説明

印刷装置

【課題】省電力モードを備えた印刷装置では、省電力モード中に装置情報を出力する場合、電力を必要とする、データの作成及び送信のために一端通常モードに復帰して対応するものがあるが、省電力モードを解除しなければならず、電力消費が増えてしまうという課題があった。
【解決手段】
通常制御部111と第1の交信手段(113,130)とを備えた通常モード機能部110と、省電力制御部121と第2の交信手段(122,130)と電子メール記憶部124とを備えた省電力モード機能部120とを有し、通常モード機能部110は、通常モード時に装置情報を記載した通常時電子メールデータを形成して外部装置に送信し、且つ電子メール記憶部124に装置情報電子メールを保存し、省電力モード機能部110は、省電力モード時に、電子メール記憶部124に保存されている通常時電子メールデータを外部装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関し、特に省電力モードを備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置を遠隔地から管理する機能のひとつとして、印刷枚数のカウント値などの装置情報を通知する電子メールを定期的に送信する機能を持つ印刷装置が存在する。この機能では、印刷装置が省電力モードであるかどうかに関わらず、定期的に電子メールを送信することが求められる。この時、印刷装置側から能動的に電子メールを送信するためには電子メール生成を行う必要がある。しかし、省電力モート中の場合、消費電力を小さくするために、省電力モード中に利用できるCPU処理能力、メモリ容量、プログラム容量を制限しているため、装置情報を通知する電子メールを生成し、送信することが困難であった。
【0003】
このような場合、従来の印刷装置例として、省電力モードに入っていても電子メールを送信する時刻がくると、電子メールの生成、送信動作のために省電力モードから通常モードに復帰して対応するものがあった。
また別の従来の印刷装置例としては、省電力モード中に外部装置より装置状態取得が要求されたときには、省電力モード移行前に記憶した装置動作状態を、省電力モードインタフェース手段で応答するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−141821号公報(第8頁、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前者の場合には、電子メール生成と送信のために省電力モードを解除しなければならず、電力消費が増えてしまうという課題があり、後者の場合には、省電力モードの制限されたデータ処理能力下でデータ送信のためのデータ処理を行わなければならず、十分な量のデータを送信することが難しいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による印刷装置は、外部装置との交信が可能で、通常モードと省電力モードとを備える印刷装置であり、
前記通常モード時の装置を制御する第1の制御部と前記通常モード時に前記外部装置と交信する第1の交信手段とを備えた通常モード機能部と、前記省電力モード時の装置を制御する第2の制御部と前記省電力モード時に前記外部装置と交信する第2の交信手段とメールデータ保存部とを備えた省電力モード機能部と、前記通常モードでは前記通常モード機能部と前記省電力モード機能部とに電力を供給し、前記省電力モードでは前記通常モード機能部への電力供給を停止する電源部とを有し、
前記通常モード機能部は、前記通常モード時に、前記印刷装置の装置情報を記載した装置情報電子メールデータを形成し、前記外部装置に前記装置情報電子メールデータを送信し、且つ前記省電力モード機能部の前記メールデータ保存部に前記装置情報電子メールデータを保存し、
前記省電力モード機能部は、前記省電力モード時に、前記メールデータ保存部に保存されている前記装置情報電子メールデータを前記外部装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、省電力モード時においても、必要な装置情報を含む装置情報御電子メールデータを外部装置に送信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による実施の形態1の印刷装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1による印刷装置のネットワーク接続例を示すネットワーク接続図である。
