説明

印刷装置、印刷装置の制御方法、印刷装置制御プログラムおよび印刷システム

【課題】レイアウトの作業が煩雑であり、かつ選択できるレイアウトの種類が少なかった。
【解決手段】印刷媒体の所定位置に貼り付けられ或いは埋め込まれたICタグとの無線通信によるICタグからの情報の読み取りおよびICタグへの情報の書き込みを実行可能であり、ICタグから当該印刷媒体における印刷可能な領域の位置を少なくとも規定したレイアウト情報を読み取るタグ情報読取書込部と、印刷媒体への記録内容を示す記録データを入力する記録データ入力部と、レイアウト情報に基づいて記録データが示す内容の印刷位置を決定した印刷対象データに基づいて、印刷媒体に印刷するとともに、印刷後の印刷媒体における印刷済みの領域を直接的または間接的に示す情報に基づいてレイアウト情報を更新し、更新後のレイアウト情報をタグ情報読取書込部にICタグへ書き込ませる印刷制御部とを備える印刷装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷装置の制御方法、印刷装置制御プログラムおよび印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷用紙には、紙面の一部領域に予め特定の印刷を施すことにより、ユーザが印刷可能な領域を限定しているものがある。例えば、罫線や特定の文字列が予め印刷されている手帳類の用紙や、写真の印刷位置を規定する枠が予め印刷されているフォトアルバム用の用紙など(以下ではまとめて、罫線・枠付き印刷用紙と呼ぶ。)が該当する。ユーザは、罫線・枠付き印刷用紙に対し文字(例えば、自己のスケジュールなど)や写真やCGをプリンタで印刷する場合には、罫線・枠付き印刷用紙をプリンタにセットし、当該プリンタを制御するPCのユーザインターフェース(UI)画面等を操作して、用紙上のいずれの位置にどのような内容(文字や写真やCG等)を印刷するかを設定していた。
【0003】
また、網目状に分割された各領域に一つずつICタグを埋め込んだ印刷用紙に印刷された画像をスキャンして複写する場合に、出力禁止情報が記憶されているICタグが埋め込まれた各領域については複写を禁止する印刷画像処理システムが知られている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005‐244802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
罫線・枠付き印刷用紙に対し所望の印刷を行なおうとする場合、ユーザは、文字や写真等が罫線上の位置や枠内に綺麗に印刷されるような印刷位置の設定や、適切な文字数の設定等を、上記UIを操作して行なう必要がある。しかしながら当該操作はユーザにとって非常に煩雑であり、また上記UIの操作に精通していないユーザにとっては難度の高い操作であった。なお画像印刷時に、ユーザが携帯電話機等の情報端末から送信した文字データを当該画像の特定位置に重ねた状態で印刷する文字合成機能を備えたプリンタも知られている。ただし、かかる文字合成機能を用いる場合、ユーザは、プリンタ内部のメモリに製品出荷前に予め保存されたテンプレート(画像に対する文字の合成位置を規定したテンプレート)の中からしかテンプレートを選択できない。そのため、ユーザは、必ずしも自己が望むレイアウトで文字を画像に合成できるとは限らなかった。
なお上記文献1は、印刷を行なう際の印刷内容のレイアウト処理に要する労力を軽減させるものではない。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、印刷用紙上における印刷内容の的確かつユーザの嗜好にあったレイアウト(配置)を、ユーザの負担を従来よりも大幅に低減して実現した上で印刷を行なうことが可能な印刷装置、印刷装置の制御方法、印刷装置制御プログラムおよび印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の印刷装置は、印刷媒体の所定位置に貼り付けられ或いは埋め込まれたICタグとの無線通信によるICタグからの情報の読み取りおよびICタグへの情報の書き込みを実行可能であり、ICタグから当該印刷媒体における印刷可能な領域の位置を少なくとも規定したレイアウト情報を読み取るタグ情報読取書込部と、上記印刷媒体への記録内容を示す記録データを入力する記録データ入力部と、上記レイアウト情報に基づいて上記記録データが示す内容の印刷位置を決定した印刷対象データに基づいて、上記印刷媒体に印刷するとともに、当該印刷後の印刷媒体における印刷済みの領域を直接的または間接的に示す情報に基づいて上記レイアウト情報を更新し、当該更新後のレイアウト情報を上記タグ情報読取書込部に上記ICタグへ書き込ませる印刷制御部とを備える構成としてある。
【0007】
すなわち本発明によれば、印刷装置は、給紙された印刷媒体のICタグから読み取ったレイアウト情報に基づいて、記録データが示す内容(文字や写真やCG等)の位置を決定して印刷を行なう。そのため、ユーザが任意に選択した印刷媒体上に、的確に文字等が配置された印刷結果を極めて容易に得ることができる。また、ICタグのレイアウト情報は印刷がなされる度に更新されるため、既に印刷が行なわれた印刷媒体に対し再度印刷を行なう場合、印刷済みの領域を避けて、新たな記録データにかかる内容を印刷することができる。
【0008】
上記タグ情報読取書込部は、上記印刷可能な領域の数と当該各領域の属性と当該各領域に印刷可能なデータ量との全てあるいは一部を含むレイアウト情報を読み取るとしてもよい。そして印刷装置は、タグ情報読取書込部に読み取られたレイアウト情報に基づいて、上記記録データの入力を指示する所定の表示を所定の表示画面に行なう表示処理部を備えるとしてもよい。当該構成によれば、印刷装置は、レイアウト情報に基づいて表示画面に記録データの入力指示を表示する。そのため、かかる表示を見たユーザは、レイアウト情報(例えば、上記印刷可能な領域の数や、当該各領域の属性や、当該各領域に印刷可能なデータ量)に応じた数や内容の記録データを印刷装置に入力させることができる。
【0009】
