印刷装置および印刷処理方法
【課題】ライン型のインクジェットヘッドを備えた印刷装置において、ノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロックと正常なブロックとの濃度差を、全濃度にわたって少なくする。
【解決手段】インク吐出機構群が配置された複数のブロックで構成されるライン型のインクジェットヘッドと、画素毎のインク吐出数を示すデータに基づいて前記インクジェットヘッドのインク吐出機構群に印加するプリパルスを含む駆動電圧信号を生成する駆動信号生成手段とを備えた印刷装置であって、駆動電圧値とプリパルス幅とに関する、ブロックごとの駆動信号調整値を記憶する記憶手段を備え、前記駆動信号生成手段は、前記記憶手段を参照し、それぞれのインク吐出機構について、配置されているブロックに対応した駆動信号調整値を用いて、前記駆動電圧信号を生成することを特徴とする。
【解決手段】インク吐出機構群が配置された複数のブロックで構成されるライン型のインクジェットヘッドと、画素毎のインク吐出数を示すデータに基づいて前記インクジェットヘッドのインク吐出機構群に印加するプリパルスを含む駆動電圧信号を生成する駆動信号生成手段とを備えた印刷装置であって、駆動電圧値とプリパルス幅とに関する、ブロックごとの駆動信号調整値を記憶する記憶手段を備え、前記駆動信号生成手段は、前記記憶手段を参照し、それぞれのインク吐出機構について、配置されているブロックに対応した駆動信号調整値を用いて、前記駆動電圧信号を生成することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン型のインクジェットヘッドを備えた印刷装置および印刷処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、ライン型のインクジェットヘッドを備えた印刷装置が知られている。ライン型のインクジェットヘッドは、印刷用紙幅に対応したサイズを有し、印刷装置本体に固定されており、ライン方向(主走査方向)に垂直な方向(副走査方向)に搬送される印刷用紙に対してインクを吐出することで画像を形成する。
【0003】
図14(a)は、ライン型のインクジェットヘッドの構成の一例と吐出されるインクドットを説明する図である。本図に示すように、解像度を高めるために所定の数単位(本図では3個)で斜めに配置されたノズルがライン方向に多数設けられたノズルユニット240a、240bが張り合わされて1つのブロック230が形成される。そして、図14(b)に示すように、このブロック230がライン方向に複数個(本図では1ブロック〜6ブロックの6個)並べられてライン型のインクジェットヘッド220が形成される。
【0004】
図14(a)に示すように、ノズルユニット240aとノズルユニット240bとは、ライン方向に間隔p1でずらして張り合わされている。間隔p1は、ノズルのピッチdpの1/2となるように設定されており、ライン方向においてノズルユニット240aのノズルとノズルの中間にノズルユニット240bのノズルが配置されるようになっている。これにより、ノズルユニット240aの各ノズルとノズルユニット240bの各ノズルから吐出されるインク滴によって、等間隔で濃度むらのないドットが形成される。
【特許文献1】特開平8−132645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェットヘッド220は、工業製品であるから製品毎に多少のバラツキが生じる。このため、図15(a)に示すように、ノズルユニット240aとノズルユニット240bとの間隔p2が、ノズルのピッチdpの1/2よりも広かったり、狭かったりするブロックが存在し得る。このようなブロック230では、<A NAME="OLE_LINK3">ノズルピッチに周期的な偏りが生じる。すなわち、隣り合う2個のノズルがセットとなって、セット内のドットの間隔が狭まり、セット間のドットの間隔が広まることになる。
【0006】
図15(b)に示すように、ブロック230がライン方向に対して傾いて配置される場合も起こり得る。このようなブロック230でもノズルピッチに周期的な偏りが生じる。すなわち、隣り合う2個のノズルがセットとなって、セット内のドットの間隔が狭まり、セット間のドットの間隔が広まることになる。
また、ノズルユニット2枚を張り合わせずに、2系列のノズル列を設けた1枚のノズルユニット240でブロック230を形成した場合には、図15(a)のような2枚のノズルユニットの張り合わせ精度に起因するドット間隔の不均一を防ぐことができるが、図15(c)に示すように、傾斜配置に起因するドット間隔の不均一は生じ得る。
【0007】
ところで、インクジェット方式の印刷装置では、ドットに対するインクドロップ数を調整することで濃度階調を表現している。例えば、色の薄いハイライト部分はドロップ数を少なくし、色の濃いシャドウ部分はドロップ数を多くしている。また、1ドロップ当たりに吐出されるインクの量は、ノズルに対応して設けられた圧電素子に印加するパルス電圧の大きさに応じており、ブロック単位で調整することが可能である。
【0008】
図16(a)は、正常なブロック230とノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230とのドロップ数と印刷結果を示している。本図では、1ドロップのベタで印刷した色の薄い部分と、7ドロップのベタで印刷した色の濃い部分との比較を模式的に示している。
【0009】
本図に示すように、1ドロップのベタで印刷した色の薄い部分では、ノズルピッチの不均一の影響は少なく、正常なブロック230とノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230とで見かけ上ほぼ同じ濃度が得られる。一方で、7ドロップのベタで印刷した色の濃い部分では、ノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230ではドットの隙間が印刷結果に影響を及ぼし、正常なブロック230よりも濃度が薄くなってしまう。
【0010】
この濃度差を調整するために、ノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230に含まれる圧電素子に印加するパルス電圧値を大きくすると、不均一ブロック230の濃度が全体として濃くなるため、図16(b)に示すように、色の濃い部分での濃度は揃うが、
1ドロップのベタで印刷した色の薄い部分で正常なブロック230よりも色が濃くなり、濃度差が生じることになる。
【0011】
そこで、本発明は、ライン型のインクジェットヘッドを備えた印刷装置において、ノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロックと正常なブロックとの濃度差を、全濃度にわたって少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である印刷装置は、インク吐出機構群が配置された複数のブロックで構成されるライン型のインクジェットヘッドと、画素毎のインク吐出数を示すデータに基づいて前記インクジェットヘッドのインク吐出機構群に印加するプリパルスを含む駆動電圧信号を生成する駆動信号生成手段とを備えた印刷装置であって、駆動電圧値とプリパルス幅とに関する、ブロックごとの駆動信号調整値を記憶する記憶手段を備え、前記駆動信号生成手段は、前記記憶手段を参照し、それぞれのインク吐出機構について、配置されているブロックに対応した駆動信号調整値を用いて、前記駆動電圧信号を生成することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、ブロックごとに駆動電圧値を調整することで、濃い部分の濃度差を少なくし、さらに、プリパルス幅を調整することで駆動電圧値の調整により生じた薄い部分での濃度差を少なくすることができるため、ノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロックと正常なブロックとの濃度差を、全濃度にわたって少なくすることできる。
【0014】
前記ブロックごとの駆動信号調整値は、印刷媒体の種類に応じて定められている画素毎のインク吐出数の最大値ごとに設定されていることが望ましい。調整値は、最も濃度が濃い画素、すなわち、インク吐出数の最大値に応じて変わってくるためである。
【0015】
このとき、前記画素毎のインク吐出数の最大値ごとに設定されているブロックごとの駆動信号調整値を不揮発的に記憶する第2記憶手段をさらに備え、前記記憶手段は、前記第2記憶手段から読み出したブロックごとの駆動信号調整値を記憶することが望ましい。駆動信号調整値は、固体ごとに異なるため、出荷前に不揮発的に設定する必要があるためである。