【図3】通常モード中に印刷装置が行う、電子メールによる装置情報の送信動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1において、通常モードから省電力モードに移行するとき、印刷装置が行う、装置情報の処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】送信される通常時電子メールデータの内容の一例を示す説明図である。
【図6】実施の形態1において、省電力モード時に送信される省電力時電子メールデータの内容の一例を示す説明図である。
【図7】実施の形態1において、省電力モード中に印刷装置が行う、電子メールによる装置情報の送信動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明による実施の形態2の印刷装置の要部構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態2による印刷装置のネットワーク接続例を示すネットワーク接続図である。
【図10】実施の形態2において、通常モードから省電力モードに移行するとき、印刷装置が行う、装置情報の処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施の形態2において、省電力モード時に送信される省電力時電子メールデータの内容の一例を示す説明図である。
【図12】実施の形態2において、省電力モード中に印刷装置が行う、電子メールによる装置情報の送信動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本発明による実施の形態1の印刷装置の要部構成を示すブロック図である。
【0010】
同図に示すように、印刷装置100は、通常モード機能部110、省電力モード機能部120、及び電源部140とから構成され、後述するように、通常モードで動作している間は通常モード機能部110が動作し、省電力モードで動作している間は、通常モード機能部110への電力供給は停止し、省電力モード機能部120のみが動作する。ネットワークインタフェース130は、LAN300との接続のためのインタフェースであり、通常モードでは通常モード機能部110のネットワーク制御部113に接続され、省電力モードでは省電力モード機能部120の省電力ネットワーク制御部122に接続されるように構成されている。
【0011】
通常モード機能部110は、第1の制御部としての通常制御部111、印刷機能部112、ネットワーク制御部113、計時部114、装置情報管理部115、及び第一IF部116とから構成される。ここでネットワーク制御部113とネットワークインタフェース130が第1の交信手段に相当する。
【0012】
通常制御部111は、通常モード中に印刷装置100を制御する機能を持ち、印刷機能部112は、通常制御部111の制御に従って外部装置から受信した印刷データを用紙に印刷する機能を持つ。ネットワーク制御部113は、通常モード中にネットワークインタフェース130を制御し、LAN300を経由して外部装置との通信を制御する機能を持つ。計時部114は、通常モード中に時間経過を計測する機能を持ち、通常制御部111に時刻情報を供給する機能を持つ。
【0013】
装置情報管理部115は、印刷装置100に関する装置情報を管理、記憶する機能を持つ。この装置情報には、外部装置に対して定期的に通知する情報が含まれ、ここでは印刷枚数、トナー残カウンタを通知する場合を例として説明する。第一IF部116は、後述する第二IF部125との間の通信を制御する機能を持ち、省電力モードへの移行、及び解除において通常制御部111が後述する省電力制御部122と通信を行う場合に利用される。
【0014】
省電力モード機能部120は、第2の制御部としての省電力制御部121、省電力ネットワーク制御部122、省電力計時部123、メールデータ保存部としての電子メール記憶部124、および第二IF部125とから構成される。ここで省電力ネットワーク制御部122とネットワークインタフェース130が第2の交信手段に相当する。
【0015】
省電力制御部121は、省電力モード中に印刷装置100を制御する機能を持ち、省電力ネットワーク制御部122は、省電力モード中にネットワークインタフェース130を制御し、LAN300を経由して外部裝置との通信を制御する機能を持つ。この省電力ネットワーク制御部122の持つ通信機能には、電子メール送信機能が含まれる。
【0016】
省電力計時部123は、省電力モード中の時間経過を計測する機能を持ち、省電力制御部121に時刻情報を供給する機能を持ち、電子メール記憶部124は、電子メールデータを記憶する機能を持つ。第二IF部125は、第一IF部116との間の通信を制御する機能を持ち、省電力モードへの移行、及び解除において省電力制御部121が通常制御部111と通信を行う場合に利用される。
【0017】
