説明

印刷装置

【課題】外部から入力される印刷データを確実にメモリに格納することのできる印刷装置を提供する。
【解決手段】メモリ703の記憶領域703aを管理するメモリ管理部701aが、複数の外部記憶媒体の印刷データを、それぞれ個別に格納可能に記憶領域703aに複数の媒体別記憶領域を形成する。そして、メモリ管理部701aは、例えばカメラ付携帯電話80から印刷データを受信したときに、データサイズ導出部701bにより導出した印刷データのデータサイズが、IrDA領域703b2の大きさよりも大きければ、記憶領域703aにおけるメモリカード領域701b1やODD領域703b3の形成状態を解消して、IrDA領域703b2の大きさを増大させるため、カメラ付携帯電話80の印刷データを確実にメモリ703に形成されたIrDA領域703b2に格納できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部から入力された印刷データに基づく画像を印刷用紙に印刷する印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、IEEE802.2のような有線LAN、IEEE802.11b/g/aなどの無線LAN、USBインターフェース、メモリカードスロットといったインターフェースや、スキャナなどの入力装置を介して入力された印刷データに基づいて印刷用紙に印刷を行う印刷装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の印刷装置では、ホストコンピュータやデジタルスチールカメラ(DSC)などの外部記憶媒体が無線LANや有線LAN、USBインターフェースを介して接続され、メモリカードからなる外部記憶媒体がメモリカードスロットを介して接続されて、これらの外部記憶媒体から印刷データを受信可能に構成されている。また、用紙などの外部記憶媒体からはスキャナを介して印刷データを受信可能に構成されている。このように、従来の印刷装置では、種々の外部記憶媒体から印刷データを受信して、受信した印刷データに基づく画像や文字などを印刷用紙に印刷可能に構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−210285号公報(段落0022〜0029、図1,2など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した印刷装置では、複数の外部記憶媒体から同時に印刷データが入力されることがあるため、各外部記憶媒体ごとの印刷データをそれぞれ個別に格納可能に、印刷データ格納用メモリの記憶領域に複数の媒体別記憶領域が設けられている。このような構成とすれば、複数の外部記憶媒体から同時に印刷データが印刷装置に入力されても、それぞれの印刷データを対応する媒体別記憶領域に格納することで、入力された印刷データを確実に受信することができる。ところで、近年、特にデジタルスチールカメラやカメラ付携帯電話などにより撮影されたデジタル画像の高解像度化および高諧調度化が進み、印刷データのデータサイズが増大する傾向にある。したがって、一の外部記憶媒体に対応して設けられた一の媒体別記憶領域の大きさよりも大きな印刷データが一の外部記憶媒体から入力されれば、当該印刷データを一の媒体別記憶領域に格納できないため当該印刷データを受信できないおそれがあり、技術の改善が求められていた。
【0005】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、外部から入力される印刷データを確実にメモリに格納することのできる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる印刷装置は、上記目的を達成するため、外部から入力された印刷データに基づく画像を印刷用紙に印刷する印刷装置において、前記印刷データを格納可能なメモリと、N(N:2以上の自然数)個の外部記憶媒体から前記印刷データを同時に受信可能な印刷データ受信手段と、前記印刷データ受信手段を介して受信した前記印刷データに基づいて当該印刷データのデータサイズを導出するデータサイズ導出手段と、前記印刷データが格納される前記メモリの記憶領域を管理し、前記印刷データ受信手段を介して受信する前記N個の外部記憶媒体の前記印刷データを、それぞれ個別に格納可能に前記記憶領域にN個の媒体別記憶領域を形成するメモリ管理手段とを備え、前記前記メモリ管理手段は、前記N個の外部記憶媒体のうち一の外部記憶媒体から一の印刷データを受信したときに、前記データサイズ導出手段により導出した前記一の印刷データのデータサイズが、前記一の外部記憶媒体に対応した一の前記媒体別記憶領域の大きさよりも大きければ、前記記憶領域における他の前記媒体別記憶領域の形成状態を解消して、前記一の媒体別記憶領域の大きさを増大させることを特徴としている。
【0007】
このように構成された発明では、印刷データが格納されるメモリの記憶領域を管理するメモリ管理手段が、印刷データ受信手段を介して受信するN個の外部記憶媒体の印刷データを、それぞれ個別に格納可能に記憶領域にN個の媒体別記憶領域を形成する。そして、メモリ管理手段は、N個の外部記憶媒体のうち一の外部記憶媒体から一の印刷データを受信したときに、データサイズ導出手段により導出した一の印刷データのデータサイズが、一の外部記憶媒体に対応した一の媒体別記憶領域の大きさよりも大きければ、記憶領域における他の媒体別記憶領域の形成状態を解消して、一の媒体別記憶領域の大きさを増大させるため、外部から入力される一の印刷データを確実にメモリに形成された一の媒体別記憶領域に格納できる。
【0008】
また、前記データサイズ導出手段は、前記一の外部記憶媒体の前記一の印刷データの全てを受信することにより前記一の印刷データのデータサイズを導出するようにしてもよい。このような構成とすれば、一の印刷データが例えばヘッダ情報としてデータサイズに関する情報を有していなくとも、一の印刷データの全てを受信することにより、確実に一の印刷データのデータサイズを導出できる。
【0009】
また、前記メモリ管理手段が前記記憶領域における前記他の媒体別記憶領域の形成状態を解消したことをユーザに報知する報知手段をさらに備えた構成でもよい。このような構成とすれば、他の媒体別記憶領域の形成状態が解消されたことが報知手段によりユーザに報知されるため、ユーザは他の外部記憶媒体から印刷データを入力できないことを確実に知ることができ、他の外部記憶媒体から印刷データを入力することによる誤動作などを確実に防止できる。
【0010】
また、前記印刷データ受信手段は、前記一の外部記憶媒体から前記一の印刷データをパケット単位で受信可能に構成されていてもよい。このような構成とすれば、印刷データのデータサイズをデータサイズ導出手段によりパケット単位で効率よく導出できる。
【0011】