【0016】
より具体的には、前記駆動信号調整値は、同じ駆動電圧信号を印加した場合に、最大インク吐出数における濃度が他のブロックより薄くなるブロックについて、駆動電圧値が大きくなり、プリパルス幅が狭くなるように設定されている。
【0017】
本発明は、前記ブロックが、インク吐出機構がライン方向に並べられたユニットが2枚張り合わされて構成されている場合に特に効果的である。張り合わせのバラツキにより、前記インク吐出機構のライン方向の配置に周期的な偏りが生じると、そのブロックの前記最大インク吐出数における濃度が薄くなるが、本発明により適正に補正することができるからである。また、本発明は、インク吐出機構がライン方向に2系列並べられたユニットにより構成されている場合にも効果的である。
【0018】
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である印刷処理方法は、インク吐出機構群が配置された複数のブロックで構成されるライン型のインクジェットヘッドを備え、画素毎のインク吐出数を示すデータに基づいて前記インクジェットヘッドのインク吐出機構群に印加するプリパルスを含む駆動電圧信号を生成する印刷装置における印刷処理方法であって、駆動電圧値とプリパルス幅とに関する、ブロックごとの駆動信号調整値を記憶するステップと、それぞれのインク吐出機構について、配置されているブロックに対応した駆動信号調整値を用いて、前記駆動電圧信号を生成するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ライン型のインクジェットヘッドを備えた印刷装置において、ノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロックと正常なブロックとの濃度差を、全濃度にわたって少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る循環搬送路を備えたインクジェットプリンタ10の概要を示す図である。本図では特に印刷用紙搬送経路を示している。本図に示すようにインクジェットプリンタ10は、印刷用紙の供給を行なう給紙機構として、筐体側面の外部に露出したサイド給紙台320と、筐体内部に設けられた複数の給紙トレイ(330a、330b、330c、330d)とを備えている。また、印刷済の印刷用紙を排出する排紙機構として排紙口340を備えている。
【0021】
インクジェットプリンタ10は、印字機構として用紙搬送方向に直交する方向に伸び、多数のノズルが形成された印字ヘッドを複数本備え、それぞれの印字ヘッドから黒またはカラーインクを吐出してライン単位で印刷を行なうインクジェット方式のラインカラープリンタである。ただし、ライン方向に走査して画像形成を行なうシリアルカラープリンタとしてもよい。
【0022】
サイド給紙台320および給紙トレイ330のいずれかの給紙機構から1枚ずつ給紙された印刷用紙は、ローラ等の駆動機構によって筐体内の給紙系搬送路(図中の黒太線経路)に沿って搬送され、レジスト部Rgに導かれる。ここでレジスト部Rgは、印刷用紙の先端の位置あわせと斜行修正を行なうために設けられており、1対のレジストローラを備えて構成される。給紙された印刷用紙はレジスト部Rgで一時停止し、所定のタイミングで印字機構方向に搬送される。
【0023】
レジスト部Rgのさらに搬送方向側には、複数本のヘッドユニット200が設けられている。印刷用紙は、ヘッドユニット200の対向面に設けられた環状の搬送ベルト360によって印刷条件により定められる速度で搬送されながら、各ヘッドユニットのインクジェットヘッド220から吐出されたインクによりライン単位で画像形成される。
【0024】
印刷済の印刷用紙は、さらに、ローラ等の駆動機構によって筐体内を搬送される。印刷用紙の片側の面のみに印刷を行なう片面印刷の場合は、そのまま排紙口340に導かれて排紙され、排紙口340の受台として設けられた排紙台350に印刷面を下にして積載されていく。排紙台350は、筐体から突出したトレイ形状をしており、ある程度の厚みを有している。排紙台350は傾斜しており、傾斜の下位置に形成された壁により、排紙口340から排紙され、傾斜に沿って滑落する印刷用紙が自然に整えられて重なっていくようになっている。
【0025】
印刷用紙の両面に印刷を行なう両面印刷の場合は、表面(最初に印刷される面を「表面」、次に印刷される面を「裏面」とする)印刷終了時には排紙口340に導かれずに、さらに筐体内を搬送される。このため、インクジェットプリンタ10は、裏面印刷用に搬送路を切り替えるための切替機構370を備えている。切替機構370によって排出されなかった印刷用紙は、スイッチバック経路SRに引き込まれ、スイッチバックを行ない、搬送路に対して表裏が反転する。そして、ローラ等の駆動機構によって再度レジスト部Rgに導かれ、一時停止する。その後、所定のタイミングで印字機構方向に搬送され、表面と同様の手順によって裏面の印刷が行なわれる。裏面の印刷が行なわれ、両面に画像が形成された印刷用紙は、排紙口340に導かれて排紙され、排紙口340の受台として設けられた排紙台350に積載されていく。
【0026】
インクジェットプリンタ10では、両面印刷時におけるスイッチバックを、排紙台350内に設けられた空間を利用して行なうようにしている。排紙台350内に設けられた空間は、スイッチバック時に印刷用紙が外部から取り出せないように覆われた構成となっている。これにより、利用者が誤ってスイッチバック動作中の印刷用紙を引き抜いてしまうことを防ぐことができる。また、排紙台350は、本来インクジェットプリンタ10に備えられているものであり、排紙台350内の空間を利用してスイッチバックを行なうことにより、インクジェットプリンタ10内に、別途スイッチバック用の空間を設ける必要がなくなる。したがって、筐体のサイズが増大してしまうことを防ぐことができる。さらには、排紙口とスイッチバック経路とを共用しないため、スイッチバック処理と他の用紙の排紙とを並行して行なうことができる。
【0027】
図2は、インクジェットプリンタ10のインク流路関連の構成を説明するためのブロック図である。本図に示すようにインクジェットプリンタ10は、CMYK4色のインクを用いて印刷を行なうカラープリンタとしている。各インクは着脱可能なインクボトルから供給され、シアンのインクを供給するインクボトル510C、マゼンタのインクを供給するインクボトル510M、イエローのインクを供給するインクボトル510Y、黒のインクを供給するインクボトル510Kが備えられている。
【0028】
インクボトル510から供給されたインクは、樹脂、金属等のパイプにより形成された流路を通って、ヘッドユニット200の下流側に設けられた下流タンクに一旦溜められる。このため、インクジェットプリンタ10には、シアンのインクを溜める下流タンク522C、マゼンタのインクを溜める下流タンク522M、イエローのインクを溜める下流タンク522Y、黒のインクを溜める下流タンク522Kが備えられている。
【0029】
下流タンク522に溜められたインクは、ポンプ570によりヘッドユニット200の上流側に設けられた上流タンクに送られる。このため、インクジェットプリンタ10には、ポンプ570C、ポンプ570M、ポンプ570Y、ポンプ570Kおよび上流タンク520C、上流タンク520M、上流タンク520Y、上流タンク520Kが備えられている。上流タンク520に送られたインクは、インクを吐出する多数のノズルが設けられているインクジェットヘッドに送られて印刷に用いられる。本図に示すようにインクジェットプリンタ10には、シアンのインクを吐出するインクジェットヘッド220C、マゼンタのインクを吐出するインクジェットヘッド220M、イエローのインクを吐出するインクジェットヘッド220Y、黒のインクを吐出するインクジェットヘッド220Kが備えられている。本実施形態では、ピエゾ素子を用いてインクを噴射させる方式のインクジェットヘッドが用いられているものとする。
【0030】
各ヘッドユニット200には、画像データに基づいてピエゾ素子を駆動するヘッドドライバ210(210C、210M、210Y、210K)が備えられている。なお、インクジェットプリンタ10は、インクを循環させる循環方式を採用しており、インクジェットヘッド220で印刷の際に消費されなかったインクは下流タンク522に戻される。上流タンク520からインクジェットヘッド220を経由した下流タンク522へのインク帰還は、上流タンク520と下流タンク522との水頭差を利用している。