上記表示処理部は、上記レイアウト情報に基づいて、上記印刷媒体における印刷可能な領域を示した画像を上記表示画面に表示するとともに、当該表示画面内の領域に対する選択指示に応じて、当該選択された領域についての上記属性と上記印刷可能なデータ量との全てあるいは一部をさらに上記表示画面に表示するとしてもよい。当該構成によれば、ユーザは、現在印刷媒体において印刷可能な領域がどこであるかを容易に認識でき、かつ、選択した領域についての詳細な情報(領域の属性や、領域に印刷可能なデータ量)も知ることができるため、印刷装置に対する記録データの提供をより適切に行なうことができる。
【0010】
上記タグ情報読取書込部は、印刷装置における印刷媒体の初期位置と印刷媒体に対する印刷開始位置とを含む印刷媒体の移動経路上の所定位置に設置されているとしてもよい。当該構成によれば、印刷装置は、印刷媒体を初期位置から印刷開始位置まで送る過程で、ICタグに保存されているレイアウト情報を取得することができる。
上記記録データ入力部は、外部の情報端末との無線通信を介して当該情報端末から送信された記録データを入力するとしてもよい。当該構成によれば、印刷装置は、携帯電話機などの情報端末から送信された記録データに基づく印刷を行なうことができる。
【0011】
本発明にかかる技術的思想は、上述した印刷装置以外の発明としても捉えることがでる。つまり、印刷装置の各部がそれぞれ行なう処理工程からなる印刷装置の制御方法の発明や、印刷装置の各部が実現する機能を印刷装置(或いは印刷装置が備えるコンピュータ)に実行させる印刷装置制御プログラムの発明も把握できる。また印刷媒体における印刷可能な領域の位置を少なくとも規定したレイアウト情報を所定のメモリに保存したICタグを所定位置に貼り付け或いは埋め込んだ当該印刷媒体と、供給された上記印刷媒体の上記ICタグと無線通信を行なうことによりICタグから情報を読み取りかつICタグへ情報の書き込みを実行可能であり、ICタグから上記レイアウト情報を読み取るタグ情報読取書込部と、上記印刷媒体への記録内容を示す記録データを入力する記録データ入力部と、上記レイアウト情報に基づいて上記記録データが示す内容の印刷位置を決定した印刷対象データに基づいて、上記印刷媒体に印刷するとともに、当該印刷後の印刷媒体における印刷済みの領域を直接的または間接的に示す情報に基づいて上記レイアウト情報を更新し、当該更新後のレイアウト情報を上記タグ情報読取書込部に上記ICタグへ書き込ませる印刷制御部とを備える印刷装置と、を備える印刷システムの発明も把握することができる。さらに印刷システムは、その構成要素の一つとして上記情報端末を含むとしてもよい。さらに上記ICタグを埋め込む等した印刷媒体自体も、一つの発明として成立する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態にかかる印刷システム50の外観を簡略的に示している。
印刷システム50は、プリンタ(印刷装置)10と印刷用紙(印刷媒体)30とを含む。プリンタ10は、プリント機能(いわゆるダイレクトプリント機能を含む)に加え、スキャナ機能や、コピー機能や、所定のディスク型メディア(CD‐RやDVD)の表面に対する印刷(レーベル印刷)機能や、所定のメモリーカード等に記録されたデータを当該ディスク型メディア等へ保存するバックアップ保存機能等、多様な機能を備える複合機型のプリンタであってもよい。プリンタ10は、ユーザインターフェース(UI)としての入力受付部(ボタンやタッチパネルなど)10aおよび画面10bを備える。
【0013】
印刷用紙30は、プリンタ10に供給されると、当該供給された位置(初期位置)から、プリンタ10が備える紙送り機構22a(図5参照)によって、所定の紙送り方向に向かって印刷開始位置まで送られ、印刷開始位置から印刷の対象となる。印刷用紙30には、所定の位置にICタグ31が貼り付け或いは埋め込まれている。ICタグ31は、ICチップやICチップ用のアンテナを備える。後述するように、ICチップ内のメモリ31aには、印刷用紙30に関する情報(例えば、レイアウト情報)が予め記録されている。以下では、メモリ31aに予め記録されている情報を、適宜タグ情報Dと呼ぶ。
プリンタ10は、内部の所定位置にICタグ31から情報を読み取り、かつICタグ31に対して情報を書き込むためのリーダ・ライタ装置12aを備える。
【0014】
図2は、プリンタ10内部における印刷用紙30とリーダ・ライタ装置12aとの位置関係を簡略化して示している。本実施形態では、プリンタ10における印刷用紙30の初期位置P1と印刷用紙30に対する印刷開始位置P2とを含む印刷用紙30の移動経路F上の所定位置に、リーダ・ライタ装置12aが配置されている。そのため、プリンタ10においては、ユーザが印刷用紙30の先端を初期位置P1に合わせてセットした後、印刷用紙30の先端が印刷開始位置P2まで送られる過程で、リーダ・ライタ装置12aによってICタグ31からタグ情報Dを読み取ることができる。
【0015】
図3および図4は、印刷用紙30の例を示している。図3に示した印刷用紙30は、スケジュール帳を構成するページの一例であり、一つのページ内に、文字Cや、罫線Lや、枠W1などが予め印刷されている。かかる印刷用紙30においては、罫線Lや枠W1によって区画された印刷領域Aが存在している。また、図4に示した印刷用紙30は、フォトアルバムを構成するページの一例であり、一つのページ内に、枠W2が予め印刷されている。かかる印刷用紙30においては、枠W2によって区画された印刷領域Aが存在している。図3,4に示した印刷用紙30は罫線・枠付き印刷用紙に該当し、本実施形態ではいずれもICタグ31を備えている。図3の印刷用紙30のICタグ31に予め記録されているレイアウト情報には、罫線Lや枠W1によって区画された領域Aの印刷用紙30内での位置情報などが含まれている。同様に、図4の印刷用紙30のICタグ31に予め記録されているレイアウト情報には、枠W2によって区画された領域Aの印刷用紙30内での位置情報などが含まれている。ただし印刷用紙30は必ずしも罫線・枠付き印刷用紙である必要はなく、少なくとも用紙内の所定位置にICタグ31を備え、ICタグ31に用紙内の印刷可能な領域の位置情報を記録したものであればよい。
【0016】