前記印刷データ受信手段は、赤外線を利用した無線通信により前記一の外部記憶媒体から前記一の印刷データをパケット単位で受信可能に構成されていてもよい。このような構成とすれば、IrDA規格や、IrSimple規格といった赤外線を利用した無線通信規格により印刷データ受信手段を容易に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の印刷装置の一実施形態であるフォトプリンタを示す斜視図である。また、図2はフォトプリンタの内部構成の概略を示す図である。このフォトプリンタ10では、プリンタ本体12の内部にはプリント機構50(図2参照)が内蔵されており、フォトプリンタ10の全体の制御を司るコントローラ70(図2参照)からの動作指令に応じて用紙Pへの印刷を実行する。そして、こうして印刷された用紙がプリンタ本体12の前面に排紙される。
【0013】
このプリンタ本体12の前面には、図1に示すように、前面扉14が開閉自在に取り付けられている。この前面扉14はプリンタ本体12の前面を開閉するための蓋である。そして、開状態のときには、プリント機構50から排紙される用紙Pを受けるための排紙トレイとして機能する。また、プリンタ本体12の前面に設けられた各種のメモリカードスロット16をユーザが利用可能な状態となる。つまり、この状態でユーザは印刷対象となる画像ファイルを記憶したメモリカード(本発明の「外部記憶媒体」に相当)Mをメモリカードスロット16に差し込むことができる。さらに、この実施形態では、記録媒体(外部記憶媒体)としてメモリカード以外に音楽CD(Compact Disc:コンパクトディスク)や映像DVD(Digital Versatile Disc:デジタル多用途ディスク)などのディスクDCを利用可能となっている。つまり、プリンタ本体12のベース部分に光ディスクドライブ(ODD:Optical Disc Drive)13が設けられている。また、メモリカードスロット16の横に、カメラ付携帯電話などの赤外線通信機器との通信が可能なように赤外線通信ポート184が設けられている。この赤外線通信ポート184については後で詳細に説明する。
【0014】
また、プリンタ本体12の上面には操作パネル20が設けられる一方、プリンタ本体12の上面の奥の一辺に対してカバー30が開閉自在に取り付けられている。このカバー30は、プリンタ本体12の上面を覆うことのできる大きさに成型された樹脂板であり、開状態では操作パネル20の表面を外部に露出する(図1参照)。一方、カバー30が閉状態に閉じられると、操作パネル20全体を覆う。
【0015】
この操作パネル20には、文字や図形、記号などを表示する表示部22と、この表示部22の周囲に配置されたボタン群24とを備えている。ボタン群24は、図2に示すように、電源のオンオフを行うための電源ボタン24a、メインメニュー画面を呼び出すためのメニューボタン24b、操作を途中でキャンセルしたり用紙Pへの印刷を途中で中断したりするためのキャンセルボタン24c、用紙Pへの印刷実行を指示するための印刷ボタン24d、メモリカードスロット16に挿入されたメモリカードMに編集画像等を保存するための保存ボタン24e、表示部22に表示された複数の選択肢の中から所望の選択肢を選択したりカーソルを移動したりするときに操作される上下左右の各矢印ボタン24f〜24i、この上下左右の各矢印ボタン24f〜24iの中央に配置され各矢印ボタン24f〜24iによって選択されている選択肢に決定したことを指示するためのOKボタン24j、表示部22での画面表示を切り替えるための表示切替ボタン24k、表示部22に表示される左ガイドを選択する左ガイド選択ボタン24l、表示部22に表示される右ガイドを選択する右ガイド選択ボタン24m、排紙トレイとしての機能を備えた前面扉14を開く排紙トレイオープンボタン24nなどで構成されている。
【0016】
また、表示部22の表示内容を確認するために、カバー30には表示部22と同じ大きさの窓32が設けられている。つまり、カバー30が閉状態にあるときにはユーザはこの窓32を介して表示部22の表示内容を確認することができる。一方、カバー30は開状態のときには、表示部22を図1に示すように好みの角度に調整することが可能となっている。
【0017】
このようにカバー30を開状態としたときには、操作パネル20に対して斜め後方に傾斜した状態でカバー30は保持され、用紙Pをプリント機構50へ供給するためのトレイとして利用可能となっている。また、操作パネル20の奥には、プリント機構50の給紙口58が設けられるとともに、ガイド幅が用紙の幅に合うように左右方向にスライド操作される一対の用紙ガイド59,59が設けられている。
【0018】
そして、給紙口58を介して用紙Pがプリント機構50に送り込まれて印刷が実行される。このプリント機構50には、図2に示すように、キャリッジ53が左右方向にループ状に架け渡されたタイミングベルト51により駆動されガイド52に沿って左右に往復動する。このキャリッジ53には、紙端検出センサ57が設けられ、用紙Pの左右端や上下端を検出する。つまり、紙端検出センサ57は、給紙口58にセットされた用紙に対して印刷前にキャリッジ53が左右方向に走査したときにその用紙の左右端を検出して用紙幅の認識を可能にしたり、印刷途中で用紙の後端を検出して用紙長さの認識を可能にしたりする。
【0019】
また、このキャリッジ53には、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック等の各色のインクを個別に収容したインクカートリッジ54が搭載されている。これらのインクカートリッジ54はそれぞれ印刷ヘッド55に接続されている。そして、印刷ヘッド55はインクカートリッジ54からのインクに圧力をかけてノズル(図示省略)から用紙Pに向かってインクを吐出する。この実施形態では、印刷ヘッド55は圧電素子に電圧をかけることにより該圧電素子を変形させてインクを加圧する方式を採用しているが、発熱抵抗体(例えばヒータなど)に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。こうして印刷された用紙Pは搬送ローラ56によって開状態の前面扉(排紙トレイ)14へ送り出される。
【0020】
また、プリンタ本体12の背面にはバッテリパックを装着可能となっており、商用電源に接続しなくとも本プリンタ10をバッテリにより動作させることが可能となっている。この点および本プリンタ10がホストコンピュータに接続しなくても使用することができるスタンドアロンプリンタとなっている点により、本プリンタ10は持ち運び容易でどこでも使用できるようになっている。
【0021】