【0031】
インクは印刷品質が保証される温度範囲が定められており、インク温度が低く、保証温度範囲を下回っているとインクを加熱する必要がある。このため、インク流路中にヒータ540が設けられている。一方、ヘッドドライバ210やピエゾ素子は動作することにより発熱する。これらの発熱やインク振動のジュール熱により、高温時におけるインク温度上昇の影響等を抑制するために、インクを冷やすための冷却器560が設けられている。そして、ヒータ540、冷却器560を通ったインクは上流タンク520に送られる。
図3は、本発明を適用したライン型<A NAME="OLE_LINK2"><A NAME="OLE_LINK1">インクジェットプリンタ10の画像形成処理関連の主要な構成の一部を示すブロック図である。本図に示すように、インクジェットプリンタ10は、制御部100とヘッドユニット200とを備えている。
【0032】
制御部100は、インクジェットプリンタ10における各種処理を制御する機能部であり、CPU110、ROM120、RAM130、通信処理部140、ヘッド画像処理部150、フレームメモリ160、調整値記憶部170を備えている。ここで、通信処理部140は、外部装置等との通信を行なう処理部であり、例えば、接続されたホストコンピュータから印刷データ等を受信する。ヘッド画像処理部150は、ヘッドユニット200と接続されており、印刷データに基づいて画像データをフレームメモリ160上に生成し、ヘッドユニット200に出力する。調整値記憶部170は、インクジェットプリンタ10の個体毎のヘッド制御用調整値を記憶しておく領域であり、例えばEEPROMで構成することができる。調整値は、出荷前に個体毎に行なわれ、調整値記憶部170に不揮発的に記録される。調整値記憶部170に記録する情報については後述する。
【0033】
ヘッドユニット200は、ヘッドドライバ210とインクジェットヘッド220とを備えている。ヘッドユニット200は、インク色毎に設けられる。本実施形態ではインクジェットプリンタ10はシアンC、マゼンタM、イエローY、黒Kの4色のインクを用いて印刷を行なうカラープリンタであり、シアンC、マゼンタM、イエローY、黒Kの4色に対応したヘッドユニット200が備えられている。
【0034】
インクジェットヘッド220は、電圧により微小に伸縮するピエゾ素子にパルス電圧を与えることでインク室内のインクをノズルから噴射させる方式を採用している。すなわち、ピエゾ素子とノズルとでインク吐出機構を形成している。ヘッドドライバ210は、ヘッド画像処理部150から出力された画像データに基づいてピエゾ素子を駆動するための波形を生成することで各ノズルからのインク吐出を制御する。
【0035】
図4は、インクジェットヘッド220の配置を示す図である。本図に示すように、インクジェットヘッド220は、シアンC、黒K、マゼンタM、イエローYの4色のインクに対応して4本(220c、220k、220m、220y)が、印刷用紙400の搬送方向に並べて配置されている。すなわち、印刷用紙400の搬送方向はライン方向と垂直に交わることになる。
【0036】
それぞれのインクジェットヘッド220は、図5(a)に示すようなブロック230が複数個(本例では6個)並んで構成される。ここで、ブロック230は、解像度を高めるために所定単位(本例では3個)で斜めに配置されたノズルがライン方向に多数設けられたノズルユニット240a、240bが、わずかにずらして張り合わされて形成されている。ただし、図5(b)に示すように、ノズルユニット2枚を張り合わせずに、2系列のノズル列をわずかにずらして設けた1枚のノズルユニット240でブロック230を形成するようにしてもよい。この場合、2系列のノズル列の間隔を、2枚のノズルユニットを張り合わせる場合(図5(a))よりも狭くすることが可能となり、ブロック230がライン方向に対して傾いて配置されてしまった場合でも、ドットの不均一の度合いを少なくすることができる。
【0037】
図6は、ヘッドドライバ210の構成を示すブロック図である。本図に示すように、ヘッドドライバ210は、調整値設定回路211と、レジスタ群212と、駆動波形生成回路213と、駆動トランジスタ群214とを備えている。駆動波形生成回路213は、ヘッド画像処理部150が出力した画像データに基づいてピエゾ素子を駆動するための波形を生成し、駆動トランジスタ群214に出力する。駆動トランジスタ群214は、ヘッド画像処理部150が出力した駆動波形に基づいてピエゾ素子に印加する電圧を制御する。
【0038】
なお、ヘッド画像処理部150が出力する画像データは、画素毎にノズルから吐出するインクのドロップ数を示したデータである。すなわち、インクジェットヘッド220は、階調をインクのドロップ数で表わしており、画像のハイライト部分は少ないドロップ数で表現し、シャドウ部分は多くのドロップ数で表現する。1つの画素に対する最大ドロップ数は、印刷用紙の種類、印刷品質等に基づいて定められている。調整値設定回路211およびレジスタ群212については後述する。
【0039】
つぎに、インクジェットプリンタ10が行なうインク吐出量の調整処理について説明する。図16(a)に示したように、あるブロック230においてノズルピッチに周期的な偏りがあると、濃度が高い部分で濃度むらが生じる。これを補正するためにノズルピッチに周期的な偏りがあるブロックについてピエゾ素子に印加する電圧を高くすると、ベタ部分等の濃度が高い部分での濃度むらは解消されるものの、図16(b)に示したように、1ドロップで表現される濃度が低い部分で濃度むらが生じる。
【0040】
そこで、本実施形態では、ノズルピッチに周期的な偏りがあるブロック230についてピエゾ素子に印加する電圧を高くするとともに、プリパルスの時間幅を短くする。これにより、1ドロップで表現される濃度が低い部分の濃度が低下するため、図7に示すように、1ドロップの濃度の薄い部分と多ドロップの濃度の濃い部分との両方において、正常なブロック230と、ノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230との濃度差を少なくすることができる。
【0041】
ここで、プリパルスについて説明する。図8は、ピエゾ素子に印加するパルス電圧を示している。一般に、インクジェットプリンタでは、1ドロップについて、インク室を拡大させる負電圧パルスとインク室を収縮させる正電圧パルスを1セットとしてピエゾ素子に印加する。したがって、図8(a)に示すように、複数のドロップの画素に対しては、このパルスセットを上記複数回の繰り返し印加することになる。しかしながらこの方式は、最初のパルスセットのインク吐出量が、後続するパルスセットのインク吐出量よりも少なくなるという特徴を有している。これは、2ドロップ以降はそれ以前のドロップの吐出動作の残留振動が利用され、液滴量が設計値になるのに対して。1ドロップ目は残留振動が使えず吐出量がこれよりも小さくなるためである。
このため、図9の実線に示すように、ドロップ数とインク吐出量との関係が線形にならず、1ドロップの部分が落ち込む特性となる。
【0042】
この特性を補正するために、従来からプリパルスが用いられている。プリパルスとは図8(b)に示すように、インクの吐出量を安定させるために最初のパルスセットの前に挿入する短いパルスである。プリパルスを挿入することで、図9の点線に示すように1ドロップ目の吐出量が増加し、ドロップ数とインク吐出量との関係における線形性が向上することになる。
【0043】
本実施形態では、ノズルピッチに周期的な偏りがあるブロック230についてピエゾ素子に印加する電圧を高くするとともに、プリパルスの時間幅を短くする、あるいは、プリパルスを行なわないことで、あえて1ドロップにおける線形性を低下させ、1ドロップで表現される濃度が低い部分の濃度を低下するようにしている。
【0044】
具体的な制御方法について説明する。図10は、ピエゾ素子に印加するパルス電圧の調整について説明する図である。ノズルピッチに周期的な偏りがあるブロック230は製造後に判明する。このため、出荷前にブロック230毎に検査を行ない、ノズルピッチに周期的な偏りがあるブロック230を検出する。そして検出されたノズルピッチに周期的な偏りがあるブロック230に対して、濃度が高い部分での濃度むらを防ぐために、印加するパルス電圧の増加値Xを設定する。増加値Xは、偏りの度合い、濃度むらの度合い等に応じて定めることができる。もちろんノズルピッチに偏りがなく調整の必要がないブロック230に対しては増加値Xを0とすることができる。
【0045】