図1には、情報端末40も示している。印刷システム50の構成要素の一つとして情報端末40を含めるとしてもよい。情報端末40の一例として、図1では携帯電話機を示している。情報端末40は、UIとしての入力受付部(ボタンやタッチパネルなど)40aおよび画面40bを適宜備える。ただし情報端末40は、プリンタ10に対して有線あるいは無線によるデータの送信機能を備えた端末であればよい。本実施形態では、ユーザは、プリンタ10に印刷させたい内容(文字や写真やCGなど)を表した記録データを、情報端末40からプリンタ10に送信する。
【0017】
図5は、プリンタ10、用紙30(ICタグ31)および情報端末40の機能をブロック図により示している。
ICタグ31は、メモリ31aと通信部31bとを備える。通信部31bは、ICチップとアンテナによって実現される。
情報端末40は、メモリ41と通信部42とを備える。メモリ41には、テキストデータなどの文字データや、写真やCGを表した画像データが記録されている。通信部42は、例えば、赤外線通信によって他の情報端末やプリンタ10とデータの送受信を実行する通信手段である。ただし情報端末40は、図5に示した構成以外にも、通話機能や電子メールの送受信機能など、通常の携帯電話機が持ち得る種々の機能を備えることは言うまでもない。
【0018】
プリンタ10は、リーダ・ライタ装置12aを制御してリーダ・ライタ装置12aにICタグ31との間で無線通信を実行させる通信部12と、通信部12(リーダ・ライタ装置12a)が受信したタグ情報Dを解析して所定の情報を抽出等するタグ情報解析部13を備える。本実施形態では、リーダ・ライタ装置12aは、ICタグ31に接近したときに、NFC(Near Field Communication)と呼ばれる非接触の通信規格を用いてICタグ31との間で無線通信を行う。NFC規格では、電磁誘導方式を用いて通信を行う。つまり、リーダ・ライタ装置12aは自己が備えるアンテナに電流を流して電磁界を発生させることにより、ICタグ31側のアンテナに電力を誘導する。かかる電磁誘導によって電力を得たICタグ31の通信部31bは、リーダ・ライタ装置12aから送信された情報をメモリ31aに書き込んだり、メモリ31aに記録されているタグ情報Dを読み出してリーダ・ライタ装置12aに送信したりすることができる。リーダ・ライタ装置12aおよび通信部12は、タグ情報読取書込部の一例に該当する。
【0019】
またプリンタ10は、情報端末40の通信部42との間で通信(例えば、赤外線通信)を行う通信部14と、通信部14によって受信されたデータから文字データや画像データを抽出するデータ解析部15と、メモリ16と、レイアウト情報およびデータ解析部15によって抽出された各データに基づいてxHTML-Printデータを生成するxHTML-Printデータ生成部18と、生成されたxHTML-Printデータを解析するxHTML-Printデータ解析部19と、xHTML-Printデータ解析部19による解析結果に基づいて印刷画像を表したドットデータを生成するレイアウト部20と、レイアウト部20が適宜用いるフォントデータを保存したフォントデータメモリ20aと、レイアウト部20が生成したデータを印刷データに変換する印刷データ生成部21と、紙送り機構22aおよび印刷機構22bを制御して印刷データに基づく印刷を行なう印刷処理部22とを備える。通信部14は、記録データ入力部の一例に該当する。xHTML-Printデータ生成部18と、xHTML-Printデータ解析部19と、レイアウト部20と、印刷データ生成部21と、印刷処理部22とは、印刷制御部の一例に該当する。上記ドットデータまたは印刷データは、レイアウト情報に基づいて記録データが示す内容の印刷位置が決定された印刷対象データに該当する。
【0020】
紙送り機構22aは、印刷用紙30を紙送り方向や紙送り方向とは逆方向へ移動させる機構であり、紙送りローラ等からなる。印刷機構22aは、例えばインクカードリッジからのインクの供給を受けてインクを吐出する印刷ヘッドや、印刷ヘッドからのインク吐出を制御する印刷ヘッド駆動回路や、印刷ヘッドを移動させるキャリッジ等からなる。またプリンタ10は、UI部17を備える。UI部17は、入力受付部10aおよび画面10bと接続しており、入力受付部10aを介して受付けた外部からの指示を解釈してプリンタ10の各部へ伝えたり、画面10bにおける表示内容を制御する。これらプリンタ10の各部は、プリンタ10の図示しない制御主体(CPU等)が、プリンタ10内の所定のメモリに記憶された所定のプログラム(印刷装置制御プログラム)を実行することで実現される機能部である。UI部17および画面10bは、表示処理部の一例に該当する。
【0021】
図6および図7は、プリンタ10等が実行する印刷処理をフローチャートにより示している。当該フローチャートは上記印刷装置制御プログラムに従って実行される。
ステップS(以下、ステップの表記を省略。)100では、プリンタ10は、所定の開始指示を受付けたか否か判定しており、当該開始指示を受付けたと判定した場合に、S110以下の処理に進む。ここで言う開始指示とは、ユーザがプリンタ10に対して入力する、紙送り開始の指示であったり、印刷処理の開始指示などが該当する。つまりプリンタ10では、UI部17が入力受付部10aを介してユーザからの開始指示の入力を認識した場合に、以下の処理を開始する。ユーザは、基本的には印刷用紙30の先端をプリンタ10の初期位置P1にセットした上で、入力受付部10aを操作し、プリンタ10に対して開始指示を行う。
【0022】
S110では、プリンタ10はICタグ31の検知処理を開始する。プリンタ10は、ICタグ31の検知処理を、初期位置P1にセットされた印刷用紙30の印刷開始位置P2への送り作業と並行して行う。ICタグ31の検知手法は特に限られない。例えばプリンタ10は、リーダ・ライタ装置12aの近傍にICタグ31検知用のセンサを備え、印刷用紙30の紙送りの最中に当該センサによってICタグ31の有無を検知するとしてもよい。あるいは、プリンタ10の通信部12は、ICタグ31に対し返信を要求する特定の信号を一定期間間隔でリーダ・ライタ装置12aから発信させ、当該特定の信号に対する返信を受信したか否かによってICタグ31の有無を検知する(返信が有ればICタグ31有り、返信が無ければICタグ31無し。)としてもよい。