コントローラ70は、図2に示すように、USB(Universal Serial Bus)ホストコントローラ711を備えており、本発明の「外部記憶媒体」としてのデジタルスチールカメラやカメラ付携帯電話などの外部機器とフォトプリンタ10との接続を、赤外線を利用した無線通信により可能とするIrDA(IrSimple)規格の補助通信機能を有する無線通信機器17が、USB規格に従って接続されている。なお、本実施形態では無線通信機器17としてIrDA規格の補助通信機能を有する無線通信機器を備える構成としたが、無線通信機器17として、Bluetooth(登録商標)規格や無線LAN規格による補助通信機能を有する無線通信機器を備える構成としてもよい。このような構成とすれば、デジタルスチールカメラやカメラ付携帯電話などの外部機器はもちろんのこと、本発明の「外部記憶媒体」としてのホストコンピュータなどを無線通信機器17を介してフォトプリンタ10に接続することができる。
【0022】
また、ODD13やメモリカードスロット16などの機器が同様にUSB規格に従って接続されており、これらの機器(USBデバイス)17,13,16はプリンタ本体12に内蔵されて配設されている。また、USBホストコントローラ711に外部機器を接続するためのUSBコネクタ(図示省略)がプリンタ本体12の外部に露出するように配設され、本発明の「外部記憶媒体」としてのホストコンピュータなどの外部機器、または上記した補助通信機能を有するUSBデバイスやUSBメモリなどの外部USBデバイス18が接続可能に構成されている。なお、ホストコンピュータなどの外部機器およびUSBメモリが、補助通信機能を有する無線通信機器17または外部USBデバイス18を介さずに、直接、USBコネクターに接続されたときは、これらのホストコンピュータなどの外部機器やUSBメモリは後述するUSBルートハブ800およびUSBホストコントローラ711を介してフォトプリンタ10と接続される。したがって、フォトプリンタ10は、USBホストコントローラ711を介してホストコンピュータおよびUSBメモリとのデータの通信を行い、印刷データの送受信が可能なように構成されている。
【0023】
そして、このコントローラ70に対して、メモリカードスロット16に挿入されたメモリカードMや外付けされたUSBメモリの画像ファイルのデータ(印刷データ)などが入力されるほか、無線通信機器17または無線通信機能を有する外部USBデバイス18を介して接続されたカメラ付携帯電話、デジタルスチールカメラやホストコンピュータなどのホスト機器からの画像ファイルのデータ(印刷データ、指令信号等)が入力される。以上のように、この実施形態では、メモリカードスロット16、光ディスクドライブ(ODD:Optical Disc Drive)13、無線通信機器17、USBホストコントローラ711およびUSBルートハブ800が本発明の「印刷データ受信手段」として機能している。したがって、フォトプリンタ10は、ディスクDC、携帯電話またはデジタルスチールカメラ、メモリカードMまたは、図示省略のUSBコネクタに接続されたホストコンピュータなど、種々の外部記憶媒体から印刷データを同時に受信可能であり、受信した印刷データに基づいて当該印刷データに基づく画像や文字などの印刷用紙に印刷可能に構成されている。
【0024】
また、プリント機構50の紙端検出センサ57からの検出信号、操作パネル20のボタン群24やホストコンピュータからの指令信号等が入力される。また、コントローラ70は、メモリカードMに編集画像などを保存するほか、プリント機構50の印刷ヘッド55への制御信号や操作パネルの表示部22への制御信号を出力する。さらに、コントローラ70は、ユーザによるボタン群24の各ボタン操作を受け付けて操作に応じた制御処理を実行する。なお、USBホストコントローラ711に補助通信機能を有する外部USBデバイス(無線通信機器)18が接続されたときは、ユーザが操作パネルのボタン群24の操作により設定することで、両USBデバイス17,18のいずれか一方との接続を有効なものとする設定を行うことができるように構成されている。次にコントローラ70について図3および図4を参照してさらに詳細に説明する。
【0025】
図3および図4はコントローラ70の構成の要部を示すブロック図である。コントローラ70のシステムバス700には、図3に示すように、CPU701、ROM702、RAM703、不揮発性メモリ704、VRAM705、画像処理部707、ASIC708、USBホストコントローラ711などが接続されている。CPU701は、プリント機構50の動作制御を実行するための演算処理などを行う。ROM702は、CPU701の制御に必要なプログラム(ファームウェア)などを記憶する。RAM703(本発明の「メモリ」に相当)には一時的に外部から入力された印刷データなどのデータが記憶され、不揮発性メモリ704にはCPU701の制御に必要な各種データやテーブルなどが格納され、VRAM705には表示部22に描画すべき画像データが格納される。なお、CPU701の構成および機能については後で説明する。
【0026】
また、USBホストコントローラ711にはUSBケーブル810を介してUSBルートハブ800が接続されており、このUSBルートハブ800にはUSBケーブル810を介してメモリカードスロット16が接続されている。そして、USBホストコントローラ711は、USBルートハブ800のUSBインターフェース801を介してメモリカードスロット16(USBインターフェース16a)との通信を行い、メモリカードスロット16に挿入されたメモリカードMなどの外部記憶媒体の画像データ(印刷データ)を読み取り可能に構成されている。また、USBホストコントローラ711は、編集画像などをメモリカードMに保存するためにメモリカードスロット16(USBインターフェース16a)と通信を行って画像データをメモリカードスロット16に送信する。このUSBホストコントローラ711については後で説明する。
【0027】
画像処理部707は、USBホストコントローラ711を介して読み取られたメモリカードMなどの外部記憶媒体から与えられる画像データに対し必要な画像処理を行う。また、画像処理部707は、表示部22に表示させるためのメニュー画面などのプリンタ固有の画像に対応する表示データを生成する機能を有する。この表示データと画像処理された画像データとが合成されたデータは、画像処理部707からLCDコントローラ709に与えられ、このLCDコントローラ709によって表示部22の表示が制御される。ASIC708は、プリント機構50に設けられている用紙Pを搬送するモータ(図示省略)やタイミングベルト51を回転させるモータ(図示省略)などの速度制御を行う制御回路、印刷ヘッド55の駆動制御を行う制御回路などを内蔵している。そして、ASIC708は、CPU701からの制御信号などに基づいて生成したモータ制御信号や印刷ヘッド55の制御信号を駆動回路(ドライバ)710に送出する。また、センサ57などの検出データは、ASIC708を介してCPU701に取り込まれる。
【0028】