また、パルス電圧調整の結果生じる濃度が低い部分での濃度むらを防ぐために、適用するプリパルスの幅ppを設定する。適用するプリパルスの幅ppは、濃度むらの度合い、パルス電圧の増加値X等に応じて定めることができる。ノズルピッチに偏りがなく調整の必要がないブロック230に対しては標準のプリパルス幅を設定する。また、濃度むらの度合いによってはプリパルスを行なわないように設定することもできる。
【0046】
なお、印加するパルス電圧の調整値Xと適用するプリパルスの幅ppとは最も濃度が濃い画素、すなわち、最大ドロップ数に応じて変わってくるため最大ドロップ数毎に設定する。最大ドロップ数は印刷用紙の種類等の用紙特性、印刷品質等に応じて定められている。また、調整値の表し方はパルス電圧の増加値、プリパルスの幅に限られない。
【0047】
設定されたパルス電圧の増加値Xおよびプリパルスの幅ppは、制御部110の調整値記憶部170にインクジェットプリンタ10の出荷前に不揮発的に記録される。図11は、調整値記憶部170に記録される調整値の例を示している。本例では、ブロックごとに、最大ドロップ数と電圧増加量とプリパルス幅とが対応したテーブルを用いて調整値を記録するようにしている。本例では、最大ドロップ数は用紙特性等に応じて4から7の間の値をとるものとしている。
【0048】
出荷後においてユーザが実際に印刷を行なう際のインクジェットプリンタ10の処理について図13のフローチャートを参照して説明する。印刷処理では、CPU110が、ホストコンピュータから送られた印刷データあるいはインクジェットプリンタ10で受け付けた設定等に基づいて印刷に用いる印刷用紙、印刷品質等を判別し、最大ドロップ数を決定する(S101)。
【0049】
そして、調整値記憶部170を参照し、決定された最大ドロップ数に対応するブロック230毎の調整値、すなわち、電圧増加量とプリパルス幅とを取得し(S102)、ヘッド画像処理部150を介してヘッドドライバ210に送信する(S103)。
【0050】
ヘッドドライバ210の調整値設定回路211は、ブロック230毎の調整値を受信すると、レジスタ群212に記録する(S104)。図12は、レジスタ群212に記録される調整値、すなわち、本印刷処理において用いられる調整値の一例を示す図である。本図では、ブロックと電圧増加量とプリパルス幅とが対応したテーブルを用いて調整値を記録するようにしている。本例では図11に示したテーブルから最大ドロップ数が6の調整値を抽出したものとなっている。
【0051】
そして、ヘッド画像処理部150が印刷データに基づいて各画素のドロップ数を示した画像データを生成し(S105)、ヘッドユニット200に逐次送信する(S106)。ヘッドドライバ210の駆動波形生成回路213は、レジスタ群212に記録されているドロップ数に対応した電圧増加量とプリパルス幅に応じた駆動信号を生成する(S107)。インクジェットヘッド220が駆動信号に基づいてインクを吐出する(S108)ことで、濃度むらのない印刷が行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】インクジェットプリンタ10の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図2】インクジェットプリンタ10のインク流路関連の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】ライン型インクジェットプリンタ10の画像形成処理に関する主要な構成の一部を示すブロック図である。
【図4】インクジェットヘッド220の配置を示す図である。
【図5】インクジェットヘッド220のブロック230を示す図である。
【図6】ヘッドドライバ210の構成を示すブロック図である。
【図7】正常なブロック230とノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230との本発明を適用した印刷結果を示す図である。
【図8】ヘッドに印加するパルス電圧を示す図である。
【図9】ドロップ数とインク吐出量との関係を示す図である。
【図10】ピエゾ素子に印加するパルス電圧の調整について説明する図である。
【図11】調整値記憶部170に記録される調整値の一例を示す図である。
【図12】レジスタ群212に記録される調整値の一例を示す図である。
【図13】印刷を行なう際のインクジェットプリンタ10の処理について説明するフローチャートである。
【図14】ライン型のインクジェットヘッドの構成と吐出されるインクドットを説明する図である。
【図15】インクジェットヘッド220のバラツキを説明する図である。
【図16】正常なブロック230とノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230とのドロップ数と印刷結果を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10…インクジェットプリンタ10、100…制御部、110…制御部、110…CPU、120…ROM、130…RAM、140…通信処理部、150…ヘッド画像処理部、160…フレームメモリ、170…調整値記憶部、200…ヘッドユニット、210…ヘッドドライバ、211…調整値設定回路、212…レジスタ群、213…駆動波形生成回路、214…駆動トランジスタ群、220…インクジェットヘッド、230…ブロック、240…ノズルユニット、320…サイド給紙台、330…給紙トレイ、340…排紙口、350…排紙台、360…搬送ベルト、370…切替機構、400…印刷用紙、510…インクボトル、520…上流タンク、522…下流タンク、540…ヒータ、560…冷却器、570…ポンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン型のインクジェットヘッドを備えた印刷装置および印刷処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、ライン型のインクジェットヘッドを備えた印刷装置が知られている。ライン型のインクジェットヘッドは、印刷用紙幅に対応したサイズを有し、印刷装置本体に固定されており、ライン方向(主走査方向)に垂直な方向(副走査方向)に搬送される印刷用紙に対してインクを吐出することで画像を形成する。
【0003】
図14(a)は、ライン型のインクジェットヘッドの構成の一例と吐出されるインクドットを説明する図である。本図に示すように、解像度を高めるために所定の数単位(本図では3個)で斜めに配置されたノズルがライン方向に多数設けられたノズルユニット240a、240bが張り合わされて1つのブロック230が形成される。そして、図14(b)に示すように、このブロック230がライン方向に複数個(本図では1ブロック〜6ブロックの6個)並べられてライン型のインクジェットヘッド220が形成される。
【0004】
図14(a)に示すように、ノズルユニット240aとノズルユニット240bとは、ライン方向に間隔p1でずらして張り合わされている。間隔p1は、ノズルのピッチdpの1/2となるように設定されており、ライン方向においてノズルユニット240aのノズルとノズルの中間にノズルユニット240bのノズルが配置されるようになっている。これにより、ノズルユニット240aの各ノズルとノズルユニット240bの各ノズルから吐出されるインク滴によって、等間隔で濃度むらのないドットが形成される。
【特許文献1】特開平8−132645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェットヘッド220は、工業製品であるから製品毎に多少のバラツキが生じる。このため、図15(a)に示すように、ノズルユニット240aとノズルユニット240bとの間隔p2が、ノズルのピッチdpの1/2よりも広かったり、狭かったりするブロックが存在し得る。このようなブロック230では、<A NAME="OLE_LINK3">ノズルピッチに周期的な偏りが生じる。すなわち、隣り合う2個のノズルがセットとなって、セット内のドットの間隔が狭まり、セット間のドットの間隔が広まることになる。
【0006】
図15(b)に示すように、ブロック230がライン方向に対して傾いて配置される場合も起こり得る。このようなブロック230でもノズルピッチに周期的な偏りが生じる。すなわち、隣り合う2個のノズルがセットとなって、セット内のドットの間隔が狭まり、セット間のドットの間隔が広まることになる。