電源部140は、通常モード中に印刷装置100全体に電力を供給する機能を持ち、省電力モード中には、省電力制御部121の制御により、通常モード機能部110への電力供給を停止する機能を持つ。尚、印刷装置100は図示しない操作ボタンを備え、操作者によるボタン操作により、例えば印刷濃度等の印刷条件や、表示内容の切替え等の操作が行えるものとする。
【0018】
図2は、本実施の形態による印刷装置100のネットワーク接続例を示すネットワーク接続図である。
【0019】
印刷装置100、メールサーバ500、及び管理装置400が、それぞれLAN300に接続されている。メールサーバ500は一般的な電子メールサーバの機能を持ち、印刷装置100及び管理装置400との間で電子メール送受信を行う機能を持つ。管理装置400は、印刷装置100の管理を行う機能を持ち、印刷装置100からの装置情報を記載した電子メールを、メールサーバ500を経由して受信する機能を持つ。管理装置400では、受信した電子メールを基に、印刷装置100の稼動状況や消耗品の交換時期の監視などを行うが、管理装置400における印刷装置100のこれらの管理動作については、本発明と直接関係しないため、その詳細な説明を省略する。
【0020】
以上の構成において、印刷装置100の動作について説明する。図3は、通常モード中に印刷装置100が行う、電子メールによる装置情報の送信動作の流れを示すフローチャートであり、先ず、このフローチャートに基づいて、図1を参照しながら、通常モードでの装置情報の送信動作について説明する。
【0021】
通常モードにおける電子メール送信動作は、計時部114から電子メール送信時刻の到来が通常制御部111に通知されることにより開始され、これにより通常制御部111は、装置情報管理部115から通知対象の装置情報を読み出す(ステップS101)。
【0022】
ここでは、印刷装置100のプリンタ名、シリアルナンバ、更に、印刷枚数、トナー残カウンタ、ドラム残カウンタ、及び用紙サイズ・カラー・モノクロといった印刷形式毎の印刷枚数、を取得するものとする。これらの情報は一般的な印刷装置管理のための情報として、各種動作結果に応じて記憶される情報である。更にここでは、消費電力累計も情報として管理するものとし、この消費電力累計も通知対象の装置情報として読み出す。
【0023】
続いて、通常制御部111は、S101で読み出した装置情報を基に、装置情報を通知する電子メールデータを生成する(ステップS102)。図5は、この時生成される通常時電子メールデータ(装置情報電子メールデータに相当)の内容の一例を示す説明図である。この中で、メールヘッダ部(Subject/From/To)、及びPrinter Information欄に記載されている文字列は、あらかじめ装置情報管理部115に記憶されている。一方、Counter Information欄及びTotal amount of power consumption欄に記載されている文字列が、電子メール送信機能で通知する装置情報である。ここでは、「総印刷枚数」、「トナー残量」、「ドラム残量」、「用紙サイズ・カラー・モノクロなど印刷形態毎の印刷数」、及び「消費電力累計」を通知対象とする例を記載している。
【0024】
尚、ここでは、わかり易くするために電子メール本文に前記装置情報をテキストとして記載する例を示しているが、これらの装置情報を暗号化された添付ファイルとして、電子メールデータを生成する形態としてもよい。
【0025】
生成された通常時電子メールデータは、ネットワーク制御部113に引き渡され、ネットワーク制御部113は、ネットワークインタフェース130を制御して、LAN300を経由してメールサーバへと送信する(ステップS103)。ネットワーク制御部113による電子メール動作が終了すると、通常制御部111は計時部114に対して次回の電子メール送信時刻をセットする(ステップS104)。このステップS104で設定した送信時刻になると、上記したステップS101〜ステップS104までの通常モードでの装置情報の送信動作が順次繰り返される。以上が通常モードにおける電子メール送信動作である。
【0026】
図4は、通常モードから省電力モードに移行するとき、印刷装置100が行う、装置情報の処理動作の流れを示すフローチャートであり、次に、このフローチャートに基づいて、図1を参照しながら、この時の装置情報の処理動作について説明する。
【0027】
尚、電子メール送信機能関連以外の、省電力モードへ移行するための条件判断や、省電力モードへ移行するためのその他の動作についての詳細な説明は省略するが、省電力モードヘの移行は、例えば、
・操作者がパワーセーブボタン(省電力モードへ移行するためのボタン)を押下する、
・所定時間、印刷データの受信がない、
・所定時間、操作者によるボタン操作が行われない、
等の際に、行われる。
【0028】