次に、図3を参照してUSBホストコントローラ711を介して接続されたUSB接続機器(デバイス)16,13,18,17について説明する。図3に示すように、USBホストコントローラ711にはケーブル810を介して複数のUSBポートPort1〜Port4を有するUSBルートハブ800が接続されている。そして、USBホストコントローラ711とUSBルートハブ800のUSBインターフェース801との間で、USBの物理的な接続やデータ通信が確立されるように構成されている。また、上記したように、この実施形態では、USBルートハブ800のUSBポートPort1,Port2,Port3には、それぞれ、プリンタ本体12に内蔵されたメモリカードスロット16、ODD13および無線通信機器17がUSBケーブル810を介して接続されている。そして、USBポートPort3と接続されたUSBコネクタ(図示省略)がUSBポートPort3に外部USBデバイス18を接続できるよにプリンタ本体12の外部に露出するように配設されている。
【0029】
また、USBホストコントローラ711と、メモリカードスロット16、ODD13および無線通信機器17がそれぞれ備えているUSBインターフェース16a,13a,17aとは、USBルートハブ800のUSBインターフェース801を介してUSBの物理的な接続やデータ通信が確立されるように構成されている。また、外部USBデバイス18がUSBポートPort3に接続されている場合には、他のUSB接続機器と同様に、USBホストコントローラ711と、外部USBデバイス18のUSBインターフェース18aとは、USBルートハブ800のUSBインターフェース801を介してUSBの物理的な接続やデータ通信が確立されるように構成されている。
【0030】
ところで、USBインターフェースは、USBホストコントローラ711と各USBデバイス16,13,18,17との間で通信を行うための2本の信号線(D+/D−)と、USBホスコントローラ711から各USBデバイス16,13,18,17への給電を可能とする電源線(VBUS)とを備えており、USBホストとしてのプリンタ本体12に接続されたUSBデバイス16,13,18,17へ給電可能に構成されている。また、USB規格では、USBデバイス16,13,18,17は電源線VBUSやACアダプタなどを介して電源供給されると、各USBデバイス16,13,18,17の通信速度に応じて信号線D+,D−のうちいずれか一方をプルアップすることにより、USBホストコントローラ711に対してデバイス自身の通信速度を通知するように規定されている。
【0031】
そして、USBホストコントローラ711は、この信号線D+,D−のいずれか一方のプルアップによりUSBデバイス16,13,18,17が接続されたことを検出し、当該検出の後、USBデバイス16,13,18,17へバスリセット信号を出力する。それぞれのUSBデバイス16,13,18,17はUSBホストコントローラ711からバスリセット信号を受信すると、当該バスリセット信号の出力が解除されるまでの期間(最小10msec)に、USBデバイス16,13,18,17が備えるUSBインターフェース16a,13a,18a,17aの初期設定を行うように構成されている。そして、バスリセット信号の出力が解除され、USBインターフェース16a,13a,18a,17aの初期設定が完了した後、USBホストコントローラ711によりUSBデバイス16,13,18,17のアドレス設定などを行う、いわゆる、エニュメレーション処理が実行される。そして、このエニュメレーション処理が完了すれば、USBホストコントローラ711とUSBデバイス16,13,18,17との間での通信が可能となる。
【0032】
なお、本実施形態では、フォトプリンタ10の電源が投入されれば、コントローラ70が備えるCPU701やメモリ702〜705、ASIC708、USBホストコントローラ711などの初期化が行われるように構成されている。そして、USBホストコントローラ711の初期化が完了すれば、電源線VBUSを介してUSBルートハブ800、メモリカードスロッ16、ODD13、無線通信機器17に電源供給が開始される。この電源線VBUSを介した電源供給(VBUS出力)を受けて、メモリカードスロット16、ODD13、無線通信機器17は、それぞれのデバイスの通信速度(フルスピード、ロースピード、ハイスピード)に応じて信号線D+,D−をプルアップすることにより、自己の通信速度をUSBホストコントローラ711に通知するように構成されている。そして、USBホストコントローラ711はこの信号線D+,D−のプルアップに応じて各USBデバイス16,13,17にバスリセット信号を出力するとともに、各USBデバイス16,13,17にアドレス設定などを行うエニュメレーション処理を実行して各USBデバイス16,13,17を認識し、各USBデバイス16,13,17との接続処理を行う。
【0033】
次に、本実施形態のCPU701が有する機能について図4を参照して説明する。図4(a)に示すように、CPU701は、印刷データが格納されるメモリ703の記憶領域703aを管理し、USBホストコントローラ711などを介して受信するカメラ付携帯電話など、複数個の外部記憶媒体の印刷データを、それぞれ個別に格納可能に記憶領域703aに複数個の媒体別記憶領域701b1,701b2,701b3,…を形成するメモリ管理部(本発明の「メモリ管理手段」に相当)701aを備えている。すなわち、メモリカードスロット16を介して受信したメモリカードMの印刷データはメモリカード領域703b1に、IrDA規格の無線通信機器17を介して受信したカメラ付携帯電話やデジタルスチールカメラなどの印刷データはIrDA領域703b2に、ODD13を介して受信したディスクDCの印刷データはODD領域703b3にそれぞれ格納される。
【0034】
また、CPU701は、種々の外部記憶媒体から受信した印刷データに基づいて、当該印刷データのデータサイズを導出するデータサイズ導出部701b(本発明の「データサイズ導出手段に相当)を備えている。具体的には、データサイズ導出部701bは、受信した印刷データがヘッダ情報として当該印刷データのデータサイズ情報を有すれば、このデータサイズ情報に基づいて印刷データのデータサイズを導出する。また、受信した印刷データがデータサイズに関するヘッダ情報を有さない場合には、印刷データの全てを受信することにより当該印刷データのデータサイズを導出するように構成されている。
【0035】
また、図4(b)に示すように、メモリ管理部701aは、複数の外部記憶媒体のうち、例えばカメラ付携帯電話(本発明の「一の外部記憶媒体」に相当)80から一の印刷データを受信したときに、データサイズ導出部701bにより導出した一の印刷データのデータサイズが、カメラ付携帯電話80に対応した、すなわち、IrDA規格の無線通信機器17に対応したIrDA領域703b2の大きさよりも大きければ、記憶領域703aにおける他の媒体別記憶領域703b1,703b3の形成状態を解消して、IrDA領域703b2の大きさを増大させるように構成されている。そして、図4(c)に示すように、IrDA領域703b2が増大された後、再度、カメラ付携帯電話80から一の印刷データを受信することで、当該一の印刷データを確実にメモリ703のIrDA領域703b2に格納可能に構成されている。
