記憶すれば、必ずしもステップS50で第二位置を記憶する必要はない。
【0107】
また、上記においては、ステップS10において、キャリッジ28の主走査方向への移動が所定回数に達した後に、印刷用紙Pの端が光を通過したことを検知し始めることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、最初のキャリッジ28の主走査方向への移動から前記検知を始めても良いし、理想的な検知タイミングを演算等により求めて、検知回数を最小化してもよい。また、上記に関しては、ステップS22についても同様のことが言える。
【0108】
また、上記においては、図9(b)又は図9(e)に示すように、光が印刷用紙Pの右端(図上では左端)を通過したことを検知することしたが、左端(図上では右端)を通過したことを検知することとしてもよい。また、判定の精度を上げるため、右端と左端の両方を検知することとしてもよい。
【0109】
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき本発明に係る印刷装置等を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0110】
また、被印刷体として印刷用紙を例にとって説明したが、被印刷体として、フィルム、布、金属薄板等を用いてもよい。
【0111】
また、コンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続可能な表示装置と、前記コンピュータ本体に接続可能な前述の実施形態に係るプリンタと、必要に応じて備えられるマウスやキーボード等の入力装置、フレキシブルディスクドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置を有するコンピュータシステムも実現可能であり、このようにして実現されたコンピュータシステムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0112】
前述の実施形態に係るプリンタに、コンピュータ本体、表示装置、入力装置、フレキシブルディスクドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置がそれぞれ有する機能又は機構の一部を持たせてもよい。例えば、プリンタが、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部を備える構成としてもよい。
【0113】
上記実施の形態では、カラーインクジェットプリンタについて説明したが、本発明は、モノクロインクジェットプリンタにも適用可能であり、また、インクジェット方式以外のプリンタにも適用可能である。本発明は、一般に、被印刷体に印刷を行う印刷装置に適用可能であり、例えばファクシミリ装置やコピー機にも適用することが可能である。
ただし、印刷ヘッドからインクを吐出して印刷を行ういわゆるインクジェット方式の印刷装置においては、特に印刷結果の質の高さが要求されるから、上記手段によるメリットがより大きくなる。
【0114】
なお、上記実施の形態においては、前記発光部と前記受光部を主走査方向に移動させて複数の位置で印刷用紙の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知することとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の反射型光学センサを用意し、各々の反射型光学センサで上記出力値の変化を検知してもよい。
ただし、前記発光部と前記受光部を主走査方向に移動させることにより、用意する反射型光学センサの数を減少させることができるという点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0115】
また、上記実施の形態においては、主走査方向における互いに異なる第一位置及び第二位置で印刷用紙Pの下端が光を遮ることによる受光センサの出力値の変化を検知して、第一位置の主走査方向の位置と、第二位置の主走査方向の位置と、第一位置において前記出力値の変化が検知されてから第二位置において前記出力値の変化が検知されるまでの被印刷体の送り量と、に基づいて、前記下端の左端と右端のうち紙送り方向において後れて送られるどちらか一方の位置を求めることとしたが、これに限定されるものではない。
ただし、このようにすることにより、受光センサの出力値の変化を検知する回数を最小限とすることができ、手順を簡略化することができるという点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0116】
また、上記実施の形態においては、印刷用紙の下端の左端と右端のうちどちらが紙送り方向において後れて送られるかを前記発光部及び前記受光部を第一位置から移動させる前に判定し、判定された結果に基づいて、第二位置を、第一位置から見て主走査方向の下流側に設定するか、又は、上流側に設定するかを決定することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第一位置で受光部の出力値の変化が検知された後に、発光部と受光部を第一位置から主走査方向の上流側又は下流側のどちらかに移動させ、発光部により発光された光を受けた受光部の出力値により、光が印刷用紙Pに当てられたと判定された場合には、判定を行った側と第一位置から見て同じ側に第二位置を設定し、光が印刷用紙Pに当てられていないと判定された場合には、判定を行った側と第一位置から見て逆側に第二位置を設定することとしてもよい。
【0117】
上記のいずれかの手順を踏まないで、仮に前記光を当てたならばその入射先が印刷用紙でない側に前記第二位置が設定されてしまった場合には、当該第二位置において印刷用紙の下端が光を遮るようにするためには、印刷用紙をバックフィードさせる必要があるという不都合が生じる。かかる不都合を回避することができるという点で上記の二つの方法は共通するが、後者の方法は第一位置から第二位置への移動の際に、仮の位置を経由させる必要がある点で非効率的である。したがって、このような非効率性を回避することができるという点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0118】
また、上記実施の形態においては、印刷用紙を静止させ、かつ、発光部を主走査方向に移動させて、前記発光部により発せられた光が印刷用紙の端を遮ることによる受光部の出力値の変化を検知して、端の位置を特定し、この位置に基づいて、印刷用紙の下端の左端と右端のうちどちらが紙送り方向において後れて送られるかを判定することとしたが、これに限定されるものではない。
ただし、印刷用紙を静止させ、かつ、発光部を主走査方向に移動させるという操作は、印刷用紙に印刷を行うための操作と共通であるため、効率的に前記判定を行うための情報を入手することができるという点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0119】