また、ノズルユニット2枚を張り合わせずに、2系列のノズル列を設けた1枚のノズルユニット240でブロック230を形成した場合には、図15(a)のような2枚のノズルユニットの張り合わせ精度に起因するドット間隔の不均一を防ぐことができるが、図15(c)に示すように、傾斜配置に起因するドット間隔の不均一は生じ得る。
【0007】
ところで、インクジェット方式の印刷装置では、ドットに対するインクドロップ数を調整することで濃度階調を表現している。例えば、色の薄いハイライト部分はドロップ数を少なくし、色の濃いシャドウ部分はドロップ数を多くしている。また、1ドロップ当たりに吐出されるインクの量は、ノズルに対応して設けられた圧電素子に印加するパルス電圧の大きさに応じており、ブロック単位で調整することが可能である。
【0008】
図16(a)は、正常なブロック230とノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230とのドロップ数と印刷結果を示している。本図では、1ドロップのベタで印刷した色の薄い部分と、7ドロップのベタで印刷した色の濃い部分との比較を模式的に示している。
【0009】
本図に示すように、1ドロップのベタで印刷した色の薄い部分では、ノズルピッチの不均一の影響は少なく、正常なブロック230とノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230とで見かけ上ほぼ同じ濃度が得られる。一方で、7ドロップのベタで印刷した色の濃い部分では、ノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230ではドットの隙間が印刷結果に影響を及ぼし、正常なブロック230よりも濃度が薄くなってしまう。
【0010】
この濃度差を調整するために、ノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230に含まれる圧電素子に印加するパルス電圧値を大きくすると、不均一ブロック230の濃度が全体として濃くなるため、図16(b)に示すように、色の濃い部分での濃度は揃うが、
1ドロップのベタで印刷した色の薄い部分で正常なブロック230よりも色が濃くなり、濃度差が生じることになる。
【0011】
そこで、本発明は、ライン型のインクジェットヘッドを備えた印刷装置において、ノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロックと正常なブロックとの濃度差を、全濃度にわたって少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である印刷装置は、インク吐出機構群が配置された複数のブロックで構成されるライン型のインクジェットヘッドと、画素毎のインク吐出数を示すデータに基づいて前記インクジェットヘッドのインク吐出機構群に印加するプリパルスを含む駆動電圧信号を生成する駆動信号生成手段とを備えた印刷装置であって、駆動電圧値とプリパルス幅とに関する、ブロックごとの駆動信号調整値を記憶する記憶手段を備え、前記駆動信号生成手段は、前記記憶手段を参照し、それぞれのインク吐出機構について、配置されているブロックに対応した駆動信号調整値を用いて、前記駆動電圧信号を生成することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、ブロックごとに駆動電圧値を調整することで、濃い部分の濃度差を少なくし、さらに、プリパルス幅を調整することで駆動電圧値の調整により生じた薄い部分での濃度差を少なくすることができるため、ノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロックと正常なブロックとの濃度差を、全濃度にわたって少なくすることできる。
【0014】
前記ブロックごとの駆動信号調整値は、印刷媒体の種類に応じて定められている画素毎のインク吐出数の最大値ごとに設定されていることが望ましい。調整値は、最も濃度が濃い画素、すなわち、インク吐出数の最大値に応じて変わってくるためである。
【0015】
このとき、前記画素毎のインク吐出数の最大値ごとに設定されているブロックごとの駆動信号調整値を不揮発的に記憶する第2記憶手段をさらに備え、前記記憶手段は、前記第2記憶手段から読み出したブロックごとの駆動信号調整値を記憶することが望ましい。駆動信号調整値は、固体ごとに異なるため、出荷前に不揮発的に設定する必要があるためである。
【0016】
より具体的には、前記駆動信号調整値は、同じ駆動電圧信号を印加した場合に、最大インク吐出数における濃度が他のブロックより薄くなるブロックについて、駆動電圧値が大きくなり、プリパルス幅が狭くなるように設定されている。
【0017】
本発明は、前記ブロックが、インク吐出機構がライン方向に並べられたユニットが2枚張り合わされて構成されている場合に特に効果的である。張り合わせのバラツキにより、前記インク吐出機構のライン方向の配置に周期的な偏りが生じると、そのブロックの前記最大インク吐出数における濃度が薄くなるが、本発明により適正に補正することができるからである。また、本発明は、インク吐出機構がライン方向に2系列並べられたユニットにより構成されている場合にも効果的である。
【0018】
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である印刷処理方法は、インク吐出機構群が配置された複数のブロックで構成されるライン型のインクジェットヘッドを備え、画素毎のインク吐出数を示すデータに基づいて前記インクジェットヘッドのインク吐出機構群に印加するプリパルスを含む駆動電圧信号を生成する印刷装置における印刷処理方法であって、駆動電圧値とプリパルス幅とに関する、ブロックごとの駆動信号調整値を記憶するステップと、それぞれのインク吐出機構について、配置されているブロックに対応した駆動信号調整値を用いて、前記駆動電圧信号を生成するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ライン型のインクジェットヘッドを備えた印刷装置において、ノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロックと正常なブロックとの濃度差を、全濃度にわたって少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る循環搬送路を備えたインクジェットプリンタ10の概要を示す図である。本図では特に印刷用紙搬送経路を示している。本図に示すようにインクジェットプリンタ10は、印刷用紙の供給を行なう給紙機構として、筐体側面の外部に露出したサイド給紙台320と、筐体内部に設けられた複数の給紙トレイ(330a、330b、330c、330d)とを備えている。また、印刷済の印刷用紙を排出する排紙機構として排紙口340を備えている。
【0021】
インクジェットプリンタ10は、印字機構として用紙搬送方向に直交する方向に伸び、多数のノズルが形成された印字ヘッドを複数本備え、それぞれの印字ヘッドから黒またはカラーインクを吐出してライン単位で印刷を行なうインクジェット方式のラインカラープリンタである。ただし、ライン方向に走査して画像形成を行なうシリアルカラープリンタとしてもよい。
【0022】
サイド給紙台320および給紙トレイ330のいずれかの給紙機構から1枚ずつ給紙された印刷用紙は、ローラ等の駆動機構によって筐体内の給紙系搬送路(図中の黒太線経路)に沿って搬送され、レジスト部Rgに導かれる。ここでレジスト部Rgは、印刷用紙の先端の位置あわせと斜行修正を行なうために設けられており、1対のレジストローラを備えて構成される。給紙された印刷用紙はレジスト部Rgで一時停止し、所定のタイミングで印字機構方向に搬送される。
【0023】
レジスト部Rgのさらに搬送方向側には、複数本のヘッドユニット200が設けられている。印刷用紙は、ヘッドユニット200の対向面に設けられた環状の搬送ベルト360によって印刷条件により定められる速度で搬送されながら、各ヘッドユニットのインクジェットヘッド220から吐出されたインクによりライン単位で画像形成される。
【0024】
印刷済の印刷用紙は、さらに、ローラ等の駆動機構によって筐体内を搬送される。印刷用紙の片側の面のみに印刷を行なう片面印刷の場合は、そのまま排紙口340に導かれて排紙され、排紙口340の受台として設けられた排紙台350に印刷面を下にして積載されていく。排紙台350は、筐体から突出したトレイ形状をしており、ある程度の厚みを有している。排紙台350は傾斜しており、傾斜の下位置に形成された壁により、排紙口340から排紙され、傾斜に沿って滑落する印刷用紙が自然に整えられて重なっていくようになっている。
【0025】