【0036】
また、後述するように、メモリ管理部701aが、記憶領域703aにおける他の媒体別記憶領域703b1,703b3の形成状態を解消した場合には、この形成状態の解消を表示部22に表示することによりユーザに報知するように構成されている。このように、本実施形態では表示部22は本発明の「報知手段」として機能している。なお、本実施形態では、本発明の「一の外部記憶媒体」としてカメラ付携帯電話80を例に挙げ、当該カメラ付携帯電話80の印刷データをIrDA規格の無線通信機器17を介して受信する場合を例に挙げて説明するが、外部記憶媒体の種類としてはこれに限られず、種々の外部記憶媒体(ディスクDC、メモリカードM、デジタルスチールカメラ、ホストコンピュータなど)からデータ受信手段(ODD13、メモリカードスロット16、無線通信機器17、USBホストコントローラ711など)を介して受信した印刷データをメモリ703に格納する場合に本発明を適用することができる。次に、図5ないし図7を参照して、本実施形態のIrDA規格の無線通信機器17とカメラ付携帯電話80の具体的な構成について詳細に説明する。
【0037】
図5はIrDA規格の無線通信機器17とカメラ付携帯電話80の構成を示す図である。また、図6は単方向通信のデータ転送に用いられるフレームを示す図である。また、図7はIrSMPのデータ転送時のフレームフォーマットの構造を示す図である。本実施形態の無線通信機器17は、IrDA規格による赤外線通信とともに、大容量の印刷データの転送において高速通信を可能とするいわゆるIrSimple規格による赤外線通信が可能に構成されている。IrSimple規格では、IrDA規格のような双方向通信だけでなく単方向通信によるデータ転送が可能となっている。これらのIrDA規格やIrSimle規格の構成については、周知技術であるため、その説明は最小限に留め、詳細な説明は省略する。
【0038】
図5に示すように、本実施形態の無線通信機器17は、赤外線の受発光を行う赤外線通信ポート184と、赤外線通信ポート184を制御して赤外線通信機器である外部記憶媒体としてのカメラ付携帯電話80と印刷データなどの送受信または印刷データなどの受信のみを行うIrDAコントローラ170とを備えている。IrDAコントローラ170とコントローラ70とはUSBホストコントローラ711を介して各種制御信号や印刷データなどの送受信をパケット単位で実行可能に構成されている。
【0039】
赤外線通信ポート184は、カメラ付携帯電話80によって発光された赤外線をフォトトランジスタ185で受光し、カメラ付携帯電話80へ向けてLED186が赤外線を発光することが可能なように、メモリカードスロット16の横に備えられている。この赤外線通信ポート184は、IrDA規格及びIrSimple規格に準拠した通信方式で通信可能な構成となっている。IrDA規格に準拠した通信方式は双方向通信であり、例えばIrDA−4M方式で500kbyteのイメージ転送をカメラ付携帯電話80からフォトプリンタ10に行う場合、まず9600bpsで装置発見手順(500msec〜1sec)や装置接続手順(300msec〜500msec)を実行したあと4Mbpsで双方向通信しながらデータ転送を行うことからトータルで約3秒かかる。一方、IrSimple規格に準拠した通信方式は双方向通信と単方向通信の2種類あるが、例えば単方向通信で500kbyteのイメージ転送を携帯電話80からフォトプリンタ10に行う場合、まず9600bpsで装置接続手順が行われたあと4Mbpsで一方的にデータ転送を行うことからトータルで1秒もかからない。なお、双方向通信の際にはフォトトランジスタ185とLED186の両方が利用されるが、単方向通信の際にはフォトトランジスタ185のみが利用されLED186は利用されない。
【0040】
IrDAコントローラ170は、赤外線通信ポート184のフォトトランジスタ185により赤外線が受光されて赤外線通信ポート184から出力される電圧信号IrRxを2値(値0と値1)のデータ列へ変換するデコーダ171と、2値のデータ列から赤外線通信ポート184のLED186を駆動するために赤外線通信ポート184へ出力する電圧信号IrTxを生成するエンコーダ172と、各電圧信号IrRx,IrTxと2値のデータ列との変換のタイミングを規定するサンプリングクロックを発生するクロック発生器173とを備えている。なお、クロック発生器173は、2つの異なる速度(本実施形態では9600bpsと4Mbps)に応じた異なるサンプリングクロックを発生することが可能である。また、赤外線通信ポート184から出力される信号IrRxがIrDAコントローラ170へ入力され、IrDAコントローラ170から出力される信号IrTxが赤外線通信ポート184へ入力されるよう赤外線通信ポート184およびIrDAコントローラ170は電気的に接続されている。
【0041】
カメラ付携帯電話80は、図5に示すように、IrDA規格やIrSimple規格に準拠した赤外線通信機能を搭載しており、決定ボタン81aやキャンセルボタン81b、矢印キー81c、Ir高速送信ボタンとしての機能が割り当てられたボタン(以下、「Ir高速送信ボタン」という。)81d、図示しないテンキー等からなる操作ボタン類81と、受話口で話された音声を集音するマイク82と、送話口を介して音声を外部に出力するスピーカ83と、各種画面(画像)を表示するディスプレイ84と、画像を撮影するCCDカメラ85と、携帯電話網のデータ入出力インタフェースである送受信部86と、各種ファイルを一時的に保存可能なメモリ87と、赤外線の受発光を行う赤外線通信ポート88と、赤外線通信ポート88を制御して外部の赤外線通信機器(例えば、フォトプリンタ10)とデータの送受信を行うIrDAコントローラ89と、携帯電話全体の制御を司る携帯電話コントローラ90とを備えている。
【0042】
ここで、メモリ87には、操作ボタン類81を操作することにより逐次作成された電話帳ファイル、送受信部86を介して他の携帯電話やパーソナルコンピュータ等へ送信したか送信する予定の送信メールファイル、送受信部86を介して他の携帯電話やパーソナルコンピュータ等から受信した受信メールファイル、操作ボタン類81の操作により作成されたメモ帳ファイル、CCDカメラ85によって撮影された画像ファイルなどが保存されている。赤外線通信ポート88やIrDAコントローラ89の構成はフォトプリンタ10の赤外線通信ポート184やIrDAコントローラ170と同様である。携帯電話コントローラ90は、種々の制御を実行するが、そのうちの一つとして、操作ボタン類81のIr高速送信ボタン81dが押下されてIrSimple規格に準拠した単方向通信での送信指令が入力されたとき、メモリ87内の画像ファイルの中から選択された1以上の画像ファイルを、上述した赤外線通信ポート88およびIrDAコントローラ89を介してフォトプリンタ10へ送信する。