【0023】
プリンタ10では、ICタグ31の検知に成功した場合(S120において“Yes”)にS130に進む。一方、プリンタ10は、ICタグ31の検出に成功しない場合(S120において“No”)は、引き続きICタグ31の検知処理を繰り返す。ただし、当該検知処理を一定時間行ってもICタグ31の検知に成功しない場合は、UI部17が画面10bに所定のエラー表示(例えば、「ICタグを検知できません。」というようなメッセージ表示)を行うとしてもよい。
S130では、通信部12がリーダ・ライタ装置12aにICタグ31との無線通信を開始させ、タグ情報Dの送信を要求する要求信号をICタグ31に対して送信させる。図6には、ICタグ31が実行する処理をS200およびS210として示している。すなわち、S200において上記要求信号を受信したICタグ31の通信部31bは、S210において、メモリ31aに記録されているタグ情報Dを読み出し、当該読み出したタグ情報Dをリーダ・ライタ装置12aに対し送信する。
【0024】
上述したようにリーダ・ライタ装置12aは、初期位置P1と印刷開始位置P2とを含む印刷用紙30の移動経路F上の所定位置に設置されるものであるから、初期位置P1近傍に設置されていてもよい。リーダ・ライタ装置12aが初期位置P1近傍に設置されており、かつ、ICタグ31が印刷用紙30の先端付近に配置されている場合においては、プリンタ10は、印刷用紙が初期位置P1にセットされかた否かを常時監視し、印刷用紙が初期位置P1にセットされたことを検知した場合に、印刷用紙の送りを開始する前にICタグ31の検知を行い、検知したICタグ31との無線通信によりタグ情報Dを取得するとしてもよい。
【0025】
S140では、通信部12はリーダ・ライタ装置12aによってタグ情報Dを受信し、受信したタグ情報Dをタグ情報解析部13に受け渡す。
S150では、タグ情報解析部13は、通信部12から受け取ったタグ情報Dに、プリンタ10がサポートするレイアウト情報D1が含まれているか否か判定する。タグ情報Dにレイアウト情報が含まれていないか、あるいは含まれていても、例えばそのレイアウト情報が、プリンタ10が印刷可能な印刷用紙30以外の印刷用紙に関する情報であったり、プリンタ10が内部的に処理不能な言語によって記述されている情報である場合には、プリンタ10がサポートするレイアウト情報D1が含まれていないと判定する。
【0026】
プリンタ10がサポートするレイアウト情報D1が含まれていないと判定した場合は、S160に進み、UI部17が画面10bに所定のエラー表示(例えば、「製品がサポートするレイアウト情報を取得できません。」というようなメッセージ表示)行った上で、S110以降のICタグ検知処理に戻る。なおユーザは、上記S160のエラー表示がなされた場合には、プリンタ10に当該フローチャートを中止させて、印刷用紙30を別の用紙に取り替えるなどの処置を適宜行うことができる。
一方、タグ情報解析部13は、タグ情報Dにプリンタ10がサポートするレイアウト情報D1が含まれていると判定した場合には、当該レイアウト情報D1の解析を行い、レイアウト情報D1から所定の情報を抽出する(S170)。
【0027】
図8は、レイアウト情報D1のデータ構造の一例を示している。レイアウト情報D1は様々な言語によって記述可能であるが、本実施形態では、xHTML-Printと呼ばれる言語を用いて記述されている。レイアウト情報D1のヘッド領域(図8において〈head〉〜〈/head〉で囲まれた領域)には、用紙サイズ情報D2が記述されている。@page{…}と記述された用紙サイズ情報D2は、印刷用紙30の横縦のサイズ(size)を示している。また用紙サイズ情報D2は、印刷用紙30の上下左右におけるマージン(margin)の量も規定している。
【0028】
ヘッド領域には、印刷用紙30内における印刷領域の位置を示した用紙内領域情報D3が記述されている。用紙内領域情報D3は、印刷用紙30の罫線や枠によって区画された各領域A(図3,4参照。)の位置を指している。レイアウト情報D1では、印刷用紙30の各領域Aに、area_1、area_2、area_3、area_4…というように名前を付けており、図8では、4つの領域A(area_1、area_2、area_3、area_4)に対応する用紙内領域情報D3(area_1{…}、area_2{…}、area_3{…}、area_4{…})を例示している。用紙内領域情報D3は、印刷用紙30内の領域Aの数だけ存在する。用紙内領域情報D3の各area_1{…}、area_2{…}、area_3{…}、area_4{…}が規定する“top:”および“left:”は、印刷用紙30の用紙原点O(用紙の左上の角。図3,4参照。)を基準とした、各領域Aの原点(各領域の左上の角)の位置を示している。“top:”は用紙原点Oを基準としたY方向(用紙の縦方向)の距離であり、“left:”は用紙原点Oを基準としたX方向(用紙の横方向)の距離である。各area_1{…}、area_2{…}、area_3{…}、area_4{…}が規定する“width:”は各領域AのX方向の幅であり、“height:”は各領域AのY方向の幅である。
【0029】
レイアウト情報D1のボディ領域(図8において〈body〉〜〈/body〉で囲まれた領域)には、各領域Aの属性情報が記述されている。例えば、area_2の領域Aに対応する〈div class="area_2"〉〜〈/div〉の間には、デフォルトの記述として、src="photo.jpg"というように、その領域Aに印刷可能な画像の属性(種別)が記述されている。同様に、area_3の領域Aに対応する〈div class="area_3"〉〜〈/div〉の間には、デフォルトの記述として、src="graph.gif"というように、その領域Aに印刷可能な画像の属性(種別)が記述されている。また、area_1の領域Aに対応する〈div class="area_1"〉〜〈/div〉の間においては、〈span class="area_1"〉〜〈/span〉の間に、デフォルトの記述として〈!…文字…!〉というコメントタグが挿入されている。当該コメントタグは、その領域Aに印刷される画像の属性(種別)が文字列であることを意味しており、これも一種の属性情報である。同様に、area_4の領域Aに対応する〈div class="area_4"〉〜〈/div〉の間においては、〈span class="area_4"〉〜〈/span〉の間に、デフォルトの記述として〈!…文字…!〉というコメントタグが挿入されている。