省電力モードへの移行が開始されると、先ず省電力モードとなる前の通常モードの段階で、通常制御部111は、装置情報管理部115から通知対象の装置情報を収集し(ステップS201)、収集した装置情報を基に、通知対象全文を記載した電子メールデータを生成する(ステップS202)。ここで生成される電子メールデータは、前記した図5に示す通常時電子メールデータと同様である。その後、通常制御部111は、簡易文を記載した省電力時電子メールデータ(簡易型電子メールデータに相当)を生成する(ステップS203)。
【0029】
図6は、この時生成される、簡易文を記載した省電力時電子メールデータの内容の一例を示す説明図である。この中で、省電力時電子メールデータのメールヘッダ部、及びPrinter Information欄は、通常時電子メールデータ(図5)と同様である。しかし、Counter Information欄及びTotal amount of power consumption欄の記載はなく、代わりに、印刷装置100が省電力モード中であることと、カウンタ値が前回送信メールから変化していないことを説明したテキストとなっている。通常時電子メールデータ(図5)において、装置情報を添付ファイルとして生成している形態であっても、省電力時電子メールデータには添付ファイルは添付されず、テキストのみの簡易な電子メールデータとして生成される。
【0030】
以上のように、ここでの省電力時電子メールデータは、装置情報が前回送信した電子メールに記載された値と同じであることを示すものである。省電力モードが継続している間は、装置情報の主要な項目は変化しないため、通信データ量の削減と受信したユーザの利便性を向上させることを目的に簡易文を記載した省電力時電子メールを用いる。但し、消費電力累計値は、実際には省電力モード中も変化し、また省電力モード中に、用紙及びトナーの補充が行われた場合も変化することになるが、これらに対する対応については後述する。
【0031】
次に、通常制御部111は、次回の送信時刻を計時部114から取得し(ステップS204)、ステップS202及びステップS203で作成した通常時電子メールデータ及び省電力時電子メールデータを、第一IF部116及び第二IF部125を経由することで省電力モード機能部120内の電子メール記憶部124に転送し、記憶させる(ステップS205)。最後に、ステップS204で取得した次回送信時刻及び、送信間隔を第一IF部116及び第二IF部125を経由することで、省電力モード機能部120内の省電力計時部123にセットする(ステップS206)。
以上で、省電力モード移行時の、本発明の動作に関わる動作は終了し、以後、印刷装置100は、省電力モードとなる。
【0032】
図7は、省電力モード中に印刷装置100が行う、電子メールによる装置情報の送信動作の流れを示すフローチャートであり、次に、このフローチャートに基づいて、図1を参照しながら、省電力モードでの装置情報の送信動作について説明する。
【0033】
省電力モード中の電子メール送信動作は、省電力モード中に、省電力計時部123から省電力制御部121に電子メール送信時刻の到来が通知されることにより開始され、これにより省電力制御部121は、省電力モードを解除するかどうかを判断する(ステップS301)。ここでは、省電力モードに入ってからの電子メール送信回数が、あらかじめ定められた所定回数に達したか否かで判断する。省電力制御部121は、所定回数に達した場合(ステップS301、Yes)、省電力モードを解除し(ステップS307)、所定回数に達しない場合(ステップS301、No)、省電力モードを継続すると判断して送信する電子メールデータを選択する(ステップS302〜ステップS304)。
【0034】
ステップS302〜ステップS305では、送信時刻が到来する毎に簡略文を記載した省電力時電子メールデータ(図6)を送信する処理を3回続けて実行したら、次の送信時刻には全文を記載した通常時電子メールデータ(図5)を1回送信するように動作する。即ち、省電力制御部121は、ステップS302で、省電力時電子メールデータを続けて3回送信したか否かを判断し、省電力時電子メールデータを続けて3回送信した場合(ステップS302、Yes)、電子メール記憶部124から通常時電子メールデータを取り出し(ステップS303)、まだの場合(ステップS302、No)、電子メール記憶部124から省電力時電子メールデータを取り出す(ステップS304)。続いて、省電力制御部121は、取り出した電子メールデータを省電力ネットワーク制御部122に引き渡し、ネットワーク制御部122はネットワークインタフェース130を制御して、LAN300を経由してメールサーバ500へと送信する(ステップS305)。
【0035】