印刷用紙の両面に印刷を行なう両面印刷の場合は、表面(最初に印刷される面を「表面」、次に印刷される面を「裏面」とする)印刷終了時には排紙口340に導かれずに、さらに筐体内を搬送される。このため、インクジェットプリンタ10は、裏面印刷用に搬送路を切り替えるための切替機構370を備えている。切替機構370によって排出されなかった印刷用紙は、スイッチバック経路SRに引き込まれ、スイッチバックを行ない、搬送路に対して表裏が反転する。そして、ローラ等の駆動機構によって再度レジスト部Rgに導かれ、一時停止する。その後、所定のタイミングで印字機構方向に搬送され、表面と同様の手順によって裏面の印刷が行なわれる。裏面の印刷が行なわれ、両面に画像が形成された印刷用紙は、排紙口340に導かれて排紙され、排紙口340の受台として設けられた排紙台350に積載されていく。
【0026】
インクジェットプリンタ10では、両面印刷時におけるスイッチバックを、排紙台350内に設けられた空間を利用して行なうようにしている。排紙台350内に設けられた空間は、スイッチバック時に印刷用紙が外部から取り出せないように覆われた構成となっている。これにより、利用者が誤ってスイッチバック動作中の印刷用紙を引き抜いてしまうことを防ぐことができる。また、排紙台350は、本来インクジェットプリンタ10に備えられているものであり、排紙台350内の空間を利用してスイッチバックを行なうことにより、インクジェットプリンタ10内に、別途スイッチバック用の空間を設ける必要がなくなる。したがって、筐体のサイズが増大してしまうことを防ぐことができる。さらには、排紙口とスイッチバック経路とを共用しないため、スイッチバック処理と他の用紙の排紙とを並行して行なうことができる。
【0027】
図2は、インクジェットプリンタ10のインク流路関連の構成を説明するためのブロック図である。本図に示すようにインクジェットプリンタ10は、CMYK4色のインクを用いて印刷を行なうカラープリンタとしている。各インクは着脱可能なインクボトルから供給され、シアンのインクを供給するインクボトル510C、マゼンタのインクを供給するインクボトル510M、イエローのインクを供給するインクボトル510Y、黒のインクを供給するインクボトル510Kが備えられている。
【0028】
インクボトル510から供給されたインクは、樹脂、金属等のパイプにより形成された流路を通って、ヘッドユニット200の下流側に設けられた下流タンクに一旦溜められる。このため、インクジェットプリンタ10には、シアンのインクを溜める下流タンク522C、マゼンタのインクを溜める下流タンク522M、イエローのインクを溜める下流タンク522Y、黒のインクを溜める下流タンク522Kが備えられている。
【0029】
下流タンク522に溜められたインクは、ポンプ570によりヘッドユニット200の上流側に設けられた上流タンクに送られる。このため、インクジェットプリンタ10には、ポンプ570C、ポンプ570M、ポンプ570Y、ポンプ570Kおよび上流タンク520C、上流タンク520M、上流タンク520Y、上流タンク520Kが備えられている。上流タンク520に送られたインクは、インクを吐出する多数のノズルが設けられているインクジェットヘッドに送られて印刷に用いられる。本図に示すようにインクジェットプリンタ10には、シアンのインクを吐出するインクジェットヘッド220C、マゼンタのインクを吐出するインクジェットヘッド220M、イエローのインクを吐出するインクジェットヘッド220Y、黒のインクを吐出するインクジェットヘッド220Kが備えられている。本実施形態では、ピエゾ素子を用いてインクを噴射させる方式のインクジェットヘッドが用いられているものとする。
【0030】
各ヘッドユニット200には、画像データに基づいてピエゾ素子を駆動するヘッドドライバ210(210C、210M、210Y、210K)が備えられている。なお、インクジェットプリンタ10は、インクを循環させる循環方式を採用しており、インクジェットヘッド220で印刷の際に消費されなかったインクは下流タンク522に戻される。上流タンク520からインクジェットヘッド220を経由した下流タンク522へのインク帰還は、上流タンク520と下流タンク522との水頭差を利用している。
【0031】
インクは印刷品質が保証される温度範囲が定められており、インク温度が低く、保証温度範囲を下回っているとインクを加熱する必要がある。このため、インク流路中にヒータ540が設けられている。一方、ヘッドドライバ210やピエゾ素子は動作することにより発熱する。これらの発熱やインク振動のジュール熱により、高温時におけるインク温度上昇の影響等を抑制するために、インクを冷やすための冷却器560が設けられている。そして、ヒータ540、冷却器560を通ったインクは上流タンク520に送られる。
図3は、本発明を適用したライン型<A NAME="OLE_LINK2"><A NAME="OLE_LINK1">インクジェットプリンタ10の画像形成処理関連の主要な構成の一部を示すブロック図である。本図に示すように、インクジェットプリンタ10は、制御部100とヘッドユニット200とを備えている。
【0032】
制御部100は、インクジェットプリンタ10における各種処理を制御する機能部であり、CPU110、ROM120、RAM130、通信処理部140、ヘッド画像処理部150、フレームメモリ160、調整値記憶部170を備えている。ここで、通信処理部140は、外部装置等との通信を行なう処理部であり、例えば、接続されたホストコンピュータから印刷データ等を受信する。ヘッド画像処理部150は、ヘッドユニット200と接続されており、印刷データに基づいて画像データをフレームメモリ160上に生成し、ヘッドユニット200に出力する。調整値記憶部170は、インクジェットプリンタ10の個体毎のヘッド制御用調整値を記憶しておく領域であり、例えばEEPROMで構成することができる。調整値は、出荷前に個体毎に行なわれ、調整値記憶部170に不揮発的に記録される。調整値記憶部170に記録する情報については後述する。
【0033】
ヘッドユニット200は、ヘッドドライバ210とインクジェットヘッド220とを備えている。ヘッドユニット200は、インク色毎に設けられる。本実施形態ではインクジェットプリンタ10はシアンC、マゼンタM、イエローY、黒Kの4色のインクを用いて印刷を行なうカラープリンタであり、シアンC、マゼンタM、イエローY、黒Kの4色に対応したヘッドユニット200が備えられている。
【0034】
インクジェットヘッド220は、電圧により微小に伸縮するピエゾ素子にパルス電圧を与えることでインク室内のインクをノズルから噴射させる方式を採用している。すなわち、ピエゾ素子とノズルとでインク吐出機構を形成している。ヘッドドライバ210は、ヘッド画像処理部150から出力された画像データに基づいてピエゾ素子を駆動するための波形を生成することで各ノズルからのインク吐出を制御する。
【0035】
図4は、インクジェットヘッド220の配置を示す図である。本図に示すように、インクジェットヘッド220は、シアンC、黒K、マゼンタM、イエローYの4色のインクに対応して4本(220c、220k、220m、220y)が、印刷用紙400の搬送方向に並べて配置されている。すなわち、印刷用紙400の搬送方向はライン方向と垂直に交わることになる。
【0036】
それぞれのインクジェットヘッド220は、図5(a)に示すようなブロック230が複数個(本例では6個)並んで構成される。ここで、ブロック230は、解像度を高めるために所定単位(本例では3個)で斜めに配置されたノズルがライン方向に多数設けられたノズルユニット240a、240bが、わずかにずらして張り合わされて形成されている。ただし、図5(b)に示すように、ノズルユニット2枚を張り合わせずに、2系列のノズル列をわずかにずらして設けた1枚のノズルユニット240でブロック230を形成するようにしてもよい。この場合、2系列のノズル列の間隔を、2枚のノズルユニットを張り合わせる場合(図5(a))よりも狭くすることが可能となり、ブロック230がライン方向に対して傾いて配置されてしまった場合でも、ドットの不均一の度合いを少なくすることができる。
【0037】
図6は、ヘッドドライバ210の構成を示すブロック図である。本図に示すように、ヘッドドライバ210は、調整値設定回路211と、レジスタ群212と、駆動波形生成回路213と、駆動トランジスタ群214とを備えている。駆動波形生成回路213は、ヘッド画像処理部150が出力した画像データに基づいてピエゾ素子を駆動するための波形を生成し、駆動トランジスタ群214に出力する。駆動トランジスタ群214は、ヘッド画像処理部150が出力した駆動波形に基づいてピエゾ素子に印加する電圧を制御する。