【0030】
上記S170では、上述したようなレイアウト情報D1を解析することにより、印刷用紙30において印刷可能な領域Aの数や、領域A毎の印刷可能な画像の属性(文字か、写真(photo)か、CG(graph)か等といった画像の種別)や、領域A毎の印刷可能なデータ量などの情報を抽出(取得)する。ここで言う印刷可能なデータ量とは、例えば、印刷される画像の種別が文字である領域Aであれば、その領域Aに印刷可能な文字数が該当する。図8では図示を省略しているが、レイアウト情報D1には、例えば、種別が文字である領域Aについての用紙内領域情報D3(area_1{…}およびarea_4{…})の中に、上記“top:”、“left:”、“width:”、“height:”等の情報に加え、“number of characters: 20;”等といった文字数を規定した情報が書き込まれているとしてもよい。タグ情報解析部13は、かかる文字数を規定した情報に基づいて、印刷画像の種別が文字である各領域Aに印刷可能な文字数を取得する。なおS170で解析の対象とするレイアウト情報には、後述するように、印刷用紙30における印刷済みの領域Aの存在を示す情報が書き込まれている場合もあり得るが、ここでは印刷済みの領域Aの存在を示す情報が書き込まれていないものとして説明を続ける。
【0031】
S180では、タグ情報解析部13は、上記S170で抽出した情報(抽出情報と呼ぶ。)および上記レイアウト情報D1をメモリ16に保存する。
S190では、上記180でメモリ16に保存された抽出情報に基づいて、UI部17が、記録データの入力をユーザに指示する所定の表示を画面10bに行う。
図9は、S190において画面10bに表示される入力指示画像10b1を例示している。入力指示画像10b1では、「携帯電話からデータを送信して下さい。」といったメッセージとともに、「写真 枚数:2枚」、「テキスト入力1 文字数:20文字」、「テキスト入力2 文字数:15文字」などと表示されている。すなわち、このような「写真」や「テキスト」といった入力させる記録データの属性や、データの数(写真2枚+2種類のテキスト入力で、計4個のデータ。)や、文字数が、上記レイアウト情報D1の解析の結果(抽出情報)に基づいて表示される。
【0032】
ユーザは入力指示画像10b1を見ることで、印刷用紙30への印刷に際し、現在、どのような種別のデータを、どれだけプリンタ10に入力可能であるかを認識できる。図9の例では、ユーザは、2枚分の写真の画像データと、テキスト入力1およびテキスト入力2にそれぞれ対応する2種類のテキストデータを入力可能であることが認識できるため、情報端末40を操作することにより、情報端末40から、写真の画像データやテキストデータ(記録データ)をプリンタ10に対し送信する。情報端末40からの記録データの送信は、ユーザの操作に応じて通信部42がメモリ41に記録されている各種データを読み出してプリンタ10側に送信することにより実現される。
【0033】
S200では、プリンタ10は、通信部14によって情報端末40からデータを受信したか否か判定し、受信したと判定した場合には、当該受信したデータをデータ解析部15に受け渡す。
S210では、データ解析部15は、通信部14から渡されたデータを解析して文字データ(テキストデータ)と、文字データ以外のデータ(写真やCGなどの画像データ)に分け、文字データと文字データ以外のデータとをメモリ16内の別々の記憶領域に保存する。
【0034】
S220では、プリンタ10は、印刷用紙30において現在印刷可能な領域Aの全てに対応するデータを入力し終えたか否か判定する。つまり、上記S170のレイアウト情報D1の解析の結果認識した印刷用紙30の印刷可能な領域Aの全てにそれぞれ対応する画像データや文字データが外部から送信されてメモリ16に保存したかを判定し、保存したと判定した場合にS230に進む。UI部17が、図9に示した入力指示画像10b1を表示した場合においては、写真2枚分の画像データと、2種類のテキストデータとを保存した場合に、S220では“Yes”と判定する。ただしプリンタ10は、印刷用紙30の印刷可能な領域Aの全てに対応するデータを入力し終えていない場合であっても、入力指示画像10b1中のスキップボタン10b11(図9参照。)が選択された場合は、印刷用紙30の印刷可能な領域Aの全てに対応するデータを入力し終えたとみなし、“Yes”の判定を行う。すなわちユーザとしては、印刷用紙30の現在印刷可能な領域Aのうち一部の領域Aだけに印刷を行うことを望む場合(例えば、スケジュール帳としての印刷用紙30の一部の領域だけに予定を印刷したい場合)もあるからである。なお、S220において“Yes”の判定がなされるまでは、UI部17は、入力指示画像10b1の表示を継続する。
【0035】
なお上記190では、UI部17は、上記入力指示画像10b1に代えて、上記180でメモリ16に保存された抽出情報およびレイアウト情報D1に基づいて以下のような入力指示画像10b2を画面10bに表示するとしてもよい。
図10(a)は、入力指示画像10b2を例示している。入力指示画像10b2は、UI部17が上記用紙サイズ情報D2および用紙内領域情報D3に基づいて、印刷用紙30内での各領域Aの位置関係を再現した画像であり、印刷用紙30の印刷前の縮小画像に略相当する。図10(a)では、上記図3に示した印刷用紙30がプリンタ10に供給されている場合に表示される入力指示画像10b2を示している。ユーザは、入力受付部10a等を操作することにより、入力指示画像10b2に表された各領域Aを選択することができる。図10(a)では、入力指示画像10b2に表された各領域Aのうち、ユーザによって選択された一つの領域Aを太枠で示している。このように入力指示画像10b2上の一つの領域Aが選択されると、UI部17は、画面10bの表示を、当該選択された領域Aに対応する詳細画像10b3に切り替える。