【0043】
そして、コントローラ70は、カメラ付携帯電話80から受信した画像ファイル(印刷データ)の印刷を実行するようプリント機構50に指令を出力したり、操作パネル20のボタン群24の指令に基づいて無線通信機器17のIrDAコントローラ170に赤外線通信で送信先に送信するデータを出力したり、表示部22に操作パネル20のボタン群24の制御指令を出力したりする。次に、IrSimple規格の単方向通信について図6および図7を参照して説明する。
【0044】
図6に示すように、データ転送に用いられるフレームとしては、SNRM(Set Normal Response Mode)コマンドを含むフレームAを接続信号として利用するほか、送信すべきデータ(例えば、ユーザによって選択された画像ファイルを分割した画像データ)を含むフレームB,C,Dや、図示しない切断信号として利用される切断用のフレームがある。データ転送時には、まずフレームAが9600bpsで転送され、続いて50msec後にフレームBが4Mbpsで転送され、その後100μsecのインターバルを空けてフレームC,Dが同じく4Mbpsで転送される。このとき、各フレームには、ファイル転送機能を実現するOBEX(OBject EXchange)プロトコルのファイル転送コマンドであるPUTコマンドの各種ヘッダやIrSimple規格による通信を実現するプロトコルの1つであるIrSMPプロトコルのヘッダ等が含まれている。PUTコマンドのヘッダの1つであるNAMEヘッダは各ファイルが送信されるときの最初に送信されるフレームに含まれており、NAMEヘッダにはそのフレームに含まれるデータが属するファイルのファイル名が記述されている。また、PUTコマンドのヘッダの1つであるENDBODYヘッダは、各ファイルが送信されるときの最後に送信されるフレームに含まれている。更に、IrSMPプロトコルのヘッダは各フレームに含まれている。このIrSMPプロトコルのヘッダには各フレームが送信される順に付与される連続したシーケンス番号が記述されている。
【0045】
ここで、図7に示すように、IrSMPのデータ転送時のフレームには、ビギン・オブ・フレーム(BOF)、ペイロード・データ、フレーム・チェック・シーケンス(FCS)及びエンド・オブ・フレーム(EOF)が含まれる。ここではFCSとして、サイクリック・リダンダンシー・チェック(CRC)が記憶される。CRCは、IrDA規格では32ビットのデータであり、ペイロード・データに応じて算出されることから、各パケットに固有の値とみなすことができる。ペイロード・データは、SMPヘッダとOBEXユーザデータとを含む。SMPヘッダは、3byte(24bit)の大きさであり、データ・ラスト・ビット(DL)やブロック・ラスト・ビット(BL)、シーケンス番号などが含まれる。DL及びBLは、単方向通信で送信側が最後のパケットを送るときに値1にセットされ、それ以外のときに値0にセットされる。シーケンス番号は、送信側によって各パケットごとにインクリメントされる20ビットのデータである。また、OBEXユーザデータは、本実施形態では、画像ファイルを複数に分割したデータである。
【0046】
次に、IrSimple規格に準拠した単方向通信によりカメラ付携帯電話80から画像データ(印刷データ)をフォトプリンタへ送信し、その画像データをフォトプリンタ10で印刷する場合の動作について図8および図9を参照して説明する。
【0047】
図8は印刷データ受信処理を示す図である。また、図9は印刷データ受信処理中の表示部22の表示内容を示す図である。まず、ユーザがカメラ付携帯電話80の操作ボタン類81の矢印キー81cを操作して印刷する画像ファイルとして選択した画像ファイルのファイル名を、携帯電話コントローラ90は、ユーザが決定ボタン81aを押下して確定する度にメモリ87に記憶する。次に、操作ボタン類81のIr高速送信ボタン81dが押下されたか否かを判定し、Ir高速送信ボタン81dが押下されていないときは、再びユーザが選択して確定した画像ファイルのファイル名を記憶する。一方、Ir高速送信ボタン81dが押下されたときは、SNRMコマンドを含む接続信号としてのフレームを9600bpsで送信するようIrDAコントローラ89を制御し、所定時間(例えば、50ms)の後、メモリ87に記憶されたファイル名に対応する画像ファイルを分割した画像データ(印刷データ)を含むフレームを4Mbpsで送信するようIrDAコントローラ89を制御する。
【0048】
つまり、ユーザによって選択・確定された画像ファイルをパケット単位の印刷データとして単方向通信によりフォトプリンタ10に送信する。そして、その画像データを含むフレームの送信終了後、切断用のフレームを送信するようIrDAコントローラ89を制御する。続いて、いま送信した画像ファイルの再送信を行うか否かを問い合わせる表示を行うようディスプレイ84を制御する。次に、ユーザによって、Ir高速送信ボタン81dが押下されたか否かを判定し、Ir高速送信ボタン81dが押下されたときは、同一の画像データをフォトプリンタ10に送信する。すなわち、ユーザは、一度、画像データを送信した後、Ir高速送信ボタン81dを再び押下することによって、前回と同じ画像データを再送信することができる。一方、Ir高速送信ボタン81dが押下されていないときは、ユーザにより送信終了の決定ボタン81aが押下されることにより送信終了が入力されたか否かを判定し、送信終了が入力されたときは、メモリ87に記憶されたファイル名をクリアして、画像データの送信処理を終了する。このように、画像データの送信はフォトプリンタ10の受信状態にかかわらず一方的に行われる。
【0049】
次に、図8および図9を参照してフォトプリンタ10の印刷データ受信処理について説明する。この処理は、コントローラ70のROM702に記憶されており、上述したSNRMコマンドを含むフレームを受信したときに実行される。なお、フォトプリンタ10は、ステップS100に示す印刷データ入力待機では、9600bpsの通信速度のデータを受信できるようクロック発生器173のサンプリングクロックが調整されている。そして、印刷データの入力が開始されるとメモリ管理部701aはメモリ703の記憶領域703aのIrDA領域703b2を初期化する(ステップS101)。次に、カメラ付携帯電話80から送信される印刷データを受信するようIrDAコントローラ170に指令を出力して、印刷データのパケットデータを受信する(ステップS102)。
【0050】
なお、パケットデータを受信する指令を受け取ったIrDAコントローラ170は、4Mbpsの印刷データを受信できるようクロック発生器173のサンプリングクロックを調整して、画像データを含むパケットフレーム(図6のフレームB、フレームC、フレームD参照)を受信する。そして、切断信号としてのパケットフレーム(図示せず)を受信したときに、9600bpsの通信速度のSNRMコマンドを含むパケットフレームを受信可能なように、クロック発生器173から発生するサンプリングクロックが調整される。