【0038】
なお、ヘッド画像処理部150が出力する画像データは、画素毎にノズルから吐出するインクのドロップ数を示したデータである。すなわち、インクジェットヘッド220は、階調をインクのドロップ数で表わしており、画像のハイライト部分は少ないドロップ数で表現し、シャドウ部分は多くのドロップ数で表現する。1つの画素に対する最大ドロップ数は、印刷用紙の種類、印刷品質等に基づいて定められている。調整値設定回路211およびレジスタ群212については後述する。
【0039】
つぎに、インクジェットプリンタ10が行なうインク吐出量の調整処理について説明する。図16(a)に示したように、あるブロック230においてノズルピッチに周期的な偏りがあると、濃度が高い部分で濃度むらが生じる。これを補正するためにノズルピッチに周期的な偏りがあるブロックについてピエゾ素子に印加する電圧を高くすると、ベタ部分等の濃度が高い部分での濃度むらは解消されるものの、図16(b)に示したように、1ドロップで表現される濃度が低い部分で濃度むらが生じる。
【0040】
そこで、本実施形態では、ノズルピッチに周期的な偏りがあるブロック230についてピエゾ素子に印加する電圧を高くするとともに、プリパルスの時間幅を短くする。これにより、1ドロップで表現される濃度が低い部分の濃度が低下するため、図7に示すように、1ドロップの濃度の薄い部分と多ドロップの濃度の濃い部分との両方において、正常なブロック230と、ノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230との濃度差を少なくすることができる。
【0041】
ここで、プリパルスについて説明する。図8は、ピエゾ素子に印加するパルス電圧を示している。一般に、インクジェットプリンタでは、1ドロップについて、インク室を拡大させる負電圧パルスとインク室を収縮させる正電圧パルスを1セットとしてピエゾ素子に印加する。したがって、図8(a)に示すように、複数のドロップの画素に対しては、このパルスセットを上記複数回の繰り返し印加することになる。しかしながらこの方式は、最初のパルスセットのインク吐出量が、後続するパルスセットのインク吐出量よりも少なくなるという特徴を有している。これは、2ドロップ以降はそれ以前のドロップの吐出動作の残留振動が利用され、液滴量が設計値になるのに対して。1ドロップ目は残留振動が使えず吐出量がこれよりも小さくなるためである。
このため、図9の実線に示すように、ドロップ数とインク吐出量との関係が線形にならず、1ドロップの部分が落ち込む特性となる。
【0042】
この特性を補正するために、従来からプリパルスが用いられている。プリパルスとは図8(b)に示すように、インクの吐出量を安定させるために最初のパルスセットの前に挿入する短いパルスである。プリパルスを挿入することで、図9の点線に示すように1ドロップ目の吐出量が増加し、ドロップ数とインク吐出量との関係における線形性が向上することになる。
【0043】
本実施形態では、ノズルピッチに周期的な偏りがあるブロック230についてピエゾ素子に印加する電圧を高くするとともに、プリパルスの時間幅を短くする、あるいは、プリパルスを行なわないことで、あえて1ドロップにおける線形性を低下させ、1ドロップで表現される濃度が低い部分の濃度を低下するようにしている。
【0044】
具体的な制御方法について説明する。図10は、ピエゾ素子に印加するパルス電圧の調整について説明する図である。ノズルピッチに周期的な偏りがあるブロック230は製造後に判明する。このため、出荷前にブロック230毎に検査を行ない、ノズルピッチに周期的な偏りがあるブロック230を検出する。そして検出されたノズルピッチに周期的な偏りがあるブロック230に対して、濃度が高い部分での濃度むらを防ぐために、印加するパルス電圧の増加値Xを設定する。増加値Xは、偏りの度合い、濃度むらの度合い等に応じて定めることができる。もちろんノズルピッチに偏りがなく調整の必要がないブロック230に対しては増加値Xを0とすることができる。
【0045】
また、パルス電圧調整の結果生じる濃度が低い部分での濃度むらを防ぐために、適用するプリパルスの幅ppを設定する。適用するプリパルスの幅ppは、濃度むらの度合い、パルス電圧の増加値X等に応じて定めることができる。ノズルピッチに偏りがなく調整の必要がないブロック230に対しては標準のプリパルス幅を設定する。また、濃度むらの度合いによってはプリパルスを行なわないように設定することもできる。
【0046】
なお、印加するパルス電圧の調整値Xと適用するプリパルスの幅ppとは最も濃度が濃い画素、すなわち、最大ドロップ数に応じて変わってくるため最大ドロップ数毎に設定する。最大ドロップ数は印刷用紙の種類等の用紙特性、印刷品質等に応じて定められている。また、調整値の表し方はパルス電圧の増加値、プリパルスの幅に限られない。
【0047】
設定されたパルス電圧の増加値Xおよびプリパルスの幅ppは、制御部110の調整値記憶部170にインクジェットプリンタ10の出荷前に不揮発的に記録される。図11は、調整値記憶部170に記録される調整値の例を示している。本例では、ブロックごとに、最大ドロップ数と電圧増加量とプリパルス幅とが対応したテーブルを用いて調整値を記録するようにしている。本例では、最大ドロップ数は用紙特性等に応じて4から7の間の値をとるものとしている。
【0048】
出荷後においてユーザが実際に印刷を行なう際のインクジェットプリンタ10の処理について図13のフローチャートを参照して説明する。印刷処理では、CPU110が、ホストコンピュータから送られた印刷データあるいはインクジェットプリンタ10で受け付けた設定等に基づいて印刷に用いる印刷用紙、印刷品質等を判別し、最大ドロップ数を決定する(S101)。
【0049】
そして、調整値記憶部170を参照し、決定された最大ドロップ数に対応するブロック230毎の調整値、すなわち、電圧増加量とプリパルス幅とを取得し(S102)、ヘッド画像処理部150を介してヘッドドライバ210に送信する(S103)。
【0050】
ヘッドドライバ210の調整値設定回路211は、ブロック230毎の調整値を受信すると、レジスタ群212に記録する(S104)。図12は、レジスタ群212に記録される調整値、すなわち、本印刷処理において用いられる調整値の一例を示す図である。本図では、ブロックと電圧増加量とプリパルス幅とが対応したテーブルを用いて調整値を記録するようにしている。本例では図11に示したテーブルから最大ドロップ数が6の調整値を抽出したものとなっている。
【0051】
そして、ヘッド画像処理部150が印刷データに基づいて各画素のドロップ数を示した画像データを生成し(S105)、ヘッドユニット200に逐次送信する(S106)。ヘッドドライバ210の駆動波形生成回路213は、レジスタ群212に記録されているドロップ数に対応した電圧増加量とプリパルス幅に応じた駆動信号を生成する(S107)。インクジェットヘッド220が駆動信号に基づいてインクを吐出する(S108)ことで、濃度むらのない印刷が行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】インクジェットプリンタ10の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図2】インクジェットプリンタ10のインク流路関連の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】ライン型インクジェットプリンタ10の画像形成処理に関する主要な構成の一部を示すブロック図である。
【図4】インクジェットヘッド220の配置を示す図である。
【図5】インクジェットヘッド220のブロック230を示す図である。
【図6】ヘッドドライバ210の構成を示すブロック図である。
【図7】正常なブロック230とノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230との本発明を適用した印刷結果を示す図である。
【図8】ヘッドに印加するパルス電圧を示す図である。
【図9】ドロップ数とインク吐出量との関係を示す図である。
【図10】ピエゾ素子に印加するパルス電圧の調整について説明する図である。
【図11】調整値記憶部170に記録される調整値の一例を示す図である。
【図12】レジスタ群212に記録される調整値の一例を示す図である。
【図13】印刷を行なう際のインクジェットプリンタ10の処理について説明するフローチャートである。