【0036】
図10(b)は、詳細画像10b3を示している。詳細画像10b3には、入力指示画像10b2で選択された領域Aについての印刷可能な画像の種別や、印刷可能なデータ量(文字数等)が示されている。すなわち入力指示画像10b2と詳細画像10b3を表示することで、ユーザは、印刷用紙30のどの領域にどのような種別のデータをどれだけ印刷できるかを視覚的に明確に認識しながら、情報端末40からプリンタ10にデータを送信することが可能となる。なお、入力指示画像10b2にも上記入力指示画像10b1と同様に、スキップボタン10b21が設けられている。
【0037】
上記S210において、情報端末40から受信したデータをメモリ16に保存する場合は、データ解析部15は、保存対象となる各データと、印刷用紙30の各領域A(area_1、area_2、area_3、area_4…)とを一対一で対応付けた上で保存する。このような対応付けは、ユーザが送信したデータの種別および送信した順番と、各領域Aにかかる種別および順番(エリア(area)の番号順)に基づいて行うことができる。あるいは、UI部17が画面10bに入力指示画像10b2を表示した場合には、入力指示画像10b2において選択された領域Aと、当該領域Aが選択された際にプリンタ10に送信されたデータとの対応関係に基づいて、データと印刷用紙30の領域Aとの対応付けを行う。
【0038】
S230では、xHTML-Printデータ生成部18は、メモリ16に保存されたレイアウト情報D1と、文字データと、写真やCGなどの画像データとに基づいて、印刷用紙30に印刷を行うためのxHTML-Printデータを生成する。具体的には、xHTML-Printデータ生成部18は、メモリ16に文字データが保存されている場合には、当該文字データを読み出すとともに、当該読み出した文字データが対応する領域Aに対応する上記コメントタグ〈!…文字…!〉(属性情報)の部分に、当該読み出した文字データを書き込む。例えば、メモリ16にarea_1の領域Aに対応して保存されていた文字データが“社内会議”という文字列であれば、レイアウト情報D1のarea_1に対応する〈div class="area_1"〉〜〈/div〉の間の文字列を、〈span class="area_1"〉社内会議〈/span〉というように書き換える。このような文字データのレイアウト情報D1への書き込みは、メモリ16に領域A毎に保存されている文字データ毎に行う。
【0039】
また、xHTML-Printデータ生成部18は、メモリ16に写真やCGなどの画像データが保存されている場合には、当該画像データが対応する領域Aに対応するsrc="…"の文字列(属性情報)に、当該画像データのアドレス情報(メモリ16における保存場所を示した情報)を書き込む。例えば、area_2の領域Aに対応してメモリ16に保存されている画像データのアドレスが“****”であれば、レイアウト情報D1のarea_2に対応する〈div class="area_2"〉〜〈/div〉の間の文字列を、〈img class="area_2" src=****/〉というように書き換える。このようなアドレス情報のレイアウト情報D1への書き込みは、メモリ16に領域A毎に保存されている写真やCGなどの画像データ毎に行う。
上述したようなレイアウト情報D1に対する書き込み(書き換え)によって、xHTML-Printデータが生成される。
【0040】
S240では、上記生成されたxHTML-Printデータを解析することにより印刷画像を表したドットデータを生成する。具体的には、xHTML-Printデータ解析部19は、xHTML-Printデータのボディ領域において属性情報が記述されていた箇所がデフォルト状態でない各領域Aに対応する、用紙内領域情報D3を解析し、上記xHTML-Printデータの生成時に書き込まれた文字データや、上記xHTML-Printデータの生成時に書き込まれたアドレス情報が示す画像データ(写真やCG)についての、所定のワークメモリ上における位置座標(割付領域)を取得する。次に、レイアウト部20は、上記xHTML-Printデータの生成時に書き込まれた文字データを、フォントデータメモリ20aに保存されたフォントデータを参照し対応するフォントデータに変換するとともに、得られたフォントデータを当該文字データに関して取得された位置座標(割付領域)に、所定の文字サイズのドットデータとして展開する。また、レイアウト部20は、上記xHTML-Printデータの生成時に書き込まれたアドレス情報を参照してメモリ16から画像データを読み出すとともに、当該読み出した画像データを当該画像データに関して取得された位置座標(割付領域)に、ドットデータとして展開する。この結果、一枚の印刷画像を表したドットデータが生成される。
【0041】
S250では、上記S240で生成されたドットデータを印刷データに変換する。印刷データは、各色(例えば、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)等。)のインク量を画素毎に規定したデータであり、印刷データ生成部21は、ドットデータに対し色変換処理やハーフトーン処理やラスタライズ処理等の公知の処理を行なうことにより印刷データを生成する。
S260では、印刷処理部22は、紙送り機構22aおよび印刷機構22bを制御して印刷データに基づく印刷を実行させる。なお、S260の処理が開始される時点においては、印刷用紙30は紙送り機構22aによって印刷開始位置P2まで送られているものとする。この結果、印刷用紙30の各領域Aの全てあるいは一部にユーザが選択した文字や写真等の画像が的確にレイアウトされた状態の印刷物が得られる。
【0042】