【0051】
そして、ステップS103において、受信したパケットデータを正常に受信できたかどうかがCPU701により判定され、NOと判定されればステップS117に進み図9(c)に示すエラーメッセージが表示部22に表示されてステップS100に進み処理を終了する。一方、パケットデータを正常に受信して、ステップS103においてYESと判定されれば、データサイズ導出部701bによりパケットデータのデータサイズが取得される(ステップS104)。次に、ステップS103において正常受信したと判定された一のパケットデータを含めて、カメラ付携帯電話80から受信した全てのパケットデータの大きさの総計がIrDA領域703b2の大きさよりも大きいかどうかが判定され(ステップS105)、NOと判定されれば、ステップS102において受信した一のパケットデータがIrDA領域703b2に格納される。一方、ステップS105においてYESと判定されれば、受信したパケットデータの格納を行わずにステップ107に進み、印刷データを構成するパケットデータの全てを受信したかどうかが判定される。
【0052】
ステップS107においてNOと判定されれば、ステップ102に進み、次のパケットデータが受信される。なお、一度、ステップS105において、受信したパケットデータの大きさの総計がIrDA領域703b2の大きさよりも大きいと判定されれば、当該判定以後は、受信したパケットデータをIrDA領域703b2に格納せずに、印刷データを構成する最後のパケットデータを受信するまでパケットデータの受信を行うように構成されている。このように構成とすると、受信したパケットデータのデータサイズをデータサイズ導出部701bにより導出しつつ、印刷データを構成する最後のパケットデータまで受信することで、印刷データのデータサイズを導出することができる。
【0053】
一方、ステップS107においてYESと判定されれば、ステップS108において全ての印刷データが正常に受信されてIrDA領域703b2に格納されたかどうかが判定され、YESと判定されれば、受信した印刷データに基づいて印刷が実行される(ステップS109)。また、ステップS108においてNOと判定されれば、ステップS110に進み、受信した印刷データのデータサイズがIrDA領域703b2の大きさよりも大きいかどうかが判定され、NOと判定されれば、IrDA領域703b2に格納された印刷データにデータ欠損などの何らかの異常が生じており、ステップS117において図9(c)に示すエラーメッセージが表示部22に表示された後、ステップS100に進み処理を終了する。
【0054】
ステップS110においてYESと判定されれば、ステップS111に進み、受信した印刷データのデータサイズに基づいて、メモリ703の記憶領域703aにおけるIrDA領域703b2以外のメモリカード領域703b1、ODD領域703b3等の形成状態を解消すれば、受信した印刷データをメモリ703に格納可能であるかどうかがメモリ管理部701aにより判断される。そして、ステップS111におけるメモリ管理部701aによる判断結果がステップS112において判定され、NOと判定されればステップS117に進み、図9(c)に示すエラーメッセージが表示部22に表示された後、ステップS100に進み処理を終了する。一方、ステップS112においてYESと判定されれば、ステップS113において、ユーザにIrDA印刷専用モードへ移行するかどうかを確認するための図9(a)に示すメッセージが表示部22に表示される。
【0055】
そして、ユーザが操作パネル20のボタン群24を操作することにより、IrDA印刷専用モードに移行しない操作を行った場合には、ステップS114においてNOと判定されてステップS100に進み処理を終了する。一方、ステップ114においてYESと判定された場合には、メモリ管理部701aにメモリ703のIrDA領域703b2の大きさを増大させるように指令が与えられ(ステップS115、図4(b)参照)、IrDA印刷専用モードに移行したことを示す図9(b)に示すメッセージが表示部22に表示され、ステップS100に進む。次に、ユーザがカメラ付携帯電話80を操作して再度、印刷データを送信すれば、ステップS100からの処理が実行され、再度受信したデータが図4(c)に示すように大きさが増大されたIrDA領域703b2に格納され、格納された印刷データに基づく印刷処理が実行される。
【0056】
なお、上記したIrSimple単方向通信により印刷データの受信処理を行ったが、双方向通信により印刷データの受信処理を行ってもよい。この場合も、上記した単方向通信による印刷データの受信処理と同様に、各パケットデータを受信する途中で、受信したパケットデータの大きさの総計がIrDA領域703b2の大きさよりも大きくなっても、見かけ上、正常にパケットデータが受信されたものとして印刷データを構成する最後のパケットデータまで受信することで、印刷データのデータサイズを導出できる。また、IrDA規格やIrSimple規格では、双方向通信であっても、規格上、カメラ付携帯電話80からフォトプリンタ10へのデータ転送を必要以上に待機させることができない。したがって、メモリ管理部701aが受信した印刷データのデータサイズがIrDA領域703b2の大きさよりも大きいと判断された後も、印刷データの全てを受信するように構成することで、効率よく印刷データのデータサイズを導出できる。
【0057】
以上のように、この実施形態では、印刷データが格納されるメモリ703の記憶領域703aを管理するメモリ管理部701aが、受信したカメラ付携帯電話80など複数の外部記憶媒体の印刷データを、それぞれ個別に格納可能に記憶領域703aにIrDA領域703b2などの複数の媒体別記憶領域を形成する。そして、メモリ管理部701aは、一の外部記憶媒体として、例えばカメラ付携帯電話80から一の印刷データを受信したときに、データサイズ導出部701bにより導出した一の印刷データのデータサイズが、カメラ付携帯電話80に対応したIrDA領域703b2の大きさよりも大きければ、記憶領域703aにおけるメモリカード領域701b1やODD領域703b3などの他の媒体別記憶領域の形成状態を解消して、IrDA領域703b2の大きさを増大させるため、外部から入力されるカメラ付携帯電話80の印刷データを確実にメモリ703に形成されたIrDA領域703b2に格納できる。
【0058】
また、この実施形態では、受信した印刷データの大きさに応じて、メモリ703のメモリ領域703aに形成されるIrDA領域703b2などの媒体別記憶領域の大きさを調整することで、例えば高速データ通信が可能なIrSimple規格によるデータ通信により受信した大容量の印刷データも確実にメモリ703の記憶領域703aに格納できるため、フォトプリンタ10に搭載するメモリ703の容量を最小のものとすることができ、製造コストの削減を図ることができる。