ここでは、省電力時電子メールデータを続けて3回送信したら、次に通常時電子メールデータを1回送信するように設定したが、これに限定されるものではなく、例えば、「昼間は全文電子メールを送信し、夜間は簡易文電子メールを送信する」、といった条件を設定することも可能である、これらのメール選択条件は、予め省電力制御部121に組み込まれているものとする。
【0036】
その後、省電力制御部121は、省電力計時部123に次回送信時刻をセットし(ステップS306)、動作を終了する。
【0037】
このステップS306で設定した送信時刻になると、上記したステップS301〜ステップS306までの省電力モードでの装置情報の送信動作が順次繰り返され、ステップS301の判定により、省電力モードでの装置情報の送信が所定の回数に達した段階で、省電力モードが解除され、通常モードとなって、再び、通常モード機能部110(図1)による、前記した図3のフローチャートによる通常モード時の電子メール送信動作が行われる。
【0038】
尚、ここでのフローチャートでは明記していないが、省電力モード中に、例えば、
・操作者によるボタン操作が確認された場合、
・印刷データが受信された場合、
等の際にも、通常モードへ移行するものとする。
【0039】
従って、印刷装置100は、上記の操作者によるボタン操作や印刷データの入力がない場合、省電力モードで所定回数だけ省電力モードでの装置情報を送信した後、通常モードにもどって、図4で説明した省電力モードへの移行処理によって生成した電子メールデータによって電子メール記憶部124の通常時電子メールデータの内容を更新し、再び省電力モードでの図7で説明した電子メールデータを送信する、一連の動作を繰り返す。
【0040】
以上のように、本実施の形態の印刷装置100によれば、省電力モード中は作成することのできない装置情報を記載した電子メールを、通常動作モードに復帰することなく、通常動作中と同様に送信することができる。また省電力モード中に、装置情報が変化していないことを示す電子メールを所定回数送信した後、全情報を記載した電子メールを送信する送信動作を繰り返すことによって、電子メールを受信したユーザが、印刷装置の状況を十分理解しつつ、通信データ量を削減できる、という効果を得ることもできる。更に、所定回数送信毎に通常モードに戻って全文記載の通常時電子メールデータが更新されるため、省電力モード中にも変化する例えば消費電力累計値等の最新情報や、省電力モード中に、用紙及びトナーの補充が行われることよって変化する「総印刷枚数」、「トナー残量」等の最新情報を送信することが可能となる。
【0041】
実施の形態2.
図8は、本発明による実施の形態2の印刷装置200の要部構成を示すブロック図であり、図9は、実施の形態2による印刷装置のネットワーク接続例を示すネットワーク接続図である。
【0042】
本実施の形態の印刷装置200及びネットワークが、前記した図1、図2に示す実施の形態1の印刷装置及びネットワークと主に異なる点は、印刷装置200においては、通常制御部211、省電力制御部221、及び省電力ネットワーク制御部222での各動作内容であり、ネットワークにおいては、管理装置450の動作内容である。従って、実施の形態2の印刷装置200及びネットワークが、前記した実施の形態1の印刷装置100(図1)及びネットワーク(図2)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0043】
本実施の形態において、図9に示すネットワークの管理装置450は、印刷装置200の管理を行う機能を持ち、印刷装置200からの装置情報を記載した電子メールを、メールサーバ500を経由して受信する機能を持ち、更に、受信した電子メールへの返信を、メールサーバ500を経由して送信する機能をも持つ。
【0044】
図8に示す印刷装置200の通常制御部211は、通常モード中に印刷装置200を制御する機能を持ち、省電力制御部221は、省電力モード中に印刷装置200を制御する機能を持ち、省電力ネットワーク制御部222は、省電力モード中にネットワークインタフェース130を制御し、LAN300を経由して外部裝置との通信を制御する機能を持つ。この省電力ネットワーク制御部222の持つ通信機能には、電子メール送受信機能が含まれる。
【0045】
以上の構成において、印刷装置200の動作について説明する。
尚、通常モード中に印刷装置200が行う、電子メールによる装置情報の送信動作は、前記した実施の形態1で、図3のフローチャートに基づいて説明した送信動作と全く同じなので、ここでの説明は省略する。
【0046】
図10は、通常モードから省電力モードに移行するとき、印刷装置200が行う、装置情報の処理動作の流れを示すフローチャートであり、次に、このフローチャートに基づいて、図8を参照しながら、この時の装置情報の処理動作について説明する。
【0047】