S270では、プリンタ10は更新したレイアウト情報D1´を、上記S260で印刷の対象とした印刷用紙30のICタグ31に書き込む。更新したレイアウト情報D1´とは、印刷後の印刷用紙30における印刷済みの領域Aの存在を直接的または間接的に示す情報が書き込まれたレイアウト情報を意味し、例えば、上記S230でレイアウト情報D1から生成したxHTML-Printデータそのものであってもよい。この場合、xHTML-Printデータ生成部18は、上記S230で生成したxHTML-Printデータを、更新後のレイアウト情報D1´として通信部12に受け渡し、通信部12に当該更新後のレイアウト情報D1´をICタグ31に書き込ませる。更新後のレイアウト情報D1´をICタグ31に書き込む際には、印刷処理部22は紙送り機構22aを制御することにより、印刷用紙30を紙送り方向の逆方向にフィード(バックフィード)させ、ICタグ31がリーダ・ライタ装置12aと略相対する位置まで印刷用紙30を移動させる。
【0043】
あるいは、xHTML-Printデータ生成部18は、上記S180でメモリ16に保存されたレイアウト情報D1に対し、図11に示すような付加情報D4を付記することで、更新後のレイアウト情報D1´を生成するとしてもよい。そして、生成した更新後のレイアウト情報D1´を通信部12に受け渡し、通信部12に当該更新後のレイアウト情報D1´をICタグ31に書き込ませる。図11では、レイアウト情報のボディ領域内における各領域Aに対応した〈div class="area_n"〉〜〈/div〉の記述のうち、上記S260において印刷がなされた領域Aに対応する記述の末尾に“#done”といった付加情報D4を付記している。
【0044】
プリンタ10は、更新後のレイアウト情報D1´を印刷用紙30のICタグ31に書き込んだら、図6,7のフローチャートを終了する。
このように印刷後の印刷用紙30のICタグ31に更新後のレイアウト情報D1´を書き込むことで、ユーザが当該印刷用紙30を再びプリンタ10にセットして印刷を行なう場合に、既に印刷がなされている領域Aに対し新たに印刷してしまうことを防止できる。つまり、同じ印刷用紙30に対する2回目以降の印刷時においては、ICタグ31から読み取ったレイアウト情報(前回の印刷時に更新されたレイアウト情報)から印刷可能な領域Aについての情報を抽出し(S170)、保存する(S180)場合に、属性情報がデフォルト状態でない領域Aや上記付加情報D4が付記されている領域Aについては印刷不可能な領域であるとして、情報の抽出対象から除外する。
【0045】
例えば、上記図11に示したレイアウト情報D1´を対象としてS170の解析を行なった場合には、〈div class="area_n"〉〜〈/div〉の記述の末尾に付加情報D4が付記されている領域A(area_1およびarea_2)を除いた各領域Aを対象として、その数や、印刷可能な画像の属性や、印刷可能なデータ量などを抽出する。従って、S190の入力指示の表示においても、その時点で印刷済みの領域A(area_1およびarea_2)を除いた各領域Aに対して印刷を行なうために必要な記録データの入力指示が行われる。
【0046】
図12は、更新後のレイアウト情報D1´から抽出した情報に基づいて、UI部17が画面10bに表示する入力指示画像10b2を例示している。入力指示画像10b2を表示する場合、UI部17は、直近のS180においてメモリ16に保存されたレイアウト情報を参照し、印刷済みの領域Aの有無を判断する。そして、印刷済みの領域Aが存在する場合には、入力指示画像10b2内の印刷済みの領域Aに対応する範囲を、例えば暗い色(図12においては斜線。)で塗りつぶす等し、同時に、かかる範囲については入力受付部10aの操作によってユーザが選択できないようにする。このような構成とすれば、ユーザは、同じ印刷用紙30を対象として繰り返しプリンタ10で印刷を行なう場合に、画面10bを通じて、これまでに印刷した領域と印刷がされていない領域とを簡単に識別することができる。
【0047】
このように本実施形態によれば、印刷用紙30内の印刷領域の位置や、印刷可能な領域の数や、各領域に印刷される画像の属性や、各領域に印刷可能なデータ量などを情報として含んだレイアウト情報を記録したICタグ31を、印刷用紙30の所定位置に埋め込みあるいは貼り付け、また、プリンタ10は、印刷用紙30を初期位置から印刷開始位置まで紙送りする過程でICタグ31と無線通信を実行することが可能な位置にリーダ・ライタ装置12aを備えるとした。そしてプリンタ10は、リーダ・ライタ装置12aによってICタグ31からレイアウト情報(タグ情報)を読み取り、レイアウト情報に基づいて、ユーザへの記録データの入力指示を行い、かつ、入力された記録データの内容(文字や写真など)の印刷結果における配置をレイアウト情報に基づいて決定し、印刷用紙30への印刷を行なうとした。その結果、罫線・枠付き印刷用紙等に対し印刷を行なう場合、ユーザ自身が罫線や枠の位置を考慮して文字や写真等のレイアウトを行なう必要がなくなり、文字や写真等が罫線や枠で区画された各領域に的確に配置された印刷結果を極めて簡単に得ることが可能となる。
【0048】
また本実施形態では、印刷用紙30とレイアウト情報とが一体となっている。そのため、従来のように、プリンタ10が予めデータとして備えるテンプレートの中からレイアウトのバリエーションを選ぶ必要がなくなり、ユーザは好みのレイアウトの印刷用紙30を選ぶことで、より一層、嗜好に合った印刷結果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】印刷システムの外観の一例を示した図である。
【図2】印刷用紙とリーダ・ライタ装置との位置関係を簡易的に示した図である。
【図3】印刷用紙の一例を示した図である。
【図4】印刷用紙の他の例を示した図である。
【図5】プリンタ等の機能構成を示したブロック図である。
【図6】本実施形態にかかる印刷処理の一部を示したフローチャートである。
【図7】本実施形態にかかる印刷処理の一部を示したフローチャートである。
【図8】レイアウト情報の一例を示した図である。
【図9】入力指示画像の一例を示した図である。
【図10】入力指示画像の他の例を示した図である。
【図11】更新後のレイアウト情報の一例を示した図である。
【図12】入力指示画像の他の例を示した図である。
【符号の説明】
【0050】