【図14】ライン型のインクジェットヘッドの構成と吐出されるインクドットを説明する図である。
【図15】インクジェットヘッド220のバラツキを説明する図である。
【図16】正常なブロック230とノズルピッチに周期的な偏りが生じたブロック230とのドロップ数と印刷結果を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10…インクジェットプリンタ10、100…制御部、110…制御部、110…CPU、120…ROM、130…RAM、140…通信処理部、150…ヘッド画像処理部、160…フレームメモリ、170…調整値記憶部、200…ヘッドユニット、210…ヘッドドライバ、211…調整値設定回路、212…レジスタ群、213…駆動波形生成回路、214…駆動トランジスタ群、220…インクジェットヘッド、230…ブロック、240…ノズルユニット、320…サイド給紙台、330…給紙トレイ、340…排紙口、350…排紙台、360…搬送ベルト、370…切替機構、400…印刷用紙、510…インクボトル、520…上流タンク、522…下流タンク、540…ヒータ、560…冷却器、570…ポンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク吐出機構群が配置された複数のブロックで構成されるライン型のインクジェットヘッドと、
画素毎のインク吐出数を示すデータに基づいて前記インクジェットヘッドのインク吐出機構群に印加するプリパルスを含む駆動電圧信号を生成する駆動信号生成手段とを備えた印刷装置であって、
駆動電圧値とプリパルス幅とに関する、ブロックごとの駆動信号調整値を記憶する記憶手段を備え、
前記駆動信号生成手段は、前記記憶手段を参照し、それぞれのインク吐出機構について、配置されているブロックに対応した駆動信号調整値を用いて、前記駆動電圧信号を生成することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
<A NAME="OLE_LINK5"><A NAME="OLE_LINK4"> 請求項1に記載の印刷装置であって、
前記ブロックごとの駆動信号調整値は、印刷媒体の種類に応じて定められている画素毎のインク吐出数の最大値ごとに設定されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記画素毎のインク吐出数の最大値ごとに設定されているブロックごとの駆動信号調整値を不揮発的に記憶する第2記憶手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記第2記憶手段から読み出したブロックごとの駆動信号調整値を記憶することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
前記駆動信号調整値は、各ブロックに対して、同じ駆動電圧信号を印加した場合に、最大インク吐出数における濃度が他のブロックより薄くなるブロックについて、駆動電圧値が大きくなり、プリパルス幅が狭くなるように設定されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置であって、
前記ブロックは、インク吐出機構がライン方向に並べられたユニットが2枚張り合わされて構成されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項4に記載の印刷装置であって、
前記ブロックは、インク吐出機構がライン方向に2系列並べられたユニットにより構成されていることを特徴とする印刷装置。
<A NAME="OLE_LINK7"><A NAME="OLE_LINK6">
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
前記最大インク吐出数における濃度が薄くなるブロックは、前記インク吐出機構のライン方向の配置に周期的な偏りがあることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
インク吐出機構群が配置された複数のブロックで構成されるライン型のインクジェットヘッドを備え、画素毎のインク吐出数を示すデータに基づいて前記インクジェットヘッドのインク吐出機構群に印加するプリパルスを含む駆動電圧信号を生成する印刷装置における印刷処理方法であって、
駆動電圧値とプリパルス幅とに関する、ブロックごとの駆動信号調整値を記憶するステップと、
それぞれのインク吐出機構について、配置されているブロックに対応した駆動信号調整値を用いて、前記駆動電圧信号を生成するステップとを有することを特徴とする印刷処理方法。
【請求項1】
インク吐出機構群が配置された複数のブロックで構成されるライン型のインクジェットヘッドと、
画素毎のインク吐出数を示すデータに基づいて前記インクジェットヘッドのインク吐出機構群に印加するプリパルスを含む駆動電圧信号を生成する駆動信号生成手段とを備えた印刷装置であって、
駆動電圧値とプリパルス幅とに関する、ブロックごとの駆動信号調整値を記憶する記憶手段を備え、
前記駆動信号生成手段は、前記記憶手段を参照し、それぞれのインク吐出機構について、配置されているブロックに対応した駆動信号調整値を用いて、前記駆動電圧信号を生成することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
<A NAME="OLE_LINK5"><A NAME="OLE_LINK4"> 請求項1に記載の印刷装置であって、
前記ブロックごとの駆動信号調整値は、印刷媒体の種類に応じて定められている画素毎のインク吐出数の最大値ごとに設定されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記画素毎のインク吐出数の最大値ごとに設定されているブロックごとの駆動信号調整値を不揮発的に記憶する第2記憶手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記第2記憶手段から読み出したブロックごとの駆動信号調整値を記憶することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
前記駆動信号調整値は、各ブロックに対して、同じ駆動電圧信号を印加した場合に、最大インク吐出数における濃度が他のブロックより薄くなるブロックについて、駆動電圧値が大きくなり、プリパルス幅が狭くなるように設定されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置であって、
前記ブロックは、インク吐出機構がライン方向に並べられたユニットが2枚張り合わされて構成されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項4に記載の印刷装置であって、
前記ブロックは、インク吐出機構がライン方向に2系列並べられたユニットにより構成されていることを特徴とする印刷装置。
<A NAME="OLE_LINK7"><A NAME="OLE_LINK6">
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の印刷装置であって、
前記最大インク吐出数における濃度が薄くなるブロックは、前記インク吐出機構のライン方向の配置に周期的な偏りがあることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
インク吐出機構群が配置された複数のブロックで構成されるライン型のインクジェットヘッドを備え、画素毎のインク吐出数を示すデータに基づいて前記インクジェットヘッドのインク吐出機構群に印加するプリパルスを含む駆動電圧信号を生成する印刷装置における印刷処理方法であって、
駆動電圧値とプリパルス幅とに関する、ブロックごとの駆動信号調整値を記憶するステップと、
それぞれのインク吐出機構について、配置されているブロックに対応した駆動信号調整値を用いて、前記駆動電圧信号を生成するステップとを有することを特徴とする印刷処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−196276(P2009−196276A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42108(P2008−42108)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
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