また、上記実施の形態においては、印刷用紙を静止させ、かつ、発光部を主走査方向に移動させて、前記発光部により発せられた光が印刷用紙の端を遮ることによる受光部の出力値の変化を検知して、端の位置を特定した後に、印刷用紙を送り、受光部の出力値の変化を再度検知して、端の位置を特定し、特定された二つの端の位置に基づいて、印刷用紙の下端の左端と右端のうちどちらが紙送り方向において後れて送られるかを判定することとしたが、これに限定されるものではない。
ただし、このようにすることにより、上記判定をするための情報がより多くなるから、前記下端の左端と右端のうちどちらが紙送り方向において後れて送られるかを精度よく判定できるという点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0120】
また、上記実施の形態においては、ドットを形成するための印刷ヘッドを備え移動可能なキャリッジに、前記発光部と前記受光部が設けられていることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、キャリッジと前記発光部及び前記受光部を、主走査方向に別個に移動可能とする構成としてもよい。
ただし、このようにすることにより、キャリッジと前記発光部及び前記受光部の移動機構を共通化することができる点で、上記実施の形態の方が望ましい。
【0121】
また、上記実施の形態においては、縁なし印刷を行うこととしたが、これに限定されるものではない。
ただし、縁なし印刷の場合には、印刷用紙の下端にも印刷を行うため、印刷用紙の下端の位置を正確に把握する必要があるから、上記手段によるメリットがより大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の一例としての印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】カラーインクジェットプリンタ20の主要な構成の一例を示す概略斜視図である。
【図3】反射型光学センサ29の一例を説明するための模式図である。
【図4】インクジェットプリンタのキャリッジ28周辺の構成を示した図である。
【図5】キャリッジ28に取付けられたリニア式エンコーダ11の構成を模式的に示した説明図である。
【図6】CRモータ正転時及び逆転時におけるリニア式エンコーダ11の2つの出力信号の波形を示したタイミングチャートである。
【図7】カラーインクジェットプリンタ20の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図8】印刷ヘッド36の下面におけるノズル配列を示す説明図である。
【図9】印刷ヘッド36と反射型光学センサ29と印刷用紙Pの位置関係を模式的に表した図である。
【図10】第一の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図11】印刷用紙Pの下端の左端と右端のうち紙送り方向において後れて送られるどちらか一方の紙送り方向の位置を求める方法の例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0123】
11 リニア式エンコーダ
12 リニア式エンコーダ用符号板
13 ロータリ式エンコーダ
14 ロータリ式エンコーダ用符号板
20 カラーインクジェットプリンタ
21 CRT
22 用紙スタッカ
24 紙送りローラ
25 プーリ
26 プラテン
28 キャリッジ
29 反射型光学センサ
30 キャリッジモータ
31 紙送りモータ
32 牽引ベルト
34 ガイドレール
36 印刷ヘッド
38 発光部
40 受光部
50 バッファメモリ
52 イメージバッファ
54 システムコントローラ
56 メインメモリ
58 EEPROM
61 主走査駆動回路
62 副走査駆動回路
63 ヘッド駆動回路
65 反射型光学センサ制御回路
66 電気信号測定部
90 コンピュータ
91 ビデオドライバ
95 アプリケーションプログラム
96 プリンタドライバ
97 解像度変換モジュール
98 色変換モジュール
99 ハーフトーンモジュール
100 ラスタライザ
101 ユーザインターフェース表示モジュール
102 UIプリンタインターフェースモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された被印刷体を所定の送り方向へ送るための送り手段と、
光を発するための発光手段と、
前記発光手段により発せられた光を受光するための受光センサと、を備え、
前記送り手段により送られた前記被印刷体が前記発光手段により発せられた光を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知する印刷装置において、
複数の位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知して、この検知結果に基づいて前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の前記送り方向の位置を求めることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
印刷ヘッドからインクを吐出して前記被印刷体にドットを形成することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置において、
前記発光手段と前記受光センサを主走査方向に移動させて複数の位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置において、
主走査方向における互いに異なる第一位置及び第二位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知して、
前記第一位置の主走査方向の位置と、前記第二位置の主走査方向の位置と、第一位置において前記出力値の変化が検知されてから第二位置において前記出力値の変化が検知されるまでの被印刷体の送り量と、に基づいて、前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の位置を求めることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置において、
前記下端の左端と右端のうちどちらが前記送り方向において後れて送られるかを前記発光手段及び前記受光センサを前記第一位置から移動させる前に判定し、
判定された結果に基づいて、前記第二位置を、前記第一位置から見て主走査方向の下流側に設定するか、又は、上流側に設定するかを決定することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置において、
前記被印刷体を静止させ、かつ、前記発光手段を主走査方向に移動させて、前記発光手段により発せられた前記光が前記被印刷体の端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知して、前記端の位置を特定し、