【0059】
また、印刷データを全てを受信することにより印刷データのデータサイズを導出しているため、印刷データが例えばヘッダ情報としてデータサイズに関する情報を有していなくとも、印刷データの全てを受信することにより、確実に印刷データのデータサイズを導出できる。
【0060】
また、メモリ管理部701aが記憶領域703aにおけるメモリカード領域703b1やODD領域703b3などの形成状態を解消して、IrDA領域703b2の大きさを増大したことを表示部22にメッセージを表示することによりユーザに報知するため、ユーザはメモリカードMやディスクDCなどの外部記憶媒体から印刷データを入力できないことを確実に知ることができ、これらの外部記憶媒体から印刷データを入力することによる誤動作などを確実に防止できる。
【0061】
また、印刷データをパケット単位で受信しているため、印刷データのデータサイズをデータサイズ導出部701bによりパケット単位で効率よく導出できる。このとき、赤外線を利用したIrDA規格やIrSimple規格などの無線通信規格により、外部記憶媒体としてのカメラ付携帯電話80などの赤外線通信機器から印刷データをパケット単位で容易に受信できる。また、無線LANなどにより、印刷データをパケットデータとして受信してももちろんよい。また、ディスクDCやメモリカードM、USBメモリなどの外部記憶媒体からは、印刷データをパケット単位ではなく、ファイル単位で受信してもよいことは言うまでもない。
【0062】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記した実施形態では、印刷データのデータサイズを当該印刷データを全て受信することにより導出したが、印刷データを構成する最初のパケットデータにヘッダ情報として格納されているデータサイズ情報を利用して、当該印刷データのデータサイズを導出してよい。このような構成とすれば、例えば無線LANなどを介して印刷データを受信する場合に、最初に、印刷データの大きさの判定を行い、必要に応じてメモリ703の記憶領域703aの管理を行った後に、印刷データを受信することができる。
【0063】
また、上記した実施形態では、無線通信機器17、ODD13、メモリカードスロット16などの機器をUSBインターフェースを介して接続したが、各機器17,13,16を接続するための専用のコントローラを介して各機器をフォトプリンタ10に設けてもよい。また、上記実施形態では、インクカードリッジ方式のフォトプリンタ10を例として説明したが、その他のインクジェット式プリンタ等の印刷装置、有線LANを備えたネットワークプリンタとしての印刷装置、またFAXやスキャナなどを備えた複合機としての印刷装置にも本発明を適用してもよい。また、スキャナを備えることで、用紙などの外部記憶媒体に記載された情報を印刷データに変換することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の印刷装置の一実施形態であるフォトプリンタを示す斜視図。
【図2】フォトプリンタの内部構成の概略を示す図。
【図3】コントローラの構成の要部を示すブロック図。
【図4】コントローラの構成の要部を示すブロック図。
【図5】IrDA規格の無線通信機器とカメラ付携帯電話の構成を示す図。
【図6】単方向通信のデータ転送に用いられるフレームを示す図。
【図7】IrSMPのデータ転送時のフレームフォーマットの構造を示す図。
【図8】印刷データ受信処理を示す図。
【図9】印刷データ受信処理中の表示部の表示内容を示す図。
【符号の説明】
【0065】
10…フォトプリンタ(印刷装置)、13…ODD(印刷データ受信手段)、16…メモリカードスロット(印刷データ受信手段)、17…無線通信機器(印刷データ受信手段)、18…外部USBデバイス(印刷データ受信手段)、22…表示部(報知手段)、701a…メモリ管理部(メモリ管理手段)、701b…データサイズ導出部(データサイズ導出手段)、703…メモリ、703a…記憶領域、703b1…メモリカード領域(媒体別記憶領域)、703b2…IrDA領域(媒体別記憶領域)、703b3…ODD領域(媒体別記憶領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力された印刷データに基づく画像を印刷用紙に印刷する印刷装置において、
前記印刷データを格納可能なメモリと、
N(N:2以上の自然数)個の外部記憶媒体から前記印刷データを同時に受信可能な印刷データ受信手段と、
前記印刷データ受信手段を介して受信した前記印刷データに基づいて当該印刷データのデータサイズを導出するデータサイズ導出手段と、
前記印刷データが格納される前記メモリの記憶領域を管理し、前記印刷データ受信手段を介して受信する前記N個の外部記憶媒体の前記印刷データを、それぞれ個別に格納可能に前記記憶領域にN個の媒体別記憶領域を形成するメモリ管理手段とを備え、
前記前記メモリ管理手段は、
前記N個の外部記憶媒体のうち一の外部記憶媒体から一の印刷データを受信したときに、前記データサイズ導出手段により導出した前記一の印刷データのデータサイズが、前記一の外部記憶媒体に対応した一の前記媒体別記憶領域の大きさよりも大きければ、前記記憶領域における他の前記媒体別記憶領域の形成状態を解消して、前記一の媒体別記憶領域の大きさを増大させる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記データサイズ導出手段は、前記一の外部記憶媒体の前記一の印刷データの全てを受信することにより前記一の印刷データのデータサイズを導出する請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記メモリ管理手段が前記記憶領域における前記他の媒体別記憶領域の形成状態を解消したことをユーザに報知する報知手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷データ受信手段は、前記一の外部記憶媒体から前記一の印刷データをパケット単位で受信可能に構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷データ受信手段は、赤外線を利用した無線通信により前記一の外部記憶媒体から前記一の印刷データをパケット単位で受信可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−202362(P2009−202362A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44705(P2008−44705)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】