尚、電子メール送信機能関連以外の、省電力モードへ移行するための条件判断や、省電力モードへ移行するためのその他の動作についての詳細な説明は省略するが、省電力モードヘの移行は、例えば、
・操作者がパワーセーブボタン(省電力モードへ移行するためのボタン)を押下する、
・所定時間、印刷データの受信がない、
・所定時間、操作者によるボタン操作が行われない、
等の際に、行われる。
【0048】
省電力モードへの移行が開始されると、先ず省電力モードとなる前の通常モードの段階で、通常制御部211は、装置情報管理部115から通知対象の装置情報を収集し(ステップS501)、収集した装置情報を基に、通知対象全文を記載した電子メールデータを生成する(ステップS502)。ここで生成される電子メールデータは、前記した図5に示す通常時電子メールデータと同様である。その後、通常制御部211は、簡易文を記載した省電力時電子メールデータ(簡易型電子メールデータに相当)を生成する(ステップS503)。
【0049】
ここでの省電力時電子メールデータは、装置情報が必要な場合には返信メールをするように指示するテキストとなっている。
【0050】
図11は、この時生成される、簡易文を記載した省電力時電子メールデータの内容の一例を示す説明図である。この中で、省電力時電子メールデータのメールヘッダ部、及びPrinter Information欄は、通常時電子メールデータ(図5)と同様である。しかし、Counter Information欄及びTotal amount of power consumption欄の記載はなく、代わりに、装置情報が必要な場合は返信することを指示するテキストとなっている。通常時電子メールデータ(図5)において、装置情報を添付ファイルとして生成している形態であっても、省電力時電子メールデータには添付ファイルは添付されず、テキストのみの簡易な電子メールデータとして生成される。
【0051】
次に、通常制御部211は、次回の送信時刻を計時部114から取得し(ステップS504)、ステップS502及びステップS503で作成した通常時電子メールデータ及び省電力時電子メールデータを、第一IF部116及び第二IF部125を経由することで省電力モード機能部120内の電子メール記憶部124に転送し、記憶させる(ステップS505)。最後に、ステップS504で取得した次回送信時刻及び、送信間隔を第一IF部116及び第二IF部125を経由することで、省電力モード機能部120内の省電力計時部123にセットする(ステップS506)。
以上で、省電力モード移行時の、本発明の動作に関わる動作は終了し、以後、印刷装置200は、省電力モードとなる。
【0052】
図12は、省電力モード中に印刷装置200が行う、電子メールによる装置情報の送信動作の流れを示すフローチャートであり、次に、このフローチャートに基づいて、図8を参照しながら、省電力モードでの装置情報の送信動作について説明する。
【0053】
省電力モード中の電子メール送信動作は、省電力モード中に、省電力計時部123から省電力制御部221に電子メール送信時刻の到来が通知されることにより開始され、これにより省電力制御部221は、省電力モードを解除するかどうかを判断する(ステップS601)。ここでは、省電力モードに入ってからの電子メール送信回数が、あらかじめ定められた所定回数に達したか否かで判断する。
【0054】
省電力制御部221は、所定回数に達した場合(ステップS601、Yes)、省電力モードを解除し(ステップS610)、所定回数に達しない場合(ステップS601、No)、省電力モードを継続すると判断する。このとき省電力ネットワーク制御部222は、ネットワークインタフェース130を制御してメールサーバ500(図9)に接続し、印刷装置200のメールボックスに電子メールが到着しているかどうかを確認する(ステップS602)。省電力ネットワーク制御部222は、新しい電子メールを発見すると(ステップS603、Yes)、発見した電子メールのSubject欄を取得する(ステップS604)。
【0055】
ここでは電子メール受信のためのネットワークプロトコルとして一般的なPOP3プロトコルが使用されているものとする。この場合、省電力ネットワーク制御部222は、“TOPコマンド”を使用することにより、電子メールを全て受信することなく、電子メールのヘッダ部分のみを取得することができる。従って、電子メール全文を受信・解析するためのCPU能力、メモリ容量を制約された省電力モードにおいても、省電力ネットワーク制御部222は、受信した電子メールのSubject欄を確認することができ、続いてステップS604で取得した電子メールのSubject欄をチェックする(ステップS605)。
【0056】