特定された該端の位置に基づいて、前記下端の左端と右端のうちどちらが前記送り方向において後れて送られるかを判定することを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷装置において、
前記端の位置を特定した後に、前記送り手段により前記被印刷体を送り、
前記被印刷体を静止させ、かつ、前記発光手段を主走査方向に移動させて、前記発光手段により発せられた前記光が前記被印刷体の端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を再度検知して、前記端の位置を特定し、
特定された二つの端の位置に基づいて、前記下端の左端と右端のうちどちらが前記送り方向において後れて送られるかを判定することを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項3乃至請求項7に記載のいずれかの印刷装置において、
ドットを形成するための印刷ヘッドを備え移動可能な移動部材に、前記発光手段と前記受光センサが設けられていることを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項1乃至8に記載のいずれかの印刷装置において、
前記被印刷体の全表面を対象として印刷を行うことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
供給された被印刷体を所定の送り方向へ送るための送り手段と、
光を発するための発光手段と、
前記発光手段により発せられた光を受光するための受光センサと、を備え、
前記送り手段により送られた前記被印刷体が前記発光手段により発せられた光を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知する、印刷ヘッドからインクを吐出して前記被印刷体の全表面を対象として印刷を行う印刷装置において、
インクを吐出してドットを形成するための印刷ヘッドを備え移動可能な移動部材に、前記発光手段と前記受光センサが設けられており、
前記発光手段と前記受光センサを主走査方向に移動させることによって、主走査方向における互いに異なる第一位置及び第二位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知して、
前記第一位置の主走査方向の位置と、前記第二位置の主走査方向の位置と、第一位置において前記出力値の変化が検知されてから第二位置において前記出力値の変化が検知されるまでの被印刷体の送り量と、に基づいて、前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の位置を求め、
前記被印刷体を静止させ、かつ、前記発光手段を主走査方向に移動させて、前記発光手段により発せられた前記光が前記被印刷体の端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知して、前記端の位置を特定し、
該端の位置を特定した後に、前記送り手段により前記被印刷体を送り、前記被印刷体を静止させ、かつ、前記発光手段を主走査方向に移動させて、前記発光手段により発せられた前記光が前記被印刷体の端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を再度検知して、前記端の位置を特定し、
特定された二つの端の位置に基づいて、前記下端の左端と右端のうちどちらが前記送り方向において後れて送られるかを前記発光手段及び前記受光センサを前記第一位置から移動させる前に判定し、
判定された結果に基づいて、前記第二位置を、前記第一位置から見て主走査方向の下流側に設定するか、又は、上流側に設定するかを決定することを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
供給された被印刷体を所定の送り方向へ送るための送り手段と、
光を発するための発光手段と、
前記発光手段により発せられた光を受光するための受光センサと、を備え、
前記送り手段により送られた前記被印刷体が前記発光手段により発せられた光を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知する印刷装置による被印刷体下端決定方法において、
複数の位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知するステップと、この検知結果に基づいて前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の前記送り方向の位置を求めるステップと、を備えることを特徴とする被印刷体下端決定方法。
【請求項12】
供給された被印刷体を所定の送り方向へ送るための送り手段と、光を発するための発光手段と、前記発光手段により発せられた光を受光するための受光センサと、を備え、前記送り手段により送られた前記被印刷体が前記発光手段により発せられた光を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知する印刷装置に、複数の位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知して、この検知結果に基づいて前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の前記送り方向の位置を求めさせるためのコンピュータプログラム。
【請求項13】
コンピュータ本体、コンピュータ本体に接続可能な表示装置、及び、コンピュータ本体に接続可能な印刷装置であって、供給された被印刷体を所定の送り方向へ送るための送り手段と、光を発するための発光手段と、前記発光手段により発せられた光を受光するための受光センサと、を備え、前記送り手段により送られた前記被印刷体が前記発光手段により発せられた光を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化を検知する印刷装置であって、複数の位置で前記被印刷体の下端が前記光を遮ることによる前記出力値の変化を検知して、この検知結果に基づいて前記下端の左端と右端のうち前記送り方向において後れて送られるどちらか一方の前記送り方向の位置を求める印刷装置、を具備することを特徴とするコンピュータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−269497(P2007−269497A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182518(P2007−182518)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【分割の表示】特願2002−45206(P2002−45206)の分割
【原出願日】平成14年2月21日(2002.2.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】