10…プリンタ、10a…入力受付部、10b…画面、10b1,10b2…入力指示画像、10b11,10b21…スキップボタン、10b3…詳細画像、12…通信部、12a…リーダ・ライタ装置、13…タグ情報解析部、14…通信部、15…データ解析部、16…メモリ、17…UI部、18…xHTML-Printデータ生成部、19…xHTML-Printデータ解析部、20…レイアウト部、20a…フォントデータメモリ、21…印刷データ生成部、22…印刷処理部、22a…紙送り機構、22b…印刷機構、30…印刷用紙、31…ICタグ、31a…メモリ、31b…通信部、40…情報端末、41…メモリ、42…通信部、50…印刷システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体の所定位置に貼り付けられ或いは埋め込まれたICタグとの無線通信によるICタグからの情報の読み取りおよびICタグへの情報の書き込みを実行可能であり、ICタグから当該印刷媒体における印刷可能な領域の位置を少なくとも規定したレイアウト情報を読み取るタグ情報読取書込部と、
上記印刷媒体への記録内容を示す記録データを入力する記録データ入力部と、
上記レイアウト情報に基づいて上記記録データが示す内容の印刷位置を決定した印刷対象データに基づいて、上記印刷媒体に印刷するとともに、当該印刷後の印刷媒体における印刷済みの領域を直接的または間接的に示す情報に基づいて上記レイアウト情報を更新し、当該更新後のレイアウト情報を上記タグ情報読取書込部に上記ICタグへ書き込ませる印刷制御部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
上記タグ情報読取書込部は、上記印刷可能な領域の数と当該各領域の属性と当該各領域に印刷可能なデータ量との全てあるいは一部を含むレイアウト情報を読み取り、
さらに、上記タグ情報読取書込部に読み取られたレイアウト情報に基づいて、上記記録データの入力を指示する所定の表示を所定の表示画面に行なう表示処理部を備えることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
上記表示処理部は、上記レイアウト情報に基づいて、上記印刷媒体における印刷可能な領域を示した画像を上記表示画面に表示するとともに、当該表示画面内の領域に対する選択指示に応じて、当該選択された領域についての上記属性と上記印刷可能なデータ量との全てあるいは一部をさらに上記表示画面に表示することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
上記タグ情報読取書込部は、印刷装置における印刷媒体の初期位置と印刷媒体に対する印刷開始位置とを含む印刷媒体の移動経路上の所定位置に設置されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
上記記録データ入力部は、外部の情報端末との無線通信を介して当該情報端末から送信された記録データを入力することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷媒体の所定位置に貼り付けられ或いは埋め込まれたICタグとの無線通信によって、ICタグから当該印刷媒体における印刷可能な領域の位置を少なくとも規定したレイアウト情報を読み取るタグ情報読取工程と、
上記印刷媒体への記録内容を示す記録データを入力する記録データ入力工程と、
上記レイアウト情報に基づいて上記記録データが示す内容の印刷位置を決定した印刷対象データに基づいて、上記印刷媒体に印刷する印刷工程と、
上記印刷後の印刷媒体における印刷済みの領域を直接的または間接的に示す情報に基づいて上記レイアウト情報を更新し、当該更新後のレイアウト情報を上記ICタグへ書き込むタグ情報書込工程と、
を備えることを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項7】
印刷媒体の所定位置に貼り付けられ或いは埋め込まれたICタグとの無線通信によるICタグからの情報の読み取りおよびICタグへの情報の書き込みを実行可能であり、ICタグから当該印刷媒体における印刷可能な領域の位置を少なくとも規定したレイアウト情報を読み取るタグ情報読取書込機能と、
上記印刷媒体への記録内容を示す記録データを入力する記録データ入力機能と、
上記レイアウト情報に基づいて上記記録データが示す内容の印刷位置を決定した印刷対象データに基づいて、上記印刷媒体に印刷するとともに、当該印刷後の印刷媒体における印刷済みの領域を直接的または間接的に示す情報に基づいて上記レイアウト情報を更新し、当該更新後のレイアウト情報を上記タグ情報読取書込機能に上記ICタグへ書き込ませる印刷制御機能と、
を印刷装置に実行させることを特徴とする印刷装置制御プログラム。
【請求項8】
印刷媒体における印刷可能な領域の位置を少なくとも規定したレイアウト情報を所定のメモリに保存したICタグを所定位置に貼り付け或いは埋め込んだ当該印刷媒体と、
供給された上記印刷媒体のICタグと無線通信を行なうことによりICタグから情報を読み取りかつICタグへ情報の書き込みを実行可能であり、ICタグから上記レイアウト情報を読み取るタグ情報読取書込部と、上記印刷媒体への記録内容を示す記録データを入力する記録データ入力部と、上記レイアウト情報に基づいて上記記録データが示す内容の印刷位置を決定した印刷対象データに基づいて、上記印刷媒体に印刷するとともに、当該印刷後の印刷媒体における印刷済みの領域を直接的または間接的に示す情報に基づいて上記レイアウト情報を更新し、当該更新後のレイアウト情報を上記タグ情報読取書込部に上記ICタグへ書き込ませる印刷制御部とを備える印刷装置と、
を備えることを特徴とする印刷システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−196214(P2009−196214A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40393(P2008−40393)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】