ここで省電力制御部221は、Subject欄に省電力時電子メールデータ(図11)のSubject欄の文字列が含まれていた場合、即ち、ここでは省電力時電子メールデータのSubject欄が“Notify from C9700−No0001”であるため、例えば、“RE:Notify from C9700−No0001”といったSubject欄であった場合、全文電子メールが要求されているものと判断し(ステップS605、Yes)、電子メール記憶部124から全文を記載した通常時電子メールデータ(図5)を取り出す(ステップS606)。
【0057】
一方、Subject欄に省電力時電子メールデータ(図11)のSubject欄の文字列が含まれていなかった場合(ステップS605、No)、又はメールボックスに受信メールが無かった場合(ステップS603、No)、簡易文を記載した省電力時電子メールデータ(図11)を送信すると判断し、電子メール記憶部124から省電力時電子メールデータを取り出す(ステップS607)。続いて、省電力制御部221は、取り出した電子メールデータを省電力ネットワーク制御部222に引き渡し、ネットワーク制御部222はネットワークインタフェース130を制御して、LAN300を経由してメールサーバ500へと送信する(ステップS608)。
【0058】
その後、省電力制御部221は、省電力計時部123に次回送信時刻をセットし(ステップS609)、動作を終了する。
【0059】
このステップS609で設定した送信時刻になると、上記したステップS601〜ステップS609までの省電力モードでの装置情報の送信動作が順次繰り返され、ステップS601の判定により、省電力モードでの装置情報の送信が所定の回数に達した段階で、省電力モードが解除され、通常モードとなって、再び、通常モード機能部110(図8)による、前記した図3のフローチャートによる通常モード時の電子メール送信動作が行われる。
【0060】
尚、ここでのフローチャートでは明記していないが、省電力モード中に、例えば、
・操作者によるボタン操作が確認された場合、
・印刷データが受信された場合、
等の際にも、通常モードへ移行するものとする。
【0061】
従って、印刷装置200は、上記の操作者によるボタン操作や印刷データの入力がない場合、省電力モードで所定回数だけ省電力モードでの装置情報を送信した後、通常モードにもどって、図4で説明した省電力モードへの移行処理によって生成した電子メールデータによって電子メール記憶部124の通常時電子メールデータの内容を更新し、再び省電力モードでの図12で説明した電子メールデータを送信する、一連の動作を繰り返す。
【0062】
以上のように、本実施の形態の印刷装置100によれば、省電力モード中は作成することのできない装置情報を記載した電子メールを、通常動作モードに復帰することなく、必要に応じて通常動作中と同様に送信することができる。また省電力モード中に、ユーザの要求に応じて、全情報を記載した電子メールを送信することによって、電子メールを受信したユーザが、印刷装置の状況を十分理解しつつ、通信データ量を削減できる、という効果を得ることもできる。更に、所定回数送信毎に通常モードに戻って全文記載の通常時電子メールデータが更新されるため、省電力モード中にも変化する例えば消費電力累計値等の最新情報や、省電力モード中に、用紙及びトナーの補充が行われることよって変化する「総印刷枚数」、「トナー残量」等の最新情報を送信することが可能となる。
【0063】
尚、上記した各実施の形態では、装置情報を送信する手段として電子メールを用いる場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば装置情報を記載した電子ファイルを、FTP、HTTP、SMBといった通信プロトコルを用いてファイル送信する場合でも同様の効果を実現することができる。
【0064】
また、上記した各実施の形態では、装置情報を記載した電子メールをテキストとして生成する場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば電子メール全体を暗号化電子メールとして、又は装置情報を表計算ソフトなど、特定のアプリケーション用ファイル形式の添付ファイルや暗号化添付ファイルとして生成する形態でも同様の効果を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
前記した各実施の形態では、印刷装置を例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スキャナ装置、ファクシミリ装置、複写機、MFP(Multifunction Peripheral)等の省電力機能を持つ情報処理装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
100 印刷装置、 110 通常モード機能部、 111 通常制御部、 112 印刷機能部、 113 ネットワーク制御部、 114 計時部、 115 装置情報管理部、 116 第一IF部、 120 省電力モード機能部、 121 省電力制御部、 122 省電力ネットワーク制御部、 123 省電力計時部、 124 電子メール記憶部、 125 第二IF部、 130 ネットワークインタフェース、 140 電源部、 200 印刷装置、 211 通常制御部、 221 省電力制御部、 222 省電力ネットワーク制御部、 300 LAN、 400 管理装置、 450 管理装置、 500 メールサーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置との交信が可能で、通常モードと省電力モードとを備える印刷装置であり、
前記通常モード時の装置を制御する第1の制御部と前記通常モード時に前記外部装置と交信する第1の交信手段とを備えた通常モード機能部と、
前記省電力モード時の装置を制御する第2の制御部と前記省電力モード時に前記外部装置と交信する第2の交信手段とメールデータ保存部とを備えた省電力モード機能部と、
前記通常モードでは前記通常モード機能部と前記省電力モード機能部とに電力を供給し、前記省電力モードでは前記通常モード機能部への電力供給を停止する電源部と
を有し、
前記通常モード機能部は、前記通常モード時に、前記印刷装置の装置情報を記載した装置情報電子メールデータを形成し、前記外部装置に前記装置情報電子メールデータを送信し、且つ前記省電力モード機能部の前記メールデータ保存部に前記装置情報電子メールデータを保存し、
前記省電力モード機能部は、前記省電力モード時に、前記メールデータ保存部に保存されている前記装置情報電子メールデータを前記外部装置に送信する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記通常モード機能部は、予め定められたタイミングで前記装置情報電子メールデータの作成、及び前記装置情報電子メールデータの送信を実行し、前記省電力モード機能部は、予め定められたタイミングで前記メールデータ保存部に保存されている前記装置情報電子メールデータを送信することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記通常モード機能部は、前記通常モードから前記省電力モードに移行する前に、前記装置情報電子メールデータを形成して前記メールデータ保存部に保存することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記通常モード機能部は、前記装置情報電子メールデータより情報量の少ない簡易型電子メールデータも作成して前記メールデータ保存部に保存し、
前記省電力モード機能部は、前記省電力モード中に、前記メールデータ保存部に保存されている異なる電子メールデータから1つを選択して送信することを特徴とする請求項3記載の印刷装置。
【請求項5】
前記省電力モード機能部は、前記簡易型電子メールデータを所定回数連続して送信する毎に、前記装置情報電子メールデータを送信することを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
前記簡易型電子メールデータの内容は、前記装置情報電子メールデータの装置情報が変っていないことを示すメッセージであることを特徴とする請求項5記載の印刷装置。
【請求項7】
前記省電力モード機能部は、前記簡易型電子メールデータを送信し、前記外部装置からの要求があった時に前記装置情報電子メールデータを送信することを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項8】
前記簡易型電子メールデータの内容は、前記装置情報電子メールデータの送信案内のメッセージであることを特徴とする請求項7記載の印刷装置。
【請求項9】
前記省電力モード機能部は、前記省電力モード中に、前記メールデータ保存部に保存されている電子メールデータを所定回数送信した後、前記省電力モードを解除することを特徴とする請求項2乃至8の何れかに記載の印刷装置。
【請求項10】
前記通常モード時に、所定時間、印刷データの受信がない場合又は操作者によるボタン操作が行われない場合に、前記通常モードから前記省電力モードに移行することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−176569(P2012−176569A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41376(P2011−41376)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】